(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】拡張可能な隔離部材を含む電極アセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20240130BHJP
A61B 18/12 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
A61B18/14
A61B18/12
(21)【出願番号】P 2022548219
(86)(22)【出願日】2020-12-22
(86)【国際出願番号】 US2020066647
(87)【国際公開番号】W WO2021173215
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-08-25
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511177374
【氏名又は名称】セント・ジュード・メディカル,カーディオロジー・ディヴィジョン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トロイ テッグ
(72)【発明者】
【氏名】サロ アリアス
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/106538(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/171921(WO,A2)
【文献】国際公開第2019/133608(WO,A1)
【文献】特表2016-532497(JP,A)
【文献】国際公開第2015/049784(WO,A1)
【文献】特表2014-502195(JP,A)
【文献】特表2009-528911(JP,A)
【文献】特表2008-515544(JP,A)
【文献】特表2002-510229(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12-18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレクトロポレーションシステムであって、
カテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトに連結された電極アセンブリであって、前記電極アセンブリは、
エレクトロポレーション治療の送達のために選択的に通電されるように構成された第1の電極および第2の電極を備える電極対と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に軸方向に配置された拡張可能な隔離部材であって、前記第1の電極および前記第2の電極のうちの一方は、前記拡張可能な隔離部材の近位端の近位に配置され、前記第1の電極および前記第2の電極のうちの他方は、前記拡張可能な隔離部材の遠位端の遠位に配置され、前記拡張可能な隔離部材は、しぼんだ構成と拡張された構成との間で構成可能であ
る、前記拡張可能な隔離部材と、を備え、
前記拡張可能な隔離部材は、患者の組織と密封係合するように構成された周密封面を備え、前記拡張可能な隔離部材は、前記患者の組織と係合したときに、前記第1の電極と前記第2の電極との間の流体連通および電気連通を阻止
し、
前記拡張可能な隔離部材の前記遠位端の遠位に配置された前記第1の電極および前記第2の電極の前記一方が、絶縁部材によって分離された一対のリング電極を備え、前記一対のリング電極が、前記患者の組織をマッピングするように構成される、前記電極アセンブリと、
前記第1の電極および前記第2の電極と連通するように連結され、前記患者の前記組織に前記エレクトロポレーション治療を送達するために、前記第1の電極および前記第2の電極にエレクトロポレーション信号を供給するように構成され
、前記エレクトロポレーションシステムは、前記周密封面と前記組織との間の密封のレベルに基づいて前記組織に印加される前記エレクトロポレーション信号の電圧を選択するように構成される、エレクトロポレーションジェネレータと、を備える、
エレクトロポレーションシステム。
【請求項2】
前記エレクトロポレーションジェネレータが、単相エレクトロポレーションジェネレータ、二相エレクトロポレーションジェネレータ、および多相エレクトロポレーションジェネレータのうちの1つである、請求項1に記載のエレクトロポレーションシステム。
【請求項3】
前記エレクトロポレーション治療が、不可逆的エレクトロポレーション治療(IRE)である、請求項1に記載のエレクトロポレーションシステム。
【請求項4】
前記拡張可能な隔離部材は、膨張可能なバルーンを備える、請求項1に記載のエレクトロポレーションシステム。
【請求項5】
前記膨張可能なバルーンは、前記バルーンを選択的に膨張させるための流体源に連結される、請求項4に記載のエレクトロポレーションシステム。
【請求項6】
前記流体源が誘電性流体を備える、請求項5に記載のエレクトロポレーションシステム。
【請求項7】
前記流体源が、脱イオン水、生理食塩水、二酸化炭素ガス、亜酸化窒素ガス、および空気からなる群から選択される流体を備える、請求項6に記載のエレクトロポレーションシステム。
【請求項8】
前記拡張可能な隔離部材は、電気絶縁材料で構成された外層を備える、請求項1に記載のエレクトロポレーションシステム。
【請求項9】
前記第1の電極はアノードであり、前記第2の電極はカソードである、請求項1に記載のエレクトロポレーションシステム。
【請求項10】
エレクトロポレーション治療の送達のために構成されたカテーテルシステムのための電極アセンブリであって、前記電極アセンブリは、
エレクトロポレーション治療の送達のために選択的に通電されるように構成された第1の電極および第2の電極を備える電極対と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に軸方向に配置された拡張可能な隔離部材であって、前記第1の電極および前記第2の電極のうちの一方は、前記拡張可能な隔離部材の近位端の近位に配置され、前記第1の電極および前記第2の電極のうちの他方は、前記拡張可能な隔離部材の遠位端の遠位に配置され、前記拡張可能な隔離部材は、しぼんだ構成と拡張された構成との間で構成可能であ
る、前記拡張可能な隔離部材と、を備え、
前記拡張可能な隔離部材は、患者の組織と密封係合するように構成された周密封面を備え、前記拡張可能な隔離部材は、前記患者の組織と係合したときに、前記第1の電極と前記第2の電極との間の流体連通および電気連通を阻止
し、
前記拡張可能な隔離部材の前記遠位端の遠位に配置された前記第1の電極および前記第2の電極の前記一方が、絶縁部材によって分離された一対のリング電極を備え、前記一対のリング電極が、前記患者の組織をマッピングするように構成され、
前記電極対は、前記エレクトロポレーション治療の間、前記周密封面と前記組織との間の密封のレベルに基づいて、総電圧を印加するために選択的に通電されるように構成される、
電極アセンブリ。
【請求項11】
前記拡張可能な隔離部材は、膨張可能なバルーンを備える、請求項10に記載の電極アセンブリ。
【請求項12】
前記膨張可能なバルーンは、前記バルーンを選択的に膨張させるための流体源に連結される、請求項11に記載の電極アセンブリ。
【請求項13】
前記流体源は、誘電性流体を備える、請求項12に記載の電極アセンブリ。
【請求項14】
前記流体源が、脱イオン水、生理食塩水、二酸化炭素ガス、亜酸化窒素ガス、および空気からなる群から選択される流体を備える、請求項12に記載の電極アセンブリ。
【請求項15】
前記拡張可能な隔離部材は、電気絶縁材料で構成された外層を備える、請求項10に記載の電極アセンブリ。
【請求項16】
前記外層がポリエチレンテレフタレートを備える、請求項15に記載の電極アセンブリ。
【請求項17】
前記拡張可能な隔離部材の前記遠位端の遠位に配置された前記第1の電極および前記第2の電極のうちの前記一方の遠位に配置された、遠位先端電極をさらに備える、請求項10に記載の電極アセンブリ。
【請求項18】
前記遠位先端電極と、前記第1の電極および前記第2の電極のうちの一方とが、エレクトロポレーション治療の送達のために選択的に通電されるように構成される、請求項17に記載の電極アセンブリ。
【請求項19】
