(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】中空容器の製造方法、及びロータリーブロー成形機
(51)【国際特許分類】
B29C 49/50 20060101AFI20240131BHJP
B29C 49/36 20060101ALI20240131BHJP
B29C 49/04 20060101ALI20240131BHJP
B29C 49/78 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
B29C49/50
B29C49/36
B29C49/04
B29C49/78
(21)【出願番号】P 2020094430
(22)【出願日】2020-05-29
【審査請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】樽野 真輔
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-342531(JP,A)
【文献】特開平07-214653(JP,A)
【文献】特開2000-263637(JP,A)
【文献】国際公開第90/000138(WO,A1)
【文献】特開昭49-017459(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/00-49/80
B29C 33/00-33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空容器の製造方法であって、
ロータリーブロー成形工程と、分離工程とを備え、
前記ロータリーブロー成形工程は、
複数組の金型を同心円状に連なるよう配置し、
溶融状態のパリソンを円周方向に沿って連続的に前記複数組の金型上に供給し、
前記複数組の金型を逐次型閉じし、
前記パリソン内に加圧流体を導入して当該パリソン
を前記金型のキャビティに沿って膨張させ、
その後
、前記複数組の金型を逐次型開きすることで、前記中空容器が連結された連鎖状中空成形品を連続成形する工程であり、
前記分離工程は、前記連鎖状中空成形品を中空容器ごとに分離する工程であって、
前記複数組の金型はそれぞれ、前記連鎖状中空成形品のピンチオフ部に加わる圧力を調整可能な圧受け手段を備え
、
前記複数組の金型はそれぞれ、開閉可能な第1分割金型と第2分割金型とを備え、
前記圧受け手段は、前記第1分割金型に配置されるとともに、当該第1分割金型における前記第2分割金型との当接面から突出可能に構成され、
前記当接面からの突出量を調整することで、前記ピンチオフ部に加わる圧力を調整可能とする、中空容器の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の中空容器の製造方法であって、
前記パリソンは、積層パリソンであり、
前記中空容器は、外殻と内袋とを有し、内容物の減少に伴って前記内袋が収縮するよう構成される積層剥離容器であって、
前記ピンチオフ部は、前記積層剥離容器の底部に形成される、中空容器の製造方法。
【請求項3】
請求項
1又は請求項2に記載の中空容器の製造方法であって、
前記圧受け手段は、
前記第1分割金型に取付け可能なブロック部材と、
前記第1分割金型と前記ブロック部材との間に配置することで、前記当接面からの前記ブロック部材の突出量を調整可能なシムと、を備える、中空容器の製造方法。
【請求項4】
複数の中空容器が連結された連鎖状中空成形品を成形するロータリーブロー成形機であって、
同心円状に連なるよう配置された複数組の金型を備え、
前記複数組の金型はそれぞれ、前記連鎖状中空成形品のピンチオフ部に加わる圧力を調整可能な圧受け手段を備え
、
前記複数組の金型はそれぞれ、開閉可能な第1分割金型と第2分割金型とを備え、
前記圧受け手段は、前記第1分割金型に配置されるとともに、当該第1分割金型における前記第2分割金型との当接面から突出可能に構成され、
前記当接面からの突出量を調整することで、前記ピンチオフ部に加わる圧力を調整可能とする、ロータリーブロー成形機。
【請求項5】
請求項
4に記載のロータリーブロー成形機であって、
前記圧受け手段は、
前記第1分割金型に取付け可能なブロック部材と、
