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特許7428701サンプルウェル作製技法および集積センサデバイス用の構造
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】サンプルウェル作製技法および集積センサデバイス用の構造
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/03 20060101AFI20240130BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20240130BHJP
   H01L 31/0232 20140101ALI20240130BHJP
   G01N 21/64 20060101ALN20240130BHJP
【FI】
G01N21/03 Z
C12M1/00 A
H01L31/02 D
G01N21/64 B
G01N21/64 F
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021510980
(86)(22)【出願日】2019-08-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 US2019048836
(87)【国際公開番号】W WO2020047272
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-08-29
(31)【優先権主張番号】62/724,206
(32)【優先日】2018-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516144164
【氏名又は名称】クアンタム-エスアイ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】QUANTUM-SI INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】シュミッド、ジェラード
(72)【発明者】
【氏名】ビーチ、ジェームズ
【審査官】伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0350818(US,A1)
【文献】特表平05-507813(JP,A)
【文献】特開平04-340721(JP,A)
【文献】特開2005-345353(JP,A)
【文献】特表2018-521308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 -G01N 21/74
H01L 21/302-H01L 21/4763
C12M 1/00 -C12M 1/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積デバイスであって、
クラッド層と、
前記クラッド層の上方に形成され1つ以上のアンダーカット領域を有する金属スタックと、
前記1つ以上のアンダーカット領域に近接する前記金属スタックを通じて前記クラッド層へと延びるサンプルウェルと、
前記1つ以上のアンダーカット領域を充填する第1のスペーサ材料と、を備える、集積デバイス。
【請求項2】
前記第1のスペーサ材料は、
i)前記サンプルウェルの1つ以上の側壁を形成する、
ii)アモルファスシリコン(α-Si)、SiO、SiON、およびSiNからなる群から選択された1つまたは複数を含む、および
iii)TiO、Al、HfO、TiN、ZrO、およびTaからなる群から選択された1つまたは複数を含む、のうちの1つ以上である、請求項1に記載の集積デバイス。
【請求項3】
前記金属スタックは、アルミニウムを含む1つ以上の層とチタンを含む1つ以上の層とを備えるか、前記クラッド層はSiOを含むか、またはその両方である、請求項1または2に記載の集積デバイス。
【請求項4】
前記金属スタックと、前記第1のスペーサ材料と、前記クラッド層とのうちの1つまたは複数と接触している第2のスペーサ材料をさらに備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の集積デバイス。
【請求項5】
前記第2のスペーサ材料は、前記サンプルウェルの1つ以上の側壁を形成するか、TiO、Al、HfO、ZrO、およびTaからなる群から選択された1つまたは複数の層を含むか、またはその両方である、請求項4に記載の集積デバイス。
【請求項6】
前記金属スタックは、第2の層の上方に形成された第1の層を備え、前記アンダーカット領域は前記第2の層に形成される、請求項1~5のいずれか一項に記載の集積デバイス。
【請求項7】
集積デバイスを形成する方法であって、
金属スタックをクラッド層の上方に形成する金属スタック形成工程と、
前記金属スタックに開口を形成する工程と、
前記開口内に第1のスペーサ材料を形成する第1スペーサ材料形成工程と、
前記開口の深さを前記クラッド層へと拡張するように前記クラッド層のうちのいくらかを取り除くことによってサンプルウェルを形成するサンプルウェル形成工程と、を備え、前記第1のスペーサ材料のうちの1つ以上の部分が前記金属スタックのアンダーカット領域に配置される、方法。
【請求項8】
前記金属スタック形成工程が、前記金属スタックを前記クラッド層上に形成する工程をさらに含む、
前記第1スペーサ材料形成工程が、前記第1のスペーサ材料を前記金属スタックの上方と前記開口の底面とに形成する工程をさらに含む、および
前記サンプルウェル形成工程が、前記金属スタックの頂面上と前記開口の底面上とに配置された前記第1のスペーサ材料のうちの少なくともいくらかを取り除くように、第1の指向性エッチングを行う工程をさらに含む、のうちの1つ以上である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のスペーサ材料は、前記サンプルウェル形成工程において用いられるエッチング処理中における金属フッ化物残渣の形成を低減させるように構成されているか、前記サンプルウェル形成工程において用いられるエッチング処理中における前記金属スタックの1つ以上の金属層上の金属フッ化物残渣の形成を低減させるように構成されているか、またはその両方である、1つ以上の材料を含む、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記金属スタックは、1つ以上のアルミニウム含有層と1つ以上のチタン含有層とを備える、請求項7~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のスペーサ材料は、
i)プラズマ励起化学気相成長(PECVD)によって形成される
ii)1つ以上のシリコン材料を含む、
iii)アモルファスシリコン(α-Si)、SiO、SiON、SiN、およびシリコン合金からなる群から選択された1つまたは複数の層を含む、
iv)原子層堆積(ALD)によって形成される、
v)TiO、Al、SiO、HfO、TiN、Ta、およびZrOからなる群から選択された1つまたは複数の層を含む、
vi)前記クラッド層がSiOを含む、のうちの1つ以上である、請求項7~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
第2のスペーサ材料を前記サンプルウェル内へと形成する第2スペーサ材料形成工程と、
前記サンプルウェルの底面にある前記第2のスペーサ材料のうちの少なくともいくらかを取り除き前記クラッド層の一部を露出させる除去工程と、をさらに備え、前記第2のスペーサ材料のうちの1つ以上の部分は、前記金属スタック、前記第1のスペーサ材料の前記1つ以上の部分、および前記クラッド層のうちの1つまたは複数と接触している、請求項7~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第2スペーサ材料形成工程は、前記第2のスペーサ材料を前記金属スタックの上方に形成する工程をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記除去工程は、前記金属スタックの頂面上と前記サンプルウェルの前記底面上とに配置された第2のスペーサ材料を取り除くように、指向性エッチングを行う工程をさらに含む、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記指向性エッチングは、フルオロカーボンベースのエッチングを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第2のスペーサ材料は、原子層堆積(ALD)によって形成されるか、TiO、Al、HfO、ZrO、およびTaからなる群から選択された1つまたは複数の層を含むか、またはその両方である、請求項1215のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、一般に、生物学的シークエンシングに関し、より詳細には、サンプルウェル作製技法、およびシークエンシング機械とともに用いられ得る集積センサデバイス用の関連する構造に関する。
【背景技術】
【0002】
核酸(例えば、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA))のシークエンシングは、標的核酸における個々のヌクレオチドを識別することを含む。ヌクレオチドが標的核酸に対し相補的に核酸鎖へと組み込まれているため、いくつかの核酸シークエンシング方法は、個々のヌクレオチドを識別することを含む。シークエンシング処理中に識別された相補鎖についての一連のヌクレオチドは、次いで、標的の核酸鎖についてのヌクレオチドシークエンシングの識別を可能とする。
【0003】
生物学的サンプルの検出および解析が、生物学的アッセイ(「バイオアッセイ」)を用いて行われ得る。バイオアッセイは従来、大型で高価な実験機器を伴い、機器を操作しバイオアッセイを行うために訓練された研究科学者を要する。さらに、バイオアッセイは従来、まとめて行われ、大量の特定の種類のサンプルが検出および定量化のために必要となっている。
【0004】
いくつかのバイオアッセイは、特定の波長の光を放出する発光性マーカを用いてサンプルにタグ付けすることによって行われる。サンプルは光源によって照射されて発光を生じ、発光性の光が光検出器によって検出され、マーカにより放出される発光性の光の量が定量化される。発光性マーカを用いるバイオアッセイは従来、サンプルを照射するための高価なレーザ光源、ならびに照射されたサンプルから光を収集するための複雑な発光性検出光学部品および電子部品を伴う。
【発明の概要】
【0005】
いくつかの実施形態は、集積デバイスを形成する方法を対象とする。前記方法は、金属スタックをクラッド層の上方に形成する金属スタック形成工程と、前記金属スタックに開口を形成する工程と、前記開口内に第1のスペーサ材料を形成する第1スペーサ材料形成工程と、前記開口の深さを前記クラッド層へと拡張するように前記クラッド層のうちのいくらかを取り除くことによってサンプルウェルを形成するサンプルウェル形成工程と、を備え、前記第1のスペーサ材料のうちの1つ以上の部分が前記金属スタックの1つ以上の層と接触している。
【0006】
いくつかの実施形態では、前記金属スタック形成工程は、前記金属スタックを前記クラッド層上に形成する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記第1スペーサ材料形成工程は、前記第1のスペーサ材料を前記金属スタックの上方と前記開口の底面とに形成する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記サンプルウェル形成工程は、前記金属スタックの頂面上と前記開口の底面上とに配置された前記第1のスペーサ材料のうちの少なくともいくらかを取り除くように、第1の指向性エッチングを行う工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記第1のスペーサ材料は、前記サンプルウェル形成工程において用いられるエッチング処理中における金属フッ化物残渣の形成を低減させるように構成された1つ以上の材料を含む。いくつかの実施形態では、前記第1のスペーサ材料は、前記サンプルウェル形成工程において用いられるエッチング処理中における前記金属スタックの1つ以上の金属層上の金属フッ化物残渣の形成を低減させるように構成された1つ以上の材料を含む。いくつかの実施形態では、前記第1のスペーサ材料のうちの前記1つ以上の部分は、前記金属スタックのアンダーカット領域に配置される。いくつかの実施形態では、前記金属スタックは、1つ以上のアルミニウム含有層と1つ以上のチタン含有層とを備える。
【0007】
