(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】プログラム、コンピュータ装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A63F 13/47 20140101AFI20240130BHJP
A63F 13/80 20140101ALI20240130BHJP
【FI】
A63F13/47
A63F13/80 D
(21)【出願番号】P 2022178487
(22)【出願日】2022-11-07
【審査請求日】2023-07-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】308033283
【氏名又は名称】株式会社スクウェア・エニックス
(74)【代理人】
【識別番号】100209886
【氏名又は名称】金森 寛
(72)【発明者】
【氏名】坂田 新平
(72)【発明者】
【氏名】森 友亮
【審査官】鈴木 崇雅
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-097614(JP,A)
【文献】特開2009-018201(JP,A)
【文献】特開2015-100373(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00-98
A63F 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにコンテンツを提供する機能をコンピュータ装置に実現させるためのプログラムであって、
コンピュータ装置を、
ユーザがコンテンツを進行させるための情報である進行要素を記憶する進行要素記憶手段、
前記進行要素及び所定の文字列を関連付けて、コンテンツの進行に用いる進行制御情報を記憶する進行制御記憶手段、
ユーザから情報の入力を受け付ける入力受付手段、
受け付けられた情報が、前記進行要素に対応する前記所定の文字列と類似するか否か判定する類似判定手段、
類似すると判定した場合に、前記進行制御情報に基づいてコンテンツを進行するコンテンツ進行手段、
受け付けた情報に応答する回答データを出力する回答データ出力手段
として機能させ
、
前記コンテンツ進行手段が、前記進行要素記憶手段に記憶された進行要素を変更する進行要素変更手段を備えるプログラム。
【請求項2】
前記コンピュータ装置をさらに、
前記進行要素及び前記所定の文字列に関連付けて回答データを記憶する回答データ記憶手段
として機能させ、
前記類似判定手段が類似すると判定した場合に、前記回答データ出力手段が、回答データ記憶手段に記憶された回答データに基づいて回答データを出力する、請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記コンピュータ装置をさらに、
前記入力受付手段により受け付けられた情報から、情報の内容を理解するための要点に分解する情報分解手段
として機能させ、
前記類似判定手段が類似すると判定した場合に、前記回答データ出力手段が、前記要点及び前記進行制御記憶手段に記憶された前記所定の文字列に基づいて、自然言語生成モデルを用いて回答データを生成する、請求項1に記載のプログラム。
【請求項4】
前記コンピュータ装置をさらに、
前記入力受付手段により受け付けられた情報から、情報の内容を理解するための要点に分解する情報分解手段
として機能させ、
前記類似判定手段が類似しないと判定した場合に、前記回答データ出力手段が、前記要点に基づいて、自然言語生成モデルを用いて回答データを生成して出力する、請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項5】
前記コンピュータ装置をさらに、
前記入力受付手段により受け付けた情報が所定の条件を満たした場合に、コンテンツ進行の手掛かりとなる情報を出力するヒント出力手段
として機能させる、請求項1又は3に記載のプログラム。
【請求項6】
前記類似判定手段が、
文字列をベクトルに変換するベクトル変換手段
を備え、
前記類似判定手段が、入力を受け付けたユーザからの情報を文字列に変換した文字列に関する第一ベクトルと、前記所定の文字列に関する第二ベクトルとが所定の関係にある場合に類似していると判定する、請求項1又は3に記載のプログラム。
【請求項7】
ユーザにコンテンツを提供するコンピュータ装置あって、
コンピュータ装置が、
ユーザがコンテンツを進行させるための情報である進行要素を記憶する進行要素記憶手段と、
前記進行要素及び所定の文字列を関連付けて、コンテンツの進行に用いる進行制御情報を記憶する進行制御記憶手段と、
ユーザから情報の入力を受け付ける入力受付手段と、
受け付けられた情報が、前記進行要素に対応する前記所定の文字列と類似するか否か判定する類似判定手段と、
類似すると判定した場合に、前記進行制御情報に基づいてコンテンツを進行するコンテンツ進行手段と、
受け付けた情報に応答する回答データを出力する回答データ出力手段と
を備え
、
前記コンテンツ進行手段が、前記進行要素記憶手段に記憶された進行要素を変更する進行要素変更手段を備えるコンピュータ装置。
【請求項8】
コンテンツを提供する方法であって、
ユーザから情報の入力を受け付けるステップと、
受け付けられた情報が、ユーザがコンテンツを進行させるための情報である進行要素に対応する所定の文字列と類似するか否か判定するステップと、
類似すると判定した場合に、前記進行要素及び前記所定の文字列を関連付けられた、コンテンツの進行に用いる進行制御情報に基づいてコンテンツを進行するステップと、
受け付けた情報に応答する回答データを出力するステップと
を有
し、
前記コンテンツを進行するステップにおいて、前記進行要素を変更するステップを有する方法。
【請求項9】
ユーザから情報の入力を受け付ける入力受付手段と、
受け付けられた情報が、ユーザがコンテンツを進行させるための情報である進行要素に対応する所定の文字列と類似するか否か判定する類似判定手段と、
類似すると判定した場合に、前記進行要素及び前記所定の文字列を関連付けられた、コンテンツの進行に用いる進行制御情報に基づいてコンテンツを進行するコンテンツ進行手段と、
受け付けた情報に応答する回答データを出力する回答データ出力手段と
を備え、
前記コンテンツ進行手段が、前記進行要素を変更する進行要素変更手段を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザにコンテンツを提供するプログラム、コンピュータ装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アドベンチャーゲームのように、ユーザとコンピュータ制御のキャラクタとの対話が行われるゲームがある。当該ゲームでは、ユーザに対応するキャラクタに対して、ユーザがテキストを入力することにより、又は、ユーザが複数ある選択肢から行動を選択することにより、コンテンツ(以下、ストーリーともいう)を進行させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、ユーザがテキストを入力する方式では、プログラマが想定した文字列と完全に一致した文字列を受け付けた場合以外はストーリーを進行させることができず、コンテンツの満足度は低かった。また、選択肢を選択するだけのゲームでは、ユーザの推理した内容をゲームに反映することができず、ストーリーを追いかけるだけの感覚をユーザに与え、コンテンツを存分に楽しむことができなかった。
