(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】タイヤ摩耗度推定装置、タイヤ摩耗度学習装置、タイヤ摩耗度推定方法、学習済モデルの生成方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01M 17/02 20060101AFI20240131BHJP
B60C 11/24 20060101ALI20240131BHJP
B60C 19/00 20060101ALI20240131BHJP
G01B 11/24 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
G01M17/02
B60C11/24 Z
B60C19/00 H
G01B11/24 K
(21)【出願番号】P 2019188002
(22)【出願日】2019-10-11
【審査請求日】2022-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多田 拡太郎
(72)【発明者】
【氏名】小島 隆嗣
【審査官】佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-035626(JP,A)
【文献】特開2001-030721(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0330773(US,A1)
【文献】特表2013-544388(JP,A)
【文献】特表2014-503789(JP,A)
【文献】特開2015-101122(JP,A)
【文献】特開平10-255048(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 1/00 -19/12 、
G01B11/00 -11/30 、
G01M17/00 -17/10 、
G06N 3/00 - 3/12 、 7/08 -99/00 、
G06T 1/00 - 1/40 、 3/00 - 7/90 、
G06V10/00 -20/90 、30/418、40/16 、
40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤのトレッド面が写る
、各画素の奥行きの情報を含む、奥行き画像又は三次元画像であるトレッド面画像を取得するトレッド面画像取得手段と、
前記トレッド面画像において、前記タイヤの主溝におけるそれぞれ1つの浅い部分であり、前記タイヤの幅方向に離隔した複数のトレッド面スリップサインが写る、前記タイヤの幅方向に伸びる帯状の領域であるトレッド面着目領域を特定し、前記トレッド面着目領域には前記トレッド面着目領域の中心を通る前記タイヤの幅方向に伸びる線上に前記複数のトレッド面スリップサインのうち少なくともいずれか1つが配置されている、トレッド面着目領域特定手段と、
所定画素数の前記トレッド面着目領域の画像であるターゲット入力画像を生成するターゲット入力画像生成手段と、
前記ターゲット入力画像を学習済の機械学習モデルに入力した際の出力に基づいて、前記タイヤが摩耗している程度又は前記タイヤの残溝量そのものを示す摩耗度を推定する推定手段と、
を含むことを特徴とするタイヤ摩耗度推定装置。
【請求項2】
タイヤの側面が写る画像である側面画像を取得する側面画像取得手段、をさらに含み、
前記トレッド面着目領域特定手段は、前記側面画像に写る側面スリップサインの位置に基づいて、前記トレッド面着目領域を特定する、
ことを特徴とする請求項1に記載のタイヤ摩耗度推定装置。
【請求項3】
前記トレッド面着目領域特定手段は、前記所定画素数の前記トレッド面着目領域を特定し、
前記ターゲット入力画像生成手段は、前記トレッド面画像から前記トレッド面着目領域を抽出することで、前記ターゲット入力画像を生成する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のタイヤ摩耗度推定装置。
【請求項4】
前記ターゲット入力画像生成手段は、前記トレッド面画像から前記トレッド面着目領域を抽出した画像を前記所定画素数の画像に拡大又は縮小することで、前記ターゲット入力画像を生成する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のタイヤ摩耗度推定装置。
【請求項5】
前記トレッド面画像には、前記タイヤのトレッドパターンが写っている、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のタイヤ摩耗度推定装置。
【請求項6】
タイヤが摩耗している程度又は前記タイヤの残溝量そのものを示す摩耗度の推定に用いられる機械学習モデルの学習を実行するタイヤ摩耗度学習装置であって、
前記タイヤの主溝におけるそれぞれ1つの浅い部分であり、前記タイヤの幅方向に離隔した複数のトレッド面スリップサインが写っている、タイヤのトレッド面が写る所定画素数の前記タイヤの幅方向に伸びる帯状の
、各画素の奥行きの情報を含む、奥行き画像又は三次元画像である学習入力画像を取得し、前記学習入力画像には前記学習入力画像の中心を通る前記タイヤの幅方向に伸びる線上に前記複数のトレッド面スリップサインのうち少なくともいずれか1つが配置されている、学習入力画像取得手段と、
