IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日興リカ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-シリカ粒子の製造方法 図1
  • 特許-シリカ粒子の製造方法 図2
  • 特許-シリカ粒子の製造方法 図3
  • 特許-シリカ粒子の製造方法 図4
  • 特許-シリカ粒子の製造方法 図5
  • 特許-シリカ粒子の製造方法 図6
  • 特許-シリカ粒子の製造方法 図7
  • 特許-シリカ粒子の製造方法 図8
  • 特許-シリカ粒子の製造方法 図9
  • 特許-シリカ粒子の製造方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】シリカ粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 33/18 20060101AFI20240131BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20240131BHJP
   A61Q 1/12 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
C01B33/18 Z
A61K8/25
A61Q1/12
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019207316
(22)【出願日】2019-11-15
(65)【公開番号】P2021080118
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】591180130
【氏名又は名称】日興リカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】石井 正則
(72)【発明者】
【氏名】白石 圭助
(72)【発明者】
【氏名】水嶋 武史
【審査官】廣野 知子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-202181(JP,A)
【文献】国際公開第2018/221406(WO,A1)
【文献】特開2012-197380(JP,A)
【文献】特開2014-162920(JP,A)
【文献】特開2013-087141(JP,A)
【文献】特開2015-008129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/00-33/193
C08G 77/00-77/62
A61K 8/25
A61Q 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オルガノトリアルコキシシラン加水分解物の水分散液と、アルカリ性物質またはアルカリ性水溶液とを、前記オルガノトリアルコキシシラン加水分解物が脱水縮合反応する前までに反応系内に添加して前記オルガノトリアルコキシシラン加水分解物の脱水縮合反応を行うことで球状母体粒子の表面全域に突起状物が点在する状態で突出するポリオルガノシルセスキオキサン粒子を調製した後、該ポリオルガノシルセスキオキサン粒子を固液分離、乾燥したものをさらに空気フロー下にて450~650℃で焼成して表面全域に突起状物が突出したシリカ粒子を得ることを特徴とするシリカ粒子の製造方法。
【請求項2】
オルガノトリアルコキシシラン加水分解物の水分散液と、無機微粒子が分散された分散水溶液と、アルカリ性物質またはアルカリ性水溶液とを、前記オルガノトリアルコキシシラン加水分解物が脱水縮合反応する前までに反応系内に添加して前記オルガノトリアルコキシシラン加水分解物の脱水縮合反応を行うことで無機微粒子を内包した球状母体粒子の表面全域に突起状物が点在する状態で突出するポリオルガノシルセスキオキサン粒子を調製した後、該ポリオルガノシルセスキオキサン粒子を固液分離、乾燥したものをさらに空気フロー下にて450~650℃で焼成して表面全域に突起状物が突出した無機微粒子を内包するシリカ粒子を得ることを特徴とするシリカ粒子の製造方法。
【請求項3】
オルガノトリアルコキシシラン加水分解物の水分散液と、焼成により焼失する有機樹脂微粒子および/または有機樹脂微粒子が分散された分散水溶液と、アルカリ性物質またはアルカリ性水溶液とを、前記オルガノトリアルコキシシラン加水分解物が脱水縮合反応する前までに反応系内に添加して前記オルガノトリアルコキシシラン加水分解物の脱水縮合反応を行うことで有機樹脂微粒子を内包した球状母体粒子の表面全域に突起状物が点在する状態で突出するポリオルガノシルセスキオキサン粒子を調製した後、該ポリオルガノシルセスキオキサン粒子を固液分離、乾燥したものをさらに空気フロー下にて450~650℃で焼成して表面全域に突起状物が突出した中空状のシリカ粒子を得ること特徴とするシリカ粒子の製造方法。
【請求項4】
製造されるシリカ粒子は、熱水抽出液の電気伝導度が10μS/cm以下であり、かつシリコーンオイル吸油量が100ml/100g以下であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載のシリカ粒子の製造方法
