(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】環境試験装置
(51)【国際特許分類】
G01N 17/00 20060101AFI20240130BHJP
【FI】
G01N17/00
(21)【出願番号】P 2023028874
(22)【出願日】2023-02-27
(62)【分割の表示】P 2019150148の分割
【原出願日】2019-08-20
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000108797
【氏名又は名称】エスペック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】桑田 研治
(72)【発明者】
【氏名】榎本 真一
(72)【発明者】
【氏名】垣尾 源明
【審査官】鴨志田 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-276715(JP,A)
【文献】特開昭61-052529(JP,A)
【文献】米国特許第04817422(US,A)
【文献】実開昭56-082536(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調されるチャンバーと、送風手段を有し、
前記チャンバー内に筒状の通風ダクトが設置されており、当該通風ダクトは、両端に開口部が設けられ、一方の前記開口部が前記チャンバー内に開口されるものであり、
前記チャンバー内であって前記通風ダクトの周囲に、前記通風ダクトを迂回する迂回流路があり、
前記通風ダクトを通過させる送風量と前記迂回流路を流れる送風量の割合を変化させる送風調節手段を有し、
前記通風ダクト内に供試体を設置して空調された通風環境に前記供試体を晒すことが可能であり、
前記一方の前記開口部は、前記通風ダクトの端部が全体的に開放されて構成された排出側開口であることを特徴とす
る環境試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験領域を通風環境にして環境試験を行うことができる環境試験装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
航空機や車両、汽車等は、飛行時や走行時に各部に風が当たる。そこで航空機や車両等の走行時等の環境を再現し、走行風等の影響を評価するため、試験領域を通風環境とし、その中に被試験物を晒して所望の試験を実施する場合がある(以下、通風試験と称する)。
また、供試体に当てる送風の温度や湿度を制御した状態で通風試験を行ないたいという要求がある。
この様な通風試験を実施することができる装置として、例えば特許文献1に開示された様な風洞試験装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された風洞試験装置は、自動車全体を試験領域に設置して通風試験を行なうものである。特許文献1に開示された風洞試験装置は、高性能であるが、装置自体が非常に大がかりであるという問題がある。
そのため、例えば自動車や航空機の一部品を対象として通風試験を行なう用途には不向きである。
本発明は、従来技術の上記した問題点に注目し、個々の部品等の比較的小型の物を対象として通風試験を実施する用途に適した環境試験装置を開発することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した課題を解決するための関連発明の態様は、空調されるチャンバーと、送風手段を有し、前記チャンバー内に筒状の通風ダクトが設置されており、当該通風ダクトは、両端に開口部が設けられ、一方の前記開口部が前記チャンバー内に開口されるものであり、前記チャンバー内であって前記通風ダクトの周囲に、前記通風ダクトを迂回する迂回流路があり、前記通風ダクトを通過させる送風量と前記迂回流路を流れる送風量の割合を変化させる送風調節手段を有し、前記通風ダクト内に供試体を設置して空調された通風環境に前記供試体を晒すことが可能であることを特徴とする環境試験装置である。
上記した態様において、前記一方の前記開口部は、前記通風ダクトの端部が全体的に開放されて構成された排出側開口であることが望ましい。
