(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】テープフィーダ検査装置及びテープフィーダ検査装置における補正方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20240130BHJP
【FI】
H05K13/02 B
(21)【出願番号】P 2022541368
(86)(22)【出願日】2020-08-04
(86)【国際出願番号】 JP2020029811
(87)【国際公開番号】W WO2022029879
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100162237
【氏名又は名称】深津 泰隆
(74)【代理人】
【識別番号】100191433
【氏名又は名称】片岡 友希
(72)【発明者】
【氏名】星川 和美
(72)【発明者】
【氏名】下坂 賢司
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大輔
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/001599(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/021657(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/001983(WO,A1)
【文献】特開2012-33829(JP,A)
【文献】特開2007-158049(JP,A)
【文献】特開2009-123895(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープフィーダから部品を供給する供給位置に応じた位置に治具側マークが設けられた治具を、取り付け可能な装置本体部と、
前記装置本体部に対して固定される支持部材と、
前記支持部材に支持される装置側マークと、
前記治具側マークと前記装置側マークを撮像する撮像装置と、
を備えるテープフィーダ検査装置。
【請求項2】
前記装置側マークを反射させて前記撮像装置に撮像させるマーク用反射部材と、
前記装置本体部に取り付けた前記テープフィーダの前記供給位置を、前記治具を前記装置本体部に取り付けて前記撮像装置により予め撮像した前記治具側マークの位置に基づいて検出する場合、前記治具を前記装置本体部に取り付けて前記撮像装置により撮像した際の前記装置側マークと、前記テープフィーダを前記装置本体部に取り付けて前記撮像装置により撮像した際の前記装置側マークとの位置のずれに基づく補正を行なう制御装置と、
を備える請求項1に記載のテープフィーダ検査装置。
【請求項3】
前記装置側マークと前記マーク用反射部材との間の第1距離が、
前記マーク用反射部材と前記治具との間の第2距離と等しい、請求項2に記載のテープフィーダ検査装置。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記治具を前記装置本体部に取り付けて前記撮像装置により撮像した際の前記装置側マークと、前記テープフィーダを前記装置本体部に取り付けて前記撮像装置により撮像した際の前記装置側マークとの位置のずれに基づいて、前記治具の撮像における前記撮像装置から前記治具までの第1撮像距離と、前記テープフィーダの撮像における前記撮像装置から前記テープフィーダまでの第2撮像距離との差を検出し、検出した差に基づいて、前記テープフィーダの撮像における前記撮像装置の分解能を設定する、請求項2又は請求項3に記載のテープフィーダ検査装置。
【請求項5】
前記装置本体部は、
前記テープフィーダをスライドさせて装着するフィーダ取付部材を備え、
前記支持部材は、
前記フィーダ取付部材に対して固定される、請求項1から請求項4の何れか1項に記載のテープフィーダ検査装置。
【請求項6】
前記装置本体部は、
前記撮像装置を取り付ける撮像装置取付部材を備え、
前記支持部材は、
前記撮像装置取付部材に対して固定される、請求項1から請求項4の何れか1項に記載のテープフィーダ検査装置。
【請求項7】
撮像用反射部材を備え、
前記撮像装置は、
前記撮像用反射部材を介して前記治具側マークを撮像する位置に配置される、請求項1から請求項6の何れか1項に記載のテープフィーダ検査装置。
【請求項8】
撮像装置と、マーク用反射部材と、前記マーク用反射部材を介して前記撮像装置に撮像される装置側マークと、テープフィーダから部品を供給する供給位置に応じた位置に治具側マークが設けられた治具を、取り付け可能な装置本体部と、を備えるテープフィーダ検査装置における補正方法であって、
前記装置本体部に取り付けた前記テープフィーダの前記供給位置を、前記治具を前記装置本体部に取り付けて前記撮像装置により予め撮像した前記治具側マークの位置に基づいて検出する場合、前記治具を前記装置本体部に取り付けて前記撮像装置により撮像した際の前記装置側マークと、前記テープフィーダを前記装置本体部に取り付けて前記撮像装置により撮像した際の前記装置側マークとの位置のずれに基づく補正を行なう、テープフィーダ検査装置における補正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、テープフィーダから部品を供給する供給位置を検査するテープフィーダ検査装置、及びそのテープフィーダ検査装置における補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像装置で撮像した撮像データに基づいて、電子部品を収容するテープの送り量を制御するテーピング装置がある(例えば、特許文献1など)。