前記第1分割金型と前記ブロック部材との間に配置することで、前記当接面からの前記ブロック部材の突出量を調整可能なシムと、を備える、ロータリーブロー成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空容器の製造方法、特に、ロータリーブロー成形機を用いた中空容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の中空容器が連結された連鎖状中空成形品を成形するロータリー成形機がある。例えば、特許文献1のロータリー成形機は、複数組の分割金型が放射状等間隔の位置で且つ円弧状に連結されて垂直面内で回転するよう構成され、その周方向の一部でパリソンが供給されて型締めされ、周方向の他の部分で型開きされて、複数の中空容器が余剰部を介して連結された連鎖状中空成形品が取り出されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このようなロータリー成形機により成形される連鎖状中空成形品は、各中空容器と余剰部の間の位置でピンチオフされ、中空容器と余剰部の間には薄肉のピンチオフ部が形成される。しかしながら、適切にピンチオフがなされなかった場合、中空容器と余剰部とが切断され連鎖状中空成形品を形成できなかったり、逆にピンチオフ部が厚くなりすぎることで後の分離工程において切断が困難になるおそれがあった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、ロータリーブロー成形において、適切にピンチオフを行うことの可能な中空容器の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、中空容器の製造方法であって、ロータリーブロー成形工程と、分離工程とを備え、前記ロータリーブロー成形工程は、複数組の金型を同心円状に連なるよう配置し、溶融状態のパリソンを円周方向に沿って連続的に前記複数組の金型上に供給し、前記複数組の金型を逐次型閉じし、前記パリソン内に加圧流体を導入して当該パリソン前記金型のキャビティに沿って膨張させ、その後前記複数組の金型を逐次型開きすることで、前記中空容器が連結された連鎖状中空成形品を連続成形する工程であり、前記分離工程は、前記連鎖状中空成形品を中空容器ごとに分離する工程であって、前記複数組の金型はそれぞれ、前記連鎖状中空成形品のピンチオフ部に加わる圧力を調整可能な圧受け手段を備える、中空容器の製造方法が提供される。
【0007】
本発明によれば、複数組の金型がそれぞれ連鎖状中空成形品のピンチオフ部に加わる圧力を調整可能な圧受け手段を備えていることから、適切にピンチオフを行うことが可能となっている。
【0008】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
【0009】
好ましくは、前記パリソンは、積層パリソンであり、前記中空容器は、外殻と内袋とを有し、内容物の減少に伴って前記内袋が収縮するよう構成される積層剥離容器であって、前記ピンチオフ部は、前記積層剥離容器の底部に形成される。
【0010】
好ましくは、前記複数組の金型はそれぞれ、開閉可能な第1分割金型と第2分割金型とを備え、前記圧受け手段は、前記第1分割金型に配置されるとともに、当該第1分割金型における前記第2分割金型との当接面から突出可能に構成され、前記当接面からの突出量を調整することで、前記ピンチオフ部に加わる圧力を調整可能とする。
【0011】
好ましくは、前記圧受け手段は、前記第1分割金型に取付け可能なブロック部材と、前記第1分割金型と前記ブロック部材との間に配置することで、前記当接面からの前記ブロック部材の突出量を調整可能なシムと、を備える。
【0012】
また、本発明によれば、複数の中空容器が連結された連鎖状中空成形品を成形するロータリーブロー成形機であって、同心円状に連なるよう配置された複数組の金型を備え、前記複数組の金型はそれぞれ、前記連鎖状中空成形品のピンチオフ部に加わる圧力を調整可能な圧受け手段を備える、ロータリーブロー成形機が提供される。
【0013】
好ましくは、前記複数組の金型はそれぞれ、開閉可能な第1分割金型と第2分割金型とを備え、前記圧受け手段は、前記第1分割金型に配置されるとともに、当該第1分割金型における前記第2分割金型との当接面から突出可能に構成され、前記当接面からの突出量を調整することで、前記ピンチオフ部に加わる圧力を調整可能とする。
【0014】