いくつかの実施形態では、前記第1のスペーサ材料は、プラズマ励起化学気相成長(PECVD)によって形成される。いくつかの実施形態では、前記第1のスペーサ材料は、1つ以上のシリコン材料を含む。いくつかの実施形態では、前記第1のスペーサ材料は、アモルファスシリコン(α-Si)、SiO、SiON、SiN、およびシリコン合金からなるから選択された1つまたは複数の層を含む、1つ以上のシリコン材料を含む。いくつかの実施形態では、前記第1のスペーサ材料は、原子層堆積(ALD)によって形成される。いくつかの実施形態では、前記第1のスペーサ材料は、TiO、Al、SiO、HfO、TiN、Ta、およびZrOからなるから選択された1つまたは複数の層を含む。いくつかの実施形態では、前記クラッド層はSiOを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、前記方法は、第2のスペーサ材料を前記サンプルウェルへと形成する第2スペーサ材料形成工程と、前記サンプルウェルの底面にある前記第2のスペーサ材料のうちの少なくともいくらかを取り除き前記クラッド層の一部を露出させる除去工程と、をさらに備え、前記第2のスペーサ材料のうちの1つ以上の部分は、前記金属スタック、前記第1のスペーサ材料の前記1つ以上の部分、および前記クラッド層のうちの1つまたは複数と接触している。いくつかの実施形態では、前記第2スペーサ材料形成工程は、前記第2のスペーサ材料を前記金属スタックの上方に形成する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記除去工程は、前記金属スタックの頂面上と前記サンプルウェルの前記底面上とに配置された第2のスペーサ材料を取り除くように、指向性エッチングを行う工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記指向性エッチングは、フルオロカーボンベースのエッチングを含む。いくつかの実施形態では、前記第2のスペーサ材料は、原子層堆積(ALD)によって形成される。いくつかの実施形態では、前記第2のスペーサ材料は、TiO、Al、HfO、ZrO、およびTaからなるから選択された1つまたは複数の層を含む。
【0009】
いくつかの実施形態は、集積デバイスを形成する方法を対象とする。前記方法は、金属スタックをクラッド層の上方に形成する金属スタック形成工程と、誘電体層を前記金属スタックの上方に形成する工程と、前記誘電体層に開口部を形成することと、前記誘電体層を前記金属スタックの一部を取り除く際にマスクとして用いることと、によって、開口を前記金属スタックに形成する開口形成工程と、前記クラッド層の一部を取り除くことによってサンプルウェルを形成するサンプルウェル形成工程と、を備え、誘電体層の少なくとも一部は、前記サンプルウェルを形成する間に取り除かれる。
【0010】
いくつかの実施形態では、前記金属スタック形成工程は、前記金属スタックを前記クラッド層上に形成する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記誘電体材料を形成する工程は、前記誘電体層を前記金属スタック上に形成する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記開口形成工程は、前記開口部を前記誘電体層にエッチングする工程と、前記開口を前記金属スタックに形成するように前記誘電体層をエッチングマスクとして用いる工程と、をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記サンプルウェル形成工程は、前記クラッド層と前記誘電体層とを同時にエッチングする工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記金属スタックは、1つ以上のアルミニウム含有層と1つ以上のチタン含有層とを備える。いくつかの実施形態では、前記クラッド層はSiOを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、前記方法は、スペーサ層を前記金属スタックの上方におよび前記サンプルウェルへと形成する工程と、前記スペーサ層のうち前記金属スタックの頂面上と前記サンプルウェルの底面上とに配置された部分を取り除いて前記クラッド層の一部を露出させるように、指向性エッチングを行う工程と、をさらに含み、前記スペーサ層の1つ以上の部分が前記サンプルウェルの1つ以上の側壁を形成する。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記スペーサ層は、原子層堆積(ALD)によって形成される。いくつかの実施形態では、前記スペーサ層は、TiO、Al、HfO、ZrO、およびTaからなるから選択された1つまたは複数の層を含む。いくつかの実施形態では、前記サンプルウェル形成工程は、前記誘電体層をほぼ取り除く工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記サンプルウェル形成工程後の前記集積デバイスは、前記誘電体層を備えない。いくつかの実施形態では、前記誘電体層は、アモルファスシリコン(α-Si)、SiO、SiON、SiN、およびシリコン合金からなるから選択された1つまたは複数を含む。
【0013】
いくつかの実施形態は、集積デバイスであって、クラッド層と、前記クラッド層の上方に形成され1つ以上のアンダーカット領域を有する金属スタックと、前記1つ以上のアンダーカット領域に近接する前記金属スタックを通じて前記クラッド層へと延びるサンプルウェルと、前記1つ以上のアンダーカット領域を充填する第1のスペーサ材料と、を備える、集積デバイスを対象とする。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記第1のスペーサ材料は、前記サンプルウェルの1つ以上の側壁を形成する。いくつかの実施形態では、前記第1のスペーサ材料は、アモルファスシリコン(α-Si)、SiO、SiON、およびSiNからなるから選択された1つまたは複数を含む。いくつかの実施形態では、前記第1のスペーサ材料は、TiO、Al、HfO、TiN、ZrO、およびTaからなるから選択された1つまたは複数を含む。いくつかの実施形態では、前記金属スタックは、アルミニウムを含む1つ以上の層とチタンを含む1つ以上の層とを備える。いくつかの実施形態では、前記クラッド層はSiOを含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、前記金属スタックと、前記第1のスペーサ材料と、前記クラッド層とうちの1つまたは複数と接触している第2のスペーサ材料をさらに備える。いくつかの実施形態では、前記第2のスペーサ材料は、前記サンプルウェルの1つ以上の側壁を形成する。いくつかの実施形態では、前記第2のスペーサ材料は、TiO、Al、HfO、ZrO、およびTaからなるから選択された1つまたは複数の層を含む。いくつかの実施形態では、前記金属スタックは、第2の層の上方に形成された第1の層を備え、前記アンダーカット領域は前記第2の層に形成される。
【0016】
本発明の様々な態様および実施形態が、以下の図面を参照して記載される。図面は、縮尺通りに示される必要がないことが認識される。複数の図面において見られるアイテムは、そのアイテムが見られるすべての図面において同一の参照符号により示される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本明細書に記載される技術のいくつかの実施形態に従う、例示的なシークエンシングシステムの概略図。
図2図1に示される例示的なシークエンシングシステムのさらなる詳細を示す概略図。
図3A】本明細書に記載される技術のいくつかの実施形態に従う、集積デバイスを示す断面図。
図3B】本明細書に記載される技術のいくつかの実施形態に従う、集積デバイスを示す断面図。
図4】本明細書に記載される技術のいくつかの実施形態に従う、サンプルウェルを示す断面図。
図5】本明細書に記載される技術のいくつかの実施形態に従う、サンプルウェルを形成するための例示的な処理を示すフロー図。
図6図5のサンプルウェルを形成するための例示的な処理を示す連続した断面図。
図7図5のサンプルウェルを形成するための例示的な処理を示す連続した断面図。
図8図5のサンプルウェルを形成するための例示的な処理を示す連続した断面図。
図9図5のサンプルウェルを形成するための例示的な処理を示す連続した断面図。
図10図5のサンプルウェルを形成するための例示的な処理を示す連続した断面図。
図11図5のサンプルウェルを形成するための例示的な処理を示す連続した断面図。
図12】本明細書に記載される技術のいくつかの実施形態に従う、サンプルウェルを形成するための例示的な処理を示すフロー図。
図13図12のサンプルウェルを形成するための例示的な処理を示す連続した断面図。
図14図12のサンプルウェルを形成するための例示的な処理を示す連続した断面図。
図15図12のサンプルウェルを形成するための例示的な処理を示す連続した断面図。
図16図12のサンプルウェルを形成するための例示的な処理を示す連続した断面図。
図17】本明細書に記載される技術のいくつかの実施形態に従う、サンプルウェルを形成するための例示的な処理を示すフロー図。
図18図17のサンプルウェルを形成するための例示的な処理を示す連続した断面図。
図19図17のサンプルウェルを形成するための例示的な処理を示す連続した断面図。
図20図17のサンプルウェルを形成するための例示的な処理を示す連続した断面図。
図21図17のサンプルウェルを形成するための例示的な処理を示す連続した断面図。
図22図17のサンプルウェルを形成するための例示的な処理を示す連続した断面図。
図23図17のサンプルウェルを形成するための例示的な処理を示す連続した断面図。
図24図17のサンプルウェルを形成するための例示的な処理を示す連続した断面図。
図25図17のサンプルウェルを形成するための例示的な処理を示す連続した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書に記載される技法は、DNAおよびRNAなどの核酸、ならびにペプチドまたはタンパク質などのアミノ酸配列を含む、生物学的分子のシークエンシングに関する。特に、これらの技法は、ヌクレオチドまたはアミノ酸をセンサから獲得されたデータに基づいて自動的に識別するために用いられてよい。核酸シークエンシングの場合、シークエンシングは、標的核酸におけるヌクレオチドの順序および位置の決定を可能にする。同様に、タンパク質またはペプチドのシークエンシングでは、シークエンシングは、タンパク質またはペプチド分子におけるアミノ酸の順序および位置の決定を可能にする。いくつかの核酸シークエンシング方法は、合成によるシークエンシングに基づいており、このシークエンシングでは、標的核酸分子に相補的な新しく合成された核酸鎖へとヌクレオチドが組み込まれるときに、ヌクレオチドのアイデンティティが決定される。シークエンシング中、重合化酵素(例えば、DNAポリメラーゼ)は、標的核酸分子のプライミング場所に対し結合(例えば、付着)してよく、または重合化酵素の作用によりヌクレオチドをプライマーに追加するか組み込んでよく、これは一般にプライマー伸長反応と呼ばれ得る。
【0019】
各ヌクレオチドは、励起に応答して光を放出するとともに、様々な種類のヌクレオチド同士を弁別するように各種類のヌクレオチドを標識するように用いられる、発光分子(例えば、フルオロフォア)に関連し得る。例えば、1組の4つの標識は、その組の各マーカが異なる核酸塩基に関連するように、例えば、第1の標識はアデニン(A)に関連し、第2の標識はシトシン(C)に関連し、第3の標識はグアニン(G)に関連し、第4の標識はチミン(T)に関連するように、DNAに存在する核酸塩基を標識するべく用いられてよい。標識は、リンカー分子を介して直接的または間接的に標識のヌクレオチドに対し結合することにより、ヌクレオチドに対し結合されてよい。
【0020】
プライマー伸長反応が生じると、ヌクレオチドとそのヌクレオチドのそれぞれの発光性標識とは、ヌクレオチドの合成された相補的核酸への組込み中、重合化酵素によって保持される。発光性標識は、ヌクレオチドが合成された核酸へと組み込まれる期間中に光のパルスによって励起すること、また標識の光特性を放出することが可能である。いくつかの実施形態では、標識は、標識がヌクレオチドの組込み(例えば、リン酸塩結合の裂け目)中に重合化酵素の作用によりヌクレオチドから引き離されるか解放されるように、リンカー分子により直接的または間接的に、ヌクレオチドの末端リン酸塩に対し付着する。励起に応答して発光性標識が放出した光のセンシングおよび解析は、組み込まれたヌクレオチドを識別することを可能とする。プライマー伸長反応が生じると、励起、センシングおよび解析が、合成された核酸に追加された各後続のヌクレオチドについて行われる。標的核酸の配列は、合成された核酸の相補的な配列から決定されることが可能である。