特許文献1のテーピング装置は、テープを送るテープ送り装置の上面に、基準位置マークが設けられている。テーピング装置は、撮像データにおける基準位置マークに対する位置ずれ量を測定し、位置ずれ量をなくすように送り量を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、テープを送り出し電子部品を供給するテープフィーダを検査するテープフィーダ検査装置では、テープフィーダから電子部品を供給する供給位置のずれ量を検出する。テープフィーダ検査装置は、例えば、基準となるマークと、実際に装着されたテープフィーダの供給位置などを比較することでずれ量を検出する。しかしながら、テープフィーダ検査装置に装着されるテープフィーダの大きさは、テープの幅などに応じて変動する。このため、テープフィーダを装着するフィーダ取付部材等に基準となるマークを設けようとすると、検査対象のテープフィーダの大きさによってはテープフィーダとマークとが干渉する虞がある。
【0005】
本開示は、上記した実情に鑑みてなされたものであり、様々な大きさのテープフィーダが装着された場合でも、装置側マークを撮像して供給位置を検出できるテープフィーダ検査装置及びテープフィーダ検査装置における補正方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示は、テープフィーダから部品を供給する供給位置に応じた位置に治具側マークが設けられた治具を、取り付け可能な装置本体部と、前記装置本体部に対して固定される支持部材と、前記支持部材に支持される装置側マークと、前記治具側マークと前記装置側マークを撮像する撮像装置と、を備えるテープフィーダ検査装置を開示する。また、本開示の内容は、テープフィーダ検査装置の実施に限定されず、例えば、テープフィーダ検査装置における補正方法としても実施可能である。
【発明の効果】
【0007】
本開示のテープフィーダ検査装置、テープフィーダ検査装置における補正方法によれば、治具を装置本体部に取り付けて、治具の治具側マークと、装置側マークとを撮像することができる。治具を取り外して検査対象のテープフィーダを装置保体部に装着し、予め治具を取り付けて撮像した治具側マークの位置と、テープフィーダ装着時の装置側マークの位置に基づいて供給位置のずれ量の検査等を行なうことができる。そして、この装置側マークを、装置本体部に対して固定される支持部材により支持する。これにより、支持部材によって装置側マークの位置を、テープフィーダから離れた位置にすることで、様々な大きさのテープフィーダが装着された場合でも、装置側マークを撮像して供給位置を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】テープフィーダを装着した電子部品装着装置を示す斜視図である。
【
図2】テープフィーダの平面図であって、Y軸方向におけるテープフィーダの先端部を示す図である。
【
図3】電子部品供給装置のテープフィーダ保持台を示す斜視図である。
【
図4】テープフィーダ検査装置及びテープフィーダの斜視図である。
【
図5】テープフィーダ検査装置に治具を取り付ける状態を示す斜視図である。
【
図7】取付部材にテープフィーダを取り付け、供給位置を上方から見た状態を示す模式図である。
【
図8】撮像装置及び支持部材の構造を示す模式図である。
【
図9】撮像方向が変化した状態を示す模式図である。
【
図11】別例の補正方法を説明するための図である。
【
図12】別例の支持部材の構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示のテープフィーダ検査装置の検査対象であるテープフィーダの一実施例について、図を参照しつつ詳しく説明する。
【0010】
(電子部品装着装置の構成)
まず、テープフィーダを装着可能な電子部品装着装置について説明する。
図1は、電子部品装着装置(以下、「装着装置」と略す場合がある)10の外装部品の一部を取り除いた斜視図である。装着装置10は、システムベース12の上に2つの電子部品装着機(以下、「装着機」と略す場合がある)13を備え、回路基板に電子部品を装着する作業を行う。なお、以下の説明では、装着機13が並ぶ方向をX軸方向、X軸方向に直交し搬送される回路基板の平面に平行な方向をY軸方向、X,Z軸方向に直交する方向をZ軸方向と称して説明する。
【0011】
装着装置10の装着機13の各々は、フレーム部15に上架されたビーム部17を有する装着機本体19と、回路基板をX軸方向に搬送する搬送装置21と、回路基板に電子部品を装着する装着ヘッド23とを備えている。装着機13は、ビーム部17の移動装置25によって装着ヘッド23をX,Y軸方向に移動させる。フレーム部15の前方には、装着ヘッド23に電子部品を供給する供給装置27が設けられている。
【0012】
装着ヘッド23は、電子部品を吸着する吸着ノズル31を有し、搬送装置21によって固定された回路基板に対して電子部品を装着する。吸着ノズル31は、例えば、負圧にて電子部品を吸着保持し、僅かな正圧が供給されることで保持した電子部品を離脱する構造とされている。本実施例の装着ヘッド23は、例えば、複数の吸着ノズル31を備え、後述する供給装置27に取り付けられた複数のテープフィーダ33の各々から複数の吸着ノズル31により同時に電子部品を吸着可能となっている。装着ヘッド23は、吸着ノズル31を昇降させる昇降装置等を備えている。装着ヘッド23は、例えば、X軸方向に並んで配置された複数の吸着ノズル31を備え、複数の吸着ノズル31をZ軸方向に沿って同時に下降させ、X軸方向に並ぶ複数のテープフィーダ33から複数の電子部品を吸着する。尚、装着ヘッド23が備える電子部品を保持する装置は、吸着ノズル31に限らず、例えば、電子部品を挟んで保持するチャックでも良い。また、装着ヘッド23は、同時吸着を実行せず、複数の吸着ノズル31を順番に吸着動作させる構成でも良い。
