(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】アプリケーションプログラム、情報提供方法、および情報提供装置
(51)【国際特許分類】
G09B 29/00 20060101AFI20240131BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240131BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20240131BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
G09B29/00 F
G06Q50/10
G09B29/10 A
H04M11/00 302
(21)【出願番号】P 2022185117
(22)【出願日】2022-11-18
【審査請求日】2022-12-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500257300
【氏名又は名称】LINEヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【氏名又は名称】沖田 壮男
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】廣橋 孝紀
(72)【発明者】
【氏名】金木 雄太
(72)【発明者】
【氏名】田口 雄毅
(72)【発明者】
【氏名】高澤 省吾
【審査官】池田 剛志
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-147340(JP,A)
【文献】特開2011-179931(JP,A)
【文献】特開2022-154190(JP,A)
【文献】国際公開第2018/021378(WO,A1)
【文献】特開2021-125841(JP,A)
【文献】特開2007-087377(JP,A)
【文献】特開2013-114492(JP,A)
【文献】特開2017-015748(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第114882675(CN,A)
【文献】特開2019-056574(JP,A)
【文献】防災情報全国避難所ガイド [online],2022年10月27日,URL:https://web.archive.org/web/20221027081118/http://www.hinanjo.jp/,<2023年2月1日検索>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C21/00-21/36
23/00-25/00
G06Q10/00-10/10
30/00-30/08
50/00-50/20
50/26-99/00
G09B23/00-29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
人間の生活に影響を及ぼすイベントによってネットワークがオフラインまたは前記ネットワークの通信が遅延した所定の状態になった場合にユーザがイベントに対処するために役立つ地図に関連する特定情報を、前記ネットワークがオンライン時または前記遅延が生じていないときに前記ネットワークを介して取得させ、
前記イベントによって前記ネットワークが前記所定の状態になった場合に、前記特定情報に含まれる前記イベントの種別に対応するハザードマップと、前記特定情報に含まれる複数の種類の施設の中から所定の種類の施設とをユーザに選択させるインターフェース画面を表示部に表示させ、
前記ユーザが選択したハザードマップと種類の施設とを重畳させて前記表示部に表示させる、
アプリケーションプログラムであって、
前記特定情報は、前記ユーザに関連付けられた第1位置を含む地図情報と、前記第1位置から前記ユーザに関連付けられた第2位置までの経路の情報と、前記第1位置付近に存在する避難を行うための場所に関する情報と、前記第1位置付近に存在するライフラインに関連する施設に関する情報とのうち、一以上の情報を含み、
前記コンピュータに、
前記イベントによって前記ネットワークが前記所定の状態になった場合に、前記特定情報を表示部に表示させ、
前記第1位置は、前記ユーザが前記アプリケーションプログラムを操作して検索した場所と、前記ユーザがネットワークにおける他のサービスで検索した場所とのうち、一以上の情報に基づいて得られた前記ユーザが将来訪れると推定される位置を含む、
アプリケーションプログラム。
【請求項2】
前記コンピュータに、
災害である前記イベントによって前記ネットワークが前記所定の状態になった場合に、前記ユーザに関連付けられた第1位置から前記ユーザに関連付けられた第2位置までの経路の情報を表示部に表示させ、
前記経路の情報は、第1経路とは異なる第2経路を含み、
前記第1経路は、公共交通機関を利用して効率的に前記第1位置から前記第2位置に向かう経路であり、
前記第2経路は、
前記ネットワークがオンライン時または前記遅延が生じていないときに前記ネットワークを介して事前に取得された複数の前記災害の種別のそれぞれに応じた経路のうちユーザが選択した経路であって、
前記第1経路で利用する前記公共交通機関の経路が前記イベントによって利用することができなかったと想定した場合において迂回して前記経路を利用せずに前記公共交通機関の他の経路を利用して前記第1位置から前記第2位置に到達することができる経路であって前記イベントが生じていないときには前記ユーザに提案されない経路である、
請求項1に記載のアプリケーションプログラム。
【請求項3】
前記イベントは、洪水、土砂崩れ、津波、または地震を含む、
請求項1に記載のアプリケーションプログラム。
【請求項4】
コンピュータに、
人間の生活に影響を及ぼすイベントによってネットワークがオフラインまたは前記ネットワークの通信が遅延した所定の状態になった場合にユーザがイベントに対処するために役立つ地図に関連する特定情報を、前記ネットワークがオンライン時または前記遅延が生じていないときに前記ネットワークを介して取得させ、
前記イベントによって前記ネットワークが前記所定の状態になった場合に、前記特定情報に含まれる前記イベントの種別に対応するハザードマップと、前記特定情報に含まれる複数の種類の施設の中から所定の種類の施設とをユーザに選択させるインターフェース画面を表示部に表示させ、
前記ユーザが選択したハザードマップと種類の施設とを重畳させて前記表示部に表示させ、
前記特定情報は、前記ユーザの自宅、職場、および前記ユーザが所定の頻度以上で利用する施設の位置である所定の位置を含む地図情報と、前記所定の位置間の経路の情報と、前記所定の位置付近に存在する避難を行うための場所に関する情報と、前記所定の位置付近に存在するライフラインに関連する施設に関する情報とを含み、
前記コンピュータに、
前記イベントによって前記ネットワークが前記所定の状態になった場合に、前記所定の位置を含む地図情報と、前記所定の位置間の経路の情報と、前記所定の位置付近に存在する避難を行うための場所に関する情報と、前記所定の位置付近に存在するライフラインに関連する施設に関する情報とを表示部に表示させ、
前記所定の位置は、前記ネットワークがオンラインの場合に取得された前記ユーザの端末装置の位置情報の履歴に基づいて推定された位置である、
アプリケーションプログラム。
【請求項5】
コンピュータが、
アプリケーションプログラムと協働して、
人間の生活に影響を及ぼすイベントによってネットワークがオフラインまたは前記ネットワークの通信が遅延した所定の状態になった場合にユーザがイベントに対処するために役立つ地図に関連する特定情報を、前記ネットワークがオンライン時または前記遅延が生じていないときに前記ネットワークを介して取得し、
前記イベントによって前記ネットワークが前記所定の状態になった場合に、前記特定情報に含まれる前記イベントの種別に対応するハザードマップと、前記特定情報に含まれる複数の種類の施設の中から所定の種類の施設とをユーザに選択させるインターフェース画面を表示部に表示し、
前記ユーザが選択したハザードマップと種類の施設とを重畳させて前記表示部に表示する、
情報提供方法であって、
前記特定情報は、前記ユーザに関連付けられた第1位置を含む地図情報と、前記第1位置から前記ユーザに関連付けられた第2位置までの経路の情報と、前記第1位置付近に存在する避難を行うための場所に関する情報と、前記第1位置付近に存在するライフラインに関連する施設に関する情報とのうち、一以上の情報を含み、
前記コンピュータが、
前記イベントによって前記ネットワークが前記所定の状態になった場合に、前記特定情報を表示部に表示し、
前記第1位置は、前記ユーザが前記アプリケーションプログラムを操作して検索した場所と、前記ユーザがネットワークにおける他のサービスで検索した場所とのうち、一以上の情報に基づいて得られた前記ユーザが将来訪れると推定される位置を含む、
情報提供方法。
【請求項6】