前記学習入力画像を前記機械学習モデルに入力した際の出力を用いて、前記機械学習モデルの学習を実行する学習手段と、
を含むことを特徴とするタイヤ摩耗度学習装置。
【請求項7】
前記学習入力画像には、前記タイヤのトレッドパターンが写っている、
ことを特徴とする請求項6に記載のタイヤ摩耗度学習装置。
【請求項8】
タイヤのトレッド面が写る
、各画素の奥行きの情報を含む、奥行き画像又は三次元画像であるトレッド面画像を取得するステップと、
前記トレッド面画像内において、前記タイヤの主溝におけるそれぞれ1つの浅い部分であり、前記タイヤの幅方向に離隔した複数のトレッド面スリップサインが写る、前記タイヤの幅方向に伸びる帯状の領域であるトレッド面着目領域を特定し、前記トレッド面着目領域には前記トレッド面着目領域の中心を通る前記タイヤの幅方向に伸びる線上に前記複数のトレッド面スリップサインのうち少なくともいずれか1つが配置されている、ステップと、
所定画素数の前記トレッド面着目領域の画像であるターゲット入力画像を生成するステップと、
前記ターゲット入力画像を学習済の機械学習モデルに入力した際の出力に基づいて、前記タイヤが摩耗している程度又は前記タイヤの残溝量そのものを示す摩耗度を推定するステップと、
を含むことを特徴とするタイヤ摩耗度推定方法。
【請求項9】
タイヤが摩耗している程度又は前記タイヤの残溝量そのものを示す摩耗度の推定に用いられる機械学習モデルの学習を実行する学習済モデルの生成方法であって、
前記タイヤの主溝におけるそれぞれ1つの浅い部分であり、前記タイヤの幅方向に離隔した複数のトレッド面スリップサインが写っている、タイヤのトレッド面が写る所定画素数の前記タイヤの幅方向に伸びる帯状の
、各画素の奥行きの情報を含む、奥行き画像又は三次元画像である学習入力画像を取得し、前記学習入力画像には前記学習入力画像の中心を通る前記タイヤの幅方向に伸びる線上に前記複数のトレッド面スリップサインのうち少なくともいずれか1つが配置されている、ステップと、
前記学習入力画像を前記機械学習モデルに入力した際の出力を用いて、前記機械学習モデルの学習を実行するステップと、
を含むことを特徴とする学習済モデルの生成方法。
【請求項10】
タイヤのトレッド面が写る
、各画素の奥行きの情報を含む、奥行き画像又は三次元画像であるトレッド面画像を取得する手順、
前記トレッド面画像内において、前記タイヤの主溝におけるそれぞれ1つの浅い部分であり、前記タイヤの幅方向に離隔した複数のトレッド面スリップサインが写る、前記タイヤの幅方向に伸びる帯状の領域であるトレッド面着目領域を特定し、前記トレッド面着目領域には前記トレッド面着目領域の中心を通る前記タイヤの幅方向に伸びる線上に前記複数のトレッド面スリップサインのうち少なくともいずれか1つが配置されている、手順、
所定画素数の前記トレッド面着目領域の画像であるターゲット入力画像を生成する手順、
前記ターゲット入力画像を学習済の機械学習モデルに入力した際の出力に基づいて、前記タイヤが摩耗している程度又は前記タイヤの残溝量そのものを示す摩耗度を推定する手順、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項11】
タイヤが摩耗している程度又は前記タイヤの残溝量そのものを示す摩耗度の推定に用いられる機械学習モデルの学習を実行するコンピュータに、
前記タイヤの主溝におけるそれぞれ1つの浅い部分であり、前記タイヤの幅方向に離隔した複数のトレッド面スリップサインが写っている、タイヤのトレッド面が写る所定画素数の前記タイヤの幅方向に伸びる帯状の
、各画素の奥行きの情報を含む、奥行き画像又は三次元画像である学習入力画像を取得し、前記学習入力画像には前記学習入力画像の中心を通る前記タイヤの幅方向に伸びる線上に前記複数のトレッド面スリップサインのうち少なくともいずれか1つが配置されている、手順、
前記学習入力画像を前記機械学習モデルに入力した際の出力を用いて、前記機械学習モデルの学習を実行する手順、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ摩耗度推定装置、タイヤ摩耗度学習装置、タイヤ摩耗度推定方法、学習済モデルの生成方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤの摩耗度の推定技術の一例として、特許文献1には、畳み込みニューラルネットワークを用いてタイヤの画像からタイヤ種や摩耗状態などを認識できる認識方法及び認識装置が記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、摩耗する部品の表面形状を示す情報を含む表面形状データに対する近似線と表面形状データに含まれる摩耗部分とから部品の摩耗度合いを算出する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-35626号公報
【文献】特開2017-187418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
