(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】高架鉄道状の路線網における自走式車両用の移行装置
(51)【国際特許分類】
B61J 3/04 20060101AFI20240130BHJP
B61B 7/00 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
B61J3/04 A
B61B7/00 A
(21)【出願番号】P 2022529702
(86)(22)【出願日】2020-11-18
(86)【国際出願番号】 EP2020082496
(87)【国際公開番号】W WO2021099364
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-06-20
(31)【優先権主張番号】102019217954.1
(32)【優先日】2019-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】オーラフ オールハーファー
(72)【発明者】
【氏名】ベアント シュトゥーケ
(72)【発明者】
【氏名】フェリックス イェグレ
【審査官】山本 賢明
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-197466(JP,U)
【文献】特開2005-225598(JP,A)
【文献】実開昭62-036862(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61J 3/04
B61B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高架鉄道状の路線網(1000)における自走式車両(1)用の移行装置(50)であって、前記路線網(1000)は、少なくとも1つの路線部材(106,108)と、少なくとも1つの交差点、逆転点または終点とを有しており、前記自走式車両(1)は、前記交差点、逆転点または終点の範囲において、前記少なくとも1つの路線部材(106,108)から、位置調整可能に配置された支持体ユニット(25a~25d)に移行可能である、移行装置(50)において、
前記支持体ユニット(25a~25d)は
、支持構造体(10;10a;10b)の領域において、前記少なくとも1つの路線部材(106,108)の、前記支持体ユニット(25a~25d)に面した端部(111)に対して特に平行に直線移動可能に配置されて
おり、
前記支持構造体(10;10a;10b)は、少なくとも1つの横断支持体(16,18)を備えた横桁(15)を有しており、前記横断支持体(16,18)には、前記支持体ユニット(25a~25d)が可動に配置されており、
前記支持体ユニット(25a~25d)は、少なくとも2つの部材(28,29;29a)、すなわち前記横桁(15)の領域内でガイドされている第1の部材(28)と、前記自走式車両(1)をガイドするように形成された第2の部材(29;29a)とから構成されており、
前記第2の部材(29)は、鉛直方向軸線(38)を中心として前記第1の部材(28)に対して回動可能に配置されている、
ことを特徴とする、移行装置(50)。
【請求項2】
前記横桁(15)は、2つの前記横断支持体(16,18)を有しており、2つの前記横断支持体(16,18)の間で、前記支持体ユニット(25a~25d)は該支持体ユニット(25a~25d)に配置されたローラ部材(26,27)を介して移動可能である、請求項
1記載の移行装置。
【請求項3】
前記第2の部材(29)は、昇降装置(34)を介して前記第1の部材(28)に対して相対的に昇降可能である、請求項
1または2記載の移行装置。
【請求項4】
前記支持体ユニット(25a~25d)は、前記
自走式車両(1)の支持アーム(3;3a)をガイドする特定断面部分(30;30a)を有している、請求項1から
3までのいずれか1項記載の移行装置。
【請求項5】
前記支持構造体(10;10a)の領域に複数の前記支持体ユニット(25a~25d)が配置されており、これらの支持体ユニット(25a~25d)は、必要に応じて前記少なくとも1つの路線部材(106,108)の前記端部(111)と整列するように位置合わせ可能である、請求項1から
4までのいずれか1項記載の移行装置。
【請求項6】
前記支持構造体(10a)の領域に、2つの走行路線(100,102)に沿って2つの前記
自走式車両(1)を並走させるための2つの前記支持体ユニット(25a,25b)が設けられている、請求項
5記載の移行装置。
【請求項7】
前記支持構造体(10)の領域に、4つの前記支持体ユニット(25a~25d)が設けられており、2つの外側の前記支持体ユニット(25a,25d)は、同時にこれらの外側の支持体ユニット(25a,25d)の間に内側の前記支持体ユニット(25b,25c)が配置された状態で、2つの走行路線(100,102)と位置合わせ可能である、請求項