人間の生活に影響を及ぼすイベントによってネットワークがオフラインまたは前記ネットワークの通信が遅延した所定の状態になった場合にユーザがイベントに対処するために役立つ地図に関連する特定情報を、前記ネットワークがオンライン時または前記遅延が生じていないときに前記ネットワークを介して取得し、
前記イベントによって前記ネットワークが前記所定の状態になった場合に、前記特定情報に含まれる前記イベントの種別に対応するハザードマップと、前記特定情報に含まれる複数の種類の施設の中から所定の種類の施設とをユーザに選択させるインターフェース画面を表示部に表示し、
前記ユーザが選択したハザードマップと種類の施設とを重畳させて前記表示部に表示する、
情報提供装置であって、
前記特定情報は、前記ユーザに関連付けられた第1位置を含む地図情報と、前記第1位置から前記ユーザに関連付けられた第2位置までの経路の情報と、前記第1位置付近に存在する避難を行うための場所に関する情報と、前記第1位置付近に存在するライフラインに関連する施設に関する情報とのうち、一以上の情報を含み、
前記イベントによって前記ネットワークが前記所定の状態になった場合に、前記特定情報を表示部に表示し、
前記第1位置は、前記ユーザが前記情報提供装置と協働するアプリケーションプログラムを操作して検索した場所と、前記ユーザがネットワークにおける他のサービスで検索した場所とのうち、一以上の情報に基づいて得られた前記ユーザが将来訪れると推定される位置を含む、
情報提供装置。
【請求項7】
コンピュータが、
人間の生活に影響を及ぼすイベントによってネットワークがオフラインまたは前記ネットワークの通信が遅延した所定の状態になった場合にユーザがイベントに対処するために役立つ地図に関連する特定情報を、前記ネットワークがオンライン時または前記遅延が生じていないときに前記ネットワークを介して取得し、
前記イベントによって前記ネットワークが前記所定の状態になった場合に、前記特定情報に含まれる前記イベントの種別に対応するハザードマップと、前記特定情報に含まれる複数の種類の施設の中から所定の種類の施設とをユーザに選択させるインターフェース画面を表示部に表示し、
前記ユーザが選択したハザードマップと種類の施設とを重畳させて前記表示部に表示し、
前記特定情報は、前記ユーザの自宅、職場、および前記ユーザが所定の頻度以上で利用する施設の位置である所定の位置を含む地図情報と、前記所定の位置間の経路の情報と、前記所定の位置付近に存在する避難を行うための場所に関する情報と、前記所定の位置付近に存在するライフラインに関連する施設に関する情報とを含み、
前記コンピュータが、
前記イベントによって前記ネットワークが前記所定の状態になった場合に、前記所定の位置を含む地図情報と、前記所定の位置間の経路の情報と、前記所定の位置付近に存在する避難を行うための場所に関する情報と、前記所定の位置付近に存在するライフラインに関連する施設に関する情報とを表示部に表示し、
前記所定の位置は、前記ネットワークがオンラインの場合に取得された前記ユーザの端末装置の位置情報の履歴に基づいて推定された位置である、
情報提供方法。
【請求項8】
人間の生活に影響を及ぼすイベントによってネットワークがオフラインまたは前記ネットワークの通信が遅延した所定の状態になった場合にユーザがイベントに対処するために役立つ地図に関連する特定情報を、前記ネットワークがオンライン時または前記遅延が生じていないときに前記ネットワークを介して取得し、
前記イベントによって前記ネットワークが前記所定の状態になった場合に、前記特定情報に含まれる前記イベントの種別に対応するハザードマップと、前記特定情報に含まれる複数の種類の施設の中から所定の種類の施設とをユーザに選択させるインターフェース画面を表示部に表示し、
前記ユーザが選択したハザードマップと種類の施設とを重畳させて前記表示部に表示し、
前記特定情報は、前記ユーザの自宅、職場、および前記ユーザが所定の頻度以上で利用する施設の位置である所定の位置を含む地図情報と、前記所定の位置間の経路の情報と、前記所定の位置付近に存在する避難を行うための場所に関する情報と、前記所定の位置付近に存在するライフラインに関連する施設に関する情報とを含み、
前記イベントによって前記ネットワークが前記所定の状態になった場合に、前記所定の位置を含む地図情報と、前記所定の位置間の経路の情報と、前記所定の位置付近に存在する避難を行うための場所に関する情報と、前記所定の位置付近に存在するライフラインに関連する施設に関する情報とを表示部に表示し、
前記所定の位置は、前記ネットワークがオンラインの場合に取得された前記ユーザの端末装置の位置情報の履歴に基づいて推定された位置である、
情報提供装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アプリケーションプログラム、情報提供方法、および情報提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、災害発生後、迅速かつ容易に緊急避難経路をユーザに提示する携帯端末が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この端末装置は、現在位置検出機能を用いて特定された現在位置から最寄りの緊急避難場所及び前記現在位置から当該最寄りの緊急避難場所への避難経路を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、通信の状態について考慮されていなく、利用者の利便性が低い場合があった。
【0005】
本発明は、このような事情が考慮されたものであり、利用者の利便性を向上させることができるアプリケーションプログラム、情報提供方法、および情報提供装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、コンピュータに、人間の生活に影響を及ぼすイベントによってネットワークがオフラインまたは前記ネットワークの通信が遅延した所定の状態になった場合にユーザがイベントに対処するために役立つ地図に関連する特定情報を、前記ネットワークがオンライン時または前記遅延が生じていないときに前記ネットワークを介して取得させ、前記イベントによって前記ネットワークが前記所定の状態になった場合に、前記特定情報を表示部に表示させるアプリケーションプログラムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、利用者の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】情報提供システム1の機能構成の一例を示す図である。
【
図2】特定情報284の内容の一例を示す図である。
【
図4】地図アプリ282が地図情報およびハザードマップを取得した場合に表示部220に表示される画面IM2の一例を示す図(その1)である。
【
図5】地図アプリ282が地図情報およびハザードマップを取得した場合に表示部220に表示される画面IM3の一例を示す図(その2)である。
【
図6】インターフェース画面IM4の一例を示す図である。
【
図7】洪水のハザードマップを含むインターフェース画面IM5の一例を示す図である。
【
図8】地震のハザードマップを含むインターフェース画面IM6の一例を示す図である。
【
図9】避難場所(避難施設)が対応付けられた地図情報を含むインターフェース画面IM7の一例を示す図である。
【
図10】表示を設定するためのインターフェース画面IM8の一例を示す図である。
【
図11】インターフェース画面IM9の一例を示す図である。
【
図12】経路の情報を含むインターフェース画面IM10の一例を示す図である。
【
図13】自宅周辺マップのインターフェース画面IM11の一例を示す図である。
【
図14】地図アプリ282と情報処理装置100とにより実行される処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図15】第2実施形態の端末装置200Aの機能構成の一例を示す図である。
【
図16】第2実施形態の特定情報284に含まれる情報の一例を示す図である。
【
図17】指定した領域の地図情報が表示できる場合のインターフェース画面の一例を示す図である。
【
図18】指定した領域の地図情報が表示できない場合のインターフェース画面の一例を示す図である。
【
図19】特定情報284のリクエストについて説明するための図である。
【
図20】統合された地図情報のインターフェース画面IM23である。
【
図21】特定情報284を指定するためのインターフェース画面IM24である。
【
図22】提供する特定情報284を指定するためのインターフェース画面IM25である。
【
図23】端末装置200と他の端末装置とにより実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図24】通信ネットワークを利用した特定情報284のリクエストと、特定情報284の提供との処理について説明するための図である。
【