【0021】
発光性標識によって放出された光は、標識を他の標識から区別するように用いられ、したがってヌクレオチドを識別することが可能である、複数の特性を有する。これらの特性は、強度(例えば、光を放出する確率)、時間的特性(例えば、励起後の光子放出の確率の遅延の速度、組込み用のパルス持続時間、および/または組込み前後のパルス間持続時間)、スペクトル特性(例えば、放出された光の波長)、またはそれらの任意の組合せを含む。発光性標識によって放出された光は、それらの特性のより多くのもののうちの1つを検出することが可能である光検出器によって検出されてよい。適切な光検出器の一例は、「受け取られた光子の時間ビニングのための集積デバイス」と題された米国特許出願第14/821,656号明細書に記載されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。米国特許出願第14/821,656号明細書に記載される通り、光検出器は、光子の到着時刻を検出する性能を有してよく、それによって、標識によって放出された光の時間的特性を決定することが可能である。放出された光の時間的特性を検出することによって、その結果、異なる時間的特性を有する光を放出する標識同士の間の弁別をすることが可能である。時間的特性の1つの例は、輝度寿命である。フルオロフォアなどの発光分子は、励起に応答して光子を放出してよい。発光分子が光子を放出する確率は、励起が生じた後の時間とともに減少する。確率における減衰の速度は、指数関数的であってよい。「寿命」は、確率が経時的にどれほど早く減衰するかの特性である。早い減衰は短い寿命を有するとされ、一方、遅い減衰は長い寿命を有するとされる。発光分子によって放出された光の時間的特性を検出することによって、異なる寿命を有する発光分子同士の区別をすることが可能である。異なる寿命を有する発光分子により異なるヌクレオチドを標識することによって、検出された光の時間的特性に基づいて、ヌクレオチド同士の間の区別をすることが可能である。
【0022】
上述の米国特許出願第14/821,656号明細書に記載される光検出器は、ナノ秒またはピコ秒の分解能により光子の到着の時刻を検出することが可能であり、入射光子の到着を時間ビニングすることが可能である。光子の放出は確率的であるため、標識は複数回励起してよく、任意の生じる光子放出が時間ビニングされてよい。そうした測定を複数回行うことによって、励起イベント後に光子が到着した時刻のヒストグラムをポピュレートすることが可能である。この情報は、放出された光の時間的特性を計算するように解析されることが可能であり、これによって、その時間的特性に基づいて、標識を別の標識から区別することが可能である。
【0023】
単一分子または粒子の検出および定量化を行うための小型の高速装置は、生物学的および/または化学的サンプルの複雑な定量的測定を行うコストを削減し、生物学的技術発見の速度を急速に高め得る。さらに、容易に持ち運び可能な費用対効果のあるデバイスは、先進世界においてバイオアッセイが行われる手法を変容させるだけでなく、発展途上地域における人々に、その人々の健康および福利を大幅に向上させることが可能な本質的な診断的試験に対するアクセスを初めて提供することが可能である。例えば、本明細書に記載される実施形態は、個人によって自身の家庭において、または医師によって発展途上国の遠隔の診療所において用いられ得る血液、尿および/または唾液の診断的試験用に用いられてよい。
【0024】
多数のピクセル(例えば、数百、数千、数百万またはそれよりも多い)を有するピクセル化されたセンサデバイスは、並行して複数の個々の分子または粒子の検出を可能とする。分子は、限定ではなく例として、タンパク質および/またはDNAであり得る。さらに、毎秒100万を超えるフレームにてデータを獲得することが可能である高速デバイスは、解析されているサンプル内において経時的に生じる動的な処理または変化の検出および解析を可能とする。
【0025】
バイオアッセイ機器がより小型に作られることを防止する1つの障壁は、センサにおいて所望されない検出イベントを生じることから励起光をフィルタリングする必要性である。所望の信号光(発光)を送信するとともに励起光を十分に遮断するように用いられる光学フィルタは、厚く、かさばり、高価であり、また光の入射角の変化に対する許容がないことがあり、小型化を防止する。しかしながら、パルス化された励起源を用いることによって、そうしたフィルタリングの必要性を低減することが可能であり、いくつかの場合では、そうしたフィルタの必要性を完全に取り除くことが可能であることが、本明細書において認識され理解されている。励起光パルスに対する光子が検出された時刻を検出することができるセンサを用いることによって、信号光は、受け取られた光のスペクトルよりもむしろ光子が受け取られた時刻に基づいて、励起光から分離されることが可能である。したがって、かさばる光学フィルタの必要性は、いくつかの実施形態では、低減されるおよび/または取り除かれる。
【0026】
発光寿命測定は、サンプルに存在する分子を識別するようにも用いられてよい。いつ光子が検出されたかを検出することができる光学センサは、多くのイベントから収集された統計を用いて、励起光によって励起している分子の発光寿命を測定することができる。いくつかの実施形態では、発光寿命測定は、発光のスペクトル測定に加えて行われてよい。これに代えて、発光のスペクトル測定は、サンプル分子の識別において完全に省略されてよい。発光寿命測定は、パルス化された励起源により行われてよい。これに加えて、発光寿命測定は、センサを備える集積デバイス、または集積デバイスから分離したシステムに光源が位置するデバイスを用いて行われてよい。
【0027】
生物学的サンプルから放出された発光を測定することができる単一の集積デバイスにサンプルウェル(ナノ開口を含み得る)およびセンサを集積することは、使い捨て生体分析集積デバイスが形成され得るように、そうしたデバイスを製造するコストを減少させることが認識され理解されている。ベース器具とインタフェースする使い捨ての単回使用集積デバイスは、サンプル解析のための高コストの生物学研究所を必要とする制約を伴わずに、世界中の何処でも用いられてよい。したがって、生物学的サンプルの定量的解析を行うことが以前はできなかった世界の領域に、自動化された生体解析がもたらされてよい。例えば、血液サンプルを使い捨て集積デバイス上に置くことと、使い捨て集積デバイスを解析用の小型の搬送可能ベース器具へと置くことと、ユーザによる即時のレビュー用にコンピュータによって結果を処理することとによって、幼児用の血液検査が行われてよい。データは、さらに、後続の臨床解析用に解析されるおよび/またはアーカイブされるように、データネットワークを通じて遠隔地に対し送信されてよい。
【0028】
使い捨ての単回使用デバイスは、より単純に、また集積デバイス上にまた光源を備えないことによって低コストに作られてよいことも、認識され理解されている。これに代えて、光源は、サンプルを解析するように使い捨て集積デバイスとインタフェースするシステムに組み込まれる再利用可能なコンポーネントを備えてよい。
【0029】
図1は、本明細書に記載されるサンプルウェル作製技法と関連するサンプルウェル構造とのいくつかの実施形態とともに用いられ得る、例示的なシークエンシングシステム100の概略図である。これらのサンプルウェル作製技法およびサンプルウェル構造は、シークエンシングシステム100などのシークエンシングシステムの文脈において記載されるが、本明細書に記載される技法は、他の種類の集積デバイス、シークエンシングシステム、またはサンプルウェルもしくは他の同様の構造が所望される他のデバイスを作製する際に実装されてよいことが理解される。図1に示されるコンポーネントのいくつかのまたはすべての他の構成が、いくつかの実施形態において実装されてよいことが理解される。
【0030】
図1に示されるように、シークエンシングシステム100は、複数のサンプルウェルを有する集積デバイスとインタフェースするように構成され得る器具102を備えてよく、ここで、個々のサンプルウェル106は、集積デバイス104の表面に配置された標本(図示せず)からサンプルを受け取るように構成される。標本は複数のサンプルを、またいくつかの実施形態では、様々な種類のサンプルを含んでよい。サンプルウェルの一部分以上が標本から1つのサンプルを受け取るように、サンプルウェルは適切な大きさおよび形状を有してよい。いくつかの実施形態では、いくつかのサンプルウェルが1つのサンプルを含み、一方で他のものは0または2以上のサンプルを含むように、個々のサンプルウェルによって受け取られたサンプルの数は複数のサンプルウェル間に分配されてよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、標本は、複数の一本鎖DNA鋳型を含んでよく、集積デバイス104などの集積デバイスの表面上の個々のサンプルウェルは、一本鎖DNA鋳型を受け取るように寸法決定および形状決定されてよい。一本鎖DNA鋳型は、集積デバイスのサンプルウェルの一部分以上が一本鎖DNA鋳型を含むように、集積デバイスのサンプルウェル間に分配されてよい。標本は、次いでサンプルウェルに入り、サンプルウェルにおける一本鎖DNA鋳型に対し相補的なDNA鎖へと組み込まれる際にヌクレオチドの識別を可能とし得る、タグ付けされたdNTPも含んでよい。そうした例では、「サンプル」は、一本鎖DNAとポリメラーゼによって現在組み込まれているタグ付けされたdNTPとの両方を呼び得る。いくつかの実施形態では、標本は一本鎖DNA鋳型を含んでよく、タグ付けされたdNTPは、ヌクレオチドがサンプルウェル内のDNA相補鎖へと組み込まれる際に、続けてサンプルウェルに導入される。このように、ヌクレオチドの組込みのタイミングは、タグ付けされたdNTPが集積デバイスのサンプルウェルにいつ導入されるかによって制御されてよい。
【0032】
器具102は、励起エネルギーを集積デバイスに対し提供するように構成され得る励起源108を備えてよい。励起エネルギーは、少なくとも部分的には集積デバイスの素子によって、サンプルウェル106の照射領域を照射するように、1つまたは複数のピクセル(図1に示されない)に向けて方向付けられてよい。標識は、次いで、照射領域内に位置したときにおよび励起エネルギーによって照射されていることに応答して、放出エネルギーを放出してよい。いくつかの実施形態では、器具102の光学コンポーネントと集積デバイス104の光部品とは、励起エネルギーを1つまたは複数のサンプルウェルに向けて方向付けるように構成されてよい。
【0033】
サンプルによって放出された放出エネルギーは、次いで、集積デバイス104のピクセル内の1つまたは複数のセンサ110によって検出されてよい。検出された放出エネルギーの特性は、放出エネルギーに関連する標識を識別するための指標を提供してよい。そうした特性は、センサによって検出された光子の到着時刻、センサによって経時的に蓄積された光子の量、および/または2つ以上のセンサにわたる光子の分散を含む、任意の適切な種類の特性を含んでよい。いくつかの実施形態では、センサ110は、サンプルの放出エネルギーに関連した1つまたは複数のタイミング特性(例えば、蛍光寿命)の検出を可能とする構成を有してよい。センサ110は、励起エネルギーのパルスが集積デバイスを通じて伝搬した後の光子到着時刻の分散を検出してよく、到着時刻の分散は、サンプルの放出エネルギーのタイミング特性(例えば、蛍光寿命の代理)の指標を提供してよい。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のセンサは、標識によって放出された放出エネルギー(例えば、蛍光強度)の確率の指標を提供する。いくつかの実施形態では、複数のセンサは、放出エネルギーの空間分布をキャプチャするように寸法決定され配置されてよい。1つまたは複数のセンサからの出力信号は、次いで、複数の標識間から1つの標識を区別するように用いられ、ここで、複数の標識は、標本内のサンプルを識別するように用いられてよい。
【0034】