5記載の移行装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高架鉄道状の路線網における自走式車両用の移行装置に関し、この場合、車両は、特に旅客輸送を想定したものであり、路線網には、車両が到着可能な様々な駅が含まれている。
【0002】
背景技術
米国特許出願公開第20170313328号明細書から、請求項1の上位概念に記載の特徴を備えた、自走式車両用の路線網における移行装置が公知である。特にこの公知文献は、複数の路線部材もしくは路線区間が互いに放射状に収束して延びている交差点の領域において、鉛直方向軸線を中心として位置調整可能なポイントの形態の支持体ユニットが、第1の路線部材から到来した車両を受け入れかつ整列もしくは回動させることにより第2の路線部材に引き渡すように形成されている、ということを開示している。ただしこの公知の移行装置を介して、路線網の互いに非平行に配置された路線部材が互いに接続され得る。さらに、ポイントにより互いに接続可能な路線区間の数は、原則として限られている。
【0003】
発明の開示
請求項1記載の特徴を備えた、自走式車両用の路線網における本発明による移行装置は、この移行装置により比較的小さな構造手間で、基本的に任意の数の走行路線を互いに接続することができ、これにより、車両を第1の走行路線から第2の任意の走行路線に入れ換えて移行させることができる、という利点を有している。さらに本発明による移行装置は、積込み・積卸しのために、車両を1つの走行路線の領域から、移行装置の領域内の他の車両の走行路線を塞ぐことなしに導出することを可能にする。このために本発明では、支持体ユニットは、好適にはガントリ状の支持構造体の領域において、路線部材の、支持体ユニットに面した端部に対して特に平行に直線移動可能に配置されている、ということが想定されている。
【0004】
高架鉄道状の路線網における自走式車両用の本発明による移行装置の有利な改良および構成は、下位請求項に記載されている。
【0005】
ガントリ状の支持構造体が、少なくとも1つの横断支持体を備えた横桁を有しており、横断支持体に、支持体ユニットが可動に配置されていると、特に設計上簡単な、ガントリ状の支持構造体の構成が得られる。
【0006】
最後に行った提案の改良では、横桁は2つの横断支持体を有しており、2つの横断支持体の間で、支持体ユニットは支持体ユニットに配置されたローラ部材を介して移動可能である、ということが想定されている。間に支持体ユニットが配置された2つの横断支持体の使用は、特に、支持体ユニットにおけるもしくは支持体ユニットを横断する際の、車両の特に良好なガイドという利点を有している。
【0007】
走行路線の路線部材から支持体ユニットへの車両の移行を可能にするために、支持体ユニットは、車両の支持アーム用の少なくとも1つの特定断面部分を有している、ということが想定されている。この場合、この特定断面部分は路線部材と整列させられており、これにより、車両が支持体ユニットに移行する際に、高さのずれが生じなくなる。これにより特に、車両がガントリ状の支持構造体の領域を、逆転動作の実施なしにもしくは途中停車または減速なしに横断可能な車両運転も達成される。
【0008】
ガントリ状の支持構造体の領域に車両が停止した際に、反対の走行方向に走行させるために車両を入れ換えるもしくは回動させることを可能にする一方で、さもなければ乗車または降車のための、車両の地面までの降下もしくは上昇を追加的な構成手段なしで可能にする支持体ユニットの、別の極めて特に好適な構造的な構成は、支持体ユニットは、少なくとも2つの部材、すなわち横桁の領域内でガイドされている第1の部材と、車両をガイドするように形成された第2の部材とから構成されている、ということを想定している。この場合、車両の部分的なガイドは、車両のゴンドラの上側に配置された車両の支持アームの領域内で行われる。
【0009】
このような構成では要求に応じて、第2の部材は、乗車または降車のために昇降装置を介して第1の部材に対して相対的に昇降可能でありかつ/または第2の部材は、車両の逆転動作のために、鉛直方向軸線を中心として第1の部材に対して回動可能に配置されている、ということが想定されている、ということが可能である。
【0010】
ガントリ状の支持構造体の領域内に、例えば乗車もしくは降車のために停止を行う車両が既に位置していても、路線区間は引き続き車両により利用され得る移行装置の1つの極めて特に好適な構成は、支持構造体の領域に複数の支持体ユニットが配置されており、支持体ユニットは、必要に応じて路線部材の端部と整列するように位置合わせ可能である、ということを想定している。
【0011】
