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特許7428776取引所の制限による不利な影響を防止するための方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】取引所の制限による不利な影響を防止するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/04 20120101AFI20240130BHJP
【FI】
G06Q40/04
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022179545
(22)【出願日】2022-11-09
(62)【分割の表示】P 2021143147の分割
【原出願日】2013-04-08
(65)【公開番号】P2023025020
(43)【公開日】2023-02-21
【審査請求日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】13/718,949
(32)【優先日】2012-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502317459
【氏名又は名称】トレーディング テクノロジーズ インターナショナル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ジェフリー・ワイス
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・アネティック
【審査官】大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2004/008309(WO,A1)
【文献】特開2006-293852(JP,A)
【文献】特開2007-265245(JP,A)
【文献】特開2008-191819(JP,A)
【文献】特開2012-033134(JP,A)
【文献】特表2009-527839(JP,A)
【文献】特表2004-522212(JP,A)
【文献】国際公開第2012/050679(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2011/0145125(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0097887(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第101305346(CN,A)
【文献】米国特許第7124110(US,B1)
【文献】特開2008-233989(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子取引所と通信するゲートウェイによって、第1の取引制限の関数として第2の取引制限を決定するステップ、ここで、第1の取引制限は、一定期間にゲートウェイによって電子取引所に通信されたメッセージの総数に基づいており、第2の取引制限は、電子取引所と通信するための予備キャパシティに対応する、
ゲートウェイによって、一定期間に電子取引所に通信された現在のメッセージ数に基づいて、第2の取引制限を超えたと判断するステップ、
ゲートウェイによって、ゲートウェイが受信したメッセージに関する、電子取引所へ通信する際のメッセージ優先度を特定するステップ、
第2の取引制限を超えたと判断し、且つメッセージに関連付けられたメッセージ優先度が第1のメッセージ優先度であると特定することに応じて、ゲートウェイによって、電子取引所に当該メッセージを送信するステップ、
第2の取引制限を超えたと判断し、且つメッセージに関連付けられたメッセージ優先度が第2のメッセージ優先度であると特定することに応じて、ゲートウェイによって、当該メッセージを拒否するステップ、
を含む方法。
【請求項2】
ゲートウェイによって、一定期間に電子取引所に通信されたメッセージの総数に関連する取引カウントを追跡するステップ、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
取引カウントを追跡するステップは、メッセージが電子取引所に通信されたときに取引カウントをインクリメントするステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
第1の取引制限は、電子取引所によって指定される、請求項1から3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
ゲートウェイによって、第1の取引制限を決定するステップ、をさらに含み、
第1の取引制限を決定するステップは、
ゲートウェイによって、電子取引所から受信した複数の応答メッセージの各々に関連するメッセージレイテンシーを計算するステップ、
ゲートウェイによって、メッセージレイテンシーの増加を特定するステップ、
ゲートウェイによって、メッセージレイテンシーの増加に基づいて、第1の取引制限を推定するステップ、
により実行する、請求項1から4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
メッセージは、取引所リンクを介して電子取引所に通信される、請求項1から5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
ゲートウェイによって、メッセージにメッセージ優先度を割り当てるステップ、
をさらに含む、請求項1から6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
メッセージに関するメッセージ優先度は、注文ポリシーに関連する、請求項1から7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
第1のメッセージ優先度は、第2のメッセージ優先度よりも高い、請求項1から8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
ゲートウェイによって、第2の取引制限を超えたと判断するステップ、
をさらに含む、請求項1から9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
第2の取引制限は、1日の時間帯に基づいて変化する、請求項1から10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
ゲートウェイによって実行されると請求項1から11のいずれか1つに記載の方法をゲートウェイに実行させる命令を格納した、コンピュータ可読記録媒体。
【請求項13】
請求項1から11のいずれか1つに記載の方法をゲートウェイにより実行するためのコンピュータプログラム。
【請求項14】
請求項1乃至11のいずれか1つに記載の方法を実行するためのゲートウェイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に電子取引環境に関し、より詳細には、取引所の制限による不利な影響を防止するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子取引システムは一般的に、電子取引所と通信する取引デバイスを含む。電子取引所は、価格や数量などの市場に関する情報を取引デバイスに送信する。取引デバイスは、注文に関するメッセージなどを電子取引所に送信する。電子取引所は、ある注文の数量と、それに相対する1つ又は複数の注文の数量とのマッチングを試みる。
【0003】
電子取引所のシステムは、多くの場合、メッセージングや取引に関する制限を有する。取引制限によっては、全ての参加者の取引を停止させる可能性があり、また、一人のトレーダの注文実行能力のみに影響する場合もある。場合によっては、取引制限は市場参加者に提供されない。
【0004】
以下の図面を参照しながら実施形態が開示される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】ある実施形態を実施可能な例示的な電子取引システムのブロック図
図2】ある実施形態を実施可能な別の例示的な電子取引システムのブロック図
図3】開示された実施形態を実施するために用いられる例示的なコンピューティングデバイスのブロック図
図4】開示された実施形態を実施するために実行可能な機械読み取り可能な命令を表すフロー図
図5】開示された実施形態を実施するために実行可能な機械読み取り可能な命令を表すフロー図
図6】開示された実施形態を実施するために実行可能な機械読み取り可能な命令を表すフロー図
図7図4図6の機械読み取り可能な命令を実行可能なメッセージ管理システムのブロック図
図8】開示された実施形態を実施するために実行可能な機械読み取り可能な命令を表すフロー図
【発明を実施するための形態】
【0006】
特定の実施形態は、例を示すものとして提供される図面と併せて読むことでより良く理解される。しかしながら、実施形態は、添付の図面に示した配置や手段に限定されないものと理解すべきである。
【0007】