好ましくは、前記圧受け手段は、前記第1分割金型に取付け可能なブロック部材と、前記第1分割金型と前記ブロック部材との間に配置することで、前記当接面からの前記ブロック部材の突出量を調整可能なシムと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係るロータリーブロー成形機2を示す概念図である。
【
図2】
図1のロータリーブロー成形機の金型ユニット21を示す展開図である。
【
図5】
図2のA-A線断面において、圧受け手段30を分解して示す説明図である。
【
図7】
図2の金型ユニット21の第1分割金型21Aのピンチオフ部近傍を拡大して示す説明図である。
【
図8】
図8Aは、
図1のロータリーブロー成形機2により成形された連鎖状中空成形品10の平面図であり、
図8Bは、同連鎖状中空成形品10の側面図である。
【
図9】本発明の中空容器の製造方法に用いられる、ロータリー分離装置4を示す概念図である。
【
図10】
図8のロータリー分離装置4の分離ユニット41を示す側面図である。
【
図11】
図11Aは、
図10の分離ユニット41の、連鎖状中空成形品10を保持する前の状態を示す平面図であり、
図11Bは、
図10の分離ユニット41の、連鎖状中空成形品10を保持した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
【0017】
本発明の実施形態に係る中空容器1の製造方法は、
図1に示すロータリーブロー成形機2によるロータリーブロー成形工程と、
図9に示すロータリー分離装置4による分離工程とを備える。中空容器1は、ロータリーブロー成形機2によって
図8A及び
図8Bに示す連鎖状中空成形品10が成形され、この連鎖状中空成形品10がロータリー分離装置4によって個々の中空容器1に分離されることで製造される。
【0018】
なお、連鎖状中空成形品10は、
図8A及び
図8Bに示すように、複数の中空容器1と、余剰部15が交互に連結されたものである。また、本実施形態の製造方法により製造される中空容器1は、外殻と内袋とを有し、内容物の減少に伴って内袋が収縮するよう構成される積層剥離容器として製造される。中空容器1は、本体部11と、口部12と、この口部12と連続する先細り形状のカバー部13とを備えた形状である。詳細な説明は省略するが、カバー部13はその先端に流通路14を有しており、流通路14は、分離工程の後、熱風を当てることにより封止される。また、カバー部13は、内容物の装填時に切断される。
【0019】
以下、まず各装置の構成を説明し、その後、これらの装置を用いた中空容器1の製造方法を説明する。
【0020】
<ロータリーブロー成形機2の構成>
ロータリーブロー成形機2は、
図1に示すように、回転盤20と、複数組の金型ユニット21と、複数組の支柱22と、押出ヘッド23とを備える。回転盤20は、図示しない回転駆動手段によって水平方向の回転軸を中心に回転する(
図1では、時計回りに回転する)。複数組の金型ユニット21は、同心円状に連なるよう配置される。具体的には、各金型ユニット21は、支柱22を介して、回転盤20の外周面に等間隔で配設される。
【0021】
金型ユニット21は、分割形式の金型であり、
図2に示すように、開閉可能な第1分割金型21Aと第2分割金型21Bとを備える。第1分割金型21Aは、同心円の内側、すなわち回転盤20側に配置され、第2分割金型21Bは、同心円の外側、すなわち第1分割金型21Aよりも外側に配置される。
【0022】
第1分割金型21A及び第2分割金型21Bはそれぞれ、
図2及び
図3に示すように、キャビティ24を備える。また、第1分割金型21A及び第2分割金型21Bはそれぞれ、
図2に示すように、キャビティ24内に加圧流体を導入するための導入溝25を備える。ここで、
図2においてハッチングを施した箇所は、第1分割金型21Aと第2分割金型21Bとが型閉じした際に当接する、当接面S1及び当接面S2である(
図3及び
図4も参照)。
【0023】
キャビティ24は、中空容器1の本体部11、口部12及びカバー部13を形成する容器成形部26と、余剰部15を形成する余剰部成形部27と、カバー部13先端の流通路14を形成する流通路成形部28とを備える。余剰部成形部27は、吹込部15aを形成する吹込部成形部27aと、連結部15bを形成する連結部成形部27bとを備える。本実施形態において、ロータリーブロー成形機2の各金型ユニット21には、1つの容器成形部26と1つの余剰部成形部27が形成される。容器成形部26と余剰部成形部27とは、ピンチオフ部16を形成するピンチオフ部成形部29を隔てて配置される。ここで、ピンチオフ部16は、中空容器1の底部に形成され、中空容器1の底部をシールする部位である。
