(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】キャッパ
(51)【国際特許分類】
B67B 3/26 20060101AFI20240131BHJP
B67B 3/20 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
B67B3/26
B67B3/20
(21)【出願番号】P 2019237256
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】北元 宏明
(72)【発明者】
【氏名】松井 一
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 隆
(72)【発明者】
【氏名】山田 浩由
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-117284(JP,A)
【文献】特開2014-189277(JP,A)
【文献】特開2019-109072(JP,A)
【文献】特開2007-069909(JP,A)
【文献】特開2010-133824(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を保持する容器保持手段と、キャップを保持するチャックを有するキャッピングヘッドと、
上記チャックを回転させる回転手段と、上記回転手段の作動を制御する制御装置と、上記容器保持手段とキャッピングヘッドとを相対的に昇降させる昇降手段とを備え、上記容器保持手段に保持された容器に対して上記キャッピングヘッドを相対的に下降させる
とともに上記チャックに保持したキャップを巻き締め方向に回転させることにより、上記チャックに保持したキャップを容器の口部に取り付けるように構成されたキャッパにおいて、
上記チャックの中央部に形成されたエア通路と、エア供給源と連通された導管と、上記エア通路と上記導管とを接続するロータリージョイントと、上記導管に設けられるとともに上記導管を流通するエアの圧力の変動を基にして上記チャックに保持されたキャップの天面とそれに対向するチャックの内方側の端面との隙間量を測定するギャップセンサと、上記ギャップセンサによって測定された隙間量からキャップが正常に取り付けられているか否かを判定する判定手段とを備え、
該判定手段は、上記キャッピングヘッドによる容器の口部へのキャップの取り付け終了時に、
上記ギャップセンサが測定した上記隙間量が所定の値よりも大きい場合には、キャップが容器の口部に対して傾斜して取り付けられたベレーキャップが生じていると判定することを特徴とするキャッパ。
【請求項2】
上記判定手段は、上記回転手段が駆動された際に該回転
手段の出力トルクが所定の指令トルクに到達したら、キャップの取り付けが終了したと認識することを特徴とする
請求項1に記載のキャッパ。
【請求項3】
上記判定手段は、上記回転手段の回転速度が予め設定された回転速度以下になると、キャップの取り付けが終了したと認識することを特徴とする
請求項1に記載のキャッパ。
【請求項4】
上記判定手段は、上記回転手段が駆動されてから予め設定された時間が経過したら、キャップの取り付けが終了したと認識することを特徴とする
請求項1に記載のキャッパ。
【請求項5】
上記回転手段はサーボモータであることを特徴とする
請求項2から請求項4のいずれかに記載のキャッパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器の口部にキャップを取り付けるキャッパに関し、より詳しくは、容器の口部にキャップの取り付けが終了した時点でベレーキャップ(傾いた状態の取り付け不良)が生じていることを正確に判定可能なキャッパに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キャップを保持するチャックを備えて、チャックに保持したキャップを容器の口部に巻き締めて取り付けるようにしたキャッパは知られており、さらに、キャップが斜めになって容器の口部に取り付けられる不具合(いわゆるベレーキャップ)が生じたことを検出可能なキャッパも提案されている(例えば特許文献1、2参照)。
こうした従来のキャッパにおいては、その隣接下流側の位置にベレーキャップを検出するための検査装置が配置されており、ベレーキャップが生じた容器は、キャッパの下流に配置された上記検査装置によって検出されて、強制的にリジェクトされるようになっている。