上記した課題を解決するためのもう一つの態様(関連発明)は、空調されるチャンバーと、送風手段を有し、前記チャンバー内に通風ダクトが設置されており、前記チャンバー内には前記通風ダクトを迂回する迂回流路があり、前記通風ダクトを通過させる送風量と、前記通風ダクトを迂回する送風量の割合を変化させる送風調節手段を有し、前記通風ダクト内に供試体を設置して空調された通風環境に前記供試体を晒すことが可能であることを特徴とする環境試験装置である。
【0006】
本態様の環境試験装置は、空調されるチャンバー内に通風ダクトを設置したものである。また、チャンバー内には通風ダクトを迂回する迂回流路がある。そして、送風量調節手段によって、通風ダクトを通過させる送風量と通風ダクトを迂回する送風量の割合を変化させることができる。
本態様の環境試験装置は、特許文献1に開示された装置に比べて全体形状や試験領域をはるかに小さくすることが可能であり、比較的小型の供試体を対象として通風試験を行なう用途に適している。
【0007】
上記した態様において、前記送風手段として、空調用送風手段と、送風負荷発生用送風手段を有し、前記送風負荷発生用送風手段は前記チャンバーの外部に設置されていることが望ましい。
【0008】
本態様によると、空調用送風手段の送風量を一定にしつつ、比較的大型の送風負荷発生用送風手段も搭載して、供試体を比較的高速の通風環境に晒すことができる。
【0009】
上記した態様において、前記送風負荷発生用送風手段は、前記チャンバー内の空気を吸引し、前記通風ダクトと前記迂回流路に送風するものであることが望ましい。
【0010】
本態様によると、全体形状や試験領域をより小型化することができる。また、通風ダクトの送風量にかかわらず、安定した温度、あるいは、温湿度の制御ができる。
【0011】
上記した態様において、前記チャンバーを開閉する扉を有し、前記通風ダクトは前記扉を開いた状態から見て横方向に空気が通過する姿勢で配置されており、少なくとも前記通風ダクトの一部を取り外すかあるいは開くことによって前記通風ダクト内に前記供試体を出し入れすることが可能であることが望ましい。
【0012】
本態様によると、通風ダクト内への供試体の出し入れが容易である。
【0013】
上記した態様において、前記チャンバーを開閉する扉を有し、前記通風ダクトは前記扉を開いた状態から見て奥方向から手前方向に空気が通過する姿勢で配置されており、前記通風ダクト内に前記供試体を出し入れすることが可能である構成とすることも推奨される。
【0014】
本態様によると、通風ダクト内への供試体の出し入れが容易である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の環境試験装置は、全体形状や試験領域を小さくすることが可能であり、比較的小型の物を対象として通風試験を実施する環境試験装置として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態の環境試験装置の系統図である。
【
図2】本発明の実施形態の環境試験装置の外観を示す斜視図である。
【
図3】
図2の環境試験装置のチャンバー部のA-A断面の概念図である。
【
図4】
図2の環境試験装置のチャンバー部のB-B断面の概念図である。
【
図5】チャンバー部内における空気の流れを概念的に説明する説明図である。
【
図7】本発明の他の実施形態の環境試験装置の系統図である。
【
図8】本発明の他の実施形態の環境試験装置の断面の概念図ある。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下さらに本発明の実施形態について説明する。本実施形態の環境試験装置1は、航空機や車両、汽車等の部品を供試体300とし、当該供試体300を通風環境に晒して性能や耐久性を試験することができる装置である。
環境試験装置1は、
図1に示す様に本体部100と、走行風発生部200によって構成されている。
本体部100は、
図1に示す様に、断熱壁2によって画定される断熱槽3を有している。そして、当該断熱槽3の内部に仕切り部材5があり、断熱槽3の内部が空調部6とチャンバー部7に区切られている。
【0018】
空調部6内には、空調機器8と送風機10が配されている。空調機器8は、冷却装置11及び加熱ヒータ(加熱装置)12によって構成されている。なお、これに加えて加湿装置が内蔵されていてもよい。
空調部6は、チャンバー部7と環状に連通する空調通風路15を有し、当該空調通風路15に前記した空調機器8と送風機10が内蔵されている。以下、空調部6の送風機10を空調用送風機10と称する。空調用送風機10はインバータ制御されており、回転数を変更することができる。
【0019】
