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特許7428818レンズ装置、レンズ装置が組み込まれたシステム、レンズ装置が組み込まれた検査装置、並びに操作用プログラム
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  • 特許-レンズ装置、レンズ装置が組み込まれたシステム、レンズ装置が組み込まれた検査装置、並びに操作用プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】レンズ装置、レンズ装置が組み込まれたシステム、レンズ装置が組み込まれた検査装置、並びに操作用プログラム
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/08 20210101AFI20240130BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20240130BHJP
   G03B 17/14 20210101ALI20240130BHJP
   H04N 23/661 20230101ALI20240130BHJP
【FI】
G02B7/08 C
G02B7/08 A
G03B15/00 T
G03B17/14
H04N23/661
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022551497
(86)(22)【出願日】2020-09-24
(86)【国際出願番号】 JP2020036067
(87)【国際公開番号】W WO2022064603
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】599048638
【氏名又は名称】CBC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081318
【弁理士】
【氏名又は名称】羽切 正治
(74)【代理人】
【識別番号】100132458
【弁理士】
【氏名又は名称】仲村 圭代
(74)【代理人】
【識別番号】100165146
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 博喜
(72)【発明者】
【氏名】新倉 恒美
(72)【発明者】
【氏名】平野 勝也
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-008429(JP,A)
【文献】特開2011-205552(JP,A)
【文献】特開平08-082827(JP,A)
【文献】特表2009-533996(JP,A)
【文献】特開2017-063307(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/08
G03B 9/02
G03B 13/36
G03B 15/00
G03B 17/14
H04N 23/661
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ本体と光学的物理的に連結可能なレンズ本体を有するレンズ装置であって、
前記レンズ本体に内蔵され、光学像を結像させるためのレンズ機構と、
前記レンズ機構を駆動制御する駆動制御部と、
前記駆動制御部に駆動制御信号を出力する制御部と、
第1の通信インターフェースによりネットワーク網を介して操作端末と通信接続可能な第1接続部と、
第2の通信インターフェースにより前記ネットワーク網を介さないで前記操作端末に前記制御部からの信号出力が可能な第2接続部とを備え、
前記レンズ機構は、前記第1接続部の第1の通信インターフェースから前記制御部に入力された移動動作命令により動作を開始し、前記制御部は、該レンズ機構が動作を完了したことを通知する動作完了信号を前記第2接続部の第2の通信インターフェースから前記操作端末に出力すること
を特徴とするレンズ装置。
【請求項2】
前記制御部からの移動動作命令に基づいて、前記レンズ本体を前記カメラ本体から独立させて駆動制御すること
を特徴とする請求項1記載のレンズ装置。
【請求項3】
前記第1接続部は、前記レンズ本体への電源の供給を行う電源供給インターフェースを有すること
を特徴とする請求項1記載のレンズ装置。
【請求項4】
前記レンズ装置は、複数台であり、該複数台のレンズ装置は、1以上の操作端末と接続されることを特徴とする請求項1記載のレンズ装置。
【請求項5】
光学像を撮像するためのカメラ本体と、
前記カメラ本体に光学的物理的に連結可能なレンズ本体を有するレンズ装置と、
前記レンズ装置を制御する操作端末を備え、
前記レンズ本体に内蔵され光学像を結像させるためのレンズ機構と、
前記レンズ機構を駆動制御する駆動制御部と、
前記駆動制御部に駆動制御信号を出力する制御部と、
第1の通信インターフェースによりネットワーク網を介して前記操作端末と通信接続可能な第1接続部と、
第2の通信インターフェースにより前記ネットワーク網を介さないで前記操作端末に前記制御部からの信号出力が可能な第2接続部とを備え、
前記レンズ機構は、前記第1接続部の第1の通信インターフェースから前記制御部に入力された移動動作命令により動作を開始し、前記制御部は、該レンズ機構が動作を完了したことを通知する動作完了信号を前記第2接続部の第2の通信インターフェースから前記操作端末に出力すること
を特徴とするレンズ装置が組み込まれたシステム。
【請求項6】
光学像を撮像するためのカメラ本体と、
前記カメラ本体に光学的物理的に連結可能なレンズ本体を有するレンズ装置と、
前記レンズ装置を制御する操作端末を備え
前記レンズ本体に内蔵され、光学像を結像させるためのレンズ機構と、
前記レンズ機構を駆動制御する駆動制御部と、
前記駆動制御部に駆動制御信号を出力する制御部と、
第1の通信インターフェースによりネットワーク網を介して前記操作端末と通信接続可能な第1接続部と、
第2の通信インターフェースにより前記ネットワーク網を介さないで前記操作端末に前記制御部からの信号出力が可能な第2接続部とを備え
前記レンズ機構は、前記第1接続部の第1の通信インターフェースから前記制御部に入力された移動動作命令により動作を開始し、前記制御部は、該レンズ機構が動作を完了したことを通知する動作完了信号を前記第2接続部の第2の通信インターフェースから前記操作端末に出力を行い、
被検査物の検査を行うこと
を特徴とするレンズ装置が組み込まれた検査装置。
【請求項7】
レンズ本体に内蔵され、光学像を結像させるためのレンズ機構と、前記レンズ本体に内蔵され、前記レンズ機構を駆動制御する駆動制御部と、前記駆動制御部に駆動制御信号を出力する制御部と、前記制御部との通信が可能な第1の通信インターフェースを有して、ネットワーク網に接続可能な第1接続部と、前記制御部から操作端末に信号出力が可能な第2の通信インターフェースを備える第2接続部とを有するレンズ装置であって、前記第1接続部の第1の通信インターフェースに入力される前記操作端末からの命令を受信する機能と、
前記操作端末から受信した命令に基づいて、命令を実行する機能とを有し、
前記操作端末から前記レンズ機構のレンズの位置を移動する命令を受信した際には、前記駆動制御部に駆動制御信号を出力してレンズの位置を移動させる機能と、
前記レンズ機構のレンズが移動動作を完了したかをチェックする機能と、
前記レンズ機構のレンズが移動動作を完了した後に、前記第2の通信インターフェースから前記ネットワーク網を介さないで前記レンズ機構の移動完了信号であるトリガ信号を前記操作端末に出力する機能とを実行させること、
を特徴とするレンズ装置を制御する操作用プログラム。
【請求項8】
前記レンズ機構のレンズの位置をアドレス情報として記憶する機能と、
前もって記憶していた前記レンズ機構の前記アドレス情報を読み出して、前記ネットワーク網の第1の通信インターフェースにより前記レンズ装置に読み出した前記アドレス情報の移動位置に移動する命令を出力する機能と、
前記第2の通信インターフェースから前記レンズ機構の移動完了信号を受信する機能と
を実行させること、
を特徴とする請求項記載のレンズ装置を制御する操作用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク網を介して外部の操作端末に接続可能であり、産業用の検査等に用いられるレンズ装置、レンズ装置が組み込まれたシステム、レンズ装置が組み込まれた検査装置、並びに操作用プログラムに関し、特に、レンズ本体のレンズ動作の応答信号をリアルタイムに出力することが可能なレンズ装置、レンズ装置が組み込まれたシステム、レンズ装置が組み込まれた検査装置、並びに操作用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
監視用や産業用等のカメラ装置として、IPカメラ(ネットワークカメラ)、CCTV(Closed-circuit Television)カメラ、FA(Factory Automation)カメラ等が広く用いられている。また、このような用途のカメラ装置として、CマウントやCSマウント等といった互換性のあるレンズマウントを備えており、そのレンズマウントに単焦点レンズ又は可変焦点レンズ(ズームレンズやバリフォーカルレンズ等)が装着され得るように構成されたものが知られている。これらの互換性を有するカメラとレンズの組み合わせにおいて、フォーカス及びズーム並びにアイリスのレンズ機構を駆動制御することにより、レンズ機構を通して光学像を結像し、その光学像を撮像素子で電気信号の画像データに光電変換し、その画像データを画像処理して操作画面上に可視画像を表示している。
【0003】
単焦点レンズや可変焦点レンズにおいては、フォーカス及びズーム並びにアイリスのレンズ機構を駆動させることにより、フォーカス調整やズーム調整、アイリス調整が可能となり、それらの調整を行うためにDCモータやステッピングモータを用いて電動化した製品が広く知られている。
【0004】
DCモータやステッピングモータをレンズ機構の駆動制御に応用し、且つ操作端末でレンズ機構を遠隔操作するカメラ装置が例えば、特許文献1に開示されている。
【0005】
特許文献1のCCTVレンズは、バリフォーカルレンズに制御部を組み込み、外部の制御装置によって制御部、モータへの電源の供給が行われる。また、制御部の基板は、フレキシブル回路で構成し、フレキシブル回路からレンズ駆動用の各モータへ直接配線することが可能であり、これにより、配線数を抑制することができ、モータ配線を簡素化したものである。
【0006】