さらなる説明として、図2は、図1の例示的なシークエンシングシステム100のさらなる詳細を示す概略図である。再度、システム100は、器具102とインタフェースする集積デバイス104を備える。いくつかの実施形態では、器具102は、器具102の一部として一体化された1つまたは複数の励起源108を備えてよい。いくつかの実施形態では、器具102が励起源108から励起エネルギーを受け取りその励起エネルギーを集積デバイス104に対し方向付けるように構成され得るよう、励起源108は器具102と集積デバイス104との両方の外部であってよい。集積デバイス104は、その集積デバイス104を収容し励起源108との正確な光学的位置整合に保持するための任意の適切なソケットを用いて器具102とインタフェースしてよい。励起源108は、器具内に位置し、励起エネルギーを集積デバイス104に対し提供するように構成されてもよい。図2に概略的にさらに示されるように、集積デバイス104は、複数の個々のピクセルを有し、ここで、ピクセル112の一部分以上は、サンプルの個々の解析を行ってよい。ピクセルが、ピクセルから分離した励起源108から励起エネルギーを受け取るため、そうしたピクセル112は「受動源ピクセル」と呼ばれてよく、ここで、源は複数のピクセルを励起させる。ピクセル112は、サンプルを受け取るように構成されたサンプルウェル106と、励起源108によって提供された励起エネルギーによりサンプルを照射することに応答してサンプルによって放出される励起エネルギーを検出するためのセンサ110との両方を有する。サンプルウェル106は、サンプルに対する励起エネルギーの送達とサンプルからの放出エネルギーの検出との容易性を提供するように、集積デバイス104の表面の近傍にサンプルを保持してよい。
【0035】
励起源108からの励起エネルギーを集積デバイス104のサンプルウェル106に対し案内し結合するための光学素子は、集積デバイス104と器具102との両方に組み込まれてよい。そうした源からウェルまでの素子は、例えば、励起エネルギーを集積デバイス104に対し結合するための、集積デバイス104上に位置する1つまたは複数のグレーティング結合器と、励起エネルギーを器具102からピクセル112におけるサンプルウェル106に送達するための導波路と、を含んでよい。いくつかの実施形態では、集積デバイス104上に位置する素子は、放出エネルギーをサンプルウェル106からセンサ110に向けて方向付けるように作用してよい。いくつかの実施形態によれば、サンプルウェル106、励起源からウェルまでの光学部品のうちの一部、およびサンプルウェルからセンサまでの光学部品は、集積デバイス104上に位置し、励起源108およびソースからウェルまでのコンポーネントのうちの一部は、器具102に位置する。いくつかの実施形態では、単一のコンポーネントが、励起エネルギーをサンプルウェル106に対し結合することと、サンプルウェル106からの放出エネルギーをセンサ110に対し送達することとの両方における役割を果たしてよい。励起エネルギーをサンプルウェルに対し結合するおよび/または放出エネルギーをセンサに対し方向付けるための適切なコンポーネントの例は、「分子をプローブ、検出および解析するための集積デバイス」と題された米国特許出願第14/821,688号明細書および「分子をプローブ、検出および解析するための外部光源を有する集積デバイス」と題された米国特許出願第14/543,865号明細書に記載されており、その両方は参照によりその全体が組み込まれる。
【0036】
図2の実施形態におけるピクセル112に関して、個々のピクセル112は、それ自身の個々のサンプルウェル106と1つ以上のセンサ110に関連してよい。ピクセル112は、アレイに配置されてよく、任意の適切な数のピクセルがアレイに存在してよい。集積デバイス104におけるピクセルの数は、約10,000ピクセル~1,000,000ピクセルの範囲、またはその範囲内の任意の値もしくは値の範囲にあってよい。いくつかの実施形態では、ピクセルは、512ピクセル×512ピクセルのアレイに配置されてよい。集積デバイス104および器具102は、大型ピクセルアレイ(例えば、10,000ピクセルを超える)に関連付けられたデータを扱うための複数チャネルの高速通信リンク(図示せず)を備えてよい。
【0037】
図2にさらに示されるように、器具102は集積デバイスインタフェース114を通じて集積デバイス104とインタフェースしてよい。集積デバイスインタフェース114は、例えば、励起源108からの集積デバイス104に対する励起エネルギーの結合を容易にするまたは向上させるように、集積デバイス104を器具102に対し位置させるおよび/または位置整合するためのコンポーネントを含んでよい。励起源108は、励起エネルギーを1つ以上のサンプルウェルに対し送達するように配置された、任意の適切な光源であってよい。任意の励起源の例は、米国特許出願第14/821,688号明細書に記載されており、参照によりその全体が組み込まれる。いくつかの実施形態では、励起源108は、励起エネルギーを集積デバイス104に対し送達するように組み合わされた、複数の励起源を含む。そうした複数の励起源は、複数の励起エネルギーまたは波長を生成するように構成されてよい。集積デバイスインタフェース114は、集積デバイス104のピクセル112におけるセンサ110から読出信号を受信してよい。集積デバイスインタフェース114は、集積デバイス104を集積デバイスインタフェース114に対し固定することによって集積デバイス104が器具102に付属するように設計されてよい。
【0038】
依然として図2を参照すると、器具102は、器具102の動作を制御するためのユーザインタフェース116を備えてもよい。ユーザインタフェース116は、ユーザが情報(例えば、器具の機能を制御するように用いられるコマンドおよび/または設定など)を器具へと入力することを可能とするように構成される。いくつかの実施形態では、ユーザインタフェース116は、ボタン、スイッチ、ダイヤル、および音声コマンド用のマイクロフォンを含んでよい。これに加えて、ユーザインタフェース116は、ユーザが、適切な位置調整および/または集積デバイス上のセンサから信号を読み出すことによって取得された情報などの、器具および/または集積デバイスの性能に対するフィードバックを受信することを可能としてよい。いくつかの実施形態では、ユーザインタフェース116は、可聴フィードバックを提供するためのスピーカと、視覚的フィードバックを提供するためのインジケータ光および/またはディスプレイスクリーンとを用いてフィードバックを提供してよい。いくつかの実施形態では、器具102は、外部コンピュータデバイス120と接続するように用いられるコンピュータインタフェース118を備えてよい。任意の適切なコンピュータインタフェース118およびコンピュータデバイス120が用いられてよい。例えば、コンピュータインタフェース118は、USBインタフェースまたはFireWire(登録商標)インタフェースであってよい。コンピュータデバイス120は、ラップトップまたはデスクトップコンピュータなどの任意の汎用コンピュータであってよい。コンピュータインタフェース118は、器具102とコンピュータデバイス120との間の情報の通信を行う。器具102を制御するおよび/または構成するための入力情報は、器具102のコンピュータインタフェース118と通信して、コンピュータデバイス120を通じて提供されてよい。さらに、出力情報は、コンピュータインタフェース118を通じてコンピュータデバイスによって受信されてよい。そうした出力情報は、例えば、器具102および/または集積デバイス112の性能に関するフィードバック、またセンサ110の読出信号からの情報を含んでよい。器具102は、センサ110から受け取られたデータを解析する、および/または制御信号を励起源108に対し送るための処理デバイス122を備えてもよい。いくつかの実施形態では、処理デバイス122は、汎用プロセッサ、特別適合プロセッサ(例えば、1つまたは複数のマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラコアなどの中央処理ユニット(CPU)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、カスタム集積回路、デジタル信号プロセッサ(DSP)、またはそれらの組合せ)を含んでよい。いくつかの実施形態では、センサ110からのデータの処理は、処理デバイス122と外部コンピュータデバイス120との両方によって行われてよい。他の実施形態では、コンピュータデバイス120は省略されてよく、センサ110からのデータの処理は、処理デバイス122によって全体が行われてよい。
【0039】
図3Aは、ピクセル112の行を示す、集積デバイス104の断面の概略図である。各ピクセル112は、サンプルウェル106と対応するセンサ110とを備える。センサ110は、センサ110がサンプルウェル112内のサンプル(図示せず)によって放出された放出エネルギーを受け取るように、サンプルウェル106に対し位置調整され位置決めされてよい。任意のセンサの例は、米国特許出願第14/821,656号明細書に記載されており、参照によりその全体が組み込まれる。
【0040】
前に説明されたように、集積デバイス104に対し結合された励起源108は、励起エネルギーを集積デバイス104の1つまたは複数のピクセルに対し提供してよい。さらなる例示として、図3Bは、励起エネルギー124(励起エネルギー124の経路が破線により示される)を集積デバイス104のサンプルウェル106に対し提供するための、集積デバイス104に対する励起源108の結合を示す、断面の概略図である。集積デバイス104から離れて位置するコンポーネント(図示せず)は、励起源108を集積デバイスに対し位置決めし位置整合させるように用いられてよい。そうしたコンポーネントは、例えば、レンズ、ミラー、プリズム、絞り、減衰器、および/または光ファイバなどの光学コンポーネントを含んでよい。追加の機械コンポーネントが、1つまたは複数の位置調整コンポーネントの制御を可能とするように、器具102に備えられてもよい。そうした機械コンポーネントは、例えば、アクチュエータ、ステッピングモータ、および/またはノブを含んでよい。
【0041】
集積デバイス104は、励起エネルギー124を集積デバイス104内のピクセル112に向けて方向付けるコンポーネントを備えてよい。より詳細には、各ピクセル112内において、励起エネルギーをピクセルに関連付けられたサンプルウェル106に対し結合する。図3Bは、ピクセル112の行における各サンプルウェル106に対し結合する励起エネルギーを示し、いくつかの実施形態では、励起エネルギーが、与えられた行におけるピクセル112のすべてに対し結合しなくてよいことが可能である。いくつかの実施形態では、励起エネルギーが、ピクセル112の一部に対し、または集積デバイス104のピクセル112の行におけるサンプルウェル106に対し結合してよい。励起エネルギー124は、サンプルウェル106内に位置するサンプルを照射してよい。サンプルは、励起エネルギーによって照射されていることに応答して、励起状態に到達してよい。サンプルが励起状態にあるとき、サンプルは、図3Bに示されるように放出エネルギー126を放出してよく、その放出エネルギー126は、その結果、センサ110によって検出されてよい。いくつかの実施形態では、センサ110は複数の副次センサを含んでよい。
【0042】
解析されるサンプルは、ピクセル112のサンプルウェル106へと導入されてよい。サンプルは、生物学的サンプル、または化学的サンプルなどの任意の他の適切なサンプルであってよい。さらに、サンプルは複数の分子を含んでよく、サンプルウェル106は単一分子を孤立させるように構成されてよい。いくつかの例では、サンプルウェル106の寸法は、単一分子をサンプルウェル内に閉じ込めることによって、測定が単一分子に対し行われることを可能とするように作用してよい。励起源108は、サンプルを、またはサンプルに付着したもしくはサンプルに関連付けられた1つ以上の発光性マーカを、そのサンプルまたはその発光性マーカがサンプルウェル106内の照射エリア内にある間に励起するように、励起エネルギーをサンプルウェル106へと送達するように構成されてよい。
【0043】
励起源が励起エネルギーをサンプルウェルに対し送達するとき、ウェル内の1つ以上のサンプルは冷光を発してよく、生じる放出はセンサ110によって検出されてよい。本明細書において用いられる際、成句「サンプルは冷光を発してよい」または「サンプルは放射を放出してよい」もしくは「サンプルからの放出」は、発光性タグ、マーカ、もしくはレポータ、サンプル、またはサンプルに関連付けられた反応生成物が、放出された放射を生成してよいことを意味する。
【0044】
集積デバイス104の1つまたは複数のコンポーネントは、放出エネルギーをセンサ110に向けて方向付けてよい。1つまたは複数の放出エネルギーは、センサ110によって検出され、1つ以上の電気信号に変換されてよい。電気信号は、図2に関連してすでに記載されたものなどの集積デバイスインタフェース114を通じて器具102に対し接続された集積デバイス104の回路構成における導電線に沿って送信されてよい。電気信号は、図2に示されるコンピュータデバイス120および/または処理デバイス122などの、器具102上にまたは器具102から離れて位置する適切なコンピュータデバイスによって、続けて処理されおよび/または解析されてよい。
