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特許7428697光透過性の複屈折ワークピースをアライメントするためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】光透過性の複屈折ワークピースをアライメントするためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20240130BHJP
   G01N 21/21 20060101ALI20240130BHJP
   H01L 21/68 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
G02B5/30
G01N21/21 Z
H01L21/68 F
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021507605
(86)(22)【出願日】2019-08-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 US2019047837
(87)【国際公開番号】W WO2020046731
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】16/114,745
(32)【優先日】2018-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505413587
【氏名又は名称】アクセリス テクノロジーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】バッサム,ニール
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-526158(JP,A)
【文献】特開2007-214189(JP,A)
【文献】特開2000-081312(JP,A)
【文献】特開2012-037817(JP,A)
【文献】特開2008-181010(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0094921(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
G01N 21/21
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピースアライメントシステムであって、
発光装置と、
第1偏光装置と、
受光装置と、
第2偏光装置と、
ワークピースサポートと、
回転デバイスと、
コントローラと、を備えており、
上記発光装置は、ワークピースに関連するワークピース平面の第1側に向かう経路に沿って、1つ以上の波長における光ビームを方向付け、
上記経路は、上記ワークピースの周縁領域に関連しており、
上記第1偏光装置は、上記発光装置と上記ワークピース平面との間に配置されており、
上記受光装置は、上記経路に沿って配置されており、かつ、上記ワークピース平面の第2側において上記光ビームを受光し、
上記第2側は、上記第1側とは反対側であり、
上記第2偏光装置は、上記ワークピース平面と上記受光装置との間に配置されており、
上記ワークピースサポートは、上記ワークピース平面に沿って上記ワークピースを選択的に支持し、
上記回転デバイスは、上記ワークピースサポートと動作可能に接続されており、かつ、上記ワークピースサポートを支持軸の回りに選択的に回転させ、
上記コントローラは、上記ワークピースが上記経路と交差した場合に上記ワークピースを通過して上記受光装置によって受光された上記光ビームの量に基づいて、上記ワークピースの位置を決定し、
上記コントローラは、上記ワークピースが、支持されており、かつ、上記ワークピースサポートを介して回転させられた場合における、上記支持軸に対する上記ワークピースの位置を決定し、
上記ワークピースの上記位置の決定は、(i)上記ワークピースサポートの回転位置と、(ii)上記ワークピースサポートの上記回転位置に関連する、上記受光装置によって受光された上記光ビームの少なくとも一部と、に少なくとも部分的に基づいている、ワークピースアライメントシステム。
【請求項2】
上記第1偏光装置は、第1円偏光フィルタを含んでおり、
上記第2偏光装置は、第2円偏光フィルタを含んでいる、請求項1に記載のワークピースアライメントシステム。
【請求項3】
上記第1円偏光フィルタは、第1直線偏光フィルタと第1クオータ波長板とを含んでおり、
上記第1直線偏光フィルタは、上記第1クオータ波長板に対して+45°で配置されており、
上記第1直線偏光フィルタは、上記第1クオータ波長板に比べて、上記発光装置により近く配置されている、請求項2に記載のワークピースアライメントシステム。
【請求項4】
上記第2円偏光フィルタは、第2直線偏光フィルタと第2クオータ波長板とを含んでおり、
上記第2直線偏光フィルタは、上記第2クオータ波長板に対して+45°で配置されており、
上記第2直線偏光フィルタは、上記第2クオータ波長板に比べて、上記受光装置により近く配置されている、請求項3に記載のワークピースアライメントシステム。
【請求項5】
上記第2円偏光フィルタは、コンペンセータを含んでいる、請求項3に記載のワークピースアライメントシステム。
【請求項6】
上記コンペンセータは、第2直線偏光フィルタと第2クオータ波長板とを含んでおり、
上記第2直線偏光フィルタは、上記第2クオータ波長板に対して+45°で配置されており、
上記第2直線偏光フィルタは、上記第2クオータ波長板に比べて、上記受光装置により近く配置されており、
上記第2直線偏光フィルタは、上記コンペンセータへの入力に基づいて、直交する電界成分間における可変の位相変化を生じさせる、請求項5に記載のワークピースアライメントシステム。
【請求項7】
上記第2円偏光フィルタは、コンペンセータを含んでおり、
上記コントローラは、上記コンペンセータへの入力に基づいて、直交する電界成分間における可変の位相変化を生じさせる、請求項2に記載のワークピースアライメントシステム。
【請求項8】
上記ワークピースは、複屈折ワークピースを含んでおり、
上記コントローラは、上記コンペンセータに対する電圧入力を選択的に制御することにより、上記第2直線偏光フィルタの上記位相変化を制御する、請求項に記載のワークピースアライメントシステム。
【請求項9】
上記コントローラが、上記コンペンセータに対する上記電圧入力を選択的に制御することにより、
上記第2直線偏光フィルタの上記位相変化が、上記受光装置によって受光された上記光ビームの上記少なくとも一部に関連する、最小信号に対する最大信号の比率を最大化するように制御される、請求項に記載のワークピースアライメントシステム。
