(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20240131BHJP
F25B 49/02 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
F25B1/00 321L
F25B49/02 Z
(21)【出願番号】P 2021141345
(22)【出願日】2021-08-31
【審査請求日】2023-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】緒方 佑至
(72)【発明者】
【氏名】藤原 正英
(72)【発明者】
【氏名】小栗 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】小寺 圭人
(72)【発明者】
【氏名】大下 和広
(72)【発明者】
【氏名】小野 貴司
(72)【発明者】
【氏名】森 俊寛
(72)【発明者】
【氏名】小野島 江利子
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-112254(JP,A)
【文献】特開2009-299928(JP,A)
【文献】特開2004-116816(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0124479(KR,A)
【文献】特開2010-7974(JP,A)
【文献】特開2009-302301(JP,A)
【文献】特開2017-28825(JP,A)
【文献】国際公開第2013/094386(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F25B 49/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品(44a)と、
アクチュエータ(26b)により駆動される弁(26)又は圧力センサ(37)と、冷媒によって前記電気部品を冷却する冷却部(60)と、冷媒配管(14a,14b,30,92,94)と、を含み、冷媒が循環する冷媒回路(90)と、
を備え、
前記冷却部は、前記冷媒配管の一部としての第1配管(68)を有し、
前記冷媒配管は、
第1材料製の前記第1配管、又は、前記冷媒回路において前記冷却部と前記弁又は前記圧力センサとの間に配置される第1材料製の第1部(341a)と、
前記第1配管又は前記第1部以外の、前記第1材料とは異なる第2材料製の第2部と、を含み、
前記第1材料の電気抵抗率は、前記第2材料の電気抵抗率より大きい、
冷凍サイクル装置(100)。
【請求項2】
前記第2材料は銅又は銅合金であり、前記第1材料の電気抵抗率は、前記第2材料としての銅又は銅合金の電気抵抗率より大きい、
請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項3】
前記第1材料は、アルミニウム又はアルミニウム合金である、
請求項2に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項4】
前記第1材料の電気抵抗率は、20℃において1.0×10
-7Ω・m以上である、
請求項1又は2に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項5】
前記第1材料はSUSである、
請求項4に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項6】
前記第1部の長さ(L1)は、20mm以上である、
請求項1から5のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項7】
前記冷却部と前記弁との間に配置される前記冷媒配管の全長の10%以上が前記第1部である、
請求項1から4のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項8】
前記弁は、電動弁又は電磁弁である、
請求項1から7のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項9】
前記弁の弁本体(26a)は、前記第2材料より電気抵抗率の大きな第3材料製である、
請求項1から8のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項10】
前記冷媒配管は、前記第1部としての前記第1材料製の直管を含む、
請求項1から9のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
冷凍サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1(特開2016-121842号公報)のように、電気部品に隣接して、冷媒により電気部品を冷却する冷却部を設ける場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
冷却部の冷却対象の電気部品は、ノイズを発する場合がある。電気部品の発するノイズは、冷媒回路の銅製等の冷媒配管を介して、冷媒回路に設けられている弁や、圧力センサへと伝搬し、弁のアクチュエータを誤動作させたり、圧力センサの計測値の精度に悪影響を与えたりするおそれがある。さらに、アクチュエータへと流れたノイズは、アクチュエータや圧力センサに接続される信号線等を介してアクチュエータを制御する電子回路等に伝搬し、冷凍サイクル装置の誤動作の原因となるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1観点の冷凍サイクル装置は、電気部品と、冷媒が循環する冷媒回路と、を備える。冷媒回路は、アクチュエータにより駆動される弁又は圧力センサと、冷媒によって電気部品を冷却する冷却部と、冷媒配管と、を含む。冷却部は、冷媒配管の一部としての第1配管を有する。冷媒配管は、第1材料製の第1配管、又は、冷媒回路において冷却部と弁又は圧力センサとの間に配置される、第1材料製の第1部を含む。冷媒配管は、第1配管又は第1部以外の、第1材料とは異なる第2材料製の第2部を含む。第1材料の電気抵抗率は、第2材料の電気抵抗率より大きい。
【0005】
第1観点の冷凍サイクル装置では、冷媒回路において冷却部と弁又は圧力センサとの間に、又は、冷却部の第1配管に電気抵抗率が比較的大きな第1部を配置することで、電気部品の発するノイズの、弁のアクチュエータ又は圧力センサへの伝搬を抑制できる。
【0006】
第2観点の冷凍サイクル装置は、第1観点の冷凍サイクル装置であって、第2材料は銅又は銅合金であり、第1材料の電気抵抗率は、第2材料としての銅又は銅合金の電気抵抗率より大きい、