タイヤのトレッドパターンは種類によって様々であるため、特許文献1に記載の技術では、様々な種類のタイヤについて摩耗度を精度よく推定できるようにするためには膨大な量のデータを学習する必要がある。なお上記特許文献2に記載の技術では、そもそも機械学習モデルが用いられていない。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的の一つは、学習に用いられるデータ量が少なくても様々な種類のタイヤの摩耗度を的確に推定できるタイヤ摩耗度推定装置、タイヤ摩耗度学習装置、タイヤ摩耗度推定方法、学習済モデルの生成方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係るタイヤ摩耗度推定装置は、タイヤのトレッド面が写るトレッド面画像を取得するトレッド面画像取得手段と、前記トレッド面画像においてトレッド面スリップサインが写るトレッド面着目領域を特定するトレッド面着目領域特定手段と、所定画素数の前記トレッド面着目領域の画像であるターゲット入力画像を生成するターゲット入力画像生成手段と、前記ターゲット入力画像を学習済の機械学習モデルに入力した際の出力に基づいて、前記タイヤの摩耗度を推定する推定手段と、を含む。
【0008】
本発明の一態様では、前記トレッド面着目領域内における所与の位置に前記トレッド面スリップサインが写っている。
【0009】
また、本発明の一態様では、タイヤの側面が写る画像である側面画像を取得する側面画像取得手段、をさらに含み、前記トレッド面着目領域特定手段は、前記側面画像に写る側面スリップサインの位置に基づいて、前記トレッド面着目領域を特定する。
【0010】
また、本発明の一態様では、前記トレッド面着目領域特定手段は、前記所定画素数の前記トレッド面着目領域を特定し、前記ターゲット入力画像生成手段は、前記トレッド面画像から前記トレッド面着目領域を抽出することで、前記ターゲット入力画像を生成する。
【0011】
あるいは、前記ターゲット入力画像生成手段は、前記トレッド面画像から前記トレッド面着目領域を抽出した画像を前記所定画素数の画像に拡大又は縮小することで、前記ターゲット入力画像を生成する。
【0012】
また、本発明の一態様では、前記トレッド面画像には、前記タイヤのトレッドパターンが写っている。
【0013】
また、本発明の一態様では、前記トレッド面画像は、奥行き画像又は三次元画像である。
【0014】
また、本発明に係るタイヤ摩耗度学習装置は、タイヤの摩耗度の推定に用いられる機械学習モデルの学習を実行するタイヤ摩耗度学習装置であって、所与の位置にトレッド面スリップサインが写っている、タイヤのトレッド面が写る所定画素数の学習入力画像を取得する学習入力画像取得手段と、前記学習入力画像を前記機械学習モデルに入力した際の出力を用いて、前記機械学習モデルの学習を実行する学習手段と、を含む。
【0015】
本発明の一態様では、前記学習入力画像には、前記タイヤのトレッドパターンが写っている。
【0016】
また、本発明の一態様では、前記学習入力画像は、奥行き画像又は三次元画像である。
【0017】
また、本発明に係るタイヤ摩耗度推定方法は、タイヤのトレッド面が写るトレッド面画像を取得するステップと、前記トレッド面画像内においてトレッド面スリップサインが写るトレッド面着目領域を特定するステップと、所定画素数の前記トレッド面着目領域の画像であるターゲット入力画像を生成するステップと、前記ターゲット入力画像を学習済の機械学習モデルに入力した際の出力に基づいて、前記タイヤの摩耗度を推定するステップと、を含む。
【0018】
また、本発明に係る学習済モデルの生成方法は、タイヤの摩耗度の推定に用いられる機械学習モデルの学習を実行する学習済モデルの生成方法であって、所与の位置にトレッド面スリップサインが写っている、タイヤのトレッド面が写る所定画素数の学習入力画像を取得するステップと、前記学習入力画像を前記機械学習モデルに入力した際の出力を用いて、前記機械学習モデルの学習を実行するステップと、を含む。
【0019】
また、本発明に係るプログラムは、タイヤのトレッド面が写るトレッド面画像を取得する手順、前記トレッド面画像内においてトレッド面スリップサインが写るトレッド面着目領域を特定する手順、所定画素数の前記トレッド面着目領域の画像であるターゲット入力画像を生成する手順、前記ターゲット入力画像を学習済の機械学習モデルに入力した際の出力に基づいて、前記タイヤの摩耗度を推定する手順、をコンピュータに実行させる。
【0020】
また、本発明に係る別のプログラムは、タイヤの摩耗度の推定に用いられる機械学習モデルの学習を実行するコンピュータに、所与の位置にトレッド面スリップサインが写っている、タイヤのトレッド面が写る所定画素数の学習入力画像を取得する手順、前記学習入力画像を前記機械学習モデルに入力した際の出力を用いて、前記機械学習モデルの学習を実行する手順、を実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理装置の構成の一例を示す図である。
【
図2】車両の左側面の一例を模式的に示す図である。
【
図3】
