IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ディー・ピー ポーラー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

特許7428724回転軸線回りに回転可能な土台上に少なくとも1つの固体層を製造する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】回転軸線回りに回転可能な土台上に少なくとも1つの固体層を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/321 20170101AFI20240130BHJP
   B29C 64/209 20170101ALI20240130BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20240130BHJP
   B29C 64/245 20170101ALI20240130BHJP
   B29C 64/112 20170101ALI20240130BHJP
   B29C 64/124 20170101ALI20240130BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20240130BHJP
   B29C 64/277 20170101ALI20240130BHJP
   B29C 64/264 20170101ALI20240130BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240130BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240130BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20240130BHJP
【FI】
B29C64/321
B29C64/209
B29C64/393
B29C64/245
B29C64/112
B29C64/124
B29C64/153
B29C64/277
B29C64/264
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021561827
(86)(22)【出願日】2020-04-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-24
(86)【国際出願番号】 EP2020060838
(87)【国際公開番号】W WO2020212564
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2022-10-21
(31)【優先権主張番号】102019002808.2
(32)【優先日】2019-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517393617
【氏名又は名称】ディー・ピー ポーラー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】dp polar GmbH
【住所又は居所原語表記】Daimlerstrasse 32a, D-76344 Eggenstein-Leopoldshafen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ハンス マテア
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-517594(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109094022(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0189435(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定されたジオメトリデータにしたがって、回転軸線(2)回りに回転可能な土台(1)上に少なくとも1つの固体層を製造する方法であって、
a)ノズル流動性の材料の材料ポーションを土台(1)上に放出すべく、材料放出ノズルとして形成されるN個のエミッタ(12)を有するエミッタアッセンブリ(11,11Aないし11D,11A’ないし11D’)を用意し、前記エミッタ(12)は、マトリクス状に、互いに平行にずらされた複数のエミッタカラム(13)内と、互いに平行にずらされ、前記エミッタカラム(13)に対して横方向に延びる複数のエミッタロー(14)内とに配置されており、前記回転軸線(2)の周方向で互いに隣接するエミッタカラム(13)は、それぞれ、前記エミッタカラム(13)の延在方向で、前記エミッタアッセンブリ(11,11Aないし11D,11A’ないし11D’)の個々の前記エミッタ(12)が前記回転軸線(2)に対してそれぞれ異なる半径方向の間隔DA(i)を置いて配置されているように互いにずらされており、このとき:
DA(i)>DA(i+1)
ここで、i∈[1..(N-1)]
が成立し、
b)前記ジオメトリデータに印刷点(P...PM+N)が割り当てられており、前記印刷点(P...PM+N)は、それぞれQ個の印刷点が配置されている相並んで延びる複数の列(20)を有するマトリクス内で:
PA(j)>PA(j+1)
ここで、j∈[M..(M+N-1)]および1≦M≦Q-N
が成立するように互いにずらされており、ここで、PA(j)は、該当する前記列(20)のj番目の前記印刷点Pの、前記回転軸線(2)に対する半径方向の間隔であり、Mは、整数であり、
c)材料が前記土台(1)上に放出されるべき印刷点Pのために、それぞれ少なくとも1つの材料ポーションを、前記エミッタアッセンブリ(11,11Aないし11D,11A’ないし11D’)の、該当する前記印刷点Pに割り当てられた前記エミッタD(12)から放出し、ここで、kは、MとM+N-1との間の整数であり、
d)前記材料ポーションの前記放出を印刷サイクルで実施し、前記印刷サイクルにおいて、前記エミッタアッセンブリを前記材料放出のために、該当する前記印刷サイクルに割り当てられたトリガ箇所(AないしH)でそれぞれ一度トリガし、前記土台(1)と前記エミッタアッセンブリ(11,11Aないし11D,11A’ないし11D’)とを、印刷サイクル毎にその都度、角度間隔(W)の分だけ前記回転軸線(2)に関して互いに相対的にずらし、
e)一列(20)のすべての印刷したい印刷点P...PM+N-1の印刷を、前記エミッタカラム(13)の数より多い数の印刷サイクルで実施し、
f)前記印刷サイクルを、印刷したい各印刷点のために、それぞれ、前記印刷サイクルの前記トリガ箇所(AないしH)の回転ポジションと、前記土台(1)が前記エミッタアッセンブリ(11,11Aないし11D,11A’ないし11D’)に対して相対的に前記トリガ箇所(AないしH)にポジショニングされているときに、印刷したい前記印刷点が前記回転軸線(2)に関して配置されている回転ポジションとの間の角度差が、数値的に前記トリガ箇所(AないしH)間の前記角度間隔(W)の半分以下であるように選択する、
回転軸線回りに回転可能な土台上に少なくとも1つの固体層を製造する方法。
【請求項2】
設定されたジオメトリデータにしたがって、回転軸線(2)回りに回転可能な土台(1)上に少なくとも1つの固体層を製造する方法であって、
a)内部で液状、ペースト状または粉末状の材料(23)からなる少なくとも1つの材料層が土台(1)上に被装される容器(22)を用意し、前記材料(23)に前記材料(23)を固化させる放射を照射すべく、互いに離間していて、前記材料層に対向したN個の放射エミッタ(12)を有するエミッタアッセンブリ(11,11Aないし11D,11A’ないし11D’)を用意し、前記放射エミッタ(12)は、マトリクス状に、互いに平行にずらされた複数のエミッタカラム(13)内と、互いに平行にずらされ、前記エミッタカラム(13)に対して横方向に延びる複数のエミッタロー(14)内とに配置されており、前記回転軸線(2)の周方向で互いに隣接するエミッタカラム(13)は、それぞれ、前記エミッタカラム(13)の延在方向で、前記エミッタアッセンブリ(11,11Aないし11D,11A’ないし11D’)の個々の前記エミッタ(12)が前記回転軸線(2)に対してそれぞれ異なる半径方向の間隔DA(i)を置いて配置されているように互いにずらされており、このとき:
DA(i)>DA(i+1)
ここで、i∈[1..(N-1)]
が成立し、
b)前記ジオメトリデータに印刷点(P...PM+N)が割り当てられており、前記印刷点(P...PM+N)は、それぞれQ個の印刷点が配置されている相並んで延びる複数の列(20)を有するマトリクス内で:
PA(j)>PA(j+1)
ここで、j∈[M..(M+N-1)]および1≦M≦Q-N
が成立するように互いにずらされており、ここで、PA(j)は、該当する前記列(20)のj番目の前記印刷点Pの、前記回転軸線(2)に対する半径方向の間隔であり、Mは、整数であり、
c)前記固体層があるべき印刷点Pのために、それぞれ、前記エミッタアッセンブリ(11,11Aないし11D,11A’ないし11D’)の、該当する前記印刷点Pに割り当てられた前記エミッタD(12)から、放射(21)を前記材料(23)上に放出し、ここで、kは、MとM+N-1との間の整数であり、
d)前記材料(23)の前記照射を印刷サイクルで実施し、前記印刷サイクルにおいて、前記エミッタアッセンブリ(11,11Aないし11D,11A’ないし11D’)を前記照射のために、該当する前記印刷サイクルに割り当てられたトリガ箇所(AないしH)でそれぞれ一度トリガし、前記土台(1)と前記エミッタアッセンブリ(11,11Aないし11D,11A’ないし11D’)とを、印刷サイクル毎にその都度、角度間隔(W)の分だけ前記回転軸線(2)に関して互いに相対的にずらし、
e)一列(20)のすべての印刷したい印刷点P...PM+N-1の印刷を、前記エミッタカラム(13)の数より多い数の印刷サイクルで実施し、
f)前記印刷サイクルを、印刷したい各印刷点のために、それぞれ、前記印刷サイクルの前記トリガ箇所(AないしH)の回転ポジションと、前記土台(1)が前記エミッタアッセンブリ(11,11Aないし11D,11A’ないし11D’)に対して相対的に前記トリガ箇所(AないしH)にポジショニングされているときに、印刷したい前記印刷点が前記回転軸線(2)に関して配置されている回転ポジションとの間の角度差が、数値的に前記トリガ箇所(AないしH)間の前記角度間隔(W)の半分以下であるように選択する、
