(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】成形システム
(51)【国際特許分類】
B29C 49/42 20060101AFI20240131BHJP
B29C 49/04 20060101ALI20240131BHJP
B29C 51/26 20060101ALI20240131BHJP
B29C 51/10 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
B29C49/42
B29C49/04
B29C51/26
B29C51/10
(21)【出願番号】P 2020126781
(22)【出願日】2020-07-27
【審査請求日】2023-05-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】後藤 一博
(72)【発明者】
【氏名】木下 悟
(72)【発明者】
【氏名】丹治 忠敏
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-019192(JP,A)
【文献】実開平03-118623(JP,U)
【文献】実開平05-041762(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/00-49/80
B29C 51/26
B29C 51/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形機と、把持装置と、載置装置を備える、成形システムであって、
前記成形機は、ヘッドから押し出されたパリソンを、開閉可能な一対の金型を用いて成形して、成形品とその周囲に設けられたバリで構成される成形体を形成するように構成され、
前記把持装置は、前記バリのうち前記成形品の上側に配置された上バリを把持するように構成され、
前記載置装置は、基部と、載置台と、傾斜機構を備え、
前記傾斜機構は、前記基部に対する前記載置台の傾斜角度を変更可能に構成され、
前記載置台が斜めになった傾斜状態で前記把持装置が前記成形体を前記載置台上に載置し、その後、前記傾斜機構が前記載置台の前記傾斜角度を小さくするように構成される、成形システム。
【請求項2】
請求項1に記載の成形システムであって、
前記成形体を前記載置台に対向させた状態で、前記把持装置が前記載置装置の後方に向かって相対移動するように、前記把持装置と前記載置装置の少なくとも一方を移動させるように構成される、成形システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の成形システムであって、
前記載置台は、前記成形体が滑り落ちることを防ぐ係止部を備える、成形システム。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか1つに記載の成形システムであって、
前記載置台は、回転軸を中心に回転することによって前記傾斜角度が変更可能に構成され、
前記傾斜機構は、第1及び第2駆動機構を備え、
第1駆動機構は、モーターの駆動力をギア機構を介して前記回転軸に伝達するように構成され、
第2駆動機構は、前記載置台に対して、前記載置台を押し上げる力を加えるように構成される、成形システム。
【請求項5】
請求項4に記載の成形システムであって、
第2駆動機構は、シリンダ機構及びリンク機構を備え、前記シリンダ機構によって前記リンク機構を駆動することによって前記載置台を押し上げる力を発生させるように構成される、成形システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形品の製造に利用可能な成形システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ヘッドから下方に向かって押し出されたパリソンを一対の金型を用いて成形することによって、成形体を形成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
成形体は、成形直後は、所望の成形品の周囲にバリがついた状態になっているので、成形体を金型から取り出した後に、成形体を載置台上に載置してバリ除去などの後処理が施されて所望の成形品が得られる。
【0005】
成形体は、立った状態で金型から取り出されるので、成形体を載置台に載置するには成形体を立った状態から寝かせた状態に回動させる作業を行う必要がある。成形体が小型である場合には、この作業は容易に行うことができるが、成形体が大型である場合には、この作業は、成形体の意図しない転倒などの危険が伴うものとなる。このため、大型の成形体を安全に回動させる技術が望まれている。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、大型の成形体を立った状態から寝かせた状態に安全に回動させることを可能にする成形システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、成形機と、把持装置と、載置装置を備える、成形システムであって、前記成形機は、ヘッドから押し出されたパリソンを、開閉可能な一対の金型を用いて成形して、成形品とその周囲に設けられたバリで構成される成形体を形成するように構成され、前記把持装置は、前記バリのうち前記成形品の上側に配置された上バリを把持するように構成され、前記載置装置は、基部と、載置台と、傾斜機構を備え、前記傾斜機構は、前記基部に対する前記載置台の傾斜角度を変更可能に構成され、前記載置台が斜めになった傾斜状態で前記把持装置が前記成形体を前記載置台上に載置し、その後、前記傾斜機構が前記載置台の前記傾斜角度を小さくするように構成される、成形システムが提供される。
