(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】設定されたジオメトリデータにしたがって少なくとも1つの固体層を製造する方法
(51)【国際特許分類】
B29C 64/321 20170101AFI20240130BHJP
B29C 64/112 20170101ALI20240130BHJP
B29C 64/124 20170101ALI20240130BHJP
B29C 64/153 20170101ALI20240130BHJP
B29C 64/209 20170101ALI20240130BHJP
B29C 64/245 20170101ALI20240130BHJP
B29C 64/264 20170101ALI20240130BHJP
B29C 64/277 20170101ALI20240130BHJP
B29C 64/393 20170101ALI20240130BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20240130BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20240130BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20240130BHJP
【FI】
B29C64/321
B29C64/112
B29C64/124
B29C64/153
B29C64/209
B29C64/245
B29C64/264
B29C64/277
B29C64/393
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
(21)【出願番号】P 2021561828
(86)(22)【出願日】2020-04-16
(86)【国際出願番号】 EP2020060756
(87)【国際公開番号】W WO2020212519
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2022-10-21
(31)【優先権主張番号】102019002809.0
(32)【優先日】2019-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517393617
【氏名又は名称】ディー・ピー ポーラー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】dp polar GmbH
【住所又は居所原語表記】Daimlerstrasse 32a, D-76344 Eggenstein-Leopoldshafen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ハンス マテア
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-517594(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109094022(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0189435(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶装置(15)内に格納された設定されたジオメトリデータにしたがって少なくとも1つの固体層を製造する方法であって、ノズル流動性の材料の材料ポーションを土台(1)上に、かつ/または前記土台(1)上に存在し、固化された材料層上に放出すべく、互いに離間していて、材料放出ノズルとして形成される複数のエミッタ(12)を有する、少なくとも1つのエミッタアッセンブリ(11,11A,11B,11C,11D)を用意し、前記エミッタアッセンブリ(11,11A,11B,11C,11D)は、複数のエミッタカラム(13A,13B,13C)を有し、前記エミッタカラム(13A,13B,13C)内で前記エミッタ(12)の中心は、それぞれ、真っ直ぐな線内で互いにずらされており、前記土台(1)を前記エミッタアッセンブリ(11,11A,11B,11C,11D)に対して相対的に回転軸線(2)回りに回転ポジショニングし、前記材料ポーションを前記エミッタ(12)により前記土台(1)上に、かつ/または前記土台(1)上に存在し、固化された材料層上に被装し、その後、固化させ、前記エミッタアッセンブリ(11,11A,11B,11C,11D)の、前記回転軸線(2)から最も遠く離れた前記エミッタ(12)の前記中心は、前記回転軸線(2)に対して第1の半径方向の間隔(R1)を有し、前記回転軸線(2)の最も近くに配置される前記エミッタ(12)の前記中心は、前記回転軸線(2)に対して第2の半径方向の間隔(R2)を有し、前記土台(1)に対して相対的な前記エミッタアッセンブリ(11,11A,11B,11C,11D)の回転位置のためのトリガ箇所(20,21,22)を規定するトリガ信号を生成し、個々の前記エミッタ(12)のために、前記記憶装置(15)内にプールされた前記ジオメトリデータに応じて、かつ/または前記土台(1)が前記エミッタアッセンブリ(11,11A,11B,11C,11D)に対して相対的にそれぞれの前記トリガ箇所(20,21,22)にポジショニングされたときに、該当する前記エミッタ(12)が前記土台(1)に対して相対的に配置されているポジションに応じて、それぞれ1つの作動信号を生成し、一時記憶し、前記エミッタ(12)を前記トリガ箇所(20,21,22)でそれぞれ、前もって一時記憶された前記作動信号がセットされている前記エミッタ(12)だけが材料を放出するように駆動制御し、互いに隣接するトリガ箇所(20,21,22)間の角度は、第1の半径方向線(23)と第2の半径方向線(24)とが間になす角度(α)に相当するように選択され、前記第1の半径方向線(23)は、前記回転軸線(2)から、第1のエミッタカラム(13A)と、前記回転軸線(2)に対して同心の基準円線(25,25A,25B,25C,25D)との間の交点に向かって延び、前記第2の半径方向線(24)は、前記回転軸線(2)から、前記第1のエミッタカラム(13A)に対して前記回転軸線(2)の周方向で隣接する第2のエミッタカラム(13B)と、前記基準円線(25,25A,25B,25C,25D)との間の交点に向かって延び、前記基準円線(25,25A,25B,25C,25D)の半径は、前記第1の半径方向の間隔(R1)の90%と、前記第2の半径方向の間隔(R2)の10%との和より小さく、かつ前記基準円線(25,25A,25B,25C,25D)の前記半径は、前記第1の半径方向の間隔(R1)の10%と、前記第2の半径方向の間隔(R2)の90%との和より大きい、設定されたジオメトリデータにしたがって少なくとも1つの固体層を製造する方法。
【請求項2】
記憶装置(15)内に格納された設定されたジオメトリデータにしたがって少なくとも1つの固体層を製造する方法であって、内部で液状、ペースト状または粉末状の材料(31)からなる少なくとも1つの材料層が土台(1)上に被装される容器(30)を用意し、前記材料に前記材料を固化させる放射を照射すべく、互いに離間していて、前記材料層に対向した複数の放射エミッタ(12)を有するエミッタアッセンブリを用意し、前記エミッタアッセンブリ(11,11A,11B,11C,11D)は、複数のエミッタカラム(13A,13B,13C)を有し、前記エミッタカラム(13A,13B,13C)内で前記エミッタ(12)の中心は、それぞれ、真っ直ぐな線内で互いにずらされており、前記土台(1)を前記エミッタアッセンブリ(11,11A,11B,11C,11D)に対して相対的に回転軸線(2)回りに回転ポジショニングし、前記放射を前記エミッタ(12)により、前記材料が少なくとも1つの照射箇所で固化されるように前記材料層に向け、前記エミッタアッセンブリ(11,11A,11B,11C,11D)の、前記回転軸線(2)から最も遠く離れた前記エミッタ(12)の前記中心は、前記回転軸線(2)に対して第1の半径方向の間隔(R1)を有し、前記回転軸線(2)の最も近くに配置される前記エミッタ(12)の前記中心は、前記回転軸線(2)に対して第2の半径方向の間隔(R2)を有し、前記土台(1)に対して相対的な前記エミッタアッセンブリ(11,11A,11B,11C,11D)の回転位置のためのトリガ箇所(20,21,22)を規定するトリガ信号を生成し、個々の前記エミッタ(12)のために、前記記憶装置(15)内にプールされた前記ジオメトリデータに応じて、かつ/または前記土台(1)が前記エミッタアッセンブリ(11,11A,11B,11C,11D)に対して相対的にそれぞれの前記トリガ箇所(20,21,22)にポジショニングされたときに、該当する前記エミッタ(12)が前記土台(1)に対して相対的に配置されているポジションに応じて、それぞれ1つの作動信号を生成し、一時記憶し、前記エミッタ(12)を前記トリガ箇所(20,21,22)でそれぞれ、前もって一時記憶された前記作動信号がセットされている前記エミッタ(12)だけが放射を放出するように駆動制御し、互いに隣接するトリガ箇所(20,21,22)間の角度は、第1の半径方向線(23)と第2の半径方向線(24)とが間になす角度(α)に相当するように選択され、前記第1の半径方向線(23)は、前記回転軸線(2)から、第1のエミッタカラム(13A)と、前記回転軸線(2)に対して同心の基準円線(25,25A,25B,25C,25D)との間の交点に向かって延び、前記第2の半径方向線(24)は、前記回転軸線(2)から、前記第1のエミッタカラム(13A)に対して前記回転軸線(2)の周方向で隣接する第2のエミッタカラム(13B)と、前記基準円線(25,25A,25B,25C,25D)との間の交点に向かって延び、前記基準円線(25,25A,25B,25C,25D)の半径は、前記第1の半径方向の間隔(R1)の90%と、前記第2の半径方向の間隔(R2)の10%との和より小さく、かつ前記基準円線(25,25A,25B,25C,25D)の前記半径は、前記第1の半径方向の間隔(R1)の10%と、前記第2の半径方向の間隔(R2)の90%との和より大きい、設定されたジオメトリデータにしたがって少なくとも1つの固体層を製造する方法。
【請求項3】
前記基準円線(25,25A,25B,25C,25D)の前記半径は、前記第1の半径方向の間隔(R1)の80%と、前記第2の半径方向の間隔(R2)の20%との和より小さく、かつ前記基準円線(25,25A,25B,25C,25D)の前記半径は、前記第1の半径方向の間隔(R1)の20%と、前記第2の半径方向の間隔(R2)の80%との和より大きいことを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記基準円線(25,25A,25B,25C,25D)の前記半径は、前記第1の半径方向の間隔(R1)の70%と、前記第2の半径方向の間隔(R2)の30%との和より小さく、かつ前記基準円線(25,25A,25B,25C,25D)の前記半径は、前記第1の半径方向の間隔(R1)の30%と、前記第2の半径方向の間隔(R2)の70%との和より大きいことを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項5】
前記基準円線(25,25A,25B,25C,25D)の前記半径は、前記第1の半径方向の間隔(R1)の60%と、前記第2の半径方向の間隔(R2)の40%との和より小さく、かつ前記基準円線(25,25A,25B,25C,25D)の前記半径は、前記第1の半径方向の間隔(R1)の40%と、前記第2の半径方向の間隔(R2)の60%との和より大きいことを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項6】
互いに平行に配置される少なくとも2つのエミッタカラムを有し、前記エミッタカラム内では、それぞれ、該当する前記エミッタカラムに属する前記エミッタの前記中心が、真っ直ぐな線内で互いにずらされているエミッタアッセンブリを用意することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
各トリガ箇所(20,21,22)にそれぞれ1つのエミッタカラム(13A,13B,13C)を割り当て、個々の前記トリガ箇所(20,21,22)のために設けられた前記作動信号をそれぞれ、該当する前記トリガ箇所(20,21,22)に割り当てられた前記エミッタカラム(13A,13B,13C)の前記エミッタ(12)のためにだけ、前記記憶装置(15)内にプールされた前記ジオメトリデータに応じて、かつ該当する前記エミッタ(12)が配置されているポジションに応じて生成し、前記作動信号を、前記エミッタカラム(13A,13B,13C)内には配置されていない前記エミッタ(12)のためには、前記エミッタアッセンブリ(11,11A,11B,11C,11D)が前記土台に対して相対的に前記トリガ箇所(20,21,22)にポジショニングされたとき、前記エミッタ(12)が作動されないようにセットすることを特徴とする、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記エミッタアッセンブリ(11,11A,11B,11C,11D)の前記エミッタカラム(13A,13B,13C)を、前記回転軸線(2)と、前記回転軸線(2)に対する垂線とにより規定されるラジアル平面に対して対称に、前記エミッタカラム(13A,13B,13C)が前記ラジアル平面に対して平行に延びるように配置することを特徴とする、請求項6または7記載の方法。
【請求項9】
前記回転軸線(2)に対して同心に配置され、それぞれ内側の円軌道と外側の円軌道とにより画定される複数の印刷リング(27A,27B,27C,27D)を印刷すべく、少なくとも第1および第2のエミッタアッセンブリ(11A,11B,11C,11D)を用意し、前記エミッタアッセンブリ(11A,11B,11C,11D)を、前記第1のエミッタアッセンブリ(11A)の前記内側の円軌道と前記外側の円軌道との算術平均値が、前記第2のエミッタアッセンブリ(11B)の前記内側の円軌道と前記外側の円軌道との算術平均値とは異なっているように、前記回転軸線(2)に対して相対的にポジショニングし、前記第1のエミッタアッセンブリ(11A)の前記トリガ信号を生成すべく、第1の半径を有する基準円線(25A)を使用し、前記第2のエミッタアッセンブリ(11B)の前記トリガ信号を生成すべく、前記第1の半径から偏差した第2の半径を有する基準円線(25B)を使用し、前記第1の半径を請求項1から5までのいずれか1項にしたがって前記第1のエミッタアッセンブリ(11A)の前記第1および第2の半径方向の間隔に応じて選択し、前記第2の半径を請求項1から5までのいずれか1項にしたがって前記第2のエミッタアッセンブリ(11B)の前記第1および第2の半径方向の間隔に応じて選択することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記回転軸線(2)に関して任意の回転角度の分だけ互いにずらされている少なくとも2つのエミッタアッセンブリ(11A,11B,11C,11D)を用意し、個々の前記エミッタアッセンブリ(11A,11B,11C,11D)の前記エミッタ(12)をそれぞれ請求項1から8までの少なくとも1項にしたがって制御することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記エミッタカラム(13A,13B,13C)内で互いに隣接するエミッタ(12)の前記中心は、互いに一定の第1のパターン間隔を置いて配置されており、互いに隣接するエミッタカラム(13A,13B,13C)は、それぞれ、互いに一定の第2のパターン間隔を置いてずらされており、前記第1のパターン間隔は、20パーセント未満、特に10パーセント未満の分だけ前記第2のパターン間隔から偏差し、特に前記第2のパターン間隔と一致することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
3次元の成形対象物(17A,17B,17C,17D)を製造すべく、ノズル流動性の前記材料の複数の材料層を重ねるように施装し、前記エミッタアッセンブリ(11,11A,11B,11C,11D)と前記土台(1)との間の間隔を、層毎にその都度、最後に施装した前記材料層の厚さの分だけ拡大させ、各材料層をその施装後、この材料層上に別の材料層を施装する前にその都度固化させることを特徴とする、請求項1または
請求項1を引用する請求項3から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
3次元の成形対象物(17A,17B,17C,17D)を製造すべく、前記液状、ペースト状または粉末状の材料の複数の材料層を重ねて前記エミッタアッセンブリ(11,11A,11B,11C,11D)により照射することで固化させることを特徴とする、請求項2
または請求項2を引用する請求項3から11までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記憶装置内に格納された設定されたジオメトリデータにしたがって少なくとも1つの固体層を製造する方法に関する。
【0002】
