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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】照明回路及び光学的情報読取装置
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20240131BHJP
【FI】
G06K7/10 376
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020009679
(22)【出願日】2020-01-24
(65)【公開番号】P2021117636
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】清水 俊晴
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-502319(JP,A)
【文献】特開2013-110062(JP,A)
【文献】特開2002-359090(JP,A)
【文献】特開2000-332963(JP,A)
【文献】特開2005-285484(JP,A)
【文献】特開2005-285483(JP,A)
【文献】特開2005-006444(JP,A)
【文献】特開2010-205778(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される切替指示に応じて照明光源から照射される照明光による照度を切り替える照明回路であって、
電源からコンデンサに充電される充電電圧をPWM制御により昇圧するための昇圧制御部と、
前記コンデンサの電圧値を監視する監視部と、
所定の照射指示に応じて前記コンデンサから前記照明光源に電力が供給される際に前記照明光源を流れる電流値を所定の電流設定値に設定するための電流値設定部と、
前記監視部により監視される前記コンデンサの電圧値が前記切替指示から特定される所定の電圧値となり、前記コンデンサへの入力電流値が前記切替指示から特定される所定の電流制限値に制限されるように、前記昇圧制御部をPWM制御し、前記所定の電流設定値が前記切替指示に応じて切り替えられるように前記電流値設定部を制御する照度制御部と、
を備えることを特徴とする照明回路。
【請求項2】
前記照明光源は、複数の発光素子を備え、
前記切替指示には、前記複数の発光素子を個別に照射状態又は非照射状態にするための情報が含まれることを特徴とする請求項1に記載の照明回路。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の照明回路及び照明光源を備える光学的情報読取装置であって、
前記照明回路に対して入力された前記切替指示に応じて照度が切り替えられた状態で、前記照明光源から前記照明光が光学的情報に向けて照射された際に、前記光学的情報からの反射光を受光することで、当該光学的情報を読み取ることを特徴とする光学的情報読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明光が照射された情報コードなどの光学的情報を光学的に読み取る光学的情報読取装置用の照明回路及び光学的情報読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
情報コード(バーコードやQRコード(登録商標)等)や文字情報などの光学的情報に対して照明光を照射してその反射光を受光することで光学的情報を光学的に読み取る携帯型の光学的情報読取装置は、比較的暗い倉庫内や比較的明るい店舗内など、様々な環境で使用されるため、その環境に応じて必要な照明光の照度が異なる。一般的には照明用のLED等の点灯時間で照明光の照度を制御する方法が採用されるが、LED等に流れる電流が一定の場合、暗い場所では長露光となり手振れなどの影響で読取性能が悪化する場合がある。一方、暗所の情報コードや遠距離の情報コードを読み取るために、LED等に流れる電流を増加させたりLED等の個数を増加させる構成では、近距離の情報コードを読み取る場合には不要に明るくなってしまい、無駄に電力が消費されてしまう。また、照明パルス幅が細いとその点滅状態が眩しく感じやすくなり見た目に不快となるなどの問題もある。このような問題は据置型の光学的情報読取装置でも生じており、読取視野内に順次搬送されてくる情報コード等を読み取る場合でも、その情報コード等が付された表示面の状態によっては照明光の照度を変えることが望ましい場合がある。
【0003】