前記エレクトロポレーションシステムは、前記密封のレベルを測定するために、前記拡張可能な隔離部材の膨張の前及び後に、前記第1の電極と前記第2の電極との間のインピーダンスを測るように構成される、請求項1に記載のエレクトロポレーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年2月28日に出願された米国仮特許出願第62/983,200号の優先権を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
a.開示の分野
本開示は、一般に、人体で使用される医療デバイスに関する。特に、本開示は、エレクトロポレーションシステム、および、このようなエレクトロポレーションシステムにおいて使用可能であり、拡張可能な隔離部材を有する電極アセンブリに関する。
【0003】
b.背景
ヒトの生体構造を苦しめる様々な状態を処置するために、様々な治療が用いられている。心不整脈は、例えば、アブレーション治療を用いて処置されることがある。組織がアブレーションされるか、またはアブレーションジェネレータによって生成され、アブレーションカテーテルによって送達されるアブレーションエネルギーに少なくともさらされると、組織に傷が形成される。アブレーションカテーテル上またはアブレーションカテーテル中に搭載された電極は、心房性不整脈(異所性心房頻拍、心房細動、および心房粗動を含むが、これらに限定されない)などの状態を是正するために、心臓組織において組織壊死を作り出すために使用される。不整脈(すなわち、心臓リズムの不整)は、同期性房室収縮の喪失および血流の停滞を含む様々な危険な状態を生じさせ、様々な病気や死につながることさえある。心房性不整脈の主な原因は、心臓の左心房または右心房内の迷走電気信号であると考えられている。アブレーションカテーテルは、アブレーションエネルギー(例えば、高周波エネルギー、冷凍アブレーション、レーザー、化学物質、高強度集束超音波など)を心臓組織に付与して、心臓組織に傷を作り出す。この傷は、望ましくない電気経路を破壊し、それによって、不整脈につながる迷走電気信号を制限または防止する。
【0004】
心不整脈の治療に使用する1つの候補は、エレクトロポレーションである。エレクトロポレーション治療は、細胞膜上での電場誘導細孔形成を含む。電場は、比較的短い持続期間のパルスとして送達される直流(DC)信号を印加することによって誘導されることがある。このようなパルスは、パルス列を形成するために繰り返される場合がある。このような電場が生体内で組織に印加されると、組織中の細胞は膜電位にさらされ、これによって細胞壁に細孔が開けられるので、エレクトロポレーションと呼ばれる。エレクトロポレーションは、可逆的である(すなわち、一時的に開いた細孔が再び閉じる)場合もあれば、不可逆的である(すなわち、細孔が開いたままである)場合もある。例えば、遺伝子治療の分野では、可逆的エレクトロポレーション(すなわち、一時的に開いた細孔)が、高分子量治療ベクターを細胞にトランスフェクトするために使用される。他の治療用途では、適切に構成されたパルス列のみを使用して、例えば、不可逆的エレクトロポレーション(IRE)を引き起こすことによって、細胞破壊を引き起こすことができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、カテーテルシャフトと、カテーテルシャフトに連結された電極アセンブリとを含むエレクトロポレーションシステムに関する。電極アセンブリは、エレクトロポレーション治療の送達のために選択的に通電されるように構成された第1の電極および第2の電極を含む電極対を含む。また、電極アセンブリは、第1の電極と第2の電極との間に軸方向に配置された拡張可能な隔離部材を含む。第1の電極および第2の電極のうちの一方は、拡張可能な隔離部材の近位端の近位に配置され、第1の電極および第2の電極のうちの他方は、拡張可能な隔離部材の遠位端の遠位に配置される。拡張可能な隔離部材は、しぼんだ構成と拡張された構成との間で構成可能である。拡張可能な隔離部材は、患者の組織と密封係合するように構成された周密封面を含み、拡張可能な隔離部材は、患者の組織と係合したときに、第1の電極と第2の電極との間の流体連通および電気連通を阻止する。エレクトロポレーションシステムはまた、第1の電極および第2の電極と連通して連結され、患者の組織へのエレクトロポレーション治療の送達のためにエレクトロポレーション信号を電極へ供給するように構成されたエレクトロポレーションジェネレータを含む。
【0006】
本開示はまた、カテーテルシステムのための電極アセンブリを対象とする。電極アセンブリは、エレクトロポレーション治療の送達のために選択的に通電されるように構成された第1の電極および第2の電極を含む電極対を含む。また、電極アセンブリは、第1の電極と第2の電極との間に軸方向に配置された拡張可能な隔離部材を含む。第1の電極および第2の電極のうちの一方は、拡張可能な隔離部材の近位端の近位に配置され、第1の電極および第2の電極のうちの他方は、拡張可能な隔離部材の遠位端の遠位に配置される。拡張可能な隔離部材は、しぼんだ構成と拡張された構成との間で構成可能である。拡張可能な隔離部材は、患者の組織と密封係合するように構成された周密封面を含み、拡張可能な隔離部材は、患者の組織と係合したときに、第1の電極と第2の電極との間の流体連通および電気連通を阻止する。
【0007】
本開示は、電極アセンブリを標的組織部位に前進させることを含む方法をさらに対象とする。電極アセンブリは、第1の電極および第2の電極を含む電極対を含む。また、電極アセンブリは、第1の電極と第2の電極との間に軸方向に配置された拡張可能な隔離部材を含む。第1の電極および第2の電極のうちの一方は、拡張可能な隔離部材の近位端の近位に配置され、第1の電極および第2の電極のうちの他方は、拡張可能な隔離部材の遠位端の遠位に配置される。拡張可能な隔離部材は、しぼんだ構成と拡張された構成との間で構成可能であり、患者の組織と密封係合するように構成された周密封面を含み、患者の組織と係合したときに、第1の電極と第2の電極との間の流体連通および電気連通を阻止する。この方法はまた、拡張可能な隔離部材をしぼんだ構成から拡張された構成に移行させることと、第1の電極と第2の電極との間の流体連通を阻止するために標的組織部位を拡張可能な隔離部材と係合させることと、エレクトロポレーション信号を第1の電極および第2の電極に供給することとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】エレクトロポレーション治療のためのシステムの概略ブロック図である。
【0009】
【
図2】
図1のシステムでの使用に適した第1の例示的な電極アセンブリの側面図である。
【0010】
【
図3】
図1のシステムでの使用に適した別の例示的な電極アセンブリの斜視図である。
【0011】
【0012】
【
図5】
図1のシステムでの使用に適した別の例示的な電極アセンブリの斜視図である。
【0013】
【
図6】
図1のシステムでの使用に適した別の例示的な電極アセンブリの斜視図である。
【0014】
【
図7】本開示に係る例示的な方法のフロー図である。
【0015】
図面のいくつかの図において、対応する参照符号は、対応する部分を示す。図面は必ずしも縮尺通りではないことが理解される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示は、概して、人体で使用される医療デバイスに関する。特に、多くの実施形態において、本開示は、エレクトロポレーションシステムおよびそのようなエレクトロポレーションシステムでの使用のための電極アセンブリに関する。開示される実施形態は、エレクトロポレーション治療処置において、より確実で改善された患者治療効果をもたらし得る。例えば、本開示の実施形態は、拡張可能な隔離部材と、電極アセンブリの対向する端部に配置された一対の電極と、を含む電極アセンブリを利用する。拡張可能な隔離部材は、標的のエレクトロポレーション位置において、一方の電極を他方の電極から(例えば、流体的および電気的に)隔離するように構成されており、これによって、電場および対応するエレクトロポレーション電流は、隔離部材の周りを通って標的位置の組織内を流れる。本開示の電極アセンブリは、エレクトロポレーション治療の改善された局在性を容易にし、それによって、標的位置の組織においてエレクトロポレーションを誘導するために必要とされる電圧出力を減少させる。本開示のさらなる実施形態は、ポイントアブレーションおよび心臓組織マッピングを含む様々な機能を可能にするために、様々な遠位電極アセンブリを利用する。
【0017】
本開示の例示的な実施形態は、肺静脈隔離(PVI)に関して説明されるが、本明細書に記載される本開示の特徴および方法は、本明細書の開示に基づいて当業者によって理解される任意の数のシステムおよび任意の数の用途に組み込まれ得ることが企図される。