このような複数の支持体ユニットを備えた支持構造体の改良では、支持構造体の領域に、2つの走行路線に沿って2つの車両を並走させるための2つの支持体ユニットが設けられている、ということが想定されている。このような構成は、ガントリ状の支持構造体を横断する互いに平行に配置された2つの走行路線において、一方の走行路線では車両を導出するまたは入れ換える一方で、他方の走行路線は引き続き運転可能である、ということを可能にする。
【0012】
極めて特に好適には、4つの支持体ユニットが設けられており、この場合、2つの外側の支持体ユニットは、外側の支持体ユニットの間に内側の支持体ユニットが並列に配置された状態で、路線部材の、互いに反対の側において整列するように配置された2つの端部と位置合わせ可能である。4つの支持体ユニットを備えたこのような構成は、互いに平行に延びる2つの走行路線のそれぞれにおいて、車両の停止もしくは路線からの車両の導出をそれぞれ実施することと、車両が導出されたにもかかわらず、走行路線は別の車両により走行可能であるように、1つの別の支持体ユニットが走行路線を完璧にすることとを可能にする。
【0013】
本発明の別の利点、特徴および詳細は、本発明の好適な実施形態の以下の説明および図面に基づき明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】ガントリ状の支持構造体の領域における、自走式車両用の互いに平行に配置された2つの走行路線を備えた路線網の1つの部分範囲を、自走式車両は図示せずに、簡略化した平面図で示す図である。
【
図2】
図3に示したユニットを、
図3の方向II-IIに見たところを示す、簡略化した側面図である。
【
図3】
図3および
図4は、それぞれ異なる車両用に異なって形成された支持体ユニットを備えた、
図1および
図2に示した支持構造体を示す正面図である。
【
図4】
図3および
図4は、それぞれ異なる車両用に異なって形成された支持体ユニットを備えた、
図1および
図2に示した支持構造体を示す正面図である。
【
図5】
図5~
図7は、それぞれ異なる動作形式を明確に示すために、ガントリ状の支持構造体の領域における支持体ユニットのそれぞれ異なる位置を示す図である。
【
図6】
図5~
図7は、それぞれ異なる動作形式を明確に示すために、ガントリ状の支持構造体の領域における支持体ユニットのそれぞれ異なる位置を示す図である。
【
図7】
図5~
図7は、それぞれ異なる動作形式を明確に示すために、ガントリ状の支持構造体の領域における支持体ユニットのそれぞれ異なる位置を示す図である。
【
図8】2つの支持体ユニットのみを備えたガントリ状の支持構造体を示す正面図である。
【
図9】2つの支持体ユニットの変位による車両の逆転動作を明確に示すために、
図8に示したガントリ状の支持構造体を平面図で示す図である。
【
図10】逆転動作を実施する支持構造体の領域における4つの支持体ユニットの位置に関する図である。
【
図11】路線網の終点の領域において1つの可動の支持体ユニットのみを備えたガントリ状の支持構造体を示す図である。
【0015】
発明の実施形態
同一部材もしくは同一機能を有する部材には、各図において同一符号を付してある。
【0016】
図1~
図3には、ゴンドラ2と、ゴンドラ2の上側に配置された支持アーム3とを備えた、図示の実施例では客室用の自走式車両1用の路線網1000が部分的に示されている。路線網1000には、多数の終点駅および中間駅(詳しくは図示せず)が含まれており、終点駅および中間駅の領域では、例えばゴンドラ2への乗車またはゴンドラ2からの降車を可能にすることが望ましい。路線網1000の図示の範囲には、互いに平行に配置された2つの走行路線100,102が設けられており、走行路線100,102は、例えばそれぞれ固定されたロープ104を有しており、ロープ104には、剛性のレール110の形態の路線部材106,108(それぞれ
図2においてのみ認識可能)が下方に突出するように複数のキャリアロープ105を介して取り付けられている。剛性のレール110は、車両1の支持アーム3のガイドもしくは部分的な支持に用いられ、
図3の図平面に対して垂直にかつ
図2の図平面に対して平行に延びるガイド区間112を有しており、ガイド区間112は、例えば
図3に認められる複数のローラ5により取り囲まれており、ローラ5を介して車両1の前進も少なくとも部分的に行われる。
【0017】
図1~
図3には、ガントリ状の支持構造体10の範囲の路線網1000が示されている。支持構造体10は、車両1の停車駅および入換え駅の形成に役立つ。このために支持構造体10は、例えば鉛直方向に配置された合計4つの柱状の支持体11~14を有しており、支持体11~14のうち、各2つの支持体11,12もしくは13,14は、2つの走行路線100,102の互いに反対に位置する側に、ロープ104に対して間隔をあけて配置されている。支持体11~14は、横桁15の取付けに用いられ、横桁15は、互いに平行に間隔をあけて配置された2つの横断支持体16,18により形成されている。2つの横断支持体16,18の上側には、ロープ104を支持しかつレール110を整列させるためのレール状のロープシュー19がそれぞれ配置されている。