【0045】
動作時、励起源を用いてウェル内のサンプルを励起させセンサを用いてサンプル放出からの信号を検出することによって、サンプルウェル内のサンプルの並列解析が行われる。サンプルからの放出エネルギーは、対応するセンサによって検出され、1つ以上の電気信号に変換されてよい。得られた1つまたは複数の信号は、いくつかの実施形態では集積デバイス上にて処理されてよく、または処理デバイスおよび/またはコンピュータデバイスによって処理するために器具に対し送信されてよい。サンプルウェルからの信号は、他のピクセルに関連付けられた信号とは独立して受け取られ処理されてよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、サンプルは、1つまたは複数のマーカにより標識されてよく、1つまたは複数のマーカに関連付けられた放出は、器具によって判別可能である。例えば、センサは、特定のマーカからの放出エネルギーに依存する寿命を判別するのに用いられ得る電気信号を形成するように、放出エネルギーからの光子を電子へと変換するように構成されてよい。サンプルを標識するように様々な寿命を有するマーカを用いることによって、特定のサンプルが、センサによって検出された得られた電気信号に基づいて識別されてよい。
【0047】
サンプルは複数の種類の分子を含んでよく、様々な発光性マーカが分子の種類に一意に関連付けられてよい。励起中または励起後、発光性マーカは放出エネルギーを放出してよい。放出エネルギーの1つまたは複数の性質が、サンプルにおける1つまたは複数の種類の分子を識別するように用いられてよい。分子の種類同士を区別するのに用いられる放出エネルギーの性質は、蛍光寿命値、強度、および/または波長を含んでよい。センサは、放出エネルギーの光子を含む光子を検出してよく、これらの性質のうちの1つまたは複数を示す電気信号を提供してよい。いくつかの実施形態では、センサからの電気信号は、1つまたは複数の時間間隔にわたる光子到着時刻の分配に関する情報を提供してよい。光子到着時刻の分配は、励起エネルギーのパルスが励起源によって放出された後、光子がいつ検出されたかに対応してよい。時間間隔についての値は、その時間間隔の間に検出された光子の個数に対応してよい。複数の時間間隔にわたる相対値は、放出エネルギーの時間的特性(例えば、寿命)の指標を提供してよい。サンプルを解析することは、ある分配内の2つ以上の異なる時間間隔についての値を比較することによってマーカ同士を区別することを含んでよい。いくつかの実施形態では、強度の指標は、すべての時間ビンにわたる光子の個数を決定することによって提供されてよい。
【0048】
用語「核酸」は、本明細書において用いられる際、一般には、1つまたは複数の核酸サブユニットを含む分子を呼ぶ。核酸は、アデノシン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、チミン(T)およびウラシル(U)、またはその変異体から選択された、1つまたは複数のサブユニットを含んでよい。いくつかの例では、核酸は、デオキシリボ核酸(DNA)もしくはリボ核酸(RNA)、またはその誘導体である。核酸は、一本鎖または二本鎖であってよい。核酸は、環状であってよい。
【0049】
用語「ヌクレオチド」は、本明細書において用いられる際、一般には、A,C,G,TもしくはU、またはその変異体もしくはアナログを含み得る、核酸サブユニットを呼ぶ。ヌクレオチドは、成長する核酸鎖へと組み込まれ得る任意のサブユニットを含むことが可能である。そうしたサブユニットは、A,C,G,TもしくはU、または、1つまたは複数の相補的なA,C,G,TもしくはUに特有であるか、プリン(すなわち、AもしくはG、またはその変異体もしくはアナログ)またはピリミジン(すなわち、C,TもしくはU、またはその変異体もしくはアナログ)に対し相補的である、任意の他のサブユニットであることが可能である。
【0050】
ヌクレオチドは、一般には、ヌクレオシドと1,2,3,4,5,6,7,8,9,10以上またはより多くのリン酸(PO)基とを含む。ヌクレオチドは、核酸塩基と、五炭糖(リボースまたはデオキシリボース)と、1つまたは複数のリン酸基とを含むことが可能である。リボヌクレオチドは、糖がリボースであるヌクレオチドである。デオキシリボヌクレオチドは、糖がデオキシリボースであるヌクレオチドである。ヌクレオチドは、ヌクレオシド一リン酸塩またはヌクレオシドポリリン酸塩であることが可能である。ヌクレオチドは、例えば、検出可能な標識(例えば、フルオロフォア)を含む、デオキシアデノシン三リン酸(dATP)、デオキシシチジン三リン酸(dCTP)、デオキシグアノシン三リン酸(dGTP)、デオキシウリジン三リン酸(dUTP)、およびデオキシチミジン三リン酸(dTTP)から選択され得るデオキシリボヌクレオシド三リン酸dNTPなどの、デオキシリボヌクレオシドポリリン酸塩であることが可能である。
【0051】
センサ110に関して、光検出器は、標識を励起源108に露光させる(例えば、レーザパルスによって)ことに応答して、標識からの入射光子の到着を時間ビニングしてよい。標識は繰り返して励起してよく、標識からの入射光子の到着が時間ビニングされてよい。一例として、10msの測定期間中に、レーザ励起パルスが、標識を励起させるように100MHzの周波数にて放出されてよい。標識は、低い確率(例えば、10,000回の励起に1回の光子放出)により光子を放出してよい。標識が、10msの期間内に複数回(例えば、100万回)励起する場合、約100個の光子が受け取られてよい。いくつかの例では、標識は、励起源に対する露光後に励起することがなく、励起イベント後に光子を放出することがない。これは、放出の低い確率に寄与し得る。上述したように、励起に対する入射光子の到着時刻が時間ビニングされてよい。このように、光検出器は、各時間ビンにおける光子の個数を表す信号を提供してよい。いくつかの実施形態では、センサ110は、放出された光の特徴的な波長、または波長の範囲を検出するように構成されてよい。そうした実施形態では、特徴的な波長または波長の範囲は、様々な標識同士を区別する際に用いられ得る。いくつかの実施形態では、センサ110は、様々な標識同士を区別する際に用いられ得る、放出された光の強度を検出するように構成されてよい。
【0052】
本願のいくつかの実施形態は、サンプルまたは解析されるサンプルの成分がサンプルウェルの底面に位置することを可能とし得る、選択的な化学的機能化を提供する、サンプルウェル作製技法およびサンプルウェル構造に関する。ある方法が、利点の中でも特に、選択面の機能化を可能とするように、また防食および/または防汚の性質をデバイス表面に対し与えるように、デバイスの露出面を修正するよう用いられることが可能である。選択面の修正は、デバイスの露出面の上方に、自己組織化モノレイヤなどの表面コーティングを形成するように、デバイスの露出面を1つまたは複数の試薬により処理することを含むことが可能である。表面コーティングは、デバイスを、例えば、腐食性溶液の使用を必要とするバイオアッセイまたは他の厳しい条件(例えば、高塩濃度溶液、複数溶液洗浄など)において、露出面の下部の材料を保護することによって、より腐食性溶液に耐えられるようにすることが可能である。表面コーティングは、生物学的反応において試薬成分の付着を低減するまたは除去する防汚面コーティングなどの、バイオアッセイにおける試薬用のより好ましいインタフェースを提供することも可能である。適切な表面コーティングおよび表面修正処理の例は、「修正された表面反応性および生物学的反応における防汚性能を有する基板」と題された米国特許出願第15/971,493号明細書に記載されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。そうした表面コーティングが本明細書に記載されるサンプルウェルの実施形態において実装され得ることが認識される。
【0053】
図4は、図1図2図3Aおよび図3Bに示されるサンプルウェル106などの例示的なサンプルウェル106を示す断面図である。図4に示されるように、サンプルウェル106は、クラッド層404(例えば、SiO)上に配置された金属スタック402により形成された開口部によって形成される。金属スタック402は、金属材料(例えば、アルミニウム、チタン、銅)からなる1つまたは複数の層を備えてよい。図4に示されるように、金属スタック402のいくつかの実施形態は、クラッド層404の頂部に近接して位置するアルミニウム層406と、アルミニウム層406の上方の窒化チタン層408とを備える。
【0054】
アルミニウム層406は、銅および/またはシリコンを含んでよい。いくつかの実施形態では、アルミニウム層は、約2%未満の銅および/またはシリコンを含んでよく、約30nm~150nmの範囲またはその範囲内の任意の値もしくは値の範囲の厚さを有してよい。いくつかの実施形態では、アルミニウム層は約65nmである。窒化チタン層408は、アルミニウム層406と接触しているチタンの層を含んでよく、約1nm~150nmの範囲またはその範囲内の任意の値もしくは値の範囲の厚さを有してよい。いくつかの実施形態では、窒化チタン層の厚さは約80nmである。例示を目的として、図4は、サンプルウェル106に対する励起光エネルギーの送達を行う例示的な導波路構造410(例えば、窒化シリコン)も示す。
【0055】
クラッド層404に形成された凹部の深さdは、サンプルウェル106の底面にある標識からアルミニウム層406(例えば、Al-Cu)に対し放出された光の距離を定め、アルミニウム層406は、放出光などの光を反射するための金属反射器として作用し得る。この距離は、結果として、光収集効率に影響し得る、放出光の光センサ(図示せず)に向かう指向性を決定する。凹部の深さdは、100nm~500nmの範囲またはその範囲における任意の値もしくは値の範囲にあってよい。いくつかの実施形態では、凹部についての深さdは、約300nmである。いくつかの実施形態では、凹部についての深さdは、約360nmである。これに加えて、サンプルウェルの側方方向の寸法(直径)は、サンプルウェルの底部にて不動化した酵素に対し拡散によりアクセスするように、DNA鋳型および染色標識されたヌクレオチドの性能に影響し得る。一般的に言えば、より大きい寸法によってそうしたアクセスが向上する。さらに、サンプルウェル106の側方方向の寸法は、導波路410によって照射される照射領域の体積にも影響を与え得る。特に、サンプルウェルの底部の寸法wは、励起した照射領域の体積に大きな影響を与え、より小さい寸法は、励起したより小さい体積を生じ、結果として、より小さいバックグラウンド信号を提供し得る。いくつかの実施形態では、サンプルウェル106の凹部の底部における直径wは、50nm~300nmの範囲またはその範囲における任意の値もしくは値の範囲にある。いくつかの実施形態では、サンプルウェル106のクラッド層404の頂部における直径wは、100nm~300nmの範囲またはその範囲における任意の値もしくは値の範囲にある。いくつかの実施形態では、サンプルウェル106のクラッド層404の頂部における直径wは、150nm~250nmの範囲またはその範囲における任意の値もしくは値の範囲にあり、サンプルウェル106の凹部の底部における直径wは、75nm~200nmの範囲またはその範囲における任意の値もしくは値の範囲にある。いくつかの実施形態では、サンプルウェル106は、図4に示されるように、テーパーを有する側壁を有してよい。
【0056】
サンプルウェル106の底部にある酵素を不動化させるべく選択的な化学的機能化を行うように、サンプルウェル106の底面412は、他の面(例えば、サンプルウェル106の側面414および集積デバイスの頂面416)とは異なる組成を有する。図4に示されるように、サンプルウェルの底面412は、クラッド層の材料(例えば、露出したSiO)であってよく、サンプルウェル106の側壁414は、スペーサ材料418であってよい。スペーサ材料418は、1つまたは複数の金属酸化物(例えば、TiO、Al、SiO、TiN、HfO、ZrO、およびTa)を含んでよい。集積デバイスの頂面416は、層408の頂面の酸化によって形成された1つまたは複数の金属酸化物材料(例えば、TiNの酸化によって形成されたTiO)を含んでよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、集積デバイスの露出面(頂面、サンプルウェル側壁、底面)を、集積デバイスの動作中および表面機能化中に用いられる溶液を含む特定の種類の溶液に対し実質的に安定にすることが所望され得る。例えば、デバイス動作に用いられるいくつかの溶液は、高イオン強度水溶液を含んでよく、集積デバイスの露出面は、そうした溶液と所望の期間接触しているときに実質的に安定であってよい。別の例として、集積デバイスの表面機能化に用いられるいくつかの溶液は、酸性溶液を含んでよく、集積デバイスの露出面は、そうした溶液と所望の期間接触しているときに実質的に安定であってよい。アルミニウムが集積デバイスの1つまたは複数の層に含まれるいくつかの実施形態によれば、アルミニウムを含むそれらの1つまたは複数の層を、最終構造にカプセル化されるようにすることが好ましい場合があり、それによって集積デバイスの表面の安定性が向上し得る。これに加えて、表面の機能化を可能とするように、集積デバイスの表面を十分に清潔にすることが所望される。