このため、例えば、照明光用のLEDのPWM制御や複数設けられるLEDの点灯個数増減等によって照明光による照度を切り替え可能な光学的情報読取装置が提案されている。このような光学的情報読取装置としては、例えば、下記特許文献1に開示される光学的情報読取装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-147522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、照明光用のLEDをPWM制御することで照明光による照度を切り替える構成では、照射開始時に照明用のコンデンサから照明光源に入力される入力電流が急増することで、バッテリ(電源)に瞬間的な負荷変動が生じてしまう。このバッテリの瞬間的な負荷変動を抑制するために、照明用のコンデンサから照明光源に入力される入力電流を低めに抑える必要がある。このため、一般的には、光学的情報読取装置に搭載される回路基板に、バッテリから照明用のコンデンサに充電される充電電圧を昇圧する昇圧回路や入力電流を一定値以下にするための入力電流制限回路、照明光用のLED電流を一定にするための定電流回路等が実装される。
【0006】
しかしながら、上述のように照度を切り替える回路基板では、照度条件により昇圧電圧値や入力制限電流値、LED電流値を可変とする必要があり、それらを構成するために多くのディスクリート部品が実装されることになり、回路基板の小型化が困難になるという問題がある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、電源での瞬間的な負荷変動の発生を防止しつつ照明光による照度を切り替え可能な照明回路が実装される回路基板の小型化を図り得る構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、
入力される切替指示に応じて照明光源(31,31a,31b)から照射される照明光による照度を切り替える照明回路(40)であって、
電源(29)からコンデンサ(32)に充電される充電電圧をPWM制御により昇圧するための昇圧制御部(43)と、
前記コンデンサの電圧値を監視する監視部(42)と、
所定の照射指示に応じて前記コンデンサから前記照明光源に電力が供給される際に前記照明光源を流れる電流値を所定の電流設定値に設定するための電流値設定部(45,46)と、
前記監視部により監視される前記コンデンサの電圧値が前記切替指示から特定される所定の電圧値となり、前記コンデンサへの入力電流値が前記切替指示から特定される所定の電流制限値に制限されるように、前記昇圧制御部をPWM制御し、前記所定の電流設定値が前記切替指示に応じて切り替えられるように前記電流値設定部を制御する照度制御部(41)と、
を備えることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明では、電源からコンデンサに充電される充電電圧が昇圧制御部のPWM制御により昇圧され、このコンデンサの電圧値が監視部により監視される。また、所定の照射指示に応じてコンデンサから照明光源に電力が供給される際に照明光源を流れる電流値が電流値設定部により所定の電流設定値に設定される。そして、監視部により監視されるコンデンサの電圧値が切替指示から特定される所定の電圧値となり、コンデンサへの入力電流値が切替指示から特定される所定の電流制限値に制限されるように、照度制御部によって昇圧制御部がPWM制御される。また、所定の電流設定値が切替指示に応じて切り替えられるように、照度制御部によって電流値設定部が制御される。
【0010】
これにより、照明光源を流れる電流値が入力される切替指示に応じて切り替えられるので、照明光による照度を切り替えることができる。また、コンデンサへの入力電流値が上記切替指示から特定される所定の電流制限値に制限されるので、電源での瞬間的な負荷変動の発生を防止することができる。特に、照明回路に設けられる昇圧制御部、監視部、電流設定部及び照度制御部によって照度の切り替えと電源での瞬間的な負荷変動防止とを実現できるので、照度を切り替え可能な回路基板において昇圧回路や入力電流制限回路、LED定電流回路等を構成するために実装されるようなディスクリート部品を減らすことができる。したがって、電源での瞬間的な負荷変動の発生を防止しつつ照明光による照度を切り替え可能な照明回路が実装される回路基板の小型化を図ることができる。
【0011】
請求項2の発明では、照明光源は、複数の発光素子を備え、上記切替指示には、複数の発光素子を個別に照射状態又は非照射状態にするための情報が含まれる。これにより、上記切替指示に応じて照射状態となる発光素子の個数が変わることで照明光による照度を切り替えることができるだけでなく、照射状態となる発光素子の個数が少ない場合には上記所定の電圧値を減らすように上記切替指示が生成されていることで、消費電力の低減を図ることができる。
【0012】
請求項3の発明では、上記照明回路に対して入力された切替指示に応じて照度が切り替えられた状態で、照明光源から照明光が光学的情報に向けて照射された際に、光学的情報からの反射光を受光することで、当該光学的情報が読み取られる光学的情報読取装置が実現される。これにより、電源での瞬間的な負荷変動の発生を防止しつつ照明光による照度を切り替え可能な照明回路が実装される回路基板の小型化を図り得る光学的情報読取装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態に係る光学的情報読取装置を示す斜視図である。