回転軸線回りに回転可能な土台上に少なくとも1つの固体層を製造する方法。
【請求項3】
前記マトリクスは、デカルトマトリクスであり、前記印刷点が互いにずらされている前記列(20)は、互いに平行に延びることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記マトリクスは、極マトリクスであり、前記印刷点が互いにずらされている前記列(20)は、前記回転軸線に対して半径方向で配置されており、好ましくは、互いに隣接する列(20)は、それぞれ、前記トリガ箇所(AないしH)の前記角度間隔(W)を置いて互いにずらされていることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項5】
前記印刷サイクルの数に相当する数の直接連続するトリガ箇所(AないしH)について、それぞれ、前記エミッタアッセンブリ(11,11Aないし11D,11A’ないし11D’)がその印刷用に設定されている各印刷点P...PM+N-1のための該当するトリガ箇所(AないしH)のために、該当する前記印刷点P...PM+N-1に印刷サイクルを割り当て、以後、前記割り当てに応じて、それぞれ、個々の前記列(20)のために、前記エミッタアッセンブリ(11,11Aないし11D,11A’ないし11D’)がその印刷用に設定されている印刷したい各印刷点P...PM+N-1に印刷サイクルを割り当て、前記エミッタアッセンブリ(11,11Aないし11D,11A’ないし11D’)を、それぞれ、該当する印刷サイクルに割り当てられた前記トリガ箇所(AないしH)の到達時にトリガすることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
a)前記ジオメトリデータがプールされるデータ記憶装置(19)を用意し、
b)リングバッファであって、少なくとも前記印刷サイクルの数に相当する数のバッファスペースを有し、前記バッファスペースは、それぞれ、前記エミッタアッセンブリ(11,11Aないし11D,11A’ないし11D’)の前記エミッタ(12)の数(N)に相当する数のバッファロケーションを有し、前記バッファロケーションの各々は、それぞれ1つのエミッタ(12)に割り当てられている、リングバッファを用意し、
c)前記印刷サイクルの数に相当する数の直に連続する印刷サイクルのために、前記印刷サイクルの各々に前記バッファスペースのそれぞれ1つを割り当て、
d)前記データ記憶装置(19)内にプールされた印刷点の第1の列(20)のために、前記エミッタアッセンブリ(11,11Aないし11D,11A’ないし11D’)の前記エミッタ(12)の数(N)に相当する数の印刷点であって、前記エミッタアッセンブリ(11,11Aないし11D,11A’ないし11D’)がその印刷用に設定されている印刷点を、前記データ記憶装置(19)から読み出し、
e)前記第1の列(20)の前記印刷点に割り当てられた前記エミッタ(12)のために、前記リングバッファの、前記エミッタ(12)に割り当てられた前記バッファロケーション内に、該当する前記印刷点に割り当てられた前記エミッタ(12)が、該当する前記バッファスペースに割り当てられた前記印刷サイクルで作動されるべきか否かを表示するそれぞれ1つの作動値をプールし、
f)前記データ記憶装置(19)内にプールされた印刷点のさらなる列(20)のために、前記エミッタアッセンブリの前記エミッタ(12)の数(N)に相当する数の印刷点であって、前記エミッタアッセンブリ(11,11Aないし11D,11A’ないし11D’)がその印刷用に設定されている印刷点を、前記データ記憶装置(19)から読み出し、
g)前記さらなる列(20)の前記印刷点に割り当てられた前記エミッタ(12)のために、前記リングバッファの、前記エミッタ(12)に割り当てられた前記バッファロケーション内に、該当する前記印刷点に割り当てられた前記エミッタ(12)が、該当する前記バッファスペースに割り当てられた前記印刷サイクルで作動されるべきか否かを表示するそれぞれ1つの作動値をプールし、
h)前記印刷サイクルの数に相当する数の列(20)のために、それぞれ、前記エミッタの数(N)に相当する数の印刷点が前記データ記憶装置(19)から読み出され、かつ前記印刷点のために相応の作動値がリングバッファ内にプールされるまで、前記ステップf)およびg)を繰り返し、
i)前記土台(1)と前記エミッタアッセンブリ(11,11Aないし11D,11A’ないし11D’)とを、そのバッファスペース内に最後に作動値がプールされた前記印刷サイクルに割り当てられた前記トリガ箇所(AないしH)に、互いに相対的にポジショニングし、前記エミッタアッセンブリ(11,11Aないし11D,11A’ないし11D’)の前記エミッタ(12)を、前記バッファスペース内にプールされた前記作動値に応じて駆動制御し、
j)少なくとも1つのさらなる印刷点をなおも印刷すべきであれば、
-前記土台(1)と前記エミッタアッセンブリとが最後に前記エミッタ(12)のトリガのために互いに相対的にポジショニングされた前記トリガ箇所(AないしH)が割り当てられた前記バッファスペースが、1番目のバッファスペースとなるように、前記バッファスペースを周期的に置き換え、以後、
-前記ステップf)ないしj)を繰り返す、
ことを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記エミッタアッセンブリ(11,11Aないし11D,11A’ないし11D’)に、前記エミッタアッセンブリ(11,11Aないし11D,11A’ないし11D’)の各エミッタ(12)のためにそれぞれ1つのバッファロケーションが設けられている印刷バッファを割り当て、各印刷サイクルにおいて、それぞれ、各エミッタ(12)のために、前記ジオメトリデータに応じて作動信号を、前記印刷バッファの、該当する前記エミッタ(12)に割り当てられた前記バッファロケーション内にプールし、前記エミッタアッセンブリ(11,11Aないし11D,11A’ないし11D’)をその後、個々の前記エミッタ(12)が、前記エミッタ(12)に割り当てられた前記バッファロケーション内にプールされた前記作動信号に応じて駆動制御されるように、前記印刷サイクルにおいてトリガすることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記回転軸線(2)に対して同心に配置され、それぞれ内側の円軌道と外側の円軌道とにより画定される複数の印刷リングを印刷すべく、少なくとも第1および第2のエミッタアッセンブリ(11,11Aないし11D,11A’ないし11D’)を用意し、前記エミッタアッセンブリ(11,11Aないし11D,11A’ないし11D’)を、前記第1のエミッタアッセンブリ(11,11Aないし11D,11A’ないし11D’)の前記内側の円軌道と前記外側の円軌道との算術平均値が、前記第2のエミッタアッセンブリ(11,11Aないし11D,11A’ないし11D’)の前記内側の円軌道と前記外側の円軌道との算術平均値とは異なっているように、前記回転軸線(2)に対して相対的にポジショニングし、前記第1のエミッタアッセンブリ(11,11Aないし11D,11A’ないし11D’)には、前記第2のエミッタアッセンブリ(11,11Aないし11D,11A’ないし11D’)とは別の数Mを割り当てることを特徴とする、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記エミッタアッセンブリ(11,11Aないし11D,11A’ないし11D’)の前記エミッタカラム(13)を、前記回転軸線(2)と、前記回転軸線(2)に対する垂線とにより規定されるラジアル平面に対して対称に、前記エミッタカラム(13)が前記ラジアル平面に対して平行に延びるように配置することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記回転軸線(2)に関して任意の回転角度の分だけ互いにずらされている少なくとも2つのエミッタアッセンブリ(11,11Aないし11D,11A’ないし11D’)を用意し、個々の前記エミッタアッセンブリ(11,11Aないし11D,11A’ないし11D’)の前記エミッタ(12)をそれぞれ、材料ポーションを施装するために、請求項1から8までの少なくとも1項にしたがって制御することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記エミッタカラム(13)内で互いに隣接するエミッタ(12)は、互いに一定の第1のパターン間隔を置いてずらされており、互いに隣接するエミッタカラム(13)は、それぞれ、互いに一定の第2のパターン間隔を置いてずらされていることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
3次元の成形対象物(17Aないし17D)を製造すべく、ノズル流動性の前記材料の複数の材料層を重ねるように施装し、前記エミッタアッセンブリ(11,11Aないし11D,11A’ないし11D’)と前記土台(1)との間の間隔を、層毎にその都度、最後に施装した前記材料層の厚さの分だけ拡大させ、各材料層をその施装後、この材料層上に別の材料層を施装する前にその都度固化させることを特徴とする、請求項1または請求項1を引用する請求項3から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
3次元の成形対象物(17A,17B,17C,17D)を製造すべく、前記液状、ペースト状または粉末状の材料の複数の材料層を重ねて前記エミッタアッセンブリ(11,11A,11B,11C,11D)により照射することで固化させることを特徴とする、請求項2または請求項2を引用する請求項3から11までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設定されたジオメトリデータにしたがって、回転軸線回りに回転可能な土台上に少なくとも1つの固体層を製造する方法に関する。
【0002】
米国特許出願公開第2004/0265413号明細書において公知の方法では、直角の座標系の印刷点として記憶装置内に格納されたジオメトリデータを、座標変換装置により極座標に変換している。本方法では、液状の材料の材料ポーションを土台上に放出するために用いられる、互いに離間していて、ノズルとして形成されるそれぞれ複数のエミッタを有する2つのエミッタアッセンブリを有する3Dプリンタを用意する。土台は、円盤形に構成されており、駆動部により回転軸線回りにエミッタアッセンブリに対して相対的に回転ポジショニング可能である。エンコーダにより、エミッタアッセンブリと土台との間の相対ポジションのための回転位置信号が生成される。