【0013】
供給装置27は、Y軸方向におけるフレーム部15の端部(前端部)に配設され、複数のテープフィーダ33が着脱可能なテープフィーダ保持台35を備えている。テープフィーダ33のリール37には、電子部品39をテーピング化したテープ化部品41(
図2参照)が巻回させている。
図2に示すように、テープ化部品41は、多数の収容凹部43及び送り穴44が等ピッチで形成されたキャリアテープ46と、電子部品39が収容された収容凹部43を覆うトップカバーテープ45とを備えている。
図3に示すように、テープフィーダ33のフィーダ本体47には、スプロケット49が内蔵されている。リール37のテープ化部品41は、フィーダ本体47の上端面に引き出される。スプロケット49は、テープフィーダ33の先端部に設けられ、外周部分に形成された突起をキャリアテープ46に形成された送り穴44に係合させ、回転しながらテープ化部品41をY軸方向へ送り出す。
【0014】
図2に示すように、フィーダ本体47の上面の先端部分には、金属製のフレーム51が設けられている。フレーム51は、Y軸方向の先端の上部に開口51Aが形成されている。トップカバーテープ45は、開口51Aに係合させられた状態で先端側を剥離装置(図示省略)に保持され、スプロケット49によるテープ化部品41の送り出しに応じて送り出しの方向とは反対側に引っ張られキャリアテープ46から剥ぎ取られる。収容凹部43は、開口51Aにおいて、テープ化部品41の送り出しに応じて順次解放される。テープフィーダ33は、所定の供給位置P1において、収容凹部43を開放し、電子部品39を取り出し可能な状態にする。装着ヘッド23の吸着ノズル31は、この供給位置P1において解放された収容凹部43から電子部品39を吸着する。
【0015】
また、
図3に示すように、テープフィーダ保持台35は、スライド部61と、立設面部63とを備えている。スライド部61には、Y軸方向に沿って複数のスライド溝65が形成されている。テープフィーダ33は、フィーダ本体47の下部に設けられたレール67をスライド溝65に嵌合させた状態で、スライド部61に対してスライドさせることが可能となっている。立設面部63は、Y軸方向におけるスライド部61の搬送装置21側の端部に立設している。フィーダ本体47の先端には、コネクタ71と、一対の立設ピン73が設けられている。また、立設面部63には、コネクタ71に接続されるコネクタ接続部69と、一対の立設ピン73を挿入する一対の嵌合穴75が設けられている。テープフィーダ33は、スライド部61でスライド移動させられ、コネクタ71をコネクタ接続部69に接続し、立設ピン73を嵌合穴75に挿入しテープフィーダ保持台35に装着される。テープフィーダ33は、コネクタ71を通じて装着装置10から指令を受信し、供給位置P1で電子部品39を供給可能な状態となる。
【0016】
(テープフィーダ検査装置の構成)
次に、上記したテープフィーダ33を検査するテープフィーダ検査装置について説明する。
図4は、本実施例のテープフィーダ検査装置(以下、検査装置という)81の斜視図を示している。
図5は、検査装置81に治具82を取り付ける状態を示す斜視図である。
図4及び
図5に示すように検査装置81は、装置本体部83と、支持部材86と、撮像装置87と、制御装置91と、を備えている。また、装置本体部83は、フィーダ取付部材(以下、取付部材という)85と、撮像装置取付部材89と、を備えている。
【0017】
装置本体部83は、脚部93によって支持された平板95を有している。取付部材85は、平板95の上面に固定さており、テープフィーダ保持台35(
図3参照)と同様の構造を有することで、1つのテープフィーダ33を取り付け可能となっている。具体的には、取付部材85は、
図3に示すテープフィーダ保持台35のスライド溝65、コネクタ接続部69、嵌合穴75のそれぞれと同様の構造のスライド溝97、コネクタ接続部98、一対の嵌合穴99を有している。ここでいう同様の構造とは、完全に一致する構造に限らず、テープフィーダ33のレール67などの取り付け対象の部材を取り付け可能な程度に簡易化された構造でも良い。支持部材86は、後述する装置側マーク124(
図8参照)を支持する部材である。支持部材86は、例えば、取付部材85におけるコネクタ接続部98等が設けられた部分(立設面部63に相当する部分)の上端に固定されている。支持部材86の構造等の詳細については、後述する。
【0018】
撮像装置取付部材89は、平板95に固定されている。撮像装置87は、取付部材85の上方において撮像装置取付部材89によって支持されて、撮像方向を下方に向けて固定されている。撮像装置87は、取付部材85に取り付けたテープフィーダ33の供給位置P1を撮像可能となっている。撮像装置取付部材89は、撮像装置87の撮像位置を調整するための複数の調整ネジ101を備えている。
【0019】