図2図1の光学的情報読取装置を背面側から見た斜視図である。
図3図1の光学的情報読取装置の電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
図4図3の照明部の電気的構成を概略的に例示する回路ブロック図である。
図5】各モードと出力電圧設定値、入力電流制限値及び光源電流設定値との関係を説明する図表である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る照明回路及びこの照明回路を搭載した光学的情報読取装置を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る光学的情報読取装置10は、情報コード(バーコードやQRコード(登録商標)等)や文字情報などの光学的情報を光学的に読み取る携帯型の情報処理端末である。
【0015】
図1及び図2に示すように、光学的情報読取装置10の外郭を構成する筐体11は、略薄板状に形成されており、その表面11aには、狭額縁化(狭ベゼル化)されるように大型化された表示画面24aが配置されている。また、図2に示すように、筐体11の裏面11bの長手方向一側には、照明光が照射された情報コード等からの反射光を筐体11内に取り込むための読取口12が設けられ、長手方向他側には、電池蓋13が組み付けられている。
【0016】
次に、光学的情報読取装置10の電気的構成について、図3を参照して説明する。
図3に示すように、光学的情報読取装置10は、全体制御を司る制御部21、半導体メモリ等からなる記憶部22、カメラとして構成される撮像部23、撮像部23による撮像視野に対して照明光を照射する照明部24、制御部21によって表示内容が制御されるタッチパネル25、タッチパネル25に対するタッチ操作やキー操作に信号を制御部21に出力する操作部26、上位機器等と通信するための通信部27、電源部28及びバッテリ29などを備えている。
【0017】
このように構成される光学的情報読取装置10では、情報コード等を読み取る際に操作部26に対してなされる所定の操作等に応じて制御部21にて読取処理が開始されると、読取口12を介して照明部24の照明光が照射された情報コード等からの反射光を撮像部23にて撮像(受光)することで、その撮像した情報コード等を解読するための処理がなされる。特に、本実施形態では、暗所での読み取りや明所での読み取り、遠距離での読み取りや近距離での読み取り、低消費電力等を考慮して、撮像部23による撮像時に照明部24から照射される照明光による照度が3段階に切り替えられる。
【0018】
具体的には、暗所での読み取りや遠距離での読み取りでも確実に実施できるように照度を最も高い段階に切り替えたハイパワーモードと、照度を最も低い段階にして消費電力の低減を重視するパワーセーブモードと、ハイパワーモードとパワーセーブモードとの間の照度であって明所での読み取りや近距離での読み取りを前提とするスタンダードモードの3つのモードが、ユーザにより選択可能に用意されている。
【0019】
このため、本実施形態に係る照明部24は、ユーザによるモード選択操作に応じて制御部21から切替指示として入力されるコマンドに基づいて、照明光による照度が3段階(ハイパワーモード、スタンダードモード、パワーセーブモード)に切り替え可能に構成されている。なお、デフォルトでは、スタンダードモードに設定されている。特に、本実施形態では、照明部24は、照明光による照度を切り替え可能であって、照明光の照射開始時にバッテリ29での瞬間的な負荷変動の発生を防止するためにコンデンサ32への入力電流値が制限可能に構成されている。
【0020】
以下、本実施形態に係る照明部24における照明回路40等の特徴的構成について、図4を参照して詳述する。
図4に示すように、照明部24は、主に、照明光源31と照明用のコンデンサ32と、各スイッチ素子33a~33eと、照明回路40とを備えている。
【0021】
照明光源31は、複数の発光素子として、2つのLED31a及びLED31bを備え、LED31aは、スイッチ素子33cがON状態であってスイッチ素子33aがOFF状態となる場合にコンデンサ32から電力が供給されることで、読取口12を介して撮像部23による撮像視野に照明光を照射するように配置されている。また、LED31bは、スイッチ素子33cがON状態であってスイッチ素子33bがOFF状態となる場合にコンデンサ32から電力が供給されることで、読取口12を介して撮像部23による撮像視野に照明光を照射するように配置されている。
【0022】