【0024】
また、本実施形態の金型ユニット21の第1分割金型21Aは、
図2,
図4,
図5及び
図7に示すように、一対の圧受け手段30と、当該一対の圧受け手段30を設置する凹部31とを備えている。圧受け手段30は、連鎖状中空成形品10(中空容器1)のピンチオフ部16に加わる圧力を調整するために設けられる。
【0025】
圧受け手段30は、第1分割金型21Aにおける第2分割金型21Bとの当接面S1から突出可能に構成され、当接面S1からの突出量を調整することで、ピンチオフ部16に加わる圧力を調整可能とする。圧受け手段30は、
図5に示すように、ブロック部材32と、シム33と、固定部材としてのネジ34とを備える。
【0026】
ブロック部材32は、
図5及び
図7に示すように、直方体形状であり、平面視においては、金型の幅方向を長辺とする矩形形状となっている。ブロック部材32は、ネジ孔32aを有しており、ネジ34により第1分割金型21Aに取付け可能とされる。
【0027】
シム(shim)33は、
図6に示すように、貫通孔33aを有する円盤状であり、一枚の厚さは、例えば0.01mmとされる。また、貫通孔33aはネジ孔32aを挿通可能とされる。シム33は、
図5に示すように、第1分割金型21Aの凹部31において、第1分割金型21Aとブロック部材32との間に配置される。
【0028】
一方、第1分割金型21Aの凹部31は、
図7に示すように、ピンチオフ部成形部29の近傍に設けられる。具体的には、凹部31は、連結部成形部27bの両側方に設けられている。凹部31をこのような位置に配置することで、圧受け手段30もピンチオフ部成形部29の近傍に配置されることになる。
【0029】
凹部31は、
図5に示すように、ブロック部材32を挿入するため、平面視がブロック部材32の形状に対応した矩形状となっている。また、凹部31の底面には、ネジ34を螺入するネジ穴31aが形成されている。凹部31内に所定枚数のシム33及びブロック部材32をこの順に配置し、ネジ34をネジ穴31aに螺入することで、ブロック部材32を固定することが可能である。
【0030】
また、本実施形態の凹部31は、
図7に示すように、第1分割金型21Aのキャビティ24の両側面に形成された段部21A1(
図3も参照)に面するよう、形成される。言い換えると、凹部31は、段部21A1と連続するよう形成されている。このような構成により、シム33の追加及び削減を容易に行うことが可能である。
【0031】
以上のような構成の圧受け手段30は、ブロック部材32を第1分割金型21Aの当接面S1からわずかに突出させることで、型閉じの際、ブロック部材32を第2分割金型21Bの当接面S2と当接させることができ、ピンチオフ部成形部29に微小な隙間を生じさせることができる。また、本実施形態の圧受け手段30は、第1分割金型21Aとブロック部材32との間に配置するシム33の枚数を調整することで、ブロック部材32の当接面S1からの突出量を調整することができる。
【0032】
上記構成のロータリーブロー成形機2により成形される連鎖状中空成形品10は、
図8A及び
図8Bに示すように、複数の中空容器1と、余剰部15(バリ)が交互に連結されたものである。余剰部15は、吹込部15aと、連結部15bとから構成される。吹込部15aは、ブロー成形のため加圧流体を吹き込む箇所である。吹込部15aは、略直方体形状であり、側方から吹込ノズルを突き刺すことで、隣接する一方の中空容器1(
図8A及び
図8Bでは右側)の流通路14へ加圧流体を流通させる。連結部15bは、吹込部15aと、他方の中空容器1(
図8A及び
図8Bでは左側)とを連結する。本実施形態の製造方法では、後の工程で取り除かれる吹込部15aを介して加圧流体を吹き込むよう構成し、吹き込む空間と中空容器1の空間を分離しているため、中空容器1の内部への異物の侵入を防止することが可能となっている。
【0033】
<ロータリー分離装置4の構成>
次に、ロータリー分離装置4は、