また、フレキシブル回路上にマイクロコンピュータを設け、マイクロコンピュータは、外部の制御装置とシリアル通信ラインで接続され、カメラ側からの制御装置からのコマンドに基づいて、CCTVレンズの各モータを制御して、ズーム調整、フォーカス調整を行う。このように特許文献1のCCTVレンズは、レンズ駆動用の各モータへの配線及びレンズ制御の簡素化を図ったものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第5893746号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1では、レンズと操作端末間の接続形態はケーブルによって1対1の構成であるため、レンズと操作端末間の接続形態をn対1にするためには、通信ラインの構成、制御が複雑化するおそれがある。
【0009】
そこで、本発明によるレンズ装置は、本発明者らが、多数のカメラ装置の接続が可能な汎用通信インターフェースを生かしつつ、レンズの動作状態をリアルタイムに出力することを可能にすることを目的として開発したものである。
【0010】
本発明のレンズ装置は、汎用通信インターフェースと汎用通信インターフェースとは別にリアルタイム性を持ったトリガ信号を出力する信号線を有するようにして、リアルタイム性を必要とするレンズの動作情報を別信号で出力することにより、レンズの駆動制御を起点に、レンズが動作完了するまでの間、端末装置であるホスト側の負荷を軽減させることができ、レンズが動作完了した直後に画像を撮像して画像処理を行うことができるようにして、画像処理による検査等に好適なレンズ装置、レンズ装置が組み込まれたシステム、レンズ装置が組み込まれた検査装置、並びに操作用プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目標達成のため、本発明に係るレンズ装置は、カメラ本体と光学的物理的に連結可能なレンズ本体を有するレンズ装置であって、前記レンズ本体に内蔵され、光学像を結像させるためのレンズ機構と、前記レンズ機構を駆動制御する駆動制御部と、前記駆動制御部に駆動制御信号を出力する制御部と、第1の通信インターフェースによりネットワーク網を介して操作端末と通信接続可能な第1接続部と、第2の通信インターフェースにより前記ネットワーク網を介さないで前記操作端末に前記制御部からの信号出力が可能な第2接続部とを備え、前記レンズ機構は、前記第1接続部の第1の通信インターフェースから前記制御部に入力された移動動作命令により動作を開始し、前記制御部は、該レンズ機構が動作を完了したことを通知する動作完了信号を前記第2接続部の第2の通信インターフェースから前記操作端末に出力することを有することを特徴とする。
【0013】
本発明に係るレンズ装置は、前記制御部からの移動動作命令に基づいて、前記レンズ本体を前記カメラ本体から独立させて駆動制御することを特徴とする。
【0015】
本発明に係るレンズ装置における前記第1接続部は、前記レンズ本体への電源の供給を行う電源供給インターフェースを有することを特徴とする。
また、本発明に係るレンズ装置は、複数台であり、該複数台のレンズ装置は、1以上の操作端末と接続されることを特徴とする。
【0016】
本発明に係るレンズ装置が組み込まれたシステムは、光学像を撮像するためのカメラ本体と、前記カメラ本体に光学的物理的に連結可能なレンズ本体を有するレンズ装置と、前記レンズ装置を制御する操作端末を備え、前記レンズ本体に内蔵され光学像を結像させるためのレンズ機構と、前記レンズ機構を駆動制御する駆動制御部と、前記駆動制御部に駆動制御信号を出力する制御部と、第1の通信インターフェースによりネットワーク網を介して前記操作端末と通信接続可能な第1接続部と、第2の通信インターフェースにより前記ネットワーク網を介さないで前記操作端末に前記制御部からの信号出力が可能な第2接続部とを備え、前記レンズ機構は、前記第1接続部の第1の通信インターフェースから前記制御部に入力された移動動作命令により動作を開始し、前記制御部は、該レンズ機構が動作を完了したことを通知する動作完了信号を前記第2接続部の第2の通信インターフェースから前記操作端末に出力することを特徴とする。
【0018】
本発明に係るレンズ装置が組み込まれた検査装置は、光学像を撮像するためのカメラ本体と、前記カメラ本体に光学的物理的に連結可能なレンズ本体を有するレンズ装置と、前記レンズ装置を制御する操作端末を備え、前記レンズ本体に内蔵され、光学像を結像させるためのレンズ機構と、前記レンズ機構を駆動制御する駆動制御部と、前記駆動制御部に駆動制御信号を出力する制御部と、第1の通信インターフェースによりネットワーク網を介して前記操作端末と通信接続可能な第1接続部と、第2の通信インターフェースにより前記ネットワーク網を介さないで前記操作端末に前記制御部からの信号出力が可能な第2接続部とを備え前記レンズ機構は、前記第1接続部の第1の通信インターフェースから前記制御部に入力された移動動作命令により動作を開始し、前記制御部は、該レンズ機構が動作を完了したことを通知する動作完了信号を前記第2接続部の第2の通信インターフェースから前記操作端末に出力を行い、被検査物の検査を行うことを特徴とする。
【0019】
本発明に係るレンズ装置を制御する操作用プログラムは、レンズ本体に内蔵され、光学像を結像させるためのレンズ機構と、前記レンズ本体に内蔵され、前記レンズ機構を駆動制御する駆動制御部と、前記駆動制御部に駆動制御信号を出力する制御部と、前記制御部との通信が可能な第1の通信インターフェースを有して、ネットワーク網に接続可能な第1接続部と、前記制御部から操作端末に信号出力が可能な第2の通信インターフェースを備える第2接続部とを有するレンズ装置であって、前記第1接続部の第1の通信インターフェースに入力される前記操作端末からの命令を受信する機能と、前記操作端末から受信した命令に基づいて、命令を実行する機能とを有し、前記操作端末から前記レンズ機構のレンズの位置を移動する命令を受信した際には、前記駆動制御部に駆動制御信号を出力してレンズの位置を移動させる機能と、前記レンズ機構のレンズが移動動作を完了したかをチェックする機能と、前記レンズ機構のレンズが移動動作を完了した後に、前記第2の通信インターフェースから前記ネットワーク網を介さないで前記レンズ機構の移動完了信号であるトリガ信号を前記操作端末に出力する機能とを実行させること、を特徴とする。

【0020】
本発明に係るレンズ装置を制御する操作用プログラムは、前記レンズ機構のレンズの位置をアドレス情報として記憶する機能と、前もって記憶していた前記レンズ機構の前記アドレス情報を読み出して、前記ネットワーク網の第1の通信インターフェースにより前記レンズ装置に読み出した前記アドレス情報の移動位置に移動する命令を出力する機能と、前記第2の通信インターフェースから前記レンズ機構の移動完了信号を受信する機能とを実行させること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、汎用通信インターフェースと汎用通信インターフェースとは別に汎用インターフェースに依存しないリアルタイム性を持ったトリガ信号を出力する信号線を有するようにして、レンズ装置からのリアルタイム性を必要とする情報を別信号で出力することにより、レンズ機構の駆動を起点にカメラで撮像して、高速に検査することが可能となる。
【0022】
また、本発明によれば、汎用通信インターフェースと汎用通信インターフェースとは別に汎用インターフェースに依存しないリアルタイム性を持ったトリガ信号を出力する信号線を有するようにして、リアルタイム性を必要とするレンズからの情報を別信号で出力することにより、レンズが応答するまでの間、操作端末であるホスト側の負荷を軽減させることができる
【0023】
また、本発明によれば、レンズ本体に内蔵され、光学像を結像させるためのレンズ機構と、レンズ本体に内蔵され、レンズ機構を駆動制御する駆動制御部と、駆動制御部に駆動制御信号を出力する中央処理部(制御部)と、中央処理部(制御部)への通信インターフェースを形成するネットワーク網を有するため、レンズと操作端末間をネットワーク網で接続することになり、レンズと操作端末間の接続形態をn対1、或いはn対nの接続形態に拡大することができる。
【0024】
また、本発明によるレンズ装置は、多数のカメラ装置の接続が可能な汎用通信インターフェースを生かしつつ、レンズ動作状態をリアルタイムに出力することが可能であるため、従来のような、操作端末・制御側がレンズの動作完了の確認待ちで処理が遅延することがない。これにより、操作端末がレンズの動作完了の確認待ちを行っている期間に他の処理を行うことができるため、操作端末の処理効率が向上する。
【0025】
また、本発明によれば、レンズ装置は、汎用通信インターフェースとは別にリアルタイム性を持ったトリガ信号を出力する信号線を有し、信号線によりレンズ装置と端末装置とを直接接続するようにするため、装置間の構成を簡素化することができる。
【0026】
また、本発明によれば、レンズ装置の第2接続部の信号線は、レンズ装置からの出力のみであるため、リアルタイム性を必要とするときのみ使用することが可能である。
【0027】
複数台のレンズ装置と操作端末間の接続形態をn対1の形態に拡大することができるため、応答にリアルタイム性が要求される産業用などのカメラの場合、複数台のレンズ装置で同期させる、若しくは複数台のレンズ装置から任意の台数のレンズ装置を選択して駆動制御する場合にも即座に対応することができる。
【0028】
本発明は、カメラ本体とは独立して操作端末から操作することができるので、複数のレンズ装置の制御が可能であり、各レンズ装置の情報をリアルタイムに観察することも可能である。
【0029】
制御部からの駆動制御信号に基づいて、レンズ装置をカメラ本体から独立させて駆動制御するため、複数台のレンズ装置をネットワーク網で集約して1台の操作端末に接続する、若しくは複数台のレンズ装置を有するネットワーク網上に複数台の操作端末を接続させる構成を採用することができ、レンズ装置の応用範囲を拡大することができる。
【0030】
レンズ装置を制御する操作端末は、前もつて設定したレンズ機構のレンズ位置を記憶しておくため、画像処理による検査等で記憶したレンズの位置情報を読み出すことにより、レンズを所定の位置に高速で制御することができる。
【0031】
また、レンズ装置を制御する操作端末は、レンズ機構のレンズの動作完了の信号をリアルタイムで受信できるため、カメラ本体からの画像を処理して検査する検査装置においては高速処理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の実施形態に係るレンズ装置及び操作端末の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態におけるレンズ本体としてのバリフォーカルレンズの外観を示し、(a)は本発明の実施形態に係るレンズ本体を示す斜視図、(b)は本発明の実施形態に係るレンズ本体を示す側面図、(c)は(a)に示す本発明の実施形態に係るレンズ本体を光軸の周りに90度回転させた状態を示す側面図である。
