(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
B65D 25/04 20060101AFI20240131BHJP
【FI】
B65D25/04 Z
(21)【出願番号】P 2019195546
(22)【出願日】2019-10-28
【審査請求日】2022-10-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000010054
【氏名又は名称】岐阜プラスチック工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川島 昭洋
【審査官】岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】実公昭46-009797(JP,Y1)
【文献】実開昭50-135520(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開口した収容空間を有する容器本体と、
前記収容空間を仕切るために前記容器本体に対して着脱自在に装着される仕切り板と、を具備し、
前記容器本体は、
底板と、
前記収容空間を囲むように前記底板から立設された複数の側板と、
前記複数の側板のうち、互いに対向する2つの側板のそれぞれの内側面において、前記仕切り板の側端部が上方から挿し込まれるように形成された縦溝部と、
前記2つの側板のそれぞれの外側面において前記縦溝部とは裏表の位置に形成された突条部と、を備え、
前記内側面は、外側に倒れた傾きを有し、
前記縦溝部の奥行き寸法が、前記縦溝部の上部よりも下部のほうが大きくなるように、前記縦溝部の溝底面の少なくとも一部は、前記内側面よりも小さな角度だけ外側に倒れた傾きを有する
容器。
【請求項2】
前記内側面は、外側に角度αだけ倒れた傾きを有し、
前記縦溝部の前記溝底面の少なくとも一部は、前記角度αよりも小さな角度βだけ外側に倒れた傾きを有し、
前記角度αが2~5°の範囲内で設定され、前記角度βが1~3°の範囲内で設定されている
請求項1の容器。
【請求項3】
前記容器本体は、前記底板と前記複数の側板が一体に成形されたものである
請求項1又は2の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体と仕切り板を具備する容器に関する。
【背景技術】
【0002】
容器本体と、容器本体に対して着脱自在に挿し込まれる仕切り板とを備えた容器が、従来知られている。例えば、特許文献1に開示された容器では、容器本体の上部に複数の装着溝が形成されており、仕切り板の上部の両端には、装着溝の長さに対応した長さの膨出片が形成されている。
【0003】
この容器では、仕切り板の両端に形成されている膨出片を、容器本体に形成されている複数の装着溝のうち対応する2つの装着溝に挿し込むことで、容器本体に対して仕切り板を装着することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した従来の容器では、容器本体に配された収容物が、仕切り板の下部に当たったときに、仕切り板のずれや破損を招くおそれがある。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、収容物が仕切り板に当たったときでも、仕切り板にずれや破損が生じることを抑えることができる容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一様態に係る容器は、上方に開口した収容空間を有する容器本体と、前記収容空間を仕切るために前記容器本体に対して着脱自在に装着される仕切り板と、を具備する。前記容器本体は、底板と、前記収容空間を囲むように前記底板から立設された複数の側板と、前記複数の側板のうち、互いに対向する2つの側板のそれぞれの内側面において、前記仕切り板の側端部が上方から挿し込まれるように形成された縦溝部と、前記2つの側板のそれぞれの外側面において前記縦溝部とは裏表の位置に形成された突条部と、を備える。前記内側面は、外側に倒れた傾きを有し、前記縦溝部の溝底面の少なくとも一部は、前記内側面よりも小さな角度だけ外側に倒れた傾きを有する。
【0008】