米国特許出願公開第2004/0265413号明細書において公知の方法では、直角の座標系の印刷点として記憶装置内に格納されたジオメトリデータを、座標変換装置により極座標に変換している。本方法では、液状の材料の材料ポーションを土台上に放出するために用いられる、互いに離間していて、ノズルとして形成されるそれぞれ複数のエミッタを有する2つのエミッタアッセンブリを有する3Dプリンタを用意する。土台は、円盤形に構成されており、駆動部により回転軸線回りにエミッタアッセンブリに対して相対的に回転ポジショニング可能である。エンコーダにより、エミッタアッセンブリと土台との間の相対ポジションのための回転位置信号が生成される。
【0003】
各エミッタアッセンブリは、市販の印刷ヘッドを多数有しており、印刷ヘッドは、スライドガイドに配置される印刷ヘッドキャリア上で回転軸線に対して半径方向でインクリメンタルに移動可能である。これにより、機能しない印刷ヘッド、噴射不良または誤ってポジショニングされたエミッタによって引き起こされる可能性がある印刷時の不整は、エミッタアッセンブリのポジションが層毎に変更されることで、修正されるはずである。エミッタの機能不全によって引き起こされている欠陥は、これにより、印刷された個々の層においてそれぞれ違う箇所に配置されており、均される。さらにエミッタアッセンブリは、印刷ヘッドキャリアにより印刷ポジション、診断ポジションおよびサービスポジション間で配置可能であり、印刷ポジションでは、エミッタは、土台の上方に配置され、診断ポジションでは、エミッタは、土台の横に存在する診断装置にポジショニングされ、サービスポジションでは、エミッタは、土台の横であって、かつ診断ポジションの横にポジショニングされている。サービスポジションでは、エミッタのクリーニングまたは交換が可能である。
【0004】
エミッタアッセンブリのエミッタが具体的にどのように配置されていて、印刷中、どのように駆動制御されるかは、上述の出願公開明細書には、その詳細は開示されていない。
【0005】
従前公知の方法は、印刷ヘッドキャリアの半径方向の移動時にポジショニング誤差が発生し得るという欠点を有している。さらに、印刷ヘッドキャリアの移動および多数の印刷ヘッドは、手間あるいはコストを要する。
【0006】
実際の使用現場において、さらに、保持部を有しており、保持部には、略長方形の、一水平平面内に延在する土台が、層状の材料施装により製造すべき成形対象物を受けるために配置されている3Dプリンタが公知である。このプリンタは、成形対象物をデカルト座標マトリクス内で印刷するために用いられる。成形対象物のために、デカルト座標マトリクス内に位置する印刷点に割り当てられたジオメトリデータが用意される。
【0007】
土台の上方には、印刷ヘッドが保持部に配置されており、印刷ヘッドは、流動性のある材料の材料ポーションを土台上に放出するノズルアッセンブリを有しており、ノズルアッセンブリは、以下では、エミッタアッセンブリとも称呼する。エミッタアッセンブリは、ノズルとして形成される多数のエミッタを有しており、エミッタは、マトリクス状に、互いに平行にずらされた複数のエミッタカラム内と、互いに平行にずらされ、エミッタカラムに対して横方向に延びる複数のエミッタロー内とに、斜角の直線の座標系内で配置されている。互いに隣接するエミッタカラムは、それぞれ、エミッタカラムの延在方向で互いにずらされており、このずれは、エミッタがエミッタカラム内で有しているずれより小さい。エミッタカラムは、長方形の土台の短辺である両縁部に対して平行に延びている(X軸)。エミッタは、エミッタアッセンブリの各エミッタが、長方形の土台の短辺である両縁部に対して平行に延びる方向でデカルト座標マトリクスの別のXポジションに位置するように配置されている。その際、座標マトリクスの各Xポジションには、それぞれ、エミッタアッセンブリの正確に1つのエミッタが割り当てられている。
【0008】
エミッタアッセンブリは、保持部に配置される第1の位置決め装置により土台の長手方向延在に対して平行にY方向で移動可能であり、互いに離れた短辺である両縁部間を往復走行可能である。長方形の土台の短辺である両縁部に対して平行にX軸の方向で延びる線上に位置する、互いに直接隣接する印刷点が、エミッタアッセンブリのそれぞれ異なるエミッタカラム内に配置されたノズルにより印刷されるので、印刷ヘッドは、線の互いに隣接する印刷点を印刷する際、それぞれ異なるエミッタカラムがX軸の方向で有しているずれが補償されるように、それぞれ異なるXポジションにポジショニングされる。これにより、X方向で直接相並んで配置された印刷点は、一部領域でオーバラップするように密に互いにずらされて土台上に印刷され得る。それにもかかわらず、エミッタアッセンブリのエミッタは、空間的に互いに離隔され、エミッタ間に、エミッタをノズル流動性の材料のためのリザーバに接続する流路および/または導電路を配置することが可能な程度、互いに離間している。
【0009】
エミッタアッセンブリのエミッタは、ノズル流動性の材料のためのリザーバとともに土台に対して相対的に可動である。印刷ヘッドに隣接して、固定装置が配置されており、固定装置は、エミッタアッセンブリにより施装された材料層を架橋あるいは固化させるべく、紫外光源を有している。固定装置は、印刷ヘッドとともに土台に対して相対的に可動である。
【0010】
従前公知の3Dプリンタは、さらに第2の位置決め装置を有しており、第2の位置決め装置により土台は、土台が延在する平面に対して垂直に印刷ヘッドに向かって、かつ印刷ヘッドから離れるように可動、つまり高さについてポジショニング可能である。
【0011】
成形対象物を製造すべく、印刷ヘッドは、土台の第1の縁部に隣接して土台の上方に所定の間隔を置いてポジショニングされる。製造したい成形対象物のためのジオメトリデータがプールされているデータ記憶装置から、第1の材料層のジオメトリについてのデータが、高速の印刷バッファ内にロードされる。その後、印刷ヘッドは、第1の位置決め装置により連続的に土台の反対側の第2の縁部に向かって走行させられる。同時にエミッタアッセンブリの個々のエミッタの相応の駆動制御により、土台上で成形対象物の第1の材料層が形成されるべき箇所において、それぞれ1つの材料ポーションが土台上に放出される。個々のエミッタの駆動制御は、印刷ヘッドの目下のポジションに応じて、かつ印刷バッファ内に存在するデータに応じて実施される。こうして土台上に施装された流動性のある材料は、固定装置により発生される紫外光を照射することで固化される。
【0012】
印刷ヘッドが土台の第2の縁部に到着すると、印刷ヘッドの水平の送り運動は、停止され、データ記憶装置から、先に生成された材料層上に施装すべき別の材料層のためのジオメトリデータが、印刷バッファ内にロードされる。さらに土台は、第2の位置決め装置により、先に生成された材料層の厚さに相当する寸法の分だけ、この材料層上に別の材料層を施装するために、下降される。而るに印刷ヘッドは、第1の位置決め装置により連続的に土台の第1の縁部に向かって移動される。同時に、エミッタの相応の駆動制御により、別の材料層が形成されるべき箇所において、それぞれ1つの材料滴が、既に製造された材料層上に放出される。こうして土台上に施装された流動性のあるポリマー材料は、再び、固定装置により発生される紫外光を照射することで固化される。
【0013】
前述の方法ステップは、相応の形式で、成形対象物のすべての材料層が製造されるまで、繰り返される。
【0014】
この方法は、土台の縁部に設けられた付属物を含めた印刷ヘッドモジュールの停止および加速のために、印刷のために使用できない時間が必要とされるという欠点を有している。この停止および加速は、印刷面積が比較的小さいものから、中間的なものまでは、総印刷時間の50%まで要求し、それゆえ、この方法の生産性を著しく低下させてしまうことがある。さらに、重量のある印刷ヘッドと、印刷ヘッドに結合された比較的大きなかつ重量のある部品、例えば、流動性のある材料貯蔵が内部に存在するリザーバと、摩耗しやすいケーブル引き回しと、固定装置とは、1つの材料層を製造する度に止められ、さらなる材料層が施装されるべき際には、反対方向に加速されなければならない。その際に生じる加速力により、位置決め装置の機構には負荷がかかり、このことは、位置決め装置の軸受およびガイドにおける相応の摩耗に至らしめ、ひいてはプリンタの精度を損ねてしまう。
【0015】
それゆえ課題は、少なくとも1つの固体層を、記憶装置内に格納されたジオメトリデータに応じて、エミッタが斜角の直線の座標系内に配置されているエミッタアッセンブリにより、簡単に製造することを可能にする、冒頭で述べた形態の方法を提示することにある。その際、エミッタアッセンブリの座標系から偏差した、印刷のために使用される極座標系により生じる比較的大きな歪みは、回避されることが望ましく、その結果、斜角の座標系内に配置されるエミッタを有するエミッタアッセンブリの使用にもかかわらず、許容可能な印刷画像が達成される。