【請求項10】
上記発光装置は、上記1つ以上の波長において上記光ビームを出射するレーザである、請求項1に記載のワークピースアライメントシステム。
【請求項11】
上記発光装置は、所定の幅に亘る上記1つ以上の波長において、上記光ビームを出射する、請求項1に記載のワークピースアライメントシステム。
【請求項12】
上記ワークピースの上記位置は、上記ワークピース平面に沿った、上記支持軸からの上記ワークピースの中心の2次元オフセットを含んでいる、請求項1に記載のワークピースアライメントシステム。
【請求項13】
上記ワークピースの上記位置は、上記支持軸の回りの上記ワークピースの回転位置をさらに含んでいる、請求項12に記載のワークピースアライメントシステム。
【請求項14】
上記支持軸の回りの上記ワークピースの上記回転位置は、上記ワークピースのエッジ形状に関連しており、
上記コントローラは、上記ワークピースの上記エッジ形状に基づいて、上記支持軸に対する上記ワークピースの上記位置を決定する、請求項13に記載のワークピースアライメントシステム。
【請求項15】
上記コントローラは、上記ワークピースサポートの複数の回転位置において上記受光装置によって受光された上記光ビームの上記少なくとも一部によって規定される波形を決定し、
上記コントローラは、上記波形に基づいて、上記支持軸に対する上記ワークピースの上記位置を決定する、請求項1に記載のワークピースアライメントシステム。
【請求項16】
上記ワークピースは、シリコンカーバイドまたはシリコンのうちの一方を含んでいる、請求項1に記載のワークピースアライメントシステム。
【請求項17】
上記ワークピースは、当該ワークピース上に形成された1つ以上の層を含んでいる、請求項16に記載のワークピースアライメントシステム。
【請求項18】
ワークピースをアライメントするための方法であって、
支持軸を有するワークピースサポート上にワークピースを配置する工程と、
発光装置により1つ以上の波長における光ビームを、経路に沿って上記ワークピースに関連するワークピース平面の第1側に向けて方向付ける工程と、を含んでおり、
上記光ビームは、上記発光装置と上記ワークピースとの間に配置された第1偏光装置を通過し、
上記方法は、
記経路に沿って配置されており、かつ、上記ワークピースの位置に基づいて上記ワークピース平面の第2側において上記光ビームを選択的に受光する受光装置を提供する工程を含んでおり、
上記第2側は、上記第1側とは反対側であり、
記光ビームは、上記ワークピース平面と上記受光装置との間に配置された第2偏光装置を通過し、
上記方法は、
上記ワークピースが上記経路と交差した場合に上記ワークピースを通過して上記受光装置によって受光された上記光ビームの量に基づいて、上記ワークピースサポートに対する上記ワークピースの位置を決定する工程を含んでいる、方法。
【請求項19】
上記方法は、
上記支持軸の回りに上記ワークピースを回転させる工程と、
上記ワークピースが、支持されており、かつ、上記ワークピースサポートを介して回転させられた場合における、上記支持軸に対する上記ワークピースの位置を決定する工程と、をさらに含んでおり、
上記ワークピースの上記位置の決定は、(i)上記ワークピースサポートの回転位置と、(ii)上記ワークピースサポートの上記回転位置に関連する、上記受光装置によって受光された上記光ビームの少なくとも一部と、に少なくとも部分的に基づいている、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
上記第2偏光装置は、コンペンセータを含んでおり、
上記方法は、
上記コンペンセータに対する電圧入力を制御することによって、上記光ビームの位相を制御する工程をさらに含んでいる、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願の参照]
本出願は、2018年8月28日に出願された「SYSTEM AND METHOD FOR ALIGNING LIGHT-TRANSMITTING BIREFRINGENT WORKPIECES」というタイトルの米国非仮特許出願No.16/114,745号の利益を主張する。当該出願の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[分野]
本開示は、一般的には、ワークピースを処理するためのワークピース処理システムおよび方法に関する。より具体的には、本開示は、様々な光透過特性(透光性)を有するワークピースをハンドリングし、かつ、アライメント(位置合わせ)するためのシステムおよび方法に関する。
【0003】
[背景]
半導体プロセスにおいては、多くの操作が単一のワークピースまたは半導体ウェハに対して実行されうる。多くのプロセス操作では、ワークピースを適切に処またはハンドリングするために、(i)ワークピースに対する特定の位置合わせ(orientation)、および/または、(ii)ワークピースホルダに対するワークピースの位置を知ることが必要とされる。例えば、(i)搬送キャリアまたはストレージカセット(保管カセット)と処理システムとの間におけるワークピースの交換、および、(ii)1つ以上のロードロックチャンバを介した、大気環境から処理システムのプロセスチャンバの真空環境へのワークピースの搬送(輸送,移送)などの操作では、適切なワークピースのハンドリングおよび処理のために、(i)(1つ以上の)特定の位置合わせ、または、(ii)ワークピースの空間的な位置を知ることが必要となる場合がある。
【0004】
ワークピースの位置合わせ(例:ノッチアライメント)は、排気された環境内または大気環境内において、光存在センサを用いて実行されうる。この場合、光ビームは、発光器(光出射器,光エミッタ)によって出射され、かつ、当該光ビームに対するワークピースの回転に伴って(回転と同時に)、ワークピースに向けて方向付けられる。次に、受光器(光レシーバ)によって受光される光の変化を使用して、光がどのように完全にまたは部分的に受光されるかに応じて、(i)ワークピース内において画定(規定)されているノッチの位置、および/または、(ii)ワークピースの位置の偏心を決定(判定)することができる。そのような装置の1つが、Hiroaki Saekiの米国特許No.5,740,034に開示されている。当該特許では、受光信号に関連する波形を利用して、ワークピースのノッチおよび/または偏心位置が決定される。
【0005】
[概要]