すなわち、照明光を照射する際に、照明光源31は、LED31a及びLED31bの双方が照射状態となる場合と、LED31a及びLED31bの一方が照射状態となり他方が非照射状態となる場合とに切り替え可能に構成される。本実施形態では、上述したハイパワーモードでは、LED31a及びLED31bの双方が照射状態となり、スタンダードモード及びパワーセーブモードでは、一方のLEDのみ(例えばLED31aのみ)が照射状態となる。
【0023】
スイッチ素子33dは、照明回路40により制御されて、バッテリ29からコイル34及びダイオード35を介してコンデンサ32に充電される充電電圧を昇圧するように機能する。コンデンサ32の充電電圧は、2つの抵抗36a,36bを利用して照明回路40にて監視される。また、スイッチ素子33eは、抵抗37と後述する照明回路40のオペアンプ46とともに、照明光源31を流れる電流値を所定の電流設定値(以下、光源電流設定値ともいう)に設定するための定電流回路を構成するものである。本実施形態では、パワーセーブモードでの光源電流設定値がスタンダードモードでの光源電流設定値よりも小さくなるように設定されることで、消費電力の低減を図っている。
【0024】
照明回路40は、制御部21から入力される切替指示に応じて照明光源31から照射される照明光による照度を切り替えるための回路である。この照明回路40は、主に、CPU41、ADC42、PWM43、GPIO44a,GPIO44b、DAC45及びオペアンプ46を備えている。
【0025】
ADC42は、抵抗36a,36bを利用して監視されるコンデンサ32の電圧値に応じたデジタル信号をCPU41に出力する監視部として機能するものである。PWM43は、CPU41により周波数及びデューティ比が調整されるように制御されて、ADC42を利用して監視されるコンデンサ32の電圧値が所定の電圧値(以下、出力電圧設定値ともいう)に向けて昇圧されるようにスイッチ素子33dをPWM制御(スイッチング制御)する昇圧制御部として機能するものである。特に、バッテリ29での瞬間的な負荷変動の発生を防止するため、PWM43は、CPU41による周波数及びデューティ比の調整に応じて、コンデンサ32への入力電流値が所定の電流制限値(以下、入力電流制限値ともいう)に制限されるように制御される。
【0026】
GPIO44aは、LED31aを照射状態及び非照射状態のいずれかに切り替えるための汎用入出力ポートであり、GPIO44bは、LED31bを照射状態及び非照射状態のいずれかに切り替えるための汎用入出力ポートである。GPIO44aは、スイッチ素子33aに接続されており、LED31aを非照射状態とする場合に、スイッチ素子33aをON状態とするための信号がCPU41から出力されるように構成されている。GPIO44bは、スイッチ素子33bに接続されており、LED31bを非照射状態とする場合に、スイッチ素子33bをON状態とするための信号がCPU41から出力されるように構成されている。
【0027】
DAC45及びオペアンプ46は、照明光源31を流れる電流値を上記光源電流設定値に設定するための電流値設定部として機能するもので、上記所定の電流設定値に応じたデジタル信号をCPU41から取得したDAC45がアナログ信号に変換してDAC設定値としてオペアンプ46の+入力端子に出力することで、照明光源31を流れる電流値が上記光源電流設定値に設定される。
【0028】
CPU41は、I2Cバス47を介して制御部21から上記切替指示として入力されたコマンドに応じて、上述した出力電圧設定値、入力電流制限値及び光源電流設定値を切り替えるようにPWM43等を制御することで、照明光源31からの照明光による照度を切り替える照度制御部として機能するものである。
【0029】
次に、このように構成される照明部24において、ユーザの選択操作によってハイパワーモード、スタンダードモード及びパワーセーブモードのいずれかが選択された場合に、照明回路40にてなされる処理について説明する。なお、本実施形態では、図5に例示するように、ハイパワーモード、スタンダードモード及びパワーセーブモードに対応して、設定すべき出力電圧設定値、入力電流制限値及び光源電流設定値が予め決まっているものとする。
【0030】
暗所で読み取り作業を行うユーザによってハイパワーモードが選択操作されると、ハイパワーモードを選択するためのコマンドが切替指示として制御部21からI2Cバス47を介してCPU41に入力される。このコマンドを受けたCPU41は、ADC42を利用して監視されるコンデンサ32の電圧値が10V(図5におけるハイパワーモードの出力電圧設定値参照)に向けて昇圧され、コンデンサ32への入力電流値が500mA(図5におけるハイパワーモードの入力電流制限値参照)に制限されるように、スイッチ素子33dをPWM制御する。また、CPU41は、スイッチ素子33cのON状態時に、コンデンサ32からLED31a及びLED31bの双方に電力が供給されるように、スイッチ素子33a及びスイッチ素子33bをOFF状態にする。また、CPU41は、照明光源31を流れる電流値が700mA(図5におけるハイパワーモードの光源電流設定値参照)となるように、DAC45からオペアンプ46の+入力端子に出力されるDAC設定値を設定する。