【0004】
本発明の少なくとも1つの実施の形態の目的は、提供するコンテンツに対するプレイヤの自由度を高めつつ、より満足度の高い新たなプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
非限定的な観点によると、本発明に係るプログラムは、ユーザにコンテンツを提供する機能をコンピュータ装置に実現させるためのプログラムであって、コンピュータ装置を、ユーザがコンテンツを進行させるための情報である進行要素を記憶する進行要素記憶手段、前記進行要素及び所定の文字列を関連付けて、コンテンツの進行に用いる進行制御情報を記憶する進行制御記憶手段、ユーザから情報の入力を受け付ける入力受付手段、受け付けられた情報が、前記進行要素に対応する前記所定の文字列と類似するか否か判定する類似判定手段、類似すると判定した場合に、前記進行制御情報に基づいてコンテンツを進行するコンテンツ進行手段、受け付けた情報に応答する回答データを出力する回答データ出力手段として機能させるプログラムである。
【0006】
非限定的な観点によると、本発明に係るコンピュータ装置は、ユーザにコンテンツを提供するコンピュータ装置あって、コンピュータ装置が、ユーザがコンテンツを進行させるための情報である進行要素を記憶する進行要素記憶手段と、前記進行要素及び所定の文字列を関連付けて、コンテンツの進行に用いる進行制御情報を記憶する進行制御記憶手段と、ユーザから情報の入力を受け付ける入力受付手段と、受け付けられた情報が、前記進行要素に対応する前記所定の文字列と類似するか否か判定する類似判定手段と、類似すると判定した場合に、前記進行制御情報に基づいてコンテンツを進行するコンテンツ進行手段と、受け付けた情報に応答する回答データを出力する回答データ出力手段と
を備えるコンピュータ装置である。
【0007】
非限定的な観点によると、本発明に係る方法は、コンテンツを提供する方法であって、ユーザから情報の入力を受け付けるステップと、受け付けられた情報が、ユーザがコンテンツを進行させるための情報である進行要素に対応する所定の文字列と類似するか否か判定するステップと、類似すると判定した場合に、前記進行要素及び前記所定の文字列を関連付けられた、コンテンツの進行に用いる進行制御情報に基づいてコンテンツを進行するステップと、受け付けた情報に応答する回答データを出力するステップとを有する方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の各実施形態により1または2以上の不足が解決される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、コンピュータ装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、進行要素データテーブルを説明する図である。
【
図3】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、進行制御マスタテーブルを説明する図である。
【
図4】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、プログラム実行処理のフローチャートである。
【
図5】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、コンピュータ装置の構成を示すブロック図である。
【
図6】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、プログラム実行処理のフローチャートである。
【
図7】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、コンピュータ装置の構成を示すブロック図である。
【
図8】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、プログラム実行処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。以下、効果に関する記載は、本発明の実施の形態の効果の一側面であり、ここに記載するものに限定されない。また、以下で説明するフローチャートを構成する各処理の順序は、処理内容に矛盾や不整合が生じない範囲で順不同である。
【0011】
[第一の実施の形態]
本発明の第一の実施の形態の概要について説明をする。以下では、第一の実施の形態として、ユーザにコンテンツを提供する機能をコンピュータ装置に実現させるためのプログラムを例示して説明する。
【0012】
[プログラム概要]
本発明の第一の実施の形態では、提供するコンテンツの一例としてアドベンチャーゲームを、プログラムの一例として当該ゲームのゲームプログラムをそれぞれ挙げる。
【0013】
一例として、スタンドアロン型のシステム構成により説明するが、以下に詳述する機能の一部をサーバ装置に移管し、端末装置及びサーバ装置間で通信するネットワーク型システムにより実現することを妨げない。
【0014】
第一の実施の形態のアドベンチャーゲームの一例として、例えば、ユーザに対応するユーザキャラクタに対してユーザが操作指示を与えることにより、ゲーム内の他のキャラクタ(以下、ノンプレイヤキャラクタ、NPC(non player character)ともいう)と会話を行い、ストーリーを進行させるゲームを想定する。ただし、本開示はアドベンチャーゲームに限定されるものではなく、本開示により当業者が適用可能な範囲に及ぶものである。
【0015】
[コンピュータ装置]
コンピュータ装置1は、一例として、制御部、RAM、ストレージ部、サウンド処理部、グラフィックス処理部、通信インタフェース、インタフェース部を備え、それぞれ内部バスにより接続されている。グラフィックス処理部は表示部に接続されている。表示部は、表示画面と、表示部に対する、ユーザによる接触により入力を受け付けるタッチ入力部とを有し得る。
【0016】
ストレージ部は、自然言語処理(NLP:Natural Language Processing)に関するエンジンを保存し得る容量であることが好ましい。また、制御部は自然言語処理を実施可能なスペックであることが好ましい。
【0017】
タッチ入力部は、例えば、タッチパネルに用いられる抵抗膜方式、静電容量方式、超音波表面弾性波方式、光学方式、又は、電磁誘導方式等、いずれの方式を用いて、接触した位置を検知できるものであってもよく、ユーザのタッチ操作により操作を認識できれば方式は問わない。タッチ入力部の上面を指やスタイラス等により押圧や移動等の操作をした場合に、指等の位置を検知可能なデバイスである。
【0018】
インタフェース部には外部メモリ(例えば、SDカード等)が接続され得る。外部メモリから読み込まれたデータはRAMにロードされ、制御部により演算処理が実行される。