本開示は、様々な透過率を有するワークピースの位置を正確に決定するためのシステム、装置、および方法を提供することによって、従来技術の制限を有利に克服する。これにより、精度を改善し、システムに関連する所有コスト(cost of ownership)を最小化できる。より具体的には、本開示は、様々な偏光フィルタを用いて、複屈折ワークピース(birefringent workpiece)の位置を有利に決定するためのシステムおよび方法を提供する。このため、本開示は、基板(基材)の様々なコーティングまたは特性によらず、実質的に任意の基板材料および厚さに応じた位置決めソリューション(解決策)を提供する。
【0006】
そこで、以下では、本発明の一部の態様についての基本的な理解を提供するために、本開示の簡略化された概要を提示する。この概要は、本発明の広い概観ではない。当該概要では、本発明の重要なキーポイント(key)または重要な要素を特定することも、本発明の範囲を規定することも意図されていない。当該概要の目的は、後に提示されるより詳細な説明の前置きとして、本開示の一部のコンセプトを簡略化された形式によって提示することにある。
【0007】
本開示の一態様では、ワークピースアライメントシステムが提供されている。上記ワークピースアライメントシステムにおいて、上記発光装置は、ワークピースに関連するワークピース平面の第1側(第1面)(first side)に向かう経路に沿って、1つ以上の波長における光ビーム(1つ以上の波長の光ビーム)を方向付ける発光装置(光出射装置)を備えている。上記経路は、例えば、上記ワークピースの周縁領域に関連している。そして、上記ワークピースは、例えば、複屈折ワークピース、または、光学的に不透明なワークピースを含んでいる。上記ワークピースは、当該ワークピース上に形成された1つ以上の層を有していてもよい。第1偏光装置(第1偏光子装置)は、例えば、上記発光装置と上記ワークピース平面との間に配置されている。受光装置(光レシーバ装置)は、例えば、上記第1経路に沿って配置されており、かつ、上記ワークピース平面の第2側(第2面)(second side)において上記光ビームを受光するように構成されている。上記第2側は、上記第1側とは反対側である。第2偏光装置(第2偏光子装置)は、例えば、上記ワークピース平面と上記受光装置との間に配置されている。一例として、ワークピースサポート(ワークピース支持体)は、上記ワークピース平面に沿って上記ワークピースを選択的に支持するように構成されている。そして、回転デバイスは、上記ワークピースサポートと動作可能に接続されている。上記回転デバイスは、上記ワークピースサポートを支持軸の回りに選択的に回転させるように構成されている。
【0008】
コントローラが、さらに提供されている。一例として、上記コントローラは、上記ワークピースが上記経路と交差した場合に上記ワークピースを通過して上記受光装置によって受光された上記光ビームの量に基づいて、上記ワークピースの位置を決定するように構成されている。一例として、上記コントローラは、上記ワークピースが、支持されており、かつ、上記ワークピースサポートを介して(上記ワークピースサポートによって)回転させられた場合における、上記支持軸に対する上記ワークピースの位置を決定するようにさらに構成されている。上記ワークピースの上記位置の決定は、(i)上記ワークピースサポートの回転位置と、(ii)上記ワークピースサポートの上記回転位置に関連する、上記受光装置によって受光された上記光ビームの少なくとも一部と、に少なくとも部分的に基づいている。
【0009】
一例として、上記第1偏光装置は、第1円偏光フィルタ(第1円偏光子フィルタ)を含んでいる。そして、上記第2偏光装置は、第2円偏光フィルタ(第2円偏光子フィルタ)を含んでいる。上記第1円偏光フィルタは、例えば、第1直線偏光フィルタ(第1直線偏光子フィルタ)と第1クオータ波長板とを含んでいる。上記第1直線偏光フィルタは、上記第1クオータ波長板に対して+45°で配置されている。そして、上記第1直線偏光フィルタは、上記第1クオータ波長板に比べて、上記発光装置により近く配置されている。上記第2円偏光フィルタは、例えば、第2直線偏光フィルタ(第2直線偏光子フィルタ)と第2クオータ波長板とを含んでいる。上記第2直線偏光フィルタは、上記第2クオータ波長板に対して+45°で配置されている。そして、上記第2直線偏光フィルタは、上記第2クオータ波長板に比べて、上記受光装置により近く配置されている。
【0010】
別の例では、上記第2円偏光子は、コンペンセータ(補償器)を含んでいる。上記コンペンセータは、例えば、第2直線偏光フィルタと第2クオータ波長板とを含んでいる。上記第2直線偏光フィルタは、上記第2クオータ波長板に対して+45°で配置されている。そして、上記第2直線偏光フィルタは、上記第2クオータ波長板に比べて、上記受光装置により近く配置されている。上記第2直線偏光フィルタは、例えば、上記コンペンセータへの入力(例:上記コントローラからの電圧入力)に基づいて、直交する電界成分間における可変の位相変化を生じさせるようにさらに構成されている。一例として、上記ワークピースは、複屈折ワークピースを含んでいる。上記コントローラは、上記コンペンセータに対する上記電圧入力を選択的に制御することによって、上記第2直線偏光フィルタの上記位相変化を制御するようにさらに構成されている。
【0011】
一例として、上記発光装置は、上記1つ以上の波長において上記光ビームを出射するように構成されたレーザを含んでいる。別の例では、上記発光装置は、白色光源と、上記1つ以上の波長において上記光ビームを透過させる1つ以上のフィルタと、を含んでいる。別の例では、上記発光装置は、上記1つ以上の波長における上記光ビームを所定の波長範囲において出射するように構成されている。
【0012】
別の例示的な態様では、上記ワークピースアライメントシステムによって決定される上記ワークピースの上記位置は、上記ワークピース平面に沿った、上記支持軸からの上記ワークピースの中心の2次元オフセットを含んでいる。上記ワークピースの上記位置は、例えば、上記支持軸の回りの上記ワークピースの回転位置をさらに含みうる。上記支持軸の回りの上記ワークピースの上記回転位置は、例えば、上記ワークピースのエッジ形状(エッジ特徴,エッジ構造)(edge feature)に関連している。上記コントローラは、上記ワークピースの上記エッジ形状に基づいて、上記支持軸に対する上記ワークピースの上記位置を決定するようにさらに構成されている。
【0013】
上記コントローラは、例えば、上記ワークピースサポートの複数の回転位置において上記受光器によって受光された上記光ビームの上記少なくとも一部によって規定される波形を決定するように構成されている。上記コントローラは、上記波形に基づいて、上記支持軸に対する上記ワークピースの上記位置を決定するようにさらに構成されている。
【0014】