【0003】
さらに土台は、鉛直の方向でノズルアッセンブリに対して相対的にポジショニング可能である。これにより、土台を印刷プロセス中、1回転につき、その都度、最後に施装した材料層の厚さの分だけ、ノズルアッセンブリに対して相対的に下降させることが可能であり、これにより、この材料層上に別の材料層を被装し、ひいては層状に成形対象物を製造することが可能である。
【0004】
各エミッタアッセンブリは、市販の印刷ヘッドを多数有しており、印刷ヘッドは、スライドガイドに配置される印刷ヘッドキャリア上で回転軸線に対して半径方向でインクリメンタルに移動可能である。これにより、機能しない印刷ヘッド、噴射不良または誤ってポジショニングされたエミッタによって引き起こされる可能性がある印刷時の不整は、エミッタアッセンブリのポジションが層毎に変更されることで、修正されるはずである。エミッタの機能不全によって引き起こされている欠陥は、これにより、印刷された個々の層においてそれぞれ違う箇所に配置されており、均される。さらにエミッタアッセンブリは、印刷ヘッドキャリアにより印刷ポジション、診断ポジションおよびサービスポジション間で配置可能であり、印刷ポジションでは、エミッタは、土台の上方に配置され、診断ポジションでは、エミッタは、土台の横に存在する診断装置にポジショニングされ、サービスポジションでは、エミッタは、土台の横であって、かつ診断ポジションの横にポジショニングされている。サービスポジションでは、エミッタのクリーニングまたは交換が可能である。
【0005】
エミッタアッセンブリのエミッタが具体的にどのように配置されていて、印刷中、どのように駆動制御されるかは、上述の出願公開明細書には、その詳細は開示されていない。
【0006】
実際の使用現場において、さらに、保持部を有しており、保持部には、略長方形の、一水平平面内に延在する土台が、層状の材料施装により製造すべき成形対象物を受けるために配置されている3Dプリンタが公知である。このプリンタは、成形対象物をデカルト座標マトリクス内で印刷するために用いられる。成形対象物のために、デカルト座標マトリクス内に位置する印刷点に割り当てられたジオメトリデータが用意される。
【0007】
土台の上方には、印刷ヘッドが保持部に配置されており、印刷ヘッドは、流動性のある材料の材料ポーションを土台上に放出するノズルアッセンブリを有しており、ノズルアッセンブリは、以下では、エミッタアッセンブリとも称呼する。エミッタアッセンブリは、ノズルとして形成される多数のエミッタを有しており、エミッタは、マトリクス状に、互いに平行にずらされた複数のエミッタカラム内と、互いに平行にずらされ、エミッタカラムに対して横方向に延びる複数のエミッタロー内とに、斜角の直線の座標系内で配置されている。互いに隣接するエミッタカラムは、それぞれ、エミッタカラムの延在方向で互いにずらされており、このずれは、エミッタがエミッタカラム内で有しているずれより小さい。エミッタカラムは、長方形の土台の短辺である両縁部に対して平行に延びている(X軸)。エミッタは、エミッタアッセンブリの各エミッタが、長方形の土台の短辺である両縁部に対して平行に延びる方向でデカルト座標マトリクスの別のXポジションに位置するように配置されている。その際、座標マトリクスの各Xポジションには、それぞれ、エミッタアッセンブリの正確に1つのエミッタが割り当てられている。
【0008】
エミッタアッセンブリは、保持部に配置される第1の位置決め装置により土台の長手方向延在に対して平行にY方向で移動可能であり、互いに離れた短辺である両縁部間を往復走行可能である。長方形の土台の短辺である両縁部に対して平行にX軸の方向で延びる線上に位置する、互いに直接隣接する印刷点が、エミッタアッセンブリのそれぞれ異なるエミッタカラム内に配置されたノズルにより印刷されるので、印刷ヘッドは、線の互いに隣接する印刷点を印刷する際、それぞれ異なるエミッタカラムがX軸の方向で有しているずれが補償されるように、それぞれ異なるXポジションにポジショニングされる。これにより、X方向で直接相並んで配置された印刷点は、一部領域でオーバラップするように密に互いにずらされて土台上に印刷され得る。それにもかかわらず、エミッタアッセンブリのエミッタは、空間的に互いに離隔され、エミッタ間に、エミッタをノズル流動性の材料のためのリザーバに接続する流路および/または導電路を配置することが可能な程度、互いに離間している。
【0009】
エミッタアッセンブリのエミッタは、ノズル流動性の材料のためのリザーバとともに土台に対して相対的に可動である。印刷ヘッドに隣接して、固定装置が配置されており、固定装置は、エミッタアッセンブリにより施装された材料層を架橋あるいは固化させるべく、紫外光源を有している。固定装置は、印刷ヘッドとともに土台に対して相対的に可動である。
【0010】
従前公知の3Dプリンタは、さらに第2の位置決め装置を有しており、第2の位置決め装置により土台は、土台が延在する平面に対して垂直に印刷ヘッドに向かって、かつ印刷ヘッドから離れるように可動、つまり高さについてポジショニング可能である。
【0011】
成形対象物を製造すべく、印刷ヘッドは、土台の第1の縁部に隣接して土台の上方に所定の間隔を置いてポジショニングされる。製造したい成形対象物のためのジオメトリデータがプールされているデータ記憶装置から、第1の材料層のジオメトリについてのデータが、高速の印刷バッファ内にロードされる。その後、印刷ヘッドは、第1の位置決め装置により連続的に土台の反対側の第2の縁部に向かって走行させられる。同時にエミッタアッセンブリの個々のエミッタの相応の駆動制御により、土台上で成形対象物の第1の材料層が形成されるべき箇所において、それぞれ1つの材料ポーションが土台上に放出される。個々のエミッタの駆動制御は、印刷ヘッドの目下のポジションに応じて、かつ印刷バッファ内に存在するデータに応じて実施される。こうして土台上に施装された流動性のある材料は、固定装置により発生される紫外光を照射することで固化される。
【0012】
印刷ヘッドが土台の第2の縁部に到着すると、印刷ヘッドの水平の送り運動は、停止され、データ記憶装置から、先に生成された材料層上に施装すべき別の材料層のためのジオメトリデータが、印刷バッファ内にロードされる。さらに土台は、第2の位置決め装置により、先に生成された材料層の厚さに相当する寸法の分だけ、この材料層上に別の材料層を施装するために、下降される。而るに印刷ヘッドは、第1の位置決め装置により連続的に土台の第1の縁部に向かって移動される。同時に、エミッタの相応の駆動制御により、別の材料層が形成されるべき箇所において、それぞれ1つの材料滴が、既に製造された材料層上に放出される。こうして土台上に施装された流動性のあるポリマー材料は、再び、固定装置により発生される紫外光を照射することで固化される。
【0013】
この方法は、土台の縁部に設けられた付属物を含めた印刷ヘッドモジュールの停止および加速のために、印刷のために使用できない時間が必要とされるという欠点を有している。この停止および加速は、印刷面積が比較的小さいものから、中間的なものまでは、総印刷時間の50%まで要求し、それゆえ、この方法の生産性を著しく低下させてしまうことがある。さらに、重量のある印刷ヘッドと、印刷ヘッドに結合された比較的大きなかつ重量のある部品、例えば、流動性のある材料貯蔵が内部に存在するリザーバと、摩耗しやすいケーブル引き回しと、固定装置とは、1つの材料層を製造する度に止められ、さらなる材料層が施装されるべき際には、反対方向に加速されなければならない。その際に生じる加速力により、位置決め装置の機構には負荷がかかり、このことは、位置決め装置の軸受およびガイドにおける相応の摩耗に至らしめ、ひいてはプリンタの精度を損ねてしまう。
【0014】
それゆえ課題は、少なくとも1つの固体層を、記憶装置内に格納されたジオメトリデータに応じて、エミッタが斜角の直線の座標系内に配置されているエミッタアッセンブリにより、簡単に迅速に製造することを可能にする、冒頭で述べた形態の方法を提示することにある。さらに本方法は、ジオメトリデータにしたがって印刷されるべき、密に互いに隣接するかつ/または一部領域でオーバラップする多数の印刷点から構成される個々の半径方向の線を、許容可能な印刷品質で土台上に施装可能であることが望ましい。最後に本方法は、低コストにも実施可能であることが望ましい。
【0015】
上記課題は、請求項1の特徴により解決される。請求項1の特徴によれば、設定されたジオメトリデータにしたがって、回転軸線回りに回転可能な土台上に少なくとも1つの固体層を製造する方法であって、
a)ノズル流動性の材料の材料ポーションを土台上に放出すべく、材料放出ノズルとして形成されるN個のエミッタを有するエミッタアッセンブリを用意し、エミッタは、マトリクス状に、互いに平行にずらされた複数のエミッタカラム内と、互いに平行にずらされ、エミッタカラムに対して横方向に延びる複数のエミッタロー内とに配置されており、回転軸線の周方向で互いに隣接するエミッタカラムは、それぞれ、エミッタカラムの延在方向で、エミッタアッセンブリの個々のエミッタが回転軸線に対してそれぞれ異なる半径方向の間隔DA(i)を置いて配置されているように互いにずらされており、このとき:
DA(i)>DA(i+1)
ここで、i∈[1..(N-1)]
が成立し、
b)ジオメトリデータに印刷点P...PM+Nが割り当てられており、印刷点P...PM+Nは、それぞれQ個の印刷点が配置されている相並んで延びる複数の列を有するマトリクス内で:
PA(j)>PA(j+1)
ここで、j∈[M..(M+N-1)]および1≦M≦Q-N
が成立するように互いにずらされており、ここで、PA(j)は、該当する列のj番目の印刷点Pの、回転軸線に対する半径方向の間隔であり、Mは、整数であり、
c)材料が土台上に放出されるべき印刷点Pのために、それぞれ少なくとも1つの材料ポーションを、エミッタアッセンブリの、該当する印刷点Pに割り当てられたエミッタDから放出し、ここで、kは、MとM+N-1との間の整数であり、
d)材料ポーションの放出を印刷サイクルで実施し、印刷サイクルにおいて、エミッタアッセンブリを材料放出のために、該当する印刷サイクルに割り当てられたトリガ箇所でそれぞれ一度トリガし、印刷土台とエミッタアッセンブリとを、印刷サイクル毎にその都度、角度間隔の分だけ回転軸線に関して互いに相対的にずらし、