【0018】
ここで図面を参照すると、
図1は、エレクトロポレーション治療のためのシステム10の例示的な実施形態を示す。概して、様々な実施形態は、カテーテルの遠位端に配置された電極アセンブリを含む。本明細書で使用するとき、「近位」は、臨床医に近いカテーテルの端部に向かう方向を指し、「遠位」は、臨床医から離れる方向であって、(一般に)患者の体内側の方向を指す。電極アセンブリは、1つまたは複数の電気的に絶縁された個々の電極要素を含む。いくつかの実施形態では、本明細書ではカテーテル電極とも呼ばれる各電極要素は、任意の他の電極要素と選択的に対にされるかまたは組み合わされて、バイポーラ電極またはマルチポーラ電極として機能するように、個別に配線される。
【0019】
システム10は、組織を破壊する不可逆的エレクトロポレーション(IRE)に使用され得る。特に、システム10は、エレクトロポレーション誘導一次壊死治療に使用されてもよく、これは、原形質膜(細胞壁)の完全性の不可逆的損失を直接引き起こして、その破壊および細胞壊死につながるようなやり方で電流を送達する効果を指す。この細胞死のメカニズムは、「アウトサイドイン」プロセスと見なすことができ、これは、細胞の外壁の破壊が細胞の内側に有害な影響を引き起こすことを意味する。典型的には、原形質膜エレクトロポレーションの場合、電流は、標的細胞において不可逆的なエレクトロポレーションを引き起こすのに十分な電場強度を送達可能な、近接して配置された電極間で、短い持続時間の直流(DC)パルスの形態のパルス電場として、送達される。いくつかの特定の実施形態では、システム10は、比較的高い電圧および低いパルス持続時間を有するエレクトロポレーションパルス信号を送達するように構成される。
【0020】
本明細書にさらに記載されるように、多電極カテーテルを使った不可逆的エレクトロポレーションは、静脈当たりわずか1回のショックで肺静脈隔離を実現できるので、静脈の周りに高周波(RF)アブレーションカテーテルの先端を連続的に配置することと比較して、処置時間をはるかに短くすることができる。エレクトロポレーションでの細胞破壊のメカニズムは、主に加熱効果によるものではなく、むしろ高電圧電場の印加による細胞膜破壊によるものであることを理解されたい。従って、エレクトロポレーションは、RFエネルギーを使用するときに起こり得るいくつかの熱の影響を回避し得る。したがって、この「冷温の」または「非熱的な」治療は、望ましい特性を有する。
【0021】
通電方法はDCパルスを伴うものとして説明される場合があるが、実施形態はDCパルスの変形を使用してもよいことを理解されたい。例えば、指数関数的に減衰するパルス、指数関数的に増加するパルス、およびこれらの組み合わせを使用してもよい。さらに他の実施形態では、交流(AC)パルスを伴う通電方法をIRE治療に使用してもよい。
【0022】
システム10は、上記で簡単に概説し、以下でより詳細に説明するように使用されるように構成された少なくとも1つのカテーテル電極を含むカテーテル電極アセンブリ12を含む。電極アセンブリ12は、患者の身体17内の組織16のエレクトロポレーション治療のためのカテーテル14などの医療デバイスの一部として組み込まれる。例示的な実施形態では、組織16は、心臓または心臓組織を含む。しかしながら、実施形態は、様々な他の身体組織に対してエレクトロポレーション治療を実施するために使用されてもよいことを理解されたい。
【0023】
図1はさらに、18、20、および21で示される複数のリターン電極を示し、これらは、エレクトロポレーションジェネレータ26、ECGモニタ28などの電気生理学(EP)モニタ、内部身体構造の可視化、マッピング、およびナビゲーションのための可視化、ナビゲーション、および/またはマッピングシステム30などの、システム10全体に含まれる様々なサブシステムによって使用され得る身体接続の概略図である。図示の実施形態では、リターン電極18、20、および21はパッチ電極である。単一のパッチ電極が図示されているのは、(明確性のために)概略的なものにすぎず、これらのパッチ電極が接続されるそのようなサブシステムは、2つ以上のパッチ(体表面)電極を含んでもよく、通常は含むことを理解されたい。他の実施形態では、リターン電極18、20、および21は、例えば、1つまたは複数のカテーテル電極を含むなど、リターン電極としての使用に適した任意の他のタイプの電極であってもよい。カテーテル電極であるリターン電極は、電極アセンブリ12の一部であってもよいし、別個のカテーテル(図示せず)の一部であってもよい。いくつかの実施形態では、例えば、システム10は、2つの電極を含む少なくとも1つの電極対を含むバイポーラカテーテル電極アセンブリ12を含み、1つの電極がリターン電極として機能する。
【0024】
エレクトロポレーションジェネレータ26は、予め定められるかまたはユーザが選択可能なエレクトロポレーション通電方法に従って、電極アセンブリ12の電極要素に通電するように構成されている。エレクトロポレーション誘導一次壊死治療では、ジェネレータ26は、電極アセンブリ12の電極対の間で伝送され、かつ約0.1~1.0kV/cmの電場強度を(例えば、組織部位において)送達することができる短い持続時間のDCパルス形態のパルス電場として、電極アセンブリ12を介して送達される電流を生成するように構成されてもよい。不可逆的エレクトロポレーションに必要な電圧振幅およびパルス持続時間は、反比例する。例えば、パルス持続時間が減少すると、エレクトロポレーションを達成するために電圧振幅を増加させなければならない。
【0025】
いくつかの実施形態では、本明細書ではDCエネルギー源とも呼ばれることもあるエレクトロポレーションジェネレータ26は、交互の極性を有する一連のDCパルス-すなわち交互の方向に電流を発生する連続したDCパルス-を発生するように構成された二相エレクトロポレーションジェネレータ26である。他の実施形態では、エレクトロポレーションジェネレータは、単相または多相エレクトロポレーションジェネレータである。いくつかの実施形態では、エレクトロポレーションジェネレータ26は、50ジュール、100ジュール、200ジュールなどの選択可能なエネルギーレベルで、DCパルスでエネルギーを出力するように構成される。他の実施形態は、より多くのまたはより少ないエネルギー設定を有してもよく、利用可能な設定の値は、同じであっても異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、エレクトロポレーションジェネレータ26は、約500V~約3.5kV、約500V~2.5kV、約600V~3.0kV、約800V~約3.5kV、約600V~約2.5kV、約800V~約2.5kV、約1.0kV~約3.5kV、約600V~約1.5kV、約800V~約2.0kV、または約1.0kV~約2.5kVのピーク振幅を有するDCパルスを出力または発生する。他の実施形態は、任意の他の適切な電圧を出力または生成してもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、エレクトロポレーションジェネレータ26は、1ナノ秒~100マイクロ秒(μs)、1ナノ秒~50μs、0.1μs~100μs、1ナノ秒~20μs、0.1μs~50μs、1μs~100μs、1ナノ秒~15μs、0.1μs~20μs、0.5μs~50μs、1ナノ秒~10μs、0.1μs~15μs、1ナノ秒~5μs、0.1μs~10μs、0.1μs~5μs、5μs未満、4μs未満、3μs未満、および2μs未満の範囲のパルス持続時間を有するDCパルスを出力または生成する。他の実施形態では、エレクトロポレーションジェネレータ26によって生成されるパルス信号は、500V未満または3.5kV超の電圧振幅を有してもよく、100μs超または1ナノ秒未満のパルス持続時間を有してもよい。
【0027】
一例において、エレクトロポレーションジェネレータ26は、500V~3.5kVの範囲、500V~2.5kVの範囲、600V~3.0kVの範囲、600V~2.5kVの範囲、または800V~2.5kVの範囲の電圧振幅を有する二相パルス信号を出力または生成し、二相パルス信号の各位相が、400ナノ秒~20μsの範囲、または500ナノ秒~1.5μsの範囲のパルス持続時間を有する。さらに、二相パルス信号の位相は、非ゼロ間隔、例えば、350ナノ秒~1msの範囲、または500ナノ秒~1.5μsの範囲でオフセットされてもよい。
【0028】