本発明の別態様に係る容器は、上方に開口した収容空間を有する容器本体と、前記収容空間を仕切るために前記容器本体に対して着脱自在に装着される仕切り板と、を具備する。前記容器本体は、底板と、前記収容空間を囲むように前記底板から立設された複数の側板と、前記複数の側板のうち、互いに対向する2つの側板のそれぞれの内側面において、前記仕切り板の側端部が上方から挿し込まれるように形成された縦溝部と、前記2つの側板のそれぞれの外側面において前記縦溝部とは裏表の位置に形成された突条部と、を備える。前記縦溝部の奥行き寸法は、前記縦溝部の上部よりも下部のほうが大きくなるように設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、収容物が仕切り板に当たったときでも、仕切り板にずれや破損が生じることを抑えることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図4】
図4は、同上の容器が備える容器本体の平面図である。
【
図9】
図9は、同上の容器が備える仕切り板の正面図である。
【
図11】
図11は、同上の容器の変形例の要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(一実施形態)
図1から
図3に示すように、一実施形態の容器は、上方に開口した収容空間S1を有する箱型の容器本体1と、収容空間S1を仕切るために容器本体1に対して着脱自在に装着される平板状の仕切り板9とを具備する。容器本体1と仕切り板9はいずれも合成樹脂製である。
【0012】
まず、容器本体1について説明する。
【0013】
図1から
図8に示すように、容器本体1は、矩形平板状であって長辺と短辺を有する底板2と、底板2の周縁部から立設された複数の側板3とを備える。
【0014】
複数の側板3は、互いに対向して位置する二対の側板3で構成されている。一実施形態において、二対の側板3に含まれる一対の側板3は、底板2の長辺側の端縁部から立設された一対の長側板32であり、二対の側板3に含まれるもう一対の側板3は、底板2の短辺側の端縁部から立設された一対の短側板34である。一対の長側板32と一対の短側板34は、容器本体1の周方向において交互に位置し、矩形枠状の周壁39を形成する。
【0015】
容器本体1は、上記の底板2、一対の長側板32及び一対の短側板34に加えて、下フランジ6、上フランジ7、第2上フランジ8及び縦リブ75を備える。
【0016】
下フランジ6は、一対の長側板32と一対の短側板34のそれぞれに形成されている。長側板32に形成された下フランジ6は、長側板32の下端部から、外側方に向けて延出されている。この下フランジ6は、横方向に細長い長片状の外形を有し、細長い平坦な上面60を有する。短側板34に形成された下フランジ6は、短側板34の下端部から、外側方に向けて延出されており、横方向に細長い長片状の外形を有する。
【0017】
上フランジ7は、一対の長側板32と一対の短側板34のそれぞれに形成されている。長側板32に形成された上フランジ7は、長側板32の上端部(より詳細には長側板32の上端)から、外側方に向けて延出されている。この上フランジ7は横方向に細長い長片状の外形を有し、細長い平坦な下面70(
図3等参照)を有する。
【0018】
短側板34に形成された上フランジ7は、短側板34の上端部(より詳細には短側板34の上端)から、外側方に向けて延出されており、横方向に細長い長片状の外形を有する。短側板34に形成された上フランジ7は、隣接する両側の長側板32に形成された上フランジ7と、容器本体1の周方向において連続している。つまり、一対の長側板32と一対の短側板34とで形成された矩形枠状の周壁39において、4箇所の上フランジ7は、全体として平面視枠状の外形をなすように連続している。
【0019】
第2上フランジ8は、一対の長側板32と一対の短側板34のそれぞれに形成されている。長側板32に形成された第2上フランジ8は、長側板32の上部でありかつ上フランジ7よりも下方の箇所から、外側方に向けて延出されている。第2上フランジ8は横方向に細長い長片状の外形を有し、その上方に位置する上フランジ7に対して平行である。
【0020】
短側板34に形成された第2上フランジ8は、短側板34の上部でありかつ上フランジ7よりも下方の箇所から、外側方に向けて延出されている。第2上フランジ8は横方向に細長い長片状の外形を有し、その上方に位置する上フランジ7に対して平行である。短側板34に形成された第2上フランジ8は、隣接する両側の長側板32に形成された第2上フランジ8と、容器本体1の周方向において連続している。矩形枠状の周壁39において、4箇所の第2上フランジ8は、全体として平面視枠状の外形をなすように連続している。