図3】(a)は、本発明の実施形態においてレンズ本体の第1接続部からのUSBコネクタ及び第2接続部からのコネクタを引き出した図であって、レンズ本体を後方から見た斜視図、(b)は、本発明の実施形態において第1接続部からのイーサネットコネクタ及び第2接続部からのコネクタを引き出した図であって、レンズ本体を後方から見た斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係るレンズ装置と操作端末をn対1の接続形態のネットワーク網の例を示すブロック図であり、(a)は、レンズ装置の第2接続部と操作端末とを直接接続した構成を示し、(b)は、レンズ装置の第2接続部と操作端末とをエンコーダを介して接続した構成を示す。
図5】本発明の実施形態に係るレンズ本体と操作端末をn対nの接続形態のネットワーク網の例を示すブロック図であり、レンズ装置の第2接続部と操作端末とをエンコーダを介して接続した構成を示す。
図6】(a)は、レンズ装置における操作端末(ホスト)側による駆動モータの動作状態(ステータス)の確認動作を第1の通信インターフェースを使用して行う場合のタイミングチャート図、(b)は、本発明に係るレンズ装置における操作端末(ホスト)側による駆動モータの動作状態(ステータス)の確認動作を第2の通信インターフェースを使用して行う場合のタイミングチャート図である。
図7】本発明の実施形態における操作端末の操作画面の表示例を示す図である。
図8】本発明の実施形態におけるレンズ機構の一連の動作を説明するフローチャートである。
図9】本発明の実施形態におけるレンズ機構を検査装置に用いた場合の操作端末及びレンズ装置の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明のレンズ装置、レンズ装置が組み込まれたシステム、レンズ装置が組み込まれた検査装置、並びに操作用プログラムを実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明に係るレンズ装置は、汎用通信インターフェースを介することなく、リアルタイム性を必要とするレンズの動作情報を別信号で出力することにより、レンズの駆動動作を起点に、レンズの動作完了の応答するまでの間、操作端末であるホスト側の負荷を軽減させることができ、更に、レンズの動作完了直後にカメラ装置で撮像して画像処理による検査を高速に行うことを可能としたものである。
【0034】
図1は、本発明の実施形態に係るレンズ装置及び操作端末の構成を示すブロック図である。図1に示すように、本発明の実施形態に係るレンズ装置1は、光学像をカメラ装置19によって撮像するためのレンズ装置1であり、レンズ本体2に内蔵され、光学像を結像させるためのズーム調整用レンズ機構3、フォーカス調整用レンズ機構4及びアイリス調整用ユニット機構5(ズーム調整用レンズ機構3、フォーカス調整用レンズ機構4、アイリス調整用ユニット機構5をレンズ機構と称する。)と、レンズ本体2に内蔵され、レンズ機構を駆動制御する駆動制御部としてのズーム用駆動制御部6、フォーカス用駆動制御部7及びアイリス用駆動制御部8と、駆動制御部に駆動制御信号を出力する制御部9と、レンズ本体2への電源を供給する電源供給インターフェース13aと、制御部9との通信が可能な第1の通信インターフェース13bを形成する第1接続部13と、制御部9からの信号出力が可能な第2の通信インターフェース16aを備える第2接続部とを有している。
【0035】
ズーム調整を行うズーム調整用レンズ機構3は、レンズを移動させて焦点距離を可変させるためのズーム用リードスクリュー3a及びズーム用駆動モータ3cで構成されている。レンズを移動させてフォーカス調整を行うフォーカス用レンズ機構4は、フォーカス用リードスクリュー4a及びフォーカス用駆動モータ4cで構成されている。また、アイリス調整を行うアイリス調整用ユニット機構5は、絞りF値を可変するアイリスユニット5a及びアイリス用駆動モータ5cで構成されている。
【0036】
ズーム用駆動制御部6は、ズーム調整用レンズ機構3のズーム用駆動モータ3cを制御する制御部9のコマンドに基づいてズーム用駆動モータ3cを駆動制御する。これにより、ズーム調整用レンズ機構3のズーム調整が行われる。
【0037】
フォーカス用駆動制御部7は、フォーカス調整用レンズ機構4のフォーカス用駆動モータ4cを制御する制御部9のコマンドに基づいてフォーカス用駆動モータ4cを駆動制御する。これにより、フォーカス用駆動制御部7のフォーカス調整が行われる。
【0038】
アイリス用駆動制御部8は、アイリス調整用ユニット機構5のアイリス用駆動モータ5cを制御する制御部9のコマンドに基づいてアイリス用駆動モータ5cを駆動制御する。これにより、アイリス調整用ユニット機構5のアイリス調整が行われる。
【0039】
制御部9は、マイクロコンピュータ(図示せず)を内蔵しており、各駆動制御部に駆動の制御信号を出力して、ズーム調整、フォーカス調整、アイリス調整等を行う。また、制御部9は、ネットワーク網21を介して外部の操作端末26との通信を行うことが可能であり、また、レンズ機構の駆動モータの動作完了信号を操作端末26に直接出力することも可能である。
【0040】
図1に示すレンズ装置1では、ズーム調整用レンズ機構3、フォーカス調整用レンズ機構4、アイリス調整用ユニット機構5を装備した例を示したが、必要に応じて光学フィルタ用レンズ機構、エクステンダー調整用レンズ機構を装備するようにしてもよい。
【0041】
なお、光学フィルタ調整用レンズ機構は、光学フィルタ用駆動モータでフィルタを駆動させることにより、画像の明るさの調整や像コントラストの改善、特定波長の透過や反射、また一つの画像を2つの独立した画像に特定分岐比で分割することを目的に用いられる。また、エクステンダー調整用レンズ機構は、レンズ本体2のマスターレンズとカメラ本体20との間に装着して、エクステンダー用駆動モータでレンズを駆動させることにより、マスターレンズの焦点距離を1.4倍や2倍などに伸ばす目的に用いられる。
【0042】
図1に示すズーム用駆動モータ3c、フォーカス用駆動モータ4c、アイリス用駆動モータ5cの駆動モータとして、ステッピングモータを使用している。以後、ズーム用駆動モータ3cをズーム用ステッピングモータ3c、フォーカス用駆動モータ4cをフォーカス用ステッピングモータ4c、アイリス用駆動モータ5cをアイリス用ステッピングモータ5cとも称する。なお、これらの駆動モータは、ステッピングモータに代えてDCモータを用いてもよく、さらにはステッピングモータとDCモータを使用目的に対応させて併用してもよい。
【0043】
また、図1に示すように、レンズ本体2は、レンズの焦点距離、開放絞りのレンズ機能の仕様を表す特性情報及びレンズ本体2を特定するための特定情報を記憶したレンズ情報出力部10を装備している。レンズ情報出力部10は、特性情報及び特定情報を制御部9及びネットワーク網21並びに中央処理部27を介して操作端末26に送り込むようになっている。ここで、特性情報とは、レンズ装置毎のレンズの焦点距離、開放絞り等のレンズ機能の仕様をいう。特定情報とは、レンズ本体2を特定するための情報であり、レンズのモデル名、レンズの製造番号等をいう。
【0044】
図1に示すレンズ本体2のレンズ情報出力部10が、複数台のレンズ本体2を個々に特定するために割り振った情報を特定情報として操作端末26に出力することにより、操作端末26は、複数台のレンズ装置1が存在する場合、レンズ装置1を一義的に特定することができる。なお、図1に示す実施形態では、レンズ情報出力部10は、特性情報と特定情報を出力するように設けたが、特性情報と特定情報とを分離し、レンズ情報出力部10に特性情報を記憶し、レンズ本体2を特定するための特定情報を記憶したレンズ本体情報出力部を設けて、レンズ本体情報出力部から特定情報を出力するようにしてもよい。
【0045】
図1に示すレンズ装置1は、レンズ本体2に装備されレンズ本体2の周辺温度を計測する温度センサ11と、温度センサ11からの計測信号に基づいて周辺温度の情報を出力する温度検出部12とを有しており、温度検出部12からの温度情報は、制御部9からネットワーク網21を介して操作端末26に出力されるようになっている。
【0046】
本発明のレンズ装置1は、レンズ本体2に電源を供給する電源供給インターフェース13aと、制御部9に接続され通信が可能な第1の通信インターフェース13bとを有し、ネットワーク網21に接続可能な第1接続部13を有している。このため、第1接続部13をネットワーク網21に接続し、ネットワーク網21を介してレンズ本体2の制御部9と操作端末26の中央処理部27に接続され、第1接続部13の電源供給インターフェース13a、すなわちネットワーク網21の許容電圧、許容電流の範囲内でレンズ本体2の電源が確保され、更に、第1接続部13の第1の通信インターフェース13bにより操作端末26と中央処理部27との通信が可能となる。
【0047】
なお、レンズ本体2に電源を供給する電源供給インターフェース13aは、第1接続部13に設けられている構成について説明したが、電源供給インターフェースを第1接続部に設けずに、例えば、ネットワーク網に接続された第1接続部13とは別に、専用の電源供給用のインターフェースを設けてレンズ本体2に電源を供給するようにしてもよい。
【0048】
なお、第1接続部13の第1の通信インターフェース13bは、例えば、I2C(Inter Integrated Circuit)、USB、Ethernet、RS485などの汎用通信インターフェースからなる。
また、本発明のレンズ装置1は、制御部9からの信号出力が可能な第2の通信インターフェース16aを備える第2接続部16を有している。第2接続部16は、駆動モータが駆動して、レンズ機構のレンズが移動を開始し、その後、駆動モータが停止して、レンズ機構のレンズが所定の位置に移動を完了したことを信号で出力する。第2接続部16は、第1接続部13のようにネットワーク網21に接続されておらず、第2接続部16からの信号は、直接、操作端末26に出力される。
【0049】
なお、第2接続部16の出力信号は、レンズの動作完了の信号とする実施の形態について述べたが、第2接続部16の出力形態はこれらに限らず、レンズの稼働状況の信号として、例えば、レンズの移動中の状態を出力する信号として使用することも可能である。
【0050】