【0019】
通信インタフェースは無線又は有線により通信ネットワークに接続が可能であり、通信ネットワークを介してデータを受信することが可能である。通信インタフェースを介して受信したデータは、外部メモリから読み込まれたデータと同様に、RAMにロードされ、制御部により演算処理が行われる。
【0020】
コンピュータ装置1は、近接センサ、赤外線センサ、ジャイロセンサ、又は、加速度センサ等のセンサを備えるものであってもよい。また、コンピュータ装置1は、レンズを有し、レンズを介して撮像する撮像部を備えるものであってもよい。さらに、コンピュータ装置1は、身体に装着可能(ウェアラブル)な端末装置であってもよい。
【0021】
[機能説明]
第一の実施の形態におけるコンピュータ装置1が備える機能について説明する。
図1は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、コンピュータ装置の構成を示すブロック図である。
【0022】
コンピュータ装置1は、進行要素記憶部101、進行制御記憶部102、回答データ記憶部103、入力受付部104、類似度算出部105、類似判定部106、コンテンツ進行部107、及び回答データ出力部108を備え得る。
【0023】
進行要素記憶部101は、ユーザがコンテンツを進行させるための情報である進行要素を記憶する機能を有する。進行制御記憶部102は、進行要素及び所定の文字列を関連付けて、コンテンツの進行に用いる進行制御情報を記憶する機能を有する。
【0024】
回答データ記憶部103は、進行要素及び前記所定の文字列に関連付けて回答データを記憶する機能を有する。入力受付部104は、ユーザから情報の入力を受け付ける機能を有する。
【0025】
類似度算出部105は、入力受付部104により受け付けられた情報と、進行要素記憶部101に記憶された進行要素に対応する前記所定の文字列とが類似する度合いを算出する機能を有する。類似判定部106は、入力受付部104により受け付けられた情報が、前記進行要素に対応する前記所定の文字列と類似するか否か判定する機能を有する。
【0026】
コンテンツ進行部107は、類似判定部106により類似すると判定された場合に、前記進行制御情報に基づいてコンテンツを進行する機能を有する。回答データ出力部108は、入力受付部104により受け付けた情報に応答する回答データを出力する機能を有する。
【0027】
コンピュータ装置1は、図示しないが、一例として、回答を取得する第一回答取得部及び第二回答取得部を備えてもよい。それぞれの機能は、後述のフローチャートで例示する。
【0028】
次に、本実施の形態においてコンテンツの進行処理を説明するにあたり、進行要素記憶部101に記憶される進行要素、及び進行制御記憶部102に記憶される進行制御情報について説明する。
【0029】
[進行要素]
「進行要素」とは、例えば、コンテンツの履歴を表す情報、かつ、コンテンツを進行させるうえで手掛かりとなる情報をいう。進行情報は、コンテンツを進行させていく中で増減する情報であり得る。
【0030】
図2は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、進行要素データテーブルを説明する図である。進行要素データテーブル500は、進行要素501を記憶し得る。進行要素は、それまでコンテンツを進めていく中で得られた要素であって、例えば、コンテンツの登場人物名を示す「太郎」、コンテンツの情報のひとつである「太郎のアリバイ」、移動可能な場所を示す「港」等である。コンテンツが進行するにしたがって増減する。進行要素データテーブルは、ユーザ毎に保有するデータであり、進行状況により格納されるデータが異なり得る。
【0031】
[進行制御情報]
「進行制御情報」とは、例えば、コンテンツの進行に用いる情報をいう。コンテンツの進行に必要な情報であり、コンテンツを正常に進行させるための情報であるため、マスタデータとして記憶されることが好ましい。
【0032】
図3は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、進行制御マスタテーブルを説明する図である。進行制御マスタテーブル600は、識別コード601に関連付けて、進行要素A602、進行要素B603、参照文604、追加要素605、削除要素606,コマンド607、及びコマンド引数608を記憶し得る。
【0033】
進行要素A及びBは、進行要素データテーブル500に記憶される進行要素501に対応する項目である。参照文604は、後述する類似度算出処理において用いられる値である。追加要素605及び削除要素606は、進行要素データテーブル500に追加又は削除する項目である。コマンド607及びコマンド引数608は、実行するコマンド及び引数を表す。
【0034】
進行制御マスタテーブル600の一例として、進行要素A及びBを示したがこれに限定されない。進行要素は一以上含まれ得る。追加要素605及び削除要素606についても同様で、一以上含まれ得る。ここでは、識別コード601をキー項目としたが、識別コード601を用いず、進行要素602、603、及び参照文604をキー項目としてもよい。
【0035】
[プログラム実行処理]
次に、本発明の第一の実施の形態におけるプログラム実行処理について説明する。
図4は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、プログラム実行処理のフローチャートである。
【0036】
説明の都合上、ユーザはコンテンツ途中まで進行させており、進行要素データテーブル500には
図2に示したデータが格納されているものとする。
【0037】
コンピュータ装置1は、ユーザから情報の入力を受け付ける(ステップS1)。情報の入力とは、例えば、テキストの入力、手書き文字の入力、音声による入力、ジェスチャによる入力等があり得る。
【0038】
次に、コンピュータ装置1は、ステップS1において受け付けられた情報と、進行要素記憶部101に記憶された進行要素に対応する所定の文字列とが類似する度合いを算出する(ステップS2)。次に、コンピュータ装置1は、ステップS2において算出した類似度を用いて、受け付けられた情報と所定の文字列とが類似するか否か判定する(ステップS3)。
【0039】
[類似度の算出及び類似の判定]
まず、ステップS1で入力された情報を文章として扱えるように、必要があればテキストデータに変換処理を行う。次に、入力された情報の文章、及び参照文604の文章分散表現を取得する。文章分散表現の取得方法は、例えば、skip-thoughtsやsentence-BERT等の方法を使用し、センテンスレベルでベクトルに変換する。
【0040】
ベクトル間の類似度の算出には、コサイン類似度を用いることができる。コサイン類似度とは、2つのベクトルがどのくらい似ているかという類似性を表す尺度で、具体的には、ベクトル空間における2つのベクトルがなす角のコサイン値のことである。コサイン類似度は+1~-1の範囲に正規化される。
【0041】
