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  • 特許-キャッピングヘッド 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】キャッピングヘッド
(51)【国際特許分類】
   B67B 3/10 20060101AFI20240131BHJP
【FI】
B67B3/10
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020002450
(22)【出願日】2020-01-09
(65)【公開番号】P2021109680
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】橋本 康弘
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-132485(JP,A)
【文献】特開平04-114893(JP,A)
【文献】特開2007-062761(JP,A)
【文献】実開平05-046800(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降手段によって昇降されるケーシングと、該ケーシングに設けられてキャップを保持するキャップ保持部材とを備え、上記昇降手段によってケーシングを降下させてキャップ保持部材の下端部に保持したキャップを容器の口部に打栓するようにしたキャッピングヘッドにおいて、
上記キャッピングヘッドは、回転手段によって回転される駆動軸に取り付けられており、
上記ケーシング内にプッシャ部材を昇降自在に設けるとともに、上記キャップ保持部材を上記ケーシングに対して揺動可能に設け、上記プッシャ部材を付勢する付勢手段を設けて該プッシャ部材をキャップ保持部材に弾接させ、さらに該キャップ保持部材とプッシャ部材との当接面を相互に係合する球面に形成して、上記キャップ保持部材の球面を上記プッシャ部材の球面に沿って摺動させることにより所定位置を揺動中心として該キャップ保持部材を上記ケーシングに対して揺動させるように構成されており、
また、上記キャップ保持部材が上記ケーシングに対して回転するのを阻止する回り止め部材を設け、
さらに、上記昇降手段と回転手段の作動を制御する制御手段を備え、該制御手段は、上記昇降手段を介してキャッピングヘッドを回転が停止した状態で降下させ、上記キャップが上記口部に当接すると上記キャッピングヘッドの下降を停止させ、その後、上記回転手段を起動して上記キャッピングヘッドを所定角度だけ回転させることを特徴とするキャッピングヘッド。
【請求項2】
上記揺動中心は、上記キャップ保持部材の下端部に設定されていることを特徴とする請求項1に記截のキャッピングヘッド。
【請求項3】
上記揺動中心は、上記キャップ保持部材の上端部と下端部との間に設定されていることを特徴とする請求項1に記載のキャッピングヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は打栓式のキャッパに用いられるキャッピングヘッドに関し、特に18Lの角型缶、いわゆる一斗缶の口部にキャップを打栓するのに好適なキャッピングヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のキャッピングヘッドとして、昇降手段によって昇降されるケーシングと、該ケーシングに設けられてキャップを保持するキャップ保持部材とを備え、上記昇降手段によってケーシングを降下させてキャップ保持部材の下端部に保持したキャップを容器の口部に打栓するようにしたものが知られている(特許文献1)。
容器の口部が真上を向いている場合には、上記キャッピングヘッドを降下させることによりキャップ保持部材に保持したキャップを容器の口部に打栓することができるが、例えば一斗缶の場合にはその天面中央部が下方に凹んで口部が水平面に対して傾いてしまうことがあり、このような場合には口部の上方に位置する側にはキャップが係合しても、下方に位置する側にはキャップが係合しないため、いわゆるベレーキャップと称する打栓不良が生じることがある。
このため従来、上記キャッピングヘッド全体を揺動可能に設け、打栓時にキャッピングヘッド全体が口部の傾斜に合わせて傾斜することができるようにして、より確実にキャップを口部に打栓できるようにしたキャッピングヘッドが提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-82820号公報
【文献】特開平11-011583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献2のキャッピングヘッドにおいては、保持したキャップを容器口部の傾斜に合わせて傾斜させる際に、キャッピングヘッド全体を揺動させているためにキャップ全体が口部に対して相対的に大きく揺動されるようになり、キャップの傾斜を口部の傾斜に合わせた際にキャップの軸心が口部の軸心から相対的に大きく移動されて打栓が困難になる危険性があった。