【0016】
上記課題は、請求項1の特徴により解決される。請求項1によれば、冒頭で述べた形態の方法において、ノズル流動性の材料の材料ポーションを土台上に、かつ/または土台上に存在し、固化された材料層上に放出すべく、互いに離間していて、材料放出ノズルとして形成される複数のエミッタを有する、少なくとも1つのエミッタアッセンブリを用意し、エミッタアッセンブリは、複数のエミッタカラムを有し、エミッタカラム内でエミッタの中心は、それぞれ、真っ直ぐな線内で互いにずらされており、土台をエミッタアッセンブリに対して相対的に回転軸線回りに回転ポジショニングし、材料ポーションをエミッタにより土台上に、かつ/または土台上に存在し、固化された材料層上に被装し、その後、固化させ、エミッタアッセンブリの、回転軸線から最も遠く離れたエミッタの中心は、回転軸線に対して第1の半径方向の間隔を有し、回転軸線の最も近くに配置されるエミッタの中心は、回転軸線に対して第2の半径方向の間隔を有し、土台に対して相対的なエミッタアッセンブリの回転位置のためのトリガ箇所を規定するトリガ信号を生成し、個々のエミッタのために、記憶装置内にプールされたジオメトリデータに応じて、かつ/または土台がエミッタアッセンブリに対して相対的にそれぞれのトリガ箇所にポジショニングされたときに、該当するエミッタが土台に対して相対的に配置されているポジションに応じて、それぞれ1つの作動信号を生成し、一時記憶し、エミッタをトリガ箇所でそれぞれ、前もって一時記憶された作動信号がセットされているエミッタだけが材料を放出するように駆動制御し、互いに隣接するトリガ箇所間の角度は、第1の半径方向線と第2の半径方向線とが間になす角度に相当するように選択され、第1の半径方向線は、回転軸線から、第1のエミッタカラムと、回転軸線に対して同心の基準円線との間の交点に向かって延び、第2の半径方向線は、回転軸線から、第1のエミッタカラムに対して回転軸線の周方向で隣接する第2のエミッタカラムと、基準円線との間の交点に向かって延び、基準円線の半径は、第1の半径方向の間隔の90%と、第2の半径方向の間隔の10%との和より小さく、かつ基準円線の半径は、第1の半径方向の間隔の10%と、第2の半径方向の間隔の90%との和より大きいようにした。ノズル流動性の材料とは、ノズルを通して土台上に、特に媒体に対して作用する圧力により施装され得る液状、ペースト状または粉末状の媒体と解される。
【0017】
前述の課題は、請求項2の特徴によっても解決される。請求項2によれば、冒頭で述べた形態の方法において、内部で液状、ペースト状または粉末状の材料からなる少なくとも1つの材料層が土台上に被装される容器を用意し、材料に材料を固化させる放射を照射すべく、互いに離間していて、材料層に対向した複数の放射エミッタを有するエミッタアッセンブリを用意し、エミッタアッセンブリは、複数のエミッタカラムを有し、エミッタカラム内でエミッタの中心は、それぞれ、真っ直ぐな線内で互いにずらされており、土台をエミッタアッセンブリに対して相対的に回転軸線回りに回転ポジショニングし、放射をエミッタにより、材料が少なくとも1つの照射箇所で固化されるように材料層に向け、エミッタアッセンブリの、回転軸線から最も遠く離れたエミッタの中心は、回転軸線に対して第1の半径方向の間隔を有し、回転軸線の最も近くに配置されるエミッタの中心は、回転軸線に対して第2の半径方向の間隔を有し、土台に対して相対的なエミッタアッセンブリの回転位置のためのトリガ箇所を規定するトリガ信号を生成し、個々のエミッタのために、記憶装置内にプールされたジオメトリデータに応じて、かつ/または土台がエミッタアッセンブリに対して相対的にそれぞれのトリガ箇所にポジショニングされたときに、該当するエミッタが土台に対して相対的に配置されているポジションに応じて、それぞれ1つの作動信号を生成し、一時記憶し、エミッタをトリガ箇所でそれぞれ、前もって一時記憶された作動信号がセットされているエミッタだけが放射を放出するように駆動制御し、互いに隣接するトリガ箇所間の角度は、第1の半径方向線と第2の半径方向線とが間になす角度に相当するように選択され、第1の半径方向線は、回転軸線から、第1のエミッタカラムと、回転軸線に対して同心の基準円線との間の交点に向かって延び、第2の半径方向線は、回転軸線から、第1のエミッタカラムに対して回転軸線の周方向で隣接する第2のエミッタカラムと、基準円線との間の交点に向かって延び、基準円線の半径は、第1の半径方向の間隔の90%と、第2の半径方向の間隔の10%との和より小さく、かつ基準円線の半径は、第1の半径方向の間隔の10%と、第2の半径方向の間隔の90%との和より大きいようにした。本発明は、つまり、光造形法に類似の方法でも使用可能である。相違点は、光造形法のレーザビームまたはLCD/LEDプロジェクタが、請求項1または2記載のエミッタアッセンブリに置換されることである。
【0018】
ジオメトリデータには、印刷点が割り当てられていることができ、印刷点は、デカルトマトリクス内に配置されており、マトリクスは、ローおよびカラムを有しており、ローおよびカラム内でそれぞれ複数の印刷点が互いにずらされている。
【0019】
好ましくは、ジオメトリデータに印刷点が割り当てられており、印刷点は、極マトリクス内に配置されており、極マトリクスは、回転軸線に対して半径方向で延びる複数の列を有しており、列内では、それぞれ複数の印刷点が互いにずらされている。これにより良質の印刷画像が可能となる。印刷点を有する列は、回転軸線の周方向で、好ましくは、第1の半径方向線と第2の半径方向線とが間になす角度に相当する角度の分だけ互いにずらされている。
【0020】
ジオメトリデータは、好ましくはビットマップとしてプールされており、印刷点毎に1つの作動値を有していることができる。作動値は、最も簡単な場合、2つの状態を有していることができ、例えば、印刷点に固体層があるべきときは、論理値「1」を有し、固体層が印刷点にあるべきでないときは、論理値「0」を有している。個々の印刷点のためにそれぞれ異なる材料量または放射エネルギ量が土台上に放出されるべきときは、作動値は、2つより多くの状態を有していてもよい。必要であれば、ジオメトリデータは、印刷点のポジションのための座標を有していてもよい。固体層があるべき印刷点のためにだけ、座標が提供されることも可能である。付加的な作動値は、この場合、省略可能である。
【0021】
有利な形式で、本発明に係る方法では、印刷のために使用される極座標系の、エミッタアッセンブリのエミッタが配置されているデカルト座標系からの偏差によって生じる歪みは、比較的均整にエミッタ上に分配される。これにより、ノズル流動性の材料が土台上に、もしくは土台上に存在し、固化された材料層上に被装される材料放出箇所(請求項1)、または照射箇所(請求項2)と、対応する印刷点ポジションであって、そのために記憶装置内にジオメトリデータが格納されている印刷点ポジションとの間の、印刷時に最大で生じる位置偏差は、基準円線の半径が請求項1に表示した範囲外にある相応の方法におけるより小さい。これにより、本発明に係る方法では、デカルト座標状に配置されるエミッタを有する低コストの印刷ヘッドの使用にもかかわらず、許容可能な印刷画像が達成される。
【0022】
本発明の好ましい一実施の形態では、基準円線の半径は、第1の半径方向の間隔の80%と、第2の半径方向の間隔の20%との和より小さく、かつ基準円線の半径は、第1の半径方向の間隔の20%と、第2の半径方向の間隔の90%との和より大きい。これにより、材料が土台上に、もしくは土台上に存在し、固化された材料層上に施装される箇所と、ジオメトリデータとの間の最大の歪みまたは位置偏差は、さらに減少され得る。
【0023】
異なる座標系(斜角あるいは極)により最大で生じる歪みのさらなる減少は、本発明の有利な一構成では、基準円線の半径が、第1の半径方向の間隔の70%と、第2の半径方向の間隔の30%との和より小さく、かつ基準円線の半径が、第1の半径方向の間隔の30%と、第2の半径方向の間隔の70%との和より大きいことにより達成される。
【0024】
本発明の一発展形では、基準円線の半径は、第1の半径方向の間隔の60%と、第2の半径方向の間隔の40%との和より小さく、かつ基準円線の半径は、外側の円軌道の直径の40%と、内側の円軌道の直径の60%との和より大きいようにした。特に、基準円線の半径が、第1の半径方向の間隔の55%と、第2の半径方向の間隔の45%との和より小さく、かつ基準円線の半径が、外側の円軌道の直径の45%と、内側の円軌道の直径の55%との和より大きいと、有利である。これにより、印刷時の最大の歪みは、さらに減少され得る。