図1において、レンズ本体2の第1接続部13及び第2接続部16は、制御部9を搭載した制御基板9a(図2に示す)と電気的に接続されており、制御基板9aは図1のレンズ本体2に内蔵されている。これにより、制御基板9aに電源を供給する電源供給インターフェース13aが接続されているため、各駆動用モータ(ズーム用駆動モータ3c、フォーカス用駆動モータ4c、アイリス用駆動モータ5c)に電源が供給される。
【0051】
図1に示すレンズ装置1は、Cマウント若しくはCSマウント18でカメラ本体20と光学的物理的に連結されている。
【0052】
図1に示すように、カメラ装置19は、レンズ機構で光学像を結像するためのレンズ装置1と、レンズ機構で結像した光学像を撮像素子20aによって光電変換した信号を画像信号として画像モニタ31に出力するカメラ本体20とから構成されている。
【0053】
なお、カメラ装置19は、撮像素子20aによって光電変換した画像信号を可視画像に処理し、その処理した可視画像を画面上に表示する画像表示部をカメラ本体20に設けるようにしてもよい。
【0054】
また、図1に示すように、レンズ装置1は、ネットワーク網21を介して操作端末26に接続されている。操作端末26は、レンズ本体2の制御部9にネットワーク網21を介して接続される中央処理部27と、振分部28と、データ部29と、情報の表示、情報の入力を行う表示部30とを有している。操作端末26の中央処理部27は、コンピュータを有しており、プログラムが中央処理部27の記憶装置(図示せず)に記憶されており、コンピュータのCPUはプログラムを実行することにより操作端末26が有する各種機能の処理が行われる。
【0055】
図1における操作端末26の中央処理部27は、ネットワーク網21を介してレンズ本体2の制御部9に接続し、操作端末26の振分部28及びデータ部29と、レンズ本体2の駆動制御部及びレンズ情報出力部10との情報の交換を行う。
【0056】
図1における操作端末26の振分部28は、制御部9と中央処理部27間にネットワーク網21が確立して中央処理部27から制御部9への問合せにレンズ情報出力部10が応答した信号に基づいてレンズ本体2を認識し、その認識した情報を基にレンズ本体2のレンズ機構に駆動制御部を割り当てる。また、図1における操作端末26のデータ部29は、振分部28が割り当てたレンズ本体2の駆動制御部にレンズの移動位置等からなる駆動制御信号を出力する。データ部29からの駆動制御信号は制御部9に入力され、制御部9から該当する駆動制御部に出力される。
【0057】
このように、図1に示す操作端末26の振分部28、データ部29は、レンズ装置1のズーム用駆動制御部6、フォーカス用駆動制御部7、アイリス用駆動制御部8、レンズ情報出力部10及び温度検出部12との間で、制御部9及びネットワーク網21並びに中央処理部27の経路を介して情報の交換を行うようになっている。
【0058】
図2は、本発明の実施形態におけるレンズ本体としてのバリフォーカルレンズの外観を示し、図2(a)は、本発明の実施形態に係るレンズ本体を示す斜視図、図2(b)は、本発明の実施形態に係るレンズ本体を示す側面図、図2(c)は、図2(a)に示す本発明の実施形態に係るレンズ本体を光軸の周りに90度回転させた状態を示す側面図である。
【0059】
図2に示すバリフォーカルレンズは、焦点距離(画角)を変化させることができる可変焦点レンズであり、ズーム倍率を変えることにより、撮影範囲の広さを調整できる。また、バリフォーカルレンズは、ズーム倍率を変えた際にピントがずれてしまうので、ピント調節、すなわち結像位置を変化させる必要がある。
【0060】
図2に示すバリフォーカルレンズはレンズ本体2の端面にCマウント或いはCSマウント18を装備しており、レンズ本体2をカメラ本体20に連結する構成になっている。図2では、マウントとしてネジ結合方式であるCマウントやCSマウントを用いたが、レンズ装置1とカメラ本体20とを連結するマウントはこれらに限定するものではない。
【0061】
図2(a)及び図2(b)に示すように、レンズ本体2には、ピント合わせをするフォーカス調整用レンズ機構4のフォーカス用リードスクリュー4a及びフォーカス用ステッピングモータ4cと、マイクロコンピュータを搭載した制御部9の制御基板9aとが組み込まれ、図2(b)及び図2(c)に示すように、レンズを移動させて焦点距離を可変させるためのズーム調整用レンズ機構3のズーム用リードスクリュー3a及びズーム用ステッピングモータ3cが組み込まれ、また、図2(c)に示すように、絞りF値を可変するアイリス用調整ユニット機構5のアイリスユニット5a及びアイリス用ステッピングモータ5cが組み込まれている。
【0062】
次に、レンズ装置1に設けられている第1接続部13及び第2接続部16の入出力端をレンズ本体2から外部に引き出すコネクタについて説明する。図3(a)は、レンズ本体2の第1接続部13からのUSBコネクタ14及び第2接続部16からのコネクタを引き出したレンズ装置1を後方から見た斜視図である。図3(a)に示すレンズ装置1は、レンズ本体2の第1接続部13に、先端にUSBコネクタ14を有するケーブルを接続し、第1接続部13における電源供給インターフェース13a及び第1の通信インターフェース13bの入出力端をUSBコネクタ14でレンズ本体2の外部に引き出したものである。
【0063】
また、第2接続部16は、先端に第2接続部用コネクタである出力信号用コネクタ17を有するケーブルを接続し、第2接続部16における第2の通信インターフェース16aの出力端を出力信号用コネクタ17でレンズ本体2の外部に引き出したものである。
【0064】
また、図3(a)に示すレンズ装置1は、カメラ本体20に装着するカメラ用のレンズ装置1であって、CSマウント18によって、カメラ本体20に光学的物理的に連結される。
【0065】
また、図3(b)は、第1接続部13からのイーサネットコネクタ15及び第2接続部16からのコネクタを引き出したレンズ本体2を後方から見た斜視図である。
【0066】
図3(b)に示すレンズ装置1は、レンズ本体2の第1接続部13に、先端にイーサネットコネクタ15を有するケーブルを接続し、第1接続部13における電源供給インターフェース13a及び第1の通信インターフェース13bの入出力端をイーサネットコネクタ15でレンズ本体2の外部に引き出したものである。
【0067】
また、第2接続部16には、先端に第2接続部用コネクタである出力信号用コネクタ17を有するケーブルを接続し、第2接続部16における第2の通信インターフェース16aの出力端を出力信号用コネクタ17でレンズ本体2の外部に引き出したものである。
【0068】
なお、図3(a)及び図3(b)は、出力信号用コネクタ17を有線コネクタで記載しているが、有線コネクタに代えて、出力信号用コネクタ17を無線通信方式(赤外線無線、Bluetooth(登録商標)等)で構成して、第2接続部16と中央処理部27(図1に図示)を接続して通信するようにしてもよい。
【0069】
また、図3において、レンズ装置1に設けられている第1接続部13からUSBコネクタ14及びイーサネットコネクタ15でレンズ本体2から外部に引き出す形態について説明したが、第1接続部13の第1の通信インターフェース13bとして、例えば、I2Cを用いることにより、I2C用のコネクタにより電源供給インターフェース13aと第1の通信インターフェース13bとの入出力端をレンズ本体2の外部に引き出すようにしてもよい。また、電源供給インターフェース用のコネクタを別途設ける場合には、I2C用のコネクタを第1の通信インターフェース13bのみで構成してもよい。更に、第2の通信インターフェース16aを有する出力信号用コネクタ17に代えて、I2C用のコネクタによって、第2の通信インターフェース16aの出力端をレンズ本体2の外部に引き出すことも可能である。
【0070】
また、図3(b)に示すレンズ装置1は、カメラ本体20に装着するカメラ用のレンズ装置1であって、CSマウント18によって、カメラ本体20に光学的物理的に連結される。
【0071】
次に、レンズ装置1と操作端末26とを接続するネットワーク網21の構成について図4を参照して説明する。図4(a)は、レンズ装置1と操作端末26とをn対1で接続する形態を示し、レンズ装置1の第1接続部13をネットワーク網21で接続し、第2接続部16を操作端末26に直接接続する形態を示しており、図4(b)は、レンズ装置1と操作端末26とをn対1で接続する形態を示し、レンズ本体2の第1接続部13をネットワーク網21で接続し、第2接続部16をエンコーダ25を介して操作端末26に接続する形態を示す。
【0072】
図4(a)は、複数台のレンズ装置1をネットワーク網21で集約して1台の操作端末26に接続した構成を示し、3台のレンズ装置1を1台の操作端末26に接続する3対1の接続形態を示している。図4(a)に示すように、3台のレンズ本体2の第1接続部13から引き出されたUSBコネクタ14をネットワーク網21を構成するネットワークハブ22に接続し、3対1のネットワーク網21を構築している。なお、ネットワークハブ22は、USBコネクタ14からレンズ装置1に給電できるタイプである。また、図4(a)に示すように、3台のレンズ装置1は、第2接続部16の出力信号用コネクタ17からネットワーク網を介さずに操作端末26に直接接続される。
【0073】
図4(a)に示すネットワーク網21によれば、n台のレンズ装置1を1台の操作端末26で一括して駆動制御することが可能である。
【0074】
また、図4(b)に示すように、3台のレンズ装置1は、第2接続部16の出力信号用コネクタ17がエンコーダ25に接続され、エンコーダ25の出力は、操作端末26に接続されている。第2接続部16からの信号をエンコーダ25を介することにより、例えば、ネットワーク網21に16台のレンズ本体2が接続されている場合、レンズ本体2の第2接続部16からの16本の信号をエンコーダ25によって4本(4ビット)の信号に変換して、変換した信号を操作端末26に出力する。これにより、レンズ本体2と操作端末26との接続ライン数を減らすことができる。
【0075】
図5は、本発明の実施形態に係るレンズ装置1と操作端末26をn対nの接続形態のネットワーク網21の例を示すブロック図であり、レンズ装置1の第2接続部16と操作端末26とをエンコーダ25を介して接続した構成を示す図である。
【0076】
図5に示すように、3台のレンズ装置1の第1接続部13をネットワーク網21を構成するネットワークハブ22、23にそれぞれ並列に接続し、2台のネットワークハブ22、23をネットワーク網21を構成するネットワークハブ24に並列に接続して、n台の操作端末26をネットワークハブ24に接続して、n台のレンズ装置1とn台の操作端末26間にn対nのネットワーク網21を構築している。
【0077】
また、図5に示す実施形態では、6台のレンズ装置1の第2接続部16からの各々の出力信号は、エンコーダ25を介して複数の操作端末26に直接入力される。