e)一列のすべての印刷したい印刷点P...PM+N-1の印刷を、エミッタカラムの数より多い数の印刷サイクルで実施し、
f)印刷サイクルを、印刷したい各印刷点のために、それぞれ、印刷サイクルのトリガ箇所の回転ポジションと、土台がエミッタアッセンブリに対して相対的にトリガ箇所にポジショニングされているときに、印刷したい印刷点が回転軸線に関して配置されている回転ポジションとの間の角度差が、数値的にトリガ箇所間の角度間隔の半分以下であるように選択するようにした。
【0016】
前述の課題は、請求項2の特徴によっても解決される。請求項2の特徴によれば、設定されたジオメトリデータにしたがって、回転軸線回りに回転可能な土台上に少なくとも1つの固体層を製造する方法であって、
a)内部で液状、ペースト状または粉末状の材料からなる少なくとも1つの材料層が土台上に被装される容器を用意し、材料に材料を固化させる放射を照射すべく、互いに離間していて、材料層に対向したN個の放射エミッタを有するエミッタアッセンブリを用意し、放射エミッタは、マトリクス状に、互いに平行にずらされた複数のエミッタカラム内と、互いに平行にずらされ、エミッタカラムに対して横方向に延びる複数のエミッタロー内とに配置されており、回転軸線の周方向で互いに隣接するエミッタカラムは、それぞれ、エミッタカラムの延在方向で、エミッタアッセンブリの個々のエミッタが回転軸線に対してそれぞれ異なる半径方向の間隔DA(i)を置いて配置されているように互いにずらされており、このとき:
DA(i)>DA(i+1)
ここで、i∈[1..(N-1)]
が成立し、
b)ジオメトリデータに印刷点が割り当てられており、印刷点は、それぞれQ個の印刷点が配置されている相並んで延びる複数の列を有するマトリクス内で:
PA(j)>PA(j+1)
ここで、j∈[M..(M+N-1)]および1≦M≦Q-N
が成立するように互いにずらされており、ここで、PA(j)は、該当する列のj番目の印刷点Pの、回転軸線に対する半径方向の間隔であり、Mは、整数であり、
c)固体層があるべき印刷点Pのために、それぞれ、エミッタアッセンブリの、該当する印刷点Pに割り当てられたエミッタDから、放射を材料上に放出し、ここで、kは、MとM+N-1との間の整数であり、
d)材料の照射を印刷サイクルで実施し、印刷サイクルにおいて、エミッタアッセンブリを照射のために、該当する印刷サイクルに割り当てられたトリガ箇所でそれぞれ一度トリガし、土台とエミッタアッセンブリとを、印刷サイクル毎にその都度、角度間隔の分だけ回転軸線に関して互いに相対的にずらし、
e)一列のすべての印刷したい印刷点P...PM+N-1の印刷を、エミッタカラムの数より多い数の印刷サイクルで実施し、
f)印刷サイクルを、印刷したい各印刷点のために、それぞれ、印刷サイクルのトリガ箇所の回転ポジションと、土台がエミッタアッセンブリに対して相対的にトリガ箇所にポジショニングされているときに、印刷したい印刷点が回転軸線に関して配置されている回転ポジションとの間の角度差が、数値的にトリガ箇所間の角度間隔の半分以下であるように選択するようにした。
【0017】
本発明により、つまり、印刷したい各印刷点をそれぞれ1つのエミッタと1つの印刷サイクルとに割り当てる。エミッタの割り当ては、この場合、該当する印刷点に、例えばエミッタの出口開口の面の重心と回転軸線との間の半径方向の間隔が、回転軸線に対する印刷点の半径方向の間隔と一致しているそれぞれ1つのエミッタが割り当てられ、またはこのようなエミッタが存在しないのであれば、この印刷点に、例えばエミッタの出口開口の面の重心と回転軸線との間の半径方向の間隔が、回転軸線に対する印刷点の半径方向の間隔とできる限り良好に一致しているエミッタが割り当てられるように実施される。
【0018】
印刷サイクルの割り当ては、印刷点に対して、請求項1記載の解決手段では、エミッタにより材料ポーションが印刷点のために土台上に放出され、あるいは請求項2記載の解決手段では、容器内に存在する液状、ペースト状または粉末状の材料が照射されるトリガ箇所の回転ポジションと、印刷したい印刷点の回転ポジションとが一致するように、またはこのようなトリガ箇所が存在しないのであれば、印刷したい印刷点の回転ポジションとできる限り良好に一致する回転ポジションを占めるトリガ箇所が、その印刷点に割り当てられるように、実施される。この措置により、印刷したい個々の半径方向の線が、印刷後、人間の眼に個々の半径方向の線として知覚されることが可能となる。特に、個々の半径方向の線が人間の眼にV字形または複数の線として知覚されてしまうことは、回避される。
【0019】
土台とノズルアッセンブリとが、印刷中、回転軸線回りに互いに相対的に回転する(このことは、極座標マトリクス内での印刷に相当する)にもかかわらず、ノズルアッセンブリとして、本来はデカルト座標マトリクス内での印刷のために設けられている印刷ヘッドが使用される。エミッタが斜角の直線の座標マトリクス内に配置されているこのような印刷ヘッドは、エミッタが極マトリクス内に配置されている印刷ヘッドと比較して、大量生産品として低コストで入手可能という利点を有している。これにより本発明に係る方法は、低コストに実施され、それにもかかわらず本方法は、少なくとも回転軸線に対して半径方向で配置される線を印刷する際の高い印刷品質を可能にする。
【0020】
印刷点とは、相応のジオメトリデータの存在時、かつ場合によってはさらなる条件の存在時、請求項1記載の解決手段では、少なくとも1つの材料ポーションが土台上に放出され、あるいは請求項2記載の解決手段では、液状、ペースト状または粉末状の材料が照射される箇所と解される。而して、例えば請求項1記載の解決手段では、土台の、回転軸線の近傍に配置されている領域に、回転軸線からさらに遠く離れた領域におけるより大きな角度間隔を、互いに隣接する材料放出箇所間に設けることが、合目的的な場合がある。このより大きな角度間隔は、最初に挙げた方の領域では全部の印刷点は印刷しないことによって達成されてもよい。この措置により、土台の、回転軸線からそれぞれ異なる距離で離れた領域において、材料が略同じ層厚さで施装され得る。このための相応の方法は、国際公開第2016/180842号に記載されている。
【0021】
ジオメトリデータは、好ましくはビットマップとしてプールされており、請求項1記載の解決手段では、印刷点毎に1つの材料放出値を有していることができる。材料放出値は、最も簡単な場合、2つの状態を有していることができ、例えば、印刷点で少なくとも1つの材料ポーションが土台上に施装されるべきときは、論理値「1」を有し、印刷点で材料が施装されるべきでないときは、論理値「0」を有している。個々の印刷点のためにそれぞれ異なる材料量が土台上に放出されるべきときは、材料放出値は、2つより多くの状態を有していてもよい。必要であれば、ジオメトリデータは、印刷点のポジションのための座標を有していてもよい。材料が土台上に施装されるべき印刷点のためにだけ、座標が提供されることも可能である。材料放出値は、この場合、省略可能である。
【0022】
本発明の一実施の形態では、マトリクスは、デカルトマトリクスであり、印刷点が互いにずらされている列は、互いに平行に延びる。本方法の本構成では、印刷したい個々の半径方向の線を、それが、印刷後、ある程度離れた人間の眼には、個々の半径方向の線として知覚されるように印刷する。半径方向で延びていない真っ直ぐな線には、反りの形態の歪みが現れることがある。而して、例えば回転軸線に対して半径方向で方向付けられ、かつ土台に対して平行に延びている線に対して直角に配置されている真っ直ぐな線は、回転軸線に対して同心の円線として印刷される。
【0023】
本発明の好ましい一構成では、マトリクスは、極マトリクスであり、印刷点が互いにずらされている列は、回転軸線に対して半径方向で配置されており、好ましくは、互いに隣接する列は、それぞれ、トリガ箇所の角度間隔を置いて互いにずらされている。この場合、それどころか、印刷点が初めはデカルトマトリクス内に配置されており、その後、極マトリクスに変換されることが可能である。これにより、印刷したい印刷点の、ジオメトリデータにしたがって予定されたポジションと、ノズルにより材料ポーションが印刷点のために土台上に施装される箇所との間の良好な一致が達成される。すなわち固体層は、少ない歪みで印刷され得る。
【0024】
合目的的には、印刷サイクルの数に相当する数の直接連続するトリガ箇所について、それぞれ、エミッタアッセンブリがその印刷用に設定されている各印刷点P...PM+N-1のための該当するトリガ箇所のために、該当する印刷点P...PM+N-1に印刷サイクルを割り当て、以後、この割り当てに応じて、それぞれ、個々の列のために、エミッタアッセンブリがその印刷用に設定されている印刷したい各印刷点P...PM+N-1に印刷サイクルを割り当て、エミッタアッセンブリを、それぞれ、該当する印刷サイクルに割り当てられたトリガ箇所の到達時にトリガする。印刷サイクルに対する印刷点の割り当ては、つまり、印刷サイクルの数に相当する数の印刷点列のためだけに求められればよく、以後、印刷点を有するすべてのさらなる列のために使用可能である。印刷点に対する印刷サイクルの割り当ては、ハードウェア回路により実施可能である。しかし、割り当てを、マイクロコンピュータまたはこれに類する制御部上で走る運転プログラムにより実施することも可能である。
【0025】
本発明の一発展形では、
a)ジオメトリデータがプールされるデータ記憶装置を用意し、
b)リングバッファであって、少なくとも印刷サイクルの数に相当する数のバッファスペースを有し、バッファスペースは、それぞれ、エミッタアッセンブリのエミッタの数(N)に相当する数のバッファロケーションを有し、バッファロケーションの各々は、それぞれ1つのエミッタに割り当てられている、リングバッファを用意し、
c)印刷サイクルの数に相当する数の直に連続する印刷サイクルのために、これらの印刷サイクルの各々にバッファスペースのそれぞれ1つを割り当て、
d)データ記憶装置内にプールされた印刷点の第1の列のために、エミッタアッセンブリのエミッタの数に相当する数の印刷点であって、エミッタアッセンブリがその印刷用に設定されている印刷点を、データ記憶装置から読み出し、
e)第1の列の印刷点に割り当てられたエミッタのために、リングバッファの、エミッタに割り当てられたバッファロケーション内に、該当する印刷点に割り当てられたエミッタが、該当するバッファスペースに割り当てられた印刷サイクルで作動されるべきか否かを表示するそれぞれ1つの作動値をプールし、