図9に示すように、図示しない回転駆動手段によって水平方向の回転軸を中心に回転する回転盤40と、回転盤40の外周面に等間隔で配設された複数の分離ユニット41を備える。ここで、
図9では、回転盤40は反時計回りに回転する。ロータリー分離装置4は、複数の分離ユニット41によって逐次連鎖状中空成形品10における隣接する中空容器1同士を連結している余剰部15を切除して中空容器1を分離したのち、所定の回転部位にて次工程へ送出するよう構成される。
【0034】
分離ユニット41は、
図10、
図11A及び
図11Bに示すように、下部保持台42と、カバー部保持台43と、本体部挟持部材44と、切断部材45と、余剰部押さえ機構46と、カバー部押さえ機構47とを備える。
【0035】
下部保持台42は、中空容器1の本体部11の下部を保持するものであり、中空容器1の下端部を載置する載置部42aと、中空容器1を真空吸着する吸着手段42bとを備える。この下部保持台42は、中空容器1を次工程へ送出する際、上方に向かって動作するよう構成される。
【0036】
カバー部保持台43は、下部保持台42の前方(
図10、
図11A及び
図11Bの左側)に配置され、上方に延びる突出部43aにより中空容器1のカバー部13を保持する部材である。
【0037】
本体部挟持部材44は、カバー部保持台43上に配置される板状部材44aと、各板状部材44aから上方に延びる一対の挟持片44bとを備え、一対の挟持片44bにより本体部11の側面を挟持する部材である。本体部挟持部材44は、
図11Aに示す非挟持位置と、
図11Bに示す挟持位置との間で動作可能である。
【0038】
切断部材45は、中空容器1先端の流通路14を切断する板状の部材であり、
図10に示すように、その上方の端面に、中空容器1のカバー部13と余剰部15とを連結する流通路14を切断する切断部45aを備える。切断部材45は、図示しない駆動手段により上方に向かって移動することで、切断部45aが流通路14を切断するとともに、余剰部15を押し上げるよう構成されている。
【0039】
余剰部押さえ機構46は、余剰部15の上方に位置づけられて、余剰部15の上方への移動を規制する機構であり、
図10、
図11A及び
図11Bに示すように、台座46aと、支柱46bと、アーム46cと、押さえ部材46dとを備える。本実施形態において、台座46aは、カバー部保持台43の側方に配置され、支柱46bは、台座46aから上方に向かって延びるよう構成される。アーム46cは、基端部が支柱46bの上部に軸支され、前方に向かって延びる部材であり、平面視においてL字型をなすことで、その先端部が余剰部15の上方に位置づけられるようになっている。押さえ部材46dは、アーム46cの先端部に取り付けられ、余剰部15を保持して上方への移動を規制する部材である。押さえ部材46dは、
図5に示すように、吹込部1a5の前端及び後端を保持するため、側面視がコの字形状となっている。
【0040】
以上のような構成の余剰部押さえ機構46は、図示しない駆動手段により支柱46bに対してアーム46cが回動することで、押さえ部材46dを
図11Aに示す非押さえ位置と、
図11Bに示す押さえ位置との間で移動させることが可能である。
【0041】
カバー部押さえ機構47は、
図10、
図11A及び
図11Bに示すように、中空容器1のカバー部13の上方に位置づけられて、カバー部13の上方への移動を規制する機構である。カバー部押さえ機構47は、
図11A及び
図11Bに示すように、側方に向かって延びる円柱形状の押さえピン47aと、押さえピン47aを保持する直方体形状の駆動部材47bとを備える。押さえピン47aは、駆動部材47bが駆動することにより、
図11Aに示す非押さえ位置と、
図11Bに示す押さえ位置との間で移動することが可能である。
【0042】
次に、上記の装置を用いた中空容器1の製造方法を説明する。本実施形態において、中空容器1の製造方法は、ブロー成形工程と、分離工程とを備える。
【0043】
<ブロー成形工程>
【0044】
ロータリーブロー成形機2により連鎖状中空成形品10を成形するには、まず、押出ヘッド23により押し出された溶融状態のパリソン19を円周方向に沿って連続的に各金型ユニット21の金型上に供給する。本実施形態では、製造する中空容器1は積層剥離容器であるため、押出ヘッド23から押し出されるパリソン19は積層パリソンである。次に、逐次金型ユニット21を型閉じしてパリソン19内に加圧流体を導入し、パリソン19を金型ユニット21のキャビティ24に沿って膨張させる。すると、キャビティ24に沿ってパリソン19が膨張し、容器成形部26及び余剰部成形部27により中空容器1及び余剰部15が形成される。