空調通風路15は、断熱槽3の一部に形成され、空気吹き出し部16と空気導入部17の2箇所でチャンバー部7と連通している。
空調用送風機10を起動すると、チャンバー部7内の空気が空気導入部17から空調通風路15内に導入される。その結果、空調通風路15が通風状態となり、空調機器8に空気が接触して熱交換がなされる。そして空気吹き出し部16からチャンバー部7に温度調整後の空気が吹き出される。この様にチャンバー部7は、空調部6から導入される空気によって空調される空間である。
【0020】
本実施形態の環境試験装置1では、チャンバー部7内に通風ダクト20が配されている。通風ダクト20は、筒状であり、小型の風洞であると言える。通風ダクト20は両端に開口部が設けられている。一方の開口部は、空気導入側開口26であり、筒状断面の一部だけが開口している。他方の開口部は、空気排出側開口27であり、筒状断面の全体が開口している。
空気導入側開口26には、風向調整用のルーバー(風向調節部材)47が設けられている。
通風ダクト20は、チャンバー部7内の一部の領域を占める。逆に言えば、通風ダクト20の周囲には空間がある。本実施形態では、チャンバー部7内であって通風ダクト20の周囲の空間が、迂回流路21として機能する。
通風ダクト20には風速を測定するための小孔18が設けられている。
通風ダクト20内には供試体300が配置される。
【0021】
チャンバー部7の壁面には、主路用開口22と、副路用開口23及び吸気開口25が設けられている。
主路用開口22は、通風ダクト20の一端側の空気導入側開口26に面した位置に開口している。主路用開口22と通風ダクト20の空気導入側開口26の間は、短い接続部材45で繋がれている。
副路用開口23は、通風ダクト20の空気導入側開口26から離れ、迂回流路21に面した位置に開口している。吸気開口25は、前記した主路用開口22及び副路用開口23から離れた位置に開口している。
【0022】
走行風発生部200は、送風機30を有している。以下、送風機30を走行風用送風機(送風負荷発生用送風手段)30と称する。
走行風発生部200は、前記した走行風用送風機30とチャンバー部7を繋ぐ空気路を有している。空気路はいずれもダクトによって構成されている。
空気路の一つとして、チャンバー部7の吸気開口25と走行風用送風機30の吸気部を繋ぐ吸引路31がある。
また、走行風用送風機30の吐出側は、主供給路35と副供給路36に分岐し、それぞれチャンバー部7に接続されている。主供給路35は走行風用送風機30の吐出側とチャンバー部7の主路用開口22を繋ぐ流路である。副供給路36は、走行風用送風機30の吐出側とチャンバー部7の副路用開口23を繋ぐ流路である。
【0023】
また、主供給路35及び副供給路36にはダンパー37、38が設けられている。両者を区別するために主供給路35に取り付けられたダンパー37を主路ダンパー37と称し、副供給路36に取り付けられたダンパー38を副路ダンパー38と称する。
主路ダンパー37と副路ダンパー38は、共に図示しないモータによって開度を調節することができる。本実施形態では、主路ダンパー37と副路ダンパー38が、通風ダクト20を通過する送風量と通風ダクト20を迂回する送風量の割合を変化させる、送風調節手段として機能する。
また主供給路35には風量計50が取り付けられている。
【0024】
チャンバー部7内には第一温度センサー40と、第二温度センサー41が設けられている。第一温度センサー40は、チャンバー部7の空気吹き出し部16の近傍に設けられている。
第二温度センサー41は、接続部材45内に設置されている。
環境試験装置1は、温度調節器42と流量調節器43を有している。
温度調節器42には、前記した第一温度センサー40と第二温度センサー41の検知信号が、入力されている。また、温度調節器42の出力によって空調機器8が制御される。本実施形態では、主として第一温度センサー40が検知する空調部6からの吹き出し温度によって空調部6が制御され、第二温度センサー41が検知する接続部材45内の温度によって空調部6の制御が補正される。なお、接続部材45内の温度は、通風ダクト20内に供給される送風の温度と実質的に同じである。
【0025】
また、流量調節器43には、風量計50の検知信号が入力されている。そして、流量調節器43の出力信号によって、主路ダンパー37と副路ダンパー38の開度が調節される。
【0026】
次に、本体部100及び走行風発生部200の機能について説明する。