また、サーボモータによってチャックを回転制御するサーボキャッパの場合には、チャックによるキャップの取り付け時の巻き締めトルクをモニタリングすることで、巻締めが正常に行われたかどうか、ベレーキャップが発生していないかを判断するようになっている。しかしながら、この場合、巻き締めトルクに異常が検出されたとしても、それはあくまで推測にすぎないため、このような従来のキャッパであっても、その隣接下流側にベレーキャップの有無を検査する検査装置を配置してあり、該検査装置のセンサや画像処理によってベレーキャップの有無を検出するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3417486号公報
【文献】特許第5565559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、従来のキャッパにおいては、その隣接下流側にベレーキャップを検出するための専用の検査装置を配置する必要があるため、全体として設置スペースが大きくなり、かつ、製造コストが高くなるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した事情に鑑み、本発明は、容器を保持する容器保持手段と、キャップを保持するチャックを有するキャッピングヘッドと、上記チャックを回転させる回転手段と、上記回転手段の作動を制御する制御装置と、上記容器保持手段とキャッピングヘッドとを相対的に昇降させる昇降手段とを備え、上記容器保持手段に保持された容器に対して上記キャッピングヘッドを相対的に下降させるとともに上記チャックに保持したキャップを巻き締め方向に回転させることにより、上記チャックに保持したキャップを容器の口部に取り付けるように構成されたキャッパにおいて、
上記チャックの中央部に形成されたエア通路と、エア供給源と連通された導管と、上記エア通路と上記導管とを接続するロータリージョイントと、上記導管に設けられるとともに上記導管を流通するエアの圧力の変動を基にして上記チャックに保持されたキャップの天面とそれに対向するチャックの内方側の端面との隙間量を測定するギャップセンサと、上記ギャップセンサによって測定された隙間量からキャップが正常に取り付けられているか否かを判定する判定手段とを備え、
該判定手段は、上記キャッピングヘッドによる容器の口部へのキャップの取り付け終了時に、上記ギャップセンサが測定した上記隙間量が所定の値よりも大きい場合には、キャップが容器の口部に対して傾斜して取り付けられたベレーキャップが生じていると判定することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
このような構成によれば、キャップの取り付けが終了した時点でベレーキャップが生じたか否かを正確に判定することができるので、キャッパの下流側にベレーキャップを検出するための検査装置を設ける必要がない。したがって、キャッパとその周辺装置の設置スペースを減少させることができるとともに、製造コストも低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】
図1のキャッパに設けられたキャッピングヘッドの正面図であり、
図2(a)はキャップが正常に取り付けられた場合を示し、
図2(b)はベレーキャップが生じた取り付け不良の場合を示している。
【
図3】
図2に示すキャッピングヘッドによる正常なキャップの取り付け時におけるギャップセンサが測定した隙間量、サーボモータの出力トルク及び回転速度の時系列での変化を示す図。
【
図4】
図2に示すキャッピングヘッドによる正常なキャップの取り付け時におけるギャップセンサが測定した隙間量、サーボモータの出力トルク及び回転速度の時系列での変化を示す図。
【
図5】
図2に示すキャッピングヘッドによる正常なキャップの取り付け時におけるギャップセンサが測定した隙間量、サーボモータの出力トルク及び回転速度の時系列での変化を示す図。
【
図6】
図2に示すキャッピングヘッドによるキャップの取り付け時にベレーキャップが生じた場合におけるギャップセンサが測定した隙間量、サーボモータの出力トルク及び回転速度の時系列での変化を示す図。
【
図7】
図2に示すキャッピングヘッドによるキャップの取り付け時にベレーキャップが生じた場合おけるギャップセンサが測定した隙間量、サーボモータの出力トルク及び回転速度の時系列での変化を示す図。
【
図8】本発明の他の実施例としてのキャッピングヘッドを示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図示実施例について本発明を説明すると、
図1において1は本発明に係るキャッパを備えた充填システムであり、この充填システム1は、外周部に等ピッチで複数の充填バルブ2Aを有する回転式のフィラ2と、外周部に等ピッチで複数のキャッピングヘッド3を有する回転式のキャッパ4を備えている。