【0045】
ここで、本実施形態のロータリーブロー成形機2では、1つの金型ユニット21の余剰部成形部27に導入された加圧流体は、同じ金型ユニット21の容器成形部26には流れず、隣接する後方の金型ユニット21の流通路成形部28を介して、当該後方の金型ユニット21の容器成形部26に吹き込まれるようになっている。ただし、1つの金型ユニット21内で、連通する中空容器1及び余剰部15が形成される構成とすることも可能である。
【0046】
その後は、各金型ユニット21が順次型開きされることにより、中空容器1が連結された連鎖状中空成形品10が連続成形される。
【0047】
ロータリーブロー成形機2から搬送された連鎖状中空成形品10は、搬送路(図示せず)を経由してロータリー分離装置4に運ばれ、分離工程に移行する。このような構成により、連鎖状中空成形品10が搬送中に分離することを防止することが可能である。
【0048】
なお、ロータリーブロー成形機2から搬送された連鎖状中空成形品10は、一旦搬送路上を搬送させてからロータリー分離装置4に入るようになっていることで、ロータリー分離装置4に搬送されてくる連鎖状中空成形品10の振動(バタつき)が低減され、ロータリー分離装置4の各分離ユニット41に各中空容器1を精度良く配置させることが可能である。加えて、搬送路上を搬送させることで、ブロー成形後の連鎖状中空成形品10を冷却することも可能である。連鎖状中空成形品10を冷却することで、次の分離工程において分離する際、余剰部15の分離が容易になるという効果を有している。
【0049】
<分離工程>
分離工程では、
図9に示すロータリー分離装置4の回転盤40を回転させ、ロータリーブロー成形機2から搬送された連鎖状中空成形品10の各中空容器1を分離ユニット41に配置させる。この際、中空容器1の本体部11の下部は
図10に示す下部保持台42上に載置され、カバー部13はカバー部保持台43上に載置される。次に、吸着手段42bにより中空容器1の本体部11を吸着し、本体部挟持部材44を
図11Aに示す非挟持位置から
図11Bに示す挟持位置に移動させ、これらよって、中空容器1を分離ユニット41に固定する。
【0050】
次に、
図11A及び
図11Bに示すように、余剰部押さえ機構46の押さえ部材46dを非押さえ位置から押さえ位置に移動させ、カバー部押さえ機構47の押さえピン47aも非押さえ位置から押さえ位置に移動させる。そして、この状態で切断部材45を上方に向かって移動させる。これにより、中空容器1の先端の流通路14が切断されるようになっている。なお、前方の中空容器1のピンチオフ部16と連結部15bとは、押さえ部材46dが連結部15bを押圧することでちぎれ、前方の中空容器1と余剰部15の間も分離するようになっている(
図10参照)。
【0051】
余剰部15が分離された中空容器1は、押さえピン47aを非押さえ位置に移動させ、下部保持台42を上昇させることによって持ち上げ、吸着手段42bの吸着を解除して、回転盤40の回転を利用することで、中空容器1を次工程へと送出される。分離工程において、ロータリー分離装置4は、以上のような動作により連鎖状中空成形品10を中空容器1ごとに分離するようになっている。
【0052】
なお、分離工程によって分離された中空容器1は、その後の工程において、カバー部13の先端の流通路14が熱風により封止される。また、中空容器1は、その外殻に外気導入孔が形成され、当該外気導入孔に弁部材が装着される。これら分離工程より後の工程については、従来既知の製造方法を用いることができるため、その説明を省略する。
【0053】
<作用効果>
以上のように、本実施形態の中空容器1の製造方法では、ロータリーブロー成形機2の複数組の金型ユニット21の第1分割金型21Aが、それぞれ圧受け手段30を備えている。そして、圧受け手段30は、ブロック部材32を第1分割金型21Aの当接面S1からわずかに突出させることで、型閉じの際、ピンチオフ部成形部29にわずかな隙間を生じさせ、連鎖状中空成形品10のピンチオフ部16に加わる圧力を弱めるようになっている。また、圧受け手段30は、第1分割金型21Aとブロック部材32との間に配置するシム33の枚数を調整可能である。これらのことから、本実施形態の中空容器1の製造方法では、ブロック部材32の当接面S1からの突出量を調整することで、ピンチオフ部16に加わる圧力を調整可能となっている。そして、ピンチオフ部16に加わる圧力を調整することで、中空容器1と余剰部15とが分離工程に至る過程で切断されてしまったり、逆にピンチオフ部16が厚くなりすぎることで、後の分離工程において切断が困難になってしまうことを防止することが可能となっている。