本体部100は、単独でチャンバー部7内に所望の温度環境を作ることが出来るものである。即ち、チャンバー部7は空調されるチャンバーである。
本体部100の空調用送風機10を駆動して空調通風路15内を通風状態とし、第一温度センサー40の検出値が設定環境の温度に近づく様に、空調機器8が制御される。
【0027】
空調用送風機10を運転することによって、空気導入部17からチャンバー部7内の空気が空調通風路15に導入され、空調通風路15内の空調機器8を通過して温度が整えられる。そして、温度が調整された空気が、空気吹き出し部16からチャンバー部7に戻され、チャンバー部7内に所望の温度環境が作られる。
【0028】
この状態で走行風発生部200を駆動することにより、通風ダクト20内が通風環境となり、通風ダクト20内の供試体300が、所望の温度であり且つ所望風速の通風環境に晒される。
即ち、走行風発生部200の走行風用送風機30を駆動すると、チャンバー部7の吸気開口25からチャンバー部7内の空気が吸引路31を経て走行風用送風機30に吸引される。そして、吸引された空気は、走行風用送風機30の吐出部から吐出され、主供給路35及び副供給路36を経由してチャンバー部7に入る。
【0029】
本実施形態では、走行風発生部200はチャンバー部7と環状に連通する空調流路を構成し、チャンバー部7内の空気を吸引してチャンバー部7に戻す。
ここで、チャンバー部7内は、空調部6によって空調されており、所望の温度に維持されている。本実施形態では、走行風発生部200は、チャンバー部7内の空気を吸い込んでチャンバー部7に戻すものであるから、走行風発生部200からチャンバー部7に吹き込まれる送風は、そもそも温度制御された空気である。
【0030】
本実施形態では、走行風発生部200の主供給路35を通過する空気は、主路用開口22からチャンバー部7に導入される。主路用開口22は、通風ダクト20の空気導入側開口26に面した位置に開口している。主路用開口22と通風ダクト20の間は、接続部材45で繋がれている。そのため、主路用開口22から排出された空気の略全量が通風ダクト20に導入される。
【0031】
本実施形態では、主供給路35を流れる空気は、直接的に通風ダクト20に導入され、通風ダクト20内の風速が上昇し風が起きる。即ち、通風ダクト20内が通風環境となる。前記した様に、主供給路35を流れる空気は、チャンバー部7内から吸引された空気であり、温度制御された空気であるから、通風ダクト20には、所定の温度に調整された空気が通過することとなる。
通風ダクト20を通過した空気は、空気排出側開口27からチャンバー部7内に排気される。
【0032】
一方、副供給路36を通過する空気は、副路用開口23からチャンバー部7に導入されるが、副路用開口23は通風ダクト20の空気導入側開口26から離れた位置に開口している。
そのため、副供給路36を流れる空気は通風ダクト20には入らず、通風ダクト20の周囲の迂回流路21を流れる。
【0033】
いずれの流路を流れる空気も、吸気開口25に吸引されて走行風発生部200に戻る。
また本実施形態では、主供給路35に主路ダンパー37が設けられ、副供給路36に副路ダンパー38が設けられ、両者はいずれも流量調節器43によって開度が調節される。そのため、通風ダクト20を通過させる送風量と通風ダクト20を迂回してチャンバー部7内の迂回流路21を流れる送風量の割合を、調節することができる。その結果、通風ダクト20内の風速を所望の風速に調整することができる。
この様に、本実施形態では、所望の温度に調整された空気が、所望の風速で通風ダクト20を通過する。そのため、供試体300には所望の温度の送風が吹きつけられる。
【0034】
以上、環境試験装置1の概要について系統図を参照しつつ説明した。次に、環境試験装置1の構成をより実体的に説明する。なお、
図1の系統図で説明した部材と同一の部材については、同一の番号を付すことによって、重複した説明を省略する。
【0035】
図2に示す環境試験装置1は、
図1の系統図に示したものと同等の流路構成を有するものである。
環境試験装置1は、
図2の様に本体部100と、走行風発生部200によって構成されている。本体部100の正面には、
図2、
図3の様に、扉60が設けられている。
本体部100は、
図3に示すように断熱壁2によって画定された断熱槽3を有している。
断熱槽3は、断熱壁2で形成された筐体であり、前面には開口61があり、開口61には扉60が設けられている。断熱槽3の内部には仕切り部材5があり、空調部6とチャンバー部7に区切られている。