【0078】
図5に示すように、レンズ装置1の制御部9から第1接続部13の入出力端としてUSBコネクタ14又はイーサネットコネクタ15(図3に図示)を引き出し、USB又イーサーネットをネットワーク網21に接続し、ネットワーク網21を介して操作端末26の中央処理部27に接続するようにする。
【0079】
また、レンズ装置1における第2接続部16から出力信号用コネクタ17を引き出して、出力信号用コネクタ17を直接各操作端末26の中央処理部27(図1に図示)に接続するようにする。
【0080】
このように、レンズ装置1に第2接続部16を設けて、第2接続部16を操作端末26に直接接続することにより、レンズ装置1のレンズの動作完了信号がネットワーク網21を介することなく、直接操作端末26に入力されるため、レンズ機構の動作をリアルタイムで把握することができる。
【0081】
これにより、レンズ装置1と操作端末26との通信は、操作端末26からの信号に対してレンズ装置1が応答する通信形態(プロトコル)を有し、第1接続部13である汎用の通信インターフェースを介して行うため、ネットワーク網に多数のレンズ装置1を接続して、操作端末26で制御することが可能である。
【0082】
図5に示すネットワーク網21によれば、n台の操作端末26のうち1台の操作端末26でn台のレンズ装置1を駆動制御する制御体系、或いはn台の操作端末26をn台のレンズ装置1にそれぞれ割り振ることにより、対応する1台の操作端末26で1台のレンズ装置1を駆動制御する制御体系とすることが可能となる。
【0083】
このように、操作端末26からの汎用通信インターフェースである第1の通信インターフェース13bを介して移動動作命令に基づいて、レンズ本体2をカメラ本体20から独立させて制御することが可能である。
【0084】
更に、汎用通信インターフェースとは別に汎用インターフェースに依存しないリアルタイム性を持ったトリガ信号を出力する第2接続部16を有しており、リアルタイム性を必要とするレンズからの情報を別信号で出力することにより、操作端末26は、従来の通信形態(プロトコル)のようにレンズ装置1のレンズの動作状態を問い合わせる必要がないため、レンズの動作完了の応答するまでの間、他の処理が可能となる。このため操作端末26であるホスト側の負荷を軽減させることができる。
【0085】
以下に、レンズの動作信号に関して、汎用通信インターフェースによるレンズ装置1における操作端末(ホスト)側による駆動モータの動作状態(ステータス)の確認動作と、汎用通信インターフェースとは別に汎用インターフェースに依存しないリアルタイム性を持った出力信号であるトリガ信号を出力する第2接続部16を有するようにした本発明のレンズ装置1における操作端末(ホスト)側による駆動モータの動作状態(ステータス)の確認動作とについてタイミングチャート図を参照して説明する。
【0086】
図6(a)は、レンズ装置1における操作端末(ホスト)側による駆動モータの動作状態(ステータス)の確認動作を第1の通信インターフェース13bを使用して行う場合のタイミングチャート図、図6(b)は、本発明に係るレンズ装置1における操作端末(ホスト)側による駆動モータの動作状態(ステータス)の確認動作を第2の通信インターフェース16aを使用して行う場合のタイミングチャート図である。
【0087】
以下の説明では、操作端末26と制御するレンズ装置1とは、ネットワーク網21を介して接続されており、例えば、ズーム用駆動モータ3cを現在値(アドレス情報)の2000番地から3000番地に移動させるものとする。
【0088】
図6(a)に示すように、操作端末26は、レンズ装置1に対して、ズーム用駆動モータ3cの現在値(アドレス情報)を問い合わせる(タイミングT1)。レンズ装置1は、操作端末26に対してズーム用駆動モータ3cの現在値(アドレス情報)が2000番地であることを返信する(タイミングT2)。次に、操作端末26は、レンズ装置1に対して、ズーム用駆動モータ3cの位置が3000番地となるように、3000番地に移動するように命令を発する(タイミングT3)。レンズ装置1は、命令の受信後、ズーム用駆動モータ3cを2000番地から3000番地に移動するように制御する。また、レンズ装置1は、ズーム用駆動モータ3cのステータス情報のビットを停止中の情報である0(ローレベル)から動作中の情報である1(ハイレベル)に設定する(タイミングT4)。
【0089】
操作端末26は、レンズ装置1のズーム用駆動モータ3cが、3000番地に移動したかをレンズ装置1に問い合わせる(タイミングT5)。レンズ装置1は、ズーム用駆動モータ3cのステータス情報として1(ハイレベル)を出力する(タイミングT6)。操作端末26は、受信したレンズ装置1のズーム用駆動モータ3cのステータス情報が1(ハイレベル)のときには、ズーム用駆動モータ3cのステータス情報が0(ローレベル)になるまで、レンズ装置1に問い合わせを行う(タイミングT7)。レンズ装置1は、ズーム用駆動モータ3cが動作中であるためステータス情報として1(ハイレベル)を出力する(タイミングT8)。レンズ装置1は、ズーム用駆動モータ3cが3000番地に移動して停止した後、ステータス情報を0(ローレベル)に設定する(タイミングT9)。その後の操作端末26からの問い合わせに(タイミングT10)に対して、レンズ装置1から0(ローレベル)のステータス情報が出力され(タイミングT11)、操作端末26は、ズーム用駆動モータ3cが3000番地に移動して停止し、レンズの移動動作が完了したことを確認することができる(タイミングT12)。
【0090】
このため、汎用通信インターフェースである第1の通信インターフェース13bを用いたレンズ装置1における操作端末(ホスト)26側による駆動モータの動作状態(ステータス)の確認動作は、駆動モータの移動動作命令開始後、駆動モータの移動動作が完了するまでの間、例えば、図6(a)に示すT5、T7、T10の3回のタイミングで確認することが必要となり、操作端末26の処理が駆動モータの移動動作の完了確認で占有されてしまう。このため、操作端末26の処理効率が低下してしまう。
【0091】
本発明によるレンズ装置1は、汎用通信インターフェースとは別に汎用インターフェースに依存しないリアルタイム性を持ったトリガ信号を出力する第2の通信インターフェース16aを備える第2接続部を有し、図6(a)に示すタイミングT5以後の処理が異なる。したがって、図6(a)に示す丸印から図6(b)に示す丸印に移行する。図6(b)に示すように、レンズ装置1は、ズーム用駆動モータ3cが3000番地に移動して停止した後、ステータス情報を0(ローレベル)に設定し(タイミングT15)、第2接続部16から操作端末26に対して動作完了を通知するトリガ信号(動作完了信号)を出力する(タイミングT16)。操作端末26は、レンズ装置1からトリガ信号が入力されると、操作端末26のCPUに割り込み信号が通知され、ズーム用駆動モータ3cが3000番地に移動して停止し、レンズの移動動作が完了したことを確認することができる(タイミングT17)。
【0092】
このように、図1に示す第1の通信インターフェース13bを使用したステータスの確認動作の場合には、図6(a)に示すT5以降の処理では、レンズの状況の確認のため再三の送信処理が必要となり、リアルタイムで状況を把握することができない。また、適切なタイミングで送信処理を行わなければ、レンズ側からは応答がなく、レンズの状況がわからないという状態が発生する。そこで、本発明は、第2の通信インターフェース16a、すなわち、ネットワーク網21を介さないで制御部9との交信が可能となり、レンズの状況をリアルタイムに把握することができるようになった。
【0093】
即ち、汎用インターフェースに依存しないリアルタイム性を持ったトリガ信号を出力する第2の通信インターフェース16aを備える第2接続部を有することにより、駆動モータの移動動作命令開始後、駆動モータの移動動作が完了するまでの間、例えば、図6(a)に示すT3からT12の間でT3の1回のタイミングでの移動動作命令のみであるため、操作端末26の処理が駆動モータの移動動作の完了確認の処理を行う必要がなく、駆動モータの移動動作の完了確認で占有されてしまうことがない。このため、操作端末26の処理効率が低下することがない。また、駆動モータの停止後、操作端末26は直ちに次の処理を行うことができる。
【0094】
以上述べたように、図1に示すようにレンズ装置1は、制御部9に接続された汎用性を有する第1の通信インターフェース13bを形成する第1接続部13を設けたことにより、ネットワーク網21を介して操作端末26からの制御が可能となり、操作端末26からの駆動制御信号に基づいて多数のレンズ本体2をカメラ本体20から独立させて駆動制御することができる。従って、図1に示すように、制御部9からの駆動制御信号に基づいて、例えば、複数台のレンズ機構の内から2つのレンズ機構を同期させて駆動制御したり、レンズ機構を選択して駆動制御することが可能となる。
【0095】
また、図1に示すように、第2接続部16の第2の通信インターフェース16aによってレンズ本体2と操作端末26とが直接接続されており、制御部9からのレンズ機構が目標位置(アドレス)に到達したことを通知する動作完了信号をネットワーク網21を介さずに直接操作端末26に出力することが可能である。
【0096】
これにより、レンズ装置1の動作完了信号を起点にカメラ装置19で撮像して、撮像した画像の処理を行って検査する検査装置への使用が可能となる。
【0097】
次に、操作端末26のレンズ装置1に対応する操作画面の表示例及び操作ボタンについて図7を参照して説明する。図7は、本発明の実施形態における操作端末26の操作画面の表示例を示す図である。
【0098】
図1に示す操作端末26の振分部28及びデータ部29は、操作端末26の表示部30に表示され、表示される操作画面上での操作によりレンズ装置1の制御を行う。図7に示すように、操作端末26の操作画面32には、振分部28を操作する操作ボタン33と、操作ボタン33により選択され、振分部28が個別に認証したレンズ装置1の選択情報を表示する表示窓35が配置されている。また、操作端末26の操作画面32には、振分部28が認識したネットワーク網21上のレンズ装置1を操作端末26にOS(Operating System)を介して接続する接続ボタン36と、接続ボタン36で接続したレンズ装置1を操作端末26からOSを介して切り離す遮断ボタン37と、接続ボタン36及び遮断ボタン37の動作状態を表示する表示窓38と、レンズ装置1の選択情報を表示する表示窓35aとが表示される。
【0099】