【0054】
なお、圧受け手段30を設ける位置は、ピンチオフ部成形部29の近傍が好ましく、特に、キャビティ24と重複しない第1分割金型21Aの端部が好ましい。圧受け手段30をキャビティ24の側方に設けると、当該部分で第2分割金型21Bが浮き、成形する中空容器1に筋が入る等の不具合が生じるおそれがあるが、キャビティ24と重複しない連結部成形部27bの両側方に配置することで、中空容器1への悪影響を回避することができる。
【0055】
また、本実施形態において、製造する中空容器1は外殻と内袋とを有し、内容物の減少に伴って前記内袋が収縮するよう構成される積層剥離容器とされる。ここで、積層剥離容器は、そのピンチオフ部16において内袋が外殻に挟着されており、内袋が収縮した際に内袋が適切に収縮するようになっている。加えて積層剥離容器は、型閉じによりピンチオフされる際、ピンチオフ部16において外殻同士が溶着することで、耐衝撃性を向上させているが、適切にピンチオフが行われなかった場合、ピンチオフ部16に割れが生じるおそれがある。これに対しても、本実施形態の製造方法では、圧受け手段30によってピンチオフ部16に加わる圧力を調整することができるため、ピンチオフ部16に割れが生じることを抑制することが可能となっている。
【0056】
なお、本発明は、以下の態様でも実施可能である。
・上述した実施形態においては、製造される中空容器1は積層剥離容器であった。しかしながら、本発明により製造される中空容器は、剥離しない多層容器であっても良く、また、単層の容器であっても良い。
・上述した実施形態において、連鎖状中空成形品10の分離にはロータリー分離装置4が用いられていたが、他の装置又は方法によって連鎖状中空成形品10の分離することも可能である。
・上述した実施形態において、圧受け手段30は内側の金型である第1分割金型21Aに配置されていたが、外側の金型である第2分割金型21Bに配置されていても良い。
・上述した実施形態において、圧受け手段30のシム33の一枚の厚さは、0.01mmとしていたが、製造する中空容器の形状及び材料等に応じて、異なる厚みとしても良い。
・上述した実施形態において、圧受け手段30はブロック部材32とシム33とを備えて構成されていたが、他の構成によりピンチオフ部16に加わる圧力を調整しても良い。例えば、圧受け手段30として、金型に直接貼り付け可能な薄板状の部材を用いても良い。この場合、薄板状の部材を複数枚重ねて貼り付けるか、厚さの異なる薄板状の部材を複数準備しておくことで、ピンチオフ部16に加わる圧力を調整可能となる。
【符号の説明】
【0057】
1 :中空容器
2 :ロータリーブロー成形機
4 :ロータリー分離装置
10 :連鎖状中空成形品
11 :本体部
12 :口部
13 :カバー部
14 :流通路
15 :余剰部
15a :吹込部
15b :連結部
16 :ピンチオフ部
19 :パリソン
20 :回転盤
21 :金型ユニット
21A :第1分割金型
21A1 :段部
21B :第2分割金型
22 :支柱
23 :押出ヘッド
24 :キャビティ
25 :導入溝
26 :容器成形部
27 :余剰部成形部
27a :吹込部成形部
27b :連結部成形部
28 :流通路成形部
29 :ピンチオフ部成形部
30 :圧受け手段
31 :凹部
31a :ネジ穴
32 :ブロック部材
32a :ネジ孔
33 :シム
33a :貫通孔
34 :ネジ
40 :回転盤
41 :分離ユニット
42 :下部保持台
42a :載置部
42b :吸着手段
43 :カバー部保持台
43a :突出部
44 :本体部挟持部材
44a :板状部材
44b :挟持片
45 :切断部材
45a :切断部
46 :余剰部押さえ機構
46a :台座
46b :支柱
46c :アーム
46d :押さえ部材
47 :カバー部押さえ機構
47a :押さえピン
47b :駆動部材
S1,S2:当接面