図25】入力された情報を含む位置情報を含むインターフェース画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明のアプリケーションプログラム、情報提供方法、および情報提供装置の実施形態について説明する。
【0010】
本実施形態の一態様のアプリケーションプログラムは、コンピュータに、人間の生活に影響を及ぼすイベントによってネットワークがオフラインまたは前記ネットワークの通信が遅延した所定の状態になった場合にユーザがイベントに対処するために役立つ地図に関連する特定情報を、前記ネットワークがオンライン時オンライン時または前記遅延が生じていないときに前記ネットワークを介して取得させ、前記イベントによって前記ネットワークが前記所定の状態になった場合に、前記特定情報を表示部に表示させる。イベントとは、例えば、災害であり、自然災害または人為災害である。イベントは災害に限らず、他の事象であってもよい。
【0011】
本実施形態の一態様のアプリケーションプログラムは、端末装置のコンピュータに、通信インフラであるネットワークの障害によってユーザが指定した領域の地図に関連する特定情報を表示部に表示することができない場合、前記ネットワークとは異なる通信手段を利用して、他の端末装置にインストールされたアプリケーションプログラムに前記領域の前記特定情報の提供をリクエストさせ、前記リクエストに応じて提供された前記特定情報を前記表示部に表示させる。
【0012】
通信インフラであるネットワークとは、インターネットや携帯端末用のネットワークなど社会基盤として敷設または運用されている通信のネットワークである。障害とは、上記のネットワークが何らかの理由で通信が遅延したり、通信に不具合が生じたりしたことである。障害とは、災害により生じた障害や技術的な要因によって生じた障害など種々の障害である。前記ネットワークとは異なる通信手段は、例えば、無線通信であってもよいし、有線通信であってもよい。前記ネットワークとは異なる通信手段は、例えば、不特定または特定のユーザ間における短距離無線通信である。
【0013】
<第1実施形態>
[情報提供システム]
図1は、情報提供システム1の機能構成の一例を示す図である。情報提供システム1は、例えば、情報処理装置100と、一以上のユーザの端末装置200を備える。情報処理装置100および端末装置200は、ネットワークNWを介して通信する。ネットワークNWは、例えば、WAN(Wide Area Network)やLAN(Local Area Network)、インターネット、プロバイダ装置、無線基地局、専用回線などのうち一部または全部を含む。なお、以下で説明する情報処理装置100の機能の一部は、端末装置200が有してもよいし、他の装置が有していてもよい。
【0014】
[情報処理装置]
情報処理装置100は、例えば、ユーザに地図に関するサービスを提供するサーバである。情報処理装置100は、例えば、通信部110と、情報処理部120と、推定部130と、経路探索部140と、記憶部180とを備える。情報処理部120と、推定部130と、経路探索部140とは、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。
【0015】
記憶部180は、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SDカード、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disc Drive)、レジスタ等によって実現される。また、記憶部180の一部または全部は、NAS(Network Attached Storage)や外部ストレージサーバ装置等であってもよい。記憶部180には、例えば、地図情報182、特定情報184、およびユーザ情報186が記憶されている。特定情報184は、特定情報284と同様の情報、または特定情報284を包含する情報である。
【0016】
通信部110は、ネットワークNWに接続するための通信インターフェースである。通信部110は、例えばネットワークインターフェースカードである。
【0017】
情報処理部120は、地図アプリ282と連携して各種処理を実行する。情報処理部120は、地図アプリ282のリクエストに応じた情報を取得し、取得した情報を地図アプリ282へ提供する。
【0018】
推定部130は、ユーザが興味を持っている場所や、これから行きそうな場所(これから訪れそうな場所)を推定する。この処理の詳細については後述する。
【0019】
経路探索部140は、対象の場所から他の場所までの各種移動手段ごとの経路を導出し、導出した経路を地図アプリ282に提供する。この処理の詳細については後述する。
【0020】
[端末装置]
端末装置200は、スマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータなどの通信機能等を有するコンピュータ装置である。端末装置200は、通信部210と、表示部220と、操作部230と、測位部240と、制御部250と、記憶部280とを備える。
【0021】
通信部210は、ネットワークNWに接続された無線基地局と無線通信を行う無線通信モジュールである。表示部220は、液晶表示装置などの表示装置である。操作部230は、ユーザからの操作指示を受け付ける装置である。なお、表示部220および操作部230は、例えば、タッチパネルディスプレイとして構成されている。
【0022】
測位部240は、例えばGPS(Global Positioning System)受信機である。測位部240は、衛星から受信した電波に基づく測位を行って、端末装置200の位置(すなわちユーザの位置)を特定する。また、端末装置200は、通信部210が通信可能な無線基地局の位置から端末装置200の位置を推定してもよい。
【0023】
制御部250は、CPU等のプロセッサが、記憶部280に記憶された地図アプリケーションプログラム(地図アプリ282)を実行することで実現される。制御部250は、情報処理装置100と協働して地図に関する情報をユーザに提供する。端末装置200が、ネットワークNWを介して情報処理装置100と通信できない状態または通信しづらい状態である場合(オフライン時または通信の遅延時)には、予め取得されている特定情報284を表示部220に表示させてユーザに有益な情報を提供する。特定情報284は、地図情報などの地図に関連する情報である(詳細は後述する)。
【0024】
記憶部280は、例えば、RAMやROM、HDD、フラッシュメモリ、またはこれらのうち複数が組み合わされたハイブリッド型記憶装置などにより実現される。記憶部280には、地図アプリ282および特定情報284が格納されている。
【0025】
図2は、特定情報284の内容の一例を示す図である。特定情報284は、ユーザに関連付けられた位置を含み当該位置の周辺の地図情報と、当該位置を含み当該位置の周辺の各種ハザードマップ(地図情報)と、地図情報に応じた領域における避難を行うための場所である避難場所(または避難所)およびライフラインの提供場所と、POI(Point of Interest)と、各位置までの経路(第1位置から第2位置までの経路、所定の地点間の経路)とが互いに対応付けられた情報である。
【0026】
ユーザに関連付けられた位置(第1位置または第2位置)は、例えば、ユーザの自宅の位置と、ユーザの職場の位置と、ユーザが所定の頻度以上で利用する施設の位置と、ユーザが指定した位置と、ユーザが将来訪れると推定される位置とのうち、一以上の位置を含む。この詳細については後述する。
【0027】
ハザードマップとは、予測された災害による被害の範囲や被害の程度を示す地図情報である。災害とは、洪水や、地震、土砂災害、津波などである(後述する
図7、
図8参照)。
【0028】
避難場所(または避難所)は、災害が生じた場合に避難する場所または施設である。避難場所は、公園や、学校、公民館など予め行政によって定められた施設の他、避難場所または施設として適切と推定される場所または施設を含んでもよい。これらの避難場所は、災害の種別ごとに定められていてもよい。
【0029】
ライフラインとは、生活に必要な設備や物資などである。ライフラインの提供場所とは、食料、水、防寒具などの生活に必要な物資の提供場所や、電気やガス、石油などのエネルギーの提供場所、通信設備の提供場所、各種情報の提供場所などである。POIは、地図情報に対応付けられている施設や場所の情報である。
【0030】
経路とは、例えば、職場から自宅までの経路や、よく行く場所から自宅までの経路、行きそうな場所から自宅までの経路などである。経路は、例えば、種々の移動手段による経路である。移動手段とは、車やバイク(二輪車両)、自転車、徒歩、バスや電車、地下鉄などの公共交通機関などである。
【0031】
[特定情報の取得について]
ユーザが地図アプリ282を起動させる操作を行った場合、地図アプリ282のホーム画面が表示部220に表示される。