第2観点の冷凍サイクル装置では、第1材料として、冷媒配管として一般的に用いられる第2材料としての銅又は銅合金よりも電気抵抗率の大きな材料を用いることで、電気部品の発するノイズの、弁のアクチュエータ又は圧力センサへの伝搬を抑制できる。
【0007】
第3観点の冷凍サイクル装置は、第1観点又は第2観点の冷凍サイクル装置であって、第1材料は、アルミニウム又はアルミニウム合金である。
【0008】
第3観点の冷凍サイクル装置では、第1材料として、アルミニウム又はアルミニウム合金を用いることで、電気部品の発するノイズの、弁のアクチュエータ又は圧力センサへの伝搬を抑制できる。
【0009】
第4観点の冷凍サイクル装置は、第1観点又は第2観点の冷凍サイクル装置であって、第1材料の電気抵抗率は、20℃において1.0×10-7Ω・m以上である。
【0010】
第4観点の冷凍サイクル装置では、電気抵抗率が比較的大きな第1材料を用いることで、電気部品の発するノイズの、弁のアクチュエータ又は圧力センサへの伝搬を抑制できる。
【0011】
第5観点の冷凍サイクル装置は、第4観点の冷凍サイクル装置であって、第1材料はSUSである。
【0012】
第5観点の冷凍サイクル装置では、第1材料として、冷媒配管に一般的に使用される銅よりも数十倍程度電気抵抗率が大きなSUSが用いられることで、電気部品が発するノイズの、弁のアクチュエータや圧力センサへの伝搬を抑制することができる。
【0013】
第6観点の冷凍サイクル装置は、第1観点から第5観点のいずれかの冷凍サイクル装置であって、第1部の長さは、20mm以上である。
【0014】
第6観点の冷凍サイクル装置では、20mm以上の第1部を設けることで、電気部品が発するノイズの、弁のアクチュエータや圧力センサへの伝搬を抑制できる。
【0015】
第7観点の冷凍サイクル装置は、第1観点から第6観点のいずれかの冷凍サイクル装置であって、冷却部と弁との間に配置される冷媒配管の全長の10%以上が第1部である。
【0016】
第7観点の冷凍サイクル装置では、冷却部と弁との間に配置される冷媒配管の10%以上を第1部とすることで、電気部品が発するノイズの、弁のアクチュエータや圧力センサへの伝搬が抑制されやすい。
【0017】
第8観点の冷凍サイクル装置は、第1観点から第7観点のいずれかの冷凍サイクル装置であって、弁は、電動弁又は電磁弁である。
【0018】
第8観点の冷凍サイクル装置では、電動弁や電磁弁の誤動作を抑制することができる。
【0019】
第9観点の冷凍サイクル装置は、第1観点から第8観点のいずれかの冷凍サイクル装置であって、弁の弁本体は、第2材料より電気抵抗率の大きな第3材料製である。
【0020】
第9観点の冷凍サイクル装置では、弁本体に電気抵抗率が比較的大きな材料を使用することで、電気部品の発するノイズの弁のアクチュエータへの伝搬を抑制できる。
【0021】
第10観点の冷凍サイクル装置は、第1観点から第9観点のいずれかの冷凍サイクル装置であって、冷媒配管は、第1部としての第1材料製の直管を含む。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】一実施形態にかかる冷凍サイクル装置の一例としての空気調和装置の概略構成図である。
【
図2】
図1の空気調和装置の制御ブロック図である。
【
図3】
図1の空気調和装置の第2電装品ユニット、冷却部及び膨張弁の周辺の概略構成図である。
【
図4】
図1の空気調和装置の冷却部の概略図である。
【
図5】変形例Eの空気調和装置の第2電装品ユニット、冷却部及び膨張弁の周辺の概略構成図の他の例である。
【
図6】変形例Gの空気調和装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本開示にかかる室外ユニットの実施形態を、図面に参照しながら説明する。
【0024】
(1)全体構成
本開示の冷凍サイクル装置の一例である空気調和装置100について、
図1及び
図2を参照して説明する。
図1は、空気調和装置100の概略構成図である。
図2は、空気調和装置100の制御ブロック図である。
【0025】
空気調和装置100は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うことで、空気調和の対象空間の冷房及び暖房を行う装置である。ただし、これに限定されるものではなく、空気調和装置100は、冷房及び暖房の両方を行う装置ではなく、冷房及び暖房の一方だけを行う装置であってもよい。空気調和装置100が冷房及び暖房の一方だけを行う場合、空気調和装置100は、後述する流路切換機構23を有していなくてもよい。
【0026】
なお、本開示の冷凍サイクル装置は、空気調和装置に限定されるものではなく、空気調和装置以外の、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う装置であってもよい。例えば、本開示の冷凍サイクル装置は、食品等の保存に用いられる冷蔵庫や冷凍庫用の冷凍サイクル装置や、給湯装置や、床暖房装置であってもよい。
【0027】
空気調和装置100は、
図1に示すように、主として、1台の利用ユニット10と、1台の熱源ユニット20と、液冷媒連絡配管92と、ガス冷媒連絡配管94と、制御部80と、を有する。液冷媒連絡配管92及びガス冷媒連絡配管94は、利用ユニット10と、熱源ユニット20と、を接続する。液冷媒連絡配管92及びガス冷媒連絡配管94は、例えば銅又は銅合金製の冷媒配管である。
【0028】
本実施形態では利用ユニット10は1台であるが、空気調和装置100は、互いに並列に接続される利用ユニット10を2台以上有してもよい。また、本実施形態では熱源ユニット20は1台であるが、空気調和装置100は、互いに並列に接続される熱源ユニット20を2台以上有してもよい。
【0029】
利用ユニット10と熱源ユニット20とは、液冷媒連絡配管92及びガス冷媒連絡配管94を介して接続されることで、冷媒が循環する冷媒回路90を構成する(
図1参照)。冷媒回路90は、主に、利用ユニット10の第1熱交換器11と、熱源ユニット20の圧縮機22、流路切換機構23、第2熱交換器24、膨張弁26、及び冷却器60と、が冷媒配管で接続されて形成されている(
図1参照)。冷却器60は、後述する第2電装品ユニット40が有する電気部品の少なくとも一部を、冷媒で冷却する熱交換器である。
【0030】
冷媒回路90には、冷媒が封入されている。空気調和装置100で利用される冷媒の種類は、限定されるものではないが、例えばHFC系の冷媒、HFO系の冷媒、CO2等の自然冷媒である。
【0031】
空気調和装置100の動作は、制御部80(