本発明はそのような事情に鑑み、打栓時にキャップの傾斜を口部の傾斜に合わせた際に、キャップの軸心が口部の軸心から大きく移動されることがないようにして、より確実に打栓を実行することができるキャッピングヘッド提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、昇降手段によって昇降されるケーシングと、該ケーシングに設けられてキャップを保持するキャップ保持部材とを備え、上記昇降手段によってケーシングを降下させてキャップ保持部材の下端部に保持したキャップを容器の口部に打栓するようにしたキャッピングヘッドにおいて、
上記キャッピングヘッドは、回転手段によって回転される駆動軸に取り付けられており、
上記ケーシング内にプッシャ部材を昇降自在に設けるとともに、上記キャップ保持部材を上記ケーシングに対して揺動可能に設け、上記プッシャ部材を付勢する付勢手段を設けて該プッシャ部材をキャップ保持部材に弾接させ、さらに該キャップ保持部材とプッシャ部材との当接面を相互に係合する球面に形成して、上記キャップ保持部材の球面を上記プッシャ部材の球面に沿って摺動させることにより所定位置を揺動中心として該キャップ保持部材を上記ケーシングに対して揺動させるように構成されており、
また、上記キャップ保持部材が上記ケーシングに対して回転するのを阻止する回り止め部材を設け、
さらに、上記昇降手段と回転手段の作動を制御する制御手段を備え、該制御手段は、上記昇降手段を介してキャッピングヘッドを回転が停止した状態で降下させ、上記キャップが上記口部に当接すると上記キャッピングヘッドの下降を停止させ、その後、上記回転手段を起動して上記キャッピングヘッドを所定角度だけ回転させることを特徴とするものである。
そして上記球面を所要の曲率半径に設定することにより、容易に請求項2で示すように上記揺動中心をキャップ保持部材の下端部に、すなわち該下端部で保持したキャップの中心部近傍位置に設定することができ、あるいは請求項3で示すようにキャップ保持部材の上端部と下端部との間に設定することができる。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、容器の口部が傾斜していた場合、キャップ保持部材の降下に伴ってその下端部で保持していたキャップの一部は、傾斜した口部の上方部分に当接することになる。そして引き続きキャップ保持部材が降下されると、キャップ保持部材のキャップ当接側が他側に対して押し上げられるので、該キャップ保持部材は上記球面に倣ってプッシャ部材およびケーシングに対し揺動して傾斜されるようになる。
この際のキャップ保持部材の揺動中心は、上記球面の曲率半径によって定められることになり、したがって例えば請求項2で示す場合にはキャップ保持部材の下端部であるキャップを中心として揺動されるので、キャップは口部の傾斜に沿って揺動されて口部に打栓されるようになる。
このように請求項1の発明によれば、キャップの軸心を口部の軸心から大きくずらすことなく容器の傾斜に沿って揺動させることが可能となるので、従来に比較してより確実にキャップを傾斜した口部に打栓することが可能となる。
また必要に応じてキャップ保持部材の揺動中心を変更する際には、必要な曲率半径の球面を有するプッシャ部材とキャップ保持部材との組に交換すればよく、簡単にその変更作業を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施例を示す打栓式キャッパ1の正面図
図2】キャップと口部の種類を示す断面図
図3図1のキャッピングヘッド3の要部の断面図
図4図3と異なる状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図示実施例について本発明を説明すると、図1において、打栓式キャッパ1は昇降フレーム2に吊下されたキャッピングヘッド3を備えており、キャッピングヘッド3の下端部に保持したキャップ4を一斗缶などの容器5の口部6にキャッピングすることができるようになっている。
上記昇降フレーム2はボールねじ等の昇降手段7によって昇降されるようになっており、昇降手段7を構成するねじ軸7aをサーボモータ8によって正逆に回転させることにより、昇降フレーム2を介してキャッピングヘッド3を昇降させることができるようになっている。
上記キャッピングヘッド3はその上端部に回転駆動手段としてのロータリーアクチュエータ11を備えており、該ロータリーアクチュエータ11が上記昇降フレーム2に固定されている。
上記ロータリーアクチュエータ11によって回転される駆動軸12にキャッピングヘッド3を構成するチャック部3Aが昇降可能に取り付けられており、該チャック部3Aはコイルばね等の付勢手段13によって駆動軸12の下降端位置に保持されている。