フィラ2及びキャッパ4が矢印方向に回転中において、供給ホイール5によってフィラ2への供給位置Aで充填バルブ2Aの下方側に順次空の容器6が供給されるようになっており、各容器6はフィラ2が備える図示しないグリッパによって把持されるとともに充填バルブ2Aによって所定量の充填液が充填されるようになっている。
充填液が充填された各容器6は、排出位置Bにおいてグリッパによる把持状態を解放される一方、中間ホイール7を介してフィラ2からキャッパ4へ受け渡されるようになっている。
【0009】
キャッパ4は、外周部の等間隔位置にチャック8によってキャップ9を保持するキャッピングヘッド3を備えるとともに、各キャッピングヘッド3の下方側に容器6の首部6Aを把持する容器保持手段としてのグリッパ4Aとを備えている。中間ホイール7から受け渡される容器6は、グリッパ4Aによって首部6Aを両側から把持され、かつ首部6Aにおけるつば部6Bを支持された状態で搬送されるようになっている(
図2参照)。
容器6の口部6Cの外周部にはネジ部が形成されており、他方、キャップ9の内周部には、容器6の口部6Cのネジ部に螺合されるネジ部が形成されている。
キャッパ4が矢印方向に回転されるのに伴ってキャッピングヘッド3が昇降機構11によって昇降されるとともに、各キャッピングヘッド3が備えるサーボモータ12によってチャック8が巻き締め方向に回転されるので、キャップ9が容器6の口部6Cに被せられてから巻き締められるようになっている(
図2(a)参照)。
このようにしてキャッピングヘッド3によってキャップ9が取り付けられた容器6は、グリッパ4Aによる把持状態を解放されてから排出ホイール13によって把持されてキャッパ4から排出コンベヤ14上に排出されるようになっており、その後、排出コンベヤ14によって下流側へ搬送されるようになっている。
【0010】
しかして、本実施例は、キャッパ4とそのキャッピングヘッド3を以下のように改良したことにより、容器6へのキャップ9の取り付け終了時において、
図2(b)に示したベレーキャップ(取り付け不良)が生じたことを正確に判定できるようになっている。
すなわち、キャッピングヘッド3は、キャッパ4の回転体15の外周部に昇降可能に設けられた円筒状の支持部材16と、この支持部材16によって回転自在に軸支された回転軸17と、この回転軸17の下端部に取り付けられてキャップ9を着脱自在に保持するチャック8と、回転軸17の上端部に駆動軸を連結したサーボモータ12と、キャップ9を保持した状態におけるチャック8の内方側の端面8A(底面)とそれに対向するキャップ9の天面9Bとの間の隙間量(距離)DXを測定するギャップセンサ18とを備えている。
支持部材16の上方部の内側にカムフォロア21が取り付けられており、このカムフォロア21は、回転体15の外周部の円周方向に沿って配置された環状カム22のカム溝22Aに転動自在に係合されている。それにより、回転体15が矢印方向に回転されると、回転区間の所要位置で支持部材16を介してチャック8がカム溝22Aの高さに応じて昇降されるようになっている。それにより、チャック8に保持されたキャップ9が昇降されて、容器6の口部6Cに上方から被せられるようになっている。これら環状カム22とカムフォロア21によってチャック8を昇降させる昇降手段としての昇降機構11が構成されている。
【0011】
サーボモータ12の作動は制御装置23によって制御されるようになっており、制御装置23は、昇降機構11によってチャック8が所要量下降されて該チャック8に把持されたキャップ9が容器6の口部6Cの上端に被せられると、サーボモータ12を所定の指令トルクおよび所定の指令回転速度で回転駆動させるようになっている。
より詳細には、従来公知のキャッパの場合と同様に、先ず、キャップ9のネジ部の下端と容器6の口部6Cのネジ部の上端とを噛合わせる噛み合い工程を行い、次に仮締め工程を行い、最後に本締め工程を経てキャップ9を容器4の口部に巻締めるようになっており、これらの3工程では予め設定された指令トルクおよび指令回転速度でサーボモータ12を回転させるようになっている。
このようにしてサーボモータ12が回転されることで、チャック8に保持されたキャップ9が容器6の口部6Cに巻き締められて取り付けられるようになっている(
図2(a)、
図2(b)参照)。
ところで、上述したようにキャッピングヘッド3によってキャップ9を容器6の口部6Cに巻き締めて取り付けるが、
図2(a)に示すようにキャップ9が正常に容器6の口部6Cに取り付けられる場合だけなく、キャップ9が斜めになって口部6Cに取り付けられるベレーキャップ(取り付け不良)が生じることがある(