図3は、ホーム画面IM1の一例を示す図である。ホーム画面IM1は、例えば、通信が遅延時またはオフライン時に表示部220に表示される画面であってもよいし、通信が遅延していないまたはオフラインでない場合、表示される画面であってもよい。通信の遅延時またはオフライン時には、防災モードを起動させるボタンを、そうでない場合よりも目立つような態様であってもよい。以下の説明では、オフライン時の防災モードの活用について説明するが、遅延時においても同様である。
【0032】
ホーム画面IM1は、地図アプリ282を防災モードで利用するためのボタンB1を含む。ユーザがボタンB1を操作すると、地図アプリ282は防災モードで動作する。防災モードとは、ネットワークNWを利用した通信が遅延したまたは通信ができないオフラインであっても特定情報284を利用してユーザに情報を提供するモードである。防災モードは、オンラインであっても利用できる。この場合、ネットワークNWを利用した通信ができるオンラインで得られる情報と、特定情報284とのうち一方または双方を利用して、ユーザに情報が提供されてもよい。オンラインである場合、防災モードにおける動作によって特定情報284が取得されたり、更新されたりする。
【0033】
オンラインである場合、地図アプリ282は、情報処理装置100から特定情報184を取得し、取得した特定情報184を特定情報284として記憶部280に記憶させる。例えば、ユーザが地図アプリ282を操作して自宅や職場の場所など任意の場所を指定し、所定の操作を行うと、自宅の位置およびその周辺を含む領域の地図情報や、職場の位置およびその周辺を含む領域の地図情報を取得する。地図情報の取得は、ユーザの操作に依らずに、自動で行われてもよい。この場合、ユーザの自宅や職場は、地図アプリ282が取得した端末装置200の位置情報の履歴に基づいて推定されてもよい。また、地図アプリ282は、手動または自動で、情報処理装置100から地図情報に対応するハザードマップを取得する。例えば、地図アプリ282は、上記の地図情報を取得した場合に自動で当該地図情報に対応するハザードマップを取得する。
図4は、地図アプリ282が地図情報およびハザードマップを取得した場合に表示部220に表示される画面IM2の一例を示す図(その1)である。
【0034】
また、オンラインである場合、地図アプリ282は、ユーザがよく利用する場所(よく行く場所)またはこれから行きそうな場所を含み、且つその周辺の地図情報およびハザードマップを情報処理装置100から取得する。
図5は、地図アプリ282が地図情報およびハザードマップを取得した場合に表示部220に表示される画面IM3の一例を示す図(その2)である。よく利用する場所や、これから行きそうな場所は、ユーザによって指定されてもよいし、地図アプリ282が取得した端末装置200の位置情報の履歴や、ユーザのネットワークNWを介した他のサービスの利用履歴などを参照して特定されてもよい。
【0035】
よく利用する場所は、例えば、位置情報の履歴を参照して所定の期間で所定の回数以上訪れたと推定される場所(所定の頻度で訪れていると推定される場所)である。また、ユーザが地図アプリ282を操作して所定の回数以上検索した場所がよく利用する場所とされてもよい。
【0036】
これから行きそうな場所(ユーザが将来訪れると推定される位置)は、地図アプリ282がインストールされた端末装置200の位置情報の履歴と、地図アプリ282の利用履歴と、ネットワークにおけるユーザの行動履歴とのうち一以上の情報に基づいて得られた位置である。これから行きそうな場所は、例えば、ユーザが地図アプリ282を操作して検索した場所や、ネットワークNWの他のサービスで検索した場所、端末装置200の位置情報の履歴から推定される場所、これらの情報を統合して得られた場所などである。
【0037】
他のサービスとは、例えば、ユーザが情報検索サービスで検索した場所や、旅行予約サービスで予約した施設の場所など地図アプリ282が提供するサービスと連携可能なサービスや、同じグループに属するサービスなどである。これらのサービスの利用におけるユーザの同一性は、例えば、端末装置200のIP(Internet Protocol)アドレスや、地図アプリ282が提供するサービスと他のサービスとにおいて共有されている識別情報(例えばログインID)などによって担保されている。
【0038】
推定部130が、上記のようなユーザのネットワークNWにおける行動履歴や、端末装置200の位置情報の履歴、地図アプリ282の利用履歴などを利用して、これから行きそうな場所を推定する。例えば、上記の行動履歴や、位置情報の履歴、利用履歴などの入力情報を入力すると、これから行きそうな場所(例えば今後1ヶ月以内に訪れそうな場所)を出力する学習済モデルを利用して、これから行きそうな場所が推定されてもよい。
【0039】
学習済モデルは、学習情報を学習して生成されたモデルである。学習情報は、入力情報と入力情報に対応する正解データである場所とが対応付けられた情報である。入力情報が入力されると、入力情報に対応付けられた場所が出力されるように学習済モデルは学習されたモデルである。上記の情報の他、他の特定情報284も自動または手動で記憶部280に記憶される。なお、地図アプリ282、または他のサーバ装置が、これから行きそうな場所を推定してもよい。よく行く場所またはこれから行きそうな場所は、ユーザが指定してもよい。
【0040】
上記の例において、よく行く場所や、これから行きそうな場所が追加された場合、これらの場所に応じた特定情報284は自動で取得されてもよいし、ユーザが自動取得の設定を行っておけば自動で取得されてもよい。
【0041】
上記のように、地図アプリ282は、ユーザの自宅や、その他ユーザが訪れそうな場所に対応する特定情報284を事前に取得しておくことができる。これにより、後述するようにオフライン時においても、地図アプリ282は、ユーザに有益な情報を提供することができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0042】
上記の例では、オンラインにおいて防災モードをユーザが起動する処理について説明したが、ユーザが地図アプリ282を起動したときにオフラインである場合、自動で防災モードが設定されてもよい。また、地図アプリ282は、地図アプリ282が表示部に表示させたコンテンツをダウンロードして保存しておく機能を有する。更に、地図アプリ282は、このダウンロードしたコンテンツの一覧を表示部220に表示させる機能を有する。地図アプリ282は、この一覧と共に上記の防災モードを起動させるボタンを表示部220に表示させてもよい。例えば、災害などによりオフラインとなり、ユーザが、オフラインで閲覧可能なダウンロードしたコンテンツを閲覧しようとした際に、防災モードを起動させるためのボタンも容易に認識することができるため、利用者の利便性が向上する。
【0043】
[オフライン時における防災モード(オフラインモード)について]
地図アプリ282は、オフラインモードで利用可能な特定情報の一覧を示すインターフェース画面IM4を表示部220に表示させる。
図6は、インターフェース画面IM4の一例を示す図である。インターフェース画面IM4には、例えば、着目する位置を指定するためのボタンB2が含まれ、このボタンB2を操作されると、着目する位置が変更される。
図6の例では、自宅(自宅周辺)が着目する位置として指定されている。
【0044】
インターフェース画面IM4には、自宅の周辺の提供可能な特定情報284に応じたボタンを含む。インターフェース画面IM4では、ボタンB3、ボタンB4、ボタンB5のうちボタンB4が操作された状態の特定情報284に応じたボタンが優先的に表示されている。特定情報284に応じたボタンとは、防災施設を確認するためのコンテンツを表示させるためのボタン(例えば避難場所の位置やハザードマップなどを表示させるためのボタン)や、災害時の帰宅を支援するためのコンテンツを表示させるためのボタン(例えば周辺情報やEV充電スタンドの位置、自宅までの経路(不図示)を表示させるためのボタン)、困ったときに役立つ情報であってライフラインに関する情報を表示させるためのボタン(例えば電気や、ガス、水道、けが等の応急処置などに関する情報を表示させるためのボタン)、困ったときに役立つ情報であって災害発生に関する情報を表示させるためのボタン(例えば地震、津波、火山噴火、大雪、河川洪水、土砂災害、竜巻、熱中症などに関する情報を表示させるためのボタン)である。
【0045】
ボタンB3は、特定情報284のすべてを表示させるボタンである。ボタンB4(第2優先ボタン)は、所定時間以内(24時間以内)に更新された特定情報284(動的な特定情報)を表示させるためのボタン、または所定時間以内(24時間以内)に更新された特定情報284(動的な特定情報)を優先的に表示させるためのボタンである。すなわち、ボタンB4は、動的な種別の特定情報に応じた第2ボタンを、静的な種別の特定情報に応じた第1ボタンよりも優先的に表示させるためのボタンである。優先的とは、所定時間以内に更新されていない特定情報284よりも、ユーザが認識しやすいように所定時間以内に更新された特定情報284を表示することであり、例えば、ユーザが画面をスクロールせずに所定時間以内に更新された特定情報284が認識できる態様である。なお、インターフェース画面IMIM4は、ボタンB3が操作された状態の画面である。