【0025】
本発明の有利な一構成では、各トリガ箇所にそれぞれ1つのエミッタカラムを割り当て、個々のトリガ箇所のために設けられた作動信号をそれぞれ、該当するトリガ箇所に割り当てられたエミッタカラムのエミッタのためにだけ、記憶装置内にプールされたジオメトリデータに応じて、かつ該当するエミッタが配置されているポジションに応じて生成し、作動信号を、このエミッタカラム内には配置されていないエミッタのためには、エミッタアッセンブリが土台に対して相対的にトリガ箇所にポジショニングされたとき、これらのエミッタが作動されないようにセットする。各トリガ箇所では、つまり、それぞれ単一のエミッタカラムにおいてのみ、ジオメトリデータが、材料放出信号の生成時に考慮される一方、1つの残りのエミッタカラム(エミッタアッセンブリが2つのエミッタカラムを有している場合)あるいは複数の残りのエミッタカラム(エミッタアッセンブリが2つより多くのエミッタカラムを有している場合)の作動信号は、無効化される。本方法は、而して簡単に実施可能である。それというのも、このエミッタカラム内に存在するエミッタの中心の間隔が、印刷点の相応の間隔と一致するとき、ジオメトリデータは、直接、記憶装置から印刷バッファ内に、トリガ箇所に割り当てられた(アクティブな)エミッタカラムの作動信号のために受け取られ得るからである。トリガ箇所からトリガ箇所へ、それぞれ、アクティブなエミッタカラムは、周期的に交番される。而して、例えば4つのエミッタカラムを有するエミッタアッセンブリの場合、第1のトリガ箇所で第1のエミッタカラムが作動され、第2のトリガ箇所で第2のエミッタカラムが作動され、第3のトリガ箇所で第3のエミッタカラムが作動され、第4のトリガ箇所で第4のエミッタカラムが作動され、第5のトリガ箇所で第1のエミッタカラムが作動され、第6のトリガ箇所で第2のエミッタカラムが作動され得る(以下同様)。請求項7記載の方法は、特に、第1のエミッタカラムと最後のエミッタカラムとの間の間隔、ひいてはエミッタアッセンブリの幅が、基準円線の直径より小さいエミッタアッセンブリのために好適である。
【0026】
合目的的には、エミッタアッセンブリのエミッタカラムを、回転軸線と、回転軸線に対する垂線とにより規定されるラジアル平面に対して対称に、エミッタカラムがこのラジアル平面に対して平行に延びるように配置する。エミッタアッセンブリが奇数のエミッタカラムを有しているとき、エミッタカラムの配置は、好ましくは、真ん中のエミッタカラムまたはその真っ直ぐな延長線が回転軸線を通るようにする。印刷ヘッドアッセンブリが偶数のエミッタカラムを有しているとき、回転軸線は、好ましくは、最も内側の2つのエミッタカラムあるいはそれらの真っ直ぐな延長線間の中間に配置されている。
【0027】
本発明の一発展形では、回転軸線に対して同心に配置され、それぞれ内側の円軌道と外側の円軌道とにより画定される複数の印刷リングを印刷すべく、少なくとも第1および第2のエミッタアッセンブリを用意し、これらのエミッタアッセンブリを、第1のエミッタアッセンブリの内側の円軌道と外側の円軌道との算術平均値が、第2のエミッタアッセンブリの内側の円軌道と外側の円軌道との算術平均値とは異なっているように、回転軸線に対して相対的にポジショニングし、第1のエミッタアッセンブリのトリガ信号を生成すべく、第1の半径を有する基準円線を使用し、第2のエミッタアッセンブリのトリガ信号を生成すべく、第1の半径から偏差した第2の半径を有する基準円線を使用し、第1の半径を請求項1から5までのいずれか1項にしたがって第1のエミッタアッセンブリの第1および第2の半径方向の間隔に応じて選択し、第2の半径を請求項1から5までのいずれか1項にしたがって第2のエミッタアッセンブリの第1および第2の半径方向の間隔に応じて選択する。有利な形式で、その際、各エミッタアッセンブリの基準円線は、それぞれ、エミッタアッセンブリに割り当てられた印刷リング内に、その内側の縁部および外側の縁部に対して間隔を置いて配置されている。ここで印刷時に最大で生じる歪みは、さらに減少され得る。好ましくは、互いに隣接して配置される印刷リングは、半径方向で、土台あるいは土台上に存在し、固化された材料層の隙間なしのプリントが可能であるように、互いに隣り合い、または若干重なっている。
【0028】
本発明の好ましい一実施の形態では、回転軸線に関して任意の回転角度の分だけ互いにずらされている少なくとも2つのエミッタアッセンブリを用意し、個々のエミッタアッセンブリのエミッタをそれぞれ、材料ポーションを施装するために、請求項1から8までの少なくとも1項にしたがって制御する。このことは、より高速の材料施装および/またはより高い印刷分解能を可能にする。
【0029】
本発明の有利な一構成では、エミッタカラム内で互いに隣接するエミッタの中心は、互いに一定の第1のパターン間隔を置いて配置されており、互いに隣接するエミッタカラムは、それぞれ、互いに一定の第2のパターン間隔を置いてずらされており、第1のパターン間隔は、20パーセント未満、特に10パーセント未満の分だけ第2のパターン間隔から偏差し、特に第2のパターン間隔と一致する。これにより、印刷時の歪みは、さらに減少される。
【0030】
本発明に係る方法により、3次元の成形対象物が製造され得る。このために、材料をノズルにより施装する方法では、ノズル流動性の材料の多数の固体層を重ねるように施装する。材料層を施装する度に、さらなる材料層を施装する前に、施装した材料層をその都度固化させる。材料が架橋可能なポリマー素材であるとき、材料の固化は、例えば、好適な波長のUV光を照射することで達成され得る。エミッタアッセンブリと土台との間の間隔を、層毎にその都度、最後に施装した材料層の厚さの分だけ拡大させる。請求項2記載の方法では、3次元の成形対象物を製造すべく、液状、ペースト状または粉末状の材料の複数の材料層を重ねてエミッタアッセンブリにより照射することで全面的かつ/または領域的に固化させる。
【0031】
以下に本発明の実施例について図面を基に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】層状の材料施装により3次元の成形対象物を製造する装置であって、回転盤として構成される土台を有し、土台上に成形対象物のための複数の材料層が被装されている装置を示した図である。
【
図2】
図1に類似の図であって、さらなる材料層が被装され、土台が
図1に対して下降された後の図である。
【
図3】土台と、ノズル流動性の材料の材料ポーションを土台上に放出する、デカルト座標状に複数のカラム中に配置されるエミッタ(ノズル)を有する、土台の上方に配置されたエミッタアッセンブリとの部分平面図であって、エミッタの位置を概略的に円によりマークした図である。
【
図4】デカルト印刷点マトリクスを図示した図である。
【
図5】第1のトリガ箇所のための作動データを示した図である。
【
図6】
図3に類似の図であって、中断ありの線を生成すべく、第1のエミッタカラムが材料ポーションを土台上に放出する第1のトリガ箇所に、土台が存在しているときの図であり、材料ポーションにはハッチングを施して示した図である。
【
図7】第2のトリガ箇所のための作動データを示した図である。
【
図8】
図3に類似の図であって、中断ありの線を生成すべく、第2のエミッタカラムが別の材料ポーションを土台上に放出する第2のトリガ箇所に、土台が存在しているときの図である。
【
図9】第3のトリガ箇所のための作動データを示した図である。
【
図10】
図3に類似の図であって、第3のエミッタカラムが材料ポーションを土台上に放出する第3のトリガ箇所に、土台が存在しているときの図である。
【
図11A】
図5ないし10に示した本発明の実施例により中断ありの線に沿って土台上に被装された材料ポーションを示す図であって、材料ポーションは、中塗りの円によりマークし、線の中断の領域で材料が被装されなかった箇所は、破線で描いた円によりマークした図である。
【
図11B】
図11Aに類似の図であるが、本発明によらず土台上に被装された材料ポーションを示した図である。
【
図12】土台と、土台に配置されるエミッタアッセンブリとの部分平面図であって、
図10Bに示した本発明によらず製造される線の印刷時に、エミッタカラムが材料を土台上に放出したトリガ箇所を、図の上側の縁部に矢印によりマークした図である。
【
図13】3次元の成形対象物を層状に製造する装置の土台の部分平面図であって、土台は、複数のエミッタアッセンブリを有しており、エミッタアッセンブリは、それぞれ異なる印刷リングに割り当てられている態様の図である。
【
図14】3次元の成形対象物を層状に製造する装置の土台の部分平面図であって、土台は、複数のエミッタアッセンブリを有しており、エミッタアッセンブリは、それぞれ異なる印刷リングに割り当てられている態様の図である。