制御装置91は、平板95の下方に設けられ、画像ケーブル103を介して撮像装置87と接続されている。制御装置91は、例えば、CPU、RAM、ROM等を備え、コンピュータを主体として構成され、撮像装置87の撮像データを画像処理する。制御装置91は、撮像データに基づいて、取付部材85に取り付けられたテープフィーダ33の供給位置P1等を検出する。
【0020】
図5に示すように、治具82は、テープフィーダ33の一部(立設ピン73が設けられた先端部分)を模擬して形成されており、作業者が手で持ち運ぶことが可能となっている。治具82は、レール67と同様の構造のレール(図示略)が下部に設けられ、スライド溝97をスライド移動可能となっている。また、
図6に示すように、治具82は、取付部材85の嵌合穴99に挿入可能な一対の立設ピン105を有している。治具82の上面82Aには、複数の治具側マーク107が設けられている。治具側マーク107は、例えば、上面82Aに印刷された円形のマークであり、供給位置P1に応じた位置に設けれている。本実施例では、4つの治具側マーク107が上面82Aに設けられている。4つの治具側マーク107は、例えば、1つの正方形の4つの頂点に相当する位置に設けられている。2つの治具側マーク107を結ぶ線の交点、即ち、4つの治具側マーク107を頂点とする正方形の対角線の交点(重心、以下、基準点P2という)が、供給位置P1を検査する基準の位置となる。
【0021】
具体的には、
図7は、取付部材85にテープフィーダ33を取り付け、供給位置P1を上方から見た状態を示しており、事前に治具82を取り付けて撮像した治具側マーク107の位置を重ねて図示している。例えば、
図7に示すように、事前に撮像して検出した4つの治具側マーク107の基準点P2が、撮像装置87の撮像領域109の中心となるように、撮像装置87の位置を調整ネジ101(
図4参照)で調整する。制御装置91は、例えば、撮像領域109内にXY座標を設定する。制御装置91は、治具82を装着した状態で撮像装置87により撮像した治具82の治具側マーク107の撮像領域109における位置をXY座標で記憶する。
【0022】
作業員は、治具82を取り外して、検査対象のテープフィーダ33を取付部材85に装着し、検査装置81に検査を実行させる。
図7に示すように、制御装置91は、治具82を事前に撮像して設定した基準点P2の位置と、テープフィーダ33を装着した状態で撮像した供給位置P1(例えば、基準点P2に最も近い収容凹部43の位置)の誤差を検出し、検出した誤差等の情報を検査結果として報知する。検査結果を報知する方法は特に限定されない。例えば、制御装置91は、検査装置81の表示部(図示略)や制御装置91に接続されたPC等に、基準点P2と供給位置P1のXY座標の誤差等を表示する。作業者は、表示された情報に基づいてテープフィーダ33の調整を行ない、X軸方向及びY軸方向において、供給位置P1と基準点P2の位置を一致させる。作業者は、複数のテープフィーダ33について同様の作業を行なうことで、複数のテープフィーダ33の供給位置P1の相対的な位置を一致させる。尚、供給位置P1を基準点P2に一致させる調整方法は、特に限定されない。例えば、作業員が、スプロケット49の回転位置、回転速度、テープフィーダ33に対するテープ化部品41の保持位置等を手動で調整しても良い。あるいは、検査装置81が、スプロケット49の回転位置や、スプロケット49の駆動源のモータの回転速度等を自動で調整しても良い。また、基準点P2と供給位置P1のXY座標の誤差を記憶させ、回路基板に電子部品を装着する作業に利用する方法でも良い。例えば、スプロケット49を含むテープフィーダ33の個々の調整を実行せず、検査結果の誤差を装着装置10に記憶しても良い。そして、装着装置10が、吸着ノズル31によってテープフィーダ33から電子部品を吸着する際に、その電子部品の吸着位置を、テープフィーダ33ごとの誤差に基づいて修正しても良い。あるいは、装着装置10が、電子部品を回路基板に装着する際に、テープフィーダ33ごとの誤差に基づいて吸着ノズル31に吸着された電子部品の位置と、回路基板の装着位置との誤差を修正しても良い。即ち、テープフィーダ33の供給位置P1を調整せずに、テープフィーダ33ごとの誤差を、吸着や装着の際に装着装置10によって調整しても良い。また、テープフィーダ33に対する調整と、装着装置10による調整を併用しても良い。
【0023】
ここで、複数のテープフィーダ33を取付部材85に付け替えながら検査する間に、一度撮像して記憶した治具側マーク107の位置がズレてしまう可能性がある。例えば、撮像動作によって撮像装置87に熱が発生すると、撮像装置87の位置(撮像方向)がズレ、検査対象のテープフィーダ33に対し、記憶した治具側マーク107の位置が相対的にズレてしまう可能性がある。そこで、本実施例の検査装置81では、治具側マーク107に加え、支持部材86に支持された装置側マーク124を用いる。
【0024】
詳述すると、
図8に示すように、撮像装置87は、カメラ筐体111と、反射筐体113とを備えている。カメラ筐体111は、撮像素子115と、レンズ117を備えている。撮像素子115を実装する基板116は、カメラ筐体111内に固定されている。撮像素子115は、例えば、CCDやCMOS等の撮像素子である。レンズ117は、撮像素子115の撮像中心と、レンズの中心が一致するように、カメラ筐体111に対して固定されている。
【0025】