本明細書に記載の電極アセンブリと共に使用するのに適したエレクトロポレーションジェネレータ26およびDCパルス特性のさらなる説明は、2020年12月3日に出願された米国特許出願第17/247,198号に開示されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。さらに他の実施形態では、エレクトロポレーションジェネレータ26は、AC信号を含むパルスを生成するように構成されている。
【0029】
可変インピーダンス27は、システムのインピーダンスを変化させることを可能にする。さらに、可変インピーダンス27は、エレクトロポレーションジェネレータ26の出力の1つまたは複数の特性、例えば、振幅、持続時間、パルス形状などを変化させるために使用されてもよい。別個の要素として図示されているが、可変インピーダンス27は、カテーテル14またはジェネレータ26に組み込まれてもよい。可変インピーダンス27は、直列、並列、または直列および/または並列の組合せで接続された抵抗、キャパシタ、またはインダクタ(図示せず)などの1つまたは複数のインピーダンス要素を含む。図示の実施例では、可変インピーダンス27はカテーテル14と直列に接続されている。あるいは、可変インピーダンス27のインピーダンス要素は、カテーテル14と並列に接続されてもよいし、またはカテーテル14と直列および並列の組み合わせで接続されてもよい。さらに、他の実施形態では、可変インピーダンス27のインピーダンス要素は、リターン電極18と直列および/または並列に接続される。いくつかの実施形態は、2つ以上の可変インピーダンス27を含み、その各々は、1つまたは複数のインピーダンス要素を含んでもよい。そのような実施形態では、各可変インピーダンス27は、異なるカテーテル電極またはカテーテル電極のグループに接続されて、各カテーテル電極またはカテーテル電極のグループのインピーダンスが独立して変化することを可能にしてもよい。他の実施形態では、システム10のインピーダンスを変化させる必要はなく、可変インピーダンス27を省略してもよい。
【0030】
システム10は、メインコンピュータシステム32(電子制御ユニット50およびデータ記憶装置またはメモリ52を含む)をさらに含んでもよく、特定の実施形態では、メインコンピュータシステム32はシステム30と一体化されていてもよい。システム32は、他の要素として、様々なユーザ入力/出力機構34aやディスプレイ34bなどの従来のインターフェース要素をさらに含んでもよい。
【0031】
例示的な実施形態では、カテーテル14は、ケーブルコネクタ40またはインターフェースと、ハンドル42と、近位端46および遠位端48を有するシャフト44とを含む。カテーテル14はまた、温度センサ、追加の電極、および対応する導体またはリード線など、本明細書に示されていない他の従来要素を含んでもよい。コネクタ40は、ジェネレータ26から延びるケーブル56のための機械的接続および電気的接続を提供する。コネクタ40は、当技術分野で知られている従来要素を含んでもよく、図示のように、カテーテル14の近位端に配置される。
【0032】
ハンドル42は、臨床医がカテーテル14を保持する場所を提供し、身体17内でシャフト44を誘導または案内するための手段をさらに提供してもよい。例えば、ハンドル42は、カテーテル14を通ってシャフト44の遠位端48まで延びるガイドワイヤの長さを変化させるための手段、またはシャフト44を誘導するための手段を含んでもよい。さらに、いくつかの実施形態では、ハンドル42は、カテーテルおよび/または電極アセンブリ12の一部の形状、サイズ、および/または向きを変化させるように構成されてもよい。ハンドル42も従来技術であり、ハンドル42の構造は様々であり得ることが理解されるであろう。別の例示的な実施形態では、カテーテル14は、ロボットで駆動または制御されてもよい。したがって、臨床医がハンドルを操作してカテーテル14(および特にそのシャフト44)を前進/後退および/または誘導または案内するのではなく、ロボットを使用してカテーテル14を操作する。
【0033】
シャフト44は、身体17内で動くように構成された細長い管状の可撓性部材である。シャフト44は、電極アセンブリ12を支持するとともに、関連する導体、および場合によっては信号処理または信号調整に使用される追加の電子機器を含むように構成される。シャフト44はまた、流体(潅注流体、体液、および膨張流体を含む)、薬剤、および/または外科用ツールもしくは器具の移送、送達、および/または除去を可能にてもよい。シャフト44は、ポリウレタンなどの従来材料から作製されてもよく、電気導体、流体、または外科用ツールを収容および/または移送するように構成された1つまたは複数の管腔を画定する。シャフト44は、従来の導入器を介して、身体17内の血管または他の構造に導入されてよい。次いで、ガイドワイヤまたは当該分野で公知の他の手段を使用するなどして、身体17内で、シャフト44を組織16の部位などの所望の場所へと前進、後退、および/または誘導してもよいし、または案内してもよい。
【0034】
図2は、拡張可能な電極アセンブリ100の形態で示される、システム10での使用に適した例示的な電極アセンブリ12を示す。電極アセンブリ100は、電極アセンブリ100の近位端102から電極アセンブリ100の遠位端104まで、概して長手方向軸106に沿って軸方向に延在する。近位端102は、適切な連結器(図示せず)を介してカテーテルシャフト44(例えば、シャフト44の遠位端)に連結される。例示的な実施形態では、ガイドワイヤ108が、シャフト44および電極アセンブリ100を通って軸方向に延在する。ガイドワイヤ108は、身体17内の電極アセンブリ100の位置を調整するために(例えば、ハンドル42を使用して)操作されてもよい。
【0035】
電極アセンブリ100は、一般に、拡張可能な隔離部材110と、一対の電極112、114とを含む。より具体的には、拡張可能な隔離部材110は、拡張可能な隔離部材110の近位端116と拡張可能な隔離部材110の遠位端118との間に延在する。拡張可能な隔離部材110が電極112、114の間で軸方向に配置されるように、電極112、114はそれぞれ、拡張可能な隔離部材110の近位端116および遠位端118に隣接して配置される。近位電極112は、拡張可能な隔離部材110の近位端116に隣接して配置され、電極アセンブリ100の近位端102に近接して配置される。同様に、遠位電極114は、拡張可能な隔離部材110の遠位端118に隣接して配置され、電極アセンブリ100の遠位端104に近接する。例示的な実施形態では、拡張可能な隔離部材110の遠位端118は、電極アセンブリ100の遠位端104の近位にある。
【0036】
電極112、114は、例えば、限定はしないが、心臓マッピングおよび/またはアブレーション(例えば、IREアブレーション)を含む、様々な診断および治療目的のために使用されてもよい。例えば、電極アセンブリ100は、バイポーラベースのエレクトロポレーション治療に使用するためのバイポーラ電極アセンブリとして構成されてもよい。具体的には、上述のように、IRE治療のために、電極112、114は、(例えば、カテーテルシャフト44を通って延びる適切な電気ワイヤまたは他の適切な電気伝導体を介して)ジェネレータ26に個別に電気的に連結され、(例えば、エレクトロポレーションジェネレータ26および/またはコンピュータシステム32によって)反対の極性で選択的に通電されて、それらの間に電位および対応する電場を生成するように構成される。すなわち、電極112、114の一方はカソードとして機能するように構成され、他方はアノードとして機能するように構成される。例えば、第1の実施形態では、電極112はアノードであり、電極114はカソードである。第2の実施形態では、電極112はカソードであり、電極114はアノードである。電極112、114は、任意の適切なエレクトロポレーション電極であってよい。例示的な実施形態では、電極112、114はリング電極である。電極112、114は、任意の他の形状または構成を有してもよい。電極112、114の形状、サイズ、および/または構成は、適用されるエレクトロポレーション治療の様々なパラメータに影響を及ぼし得ることが理解される。例えば、電極112、114の一方または両方の表面積を増加させることによって、同じレベルの組織破壊を引き起こすために必要とされる印加電圧を減少させてもよい。さらに、近位電極112および遠位電極114の各々は単一の電極として示されているが、近位電極112および遠位電極114のいずれかまたは両方が、代替的に、2つ以上の別個の電極として具現化されてもよい。さらに、電極アセンブリ100はバイポーラ電極アセンブリとして記載されているが、一部の実施形態では、電極アセンブリ100は、モノポーラ電極アセンブリとして構成され、パッチ電極(例えば、リターン電極18)をリターン電極または不関電極として使用してもよいことが理解されるべきである。