【0046】
ボタンB5(第1優先ボタン)は、オフラインに対応する特定情報284を表示させるボタンである。ボタンB5が操作された場合、仮にオンラインである場合であっても変化しない特定情報284(静的な特定情報)が表示される、または仮にオンラインである場合であっても変化しない特定情報284(静的な特定情報)が優先的に表示される。すなわち、ボタンB5は、静的な種別の特定情報に応じた第1ボタンを、動的な種別の特定情報に応じた第2ボタンよりも優先的に表示させるためのボタンである。
【0047】
インターフェース画面IM4において、所定時間以内に更新された特定情報284に対して、更新されたタイミングを示す情報が対応付けられている。例えば、15分前に更新されたことや、情報が更新された日付が特定情報284に対応付けられていてもよい。また、更新された情報をユーザが閲覧していない場合、閲覧がされていないことを示す情報が特定情報284に対応付けられていてもよい。
【0048】
例えば、オンライン時に特定情報284は所定の間隔で更新される。更新から所定時間以内にオフラインとなった場合、所定時間以内に更新された情報が表示可能であり、また、一時的に通信が可能となりオンラインとなった場合に特定情報284が更新されている場合は、特定情報284が更新される。上記のように、適宜、特定情報284が更新され、更新された特定情報284をユーザは容易に確認することができる。
【0049】
なお、ユーザの設定に応じて、オンライン時に自動で特定情報284の更新がされてもよいし、情報処理装置100が特定情報184を更新した場合に更新がされたことを示す情報をユーザに通知し、ユーザの許諾に応じて特定情報284の更新がされてもよい。
【0050】
[オフライン時におけるハザードマップの表示について]
ユーザが、洪水のハザードマップを表示させるためのボタンを操作すると、ハザードマップが表示部220に表示され、地震ハザードマップを表示させるためのボタンを操作すると、ハザードマップが表示部220に表示される。
【0051】
図7は、洪水のハザードマップを含むインターフェース画面IM5の一例を示す図である。インターフェース画面IM5には、洪水時の浸水想定区域と、区域ごとの浸水の程度とを示す情報とが地図情報に対応付けられて表示される。
【0052】
図8は、地震のハザードマップを含むインターフェース画面IM6の一例を示す図である。インターフェース画面IM6には、地震発生時の地盤の揺れやすさの程度を示す情報が地図情報に対応付けられて表示される。ハザードマップは、イベントの種別に応じたものが用意され、例えば、上記の他、土砂災害のハザードマップや、津波のハザードマップなど種々のハザードマップが用意されていてもよい。
【0053】
[オフライン時における避難場所の表示について]
ユーザが、避難場所を表示させるためのボタンを操作すると、避難場所が地図情報に対応付けられた情報が表示部220に表示される。
図9は、避難場所(避難施設)が対応付けられた地図情報を含むインターフェース画面IM7の一例を示す図である。また、インターフェース画面IM7には、避難場所の詳細を示す情報が含まれる。詳細を示す情報とは、例えば、どの災害時の避難場所であることを示す情報や、避難場所の名称、対象の場所(自宅や職場など)から避難場所までの距離、対象の場所から避難場所に到達するのに要する時間などの情報である。
【0054】
[オフライン時における表示の設定について]
ユーザは、地図アプリ282を操作して選択した特定情報284を重畳したコンテンツを表示部220に表示させることができる。例えば、ユーザが、表示を設定する画面において、表示部220に表示させる特定情報284を選択し、選択結果を適用する操作を行うと、選択した特定情報284を重畳したコンテンツが表示部220に表示される。
図10は、表示を設定するためのインターフェース画面IM8の一例を示す図である。インターフェース画面IM8において、避難場所の情報に加え、土砂災害のハザードマップを地図情報に重畳させることがユーザによって選択されると、
図11のインターフェース画面IM9が表示部220に表示される。インターフェース画面IM9は、前述した
図9のインターフェース画面IM7のコンテンツと、土砂災害のハザードマップとが重畳されたコンテンツを含むインターフェース画面である。上記は、一例であり、避難場所と給水所の場所とを重畳させたり、医療機関の場所と避難場所とを重畳させたり、任意の特定情報284を重畳したコンテンツを含むインターフェース画面を表示部220に表示させることができる。
【0055】
ユーザは、インターフェース画面IM9を参照することで、土砂災害の影響が少ない避難場所や、土砂災害の影響を受けずに対象の場所から向かうことができる避難場所がどこかを容易に認識することができる。
【0056】
上記の例において、オフライン時に利用可能な特定情報284のみを利用してもよいし、オンラインであればオンラインで取得した特定情報284や他の情報を利用してもよい。すなわち、オフライン時に利用可能な特定情報284と、オンラインで取得した情報とが重畳されてもよい。また、上記の例では、オフラインである場合、オフラインで利用できない情報を表示させるための選択ボタンは選択できないような態様(例えばグレーアウトされた態様)で表示されてもよい。
【0057】
[オフライン時における経路の情報の表示について]
ユーザは、例えばインターフェース画面IM4において経路の情報を表示させるためのボタンを操作すると、経路の情報を表示部220に表示させることができる。
図12は、経路の情報を含むインターフェース画面IM10の一例を示す図である。インターフェース画面IM10には、職場から自宅までの経路や、よく行く場所から自宅までの経路などの情報、経路が取得された時刻などの情報が表示される。経路は、車を利用した経路、バイクを利用した経路、自転車を利用した経路、電車・バスなどの公共交通機関を利用した経路、徒歩の経路など種々の移動手段の経路である。
【0058】
経路は、事前に情報処理装置100の経路探索部140が検索した経路、または情報処理装置100が他の装置に検索を依頼して得られた経路である。特定情報284に含まれる経路は、通常の乗り換え案内や経路探索などでユーザに提供される通常の経路(第1経路)とは異なる経路(第2経路)が含まれる。通常の経路とは、効率的に所望の位置(第1位置から前記第2位置)に向かう経路である。異なる経路とは、通常の経路で利用する移動手段または経路がイベントによって利用することができなかったと想定した場合において迂回して所望の位置(第1位置から第2位置)に到達することができる経路である。
【0059】
異なる経路とは、例えば、災害などにより利用できない路線や道路が存在すると仮定した経路である。換言すると、通常の乗り換え案内または経路探索では非効率な経路は提案の対象外または提案の順位が低いとされることがあるが、特定情報284では、非効率な経路であっても提案の対象とされたり、提案の順位が高くなったりする。A路線-B路線-C路線を利用することが効率的である場合、異なる経路とは、例えば、A路線-D路線-C路線を利用する経路やE路線-B路線-C路線を利用する経路など所定の路線や駅が利用できないことを想定した経路である。車の経路や徒歩の経路などにおいても、非効率な経路が特定情報284に含まれてもよい。
【0060】
また、ハザードマップや災害の種別ごとに経路(第2経路)は用意されていてもよい。例えば、土砂災害の場合に取り得る経路や、洪水の場合に取り得る経路などが用意され、ユーザが災害の種類を選択すると、選択された災害に応じた経路がユーザに提供されてもよい。例えば、土砂災害の場合は、F路線を避ける経路や、国道○○号を避ける経路がユーザに提供されてもよい。
【0061】
なお、ユーザの設定に応じて、オンライン時に自動で経路を含む特定情報284の更新がされてもよいし、情報処理装置100が特定情報184を更新した場合に更新がされたことを示す情報をユーザに通知し、ユーザの許諾に応じて経路を含む特定情報284の更新がされてもよい。
【0062】
[オフライン時における自宅周辺マップの表示について]
ユーザは、オフライン時に地図アプリ282に対して所定の操作を行うと、自宅周辺マップを表示部220に表示させることができる。
図13は、自宅周辺マップのインターフェース画面IM11の一例を示す図である。インターフェース画面IM11は、自宅の位置と地図情報とが対応付けられた情報と、地図情報に表示させるPOIを選択するためのボタン(例えば
図13のB6)と、表示されている地図情報におけるPOIを検索するための検索窓とを含む。
【0063】