図2に示す車両の上面の一例を模式的に示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る情報処理装置の機能の一例を示す機能ブロック図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る情報処理装置で行われる学習処理の流れの一例を示すフロー図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る情報処理装置で行われる推定処理の流れの一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置10の構成の一例を示す図である。本実施形態に係る情報処理装置10は、パーソナルコンピュータなどのコンピュータである。
図1に示すように情報処理装置10は、例えば、プロセッサ12、記憶部14、通信部16、表示部18、操作部20、第1撮影部22a、第2撮影部22bを含んでいる。
【0024】
プロセッサ12は、例えば情報処理装置10にインストールされるプログラムに従って動作するCPU等のプログラム制御デバイスである。
【0025】
記憶部14は、ROMやRAM等の記憶素子やハードディスクドライブなどである。記憶部14には、プロセッサ12によって実行されるプログラムなどが記憶される。
【0026】
通信部16は、例えばネットワークボードなどの通信インタフェースである。
【0027】
表示部18は、液晶ディスプレイ等の表示デバイスであって、プロセッサ12の指示に従って各種の画像を表示する。
【0028】
操作部20は、キーボードやマウスなどといったユーザインタフェースであって、ユーザの操作入力を受け付けて、その内容を示す信号をプロセッサ12に出力する。
【0029】
第1撮影部22aは、デジタルカメラなどの撮影デバイスであり、撮影によって生成される画像をプロセッサ12に出力する。
【0030】
第2撮影部22bは、三次元画像が撮影可能なステレオカメラや、奥行き画像が撮影可能なデプスカメラなどの撮影デバイスであり、撮影によって生成される三次元画像や奥行き画像をプロセッサ12に出力する。
【0031】
なお、情報処理装置10は、DVD-ROMやBlu-ray(登録商標)ディスクなどの光ディスクを読み取る光ディスクドライブ、USB(Universal Serial Bus)ポートなどを含んでいてもよい。
【0032】
図2は、摩耗度が推定されるタイヤを備えた車両30の左側面の一例を模式的に示す図である。
図3は、
図2に示す車両30の上面の一例を模式的に示す図である。車両30は、例えば、駐車場に駐車されているものである。
【0033】
そして、
図2及び
図3に示すように、本実施形態では、第1撮影部22aが、車両30の左後輪32の左側面が撮影可能な位置に配置される。また、第2撮影部22bが、車両30の左後輪32のトレッド面が撮影可能な位置に配置される。
【0034】
図4は、第1撮影部22aによって撮影される、タイヤの左側面が写る画像である側面画像34の一例を示す図である。
図4に示すように、側面画像34には、タイヤの側面(ショルダー部)に刻印された側面のスリップサイン(以下、側面スリップサイン36と呼ぶ。)が写っている。
図4に示すように、側面スリップサイン36は、タイヤの側面にタイヤの外周に沿って等間隔に刻印されている。一般的には、側面スリップサイン36は、タイヤの側面にタイヤの外周に沿って等間隔に4~9個刻印されている。
図4に示すタイヤには、側面スリップサイン36が6個刻印されている。
【0035】
そして本実施形態では、側面画像34内の側面着目領域38内に側面スリップサイン36が写っているか否かが確認される。ここで側面着目領域38は、第2撮影部22bの画角(撮影範囲)に相当する領域であり、側面画像34内における側面着目領域38の位置、並びに、側面着目領域38の形状及び大きさは、予め定められている。
【0036】
側面画像34内の側面着目領域38内に側面スリップサイン36が写っていることが確認されると、第2撮影部22bによって、車両30の左後輪32のトレッド面が写る奥行き画像又は三次元画像である、
図5に例示するトレッド面画像40が撮影される。
【0037】
トレッド面画像40には、トレッド面のスリップサイン(以下、トレッド面スリップサイン42と呼ぶ。)が写っている。トレッド面スリップサイン42は、側面スリップサイン36の近くの主溝44に設けられている。本実施形態では上述のように、側面着目領域38内に側面スリップサイン36が写っているため、トレッド面画像40にはトレッド面スリップサイン42が写ることとなる。
【0038】
トレッド面画像40には、トレッドパターンが写っていてもよい。例えば、トレッド面画像40にトレッドパターンの周期構造が示されていてもよい。なお、
図5に示すトレッド面画像40では、トレッドパターンの記載は省略されている。
【0039】
そして、本実施形態では、側面画像34に写る側面スリップサイン36の位置に基づいて、トレッド面画像40においてトレッド面スリップサイン42及びトレッド面の表面が写るトレッド面着目領域46が特定される。トレッド面着目領域46は、帯状の領域(
図5の例では横長の帯状の領域)である。