【
図16】
図15とは異なる印刷ヘッドのエミッタの平面図である。
【
図17】光造形モデルにしたがって3次元の成形対象物を製造する装置であって、容器を有し、容器内には、回転可能な土台と、電磁放射の照射により固化可能な材料とが配置されている装置を示した図である。
【
図18】
図17に示した装置の回転軸線を通る縦断面図である。
【
図19】
図18に類似の図であって、さらなる材料層が固化され、容器が
図18に対して下降された後の図である。
【0033】
一水平平面内に配置される土台1上にノズル流動性の材料を層状に被装する方法において、土台1を有し、鉛直の回転軸線2回りに不動の保持部3に回動可能に軸支されている円環形の回転盤を用意する。保持部3は、保持部3の下面に設置面を有しており、設置面により保持部3は、例えば卓上または任意の空間の地面もしくは床上に設置可能である。
【0034】
土台1は、第1の位置決め装置と駆動接続関係にあり、第1の位置決め装置は、第1の駆動モータ4を有しており、第1の駆動モータ4により土台1は、矢印5の方向で回転駆動可能であり、駆動制御装置6により提供される回転位置目標値信号に応じてポジショニング可能である。第1の駆動モータ4は、この目的のために、駆動制御装置6内に組み込まれた第1の位置制御器に接続されており、第1の位置制御器は、土台1のための回転位置信号を検出するエンコーダ7を有している。第1の位置決め装置により土台1は、連続的に、かつ止まることなく、360°を超える略任意の角度にわたって保持部3に対して相対的に回転軸線2回りに回転可能である。
【0035】
土台1は、さらに第2の位置決め装置と駆動接続関係にあり、第2の位置決め装置は、第2の駆動モータ8を有しており、第2の駆動モータ8により土台1は、双方向矢印9の方向で保持部3に対して相対的に昇降可動であり、駆動制御装置6により提供される高さ位置目標値信号に応じてポジショニング可能である(
図1および2)。このポジショニングは、断続的または連続的に実施可能である。第2の駆動モータ8は、この目的のために、駆動制御装置6内に組み込まれた第2の位置制御器に接続されており、第2の位置制御器は、土台1の高さ位置を検出する位置センサ10を有している。
【0036】
本方法を実施するために、さらにエミッタアッセンブリ11を用意する。エミッタアッセンブリ11は、市販の印刷ヘッドとして構成されており、印刷ヘッドは、制御可能な弁またはポンプが設けられ、ノズルとして構成される多数のエミッタ12を有しており、エミッタ12からはそれぞれ、ノズル流動性の硬化可能な材料の材料ポーション(例えば滴)が放出可能である。市販の印刷ヘッドの代わりに、固定のエミッタを有する別のエミッタマトリクスを使用してもよい。材料は、例えば光によりかつ/または電磁式にかつ/または化学的に架橋可能なポリマーであってもよく、ポリマーは、図面に詳細に示すことはしないリザーバ内に貯蔵されており、リザーバは、管路を介してエミッタ12に接続されている。
【0037】
エミッタ12は、土台1の上方に、土台1の平面に対して平行に延び、土台1の平面から離間した一平面内に配置されており、デカルト座標状に、互いに平行に配置される複数のエミッタカラム13A,13B,13C内と、エミッタカラム13A,13B,13Cに対して横方向に延びる複数のエミッタロー内とに、互いに相対的にポジショニングされている。エミッタカラム13A,13B,13C内で、個々のエミッタ12の中心あるいは個々のエミッタ12のノズル開口の面の重心は、真っ直ぐな線14A,14B,14Cに沿って一定の間隔で互いにずらされている。
【0038】
エミッタアッセンブリ11は、印刷バッファ15に接続されており、印刷バッファ15内には、エミッタアッセンブリ11の各エミッタのために、それぞれ1つの作動信号が一時記憶され得る。作動信号は、例えば論理値「1」または論理値「0」を有していることができる。
【0039】
さらにエミッタアッセンブリ11は、トリガ入力部を有しており、トリガ入力部には、トリガ信号が印加され得る。トリガ入力部において受信されるトリガの度に、エミッタアッセンブリ11の、エミッタ12のためにプリンタバッファ15内にそれぞれ値「1」がプールされているすべてのエミッタ12が、材料ポーションを放出する。エミッタ12のためにプリンタバッファ内に値「0」がプールされているエミッタ12は、トリガを受信したとき、操作されない。すなわち、これらのエミッタ12は、材料ポーションを放出しない。
【0040】
土台1上に存在する1つの材料層、この材料層上に存在する1つの材料層、および/または土台1上に存在し、エミッタアッセンブリ11により被装された複数の材料層を有する積層体を固化あるいは架橋させるべく、UV光源16を用意する。UV光源16は、UV光源16の出射面が土台1に対向しているように土台1にポジショニングされる。
【0041】
図3、6、8および10に示した実施例では、エミッタアッセンブリ11は、3つのエミッタカラム13A,13B,13Cを有しており、エミッタカラム13A,13B,13Cは、互いに一定の間隔で配置され、互いに平行に延びている。中央のエミッタカラム13Bのエミッタ12の中心を互いに結んだ線14Bの真っ直ぐな延長線は、回転軸線2を通る。その他の両エミッタカラム13A,13Cのエミッタ12の中心を互いに結んだ線14A,14Cの真っ直ぐな延長線は、線14Aと線14Bとが、あるいは線14Bと線14Cとが、線の延在方向に対して直角に互いにずらされている寸法の分だけ、回転軸線2から離間している。
【0042】
図3には、エミッタアッセンブリ11を拡大して示してある。最初(第1)のエミッタカラム13Aのエミッタ12の中心を互いに結んだ線14Aと、最後のエミッタカラム13Cのエミッタ12の中心を互いに結んだ線14Cとの間の間隔aは、約20μm~100μmであり得る。
【0043】
土台1、エミッタアッセンブリ11、駆動制御装置6およびUV光源16を有する装置により、ノズル流動性の材料の多数の材料層を層状に施装し、固化させることで、3次元の成形対象物17A,17B,17C,17Dを土台1上に製造することができる。
【0044】
駆動制御装置6は、上位のコンピュータ18、例えばPCに接続されており、コンピュータ18は、記憶装置19を有しており、記憶装置19内には、個々の材料層のために印刷点としてのジオメトリデータがプールされており、ジオメトリデータに応じて成形対象物17A,17B,17C,17Dの材料層が製造される。印刷点は、極マトリクス内に配置されており、極マトリクスは、回転軸線に対して半径方向で延びる複数の列を有しており、列内では、それぞれ複数の印刷点が互いにずらされている。印刷データあるいはジオメトリデータは、例えばコンピュータ18上で走らせることが可能なCADソフトウェアにより提供され得る。コンピュータ18上では、さらに、成形対象物17A,17B,17C,17Dの個々の層のためのジオメトリデータを生起させるソフトウェアが実行可能である。ジオメトリデータにより生成された印刷データを印刷バッファ15内にロードするために、コンピュータ18は、駆動制御装置6に接続されている。
【0045】
図3に看取可能であるように、エミッタアッセンブリ11の、回転軸線2から最も遠く離れたエミッタ12の中心は、回転軸線2に対して第1の半径方向の間隔R1を有し、回転軸線2の最も近くに配置されるエミッタ12の中心は、回転軸線2に対して第2の半径方向の間隔R2を有している。回転軸線2から最も遠く離れたエミッタ12の中心は、回転軸線2に対して同心の、半径R1を有する円線上に位置している。回転軸線2の最も近くに配置されるエミッタ12の中心は、回転軸線2に対して同心の、半径R2を有する円線上に位置している。
【0046】
以下に、本方法のフローについて、
図3および5ないし10を基に説明する。土台を矢印5の方向で回転軸線2回りに回転させ、土台1に対して相対的なエミッタアッセンブリ11の回転位置のためのトリガ箇所を規定するトリガ信号を生成する。周方向で互いに隣接するトリガ箇所は、回転軸線2回りに一定の角度αの分だけ互いにずらされている。角度αは、第1の半径方向線23と第2の半径方向線24とが間になす角度に相当する。第1の半径方向線23は、回転軸線2から、第1のエミッタカラム13Aのエミッタ12の中心が位置する線14Aと、回転軸線2に対して同心の、第1の半径方向の間隔R1と第2の半径方向の間隔R2との算術平均値に相当する半径Bを有する基準円線25との交点に向かって延びている。第2の半径方向線24は、回転軸線2から、第2のエミッタカラム13Bのエミッタ12の中心が位置する線14Bと、基準円線25との交点に向かって延びている。第1のトリガ箇所は、