【0036】
空調部6内には、空調機器8と空調用送風機10が配されている。
本実施形態では、仕切り部材5の上部に空気吹き出し部16があり、仕切り部材5の下部に空気導入部17がある。
空調部6は、チャンバー部7と環状に連通する空調通風路15を有し、当該空調通風路15に前記した空調機器8と空調用送風機10が内蔵されている。
空調通風路15は、空気吹き出し部16と空気導入部17の2箇所でチャンバー部7と連通している。
【0037】
チャンバー部7内に通風ダクト20が配されている。通風ダクト20は、チャンバー部7内の一部の領域を占める。通風ダクト20の周囲には、迂回流路21として機能する空間がある。
通風ダクト20は、
図5、
図6の様に、断面形状が四角形の筒である。通風ダクト20は、天面壁63、底面壁65及び両者を繋ぐ手前側面壁66及び奥側面壁67を有している。通風ダクト20の両端には開口部が設けられている。
本実施形態では、通風ダクト20の少なくとも一面が取り外し可能である。本実施形態では、
図6の様に、手前側面壁66が取り外し可能である。また、通風ダクト20の一つの側面壁の一部又は全部が開くものであってもよい。
【0038】
通風ダクト20は、扉60を開いた状態を基準として、チャンバー部7の左右の側壁70、71に開口を向けた姿勢で配置されている(
図4参照)。即ち、通風ダクト20は、扉60を開いた状態から見て横方向に空気が通過する姿勢で配置されている。そして、通風ダクト20の扉60に面した手前側面壁66を取り外すことができる。
本実施形態では、扉60を開くことによって、通風ダクト20の手前側面壁66が作業者に対向することとなる。そのため、作業者は扉60を開いて手前側面壁66を取り外し、通風ダクト20の中に供試体300を出し入れすることができる。
【0039】
本実施形態では、図面右側(
図4参照)の側壁71に主路用開口22と、副路用開口23及び吸気開口25が設けられている。
主路用開口22は、通風ダクト20の一端側の空気導入側開口26に面した位置に開口している。副路用開口23は、通風ダクト20の空気導入側開口26から離れ、迂回流路21に面した位置に開口している。吸気開口25は、前記した主路用開口22及び副路用開口23から離れた位置に開口している。
【0040】
走行風発生部200は、走行風用送風機30を有している。また、走行風発生部200は、吸引路31、主供給路35及び、副供給路36を有している。
本体部100は、単独でチャンバー部7内に所望の温度環境を作ることが出来るものである。
本体部100の空調用送風機10を運転して空調通風路15内を通風状態とし、第一温度センサー40の検出値が設定環境の温度に近づく様に、空調機器8が制御される。
【0041】
本実施形態では、仕切り部材5の下部に設けられた空気導入部17からチャンバー部7内の空気が空調通風路15に導入され、空調通風路15内の空調機器8を通過して温度・湿度が整えられる。そして、温度・湿度が調整された空気が、上部の空気吹き出し部16からチャンバー部7に戻され、チャンバー部7内に所望の温度環境が作られる。
【0042】
この状態で走行風発生部200を駆動することにより、通風ダクト20内が通風環境となり、通風ダクト20内の供試体300が、所望の温度であり且つ所望風速の通風環境に晒される。
即ち、走行風発生部200の走行風用送風機30を駆動すると、チャンバー部7の吸気開口25からチャンバー部7内の空気が、吸引路31を経て走行風用送風機30に吸引される。そして、吸引された空気は、走行風用送風機30から吐出され、主供給路35及び副供給路36を経由してチャンバー部7に入る。
主供給路35を通過する空気は、主路用開口22からチャンバー部7に導入されるが、
図3乃至
図5の様に、主路用開口22は、通風ダクト20の一端側の空気導入側開口26に面した位置に開口している。
【0043】
そのため、主供給路35を流れる空気は、直接的に通風ダクト20に導入され、通風ダクト20内の風速が上昇する。通風ダクト20に導入された送風は、供試体300の周辺を通過し、空気排出側開口27から排出される。
副供給路36を通過する空気は、副路用開口23からチャンバー部7に導入されるが、
図3乃至
図5の様に、副路用開口23は、通風ダクト20の空気導入側開口26から離れた位置に開口している。
そのため、副供給路36を流れる空気は、通風ダクト20には入らず、通風ダクト20の周囲の迂回流路21を流れる。
【0044】