【0008】
本発明の成形システムでは、載置台が斜めになった状態で把持装置が成形体を載置台上に載置し、その後、傾斜機構が載置台の傾斜角度を小さくするように構成される。このシステムを用いれば、成形体が大型である場合でも、成形体を立った状態から寝かせた状態に安全に回動させることができ、成形体の意図しない転倒が抑制される。
【0009】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記記載の成形システムであって、前記成形体を前記載置台に対向させた状態で、前記把持装置が前記載置装置の後方に向かって相対移動するように、前記把持装置と前記載置装置の少なくとも一方を移動させるように構成される、成形システムである。
好ましくは、前記記載の成形システムであって、前記載置台は、前記成形体が滑り落ちることを防ぐ係止部を備える、成形システムである。
好ましくは、前記記載の成形システムであって、前記載置台は、回転軸を中心に回転することによって前記傾斜角度が変更可能に構成され、前記傾斜機構は、第1及び第2駆動機構を備え、第1駆動機構は、モーターの駆動力をギア機構を介して前記回転軸に伝達するように構成され、第2駆動機構は、前記載置台に対して、前記載置台を押し上げる力を加えるように構成される、成形システムである。
好ましくは、前記記載の成形システムであって、第2駆動機構は、シリンダ機構及びリンク機構を備え、前記シリンダ機構によって前記リンク機構を駆動することによって前記載置台を押し上げる力を発生させるように構成される、成形システムである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態の成形システム1の平面図である。
【
図4】
図4は、金型23,24を用いてパリソン22を成形して成形体50を形成した後の状態を示す正面図である。
【
図5】把持装置30が上バリ52aを把持した状態で成形体50を載置装置40に隣接した位置に移動させた後の状態を示す正面図である。
【
図6】
図5の状態から載置装置40を前方に向かって移動させた後の状態を示す正面図である。
【
図7】
図6の状態から把持装置30が上バリ52aの把持を解除した後の状態を示す正面図である。
【
図8】
図7の状態から載置台42が水平になるように載置台42を回動させた後の状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0012】
1.成形システム1
図1~
図8を用いて、本発明の一実施形態の成形システム1について説明する。成形システム1は、成形機20と、把持装置30と、載置装置40を備える。以下の説明において、
図1~
図2に示すX,Y,Z座標を適宜参照する。Z方向は、鉛直方向であり、下向きを正とする。X方向は、金型23,24の開閉方向又は載置装置40の移動方向であり、
図1の左向きを正とする。Y方向は、X方向及びZ方向に垂直な方向であり、
図1の下向きを正とする。
【0013】
1-1.成形機20
図1~
図2及び
図4~
図5に示すように、成形機20は、ヘッド21から押し出されたパリソン22を、開閉可能な一対の金型23,24を用いて成形して、成形品51とその周囲に設けられたバリ52で構成される成形体50を形成するように構成される。
【0014】
パリソン22は、一例では、原料樹脂を溶融混練して得られた溶融樹脂をヘッド21に設けられたスリットから下方に向かって押し出すことによって形成することができる。原料樹脂は、例えば、ポリオレフィン、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂であり、例えば低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、ポリエチレン系エラストマー及びその混合物などが挙げられる。パリソン22は、筒状であってもシート状であってもよい。シート状パリソンは、一枚で構成されていても、複数枚(例:2枚)で構成されていてもよい。
【0015】
金型23,24は、キャビティ面23a,24aを備える。金型23,24を閉状態にしたときにキャビティ面23a,24aが組み合わさって、所望の成形品51に対応するキャビティが形成される。
【0016】
パリソン22は、開状態の金型23,24間に導かれる。金型23,24を用いてパリソン22の成形を行うことによって成形体50が得られる。
【0017】
この成形は、キャビティ内に閉じ込められたパリソン内部にエアーを吹き込むブロー成形であってもよく、金型23,24がパリソン22を真空吸引することによってパリソン22をキャビティ面23a,24aを沿った形状に賦形する真空成形であっても、両者の組み合わせであってもよい。