反射筐体113は、カメラ筐体111に対して取り付けられ、第1プリズム119を有する。第1プリズム119は、本開示の撮像用反射部材の一例であり、反射筐体113によって撮像素子115に対する相対的な位置や角度が固定されている。第1プリズム119は、反射角度を調整した上で反射筐体113によって固定されている。例えば、撮像素子115の撮像方向を90度曲げ、撮像素子115の撮像方向が取付部材85(治具82やテープフィーダ33)側へ向くように、反射角度が調整されている。撮像装置87は、撮像方向を第1プリズム119によって90度曲げ、取付部材85に取り付けられた治具82やテープフィーダ33を撮像する。尚、撮像素子115の撮像方向を変更する撮像用反射部材は、プリズムに限らず、鏡や反射膜で表面加工された部材等の他の反射部材でも良い。
【0026】
撮像装置取付部材89は、例えば、基部121、第1ブラケット122、第2ブラケット123を有している。基部121は、例えば、金属や樹脂等により形成されており、平板95(
図4参照)に基端部を固定されている。基部121は、第1ブラケット122を間に挟んで第2ブラケット123が取り付けられている。第1ブラケット122は、例えば、樹脂材料で形成された部材である。第2ブラケット123は、例えば、アルミで形成された金属製の部材である。カメラ筐体111は、第2ブラケット123に対してボルト等によって固定されている。
【0027】
また、支持部材86は、例えば、板状の部材を屈曲させて形成されており、基端部を取付部材85に固定され、取付部材85から伸びている。支持部材86は、例えば、金属や樹脂により形成されている。支持部材86の先端には、一組の装置側マーク124及び第2プリズム125が取り付けられている。装置側マーク124は、例えば、円形の部材である。装置側マーク124は、第1プリズム119で反射された撮像範囲127の外に配置されており、第1プリズム119で反射された撮像範囲127内に配置された第2プリズム125を介して撮像素子115に映り込むようになっている。支持部材86は、取付部材85に取り付けられた治具82やテープフィーダ33と干渉しない位置で、装置側マーク124及び第2プリズム125を支持する。例えば、支持部材86は、取付部材85の上方において、装置側マーク124及び第2プリズム125を支持する。これにより、検査対象のテープフィーダ33の幅(テープ化部品41のテープ幅)が大きくなっても、検査対象のテープフィーダ33と干渉せずに、装置側マーク124及び第2プリズム125を支持して映り込ませることができる。第2プリズム125は、本開示のマーク用反射部材の一例である。尚、マーク用反射部材は、プリズムに限らず、鏡や反射膜で表面加工された部材等の他の反射部材でも良い。
【0028】
また、装置側マーク124と第2プリズム125との間の第1距離L1は、取付部材85に取り付けた治具82やテープフィーダ33と第2プリズム125との間の第2距離L2と等しくなっている。詳述すると、例えば、治具82の上面82Aは、X軸方向及びY軸方向に沿った平面を有し、その平面に治具側マーク107が設けられている。第2プリズム125は、第1プリズム119で反射される撮像範囲127に配置され、装置側マーク124は、第2プリズム125からY軸方向に沿って第1距離L1だけ離れた位置(撮像範囲127の外側へ離れた位置)に配置されている。第1距離L1は、例えば、円形の装置側マーク124の中心と、第2プリズム125の反射面の中心とを結び、Y軸方向に沿った直線の距離である。また、第2距離L2は、例えば、第2プリズム125の反射面の中心と、上面82Aとの間の距離であり、Z軸方向に沿った直線の距離である。また、第2距離L2は、第2プリズム125の反射面の中心と、取付部材85に取り付けられたテープフィーダ33の供給位置P1付近の上面との間の距離である。換言すれば、第2距離L2は、第2プリズム125から治具82やテープフィーダ33の上面に下ろした垂線の長さである。このように、第1距離L1と第2距離L2とを同一距離にして装置側マーク124を反射させて撮像素子115に映り込ませることで、治具82やテープフィーダ33の上面(上面82Aなど)上、即ち、治具側マーク107やキャリアテープ46の上面と同一平面上に、あたかも装置側マーク124を配置したかのように撮像することができる。
【0029】
従って、本実施例では、第2プリズム125を、装置側マーク124と治具82の両方から等しい距離に配置する。第2プリズム125で反射して撮像装置87に映り込んだ装置側マーク124が、あたかも治具82の上面82A上にあるかのように映し出される。そして、第1及び第2距離L1,L2を一致させることで、撮像装置87の焦点を治具82やテープフィーダ33に合せた場合に、装置側マーク124に対する焦点も合う(ピントが合う)状態となる。これにより、撮像データに基づいて装置側マーク124の位置や形状等を精度良く検出することができ、後述する基準点P2の補正の精度を高めることができる。
【0030】
ここで、例えば、撮像素子115や基板116への通電を開始すると、撮像素子115周辺から熱が発生し、やがてカメラ筐体111内の温度が上昇する。例えば、
図9に示すように、撮像素子115やカメラ筐体111の温度上昇によって、第1ブラケット122や第2ブラケット123等が膨張し、撮像装置87の撮像方向が変化する。撮像装置87の撮像方向が、Z方向において下方側へと傾く(
図9の矢印参照)。温度上昇による撮像方向の変化は緩やかであり、撮像素子115等への通電を開始してから1時間程度で飽和する。撮像方向が変化することで、時間の経過とともに、撮像領域109内に設定した治具側マーク107の位置が、当初、治具82を取り付けて撮像した位置からずれてしまう。その結果、治具側マーク107に基づく供給位置P1の検出精度に誤差が発生する。例えば、時間の経過とともに、最初に設定した治具側マーク107の位置がズレていくと、順番に検査して調整したテープフィーダ33の供給位置P1が、互いにズレた位置に調整されてしまう。その結果、調整した複数のテープフィーダ33を装着装置10に装着しても、互いの供給位置P1がズレているため、装着ヘッド23による同時吸着が困難となる。