コサイン類似度が所定の閾値を超える場合に、2つのベクトルが類似すると判定し、所定の閾値以下の場合には、2つのベクトルが非類似であると判定する。複数の項目が所定の閾値を超えた場合には、+1に最も近い値を算出した参照文604を有するデータが特定される。
【0042】
上記説明ではコサイン類似度を用いたが、コサイン類似度を用いて、ベクトル間距離を算出するように設計してもよい。また、他のベクトル間の類似度の計算方法を用いてもよく、センテンスレベルのベクトル間の類似度算出方法を用いてもよい。
【0043】
図4に戻る。ステップS3において類似すると判定した場合(ステップS3にてYES)には、コンピュータ装置1は、進行制御情報に基づいてコンテンツを進行する(ステップS4)。進行制御情報に基づいてコンテンツを進行するとは、例えば、追加要素605及び削除要素606に基づいて進行要素データテーブル500のデータを更新する、あるいは、コマンド607及びコマンド引数608を用いてプログラムを実行することをいう。進行要素データテーブル500のデータを変更するために、コンピュータ装置1は進行要素変更部をさらに備え得る。
【0044】
次に、コンピュータ装置1は、受け付けた情報に応答する回答データ(第一回答)を取得する(ステップS5)。図示しないが、コンピュータ装置1は、回答データ記憶部103により、進行制御マスタテーブル600のデータを一意に特定可能なキーである識別コード601又は進行要素及び参照文に関連付けて、回答データを記憶し得る。コンピュータ装置1は、類似すると判定された参照文を有するデータの識別コード601に対応する回答文を取得する。
【0045】
ここでいう回答データ(第一回答)は、回答データ記憶部103に記憶されたデータと同一のデータを想定する。つまり、回答データ(第一回答)は静的なデータであり、予め用意したデータである。
【0046】
ステップS3において類似しないと判定した場合(ステップS3にてNO)には、コンピュータ装置1は、所定の定型文である回答データ(第二回答)を取得する(ステップS6)。第二回答は、例えば、「理解できません」、「もう一度入力してください」等の定型文であってもよい。第二回答は取得せずに、定型文を固定して表示するようにしても良い。
【0047】
コンピュータ装置1は、ステップS5又はステップS6において取得された回答データを出力し(ステップS7)、終了する。第一の実施の形態において示したプログラム実行処理は、ユーザからの情報入力を受け付けた単位で記載したが、実際には、ステップS1の入力受付からステップS7の回答出力までを繰り返し実行することにより、コンテンツの完了まで提供し続けるものであってもよい。
【0048】
具体例を用いて説明を補足する。ステップS1においてユーザが入力した情報が「港へ行ってくれ」というテキスト情報であり、ユーザが保持する進行要素が
図2に示した内容だった場合に、コンピュータ装置1は、ユーザが保持する進行要素に含まれる「港」が、進行制御マスタテーブル600の進行要素A602に「港」と一致する識別コード601「GO_00」のデータを特定する。続いて、参照文604「港へ行け」と、受け付けた「港へ行ってくれ」という文章それぞれについて、ステップS2において類似度を算出する。
【0049】
これらの文章が類似すると判定されたと仮定すると、コンピュータ装置1は、進行要素データテーブル500に追加要素605「山田の行方」を追加し、コマンド607「移動」、コマンド引数608「MINATO」を実行する(ステップS4におけるコンテンツ進行処理)。実行すると、一例として港へ場面転換する。
【0050】
続いて、コンピュータ装置1は、回答データ記憶部103に記憶された「港へ行け」という参照文604に対応する回答文を取得する。回答文の一例として「港へ来ました」という文章を記憶し得る。ここでは「港へ来ました」という回答データを取得する。続いて、コンピュータ装置1は、取得した回答データを出力し、終了する。回答データは、「〇〇さん(ユーザが定めた名前)、港へ来ました」のように取得した回答データに所定の文章を追加する等の加工した文章であってもよい。
【0051】
第一の実施の形態において、回答データを取得する方法を記載したがこれに限定されない。例えば、コンピュータ装置1が回答データを記憶しておき、機械学習したモデルにより選択してもよい。
【0052】
第一の実施の形態の一側面として、提供するコンテンツに対するプレイヤの自由度を高めつつ、より満足度の高い新たなプログラムを提供することができる。
【0053】
第一の実施の形態の一側面として、ユーザからの入力を受け付け、かつ、開発者が想定する文章に類似する情報を入力して初めてコンテンツ進行処理を行うように設計することで、ユーザに何を入力させるか考えさせ、ユーザの自由度を高めつつ、コンテンツの魅力をより伝えることが可能なプログラムを提供することができる。
【0054】
第一の実施の形態において、「コンピュータ装置」とは、例えば、据置型ゲーム機、携帯型ゲーム機、ウェアラブル型端末、デスクトップ型又はノート型パーソナルコンピュータ、タブレットコンピュータ、又は、PDA等をいい、表示画面にタッチパネルセンサを備えるスマートフォン等の携帯型端末であってもよい。「進行要素」とは、例えば、例えば、コンテンツの履歴を表す情報、かつ、コンテンツを進行させるうえで手掛かりとなる情報をいう。進行要素は、タグ、区分などであってもよい。「所定の文字列」とは、例えば、コンテンツを進行させるための要素の一つである文章をいい、類似判定に用いる文章である。「進行制御情報」とは、例えば、コンテンツを進行させる条件や命令をいう。
【0055】
[第二の実施の形態]
本発明の第二の実施の形態の概要について説明をする。以下では、第二の実施の形態として、ユーザにコンテンツを提供する機能をコンピュータ装置に実現させるためのプログラムを例示して説明する。
【0056】
[プログラム概要]
本発明の第二の実施の形態では、提供するコンテンツの一例としてアドベンチャーゲームを、プログラムの一例として当該ゲームのゲームプログラムをそれぞれ挙げる。
【0057】
一例として、スタンドアロン型のシステム構成により説明するが、以下に詳述する機能の一部をサーバ装置に移管し、端末装置及びサーバ装置間で通信するネットワーク型システムにより実現することを妨げない。
【0058】
第二の実施の形態のアドベンチャーゲームの一例として、例えば、ユーザに対応するユーザキャラクタに対してユーザが操作指示を与えることにより、ゲーム内のNPCと会話を行い、ストーリーを進行させるゲームを想定する。ただし、本開示はアドベンチャーゲームに限定されるものではなく、本開示により当業者が適用可能な範囲に及ぶものである。
【0059】
第二の実施の形態におけるコンピュータ装置1の構成は、第一の実施の形態に示したコンピュータ装置1の構成を必要な範囲で採用することができる。
【0060】
[機能説明]
第二の実施の形態におけるコンピュータ装置1が備える機能について説明する。
図5は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、コンピュータ装置の構成を示すブロック図である。
【0061】