上記サーボモータ8とロータリーアクチュエータ11はそれぞれ制御手段14によって回転が制御されるようになっている。
【0009】
上記容器5が一斗缶であり、その天面5aが水平面内に位置してその口部6が真上を向いている場合には、上記キャッピングヘッド3を降下させることによってキャップ4を口部6にキャッピングすることができる。
他方、天面5aの中央部が図1の想像線で示すように凹面となっている場合には、口部6が傾くのでキャップ4を確実に口部6にキャッピングすることが困難となる。
また、天面5aの中央部が凸面となっている場合もあるが、この場合も口部6が傾くのでキャップ4を確実に口部6にキャッピングすることが困難となる。
【0010】
図2(a)~(c)はそれぞれ口部6の形状とそれに適合したキャップ4との種類を示したもので、いずれも容器5の天面5aが平面となっていて、したがって口部6が真上を向いた状態におけるキャッピング状況を示したものである。
図2(a)で示すキャップ4Aは蓋部4aとその外周の環状の係合部4bとを備えており、蓋部4aの外周にガイド用のテーパ部4cが形成されている。また口部6Aは円筒状に形成されており、円筒状の内周面上端部にガイド用のテーパ部6aが形成されている。
上記キャップ4Aは、その蓋部4aが口部6Aの内側に挿入されるとともに、環状の係合部4b内に口部6Aの上端部が挿入されてキャッピングされるようになっており、上記キャップ4Aと口部6Aとの少なくともいずれか一方にテーパ部4c、6aが形成されている場合には、口部6Aに対してキャップ4Aが正確にセンタリングされていなくても、上記テーパ部6a、4cがガイドとなって調心機能を果たすので、キャップ4Aを口部6Aにキャッピングすることが可能となる。
【0011】
図2(b)で示すキャップ4Bは蓋部4dとその外周の環状の係合部4eとを備えており、また口部6Bは円筒状に形成されてその外周上端部に直径方向外方に向かって突出する断面円弧状の係合部6bが形成されている。
上記キャップ4Bは、その蓋部4dが口部6Bに被せられるとともに、蓋部4dの係合部4eと口部6Bの係合部6bとが係合されてキャッピングされるようになっている。この場合、口部6Bの係合部6bは断面円弧状に形成されているので、口部6Bに対してキャップ4Bが正確にセンタリングされていなくても、上記口部6Bの係合部6bがガイドとなって調心機能を果たすので、キャップ4Bを口部6Bにキャッピングすることが可能となる。
【0012】
図2(c)で示すキャップ4Cと口部6Cは、図2(a)で示したキャップ4Aと口部6Aとに類似しており、それらキャップ4Aと口部6Aとから上記ガイド用のテーパ部4c、6aが省略された構成となっている。
このようにキャップ4Cと口部6Cとの両方にテーパ部が形成されていない場合には、口部6Cに対してキャップ4Cが正確にセンタリングされていないと正常にキャッピングすることができず、キャップ4Cが口部6Cに対して斜めにキャッピングされるベレーキャップと称される不良キャップが生じ易くなる。
また図1の想像線で示したように天面5aが凹面または凸面となって口部6が傾いた場合には、図2(a)、(b)の場合のように調心機能を有する場合であっても、キャップ4を確実に口部6にキャッピングできなくなる危険性が高まる。
【0013】
本実施例においては、上記天面5aが下方に凹面または凸面となって口部6が傾斜した場合であっても、従来に比較してより確実にキャッピングを行うことができるキャッピングヘッド3を提供するものである。
図3は上記キャッピングヘッド3を構成するチャック部3Aの断面図で、該チャック部3Aは下方が開放された円筒状のケーシング21を備えている。
上記ケーシング21内には上方に円筒状のプッシャ部材22が上下動自在に設けられ、下方に円筒状のキャップ保持部材23が揺動可能に設けられている。
上記キャップ保持部材23の上端部には環状部材24が固定されており、その下部外周に下方が窄まったテーパ面24aが形成されている。また上記ケーシング21の下端部にも環状部材25が図示しないネジなどによって固定されており、その内周面上部に上方が拡開したテーパ面25aが形成されている。
【0014】
上記キャップ保持部材23に設けたテーパ面24aはケーシング21に設けたテーパ面25aに着座されており、通常は両テーパ面24a、25aにより円筒状のキャップ保持部材23の軸線がケーシング21の軸線上に位置するように調心されている。しかしながら、後に詳述するように、キャップ保持部材23のテーパ面24aの一部がケーシング21のテーパ面25aから離隔することにより、キャップ保持部材23はケーシング21に対して揺動することができるようになっている(図4参照)。