【0018】
2つの横断支持体16,18は、地面EBに面した下側にそれぞれレール状の特定断面部分20を有しており、2つの横断支持体16,18の両特定断面部分20の間には、双方向矢印22の方向で長手方向に可動に配置された、例えば4つの支持体ユニット25a~25dが配置されている。同様に形成された支持体ユニット25a~25dはそれぞれ、1つの駆動装置(詳しくは図示せず)により可動であり、この場合、横断支持体16,18の各特定断面部分20には、支持体ユニット25a~25dの各2つのローラ部材26,27が支持されている。支持体ユニット25a~25dは、支持構造体10と共に、移行装置50の主要な構成部材を形成している。
【0019】
支持体ユニット25a~25dは、それぞれ少なくとも2つの部材28,29から成っている。第1の部材28は、ローラ部材26,27を支持しており、横断支持体16,18の部分20内でガイドされている。第2の部材29は特定断面部分30を含んでおり、特定断面部分30は、
図3の図平面に対して垂直方向に延びており、ゴンドラ2の支持アーム3を支持もしくはガイドするように形成されている。このために特定断面部分30の横断面は、例えばレール110の横断面もしくはガイド区間112と同様に形成されている。
【0020】
重要なのは、2つの路線部材106,108がそれらの端面側の端部111でもって支持体ユニット25a~25dにまで到達している、という点であり、この場合、各支持体ユニット25a~25dが横断支持体16,18において相応する位置に位置すると、端部111は特定断面部分30に対して整列して配置された状態になる。特にこの場合、レール110と特定断面部分30との間には高さのずれも形成されていないため、車両1のための連続する走行路線100,102が形成され、これにより、車両1は支持構造体10の領域を、停止もしくは減速の必要なしに横断することができる。
【0021】
支持体ユニット25a~25dの構成は、追加的な機能性を実現する、ということを可能にする。つまり
図3には、例えば支持体ユニット25aにおいて2つの部材28,29の間には、昇降装置34の牽引ロープ32が配置されている、ということが認められる。昇降装置34は、ゴンドラ2への乗車用もしくはゴンドラ2からの降車用に、ゴンドラ2を地面EBの高さまで降下させるもしくは地面EBから持ち上げる、ということを可能にする。このために、有利には、地面EBの領域にスリーブ状のガイドハウジング35が設けられており、これにより一方では、地面EBに向かってゴンドラ2が降下する際に、ゴンドラ2の下に位置する物または人との衝突を回避することができ、かつ他方では、例えば風により惹起されるゴンドラ2の揺動を制限もしくは回避することができる。さらに、ガイドハウジング35は囲いの構成部材であり、ゴンドラ2への立入りを可能にする入口ドア36を有している。
【0022】
さらに、2つの中間の支持体ユニット25b,25cでは、2つの部材28,29は、鉛直方向軸線38の方向で、回動矢印39の方向に互いに回動可能に配置されている、ということが認められ、これによりゴンドラ2を、逆転動作の実施のために支持体ユニット25a~25dにより180°だけ回動させることができるようになっている。
【0023】
補足的に述べておくと、好適には、全ての支持体ユニット25a~25dは、ここまで説明した昇降装置34を有している、もしくは全ての支持体ユニット25a~25dの部材28,29は、鉛直方向軸線38を中心として互いに回動可能に配置されている、ということが想定されている。2つの部材28,29の回動性は、
図3に示した実施例では、ゴンドラ2を走行路線100,102の間で入れ換えるために必要とされている。このことは、ガイド区間112において片側もしくは内側においてのみガイドされた支持アーム3に基づき必要とされている。
【0024】
図3では、支持体ユニット25aは走行路線100の側方に位置しており、旅客入換えを可能にするために、ちょうど持ち上げられるもしくは降下させられるところである、ということが認められる。これに対して支持体ユニット25bは、走行路線100もしくはレール110に対して整列して配置されており、これにより、車両1(破線で図示)が支持構造体10を通過することを可能にする。支持体ユニット25cは2つの走行路線100,102の間に位置しており、支持体ユニット25dは走行路線102と整列している。
【0025】