図7に示すように、操作端末26の操作画面32には、中央処理部27で受け取った温度検出部12からの温度情報を取得する温度測定起動ボタン73が組み込まれ、温度測定起動ボタン73を操作してレンズ本体2の周辺の温度情報を取得して、取得した温度を周辺温度74として表示するようになっている。
【0100】
また、図7に示すように、レンズ装置1を特定するための特定情報には、レンズ装置1の選択情報34に加えて、ズームレンズ及びバリフォーカルレンズ並びに単焦点レンズなどのレンズモデル39、複数台のレンズ本体2が接続されたライン40の情報、そのライン40中での個々のレンズ本体2を表す位置情報41などが含まれている。
【0101】
このように、振分部28は、レンズ本体2を特定するための特定情報及び特性情報に基づいてレンズ本体2を個々に認識し、振分部28は認識したレンズ本体2の選択情報(特定情報)34を表示窓35に表示し、レンズモデル(特性情報)39をレンズモデル表示窓43に表示し、ライン40の情報(特定情報)と位置情報(特定情報)41を対応させて表示するようになっている。なお、図7では、ライン40の情報に基づいて複数台のレンズ本体2が接続されたラインを判別し、位置情報41に基づいてライン40における何番目のレンズ本体2であるかを表示するようにしている。なお、これらの表示例に限定するものではない。
【0102】
また、操作端末26の操作画面32には、レンズ本体2の駆動制御部としてのズーム用駆動制御部6、フォーカス用駆動制御部7、アイリス用駆動制御部8への駆動制御信号をそれぞれ出力するデータ部29が組み込まれている。即ち、図1に示すデータ部29として、ズーム調整用レンズ機構3を駆動制御する駆動制御信号を出力するズーム用データ部44と、フォーカス調整用レンズ機構4を駆動制御する駆動制御信号を出力するフォーカス用データ部45と、アイリス調整用ユニット機構5を駆動制御する駆動制御信号を出力するアイリス用データ部46を装備している。なお、必要により、操作画面上に光学フィルタ調整用レンズ機構に駆動制御信号を出力する光学フィルタ用データ部及びエクステンダー調整用レンズ機構に駆動制御信号を出力するエクステンダー用データ部を付加するようにしてもよい。
【0103】
また、図7に示すように、操作端末26の操作画面32には、ズーム用データ部44、フォーカス用データ部45、アイリス用データ部46にそれぞれのレンズ機構を初期化する初期化ボタン47、48、49が組み込まれている。
【0104】
図7に示す操作端末26の操作画面32におけるズーム用データ部44、フォーカス用データ部45及びアイリス用データ部46が制御する駆動モータは、ステッピングモータであり、ズーム用データ部44は、振分部28が認識したレンズ本体2の特性情報に基づいて、レンズ本体2の焦点距離のうち広角側の広角焦点距離アドレス50の特性情報と、望遠側の望遠焦点距離アドレス51の特性情報を表示し、広角焦点距離アドレス50と望遠焦点距離アドレス51との範囲内でズームスライドバー52をスライドさせて可変させた焦点距離アドレス情報53、54を表示するようになっている。さらに、ズーム用データ部44は焦点距離アドレス情報53の位置から、ステップ操作ボタン56を操作して焦点の微調整を行うためのステップ数の情報55を表示するようになっている。左側のステップ操作ボタン56を操作すると、ステップ数が減少し、右側のステップ操作ボタン56を操作すると、ステップ数が増加する設定になっている。
【0105】
図7に示すように、ズームスライドバー52で焦点距離アドレス情報54を「5000」の位置に可変させる場合を示しており、ズームスライドバー52を焦点距離アドレス「5000」の位置までスライドさせると、焦点距離アドレス情報53、54として「5000」の数字が表示される。
【0106】
図7に示す例では、レンズ装置1のレンズとしてバリフォーカルレンズを使用していることを前提としているため、ズーム調整用レンズ機構3でズームした場合、レンズのピント位置がずれてしまうため、再度レンズのピント位置を補正する必要がある。フォーカス用データ部45は、ズーム調整用レンズ機構3でズームした焦点距離(特性情報)に対応する近点と遠点のフォーカス用アドレス58、59の特性情報を表示し、そのフォーカス用アドレス58、59の範囲内でフォーカススライドバー63をスライドさせてピント位置を表すフォーカス用アドレス情報60、61を表示するようになっている。さらに、フォーカス用データ部45はピントの微調整を行うためのステップ数の情報62を表示するようになっている。
【0107】
図7に示す例では、レンズを通過する光量を可変して画像の明るさを調整したい場合はアイリスの調整を行うことができる。アイリスの調整を行うアイリス用データ部46は、アイリス調整における最大の絞り値(全開)と最小の絞り値(全閉)のアイリス用アドレス64、65の特性情報を表示し、そのアイリス用アドレス64、65の範囲内でアイリススライドバー66をスライドさせて絞りの開閉位置を表すアイリス用アドレス情報67、68を表示するようになっている。さらに、アイリス用データ部46は絞りの開閉位置を微調整するためのステップ数の情報69を表示するようになっている。なお、ズームの焦点距離、フォーカスの位置、アイリスの開閉度をアドレス情報として表示するようにしたが、これに限られるものではなく、アドレス情報に代えて、焦点距離やF値を表示するようにしてもよい。
【0108】
図7に示す操作端末26の操作画面32には、ズーム用データ部44及びフォーカス用データ部45並びにアイリス用データ部46のデータに基づいて駆動制御信号を出力して、レンズ機構を動作させるための実行ボタン70、71、72を組み込んでいる。実行ボタン70、71、72を操作すると、ズーム用データ部44、フォーカス用データ部45、アイリス用データ部46は、ズーム用のアドレスである焦点距離アドレス情報53(例えば「5000」の位置)、フォーカス用のアドレスであるフォーカス用アドレス情報60(例えば「4000」の位置)、アイリス用のアドレスであるアイリス用アドレス情報67(例えば「200」の位置)に対応させて、レンズ装置1のズーム用駆動制御部6、フォーカス用駆動制御部7、アイリス用駆動制御部8にデータを出力して、ズーム調整用レンズ機構3のズーム用駆動モータ3c、フォーカス用レンズ機構4のフォーカス用駆動モータ4c、アイリス調整用ユニット機構5のアイリス用駆動モータ5cを駆動制御するようになっている。
【0109】
また、操作端末26の操作画面32には、ズーム用データ部44、フォーカス用データ部45、アイリス用データ部46によって設定したズーム調整用レンズ機構3、フォーカス用レンズ機構4、アイリス調整用ユニット機構5のアドレス情報である焦点距離アドレス情報53、54、フォーカス用アドレス情報60、61及びアイリス用アドレス情報67、68を前もって登録することができるプリセット部75を備えている。プリセット部75は、最上段に位置するセットボタン1(76)が押されたことにより、Zoom1のズーム設定アドレス1(77)に焦点距離アドレス情報53の値(数値)を登録する。また、同時にFocus1のフォーカス設定アドレス1(78)にフォーカス用アドレス情報60の値が登録され、Iris1のアイリス設定アドレス1(79)にアイリス用アドレス情報67の値が登録される。
【0110】
同様に、ズーム用データ部44の焦点距離アドレス情報53、フォーカス用データ部45のフォーカス用アドレス情報60、アイリス用データ部46のアイリス用アドレス情報67にアドレス情報を設定して、最上段から次の下段に位置するセットボタン2(80)が押されたことにより、Zoom2のズーム設定アドレス2(81)に焦点距離アドレス情報53の値を登録する。また、同時にFocus2のフォーカス設定アドレス2(82)にフォーカス用アドレス情報60の値が登録され、Iris2のアイリス設定アドレス2(83)にアイリス用アドレス情報67の値が登録される。
【0111】
同様に、ズーム用データ部44の焦点距離アドレス情報53、フォーカス用データ部45のフォーカス用アドレス情報60、アイリス用データ部46のアイリス用アドレス情報67にアドレス情報を設定して、セットボタン3(84)が押されたことにより、Zoom3のズーム設定アドレス3(85)に焦点距離アドレス情報53の値を登録する。また、同時にFocus3のフォーカス設定アドレス3(86)にフォーカス用アドレス情報60の値が登録され、Iris3のアイリス設定アドレス3(87)にアイリス用アドレス情報67の値が登録される。
【0112】
また、ズーム用データ部44の焦点距離アドレス情報53、フォーカス用データ部45のフォーカス用アドレス情報60、アイリス用データ部46のアイリス用アドレス情報67にアドレス情報を設定して、セットボタン4(88)が押されたことにより、Zoom4のズーム設定アドレス4(89)に焦点距離アドレス情報53の値を登録する。また、同時にFocus4のフォーカス設定アドレス4(90)にフォーカス用アドレス情報60の値が登録され、Iris4のアイリス設定アドレス4(91)にアイリス用アドレス情報67の値が登録される。
【0113】
このように、プリセット部75は、例えば、ズーム用データ部44で設定した焦点距離アドレス情報53の数値がセットボタン1からセットボタン4を押すことによりZoom1のズーム設定アドレス1(77)からZoom4のズーム設定アドレス4(89)に対応したそれぞれの焦点距離アドレス情報53が登録される。表示例では、登録可能な焦点距離アドレス情報は4つであるが、これに限定するものではない。
【0114】
操作端末26は、プリセット部75においてズーム用データ部44、フォーカス用データ部45及びアイリス用データ部46のアドレス情報のデータを、例えば、検査装置における各検査工程と検査工程におけるレンズ機構の移動位置(アドレス情報)と関連づけて登録しておくようにする。これにより、検査装置における各レンズ機構の移動位置を、プリセット部75で登録した1から4までのセットボタンの番号(セット番号)を指定し、セット番号から設定したアドレス情報を読み出すことにより、検査工程毎の各レンズ機構の移動位置を容易に設定することができる。
【0115】
次に、操作端末26によるレンズ装置1のセッティングについて、図8に示すフローチャートを参照して説明する。レンズ装置1は、カメラ本体20に装着されており、カメラ本体20からの画像を処理して検査する検査装置に適用したレンズ装置1の実施形態について説明する。なお、複数台のレンズ装置1が1台の操作端末26にネットワーク網21で接続されているものとする。
【0116】