コンピュータ装置1は、進行要素記憶部201、進行制御記憶部202、回答データ記憶部203、入力受付部204、情報分解部205,類似度算出部206、類似判定部207、コンテンツ進行部208、回答データ出力部209、及びキャラクタ回答データ出力部210を備え得る。
【0062】
進行要素記憶部201は、ユーザがコンテンツを進行させるための情報である進行要素を記憶する機能を有する。進行制御記憶部202は、進行要素及び所定の文字列を関連付けて、コンテンツの進行に用いる進行制御情報を記憶する機能を有する。
【0063】
回答データ記憶部203は、進行要素及び前記所定の文字列に関連付けて回答データを記憶する機能を有する。入力受付部204は、ユーザから情報の入力を受け付ける機能を有する。
【0064】
情報分解部205は、入力受付部204により受け付けられた情報から、情報の内容を理解するための要点に分解する機能を有する。類似度算出部206は、入力受付部204により受け付けられた情報と、進行要素記憶部201に記憶された進行要素に対応する前記所定の文字列とが類似する度合いを算出する機能を有する。類似判定部207は、入力受付部204により受け付けられた情報が、前記進行要素に対応する前記所定の文字列と類似するか否か判定する機能を有する。
【0065】
コンテンツ進行部208は、類似判定部207により類似すると判定された場合に、前記進行制御情報に基づいてコンテンツを進行する機能を有する。回答データ出力部209は、情報分解部205により取得された要点に基づいて、自然言語生成モデルを用いて回答データを生成し、出力する機能を有する。
【0066】
キャラクタ回答データ出力部210は、回答データ出力部209により出力された回答データに基づいて、コンテンツに含まれるキャラクタの属性に対応する自然言語生成モデルを用いて回答データを生成して出力する機能を有する。
【0067】
コンピュータ装置1は、図示しないが、一例として、回答を取得する第一回答取得部及び第二回答生成部を備えてもよい。それぞれの機能は、後述のフローチャートで例示する。
【0068】
第二の実施の形態における進行要素記憶部201に記憶される進行要素、及び進行制御記憶部202に記憶される進行制御情報は、第一の実施の形態に記載した進行要素記憶部101に記憶される進行要素の記載、進行制御記憶部102に記憶される進行制御情報の記載、
図2及び
図3の内容を必要な範囲で採用することができる。
【0069】
[プログラム実行処理]
次に、本発明の第二の実施の形態におけるプログラム実行処理について説明する。
図6は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、プログラム実行処理のフローチャートである。
【0070】
説明の都合上、ユーザはコンテンツ途中まで進行させており、進行要素データテーブル500には
図2に示したデータが格納されているものとする。
【0071】
コンピュータ装置1は、ユーザから情報の入力を受け付ける(ステップS11)。情報の入力とは、例えば、テキストの入力、手書き文字の入力、音声による入力、ジェスチャによる入力等があり得る。
【0072】
次に、コンピュータ装置1は、ステップS11において受け付けられた情報から、情報の内容を理解するための要点に分解する(ステップS12)。該要点は、類似判定や後述する第二回答生成に用いられ得る。
【0073】
次に、コンピュータ装置1は、ステップS11において受け付けられた情報と、進行要素記憶部201に記憶された進行要素に対応する所定の文字列とが類似する度合いを算出する(ステップS13)。次に、コンピュータ装置1は、ステップS13において算出した類似度を用いて、受け付けられた情報と所定の文字列(例えば、
図3に示す参照文604)とが類似するか否か判定する(ステップS14)。類似度の算出及び類似の判定については、第一の実施の形態の類似度の算出及び類似の判定の記載内容を必要な範囲で採用できる。
【0074】
ステップS14において類似すると判定した場合(ステップS14にてYES)には、コンピュータ装置1は、進行制御情報に基づいてコンテンツを進行する(ステップS15)。進行制御情報に基づいてコンテンツを進行するとは、例えば、
図3に示した追加要素605及び削除要素606に基づいて進行要素データテーブル500のデータを更新する、あるいは、コマンド607及びコマンド引数608を用いてプログラムを実行することをいう。
【0075】
次に、コンピュータ装置1は、受け付けた情報に応答する回答データ(第一回答)を取得する(ステップS16)。図示しないが、コンピュータ装置1は、回答データ記憶部203により、進行制御マスタテーブル600のデータを一意に特定可能なキーである識別コード601又は進行要素及び参照文に関連付けて、回答データを記憶し得る。コンピュータ装置1は、類似すると判定された参照文を有するデータの識別コード601に対応する回答文を取得する。
【0076】
ここで回答データ(第一回答)は、回答データ記憶部203に記憶されたデータと同一のデータを想定する。つまり、回答データ(第一回答)は静的なデータであり、予め用意したデータである。
【0077】
ステップS14において類似しないと判定した場合(ステップS14にてNO)には、コンピュータ装置1は、ステップS12において分解して取得した要点データに基づいて、自然言語生成モデルを用いて回答データ(第二回答)を生成する(ステップS17)。
【0078】
第二回答は、例えば、入力したデータが「喉が渇いたな」であった場合に、コンピュータ装置1が自然言語生成モデルのエンジンを使用して「飲み物を買いましょう」をいう回答文を生成する。第二回答は、入力したデータが参照文604とは類似しないことから、コンテンツの進行には関係の薄い内容であることが多い。
【0079】
次に、コンピュータ装置1は、ステップS16において取得された回答データ、又はステップS17において生成された回答データを出力する(ステップS18)。次に、コンピュータ装置1は、ステップS18において出力された回答データに基づいて、コンテンツに含まれるキャラクタの属性に対応する自然言語生成モデルを用いて回答データを生成して出力し(ステップS19)、終了する。
【0080】
[キャラクタ回答出力]
キャラクタ回答出力機能を実現させるために、キャラクタの属性(性格、感情、個性等)を考慮したキャラクタ学習モデルを準備する。該学習モデルの作成方法については、本開示の内容との関連性が乏しいため説明は割愛する。
【0081】
ステップS18において出力された回答データが「誰を逮捕するのですか?」であった場合に、該回答データをキャラクタ学習モデルの入力とすると、一例として「誰を逮捕するっていうんです?」という回答データを出力する。つまり、キャラクタが話したかのような回答を得ることができ、より自然な会話を楽しむことができ、ユーザの満足度をより向上させることができる。
【0082】
第二の実施の形態において示したプログラム実行処理は、ユーザからの情報入力を受け付けた単位で記載したが、実際には、ステップS11の入力受付からステップS19のキャラクタ回答出力までを繰り返し実行することにより、コンテンツの完了まで提供し続けるものであってもよい。