【0040】
トレッド面画像40内におけるトレッド面着目領域46の形状及び大きさが、予め定められていてもよい。また、トレッド面着目領域46の縦横比が、予め定められていてもよい。また、トレッド面着目領域46の縦方向の長さが予め定められていてもよい。
【0041】
側面画像34に写るタイヤ内における側面スリップサイン36の位置とトレッド面画像40内におけるトレッド面着目領域46の位置とは、1対1で対応付けられる。例えば、側面画像34に写る左後輪32の中心を通る基準線(
図4の例では、右方向の線)と当該中心と側面着目領域38内に配置されている側面スリップサイン36とを結ぶ線とのなす角度をaとする。また、トレッド面画像40の上辺からトレッド面着目領域46の中心までの長さをbとする。この場合、角度aに基づいて長さbは一意に特定される。
【0042】
ここで例えば、上述の角度がaである場合におけるトレッド面画像40の上辺からトレッド面スリップサイン42の中心までの長さが上述の長さbとなるよう、角度aと長さbとの関係が予め設定されていてもよい。例えば、上述の角度がaである場合におけるトレッド面画像40の上辺から中央のトレッド面スリップサイン42の中心までの長さが上述の長さbとなるよう、角度aと長さbとの関係が予め設定されていてもよい。そして、当該関係及び角度aに基づいて、長さbが一意に特定されてもよい。このように、トレッド面着目領域46内における所与の位置にトレッド面スリップサイン42が写っていてもよい。
【0043】
そして、本実施形態では、所定画素数のトレッド面着目領域46の画像である、
図6に例示するターゲット入力画像48が生成される。ここで例えば、トレッド面画像40から所定画素数のトレッド面着目領域46を抽出することで、所定画素数のターゲット入力画像48が生成されてもよい。あるいは、トレッド面画像40からトレッド面着目領域46を抽出した画像を所定画素数の画像に拡大又は縮小することで、所定画素数のターゲット入力画像48が生成されてもよい。
【0044】
そして、本実施形態では、ターゲット入力画像48を学習済の機械学習モデルに入力した際の出力に基づいて、左後輪32のタイヤの摩耗度が推定される。
【0045】
以下、情報処理装置10に実装されている機械学習モデルの学習、及び、情報処理装置10によるタイヤの摩耗度の推定についてさらに説明する。
【0046】
図7は、本実施形態に係る情報処理装置10で実装される機能の一例を示す機能ブロック図である。なお、本実施形態に係る情報処理装置10で、
図7に示す機能のすべてが実装される必要はなく、また、
図7に示す機能以外の機能が実装されていても構わない。
【0047】
図7に示すように、情報処理装置10には、機能的には例えば、機械学習モデル50、学習データ記憶部52、学習データ取得部54、学習部56、側面画像取得部58、側面着目領域特定部60、側面スリップサイン位置特定部62、トレッド面画像取得部64、トレッド面着目領域特定部66、ターゲット入力画像生成部68、推定部70、が含まれる。
【0048】
機械学習モデル50は、プロセッサ12及び記憶部14を主として実装される。学習データ記憶部52は、記憶部14を主として実装される。学習データ取得部54、学習部56、側面着目領域特定部60、側面スリップサイン位置特定部62、トレッド面着目領域特定部66、ターゲット入力画像生成部68、推定部70は、プロセッサ12を主として実装される。側面画像取得部58は、プロセッサ12及び第1撮影部22aを主として実装される。トレッド面画像取得部64は、プロセッサ12及び第2撮影部22bを主として実装される。
【0049】
以上の機能は、コンピュータである情報処理装置10にインストールされた、以上の機能に対応する指令を含むプログラムをプロセッサ12で実行することにより実装されてもよい。このプログラムは、例えば、光ディスク、磁気ディスク、磁気テープ、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等のコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体を介して、あるいは、インターネットなどを介して情報処理装置10に供給されてもよい。
【0050】
情報処理装置10における、機械学習モデル50、学習データ記憶部52、学習データ取得部54、学習部56の機能は、タイヤの摩耗度の推定に用いられる機械学習モデル50の学習を実行するタイヤ摩耗度学習装置としての機能に相当する。
【0051】
また情報処理装置10における、機械学習モデル50、側面画像取得部58、側面着目領域特定部60、側面スリップサイン位置特定部62、トレッド面画像取得部64、トレッド面着目領域特定部66、ターゲット入力画像生成部68、推定部70の機能は、タイヤの摩耗度を推定するタイヤ摩耗度推定装置としての機能に相当する。
【0052】
機械学習モデル50は、本実施形態では例えば、アダブースト、ランダムフォレスト、ニューラルネットワーク、サポートベクタマシン(SVM)、最近傍識別器、などの機械学習が実装された機械学習モデルである。
【0053】
