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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】物品整列搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/14 20060101AFI20240131BHJP
【FI】
B65G47/14 P
B65G47/14 H
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020102501
(22)【出願日】2020-06-12
(65)【公開番号】P2021195218
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-05-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】青塚 久和
(72)【発明者】
【氏名】川上 望
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-112840(JP,A)
【文献】特開2004-034388(JP,A)
【文献】特開2014-076618(JP,A)
【文献】特開2014-043009(JP,A)
【文献】特表2007-515359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/00-47/20
B29C 49/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向上流側が搬送方向下流側よりも上方に位置するように傾斜して並列に配置される一対の回転ローラと、前記一対の回転ローラに沿って設けられ、前記回転ローラの上方で対向するとともに、上部の間隔が下部の間隔よりも広くなるように配置された一対の板状部材とを備え、前記一対の回転ローラに係合する係合部が設けられた長尺物品を前記一対の回転ローラの間から吊架して整列姿勢で搬送する搬送手段と、
前記搬送手段の上流側で、前記板状部材間に前記長尺物品を投入する物品供給手段と、
前記搬送手段において、前記一対の回転ローラ間に適正に整列されていない長尺物品を上流側に押し戻す押し戻し手段とを備え、
前記押し戻し手段が、前記一対の板状部材の一方の上にある長尺物品を上流側に押し戻す第1押し戻し手段と、前記一対の板状部材の他方の上にある長尺物品を上流側に押し戻す第2押し戻し手段と、前記第1および第2押し戻し手段の下流側に設けられ、前記一対の回転ローラの上方に位置する長尺物品を上流側に押し戻す第3押し戻し手段とを備える
ことを特徴とする物品整列搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、係合部が設けられた長尺物品を整列搬送する物品整列搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
係合部が設けられた長尺物品を整列搬送する装置として、例えば、ボトルをブロー成形するためのプリフォームPを、並列する一対の整列ローラ4aの間から懸架して整列状態で搬送する装置が知られている(特許文献1)。同装置では、整列ローラ4aに向けて両サイドから傾斜する一対のローラ上ガイド板4aaによりプリフォームPを整列ローラ4aの間の隙間に案内するとともに、整列ガイド部4の上方下流側に設けられ、整列ローラ部4の移送方向に直交する水平軸5aを中心に回転するアジテータ5の選別羽根5bによって、下流へ移送されていくプリフォームPのうち、整列されていないプリフォームだけを、整列ローラ部5の上流側へ戻すアジテータ5が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-34388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、同構成では、2つのプリフォームが、選別羽根5bにより同時に上流側へ戻されると、2つのプリフォームは略同時に上流側の同じ位置に戻されるため、互いに干渉する。これにより何れのプリフォームも整列ローラ4aの間に滑り込むことができず、再び選別羽根5bによって上流側に押し戻され、この状態が延々と繰り返される可能性がある。