f)さらなる列のために、エミッタアッセンブリのエミッタの数(N)に相当する数の印刷点であって、エミッタアッセンブリがその印刷用に設定されている印刷点のためのジオメトリデータを、データ記憶装置から読み出し、
g)さらなる列の印刷点に割り当てられたエミッタのために、リングバッファの、エミッタに割り当てられたバッファロケーション内に、該当する印刷点に割り当てられたエミッタが、該当するバッファスペースに割り当てられた印刷サイクルで作動されるべきか否かを表示するそれぞれ1つの作動値をプールし、
h)印刷サイクルの数に相当する数の列のために、それぞれ、エミッタの数(N)に相当する数の印刷点がデータ記憶装置から読み出され、かつこれらの印刷点のために相応の作動値がリングバッファ内にプールされるまで、ステップf)およびg)を繰り返し、
i)土台とエミッタアッセンブリとを、そのバッファスペース内に最初に作動値がプールされた印刷サイクルに割り当てられたトリガ箇所(AないしH)に、互いに相対的にポジショニングし、エミッタアッセンブリのエミッタを、このバッファスペース内にプールされた作動値に応じて駆動制御し、
j)少なくとも1つのさらなる印刷点をなおも印刷すべきであれば、
-土台とエミッタアッセンブリとが最後にエミッタのトリガのために互いに相対的にポジショニングされたトリガ箇所(AないしH)が割り当てられたバッファスペースが、1番目のバッファスペースとなるように、バッファスペースを周期的に置き換え、以後、
-ステップf)ないしj)を繰り返すようにした。
【0026】
本方法は、これにより省バッファスペースに簡単に実施可能である。合目的的には、エミッタアッセンブリに、エミッタアッセンブリの各エミッタのためにそれぞれ1つのバッファロケーションが設けられている印刷バッファを割り当て、各印刷サイクルにおいて、それぞれ、各エミッタのために、ジオメトリデータに応じて作動信号を、印刷バッファの、該当するエミッタに割り当てられたバッファロケーション内にプールし、エミッタアッセンブリをその後、個々のエミッタが、エミッタに割り当てられたバッファロケーション内にプールされた作動信号に応じて駆動制御されるように、印刷サイクルにおいてトリガする。これにより、操作されるべきすべてのエミッタが、トリガの発生時、同時に駆動制御されることが保証される。
【0027】
本発明の好ましい一実施の形態では、回転軸線に対して同心に配置され、それぞれ内側の円軌道と外側の円軌道とにより画定される複数の印刷リングを印刷すべく、少なくとも第1および第2のエミッタアッセンブリを用意し、これらのエミッタアッセンブリを、第1のエミッタアッセンブリの内側の円軌道と外側の円軌道との算術平均値が、第2のエミッタアッセンブリの内側の円軌道と外側の円軌道との算術平均値とは異なっているように、回転軸線に対して相対的にポジショニングし、第1のエミッタアッセンブリには、第2のエミッタアッセンブリとは別の数Mを割り当てる。土台は、つまり、2つ以上の、回転軸線に対してそれぞれ異なる間隔を置いて配置されるエミッタアッセンブリによって同時にプリントされることも可能である。個々のエミッタアッセンブリは、この場合、好ましくは、それぞれモジュールまたは印刷ヘッドとして構成されている。この場合、それどころか、各印刷ヘッドにそれぞれ固有の印刷バッファを割り当てることが可能である。エミッタが、回転軸線に対して半径方向で配置される放射線上で互いにずらされている極座標系の印刷装置とは異なり、個々のエミッタアッセンブリのローおよびカラムがそれぞれ互いに平行に延びているため、それぞれ異なる印刷リングに割り当てられているエミッタアッセンブリあるいは印刷ヘッドは、同一構造に構成されていることが可能である。このことは、本方法の簡単かつ低コストの実施を可能にする。相応の数の印刷ヘッドが存在していれば、本方法により略任意の大きさの表面を有する土台のプリントが可能である。好ましくは、互いに隣接して配置される印刷リングは、半径方向で土台の隙間なしのプリントが可能であるように、互いに隣り合い、または若干重なっている。
【0028】
エミッタアッセンブリのエミッタカラムを、回転軸線と、回転軸線に対する垂線とにより規定されるラジアル平面に対して対称に、エミッタカラムがこのラジアル平面に対して平行に延びるように配置すると、有利である。エミッタアッセンブリが奇数のエミッタカラムを有しているとき、エミッタカラムの配置は、好ましくは、真ん中のエミッタカラムまたはその真っ直ぐな延長線が回転軸線を通るようにする。印刷ヘッドアッセンブリが偶数のエミッタカラムを有しているとき、回転軸線は、好ましくは、最も内側の2つのエミッタカラムあるいはそれらの真っ直ぐな延長線間の中間に配置されている。
【0029】
本発明の別の有利な一実施の形態では、回転軸線に関して任意の回転角度の分だけ互いにずらされている少なくとも2つのエミッタアッセンブリを用意し、個々のエミッタアッセンブリのエミッタをそれぞれ、材料ポーションを施装するために、請求項1から9までの少なくとも1項にしたがって制御する。これにより土台のプリントが可能である。個々のエミッタアッセンブリにより、請求項1記載の解決手段では、それぞれ異なる材料が土台上に施装され得る。この場合、エミッタアッセンブリは、好ましくは、回転軸線に対して同じ間隔を置いて配置されている。しかし、回転軸線に関して任意の回転角度の分だけ互いにずらされたエミッタアッセンブリにより、同じ材料を土台上に施装することも可能である。この場合、エミッタアッセンブリと回転軸線との間の半径方向の間隔は、土台が半径方向で中断なしに材料によりコーティングされ得るように選択され得る。
【0030】
好ましくは、エミッタカラム内で互いに隣接するエミッタは、互いに一定の第1のパターン間隔を置いてずらされており、互いに隣接するエミッタカラムは、それぞれ、互いに一定の第2のパターン間隔を置いてずらされており、第1のパターン間隔は、20パーセント未満、特に10パーセント未満の分だけエミッタカラムの数と第2のパターン間隔との積から偏差し、特にこの積と一致する。これにより、印刷時の歪みは、さらに減少され得る。
【0031】
本発明に係る方法により、3次元の成形対象物が製造され得る。このために、材料をノズルにより施装する方法では、ノズル流動性の材料の複数の材料層を重ねるように施装し、ノズルアッセンブリと土台との間の間隔を、層毎にその都度、最後に施装した材料層の厚さの分だけ拡大させ、各材料層をその施装後、この材料層上に別の材料層を施装する前にその都度固化させる。材料が架橋可能なポリマー素材であるとき、材料の固化は、例えば、好適な波長のUV光を照射することで達成され得る。請求項2記載の方法では、3次元の成形対象物を製造すべく、液状、ペースト状または粉末状の材料の複数の材料層を重ねてエミッタアッセンブリにより照射することで全面的かつ/または領域的に固化させる。本方法は、多数の材料層の高速かつ中断なしの施装を可能にする。
【0032】
以下に本発明の実施例について図面を基に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】ノズル流動性の材料の被装により3次元の固体成形対象物を層状に製造する装置であって、回転軸線回りに回転可能な土台を有し、土台上に成形対象物のための複数の材料層が被装されている装置を示した図である。
図2図1に類似の図であって、さらなる材料層が被装され、土台が図1に対して下降された後の図である。
図3】マトリクス状にローおよびカラム内に配置され、ノズルとして構成される複数のエミッタを有する、印刷ヘッドとして構成されるエミッタアッセンブリの概略平面図であって、エミッタの個々の出口開口の位置は、それぞれ、円により略示し、かつ出口開口が配置されている列は、互いに平行に延びる真っ直ぐな線によりマークした図である。
図4】3次元の成形対象物のモデルの極マトリクスの1つの層を規定する印刷点を図示し、印刷点は、回転軸線に対して半径方向で配置される列AないしI内に位置し、各列内には、それぞれ複数の印刷点が配置されている様子を示した図である。
図5A図3に類似の図であって、図4に示した印刷点を印刷する際の、プリントしたい土台の上方にポジショニングされたエミッタアッセンブリを示しており、土台は、図5Aないし5Iでそれぞれ異なるトリガ箇所に、エミッタアッセンブリに対して相対的に回転ポジショニングされており、マトリクスの列には、図4に応じて文字AないしIを付した図である。
図5B図3に類似の図であって、図4に示した印刷点を印刷する際の、プリントしたい土台の上方にポジショニングされたエミッタアッセンブリを示しており、土台は、図5Aないし5Iでそれぞれ異なるトリガ箇所に、エミッタアッセンブリに対して相対的に回転ポジショニングされており、マトリクスの列には、図4に応じて文字AないしIを付した図である。
図5C図3に類似の図であって、図4に示した印刷点を印刷する際の、プリントしたい土台の上方にポジショニングされたエミッタアッセンブリを示しており、土台は、図5Aないし5Iでそれぞれ異なるトリガ箇所に、エミッタアッセンブリに対して相対的に回転ポジショニングされており、マトリクスの列には、図4に応じて文字AないしIを付した図である。
図5D図3に類似の図であって、図4に示した印刷点を印刷する際の、プリントしたい土台の上方にポジショニングされたエミッタアッセンブリを示しており、土台は、図5Aないし5Iでそれぞれ異なるトリガ箇所に、エミッタアッセンブリに対して相対的に回転ポジショニングされており、マトリクスの列には、図4に応じて文字AないしIを付した図である。
図5E図3に類似の図であって、図4に示した印刷点を印刷する際の、プリントしたい土台の上方にポジショニングされたエミッタアッセンブリを示しており、土台は、図5Aないし5Iでそれぞれ異なるトリガ箇所に、エミッタアッセンブリに対して相対的に回転ポジショニングされており、マトリクスの列には、図4に応じて文字AないしIを付した図である。
図5F図3に類似の図であって、図4に示した印刷点を印刷する際の、プリントしたい土台の上方にポジショニングされたエミッタアッセンブリを示しており、土台は、図5Aないし5Iでそれぞれ異なるトリガ箇所に、エミッタアッセンブリに対して相対的に回転ポジショニングされており、マトリクスの列には、図4に応じて文字AないしIを付した図である。