【請求項5】
製造されるシリカ粒子は、化粧料に配合されるものであることを特徴とする請求項4記載のシリカ粒子の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球状母体粒子表面全域に突起状物が点在する状態で突出するシリカ粒子の製造方法に関するものである。
球状母体粒子表面全域に突起状物を有することで、滑り性、分散性等に優れており、主に化粧料へ配合することで効果を発揮する。
【背景技術】
【0002】
従来の球状シリカ粒子の製造方法としては、(1)微細溶融球状シリカおよびその製造方法(特許文献1)、(2)高純度球状シリカおよびその製造方法(特許文献2)、(3)単分散球状シリカの製造方法(特許文献3)などが開示されている。
しかしながら、前記(1)の微細溶融球状シリカは粒度分布範囲が広く、0.2μm以下の超微細粒子や10μm以上の粗大粒子が多く存在する。(2)の高純度球状シリカはイオン性不純物については少ないものの、粒度分布の制御が困難である上、凝集・合着粒子が存在する。また、(3)の単分散球状シリカの製造方法についても粒度分布が広く、0.3μm以下の微粒子や10μm以上の粗大粒子が存在する。
さらに化粧料用途として用いる場合では、身体への高い安全性、優れた感触や滑り性、高いソフトフォーカス効果などの性能が望まれているが、従来の製造方法で調製された粒子では必ずしもこれらの性能を満足していないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特公平6-96445号公報
【文献】特開平7-69617号公報
【文献】特開平6-87608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来から、化粧料用途にはメジアン径が5μm程度のナイロン製やアクリル製などの有機樹脂製球状粒子が好適に使用されているが、昨今ではこれら有機樹脂微粒子が環境中へ流出する、所謂マイクロプラスチックビーズ問題が話題となり、これら有機樹脂微粒子は規制対象となりつつある。
この代替粒子として、天然由来成分であるシリカが球状になった球状シリカ粒子が注目されているが、前述したような従来からある球状シリカ粒子を化粧料に処方した場合、きしみ感が強く、感触や滑り性に課題があった。
また、従来製法による球状シリカ粒子は100nm以下の微粒子が共存し易いため、肌へ塗布する場合には安全面において懸念がある。
本発明は、このような事情のもとで、化粧料用途として有用なシリカ粒子を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前記の性能を有するシリカ粒子を開発すべく、鋭意研究を重ねた結果、オルガノトリアルコキシシランを加水分解、脱水縮合することで得られたポリオルガノシルセスキオキサン粒子を反応母液から固液分離し、乾燥、焼成処理をすることにより、所望の性能を有するシリカ粒子が得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0006】
本発明は、上記のことに鑑み創作されたものであって、請求項の発明は、オルガノトリアルコキシシラン加水分解物の水分散液と、アルカリ性物質またはアルカリ性水溶液とを、前記オルガノトリアルコキシシラン加水分解物が脱水縮合反応する前までに反応系内に添加して前記オルガノトリアルコキシシラン加水分解物の脱水縮合反応を行うことで球状母体粒子の表面全域に突起状物が点在する状態で突出するポリオルガノシルセスキオキサン粒子を調製した後、該ポリオルガノシルセスキオキサン粒子を固液分離、乾燥したものをさらに空気フロー下にて450~650℃で焼成して表面全域に突起状物が突出したシリカ粒子を得ることを特徴とするシリカ粒子の製造方法である。
請求項2の発明は、オルガノトリアルコキシシラン加水分解物の水分散液と、無機微粒子が分散された分散水溶液と、アルカリ性物質またはアルカリ性水溶液とを、前記オルガノトリアルコキシシラン加水分解物が脱水縮合反応する前までに反応系内に添加して前記オルガノトリアルコキシシラン加水分解物の脱水縮合反応を行うことで無機微粒子を内包した球状母体粒子の表面全域に突起状物が点在する状態で突出するポリオルガノシルセスキオキサン粒子を調製した後、該ポリオルガノシルセスキオキサン粒子を固液分離、乾燥したものをさらに空気フロー下にて450~650℃で焼成して表面全域に突起状物が突出した無機微粒子を内包するシリカ粒子を得ることを特徴とするシリカ粒子の製造方法である。
請求項3の発明は、オルガノトリアルコキシシラン加水分解物の水分散液と、焼成により焼失する有機樹脂微粒子および/または有機樹脂微粒子が分散された分散水溶液と、アルカリ性物質またはアルカリ性水溶液とを、前記オルガノトリアルコキシシラン加水分解物が脱水縮合反応する前までに反応系内に添加して前記オルガノトリアルコキシシラン加水分解物の脱水縮合反応を行うことで有機樹脂微粒子を内包した球状母体粒子の表面全域に突起状物が点在する状態で突出するポリオルガノシルセスキオキサン粒子を調製した後、該ポリオルガノシルセスキオキサン粒子を固液分離、乾燥したものをさらに空気フロー下にて450~650℃で焼成して表面全域に突起状物が突出した中空状のシリカ粒子を得ること特徴とするシリカ粒子の製造方法である。