【0005】
本発明は、より効率的な整列が可能な物品整列搬送装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の発明である物品整列搬送装置は、搬送方向上流側が搬送方向下流側よりも上方に位置するように傾斜して並列に配置される一対の回転ローラと、前記一対の回転ローラに沿って設けられ、前記回転ローラの上方で対向するとともに、上部の間隔が下部の間隔よりも広くなるように配置された一対の板状部材とを備え、前記一対の回転ローラに係合する係合部が設けられた長尺物品を前記一対の回転ローラの間から吊架して整列姿勢で搬送する搬送手段と、前記搬送手段の上流側で、前記板状部材間に前記長尺物品を投入する物品供給手段と、前記搬送手段において、前記一対の回転ローラ間に適正に整列されていない長尺物品を上流側に押し戻す押し戻し手段とを備え、前記押し戻し手段が、前記一対の板状部材の一方の上にある長尺物品を上流側に押し戻す第1押し戻し手段と、前記一対の板状部材の他方の上にある長尺物品を上流側に押し戻す第2押し戻し手段と、前記第1および第2押し戻し手段の下流側に設けられ、前記一対の回転ローラの上方に位置する長尺物品を上流側に押し戻す第3押し戻し手段とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、より効率的な整列が可能な物品整列搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態である物品整列搬送装置の配置を示す平面図である。
図2図1の物品整列搬送装置のA方向からの側面図である。
図3】第1~第3押し戻し装置を構成する各々羽根車の側面図である。
図4図2の整列コンベヤのB-B断面矢視図である。
図5図2の整列コンベヤのC-C断面矢視図である。
図6】回転ローラ上において別の不適切な姿勢にある長尺物品の状態を示す図5と同じ位置における断面矢視図である。
図7】変形例の物品整列搬送装置を説明する図4に対応する断面矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態である物品整列搬送装置の配置を示す平面図であり、図2は、図1の物品整列搬送装置のA方向からの側面図である。
【0010】
本実施形態の物品整列搬送装置10は、ボトルをブロー成形するためのプリフォームやポンプヘッド付きキャップ等、径方向外側に延出する係合部Meが設けられた長尺物品Mを所定の向きに整列して搬送する装置である。長尺物品Mは、タンク12内にストックされ、掻き上げコンベヤ(物品供給手段)14によりタンク12内から掻き上げられる。掻き上げコンベヤ14により掻き上げられた長尺物品Mは、整列コンベヤ(搬送手段)16の上流側上方から整列コンベヤ16内へと投入される。なお、掻き上げコンベヤ14は、例えば無端体に多数の桟を幅方向に掛け渡したコンベヤである。
【0011】
整列コンベヤ16は、所定間隔を空けて並列する一対の回転ローラ18を備える。回転ローラ18の回転軸は、水平面から所定角度傾けて配置され、上流側が下流側よりも高い位置に配置される。回転ローラ18同士の間隔は、長尺物品Mの軸太さよりも僅かに広く、係合部Meも外径よりも狭い。すなわち、係合部Meが一対の回転ローラ18の間に引っ掛かり、長尺物品Mの軸部は回転ローラ18の隙間から吊架される。これにより長尺物品Mは、回転ローラ18上において向きを揃えて整列される。
【0012】
回転ローラ18の上流端には、ローラ回転用モータ18Aが接続され、回転ローラ18は、それぞれ所定方向に所定速度で回転される。回転ローラ18の回転により回転ローラ18から吊架される長尺物品Mは、傾けられた回転ローラ18上を滑り下りて搬送される。回転ローラ18の下流端には、その延長線上にシュート20が配置され、回転ローラ18の下流端まで整列した姿勢で搬送された長尺物品Mは、シュート20に受け渡される。なお、シュート20の間隔も長尺物品Mの軸太さよりも僅かに広く、係合部Meも外径よりも狭い長さに設定される。
【0013】