図5G図3に類似の図であって、図4に示した印刷点を印刷する際の、プリントしたい土台の上方にポジショニングされたエミッタアッセンブリを示しており、土台は、図5Aないし5Iでそれぞれ異なるトリガ箇所に、エミッタアッセンブリに対して相対的に回転ポジショニングされており、マトリクスの列には、図4に応じて文字AないしIを付した図である。
図5H図3に類似の図であって、図4に示した印刷点を印刷する際の、プリントしたい土台の上方にポジショニングされたエミッタアッセンブリを示しており、土台は、図5Aないし5Iでそれぞれ異なるトリガ箇所に、エミッタアッセンブリに対して相対的に回転ポジショニングされており、マトリクスの列には、図4に応じて文字AないしIを付した図である。
図5I図3に類似の図であって、図4に示した印刷点を印刷する際の、プリントしたい土台の上方にポジショニングされたエミッタアッセンブリを示しており、土台は、図5Aないし5Iでそれぞれ異なるトリガ箇所に、エミッタアッセンブリに対して相対的に回転ポジショニングされており、マトリクスの列には、図4に応じて文字AないしIを付した図である。
図6図6Aないし6Hは、エミッタアッセンブリの個々のエミッタのための作動値がプールされているリングバッファの、個々のトリガ箇所に割り当てられたバッファコンテンツの概略図であって、文字AないしIは、マトリクスの、該当するエミッタにより印刷されるべき印刷点が位置している列を表しており、太字で強調した文字AないしIは、該当するエミッタが該当するトリガ箇所で作動されるべきであることを表示し、かつ太字で印刷していない文字E,0は、該当するエミッタがトリガ箇所で作動されるべきでないことを表示した図である。
図7図7Bないし7Iは、リングバッファの、図6Aないし6Hに示したバッファコンテンツを周期的に置き換え、かつ図6Aに示した最初にリングバッファ内に読み込んだバッファコンテンツをさらなるトリガ箇所のための作動値により上書きした後の、リングバッファのコンテンツを示す図である。
図8A図5Aないし5Hに類似の図であるが、中塗りの黒い円は、リングバッファのバッファコンテンツにしたがって図面に示した目下のまたは以前の印刷サイクルでエミッタアッセンブリのトリガ時に成形対象物の部分領域が生成された箇所をマークし、かつ円線は、成形対象物の部分領域が生成されていない箇所をマークした図である。
図8B図5Aないし5Hに類似の図であるが、中塗りの黒い円は、リングバッファのバッファコンテンツにしたがって図面に示した目下のまたは以前の印刷サイクルでエミッタアッセンブリのトリガ時に成形対象物の部分領域が生成された箇所をマークし、かつ円線は、成形対象物の部分領域が生成されていない箇所をマークした図である。
図8C図5Aないし5Hに類似の図であるが、中塗りの黒い円は、リングバッファのバッファコンテンツにしたがって図面に示した目下のまたは以前の印刷サイクルでエミッタアッセンブリのトリガ時に成形対象物の部分領域が生成された箇所をマークし、かつ円線は、成形対象物の部分領域が生成されていない箇所をマークした図である。
図8D図5Aないし5Hに類似の図であるが、中塗りの黒い円は、リングバッファのバッファコンテンツにしたがって図面に示した目下のまたは以前の印刷サイクルでエミッタアッセンブリのトリガ時に成形対象物の部分領域が生成された箇所をマークし、かつ円線は、成形対象物の部分領域が生成されていない箇所をマークした図である。
図8E図5Aないし5Hに類似の図であるが、中塗りの黒い円は、リングバッファのバッファコンテンツにしたがって図面に示した目下のまたは以前の印刷サイクルでエミッタアッセンブリのトリガ時に成形対象物の部分領域が生成された箇所をマークし、かつ円線は、成形対象物の部分領域が生成されていない箇所をマークした図である。
図8F図5Aないし5Hに類似の図であるが、中塗りの黒い円は、リングバッファのバッファコンテンツにしたがって図面に示した目下のまたは以前の印刷サイクルでエミッタアッセンブリのトリガ時に成形対象物の部分領域が生成された箇所をマークし、かつ円線は、成形対象物の部分領域が生成されていない箇所をマークした図である。
図8G図5Aないし5Hに類似の図であるが、中塗りの黒い円は、リングバッファのバッファコンテンツにしたがって図面に示した目下のまたは以前の印刷サイクルでエミッタアッセンブリのトリガ時に成形対象物の部分領域が生成された箇所をマークし、かつ円線は、成形対象物の部分領域が生成されていない箇所をマークした図である。
図8H図5Aないし5Hに類似の図であるが、中塗りの黒い円は、リングバッファのバッファコンテンツにしたがって図面に示した目下のまたは以前の印刷サイクルでエミッタアッセンブリのトリガ時に成形対象物の部分領域が生成された箇所をマークし、かつ円線は、成形対象物の部分領域が生成されていない箇所をマークした図である。
図9】成形対象物のためのジオメトリデータの処理およびエミッタアッセンブリの駆動制御時に通して行われるステップを説明するフローチャートである。
図10図1および2に示した装置により印刷された、図4で「A」を付した線を示す図であって、成形対象物の、プリントしたい土台上に生成された部分領域は、中塗りの黒い円により示し、かつ成形対象物の部分領域が、線「A」の印刷のために使用されるジオメトリデータにしたがって土台上に施装されるべき箇所は、円線によりマークした図である。
図11】デカルトマトリクス内に存在するジオメトリデータを図示した図である。
図12図11に示したジオメトリデータを、本発明に係る方法により印刷したときの印刷結果を示した図である。
図13図11に示したジオメトリデータを、本発明によらず、印刷サイクルの数がノズルカラムの数に相当する方法によって印刷したときの印刷結果を示した図である。
図14】3次元の成形対象物を層状に製造する装置の土台の部分平面図であって、土台は、複数のエミッタアッセンブリを有しており、エミッタアッセンブリは、それぞれ異なる印刷リングに割り当てられている態様の図である。
図15】3次元の成形対象物を層状に製造する装置の土台の部分平面図であって、土台は、複数のエミッタアッセンブリを有しており、エミッタアッセンブリは、それぞれ異なる印刷リングに割り当てられている態様の図である。
図16】光造形モデルにしたがって3次元の成形対象物を製造する装置であって、容器を有し、容器内には、回転可能な土台と、電磁放射の照射により固化可能な材料とが配置されている装置を示した図である。
図17図16に示した装置の回転軸線を通る縦断面図である。
図18図17に類似の図であって、さらなる材料層が固化され、土台が図17に対して下降された後の図である。
【0034】
設定されたジオメトリデータにしたがって、回転軸線2回りに回転可能な土台1上に固体成形対象物を層状に製造する方法において、土台1を有し、鉛直の回転軸線2回りに不動の保持部3に回動可能に軸支されている円環形の回転盤を用意する(図1および2)。保持部3は、保持部3の下面に設置面を有しており、設置面により保持部3は、例えば卓上または任意の空間の地面もしくは床上に設置可能である。
【0035】
土台1は、第1の位置決め装置と駆動接続関係にあり、第1の位置決め装置は、第1の駆動モータ4を有しており、第1の駆動モータ4により土台1は、矢印5の方向で回転駆動可能であり、駆動制御装置6により提供される回転位置目標値信号に応じてポジショニング可能である。第1の駆動モータ4は、この目的のために、駆動制御装置6内に組み込まれた第1の位置制御器に接続されており、第1の位置制御器は、土台1のための回転位置信号を検出するエンコーダ7を有している。第1の位置決め装置により土台1は、連続的に、かつ止まることなく、360°を超える略任意の角度にわたって保持部3に対して相対的に回転軸線2回りに回転可能である。
【0036】
土台1は、さらに第2の位置決め装置と駆動接続関係にあり、第2の位置決め装置は、第2の駆動モータ8を有しており、第2の駆動モータ8により土台1は、双方向矢印9の方向で保持部3に対して相対的に昇降可動であり、駆動制御装置6により提供される高さ位置目標値信号に応じてポジショニング可能である(図1および2)。このポジショニングは、断続的または連続的に実施可能である。第2の駆動モータ8は、この目的のために、駆動制御装置6内に組み込まれた第2の位置制御器に接続されており、第2の位置制御器は、土台1の高さ位置を検出する位置センサ10を有している。
【0037】
本方法を実施するために、さらにエミッタアッセンブリ11を用意する。エミッタアッセンブリ11は、印刷ヘッドとして構成されており、印刷ヘッドは、制御可能な弁またはポンプが設けられ、材料放出ノズルとして構成されている30個のエミッタ12を有しており、エミッタ12からはそれぞれ、ノズル流動性の硬化可能な材料の材料ポーション(例えば滴)が放出可能である。印刷ヘッドの代わりに、固定のエミッタを有する別のエミッタマトリクスを使用してもよい。材料は、例えば光架橋可能なポリマーであってもよく、ポリマーは、図面に詳細に示すことはしないリザーバ内に貯蔵されており、リザーバは、管路を介してエミッタ12に接続されている。
【0038】
エミッタ12の出口開口は、土台1の上方に、土台1の平面に対して平行に延び、土台1の平面から離間した一平面内に配置されており、マトリクス状に、互いに平行に配置される複数のエミッタカラム13内と、互いに平行にずらされ、エミッタカラム13に対して横方向に延びる複数のエミッタロー14内とに、互いに相対的にポジショニングされている。各エミッタカラム13および各エミッタロー14内には、それぞれ複数のエミッタ12が配置されている。
【0039】
エミッタカラム13内で、個々のエミッタ12の出口開口の面の重心は、互いに平行に離間した真っ直ぐな線に沿って一定の間隔Xで互いにずらされている(図3)。回転軸線2の周方向で互いに隣接するエミッタカラム13は、それぞれ、エミッタカラム13の延在方向でずれVの分だけ互いにずらされている。ずれVは、エミッタアッセンブリ11の個々のエミッタ12が、回転軸線2に対してそれぞれ異なる半径方向の間隔DA(i)を置いて配置されているように選択されている。半径方向の間隔について:
DA(i)>DA(i+1)、i∈[1..29]
が成立する。1番目のエミッタ12は、つまり、回転軸線2に対して最大の間隔を有し、30番目のエミッタ12は、回転軸線2に対して最小の間隔を有している。
【0040】
エミッタアッセンブリ11は、印刷バッファ15に接続されており、印刷バッファ15内には、エミッタアッセンブリ11の各エミッタ12のために、それぞれ1つの作動値が一時記憶され得る。作動値は、例えば論理値「1」または論理値「0」を有していることができる。
【0041】