取引所は、ある期間にて取引所に通信される取引の数に制限を課すことがある(例えば、取引所の取引制限やスロットル制限)。しかしながら、取引所は、その制限を取引システムの参加者に提供(又は通知)しない場合がある。取引制限に達すると、取引所は、その後に受信する取引メッセージを保留又は遅延させる、取引制限を超える取引メッセージに関して、送信者に罰金を課す又はその他のペナルティーを課す、あるいは、取引制限に達した後に受信した取引メッセージを単に拒絶する、場合がある。従来のシステムは、取引制限を決定しないため、取引メッセージを取引所に送信又は通信し続けることとなり、結局、取引メッセージは取引所に拒絶される。その結果、優先度の高い又は「重要」な取引メッセージが実行されない可能性がある。
【0008】
本明細書に開示された実施形態は、これらの取引所の制限による不利な影響を防止するために、優先度の高い取引メッセージを取引所での実行のために取引所に通信すべきであることを認識している。従来の取引システムとは異なり、本明細書に開示された実施形態は、取引メッセージの数を確保しておくことで拒絶メッセージ又はその他の望ましくない結果を受けることなく、優先度の高い取引メッセージを取引所に通信することを確保する。より具体的には、取引所に通信された取引のスループットおよびそれに対応する応答メッセージをモニタすることにより、予備キャパシティが算出される。本明細書に開示される実施形態によれば、取引所の取引制限は、拒絶メッセージを受信する前に通信された取引の数を追跡することによって発見(又は定義)することができる。本明細書に開示される実施形態によれば、人工的な取引制限を取引所の取引制限の関数として計算することができる。ある例では、取引所の取引制限と人工的な取引限度との差により取引メッセージの予備キャパシティを生成する。ある例では、優先度の低い取引メッセージは拒絶(例えば、キャンセル、遅延など)される一方で、優先度の高い取引メッセージは予備キャパシティを用いて取引所に通信する。このような実施形態において、優先度の低い取引メッセージを阻止(又はキャンセル)しながら、優先度の高い取引メッセージを予備キャパシティを用いて通信することができる。
【0009】
発明の詳細な説明は、コンポーネントの中でも特にハードウェア上で実行されるソフトウェアを含む実施形態を開示するが、これらの実施形態は単なる例示であり、限定的なものとして解釈すべきではない。例えば、これらのハードウェアおよびソフトウェアのコンポーネントのいずれか又は全てが、ハードウェアにて独占的に、ソフトウェアにて独占的に、ファームウェアにて独占的に、又は、ハードウェア、ソフトウェアおよび/又はファームウェアの任意の組み合わせにて、実装されてもよい。したがって、実施形態はその他の方法により実施・実装されてもよい。
【0010】
I.実施形態に関する簡単な説明
ある実施形態は、メッセージの管理を行う方法であって、取引所リンクを介して取引所に通信される取引メッセージの取引カウントをゲートウェイにて追跡するステップを含む方法を提供するものである。当該例示的な方法は、取引カウントに基づいて第1の取引制限を定義するステップを含む。当該方法はさらに、第1の取引制限の関数として第2の取引制限を算出するステップを含む。ここで、第2の取引制限は、取引所リンクに関連付けられた予備キャパシティに対応するものである。当該方法はさらに、取引所へ通信する複数の取引メッセージのそれぞれにメッセージ優先度を割り当てるステップを含む。当該方法はさらに、取引カウントが第2の取引制限よりも多い場合に、複数の取引メッセージのうち、第1のメッセージ優先度を有する取引メッセージを取引所に通信するステップと、第2のメッセージ優先度を有する取引メッセージを遅延させるステップと、を含む。
【0011】
ある実施形態は、メッセージの管理を行う方法であって、ゲートウェイを介して複数の取引メッセージを取引所に通信するステップを含む方法を提供するものである。当該例示的な方法はさらに、取引所リンクを介して通信される取引メッセージの取引カウントを追跡するステップを含む。当該方法はさらに、複数の取引メッセージに応答してゲートウェイにて受信される複数の応答メッセージのそれぞれに関連するメッセージレイテンシーを算出するステップを含む。当該方法はさらに、取引カウントとメッセージレイテンシーとに基づいて取引制限を定義するステップを含む。
【0012】
ある実施形態は、メッセージの管理を行う方法であって、ゲートウェイを介して複数の取引メッセージを取引所に通信するステップを含む方法を提供するものである。当該例示的な方法はさらに、取引所リンクを介して通信される取引メッセージの取引カウントを追跡するステップを含む。当該方法はさらに、取引所リンクを介して拒絶メッセージを受信することに応じて、取引カウントに基づいて取引制限を定義するステップを含む。
【0013】
ある実施形態は、メッセージの管理を行う方法であって、取引所リンクの取引制限を定義するステップを含む方法を提供するものである。当該例示的な方法はさらに、プロセッサにより、取引制限に基づいて第2の取引制限を算出するステップを含む。ここで、第2の取引制限は、取引制限のパーセンテージに対応するものである。当該方法はさらに、第2の取引制限および注文ポリシーに基づいて、取引所リンクを介して取引所に複数の取引メッセージを通信するステップを含む。
【0014】
ある実施形態は、メッセージの管理を行う方法であって、取引所リンクを介してゲートウェイから受信した取引メッセージの取引カウントを取引所にて追跡するステップを含む方法を提供するものである。当該例示的な方法はさらに、取引カウントを取引制限の一部と比較することで、インジケーションを作成するステップを含む。当該方法はさらに、インジケーションに基づいて、ゲートウェイに警告メッセージを通信するステップを含む。
【0015】
ある実施形態は、メッセージの管理を行う方法であって、ゲートウェイにて、複数の取引メッセージのそれぞれにメッセージ優先度を割り当てるステップを含む方法を提供するものである。ここで、ゲートウェイは、複数の取引メッセージのそれぞれを取引所に通信するものである。当該例示的な方法はさらに、取引所に通信される取引メッセージの数に対応する取引カウントが取引制限の一部である場合に、複数の取引メッセージのうち、第1のメッセージ優先度を有する取引メッセージを取引所に通信するステップと、第2のメッセージ優先度を有する取引メッセージを遅延させるステップと、を含む。
【0016】
II.電子取引システムの例
図1は、ある実施形態を採用可能な例示的な電子取引システム100を表すブロック図を示す。システム100は、取引デバイス110と、ゲートウェイ120と、取引所130とを備える。取引デバイス110は、ゲートウェイ120と通信する。ゲートウェイ120は、取引所130と通信する。本明細書における「通信」との用語は、直接的な通信、および/又は、1つ若しくは複数の中間コンポーネントを介した間接的な通信を包含する。図1に示す例示的な電子取引システム100は、本明細書における示唆および開示から逸脱しない範囲で、付加的な機能や性能を提供する付加的なコンポーネント、サブシステムおよびエレメントと通信してもよい。
【0017】
動作中において、取引デバイス110は、取引所130からゲートウェイ120を介して市場データを受信する。ユーザは取引デバイス110を使用して、この市場データのモニタを行う、および/又は、1つ又は複数の取引可能オブジェクトを買う又は売るための注文メッセージを取引所130に送信する意思決定を行う。
【0018】
市場データは、取引可能オブジェクトのための市場に関するデータを含む。例えば、市場データは、内部市場、市場深度、最終取引価格(「LTP」)、最終取引量(「LTQ」)又はそれらの組み合わせを含む。(時間の経過とともに変化する)内部市場は、ある時点における特定の取引可能オブジェクトに関する利用可能な最低アスク価格(ベストオファー)および最高ビッド価格(ベストビッド)である。市場深度は、内部市場で利用可能な数量および内部市場から離れた他の価格で利用可能な数量のことをいう。利用可能な数量次第で、市場深度の「ギャップ」が存在する場合がある。
【0019】
取引可能オブジェクトは、取引される任意の対象物である。例えば、取引可能オブジェクトの特定の数量を、特定の価格で買う又は売ることができる。取引可能オブジェクトには例えば、金融商品、株式、オプション、債券、先物、通貨、ワラント、ファンドデリバティブ、証券、商品、スワップ、金利商品、インデックスベース商品、取引イベント、物品、又はそれらの組み合わせが含まれる。取引可能オブジェクトには、取引所(例えば取引所130)によってリスト化および/又は管理された商品、ユーザによって定義された商品、実際の商品若しくは合成の商品の組合せ、又はそれらの組み合わせが含まれる。なお、実際の取引可能オブジェクトに対応するおよび/又は類似する、合成の取引可能オブジェクトが存在してもよい。
【0020】
注文メッセージは、取引注文を含むメッセージである。取引注文は例えば、取引可能オブジェクトを買う又は売るためのコマンドや、定められた取引戦略に従って注文の管理を開始するコマンドや、提出済みの注文を変更(例えば作業中の注文を修正する)又はキャンセルするコマンドや、注文に関連する電子取引所への指示や、それらの組み合わせであってもよい。
【0021】
取引デバイス110は、1つ又は複数の電子計算プラットフォームを有してもよい。例えば、取引デバイス110は、デスクトップコンピュータ、ハンドヘルドデバイス、ラップトップ、サーバ、ポータブルコンピューティングデバイス、取引端末、埋め込まれた取引システム、ワークステーション、アルゴリズム取引システム(「ブラックボックス」や「グレーボックス」)、コンピュータのクラスタ、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。別の例として、取引デバイス110は、プロセッサによって実行される1つ又は複数のコンピュータプログラム、アプリケーション、ライブラリあるいはコンピュータ読み取り可能命令などをアクセス可能に記憶するように構成されたメモリ又はその他の記憶媒体と通信を行うシングル又はマルチコアプロセッサを含んでもよい。