【0037】
例示的な実施形態では、拡張可能な隔離部材110は、しぼんだ構成(図示せず)と拡張された構成(
図2に示す)との間で構成可能である。例えば、拡張可能な隔離部材110は、(例えば、カテーテルシャフト44内で軸方向に配置されて)しぼんだ構成で身体17内の組織16の標的位置へと送達され、標的位置で拡張された構成に移行される。拡張可能な隔離部材110は、標的位置で組織16と密封係合し、(例えば、遠位電極114を近位電極112から少なくとも部分的に絶縁することによって)電極112、114間の電気連通を阻止するように構成される。より具体的には、本明細書でさらに説明するように、拡張可能な隔離部材110は、電気絶縁材料から形成される。したがって、近位電極112と遠位電極114との間の電流の流れ122は、拡張可能な隔離部材110の周りを迂回する。
図2は、拡張可能な隔離部材110の周りにおける様々な形状および迂回の大きさを有する複数の電流の流れ122を示す。いくつかの実施形態では、拡張可能な隔離部材110の形状およびサイズは、その周りの電流の流れ122(例えば、生じる電流122の迂回の大きさ、形状、または方向など)に影響を及ぼすように選択されてもよい。
【0038】
さらに、拡張可能な隔離部材110は、拡張された構成にあるとき、組織16を密封係合するように構成される。1つの例示的な実施形態では、拡張可能な隔離部材110は、組織16との密封係合のために構成された周密封面120を含み、拡張可能な隔離部材110は、患者の組織と係合したときに、電極112、114間の流体連通、したがって電気連通(例えば、電流の流れ)を阻止する。例えば、拡張可能な隔離部材110がPVIのために、または他の円筒状組織もしくは管状組織(例えば、他の血管系組織)を隔離するために使用される場合、拡張可能な隔離部材110は、肺静脈を閉塞し、その周りの血液の流れを阻止または実質的に妨げてもよい。したがって、電極112、114が通電されると、電流122は、血液を通るのではなく、拡張可能な隔離部材110に隣接する組織16を通って電極112、114の間を流れる。このようにして、エレクトロポレーション治療をより局所化することができ、したがって、所望の量の細胞破壊を引き起こすための印加電圧が小さくて済む。具体的には、流体(例えば、血液)は組織よりも導電性があるので、電流は、組織よりも容易に血液を通って流れ、エレクトロポレーション治療の効果が低くなる。本明細書に記載されるように血流を遮断することによって、電極112、114間の電流122は、隣接する組織16を通るように迂回し、それによって、所与の電圧でのエレクトロポレーション治療の有効性が高められる。
【0039】
例示的な実施形態では、拡張可能な隔離部材110は、電気絶縁材料から形成または構成された外層124を含む。例えば、外層124は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含んでもよい。外層124は、電気的に絶縁性であり、電極アセンブリ100の拡張および収縮に適応できる他の任意の適切な材料を含んでもよい。特定の実施形態では、
図2に示すように、拡張可能な隔離部材110は、膨張可能なバルーンとして具現化される。このような実施形態では、膨張可能なバルーンは、(例えば、電極アセンブリ100が、身体17内の標的位置に前進され、カテーテルシャフト44から展開されたときに)バルーンを選択的に膨張させるために流体源126に連結される。いくつかの実施形態では、流体源は、脱イオン水、生理食塩水、二酸化炭素ガス、亜酸化窒素ガス、および/または空気などの誘電性流体を含む。他の実施形態では、拡張可能な隔離部材110は、外層124内に保持された拡張可能なフレーム(例えば、形状記憶材料から形成されたフレーム)などの他の手段を使用して選択的に拡張されてもよい。
【0040】
拡張可能な隔離部材110は、細長い球形を有するものとして
図2に示されているが、拡張可能な隔離部材110は、密封ひいては電極112、114間の流体連通および/または電気連通の阻止を可能にする任意の他の形状または構成を有してもよい。特定の形状および/または構成が、所望の特定の組織絶縁のために選択されてよい。
【0041】
例えば、他の実施形態では、(血管の比較的円筒形の隔離とは対照的に)心腔の壁などの固体組織内または平面組織内での隔離および組織破壊が望まれる場合がある。このような実施形態では、拡張可能な隔離部材110の遠位端118は、反転されて凹状であってもよく、遠位電極114は、遠位端118の凹状内に配置される。遠位端118は、組織に対して係合または押圧されて、遠位電極114を近位電極112から密封または隔離してもよく、その結果、電極112、114の間の電流の流れ122は、遠位端118と係合された(例えば、心腔壁の)組織を通るように迂回する。
【0042】
拡張可能な隔離部材110と隣接する組織16との間の完全な密封は起こらない場合があることが企図される。例えば、周密封面120は、組織16と完全には係合されないことがあり、周密封面120を通過する流体(血液)の流れがいくらか生じ得る。いくつかの実施形態では、完全な係合または密封は、エレクトロポレーション治療がうまく進行するために必要ではない。密封のレベルは、様々な方法を用いて確認することができる。いくつかの実施形態では、透視造影剤が、拡張可能な隔離部材110の上流の血流に導入され、拡張可能な隔離部材110の下流の造影剤の存在または量が、X線を使用して測定される。他の実施形態では、ドップラー超音波が、拡張可能な隔離部材110を通過する流体の流れのレベルを測定するために使用される。さらに他の実施形態では、電極112、114間のインピーダンスが、標的位置に電極アセンブリ100を配置する前後で測定され、インピーダンスの閾値シフトは、十分な密封を表す。さらに他の実施形態では、電極アセンブリ100は、遠位端104に圧力トランスデューサ(図示せず)を含み、この圧力トランスデューサは、流体圧力を測定して、拡張可能な隔離部材110と組織16との間の密封のレベルを表すために使用される。密封のレベルを測定するための追加的および/または代替的な方法が使用されてもよい。さらに、上述の方法のいずれかを反復的に採用してもよい。具体的には、密封の初期レベルが測定されてもよく、これに応じて、電極アセンブリ100の位置が調整されてもよい。(例えば、閾値および/または医師の決定に基づいて)適切なレベルまたは十分なレベルの密封に達するまで、その後の密封レベルが測定されてもよい。
【0043】
さらに、上記の方法のいずれか(または任意の他の適切な方法)を使用して測定された密封レベルに基づいて、印加されるべき適切な電圧レベルが選択されてもよい。密封レベルが低いと、大きな印加電圧が必要になり得る。
【0044】
図3および
図4はそれぞれ、拡張可能な電極アセンブリ200の形態で示される、システム10での使用に適した他の例示的な電極アセンブリ12の斜視図および断面図である。電極アセンブリ200は、多くの態様において、電極アセンブリ100と同様であり、電極アセンブリ200の同様の要素には、200の範囲内の対応する参照番号が付されている。特に、電極アセンブリ200は、電極アセンブリ200の近位端202から電極アセンブリ200の遠位端204まで、概して長手方向軸206に沿って軸方向に延在する。近位端202は、適切な連結器(図示せず)を介してカテーテルシャフト44(例えば、シャフト44の遠位端)に連結される。例示的な実施形態では、ガイドワイヤ208(
図4参照)が、シャフト44および電極アセンブリ200を通って軸方向に延びる。ガイドワイヤ208は、身体17内の電極アセンブリ200の位置を調整するために(例えば、ハンドル42を使用して)操作されてもよい。
【0045】
電極アセンブリ200は、拡張可能な隔離部材210と、電極212および214とを含む。さらに、例示的な実施形態では、電極アセンブリ200は、遠位先端電極230を含む。拡張可能な隔離部材210が電極212、214の間に軸方向に配置されるように、電極212および214はそれぞれ、拡張可能な隔離部材210の近位端216および遠位端218に隣接して配置される。具体的には、近位電極212は、拡張可能な隔離部材210の近位端216に隣接し、電極アセンブリ200の近位端202に近接する。同様に、遠位電極214は、拡張可能な隔離部材210の遠位端218に隣接し、電極アセンブリ200の遠位端204に近接する。例示的な実施形態では、拡張可能な隔離部材210の遠位端218は、電極アセンブリ200の遠位端204の近位にある。