【0018】
金型23,24内での成形品51の鉛直方向の長さをHとし、成形品51の金型23,24の開閉方向の長さをTとすると、H/Tは、5以上であり、10以上が好ましい。成形品51がこのような形状である場合に、成形体50の転倒による事故が起こりやすいので、本発明を適用する技術的意義が顕著である。H/Tは、例えば5~100であり、具体的には例えば、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0019】
成形体50の重量(
図5に示すように成形体50をヘッド21から分離した後の状態での重量)は、例えば、20kg以上であり、30kg以上が好ましい。この場合に、成形体50の転倒による事故が起こりやすいので、本発明を適用する技術的意義が顕著である。この重量は、例えば、20~100kgであり、具体的には例えば、20、30、40、50、60、70、80、90、100kgであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0020】
1-2.把持装置30
図4~
図5に示すように、バリ52には、上バリ52aと、その他バリ52bが含まれる。上バリ52aは、バリ52のうち、成形品51の上側に配置された部位であり、その他バリ52bは、バリ52のうち上バリ52a以外の部位である。把持装置30は、成形体50の上バリ52aを把持するように構成される。この場合、把持装置30は、立った状態の成形体50を、変位させることなく、そのままの状態で把持することができるので、把持作業を容易に行うことができる。また、把持装置30が上バリ52aを把持すると、成形体50が把持装置30によって吊り下げられた状態となるので、把持装置30が成形体50を把持した状態で成形体50を安定して移動させることができる。
【0021】
図1に示すように、把持装置30は、ベース30aと、一対の把持部30bを有しており、一対の把持部30bで上バリ52aを挟むことによって、上バリ52aを把持することができる。一対の把持部30bは、ベース30aで金型23,24の開閉方向に移動することによってその間隔が可変になっている。把持部30bには、パリソン22に対向する面に凹凸形状30b1が設けられており、上バリ52aの確実な把持が可能になっている。
【0022】
金型23,24が閉じた状態で、金型23,24とヘッド21の間の領域において把持装置30が上バリ52aを把持し、その状態で金型23,24を開くことが好ましい。金型23,24を開く前に、把持装置30で上バリ52aを把持することによって、成形体50が金型23,24から脱落することを防ぐことができる。
【0023】
把持装置30は、移動可能に構成されており、把持装置30がバリ52を把持した状態で移動することによって、成形体50を金型23,24から取り出すことができる。一例では、把持装置30は、一次元移動が可能であればよく、二次元移動又は三次元移動が可能になっていてもよい。一例では、把持装置30がバリ52を把持した状態で金型23,24の開閉方向(X方向)及びパリソン22の押出方向(Z方向)に垂直な方向(Y方向)に把持装置30を移動させることができる。
【0024】
1-3.載置装置40
図3に示すように、載置装置40は、基部41と、載置台42と、傾斜機構43を備える。基部41は、底部41aと、底部41aから立ち上げる柱部41bを備える。
【0025】
図3及び
図5に示すように、傾斜機構43は、基部41に対する載置台42の傾斜角度αを変更可能に構成されている。載置台42が斜めになった傾斜状態で把持装置30が成形体50を載置台42上に載置し、その後、傾斜機構43が載置台42の傾斜角度αを小さくすることによって、成形体50が大型である場合でも、成形体50を立った状態から寝かせた状態に安全に回動させることができる。
【0026】
傾斜角度αとは、水平面に対する角度である。傾斜状態での傾斜角度αは、例えば45~89度であり、60~85度が好ましい。傾斜角度αがこの範囲内である場合には、立った状態の成形体50を安定して載置台42に載置させやすい。傾斜角度αは、具体的には例えば、45、50、55、60、65、70、75、80、85、89度であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0027】
載置台42上には係止部42aが設けられている。
図6~
図7に示すように、載置台42上に載置された成形体50が係止部42aによって係止されることによって、成形体50が載置台42滑り落ちることが防止される。係止部42aは、成形品51を係止してもよく、バリ52を係止してもよい。バリ52には、金型23,24に挟まれたり、金型23,24によって成形されたりすることによって剛性が高められた高剛性部位52cが設けられている場合があり、この場合、高剛性部位52cが係止部42aによって係止されるようにしてもよい。
【0028】