【0021】
縦リブ75は、一対の長側板32と一対の短側板34のそれぞれにおいて、複数形成されている。長側板32に形成された複数の縦リブ75は、長側板32の上フランジ7と第2上フランジ8とをつなぐように形成された2つの縦リブ75を含む。この2つの縦リブ75は、横方向に互いに距離をあけて位置し、互いに平行である。短側板34に形成された複数の縦リブ75は、短側板34の上フランジ7と第2上フランジ8とをつなぐように形成された2つの縦リブ75を含む。この2つの縦リブ75は、横方向に互いに距離をあけて位置し、互いに平行である。
【0022】
容器本体1は、縦溝部4及び突条部5を、更に備える。
【0023】
縦溝部4は、互いに対向する一対の側板3のそれぞれの内側面30(一実施形態では、互いに対向する2つの長側板32のそれぞれの内側面320)において、上方にむけて開口し、かつ内側方に向けて開口するように(収容空間S1に向けて開口するように)、全体として上下に一直線状に形成されている。
【0024】
縦溝部4は、長側板32の内側面320のうち横方向(左右方向)の中央部分に形成されており、かつ、内側面320の縦方向(上下方向)の全長に亘って形成されている(
図6等参照)。縦溝部4は、全体として縦方向に一直線状である平坦な溝底面40と、溝底面40の幅方向(横方向)の両端から連続する一対の溝側面41とを有する。溝底面40は、内側方を向く面である。一対の溝側面41は、互いに対向する面である。溝底面40と一対の溝側面41は、縦方向のいずれの箇所においても断面コ字状に連続している(
図7、
図8参照)。
【0025】
縦溝部4は、内側面320の上端部に形成された案内部4aと、案内部4aから下方に一直線状に伸びるように形成された溝本体部4bとを含む。案内部4aは、仕切り板9の側端部92の下方への挿し込みをガイドする部分であり、溝本体部4bは、仕切り板9の側端部92が挿し込まれて引っ掛かる部分である。
【0026】
案内部4aは、上側の部分ほど幅方向の寸法が大きくなるように正面視台形状に形成されており、案内部4aのうち最も幅広である上端部が、上方に開口している。溝本体部4bの幅方向の寸法は、その上下位置に関わらず同一である。
【0027】
そのため、溝底面40のうち、案内部4aに対応する部分(内側面320の上端部に形成された部分)は、上側の部分ほど幅方向の寸法が大きくなるように正面視台形状に形成されている。一対の溝側面41のうち、案内部4aに対応する部分(内側面320の上端部に形成された部分)は、仕切り板9の側端部92の下方への挿し込みをガイドするガイド面45を構成している。左右両側に位置する一対のガイド面45は、上側の部分ほど互いに離れるように逆ハ字状に傾斜している。
【0028】
なお、一対のガイド面45は必須でなく、一対の溝側面41がガイド面45を有さないこともあり得る。この場合、案内部4aは正面視台形状に形成されない。また、溝底面40のうち案内部4aに対応する部分(内側面320の上端部に形成された部分)が、仕切り板9の側端部92の下方への挿し込みをガイドするガイド面を構成するように、溝底面40の他の部分より大きく傾斜することもあり得る。溝底面40に形成されるガイド面は、上側の箇所ほど外側方に位置するように傾斜した面である。
【0029】
また、溝本体部4bの幅方向の寸法が、その上下位置に関わらず同一であることは必須でなく、例えば、下側の箇所ほど幅方向の寸法が小さくなる逆ハ字状の形状を有することもあり得る。
【0030】
図5に示すように、縦溝部4の溝底面40は、外側に角度βだけ倒れた傾きを有している。ここでの傾きは、底板2に対して垂直な仮想的な垂直面を基準とした傾きであり、角度βは、溝底面40と仮想的な垂直面とがなす角度である。
【0031】
これに対して、長側板32の内側面320は、外側に角度αだけ倒れた傾きを有している。ここでの傾きは、角度βと同様、底板2に対して垂直な仮想的な垂直面を基準とした傾きであり、角度αは、内側面320と仮想的な垂直面とがなす角度である。
【0032】
一実施形態の容器においては、角度βが角度αよりも小さく設定されている。一例として角度βが1.5°、角度αが2°であるが、角度βが1~3°の範囲内、角度αが2~5°の範囲内において、角度βが角度αよりも小さくなるように設定されていることが好ましい。