【0022】
本明細書における「~ように構成された(configured to, adapted to)」との用語は、エレメント、構造又はデバイスが特定の機能又は特定の目的を実行するように修正、アレンジ、変更などされている場合を包含する。
【0023】
例示として、取引デバイス110は、イリノイ州シカゴにあるトレーディングテクノロジーズインターナショナルインコーポレイティッド(以降では「トレーディングテクノロジーズ」と称する)が提供する電子取引プラットフォームであるX_TRADER(登録商標)のコピーを実行するパーソナルコンピュータとして実装されてもよい。別の例として、取引デバイス110は、トレーディングテクノロジーズが提供するADL(商標)、AUTOSPREADER(登録商標)、および/又はAUTOTRADER(商標)などの自動取引ツールを提供する取引アプリケーションを実行するサーバであってもよい。さらに別の例では、取引デバイス110は、サーバと通信する取引端末を含んでもよく、この場合、取引端末とサーバが集合的に取引デバイス110となる。
【0024】
取引デバイス110は一般的に、ユーザによって所有、操作、制御、プログラム、構成、又はその他の方法の使用が行われる。本明細書における「ユーザ」との用語には、これらに限定されないが、人間(例えばトレーダ)、取引グループ(例えばトレーダのグループ)又は電子取引デバイス(例えばアルゴリズム取引システム)が含まれる―1人又は複数のユーザが、例えば所有、操作、制御、プログラミング、構成、又はその他の使用に関与してもよい。
【0025】
取引デバイス110は、1つ又は複数の取引アプリケーションを含む。本明細書における取引アプリケーションは、電子商取引を可能にする又は改善するアプリケーションである。取引アプリケーションは、1つ又は複数の電子取引ツールを提供する。例えば、取引デバイスに記憶された取引アプリケーションは、1つ又は複数の取引ウィンドウに市場データを配置および表示するように実行される。別の例では、取引アプリケーションは、スプレッド取引ツールを提供する自動スプレッド取引アプリケーションを含む。さらに別の例では、取引アプリケーションは、自動的にアルゴリズムを処理して特定のアクション(注文を出す、既存の注文を修正する、注文の削除する、など)を実行するアルゴリズム取引アプリケーションを含む。さらに別の例では、取引アプリケーションは、1つ又は複数の取引画面を提供する。取引画面は、1つ又は複数の市場と交信可能な1つ又は複数の取引ツールを提供してもよい。例えば、ユーザは取引ツールを用いることで、様々な取引戦略を実行しながら、市場データの取得・閲覧、注文エントリパラメータの設定、取引所への注文メッセージの送信、取引アルゴリズムの展開、および/又は、位置のモニタリングを行うことができる。取引アプリケーションが提供する電子取引ツールは常に利用可能であってもよく、あるいは、取引アプリケーションの特定の設定又は動作モードのみで利用可能であってもよい。
【0026】
取引アプリケーションは、プロセッサによって実行可能にコンピュータ読み取り可能媒体に記憶されたコンピュータ読み取り可能な命令を含む。コンピュータ読み取り可能媒体には例えば、ランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリ、プログラマブル読み出し専用メモリ、電気的プログラマブル読み出し専用メモリ、電気的消去可能読み出し専用メモリ、フラッシュメモリ、これらの任意の組み合わせ、又はその他の任意の有形データ記憶デバイスなど、様々なタイプの揮発性/不揮発性の記憶媒体が含まれる。本明細書における非一時的又は有形のコンピュータ読み取り可能媒体との用語は、コンピュータ読み取り可能記憶媒体の任意のタイプを含むが、伝搬信号は除外するものとして明示的に定義される。
【0027】
取引アプリケーションの1つ又は複数のコンポーネント又はモジュールは、別のコンピュータ読み取り可能媒体から、取引デバイス110のコンピュータ読み取り可能媒体にロードされてもよい。例えば、取引アプリケーション(又は取引アプリケーションのアップデート)は、製作者、開発者又は発行者によって1つ又は複数のCD又はDVD上に記憶されるものであり、取引デバイス110にその後ロードされる、又は、取引デバイス110が取引アプリケーションを読み取るためのサーバにロードされてもよい。別の例として、取引デバイス110は、サーバから、例えばインターネット又は内部ネットワークを介して取引アプリケーション(又は取引アプリケーションのアップデート)を受信してもよい。取引デバイス110は、取引デバイス110によって要求される場合に(例えば「プル配信」)、および/又は、取引デバイス110によって要求されない場合に(例えば「プッシュ配信」)、取引アプリケーション又はそのアップデートを受信してもよい。
【0028】
取引デバイス110は、注文メッセージを送信するように構成されてもよい。例えば、注文メッセージは、ゲートウェイ120を介して取引所130に送信される。別の例として、取引デバイス110は、実際の取引には影響を及ぼさないシミュレーション環境におけるシミュレートの取引所へ注文メッセージを送信するように構成される。
【0029】
注文メッセージは、ユーザの要求に応じて送信されてもよい。例えば、トレーダは取引デバイス110を利用することで、注文メッセージを送信する、又は、取引注文に関する1つ又は複数のパラメータ(例えば注文の価格および/又は数量)を手動で入力する。別の例として、取引アプリケーションが提供する自動取引ツールは、取引注文に関する1つ又は複数のパラメータを計算して注文メッセージを自動的に送信する。ある例では、自動取引ツールは、送信用のメッセージを作成するがユーザからの確認がなければ実際にはそれを送信しない。
【0030】
注文メッセージは、1つ又は複数のデータパケットにて、又は、共有のメモリシステムを介して送信される。例えば、注文メッセージは、取引デバイス110からゲートウェイ120を介して取引所130へ送信される。取引デバイス110は例えば、ローカルエリアネットワーク、広域ネットワーク、無線ネットワーク、バーチャルプライベートネットワーク、T1ライン、T3ライン、総合デジタル通信網(「ISDN」)ライン、ポイント・オブ・プレゼンス、インターネット、および/又は共有メモリシステムを使用して、ゲートウェイ120と通信する。
【0031】
ゲートウェイ120は、1つ又は複数の電子計算プラットフォームを含んでもよい。例えば、ゲートウェイ120は、1つ又は複数のデスクトップコンピュータ、ハンドヘルドデバイス、ラップトップ、サーバ、ポータブルコンピューティングデバイス、取引端末、埋め込み取引システム、シングル/マルチコアプロセッサを搭載したワークステーション、「ブラックボックス」又は「グレーボックス」などのアルゴリズム取引システム、コンピュータのクラスタ、又はそれらの任意の組み合わせとして実装されてもよい。
【0032】
ゲートウェイ120は、通信を容易にするものであってもよい。例えば、ゲートウェイ120は、取引デバイス110と取引所130の間で通信されるデータのプロトコル変換を実行する。ゲートウェイ120は例えば、取引デバイス110から受信した注文メッセージを取引所130によって判別可能なデータ形式に処理する。同様に、ゲートウェイ120は例えば、取引所130から受信した取引所の固有形式による市場データを取引デバイス110によって判別可能な形式に変換する。
【0033】
ゲートウェイ120は、上述の取引アプリケーションと同様に、電子取引を容易にする又は向上させる取引アプリケーションを含んでもよい。例えば、ゲートウェイ120は、取引デバイス110からの注文を追跡して、当該注文のステータスを取引所130から受信した約定確認に基づいて更新する取引アプリケーションを有してもよい。別の例として、ゲートウェイ120は、取引市場130からのデータを合体してそれを取引デバイス110に提供する取引アプリケーションを有してもよい。さらに別の例では、ゲートウェイ120は、リスク処理を提供する、インプライド(implieds)を計算する、注文処理を取り扱う、市場データ処理を取り扱う、又はそれらの組み合わせを行う取引アプリケーションを含んでもよい。
【0034】
ある実施形態において、ゲートウェイ120が取引所130とどのように交信するかを「取引所リンク」と称する。取引所リンクを介して、ゲートウェイ120は例えば、ローカルエリアネットワーク、広域ネットワーク、仮想プライベートネットワーク、T1ライン、T3回線、ISDN回線、ポイント・オブ・プレゼンス、インターネット、および/又は共有メモリシステムを使用して、取引所130と通信する。
【0035】
取引所130は、取引所における団体によって所有、操作、制御、又は使用されてもよい。例示的な取引所の団体には、CMEグループ、ロンドン国際金融先物オプション取引所、インターコンチネンタル取引所、およびユーレックスが含まれる。取引所130は、例えば取引所によって取引のために提供される取引可能オブジェクトの売買を可能とするように構成されたコンピュータ、サーバ又はその他のコンピューティングデバイスなどの電子マッチングシステムを含んでもよい。取引所130は、一部は取引可能オブジェクトをリスト化および/又は管理し、他は注文を受信してマッチングするような、別々の団体を有してもよい。取引所130は例えば、電子通信ネットワーク(「ECN」)を含む。