【0031】
これに対し、例えば、撮像方向の変化が飽和するまで待つと、検査の開始時間に遅延が生じる。また、テープフィーダ33を撮像するごとに治具82を装着して治具側マーク107の再撮像を実行すると、検査時間が長くなってしまう。また、撮像装置87の温度変化をなくすような部材、構造、検査環境を準備しようとすると、製造コスト等が増大する。
【0032】
そこで、
図8に示すように、支持部材86は、撮像装置87から離れた取付部材85に固定されており、撮像装置87の熱の影響を受けにくくなっている。本実施例の検査装置81では、撮像装置87で発生した熱によって位置の変位が発生しない、あるいは仮に発生したとしても変位が少ない位置に、支持部材86によって装置側マーク124を支持し、その装置側マーク124を基準として治具側マーク107や供給位置P1を検出する。
【0033】
図10は、撮像領域109に撮像された装置側マーク124や供給位置P1の状態を示している。尚、
図10は、2回の撮像結果を1つの図で示している。また、基準点P2は、実際には撮像されるものでないが、説明を分かり易くするため図示している。また、
図10では、説明を分かり易くするため、部材の大きさ等を、実際の大きさから変更している。また、以下の説明では、治具82を装着時に撮像した装置側マーク124や検出した基準点P2を、装置側マーク124A、基準点P2Aと称して説明する。また、治具82を取り外した後、検査対象のテープフィーダ33を装着して撮像した装置側マーク124や検出した基準点P2を、装置側マーク124B、基準点P2Bと称して説明する。また、装置側マーク124A,124Bを総称する場合は、装置側マーク124と称して説明する。基準点P2についても同様である。
【0034】
装置側マーク124は、例えば、Y軸方向における端部に撮像されるように、支持部材86によって支持されている。作業員は、治具82の撮像において、撮像装置87の位置を調整する。治具82の撮像において、例えば、装置側マーク124Aは、Y軸方向の端部に撮像される。また、治具82の4つの治具側マーク107に基づいて(
図7参照)、基準点P2Aが撮像領域109の中央で検出される。
図10に示すように、検査装置81の制御装置91は、例えば、X,Y軸方向に沿ったXY座標を撮像領域109に設定し、装置側マーク124A及び基準点P2AのXY座標を記憶する。装置側マーク124Aの座標が、(mxA,myA)、基準点P2Aの座標が、(jmxA,jmyA)となる。
【0035】
制御装置91は、例えば、装置側マーク124Aに対する基準点P2Aのズレ量を、オフセット量(Δx,Δy)として演算する。オフセット量(Δx,Δy)は、次式で表される。
(Δx,Δy)=(jmxA,jmyA)-(mxA,myA)
制御装置91は、演算したオフセット量(Δx,Δy)を記憶する。
【0036】
次に、作業員は、治具82を取り外してテープフィーダ33を装着し撮像を実行する。テープフィーダ33の撮像において上記した撮像装置87の発熱により、撮像装置87の撮像方向が変化する。装置側マーク124Bは、撮像方向の変化量だけ、撮像領域109における位置がずれる。制御装置91は、テープフィーダ33の撮像において検出した装置側マーク124Bの座標(mxB,myB)から、治具82の撮像時に演算したオフセット量だけズレた位置を基準点P2Bの座標(jmxB,jmyB)として設定する。基準点P2Bの座標は、次式で演算できる。
(jmxB,jmyB)=(mxB,myB)+(Δx,Δy)
これにより、撮像領域109における装置側マーク124のズレ量に基づいて基準点P2を補正でき、撮像方向の変化を加味した基準点P2Bを設定できる。
【0037】
そして、制御装置91は、補正後の基準点P2Bの座標(jmxB,jmyB)に基づいて、検査対象のテープフィーダ33の供給位置P1の位置を検出する。供給位置P1は、例えば、複数の収容凹部43のうち、基準点P2Bの座標(jmxB,jmyB)から最も近い収容凹部43の中央位置である。制御装置91は、例えば、基準点P2Bの座標(jmxB,jmyB)と、供給位置P1の座標との誤差(Δx2,Δy2)を、補正すべき誤差として演算する。制御装置91は、補正すべき誤差を表示画面等に報知する。作業員は、表示画面を確認して、検査対象のテープフィーダ33の供給位置P1を調整する。
【0038】
制御装置91は、検査対象のテープフィーダ33が交換された後も同様に、検査毎に装置側マーク124Bや基準点P2Bの位置を検出し、供給位置P1の誤差を検出する。これにより、撮像装置87の撮像方向が変化した場合であってもその変化を補正し、治具82の装着時の装置側マーク124A及び基準点P2Aを絶対的な基準として、複数のテープフィーダ33について、一律な検査を実施できる。その結果、複数のテープフィーダ33の供給位置P1を、同じ位置に調整でき、装着ヘッド23による同時吸着を精度良く実行させることができる。
【0039】
尚、上記した補正方法は、一例である。例えば、