上記キャップ保持部材23には回り止めピン27を取り付けてあり、該回り止めピン27を環状部材25の一部を切り欠いて形成した係合溝25bに係合させ、キャップ保持部材23がケーシング21に対して回転するのを阻止するようになっている。
上記回り止めピン27は、キャップ保持部材23がケーシング21に対して回転するのを阻止するが、キャップ保持部材23がケーシング21に対して傾くことは阻止することがないように配慮してある。
【0015】
上記プッシャ部材22とケーシング21との間にコイルばね等の付勢手段29が設けられ、該付勢手段29はプッシャ部材22の下端面をキャップ保持部材23の上端面に弾接させている。これにより上記キャップ保持部材23のテーパ面24aはケーシング21のテーパ面25aに弾接され、上述したように通常は両テーパ面24a、25aによりキャップ保持部材23の軸線とケーシング21の軸線とが一致するように保持されている。
上記プッシャ部材22の下端面には上方に窪んだ球面22aを形成してあり、またキャップ保持部材23の上端面には上方に突出した球面23aを形成してある。両球面22a、23aの曲率は同一に設定してあり、それによって上記キャップ保持部材23がケーシング21に対して傾いた際には、両球面22a、23aは相互に接触した状態を保ったまま摺動するようになっている。そして両球面22a、23aの曲率に応じて、キャップ保持部材23の揺動中心Oを規定することができるようになっている。
図3に示す実施例では揺動中心Oはキャップ保持部材23の下端部に、つまり該キャップ保持部材23の下端部で保持したキャップ4の中心付近となるように設定してあるが、それよりも上方でキャップ保持部材23の軸線上中央位置(想像線参照)など、容器5の口部の種類やキャップの種類などに応じて、キャップ保持部材23の上端部と下端部との間の適宜の位置に設定することができる。
【0016】
上記キャップ保持部材23の下端面中央部には円筒状の凹部31を形成してあり、その内部にキャップ4を吸着保持するための吸盤32を設けてある。
上記吸盤32内は導管33を介して負圧源34に接続してあり、導管33に設けた図示しない電磁開閉弁を開閉制御することにより吸盤32内に負圧を導入してキャップ4を吸着保持させ、又はその吸着を解放させることができるようにしてある。
上記電磁開閉弁は、上記制御手段14によって開閉制御できるようにしてある。
【0017】
以上の構成において、昇降フレーム2およびキャッピングヘッド3が上昇端に位置すると、該キャッピングヘッド3にキャップ4が供給されて吸着保持されるようになり、またキャッピングヘッド3の下方に容器5が供給されてその口部6がキャッピングヘッド3の軸線上に位置決めされる。
この状態となると、上記制御手段14によってサーボモータ8が起動されて昇降フレーム2およびキャッピングヘッド3が降下される。この際には、キャッピングヘッド3の回転は停止されている。上記キャップ4が口部6に当接すると、キャップ保持部材23およびプッシャ部材22が付勢手段29の弾発力に抗してケーシング21に対して相対的に上昇されるようになる。この状態となるとサーボモータ8の運転が停止されてキャッピングヘッド3の降下が停止され、次に上記ロータリーアクチュエータ11が起動されて駆動軸12を介してキャッピングヘッド3が180°回転される。これにより以下に述べるようにキャップ4が口部6に確実に係合されるようになる。
【0018】
上記キャッピングヘッド3が180°回転されて停止されると、再びキャッピングヘッド3が降下され、それによりキャップ保持部材23およびプッシャ部材22が付勢手段29の弾発力に抗してケーシング21に対して上昇されて、プッシャ部材22の上端面がケーシング21に当接するようになる。
さらにキャッピングヘッド3が降下されると、上記付勢手段13を撓ませながらキャップ4が強く口部6に押圧されるので、該付勢手段13の弾発力によってキャップ4が口部6に打栓される。
このようにしてキャップ4が口部6に打栓されると、上記吸盤32内への負圧の導入が停止されてキャップ4の吸着保持が解放され、またキャッピングヘッド3は元の上昇端位置に上昇復帰される。
【0019】
上述した打栓の際、容器5の天面5aが水平でキャップ4の軸心と口部6の軸心とが一致している場合には、図2(a)~(c)で示すいずれのキャップ4であっても円滑に打栓することができ、キャップ保持部材23はプッシャ部材22やケーシング21に対して傾くことがない。
また、図2(a)、(b)で示すキャップ4A、4Bの場合には、容器5の天面5aが水平でキャップ4の軸心と口部6の軸心とがずれている場合であっても、上述したようにテーパ部6a、4c又は係合部6bによる調心作用によりキャップ4A、4Bを口部6A、6Bに打栓することができる。この際には、キャップ4A、4Bはキャップ保持部材23に対して相対的に僅かにズレながら口部6A、6Bに打栓されるようになり、キャップ保持部材23は基本的にはケーシング21に対して傾くことがない。