【0046】
遠位先端電極230は、遠位電極214の遠位に配置される。遠位先端電極230は、電気絶縁部材232(例えば、電気絶縁材料から形成される環状境界面要素)によって、遠位電極214から物理的に分離され、かつ電気的に絶縁される。
【0047】
電極212、214は、例えば、限定はしないが、心臓マッピングおよび/またはアブレーション(例えば、IREアブレーション)を含む、様々な診断および治療目的のために使用されてもよい。例えば、電極アセンブリ200は、電極アセンブリ100に関して上述したように、バイポーラベースのエレクトロポレーション治療に使用するためのバイポーラ電極アセンブリとして構成されてもよい。具体的には、上記のように、IRE治療のために、電極212、214は、反対の極性で(例えば、エレクトロポレーションジェネレータ26および/またはコンピュータシステム32によって)選択的に通電され、それらの間に電位および対応する電場を生成するように構成される。すなわち、電極212、214の一方はカソードとして機能するように構成され、他方はアノードとして機能するように構成される。
【0048】
遠位先端電極230はまた、例えば、限定されるものではないが、心臓マッピングおよび/またはポイントアブレーション(例えば、ポイントIREアブレーション)を含む、様々な診断および治療目的のために使用されてもよい。具体的には、遠位先端電極230は、(例えば、カテーテルシャフト44を通って延びる電気ワイヤ234を介して)ジェネレータ26に個別に電気的に連結される。したがって、電極212、214、および230の各々は、別個の電気伝導体(例えば、電気ワイヤ)を介して、ジェネレータ26に個々に電気的に連結される。遠位先端電極230は、電極212、214とは独立して、(例えば、エレクトロポレーションジェネレータ26および/またはコンピュータシステム32によって)選択的に通電されるように構成される。いくつかの実施形態では、遠位先端電極230は、IRE治療のために、電極212または214の一方と反対の極性で通電されて、それらの間に電位および対応する電場を生成する。特に、遠位先端電極230が遠位電極214と反対の極性で通電される場合、それらの間に生成される電場は、電極アセンブリ200の遠位端204に隣接する組織を正確に狙うポイントIRE治療に適し得る。例示的な実施形態では、遠位先端電極230は、リング電極として具現化される。遠位先端電極230は、任意の適切なエレクトロポレーション電極であってよく、任意の他の形状または構成を有してもよい。
【0049】
さらに、電極アセンブリ200はバイポーラ電極アセンブリとして記載されているが、一部の実施形態では、電極アセンブリ200は、モノポーラ電極アセンブリとして構成され、パッチ電極(例えば、リターン電極18)をリターン電極または不関電極として使用してもよいことが理解されるべきである。例えば、モノポーラ治療用途において、電流経路は、遠位先端電極230からリターン電極18に向けられてもよい。
【0050】
例示的な実施形態では、拡張可能な隔離部材210は、しぼんだ構成(図示せず)と拡張された構成(
図3および
図4に示す)との間で構成可能である。例えば、拡張可能な隔離部材210は、しぼんだ構成で、身体17内の組織16の標的位置に送達され(例えば、カテーテルシャフト44内に軸方向に配置され)、標的位置で拡張された構成に移行される。上記により詳細に記載されるように、拡張可能な隔離部材210は、標的位置で組織16と密封係合し、電極212と214との間、および/または、電極230と212との間の電気連通を(例えば、遠位電極214および/または遠位先端電極230を近位電極212から少なくとも部分的に絶縁することによって)阻止するように構成される。
【0051】
例示的な実施形態では、拡張可能な隔離部材210は、電気絶縁材料から形成または構成された外層224を含む。例えば、外層224は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、または電気的に絶縁性であり、電極アセンブリ200の拡張および収縮に適応することができる任意の他の適切な材料を含んでもよい。特定の実施形態では、
図3および
図4に示すように、拡張可能な隔離部材210は、膨張可能なバルーンとして具現化される。このような実施形態では、膨張可能なバルーンは、(例えば、電極アセンブリ200が、身体17内の標的位置に前進され、カテーテルシャフト44から展開されたときに)バルーンを選択的に膨張させるために流体源226に連結される。いくつかの実施形態では、流体源は、脱イオン水、生理食塩水、二酸化炭素ガス、亜酸化窒素ガス、および/または空気などの誘電性流体を含む。膨張可能なバルーンは、流体源226から誘電性流体を、流体管腔240および流体ポート242を通って膨張可能なバルーンの内部空洞244に導くことによって選択的に膨張される。他の実施形態では、拡張可能な隔離部材210は、外層224内に保持された拡張可能なフレーム(例えば、形状記憶材料から形成されたフレーム)などの他の手段を使用して選択的に拡張されてもよい。
【0052】
図5は、拡張可能な電極アセンブリ300の形態で示される、システム10での使用に適した他の例示的な電極アセンブリ12の斜視図を示す。電極アセンブリ300は、多くの態様において、電極アセンブリ100および200に類似しており、電極アセンブリ300の同様の要素には、300の範囲内の対応する参照番号が付されている。特に、電極アセンブリ300は、電極アセンブリ300の近位端302から電極アセンブリ300の遠位端304まで、概して長手方向軸306に沿って軸方向に延在する。近位端302は、適切な連結器(図示せず)を介してカテーテルシャフト44(例えば、シャフト44の遠位端)に連結される。
【0053】
電極アセンブリ300は、拡張可能な隔離部材310の近位端316と拡張可能な隔離部材310の遠位端318との間に延在する拡張可能な隔離部材310を含む。電極アセンブリ300はまた、近位電極312、第1の遠位電極350、第2の遠位電極352、および遠位先端電極330を含む複数の電極を含む。近位電極312は、拡張可能な隔離部材310の近位端316に隣接して配置される。第1の遠位電極350は、拡張可能な隔離部材310の遠位端318に隣接して配置される。第2の遠位電極352は、第1の遠位電極350の遠位に配置される。第2の遠位電極352は、電気絶縁部材354によって第1の遠位電極350から物理的に分離され、かつ電気的に絶縁されている。例示的な実施形態では、第1の遠位電極350と第2の遠位電極352との間の距離(例えば、絶縁部材354の幅または深さ)は知られており、第1の遠位電極350および第2の遠位電極352は心臓組織をマッピングするのに適している。一実施形態では、第1の遠位電極350と第2の遠位電極352との間の距離(例えば、絶縁部材354の幅または深さ)は、約0.5mmである。
【0054】
遠位先端電極330は、第2の遠位電極352の遠位に配置される。遠位先端電極330は、電気絶縁部材332(例えば、電気絶縁材料から形成される環状境界面要素)によって、第2の遠位電極352から物理的に分離され、かつ電気的に絶縁される。
【0055】
電極312、350、352、および330は、例えば、限定はしないが、心臓マッピングおよび/またはアブレーション(例えば、IREアブレーション)を含む、様々な診断および治療目的のために使用されてもよい。例えば、電極アセンブリ300は、電極アセンブリ100に関して上述したように、バイポーラベースのエレクトロポレーション治療に使用するためのバイポーラ電極アセンブリとして構成されてもよい。
【0056】
各電極312、350、352、および330は、(例えば、カテーテルシャフト44を通って延びるそれぞれの電気ワイヤまたは他の適切な電気伝導体を介して)ジェネレータ26に個別に電気的に連結される。各電極312、350、352、および330は、互いに独立して、(例えば、エレクトロポレーションジェネレータ26および/またはコンピュータシステム32によって)選択的に通電されるように構成される。
【0057】