図2(b))。
そこで、本実施例では、キャッピングヘッド3に測定手段としてのギャップセンサ18を設けてあり、容器6の口部6Cへのキャップ9の取り付けが終了した時点で、ギャップセンサ18が検出したチャック8の端面8Aとキャップ9の天面9Bとの間の隙間量DXを基にしてベレーキャップが生じたか否かを正確に判定できるようになっている。
【0012】
チャック8は、開口部が下方を向けた有底筒状であってキャップ9を把持可能な構成となっており、チャック8の下方を向けた端面8A(底面)は平坦面となっている。
チャック8によってキャップ9が保持された状態では、チャック8の端面8Aにキャップ9の天面9Bが当接し、かつチャック8の円筒部によってキャップ9の外周部(側面)が把持されるようになっている。
回転軸17の下端部はチャック8の上方側の端面の中央部に連結されており、チャック8の中央部とそこから回転軸17内の高さ方向の中央部にわたってエア通路25が形成されている。このエア通路25の下端25Aはチャック8の内方側の端面8A(底面)の中央部に開口している。
エア通路25の上端25Bは、ロータリジョイント26を介して外部の導管27の一端に接続されている。導管27の他端には図示しないエアの供給源が接続されており、該エアの供給源から導管27、ロータリジョイント26及びエア通路25を介して、吹き出し口としての下端25Aからエアを吹き出させるようになっている。
導管27の途中にギャップセンサ18が取り付けられており、エアの供給源から供給されるエアは導管27とギャップセンサ18内を流通するようになっている。
測定手段としてのギャップセンサ18は、導管27内を流通するエアの圧力の変動を基にして上記チャック8の端面8Aとそれに対向するキャップ9の天面9Bとの間の隙間量DXを測定できるようになっている。そして、このギャップセンサ18によって測定したチャック8の端面8Aとキャップ9の天面9Bとの間の隙間量DXは、制御装置23に入力されるようになっている。なお、エア圧の変動によって2部材間の隙間量(距離)を測定するギャップセンサ18は既に従来公知である。
一方、制御装置23には、サーボモータ12の回転部に接続されてパルス信号を出力するエンコーダ28と、サーボモータ12から出力される電流を検出するための電流計29とが接続されており、パルス信号および電流値が入力されるようになっている。
制御装置23は、エンコーダ28が検出したパルス信号を基にしてサーボモータ12の回転角度と回転速度を認識できるようになっており、エンコーダ28からの入力データを基にしてサーボモータ12が回転駆動されてから後のサーボモータ12の回転速度の変動を時系列で記録するようになっている。また、制御装置23は、サーボモータ12が回転駆動されてから後の電流計29が検出した電流値からチャック8に作用するトルクを検出し、出力トルクとして時系列で記録するようになっている。
さらに、制御装置23はサーボモータ12が回転駆動されてからのギャップセンサ18によるチャック8の端面8Aとキャップ9の天面9Bとの間の隙間量の時系列での変動も記録するようになっている。
本実施例の制御装置23は、容器6へのキャップ9の取り付けが終了した時点でベレーキャップが生じているか否かを判定する判定部(判定手段)23Aを備えており、判定部23Aは、容器6へのキャップ9の取り付けが終了した時点におけるチャック8の端面8Aとキャップ9の天面9Bとの間の隙間量DXを基にして、ベレーキャップが生じたか否かを判定するようになっている。
【0013】
図3~
図7は、キャッピングヘッド3によってキャップ9を容器6の口部6Cに取り付けた際における具体的な上記3種類の時系列のデータを示したものであり、判定部23Aは、
図3~
図7に示す3種類の時系列のデータが得られた場合において、それぞれ次のように判定を行う。
先ず、
図3において、
図3(b)に示すように、サーボモータ12が回転駆動された直後の噛み合い工程では、その後の本締め工程での指令トルクの約半分の指令トルクで、かつ、この後の仮締め工程と比較して最大の回転速度S1でキャップ6を巻き締め方向に回転させる。これにより、チャック8に保持されたキャップ9のネジ部の先端が容器6のネジ部の先端に確実に噛み合わされる(
図3(a)、
図3(b))。この噛み合い工程での出力トルクT1は、本締め工程の場合の出力トルクT3の約半分となっている。
この後、仮締め工程に移行すると、最初の噛み合い工程の半分以下の指令トルクで、かつ上記回転速度S1よりも少し遅い回転速度S2でサーボモータ12が回転されるので、キャップ9のネジ部が容器6に口部6Cのネジ部に巻き締められていく。仮締め工程での出力トルクT2は、噛み合い工程での出力トルクT1の半分以下となっている。