【0033】
一実施形態の容器において、溝底面40が傾く角度βは、その上下位置に関わらず一定であり、その上下位置に関わらず角度βが角度αよりも小さくなるように設定されているが、これは必須でない。つまり、溝底面40のうち上下方向の少なくとも一部において、角度βが角度αよりも小さく設定されていればよく、例えば、溝底面40の下端部分では角度βが角度αと同じに設定され、その他の部分において角度βが角度αよりも小さくなるように設定されてもよい。
【0034】
縦溝部4の奥行き寸法d1は、縦溝部4の上部よりも下部のほうが大きくなるように設けられている。具体的には、縦溝部4の下側の部分ほど奥行き寸法d1が大きくなるように、奥行き寸法d1が漸次変化するように設けられている。
【0035】
図1等に示すように、突条部5は、互いに対向する一対の側板3のそれぞれの外側面31(一実施形態では、互いに対向する2つの長側板32のそれぞれの外側面321)において、縦溝部4とは裏表の位置に形成されている。突条部5は、縦溝部4と同様に、全体として上下に一直線状に形成されている。
【0036】
突条部5は、長側板32の外側面321のうち横方向(左右方向)の中央部分に形成されており、かつ、外側面321の縦方向(上下方向)の全長に亘って形成されている。突条部5は、全体として縦方向に一直線状の平坦な頂面50と、頂面50の幅方向(横方向)の両端から連続する一対の側面51とを有する。頂面50と一対の側面51は、縦方向のいずれの箇所においても断面コ字状に連続している(
図7、
図8参照)。
【0037】
一実施形態の容器において、頂面50はその全体が平坦であるが、頂面50の一部から更に外側方に向けて縦リブが突設されてもよい。一例として、頂面50の幅方向の中央部から、上下に長い一本の縦リブが突設されてもよいし、頂面50の幅方向の両端部から、上下に長い二本の縦リブが突設されてもよいし、あるいは、頂面50の幅方向の一端部から、上下に長い一本の縦リブが突設されてもよい。
【0038】
突条部5は、外側面321の上端部に形成された上突条部5aと、上突条部5aから下方に一直線状に伸びるように形成された突条本体部5bとを含む。上突条部5aは、案内部4aに対して裏表の関係にある部分であり、突条本体部5bは、溝本体部4bに対して裏表の関係にある部分である。上突条部5aは、上側の部分ほど幅方向の寸法が大きくなるように正面視台形状に形成されており、突条本体部5bの幅方向の寸法は、その上下位置に関わらず同一である。
【0039】
図1等に示すように、上下に長い突条部5は、下フランジ6、上フランジ7及び第2上フランジ8に対して構造的に連結されている。突条部5の下端部(つまり突条本体部5bの下端部)が、下フランジ6の上面60のうち横方向の中央部分に対して構造的に連結され、突条部5の上端部(つまり上突条部5aの上端部)が、上フランジ7の下面70のうち横方向の中央部分に対して構造的に連結されている。
【0040】
また、突条部5は、第2上フランジ8に対して、十字状に交差するように構造的に連結されている。具体的には、突条本体部5bの上部が第2上フランジ8に対して構造的に連結されているが、上突条部5aが第2上フランジ8に対して構造的に連結されていてもよい。
【0041】
長側板32において、上フランジ7と第2上フランジ8とをつなぐように形成された2つの縦リブ75は、突条部5のうち上フランジ7と第2上フランジ8とをつなぐ部分を、左右の両側から挟む位置にある。言い換えれば、突条部5のうち上フランジ7と第2上フランジ8との間に位置する部分が、2つの縦リブ75の間に位置する。突条部5と2つの縦リブ75は、互いに平行である。
【0042】
次に、仕切り板9について説明する。
【0043】
図1から
図3、
図9及び
図10に示すように、仕切り板9は、矩形平板状である仕切り本体91と、仕切り本体91の両端に形成された側端部92とを有する。両端の側端部92は互いに平行である。仕切り本体91の下端の両側には、一段高くなるように凹段部95が形成されている。仕切り本体91の周縁には、他の部分よりも大きな厚みを有する肉厚部915が、その全周に亘って形成されている。
【0044】
図10等に示すように、仕切り板9の厚み方向において、両端の側端部92は、仕切り本体91よりも大きな寸法(つまり肉厚部915よりも大きな寸法)を有する。仕切り板9の厚み方向における側端部92の寸法は、上側の部分ほど漸次大きくなるように設けられている。