図6に矢印20により、第2のトリガ箇所は、
図8に矢印21により、第3のトリガ箇所は、
図10に矢印22によりマークしてある。
【0047】
記憶装置19内には、長手方向で略中央に中断を有する、印刷したい真っ直ぐな材料線のための印刷データあるいはジオメトリデータが記憶されている。印刷データあるいはジオメトリデータには、印刷点が割り当てられている。印刷点は、
図4に図示してある。印刷点は、互いに平行にずらされた複数の列33を有していて、列33内では、それぞれ複数の印刷点が一定の間隔で互いにずらされているデカルトマトリクス内に配置されていることが、明瞭に看取可能である。固体層があるべき印刷点は、
図4に中塗りの円として示し、固体層があるべきでない印刷点は、円線として示してある。印刷点を印刷する前に、ジオメトリデータを、まず、回転軸線2に対して半径方向で延びる列内で印刷点が互いにずらされている極マトリクスに変換する。極マトリクスの互いに隣接する列は、それぞれ、トリガ箇所21,22,23の角度間隔で互いにずらされている。
【0048】
土台1が第1のトリガ箇所に到達する前に、エミッタアッセンブリ11の各エミッタ12のために、それぞれ1つの第1の作動信号を印刷バッファ15内にプールする。エミッタアッセンブリ11の第1のエミッタカラム13Aの個々のエミッタ12のために、それぞれ、記憶装置19内にプールされたジオメトリデータに応じて、かつ土台1が第1のトリガ箇所にポジショニングされたときに、該当するエミッタ12が土台1に対して相対的に配置されているポジションに応じて、第1の作動信号を駆動制御装置6により求め、印刷バッファ15内に一時記憶する。該当するエミッタ12が材料を土台1上に放出すべきときは、エミッタ12のために論理値「1」を印刷バッファ内にプールし、そうでなければ、値「0」を印刷バッファ内にプールする。第2および第3のエミッタカラム13B,13Cのエミッタ12の作動信号は、論理値「0」にセットする。これをそれぞれ印刷バッファ15内にプールする(
図5)。土台1が、矢印20によりマークした第1のトリガ箇所にポジショニングされると直ちに、エミッタアッセンブリ11をトリガする。トリガを受信したとき、エミッタ12のために印刷バッファ内に値「1」がプールされているすべてのエミッタ12は、それぞれ1つの材料ポーションを、回転する土台1上に放出する。材料ポーションは、
図6にハッチングを施して示してある。エミッタのために印刷バッファ内に値「0」がプールされているエミッタは、材料を放出しない。
【0049】
土台1が、矢印21によりマークした第2のトリガ箇所に到達(
図8)する前に、別のステップで第2の作動信号を印刷バッファ15内にプールする。第2のエミッタカラム13Bの個々のエミッタ12のために、それぞれ、記憶装置19内にプールされたジオメトリデータに応じて、かつ土台1が第2のトリガ箇所にポジショニングされたときに、該当するエミッタ12が土台1に対して相対的に配置されているポジションに応じて、第2の作動信号を駆動制御装置6により求め、印刷バッファ15内に一時記憶する。第1および第3のエミッタカラム13A,13Cのエミッタ12の作動信号は、論理値「0」にセットする。これをそれぞれ印刷バッファ15内にプールする(
図7)。土台1が第2のトリガ箇所にポジショニングされると直ちに、エミッタアッセンブリ11をトリガする。すなわち、エミッタ12のために印刷バッファ内に値「1」がプールされているすべてのエミッタ12が、吐出される。
【0050】
土台1が、矢印22によりマークした第3のトリガ箇所に到達(
図10)する前に、別のステップで第3の作動信号を印刷バッファ15内にプールする。第3のエミッタカラム13Cの個々のエミッタ12のために、それぞれ、記憶装置19内にプールされたジオメトリデータに応じて、かつ土台1が第3のトリガ箇所にポジショニングされたときに、該当するエミッタ12が土台1に対して相対的に配置されているポジションに応じて、第3の作動信号を駆動制御装置6により求め、印刷バッファ15内に一時記憶する。第1および第2のエミッタカラム13A,13Bのエミッタ12の作動信号は、論理値「0」にセットする。これをそれぞれ印刷バッファ15内にプールする(
図9)。土台1が第3のトリガ箇所にポジショニングされると直ちに、エミッタアッセンブリ11を改めてトリガする。すなわち、エミッタのために印刷バッファ内に値「1」がプールされているすべてのエミッタが、吐出される。
【0051】
図11Aには、前述の実施例において生成された中断ありの線を示してある。中塗りの黒い円は、線を印刷するために材料ポーションが土台1上に放出された箇所をマークしている。中断の領域で材料が土台1上に被装されなかった箇所は、破線で描いた円によりマークしてある。一点鎖線で描いた目標線26は、印刷すべき中断ありの線の中心線の、ジオメトリデータにより設定された目標ポジションをマークしている。
【0052】
記憶装置19内に、中断なく連続して延びる線のためのジオメトリデータがプールされると、各トリガ箇所でそれぞれ、該当するトリガ箇所に割り当てられたエミッタカラム***のすべてのエミッタ12が、吐出される。この場合、中塗りの黒い円によりマークした箇所の他、破線で描いた円によりマークした箇所においても、材料ポーションが土台1上に放出される。
【0053】
図11Aに看取可能であるように、エミッタアッセンブリ11の延在方向でエミッタアッセンブリ11の略中央に位置するエミッタ12により放出される材料ポーションの中心は、目標線26上に位置しているか、または目標線26に対して極めて僅かな間隔しか有していない。中央からの間隔が増大するにつれ、偏差は、印刷領域の外側の縁部および内側の縁部に向かってそれぞれ増大する。最大の偏差は、印刷領域の外側の縁部および内側の縁部において生じる。
【0054】
図11Bには、記憶装置12内にプールされた中断ありの線が、本発明によらず、回転軸線2に対して同心の基準円線の半径が、第1の半径方向の間隔R1に相当するという点において、本発明に係る方法とは相違した方法によって、印刷がなされた際に生じる印刷画像を示してある。周方向で互いに隣接するトリガ箇所28は、回転軸線2回りに、
図6に示した角度αより小さい一定の角度βの分だけ互いにずらされている。この場合は、該当するエミッタカラム13A,13B,13C内で回転軸線2から最も遠く離れて位置するエミッタ12により放出される材料ポーションの中心が、目標線26上に位置しているか、または目標線26に対してある間隔しか有していない。印刷領域の外側の縁部から内側の縁部に向かって、偏差は拡大する。最大の偏差は、印刷領域の内側の縁部に生じる。
図11Aと
図11Bとの比較により、
図11Bにおける印刷された線の最大の幅w2が、より高い偏差に基づき、
図11Aに示した実施例による印刷された線の最大の幅w1より大きいことは、明らかである。幅w1およびw2は、それぞれ、土台1上に放出され、固化された材料ポーションの中心に関する。
【0055】
図11Aと
図11Bとの比較は、
図11Bに示した、土台1上に放出された材料ポーションの、目標線26からの偏差が、
図11Aに示した、本発明に係る方法によって印刷された線よりも大きなばらつきをもって、印刷された線に沿って分配されていることを示している。
図11Bにおける偏差の最大値も、
図11Aにおけるより大きい。
【0056】
図13に示した実施例では、回転軸線に対して同心に配置され、それぞれ内側の円軌道と外側の円軌道とにより画定される複数の印刷リング27A,27B,27C,27Dを印刷すべく、複数のエミッタアッセンブリ11A,11B,11C,11Dを用意する。エミッタアッセンブリ11A,11B,11C,11Dは、それぞれ、エミッタアッセンブリ11A,11B,11C,11Dの長手方向中心軸線が、回転軸線2に対して半径方向で方向付けられ、かつエミッタアッセンブリ11A,11B,11C,11Dが回転軸線2に対して有している間隔が、それぞれ異なっているように配置される。
図13に看取可能であるように、半径方向で互いに隣接するエミッタアッセンブリ11A,11B,11C,11Dは、それぞれ、エミッタアッセンブリ11A,11B,11C,11Dに割り当てられた印刷リングが隣り合い、その結果、半径方向で1つの連続した、印刷リング27Aの内側の円軌道から印刷リング27Dの外側の円軌道にかけて延在する印刷領域が生じるように配置される。
【0057】
各エミッタアッセンブリ11A,11B,11C,11Dには、それぞれ1つの固有の、回転軸線2に対して同心に配置される基準円線25A,25B,25C,25Dが割り当てられており、基準円線25A,25B,25C,25Dの半径BA,BB,BC,BDは、該当するエミッタアッセンブリ11A,11B,11C,11Dの、回転軸線2から最も遠く離れたエミッタ12の中心と、回転軸線2との間の第1の半径方向の間隔と、該当するエミッタアッセンブリ11A,11B,11C,11Dの、回転軸線2の最も近くに配置されるエミッタ12の中心と、回転軸線2との間の第2の半径方向の間隔との算術平均値に相当する。