その後、サーボモータ12が駆動されてから所要時間が経過すると仮締め工程から本締め工程に移行し、該本締め工程では、最初の噛み合い工程での指令トルクTよりも大きな最大の指令トルクで、サーボモータ12が回転される。
すると、検出トルクTXが本締め工程での指令トルクと同じトルクに到達し、それに伴い、回転速度SXが急減速されて実質的に零となる。
ここで、制御装置23は、本締め工程に移行してから出力トルクTXが指令トルクT3に到達すると、容器6の口部6Cへのキャップ9の取り付けが終了したと認識するようになっている。
制御装置23がキャップ9の取り付けが終了したと認識すると、判定部23Aは、認識された時点におけるチャック8の内方側の端面8Aとキャップ9の天面9Bとの隙間量DXを、予め記憶した所定の閾値D1と比較する。そして、隙間量DXが閾値D1よりも小さな場合には、キャップ9は容器6の口部6Cに正常に取り付けられており、ベレーキャップ(取り付け不良)は生じていないと判定部23Aが判定するようにしている(
図3(a))。
つまり、特にトラブルが生じていないかぎり、この
図3(a)に示すように、サーボモータ12の駆動開始(巻き締め開始)から取り付け終了までの間において、隙間量DXは閾値D1の範囲内にあり、かつ略同じ隙間量となる。
図2(a)に示すように、ベレーキャップが生じておらず正常にキャップ6が容器6の口部6Cに取り付けられた場合には、チャック8の端面8Aとキャップ9の天面9Bとが当接してそれらの間に大きな隙間は生じておらず、そのため、取り付け終了の時点における隙間量DXが閾値D1以上にはならない。
また、
図4、
図5に示したように、巻き締め開始直後の噛み合い工程において、噛み合い工程あるいは仮締め工程において、チャック8の端面8Aとキャップ9の天面9Bとの隙間量D2が閾値D1を一時的に超える場合もある。しかしながら、制御装置23は出力トルクTXが指令トルクT3に到達するとキャップ9の取り付けが終了したと認識するようにしており、その時点において、隙間量DXは予め記録した閾値D1よりも小さいので、これらの場合においても、判定部23Aは、キャップ6の取り付けは正常に行われており、ベレーキャップは生じていないと判定する。
なお、
図4、
図5に示すように、巻き締め開始時の噛み合い工程において、あるいは、その後の仮締め工程において、隙間量DXが閾値D1を一時的に超える場合としては、噛み合い開始時点で少し斜めの状態でキャップ9が口部6Cに被せられ、その後のチャック8を介したキャップ9の回転により、正常な状態となって螺合が進んでキャップ9の取り付けが終了したケースが想定できる。
また、斜めの状態でキャップ9が口部6Cに巻締めされると、キャップ9のネジ部や口部6Cのネジ部に大きな負荷がかかり、ねじ部に傷付きが発生する可能性がある。
図4や
図5に示す例のように、巻締めの終了後はベレーキャップは発生していないが、巻締めの途中でキャップ9が口部6Cに斜めの状態で巻締めされていることが想定される場合は、キャップ9や口部6Cのネジ部に傷付きが発生している可能性があると判定し、下流においてリジェクトすることもできる。
【0014】
次に、
図6に示す場合においては、
図6(b)に示すように、サーボモータ12が駆動されて巻き締め開始直後の噛み合い工程において、上述した
図3~
図5に示す場合と比較して、約半分の経過時間で出力トルクTXが指令トルクT3に到達し、制御装置23は、その時点をキャップ9の取り付けが終了したと認識する。
そして、その時点において、チャック8の端面8Aとキャップ9の天面9Bとの隙間量DXを閾値D1と比較し、隙間量DXが閾値D1よりも大きいので、この場合には、判定部23Aは、キャップ9が容器6の口部6Cに斜めに取り付けられたベレーキャップ(取り付け不良)が生じていると判定する。
図2(b)は、ベレーキャップが生じた取り付け不良の場合を示している。
次に、
図7に示す場合においても、上記
図6の場合と同様に、上述した
図3~
図5に示す正常な場合と比較して、約半分の経過時間で出力トルクTXが指令トルクT3に到達している。判定部23Aはその時点において、チャック8の端面8Aとキャップ9の天面9Bとの隙間量DXを閾値D1と比較し、隙間量DXが閾値D1よりも大きいので、この場合には、判定部23Aは、キャップ9が容器6の口部6Cに斜めに取り付けられたベレーキャップ(取り付け不良)が生じていると判定する。
この
図7の場合は、噛み合い工程の後の仮締め工程において、キャップ9と容器6の口部6Cのネジ部同士の噛み込みの不具合が生じ、そのままの状態で巻き締めが終了したものと推定できる。
【0015】
以上のように、制御装置23は、