【0045】
仕切り板9が有する両側の側端部92を、互いに対向して位置する一対の縦溝部4に対して上方から挿し込むことにより、収容空間S1は、仕切り板9を介して2つに区分される。一実施形態の容器においては、上記したように、縦溝部4が内側面320の縦方向の全長に亘って形成されおり、更に、縦溝部4の溝底面40は、長側板32の内側面320よりも小さな角度だけ外側に倒れた傾きを有している。縦溝部4の奥行き寸法d1は、縦溝部4の上部よりも下部のほうが大きくなるように設けられている。
【0046】
したがって、一実施形態の容器では、容器本体1が備える縦溝部4の下部に対して、仕切り板9の側端部92が安定的に引っ掛かりやすくなっている(
図3等参照)。縦溝部4の下部における側端部92の引っ掛かり代は、縦溝部4の上部における側端部92の引っ掛かり代よりも大きい。縦溝部4は、下側の部分ほど側端部92の引っ掛かり代が大きくなるように設けられている。そのため、収容空間S1に配された収容物が、例えば仕切り板9の下部に対して大きな力で当たったときでも、仕切り板9にずれや破損を生じることが効果的に抑えられる。
【0047】
加えて、一実施形態の容器においては、逆ハ字状に開いた一対のガイド面45(
図6参照)が、縦溝部4の上端部に設けられている。そのため、仕切り板9の側端部92を縦溝部4に挿し込むときには、側端部92がまずガイド面45に摺り当たることでガイドされ、これによって仕切り板9の装着作業が容易になる。
【0048】
また、一実施形態の容器では、一対の長側板32のそれぞれにおいて、上フランジ7から下方に向けて突条部5が伸び、この突条部5が第2上フランジ8に交差するとともに、下フランジ6に連結されている。そのため、長側板32の強度は突条部5によって効果的に高められている。
【0049】
(変形例)
図11には、一実施形態の容器の変形例の要部を示している。この変形例では、縦溝部4及び突条部5の形状が、上記した一実施形態のものと相違している。
【0050】
上記した一実施形態の容器において、縦溝部4が有する一対の溝側面41は互いに平行に位置するが、この変形例における一対の溝側面41は、収容空間S1に近い内側方の部分ほど、互いに離れるように傾斜している。一対の溝側面41が、このような断面ハ字状に開いた形状を有することで、成形時における金型の離型性が高くなる。
【0051】
一実施形態の容器においては、他の構成についても適宜に変更することが可能である。
【0052】
例えば、上記した一実施形態の容器においては、縦溝部4を、長側板32の内側面320の縦方向の全長に亘って形成し、これと裏表の関係にある突条部5を、長側板32の外側面321の縦方向の全長に亘って形成しているが、縦溝部4と突条部5を全長に亘って形成しないことも可能である。
【0053】
つまり、縦溝部4を、内側面320の上端から、内側面320の縦方向の中間部または上部の所定位置にまで伸びるように形成してもよい。同様に、突条部5を、外側面321の上端から、外側面321の縦方向の中間部または上部の所定位置にまで伸びるように形成してもよい。この場合、突条部5と下フランジ6との間には上下の距離があり、突条部5は下フランジ6に対して連結されない。
【0054】
また、一実施形態の容器では、縦溝部4と突条部5を一対ずつ設けているが、縦溝部4を複数対設け、これと裏表の関係にある突条部5を複数対設けることも可能である。
【0055】
より具体的には、互いに対向する2つの長側板32のそれぞれの内側面320に、複数の縦溝部4を設け、2つの長側板32のそれぞれの外側面321に、複数の突条部5を設けることも可能であるし、互いに対向する2つの短側板34のそれぞれの内側面340に、1つ又は複数の縦溝部4を設け、2つの短側板34のそれぞれの外側面341に、1つ又は複数の突条部5を設けることも可能である。
【0056】
また、仕切り板9の構成を変更することも可能である。
【0057】
例えば、一実施形態の容器では、仕切り板9の側端部92が溝底面40と同じ傾きを有しており、
図3に示すように、仕切り板9を容器本体1に装着した状態で、側端部92と溝底面40とが平行になっているが、側端部92と溝底面40の傾きは同じでなくてもよい。例えば、側端部92が溝底面40よりも大きな傾きを有する場合には、仕切り板9を容器本体1に装着する作業が行いやすくなる。
【0058】
また、