【0036】
取引所130は、電子取引所であってもよい。取引所130は、注文メッセージを受信し、取引可能オブジェクトを売買するための相対する取引注文のマッチングを行うように構成される。マッチングされなかった取引注文は、取引所130によって後の取引用にリスト化される。取引注文には例えば、取引デバイス110から又は取引所130と通信しているその他のデバイスから受信した取引注文を含んでもよい。例えば、取引所130は通常、マッチング対象となる取引注文を提供する様々なデバイス(取引デバイス110に類似するものであってもよい)と通信する。
【0037】
取引所130は、市場データを提供するように構成される。市場データは、1つ又は複数のメッセージ又はデータパケットにて、又は共有メモリシステムを介して提供されてもよい。取引所130は例えば、取引デバイス110又はゲートウェイ120などの契約デバイスに対してデータフィードを公開する。データフィードには、市場データが含まれる。
【0038】
システム100は、付加的な、異なる、又は、より少ない数のコンポーネントを含んでもよい。例えば、システム100は、複数の取引デバイス、ゲートウェイ、および/又は取引所を含む。別の例では、システム100は、ミドルウェア、ファイアウォール、ハブ、スイッチ、ルータ、サーバ、取引所固有の通信機器、モデム、セキュリティマネージャーおよび/又は暗号化/復号化装置など、その他の通信デバイスを含んでもよい。
【0039】
III.拡張された電子取引システムの例
図2は、ある実施形態を採用可能な別の例示的な電子取引システム200のブロック図を示す。この例では、取引デバイス210aは、ゲートウェイ220aを介して取引所230aと通信する。以下の説明では主に、取引デバイス210a、ゲートウェイ220aおよび取引所230aに焦点を当てている。しかしながら、取引デバイス210aは、取引所230nに接続された任意の数のゲートウェイ220nに接続され、通信してもよい。取引デバイス110aとその他の取引所230nとの通信は、取引デバイス210aと取引所230aとの通信と同じ、類似又は異なっていてもよい。一般的に、それぞれの取引所は、取引デバイス、ゲートウェイ、ユーザ又は別の取引所との通信用の独自の好ましい技術および/又はフォーマットを有している。
【0040】
図1に示す取引デバイス110と類似し得る)取引デバイス210aは、取引端末214aと通信するサーバ212aを含んでもよい。サーバ212aは、取引端末214aよりもゲートウェイ120に対して地理的に近い位置に配置されてもよい。その場合、サーバ212aは、取引端末214aよりもレイテンシーのメリットを有する。運転中において、取引端末214aは、ユーザに取引画面を提供するとともに、さらなる処理のためにサーバ212aにコマンドを送信してもよい。例えば、取引アルゴリズムは、市場データに基づく実行のためにサーバ212aに展開されてもよい。サーバ212aは、ユーザからのさらなる入力なしで取引アルゴリズムを実行してもよい。別の例では、サーバ212aは、自動取引ツールを提供する取引アプリケーションを含むとともに、取引端末214aと再び通信するものであってもよい。取引デバイス210aは、付加的な、異なる、又はより少ない数のコンポーネントを含んでもよい。
【0041】
取引デバイス210aは、1つ又は複数の通信ネットワークを使用してゲートウェイ220aと通信してもよい。本明細書における通信ネットワークとは、取引デバイス210a、ゲートウェイ220aおよび取引所220aの間の通信を促進又はそれを可能にする、インターネットを含む任意のネットワークである。例えば、図2に示すように、取引デバイス210aは、マルチキャスト通信ネットワーク202a上でゲートウェイ220aと通信する。ネットワーク202a上のデータは、項目(例えば価格、注文又は約定)に応じて論理的に分割されてもよい。その結果、サーバ212aおよび取引端末214aは、それらの個々のニーズに応じて契約し、データ(例えば価格、注文又は約定に関連するデータ)の受信を行うことができる。
【0042】
図1に示すゲートウェイ120と類似し得る)ゲートウェイ220aは、価格サーバ222aと、注文サーバ224aと、約定サーバ226aとを備える。ゲートウェイ220aは、付加的な、異なる、又はより少ない数のコンポーネントを含んでもよい。価格サーバ222aは、価格データの処理を行う。価格データには、1つ又は複数の取引可能オブジェクトのための市場に関連するデータが含まれる。注文サーバ224aは、注文データを処理してもよい。注文データは、ユーザの取引注文に関連するデータである。例えば、注文データには、注文メッセージ、確認メッセージ、又はその他のタイプのメッセージが含まれてもよい。約定サーバは、約定データを収集および提供する。約定データには、取引注文の1つ又は複数の約定に関連するデータが含まれる。例えば、約定サーバ226aは、サーバ224aを介してルーティングされた、約定済み又は未約定の取引注文の記録を提供する。サーバ222a、224a、226aは、同じ機械又は別の機械で実行されてもよい。
【0043】
ゲートウェイ220aは、1つ又は複数の通信ネットワーク(又はネットワーク内の取引所リンク)を使用して取引所230aと通信する。図2に示すように、例えば、ゲートウェイ220aと取引所230aを接続する2つの通信ネットワークが存在してもよい。ネットワーク(又は取引所リンク)204aは、価格サーバ222aに市場データを通信するために使用されてもよい。ある例では、取引所230aは、このような市場データを、契約デバイスに公開されたデータフィード内に含む。ネットワーク(又は取引所リンク)206aは、注文データを通信するために使用されてもよい。ある例では、取引所230aには、取引所リンクを通じて取引インターバル(取引ピリオド、注文入力インターベルなど)の間に通信しうる取引の最大数が関連付けられる。例えば、取引所230aに通信される取引において、取引インターバル間の取引リミットを超える取引は取引所230aによって実行されない。
【0044】
図1に示す取引所130と類似し得る)取引所230aは、注文ブック232aと、マッチングエンジン234aとを備える。取引所230aは、付加的な、異なる、又はより少ない数のコンポーネントを含んでもよい。注文ブック232aは、マッチングされていない取引注文の数量に関連するデータを含んだデータベースである。例えば、注文ブックは、内部市場、様々な価格レベルの市場深度、最終取引価格、および最終取引数量など、取引可能オブジェクトのための市場に関連するデータを含む。マッチングエンジン234aは、相対するビッドとオファーをマッチングする。例えば、マッチングエンジン234aは、相対するビッドとオファーをマッチングする1つ又は複数のマッチングアルゴリズムを実行してもよい。売り注文は、同じ価格の買い注文と相対する注文である。同様に、買い注文は、同じ価格の売り注文に相対する注文である。
【0045】
動作中において、取引所230aは、注文ブック232aから価格サーバ222aに価格データを提供するとともに、マッチングエンジン234aから注文サーバ224aに注文データおよび/又は約定データを提供してもよい。サーバ222a、224a、226aは、これらのデータを翻訳して、取引デバイス210aに通信して戻すようにしてもよい。取引デバイス210aは例えば、取引アプリケーションを使用してこのデータを処理する。データは例えば、ユーザに表示される。別の例では、取引アルゴリズムがデータを利用して、取引所230aに取引注文を提出すべきかどうかを決定する。取引デバイス210aは、注文メッセージを準備し取引所230aに送信してもよい。
【0046】
ある実施形態では、ゲートウェイ220aは、取引デバイス210aの一部である。例えば、ゲートウェイ220aのコンポーネントは、取引デバイス210aと同じ計算プラットフォームの一部であってもよい。別の例として、ゲートウェイ220aの機能は、取引デバイス210aのコンポーネントによって実行されてもよい。ある実施形態では、ゲートウェイ220aは存在しない。このような構成は例えば、取引デバイス210aが取引所230aと通信するためにゲートウェイ220aを利用する必要がない場合に生じる。それは例えば、取引デバイス210aが取引所230aと直接通信するように構成される場合である。
【0047】
取引デバイス210aに類似する付加的な取引デバイス210b-210nが、ゲートウェイ220a-220nおよび取引所230a-230nの1つ又は複数に接続されてもよい。また、ゲートウェイ220aに類似する付加的なゲートウェイが、取引所230aに類似する複数の取引所と通信してもよい。それぞれのゲートウェイは例えば、1つ又は複数の異なる取引所と通信する。このような構成によれば、例えば、1つ又は複数の取引デバイス210aは、複数の取引所と取引することができる(および/又は、複数の取引所に冗長接続を提供することができる)。
【0048】
IV.コンピューティングデバイスの例示
図3は、開示される実施形態を実施するために使用可能な例示的なコンピューティングデバイス300のブロック図を示す。図1の取引デバイス110は、例えば、1つ又は複数のコンピューティングデバイス300を含む。図1のゲートウェイ120は、例えば、1つ又は複数のコンピューティングデバイス300を含む。図1の取引所130は、例えば、1つ又は複数のコンピューティングデバイス300を含む。