一対の回転ローラ18の両側には、上方に向けてガイド板(板状部材)22A、22Bがそれぞれ傾けられた状態で対向して配置される。ガイド板22A、22Bの間隔は、上方から下方に向かうにしたがって狭くなり、掻き上げコンベヤ14から投入された長尺物品Mを一対の回転ローラ18の隙間に案内する。本実施形態においてガイド板22A、22Bは、略V字形に配置され、回転ローラ18はV字形の底部に配置される(図4参照)。
【0014】
整列コンベヤ16の下流部の区間Rでは、ガイド板22A、22Bの下方部が取り除かれており、一対の回転ローラ18の両側には、下側へと連通するリジェクト用切り欠き部24が設けられる。すなわち、同区間Rでは、ガイド板22A、22B上の長尺物品Mは、リジェクト用切り欠き部24を通して下方へと落下する。
【0015】
リジェクト用切り欠き部24の下方には、リターンコンベヤ26が配置される。リジェクト用切り欠き部24を通して落下した長尺物品Mは、リターンコンベヤ26上に落下し、リターンコンベヤ26によりタンク12の入口12Aへと搬送され、タンク12内へと戻される。
【0016】
整列コンベヤ16内には、上流側から下流側に沿って第1~第3押し戻し装置(第1~第3押し戻し手段)28、30、32が配置される。第1~第3押し戻し装置28、30、32は、図3の側面図に描かれるように、各々羽根車34として構成される。羽根車34は、回転軸34Aの周りに放射状に回転プレート(係合部材)34Bが多数(例えば6枚)設けられる。
【0017】
図4は、図2の整列コンベヤ16のB-B断面矢視図であり、第1、第2押し戻し装置28、30の配置を示す。第1押し戻し装置28は、ガイド板22A上の長尺物品Mを羽根車34で掻き上げて上流側へと押し戻す装置である。第1押し戻し装置28の羽根車34は、回転軸34Aをガイド板22Aに対して垂直とし、羽根車34の各回転プレート34Bの一方の側辺がガイド板22Aに沿って密接するように配置される。羽根車34は、下側の回転プレート34Bが、上流側に移動するように駆動モータ28Aにより回転される。
【0018】
なお、本実施形態では、図4に示されるように、ガイド板22A、22Bは、それぞれ45度の角度で外側に傾けて配置される。また、本実施形態では、回転ローラ18は、互いに反対向きに同速度で回転される。図4では、例えば、各回転ローラ18が内側において互いに下向きに移動するように回転されているが、互いに逆向き回転されてもよく、また、互いに同じ方向に回転する構成とすることもできる。
【0019】
一方、第2押し戻し装置30は、ガイド板22B上の長尺物品Mを羽根車34で掻き上げて上流側へと押し戻す装置であり、本実施形態では、第1押し戻し装置30の下流側に配置される。第2押し戻し装置30の羽根車34は、回転軸34Aをガイド板22Bに対して垂直とし、羽根車34の各回転プレート34Bの一方の側辺がガイド板22Bに沿って密接するように配置される。羽根車34は、下側の回転プレート34Bが、上流側に移動するように駆動モータ30Aにより回転される。
【0020】
図4には、ガイド板22A、22Bに、それぞれもたれかかった長尺物品Mが1つずつ描かれている。また、図4には、一対の回転ローラ18の隙間に適正な整列姿勢で吊架される長尺物品Mも描かれている。
【0021】
図5は、図2の整列コンベヤ16のC-C断面矢視図であり、第1、第2押し戻し装置28、30に加え、第3押し戻し装置32の配置を示す。第3押し戻し装置32は、回転ローラ18上の不適切な姿勢の長尺物品Mを上流側に押し戻すための装置であり、第1、第2押し戻し装置28、30よりも下流側に配置される。図5に示されるように、第3押し戻し装置32の回転軸34Aは水平に配置され、羽根車34は、回転ローラ18の間の隙間の真上に配置される。なお、第3押し戻し装置32の羽根車も、駆動モータ32Aにより第1、第2押し戻し装置28、30の羽根車34と同じ方向に回転される。
【0022】
図5には、回転ローラ18上において、適正な姿勢で回転ローラ18から吊架され、整列姿勢を取る長尺物品Mが破線で描かれるとともに、軸部の一部が回転ローラ18の隙間に挿入されているものの適正な姿勢(整列姿勢)にない長尺物品Mが実線で描かれている。長尺物品Mが、適正な整列姿勢にあるとき、長尺物品Mの係合部Meは両側の回転ローラ18により支持され、軸部は回転ローラ18の隙間から略鉛直下向きに垂下する。
