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▶ 株式会社サタケの特許一覧

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  • 特許-色彩選別機 図1
  • 特許-色彩選別機 図2
  • 特許-色彩選別機 図3
  • 特許-色彩選別機 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】色彩選別機
(51)【国際特許分類】
   B07C 5/342 20060101AFI20240131BHJP
   G01N 21/85 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
B07C5/342
G01N21/85 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020030909
(22)【出願日】2020-02-26
(65)【公開番号】P2021133296
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(72)【発明者】
【氏名】山口 陽理
【審査官】寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-300434(JP,A)
【文献】特開2003-098096(JP,A)
【文献】特開2010-042326(JP,A)
【文献】特開2016-29927(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07C 5/342
G01N 21/85
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被選別物となる原料を流下させるために傾斜配置したシュートと、前記シュートの下端から落下する被選別物を検出する光学検出手段と、前記光学検出手段による検出結果に基づいて前記被選別物を選別排除するエジェクタ手段と、前記エジェクタ手段により選別された被選別物を各別に排出する排出ホッパと、を備えた色彩選別機であって、
前記光学検出手段の撮像信号に基づいて被選別物を良品と不良品とに選別する選別モードと、該選別モードが休止中に前記不良品を害虫よる被害粒、ヤケ米よる被害粒、青未熟粒、籾米、乳白粒及び異物の各品位に品位判別して表示する品位判別モードと、に切り換え可能な演算手段を備えたことを特徴とする色彩選別機。
【請求項2】
前記演算手段には、今年度の選別データと、前年度の選別データとを複数記憶して比較できるように記憶手段が設けられてなる請求項1記載の色彩選別機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料から除去された不良品の中に、害虫等による着色粒や、ヤケ米等による被害粒や、青未熟粒や、籾米や、乳白粒などの着色粒や、小石などの異物がどの程度の割合であるかを詳細に調べることができる色彩選別機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農家等で生産した穀物(例えば、玄米及び精米)を集荷して流通に供する際は、品位等検査(農家から出荷した後の穀物検査のこと)等が行われる。この品位等検査は、国の法律で「米穀の生産者は品位等検査を受けることができる」と規定(農産物検査法第3条)され、これに基づき実施される。すなわち、農家等の米穀の生産者は、公正かつ円滑な取引をすること、米穀の流通ルート上でのトレーサビリティを確保して品質への信頼を獲得すること等を目的に、集荷のための組織において(例えば、JA(農協)など)積極的に品位等検査を受けているのが現状である。
【0003】
JA(農協)などでは、現在、農産物検査員が目視で品位等の鑑定を行っているが、最近は着色粒などの混入割合を測定できる穀粒品位判別器(例えば、特許文献1参照)の開発が進展しており、測定器が補助的に活用されるようになっている。また、着色粒などを除去するための色彩選別機は、農家等での利用を目的として小型化・低価格化を実現しながら、性能を向上した機種も登場してきている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
しかしながら、特許文献2記載の色彩選別機にあっては、害虫等による着色粒、ヤケ米等による被害粒、青未熟粒、籾米、乳白粒などの着色粒、及び小石などの異物をすべて一つに含めて不良品として規定し、良品と区別されている。そして、例えば、良品として選別されて区分けされた精品の重量と、不良品として選別されて区分けされた選別物の重量とを比較して、原料に対する不良品混入率を算出したり、当該色彩選別機の選別率を算出したりしている(例えば、特許文献3)。
つまり、従来の色彩選別機は、不良品の中に、害虫等による着色粒や、ヤケ米等による被害粒や、青未熟粒や、籾米や、乳白粒などの着色粒や、小石などの異物がどの程度の割合であるかを詳細に調べることができなかった。このような不良品中の不良物の分析は、従来は、除去された不良品を黒色カルトンに取り分けて目視で確認したり、不良品を穀粒品位判別器に投入して別の測定器で分析したりしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-125867号公報
【文献】特許第6052287号公報