【0049】
コンピューティングデバイス300は、通信ネットワーク310と、プロセッサ312と、メモリ314と、インタフェース316と、入力デバイス318と、出力デバイス320とを含む。コンピューティングデバイス300は、付加的な、異なる、又はより少ない数のコンポーネントを含んでもよい。例えば、複数の通信ネットワーク、複数のプロセッサ、複数のメモリ、複数のインタフェース、複数の入力デバイス、複数の出力デバイス、又はそれらの任意の組み合わせが設けられてもよい。別の例として、コンピューティングデバイス300は、入力デバイス318や出力デバイス320を含まなくてもよい。
【0050】
図3に示すように、コンピューティングデバイス300は、通信ネットワーク310に接続されたプロセッサ312を含む。通信ネットワーク310は、コンピューティングデバイス300内のコンポーネント間におけるデータ通信のために、通信バス、チャネル、電気的若しくは光学的なネットワーク、回路、スイッチ、ファブリック、又はその他の機構を含んでもよい。通信ネットワーク310は、コンピューティングデバイス300内における任意のコンポーネント間での通信を可能に接続され、データを転送する。
【0051】
プロセッサ312は、任意の適切なプロセッサ、処理ユニット、又はマイクロプロセッサであってもよい。プロセッサ312には例えば、1つ又は複数の一般的なプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、アナログ回路、デジタル回路、プログラムされたプロセッサ、および/又はそれらの組合せが含まれる。プロセッサ312は、ネットワーク又は分散処理に関連付けられた1つ又は複数のデバイスのような、単一のデバイス又はデバイスの組み合わせであってもよい。任意の処理ストラテジーとしては、多重プロセッシング、マルチタスキング、並列処理および/又はリモート処理を使用してもよい。処理は、ローカル又はリモートであってもよく、また―1つのプロセッサから別のプロセッサへ移動してもよい。ある実施形態では、コンピューティングデバイス300は、マルチプロセッサシステムであり、通信ネットワーク310に通信可能に接続される1つ又は複数の付加的なプロセッサを含み得る。
【0052】
プロセッサ312は、メモリ314のような1つ又は複数の有形媒体内にエンコードされたロジックやその他のコンピュータ読み取り可能な命令を実行するように動作可能であってもよい。本明細書で使用される1つ又は複数の有体媒体にエンコードされたロジックには、プロセッサ312又は異なるプロセッサによって実行可能な命令が含まれる。ロジックは、例えば、ソフトウェア、ハードウェア、集積回路、ファームウェア、および/又はマイクロコードの一部として記憶されてもよい。ロジックは、ネットワーク340などの通信ネットワークを介して外部の通信デバイスから受信されてもよい。プロセッサ312は、図面に示された又は本明細書に記載された機能、動作、又はタスクを実現するためのロジックを実行してもよい。
【0053】
メモリ314は、例えば、コンピュータ読み取り可能記憶媒体のような1つ又は複数の有形媒体であってもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体には、例えば、ランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリ、プログラマブル読み出し専用メモリ、電気的プログラマブル読み出し専用メモリ、電気的消去可能読み出し専用メモリ、フラッシュメモリ、これらの任意の組み合わせ、又はその他の任意の有形データ記憶デバイスを含む、様々なタイプの揮発性および不揮発性の記憶媒体が含まれてもよい。本明細書で使用する非一時的又は有形のコンピュータ読み取り可能媒体は、任意のタイプのコンピュータ読み取り可能媒体を含むが伝搬信号を除外するものとして明示的に定義される。メモリ314には、ハードディスクドライブ、光学メディア、磁気テープ又はディスクなどを含む、任意の所望のタイプの大容量記憶デバイスが含まれる。
【0054】
メモリ314は、1つ又は複数のメモリデバイスを含んでもよい。例えば、メモリ314には、ローカルメモリ、大容量記憶デバイス、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、又はそれらの組み合わせが含まれてもよい。メモリ314は、遠隔プロセッサ312に対して、その近傍に配置され、その一部として設けられ、それにプログラムされ、それとネットワーク化され、および/又はそれからリモートな場所にあってもよく、これより、メモリ314に記憶されたデータは、例えば、プロセッサ312によって読みだされて処理されてもよい。メモリ314は、プロセッサ312によって実行可能な命令を記憶してもよい。命令は、本明細書に記載された又は図面に示された動作又は機能の1つ又は複数を実現するように実行されてもよい。
【0055】
メモリ314は、取引アプリケーション330を記憶してもよい。ある実施形態では、取引アプリケーション330は、異なる場所からアクセス可能である、又は異なる場所に記憶される。プロセッサ312は、メモリ314に記憶された取引アプリケーション330にアクセスして、取引アプリケーション330に含まれるコンピュータ読み取り可能命令を実行してもよい。
【0056】
ある実施形態では、インストールプロセスの間に、取引アプリケーションが、入力デバイス318および/又はネットワーク340からメモリ314に転送されてもよい。コンピューティングデバイス300が取引アプリケーション330を実行中、又は実行する準備をしているとき、プロセッサ312は、通信ネットワーク310を介してメモリ314から命令を読みだしてもよい。
【0057】
V.ゲートウェイにおける取引所の制限による不利な影響を防止する例
前述したように、ゲートウェイは、ネットワーク接続を通じた取引デバイスと取引所との間の通信を促進することができる。ゲートウェイと取引所との間のネットワーク接続は、「取引所リンク」とも称される。例えば、取引所リンクによって、非取引所のソフト(例えば、図1のゲートウェイ120上で動作するソフトウェア)が取引所のソフト(例えば、図1の取引所130上で動作するソフトウェア)と通信することができる。1つのゲートウェイが、1つ又は複数の取引所間の異なる取引所リンクを管理してもよい。ある例では、取引所は、取引所リンクの使用又は作成をゲートウェイに請求する。取引所リンクからの最大値を実現するために、異なるトレーダおよび/又は取引デバイス(例えば、図1の取引デバイス110)が取引所リンクを共有している。その結果、取引所とゲートウェイとの間の1つの取引所リンクは、複数の取引デバイスから取引メッセージを受信する。しかしながら、これにより、取引システムにおけるアクティビティに取引システム(例えば、取引デバイス)の参加者が気付かないという状況が生じうる。
【0058】
取引所によっては、取引所リンクの使用に制限を課している。例えば、取引可能オブジェクトの価格がある期間において一定割合以上で変化した場合、取引所は、取引可能オブジェクトの取引を停止することがある。この種の制限(例えば、「サーキットブレーカー」)は、取引所の下流における全ての参加者(例えば、ゲートウェイおよび/又は取引デバイス)に影響を及ぼす。取引所が参加者に対してメッセージを伝えることができれば、その参加者は、取引所の下流にいるといえる。取引所の下流における参加者の一部のみに、他の制限が影響を及ぼしてもよい。例えば、取引所によっては、取引所リンクに関する取引制限やスロットル制限を課している。すなわち、取引所は、取引所リンクを通じて取引所に通信される取引メッセージの数の上限(例えば、取引所の取引制限)を課す。取引所の取引制限に達したとき、取引所によって受信される取引メッセージ(例えば、取引注文)は、拒絶されることがある。ある例では、取引所は、取引メッセージが拒絶されたときにそれをキャンセル(又は削除)する。その他の例では、取引所は、取引メッセージをキャンセルするよりもむしろ、取引メッセージの実行を遅らせる(例えば、人工的な遅延を含む)。ある例では、取引所リンクに関する取引所の取引制限は下流の参加者に適用されない。その結果、参加者は、取引所によって受信された取引メッセージ(例えば、拒絶メッセージ)に対する応答に基づいて、取引メッセージが取引所の取引制限を超えたことを学習する。
【0059】
複数の参加者が1つの取引所リンクを共有し、取引所の取引制限が個々の取引者に知らされていない場合には、自分の低ボリュームの取引注文が、取引所の取引制限を超えることになるとは思いもしない。しかしながら、複数の参加者が存在するため、参加者のうちのいずれかが最終的な取引所の取引制限を消費し、他の参加者の取引注文が拒絶(例えば、キャンセル又は人工的な遅延)される可能性がある。その結果、参加者は「重要」な取引注文が拒絶された可能性があることに気づかない。例えば、「市場でのポジションを安定させる(get flat in a market position)」ためにも、参加者は優先度の高い取引メッセージの実行を必要とする場合がある。すなわち、取引メッセージの拒絶により、参加者は、商品に関し、余分な注文又は過小な注文で終わる可能性がある。このため、取引所の取引制限を低くする(例えば、人工的又は操作的な取引制限を計算する)ことで、優先度の高い(又は重要な)取引注文を通信するために使用可能な予備キャパシティを実現することが有益である。
【0060】