【0058】
図5は、いくつかの実施形態に係る、サンプルウェルを形成するための例示的な処理500を示すフロー図である。図6図11は、処理500の複数の工程のうちのいくつかについての断面図を示す。説明を容易にするために、同様の要素およびコンポーネントには、異なる図面において同様の参照符号が示される。処理500は、クラッド層および導波路などの1つまたは複数の層の上方に開口金属スタックを堆積させる作用502を含む。図6に示されるように、アルミニウム層406および窒化チタン層408を備える金属開口フィルムスタックは、クラッド層404および導波路410の上方に形成される。いくつかの実施形態では、金属開口フィルムスタックを形成する前に、クラッド層404の頂面が、任意の適切な平坦化処理(例えば、CMP処理)を用いて平坦化されてよい。いくつかの実施形態では、アルミニウム層406が約65nmの厚さを有するように堆積してよく、窒化チタン層408は、約10nmの厚さのTiを有するチタン層と約70の窒化チタン層と層を含んでよい。
【0059】
次に、処理500は、金属スタックの上方のフォトレジスト層に1つまたは複数のホールをパターニングすることと、少なくともその金属スタックに開口をエッチングすることとを含む作用504を進行させる。フォトレジスト層により、金属スタックに開口を形成することによって、エッチング処理が容易となる。作用504は、金属スタックの下のクラッド層へと延びるサンプルウェルを形成することも含んでよい。フォトレジスト層のパターニングおよびエッチングのさらなる詳細が、図7図9に示される。図7に示されるように、底部反射防止コーティング(BARC)層702が、まず窒化チタン層408の上方に形成されてよく、フォトレジスト層704がBARC層702の上方に形成される。生じるサンプルウェルの位置に対応するホール706が、次いで、フォトレジスト層704にパターニングされる。フォトレジスト層704のパターニングは、フォトレジスト層704のフォトリソグラフィ露光および現像を含む任意の適切なフォトリソグラフィ技法を含んでよい。ホール706は、任意の適切な大きさおよび形状を有してよい。いくつかの実施形態では、ホール706は、円形形状を有し、直径が150nm~250nmの範囲またはその範囲における任意の値もしくは値の範囲にあってよい。開口エッチング用のさらなる準備では、BARC層702は、プラズマエッチング処理または任意の適切な技法を用いて選択的に取り除かれてよい。
【0060】
図8に示されるように、層406,408を含む金属スタックのエッチングは、開口802を形成するように行われる。図8に示される開口802を形成するように用いられるエッチング処理は、例えば、Clおよび/またはBClを用いることを含み得るプラズマエッチング処理によってなど、図7におけるBARC層702を取り除くように用いられる同一の処理によって行われてよい。プラズマエッチング処理に、Oアッシング工程、水洗浄および/またはエッチング後クリーニング工程が続いてよい。いくつかの実施形態では、プラズマエッチング処理は、等方的であってよく、金属スタックの1つまたは複数の層にアンダーカット領域を生じる。例えば、アルミニウムのClベースのエッチングは、事実上いくらか等方的であってよく、それによって、アルミニウム層406におけるアンダーカット領域804に導く。いくつかの実施形態では、ウェットクリーニング工程は、アンダーカット領域804などの、金属スタックにおけるアンダーカット領域の形成に寄与することが可能である。
【0061】
図9は、クラッド層404のエッチングによって形成された、側壁904を有するサンプルウェル902を示す。クラッド層404の酸化物材料は、ドライフルオロカーボンエッチング(例えば、CF,CHF,C,C)の使用により取り除かれてよく、Oアッシング工程およびエッチング後クリーニング工程が続く。いくつかの実施形態では、ドライエッチング処理は、所望のエッチング深さを達成するための期間に、またはこれに代えて、所望のエッチング深さを達成するためのクラッド層404内の位置に配置されたエッチング停止層(図示せず)の使用により行われてよい。いくつかの実施形態では、エッチング処理によって形成された得られたサンプルウェル902の1つまたは複数の側壁904は、図9に示されるものなどの集積デバイスの頂面に垂直な角度にあってよい。サンプルウェル902の1つまたは複数の側壁904は、集積デバイスの頂面に対する垂直線に対し1°~15°の範囲の角度にてテーパーを有してよい。換言すると、サンプルウェル902は、サンプルウェル902の直径が深さの増加とともに減少するようにテーパーを有してよい。
【0062】
図7に戻って、フォトレジスト層704および/またはBARC層702は、プラズマ除去処理(例えば、アッシング、クリーニング)または任意の適切な技法を用いて、金属スタック406,408から取り除かれてよい。いくつかの実施形態では、フォトレジスト層704および/またはBARC層702は、金属スタック406,408のエッチング(図8に示される)後かつクラッド層404のエッチング(図9に示される)前に取り除かれる。いくつかの実施形態では、フォトレジスト層704および/またはBARC層702は、金属スタック406,408とクラッド層404を覆う頂部との両方のエッチング後に取り除かれる。
【0063】
処理500は、サンプルウェルの側壁にスペーサ材料を堆積させることを含む、作用506によって進行する。スペース材料は、コンフォーマルに堆積してよく、いくつかの実施形態では「コンフォーマルなスペーサ層」と呼ばれてよい。図10に示されるように、スペーサ1002は、サンプルウェル902に堆積し、クラッド層404と層406および408を含む金属スタックとのうちの1つまたは複数と接触してよい。スペーサ層として用いられ得るスペーサ材料の例は、Al、TiN、Ta、TaN、ZrO、TiO、およびHfOを含む。スペーサ層の厚さは、3nm~50nmの範囲またはその範囲における任意の値もしくは値の範囲にあってよい。いくつかの実施形態では、スペーサ層1002は、約3nm~約30nmの間の厚さを有するTiOの層であってよい。いくつかの実施形態では、スペーサ層1002は、約230℃の温度の原子層堆積(ALD)によって形成された、約12nmの厚さを有するTiOの層であってよい。いくつかの実施形態では、コンフォーマルなスペーサ層1002は、複数の材料からなる複数の層を含んでよい。そうした実施形態では、複数の材料からなる複数の層は、作製、表面機能化、および/または表面クリーニングを行ってよい。
【0064】
次いで、処理500は、スペーサ材料をエッチングすることを含む作用508によって進行する。いくつかの実施形態では、異方的(指向性のある)エッチングが、スペーサ材料のエッチングに用いられ、スペーサ層の水平に堆積した表面を取り除いてよく、サンプルウェルの側壁などの垂直面に沿ったスペーサ材料を生じ得る。図11に示されるように、スペーサ層1002の異方的エッチングは、側壁スペーサ414が得られたサンプルウェル106に形成されるように、サンプルウェルの底部の水平面と集積デバイスの頂面とを取り除いている。これに加えて、サンプルウェル106の底面412は、露出したクラッド材料(例えば、SiO)である。スペーサ層がTiOを含み、TiOを有する側壁スペーサとなる実施形態では、フルオロカーボンまたはBCl化学エッチング(Oおよび/または空気による)が用いられてよい。スペーサ層がAlを含み、Alを有する側壁スペーサとなる実施形態では、BCl化学エッチング(Clおよび/または空気による)が用いられてよい。サンプルウェル106の底面412が側壁スペーサ414および集積デバイスの頂面とは異なる材料であると、得られる構造は、サンプルウェルの側壁414と比較して、サンプル(図示せず)の底面412に対する好ましい結合用の異なる機能を提供し得る。したがって、サンプルウェル構造のエッチングの完了時、例えば、サンプルウェル106の底面412に対するビオチン種の付着およびチップ不動態化などの、追加の処理工程が行われてよい。修正された底面の化学的性質および不動態化を生じる追加の処理工程の例は、米国特許出願第15/971,493号明細書に記載されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0065】
上記の処理500の起こり得る副作用は、フルオロカーボンベースのエッチングによる、開口およびサンプルウェル側壁におけるフッ化アルミニウム(AlF)および他の残渣の存在であり得る。そうした残渣は、結果として、側壁スペーサ堆積の完全性に影響し得る。これに加えて、層406の露出したアルミニウムは、腐食または湿気からなどの、他の有害作用を受ける場合もある。これに加えて、窒化チタン層408の頂部がクラッド材料を取り除くためのエッチングマスクとして機能する実施形態では、開口に隣接する頂部窒化チタン層408のエッジが、サンプルウェルエッチング処理中に腐食し、露出したアルミニウムを生じることとなり得ることがさらに可能である。
【0066】
いくつかの実施形態は、金属スタックにおけるアルミニウム層などの開口金属スタックの側壁を保護するように、カプセル化スペーサを用いることを含んでよい。図12は、サンプルウェル構造を形成するための例示的な処理1200を示すフロー図である。図13図16は、処理1200の複数の工程のうちのいくつかについての断面図を示す。図12に示されるように、処理1200は、クラッド層または導波路などの1つまたは複数の層の上方に金属スタックを堆積させることによって、作用1202にて開始する。金属スタックの堆積は、処理500に関して上記された処理および材料を用いて行われてよい。処理1200は、フォトレジスト材料、およびいくつかの実施形態ではBARC層をパターニングすることによって金属スタックへの開口をエッチングすることを含む、作用1204に進行してよい。金属スタックへの開口のエッチングは、処理500に関して上記され図7および図8に示される処理および材料を用いて行われてよい。図13は、クラッド層404の上方のエッチングされた金属スタック406,408を示す。
【0067】
処理500とは対照的に、処理1200は、作用1204によって形成された開口内にカプセル化スペーサ材料を堆積することを含む作用1206に進行する。図13は、クラッド層404、金属スタック406,408および頂面に接触している、開口802内に形成されたカプセル化スペーサ材料1302を示す。カプセル化スペーサ材料1302は、後続の処理工程中に金属スタック406の1つまたは複数の層を保護するように作用する、特に、クラッド材料404の後続のエッチングによる金属フッ化物残渣の形成を低減させ得るまたは防止し得る、任意の適切な材料であってよい。カプセル化スペーサ材料1302は、1つまたは複数のシリコン材料を含んでよい。カプセル化スペーサ材料1302における適切な材料の例は、アモルファスシリコン(α-Si)、SiO、SiON、SiN、および1つまたは複数のシリコン合金(例えば、シリコンリッチ酸化物(SRO)、シリコンリッチ窒化物(SRN))を含んでよい。いくつかの実施形態では、カプセル化スペーサ材料1302は、プラズマ励起化学気相成長(PECVD)によって堆積したアモルファスシリコン(α-Si)であってよい。他の実施形態では、カプセル化スペーサ材料1302は、PECVD堆積したSiO、SiON、またはSiNであってよい。いくつかの実施形態では、カプセル化スペーサ材料1302は、原子層堆積(ALD)によって形成された酸化物材料(例えば、TiO、Al、SiO、HfO、TiN、Ta、ZrO)であってよい。いくつかの実施形態では、カプセル化スペーサ材料1302は、1つまたは複数の材料からなる複数の層を含んでよい。一般に、カプセル化スペーサ材料1302は、金属層408の頂面および開口802の底部に対しコンフォーマルに堆積してよい。いくつかの実施形態では、カプセル化スペーサ材料1302は、様々な厚さを有してよい。例えば、カプセル化スペーサ材料1302は、金属層408の頂面上の位置にて、開口802の底部に沿うよりも大きい厚さを有する。
【0068】