本実施形態に係る機械学習モデル50は、例えば、タイヤの摩耗度が正常であるか異常であるかを推定する判定モデルであってもよい。そしてこの場合に、当該機械学習モデル50が、入力に応じて、例えばタイヤの摩耗度が正常であるか異常であるかを示す1ビットのデータを出力してもよい。
【0054】
また当該機械学習モデル50は、タイヤの摩耗度を示すデータを出力する回帰モデルであってもよい。ここで例えば、タイヤの摩耗度とは、タイヤの残溝量が少ないほど値が大きくなる、タイヤが摩耗している程度を示す指標であってもよい。また、タイヤの摩耗度を示すデータが、タイヤの残溝量そのものを示すデータであっても構わない。そしてこの場合に、当該機械学習モデル50が、入力に応じて、例えばタイヤの摩耗度の推定値を出力してもよい。
【0055】
学習データ記憶部52は、本実施形態では例えば、機械学習モデル50の学習に用いられる学習データを記憶する。学習データには、タイヤのトレッド面が写る所定画素数の画像である学習入力画像と、当該学習入力画像に写るタイヤの摩耗度を示す所与の教師データと、が含まれている。
【0056】
学習入力画像は、例えば、
図6に例示するターゲット入力画像48と同様の、所与の位置にトレッド面スリップサイン42が写っている、タイヤのトレッド面が写る所定画素数の画像である。ここで学習入力画像の画素数は、上述のターゲット入力画像48の画像の画素数と同じである。
【0057】
ここで例えば、学習入力画像は、当該学習入力画像の中心を通る左右方向に伸びる線上に、いずれかのトレッド面スリップサイン42(例えば中央のトレッド面スリップサイン42)の中心が配置されている画像であってもよい。
【0058】
また、例えば、
図5に例示するトレッド面画像40と同様の画像に基づいて、学習入力画像が生成されるようにしてもよい。例えば、トレッド面画像40と同様の画像からトレッド面着目領域46に相当する所定画素数の領域を抽出することで学習入力画像が生成されてもよい。また例えば、トレッド面画像40と同様の画像から抽出されるトレッド面着目領域46に相当する領域の画像を拡大又は縮小することで、所定画素数の学習入力画像が生成されてもよい。
【0059】
ここで例えば、上述したターゲット入力画像48の生成方法と同様の方法で学習入力画像が生成されてもよい。また例えば、操作者が目視しながら画像編集操作を行うことで、トレッド面画像40と同様の画像に基づいて学習入力画像が生成されてもよい。
【0060】
学習入力画像は、奥行き画像又は三次元画像であってもよい。例えば、ターゲット入力画像48が奥行き画像である場合は、学習データ記憶部52には、奥行き画像である学習入力画像を含む学習データが記憶される。また、ターゲット入力画像48が三次元画像である場合は、学習データ記憶部52には、三次元画像である学習入力画像を含む学習データが記憶される。
【0061】
なお、第2撮影部22bが、デジタルカメラなどの撮影デバイスであり、トレッド面画像40やターゲット入力画像48が二次元画像であってもよい。この場合は、学習データ記憶部52には、二次元画像である学習入力画像を含む学習データが記憶される。
【0062】
また、学習入力画像には、トレッドパターンが写っていてもよい。例えば、学習入力画像にトレッドパターンの周期構造が示されていてもよい。
【0063】
学習データ取得部54は、本実施形態では例えば、学習データ記憶部52に記憶されている学習データを取得する。
【0064】
学習部56は、本実施形態では例えば、学習入力画像を機械学習モデル50に入力する。そして、学習部56は、本実施形態では例えば、学習入力画像を機械学習モデル50に入力した際の出力を用いて、機械学習モデル50の学習を実行する。ここで例えば、学習データに含まれる学習入力画像を機械学習モデル50に入力した際の出力と、当該学習データに含まれる教師データと、の差が特定されてもよい。そして特定される差に基づいて機械学習モデル50のパラメータの値が更新される教師あり学習が実行されてもよい。
【0065】
本実施形態では複数の学習データによる機械学習モデル50の学習が実行される。そして学習済の機械学習モデル50(学習済モデル)を用いて、第2撮影部22bにより撮影されるトレッド面画像40に写るタイヤの摩耗度が推定される。
【0066】
側面画像取得部58は、本実施形態では例えば、タイヤの側面が写る画像である側面画像34を取得する。
【0067】
側面着目領域特定部60は、本実施形態では例えば、側面画像34内の側面着目領域38を特定する。
【0068】
側面スリップサイン位置特定部62は、本実施形態では例えば、側面着目領域38内に示されている側面スリップサイン36の位置を特定する。
【0069】
トレッド面画像取得部64は、本実施形態では例えば、タイヤのトレッド面が写る画像であるトレッド面画像40を取得する。ここで、上述のように、トレッド面画像40は、奥行き画像又は三次元画像であってもよい。また、トレッド面画像40は、二次元画像であってもよい。
【0070】
トレッド面着目領域特定部66は、本実施形態では例えば、トレッド面画像40においてトレッド面スリップサイン42が写るトレッド面着目領域46を特定する。トレッド面着目領域特定部66は、例えば、側面画像34に写る側面スリップサイン36の位置に基づいて、トレッド面着目領域46を特定する。ここで、トレッド面着目領域46内における所与の位置にトレッド面スリップサイン42が写っていてもよい。