図4図6は、本開示内容を実現するために実行可能なオペレーション例を表すフロー図である。図4図6のオペレーション例は、例えば、図1のゲートウェイ120および/又は図2のゲートウェイ220aによって実行することができる。以下では、図1のゲートウェイ120が図4図6に示すオペレーション例を実行するものとして説明しているが、任意の適切な装置により、図4図6のオペレーション例を実行することができる。図4図6のオペレーション例は、取引所の制限によって不利な影響を受けることを防止すべく、取引所リンクに対する取引制限よりも小さな人工的な取引制限を算出することによって、優先度の高い取引メッセージを通信するための予備キャパシティを利用可能とするものである。
【0061】
取引所の制限による不利な影響を防止するために、取引所リンクに関する人工的(又は操作的)な取引制限に基づいて取引メッセージが通信される。図4の例では、取引所リンクに関する人工的(又は操作的)な取引制限が、取引所の取引制限に基づいて計算される。図4の例示的なプロセス400は、取引所リンクに関する取引所の取引制限を定義することによって開始される(ブロック405)。取引所130での設定により、取引所リンク(例えば、取引制限)を通じてある期間(例えば、取引インターバル中)に通信される取引メッセージの数が制限される。例えば、5秒間の取引インターバルを有する取引所130は、1取引インターバルごとに1000の取引という、取引所リンクに関する取引制限を設定することができる。その結果、取引制限に到達してから通信される取引メッセージは、(取引インターバル中に)実行されない。ある例では、取引インターバルはスライドウィンドウである。例えば、取引所130は、5秒間のスライドウィンドウにおける取引メッセージの数を1000に制限する。すなわち、任意の連続する5秒間の間に、取引メッセージを最大で1000個、取引所リンクを介して通信することが可能である。ある例では、取引インターバルは独立しており、定義された期間である。例えば、5秒間の取引インターバルは、0秒のマークで開始し、5秒のマークで終了する。ある例では、取引所の取引制限が既に知られている(例えば、取引所が取引所の取引制限を公表している、あるいは、ゲートウェイから要求されたときに取引所が取引所の取引制限を提供する)。その他の例では、取引所の取引制限は、ゲートウェイによって推定される。ある例では、取引所の取引制限は、一日の時間や市況に基づいて変化する。この場合、取引所の取引制限は、取引期間を通じて定期的に又は非定期的にモニタ(又は計算/推定)される。
【0062】
図5は、図4のブロック405を実現するために実行可能なオペレーション例のフロー図であり、ブロック405は、取引所の取引制限を定義するものである。図5の例では、取引所の取引制限は、取引所130から受信したフィードバックに基づいて計算される。図5のプロセスは、取引所リンクにおける取引所の取引制限が知られているかどうかを決定することによって始まる(ブロック505)。ある例では、取引所130は、取引所リンクにおける取引制限をゲートウェイ120へ提供する。取引所の取引制限が取引所130によって提供される場合、その取引制限は記憶される(例えば、ゲートウェイ120によって記録される)。図5のプロセスはその後終了し、制御は図4のブロック410に続く。
【0063】
取引所の取引制限がゲートウェイ120に知られていない場合(ブロック505)、取引所の取引制限に達したときに取引所130が人工的な遅延を実行するかどうかの判定が行われる(ブロック510)。例えば、取引所130は、取引注文を削除するのではなく、取引注文の実行を遅らせる。取引所130が人工的な遅延を実行しない場合には、取引所リンクを介して通信される取引メッセージのスループット(処理量)が追跡され(ブロック515)、取引所130から受信した応答メッセージがモニタされる(ブロック520)。ある期間にわたりスループットを追跡することによって、取引所130に通信される取引メッセージの数を知ることができる。その結果、取引メッセージに応答する拒絶メッセージが取引所130から受信されると(ブロック520)、拒絶メッセージを受信する前に追跡されたスループットに基づいて、取引所の取引制限が計算される(ブロック525)。例えば、5秒間における毎秒ごとの取引メッセージの追跡スループットが298、296、299、301および300であるところ、4秒目における301の処理量の取引メッセージに応じて拒絶メッセージが受信されると(ブロック520)、取引所リンクにおける取引インターバルごとの取引制限が300の処理量の取引メッセージであると計算される(ブロック525)。図5のプロセスはその後終了し、制御は図4のブロック410に続く。
【0064】
取引所130が人工的な遅延を行う場合(ブロック510)、取引所リンクを介して通信される取引メッセージの平均メッセージレイテンシー(メッセージの平均待ち時間)が算出される(ブロック530)。ある例では、平均メッセージレイテンシーは、取引メッセージのラウンドトリップ時間をモニタすることにより計算される。すなわち、取引メッセージがゲートウェイ120によって通信されたときから、取引メッセージに対する応答メッセージがゲートウェイ120によって受信されるまでの平均時間が計算される。平均メッセージレイテンシーは、ゲートウェイ120を介して通信される取引メッセージのそれぞれに関連付けられたメッセージ識別子およびタイムスタンプを記録および追跡することによって計算されてもよい。あるいは、ゲートウェイ120は、各取引メッセージが受信および/又は送信されるごとにメッセージ識別子および記録時間情報を追跡するように構成されてもよい。プロセスは、通信された取引メッセージのスループットを追跡し(ブロック535)、現在のメッセージレイテンシーを平均メッセージレイテンシーと比較する(ブロック540)。すなわち、取引所130は取引制限に達したときに人工的な遅延を実行することから、メッセージレイテンシーの急上昇は取引制限に達したことを意味する。その結果、メッセージレイテンシーが平均メッセージレイテンシーと異なる場合(ブロック540)、その異なる前におけるスループットに基づいて、取引所の取引制限が算出される(ブロック525)。ある例では、レイテンシーを平滑化するために、現在のメッセージレイテンシーがメッセージレイテンシーの移動平均と比較される。図5のプロセスはその後終了し、制御は図4のブロック410に続く。
【0065】
図4の例示的なプロセスに戻ると、人工的な(又は操作的な)取引制限が、取引所の取引制限に基づいて算出される(ブロック410)。人工的な取引制限とは、ゲートウェイ120によって課される、取引所の取引制限よりも小さい制限である。それらの差により、使用するための取引メッセージの予備キャパシティーが生成される。ある例では、使用ポリシーに従って予備キャパシティがアクセスされる。使用ポリシーは、取引所リンクを介して通信される取引メッセージの優先順位を指定してもよい。例えば、取引カウント(例えば、取引インターバル中に通信(又は送信)される取引メッセージの数)が人工的な取引制限に達したときに、取引メッセージを通信するために、使用ポリシーに従って予備キャパシティがアクセスされる。その結果、優先度の高い取引メッセージ(例えば、内部市場を向上させる取引メッセージ)については、取引所130による実行が確保される。例えば、取引注文をキャンセルするための取引メッセージと、取引注文を追加するための取引メッセージと、第2の取引注文をキャンセルする第2の取引メッセージとが、メッセージ2つ分の予備キャパシティを有するゲートウェイ120によって受信される。取引注文をキャンセルするための取引メッセージが、使用ポリシーによって、取引注文を追加又は変更するための取引メッセージよりも優先される。取引所130に通信される取引メッセージが取引制限に向かってカウントされ、ゲートウェイ120がメッセージ2つ分の予備キャパシティを有するので、ゲートウェイ120は、取引注文をキャンセルする2つの取引メッセージを、取引所リンクを介して取引所130に送信する。ある例では、ゲートウェイ120は、取引注文を追加するための取引メッセージをキャンセルする。他の例では、ゲートウェイ120は、取引注文を追加するための取引メッセージの通信を次の取引インターバルまで遅延する。他の例では、人工的な(又は操作的な)取引制限に達すると、使用ポリシーにより、メッセージのトラフィック量が制御される。例えば、使用ポリシーは、所定期間に通信されるメッセージの数を制限するものであり、これにより、取引所の取引制限に到達することを防止する。他の例では、人工的な(又は操作的な)取引制限に達すると、使用ポリシーによって、どのトレーダが取引を行うかが制限される。例えば、人工的な取引制限に達すると、使用ポリシーは、マーケットメーカーとして指定されているトレーダ(例えば、取引可能オブジェクト内の取引を促進するために取引可能オブジェクトの買い価格と売り価格をクオートするトレーダ)への取引メッセージの通信を制限する、および/又は、ヘッジを行っていない任意のトレーダ(例えば、反対の(又は対向する、オフセットの)取引可能オブジェクトにおけるポジションを持たないことにより取引可能オブジェクトにおけるリスクポジションが高まっているトレーダ)への取引メッセージの通信を制限する。
【0066】