図2参照)により制御される。制御部80は、後述する利用ユニット10の第1電装品ユニット13の第1制御アセンブリ13aと、後述する熱源ユニット20の第2電装品ユニット40の第2制御アセンブリ42と、により構成される。
【0032】
(2)詳細構成
利用ユニット10、熱源ユニット20、及び制御部80について、詳細を説明する。
【0033】
(2-1)利用ユニット
利用ユニット10は、空調の対象空間や、対象空間の天井裏等に設置される。本実施形態では、利用ユニット10は、天井に設置される天井埋込カセット型のユニットである。ただし、利用ユニット10のタイプは、天井埋込カセット型に限定されるものではなく、天井に吊り下げられる天井吊下型、壁に設置される壁掛型、床に設置される床置型、天井裏に利用ユニット10全体が配置される天井埋込ダクト型等のユニットであってもよい。
【0034】
利用ユニット10は、上述のように、液冷媒連絡配管92及びガス冷媒連絡配管94を介して熱源ユニット20に接続され、熱源ユニット20と共に冷媒回路90の一部を構成している。
【0035】
利用ユニット10は、第1熱交換器11と、第1ファン12と、第1電装品ユニット13と、を主に有する(
図1参照)。第1熱交換器11、第1ファン12、及び第1電装品ユニット13は、図示しないケーシング内に収容される。また、利用ユニット10は、各種のセンサ(図示せず)を有する。
【0036】
(2-1-1)第1熱交換器
第1熱交換器11では、第1熱交換器11の伝熱管(図示省略)を流れる冷媒と、第1熱交換器11を通過する媒体との間で熱交換が行われる。本実施形態では、第1熱交換器11において、第1熱交換器11の伝熱管を流れる冷媒と、空気調和の対象空間の空気との間で熱交換が行われる。
【0037】
第1熱交換器11は、冷房運転時には、蒸発器(吸熱器)として機能する。第1熱交換器11は、暖房運転時には、凝縮器(放熱器)として機能する。
【0038】
第1熱交換器11の一端は、冷媒配管14aを介して液冷媒連絡配管92と接続される。第1熱交換器11の他端は、冷媒配管14bを介してガス冷媒連絡配管94と接続される。冷媒配管14a,14bには、例えば銅又は銅合金製の冷媒配管が使用される。冷房運転時には、液冷媒連絡配管92から第1熱交換器11に冷媒が流入し、第1熱交換器11から流出する冷媒はガス冷媒連絡配管94に流入する。暖房運転時には、ガス冷媒連絡配管94から第1熱交換器11に冷媒が流入し、第1熱交換器11から流出する冷媒は液冷媒連絡配管92に流入する。
【0039】
第1熱交換器11は、タイプを限定するものではないが、例えば、伝熱管と多数のフィン(図示省略)とを有するフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。
【0040】
(2-1-2)第1ファン
第1ファン12は、利用ユニット10のケーシングの図示しない空気の吸込口(図示省略)を介して、対象空間の空気をケーシング内に吸い込み、第1熱交換器11に供給する。第1熱交換器11において冷媒と熱交換した空気は、利用ユニット10のケーシングの図示しない空気の吹出口(図示省略)から対象空間へと吹き出す。
【0041】
第1ファン12は、例えばターボファンである。ただし、第1ファン12のタイプは、ターボファンに限定されるものではなく適宜選択されればよい。第1ファン12は、インバータ制御される第1ファンモータ12aによって駆動される、風量可変のファンである。
【0042】
(2-1-3)第1電装品ユニット
第1電装品ユニット13は、利用ユニット10の動作を制御するための複数の電気部品や電子部品を含む。第1電装品ユニット13は、第1制御アセンブリ13aを含む。
【0043】
第1制御アセンブリ13aは、CPUやメモリ等を有するマイクロコンピュータや、各種の電子回路を含む。第1制御アセンブリ13aは、後述する第2制御アセンブリ42と通信可能に接続されており、第2制御アセンブリ42と協働して、後述する制御部80として機能する。
【0044】
(2-2)熱源ユニット
熱源ユニット20について、
図1及び
図2に加え、
図3及び
図4を更に参照しながら説明する。
図3は、熱源ユニット20の第2電装品ユニット40、冷却器60、及び膨張弁26の周辺の概略構成図である。
図4は、熱源ユニット20の冷却器60の概略図である。
【0045】
熱源ユニット20は、限定するものではないが、例えば空気調和装置100の設置される建物の屋上や、建物の周囲に設置される。
【0046】
熱源ユニット20は、上述のように、液冷媒連絡配管92及びガス冷媒連絡配管94を介して利用ユニット10に接続され、利用ユニット10と共に冷媒回路90を構成している。
【0047】
熱源ユニット20は、圧縮機22と、流路切換機構23と、第2熱交換器24と、膨張弁26と、冷却器60と、第1閉鎖弁27と、第2閉鎖弁28と、第2ファン25と、第2電装品ユニット40と、を主に有する(
図1参照)。圧縮機22、流路切換機構23、第2熱交換器24、膨張弁26、冷却器60、第1閉鎖弁27、第2閉鎖弁28、第2ファン25及び第2電装品ユニット40は、熱源ユニット20の図示しないケーシング内に収容される。
【0048】
また、熱源ユニット20は、冷媒回路90を構成する冷媒配管30を有する。冷媒配管30は、冷媒回路90を構成する熱源ユニット20の各種の機器を接続する。冷媒配管30は、吸入管31と、吐出管32と、第1冷媒配管33と、第2冷媒配管34と、第3冷媒配管35と、を有する(
図1参照)。
【0049】
吸入管31は、流路切換機構23と圧縮機22の吸入側とを接続する。吐出管32は、圧縮機22の吐出側と流路切換機構23とを接続する。第1冷媒配管33は、流路切換機構23と第2熱交換器24の一端とを接続する。第2冷媒配管34は、第2熱交換器24の他端と第1閉鎖弁27とを接続する。第2冷媒配管34には、冷却器60及び膨張弁26が設けられている。第3冷媒配管35は、流路切換機構23と第2閉鎖弁28とを接続する。
【0050】
本実施形態では、配管の材質を限定するものではないが、吸入管31、吐出管32、第1冷媒配管33、及び第3冷媒配管35は、銅又は銅合金製の配管である。第2冷媒配管34の材質については後述する。
【0051】
以下に、熱源ユニット20の主な構成について更に説明する。
【0052】
(2-2-1)圧縮機
圧縮機22は、吸入管31から冷凍サイクルにおける低圧の冷媒を吸入し、図示しない圧縮機構で冷媒を圧縮して、圧縮した冷媒を吐出管32に吐出する機器である。
【0053】
圧縮機22は、タイプを限定するものではないが、例えば、ロータリ式やスクロール式等の容積圧縮機である。圧縮機22の図示しない圧縮機構は、圧縮機モータ22aによって駆動される(