【0083】
第二の実施の形態において、回答データを取得する方法を記載したがこれに限定されない。例えば、コンピュータ装置1が回答データを記憶しておき、機械学習したモデルにより選択してもよい。
【0084】
第二の実施の形態において、第二回答の生成を自然言語生成モデルのエンジンを用いて回答を生成したが、これに限定されない。例えば、自然言語理解モデルのエンジンと自然言語生成モデルのエンジンとを組み合わせて生成してもよい。
【0085】
第二の実施の形態の一側面として、提供するコンテンツに対するプレイヤの自由度を高めつつ、より満足度の高い新たなプログラムを提供することができる。
【0086】
第二の実施の形態の一側面として、ユーザからの入力を受け付け、かつ、開発者が想定する文章に類似する情報を入力して初めてコンテンツ進行処理を行うように設計することで、ユーザに何を入力させるか考えさせ、ユーザの自由度を高めつつ、コンテンツの魅力をより伝えることが可能なプログラムを提供することができる。
【0087】
第二の実施の形態の一側面として、ユーザからの入力情報と開発者が想定する文章とが類似しない場合に、自然言語処理を用いて応答することで、ユーザの自由度を高めつつ、ユーザが実際にコンテンツに参加しているかのような没入感を与えることができ、満足度をより高めることができる。
【0088】
第二の実施の形態において、「コンピュータ装置」、「進行要素」、「所定の文字列」、及び「進行制御情報」は、それぞれ第一の実施の形態において記載した内容を必要な範囲で採用できる。
【0089】
第二の実施の形態において、「要点」とは、例えば、ユーザが入力した情報の内容を理解するために用いられる要素をいい、キーワードとも言い得る。より具体的には、要点は、入力した情報のテキストを形態素解析した形態素であってもよいし、構文解析後の文のまとまりであってもよい。「生成」とは、例えば、与えられたデータから未知のデータを推測することをいう。
【0090】
[第三の実施の形態]
本発明の第三の実施の形態の概要について説明をする。以下では、第三の実施の形態として、ユーザにコンテンツを提供する機能をコンピュータ装置に実現させるためのプログラムを例示して説明する。
【0091】
[プログラム概要]
本発明の第三の実施の形態では、提供するコンテンツの一例としてアドベンチャーゲームを、プログラムの一例として当該ゲームのゲームプログラムをそれぞれ挙げる。
【0092】
一例として、スタンドアロン型のシステム構成により説明するが、以下に詳述する機能の一部をサーバ装置に移管し、端末装置及びサーバ装置間で通信するネットワーク型システムにより実現することを妨げない。
【0093】
第三の実施の形態のアドベンチャーゲームの一例として、例えば、ユーザに対応するユーザキャラクタに対してユーザが操作指示を与えることにより、ゲーム内のNPCと会話を行い、ストーリーを進行させるゲームを想定する。ただし、本開示はアドベンチャーゲームに限定されるものではなく、本開示により当業者が適用可能な範囲に及ぶものである。
【0094】
第三の実施の形態におけるコンピュータ装置1の構成は、第一の実施の形態に示したコンピュータ装置1の構成を必要な範囲で採用することができる。
【0095】
[機能説明]
第三の実施の形態におけるコンピュータ装置1が備える機能について説明する。
図7は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、コンピュータ装置の構成を示すブロック図である。
【0096】
コンピュータ装置1は、進行要素記憶部301、進行制御記憶部302、入力受付部303、情報分解部304,類似度算出部305、類似判定部306、コンテンツ進行部307、回答データ出力部308、及びキャラクタ回答データ出力部309を備え得る。
【0097】
進行要素記憶部301は、ユーザがコンテンツを進行させるための情報である進行要素を記憶する機能を有する。進行制御記憶部302は、進行要素及び所定の文字列を関連付けて、コンテンツの進行に用いる進行制御情報を記憶する機能を有する。
【0098】
入力受付部303は、ユーザから情報の入力を受け付ける機能を有する。情報分解部304は、入力受付部303により受け付けられた情報から、情報の内容を理解するための要点に分解する機能を有する。
【0099】
類似度算出部305は、入力受付部303により受け付けられた情報と、進行要素記憶部301に記憶された進行要素に対応する前記所定の文字列とが類似する度合いを算出する機能を有する。類似判定部306は、入力受付部303により受け付けられた情報が、前記進行要素に対応する前記所定の文字列と類似するか否か判定する機能を有する。
【0100】
コンテンツ進行部307は、類似判定部306により類似すると判定された場合に、前記進行制御情報に基づいてコンテンツを進行する機能を有する。回答データ出力部308は、情報分解部304により取得された要点に基づいて、自然言語生成モデルを用いて回答データを生成し、出力する機能を有する。キャラクタ回答データ出力部309は、回答データ出力部308により出力された回答データに基づいて、コンテンツに含まれるキャラクタの属性に対応する自然言語生成モデルを用いて回答データを生成して出力する機能を有する。
【0101】
第三の実施の形態における進行要素記憶部301に記憶される進行要素、及び進行制御記憶部302に記憶される進行制御情報は、第一の実施の形態に記載した進行要素記憶部101に記憶される進行要素の記載、進行制御記憶部102に記憶される進行制御情報の記載、
図2及び
図3の内容を必要な範囲で採用することができる。
【0102】
コンピュータ装置1は、図示しないが、一例として、回答を取得する第一回答生成部及び第二回答生成部を備えてもよい。それぞれの機能は、後述のフローチャートで例示する。
【0103】
[プログラム実行処理]
次に、本発明の第三の実施の形態におけるプログラム実行処理について説明する。
図8は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、プログラム実行処理のフローチャートである。
【0104】
説明の都合上、ユーザはコンテンツ途中まで進行させており、進行要素データテーブル500には
図2に示したデータが格納されているものとする。
【0105】
コンピュータ装置1は、ユーザから情報の入力を受け付ける(ステップS21)。情報の入力とは、例えば、テキストの入力、手書き文字の入力、音声による入力、ジェスチャによる入力等があり得る。
【0106】
次に、コンピュータ装置1は、ステップS21において受け付けられた情報から、情報の内容を理解するための要点に分解する(ステップS22)。該要点は、類似判定や後述する第一回答生成及び第二回答生成に用いられ得る。
【0107】
次に、コンピュータ装置1は、ステップS21において受け付けられた情報と、進行要素記憶部301に記憶された進行要素に対応する所定の文字列とが類似する度合いを算出する(ステップS23)。次に、コンピュータ装置1は、ステップS23において算出した類似度を用いて、受け付けられた情報と所定の文字列とが類似するか否か判定する(ステップS24)。類似度の算出及び類似の判定については、第一の実施の形態の類似度の算出及び類似の判定の記載内容を必要な範囲で採用できる。