別の例示的な態様では、ワークピースをアライメントするための方法が提供される。上記方法では、ワークピースは、支持軸を有するワークピースサポート上に配置される。1つ以上の波長における光ビームは、第1経路に沿って上記ワークピースの第1側に向けて方向付けられる。上記光ビームは、上記発光装置と上記ワークピースとの間に配置された第1偏光装置を通過する。受光装置は、上記第1経路に沿って配置されている。上記受光装置は、上記ワークピースの位置に基づいて上記ワークピース平面の第2側において上記光ビームを選択的に受光するように構成されている。上記第2側は、上記第1側とは反対側である。上記第2光ビームは、上記ワークピース平面と上記受光装置との間に配置された第2偏光装置を通過する。一例として、上記第2偏光装置は、コンペンセータを含んでいる。そして、上記方法は、上記コンペンセータに対する電圧入力を制御することによって、上記光ビームの位相を制御する工程をさらに含んでいる。上記ワークピースサポートに対する上記ワークピースの位置は、上記ワークピースが上記経路と交差した場合に上記ワークピースを通過して上記受光装置によって受光された上記光ビームの量に基づいて、さらに決定される。
【0015】
一例として、上記ワークピースは、上記支持軸の回りにさらに回転させられる。そして、上記ワークピースが支持されており、かつ、上記ワークピースサポートを介して回転させられた場合における、上記支持軸に対する上記ワークピースの位置が決定される。上記ワークピースの上記位置の決定は、例えば、(i)上記ワークピースサポートの回転位置と、(ii)上記ワークピースサポートの上記回転位置に関連する、上記受光装置によって受光された上記光ビームの少なくとも一部と、に少なくとも部分的に基づいている。
【0016】
上述の目的および関連した目的を達成するために、本発明は、以下に詳細に説明されており、かつ、特許請求の範囲において特に規定されている構成を含んでいる。以下の記載および添付の図面は、本発明の例示的な実施形態を詳細に開示している。但し、これらの実施形態は、本発明の原理が採用されうる様々な方法のうちの一部を示しているにすぎない。本発明の他の目的、利点および新規な構成は、図面を参照しつつ、以下の本発明の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0017】
[図面の簡単な説明]
図1は、本開示の一態様に係る例示的なワークピースアライメントシステムのブロック図を示す。
【0018】
図2は、例示的なアライメント機構のワークピースサポート上に位置する例示的なワークピースの平面図である。
【0019】
図3は、本開示の別の例示的な態様に係るワークピースサポートの回転位置に対するワークピースの検出位置のプロットである。
【0020】
図4は、図1のワークピースアライメントシステムを組み込んでいる例示的なワークピースハンドリングシステムを示す。
【0021】
図5A図5Cは、本開示の様々な態様に係る例示的な偏光についての概略的な斜視図を示す。
【0022】
図6Aは、本開示の一態様に係る第1偏光フィルタおよび第2偏光フィルタを通過する例示的な光ビームについての概略的な側面図を示す。
【0023】
図6Bは、本開示の一態様に係るワークピースをさらに通過する図6Aの例示的な光ビームについての概略的な側面図を示す。
【0024】
図7Aは、本開示の一態様に係るコンペンセータを備えた第1偏光フィルタおよび第2偏光フィルタを通過する例示的な光ビームについての概略的な側面図を示す。
【0025】
図7Bは、本開示の一態様に係るワークピースをさらに通過する図7Aの例示的な光ビームについての概略的な側面図を示す。
【0026】
図8は、本開示の別の例示的な態様に係るワークピースをアライメントするための例示的な方法を示すブロック図である。
【0027】
[詳細な説明]
光学的に不透明なシリコンワークピースを検出するために、従来のシステムが開発されてきた。従来のシステムでは、シリコンワークピースの位置を決定するために、光源とセンサとの間において複数の光学波長における光の通過の遮断(ブロッキング)が利用される。しかしながら、シリコンカーバイド(炭化ケイ素)(SiC)ワークピース等の一部のワークピースは、光学的に透明またはほぼ透明である。このため、上記光学波長における光は、シリコンカーバイドワークピースを通過しうる。それゆえ、シリコンカーバイドワークピースは、従来のアライメントシステムにおいて透明またはほぼ透明であるように見える。従って、このようなシリコンカーバイドワークピースのアライメントまたは位置の決定を試みる場合に、低い信号対雑音比が生じうる。このため、従来のアライメントシステムでは、シリコンカーバイドワークピースのエッジまたは他の形状(特徴,構造)を特定する場合に、様々な問題に直面しうる。
【0028】
加えて、膜または他の構造がワークピース上に形成されうるプロセスが、ワークピースに施される場合もある。それゆえ、プロセス後には、以前は光学的に透明であったワークピースが、フィルム、金属線などによって密に覆われうる。この場合、以前は光学的に透明であった上記ワークピースは、もはや実質的に光を透過しえない。そこで、有益であることに、本開示は、光学的に透明または光学的に不透明な品質(特性)のいずれかを有するワークピースの検出に適した、ワークピースの検出のための解決策を提供する。
【0029】
本開示では、シリコンカーバイドなどの特定の材料によって構成されるワークピースが複屈折性を有していることを有益に考慮している。このことは、上記材料が光の偏光および伝播方向に依存する屈折率を有していることを意味する。簡単に言えば、第1偏光において複屈折ワークピースに入射した光は、当該第1偏光とは異なる第2偏光において複屈折ワークピースから出射する。本開示は、このようなワークピースの複屈折性を利用して、偏光を用いてワークピースが撮像された場合に、ワークピースと真空または空気との間にコントラストを生じさせる。本開示は、(i)ワークピースを暗いバックグラウンドに対して明るく見せる、または、(ii)ワークピースを明るいバックグラウンドに対して暗く見せるなど、ワークピースとバックグラウンドとの間におけるコントラストを生じさせるための様々な例を提供する。後者の場合、本開示の技術および装置は、ワークピースの処理状態に対して低感度(insensitive)である。さらに、同様にして、本開示は、複屈折ワークピースおよび不透明ワークピースの両方の位置をアライメントまたは決定するために利用されうる。従って、有益であることに、本開示は、既存の半導体処理システムの(1つ以上の)アーキテクチャまたは制御スキームと互換性を有しうる。
【0030】