図1参照)。圧縮機モータ22aは、インバータ制御される可変速のモータである。圧縮機モータ22aの回転数が制御されることで、圧縮機22の容量が制御される。
【0054】
(2-2-2)流路切換機構
流路切換機構23は、冷媒回路90における冷媒の流向を、第1流向と、第2流向と、の間で切り換える機構である。冷媒回路90における冷媒の流向が第1流向である時には、第2熱交換器24が凝縮器として機能し、第1熱交換器11が蒸発器として機能する。冷媒回路90における冷媒の流向が第2流向にある時には、第2熱交換器24が蒸発器として機能し、第1熱交換器11が凝縮器として機能する。
【0055】
流路切換機構23は、冷房運転時には、冷媒の流向を第1流向に切り換える。説明の便宜上、冷媒の流向が第1流向に切り換えられている冷媒回路90の状態を、第1状態と呼ぶ。流路切換機構23は、暖房運転時には、冷媒の流向を第2流向に切り換える。説明の便宜上、冷媒の流向が第2流向に切り換えられている冷媒回路90の状態を、第2状態と呼ぶ。
【0056】
流路切換機構23についてより具体的に説明する。
【0057】
流路切換機構23は、冷媒回路90を第1状態にする際には、吸入管31を第3冷媒配管35と連通させ、吐出管32を第1冷媒配管33と連通させる(
図1中の流路切換機構23内の実線参照)。冷媒回路90内の冷媒の流向が第1流向である時、圧縮機22から吐出される冷媒は、冷媒回路90を、凝縮器としての第2熱交換器24、冷却器60、膨張弁26、第1熱交換器11の順に流れて、圧縮機22へと戻る。
【0058】
流路切換機構23は、冷媒回路90を第2状態にする際には、吸入管31を第1冷媒配管33と連通させ、吐出管32を第3冷媒配管35と連通させる(
図1中の流路切換機構23内の破線参照)。冷媒回路90内の冷媒の流向が第2流向である時、圧縮機22から吐出される冷媒は、冷媒回路90を、凝縮器としての第1熱交換器11、膨張弁26、冷却器60、蒸発器としての第2熱交換器24の順に流れて、圧縮機22へと戻る。
【0059】
本実施形態では、流路切換機構23は、アクチュエータとしてのパイロット電磁弁(図示省略)と、スライドバルブ付きの本体(図示省略)と、を有する四路切換弁である。ただし、流路切換機構23は、四路切換弁に限られるものではない。流路切換機構23は、例えば、複数の電磁弁及び冷媒配管を組み合わせて、上記の冷媒の流れ方向の切り換えを実現できるように構成されてもよい。
【0060】
(2-2-3)第2熱交換器
第2熱交換器24では、第2熱交換器24の伝熱管(図示省略)を流れる冷媒と、第2熱交換器24を通過する媒体との間で熱交換が行われる。本実施形態では、第2熱交換器24において、第2熱交換器24の内部を流れる冷媒と、熱源ユニット20の周囲の空気(熱源空気)との間で熱交換が行われる。
【0061】
第2熱交換器24は、冷房運転時には、凝縮器(放熱器)として機能する。第2熱交換器24は、暖房運転時には、蒸発器(吸熱器)として機能する。
【0062】
第2熱交換器24の一端は、第2冷媒配管34に接続されている。第2熱交換器24の他端は、第1冷媒配管33に接続されている。冷房運転時には、第1冷媒配管33から第2熱交換器24に冷媒が流入し、第2熱交換器24から流出する冷媒は第2冷媒配管34に流入する。暖房運転時には、第2冷媒配管34から第2熱交換器24に冷媒が流入し、第2熱交換器24から流出する冷媒は第1冷媒配管33に流入する。
【0063】
第2熱交換器24は、タイプを限定するものではないが、例えば、伝熱管(図示省略)と多数のフィン(図示省略)とを有するフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。
【0064】
(2-2-4)膨張弁
膨張弁26は、第2冷媒配管34を流れる冷媒の圧力や流量の調節を行う機構である。膨張弁26は、第2冷媒配管34に配置されている。言い換えれば、膨張弁26は、第2熱交換器24と第1閉鎖弁27との間に配置されている。より詳細には、膨張弁26は、冷却器60と第1閉鎖弁27との間に配置されている。
【0065】
膨張弁26は、例えば開度可変の電子膨張弁(電動弁)である。膨張弁26は、例えばパルスモータ駆動方式の電子膨張弁である。膨張弁26は、弁本体26aと、アクチュエータ26bと、を含む。
【0066】
弁本体26aは、弁箱29aと、弁体29bと、を含む。弁箱29aには、第2冷媒配管34の、冷却器60と膨張弁26との間を接続する冷媒配管(この配管を、以下では第1管341と呼ぶ)が接続されている。また、弁箱29aには、第2冷媒配管34の、膨張弁26と第1閉鎖弁27の間を接続する冷媒配管が接続されている。弁本体26aの弁箱29aには、好ましくは、冷媒配管に用いられている銅又は銅合金より電気抵抗率の大きな材料が用いられる。例えば、弁本体26aの弁箱29aは、アルミニウム又はアルミニウム合金製である。より好ましくは、弁本体26aの弁箱29aには、電気抵抗率が20℃において1.0×10-7Ω・m以上の材料が用いられる。例えば、弁本体26aの弁箱29aの材質は、例えばSUS(ステンレス鋼)である。弁体29bは、例えばニードル弁である。
【0067】
アクチュエータ26bは、弁体29bを駆動するモータである。アクチュエータ26bは、後述する第2電装品ユニット40の第2制御アセンブリ42と物理的な通信線Cにより電気的に接続されている。
【0068】
なお、ここでは、膨張弁26は電子膨張弁であるが、膨張弁26の種類は電子膨張弁に限定されない。例えば、膨張弁26は、電磁弁であって、キャピラリチューブと組み合わされて用いられてもよい。
【0069】
(2-2-5)第1閉鎖弁及び第2閉鎖弁
第1閉鎖弁27は、第2冷媒配管34と液冷媒連絡配管92との接続部に設けられた弁である。第2閉鎖弁28は、第3冷媒配管35とガス冷媒連絡配管94との接続部に設けられる弁である。第1閉鎖弁27及び第2閉鎖弁28は、例えば、手動で操作される弁である。空気調和装置100の運転中は、第1閉鎖弁27及び第2閉鎖弁28は開かれている。
【0070】
(2-2-6)第2ファン
第2ファン25は、熱源ユニット20のケーシングの図示しない空気の吸込口(図示省略)を介して、熱源ユニット20の外部の熱源空気をケーシング内に吸い込み、第2熱交換器24に供給する。第2熱交換器24において冷媒と熱交換した空気は、熱源ユニット20のケーシングの図示しない空気の吹出口(図示省略)から吹き出す。
【0071】
第2ファン25は、例えばプロペラファンである。ただし、第2ファン25のファンのタイプは、プロペラファンに限定されず、適宜選択されればよい。第2ファン25は、インバータ制御される第2ファンモータ25aによって駆動される、風量可変のファンである。