【0031】
これにより、ユーザによる読取操作に応じた読取処理の開始に伴う所定の照射指示として制御部21により制御されたスイッチ素子33cがON状態となると、コンデンサ32から電力が供給されたLED31a及びLED31bの双方が照射状態となり、暗所での読み取りや遠距離での読み取りでも確実に実施できるようになる。このとき、コンデンサ32への入力電流値が上記入力電流制限値(500mA)に制限されるため、コンデンサ32から照明光源31に入力される入力電流が急増することもない。
【0032】
また、バッテリを長持ちさせて光学的情報読取装置10を長時間使用したいユーザによってパワーセーブモードが選択操作されると、パワーセーブモードを選択するためのコマンドが切替指示として制御部21からI2Cバス47を介してCPU41に入力される。このコマンドを受けたCPU41は、ADC42を利用して監視されるコンデンサ32の電圧値が5V(図5におけるパワーセーブモードの出力電圧設定値参照)に向けて昇圧され、コンデンサ32への入力電流値が100mA(図5におけるパワーセーブモードの入力電流制限値参照)に制限されるように、スイッチ素子33dをPWM制御する。また、CPU41は、スイッチ素子33cのON状態時に、コンデンサ32からLED31aのみに電力が供給されるように、スイッチ素子33aをOFF状態にするとともにスイッチ素子33bをON状態にする。また、CPU41は、照明光源31を流れる電流値が100mA(図5におけるパワーセーブモードの光源電流設定値参照)となるように、DAC45からオペアンプ46の+入力端子に出力されるDAC設定値を設定する。
【0033】
これにより、ユーザによる読取操作に応じた読取処理の開始に伴う所定の照射指示として制御部21により制御されたスイッチ素子33cがON状態となると、コンデンサ32から電力が供給されたLED31aのみが照射状態となり、照明光源31を流れる電流値も上記光源電流設定値(100mA)に低減されるため、比較的読み取りやすい環境での読み取りを可能としつつ消費電力の低減が図られる。この場合でも、コンデンサ32への入力電流値が上記入力電流制限値(100mA)に制限されるため、コンデンサ32から照明光源31に入力される入力電流が急増することもない。
【0034】
また、ユーザによってスタンダードモードが選択操作されると、スタンダードモードを選択するためのコマンドが切替指示として制御部21からI2Cバス47を介してCPU41に入力される。このコマンドを受けたCPU41は、ADC42を利用して監視されるコンデンサ32の電圧値が5V(図5におけるスタンダードモードの出力電圧設定値参照)に向けて昇圧され、コンデンサ32への入力電流値が200mA(図5におけるスタンダードモードの入力電流制限値参照)に制限されるように、スイッチ素子33dをPWM制御する。また、CPU41は、スイッチ素子33cのON状態時に、コンデンサ32からLED31aのみに電力が供給されるように、スイッチ素子33aをOFF状態にするとともにスイッチ素子33bをON状態にする。また、CPU41は、照明光源31を流れる電流値が300mA(図5におけるスタンダードモードの光源電流設定値参照)となるように、DAC45からオペアンプ46の+入力端子に出力されるDAC設定値を設定する。
【0035】
これにより、ユーザによる読取操作に応じた読取処理の開始に伴う所定の照射指示として制御部21により制御されたスイッチ素子33cがON状態となると、コンデンサ32から電力が供給されたLED31aのみが照射状態となり、明所での読み取りや近距離での読み取りが可能となる。この場合でも、コンデンサ32への入力電流値が上記入力電流制限値(200mA)に制限されるため、コンデンサ32から照明光源31に入力される入力電流が急増することもない。
【0036】
以上説明したように、本実施形態に係る照明回路40では、バッテリ(電源)29からコンデンサ32に充電される充電電圧がPWM43のPWM制御により昇圧され、このコンデンサ32の電圧値がADC42を利用して監視される。また、所定の照射指示に応じてコンデンサ32から照明光源31に電力が供給される際に照明光源31を流れる電流値が電流値設定部として機能するDAC45及びオペアンプ46を利用して所定の電流設定値(光源電流設定値)に設定される。そして、監視されるコンデンサ32の電圧値が切替指示から特定される所定の電圧値(出力電圧設定値)となり、コンデンサ32への入力電流値が切替指示から特定される所定の電流制限値(入力電流制限値)に制限されるように、CPU41によってPWM43がPWM制御される。また、所定の電流設定値が切替指示に応じて切り替えられるように、CPU41によってDAC45及びオペアンプ46が制御される。