図11に示すように、装置側マーク124Aと装置側マーク124Bとのズレ量をオフセット量(Δx,Δy)として検出し、基準点P2A,P2Bを補正しても良い。詳述すると、制御装置91は、治具82の撮像時に検出した装置側マーク124Aの座標(mxA,myA)を記憶しておき、装置側マーク124Aの座標(mxA,myA)と、テープフィーダ33の撮像時に検出した装置側マーク124Bの座標(mxB,myB)の差を演算することで、オフセット量(Δx,Δy)を検出する。撮像方向の変化に応じて、装置側マーク124と基準点P2のXY座標は、同様に変位する。このため、基準点P2Bの座標(jmxB,jmyB)は、基準点P2Aの座標(jmxA,jmyA)からオフセット量(Δx,Δy)だけずれた位置となる。この場合、制御装置91は、次式により、基準点P2Bを演算することができる。
(jmxB,jmyB)=(jmxA,jmyA)+(Δx,Δy)
この場合にも、制御装置91は、補正した基準点P2Bに基づいて、供給位置P1を検出できる。
【0040】
従って、本実施例の制御装置91は、治具82を取り付けて予め撮像した治具側マーク107の位置に基づいて、供給位置P1を検出する。その際、制御装置91は、治具82を取り付けて撮像した際の装置側マーク124Aと、テープフィーダ33を取り付けて撮像した際の装置側マーク124Bとの位置のズレ(オフセット量(Δx,Δy))に基づく補正を行なう。
【0041】
これによれば、装置側マーク124A,124Bを基準とした補正を行なうことができる。そして、この装置側マーク124を、第2プリズム125を介して撮像装置87により撮像可能な位置に配置する。これにより、装置側マーク124を、第2プリズム125で反射させて撮像できる範囲に移動・配置等できる。装置側マーク124が配置可能な位置の自由度が高くなる。従って、様々な大きさのテープフィーダ33が装着された場合でも、装置側マーク124を撮像して供給位置P1を検出できる。
【0042】
また、本実施例の支持部材86は、テープフィーダ33をスライドさせて装着する取付部材85に対して固定されている。装置側マーク124は、支持部材86を介して装置本体部83に対して固定される。これにより、取付部材85から離れた位置において、装置側マーク124を安定的に固定できる。また、支持部材86を取付部材85に取り付け、撮像装置87から離すことで、撮像装置87で発生する熱による支持部材86の熱変化を小さくし、装置側マーク124の位置ずれの発生を抑制できる。
【0043】
尚、
図8に示す支持部材86の取り付け位置、取り付ける部材等は、一例である。例えば、
図12に示すように、支持部材86を、撮像装置取付部材89の基部121に取り付けても良い。これにより、撮像装置取付部材89からより離れた位置において、第2プリズム125や装置側マーク124を安定的に固定できる。
【0044】
また、
図8に示す実施例では、検査装置81は、1組の第2プリズム125及び装置側マーク124を備えた。これに対し、
図12に示すように、複数組み(例えば、2組)の第2プリズム125及び装置側マーク124を設けても良い。検査装置81は、1つの撮像領域109内において、複数の装置側マーク124を撮像し、複数の装置側マーク124に基づいて、基準点P2の補正を実行しても良い。例えば、
図8に破線の丸で示すように、検査装置81は、Y軸方向の両端に設けられた2つの装置側マーク124Cを検出し、その2つの装置側マーク124Cを結ぶ直線の中点にある装置側マーク124Dから基準点P2Aまでのオフセット量を基準に、テープフィーダ33の撮像時の基準点P2Bを検出しても良い。また、複数の装置側マーク124を、撮像装置取付部材89で支持した支持部材86(
図12参照)と、取付部材85で支持した支持部材86(
図8参照)でそれぞれ支持しても良い。
【0045】
また、本実施例の撮像装置87は、第1プリズム119を介して治具側マーク107を撮像する位置に配置されている。これによれば、第1プリズム119で反射した治具側マーク107を撮像可能な位置に、撮像装置87を配置できる。撮像装置87が配置可能な位置の自由度が高くなる。その結果、検査装置81の小型化を図ることが可能となる。
【0046】
ここで、制御装置91は、例えば、基準点P2Bの座標(jmxB,jmyB)と、供給位置P1の座標との誤差(Δx2,Δy2)や、オフセット量(Δx,Δy)など、撮像領域109内における2点間の距離を、座標位置の差に1ピクセル(画素)の大きさ131を乗算して演算する。この場合、大きさ131は、例えば、X軸方向又はY軸方向に沿った1ピクセルの長さである。一方で、
図9に示すように、撮像装置87の撮像方向が変化すると、撮像装置87から治具82(又はテープフィーダ33)までの第2撮像距離SL2は、
図8に示す変化前の撮像装置87から治具82までの第1撮像距離SL1に比べて変動する。撮像距離が変動することで撮像の対象物が拡大又は縮小され、撮像対象物に対する1ピクセルの大きさ131が変動する。例えば、第2撮像距離SL2が、第1撮像距離SL1に比べて短くなった場合、収容凹部43や供給位置P1等の撮像対象物が拡大され、1ピクセルの大きさ131は、撮像対象物に対して相対的に大きくなる。従って、
図8の治具82の撮像時に比べて、1ピクセルの大きさ131が、より大きいものとして処理される。例えば、治具82の撮像時にΔxが100ピクセルであっても、テープフィーダ33の撮像時に大きさ131が相対的に大きくなることで、Δxが100ピクセル未満となる。その結果、撮像領域109内における2点間の距離の演算において誤差が生じる。
【0047】