【文献】特開平10-216650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記問題点にかんがみ、原料から除去された不良品の中に、害虫等による着色粒や、ヤケ米等による被害粒や、青未熟粒や、籾米や、乳白粒などの着色粒や、小石などの異物がどの程度の割合であるかを詳細に調べることができる色彩選別機を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明は、被選別物となる原料を流下させるために傾斜配置したシュートと、前記シュートの下端から落下する被選別物を検出する光学検出手段と、前記光学検出手段による検出結果に基づいて前記被選別物を選別排除するエジェクタ手段と、前記エジェクタ手段により選別された被選別物を各別に排出する排出ホッパと、を備えた色彩選別機であって、
前記光学検出手段の撮像信号に基づいて被選別物を良品と不良品とに選別する選別モードと、該選別モードが休止中に前記不良品を害虫よる被害粒、ヤケ米よる被害粒、青未熟粒、籾米、乳白粒及び異物の各品位に品位判別して表示する品位判別モードと、に切り換え可能な演算手段を備える、という技術的手段を講じた。
【0009】
請求項記載の発明では、前記演算手段には、今年度の選別データと、前年度の選別データとを複数記憶して比較できるよう記憶手段が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、被選別物となる原料を流下させるために傾斜配置したシュートと、前記シュートの下端から落下する被選別物を検出する光学検出手段と、前記光学検出手段による検出結果に基づいて前記被選別物を選別排除するエジェクタ手段と、前記エジェクタ手段により選別された被選別物を各別に排出する排出ホッパと、を備えた色彩選別機であって、前記光学検出手段の撮像信号に基づいて被選別物を良品と不良品とに選別する選別モードと、該選別モードが休止中に前記不良品を害虫よる被害粒、ヤケ米よる被害粒、青未熟粒、籾米、乳白粒及び異物の各品位に品位判別して表示する品位判別モードと、に切り換え可能な演算手段を備える、という技術的手段を講じたので、
被選別物を選別モードで単に良品と不良品とに選別するだけではなく、前記選別モードが休止中に選別済の不良品の中に、害虫よる被害粒、ヤケ米よる被害粒、青未熟粒、籾米、乳白粒及び異物がどの程度の割合であるかを詳細に調べることができ、わざわざ穀粒品位判別器に投入することなく、品位判別を実行することができる。
【0012】
また、請求項記載の発明によれば、前記演算手段には、今年度の選別データと、前年度の選別データとを複数記憶して比較できるよう記憶手段が設けられているので、今年度が豊作であったとか、今年度が不作であったとか、データにより客観的に把握して見える化し、農家に対しお知らせすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の色彩選別機の概略側断面図である。
図2】色彩選別機の制御回路を示すブロック図である。
図3】品位判別区分としての6種類の分光比から品位を判定する模式図である。
図4】表示部の画面に表示された分析結果の表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は本発明の色彩選別機の概略側断面図である。図1に示すように、色彩選別機1は、被選別物供給部2、シュート3、光学選別部4及び排出ホッパ5を備えている。被選別物供給部2は、タンク2aと、被選別物をシュート3に供給する振動フィーダ2bとを備える。シュート3は、所定幅を有して振動フィーダ2bの先端側下方位置に傾斜した状態で配置され、振動フィーダ2bから供給される被選別物を自然流下させる。光学選別部4は、シュート3の下端から落下する被選別物の落下軌跡の前後に配設される一対の光学検出装置6a,6b、照明装置7a,7b,7c、背景8a,8bなどから構成される。光学検出装置6a,6bからの撮像信号は演算手段9に入力されるように電気的に接続されている。演算手段9では、光学検出装置6a,6bから入力された撮像信号に基づいて被検査物を良品と不良品と、該不良品を複数の品位、すなわち、害虫等による着色粒、ヤケ米等による被害粒、青未熟粒、籾米と、乳白粒などの着色粒及び異物の6種類に品位判別することができる。また、演算手段9からは、該演算手段9からの出力信号がエジェクタ駆動手段10に入力されるよう電気的に接続されている。すなわち、演算手段9により良品と不良品とに判別し、判別された判別結果の信号が、不良品を排除するエジェクタ駆動手段10に出力されるのである。さらに、エジェクタ駆動手段10からはエジェクタ装置11に電気的に接続され、エジェクタ装置11に排除信号を出力するよう構成されている。排出ホッパ5は、良品排出樋12及び不良品排出樋13を有し、エジェクタ装置11により被選別物を良品と、良品以外の不良品(この不良品を排除するときは、同時にどのような不良品であるかの品位判別の確認もできる)とに分別して排出する。すなわち、良品は良品排出樋12から機外に排出され、不良品は不良品排出樋13から機外に排出される。
【0015】
次に、色彩選別機1の制御回路について詳述する。色彩選別機1の演算手段9は、被選別物を良品と不良品とに判別し、さらに、不良品の中身を、害虫等による着色粒、ヤケ米等による被害粒、青未熟粒、籾米と、乳白粒などの着色粒及び小石などの異物に品位判別するものである。
【0016】