図1に示すように、係止部42aは、載置台42の奥行き方向(Y方向)に延在する細長い形状であることが好ましい。係止部42aは、載置台42の奥行き方向の両側の端部42cにおいて、ネジなどの解除可能な固定手段によって固定されることが好ましい。この場合、係止部42aの固定を解除した状態で、載置台42の長手方向(X方向)に沿って係止部42aを移動させ、所望の位置で係止部42aを固定することによって、係止部42aを任意の位置に設けることができる。これによって、成形体50の高さに応じた位置に係止部42aを設置することが可能になる。
【0029】
ところで、成形体50を載置台42上に載置させた後に把持装置30が上バリ52aの把持を解除すると、上バリ52aが載置台42の前方に向かって屈曲して垂れ下がる状態になる虞がある。このような状態になると、成形体50が載置台42から落下したり、上バリ52aが成形品51上に被さることによってバリ除去等の後処理が行いにくくなったりする虞がある。
【0030】
そこで、本実施形態では、
図5に示すように、成形体50を載置台42に対向させた状態で、
図6に示すように、把持装置30が載置装置40の後方に向かって相対移動するように、把持装置30と載置装置40の少なくとも一方を移動させる工程を行っている。この工程は、把持装置30を後方に移動させることによって行ってもよく、載置装置40を前方に移動させることによって行ってもよく、両方を移動させてもよい。この工程を行った後に、把持装置30が上バリ52aの把持を解除することによって、
図7に示すように、上バリ52aが載置台42の後方に垂れ下がる状態となり、上述した問題の発生が抑制される。なお、「前方」とは、
図5に示すように載置台42が斜めになった状態において載置台42から見て成形体50が配置されている方向であり、「後方」とは、「前方」の逆方向である。「前方」及び「後方」は、それぞれ、+X方向及び-X方向に対応する。
【0031】
本実施形態では、
図3に示すように、基部41に設けられた滑車41dによって載置装置40が移動可能になっているが、載置装置40は別の機構で移動可能になっていてもよい。また、載置装置40は、人力で移動可能になっていてもよく、油圧、空気圧、電力などの動力によって駆動されて移動可能になっていてもよい。
【0032】
成形体50を載置台42に載せた後は、
図8に示すように、傾斜角度αを小さくする。これによって、成形体50が寝た状態となり、成形体50に対してバリ除去などの後処理を行うのが容易になる。この状態での傾斜角度は、例えば20度以下であり、10度以下が好ましく、5度以下が好ましく、0度がさらに好ましい。このように、載置台42を水平又はそれに近い状態にすることによって、後処理を行うのが容易になる。
【0033】
図3に示すように、載置台42は、回転軸44において基部41に連結されており、載置台42は、回転軸44を中心に回転することによって、傾斜角度αが変更可能に構成されている。回転軸44は、取付部42bにおいて載置台42に固定されており、且つ基部41に設けられた支持部41cで軸受けされている。
【0034】
傾斜機構43は、載置台42の傾斜角度αを変更可能な任意の機構であり、第1及び第2駆動機構45,46の少なくとも一方で構成されることが好ましく、両方で構成されることがさらに好ましい。
【0035】
第1駆動機構45は、ギア機構47を介してモーター48の駆動力を回転軸44に伝達するように構成される。ギア機構47は、互いに噛み合うギア47a,47bを備える。ギア47aは、回転軸44に固定されており、ギア47bは、モーター48の回転軸48aに固定されている。このため、モーター48の回転軸48aを回転させると、その回転がギア機構47を介して回転軸44に伝達される。
【0036】
第2駆動機構46は、載置台42に対して、載置台42を押し上げる力を加えるように構成される。より具体的には、第2駆動機構46は、シリンダ機構46a及びリンク機構46bを備え、シリンダ機構46aによってリンク機構46bを駆動することによって載置台42を押し上げる力を加えるように構成される。シリンダ機構46aは、シリンダ46a1と、ピストンロッド46a2を備える。ピストンロッド46a2は、シリンダ46a1からの突出量が可変に構成されている。シリンダ46a1の基端は、ジョイント46a3を介して回転可能に基部41に連結されている。シリンダ機構46aは、油圧、空気圧、電力などによって駆動可能に構成されている。リンク機構46bは、ジョイント46b1~46b3と、リンク46b4~46b5を備える。リンク46b4,46b5は、ジョイント46b1を介して回転可能に連結されている。リンク46b4は、ジョイント46b2を介して回転可能に基部41に連結されている。リンク46b5は、ジョイント46b3を介して回転可能に載置台42に連結されている。ピストンロッド46a2の先端は、ジョイント46b1に回転可能に連結されている。このような構成によれば、ピストンロッド46a2の突出量の増大に伴って、リンク46b4,46b5の間の角度が増大し、これによって載置台42を押し上げる力が生成されるので、ピストンロッド46a2の突出量を増減させることによって、載置台42の傾斜角度を変化させることができる。
【0037】