【0072】
(2-2-7)第2電装品ユニット及び冷却部
第2電装品ユニット40は、熱源ユニット20の動作を制御するための複数の電気部品や電子部品を含む。第2電装品ユニット40は、第2制御アセンブリ42と、モータ駆動ユニット44と、を有する。
【0073】
第2制御アセンブリ42は、CPUやメモリ等で構成されるマイクロコンピュータや、各種の電子回路を含む。第2制御アセンブリ42は、モータ駆動ユニット44と電気的に接続されている。第2制御アセンブリ42は、利用ユニット10の第1制御アセンブリ13aと通信可能に接続されており、第1制御アセンブリ13aと協働して、後述する制御部80として機能する。
【0074】
モータ駆動ユニット44は、圧縮機モータ22aや第2ファンモータ25aの動作を制御するためのモータ駆動回路である。モータ駆動ユニット44は、コンバータ回路やインバータ回路を含む。モータ駆動ユニット44には、発熱部品としてのパワーモジュール44aを含む。
【0075】
冷却器60は、第2電装品ユニット40に含まれる発熱する電気部品を冷却するための熱交換器である。具体的には、冷却器60は、第2電装品ユニット40の発熱する電気部品と直接的に又は他の部材を介して間接的に接触し、冷媒によりこの電気部品を冷却する。冷却器60が冷却する対象を限定するものではないが、本実施形態では、冷却器60は、電気部品としてのパワーモジュール44aを冷却する。
【0076】
冷却器60は、伝熱板62と、冷媒ジャケット64と、カバー66と、冷却器配管68と、を含む(
図3及び
図4参照)。冷却器配管68は、第2冷媒配管34の一部を構成する配管である。
【0077】
伝熱板62は、パワーモジュール44aに接合されている。伝熱板62は、伝熱性の高い素材で成形された板状部材である。材質を限定するものではないが、伝熱板62は、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金製である。
【0078】
伝熱板62には、冷媒ジャケット64が取り付けられている。冷媒ジャケット64は、伝熱板62にネジ等によって固定されている。冷媒ジャケット64は、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金等の金属製の部材である。
【0079】
冷媒ジャケット64には、第2冷媒配管34の、第1直管部34aと第2直管部34bとが取り付けられる。第1直管部34aと第2直管部34bとは、折り返し部分34cを介して接続され、第1直管部34aと、折り返し部分34cと、第2直管部34bと、はU字形状を形成する。より具体的には、冷媒ジャケット64には、第1直管部34a及び第2直管部34bを嵌め込むことが可能な2つの溝部64aが形成されており、溝部64aに第1直管部34a及び第2直管部34bが嵌め込まれている。第2冷媒配管34に冷媒が流れると、第1直管部34aや第2直管部34bを流れる冷媒は、第1直管部34aや第2直管部34bの管壁、冷媒ジャケット64、及び伝熱板62を介して、パワーモジュール44aを冷却する。
【0080】
限定するものではないが、冷媒ジャケット64と伝熱板62とを合わせた部材の厚みT(
図3参照)は、6~12mmの範囲になるように選択される。言い換えれば、パワーモジュール44aと、第1直管部34a及び第2直管部34bとの間には、例えば6~12mmの範囲のアルミニウム又はアルミニウム合金等の金属製の部材が配置される。
【0081】
なお、ここでは、第1直管部34aの冷媒ジャケット64の溝部64aに嵌め込まれている部分、第2直管部34bの冷媒ジャケット64の溝部64aに嵌め込まれている部分、及び、折り返し部分34cを、まとめて冷却器配管68と呼ぶ。
図4を参照して説明すると、第2冷媒配管34のうち、ハッチングを付した部分を、冷却器配管68と呼ぶ。なお、冷却器配管68の形状は、
図4に図示したようなU字形状に限定されるものではなく、適宜設計されればよい。
【0082】
カバー66は、冷媒ジャケット64と、冷媒ジャケット64に取り付けられる第2冷媒配管34の第1直管部34aと第2直管部34bと、を覆う。
【0083】
<第2伝熱管の材質>
冷却器60の冷却対象の電気部品は、ノイズを発する場合がある。電気部品の発するノイズは、冷媒回路90の冷媒配管を介して、冷媒回路90に設けられている弁へと伝搬し、弁のアクチュエータを誤動作させるおそれがある。さらに、弁のアクチュエータへと流れたノイズは、アクチュエータに接続される信号線等を介してアクチュエータを制御する電子回路等に伝搬し、冷凍サイクル装置の誤動作の原因となるおそれがある。
【0084】
そこで、本開示の空気調和装置100では、冷媒回路90を構成する冷媒配管30が以下のように構成されている。なお、ここでは、冷却器60の冷却対象の電気部品がパワーモジュール44aであり、パワーモジュール44aの発するノイズにより悪影響を受ける恐れのある弁が、アクチュエータ26bにより駆動される膨張弁26である場合を例に説明する。
【0085】
上述のように、本実施形態では、冷媒回路90を構成する冷媒配管14a,14b,30,92,94には、主に銅又は銅合金製の冷媒配管が用いられる。上記実施形態では、利用ユニット10内の冷媒配管14a,14b、液冷媒連絡配管92及びガス冷媒連絡配管94、及び、熱源ユニット20の冷媒配管30のうち吸入管31と、吐出管32と、第1冷媒配管33と、第3冷媒配管35と、には、第2材料としての銅又は銅合金製の冷媒配管が使用される。
【0086】
しかし、第2冷媒配管34のうち、冷媒回路90において冷却器60と膨張弁26との間の第1管341には、銅又は銅合金製以外の、第1材料製の第1部341aが設けられる。なお、第2冷媒配管34でも、第1部341a以外の部分(第1管341以外の第2冷媒配管34や、第1管341のうち第1部341aを除く部分341b)には、銅又は銅合金製の冷媒配管が用いられる。
【0087】
要するに、冷媒回路90の冷媒配管14a,14b,30,92,94は、冷媒回路90において冷却器60と膨張弁26との間に配置される第1材料製の第1部341aと、第1部341a以外の、第1材料とは異なる第2材料製(ここでは銅又は銅合金製)の第2部と、を含む。
【0088】
なお、第1材料製の第1部341aと、第2材料製の第1管341の部分341bとは、例えば継手を介して接続されてもよいし、ロウ付け等の手段で接続(接合)されてもよい。なお、第1部341aと部分341bとの接続方法は、例示した方法に限定されるものではなく、適宜選択されればよい。
【0089】