POIを選択するためのボタンとは、地図情報で表示可能な施設のカテゴリごとに用意されている。インターフェース画面IM11には、災害時にユーザが検索すると推定されるカテゴリのPOIを選択するためのボタンが優先的に表示される。例えば、食料品を販売している施設や、コンビニエンスストア、ガソリンスタンド、避難所などPOIのボタンが表示される。食料品を販売している施設のボタンが操作されると、地図情報において自宅の近くの食料品を販売している施設が地図情報に表示される。ユーザが検索窓にキーワードを入力して検索するための操作を行うと、キーワードに関連する施設または場所が地図情報に表示される。
【0064】
地図情報に表示される上記のキーワードに関連する施設や場所、カテゴリに対応するPOIなどは、オンライン時に表示されるものと同様である。地図アプリ282は、オンライン時に、オンライン時に提供可能なPOIの情報を特定情報284として取得している。例えば、特定情報284に含まれる地図情報の領域であれば、オンライン時と同じようにPOIが検索可能である。
【0065】
上記のように、ユーザは、自宅周辺マップを活用することで、自宅周辺マップの情報をオンライン時と同様に参照することができる。これにより、ユーザの利便性が向上する。
【0066】
[シーケンス図]
図14は、地図アプリ282と情報処理装置100とにより実行される処理の流れの一例を示すシーケンス図である。S100-S108、およびS206の処理はオンライン時の処理であり、S200-S204の処理はオフライン時の処理である。
【0067】
まず、ユーザが地図アプリ282に対する所定の操作を行うと(例えば起動させる操作や自宅など対象の場所を指定する操作等を行うと)、地図アプリ282は、特定情報284の提供を情報処理装置100にリクエストする(S102)。情報処理装置100は、リクエストに応じて特定情報184を取得し、取得した特定情報184を地図アプリ282に送信する(S104、S106)。次に、地図アプリ282は、送信された特定情報184を特定情報284として記憶部280に記憶させる(S108)。これにより、地図アプリ282の動作が終了したものとする
【0068】
オフライン時に、ユーザが地図アプリ282を起動させる操作を行い、オフラインモードが設定されたものとする(S200、S202)。地図アプリ282は、ユーザの操作に応じた特定情報を記憶部280から抽出し、抽出した特定情報を表示部220に表示させる(S204)。これにより、オフライン時であってもユーザは特定情報284を参照して情報を入手することができる。
【0069】
例えば、通信が復旧してオンラインとなった場合、地図アプリ282と情報処理装置100とは、上述したS102-S108の処理を実行して特定情報を更新する(S206)。例えば、地図アプリ282が起動していない状態であっても、所定のタイミングで地図アプリ282が自動で起動して特定情報284を更新してもよい。
【0070】
上記のように、地図アプリ282と情報処理装置100とは協働してオンライン時のみならずオフライン時において利用者に有益な情報を提供または提供することを支援することができる。
【0071】
以上説明した第1実施形態によれば、地図アプリ282は、特定情報284を、ネットワークがオンライン時または通信に遅延が生じていないときにネットワークを介して取得させ、イベントによってネットワークがオフラインになった場合または通信に遅延が生じた場合に、特定情報284を表示部に表示させることにより、ユーザに有益な情報を提供することができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0072】
<第2実施形態>
以下、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、他の装置から特定情報を取得する。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。なお、本実施形態の処理は、災害が生じた場合に限らず、通信インフラのネットワークに障害が生じた場合に行われてもよい。また、本実施形態の処理は、地図アプリ282が防災モードまたはオフラインモードである場合に実行されてもよいし、上記のモードでない場合に実行されてもよい。
【0073】
図15は、第2実施形態の端末装置200Aの機能構成の一例を示す図である。端末装置200Aは、端末装置200の制御部250に代えて、制御部250Aを備え、他の機能構成は同様である。制御部250Aは、例えば、連携処理部252と、表示制御部254とを備える。
【0074】
図16は、第2実施形態の特定情報284に含まれる情報の一例を示す図である。特定情報284は、ユーザに関連付けられた位置の特定情報である。この特定情報284は、タイル状に分割された地図タイルごとの情報である。例えば、複数の地図タイルごとの地図情報、ハザードマップ、退避場所(避難を行うための場所に関する情報)、ライフラインの提供場所(ライフライに関連する施設に関する情報)、POIなどが記憶部280に特定情報284として記憶されている。また、特定情報284は、第1実施形態で説明したように所定の地点間の経路を含む。所定の地点は、例えば、ユーザに関連付けられた位置(例えば第1位置や第2位置などの自宅や職場)であり、特定情報284の地図タイルに対応する領域に含まれる位置である。データの形式は、緯度経度を用いたデータ形式やリンクやノードを用いたデータ形式など地図タイルとは異なる形式であってもよい。これらの特定情報284は、「地図に関連する特定情報」の一例であり、「前記ネットワークがオンラインである場合に前記ネットワークを介して取得させた前記特定情報」の一例である。特定情報284は、「人間の生活に影響を及ぼすイベントによってネットワークがオフラインになった場合にユーザがイベントに対処するために役立つ情報である」の一例である。
【0075】
連携処理部252は、ユーザが指定した領域の特定情報284を表示制御部254が表示部220に表示させることができない場合、他の端末装置の地図アプリと連携する。連携とは、他の端末装置のアプリケーションプログラムに通信を確立するリクエストを送信し、リクエストに応じたアプリケーションプログラムと通信を確立する。連携処理部252は、他の端末装置のアプリケーションプログラムと情報の送受信を行う。この際に利用される通信手段は、通信インフラであるネットワークとは異なる通信手段である。異なる通信手段は、例えば、Wi-Fi(登録商標)や、Bluetooth(登録商標)など通信規格を利用した無線通信である。異なる通信手段は、例えば、無線通信に限らず有線通信であってもよい。
【0076】
表示制御部254は、記憶部280に記憶された特定情報284を用いて表示部220に地図情報やハザードマップなどを表示する。表示制御部254は、地図タイルを並べて連結して地図情報を表示部220に表示させたり、地図情報に重畳させて避難場所やPOIなどの特定情報284を表示させたりする。
【0077】
[特定情報を有する場合の表示例]
表示制御部254は、オフラインであり、ユーザが指定した領域の特定情報284を有する場合、指定した領域の地図情報を表示部220に表示させる。
図17は、指定した領域の地図情報が表示できる場合のインターフェース画面の一例を示す図である。表示制御部254が、インターフェース画面IM20を表示部220に表示させている。インターフェース画面IM20は、地図タイルA1-A3、B1-B3およびC1-C3の領域の地図情報を表示する。
【0078】
ユーザが右方向の地図情報を表示させる操作を行った場合、表示制御部254は、右方向の地図情報に対応するタイル地図を取得し、取得したタイル地図を含むインターフェース画面IM21を表示部220に表示させる。インターフェース画面IM21は、特定情報284におけるA4、B4、C4のタイル地図を取得して、取得した地図タイルと地図タイルA2、A3、B2、B3、C2およびC3との領域の地図情報を表示する。
【0079】
このようにオフライン時であってもオフラインモードにおいて、表示制御部254は、記憶部280に記憶されている特定情報284である所望の地図情報や他の特定情報284を表示部220に表示させることにより、ユーザは有益な情報を取得することができユーザの利便性が向上する。
【0080】
[特定情報を有さない場合の表示例]
表示制御部254は、オフライン(または通信が遅延している状態)であり、ユーザが指定した領域の特定情報284を有しない場合、特定情報284を有しない旨の情報や、他の端末装置から情報を取得する旨の情報を表示部220に表示させる。
【0081】
図18は、指定した領域の地図情報が表示できない場合のインターフェース画面の一例を示す図である。更にユーザが右方向の地図情報を表示させる操作を行ったが、記憶部280に右方向の領域のタイル地図が記憶されていない場合、表示制御部254は、インターフェース画面IM22を表示部220に表示させる。インターフェース画面IM22は、地図タイルA3、A4、B3、B4、C3およびC4の領域の地図情報と、上記のような特定情報284を有しない旨の情報や、他の端末装置から情報を取得する旨の情報とを表示する。