請求項4の発明は、製造されるシリカ粒子は、熱水抽出液の電気伝導度が10μS/cm以下であり、かつシリコーンオイル吸油量が100ml/100g以下であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載のシリカ粒子の製造方法である。
請求項5の発明は、製造されるシリカ粒子は、化粧料に配合されるものであることを特徴とする請求項4記載のシリカ粒子の製造方法である
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、得られる粒子は球状母体粒子表面全域に突起状物が点在する状態で突出するシリカ粒子であ。そして斯かるシリカ粒子として、熱水抽出液の電気伝導度は10μS/cm以下、シリコーンオイル吸油量は100ml/100g以下であることが好ましいとなる。
本発明により得られた粒子は、球状母体粒子表面全域に突起状物が点在状に突出していることから、突起状物がなく単純な球形状のものに比して表面積が大きくかつ嵩比重が小さいシリカ粒子となり、この結果、感触や滑り性、分散性に優れ、さらに突起状物の光拡散効果により高いソフトフォーカス効果が得られる。
また、アルミナや酸化チタンなどの無機微粒子を内包したものでは、これら内包した無機微粒子の光拡散効果により、さらに高いソフトフォーカス効果が得られる。
さらにまた、中空状になったものでは、より嵩比重が小さいものになって、感触や滑り性、分散性に優れたものとなる。
また、化粧料として好適なメジアン径を有し、100nm以下の微粒子を含まないシリカ粒子である。さらにまた、イオン性不純物含有量が少なく、シリコーンオイル吸油量が従来の有機樹脂微粒子と同等程度であることから、従来の有機樹脂微粒子の代替えとして十分に対応できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1で得られたポリメチルシルセスキオキサン粒子の電子顕微鏡写真図である。
図2】実施例1で得られたシリカ粒子の電子顕微鏡写真図である。
図3】実施例2で得られた酸化チタン微粒子内包型ポリメチルシルセスキオキサン粒子の電子顕微鏡写真図である。
図4】実施例2で得られた酸化チタン微粒子内包型シリカ粒子の電子顕微鏡写真図である。
図5】実施例3で得られたポリメチルメタクリレート微粒子内包型ポリメチルシルセスキオキサン粒子の電子顕微鏡写真図である。
図6】実施例3で得られた中空状シリカ粒子の電子顕微鏡写真図である。
図7】比較例1で得られた焼成品の外観写真図である。
図8】2ウェイケーキファンデーション処方の処方例を示す表図である。
図9】使用性テストにおける化粧仕上がり感の評価点と判定符号を示す表図である。
図10】2ウェイケーキファンデーション処方例と比較処方例の評価結果を示す表図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本発明について詳しく説明する。
本発明のシリカ粒子(以下、本発明のシリカ粒子を、球状シリカ粒子と称することもある。)は、主成分化合物であるオルガノトリアルコキシシランおよび/またはオルガノトリアルコキシシラン加水分解物を加水分解、脱水縮合させる工程において、無機微粒子を内包させる場合は分散された無機微粒子と、アルカリ性物質またはアルカリ性水溶液とを、前記オルガノトリアルコキシシラン加水分解物が脱水縮合反応する前までに反応系内に添加して前記オルガノトリアルコキシシラン加水分解物の脱水縮合反応を行うことで、球状母体粒子表面全域に突起状物が点在状に突出するポリオルガノシルセスキオキサン粒子が得られる。
このポリオルガノシルセスキオキサン粒子を固液分離、乾燥したものを焼成することで、該ポリオルガノシルセスキオキサン粒子の表面全域に点在する状態で突出する前記突起状物が欠落(脱落)したりして消失したものがなく(電子顕微鏡において観察しても消失を確認することができない(難しい))、そのまま突出(存在)する状態の目的のシリカ(SiO)粒子を得ることができた。この場合の焼成条件としては、空気フロー下にて450~650℃で行うことが好ましい。
本発明の球状シリカ粒子は、球状母体粒子表面全域に形成された突起状物の大きさは0.1~0.8μm程度であって小さいものであり、球状母体粒子表面全域には少なくとも突起状物が20個以上形成された粒子である。該球状シリカ粒子のメジアン径は2~10μmであって、このものにおいて熱水抽出液の電気伝導度は10μS/cm以下であり、かつシリコーンオイル吸油量は100ml/100g以下であることが好ましい。
【0010】
オルガノトリアルコキシシランを加水分解させる水の電気伝導度は5μS/cm(マイクロジーメンス/センチメートル)以下が好ましい。
この水には、各種の酸、塩、水溶性高分子分散剤、界面活性剤、水溶性有機溶剤等を目的粒子の物性が変化しない範囲で添加することもできる。
特に、球状母体粒子表面に突起を形成させる場合は塩と水溶性高分子分散剤の添加をすることが好ましい。
また、これら添加剤はオルガノトリアルコキシシランが脱水縮合する前までに反応系内へ添加すればよく、添加のタイミングについては特に限定されるものではない。
【0011】