【0108】
ステップS24において類似すると判定した場合(ステップS24にてYES)には、コンピュータ装置1は、進行制御情報に基づいてコンテンツを進行する(ステップS25)。進行制御情報に基づいてコンテンツを進行するとは、例えば、
図3に示した追加要素605及び削除要素606に基づいて進行要素データテーブル500のデータを更新する、あるいは、コマンド607及びコマンド引数608を用いてプログラムを実行することをいう。
【0109】
次に、コンピュータ装置1は、受け付けた情報に応答する回答データ(第一回答)を生成する(ステップS26)。すなわち、コンピュータ装置1は、ステップS22において分解して取得した要点データ及び所定の文字列(例えば、
図3に示す参照文604)に基づいて、自然言語生成モデルを用いて回答データ(第一回答)を生成する。
【0110】
第一回答は、例えば、入力したデータが「京都へ行こう」であった場合に、ステップS24において類似すると判定した場合には、コンピュータ装置1が自然言語生成モデルのエンジンを用いて、例えば「そうですね、急ぎましょう」をいう回答文を生成する。第一回答は、入力したデータが参照文604とは類似することから、コンテンツの進行に関係のある内容であることが多い。
【0111】
ステップS24において類似しないと判定した場合(ステップS24にてNO)には、コンピュータ装置1は、ステップS22において分解して取得した要点データに基づいて、自然言語生成モデルを用いて回答データ(第二回答)を生成する(ステップS27)。
【0112】
第二回答は、入力したデータが「喉が渇いたな」であった場合に、例えば、ステップS24において類似しないと判定した場合には、コンピュータ装置1が自然言語生成モデルのエンジンを用いて、例えば「飲み物を買いましょう」をいう回答文を生成する。第二回答は、入力したデータが参照文604とは類似しないことから、コンテンツの進行には関係の薄い内容であることが多い。
【0113】
第一回答は内容に特定の意味の包含を求めるものであり、タスク指向型対話を実行する。第二回答は内容に特定の意味の包含を求めないものであり、非タスク指向型対話(雑談対話ともいう)を実行する。いずれも回答を生成するものであるが、コンテンツにおける役割は異なる。
【0114】
次に、コンピュータ装置1は、ステップS26において生成された第一回答データ又はステップS27において生成された第二回答データを出力する(ステップS28)。次に、コンピュータ装置1は、ステップS28において出力された回答データに基づいて、コンテンツに含まれるキャラクタの属性に対応する自然言語生成モデルを用いて回答データを生成して出力し(ステップS29)、終了する。キャラクタ回答出力に関しては、第二の実施の形態のキャラクタ回答出力に関する記載内容を必要な範囲で採用することができる。
【0115】
第三の実施の形態において示したプログラム実行処理は、ユーザからの情報入力を受け付けた単位で記載したが、実際には、ステップS21の入力受付からステップS28のキャラクタ回答出力までを繰り返し実行することにより、コンテンツの完了まで提供し続けるものである。
【0116】
第三の実施の形態において、第一回答の生成及び第二回答の生成を自然言語生成モデルのエンジンを用いて回答を生成したが、これに限定されない。例えば、自然言語理解モデルのエンジンと自然言語生成モデルのエンジンとを組み合わせて生成してもよい。
【0117】
第三の実施の形態の一側面として、提供するコンテンツに対するプレイヤの自由度を高めつつ、より満足度の高い新たなプログラムを提供することができる。
【0118】
第三の実施の形態の一側面として、ユーザからの入力を受け付け、かつ、開発者が想定する文章に類似する情報を入力して初めてコンテンツ進行処理を行うように設計することで、ユーザに何を入力させるか考えさせ、ユーザの自由度を高めつつ、コンテンツの魅力をより伝えることが可能なプログラムを提供することができる。
【0119】
第三の実施の形態の一側面として、自然言語処理を用いて応答することで、ユーザの自由度を高めつつ、ユーザが実際にコンテンツに参加しているかのような没入感を与えることができ、満足度をより高めることができる。
【0120】
第三の実施の形態において、「コンピュータ装置」、「進行要素」、「所定の文字列」、及び「進行制御情報」は、それぞれ第一の実施の形態において記載した内容を必要な範囲で採用できる。「要点」及び「生成」は、それぞれ第二の実施の形態において記載した内容を必要な範囲で採用できる。
【0121】
本開示のいくつかの実施の形態においては、入力された情報と進行制御マスタテーブル600の参照文604とを比較して類似判断を行っているが、例えば、入力された情報と参照文をそれぞれ要点に分解し、この要点を比較して類似度を判定してもよい。
【0122】
本開示において、入力された情報と参照文604とが類似しないと所定回数以上判定された場合に、回答データ出力部においてヒントとなる情報を出力するようにしてもよい。
【0123】
本開示において、コンピュータ装置1がすべての機能を備えているが、これに限定されない。例えば、自然言語処理に関するエンジンを外部サーバに配置し、通信により接続した環境でコンテンツを提供できるようにしてもよい。
【0124】
上記各実施の形態に記載した内容は、それぞれ当業者が組み変えることにより、適宜設計し得るものである。
【0125】
[付記]
上で述べた実施の形態の説明は、下記の発明を、発明の属する分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができるように記載した。
【0126】
[1] ユーザにコンテンツを提供する機能をコンピュータ装置に実現させるためのプログラムであって、
コンピュータ装置を、
ユーザがコンテンツを進行させるための情報である進行要素を記憶する進行要素記憶手段、
前記進行要素及び所定の文字列を関連付けて、コンテンツの進行に用いる進行制御情報を記憶する進行制御記憶手段、
ユーザから情報の入力を受け付ける入力受付手段、
受け付けられた情報が、前記進行要素に対応する前記所定の文字列と類似するか否か判定する類似判定手段、
類似すると判定した場合に、前記進行制御情報に基づいてコンテンツを進行するコンテンツ進行手段、
受け付けた情報に応答する回答データを出力する回答データ出力手段
として機能させるプログラム。
【0127】
[2] 前記コンピュータ装置をさらに、
前記進行要素及び前記所定の文字列に関連付けて回答データを記憶する回答データ記憶手段
として機能させ、
前記類似判定手段が類似すると判定した場合に、前記回答データ出力手段が、回答データ記憶手段に記憶された回答データに基づいて回答データを出力する、[1]に記載のプログラム。
【0128】
[3] 前記コンピュータ装置をさらに、
前記入力受付手段により受け付けられた情報から、情報の内容を理解するための要点に分解する情報分解手段
として機能させ、