このため、本開示は、一般的には、半導体プロセスのためのワークピースハンドリングシステムを対象としている。より具体的には、本開示は、様々な光透過特性を有するワークピースに対する特性決定および/またはアライメントを行うように構成された方法およびアライメント装置を対象としている。
【0031】
そこで、以下では、図面を参照して本発明を説明する。本明細書において、同様の参照番号は全体を通して同様の要素を指すために使用されうる。これらの態様についての説明は、単に例示的なものであり、限定的な意味で解釈されるべきではないことを理解されたい。以下の記載では、説明を目的として、本発明の十分な理解を提供すべく、様々な特定の詳細が開示されている。但し、当業者であれば、本発明はこれらの特定の詳細がなくとも実施されうることは明らかであろう。さらに、本発明の範囲は、添付の図面を参照して以下に記載される実施形態または例によって限定されることは意図されていない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定されることが意図されている。
【0032】
また、図面は、本開示の実施形態の一部の態様についての例示を与えるために提供されており、従って概略的なものに過ぎないと見なされるべきであることにも留意されたい。特に、図面に示される要素は必ずしも互いにスケール(縮尺)通りではなく、図面における様々な要素の配置は、それぞれの実施形態についての明確な理解を提供するように選択されており、本発明の実施形態に係る実施における様々なコンポーネントの実際の相対位置を表現していると必ずしも解釈されるべきではない。さらに、本明細書において説明されている様々な実施形態および例の構成は、特に明示されない限り、互いに組み合わせられてよい。
【0033】
また、以下の説明において、図面に示された、または本明細書において記載された、機能ブロック、デバイス、コンポーネント、回路素子、または他の物理的または機能的なユニット間の任意の直接的な接続または結合も、間接的な接続または結合によって実施されうることを理解されたい。さらに、図面に示されている機能ブロックまたはユニットは、一実施形態では別個の構成(構造,機構)または回路として実装されてもよく、あるいは代替的には、別の実施形態では共通の構成または回路によって完全にまたは部分的に実装されてもよいことを理解されたい。例えば、複数の機能ブロックは、信号プロセッサ(シグナルプロセッサ)等の共通のプロセッサ上において実行されるソフトウェアとして実装されてもよい。さらに、以下の記載において有線ベースとして説明されている任意の接続は、特に明示されない限り、無線通信として実装されてもよいことが理解されるべきである。
【0034】
一般的に、アライナ(位置合わせ装置)は、発光器と受光器とを備える。発光器は、ワークピースのエッジに向けて光ビームを方向付ける。アライナはさらに、ワークピースが回転軸の回りに回転されられているときに、受光器への到達が遮断された出射光の量を決定する。例えば、ワークピースの中心がアライナの回転軸からオフセットされている場合、ワークピースが回転させられているときに、当該ワークピースが変化する放射光の量をブロックすることにより、受光器の受光量に変動が生じる。遮断された光の量は、例えば、出射された全光の割合(パーセンテージ)として表される。続いて、受光量および変動は、ワークピースに関連する寸法(例:オフセット)に変換される。この場合、例えば、ワークピースの中心において当該ワークピースを回収するために、寸法がエンドエフェクタによって利用される。
【0035】
続いて、図面を参照する。図1は、本開示の1つ以上の態様に係る例示的なワークピースアライメントシステム100を示す。ワークピースアライメントシステム100は、例えば、ワークピース平面106に沿ってワークピース104を選択的に支持するように構成されたワークピースサポート102を備える。ワークピースサポート102は、例えば、ピン、プレート、または、ワークピース104を選択的に支持するように動作可能な他の機構(不図示)などの、任意の数の支持機構を備えうる。
【0036】
1つの例示的な態様では、発光装置108は、ワークピース平面106の第1側110および第2側112のうちの一方に配置される。発光装置は、光ビーム114を経路116に沿って方向付けるように構成されている。経路116は、例えば、ワークピース104の周縁領域118に関連している。
【0037】
さらに、回転デバイス120は、ワークピース102と動作可能に接続(連結)されている。回転デバイスは、ワークピースサポートを支持軸124の回りに選択的に回転させる(例えば、矢印122によって図示されている)ように構成されている。支持軸124は、例えば、ワークピース平面106に対して垂直である。
【0038】
1つの特定の例では、発光装置108(例えば、光出射装置とも称される)は、1つ以上の波長の光を出射するように構成されている。発光装置108によって出射される光の1つ以上の波長は、例えば、ワークピース104の構成(成分)に基づいて決定されうる。さらに、受光装置126(例えば、光レシーバ装置とも称される)が設けられている。受光装置は、ワークピースサポート102が支持軸124の回りに回転させられることに伴って、光ビーム114を受光するように構成されている。受光装置126は、ワークピース平面106の第1側110および第2側112の一方(一般的には、発光装置108とは反対側)に配置されている。
【0039】
本開示の複数の態様では、ワークピースアライメントシステム100は、コントローラ128をさらに備えている。コントローラは、光ビーム114の初期送信130(例:送信量)および受信信号132に基づいて、ワークピースサポート102に対するワークピース104の位置および方向(方位,向き)のうちの1つ以上を決定するように構成されている。受信信号は、受光装置126によって受信される(例えば、ワークピースのわきを通る、および/またはワークピースを通過する)光ビームに関連している。例えば、光ビーム114の受信信号132は、(i)ワークピース104の材料成分、(ii)ワークピース上に形成された1つ以上の層(不図示)、(iii)ワークピース上に形成された1つ以上のデバイス(不図示)、および、(iv)ワークピースに対して以前に実行された1つ以上の操作(例:以前のイオン注入またはワークピースに対して以前に実行された他の半導体プロセス)、のうちの1つ以上に、少なくとも部分的に基づいている。
【0040】
別の例では、コントローラ128はさらに、支持軸124に対するワークピース104の位置134を決定するように構成されている。例えば、コントローラ128は、処理システムの様々なコンポーネントに関連する複数の個別のコントローラ(不図示)を含みうることに留意されたい。あるいは、コントローラは、システム全体に対する単一のコントローラであってもよい。このようなコントローラは全て、本開示の範囲内に含まれていると考慮されている。