本発明で用いられる塩としては、酸性塩、アルカリ性塩のいずれでもよく、具体的には酢酸アンモニウム、塩化アンモニウムなどのアンモニウム塩などを例示することができる。
この塩と後示する水溶性高分子分散剤の添加により、球状母体粒子表面全域に突起状物が点在する状態で突出した粒子となる。なお、具体的な塩の添加量については各種反応条件や無機粒子種により異なるため、一概に言えるものではない。
【0012】
本発明で用いられる水溶性高分子分散剤としては、合成高分子、天然高分子のいずれでも使用できるが、具体的にはポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどを例示することができる。
水溶性高分子分散剤の効果は、突起状物の形成や生成したポリオルガノシルセスキオキサン粒子同士の凝集を抑制するものであり、その具体的な添加量については各種反応条件や無機粒子種により異なるため、一概に言えるものではない。
【0013】
本発明で使用されるオルガノトリアルコキシシランは、一般式
Si(OR
で示される。
該一般式において、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭素数1~6の直鎖状あるいは分枝状のアルキル基、フェニル基、アミノ基、エポキシ基、あるいはビニル基を少なくとも1個有する1価の有機基であり、またRはRと同様の炭素数1~6の直鎖状あるいは分枝状のアルキル基である。
【0014】
さらに具体的には、オルガノトリアルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ-n-プロポキシシラン、メチルトリ-i-プロポキシシラン、メチルトリ-n-ブトキシシラン、メチルトリ-i-ブトキシシラン、メチルトリ-s-ブトキシシラン、メチルトリ-t-ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、i-プロピルトリメトキシシラン、n-ブチルトリメトキシシラン、i-ブチルトリメトキシシラン、s-ブチルトリメトキシシラン、t-ブチルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシランなどが例示される。
【0015】
これらのオルガノトリアルコキシシランは単独、あるいは二種以上の混合物で用いても良いが、これらオルガノトリアルコキシシランのうち、入手が容易なメチルトリメトキシシランが好適に用いられる。
【0016】
オルガノトリアルコキシシランの添加量は、水100重量部に対して5~30重量部が好ましい。5重量部未満では製造効率が悪くなり、30重量部より多くなると粒子同士の融着が発生し易くなる。
【0017】
オルガノトリアルコキシシランの水への添加方法は特に限定されないが、攪拌下の水になるべく速やかに添加してオルガノトリアルコキシシランを加水分解させることが望ましい。
【0018】
オルガノトリアルコキシシランを加水分解させる反応温度は10~60℃が好ましい。10℃より低い温度では加水分解時間がかかり、60℃より高い温度では加水分解反応が早く制御が難しくなる。
【0019】
本発明が実施された球状シリカ粒子として無機微粒子を内包したものも含むが、この場合に用いられる無機微粒子としては、具体的には、酸化チタン、酸化アルミニウム、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、黒色酸化鉄、酸化亜鉛、複合金属酸化物などの金属酸化物類、炭酸カルシウム等の金属炭酸塩類、硫酸バリウム、群青等の金属硫酸塩類、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等の金属ケイ酸塩類などの無機化合物の無機微粒子からなり、これら1種または2種以上を混合して使用しても良い。因みに、無機微粒子が塩類である場合、これを化粧成分として用いたとき皮膚に影響を与えることがないよう溶解度が小さくかつ中性の塩類であることが好ましい。
【0020】
無機微粒子は一般的な製造方法で得られるものでよく、その平均粒子径は0.01~1μmが好適である。平均粒子径が1μmを超えると合成時に無機微粒子が沈降し易いため、良好な複合粒子とすることが難しい。
また無機微粒子の粒度分布も重要であり、比較的シャープな粒度分布を有する無機微粒子が好適に用いられる。
さらにまた、無機微粒子の形状は、球状、針状、微粒子凝集体状等特に限定されるものではない。
上記無機微粒子はイオン性不純物が少ない方がより好ましい。
【0021】
無機微粒子の添加量は、ポリオルガノシルセスキオキサン100重量部に対して10重量部以下が好ましく、10重量部より多いと無機微粒子がポリオルガノシルセスキオキサン粒子に内包され難くなる。
【0022】
また本発明の球状シリカ粒子として中空のものも含むが、該中空の球状シリカ粒子を得るためには、中間生成物であるポリオルガノシルセスキオキサン粒子が、焼成工程によって消失する有機樹脂微粒子を内包(包含)したものにする必要がある。このため用いられる有機樹脂微粒子としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン(ポリアミド系樹脂)、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリウレタン等の有機樹脂の微粒子が例示され、これらの1種または2種以上を混合して使用しても良い。