いくつかの実施形態では、IRE治療のために、電極の様々な対または組が反対の極性で通電されて、それらの間に電位および対応する電場を生成する。例えば、ポイントIRE治療またはポイントアブレーションのために、遠位先端電極330は、ポイントカソードまたはポイントアノードの一方として選択的に通電されてもよく、第2の遠位電極352または第1の遠位電極350は、ポイントカソードまたはポイントアノードの他方として反対の極性で選択的に通電されてもよい。他の例では、電極アセンブリ100に関して上記で説明されるように、拡張可能な隔離部材310を取り囲む組織のIRE治療のために、遠位先端電極330は、カソードまたはアノードの一方として選択的に通電されてもよく、近位電極312は、カソードまたはアノードの他方として反対の極性で選択的に通電されてもよい。同様に、電極アセンブリ100に関して上記で説明されるように、拡張可能な隔離部材310を取り囲む組織のIRE治療のために、第2の遠位電極352および第1の遠位電極350のいずれかまたは両方が、カソードまたはアノードの一方として選択的に通電されてもよく、近位電極312は、カソードまたはアノードの他方として反対の極性で選択的に通電されてもよい。
【0058】
他の実施態様において、電極アセンブリ300は、モノポーラ電極アセンブリとして構成されてもよく、リターン電極または不関電極としてパッチ電極(例えば、リターン電極18)を使用してもよい。例えば、モノポーラ治療用途において、電流経路は、遠位先端電極330からリターン電極18に向けられてもよい。
【0059】
さらに、電極アセンブリ300は、心臓マッピングに適している。例えば、電気生理学的(EP)データのバイポーラ計測は、遠位先端電極330と第1の遠位電極350との間、および/または第2の遠位電極352と第1の遠位電極350との間で行われ得る。さらに、または代替として、電極330、350、352のいずれかが、(例えば、パッチ電極18、20、および/または21に対する)ユニポーラマッピングのために使用されてもよい。
【0060】
図6は、拡張可能な電極アセンブリ400の形態で示される、システム10での使用に適した他の例示的な電極アセンブリ12の斜視図を示す。電極アセンブリ400は、多くの態様において、電極アセンブリ100、200、および300と類似しており、電極アセンブリ400の同様の要素には、400の範囲内の対応する参照番号が付されている。特に、電極アセンブリ400は、電極アセンブリ400が遠位先端電極を含まないことを除いて、電極アセンブリ300と実質的に同様である。
【0061】
電極アセンブリ400は、近位端402から遠位端404まで、概して長手方向軸406に沿って軸方向に延びる。電極アセンブリ400は、拡張可能な隔離部材410の近位端416と拡張可能な隔離部材410の遠位端418との間に延在する拡張可能な隔離部材410を含む。電極アセンブリ400はまた、近位電極412、第1の遠位電極450、および第2の遠位電極452を含む複数の電極を含む。近位電極412は、拡張可能な隔離部材410の近位端416に隣接して配置される。第1の遠位電極450は、拡張可能な隔離部材410の遠位端418に隣接して配置される。第2の遠位電極452は、第1の遠位電極450の遠位に配置される。第2の遠位電極452は、電気絶縁部材454によって、第1の遠位電極450から物理的に分離され、かつ電気的に絶縁されている。例示的な実施形態では、第1の遠位電極450と第2の遠位電極452との間の距離(例えば、絶縁部材454の幅または深さ)は知られており、第1の遠位電極450および第2の遠位電極452は心臓組織をマッピングするのに適している。一実施形態では、第1の遠位電極450と第2の遠位電極452との間の距離(例えば、絶縁部材454の幅または深さ)は、約0.5mmである。
【0062】
電極412、450、および452は、例えば、限定はしないが、心臓マッピングおよび/またはアブレーション(例えば、IREアブレーション)を含む、様々な診断および治療目的のために使用されてもよい。例えば、電極アセンブリ400は、電極アセンブリ100に関して上述したように、バイポーラベースのエレクトロポレーション治療に使用するためのバイポーラ電極アセンブリとして構成されてもよい。各電極412、450、および452は、(例えば、カテーテルシャフト44を通って延びるそれぞれの電気ワイヤまたは他の適切な電気伝導体を介して)ジェネレータ26に個別に電気的に連結される。各電極412、450、および452は、互いに独立して、(例えば、エレクトロポレーションジェネレータ26および/またはコンピュータシステム32によって)選択的に通電されるように構成される。いくつかの実施形態では、IRE治療のために、電極の様々な対または組が反対の極性で通電されて、それらの間に電位および対応する電場を生成する。例えば、電極アセンブリ100に関して上記で説明されるように、拡張可能な隔離部材410を取り囲む組織のIRE治療のために、第2の遠位電極452および第1の遠位電極450のいずれかまたは両方は、カソードまたはアノードの一方として選択的に通電されてもよく、近位電極412は、カソードまたはアノードの他方として反対の極性で選択的に通電されてもよい。さらに、電極アセンブリ400は、心臓マッピングに適している。例えば、電気生理学的(EP)データのバイポーラ計測は、第2の遠位電極452と第1の遠位電極450との間で行われ得る。追加的にまたは代替的に、第1の遠位電極450および/または第2の遠位電極452は、(例えば、パッチ電極18、20、および/または21に対する)ユニポーラマッピングのために使用されてもよい。
【0063】
図7は、電極アセンブリ(例えば、
図1、
図2、
図3、
図5、および
図6にそれぞれ示される電極アセンブリ12、100、200、300、および/または400)を使用して、標的位置で医療処置(例えば、エレクトロポレーション治療)を実施するための方法500のフロー図である。方法500は、電極アセンブリを標的位置(例えば、標的組織部位)に前進させること502を含む。本明細書に記載されるように、電極アセンブリは、アノード(例えば、第1の電極)およびカソード(例えば、第2の電極)を含む電極対と、アノードとカソードとの間に軸方向に配置される拡張可能な隔離部材とを含む。アノードおよびカソードの一方は、拡張可能な隔離部材の近位端の近位に配置され、アノードおよびカソードの他方は、拡張可能な隔離部材の遠位端の遠位に配置される。拡張可能な隔離部材は、しぼんだ構成と拡張された構成との間で構成可能である。拡張可能な隔離部材は、患者の組織と密封係合するように構成された周密封面を含み、拡張可能な隔離部材は、患者の組織と係合したときに、アノードとカソードとの間の流体連通および電気連通を阻止する。
【0064】
方法500はまた、拡張可能な隔離部材をしぼんだ構成から拡張された構成に移行させること504と、アノードとカソードとの間の流体連通を阻止するために、標的組織部位を拡張可能な隔離部材と係合させること506とを含む。方法500は、アノードおよびカソードにエレクトロポレーション信号を供給すること508をさらに含む。
【0065】
本開示の他の実施形態では、方法500は、追加のステップ、より少ないステップ、および/または代替のステップを含むことができることを容易に理解されたい。例示の方法の特定のステップには番号が付されているが、そのような番号付けは、そのステップが列挙された順序で実行されなければならないことを示すものではない。したがって、特定のステップは、その説明がそのような順序を特に必要としない限り、それらが提示された通りの順序で実行される必要はない。ステップは、列挙された順序で実行されてもよいし、または他の適切な順序で実行されてもよい。
【0066】
本明細書に開示された実施形態および実施例は、特定の実施形態を参照して説明されてきたが、これらの実施形態および実施例は、本開示の原理および応用の単なる例示であることを理解されたい。したがって、例示的な実施形態および実施例に対して多数の変更を行うことができ、特許請求の範囲によって定義される本開示の思想および範囲から逸脱することなく、他の構成を考案することができることを理解されたい。したがって、本出願は、これらの実施形態およびそれらの均等物の変更および変形を包含することが意図される。
【0067】
本明細書は、最良の形態を含めて本発明を開示するために、また、任意のデバイスまたはシステムを作製および使用すること、ならびに任意の組み込まれた方法を実行することを含めて、任意の当業者が本開示を実施することを可能にするために、実施例を使用する。本開示の特許性のある範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者に想起される他の例を含むことができる。そのような他の例は、それらが特許請求の範囲の文字通りの言語と異なる構造要素を有する場合、またはそれらが特許請求の範囲の文字通りの言語と実質的に異なる同等の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることが意図される。