傾斜機構43が第1駆動機構45のみで構成されていると、載置台42に強い衝撃が加わったときにその力がモーター48に直接伝わることによってモーター48が破損する虞がある。一方、傾斜機構43が第2駆動機構46のみで構成されていると動作の再現性が高くないことに加えて、例えばシリンダ機構46aが故障すると、載置台42を押し上げる力が突然消失することになり、事故に繋がる虞がある。例えばシリンダ機構46aが空気圧で駆動される場合、エアーの圧力変化によって動作の再現性が損なわれる虞があり、エアーを送るホースの破損によって安全性が損なわれる虞がある。そこで、本実施形態では、第1及び第2駆動機構45,46を併用し、モーター48の回転数の設定によって載置台42の回転速度を決定するとともに、この回転速度に同調するようにシリンダ機構46aを駆動することによって、載置台42に強い衝撃が加わったときに加わる力を第2駆動機構46にも伝達させることによってモーター48に加わる力を低減して、モーター48の破損を抑止している。つまり、安全面と動作再現性の観点から第1及び第2駆動機構45,46を併用している。
【0038】
2.成形品の製造方法
ここで、成形システム1を用いた成形品の製造方法について説明する。この方法は、成形工程と、把持工程と、載置工程と、回動工程、後処理工程を備える。
【0039】
2-1.成形工程
成形工程では、
図4に示すように、ヘッド21から押し出されたパリソン22を、開閉可能な一対の金型23,24を用いて成形して成形体50を形成する。より具体的には、金型23,24を開いた状態で金型23,24の間にパリソン22を配置し、その状態で金型23,24を閉じ、その後に必要に応じて、エアー吹き込み又は真空吸引を行うことによって、成形品51とその周囲に設けられたバリ52で構成される成形体50を形成することができる。
【0040】
2-2.把持工程
図4に示すように、バリ52のうち成形品51の上側に配置された上バリ52aは、ヘッド21につながった状態になっている。把持工程では、
図4~
図5に示すように、把持装置30で上バリ52aを把持する。これによって、成形体50が把持装置30で吊り下げられた状態となる。把持工程は、成形工程において金型23,24が閉じた状態のまま行うこと好ましいが、金型23,24を開いた後に把持装置30で上バリ52aを把持するようにしてもよい。金型23,24が閉じた状態で把持工程を行った場合、把持工程の後に金型23,24を開くことによって、成形体50を金型23,24から取り出すことができる。把持工程の後にヘッド21から上バリ52aを分離する工程を行うことが好ましい。この工程は、金型23,24を開く前に行ってもよく、開いた後に行ってもよい。また、カッターなどの切断手段を用いてヘッド21から上バリ52aを分離してもよく、把持装置30が上バリ52aを把持した状態で移動することによってヘッド21から上バリ52aを分離してもよい。
【0041】
2-3.載置工程
載置工程では、把持装置30が成形体50を把持したまま把持装置30に隣接した位置に移動し、
図5~
図7に示すように、把持装置30の載置台42を斜めにした状態で、成形体50を載置台42上に載置させる。把持装置30が上バリ52aの把持を解除する前に、
図5に示すように、成形体50を載置台42に対向させた状態で、
図6に示すように、把持装置30が載置装置40の後方に向かって相対移動するように、把持装置30と載置装置40の少なくとも一方を移動させる工程を行うことが好ましい。この工程の後に把持装置30が上バリ52aの把持を解除すると、
図7に示すように、上バリ52aが載置台42の後方に垂れ下がる状態にすることができる。
【0042】
2-4.回動工程
回動工程では、成形体50が載置台42に載置された状態で、
図8に示すように、載置台42の傾斜角度αが小さくなるように載置台42に回動させる。
【0043】
2-5.後処理工程
後処理工程では、成形体50に対してバリ52の除去などの後処理を行う。これによって、所望の成形品51が得られる。後処理は、載置台42上で行ってもよく、載置台42から成形体50を下ろして、別の場所で行ってもよい。つまり、載置台42は、後処理のための作業台としても用いてもよく、単に、成形体50を立った状態から寝かせた状態に回動させるために用いてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 :成形システム
20 :成形機
21 :ヘッド
22 :パリソン
23 :金型
23a :キャビティ面
24 :金型
24a :キャビティ面
30 :把持装置
30a :ベース
30b :把持部
40 :載置装置
41 :基部
41a :底部
41b :柱部
41c :支持部
41d :滑車
42 :載置台
42a :係止部
42b :取付部
42c :端部
43 :傾斜機構
44 :回転軸
45 :第1駆動機構
46 :第2駆動機構
46a :シリンダ機構
46a1 :シリンダ
46a2 :ピストンロッド
46a3 :ジョイント
46b :リンク機構
46b1 :ジョイント
46b2 :ジョイント
46b3 :ジョイント
46b4 :リンク
46b5 :リンク
47 :ギア機構
47a :ギア
47b :ギア
48 :モーター
48a :回転軸
50 :成形体
51 :成形品
52 :バリ
52a :上バリ
52b :その他バリ
52c :高剛性部位
B :領域
α :傾斜角度