有機樹脂微粒子は一般的な製造方法で得られるものでよく、その平均粒子径は1~8μmが好適である。平均粒子径が8μmを超えると中空型粒子とした場合に粒子強度が弱く、粒子崩壊し易くなる。
また有機樹脂微粒子の粒度分布も重要であり、比較的シャープな粒度分布を有する有機樹脂微粒子が好適に用いられる。さらにまた、有機樹脂微粒子の形状は、球状が好ましい。上記有機樹脂微粒子はイオン性不純物が少ない方がより好ましい。
【0023】
有機樹脂微粒子の添加量としては、ポリオルガノシルセスキオキサン100重量部に対して2~400重量部が好ましく、2重量部未満では有機樹脂微粒子を内包しないポリオルガノシルセスキオキサン粒子が多くなり、中空とした効果が低下する。また、400重量部より多いと中空粒子とした場合の粒子強度が不十分となる。
【0024】
アルカリ性物質とは、一般に周期律表Ia属、IIa属の金属の水酸化物、酸化物、炭酸塩または有機窒素化合物、アンモニアなどが挙げられ、アルカリ性水溶液とは前記したアルカリ性物質の水溶液であるが、反応後除去しやすいことから、特にアンモニア水が好ましい。これらアルカリ性物質および/またはその水溶液は単独でも、あるいは2種類以上を混合して用いても良い。また、該アルカリ性水溶液に水溶性有機溶剤、界面活性剤などが含まれていても使用することが出来る。
【0025】
アルカリ性物質またはアルカリ性水溶液の添加量は、主成分化合物の脱水縮合反応時の反応液のpHが8~11の範囲となるように添加することが望ましく、pHが8未満では脱水縮合反応の進行が遅く、pHが11を超えると脱水縮合反応が早すぎて内包されない無機微粒子が発生し易い。
【0026】
アルカリ性物質またはアルカリ性水溶液を添加することで主成分化合物の加水分解物を脱水縮合させるときの反応液温度としては、10~60℃が好ましい。
【0027】
アルカリ性物質またはアルカリ性水溶液の添加方法は、反応液撹拌下で、速やかに添加することが望ましい。また、アルカリ性物質またはアルカリ性水溶液を添加する際の反応液の撹拌は特に限定されない。
【0028】
アルカリ性物質またはアルカリ性水溶液を添加した後は、撹拌を止めて静置下で1時間以上熟成させる。
【0029】
本発明を実施するにあたり、主成分化合物である前述したオルガノトリアルコキシシランに、副成分化合物としてジオルガノジアルコキシシラン、トリオルガノモノアルコキシシラン、テトラアルコキシシラン、オルガノハロシランから選択される少なくとも1種類を副成分化合物として添加してもよい。
【0030】
ジオルガノジアルコキシしランとしては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ-n-プロポキシシラン、ジメチルジ-i-プロポキシシラン、ジメチルジ-n-ブトキシシラン、ジメチルジ-i-ブトキシシラン、ジメチルジ-s-ブトキシシラン、ジメチルジ-t-ブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジ-n-プロピルジメトキシシラン、ジ-i-プロピルジメトキシシラン、ジ-n-ブチルジメトキシシラン、ジ-i-ブチルジメトキシシラン、ジ-s-ブチルジメトキシシラン、ジ-t-ブチルジメトキシシラン、ジ-N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルジメトキシシラン、ジ-γ-グリシドキシプロピルジメトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシランなどが例示される。
【0031】
トリオルガノモノアルコキシシランとしては、トリメチルモノメトキシシラン、トリメチルモノエトキシシラン、トリメチルモノ-n-プロポキシシラン、トリメチルモノ-i-プロポキシシラン、トリメチルモノ-n-ブトキシシラン、トリメチルモノ-i-ブトキシシラン、トリメチルモノ-s-ブトキシシラン、トリメチルモノ-t-ブトキシシラン、トリエチルモノメトキシシラン、トリ-n-プロピルモノメトキシシラン、トリ-i-プロピルモノメトキシシラン、トリ-n-ブチルモノメトキシシラン、トリ-i-ブチルモノメトキシシラン、トリ-s-ブチルモノメトキシシラン、トリ-t-ブチルモノメトキシシラン、トリ-N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルモノメトキシシラン、トリ-γ-グリシドキシプロピルモノメトキシシラン、トリビニルモノメトキシシラン、トリフェニルモノメトキシシランなどが例示される。
【0032】
テトラアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ-n-プロポキシシラン、テトラ-i-プロポキシシラン、テトラ-n-ブトキシシラン、テトラ-i-ブトキシシラン、テトラ-s-ブトキシシラン、テトラ-t-ブトキシシランなどが例示される。
【0033】
オルガノハロシランとしては、メチルトリクロルシラン、ジメチルジクロルシラン、トリメチルモノクロルシラン、エチルトリクロルシラン、ジエチルジクロルシラン、トリエチルモノクロルシランなどが例示される。