図8に示すように、最初に、操作端末26によりレンズ装置1を選択する(図8のステップS1)。レンズ本体2の選択は、図7に示す操作端末26の操作画面上の操作ボタン33を操作してネットワーク網に接続されたレンズ装置1から1台のレンズ本体(装置)1を選択する。選択したレンズ装置1の本体番号が図7に示す選択情報34の表示窓35に表示される。次に、図7に示す接続ボタン36を操作することにより、選択した選択情報34に該当するレンズ装置1が操作端末26からOSを介してソフト的に接続され(図8のステップS2)、接続された本体番号が表示窓35aに表示される。また、選択したレンズ装置1のライン40上におけるライン番号及び接続されている順番41が表示される。これにより、選択されたレンズ装置1のみが操作端末26による操作対象となり、それ以外のレンズ装置1はネットワーク網21上に存在するのみであり、操作端末26にソフト的に接続されておらず、操作端末26による操作対象にならない。
【0117】
また、ライン40におけるネットワーク網21上のレンズ装置1を切り替える場合には、遮断ボタン37を操作することにより、選択情報34に該当するレンズ装置1を操作端末26からOSを介してソフト的に切り離すようにして、切り離した後に、新たなレンズ装置1を選定する。
【0118】
レンズ装置1が操作端末26にソフト的に接続されると、図1に示すレンズ装置1のレンズ情報出力部10からレンズ機構の仕様を表す特性情報及びレンズ装置1を特定するための特定情報がネットワーク網21を介して出力される。操作端末26の振分部28は、図1に示すレンズ情報出力部10から出力される特性情報及び特定情報に基づいてレンズ装置1を認識し、振分部28はレンズ装置1のレンズモデル39をレンズモデル表示窓43に表示し、ライン40の情報と順番41の情報を対応させて操作画面32に表示する。
【0119】
図7に示す例では、レンズ装置1の選択情報34が「0062C174」であるレンズ装置1がライン40即ちネットワーク網21上から選択され、そのレンズモデル39が「LENS ABCDEFG」であり、その選択されたレンズ装置1がライン40(ネットワーク網21)上の順番41の「No2」に相当することが操作画面32上に表示される。これにより、オペレータは、レンズ装置1の接続状態を把握することができる。また、レンズ本体2の周辺の温度情報を必要とする場合には、温度測定起動ボタン73により、レンズ本体2の温度センサ11及び温度検出部12によって測定されたレンズ本体2の周辺の温度が表示される。
【0120】
図8に示すレンズ選択(ステップS1)及びレンズ接続(ステップS2)の処理が終了した時点で、図7に示す操作画面32、初期化ボタン47、48、49を操作することにより、レンズ装置1の初期化を行う(図8のステップS3)。以下では、レンズ装置1のズーム調整用レンズ機構3、フォーカス調整用レンズ機構4、アイリス調整用ユニット機構5の初期化処理について説明する。
【0121】
オペレータが図7に示す操作端末26の操作画面32上でズーム用の初期化ボタン47を操作すると、振分部28が割り当てたズーム用駆動制御部6に対してズーム調整用レンズ機構3を初期化するためのコマンドを発行し(図8のステップS10)、そのコマンドに基づいてズーム調整用レンズ機構3の現在値を読み込み、読み込んだズーム調整用レンズ機構3の現在値を操作画面32の焦点距離アドレス情報53、54に表示する(図8のステップS11)。また、ズーム調整用レンズ機構3のWIDE側及びTELE側の作動範囲を示す情報(特性情報)を読み込み、読み込んだ作動範囲をズーム調整用レンズ機構3の作動範囲を示す広角焦点距離アドレス50と望遠焦点距離アドレス51に表示する(図8のステップS12)。
【0122】
ズーム調整用レンズ機構3の初期化に関する一連の処理が終了すると、フォーカス調整用レンズ機構4に関する一連の初期化処理を開始させる。オペレータが図7に示す操作端末26の操作画面32上でフォーカス用の初期化ボタン48を操作すると、振分部28が割り当てたフォーカス用駆動制御部7に対してフォーカス調整用レンズ機構4を初期化するためのコマンドを発行し(図8のステップS13)、そのコマンドに基づいてフォーカス調整用レンズ機構4の現在値を読み込み読み込んだフォーカス調整用レンズ機構4の現在値を操作端末26の操作画面32のフォーカス用アドレス情報60、61に表示する(図8のステップS14)。また、フォーカス調整用レンズ機構4のNear側とInf側の作動範囲を示す情報(特性情報)を読み込み、読み込んだ作動範囲をフォーカス調整用レンズ機構4の作動範囲を示すフォーカス用アドレス58、59に表示する(図8のステップS15)。
【0123】
フォーカス調整用レンズ機構4の初期化に関する一連の処理が終了すると、アイリス調整用ユニット機構5に関する一連の初期化処理を開始させる。オペレータが図7に示す操作端末26の操作画面32上でアイリス用の初期化ボタン49を操作すると、振分部28が割り当てたアイリス用駆動制御部8に対してアイリス調整用ユニット機構5を初期化するためのコマンドを発行し(図8のステップS16)、そのコマンドに基づいてアイリス調整用ユニット機構5の現在値を読み込み、読み込んだアイリス調整用ユニット機構5の現在値を操作端末26の操作画面32のアイリス用アドレス情報67、68に特性情報に表示する(図8のステップS17)。また、アイリス調整用ユニット機構5のOpen側とClose側の作動範囲を示す情報(特性情報)を読み込み、読み込んだ作動範囲をアイリス調整用ユニット機構5の作動範囲を示すアイリス用アドレス64、65に表示する(図8のステップS18)。
【0124】
アイリス調整用ユニット機構5に関する初期化に関する一連の処理が終了した時点で、必要により、光学フィルタ調整用レンズ機構の初期化処理、エクステンダー調整用レンズ機構の初期化処理を行うようにする。
【0125】
上述した一連の初期化処理が終了すると、各レンズ機構を駆動制御して光学像をカメラ装置19で撮像して画像を確認しながら、レンズ機構の移動位置を前もつて登録するようにする。これは、検査装置における各検査工程と検査工程におけるレンズ機構の移動位置(アドレス情報)とを関連づけて登録しておくようにするためである。
【0126】
最初に、ズーム調整用レンズ機構の調整を行う(図8に示すステップS4)。ズーム調整用レンズ機構の調整は、ズーム用データ部44のステップ操作ボタン56による操作、ズームスライドバー52による操作、実行ボタン(Gotoボタン)70による操作のいずれかによって行う。これらの操作によって、操作端末26は、レンズ装置1のズーム調整用レンズ機構3のズーム用駆動モータ3cを駆動制御するコマンドをズーム用駆動制御部6に出力して、コマンドに基づいてズーム用駆動モータ3cを駆動制御することにより、ズーム調整用レンズ機構3のズーム調整を実行する。
【0127】
また、ズーム用データ部44は、ズーム調整用レンズ機構3のズーム調整の終了後におけるズーム調整用レンズ機構3の現在のズーム値を読み込み、読み込んだズーム値を焦点距離アドレス情報53、54として操作端末26の操作画面32上に表示する。
【0128】
次に、フォーカス調整用レンズ機構の調整を行う(図8に示すステップS5)。フォーカス調整用レンズ機構の調整は、フォーカス用データ部45のステップ操作ボタン56による操作、フォーカススライドバー63による操作、実行ボタン(Gotoボタン)71による操作のいずれかによって行う。これらの操作によって、操作端末26は、レンズ装置1のフォーカス調整用レンズ機構4のフォーカス用駆動モータ4cを駆動制御するコマンドをフォーカス用駆動制御部7に出力して、コマンドに基づいてフォーカス用駆動モータ4cを駆動制御することにより、フォーカス調整用レンズ機構4のフォーカス調整を実行する。
【0129】
また、フォーカス用データ部45は、フォーカス調整用レンズ機構4のズーム調整の終了後におけるフォーカス調整用レンズ機構4の現在のフォーカス値を読み込み、読み込んだフォーカス値をフォーカス用アドレス情報60、61として操作端末26の操作画面32上に表示する。
【0130】
更に、アイリス調整用ユニット機構の調整を行う(図8に示すステップS6)。アイリス調整用ユニット機構の調整は、アイリス用データ部46のステップ操作ボタン56による操作、アイリススライドバー66による操作、実行ボタン(Gotoボタン)72による操作のいずれかによって行う。これらの操作によって、操作端末26は、レンズ装置1のアイリス調整用ユニット機構5のアイリス用駆動モータ5cを駆動制御するコマンドをアイリス用駆動制御部8に出力して、コマンドに基づいてアイリス用駆動モータ5cを駆動制御することにより、アイリス調整用ユニット機構5のアイリス調整を実行する。
【0131】
また、アイリス用データ部46は、アイリス調整用ユニット機構5のアイリス調整の終了後におけるアイリス調整用ユニット機構5の現在のアイリス値を読み込み、読み込んだアイリス値をアイリス用アドレス情報67、68として操作端末26の操作画面32上に表示する。
【0132】
次に、ズーム調整用レンズ機構3、フォーカス調整用レンズ機構4及びアイリス調整用ユニット機構5の調整後に、プリセット部75のセットボタン1(76)を押すようにする。これにより、ズーム調整用レンズ機構3のレンズの焦点距離アドレス情報53が、ズーム設定アドレス1(77)に表示され、Zoom1のデータとして登録される。また、フォーカス調整用レンズ機構4のレンズのフォーカス用アドレス情報60が、フォーカス設定アドレス1(78)に表示され、Focus1のデータとして登録される。更に、アイリス調整用ユニット機構5のユニットのアイリス用アドレス情報67がアイリス設定アドレス1(79)に表示され、Iris1のデータとして登録される。
【0133】
次に、プリセット部75のセットボタンによるセット操作が終了したかを確認する(図8に示すステップS8)。所定のセット操作が終了したときには、レンズ機構の調整を終了する。一方、更に、セットボタンによる登録の操作を継続する場合には、ステップS4に移行する。
【0134】
なお、ズーム調整用レンズ機構3、フォーカス調整用レンズ機構4及びアイリス調整用ユニット機構5によるプリセット操作は、最大でセットボタン4までの設定アドレス情報の登録が可能である。なお、設定アドレスの最大登録数は、4に限定するものではない。
【0135】
以上の操作により、ズーム調整用レンズ機構、フォーカス調整用レンズ機構及びアイリス調整用ユニット機構の設定アドレス情報(位置情報)が登録される。
【0136】
次に、レンズ装置1を用いた検査装置について図9を参照して説明する。図9は、本発明の実施形態におけるレンズ機構を検査装置に用いた場合の操作端末26及びレンズ装置1の動作を説明するフローチャートである。以下の説明は、検査装置を制御する操作端末26によるレンズ装置1の制御及びレンズ装置1の動作について説明する。
【0137】