処理1200は、サンプルウェルを形成するようにカプセル化スペーサ材料がエッチングされクラッド材料がエッチングされる作用1208によって継続する。図14は、カプセル化スペーサ材料およびクラッド層404をエッチングすることによって形成されたサンプルウェル902を示す。いくつかの実施形態では、カプセル化スペーサのエッチングおよび/またはサンプルウェルのエッチングは、上記のものなどのフルオロカーボンベースのエッチングを含んでよく、Oアッシング処理およびエッチング後クリーニング処理が続く。カプセル化材料およびクラッド材料のエッチングがほぼ異方的であり指向性のあるエッチングである実施形態では、カプセル化スペーサ材料の1つまたは複数の部分は、金属スタックの側壁に残されてよい。図14に示されるように、アルミニウム層406は、サンプルウェルを形成するためのエッチング後にカプセル化スペーサ1402が残る、1つまたは複数のアンダーカット領域を有する。カプセル化スペーサ1402は、有利には、層406の露出したアルミニウム側壁を保護してよい。カプセル化スペーサ1402による保護は、後続のエッチング中の腐食/湿気またはF、Clによる反応に対し脆弱であり得る、サンプルウェルのエッチング中の金属フッ化物残渣の形成を防止する。
【0069】
この点から、処理1200は、処理500のものと同様に継続してよい。処理1200は、側壁スペーサ材料が堆積する作用1210を進行させてよく、作用1210は、処理500の作用506に関して記載されたものと同様の材料および処理を用いることを含んでよい。図15は、カプセル化スペーサ部分1402に接触する側壁スペーサ材料1002を示す。側壁スペーサ材料1002を形成するように用いられ得るスペーサ材料の例は、Al、TiO、TiN、Ta、TaN、ZrO、TiO、およびHfOを含む。いくつかの実施形態では、側壁スペーサ材料1002は、1つまたは複数の材料からなる複数の層を含んでよい。いくつかの実施形態では、側壁スペーサ材料1002は、約3nm~約30nmの間の厚さに形成されたTiOの層であってよい。いくつかの実施形態では、側壁スペーサ材料1002は、約230℃の温度の原子層堆積(ALD)によって約12nmの厚さに形成された、TiOの層であってよい。
【0070】
処理1200は、側壁スペーサ材料が得られたサンプルウェルを形成するようにエッチングされる作用1212に進行させてよく、作用1212は、処理500の作用508に関して記載されたものと同様の材料および処理を用いることを含んでよい。図16に示されるように、スペーサ層1002の異方的エッチングは、側壁スペーサ1402が得られたサンプルウェル106に形成されるように、サンプルウェルの底部の水平面と集積デバイスの頂面とを取り除いている。これに加えて、サンプルウェル106の底面412は、露出したクラッド材料(例えば、SiO)である。スペーサ層がTiOを含み、TiOを有する側壁スペーサとなる実施形態では、フルオロカーボンまたはBCl化学エッチング(Oおよび/または空気による)が用いられてよい。スペーサ層がAlを含み、Alを有する側壁スペーサとなる実施形態では、BCl化学エッチング(Clおよび/または空気による)が用いられてよい。
【0071】
いくつかの実施形態は、開口エッチングおよびサンプルウェルエッチングなどの後続のエッチング中に金属スタックの頂面を保護し得る、開口金属スタックの上方に形成された誘電体エッチングマスクを用いることを含む。誘電体エッチングマスクは、サンプルウェルを作製する工程の間に徐々に取り除かれてよく、いくつかの実施形態では、得られたサンプルウェル構造にはほぼ排除されてよい。誘電体エッチングマスクに用いられる誘電体材料の種類に応じて、誘電体エッチングマスクは、サンプルウェルのエッチングにおける処理制御用の強い端点信号を提供してよい。頂部層の厚さは、クラッド層に対する誘電体のエッチングの選択と所望されるオーバーエッチングの量とに依存する。
【0072】
図17は、サンプルウェル構造を形成するための例示的な処理1700を示すフロー図である。図18図25は、処理1700の複数の工程のうちのいくつかについての断面図を示す。図17に示されるように、処理1700は、クラッド層または導波路などの1つまたは複数の層の上方に金属スタックを堆積させることによって、作用1702にて開始する。金属スタックの堆積は、処理500に関する上記の処理および材料を用いて行われてよい。いくつかの実施形態では、図18に示されるように、金属スタックは、クラッド層404および導波路410の上方に、アルミニウム層406および窒化チタン層408を備えてよい。作用1702は、金属スタックの上方に誘電体層を堆積させることをさらに含んでよい。図18に示されるように、誘電体層1802は、層406および408を含む金属スタックの上方に形成される。誘電体層1802は、1つまたは複数のシリコン材料を含んでよい。誘電体層1802に含まれ得る適切な材料の例は、アモルファスシリコン(α-Si)、SiO、SiON、SiN、およびシリコン合金(例えば、シリコンリッチ酸化物(SRO)およびシリコンリッチ窒化物(SRN))を含む。誘電体層1802の厚さは、30~400nmの範囲またはその範囲における任意の値もしくは値の範囲にあってよい。いくつかの実施形態では、誘電体層1802は、約150~300nmの厚さにて堆積したPECVD SiOであってよい。いくつかの実施形態では、誘電体層1802は、約50~300nmの厚さにて堆積したPECVD SiNであってよい。いくつかの実施形態では、誘電体層1802は、約50~300nmの厚さにて堆積したPECVD SiONであってよい。
【0073】
処理1700は、フォトレジスト材料が開口のための開口部を形成するようにパターニングされ開口とサンプルウェルとをエッチングする、作用1704に進行してよい。パターンは、次いで、サンプルウェルを形成するように、誘電体マスク、開口金属スタックへと、最終的にクラッド層へとエッチングされる。いくつかの実施形態では、フォトレジスト材料はBARC層の上方に堆積されてよい。いくつかの実施形態では、パターニングされた開口部は、約150~225nmの直径の範囲の直径を有する円形開口部であってよい。金属スタックへの開口のエッチングは、処理500に関して上記され図7および図8に示される処理および材料を用いて行われてよい。図19は、誘電体層1802のエッチングとフォトレジスト材料(図示せず)の除去とに続く処理における時点を示す。ハードマスクとしてパターニングされた誘電体層1802を用いて、金属スタック406,408における開口は、次いで、開口802とアンダーカット領域804とを示す図20に示されるようにエッチングされてよい。金属スタックへの開口のエッチングは、処理500に関して上記され図7および図8に示される処理および材料を用いて行われてよい。いくつかの実施形態では、金属スタックにおける開口のエッチングは、Clおよび/またはBClを含むプラズマエッチング処理などのプラズマエッチング処理を含んでよい。プラズマ金属エッチング処理に、水洗浄および/またはエッチング後クリーニング工程が続いてよい。この時点では、構造は、クラッド層404などのクラッド層へのサンプルウェルのエッチングように準備される。
【0074】
いくつかの実施形態では、誘電体層1802は、クラッド層404に対し同一または類似のエッチング特性を有する材料から選択される。そうした実施形態では、誘電体層1802は、サンプルウェル902がエッチングされる際に取り除かれてよい。サンプルウェルのエッチング処理における中間点が図21に示され、図21は、サンプルウェル902が、形成される中間段階にある時に残っている誘電体層1802の一部を示す。特に、図20と比較すると、誘電体層1802は、依然として開口金属スタック406,408をエッチング処理(例えば、フルオロカーボンベースのエッチング)からを保護しているが、形成されているサンプルウェル902の現在のエッチング深さに対応する量によりおおよそ厚さが減少していることが、図21から見られる。図22は、誘電体層1802がほぼ消費されサンプルウェル902がほぼエッチングされた、サンプルウェルエッチングプロセス中のより後の時点を示す。最終的に、図23に示されるように、誘電体層1802は、サンプルウェルのエッチングの完了時またはほぼ完了時に除去される。特に、誘電体エッチングマスクの厚さは、誘電体エッチングマスクの材料がサンプルウェルのエッチングの終了時またはほぼ終了時に実質的にまたは完全に取り除かれるように、サンプルウェルのエッチング中、誘電体エッチングマスク材料のエッチングレートに依存する。誘電体層1802がSiOである実施形態では、誘電体層1802は、誘電体エッチングマスクがほぼまたは完全に取り除かれるとTiN金属層408が露出するため、サンプルウェルのエッチングにおける処理制御用の強い端点信号を提供してよい。SiOが誘電体マスク材料として用いられるそうした実施形態では、サンプルウェルが正しい深さにエッチングされたときにマスクが実質的にまたは十分に取り除かれ得るように、誘電体層の厚さは、サンプルウェルの所望の深さに対応してよい(例えば、わずかにサンプルウェルの所望の深さ未満であってよい)。
【0075】
この点から、処理1700は、処理500のものと同様に継続してよい。処理1700は、側壁スペーサ材料が堆積する作用1706を進行させてよく、作用1706は、処理500作用506に関して記載されたものと同様の材料および処理を用いることを含んでよい。図24は、両方の層406および408に接触する側壁スペーサ材料1002を示す。図24に示されるように、アンダーカット領域が層406に形成されてよく、側壁スペーサ材料1002がアンダーカット領域を充填してよい。側壁スペーサ材料1002を形成するように用いられ得るスペーサ材料の例は、Al、TiO、TiN、Ta、TaN、ZrOおよびHfOを含む。いくつかの実施形態では、側壁スペーサ材料1002は、約3nm~約30nmの間の厚さに形成されたTiOの層であってよい。いくつかの実施形態では、側壁スペーサ材料1002は、約230℃の温度の原子層堆積(ALD)によって約12nmの厚さに形成された、TiOの層であってよい。
【0076】
処理1700は、側壁スペーサ材料が得られたサンプルウェルを形成するようにエッチングされる作用1708に進行させてよく、作用1708は、処理500の作用508に関して記載されたものと同様の材料および処理を用いることを含んでよい。図25に示されるように、スペーサ層1002の異方的エッチングは、側壁スペーサ414が得られたサンプルウェル106に形成されるように、サンプルウェルの底部の水平面と集積デバイスの頂面とを取り除いている。これに加えて、サンプルウェル106の底面412は、露出したクラッド材料(例えば、SiO)である。スペーサ層がTiOを含み、TiOを有する側壁スペーサとなる実施形態では、フルオロカーボンまたはBCl化学エッチング(Oおよび/または空気による)が用いられてよい。スペーサ層がAlを含み、Alを有する側壁スペーサとなる実施形態では、BCl化学エッチング(Clおよび/または空気による)が用いられてよい。
【0077】
上記の実施形態は、多数の手法のいずれかにより実装されることが可能である。例えば、実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、またはこれらの組合せを用いて実装されてよい。ソフトウェアに実装されるとき、ソフトウェア・コードは、単一のコンピュータデバイスに提供されるか、または複数のコンピュータデバイス間に分配されるかにかかわらず、任意の適切なプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)またはプロセッサの集合において実行されることが可能である。上記の機能を行う任意のコンポーネントまたはコンポーネントの集合は、上述された機能を制御する1つまたは複数のコントローラとして総称的に考慮され得ることが理解される。1つまたは複数のコントローラは、専用ハードウェアを用いる、または上に列挙された機能を行うようにマイクロコードまたはソフトウェアを用いてプログラムされた汎用ハードウェア(例えば、1つまたは複数のプロセッサ)を用いるなど、多くの手法により実装されることが可能である。
【0078】
記載された複数の実施形態は、様々な組合せにより実装されることが可能である。例示的な構成は、以下の方法(1)~(33)および集積デバイス(34)~(43)を含む。
【0079】
(1)集積デバイスを形成する方法であって、金属スタックをクラッド層の上方に形成する金属スタック形成工程と、前記金属スタックに開口を形成する工程と、前記開口内に第1のスペーサ材料を形成する第1スペーサ材料形成工程と、前記開口の深さを前記クラッド層へと拡張するように前記クラッド層のうちのいくらかを取り除くことによってサンプルウェルを形成するサンプルウェル形成工程と、を備え、前記第1のスペーサ材料のうちの1つ以上の部分が前記金属スタックの1つ以上の層と接触している、方法。