第1部341aの材料である第1材料は、第2材料より電気抵抗率の大きな材料である。例えば、第2材料は、上述のように銅又は銅合金であり、第1材料の電気抵抗率は、第2材料としての銅又は銅合金の電気抵抗率より大きい。例えば、第1材料は、アルミニウム又はアルミニウム合金である。なお、20℃における銅の電気抵抗率は、約1.7×10-8Ω・mである。これに対し、20℃におけるアルミニウムの電気抵抗率は、約2.8×10-8Ω・mである。
【0090】
より好ましくは、第1材料には、20℃における電気抵抗率が1.0×10-7Ω・m以上の材料が選択される。限定するものではないが、第1材料は、例えば、SUS(ステンレス鋼)である。SUS304の20℃における電気抵抗率は、約7.0×10-7Ω・mである。
【0091】
また、アクチュエータ26bへとノイズが伝播するのを抑制するためには、第1部341aの長さL1(
図3参照)は、20mm以上であることが好ましい。より好ましくは、第1部341aの長さL1は、50mm以上である。さらに好ましくは、第1部341aの長さL1は、100mm以上である。
【0092】
好ましくは、第1部341aの長さL1は、冷媒ジャケット64と伝熱板62とを合わせた部材の厚みTの値より大きい。
【0093】
また、第1部341aは、限定されるものではないが、直管であることが好ましい。
【0094】
また、アクチュエータ26bへとノイズが伝播するのを抑制するためには、第1管341の全長La(
図3参照)の10%以上を第1部341aとすることが好ましい。
【0095】
(2-3)制御部
制御部80は、利用ユニット10の第1制御アセンブリ13aと、熱源ユニット20の第2制御アセンブリ42とが通信可能に接続されることによって構成されている。制御部80は、第1制御アセンブリ13aや第2制御アセンブリ42のマイクロコンピュータのCPUが、メモリに記憶されたプログラムを実行することで、空気調和装置100全体の動作の制御を行う。
【0096】
なお、本実施形態の制御部80は、一例にすぎない。本実施形態の制御部80が発揮する機能と同様の機能を、論理回路等のハードウェアにより実現してもよいし、ハードウェアとソフトウェアとの組合せにより実現してもよい。
【0097】
制御部80は、
図2に示されるように、第1ファンモータ12a、圧縮機モータ22a、流路切換機構23,第2ファンモータ25a、及び膨張弁26のアクチュエータ26bを含む、利用ユニット10及び熱源ユニット20の各種機器と電気的に接続されている。また、制御部80は、図示を省略する各種のセンサと電気的に接続されている。
【0098】
制御部80は、第1制御アセンブリ13aや第2制御アセンブリ42のマイクロコンピュータのCPUが、メモリに記憶されたプログラムを実行することで、冷房運転時及び暖房運転時に、空気調和装置100の動作を以下のように制御する。
【0099】
<冷房運転>
制御部80は、空気調和装置100に冷房運転を実行させる際には、例えば以下のように空気調和装置100の各部の動作を制御する。
【0100】
制御部80は、冷媒回路90が第1状態になるように流路切換機構23を制御し、圧縮機22、第1ファン12及び第2ファン25を起動する(圧縮機モータ22a、第1ファンモータ12a及び第2ファンモータ25aを運転する)。冷媒回路90を第1状態にして、圧縮機22を運転する結果、冷媒回路90には以下のように冷媒が循環する。
【0101】
冷媒回路90内の低圧のガス冷媒は、圧縮機22に吸入され、圧縮されて高圧のガス冷媒となる。圧縮機22の吐出する高圧のガス冷媒は、凝縮器として機能する第2熱交換器24に送られる。第2熱交換器24に流入した高圧のガス冷媒は、第2熱交換器24において、第2ファン25によって供給される熱源空気と熱交換を行って冷却されて凝縮し、高圧の液冷媒となる。高圧の液冷媒は、冷却器60を通過した後、膨張弁26に送られる。冷却器60を通過する冷媒は(第1直管部34a及び第2直管部34bを流れる冷媒は)、パワーモジュール44aを冷却する。膨張弁26は、膨張弁26を通過する冷媒を減圧する。膨張弁26において減圧された冷媒は、液冷媒連絡配管92を経由して利用ユニット10に送られる。利用ユニット10に送られた冷媒は、蒸発器として機能する第1熱交換器11に送られる。第1熱交換器11に流入した低圧の冷媒は、第1熱交換器11において、第1ファン12によって供給される対象空間の空気と熱交換を行い、加熱されて蒸発し、低圧のガス冷媒となる。この際、第1熱交換器11において冷媒と熱交換して冷却された空気は、利用ユニット10の図示しないケーシングの空気の吹出口から対象空間に吹き出す。第1熱交換器11において蒸発した低圧のガス冷媒は、ガス冷媒連絡配管94、第3冷媒配管35及び吸入管31を経由して圧縮機22に吸入される。
【0102】
<暖房運転>
制御部80は、空気調和装置100に暖房運転を実行させる際には、例えば以下のように空気調和装置100の各部の動作を制御する。
【0103】
制御部80は、冷媒回路90が第2状態になるように流路切換機構23を制御し、圧縮機22、第1ファン12及び第2ファン25を起動する(圧縮機モータ22a、第1ファンモータ12a及び第2ファンモータ25aを運転する)。冷媒回路90を第2状態にして、圧縮機22を運転する結果、冷媒回路90には以下のように冷媒が循環する。
【0104】
冷媒回路90内の低圧のガス冷媒は、圧縮機22に吸入され、圧縮されて高圧のガス冷媒となる。圧縮機22の吐出する高圧のガス冷媒は、凝縮器として機能する第1熱交換器11に送られる。第1熱交換器11に流入した高圧のガス冷媒は、第1熱交換器11において、第1ファン12によって供給される対象空間の空気と熱交換を行って冷却されて凝縮し、高圧の液冷媒となる。この際、第1熱交換器11において冷媒と熱交換して加熱された空気は、利用ユニット10の図示しないケーシングの空気の吹出口から対象空間に吹き出す。第1熱交換器11から流出する高圧の液冷媒は、液冷媒連絡配管92を経由して熱源ユニット20に送られる。熱源ユニット20に流入した冷媒は、膨張弁26に送られ、膨張弁26において減圧される。膨張弁26において減圧された冷媒は、冷却器60を通過した後、蒸発器として機能する第2熱交換器24に送られる。冷却器60を通過する冷媒は(第1直管部34a及び第2直管部34bを流れる冷媒は)、パワーモジュール44aを冷却する。第2熱交換器24に流入した低圧の冷媒は、第2熱交換器24において、第2ファン25によって供給される熱源空気と熱交換を行い、加熱されて蒸発し、低圧のガス冷媒となる。第2熱交換器24において蒸発した低圧のガス冷媒は、第1冷媒配管33及び吸入管31を経由して圧縮機22に吸入される。