【0082】
上記のようにユーザの操作によって指定した領域の地図情報などの特定情報284が記憶部280に記憶されていない場合、連携処理部252が、周辺の他の端末装置がインストールされた地図アプリにユーザに提供できなかった特定情報の提供をリクエストとする。
図19は、特定情報284のリクエストについて説明するための図である。例えば、連携処理部252が、他の端末装置の地図アプリに地図タイルA5、B5、C5の提供をリクエストし、リクエストに応じ且つ上記の地図タイルを有する他の端末装置の地図アプリから上記の地図タイルを取得する。
【0083】
表示制御部254は、他の端末装置の地図アプリから上記の地図タイルを取得した場合、記憶部280に記憶されている地図タイルと、取得した地図タイルとを統合して生成した地図情報を表示部220に表示させる。
図20は、統合された地図情報のインターフェース画面IM23である。インターフェース画面IM23の地図情報における地図タイルA3、A4、B3、B4、C3およびC4(図中、IF1)は、端末装置200の記憶部280に記憶されていた特定情報284であり、地図タイルA5、B5、C5(図中、IF2)は、他の端末装置から提供された地図タイルである。
【0084】
[リクエストする特定情報の指定について]
ユーザは、地図アプリ282を操作して他の端末装置にリクエストする特定情報284を指定することができる。
図21は、特定情報284を指定するためのインターフェース画面IM24である。例えば、ユーザは、必要な情報の提供をリクエストすることができる。例えば、所定の地域から他の地域に向かう場合の経路の情報をリクエストすることができる。このように、提供を求める情報をリクエストすることで、通信負荷を軽減して必要な情報を迅速に取得することができる。
【0085】
[提供する特定情報の指定について]
ユーザは、地図アプリ282を操作して他の端末装置のリクエストに応じて提供する特定情報284を指定することができる。
図22は、提供する特定情報284を指定するためのインターフェース画面IM25である。このように、提供する情報の指定ができるため利用者の利便性が向上する。
【0086】
例えば、地図アプリ282は、ユーザが指定した所定の地点間の経路の提供を他の端末装置の地図アプリ282にリクエストし、リクエストに応じて提供された所定の地点間の経路の情報を表示部220に表示させることができる。例えば、ユーザは、地図情報は必要ないが、所定の地点間の経路が必要な場合、迅速に所定の地点間の経路の情報を得ることができる。
【0087】
なお、所定の条件を満たす場合、ユーザの指定に依らずに特定情報284のすべてまたは一部が送信されるように設定されていてもよい。所定の条件とは、リクエストを送信した他の端末装置がオフラインモードまたは防災モードであることや、端末装置200がオフラインモードまたは防災モードであること、災害が発生したことの情報が災害の情報を提供する情報提供装置から通知されたことなどである。
【0088】
[フローチャート]
図23は、端末装置200と他の端末装置とにより実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。他の端末装置においても、地図アプリがインストールされ、地図アプリがフローチャートにおける処理を実行するものとして説明する。
【0089】
まず、端末装置200の地図アプリ282が、オフラインモードで特定情報284を表示部220に表示させる(S300)。次に、地図アプリ282が、ユーザが表示部220に表示された特定情報を変更する操作を行ったか否かを判定する(S302)。
【0090】
特定情報を変更する操作が行われた場合、地図アプリ282は、記憶部280に記憶され特定情報284を探索して(S304)、操作に応じた特定情報を保有しているか否かを判定する(S306)。操作に応じた特定情報を保持している場合、地図アプリ282が、操作に応じた特定情報を表示部220に表示させる(S308)。
【0091】
操作に応じた特定情報を保持していない場合、地図アプリ282は、他の端末装置に操作に応じた特定情報の提供のリクエストを送信する(S310)。他の端末装置は、リクエストを取得すると、リクエストに応じた特定情報を地図アプリ282に提供する(S400)。なお、本処理では、他の端末装置は、リクエストに応じた特定情報を保有しているものとする。他の端末装置はリクエストに応じた特定情報に加え、他の端末装置が保有する他の特定情報も端末装置200に提供してもよい。例えば、端末装置200の記憶領域の容量が閾値未満の場合に他の特定情報を地図アプリ282は記憶部280に記憶させてもよい。
【0092】
地図情報の提供を依頼するリクエストにおいて、地図情報の種別が特定されてもよい。例えば、地図情報の種別とは、例えば、地図の縮尺や地図の解像度などである。地図アプリ282は、リクエストに応じた種別の地図情報を保有していない場合、リクエストされた地図情報の種別に類似する種別の地図情報を提供してもよい。類似するか否かは、予め用意された対応表で判断可能である。
【0093】
地図アプリ282は、他の端末装置が提供した特定情報を取得し(S312)、取得した特定情報を表示部220に表示させる(S308)。これにより本フローチャートの1ルーチンが終了する。
【0094】
上記のように、地図アプリ282は、記憶部280に記憶されていない特定情報284を、他の端末装置の地図アプリ282から取得することができる。これにより、ユーザは有益な情報を取得することができ、利便性が向上する。
【0095】
[通信ネットワークを形成する処理]
地図アプリ282は、リクエストに応じて他の端末装置から提供された特定情報284(他の端末装置の記憶部に記憶された特定情報)を表示部220に表示させることに加えて(または代えて)、他の端末装置にインストールされた地図アプリ282が、他の端末装置にインストールされた地図アプリ282が利用可能な通信インフラであるネットワークまたはネットワークとは異なる通信手段を利用して、通信先の装置または他の端末装置とは異なる端末装置にインストールされた地図アプリ282から取得した情報を表示部220に表示させてもよい。
【0096】
地図アプリ282がインストールされた端末装置は、ツリー型やメッシュ型のような通信ネットワークを形成して、特定情報をリクエスト元に提供してもよい。
図24は、通信ネットワークを利用した特定情報284のリクエストと、特定情報284の提供との処理について説明するための図である。例えば、端末装置200の地図アプリ282は、短距離無線通信を利用して周辺の地図アプリ282がインストールされた端末装置200-1から200-3に特定情報284の提供をリクエストする。端末装置200-1から200-3がリクエストされた地図情報を保有していない場合、例えば、端末装置200-1の地図アプリ282は、短距離無線通信を利用して、周辺の地図アプリ282がインストールされた端末装置200-4に特定情報284の提供をリクエストする。端末装置200-4が特定情報284を保有している場合、端末装置200―1の地図アプリ282は、端末装置200―4の地図アプリ282から特定情報284を取得し、取得した情報を端末装置200の地図アプリ282に提供する。
【0097】
このように、端末装置200の周辺の端末装置200が特定情報284を有していない場合であっても、通信ネットワークを形成することにより、離れた端末装置200から特定情報284の提供を受けることができる。これにより、ユーザはより確実に有益な情報を取得することができる。
【0098】
なお、上記の例では、不特定のユーザ間で情報の送受信を行うものとして説明したが、特定のユーザ間で情報の送受信を行ってもよい。例えば、端末装置同士の通信を確立するときに、通信先の端末装置の地図アプリ282が発行した認証情報をユーザが端末装置を操作して入力したり、通信先の端末装置の表示部に表示された地図アプリ282が生成したバーコードやQRコード(登録商標)などのコード情報を端末装置200が読み込んだりしてもよい。また、ユーザが地図アプリ282を情報共有モードに設定することで、ユーザ間において情報の送受信がされてもよいし、表示部220に近くに情報の送受信が可能な地図アプリ282を有するユーザが存在することを通知し、通知に応じた所定の操作がされた場合に情報の送受信がされてもよい。この処理は、通信が確立するときに代えて(または加えて)、特定情報を提供するときに行われてもよい。また、認証情報またはコード情報の利用に代えて(または加えて)、所定の挙動を行っている端末装置との通信を確立したり、情報の送受信を許容したりしてもよい。所定の挙動とは、例えば、端末装置が揺すられている挙動や、振られている挙動などである。この挙動は、地図アプリ282によって検知され、地図アプリ282が、通信先の地図アプリ282に送信し、通信先の地図アプリ282が、所定の挙動の端末装置と通信する。
【0099】