前記類似判定手段が類似すると判定した場合に、前記回答データ出力手段が、前記要点及び前記進行制御記憶手段に記憶された前記所定の文字列に基づいて、自然言語生成モデルを用いて回答データを生成する、[1]に記載のプログラム。
【0129】
[4] 前記コンピュータ装置をさらに、
前記入力受付手段により受け付けられた情報から、情報の内容を理解するための要点に分解する情報分解手段
として機能させ、
前記類似判定手段が類似しないと判定した場合に、前記回答データ出力手段が、前記要点に基づいて、自然言語生成モデルを用いて回答データを生成して出力する、[1]又は[2]に記載のプログラム。
【0130】
[5] 前記コンテンツ進行手段が、
前記進行要素記憶手段に記憶された進行要素を変更する進行要素変更手段
を備える、[1]~[3]のいずれかに記載のプログラム。
【0131】
[6] 前記コンピュータ装置をさらに、
前記入力受付手段により受け付けた情報が所定の条件を満たした場合に、コンテンツ進行の手掛かりとなる情報を出力するヒント出力手段
として機能させる、[1]~[3]のいずれかに記載のプログラム。
【0132】
[7] 前記コンピュータ装置をさらに、
前記回答データ出力手段により出力された回答データに基づいて、コンテンツに含まれるキャラクタの属性に対応する自然言語生成モデルを用いて回答データを生成して出力するキャラクタ回答データ出力手段
として機能させる、[1]~[3]のいずれかに記載のプログラム。
【0133】
[8] ユーザにコンテンツを提供するコンピュータ装置あって、
コンピュータ装置が、
ユーザがコンテンツを進行させるための情報である進行要素を記憶する進行要素記憶手段と、
前記進行要素及び所定の文字列を関連付けて、コンテンツの進行に用いる進行制御情報を記憶する進行制御記憶手段と、
ユーザから情報の入力を受け付ける入力受付手段と、
受け付けられた情報が、前記進行要素に対応する前記所定の文字列と類似するか否か判定する類似判定手段と、
類似すると判定した場合に、前記進行制御情報に基づいてコンテンツを進行するコンテンツ進行手段と、
受け付けた情報に応答する回答データを出力する回答データ出力手段と
を備えるコンピュータ装置。
【0134】
[9] コンテンツを提供する方法であって、
ユーザから情報の入力を受け付けるステップと、
受け付けられた情報が、ユーザがコンテンツを進行させるための情報である進行要素に対応する所定の文字列と類似するか否か判定するステップと、
類似すると判定した場合に、前記進行要素及び前記所定の文字列を関連付けられた、コンテンツの進行に用いる進行制御情報に基づいてコンテンツを進行するステップと、
受け付けた情報に応答する回答データを出力するステップと
を有する方法。
【0135】
[10] 端末装置及びサーバ装置を含む、コンテンツを提供するシステムにおいて、コンテンツ提供機能をサーバ装置に実現させるプログラムであって、
サーバ装置を、
ユーザがコンテンツを進行させるための情報である進行要素を記憶する進行要素記憶手段、
前記進行要素及び所定の文字列を関連付けて、コンテンツの進行に用いる進行制御情報を記憶する進行制御記憶手段、
ユーザから情報の入力を受け付ける入力受付手段、
受け付けられた情報が、前記進行要素に対応する前記所定の文字列と類似するか否か判定する類似判定手段、
類似すると判定した場合に、前記進行制御情報に基づいてコンテンツを進行するコンテンツ進行手段、
受け付けた情報に応答する回答データを出力する回答データ出力手段
として機能させるプログラム。
【0136】
[11] [10]に記載されたプログラムをインストールしたサーバ装置。
【0137】
[12] 端末装置及びサーバ装置を含む、コンテンツを提供するシステムであって、
システムが、
ユーザがコンテンツを進行させるための情報である進行要素を記憶する進行要素記憶手段と、
前記進行要素及び所定の文字列を関連付けて、コンテンツの進行に用いる進行制御情報を記憶する進行制御記憶手段と、
ユーザから情報の入力を受け付ける入力受付手段と、
受け付けられた情報が、前記進行要素に対応する前記所定の文字列と類似するか否か判定する類似判定手段と、
類似すると判定した場合に、前記進行制御情報に基づいてコンテンツを進行するコンテンツ進行手段と、
受け付けた情報に応答する回答データを出力する回答データ出力手段と
を備えるシステム。
【0138】
[13] 端末装置及びサーバ装置を含む、コンテンツを提供するシステムにおいて、コンテンツ提供機能を端末装置に実現させるプログラムであって、
端末装置を、
ユーザがコンテンツを進行させるための情報である進行要素を記憶する進行要素記憶手段、
前記進行要素及び所定の文字列を関連付けて、コンテンツの進行に用いる進行制御情報を記憶する進行制御記憶手段、
ユーザから情報の入力を受け付ける入力受付手段、
受け付けられた情報が、前記進行要素に対応する前記所定の文字列と類似するか否か判定する類似判定手段、
類似すると判定した場合に、前記進行制御情報に基づいてコンテンツを進行するコンテンツ進行手段、
受け付けた情報に応答する回答データを出力する回答データ出力手段
として機能させるプログラム。
【0139】
[14] [13]に記載されたプログラムをインストールした端末装置。
【0140】
[15] 端末装置及びサーバ装置を含む、コンテンツを提供するシステムにおいて、サーバ装置においてコンテンツを提供する方法であって、
ユーザから情報の入力を受け付けるステップと、
受け付けられた情報が、ユーザがコンテンツを進行させるための情報である進行要素に対応する所定の文字列と類似するか否か判定するステップと、
類似すると判定した場合に、前記進行要素及び前記所定の文字列を関連付けられた、コンテンツの進行に用いる進行制御情報に基づいてコンテンツを進行するステップと、
受け付けた情報に応答する回答データを出力するステップと
を有する方法。
【0141】
[16] 端末装置及びサーバ装置を含む、コンテンツを提供するシステムにおいて、端末装置においてコンテンツを提供する方法であって、
ユーザから情報の入力を受け付けるステップと、
受け付けられた情報が、ユーザがコンテンツを進行させるための情報である進行要素に対応する所定の文字列と類似するか否か判定するステップと、
類似すると判定した場合に、前記進行要素及び前記所定の文字列を関連付けられた、コンテンツの進行に用いる進行制御情報に基づいてコンテンツを進行するステップと、
受け付けた情報に応答する回答データを出力するステップと
を有する方法。
【符号の説明】
【0142】
1 :コンピュータ装置
500 :進行要素データテーブル
600 :進行制御マスタテーブル
【要約】 (修正有)
【課題】提供するコンテンツに対するプレイヤの自由度を高めつつ、より満足度の高い新たなプログラム、コンピュータ装置及び方法を提供する。
【解決手段】コンピュータ装置によるプログラム実行処理はユーザから受け付けられた情報が、進行要素に対応する所定の文字列とが類似する度合いを算出し、算出した度合いを用いて受け付けた情報と所定の文字列が類似するか否か判定し、類似すると判定した場合にコンテンツを進行し、受け付けた情報に応答する回答データを取得し、取得した回答データを出力する。
【選択図】
図4