【0080】
(2)前記金属スタック形成工程は、前記金属スタックを前記クラッド層上に形成する工程をさらに含む、(1)の方法。
(3)前記第1スペーサ材料形成工程は、前記第1のスペーサ材料を前記金属スタックの上方と前記開口の底面とに形成する工程をさらに含む、(1)または(2)の方法。
【0081】
(4)前記サンプルウェル形成工程は、前記金属スタックの頂面上と前記開口の底面上とに配置された前記第1のスペーサ材料のうちの少なくともいくらかを取り除くように、第1の指向性エッチングを行う工程をさらに含む、(1)~(3)のいずれか1つの方法。
【0082】
(5)前記第1のスペーサ材料は、前記サンプルウェル形成工程において用いられるエッチング処理中における金属フッ化物残渣の形成を低減させるように構成された1つ以上の材料を含む、(1)~(4)のいずれか1つの方法。
【0083】
(6)前記第1のスペーサ材料は、前記サンプルウェル形成工程において用いられるエッチング処理中における前記金属スタックの1つ以上の金属層上の金属フッ化物残渣の形成を低減させるように構成された1つ以上の材料を含む、(1)~(5)のいずれか1つの方法。
【0084】
(7)前記第1のスペーサ材料のうちの前記1つ以上の部分は、前記金属スタックのアンダーカット領域に配置される、(1)~(6)のいずれか1つの方法。
(8)前記金属スタックは、1つ以上のアルミニウム含有層と1つ以上のチタン含有層とを備える、(1)~(7)のいずれか1つの方法。
【0085】
(9)前記第1のスペーサ材料は、プラズマ励起化学気相成長(PECVD)によって形成される、(1)~(8)のいずれか1つの方法。
(10)前記第1のスペーサ材料は、1つ以上のシリコン材料を含む、(1)~(9)のいずれか1つの方法。
【0086】
(11)前記第1のスペーサ材料は、アモルファスシリコン(α-Si)、SiO、SiON、SiN、およびシリコン合金からなるから選択された1つまたは複数の層を含む、1つ以上のシリコン材料を含む、(1)~(10)のいずれか1つの方法。
【0087】
(12)前記第1のスペーサ材料は、原子層堆積(ALD)によって形成される、(1)~(11)のいずれか1つの方法。
(13)前記第1のスペーサ材料は、TiO、Al、SiO、HfO、TiN、Ta、およびZrOからなるから選択された1つまたは複数の層を含む、(1)~(12)のいずれか1つの方法。
【0088】
(14)前記クラッド層はSiOを含む、(1)~(13)のいずれか1つの方法。
(15)第2のスペーサ材料を前記サンプルウェルへと形成する第2スペーサ材料形成工程と、前記サンプルウェルの底面にある前記第2のスペーサ材料のうちの少なくともいくらかを取り除き前記クラッド層の一部を露出させる除去工程と、をさらに備え、前記第2のスペーサ材料のうちの1つ以上の部分は、前記金属スタック、前記第1のスペーサ材料の前記1つ以上の部分、および前記クラッド層のうちの1つまたは複数と接触している、(1)~(14)のいずれか1つの方法。
【0089】
(16)前記第2スペーサ材料形成工程は、前記第2のスペーサ材料を前記金属スタックの上方に形成する工程をさらに含む、(15)の方法。
(17)前記除去工程は、前記金属スタックの頂面上と前記サンプルウェルの前記底面上とに配置された第2のスペーサ材料を取り除くように、指向性エッチングを行う工程をさらに含む、(15)または(16)の方法。
【0090】
(18)前記指向性エッチングは、フルオロカーボンベースのエッチングを含む、(17)の方法。
(19)前記第2のスペーサ材料は、原子層堆積(ALD)によって形成される、(15)~(18)のいずれか1つの方法。
【0091】
(20)前記第2のスペーサ材料は、TiO、Al、HfO、ZrO、およびTaからなるから選択された1つまたは複数の層を含む、(15)~(19)のいずれか1つの方法。
【0092】
(21)集積デバイスを形成する方法であって、金属スタックをクラッド層の上方に形成する金属スタック形成工程と、誘電体層を前記金属スタックの上方に形成する工程と、前記誘電体層に開口部を形成することと、前記誘電体層を前記金属スタックの一部を取り除く際にマスクとして用いることと、によって、開口を前記金属スタックに形成する開口形成工程と、前記クラッド層の一部を取り除くことによってサンプルウェルを形成するサンプルウェル形成工程と、を備え、誘電体層の少なくとも一部は、前記サンプルウェルを形成する間に取り除かれる、方法。
【0093】
(22)前記金属スタック形成工程は、前記金属スタックを前記クラッド層上に形成する工程をさらに含む、(21)の方法。
(23)前記誘電体材料を形成する工程は、前記誘電体層を前記金属スタック上に形成する工程をさらに含む、(21)または(22)の方法。
【0094】
(24)前記開口形成工程は、前記開口部を前記誘電体層にエッチングする工程と、前記開口を前記金属スタックに形成するように前記誘電体層をエッチングマスクとして用いる工程と、をさらに含む、(21)~(23)のいずれか1つの方法。
【0095】
(25)前記サンプルウェル形成工程は、前記クラッド層と前記誘電体層とを同時にエッチングする工程をさらに含む、(21)~(24)のいずれか1つの方法。
(26)前記金属スタックは、1つ以上のアルミニウム含有層と1つ以上のチタン含有層とを備える、(21)~(25)のいずれか1つの方法。
【0096】
(27)前記クラッド層はSiOを含む、(21)~(26)のいずれか1つの方法。
(28)スペーサ層を前記金属スタックの上方におよび前記サンプルウェルへと形成する工程と、前記スペーサ層のうち前記金属スタックの頂面上と前記サンプルウェルの底面上とに配置された部分を取り除いて前記クラッド層の一部を露出させるように、指向性エッチングを行う工程と、をさらに含み、前記スペーサ層の1つ以上の部分が前記サンプルウェルの1つ以上の側壁を形成する、(21)~(27)のいずれか1つの方法。
【0097】
(29)前記スペーサ層は、原子層堆積(ALD)によって形成される、(28)の方法。
(30)前記スペーサ層は、TiO、Al、HfO、ZrO、およびTaからなるから選択された1つまたは複数の層を含む、(28)または(29)の方法。
【0098】
(31)前記サンプルウェル形成工程は、前記誘電体層をほぼ取り除く工程をさらに含む、(21)~(30)のいずれか1つの方法。
(32)前記サンプルウェル形成工程後の前記集積デバイスは、前記誘電体層を備えない、(21)~(31)のいずれか1つの方法。
【0099】
(33)前記誘電体層は、アモルファスシリコン(α-Si)、SiO、SiON、SiN、およびシリコン合金からなるから選択された1つまたは複数を含む、(21)~(32)のいずれか1つの方法。
【0100】
(34)集積デバイスであって、クラッド層と、前記クラッド層の上方に形成され1つ以上のアンダーカット領域を有する金属スタックと、前記1つ以上のアンダーカット領域に近接する前記金属スタックを通じて前記クラッド層へと延びるサンプルウェルと、前記1つ以上のアンダーカット領域を充填する第1のスペーサ材料と、を備える、集積デバイス。
【0101】
(35)前記第1のスペーサ材料は、前記サンプルウェルの1つ以上の側壁を形成する、構成(34)の集積デバイス。
(36)前記第1のスペーサ材料は、アモルファスシリコン(α-Si)、SiO、SiON、およびSiNからなるから選択された1つまたは複数を含む、構成(34)または(35)の集積デバイス。
【0102】
(37)前記第1のスペーサ材料は、TiO、Al、HfO、TiN、ZrO、およびTaからなるから選択された1つまたは複数を含む、構成(34)~(36)のいずれか1つの集積デバイス。
【0103】
(38)前記金属スタックは、アルミニウムを含む1つ以上の層とチタンを含む1つ以上の層とを備える、構成(34)~(37)のいずれか1つの集積デバイス。
(39)前記クラッド層はSiOを含む、構成(34)~(38)のいずれか1つの集積デバイス。
【0104】
(40)前記金属スタックと、前記第1のスペーサ材料と、前記クラッド層とうちの1つまたは複数と接触している第2のスペーサ材料をさらに備える、構成(34)~(39)のいずれか1つの集積デバイス。
【0105】
(41)前記第2のスペーサ材料は、前記サンプルウェルの1つ以上の側壁を形成する、構成(40)の集積デバイス。
(42)前記第2のスペーサ材料は、TiO、Al、HfO、ZrO、およびTaからなるから選択された1つまたは複数の層を含む、構成(40)または(41)の集積デバイス。
【0106】
(43)前記金属スタックは、第2の層の上方に形成された第1の層を備え、前記アンダーカット領域は前記第2の層に形成される、構成(34)~(42)のいずれか1つの集積デバイス。
【0107】
したがって、本願の技術のいくつかの態様および実施形態を記載したが、様々な代替、修正および改良が当業者により容易に行われることが理解される。そうした代替、修正および改良は、本願に記載された技術の趣旨および範囲内であることが意図される。したがって、上記の実施形態は、例として提示されるに過ぎず、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内において、発明の実施形態が、特に記載されたもの以外として行われてよいことが理解される。これに加えて、本明細書において記載された2つ以上のフィーチャ、システム、物、材料、キット、および/または方法の任意の組合せは、そうしたフィーチャ、システム、物、材料、キット、および/または方法が相互に矛盾しない場合、本開示の範囲内に含まれる。
【0108】
さらに、記載されたように、いくつかの態様が1つまたは複数の方法として実施されてよい。方法の一部として行われる作用は、任意の適切な手法により順序付けられてよい。したがって、示されているものとは異なる順序により作用が行われる実施形態が構築されてよく、それは、例示的な実施形態において連続的な作用として示されたとしても、いくつかの作用を同時に行うことを含んでよい。
【0109】
本明細書において定められるおよび用いられるすべての定義は、辞書的な定義、参照により組み込まれた文書における定義、および/または定義された用語の一般的な意味に対して管理すると理解される。
【0110】
本明細書において明細書および特許請求の範囲に用いられる不定冠詞「1つの(a)」および「1つの(an)」は、明白に反対のことを示さない限り、「1つ以上」を意味するように理解される。
【0111】
本明細書において明細書および特許請求の範囲に用いられる表現「および/または」は、そのように結合される複数の要素(すなわち、いくつかの場合に連結して提示され他の場合に分離して提示される要素)の「一方または両方」を意味するように理解される。
【0112】
本明細書において明細書および特許請求の範囲に用いられる表現「1つ以上」は、1つまたは複数の要素のリストに関連して、要素のリストにおける複数の要素のうちの任意の1つまたは複数から選択されるが、要素のリスト内に特にリストされた各およびすべての要素のうちの1つ以上を必ずしも含まず、また要素のリストにおける複数の要素の任意の組合せを排除しない、1つ以上の要素を意味するように理解される。この定義は、要素が、表現「1つ以上」が参照される要素のリスト内に特に特定される要素以外が、特に特定されたそれらの要素に関連するか関連しないかにかかわらず、随意で存在してよいことも可能とする。
【0113】
特許請求の範囲において請求項要素を修飾するための「第1の」、「第2の」、「第3の」などの序数用語の使用は、それ自体では、別の請求項要素に対する1つの請求項要素のいかなる優先度、順位、もしくは順序も含意しておらず、または方法の作用が行われる時間的な順序も含意しておらず、それらは、単に、特定の名前を有する1つの請求項要素を(序数用語の使用がなければ)同じ名前を有する別の要素から区別するための標識として使用されて、請求項要素を区別する。
【0114】
特許請求の範囲では、上の明細書においてと同様に、「備える(comprising)」、「含む(including)」、「指示する(carrying)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「伴う(involving)」、「保持する(holding)」、「から構成される(composed of)」などのすべての移行句が、無制限であるように(すなわち、含むが限定されないことを意味するように)理解される。移行句「からなる(consisting of)」および「本質的に~からなる(consisting essentially of)」は、それぞれ閉じたまたは半分閉じた移行句である。
図1
図2
図3A
図3B
図4
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