図3~
図7に示したように、3種類の時系列のデータを基にして、サーボモータ12の出力トルクTXが指令トルクT3に到達するとキャップ9の取り付けが終了したと認識し、判定部23Aは、その時点におけるチャック8の端面8Aとキャップ9の天面9Bとの隙間量DXが閾値D1以上であれば、ベレーキャップが生じていると判定するようにしている。他方、判定部23Aは、隙間量DXが閾値D1未満であれば、ベレーキャップが生じておらず、キャップ9は正常に容器6の口部6Cに取り付けられていると判定するようにしている。
このように、本実施例においては、キャッピングヘッド3によって容器6の口部6Cへのキャップ9の取り付けが終了した時点で、ベレーキャップ(取り付け不良)が生じているか否かを正確に判定することができる。そのため、従来では必要とされていたキャッパ4の下流に配置されていたベレーキャップ検出用の検出装置を省略することができる。したがって、従来と比較して、充填システム1全体として、設置スペースを減少させることができるとともに製造コストも低減させることができる。
【0016】
次に、
図8はキャッピングヘッド3に関する第2実施例を示したものである。上述した第1の実施例におけるキャッピングヘッド3は回転軸17の駆動源としてサーボモータ12を用いていたが、この第2実施例においては、回転軸17に取り付けられたギヤ52を大径のギヤ51に噛み合わせながら、ギヤ52をギヤ51の外周に沿って移動させることにより回転軸17を回転させる構成となっている。この第2実施例ではサーボモータ12及びロータリエンコーダ28が省略されているが、その他の構成は上述した第1の実施例におけるキャッピングヘッド3と同じである。なお、この第2実施例においては、第1の実施例と対応する各部材にそれぞれ第1の実施例と同じ番号を付している。
この第2実施例においては、キャッピングヘッド3が昇降機構11(昇降手段)によって下降して容器6にキャップ9を取り付けるキャッピング区間が予め設定されており、制御装置23は、回転体15の回転位置信号を受けて各キャッピングヘッド3がキャッピング区間の終了位置に到達した時点をキャップ9の取り付け終了として認識し、その時点において、判定部23Aは、ギャップセンサ18が測定した隙間量と予め定めた閾値とを比較することで、ベレーキャップが生じているか否かを判定するようになっている。
このような第2実施例のキャッピングヘッド3を備えたキャッパであっても、上記第1の実施例と同様の作用・効果を得ることができる。
【0017】
なお、上記実施例において、制御装置23は、サーボモータ12の出力トルクが指令トルクに達した時点で、キャップ9の取り付けが終了したと認識しているが、サーボモータ12の出力トルクが指令トルクに到達するとサーボモータの回転速度がほぼゼロとなるので、回転速度がゼロになった時点(例えば
図6(c)のSXで示す時点)をキャップ9の取り付け終了として認識し、その時点でベレーキャップの有無を判定部23Aが判定するようにしても良い。
また、巻き締め開始後に何らかの原因でサーボモータ12が指令トルクに到達しない場合もあり、その場合は、サーボモータ12が回転駆動を開始してから予め定められた時間が経過した時点において、ギャップセンサ18が測定した隙間量を基にしてベレーキャップが生じているか否かを判定することも可能である。
なお、出力トルクが指令トルクに到達した時点や回転速度がゼロになった時点に限らず、出力トルクが指令トルクに到達してから数秒経過した時点をキャップ9の取り付け終了として認識しても良い。
また、上記各実施例においては、キャップ9の天面9Bとチャック8の内方側の端面8Aとの隙間量をエア方式のギャップセンサ18で測定しているが、エア方式以外の方式の測定装置を採用することも可能である。例えば、レーザ式や静電容量式等の測定装置や接触式の測定装置を用いて上記キャップ9の天面9Bとチャック8の端面8Aとの距離を測定するようにしても良い。
また、上記各実施例は、内周面にネジ部を形成したキャップ9を容器6の口部6Cに螺合するスクリューキャッパに本発明を適用した場合を説明しているが、内周面にネジ部がないキャップを口部にネジ部がない容器に上方から押圧して打栓する構成のキャッパにも本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0018】
3‥キャッピングヘッド 4‥キャッパ
4A‥グリッパ(容器保持手段) 6‥容器
6C‥口部 8‥チャック
8A‥チャックの内方側の端面 9‥キャップ
9B‥キャップの天面 11‥昇降機構(昇降手段)
12‥サーボモータ(回転手段)
18‥ギャップセンサ(測定手段)
23‥制御装置 23A‥判定部
DX‥隙間量