【0041】
ワークピース104の位置134は、例えば、コントローラ128によって決定されうる。この場合、図2に示す通り、コントローラは、ワークピースサポート102の支持軸124に対するワークピース104の中心136を決定するように構成されている。例えば、図1に示す通り、支持軸124に対するワークピース104の位置134の決定は、(i)ワークピースサポート102の回転位置138と、(ii)受光装置126によって受光された光ビーム114の一部(部分)140を示す受信信号(受光信号)132とに、少なくとも部分的に基づいている。
【0042】
受光装置126によって受光された光ビーム114の一部140は、例えば、ワークピースサポート102の回転位置138に関連している。一例として、図2に示される通り、コントローラ128によって決定されるワークピース104の位置134は、ワークピース平面106に沿った、支持軸124からのワークピースの中心136の2次元オフセットを含む。ワークピース104の位置134は、支持軸124の回りの、ワークピース104またはワークピースサポート102の回転位置138をさらに含みうる。この場合、支持軸の回りのワークピースの回転位置は、ワークピースのエッジ形状142に関連する。そして、図1のコントローラ128は、ワークピースのエッジ形状に基づいて、支持軸に対するワークピースの位置を決定するように、さらに構成されている。図2のエッジ形状142は、例えば、ワークピース104の周縁118に関連する、ノッチ、フラット、または他の形状を含みうる。
【0043】
図3は、例えば、図1の受光装置126からの出力154に対する、回転位置152(当該回転位置は、例えば、図1の回転デバイス120に関連するサーボモータまたは他の装置によって提供される)のプロット150を示す。ワークピース104の中心136は、(受信信号132に由来する)出力信号曲線156から外挿されうる。当該出力信号曲線は、(i)光ビーム114を通過したエッジ形状142の経路(例えば、図3では位置158において示されている)、および、(ii)エッジ形状の寸法についての知識を示す。
【0044】
従って、図1のコントローラ128は、ワークピース104の中心136に関連付けられたオフセットベクトル値を決定できる。オフセットベクトル値は、図4のワークピースハンドリングシステム162に示されているロボット160に供給されてよい。例えば、ロボット160は、オフセットベクトル値に基づいて、ワークピースサポート102からワークピース104をピック(回収)するように構成されてよい。これにより、ワークピースが図1のワークピースアライメントシステム100からピックされた場合、当該ワークピースを支持部材164に対して概ね中心合わせすることができる。ワークピースがロボット160によってピックされ、1つ以上のステーション166(例:プロセスチャンバ、ロードロックチャンバ、搬送システム、またはワークピースの処理に利用される他の装置)に移送される前に、当該ワークピースをワークピースアライメントシステム100に対して回転的にアライメントするために、ワークピース104の回転位置がさらに利用されてもよい。
【0045】
本開示についてのより良い理解を得るために、図5Aは、全ての方向に延在する電界(電場)202を有する非偏光(偏光されていない光)200についての理想化された例を示す。非偏光200に直線偏光子204を通過させると、直線偏光子の選択された軸208に沿った向き(配向)の電界を有する偏光206のみが通過する。図示されている通り、偏光206は、x軸またはy軸に沿って配向してない。むしろ、当該偏光は、x軸及びy軸の両方に沿った成分を有するように、選択された軸208において配向している。このため、これらの成分では、光波のExおよびEyの振動に対する位相が異なる。それゆえ、光波の電気ベクトルは、選択された軸208に沿って増加または減少する。
【0046】
図5Bは、理想化された例を示す。図5Bの例では、非偏光200は、(i)y軸に沿って配向した第1偏光軸212を有する第1直線偏光子210と、(ii)x軸に沿って配向した第2偏光軸216を有する第2直線偏光子214と、を通過する。このため、全ての方向に電界202を有する非偏光200が、第1直線偏光子210に入射すると、当該第1直線偏光子からは、y軸に沿ってのみ電界を有する第1偏光218が出射される。第2偏光軸216は、第1偏光軸212に対して90°で(90°異なるように)配向しているので、第1偏光218が第2直線偏光子214に入射した場合、当該第2直線偏光子は、自身の軸に沿っていない全ての光を拒絶する(受け入れない)であろう。このことは、全ての第1偏光がフィルタリングされ、いかなる光も通過しないことを意味する。
【0047】
図5Cは、本開示の様々な態様に係る複屈折材料を伴う利用のために、理想化された円偏光を示す。複屈折材料は、例えば、異なる軸に沿って異なる光学定数を有する。このため、複屈折材料に入射する非偏光は、x軸およびy軸(それぞれ「遅軸(スロー軸)」221Aおよび「速軸(ファスト軸)」221Bと称される)に沿って、異なる量だけ遅延させられる。これにより、それぞれの電界成分ExおよびEyについて、相対的な位相の変化が生じる。90°の相対的な位相シフトをもたらすように材料の厚さが選択されている場合(「クオータ波長板(4分の1波長板)」と称される)、速軸および遅軸に45°で入射する直線偏光は、円偏光として出射される(現れる)であろう。
【0048】
例えば、位相がずれた電界は、90°離間した電界成分を有しうる。このため、x軸に沿った電場Exが最大であり、かつ、y軸に沿った電場Eyがゼロである場合、x軸に沿った電場Exは減少する一方で、y軸に沿った電場Eyは増加する。従って、電界は依然としてx成分およびy成分の両方を含んでいるが、x成分とy成分とは互いに90°だけ位相がずれているので、電界ベクトルの最大値によって円が定義される。当該電気ベクトルは、円を描く(turns in a circle)。
【0049】
一般的に、複屈折材料は、当該複屈折材料が観察される方向に依存する屈折率を有する。このため、上記材料において、第1屈折率は第1軸(例:速軸)において存在しており(生じており)、かつ、第2屈折率は第2軸(例:遅軸)において存在している。特定の材料の屈折率は、当該材料内における光の速度に対する真空中における光の速度の比率を表す。当該比率は、上記材料に入る(入射する)ときまたは上記材料から出る(出射する)ときに光が屈折する程度を決定する。シリコンカーバイド(SiC)は、そのような複屈折材料であり、-2.67という屈折率を有し、速軸と遅軸との間に0.046もの差が存在する。
【0050】