いずれの流路を流れる空気も、吸気開口25に吸引されて走行風発生部200に戻る。
また、本実施形態では、主供給路35に主路ダンパー37が設けられ、副供給路36に副路ダンパー38が設けられ、両者はいずれも流量調節器43によって開度が調節される。そのため、通風ダクト20を通過させる送風量と通風ダクト20を迂回してチャンバー部7内の迂回流路21を流れる送風量の割合が、調節される。その結果、通風ダクト20内の風速を所望の風速に調整することができる。
また、本実施形態によると、通風ダクト20の送風量にかかわらず安定した温度、あるいは、温湿度の制御ができる。
【0045】
上記した実施形態では、通風ダクト20は、扉60を開いた状態を基準として、チャンバー部7の左右の側壁70、71に開口を向けた姿勢で配置されている(
図4参照)。
しかしながら、本発明は、このレイアウトに限定されるものではなく、
図8に示す環境試験装置400の様に、通風ダクト20を扉60が開いた状態から見て奥方向から手前方向に空気が通過する姿勢に配置してもよい。
【0046】
以上説明した環境試験装置1は、
図1、
図2に示す様に、本体部100と走行風発生部200によって構成されている。
上記した環境試験装置1では、本体部100内に空調用送風機10があり、走行風発生部200は走行風用送風機30を有している。
本態様によると、通風ダクト20に強力な風を発生させることができる。
しかしながら、本発明はこの構成に限定されるものではなく、いずれか一方の送風機を省略することもできる。
【0047】
例えば
図7に示す環境試験装置80の様に、チャンバー部7内であって空気吹き出し部16の下流側に、均圧空間81を設ける。環境試験装置80は、均圧空間81と通風ダクト20を連通するチャンバー内主供給路82と、均圧空間81と通風ダクト20の周囲を連通するチャンバー内副供給路83を有している。
また、チャンバー内主供給路82とチャンバー内副供給路83に、ダンパー85、86が設けられている。
【0048】
本実施形態の環境試験装置80では、ダンパー85、86が、通風ダクト20を通過させる送風量と通風ダクト20を迂回する送風量の割合を変化させる、送風調節手段として機能する。
本実施形態の環境試験装置80においても、空調用送風機10を運転することによって、チャンバー部7内に所望の温度環境が作られる。
【0049】
またダンパー85、86の開度を調節することにより、チャンバー内主供給路82を経由して通風ダクト20を通過させる送風量とチャンバー内副供給路83を経由してチャンバー部7内の迂回流路21を流れる送風量の割合が、調節される。その結果、通風ダクト20内を所望の風速に調整することができる。
【0050】
以上説明した実施形態では、空調部6とチャンバー部7が組み合わされて本体部100を構成しているが、空調部6とチャンバー部7が別体であってもよい。
【0051】
以上説明した実施形態では、送風調節手段として開度を変更可能な2個一組のダンパー37、38、85、86を採用した。この構成は推奨されるものであるが、開度を調節する部材はダンパーに限定されず、弁であってもよい。また、3方切り替え弁の様に、一つの弁で二つの流路の開度を調節するものであってもよい。
また、主路ダンパー37又は副路ダンパー38のいずれか一方だけを設け、各流路に流す送風量の割合を変化させてもよい。ダンパー85、86についても同様であり、いずれか一方のみを設けてもよい。
【0052】
本実施形態では、送風調節手段としてダンパー37、38、85、86を採用しているため、通風ダクト20を通過させる送風量と通風ダクト20を迂回する送風量の割合の変化幅が大きい。また、急速に送風割合を変化させることもできる。
そのため、例えば、自動車のアイドリング、加速、定速巡行、減速等の走行風の状態をシュミレーションすることができる。
【0053】
以上説明した実施形態では、通風ダクト20は断面形状が四角形の筒であるが、通風ダクト20の断面形状は限定されるものではなく、円形やかまぼこ状であってもよい。
【符号の説明】
【0054】
1、80、400 環境試験装置
6 空調部
7 チャンバー部
10 空調用送風機
20 通風ダクト
21 迂回流路
22 主路用開口
23 副路用開口
25 吸気開口
30 走行風用送風機(送風負荷発生用送風手段)
37 主路ダンパー(送風調節手段)
38 副路ダンパー(送風調節手段)
80 環境試験装置
85、86 ダンパー(送風調節手段)
100 本体部
200 走行風発生部
300 供試体