さらにエミッタアッセンブリ11は、トリガ入力部を有しており、トリガ入力部には、トリガ信号が印加され得る。トリガ入力部において受信されるトリガの度に、エミッタアッセンブリ11の、エミッタ12のためにプリンタバッファ15内にそれぞれ作動値「1」がプールされているすべてのエミッタ12が、材料ポーションを放出する。エミッタ12のためにプリンタバッファ内に作動値「0」がプールされているエミッタ12は、トリガを受信したとき、操作されない。すなわち、これらのエミッタ12は、材料ポーションを放出しない。
【0042】
土台1上に存在する1つの材料層、この材料層上に存在する1つの材料層、および/または土台1上に存在し、エミッタアッセンブリ11により被装された複数の材料層を有する積層体を固化あるいは架橋させるべく、UV光源16を用意する。UV光源16は、UV光源16の出射面が土台1に対向しているように土台1にポジショニングされる。
【0043】
土台1、エミッタアッセンブリ2、駆動制御装置6およびUV光源16を有する装置により、層状の施装および固化によりノズル流動性の材料の多数の材料層を土台1上に被装し、これにより、3次元の固体成形対象物17A,17B,17C,17Dを製造することができる。
【0044】
駆動制御装置6は、上位のコンピュータ18、例えばPCに接続されており、コンピュータ18は、データ記憶装置19を有しており、データ記憶装置19内には、個々の材料層のためにジオメトリデータがプールされている。ジオメトリデータには、印刷点が割り当てられており、印刷点は、相並んで延びる複数の列20を有する極マトリクス内に配置されており、複数の列20の真っ直ぐな延長線は、それぞれ、回転軸線2と交差する。回転軸線2の周方向で互いに隣接する列20は、それぞれ、互いに角度間隔Wを置いてずらされている。各列20内には、それぞれ、30個の印刷点が配置されており、印刷点は、j番目の印刷点Pの半径方向の間隔PA(j)に関して:
PA(j)>PA(j+1)、ただし、j∈[1..29]
が成立するように互いにずらされている。1番目の印刷点Pは、つまり、回転軸線2に対して最大の間隔を有し、30番目の印刷点P30は、回転軸線2に対して最小の間隔を有している。
【0045】
ジオメトリデータは、例えばコンピュータ18上で走らせることが可能なCADソフトウェアにより提供され得る。コンピュータ18上では、さらに、成形対象物のためのジオメトリデータから成形対象物17A,17B,17C,17Dの個々の層のためのジオメトリデータを生起させるソフトウェアが実行可能である。ジオメトリデータを印刷バッファ14内にロードするために、コンピュータ18は、駆動制御装置6に接続されている。
【0046】
材料が土台1上に放出されるべき、ジオメトリデータ内に格納された各印刷点Pを、エミッタアッセンブリ11のそれぞれ1つのエミッタ12に割り当て、エミッタアッセンブリ11により、印刷点Pのために予定された材料を、土台1上に、あるいは土台1上に存在し、固化された材料層上に施装する。この割り当ては、上でエミッタ12および印刷点のために振ったナンバリングに応じて、それぞれ、エミッタ12の番号が印刷点Pの番号と一致するように実施される。印刷点Pは、それぞれ、印刷点Pの、回転軸線2に対する間隔とできる限り良好に一致する間隔を、回転軸線2に対して有しているエミッタ12によって印刷される。
【0047】
材料ポーションの放出を印刷サイクルで実施し、印刷サイクルにおいて、エミッタアッセンブリ11を材料放出のために、該当する印刷サイクルに割り当てられていて、土台1がそれぞれ所定の回転位置でエミッタアッセンブリ11に対して相対的にポジショニングされているトリガ箇所A...Hでそれぞれ一度トリガする。トリガの度、エミッタアッセンブリ11の、プリンタバッファ15内にそれぞれ作動値「1」がプールされているすべてのエミッタ12が、材料ポーションを放出する。土台1とエミッタアッセンブリ11とを、印刷サイクル毎にその都度、回転軸線2の周方向で互いに隣接する、印刷点を有する列20が、ジオメトリデータにしたがって有している角度間隔Wの分だけ、互いに相対的にずらす。図5Aないし5Iに看取可能であるように、一列のすべての印刷したい印刷点P...P30の印刷を、それぞれ、8つの印刷サイクルで実施する。印刷サイクルの数は、つまり、エミッタアッセンブリ11のエミッタカラム13の数より多い。
【0048】
印刷したい各印刷点P(ただし、k∈[1..30])を、エミッタ12に割り当てる他に、8つの印刷サイクルのそれぞれ1つにも割り当てる。この割り当ては、印刷サイクルのトリガ箇所A...Hの回転ポジションと、土台1がエミッタアッセンブリ11に対して相対的にトリガ箇所A...Hにポジショニングされているときに、印刷したい印刷点P(k∈[1..30])が回転軸線2に関して配置されている回転ポジションとの間の角度差が、数値的にトリガ箇所A...H間の角度間隔Wの半分以下であるように実施される。1つの印刷点P(ただし、k∈[1..30])が、2つのトリガ箇所間のちょうど中間に配置されている場合は、該当する印刷点Pは、これらの両トリガ箇所のいずれかに割り当てられる。
【0049】
図5Aないし5Iには、個々のトリガ箇所A...Hにおけるエミッタ12に対する印刷点Pの割り当てを図示してある。該当するトリガ箇所A...Hで材料を放出するエミッタ12は、塗り潰した黒い円によりマークしてある。該当するトリガ箇所A...Hで材料を放出しないエミッタ12は、図5Aないし5Iにおいて円線によりマークしてある。
【0050】
これらの円内の文字は、図4に示した印刷点列A...Iのどの列に、該当するエミッタ12に割り当てられた印刷点が属するかを表示している。円内の数字は、どの印刷サイクルでエミッタ12が材料を印刷点Pのために放出すべきかを表示している。数字も文字も囲っていない円線は、印刷方法が開始されてから、まだ印刷点Pの割り当てがなされていないエミッタ12をマークしている。
【0051】
図8Aないし8Hは、個々のトリガ箇所A...Hにおける材料施装の状況を説明するものである。材料が土台1上に施装された印刷点の記号は、図5Aないし5Iにおけるエミッタ12の記号に相当する。最初のトリガ箇所(図8A)では、「A1」を付した箇所でのみ、材料が土台1上に施装される。図8Bでは、付加的に、「A2」および「B1」を付した箇所で、材料が土台1上に施装される。図8Cでは、「A3」、「B2」および「C1」を付した10箇所でさらに、材料が土台1上に施装される(以下同様)。
【0052】
トリガ箇所A...Hに対する印刷点Pの割り当てのために、8つのバッファスペースを有するリングバッファを用意する。これらのバッファスペースの各々を8つの印刷サイクルのそれぞれ1つに割り当てる。各バッファスペースは、それぞれ、30個のバッファロケーションを有し、すなわち、エミッタアッセンブリ11の各エミッタ12のために1つずつバッファロケーションを有している。
【0053】
以下に、印刷プロセス中、リングバッファ内でデータをどのように処理するかについて説明する。まず、ジオメトリデータの第1の列20のために、30個の印刷点P(ただし、k∈[1..30])をデータ記憶装置から読み出す。これらの印刷点Pにそれぞれ、前述したように、30個のエミッタ12の1つを割り当てる。リングバッファの、これらのエミッタ12に割り当てられたバッファロケーション内に、論理値「1」または「0」を有するそれぞれ1つの作動値をプールする。この場合、値「1」は、該当する印刷点Pに割り当てられたエミッタ12が、該当するバッファスペースに割り当てられた印刷サイクルにおいて操作あるいは作動されるべきであることを表示している。
【0054】
さらなる方法ステップにおいて、データ記憶装置内にプールされた印刷点の別の列20のために、30個の印刷点P(ただし、k∈[1..30])をデータ記憶装置から読み出す。これらの印刷点Pの各々に、それぞれ、前述したように、30個のエミッタ12の1つを割り当てる。リングバッファの、これらのエミッタ12に割り当てられたバッファロケーション内に、該当する印刷点Pに割り当てられたエミッタ12が、該当するバッファスペースに割り当てられた印刷サイクルにおいて操作されるべきか否かを表示するそれぞれ1つの作動値をプールする。
【0055】
全部で8つの印刷サイクルのために、それぞれ、30個の印刷点P(ただし、k∈[1..30])がデータ記憶装置から読み出され、かつこれらの印刷点のために相応の作動値がリングバッファ内にプールされるまで、直前の2段落に記載したステップを繰り返す(図6Aないし6H)。
【0056】
さらなる方法ステップで、土台1とエミッタアッセンブリとを、そのバッファスペース内に最初に作動値がプールされた印刷サイクルに割り当てられたトリガ箇所A...Hに、互いに相対的にポジショニングし、エミッタアッセンブリ11のエミッタ12を、このバッファスペース内にプールされた作動値に応じて駆動制御する。その際、該当するトリガ箇所A...Hのために作動値「1」がリングバッファ内にプールされているすべてのエミッタ12が、操作される。該当するトリガ箇所A...Hのために材料放出値「1」がリングバッファ内にプールされていないエミッタ12は、このトリガ箇所A...Hでは操作されない。
【0057】
ここで、印刷したい材料層のすべての列が既に印刷されたか否かチェックする。印刷されていないのであれば、土台1とエミッタアッセンブリ11とが最後に互いに相対的にポジショニングされたトリガ箇所Aが割り当てられたバッファスペースが、1番目のバッファスペースとなるように、バッファスペースを周期的に置き換える(図7Bないし7I)。その後、さらなる列のためにジオメトリデータをデータ記憶装置19から読み込み、相応の形式で処理する。
【0058】
目下の材料層のすべての印刷点列を印刷した後、少なくとも1つのさらなる材料層が印刷されるべきか否かチェックする。印刷されるべきであれば、土台1を材料層の厚さの分だけエミッタアッセンブリ11に対して相対的に下降させ、これにより、その後、さらなる材料層を前述したように印刷することができる。
【0059】
図10には、図4に示した、本方法によって土台1上に印刷されたジオメトリデータ列「A」を示してある。土台1上に放出された材料ポーションは、中塗りの黒い円によりマークしてある。これらの円は、図8Hの右端にも看取可能であり、そこでは、これらの円に(上から下に)A3,A3,A4,A5,A6,A7,A2,A3,A4...A5,A6,A8を付してある。図4に示したジオメトリデータ列「B」ないし「I」に割り当てられた、図8Hに示したその他の円は、図10では見やすさの理由から示していない。