図5Cに示されるように、非偏光200に由来する電界Eは、それぞれの電界成分ExおよびEyが同相である(位相が一致している)場合に、円偏光フィルタ220(例:クオータ波長板に後続する直線偏光子。当該クオータ波長板の遅軸および速軸は、当該直線偏光子の軸に対して45°の角度を成す)を通過する。そして、x成分は、y成分と同じ最大値を有する。このため、正味の電界ベクトルは、楕円を描く。従って、SiCに入射する円偏光は、一般的には楕円偏光として出射されるであろう。
【0051】
最初は互いに同相である2つの電界Ex、Eyを有する直線偏光が複屈折物質を通過した場合、速軸および遅軸に沿った電界は、一般的には位相がずれる。従って、位相差がゼロの直線偏光が複屈折材料を通過する場合、当該直線偏光が複屈折材料から出るとすぐに、ある程度の位相差を一般的には示すであろう。位相差が90°の場合、円偏光が現れるであろう。位相差が0°の場合、直線偏光が現れるであろう。但し、位相差が90°の整数倍でない場合には、複屈折材料の場合と概ね同様に、楕円偏光が出現するであろう。この場合、電界は、一般的には楕円を描く。
【0052】
図6Aは、全ての方向に延在する電界202を有する光を出射する光源200についての概略的な例を示す。図6Aの例では、円偏光フィルタ220は、円偏光226を出射するために、第1クオータ波長板224の前段(in front of)に、第1直線偏光フィルタ222(例:遅軸および速軸は、偏光子の軸に対して+45°の角度を成す)を備える。円偏光226が真空または空気228を通過すると、当該円偏光226は、続いて第2円偏光器子230を通過する。第2円偏光子230は、第2直線偏光フィルタ234(例:遅軸および速軸は、偏光子の軸に対して+45°の角度を成す)の前段に配置された第2クオータ波長板232を備える。第2直線偏光フィルタ234は、第1直線偏光フィルタ222とは反対側に捩られている。光が真空または空気228を通してほぼ変化せずに送出される場合(例:他の材料が第1円偏光子220および第2円偏光子230の間に存在していない場合)、第1直線偏光フィルタ222は、直線偏光236を生じさせる。その一方、第2直線偏光フィルタ234からは、いかなる光の送出も一般的には生じない。例えば、真空または空気228を通過させて光を送出する場合、第1クオータ波長板224および第2クオータ波長板232は、第1直線偏光236に対して直交するように直線偏光236を回転させる。これにより、図5CのExとEyとの間に180°の位相シフトが生じる。
【0053】
しかしながら、図6Bに示す通り、複屈折ワークピース238(例:SiCを含むワークピースまたはSiCから成るワークピース)を、第1円偏光子220と第2円偏光子230との間に配置した場合、円偏光226は、第2円偏光子230の前段(before)において、楕円偏光240へと変化させられる。この場合、第2直線偏光234の軸に沿った光成分が、第2円偏光子を通過してさらに送出される。
【0054】
例えば、複屈折ワークピース238(例:図1のワークピース104)が透明なエッジを有している場合、図6A図6Bにおいて提供されている第1円偏光子220および第2円偏光子230を利用するスキームは、図1のシステム100において実装されてもよい。この場合、コントローラ128は、受光装置126によって受光された光ビーム114の受光信号132における暗信号と明信号(dark and light signals)との間の遷移を識別するように構成されている。この場合、明信号は、ワークピース104の存在を示しうる。そして、暗信号(または光信号の不存在)は、ワークピースの不存在を示しうる。
【0055】
しかしながら、(i)複屈折ワークピース238が透明な境界エッジを有していない場合、または、(ii)図1のワークピース104が不透明である、および/または、複屈折性を有していない場合には、図7A図7Bが、ワークピースの少なくとも一部を検出(検知,感知)するための別の例を示す。例えば、膜および/またはメタライゼーション層(不図示)がワークピース104上に形成された場合、当該ワークピースが複屈折性を有しているか、または不透明であるかにかかわらず、本開示は、図7A図7Bに示されるスキームをさらに提供する。当該スキームにおいて、明信号はワークピース104の不存在を示しうる。そして、暗信号(または光信号の不存在)は、ワークピースの存在を示しうる。このような一例では、図7A図7Bの第2円偏光フィルタ230は、コンペンセータ242(例:回転可能な直線偏光子)を備える。コンペンセータ242は、第2直線偏光子234と共に、図5Cの電界成分ExとEyとの間における可変の位相変化を実現するように構成されている。
【0056】
例えば、図7Aでは、光が真空または空気228を通過した場合(例えば、図1のワークピース104が存在していない場合)、コンペンセータ242は、図5Cの電界成分ExおよびEyを有する楕円偏光244を生じさせる。この場合、第2クオータ波長板234は、当該第2クオータ波長板を通過した光をある程度送出する。従って、図1の受光装置126は、真空または空気228を通過して送出された光を受光し、受光に応じて信号132をコントローラ128に送信するであろう。さらに、コンペンセータ242は、図7Aに例示されている通り、いかなるワークピース104もが存在していない場合に最大信号132をコントローラ128に供給するように、(例えば、直線偏光子の回転によって)制御されてもよい。
【0057】
さらに、別の例によれば、コンペンセータ242は、複屈折ワークピース238を通過した位相変化を補正(較正)するように制御されてもよい。この場合、図7Aの真空または空気228において楕円偏光244が生じる一方で、光が図7Bの複屈ワークピース238を通過したときには、直線偏光246が生じる。例えば、光がクオータ波長板234に遭遇する前に直線偏光させられるように、コンペンセータ242は、直線偏光子232を回転させることによって制御されてもよい。この場合、クオータ波長板は、複屈折ワークピース238を通過した光の大部分または全てを無効化するかまたはゼロ設定する(nullifies or zeros out)。コンペンセータ242は、例えば、位相における制御可能な変動を、当該コンペンセータに印加される電圧の関数として導入する。
【0058】
このため、図1のコントローラ128に向かう信号132は、ワークピース104を暗いものとして関連付ける一方で、真空または空気228は、当該ワークピースよりも明るいものとして関連付けられるであろう。一例では、コントローラ128は、コンペンセータ242に対する電圧入力を選択的に制御するように構成されている。この場合、第2直線偏光フィルタ234の位相変化は、最小信号に対する最大信号の比率を最大化するように制御される。当該比率は、受光装置によって受光された光ビームの少なくとも一部と関連している。