【0105】
(3)特徴
(3-1)
冷凍サイクル装置の一例である空気調和装置100は、電気部品の一例であるパワーモジュール44aと、冷媒が循環する冷媒回路90と、を備える。冷媒回路90は、アクチュエータ26bにより駆動される膨張弁26と、冷媒によってパワーモジュール44aを冷却する冷却部の一例としての冷却器60と、冷媒配管14a,14b,30,92,94と、を含む。冷媒配管は、第1部341aと、第1部341a以外の第2部と、を含む。第1部341aは、冷媒回路90において冷却器60と膨張弁26との間に配置される。第1部341aは、第1材料製である。第2部は、第1材料とは異なる第2材料製である。第1材料の電気抵抗率は、第2材料の電気抵抗率より大きい。
【0106】
空気調和装置100では、冷却器60と膨張弁26との間に、電気抵抗率が比較的大きな第1部341aを配置することで、パワーモジュール44aの発するノイズの膨張弁26のアクチュエータ26bへの伝搬を抑制できる。
【0107】
(3-2)
第2材料は銅又は銅合金であり、第1材料の電気抵抗率は、第2材料としての銅又は銅合金の電気抵抗率より大きい、
空気調和装置100では、第1部341aとして、冷媒配管として一般的に用いられる第2材料としての銅又は銅合金よりも電気抵抗率の大きな第1材料を用いることで、パワーモジュール44aの発するノイズの膨張弁26のアクチュエータ26bへの伝搬を抑制できる。
【0108】
例えば、第1材料は、アルミニウム又はアルミニウム合金である。
【0109】
この空気調和装置100では、第1部341aとして、アルミニウム又はアルミニウム合金を用いることで、パワーモジュール44aの発するノイズの膨張弁26のアクチュエータ26bへの伝搬を抑制できる。
【0110】
(3-3)
より好ましくは、第1材料の電気抵抗率は、20℃において1.0×10-7Ω・m以上である。
【0111】
冷却器60と膨張弁26との間に、電気抵抗率が比較的大きな第1材料製の第1部341aを配置することで、パワーモジュール44aの発するノイズの膨張弁26のアクチュエータ26bへの伝搬を抑制できる。
【0112】
例えば、第1材料は、SUS(ステンレス鋼)である。
【0113】
空気調和装置100では、第1材料として、冷媒配管に一般的に使用される銅よりも数十倍程度電気抵抗率が大きなSUSが用いられることで、パワーモジュール44aが発するノイズの膨張弁26のアクチュエータ26bへの伝搬を抑制することができる。
【0114】
(3-4)
第1部341aの長さは、20mm以上であることが好ましい。
【0115】
20mm以上の第1部341aを設けることで、パワーモジュール44aが発するノイズの膨張弁26のアクチュエータ26bへの伝搬が抑制されやすい。
【0116】
(3-5)
空気調和装置100では、冷却器60と膨張弁26との間に配置される冷媒配管(第1管341)の全長Laの10%以上が第1部341aであることが好ましい。
【0117】
冷却器60と膨張弁26との間に配置される第1管341の10%以上を第1部341aとすることで、パワーモジュール44aが発するノイズの膨張弁26のアクチュエータ26bへの伝搬が抑制されやすい。
【0118】
(3-6)
本実施径例では、空気調和装置100は、膨張弁26は電子膨張弁(電動弁)である。ただし、これに限定されるものではなく、上述のように、膨張弁26として、電子膨張弁に代えて、電磁弁が利用される場合にも、冷媒配管に第1部341aを設けることで、膨張弁26の誤動作を抑制することができる。
【0119】
(3-7)
空気調和装置100では、膨張弁26の弁本体26a(特には弁本体26aの弁箱29a)は、第2材料(本実施形態では銅又は銅合金)より電気抵抗率の大きな第3材料製である。限定するものではないが、第3材料は、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金である。また、より好ましくは、第3材料は、例えばSUS(ステンレス鋼)である。なお、第3材料は、第1材料と同一であってもよいし、第1材料とは異なってもよい。
【0120】
空気調和装置100では、膨張弁26の弁本体26aに電気抵抗率が比較的大きな材料を使用することで、パワーモジュール44aの発するノイズの膨張弁26のアクチュエータ26bへの伝搬を抑制できる。
【0121】
(4)変形例
上記実施形態の変形例を説明する。なお、以下に説明する各変形例の構成は、矛盾しない限り、他の変形例の構成の一部又は全部と組み合わされてもよい。また、以下に説明する各変形例の構成は、矛盾しない限り、上記実施形態の構成の一部又は全部と組み合わされてもよい。
【0122】
(4-1)変形例A
上記実施形態では、冷媒回路90において、冷却器60と膨張弁26との間に第1材料製の第1部341aを配置する例について説明している。ただし、これに限定されるものではなく、冷媒回路90の冷媒配管は、冷却器60と膨張弁26との間以外の場所に、第1材料製の冷媒配管を有してもよい。
【0123】
具体的には、冷媒回路90の冷媒配管の一部としての冷却器60の冷却器配管68が、電気抵抗率が第2材料より大きな、上述したような第1材料製であって、冷媒回路90の冷媒配管の冷却器配管68以外の部分は、第2材料製であってもよい。例えば、具体的には、冷却器配管68は第1材料としてのSUS製である。パワーモジュール44aと、冷媒ジャケット64及び伝熱板62を介して接する冷却器配管68に、第2材料よりも電気抵抗率の高い第1材料を用いることで、第1材料製の第1部341aを設ける場合と同様に、パワーモジュール44aの発するノイズの膨張弁26のアクチュエータ26bへの伝搬を抑制できる。
【0124】
また、冷却器60と膨張弁26との間に第1材料製の第1部341aを配置すると共に、冷却器60の冷却器配管68を第1材料製としてもよい。なおこの際には、第1部341aの材料及び冷却器配管68の材料の電気抵抗率が、冷媒回路90の第1部341a及び冷却器配管68以外の冷媒配管の第2材料よりも電気抵抗率より高ければ、異なる材料であってもよい。例えば、冷却器60と膨張弁26との間の第1部341aはアルミニウム又はアルミニウム合金製で、冷却器配管68の材料はSUS製で、冷媒回路90の第1部341a及び冷却器配管68以外の冷媒配管の材料は銅又は銅合金製であってもよい。
【0125】
(4-2)変形例B
上記実施形態では、膨張弁26が、電気部品の発するノイズが悪影響を与える弁である場合を例に説明している。ただし、これに限定されるものではなく、特許請求の範囲における弁は、膨張弁26以外の弁であってもよい。例えば、特許請求の範囲における弁は、四路切換弁であってもよい。特許請求の範囲における弁は、電気部品の発するノイズが悪影響を与える可能性のある弁であれば、その位置や機能は問わない。