また、上記の例では、情報の提供を受ける地図アプリ282に着目した説明を行ったが、地図アプリ282がリクエストを取得した場合は、上記の地図アプリ282-1または地図アプリ282-4のようにリクエストを送信した他の端末装置に対して特定情報284を提供する。すなわち、地図アプリ282は、「他の端末装置の前記アプリケーションプログラム(地図アプリ282)から前記特定情報の提供のリクエストを取得した場合、前記リクエストに応じて前記記憶部に記憶された前記特定情報を前記他の端末装置の前記アプリケーションプログラムに提供」する。また、地図アプリ282は、「他の端末装置の前記アプリケーションプログラム(地図アプリ282)から前記特定情報の提供のリクエストを取得させ、前記リクエストに応じた前記特定情報が前記記憶部に記憶されていない場合、利用可能な通信インフラであるネットワークまたは前記ネットワークとは異なる通信手段を利用して、通信先の装置または所定の端末装置にインストールされた前記アプリケーションプログラム(地図アプリ282)から前記リクエストに応じた前記特定情報を取得させ、取得させた特定情報を前記リクエストに応じて前記他の端末装置の前記アプリケーションプログラムに提供」する。このように地図アプリ282は、リクエストに応じて特定情報284を提供することにより、他の端末装置のユーザに有益な情報を提供することができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0100】
[個人情報のマスキングについて]
上述したように記憶部280に記憶された特定情報284は、端末装置200のユーザに関連する個人情報を含むことがある。個人情報とは、例えば、ユーザの自宅の位置や職場の位置、よく行く場所、これから行きそうな場所などである。地図アプリ282は、特定情報284を他の装置に提供する場合、個人情報を除いた特定情報284を他の端末装置に提供する。また、地図アプリ282は、個人情報が特定できないようにマスキング処理後の特定情報を他の端末装置に提供してもよい。マスキング処理とは、個人情報が特定できないようにする処理であり、公知の手法が用いられればよい。また、個人情報を除く処理またはマスキング処理は、特定情報284の提供を受けた端末装置の地図アプリ282が実行してもよい。
【0101】
上記のように、地図アプリ282は、特定情報284の提供を受けるユーザが、特定情報284を提供したユーザの個人情報を特定できないようにして特定情報284を提供することで、ユーザは安心して本サービスを利用することができ、ユーザの利便性が向上する。
【0102】
[ユーザが地図情報に対応付けた情報の提供について]
地図アプリ282は、ユーザの操作に応じて、記憶部280に記憶された特定情報284の地図情報におけるユーザが指定した位置にユーザが入力した情報を対応付けさせ、地図情報を表示部220に表示させる場合に、地図情報において上記の位置に入力された情報を表示させる。地図アプリ282は、リクエストに応じた特定情報284として上記の位置を含む地図情報を他の端末装置の地図アプリ282に提供する場合、地図情報と上記の入力された情報と上記の位置の情報とを提供する。以下、この処理について説明する。
【0103】
ユーザは、特定情報284の地図情報におけるユーザが指定した位置にユーザが入力(または選択)した情報を対応付けることができる。情報は文字でもよいし、マークやアイコン、記号などの情報であってもよい。例えば、地図情報の所定の位置(または領域)に「冠水注意」や「落石注意」、「建物の倒壊」、「散乱物」、「略奪団が発生」などの注意を示す情報を対応付け、記憶部280に記憶させることができる。例えば、地図情報において情報が対応付けられている領域に対して注意を示す情報の付箋や吹き出し、ピン、記号などが付与されて、表示部220に表示される。なお、上記の注意を示す情報は、オンライン時に入力された情報であってもよいし、オフライン時に入力された情報であってもよい。
【0104】
地図アプリ282は、リクエストに応じた特定情報284として上記の入力された情報が対応付けられた位置を含む地図情報を他の端末装置の地図アプリ282に提供する場合、地図情報と入力された情報と位置情報とを地図アプリ282に提供する。特定情報の提供を受けた地図アプリ282は、入力された情報を、この情報に応じた位置に対応付けた地図情報を表示部220に表示させる。
【0105】
図25は、入力された情報を含む位置情報を含むインターフェース画面の一例を示す図である。インターフェース画面IM26のようにユーザが指定した領域の地図情報を有していなく、地図アプリ282が、他の端末装置からユーザが指定した領域の地図情報および当該他の端末装置のユーザが地図情報の所定の位置に対して入力した情報を取得した場合、インターフェース画面IM27に示すように、地図情報に入力された情報を対応付けて表示部220に地図情報および入力された情報を表示させる。
【0106】
このように、ユーザは、地図情報に加え、ユーザが入力した地図情報には反映されていない情報を認識することができため、ユーザの利便性が向上する。
【0107】
なお、ユーザは、「○○と旅行した場所」、「○○ランチがおいしい」など「冠水注意」などの災害に関する情報とは異なる情報を入力していることがある。地図アプリ282は、他の端末装置に入力された情報を提供する場合、予め定められたキーワードや、ユーザが指定した情報のジャンルなどを参照して、災害に関連する情報を抽出し、抽出した情報を他の端末装置に提供してもよい。この処理は、情報の提供を受けた地図アプリ282が実行し、抽出後の情報を地図情報において提供してもよい。
【0108】
[インセンティブの付与について]
情報処理装置100は、特定情報284を提供したユーザにインセンティブを付与してもよい。例えば、地図アプリ282は、他の端末装置に提供した特定情報284の内容を記憶部280に記憶させる。情報処理装置100は、通信障害が除去された場合、地図アプリ282から地図アプリ282が提供した特定情報284の内容を取得する。情報処理装置100は、取得した情報を参照して、当該地図アプリ282のユーザにインセンティブを付与してもよい。例えば、提供した情報が多いユーザほど、大きいインセンティブが付与されてもよい。インセンティブとは、通信障害が除去された後に利用できるクーポンや、有料で提供されているサービスを無料で利用することができる権利、地図アプリ282を運営するサービスまたは地図アプリ282に関連するサービスで利用可能なポイントなどである。
【0109】
また、上述したようにユーザが情報を地図情報に対応付け、この情報が他のユーザに提供された場合、情報を地図情報に対応付けたユーザに対して、単に特定情報284を提供したユーザよりも大きいインセンティブが付与されてもよい。
【0110】
このように、インセンティブが付与されることで、特定情報284を提供するユーザのモチベーションが向上するため、より有益な情報が他のユーザに共有されることが期待できる。
【0111】
また、上記の例では、災害に関する情報を他の端末装置から取得するものとして説明したが、これに代えて、例えば、所定の縮尺が大きい地図情報(より詳細な地図情報)を閲覧する操作をユーザが行ったが、詳細な地図情報を当該端末装置200が有していない場合に、他の端末装置に詳細な地図情報の提供をリクエストしてもよい。「地図に関連する特定情報」は、ユーザが閲覧を求めている情報であればよい。例えば、地図アプリ282で提供可能な情報が「地図に関連する特定情報」である。
【0112】
以上説明した第2実施形態によれば、地図アプリ282は、通信インフラであるネットワークの障害によってユーザが指定した領域の地図に関連する特定情報を表示部に表示することができない場合、ネットワークとは異なる通信手段を利用して、他の端末装置にインストールされたアプリケーションプログラムに領域の特定情報284の提供をリクエストさせ、リクエストに応じて提供された特定情報284を表示部220に表示させることにより、ユーザに有益な情報を提供することができる。
【0113】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0114】
1‥情報提供システム
100‥情報処理装置
200‥端末装置
210‥通信部
220‥表示部
230‥操作部
240‥測位部
250‥制御部
252‥連携処理部
254‥表示制御部
280‥記憶部
282‥地図アプリ
284‥特定情報
【要約】
【課題】利用者の利便性を向上させること。
【解決手段】コンピュータに、人間の生活に影響を及ぼすイベントによってネットワークがオフラインまたは前記ネットワークの通信が遅延した所定の状態になった場合にユーザがイベントに対処するために役立つ地図に関連する特定情報を、前記ネットワークがオンライン時または前記遅延が生じていないときに前記ネットワークを介して取得させ、前記イベントによって前記ネットワークが前記所定の状態になった場合に、前記特定情報を表示部に表示させるアプリケーションプログラム。
【選択図】
図1