図4に示す支持体ユニット25a~25dの特定断面部分30aもしくは部材29aは、部材29に比べて異なる横断面を有している。同様に、ゴンドラ2の支持アーム3aも異なって形成されている。特に、部材29aは中心に配置された貫通スリット41を有しており、貫通スリット41は、支持アーム3aが支持される2つの支持部42,43を画定している。支持アーム3aのウェブ状の部分44は、貫通スリット41を横断している。このような構成では、支持体ユニット25a~25dもしくは支持体ユニット25a~25dの部材28,29aと鉛直方向軸線38とは、2つの走行路線100,102の間で車両1の逆転動作を可能にするために互いに回動可能に配置されている、ということは必要とされていない。
【0026】
図5~
図7には、支持体ユニット25a~25dのそれぞれ異なる位置が示されており、この場合、支持体ユニット25a~25dは、
図4に示した実施形態に相応して、すなわち2つの部材28,29aを用いて形成されている、ということから出発する。
図5には、2つの異なる位置が示されている。つまり、支持体ユニット25aは矢印45に相応して、走行路線100と整列した位置から外側に向かって旋回させられ、これにより、ゴンドラ2の昇降を可能にすることができる、ということが認められる。支持体ユニット25bは矢印46に相応して、走行路線100と整列した位置に移動させられる。つまり、
図5の下図は、
図3および
図4に示した図面に相応しており、これにより、各ゴンドラ2もしくは各車両1による2つの走行路線100,102の同時走行が可能になる。
【0027】
図6には、全ての支持体ユニット25a~25dが矢印47に相応して、支持体ユニット25aおよび25dが走行路線100,102と整列した位置から同時に、支持体ユニット25aが走行路線102と整列した位置に移動させられる、ということが示されている。つまりこの位置で、相応する逆転動作による、走行路線100から走行路線102へのゴンドラ2の入換えが可能になる。
【0028】
図7には、ゴンドラ2が走行路線100から走行路線102への逆転動作を実施する様子が示されている。このために、
図7の上図に示す2つの中間の支持体ユニット25b,25cは、まず1ポジションだけ外側に向かって移動させられ、これにより支持体ユニット25bは、ゴンドラ2を支持するように、走行路線100と整列した状態になる。次いで、
図7の下図に相応して、支持体ユニット25bが走行路線102と整列させられる一方で、2つの支持体ユニット25cおよび25dは、さらに1ポジションだけ右外側に向かって移動させられる。
【0029】
図8には変更された支持構造体10aが示されており、支持構造体10aの領域には、部材28,29aを有する2つの支持体ユニット25a,25bのみが配置されている。このような構成の支持構造体10aは、一方ではゴンドラ2が通過可能な走行路線100,102を形成することを可能にし、かつ他方ではゴンドラ2の、走行路線100から走行路線102へ入換え動作およびその逆の入換え動作を可能にする。この場合、各支持体ユニット25a,25bは、それぞれゴンドラ2を支持した後に、それぞれ他方の走行路線100,102と整列させられる。ゴンドラ2の入換え中、ゴンドラ2が引き継がれる走行路線100,102での走行運転は不可能である。
【0030】
このような入換え動作は、
図9に示されている。この場合、最初はゴンドラ2を引き継ぐために走行路線100と整列して位置していた支持体ユニット25aが、次いでゴンドラ2を走行路線102へ移すために走行路線102と整列させられる一方で、支持体ユニット25bは、走行路線102と整列した元の位置から右側方に向かって移動させられる、ということが認められる。
【0031】
ただし、このような逆転動作は、例えば
図10に示すように、支持構造体10において4つの支持体ユニット25a~25dを用いても可能である。このためには、2つの中間の支持体ユニット25b,25cが、最初に2つの走行路線100,102と整列している。次いで、支持体ユニット25bが走行路線102と整列させられる一方で、2つの支持体ユニット25c,25dは右側に向かって移動させられる。同時に、支持体ユニット25aが走行路線100と整列させられ、その結果、走行路線100は引き続き走行可能になる。
【0032】
最後に
図11には、終点もしくは逆転点を形成する支持構造体10bが示されている。特に、単一の支持体ユニット25aのみが存在しており、支持体ユニット25aは、走行路線100,102の間でゴンドラ2(図示せず)を入れ換えるために、例えば走行路線100と整列したポジションから、矢印48の方向で、走行路線102と整列したポジションに移動可能である、ということが認められる。
【0033】
ここまで説明したガントリ状の支持構造体10,10a,10bもやはり車両1、支持体ユニット25a~25dおよび路線網1000と同様に、本発明の思想から外れることなしに多様に変化もしくは変更可能である。つまり例えば、支持体ユニット25a~25dの外側において走行路線100,102を形成するために、剛性のレール110に代えて、路線部材106,108として支持ロープ等を使用することが考えられる。