そこで、本実施例の制御装置91は、第1撮像距離SL1と第2撮像距離SL2の差に基づいて、1ピクセルの大きさ131、即ち、撮像装置87の分解能を補正する。制御装置91は、例えば、テープフィーダ33を撮像して検出したオフセット量(Δx,Δy)に基づいて、第1撮像距離SL1と第2撮像距離SL2の差を検出する。例えば、予め、オフセット量と、第1撮像距離SL1及び第2撮像距離SL2の差を対応付けたデータを検査装置81が保有し、そのデータから検索しても良い。あるいは、検査装置81は、オフセット量に基づいて、撮像距離の差を演算しても良い。制御装置91は、検出した撮像距離の差(SL1-SL2)に基づいて、大きさ131をより大きく(又はより小さく)補正する。例えば、制御装置91は、撮像距離がより短くなるに従って、大きさ131をより小さく補正する(拡大率に応じて小さくする)。これにより、撮像距離による分解能の差を補正し、2点間の距離等をより正確に演算できる。尚、撮像距離の差を検出する方法は、上記したオフセット量を用いる方法に限らない。例えば、撮像装置87は、撮像距離を測定可能な距離センサを備え、距離センサの結果に基づいて大きさ131を補正しても良い。
【0048】
従って、本実施例の制御装置91は、装置側マーク124A,124Bの位置のズレ量(オフセット量)に基づいて、治具82の撮像における撮像装置87から治具82までの第1撮像距離SL1と、テープフィーダ33の撮像における撮像装置87からテープフィーダ33までの第2撮像距離SL2との差を検出し、検出した差に基づいて、テープフィーダ33の撮像における撮像装置87の分解能を設定する。
【0049】
撮像装置87の撮像位置や角度等が、撮像装置87の発熱等によって変化した場合、撮像距離が変化する。撮像距離が変化することで、撮像時の分解能が変化し、撮像対象物に対する1画素(ピクセル)の大きさ131の比率が変化する。その結果、マークや位置間の距離を画素数に基づいて演算した場合、撮像距離が変化することで、距離の演算精度が低下する。そこで、2回の撮像時の装置側マーク124Aのずれ(オフセット量)に基づいて第1及び第2撮像距離SL1,SL2の差を検出し、その差に基づいて分解能(大きさ131など)を設定する。これにより、撮像距離の変化に合せて撮像対象物に対する画素の大きさ131の比率を合せることができ、マーク間等の距離の演算精度を向上できる。
【0050】
尚、制御装置91は、1ピクセル毎の大きさ131を調整しなくとも良い。例えば、制御装置91は、2点間の画素数に応じて、補正量を増減させ、演算する距離を補正しても良い。例えば、第1及び第2撮像距離SL1,SL2に基づいて1画素当たりの補正量を決定し、2点間の画素数に1画素当たりの補正量を乗算し、距離の補正を実行しても良い。
【0051】
因みに、上記実施例において、電子部品39は、部品の一例である。第1プリズム119は、撮像用反射部材の一例である。第2プリズム125は、マーク用反射部材の一例である。
【0052】
以上、上記した実施例によれば、以下の効果を奏する。
本実施例の一態様では、検査装置81は、支持部材86に支持される装置側マーク124と、支持部材86に取り付けられた治具82の治具側マーク107を、撮像装置87により撮像する。これにより、装置側マーク124を、装置本体部83に対して固定し、例えば、テープフィーダ33の上方に配置する。支持部材86によって装置側マーク124の位置を、テープフィーダ33から離れた位置にすることで、様々な大きさのテープフィーダ33が装着された場合でも、装置側マーク124を撮像して供給位置P1を検出できる。
【0053】
尚、本開示は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。
例えば、上記実施例では、撮像装置87は、第1プリズム119で反射させた治具側マーク107等を撮像したが、これに限らない。例えば、撮像装置87は、第1プリズム119等を介さずに治具82やテープフィーダ33を撮像しても良い。例えば、撮像装置87を、上面82Aの直交方向が撮像方向となるように設置しても良い。
また、上記実施例では、第1距離L1と第2距離L2とを一致させたが、第1距離L1と第2距離L2とは、同一距離でなくとも良い。例えば、第1距離L1と第2距離L2とを、撮像装置87の被写界深度(ピントが合う範囲)内で変更しても良い。
また、本開示の部品は、電子部品39に限らず、他の部品でも良い。
治具側マーク107は、4つに限らず、1又は他の複数個でも良い。
【0054】
また、上記実施例では、撮像装置87は、第1プリズム119及び第2プリズム125で反射させた装置側マーク124を撮像したが、これに限らない。例えば、装置側マーク124を、
図8における第2プリズム125の位置に設けても良い。そして、撮像装置87は、装置側マーク124を第1プリズム119だけで反射させ撮像しても良い。この場合、検査装置81は、第2プリズム125を備えなくとも良い。
制御装置91は、オフセット量(Δx,Δy)に基づく基準点P2の補正を実行したが、実行しなくとも良い。例えば、作業員が、手作業で装置側マーク124A,124Bのオフセット量を計算し、基準点P2Bを設定しても良い。
【符号の説明】
【0055】
33 テープフィーダ、39 電子部品(部品)、81 検査装置(テープフィーダ検査装置)、83 装置本体部、85 フィーダ取付部材、86 支持部材、89 撮像装置取付部材、91 制御装置、107 治具側マーク、119 第1プリズム(撮像用反射部材)、124,124A,124B 装置側マーク、125 第2プリズム(マーク用反射部材)、P1 供給位置、SL1 第1撮像距離、SL2 第2撮像距離。