【0034】
このようにして合成した粒子は、その後、ろ過分離・水洗浄あるいは有機溶剤洗浄をした後に乾燥する。
【0035】
乾燥した粒子を空気フロー下で450~650℃の温度で焼成することが好ましく、球状母体粒子表面全域に突起状物が点在する状態で突出する白色の球状シリカ粒子が得られる。
焼成温度が450℃未満ではシリカ化が不十分となる可能性があり、また650℃より高くなると粒子が褐色化する傾向にあり、白色の球状シリカ粒子を得ることを目的とする場合には、前記温度範囲で焼成することが好ましいが、白色球状シリカ粒子の生成にこだわらない場合には前記650℃の温度を越えて焼成しても本発明を実施することができ、このようにした場合には、焼成時間の短縮が図れることになる。
【0036】
また本発明では、球状シリカ粒子を化粧料に配合するものであり、この場合に、必要に応じ、シリコーン処理、フッ素処理、脂肪酸、金属石鹸、脂肪酸エステル、アミノ酸系誘導体、レシチン等により表面被覆処理を行った後、配合しても良く、更にはこれらの複合処理を行なった後、配合してもよい。
【0037】
より詳しくは、シリコーン処理としては、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等の各種のシリコーンオイルによる処理や、メチルトリアルキルシラン、エチルトリアルキルシラン、ヘキシルトリアルキルシラン、オクチルトリアルキルシラン等の各種のアルキルシランによる処理が例示され、フッ素処理としては、パーフルオロアルキルリン酸ジエタノールアミン塩や、トリフルオロメチルエチルトリアルキルシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリアルキルシラン、トリデカフルオロオクチルトリアルキルシラン等の各種フルオロアルキルシランによる処理が例示され、脂肪酸処理としては、パルミチン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ロジン酸、12-ヒドロキシステアリン酸等の各種脂肪酸による処理が例示され、金属石鹸処理としては、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸アルミニウム、ラウリン酸カルシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸アルミニウム、ミリスチン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ベヘン酸亜鉛、ベヘン酸アルミニウム、ベヘン酸カルシウム等の金属石鹸処理が例示され、脂肪酸エステル処理としては、デキストリン脂肪酸エステル、コレステロール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル処理が例示され、アミノ酸誘導体処理としては、ラウロイルリシン、ステアロイルグルタミン酸、ミリストイルグルタミン酸、ラウロイルグルタミン酸等のアミノ酸誘導体処理が例示され、また、レシチンによる処理等が例示される。
【0038】
本発明の化粧料には、必要に応じて通常化粧料に配合される成分を適宜配合することができる。例えば、ワセリン、ラノリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、高級脂肪酸、高級アルコール等の固形・半固形油分、スクワラン、流動パラフィン、エステル油、ジグリセライド、トリグリセライド、シリコーン油、オリーブ油、アボガド油、ミンク油等の流動油分、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油剤、水溶性および油溶性ポリマー、界面活性剤、多価アルコール、糖類、シリコーン、金属石鹸、レシチン、アミノ酸、コラーゲン、ポリマー、無機顔料、有機顔料等の各種表面処理粉体、タール色素、天然色素等の各種色素、エタノール、防腐剤、酸化防止剤、色素、増粘剤、PH調整剤、香料、紫外線吸収剤、保湿剤、血行促進剤、冷感剤、殺菌剤、皮膚賦活剤、水等を本発明の効果を損なわない範囲内で配合することができる。
【0039】
また本発明の化粧料は、その剤形や製品形態が特に限定されるものではなく、油中水型、水中油型、水分散型、プレス状、固形等、パウダーなどの剤形とすることができ、また製品形態としては、洗顔フォーム・クリーム、クレンジング、マッサージクリーム、パック、化粧水、乳液、クリーム、美容液、化粧下地、日焼け止め等の皮膚用化粧料、ファンデーション、水白粉、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ、アイブロウ、コンシーラー、口紅、リップクリーム等の仕上げ用化粧料、ヘアミスト、シャンプー、リンス、トリートメント、ヘアトニック、ヘアクリーム、ポマード、チック等の液体整髪料、シャンプー、リンス、トリートメント、セットローション、ヘアスプレー、染毛料等の頭髪用化粧料、パウダースプレー、ロールオン等の制汗剤などを例示することができる。この中でも、ファンデーション、フェースパウダーなど固形状製品等が本発明の効果が発揮されやすい化粧料である。
【0040】