図3に示すように、一実施形態の容器では、側端部92と溝底面40との間に形成される水平方向のクリアランスc1が、仕切り板9の凹段部95(
図9参照)と底板2の段部との間に形成される水平方向のクリアランスc2よりも小さく設定されているが、これに限定されず、例えばクリアランスc1とクリアランスc2が同じに設定されてもよい。
【0059】
また、一実施形態の容器では、縦溝部4の上端における奥行き寸法d1と、溝底面40の上端を基準としたときに上フランジ7が外側方に延出されている寸法d2とが、略同一に設定されているが、寸法d1,d2の大小関係はこれに限定されない。例えば、寸法d1が寸法d2よりも大きく設定されている場合には、仕切り板9を容器本体1に対して安定的に保持しやすく、寸法d2が寸法d1よりも大きく設定されている場合には、容器本体1の強度が維持されやすく、寸法d1と寸法d2が同じである場合には、容器本体1に対して仕切り板9を安定的に保持することと、容器本体1の強度を維持することを、バランスよく実現することができるという利点がある。
【0060】
また、
図12に示す変形例のように、仕切り板9が有する矩形環状の肉厚部915のうち、仕切り本体91の上縁部に位置する直線状の部分を、他の部分よりも更に肉厚の補強リブ917として構成することも可能である。補強リブ917は、両側の側端部92に連続することが好ましい。仕切り板9の厚み方向における補強リブ917の寸法は、両側の側端部92と同一またはそれ以下の寸法であることが好ましい。
【0061】
また、仕切り板9は平板状のものに限定されず、一例として、下方に逆Y字状の断面形状を有するものであってもよい。
【0062】
(作用効果)
以上、一実施形態及びこれの変形例に基づいて説明したように、本発明の容器は、第1の特徴として、上方に開口した収容空間S1を有する容器本体1と、収容空間S1を仕切るために容器本体1に対して着脱自在に装着される仕切り板9とを具備する。容器本体1は、底板2と、複数の側板3と、縦溝部4と、突条部5とを備える。複数の側板3は、収容空間S1を囲むように底板2から立設されている。縦溝部4は、複数の側板3のうち、互いに対向する2つの側板3のそれぞれの内側面30において、仕切り板9の側端部92が上方から挿し込まれるように形成されている。突条部5は、2つの側板3のそれぞれの外側面31において、縦溝部4とは裏表の位置に形成されている。内側面30は、外側に倒れた傾きを有する。縦溝部4の溝底面40の少なくとも一部は、内側面30よりも小さな角度だけ外側に倒れた傾きを有する。
【0063】
第1の特徴を具備する本発明の容器によれば、縦溝部4の下部に対して、仕切り板9の側端部92が安定的に引っ掛かりやすいため、収容空間S1に配された収容物が仕切り板9に当たったときでも、仕切り板9にずれや破損が生じることを抑えることができる。
【0064】
また、本発明の容器は、第2の特徴として、上方に開口した収容空間S1を有する容器本体1と、収容空間S1を仕切るために容器本体1に対して着脱自在に装着される仕切り板9とを具備する。容器本体1は、底板2と、複数の側板3と、縦溝部4と、突条部5とを備える。複数の側板3は、収容空間S1を囲むように底板2から立設されている。縦溝部4は、複数の側板3のうち、互いに対向する2つの側板3のそれぞれの内側面30において、仕切り板9の側端部92が上方から挿し込まれるように形成されている。突条部5は、2つの側板3のそれぞれの外側面31において、縦溝部4とは裏表の位置に形成されている。縦溝部4の奥行き寸法d1は、縦溝部4の上部よりも下部のほうが大きくなるように設けられている。
【0065】
第2の特徴を具備する本発明の容器によれば、縦溝部4の下部に対して、仕切り板9の側端部92が安定的に引っ掛かりやすいため、収容空間S1に配された収容物が仕切り板9に当たったときでも、仕切り板9にずれや破損が生じることを抑えることができる。
【0066】
更に、本発明の容器においては、第3の特徴として、容器本体1は、2つの側板3のそれぞれの外側面31の下部に形成された下フランジ6を、更に備える。下フランジ6は突条部5に連結されている。
【0067】
第3の特徴を具備する本発明の容器によれば、縦溝部4とは裏表の関係にある突条部5を利用して、側板3の強度を効果的に高めることができる。
【符号の説明】
【0068】
1 容器本体
2 底板
3 側板
30 内側面
31 外側面
4 縦溝部
5 突条部
6 下フランジ
9 仕切り板
d1 奥行き寸法
S1 収容空間