【0071】
ターゲット入力画像生成部68は、本実施形態では例えば、所定画素数のトレッド面着目領域46の画像であるターゲット入力画像48を生成する。
【0072】
ここで例えば、トレッド面着目領域特定部66が、所定画素数のトレッド面着目領域46を特定してもよい。そして、ターゲット入力画像生成部68が、例えば、トレッド面画像40から所定画素数のトレッド面着目領域46を抽出することで、所定画素数のターゲット入力画像48を生成してもよい。
【0073】
あるいは、ターゲット入力画像生成部68は、トレッド面画像40からトレッド面着目領域46を抽出した画像を所定画素数の画像に拡大又は縮小することで、所定画素数のターゲット入力画像48を生成してもよい。
【0074】
推定部70は、本実施形態では例えば、ターゲット入力画像48を学習済の機械学習モデル50(学習済モデル)に入力した際の出力に基づいて、ターゲット入力画像48に写るタイヤの摩耗度を推定する。
【0075】
ここで機械学習モデル50が判定モデルである場合に、機械学習モデル50が、入力に
応じて、タイヤの摩耗度が正常であるか異常であるかを示す1ビットのデータを出力してもよい。また機械学習モデル50が回帰モデルである場合に、機械学習モデル50が、入力に応じて、タイヤが摩耗している程度を示す摩耗度の推定値を出力してもよい。また、機械学習モデル50が、入力に応じて、タイヤの残溝量の推定値を出力してもよい。
【0076】
ここで、本実施形態に係る情報処理装置10で行われる学習処理の流れの一例を、
図8に例示するフロー図を参照しながら説明する。ここでは例えば複数の学習データが学習データ記憶部52に記憶されていることとする。
【0077】
まず、学習データ取得部54が、学習データ記憶部52に記憶されている複数の学習データのうち、S102に示す処理が実行されていないものを1つ取得する(S101)。
【0078】
そして、学習部56が、S101に示す処理で取得された学習データに含まれる学習入力画像を機械学習モデル50に入力した際の出力を用いた、機械学習モデル50の学習を実行する(S102)。ここで例えば、当該出力と、S101に示す処理で取得された学習データに含まれる教師データと、の差に基づいて、機械学習モデル50のパラメータの値が更新されてもよい。
【0079】
そして学習部56が、学習データ記憶部52に記憶されている複数の学習データのすべてについてS102に示す処理が実行されたか否かを確認する(S103)。
【0080】
学習データ記憶部52に記憶されている複数の学習データのすべてについてS102に示す処理が実行されていないことが確認された場合は(S103:N)、S101に示す処理に戻る。
【0081】
学習データ記憶部52に記憶されている複数の学習データのすべてについてS102に示す処理が実行されたことが確認された場合は(S103:Y)、本処理例に示す処理は終了される。
【0082】
次に、本実施形態に係る情報処理装置10で行われる推定処理の流れの一例を、
図9に例示するフロー図を参照しながら説明する。
【0083】
まず、側面画像取得部58が、第1撮影部22aに側面画像34の撮影を指示し、第1撮影部22aによって撮影された側面画像34を取得する(S201)。
【0084】
そして、側面着目領域特定部60が、側面画像34内の側面着目領域38を特定する(S202)。
【0085】
そして、側面スリップサイン位置特定部62が、側面着目領域38に側面スリップサイン36が写っているか否かを確認する(S203)。
【0086】
写っていないことが確認された場合は(S203:N)、本処理例に示す処理は終了される。
【0087】
写っていることが確認された場合は(S203:Y)、側面スリップサイン位置特定部62が、側面着目領域38に写る側面スリップサイン36の位置を特定する(S204)。ここで例えば、
図4に示す角度aが特定されてもよい。
【0088】
そして、トレッド面画像取得部64が、第2撮影部22bにトレッド面画像40の撮影を指示し、第2撮影部22bによって撮影されたトレッド面画像40を取得する(S205)。
【0089】
そして、トレッド面着目領域特定部66が、S204に示す処理で特定された側面スリップサイン36の位置に基づいて、トレッド面画像40内のトレッド面着目領域46を特定する(S206)。ここで例えば、上述の角度aに基づいて、
図5に示す長さbが特定されてもよい。
【0090】
そして、ターゲット入力画像生成部68が、S206に示す処理で特定されたトレッド面着目領域46の所定画素数の画像であるターゲット入力画像48を生成する(S207)。
【0091】
そして、推定部70が、S207に示す処理で生成されたターゲット入力画像48を学習済の機械学習モデル50(学習済モデル)に入力した際の出力に基づいて、当該ターゲット入力画像に写るタイヤの摩耗度を推定する(S208)。そして、本処理例に示す処理は終了される。
【0092】