以下に、本発明の具体的な実施例について比較例と共に記載するが、本発明はこれらの記載に限定されないことはいうまでもない。
【0041】
熱水抽出液の電気伝導度測定方法
100ml容テフロン(登録商標)製密閉容器に検体5gとイオン交換水50gを仕込み、これをステンレス製耐圧容器に入れて密閉する。
箱型温風循環式乾燥機にステンレス製耐圧容器を入れ、180℃で5時間キープして熱水抽出液を得る。
放冷後、熱水抽出液をろ過して固形分と抽出液を分離する。
抽出液の電気伝導度を電気伝導度計で測定する。
【0042】
<実施例1>
温度計、還流装置および撹拌装置を備えた反応容器に電気伝導度が0.5μS/cmの水320重量部を仕込み、反応温度を35℃とした後にメチルトリメトキシシラン70重量部を3分間で添加して1時間撹拌し、メチルトリメトキシシラン加水分解液を得た。
このメチルトリメトキシシラン加水分解液に5重量%の塩化アンモニウム5重量部と5重量%のポリビニルアルコール8重量部を添加して、メチルトリメトキシシラン加水分解液との混合液を得た。
この混合液に1重量%のアンモニア水4重量部を速やかに添加して、1分後に攪拌を停止した。
静置下で3時間熟成した後、ろ過、乾燥して白色粉末を得た。得られた粒子は、水に分散せず、液面に浮いた状態であった。
得られた粉末を電子顕微鏡観察したところ、図1に示す写真図のようにメジアン径が5μmの球状母体粒子であって、その表面全域に突起状物が点在する状態で突出する所謂金平糖状の粒子であった。得られた粒子は、ポリメチルシルセスキオキサンを成分とする粒子であった。
このポリメチルシルセスキオキサン粒子20gを坩堝に入れ、焼成炉で空気を0.2L/分の流量で流しながら、500℃で2時間の焼成して白色粉末を得た。
焼成後の得られた粉末を電子顕微鏡観察したところ、図2に示す写真図のようにメジアン径が5μm程度の球状母体粒子であって、その表面全域に突起状物を有する粒子であり、100nm以下の微粒子は確認できなかった。得られた粒子は、成分がシリカであって水分散性に優れており、このことから、前記焼成により、ポリメチルシルセスキオキサンがシリカに化学変化していることが確認でき、この焼成による化学変化の行程で、突起状物はそのまま残ったものとなり、欠落して消失する等の変化があることを電子顕微鏡の観察によっては確認できなかった。
シリコーンオイル(東レダウコーニング製シリコーンオイルSH-200)を用いた吸油量(JIS-K5101)は60ml/100gであり、熱水抽出液の電気伝導度は2μS/cmであった。
【0043】
<比較例1>
実施例1で得られたポリメチルシルセスキオキサン粒子20gを坩堝に入れ、焼成炉で空気を0.2L/分の流量で流しながら、700℃で2時間の焼成をしたところ、図7に示す写真図のように褐色に変色した粒子が得られた。
焼成後の得られた粉末を電子顕微鏡観察したところ、メジアン径が5μm程度の球状母体粒子の表面全域に突起を有する粒子であった。焼成温度が高すぎたため粒子が変色し、目的の化粧料として用いることができなかった。
【0044】
<実施例2>
温度計、還流装置および撹拌装置を備えた反応容器に電気伝導度が0.5μS/cmの水330重量部を仕込み、反応温度を30℃とした後にメチルトリメトキシシランを70重量部添加して、メチルトリメトキシシラン加水分解液を得た。このメチルトリメトキシシラン加水分解物に5重量%の塩化アンモニウム5重量部と5重量%のポリビニルアルコール12重量部を添加して、メチルトリメトキシシラン加水分解液との混合液を得た。
これとは別に0.2重量%のポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(分子量:200,000~350,000)水溶液20重量部にメジアン径0.3μmである酸化チタン粒子(石原産業製CR-50)を2重量部投入し、超音波を1分間照射して酸化チタン分散液を得た。
先に調製したメチルトリメトキシシラン加水分解液との混合液の液温を35℃として、酸化チタン分散液を添加した後に、1重量%のアンモニア水4重量部を速やかに添加して1分後に攪拌を停止した。
静置下で3時間熟成した後、ろ過、乾燥することで、白色の酸化チタン含有ポリメチルシルセスキオキサンの粉末を得た。メチルトリメトキシシランと酸化チタンの配合比率から、ポリメチルシルセスキオキサン100重量部に対し酸化チタンは5.8重量部である。
得られた粉末を電子顕微鏡観察したところ、図3に示す写真図のようにメジアン径が4μm程度の球状母体粒子表面全域に突起状物を有する粒子であった。
この粒子20gを坩堝に入れ、焼成炉で空気を0.2L/分の流量で流しながら、550℃で2時間の焼成して白色粉末を得た。
焼成後の得られた粉末を電子顕微鏡観察したところ、図4に示す写真図のようにメジアン径が3μm程度の球状母体粒子表面全域に突起状物を有する粒子であり、100nm以下の微粒子は確認できなかった。得られた粒子は水分散性に優れたシリカであり、このことから前記焼成をすることで、ポリメチルシルセスキオキサンから、突起状物がそのまま残って消失することのない状態でシリカに化学変化していることが確認できた。
シリコーンオイル(東レダウコーニング製シリコーンオイルSH-200)を用いた吸油量(JIS-K5101)は55ml/100gであり、熱水抽出液の電気伝導度は2μS/cmであった。