図2は色彩選別機1の制御回路を示すブロック図である。図2に示すように、光学検出装置(撮像カメラ)6a(又は6b)は、CCDラインセンサにより構成されていて、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色に感度を有するR素子6r、G素子6g、B素子6bを備えている。光学検出装置(撮像カメラ)6a(又は6b)の受光信号は、R素子6r、G素子6g、B素子6bに供給され、それぞれR信号、G信号、B信号に光電変換されて出力される。R,G,B信号は、演算手段9内に設けた増幅器14,15,16にそれぞれ入力され、さらに、信号処理回路17に入力される。信号処理回路17では、R,G,Bの各信号の入力値を二値化するとともに、加算、減算、算又は除算による演算処理を行って信号変換を行う。この信号変換は、光学検出装置(撮像カメラ)6a(又は6b)で受光した信号を特徴づけて被検査物を特定することであり、この信号が比較回路18に入力されることで、被検査物の品位判別、良否判別が行われる。
【0017】
符号19は遅延回路であり、光学検出装置(撮像カメラ)6a(又は6b)で被選別物を観察する位置とエジェクタ装置11により不良品を排除する排除位置との距離に応じて噴射タイミングを決定するものである。前記比較器18から遅延回路19を経て排除信号がエジェクタ駆動手段10に出力される。エジェクタ駆動手段10により決定した排除信号はエジェクタ装置11に出力される。
【0018】
図2に示す信号処理回路17では、被選別物の各粒について二値化処理を行って得られたR,G,Bの各値から、分光比R/Gと、分光比R/Bと、を演算する。そして、この演算した値を、比較回路18に格納された判別式(例えば、特開平9-292344号公報の図6乃至図10などを参照)と比較し、例えば、6種類の品位に判別する。
【0019】
図3は、品位判別区分としての6種類の分光比から品位を判定するアルゴリズムである。図3を参照すれば、例えば、6種類の品位判別区分として、(a)害虫による被害粒:カメムシ被害粒の領域とそれ以外の領域が良品であることを区分(領域の図示はせず)、(b)ヤケ米等による着色粒とそれ以外の領域が良品であることを区分(領域の図示はせず)、(c)青未熟粒とそれ以外の領域が良品であることを区分(領域の図示はせず)、(d)乳白粒とそれ以外の領域が良品であることを区分(領域の図示はせず)、(e)籾(=斜線部の領域)とそれ以外の領域が良品であることを区分、(f)異物とそれ以外の領域は良品であることを区分する(領域の図示はせず)、といったプログラムをあらかじめ組んでおくと、品位判別の統計処理を速やかに実行することができる。なお、このような品位判別を行う品位判別モードにあっては、処理の滞りが起こらないよう、演算手段9の演算処理能力に負荷がかからない、選別モードの休止中に行うことが望ましい。
農家用の色彩選別機にあっては、選別作業中にもみ殻の破片や、糠粉などの塵埃が舞い上がり、光学検出装置(撮像カメラ)6a(又は6b)のガラス面に塵埃等が付着することがある。ガラス面に塵埃が付着すると、光学的な監視が正確に行われなくなる。そこで、農家用の色彩選別機では、選別作業の途中に休止時間を設けて、塵埃を除去するためのクリーニング(ガラス面に付着した塵埃をワイパー等を稼働させて清掃・除去したり、ガラス面に付着した塵埃を噴風によるエアレーションにより清掃・除去したりする)作業時間が設けられている。このクリーニング作業時間中は、演算手段9の演算処理能力の負荷が比較的軽いので、この間に品位判別の統計処理(品位判別モード)を行うのが好ましい。
【0020】
図4の符号20は色彩選別機の表示部であり、色彩選別後の品位結果や選別結果を表示するとともに、色彩選別機1の操作をする操作部を兼ねている。図4は表示部20の画面20aに表示された分析結果の表示例であり、図4(a)に示すものは、被選別物を前述の品位区分「(e)」の籾とそれ以外の良品とを区分した結果を示し、本実施例では、被選別物のうち良品が93%、不良品である籾が7%の占有率であった。図4(b)に示すものは、6種の品位で分析したものを集計し、得られた不良品の詳細な分析結果(円グラフ)である。本実施例では、被選別物のうち良品が93%、不良品が7%の占有率であり、不良品のうち、青未熟が2%、残りの品位がそれぞれ1%ずつの結果であった。
【0021】
なお、演算手段9には記憶手段21が接続されており(図2参照)には、この記憶手段21には、今年度の選別データと昨年度の選別データとを複数のデータを記録できるように形成するとよい。また、記憶手段21には、営農指導のアドバイス等をデータベース化して記憶しておくこともできる。これにより、今年度の圃場での稲の栽培条件など農家に対してフィードバックし、次年度の栽培管理(例えば、翌年の灌水、施肥、農薬散布時期)に役立てるよう営農指導することもできる(次年度の栽培管理についてのアドバイス等)。
【0022】
例えば、次年度の対策としては、「施肥管理」「刈り取り時期」を考慮した栽培管理指針(アドバイス)を農家に対して提供したり、次年度の栽培管理指針(アドバイス)として、収穫時の雨を考慮して「刈り取り前後の管理」を考慮することを農家に対し提供したり、次年度の栽培管理指針(アドバイス)として、「種籾消毒や害虫防除計画」を重視することを農家に対し提供することができる。
【0023】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれる。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の組み合わせ、または、省略が可能である。
【符号の説明】
【0024】
1 色彩選別機
2 被選別物供給部
3 シュート
4 光学選別部
5 排出ホッパ
6 光学検出装置
7 照明装置
8 背景
9 演算手段
10 エジェクタ駆動手段
11 エジェクタ装置
12 良品排出樋
13 不良品排出樋
14 増幅器
15 増幅器
16 増幅器
17 信号処理回路
18 比較回路
19 遅延回路
20 表示部
図1
図2
図3
図4