検査装置は、被検査物を撮像するレンズ装置1を備えたカメラ装置19と、カメラ装置19の撮像時に被検査物を照明する照明装置と、カメラ装置19からの画像を処理して検査を行う画像処理装置と、レンズ装置1、照明装置及び画像処理装置との通信、制御を行う操作端末26とからなる。また、レンズ装置1と操作端末26とは、例えば、図4(a)に示す接続形態を成しているものとする。また、前もって、レンズ装置1のズーム調整用レンズ機構のズーム設定アドレス、フォーカス調整用レンズのフォーカス設定アドレス機構及びアイリス調整用ユニット機構のアイリス設定アドレスのデータが操作端末26に登録されているものとする。なお、以下の説明は一例であり、これに限定するものではない。
【0138】
図9に示すように、最初に、検査装置の操作端末26は、被検査物に応じたズーム調整用レンズ機構、フォーカス調整用レンズ機構及びアイリス調整用ユニット機構の前もって登録した設定アドレスのデータ(位置情報)を検査工程順に取得しておく(ステップS20)。被検査物は、例えば、搬送装置やロボットアーム等により検査位置に設定される(ステップS21)。操作端末26は、最初の検査工程で使用するズーム調整用レンズ機構、フォーカス調整用レンズ機構及びアイリス調整用ユニット機構の設定アドレスのデータ(位置情報)を準備する(ステップS22)。
【0139】
検査工程で使用するズーム調整用レンズ機構、フォーカス調整用レンズ機構及びアイリス調整用ユニット機構の設定アドレスのデータ(位置情報)をネットワーク網を介してレンズ装置1に出力する(ステップS23)。レンズ装置1は、第1接続部13から各レンズ機構の移動命令、アドレスを制御部9で受信して、制御部9は各駆動制御部に駆動モータの移動量、移動命令を発して、レンズを所定の位置に移動するように制御する(ステップS30)。
【0140】
操作端末26は、各レンズ機構の設定アドレス情報(位置情報)を出力後に、レンズ装置1からの第2接続部16から出力される動作完了信号が入力されるかをチェックする(ステップ24)。動作完了信号の入力のチェックは、例えば、操作端末26に内蔵されているコンピュータの割り込み機能を使用することにより、操作端末26は、動作完了信号が入力されるまでの期間、他の処理を行うことができる。
【0141】
レンズ装置1の制御部9は、各レンズ機構を駆動する駆動モータの動作が終了してレンズの動作停止を確認し(ステップS31)、駆動モータの動作停止に第2接続部16から移動完了信号を操作端末26に出力する(ステップS32)。操作端末26は、レンズ装置1からの動作完了信号の確認後に、照明装置の照明を点灯させて、画像処理装置にカメラ装置19からの画像の取り込みを指示する(ステップS25)。
【0142】
また、操作端末26は、照明装置の照明を消灯させて、画像処理装置に対して画像処理を行って、被検査物を検査するように指示を行う(ステップS26)。操作端末26は、被検査物の検査が終了したかをチェックし(ステップS27)、検査が終了したと判断したとき(ステップS27がYes)には、搬送装置に対して、新たな被検査物を検査位置に設定するように指示を行い、ステップS21に移行する。
【0143】
一方、検査が終了していないとき(ステップS27がNo)には、操作端末26は、次の検査工程で使用するズーム調整用レンズ機構、フォーカス調整用レンズ機構及びアイリス調整用ユニット機構の設定アドレス情報のデータ(位置情報)を準備する(ステップS28)。その後、ステップS23に移行して、検査を継続する。
【0144】
このように、操作端末26は、ズーム用データ部44、フォーカス用データ部45、アイリス用データ部46によって設定したズーム調整用レンズ機構3の焦点距離アドレス情報53、フォーカス用レンズ機構4のフォーカス用アドレス情報60、アイリス調整用ユニット機構5のアイリス用アドレス情報67を前もって登録することができるため、検査装置での検査工程毎に、登録したアドレス情報と関連付けて記憶しておくことにより、効率的に検査を行うことができる。
【0145】
他の実施形態として、検査工程で被検査物までの距離に応じてレンズ機構のレンズの移動位置を調整する場合には、前もってレンズ装置のレンズ機構のレンズの位置を被検査物までの距離に応じて設定アドレス情報として登録しておく。
【0146】
検査工程において、測定されたレンズ装置から被検査物までの距離情報に基づき、前もって記憶していたレンズ機構の移動位置に対応する登録した設定アドレス情報を読み出して、ネットワーク網の第1の通信インターフェースによりレンズ装置に読み出したアドレス情報の移動位置に移動する命令を出力するようにする。
【0147】
このように、画像処理検査において、例えば、被検査物の位置が一定していない場合に、レンズ装置と被検査物との距離に応じたレンズ機構の最適な位置情報を設定アドレス情報として前もって登録しておき、検査工程で被検査物までの距離を測定し、測定した距離に対応したアドレス情報を読み出して、レンズ機構のレンズの位置を設定する。これにより、効率的に検査を行うことができる。
【0148】
以上説明したように本発明によれば、汎用通信インターフェースと汎用通信インターフェースとは別に汎用インターフェースに依存しないリアルタイム性を持ったトリガ信号を出力する信号線を有するようにして、レンズ装置からのリアルタイム性を必要とする情報を別信号で出力することにより、レンズ機構の駆動を起点にカメラで撮像して、高速に検査することが可能となる。
【0149】
また、本発明によれば、汎用通信インターフェースと汎用通信インターフェースとは別に汎用インターフェースに依存しないリアルタイム性を持ったトリガ信号を出力する信号線を有するようにして、リアルタイム性を必要とするレンズからの情報を別信号で出力することにより、レンズが応答するまでの間、操作端末であるホスト側の負荷を軽減させることができる
【0150】
また、本発明によれば、レンズ本体に内蔵され、光学像を結像させるためのレンズ機構と、レンズ本体に内蔵され、レンズ機構を駆動制御する駆動制御部と、駆動制御部に駆動制御信号を出力する制御部と、制御部への通信インターフェースを形成するネットワーク網を有するため、レンズと操作端末間をネットワーク網で接続することになり、レンズと操作端末間の接続形態をn対1、或いはn対nの接続形態に拡大することができる。
【0151】
複数台のレンズ装置と操作端末間の接続形態をn対1の形態に拡大することができるため、応答にリアルタイム性が要求される産業用などのカメラの場合、複数台のレンズ装置で同期させる、若しくは複数台のレンズ装置から任意の台数のレンズ装置を選択して駆動制御する場合にも即座に対応することができる。
【0152】
本発明は、カメラ本体とは独立して操作端末から操作することができるので、複数のレンズ装置の制御が可能であり、各レンズ装置の情報をリアルタイムに観察することも可能である。
【0153】
制御部からの駆動制御信号に基づいて、レンズ装置をカメラ本体から独立させて駆動制御するため、複数台のレンズ装置をネットワーク網で集約して1台の操作端末に接続する、若しくは複数台のレンズ装置を有するネットワーク網上に複数台の操作端末を接続させる構成を採用することができ、レンズ装置の応用範囲を拡大することができる。
【0154】
レンズ装置を制御する操作端末は、前もつて設定したレンズ機構のレンズ位置を記憶しておくため、画像処理による検査等で記憶したレンズの位置情報を読み出すことにより、レンズを所定の位置に高速で制御することができる。
【0155】
また、レンズ装置を制御する操作端末は、レンズ機構のレンズの動作完了の信号をリアルタイムで受信できるため、カメラ本体からの画像を処理して検査する検査装置においては高速処理が可能となる。
【0156】
この発明は、その本質的特性から逸脱することなく数多くの形式のものとして具体化することができる。よって、上述した実施形態は専ら説明上のものであり、本発明を制限するものではないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0157】
1 レンズ装置
2 レンズ本体
3 ズーム調整用レンズ機構
3a ズーム用リードスクリュー
3c ズーム用駆動モータ(ズーム用ステッピングモータ)
4 フォーカス調整用レンズ機構
4a フォーカス用リードスクリュー
4c フォーカス用駆動モータ(フォーカス用ステッピングモータ)
5 アイリス調整用ユニット機構
5a アイリスユニット
5c アイリス用駆動モータ(アイリス用ステッピングモータ)
6 ズーム用駆動制御部
7 フォーカス用駆動制御部
8 アイリス用駆動制御部
9 制御部(マイクロコンピュータ)
9a 制御基板
10 レンズ情報出力部
11 温度センサ
12 温度検出部
13 第1接続部
13a 電源供給インターフェース
13b 第1の通信インターフェース
14 USBコネクタ
15 イーサネットコネクタ
16 第2接続部
16a 第2の通信インターフェース
17 出力信号用コネクタ(第2接続部用コネクタ)
18 CSマウント
19 カメラ装置
20 カメラ本体
20a 撮像素子
21 ネットワーク網
22、23、24 ネットワークハブ
25 エンコーダ
26 操作端末(ホスト)
27 中央処理部
28 振分部
29 データ部
30 表示部
31 画像モニタ
32 操作画面
33 操作ボタン
34 選択情報(特定情報)
35、35a、38 表示窓
36 接続ボタン
37 遮断ボタン
39 レンズモデル(特性情報)
40 ライン
41 順番
43 レンズモデル表示窓
44 ズーム用データ部
45 フォーカス用データ部
46 アイリス用データ部
47、48、49 初期化ボタン
50 広角焦点距離アドレス
51 望遠焦点距離アドレス
52 ズームスライドバー
53、54 焦点距離アドレス情報
55 ステップ数の情報
56 ステップ操作ボタン
58、59 フォーカス用アドレス
60、61 フォーカス用アドレス情報
62 ステップ数の情報
63 フォーカススライドバー
64、65 アイリス用アドレス
66 アイリススライドバー
67、68 アイリス用アドレス情報
69 ステップ数の情報
70、71、72 実行ボタン
73 温度測定起動ボタン
74 周辺温度
75 プリセット部
76 セットボタン1
77 ズーム設定アドレス1
78 フォーカス設定アドレス1
79 アイリス設定アドレス1
80 セットボタン2
81 ズーム設定アドレス2
82 フォーカス設定アドレス2
83 アイリス設定アドレス2
84 セットボタン3
85 ズーム設定アドレス3
86 フォーカス設定アドレス3
87 アイリス設定アドレス3
88 セットボタン4
89 ズーム設定アドレス4
90 フォーカス設定アドレス4
91 アイリス設定アドレス4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9