【0045】
<実施例3>
温度計、還流装置および撹拌装置を備えた反応容器に電気伝導度が0.5μS/cmの水300重量部を仕込み、平均粒子径3μmであるポリメチルメタクリレート樹脂粒子を27重量部投入して、ポリメチルメタクリレート樹脂粒子分散液を得た。次に、上記分散液を30℃とした後にメチルトリメトキシシランを16重量部添加して、ポリメチルメタクリレート樹脂粒子分散液中でメチルトリメトキシシラン加水分解液を得た。引き続き液温を30℃に維持して30分間攪拌した後、1重量%のアンモニア水10重量部を速やかに添加して、1分後に攪拌を停止した。静置下で3時間熟成した後、ろ過、乾燥して白色粉末を得た。原料の仕込み比率から、ポリメチルメタクリレート樹脂粒子100重量部に対しポリメチルシルセスキオキサンは30重量部となる。
得られた粉末を電子顕微鏡観察したところ、図5に示す写真図のようにメジアン径が3μm程度の球状母体粒子表面に突起を有する粒子であった。
この粒子20gを坩堝に入れ、焼成炉で空気を0.2L/分流しながら、550℃で2時間の焼成して白色粉末を得た。
焼成後の得られた粉末を電子顕微鏡観察したところ、図6に示す写真図のようにメジアン径が3μm程度の球状母体粒子表面に突起を有する粒子であり、100nm以下の微粒子は確認できなかった。得られた粒子は水分散性に優れており、ポリメチルシルセスキオキサンからシリカに変化していることが確認できた。図6の顕微鏡写真図において、粒子が崩壊している粒子や変形している粒子が散見されるが、このものを、実施例1の球状シリカ粒子の場合と同様に化粧料に用いたところ、該実施例1の球状シリカ粒子を用いた化粧料と遜色ない効果が得られている。
シリコーンオイル(東レダウコーニング製シリコーンオイルSH-200)を用いた吸油量(JIS-K5101)は60ml/100gであり、熱水抽出液の電気伝導度は2μS/cmであった。
【0046】
<化粧料として2ウェイケーキファンデーションの処方例>
前記実施例1、2および従来製法による球状シリカ粒子を用いて図8の表図に示す組成の2ウェイケーキファンデーションをそれぞれ処方した。
これらを処方例1、処方例2および比較例とする。これら2ウェイケーキファンデーションを下記の製法によりそれぞれ製造し、該製造された各ファンデーションの化粧仕上がり感、使用性、持続性について図9の表図に示す評価方法により評価し、その結果を図10の表図に示す。
【0047】
<2ウェイケーキファンデーションの製法例>
図8の表図に示される粉体成分(1)~(10)を混合粉砕して、これをヘンシェルミキサーに移す。別の容器に油相成分(11)~(15)を混合する。ヘンシェルミキサーを撹拌しながら油相成分を加えて均一になるよう撹拌混合し、その後、アトマイザーにて粉砕した。これをアルミ皿にプレス成型して2ウェイケーキファンデーションの製品を得た。
【0048】
〔2ウェイケーキファンデーションの化粧仕上がりの評価方法〕
これら得られた2ウェイケーキファンデーションを女性パネラー(10名)が通常の使用方法にて用い、化粧仕上がりを専門評価者により、
5:非常に自然な仕上がり
4:自然な仕上がり
3:普通92:やや仕上がり感が悪い
1:仕上がり感が悪い
の5段階で評価してもらい、その平均点を評価点とし、図9に示す判定符合を図10の表図に示した。
【0049】
〔2ウェイケーキファンデーションの使用性の評価方法〕
前記得られた2ウェイケーキファンデーションを女性パネラー(10名)により平滑感、きしみ、ざらつきなどの使用性を同様にして5段階で評価してもらい、その平均点を評価点とし、図9に示す判定符号を図10の表図に示した。
【0050】
〔2ウェイケーキファンデーションの持続性の評価方法〕
前記得られた2ウェイケーキファンデーションを女性パネラー(10名)により化粧持続性をファンデーション塗布後3時間後に同様にして5段階で評価してもらい、その平均点を評価点とし、図9に示す判定符号を図10の表図に示した。
【0051】
〔2ウェイケーキファンデーションの評価結果〕
図10に示す表図から明らかなように、本発明を実施して得られた突起状物を有する球状シリカ粒子を用いて製造した2ウェイケーキファンデーション(処方例1および処方例2)は、塗布後の仕上がり感、使用性、持続性ともに優れたファンデーションであった。
これに対し、比較例で得られた2ウェイケーキファンデーションは、仕上がり感、使用性、持続性ともに処方例1および処方例2のファンデーションより劣っていた。
以上の結果、本発明の方法で得た球状シリカ粒子を用いて製造した2ウェイケーキファンデーションは、仕上がり感、使用性、持続性ともに優れた2ウェイケーキファンデーションであることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明による球状シリカ粒子は不純物が少なく、感触や滑り性、光拡散性に優れることから、化粧料に利用した場合、処方による触感向上、ソフトフォーカス効果などに優れた効果を示す。また各種プラスティック、各種ゴム等の添加材としても利用される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10