【0058】
各エミッタアッセンブリ11A,11B,11C,11Dのために、それぞれ1つの作動信号を生成し、一時記憶する。さらに、各エミッタアッセンブリ11A,11B,11C,11Dのために、該当するエミッタアッセンブリ11A,11B,11C,11Dと土台1との間の回転位置のためのトリガ箇所を規定するそれぞれ1つのトリガ信号を生成する。
【0059】
個々のエミッタアッセンブリ11A,11B,11C,11Dの互いに隣接するトリガ箇所間の角度は、それぞれ、該当するエミッタアッセンブリ11A,11B,11C,11Dに割り当てられた第1の半径方向線と、該当するエミッタアッセンブリ11A,11B,11C,11Dに割り当てられた第2の半径方向線とが間になす角度に相当する。
【0060】
第1の半径方向線は、回転軸線2から、該当するエミッタアッセンブリ11A,11B,11C,11Dの第1のエミッタカラムと、このエミッタアッセンブリ11A,11B,11C,11Dに割り当てられた基準円線BA,BB,BC,BDとの間の交点に向かって延びている。第2の半径方向線は、回転軸線2から、該当するエミッタアッセンブリ11A,11B,11C,11Dの、第1のエミッタカラムに対して回転軸線2の周方向で隣接する第2のエミッタカラムと、このエミッタアッセンブリ11A,11B,11C,11Dの基準円線BA,BB,BC,BDとの間の交点に向かって延びている。
【0061】
個々のエミッタアッセンブリ11A,11B,11C,11Dに割り当てられたトリガ箇所において、該当するエミッタアッセンブリ11A,11B,11C,11Dのエミッタ12は、それぞれ、該当するエミッタアッセンブリ11A,11B,11C,11Dの、前もって一時記憶された作動信号がセットされているエミッタ12だけが材料を放出するように駆動制御される。
【0062】
図14に示した実施例では、各印刷リング27A,27B,27C,27D上に、それぞれ異なる印刷モジュール29,29’に割り当てられたそれぞれ2つのエミッタアッセンブリ11A,11A’あるいは11B,11B’あるいは11C,11C’あるいは11D,11D’が、周方向で互いにずらされて配置されている。これらの印刷モジュールの各々は、前述の方法によって作業する。相応の形式で、必要であれば、1つの印刷リング上に、2つより多くのエミッタアッセンブリ11A,11A’あるいは11B,11B’あるいは11C,11C’あるいは11D,11D’が、周方向で互いにずらされて配置されていてもよい。個々の印刷モジュール29,29’により、それぞれ異なる材料を土台1上に被装することも可能である。材料は、特に材料の色に関して、または材料の機械的な特性に関して互いに区別され得る。
【0063】
図15に看取可能であるように、エミッタアッセンブリ11は、複数の群28のエミッタカラムを有していてもよく、個々の群28のエミッタ12は、それぞれ、エミッタ12が位置する平面内で、エミッタカラムの長手方向延在に対して直角に互いにずらされているあるいは移動されている。
【0064】
各群28は、それぞれ、同じ数および配置のエミッタカラムあるいはエミッタ12を有している。群28内では、該当する群28に割り当てられたエミッタカラムが、エミッタカラムの長手方向延在において互いに若干ずらされており、ずれVは、エミッタ12がエミッタカラム内で有しているパターン間隔dより小さい。ここで、パターン間隔dとは、1つのノズルカラムの互いに隣接するエミッタ12の中心の間隔、つまり、1つのエミッタカラムのノズル開口の面の重心同士が有している間隔と解される。
【0065】
1つの群28の互いに隣接するエミッタカラム間の間隔は、互いに隣接する群の間隔より小さくてもよい(
図15)。しかし、間隔は一致していてもよい(
図16)。
【0066】
本発明の
図17ないし19に示した実施例では、内部で液状、ペースト状または粉末状の材料31が土台1上に被装される容器30を有する装置を用意する。材料31に高エネルギの電磁放射32を照射するために、それぞれのエミッタアッセンブリ11,11A,11B,11C,11Dは、互いに離間した複数の放射エミッタ12を有しており、放射エミッタ12は、それぞれ発光ダイオードとして構成されている。個々のエミッタ12により放出された放射32の集束あるいは集光のために、それぞれ、エミッタ12の光路内に、図面に詳細に示すことはしない光学系が配置されている。
【0067】
エミッタ12により発生可能な電磁放射32の波長および出力は、流動性のある材料31が電磁放射32の照射により照射箇所で固化され得るように、材料31に合わせて調整されている。「固化」とは、液状のまたは流動性のある材料31の場合、材料31が固体材料へと硬化、特に材料中に含まれるポリマーおよび/またはコポリマーの架橋により硬化されることと解される。粉末状の材料31の場合、「固化」とは、固体粒子として存在する材料粒子が、電磁放射32の照射により加熱され、続いて冷却され、堅固に互いに結合することと解される。
【0068】
エミッタアッセンブリ11,11A,11B,11C,11Dは、複数のエミッタカラム13A,13B,13Cを有しており、エミッタカラム13A,13B,13C内では、それぞれ、エミッタ12の中心が真っ直ぐな線内で互いにずらされている。放射エミッタ12の配置は、
図3、6、8、10および12ないし16に示したノズルとして構成されたエミッタ12の配置に相当し、ゆえに、これらの図に示したエミッタアッセンブリ11,11A,11B,11C,11Dについての説明は、
図17ないし19に示した実施例に相応に当てはまるが、エミッタ12が、
図17ないし19に示した実施例では、材料の代わりに放射32を放出し、放射32が、流動性のある材料31に向けられているという相違点を有している。
【0069】
土台は、容器30内でエミッタアッセンブリ11,11A,11B,11C,11Dに対して相対的に回転軸線2回りに回転ポジショニングされ、エミッタ12により発生された放射は、材料31が少なくとも1つの照射箇所で固化されるように、材料31の表面に存在する材料層に向けられる。
【0070】
エミッタアッセンブリ11は、印刷バッファ15に接続されており、印刷バッファ15内には、エミッタアッセンブリ11の各エミッタのために、それぞれ1つの作動信号が一時記憶され得る。放射エミッタ12の駆動制御のために、駆動制御装置が設けられており、駆動制御装置は、トリガ入力部を有している。トリガ入力部において受信されるトリガの度に、エミッタアッセンブリ11の、エミッタ12のためにプリンタバッファ15内にそれぞれ値「1」がプールされているすべてのエミッタ12が、放射を材料31に向けて放出する。エミッタ12のためにプリンタバッファ内に値「0」がプールされているエミッタ12は、トリガを受信したとき、操作されない。すなわち、これらのエミッタ12は、放射を放出しない。
図1および2に示した装置についてエミッタアッセンブリ11のための作動信号値を個々のトリガ箇所において示した
図4、6および8は、
図17ないし19に示した実施例に相応に当てはまる。
【0071】
土台1は、
図17ないし19に示した実施例では、第1の位置決め装置と駆動接続関係にあり、第1の位置決め装置は、第1の駆動モータ4を有しており、第1の駆動モータ4により土台1は、矢印5の方向で回転駆動可能であり、駆動制御装置6により提供される回転位置目標値信号に応じてポジショニング可能である。第1の駆動モータ4は、この目的のために、駆動制御装置6内に組み込まれた第1の位置制御器に接続されており、第1の位置制御器は、土台1のための回転位置信号を検出するエンコーダ7を有している。第1の位置決め装置により土台1は、連続的に、かつ止まることなく、360°を超える略任意の角度にわたって保持部3に対して相対的に回転軸線2回りに回転可能である。
【0072】
土台1は、さらに第2の位置決め装置と駆動接続関係にあり、第2の位置決め装置は、第2の駆動モータ8を有しており、第2の駆動モータ8により土台1は、双方向矢印9の方向で保持部3に対して相対的に昇降可動であり、駆動制御装置6により提供される高さ位置目標値信号に応じてポジショニング可能である(
図19)。このポジショニングは、断続的または連続的に実施可能である。第2の駆動モータ8は、この目的のために、駆動制御装置6内に組み込まれた第2の位置制御器に接続されており、第2の位置制御器は、土台1の高さ位置を検出する位置センサ10を有している。