【0020】
これに対し、図2(c)で示すキャップ4Cの場合で、容器5の天面5aが水平でキャップ4Cの軸心と口部6Cの軸心とがずれている場合には、次のようにしてキャップ4が口部6に打栓されることになる。すなわち図2(c)の想像線で示す場合には、キャップ4Cの軸心が口部6Cの軸心よりも右側にズレているので、キャップ4Cの右側部が口部6Cの右側部に当接することになる。そしてこの状態でキャッピングヘッド3がさらに下降されると、キャップ4Cの右側部が左側部よりも相対的に持ち上げられるようになる。
すると、図4に示すように、キャップ4Cを保持しているキャップ保持部材23のテーパ面24aの右側部がケーシング21のテーパ面25aの右側部から浮き上がるようにしてキャップ保持部材23がケーシング21に対して傾くようになる。上記キャッピングヘッド3の降下は、この状態で停止されるようになっている。
この状態で上記キャッピングヘッド3が180°回転されると、回転中にキャップ4Cの外周縁の一部が口部6Cの内周縁に係合するようになり、さらにその状態で回転が進めばキャップ4Cと口部6Cとが嵌合するようになる。
したがってこの後、キャッピングヘッド3を再び降下させれば、キャップ4Cを口部6Cに確実に打栓することができる。
【0021】
また、容器5の天面5aの中央部が凹んで口部6が傾いている場合には、図2(a)~(c)で示すキャップのいずれの場合であっても、上述と同様な作動が行われる。
すなわち口部6が傾いている場合には、キャッピングヘッド3によって水平に保持されたキャップ4は、その一部が傾いた口部6の高い側に、例えば図4の場合にはキャップ4の右側部が口部6Cの右側部に当接することになる。そしてこの状態でキャッピングヘッド3がさらに下降されると、キャップ4Cの右側部が左側部よりも相対的に持ち上げられるようになり、キャップ保持部材23がケーシング21に対して傾くようになる。
これにより、キャップ保持部材23に保持されたキャップ4は口部6の傾斜に倣って傾斜することになる。そしてこの状態で、上記キャッピングヘッド3が180°回転されると、キャップ4は口部6に嵌合されるようになる。
したがってこの後、キャッピングヘッド3を再び降下させることによって、キャップ4を口部6に打栓することが可能となる。
【0022】
上記揺動中心Oの位置を変更する必要が生じた場合には、図示実施例の場合には、必要な揺動中心Oの球面22a、23aを有するキャップ保持部材23とプッシャ部材22との組をケーシング21に組み込んだキャッピングヘッド3に交換すれば良く、容易に揺動中心Oの位置を変更することができる。
【0023】
なお、上記実施例においては、上記サーボモータ8を制御することによって上記キャップ4が口部6に当接した位置でキャッピングヘッド3の下降を停止させているが、これに限定されるわけではない。上記キャップ4と口部6との当接を検知するセンサを設けて、該センサにより当接を検出したら下降を停止させるようにしてもよい。
また、キャップ4と口部6とが係合したことを検知するセンサを設けて、該センサによりキャップ4と口部6とが係合したことが検出されたら、180°の回転途中であっても回転を停止させるようにしてもよい。
さらにキャッピングヘッド3の回転量は180°に限られるものではなく、一例として90°であってもよい。
またカメラによりキャップ4と口部6との芯ズレ量を検出しておくとともに、芯ズレ量とキャッピングヘッド3の回転量との対応関係を予め求めておき、カメラの撮像結果からキャッピングヘッド3を所定量だけ回転させるようにしてもよい。
【0024】
また、上記実施例においてはロータリーアクチュエータ11によってキャッピングヘッド3を回転させるようにしているが、ロータリーアクチュエータ11などの回転駆動手段を省略してもよい。この場合には、当然にキャップ4が口部6に当接した位置でキャッピングヘッド3の降下を一時的に停止させることなく、打栓が完了するまで連続してキャッピングヘッド3を降下させることができる。
この場合であっても、特に図2(a)、(b)で示すキャップ4A、4Bを使用する場合にはそれぞれが調心作用を有するので、キャップ4A、4Bを口部6A、6Bの傾斜に倣わせて傾斜させることができれば、従来に比較して確実に打栓を実行することが可能となる。さらに図2(c)で示すキャップ4Cの場合であっても、キャップ4Cを口部6Cの傾斜に倣わせて傾斜させることによって、より確実な打栓が可能となる。
【符号の説明】
【0025】
1 打栓式キャッパ 3 キャッピングヘッド
4 キャップ 5 容器
5a 天面 6 口部
7 昇降手段 11 ロータリーアクチュエータ
21 ケーシング 22 プッシャ部材
22a、23a 球面 23 キャップ保持部材
29 付勢手段 O 揺動中心
図1
図2
図3
図4