人工的な取引制限は、取引所の取引制限の関数として計算される。ある例では、人工的な取引制限は、取引所の取引制限の一部(又は分数、パーセンテージなど)である。ある例では、人工的な取引制限は、取引所の取引制限よりも少ない数の取引メッセージの定数であってもよい(例えば、取引所の取引制限よりも100少ない定数)。ある例では、人工的な取引制限と取引所の取引制限との関係は、市況に基づいて変化してもよい。例えば、そのような関係は、一日の時間(例えば、取引期間の開始時、取引期間の終了時)や、異なる取引所リンクを介して通信される取引メッセージの累積数などに応じて変化してもよい。
【0067】
取引制限(例えば、取引所の取引制限や人工的な取引制限)が知られている場合(ブロック405、410)、ゲートウェイ120は、使用ポリシーと取引カウントに基づいて、取引所リンクを介して取引所130に取引メッセージを通信する(ブロック420)。このために、ゲートウェイ120は、取引メッセージにメッセージ優先度を割り当てるとともに、閾値の優先度よりも高いメッセージ優先度を有する取引メッセージを通信する。例えば、ゲートウェイ120は、他の取引メッセージを遅らせながら予備キャパシティーを使用する場合において、優先度の最も高い取引メッセージを取引所130に通信する。
【0068】
図6は、図4のブロック420を実現するために実行可能なオペレーション例のフロー図であり、ブロック420は、ゲートウェイから取引所に取引メッセージを通信するものである。図6の例では、ゲートウェイ120は、取引閾値よりもメッセージ優先度の高い取引メッセージを通信する。ある例では、取引閾値は、例えば図1の取引システム100の参加者によって選択された使用ポリシーに基づいて変化する。図6のプロセスは、取引インターバルの間に受信したメッセージに対してメッセージ優先度を割り当てることによって開始される(ブロック605)。例えば、図1の取引デバイス110は、取引所130による実行のためにゲートウェイ120に取引メッセージを通信する。ある例では、ゲートウェイ120は、使用ポリシーに基づいて、取引メッセージのそれぞれにメッセージ優先度を割り当てる。ある例では、使用ポリシーは、取引インターバルの間にどの取引メッセージを取引所130に通信するかを決定する。ある例では、トレーダ又はユーザが使用ポリシーを設定する。ある例では、取引メッセージは、メッセージタイプに基づいて優先順位付けされる。例えば、取引注文をキャンセルするための取引メッセージは、他の取引注文(例えば、前に通信された取引注文の変更又は修正、あるいは、取引注文の追加)を実行するための取引メッセージよりも優先される。ある例では、取引メッセージは、各取引のメッセージに関連するリスクポジションに基づいて優先順位付けされる。例えば、リスクの高い取引メッセージは、リスクの低い取引メッセージよりも優先される。ある例では、取引メッセージは、取引所による実行の可能性に基づいて優先順位付けされる。例えば、内部市場との関係に基づき、内部市場に近い取引注文が内部市場から離れた類似の取引注文よりも優先度が高くなるように、取引メッセージを優先順位付けすることができる。ある例では、前の取引インターバルから遅らされた取引メッセージに、高いメッセージ優先度が割り当てられる。例えば、取引注文をキャンセルするための取引メッセージは、前の取引インターバルから遅らされた取引注文を追加するための取引メッセージよりも高い優先度を有する一方、前の取引インターバルから遅らされた取引注文をキャンセルするための取引メッセージよりも低い優先度を有する。ある例では、取引メッセージは、当該取引メッセージに関連付けられたトレーダおよび/又は取引デバイスに基づいて優先順位付けされる。取引所リンクには異なる取引デバイスが接続される場合があるため、取引メッセージを通信する取引デバイスに基づいて、取引メッセージのメッセージ優先度が調整されてもよい。例えば、トレーダは追加料金を支払うことで、特定の取引デバイスによって通信される取引メッセージのメッセージ優先度を高めることができる。また、取引メッセージの優先順位付けに関して、その他の基本原理を採用してもよい。
【0069】
図6のプロセスは、取引メッセージのメッセージ優先度を取引閾値と比較する(ブロック610)。ある例では、取引閾値は、使用ポリシーに基づいて変化する。例えば、使用ポリシーは、取引インターバル中に取引所130に通信される取引メッセージの取引カウントに基づいて、取引閾値を変化させる。例えば、取引閾値は、取引インターバルの開始時に最も低い優先度に設定され、取引カウントが人工的な取引制限に近づいている時に第2の優先度に設定され、取引カウントが人工的な取引リミットよりも大きい時に第3の優先度に設定される(例えば、予備キャパシティーを使用して取引メッセージを通信する)。ある例では、取引閾値より優先度の低い取引メッセージは(ブロック610)、取引所との通信に関して遅延される(ブロック615)。例えば、取引メッセージの通信は、次の取引インターバルまで遅延される。ある例では、取引メッセージは、同じ取引インターバル内で遅延される(例えば、メッセージ優先度の高い取引メッセージが通信された後に取引所に通信される)。ある例では、取引閾値よりもメッセージ優先度の低い取引メッセージは(ブロック610)、ゲートウェイ120によってキャンセルされる。その後、他の取引メッセージの通信を継続するか否かが決定される(ブロック635)。別の取引メッセージを受信すると、制御はブロック610に戻り、メッセージ優先度が取引閾値よりも高いか否かを決定する。それ以外の場合は、図4図6のプロセスは終了する。
【0070】
取引メッセージのメッセージ優先度が取引閾値よりも大きい場合(ブロック610)、取引メッセージは、取引所に通信される(ブロック620)。次に、取引所リンクを介して取引所に通信される取引メッセージの取引カウントが更新される(ブロック625)。すなわち、取引メッセージが取引所に通信されると取引カウントが増加し、取引カウントは取引インターバル中にモニタされる。次に、取引閾値が使用ポリシーを満たすかどうかが決定される(ブロック630)。例えば、使用ポリシーは、取引カウントに基づいて取引閾値を変更する。取引閾値が使用ポリシーを満たしている場合(ブロック630)、制御はブロック635に進み、取引インターバル中に別の取引メッセージが受信されたかどうかを決定する。
【0071】
ブロック630に戻ると、取引閾値が使用ポリシーを満たしていない場合、取引閾値が更新される(ブロック640)。例えば、使用ポリシーは、取引カウントが人工的な取引制限に達するまでに全ての取引メッセージが取引所130に通信されるように、取引閾値を設定する(ブロック640)。取引カウントが人工的な取引制限よりも大きい場合、優先度の高い取引メッセージを通信するが優先度の低い取引メッセージを通信しないように、取引閾値が使用ポリシーに基づいて調整される。その結果、取引閾値が更新される。ある例では、取引期間が終了したときに、取引閾値が使用ポリシーに基づいて設定される。ある例では、取引閾値が調整されたときに、その情報が、取引所リンクに接続されている下流側の取引デバイスに伝達される。その結果、取引デバイス110は、ゲートウェイ120に通信する取引メッセージを調整することができる。例えば、図1の取引デバイス110は、現在の取引閾値よりも優先度の低い取引メッセージをゲートウェイ120に通信しない(例えば、取引メッセージは、ゲートウェイ120や取引所130ではなく取引デバイス110によって遅延又はキャンセルされる)。制御はブロック635に進み、取引インターバル中に別の取引メッセージが受信されたかどうかを決定する。
【0072】
図7は、図4図6のオペレーション例を実現および/又は実行可能な例示的なシステム700のブロック図である。ある例では、システム700は、図1のゲートウェイ120および/又は図2のゲートウェイ220aに関連付けられたソフトウェア(又はアプリケーション)の一部として実現されてもよい。ある例では、システム700は、ゲートウェイ120に関連付けられたソフトウェアとは独立して動作可能なコンピュータ実装コード又はその命令として実現される。ある例では、システム700の特徴および特性は、図1のゲートウェイ120および/又は図2のゲートウェイ220aに関連して動作可能なハードウェアにて実現される。
【0073】
図7のシステム700は、取引モニタモジュール705を備え、取引モニタモジュール705は、取引所リンクを介して取引所130に通信され受信される取引メッセージを追跡する。例えば、取引モニタモジュール705は、取引メッセージが取引所130に通信されたという情報を受信する。ある例では、取引モニタモジュール705は、取引所130からの応答メッセージを受信する。結果的に、取引モニタモジュール705は、メッセージレイテンシーと平均メッセージレイテンシーを算出する。例えば、取引モニタモジュール705は、取引所130に通信された取引メッセージのタイムスタンプを、当該取引メッセージに対応する応答メッセージのタイムスタンプと比較する。
【0074】