【0060】
図4に示した列「A」の印刷のために使用されるジオメトリデータにしたがって印刷点が土台上に施装されるべき箇所は、図10に円線により縁取りしてある(目標印刷データ)。看取可能であるように、線の中央の部分において、ジオメトリデータと印刷結果の良好な一致が達成される。線の端部には、それぞれ、印刷結果とジオメトリデータとの間により大きな偏差が生じている。このことは、主に、エミッタアッセンブリ11のエミッタ12間の間隔およびエミッタ12の配置を、図面のより良好な可読性の理由から、実際の使用において通常選択されるものとは異なって選択したことにより生じる。本発明に係る方法のためには、図3に示したものより大きな寸法を半径方向で有するエミッタアッセンブリ11が好ましい。而して、例えばエミッタアッセンブリ11は、各列内に、図3に示した5つのエミッタ12の代わりに、1024個のエミッタ12を有していることができる。本発明に係る方法のためには、さらに、エミッタアッセンブリ11がエミッタアッセンブリ11の長手方向軸線に対して直角にかつ土台1の平面に対して平行に有している寸法と、土台1のプリント可能領域の内側直径との商が、図5Aないし5Iに示したものより小さいエミッタアッセンブリ11が好ましい。
【0061】
図4に看取可能であるように、印刷点を有する列は、図面のより良好な可読性の理由からさらに、中間スペースによって互いに離間しているように配置されている。本発明に係る方法のためには、しかし、互いに隣接する列の印刷点が一部領域で重なっているマトリクスが好ましい。
【0062】
図11には、別の一実施例のために、互いに直角に延び、交差する多数の線を有するデカルト座標状の線パターンを印刷するためのジオメトリデータを図示してある。図12には、本発明に係る方法により印刷された線が土台1上にどのように配置されているかを看取可能である。それぞれ異なる座標系(デカルト座標状のジオメトリデータおよび極座標系の印刷装置)により、歪みが生じる。ジオメトリデータの水平の線は、円線上に印刷され、ジオメトリデータの鉛直の線は、印刷後、回転軸線に対して半径方向で延びる。この歪みにもかかわらず、印刷された個々の線は、しかし、人間の眼には引き続き個々の線として知覚される。
【0063】
図13は、図11に示したジオメトリデータを、本発明によらず、印刷サイクルの数がエミッタカラムの数に相当する方法によって印刷したときの印刷結果を示している。図11に示した鉛直の線が、印刷後、それぞれ、人間の眼にはV字形に配置される2つの線のように見えることが明瞭に看取可能である。この欠陥は、土台1の印刷したい領域がその内側および外側の縁部に有しているそれぞれ異なる円周が、図13では補償されていないことにより生じる。これにより、エミッタ12は、土台の特に内側の縁部で正しくトリガされない。
【0064】
図14に示した実施例では、回転軸線2に対して同心に配置され、それぞれ内側の円軌道と外側の円軌道とにより画定される複数の印刷リングを印刷すべく、複数のエミッタアッセンブリ11A,11B,11C,11Dを提供する。エミッタアッセンブリ11A,11B,11C,11Dを、エミッタアッセンブリ11A,11B,11C,11Dの内側の円軌道と外側の円軌道との算術平均値が互いに異なっているように、回転軸線2に対して相対的にポジショニングする。エミッタアッセンブリ11A,11B,11C,11Dの各々は、それぞれ、27個のエミッタ12を有している。エミッタアッセンブリ11Aは、印刷点1...27を印刷するために用いられ、エミッタアッセンブリ11Bは、印刷点28...54を印刷するために用いられ、エミッタアッセンブリ11Cは、印刷点55...81を印刷するために用いられ、エミッタアッセンブリ11Dは、印刷点82...108を印刷するために用いられる。エミッタアッセンブリ11Aおよび11Cは、回転軸線2に関して第1の回転位置に配置されており、同じトリガ箇所でトリガされる。エミッタアッセンブリ11Aのエミッタカラム13は、真っ直ぐな線内でエミッタアッセンブリ11Cの相応のエミッタカラム13と一列に並んでいる。エミッタアッセンブリ11Aおよび11Cは、つまり、互いに割り当てられており、このことは、図14に点線で示した結合線により概略的に示してある。
【0065】
エミッタアッセンブリ11Bおよび11Dは、回転軸線2に関して、第1の回転位置とは異なる第2の回転位置に配置されている。エミッタアッセンブリ11Bおよび11Dは、これにより同じく互いに割り当てられている。
【0066】
分けて配置された複数の印刷ヘッドあるいはエミッタアッセンブリ11Aないし11Dを有するこの配置は、半径方向で小さな印刷幅を有するエミッタアッセンブリ11Aないし11Dを使用したときに生じる。半径方向で土台1の回転テーブル幅全体にわたって延在する印刷幅を有する1つの印刷ヘッドを使用するときは、エミッタアッセンブリ11A,11B,11Cおよび11Dは、一列に配置されることになるであろう。
【0067】
図15には、互いに割り当てられた複数のエミッタアッセンブリ11A,11Cおよび11A’,11C’あるいは11B,11Dおよび11B’,11D’が、回転軸線2の周方向で互いにずらされて配置されてもよいことが看取可能である。
【0068】
本発明の図16ないし18に示した実施例では、内部で液状、ペースト状または粉末状の材料23が土台1上に被装される容器22を有する装置を用意する。材料23に高エネルギの電磁放射21を照射するために、それぞれのエミッタアッセンブリ11,11A,11B,11C,11Dから構成される装置は、互いに離間した複数の放射エミッタ12を有しており、放射エミッタ12は、それぞれ発光ダイオードとして構成されている。個々のエミッタ12により放出された放射21の集束あるいは集光のために、それぞれ、エミッタ12の光路内に、図面に詳細に示すことはしない光学系が配置されている。
【0069】
エミッタ12により発生可能な電磁放射21の波長および出力は、流動性のある材料23が電磁放射21の照射により照射箇所で固化され得るように、材料23に合わせて調整されている。「固化」とは、液状のまたは流動性のある材料23の場合、材料23が固体材料へと硬化、特に材料23中に含まれるポリマーおよび/またはコポリマーの架橋により硬化されることと解される。粉末状の材料23の場合、「固化」とは、固体粒子として存在する材料粒子が、電磁放射21の照射により加熱され、続いて冷却され、堅固に互いに結合することと解される。
【0070】
エミッタアッセンブリ11,11A,11B,11C,11Dは、複数のエミッタカラム13A,13B,13Cを有しており、エミッタカラム13A,13B,13C内では、それぞれ、エミッタ12の中心が真っ直ぐな線内で互いにずらされている。放射エミッタ12の配置は、図3、5Aないし5I、8Aないし8H、14および15に示したノズルとして構成されたエミッタ12の配置に相当し、ゆえに、これらの図に示したエミッタアッセンブリ11,11A,11B,11C,11Dについての説明は、図16ないし18に示した実施例に相応に当てはまるが、エミッタ12が、図16ないし18に示した実施例では、材料の代わりに放射21を放出し、放射21が、流動性のある材料23に向けられているという相違点を有している。
【0071】
容器22内に存在する土台1は、エミッタアッセンブリ11,11A,11B,11C,11Dに対して相対的に回転軸線2回りに回転ポジショニングされ、エミッタ12により発生された放射は、材料23が少なくとも1つの照射箇所で固化されるように、材料23の表面に存在する材料層に向けられる。
【0072】
エミッタアッセンブリ11は、印刷バッファ15に接続されており、印刷バッファ15内には、エミッタアッセンブリ11の各エミッタのために、それぞれ1つの作動信号が一時記憶され得る。放射エミッタ12の駆動制御のために、駆動制御装置が設けられており、駆動制御装置は、トリガ入力部を有している。トリガ入力部において受信されるトリガの度に、エミッタアッセンブリ11の、エミッタ12のためにプリンタバッファ15内にそれぞれ値「1」がプールされているすべてのエミッタ12が、放射21を材料23に向けて放出する。エミッタ12のためにプリンタバッファ内に値「0」がプールされているエミッタ12は、トリガを受信したとき、操作されない。すなわち、これらのエミッタ12は、放射21を放出しない。図1および2に示した装置についてエミッタアッセンブリ11のための作動信号値を個々のトリガ箇所において示した図6Aないし6Hおよび7Bないし7Iは、図16ないし18に示した実施例に相応に当てはまる。
【0073】
土台1は、図16ないし18に示した実施例では、第1の位置決め装置と駆動接続関係にあり、第1の位置決め装置は、第1の駆動モータ4を有しており、第1の駆動モータ4により土台1は、矢印5の方向で回転駆動可能であり、駆動制御装置6により提供される回転位置目標値信号に応じてポジショニング可能である。第1の駆動モータ4は、この目的のために、駆動制御装置6内に組み込まれた第1の位置制御器に接続されており、第1の位置制御器は、土台1のための回転位置信号を検出するエンコーダ7を有している。第1の位置決め装置により土台1は、連続的に、かつ止まることなく、360°を超える略任意の角度にわたって保持部3に対して相対的に回転軸線2回りに回転可能である。
【0074】
土台1は、さらに第2の位置決め装置と駆動接続関係にあり、第2の位置決め装置は、第2の駆動モータ8を有しており、第2の駆動モータ8により土台1は、双方向矢印9の方向で保持部3に対して相対的に昇降可動であり、駆動制御装置6により提供される高さ位置目標値信号に応じてポジショニング可能である(図18)。このポジショニングは、断続的または連続的に実施可能である。第2の駆動モータ8は、この目的のために、駆動制御装置6内に組み込まれた第2の位置制御器に接続されており、第2の位置制御器は、土台1の高さ位置を検出する位置センサ10を有している。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図5I
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図7H
図7I
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図8H
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18