以下の項目は、国際出願時の特許請求の範囲に記載の要素である。
(項目1)
エレクトロポレーションシステムであって、
カテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトに連結された電極アセンブリであって、前記電極アセンブリは、
エレクトロポレーション治療の送達のために選択的に通電されるように構成された第1の電極および第2の電極を備える電極対と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に軸方向に配置された拡張可能な隔離部材であって、前記第1の電極および前記第2の電極のうちの一方は、前記拡張可能な隔離部材の近位端の近位に配置され、前記第1の電極および前記第2の電極のうちの他方は、前記拡張可能な隔離部材の遠位端の遠位に配置され、前記拡張可能な隔離部材は、しぼんだ構成と拡張された構成との間で構成可能であり、前記拡張可能な隔離部材は、患者の組織と密封係合するように構成された周密封面を備え、前記拡張可能な隔離部材は、前記患者の組織と係合したときに、前記第1の電極と前記第2の電極との間の流体連通および電気連通を阻止する、前記拡張可能な隔離部材と、を備える、前記電極アセンブリと、
前記第1の電極および前記第2の電極と連通するように連結され、前記患者の前記組織に前記エレクトロポレーション治療を送達するために、前記第1の電極および前記第2の電極にエレクトロポレーション信号を供給するように構成されたエレクトロポレーションジェネレータと、を備える、
エレクトロポレーションシステム。
(項目2)
前記エレクトロポレーションジェネレータが、単相エレクトロポレーションジェネレータ、二相エレクトロポレーションジェネレータ、および多相エレクトロポレーションジェネレータのうちの1つである、項目1に記載のエレクトロポレーションシステム。
(項目3)
前記エレクトロポレーション治療が、不可逆的エレクトロポレーション治療(IRE)である、項目1に記載のエレクトロポレーションシステム。
(項目4)
前記拡張可能な隔離部材は、膨張可能なバルーンを備える、項目1に記載のエレクトロポレーションシステム。
(項目5)
前記膨張可能なバルーンは、前記バルーンを選択的に膨張させるための流体源に連結される、項目4に記載のエレクトロポレーションシステム。
(項目6)
前記流体源が誘電性流体を備える、項目5に記載のエレクトロポレーションシステム。
(項目7)
前記流体源が、脱イオン水、生理食塩水、二酸化炭素ガス、亜酸化窒素ガス、および空気からなる群から選択される流体を備える、項目6に記載のエレクトロポレーションシステム。
(項目8)
前記拡張可能な隔離部材は、電気絶縁材料で構成された外層を備える、項目1に記載のエレクトロポレーションシステム。
(項目9)
前記第1の電極はアノードであり、前記第2の電極はカソードである、項目1に記載のエレクトロポレーションシステム。
(項目10)
エレクトロポレーション治療の送達のために構成されたカテーテルシステムのための電極アセンブリであって、前記電極アセンブリは、
エレクトロポレーション治療の送達のために選択的に通電されるように構成された第1の電極および第2の電極を備える電極対と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に軸方向に配置された拡張可能な隔離部材であって、前記第1の電極および前記第2の電極のうちの一方は、前記拡張可能な隔離部材の近位端の近位に配置され、前記第1の電極および前記第2の電極のうちの他方は、前記拡張可能な隔離部材の遠位端の遠位に配置され、前記拡張可能な隔離部材は、しぼんだ構成と拡張された構成との間で構成可能であり、前記拡張可能な隔離部材は、患者の組織と密封係合するように構成された周密封面を備え、前記拡張可能な隔離部材は、前記患者の組織と係合したときに、前記第1の電極と前記第2の電極との間の流体連通および電気連通を阻止する、前記拡張可能な隔離部材と、を備える、
電極アセンブリ。
(項目11)
前記拡張可能な隔離部材は、膨張可能なバルーンを備える、項目10に記載の電極アセンブリ。
(項目12)
前記膨張可能なバルーンは、前記バルーンを選択的に膨張させるための流体源に連結される、項目11に記載の電極アセンブリ。
(項目13)
前記流体源は、誘電性流体を備える、項目12に記載の電極アセンブリ。
(項目14)
前記流体源が、脱イオン水、生理食塩水、二酸化炭素ガス、亜酸化窒素ガス、および空気からなる群から選択される流体を備える、項目12に記載の電極アセンブリ。
(項目15)
前記拡張可能な隔離部材は、電気絶縁材料で構成された外層を備える、項目10に記載の電極アセンブリ。
(項目16)
前記外層がポリエチレンテレフタレートを備える、項目15に記載の電極アセンブリ。
(項目17)
前記拡張可能な隔離部材の前記遠位端の遠位に配置された前記第1の電極および前記第2の電極のうちの前記一方の遠位に配置された、遠位先端電極をさらに備える、項目10に記載の電極アセンブリ。
(項目18)
前記遠位先端電極と、前記第1の電極および前記第2の電極のうちの一方とが、エレクトロポレーション治療の送達のために選択的に通電されるように構成される、項目17に記載の電極アセンブリ。
(項目19)
前記拡張可能な隔離部材の前記遠位端の遠位に配置された前記第1の電極および前記第2の電極のうちの前記一方が、絶縁部材によって分離された一対のリング電極を備える、項目17に記載の電極アセンブリ。
(項目20)
前記拡張可能な隔離部材の前記遠位端の遠位に配置された前記第1の電極および前記第2の電極の前記一方が、絶縁部材によって分離された一対のリング電極を備え、
前記一対のリング電極が、前記患者の組織をマッピングするように構成される、項目10に記載の電極アセンブリ。
(項目21)
電極アセンブリを標的組織部位に前進させることであって、前記電極アセンブリは、第1の電極と第2の電極とを含む電極対と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に軸方向に配置された拡張可能な隔離部材とを含み、前記第1の電極および前記第2の電極のうちの一方は、前記拡張可能な隔離部材の近位端の近位に配置され、前記第1の電極および前記第2の電極のうちの他方は、前記拡張可能な隔離部材の遠位端の遠位に配置され、前記拡張可能な隔離部材は、しぼんだ構成と拡張された構成との間で構成可能であり、前記拡張可能な隔離部材は、患者の組織と密封係合するように構成された周密封面を含み、前記拡張可能な隔離部材は、前記患者の組織と係合したときに、前記第1の電極と前記第2の電極との間の流体連通および電気連通を阻止する、前進させることと、
前記拡張可能な隔離部材を前記しぼんだ構成から前記拡張された構成に移行させることと、
前記第1の電極と前記第2の電極との間の流体連通を阻止するために、前記標的組織部位を前記拡張可能な隔離部材と係合させることと、
前記第1の電極および前記第2の電極にエレクトロポレーション信号を供給することと、を備える方法。
(項目22)
前記第1の電極および前記第2の電極にエレクトロポレーション信号を供給することは、エレクトロポレーションジェネレータを使用して、前記第1の電極および前記第2の電極に不可逆的エレクトロポレーション(IRE)信号を供給することを備える、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記標的組織部位を前記拡張可能な隔離部材と係合させることは、前記拡張可能な隔離部材の前記周密封面を前記標的組織部位と係合させることを備える、項目21に記載の方法。
(項目24)
前記拡張可能な隔離部材を前記しぼんだ構成から前記拡張された構成に移行させることは、膨張可能なバルーンを膨張させることを備える、項目21に記載の方法。
(項目25)
前記拡張可能な隔離部材の前記遠位端の遠位に配置された前記第1の電極および前記第2の電極のうちの前記一方が、絶縁部材によって分離された一対のリング電極を含み、前記方法が、前記一対のリング電極を使用して前記標的組織部位をマッピングすることをさらに備える、項目21に記載の方法。
(項目26)
前記電極アセンブリが、前記拡張可能な隔離部材の前記遠位端の遠位に配置された前記第1の電極および前記第2の電極のうちの前記一方の遠位に配置された遠位先端電極をさらに含み、前記方法が、前記遠位先端電極ならびに前記第1の電極および前記第2の電極のうちの一方にエレクトロポレーション信号を供給することをさらに備える、項目21に記載の方法。