システム700の例示的な取引所取引制限定義付けモジュール710は、取引所リンクにおける取引所の取引制限を定義する。ある例では、取引所の取引制限が取引所130によって提供され、取引制限定義付けモジュール710によって記憶される。ある例では、取引制限定義付けモジュール710は、取引所の取引制限を計算する。例えば、取引制限定義付けモジュール710は、取引所リンクを介して取引所130に通信された取引メッセージの数を示す取引カウントと、受信した応答メッセージの識別子とを受信する。その結果、取引制限定義付けモジュール710は、拒絶メッセージが受信されたときに、取引カウントに基づいて取引所の取引制限を算出する。ある例では、取引制限定義付けモジュール710は、平均メッセージレイテンシーのインジケーション(表示)と、応答メッセージについて計算されたメッセージレイテンシーのインジケーションとを受信する。その結果、取引制限定義付けモジュール710は、メッセージレイテンシーを平均メッセージレイテンシーと比較する。メッセージレイテンシーが平均メッセージレイテンシーから離れている場合、取引カウントに基づいて、取引所の取引制限が算出される。ある例では、取引制限定義付けモジュールは、メッセージレイテンシーと平均メッセージレイテンシーとの差を最小閾値と比較して、取引所の取引制限を計算するタイミングを決定する。ある例では、取引制限定義付けモジュール710は、メッセージレイテンシーと平均メッセージレイテンシーとの差の連続系列を使用することで、取引所の取引制限を計算するタイミングを決定する。
【0075】
システム700の人工的取引制限計算モジュール715は、取引所の取引制限に基づいて、人工的な取引制限を計算する。ある例では、人工的な取引制限は、取引所の取引制限の一部(又は分数、パーセンテージなど)である。ある例では、人工的な取引制限は定数である。例えば、人工的な取引制限により、50の取引メッセージに相当する予備キャパシティーが生成される。ある例では、人工的な取引制限は市況に基づいて変化する。例えば、人工的な取引制限は、一日の時間や、取引所に通信される取引メッセージ量や、取引所リンクを介して通信される取引メッセージに対応する活動レベルに基づいて変化する。
【0076】
システム700のメッセージ優先度割当てモジュール720は、取引デバイスから受信した取引メッセージに関して、取引所130と通信するためのメッセージ優先度を割り当てる。ある例では、取引インターバル内における様々な取引カウントや時間において取引メッセージをどのように処理するかを記述した使用ポリシーが、メッセージ優先度を決定する。ある例では、使用ポリシーは、取引メッセージや、取引メッセージのリスクポジションや、取引メッセージの実行可能性や、取引メッセージおよび/又は取引カウントに関連付けられたトレーダに基づいて、メッセージ優先度を変化させる。
【0077】
システム700の取引メッセージ通信モジュール725は、取引メッセージのメッセージ優先度に基づいて、取引メッセージを取引所130に通信する。例えば、取引メッセージ通信モジュール725は、取引メッセージのメッセージ優先度を取引閾値と比較する。そのような例では、取引閾値よりもメッセージ優先度が低い取引メッセージは遅延および/又はキャンセルされる。それ以外の場合、取引メッセージのメッセージ優先度が取引閾値よりも高い場合には、取引メッセージは取引所130に通信される。ある例では、取引閾値は、取引カウントに基づいて変化する。例えば、使用ポリシーは、取引カウントが人工的な取引制限に近づいているときに、取引閾値を調整する(例えば、増加させる)。その結果、取引閾値が増加された期間において、第1のメッセージ優先度を有する取引メッセージは取引所130に通信され、その一方、第2のメッセージ優先度を有するメッセージは遅延される(当該取引インターバルにおける後の期間又は次の取引インターバルまで遅延される)、および/又は、キャンセルされる(例えば、取引所130に通信されない)。ある例では、取引メッセージ通信モジュール725は、受信および/又は遅延された取引メッセージの取引メッセージキューを維持する。その結果、遅延された取引メッセージはメッセージキューの最後に移動される。
【0078】
VI.取引所の取引制限による不利な影響を防止する例
上述したように、取引所は、ある期間(例えば、取引インターバル)において取引所リンクを介して通信される取引メッセージの数を制限することができる。ある例では、取引所は、取引カウントに基づく警告メッセージを応答メッセージと共にゲートウェイに通信する。例えば、取引所は、取引カウントが取引所の取引制限に近づいていることを示す応答メッセージをゲートウェイに通信する。それに対して、ゲートウェイは、取引所に通信される取引メッセージをさらに調整又は修正することができる。
【0079】
図8は、取引カウントに基づく警告メッセージをゲートウェイに通信するために実行可能なオペレーション例のフロー図である。図8の例示的なプロセス800は、取引所(図1の取引所130)が取引所リンクを介して取引メッセージを受信したときに開始される(ブロック810)。例えば、ゲートウェイ(図1のゲートウェイ120)は、ある取引所を介して取引所130に取引メッセージを通信する。その結果、取引所130は、取引所リンクを介して受信される取引メッセージの数を追跡するカウンタをインクリメントする。
【0080】
取引所130は、取引カウントを使用ポリシーと比較することで、ゲートウェイ120に通信する応答を決定する(ブロック820)。ある例では、その比較によって、取引所130がアラート又は警告メッセージを通信する。例えば、取引所130は、取引カウントが人工的な取引制限よりも多いことを警告するメッセージをゲートウェイ120に通信する(ブロック830)。加えて、取引所130は、取引所リンクのアクティビティに関して下流側の参加者に警告することができる。例えば、取引所130は、下流側の参加者に対して、取引所リンクを介して取引メッセージを通信している取引デバイスの数を通知する。ある例では、取引所130はさらに、別の取引所リンクに切り替えるオファーを1つ又は複数の取引デバイス110に通信する。例えば、取引所130は、取引デバイス110がオファーを受け入れてオファーに応答するときに、取引デバイス110を現在の取引所リンクから比較的活動性の低い取引所リンクに転換させる。ある例では、ゲートウェイ120は、通信される後続の取引メッセージを調整又は修正する。ある例では、取引所130は、追加の取引メッセージを購入するオファーを下流側の参加者に通信する。取引カウントが取引所の取引制限の所定割合よりも多い場合に(ブロック820)、取引所130は、優先度の高い取引メッセージを通信するための追加的な取引メッセージを購入するオファーを通信する。ある例では、取引所130は、警告メッセージを促す取引メッセージに関連付けられているトレーダに基づいて、警告メッセージを通信する。ある例では、取引所130は、警告メッセージを促す取引メッセージにどのトレーダが関連付けられているかにかかわらず、選択されたトレーダに警告メッセージを通信する。図8のプロセスはその後、終了する。
【0081】
図面のいくつかは、ある実施形態の全て又は一部を実現するために使用可能な例示的なブロック図、システムおよび/又はフロー図を示す。例示的なブロック図、システムおよび/又はフロー図における1つ又は複数のコンポーネント、エレメント、ブロックおよび/又は機能は例えば、ハードウェア、ファームウェア、(有形コンピュータ読み取り可能媒体に記憶されたコンピュータ読み取り可能な命令のセットとしての)ディスクリートロジック、および/又はそれらの任意の組み合わせにて、単独又は組み合わせて実装されてもよい。
【0082】
例示的なブロック図、システムおよび/又はフロー図は例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、フィールドプログラマブルロジックデバイス(FPLD)、離散論理、ハードウェアおよび/又はファームウェアの任意の組み合わせを使用して実現される。また、例示的な方法のいくつか又はその全ては例えば、手動で又は上述の技術と組み合わせて実行されてもよい。
【0083】
例示的なブロックダイアグラム、システムおよび/又はフロー図は例えば、1つ又は複数のプロセッサ、コントローラおよび/又はその他の処理デバイスを用いて行われる。例えば、その例としては、有形のコンピュータ読み取り可能媒体に記憶されたコンピュータ読み取り可能な命令などのコード化された命令を使用して実行される。有形コンピュータ読み取り可能媒体は例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、プログラマブル読み出し専用メモリ(PROM)、電気的プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ、光媒体、磁気テープ、ファイルサーバ、その他の任意の有形データ記憶デバイス、又はそれらの任意の組み合わせなど、様々なタイプの揮発性および不揮発性の記憶媒体を含む。有形コンピュータ読み取り可能媒体は、不揮発性である。
【0084】
さらに、例示的なブロック図、システムおよび/又はフロー図について図面を参照しながら説明したが、その他の実現形態も可能である。例えば、コンポーネント、エレメント、ブロックおよび/又は機能の実行順序を変更可能である、および/又は、説明したコンポーネント、エレメント、ブロックおよび/又は機能のうちのいくつかを変更、削除、細分化又は組み合わせてもよい。さらに、コンポーネント、エレメント、ブロックおよび/又は機能のいずれか又はその全ては、例えば別個の処理スレッド、プロセッサ、デバイス、離散論理および/又は回路によって、直列および/又は並列に実現されてもよい。
【0085】
複数の実施形態について開示したが、様々な変更が可能であり、均等物によって置換されてもよい。さらに、特定の状況又は材料を適合させるように多くの修正を行ってもよい。このように、開示された技術は、開示した特定の実施形態に限定されるものでなく、添付の特許請求の範囲に含まれる全ての実施形態を包含することが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8