なお、以上の説明では、車両30が備える左後輪32のタイヤの摩耗度を推定したが、車両30が備える左後輪32のタイヤ以外のタイヤについても同様の方法によりタイヤの摩耗度を推定することはもちろん可能である。
【0093】
タイヤのトレッドパターンは種類によって様々である。そのため、トレッドパターンを手掛かりとして様々な種類のタイヤについて機械学習モデル50を用いた摩耗度の推定を精度よく行うためには膨大な量のデータを学習する必要がある。
【0094】
本実施形態では、タイヤの種類によらず、トレッド面スリップサイン42近辺のターゲット入力画像48を機械学習モデル50への入力として用いて、タイヤの摩耗度の推定が行われる。トレッド面スリップサイン42はタイヤの種類によらず存在する。また、タイヤの種類の違いによるトレッド面スリップサイン42近辺の画像の特徴の違いよりも、タイヤの摩耗度の違いによるトレッド面スリップサイン42近辺の画像の特徴の違いの方が顕著であると考えられる。
【0095】
そのため、本実施形態によれば、学習に用いられるデータ量が少なくても様々な種類のタイヤの摩耗度を的確に推定できることとなる。
【0096】
また、本実施形態によれば、奥行き画像や三次元画像が撮影可能なスマートフォンなどを用いて高機能なセンサを用いることなく、タイヤの摩耗量を推定することができる。
【0097】
また、本実施形態によれば、車両30の駐車位置に第1撮影部22aや第2撮影部22bを設けることで、人が介在することなく、タイヤの摩耗量の推定を定期的に行うことができる。また本実施形態を用いることで、例えば、車両30が備えるタイヤの交換が必要な程度の摩耗量になった際に当該車両30の所有者にその旨が通知されるサービスを提供することが可能となる。
【0098】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【0099】
例えば本実施形態において、トレッド面着目領域特定部66が、トレッド面画像40に基づいて、
図10に例示する、主溝44が写っている帯状の主溝領域80を特定してもよい。例えば、トレッド面画像40が示す各画素のデプスのうちの最大のデプスが特定されてもよい。そして、最大のデプスからの差が所定値以下である画素群を囲む帯状の領域が主溝領域80に特定されてもよい。
図10の例では、左上、中央の上、右上、左下、中央の下、右下の6個の主溝領域80が特定される。
図10の例では、主溝領域80は、上下方向に延伸する帯状の領域である。
【0100】
そして、トレッド面着目領域特定部66が、トレッド面着目領域46内であって、主溝領域80の帯の延長線上にある、主溝領域80内の画素よりもデプスが小さい部分を、トレッド面スリップサイン42が写っているトレッド面スリップサイン領域82として特定してもよい。
【0101】
そして、トレッド面着目領域特定部66が、トレッド面スリップサイン領域82に基づいて、トレッド面着目領域46の位置を補正してもよい。例えば、トレッド面着目領域46の中心を通る左右方向に伸びる線上に、いずれかのトレッド面スリップサイン領域82(例えば中央のトレッド面スリップサイン領域82)の中心が配置されているよう、トレッド面着目領域46の位置が補正されてもよい。
【0102】
また、以上で説明した方法とは異なる方法によって、トレッド面着目領域46が特定されてもよい。また、側面画像34を用いることなく、トレッド面画像40に基づいて、ターゲット入力画像48が生成されるようにしてもよい。
【0103】
また、本実施形態において、第1撮影部22aによって、
図4に示す側面着目領域38に相当する部分の画像である、
図11に例示する側面画像84が撮影されてもよい。そして、側面画像84に基づいて、トレッド面画像40内における、トレッド面着目領域46の位置が特定されてもよい。この場合、側面画像84内における側面スリップサイン36の位置とトレッド面画像40内におけるトレッド面着目領域46の位置とは、1対1で対応付けられる。そのため、側面画像84内における側面スリップサイン36の位置に基づいて、トレッド面画像40内におけるトレッド面着目領域46の位置は一意に特定可能である。
【0104】
また、例えば、実際にタイヤのトレッド面を撮影した画像ではなく、シミュレーションによって生成されたタイヤのトレッド面を表す画像を、学習入力画像に用いてもよい。
【0105】
また、上記の具体的な数値や文字列、並びに、図面中の具体的な数値や文字列は例示であり、これらの数値や文字列には限定されない。
【符号の説明】
【0106】
10 情報処理装置、12 プロセッサ、14 記憶部、16 通信部、18 表示部、20 操作部、22a 第1撮影部、22b 第2撮影部、30 車両、32 左後輪、34 側面画像、36 側面スリップサイン、38 側面着目領域、40 トレッド面画像、42 トレッド面スリップサイン、44 主溝、46 トレッド面着目領域、48 ターゲット入力画像、50 機械学習モデル、52 学習データ記憶部、54 学習データ取得部、56 学習部、58 側面画像取得部、60 側面着目領域特定部、62 側面スリップサイン位置特定部、64 トレッド面画像取得部、66 トレッド面着目領域特定部、68 ターゲット入力画像生成部、70 推定部、80 主溝領域、82 トレッド面スリップサイン領域、84 側面画像。