【0023】
長尺物品Mが整列姿勢にあるとき、回転ローラ18に支持される長尺物品Mの頭部は、最も低い位置にある。第3押し戻し装置32の羽根車34は、回転プレート34Bが、整列姿勢にある長尺物品Mの頭部に干渉しない高さに配置される。一方、軸部の一部が回転ローラ18間に挿入されていても、ガイド板22A、22Bの一方に傾くなどした長尺物品Mの頭部は、図5に示されるように適正な整列姿勢にある長尺物品Mの頭部よりも高い位置にある。したがって、第3押し戻し装置32の羽根車34は、このような適正でない姿勢にある長尺物品Mの頭部に回転プレート34Bが係合する高さに配置される。すなわち、羽根車34の回転により当該長尺物品Mは上流側へ押し戻される。
【0024】
また、図6には、図5とは異なる形で、回転ローラ18上において不適切な姿勢にある長尺物品Mの状態が示される。図6においても図5と同様に、適正な姿勢で回転ローラ18から吊架され、整列姿勢を取る長尺物品Mが実線で描かれ、軸部の一部が回転ローラ18の隙間に挿入されているものの適正な姿勢(整列姿勢)にない長尺物品Mが破線で描かれている。
【0025】
図6では、長尺物品Mの軸部が真直ぐ下向きに吊架されるものの、係合部Meは、回転ローラ18上において整列姿勢にある前後の長尺物品Mの頭部に係合し、その頭部は整列姿勢にある長尺物品Mの頭部よりも高い位置にある。したがって、図6のような適正でない姿勢にある長尺物品Mの頭部は、第3押し戻し装置32の回転する回転プレート34Bに係合し、上流側へと押し戻される。
【0026】
以上のように、本実施形態の物品整列搬送装置によれば、長尺物品の姿勢に応じて、長尺物品が搬送方向の異なる位置で異なる押し戻し装置により順次個別に上流側に押し戻されるので、複数の長尺物品が略同時に略同じ位置に戻されることが防止される。これにより、より効率的に長尺物品を整列させることが可能となる。
【0027】
次に図7を参照して、物品整列搬送装置の変形例について説明する。変形例の物品整列搬送装置では、第1、第2押し戻し装置の構成が実施形態と異なるが、その他の構成は実施形態と同様であるため、同一の構成については同一参照符号を用いその説明を省略する。なお、図7は、実施形態における図2の整列コンベヤのB-B断面矢視図に対応する。
【0028】
変形例の第1押し戻し装置36および第2押し戻し装置38は、それぞれ水平に配置された回転軸36B、38Bの先端に、例えば五角形状の回転プレート36A、38Aをそれぞれ複数枚備える。例えば3枚の回転プレート36Aを回転軸36B周り、60度ずつずらして配置して第1押し戻し装置36とし、3枚の回転プレート38Aを回転軸38B周り、60度ずつずらして配置して第2押し戻し装置38とする。回転軸36B、38Bは、駆動モータ36C、38Cにより回転される。回転プレート36A、38Aは、回転軸36B、38Bを対称軸として左右対称な平板であり、1つの頂点で回転軸36B、38Bの先端に取り付けられる。また、回転プレート36A、38Aが垂直に配置されるとき、回転軸36B、38Bの先端に接続される五角形の下辺は、傾けられたガイド板22A、22Bに沿って隣接する。
【0029】
以上のように、変形例の第1、第2押し戻し装置を採用した構成においても、実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0030】
なお、第1、第2押し戻し装置が配置される搬送方向における順番は任意である。
【符号の説明】
【0031】
10 物品整列搬送装置
12 タンク
14 掻き上げコンベヤ(物品供給手段)
16 整列コンベヤ(搬送手段)
18 回転ローラ
20 シュート
22A、22B ガイド板(板状部材)
24 リジェクト用切り欠き部
26 リターンコンベヤ
28 第1押し戻し装置(第1押し戻し手段)
30 第2押し戻し装置(第2押し戻し手段)
32 第3押し戻し装置(第3押し戻し手段)
34 羽根車
34B、36A、36B 回転プレート(係合部材)
M 長尺物品
Me 係合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7