【0126】
(4-3)変形例C
上記実施形態では、冷却器60は、第2冷媒配管34に配置されているが、冷却器60は、第2冷媒配管34以外に配置されていてもよい。
【0127】
例えば、冷媒回路90が第2冷媒配管34と吸入管31とを接続する冷媒配管を有し、冷却器60は、第2冷媒配管34と吸入管31とを接続する冷媒配管に配置されてもよい。この場合、特許請求の範囲における弁は、第2冷媒配管34と吸入管31とを接続する冷媒配管に配置される、冷却器60への冷媒の流れを制御する弁であってもよい。
【0128】
(4-4)変形例D
上記実施形態では、冷却器60の冷却対象がパワーモジュール44aである場合を例に説明しているが、冷却器60の冷却対象は、コイル等の電気部品であってもよい。
【0129】
(4-5)変形例E
図3では、第1部341aは、膨張弁26に隣接する位置に図示されているが、第1部341aの位置は、膨張弁26に隣接する位置に限定されない。
【0130】
例えば、第1部341aは、
図5に示すように、第1管341の中央部に配置されてもよい。また、第1管341の全体が第1部341aであってもよい。また、変形例Aに示すように冷却器配管68も第1材料製であって、冷却器60の冷却器配管68及び第1管341の全体が第1材料製であってもよい。
【0131】
(4-6)変形例F
上記実施形態では、第1管341のみが第1材料製の第1部341aを有するが、これに限定されるものではない。第1管341以外の冷媒配管にも、第1材料製の第1部が配置されてもよい。
【0132】
(4-7)変形例G
上記実施形態では、電気部品(上記実施形態ではパワーモジュール44a)の影響を受ける部品が弁のアクチュエータである場合を例に説明をしている。ただし、電気部品のノイズの悪影響を受ける可能性がある部品は、弁に限定されるものではなく、圧力センサも電気部品のノイズの悪影響を受ける可能性がある。そのため、冷媒回路90が圧力センサを有する場合、冷媒配管は、例えば、冷媒回路90において冷却器60と圧力センサとの間に配置される第1材料製の第1部と、第1部以外の第1材料とは異なる第2材料製の第2部とを含み、第1材料には、電気抵抗率が第2材料より大きいものが選定される。また、これに代えて、又は、これに加えて、変形例Aのように、冷却器60の冷却器配管68を、電気抵抗率が第2材料より大きな第1材料製としてもよい。
【0133】
変形例Gに係る空気調和装置100Aの概略構成図である
図6を参照しながら具体例を説明する。なお、
図6では、図面が煩雑になるのを避けるため、第1制御アセンブリ13a及び第2制御アセンブリ42と各種機器との電気的な接続を示す破線は省略している。
【0134】
変形例Gに係る空気調和装置100Aは、多くの点で上記実施形態の空気調和装置100と同一であるため、ここでは、空気調和装置100との相違点について主に説明する。
【0135】
空気調和装置100Aでは、冷媒回路90が、第2冷媒配管34と吸入管31とを接続する第4冷媒配管36を更に有する。冷却器60は、
図6のように、第2冷媒配管34と吸入管31とを接続する第4冷媒配管36に配置される。吸入管31には、吸入圧センサ37が設けられている。第4冷媒配管36には、冷却器60への冷媒の流れを制御する、アクチュエータ261aにより駆動される電磁弁261が配置される。なお、図示は省略するが、第4冷媒配管36には更にキャピラリが配置されてもよい。
【0136】
空気調和装置100Aでは、冷媒回路90において、アクチュエータ261aにより駆動される電磁弁261と、パワーモジュール44aを冷却する冷却器60との間に、上記実施形態で説明したような第2材料(例えば、上記実施形態と同様に銅又は銅合金)よりも電気抵抗率の大きな第1材料製の、第1部36aが配置される。言い換えれば、第4冷媒配管36は、その一部に、第1材料製の第1部36aを有する。
【0137】
また、空気調和装置100Aでは、冷媒回路90において、吸入圧センサ37とパワーモジュール44aを冷却する冷却器60との間には、上記実施形態で説明したような第2材料よりも電気抵抗率の大きな第1材料製の、第1部36bが配置される。例えば、第1材料製の第1部36bは、
図6のように第4冷媒配管36が有するものであってもよい。この場合、第4冷媒配管36の、第1部36a及び第1部36b以外の部分は、例えば第2材料製である。また、変形例Aに示すように冷却器配管68も第1材料製であって、冷却器60の冷却器配管68と、第4冷媒配管36の、冷却器60から第4冷媒配管36と吸入管31との接続部までの部分とは、全て第1材料製であってもよい。
【0138】
また、第1材料製の第1部36bは、吸入管31の一部であって、吸入管31と第4冷媒配管36との接続部と、吸入圧センサ37の設置位置との間に配置されてもよい。
【0139】
また、例えば、冷却器60の冷却器配管68、第4冷媒配管36の、冷却器60から第4冷媒配管36と吸入管31との接続部までの部分、及び、吸入管31の、吸入管31と第4冷媒配管36との接続部と吸入圧センサ37の設置位置との間は、全て第1材料製であってもよい。
【0140】
さらに他の例では、冷却器60の冷却器配管68、第4冷媒配管36の、冷却器60から第4冷媒配管36と吸入管31との接続部までの部分、及び吸入管31の全体が、全て第1材料製であってもよい。
【0141】
なお、第1部36aの材質と第1部36bの材質とは、第2材料よりも電気抵抗率の大きな材料であれば、互いに異なる材質であってもよい。
【0142】
<付記>
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本開示は、冷凍サイクル装置に広く適用でき有用である。
【符号の説明】
【0144】
14a,14b 利用ユニットの冷媒配管(第2部)
26 膨張弁(弁)
26a 弁本体
26b アクチュエータ
30 熱源ユニットの冷媒配管
31 吸入管(第2部)
32 吐出管(第2部)
33 第1冷媒配管(第2部)
35 第3冷媒配管(第2部)
36a,36b 第1部
37 吸入圧センサ(吐出圧センサ)
44a パワーモジュール(電気部品)
60 冷却器(冷却部)
90 冷媒回路
100,100A 空気調和装置(冷凍サイクル装置)
92 液冷媒連絡配管(冷媒配管,第2部)
94 ガス冷媒連絡配管(冷媒配管,第2部)
261 電磁弁(弁)
261a アクチュエータ
341a 第1部
341b 部分(第2部)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0145】