【0059】
さらに、別の例示的な態様では、図7A図7Bに示されている本開示は、ワークピースが複屈折性を有しているか(例:SiC)、または、ワークピースが不透明であるか(例:Si)にかかわらず、任意のワークピース104と共に利用されてよい。例えば、検出されるべき各ワークピース104に対して特性決定を行うことができる。この場合、コンペンセータ242は、上述の明信号および暗信号132を提供するように、適切に調整されうる。例えば、(i)ワークピース104の材料組成および/または厚さが変化する場合、および/または、(ii)図5Cの遅軸221Aと速軸221Bとの間の差が未知である場合、生じるであろう位相変化も同様に未知である。しかし、何らかの位相変化が生じることは知られているので、本開示は、光が複屈折ワークピース238を通過した場合に、図7Bの円偏光226を楕円偏光240に変換する。続いて、楕円偏光240は、コンペンセータ242のクオータ波長板を通過する。当該クオータ波長板は、y軸の位相を180°ずらすように回転させる。これにより、遅軸221Aおよび速軸221Bには、別の位相変化が付加される。このため、図7Aの楕円偏光244が生じる。
【0060】
さらに別の例示的な態様では、図1の発光装置108から出射される単一波長の光(例:単色光)を利用する場合において、コンペンセータ242によって実現される位相の変化が360°の正確な倍数でありうる場合に、ある状況が生じうる。このような状況では、図7Bの複屈折ワークピース238は、図7Aの真空または空気228と同じ結果を提供しうる。この場合、複屈折ワークピースと真空または空気との識別が困難になる。このような例では、図1の発光装置108は、複数の波長の光を出射するように構成されていてもよい。この場合、複数の波長を利用することによって、360°の位相差を導入する複屈折ワークピース238に関連する困難性が改善される。発光装置108によって出射される複数の波長の光は、白色光源上のフィルタ(不図示)によって実現されてもよい。
【0061】
別の例示的な態様によれば、図8において、ワークピースをアライメントするために、方法300が提供されている。本明細書では、例示的な方法が一連のアクト(行為)またはイベント(事象)として図示および説明されている。但し、本開示は、そのようなアクトまたはイベントの図示された順序によって限定されないことに留意されたい。本開示に従って、一部のステップ(工程)は、本明細書において図示および説明された順序とは別の異なる順序で起こりうる、および/または、他のステップと同時に起こりうることが理解されるであろう。さらに、本開示に係る方法を実施するために、図示された全ての工程が必要とされるわけではない。さらに、これらの方法は、本明細書において図示および説明されたシステムに関連して実施されてもよいし、説明されていない他のシステムに関連して実施されてもよい。
【0062】
図8に示すように、方法300は、アクト302から始まる。アクト302では、支持軸を有するワークピースサポート上にワークピースが配置される。アクト304では、1つ以上の波長における光ビームが、第1経路に沿ってワークピースの第1側に向けて方向付けられる。光ビームは、例えば、発光装置とワークピースとの間に配置された第1偏光装置を通過する。
【0063】
アクト306では、受光装置が設けられ、第1経路に沿って配置される、当該受光装置は、ワークピース平面の第2側において光ビームを選択的に受光するように構成されている。アクト308では、ワークピース平面と受光装置との間に配置された第2偏光装置を通過した光ビームが、受光装置によって受光される。アクト310では、ワークピースが回転されられる。そして、アクト312では、ワークピースが経路と交差した場合に当該ワークピースを通過して受光装置によって受光された光ビームの量に基づいて、ワークピースサポートに対するワークピースの位置が決定される。
【0064】
本開示は1つ以上の特定の好適な実施形態に関して図示および説明されてきたが、本明細書および添付の図面を読んで理解すれば、同等の変更および修正が当業者に想起されることは自明である。特に、上述のコンポーネント(アセンブリ、デバイス、回路など)によって実行される様々な機能に関して、そのようなコンポーネントを説明するために使用される用語(「手段」(means)への言及を含む)は、特に明示されない限り、本明細書おいてに示されている本開示の例示的な実施形態において機能を実行する開示される構造と構造的に同等(等価)ではないにもかかわらず、説明されているコンポーネントの指定された機能を実行する(すなわち、機能的に同等である)任意のコンポーネントに対応することが意図されている。加えて、本開示の特定の構成は、複数の実施形態のうちの1つのみに関して開示されているが、そのような構成は、任意の所与のまたは特定の用途に対して所望され、有利でありうるように、他の実施形態の1つ以上の他の構成と組み合わせられうる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
図1】本開示の一態様に係る例示的なワークピースアライメントシステムのブロック図を示す。
図2】例示的なアライメント機構のワークピースサポート上に位置する例示的なワークピースの平面図である。
図3】本開示の別の例示的な態様に係るワークピースサポートの回転位置に対するワークピースの検出位置のプロットである。
図4図1のワークピースアライメントシステムを組み込んでいる例示的なワークピースハンドリングシステムを示す。
図5A】本開示の様々な態様に係る例示的な偏光についての概略的な斜視図を示す。
図5B】本開示の様々な態様に係る例示的な偏光についての概略的な斜視図を示す。
図5C】本開示の様々な態様に係る例示的な偏光についての概略的な斜視図を示す。
図6A】本開示の一態様に係る第1偏光フィルタおよび第2偏光フィルタを通過する例示的な光ビームについての概略的な側面図を示す。
図6B】本開示の一態様に係るワークピースをさらに通過する図6Aの例示的な光ビームについての概略的な側面図を示す。
図7A】本開示の一態様に係るコンペンセータを備えた第1偏光フィルタおよび第2偏光フィルタを通過する例示的な光ビームについての概略的な側面図を示す。
図7B】本開示の一態様に係るワークピースをさらに通過する図7Aの例示的な光ビームについての概略的な側面図を示す。
図8】本開示の別の例示的な態様に係るワークピースをアライメントするための例示的な方法を示すブロック図である。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図8