【0037】
これにより、照明光源31を流れる電流値が入力される切替指示に応じて切り替えられるので、スタンダードモードとパワーセーブモードとで照明光による照度を切り替えることができる。また、コンデンサ32への入力電流値が上記切替指示から特定される入力電流制限値に制限されるので、バッテリ29での瞬間的な負荷変動の発生を防止することができる。特に、照明回路40に設けられるPWM43、ADC42、DAC45、オペアンプ46及びCPU41によって照度の切り替えとバッテリ29での瞬間的な負荷変動防止とを実現できるので、照度を切り替え可能な回路基板において昇圧回路や入力電流制限回路、LED定電流回路等を構成するために実装されるようなディスクリート部品を減らすことができる。したがって、バッテリ29での瞬間的な負荷変動の発生を防止しつつ照明光による照度を切り替え可能な照明回路40が実装される回路基板の小型化を図ることができる。
【0038】
そして、本実施形態では、上記照明回路40に対して入力された切替指示に応じて照度が切り替えられた状態で、照明光源31から照明光が情報コード等の光学的情報に向けて照射された際に、光学的情報からの反射光を受光することで、当該光学的情報が読み取られる光学的情報読取装置10が実現される。これにより、バッテリ29での瞬間的な負荷変動の発生を防止しつつ照明光による照度を切り替え可能な照明回路40が実装される回路基板の小型化を図り得る光学的情報読取装置10を実現することができる。
【0039】
特に、本実施形態では、照明光源31は、複数の発光素子として2つのLED31a及びLED31bを備え、上記切替指示には、LED31a及びLED31bを個別に照射状態又は非照射状態にするための情報等が含まれる。具体的には、ハイパワーモードに切り替えるために切替指示として入力されるコマンドには、LED31a及びLED31bの双方を照射状態とするための情報が含まれ、スタンダードモード又はパワーセーブモードに切り替えるために切替指示として入力されるコマンドには、一方のLEDのみを照射状態とするための情報が含まれる。そして、スタンダードモード又はパワーセーブモード用のコマンドで設定される出力電圧設定値(図5の例では5V)は、ハイパワーモード用のコマンドで設定される出力電圧設定値(図5の例では10V)よりも低くなるように設定される。
【0040】
これにより、上記切替指示に応じて照射状態となる発光素子の個数が変わることで照明光による照度を切り替えることができるだけでなく、照射状態となる発光素子の個数が少ない場合には上記出力電圧設定値を減らすように上記切替指示が生成されることで、消費電力の低減を図ることができる。
【0041】
なお、本発明は上記実施形態等に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)本発明に係る照明回路40は、情報コードや文字情報などの光学的情報を光学的に読み取る携帯型の光学的情報読取装置10に採用されることに限らず、例えば、情報コードのみを読み取る携帯型の光学的情報読取装置に採用されてもよいし、他の機能を兼備する光学的情報読取装置に採用されてもよい。また、本発明に係る照明回路40は、据え置き型の光学的情報読取装置に採用されてもよいし、照射される照明光による照度の切り替えを要する装置等に採用されてもよい。
【0042】
(2)照明部24は、照射される照明光による照度が3段階に切り替え可能に構成されることに限らず、2段階又は4段階以上に切り替え可能に構成されてもよい。また、照明光源31は、2つのLED31a,31bを備えるように構成されることに限らず、3つ以上のLED等の発光素子を備えるように構成されてもよい。この場合、照明回路40は、各モードにて照射状態とする発光素子の個数を変えることで照射される照明光による照度を切り替えてもよいし、各発光素子を流れる電流値を上記DAC設定値に応じて変えることで照射される照明光による照度を切り替えてもよい。
【0043】
(3)各モードに対応して設定すべき出力電圧設定値、入力電流制限値及び光源電流設定値は、図5に例示するように予め設定されていることに限らず、他の設定値に予め設定されてもよいし、ユーザによる変更操作等に応じて適宜変更されてもよい。
【0044】
(4)ユーザによるモード選択操作は、タッチパネル25に対する所定のタッチ操作に応じてなされてもよいし、例えば、モード選択用の情報コードを読み取ることでその読み取った情報コードに応じたモードが選択されるようになされてもよい。
【符号の説明】
【0045】
10…光学的情報読取装置
21…制御部
24…照明部
29…バッテリ(電源)
31…照明光源
31a,31b…LED(発光素子)
32…コンデンサ
40…照明回路
41…CPU(照度制御部)
42…ADC(監視部)
43…PWM(昇圧制御部)
45…DAC(電流値設定部)
46…オペアンプ(電流値設定部)
図1
図2
図3
図4
図5