(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】入浴装置
(51)【国際特許分類】
A61H 33/00 20060101AFI20240131BHJP
A47K 3/20 20060101ALI20240131BHJP
A47K 4/00 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
A61H33/00 310P
A47K3/20
A47K4/00
(21)【出願番号】P 2020049131
(22)【出願日】2020-03-19
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000103471
【氏名又は名称】オージー技研株式会社
(72)【発明者】
【氏名】加藤 貴士
(72)【発明者】
【氏名】井本 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】春田 信一
【審査官】黒田 正法
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-037532(JP,A)
【文献】特開2006-340955(JP,A)
【文献】特開2004-041541(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 33/00
A47K 3/20
A47K 4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の噴射ノズル、上方空間部、及び前記上方空間部の下側に位置する下方空間部を有
し、前記上方空間部及び前記下方空間部は前方及び両側方が開放されたシャワー浴槽と、
複数の車輪が設けられた台車部、及び被介助者を乗せる乗部を有する搬送車と、
を備え、
前記搬送車の前記乗部が、前記シャワー浴槽の前記上方空間部に挿入されるとともに、
前記搬送車の前記台車部が、前記シャワー浴槽の前記下方空間部に挿入される入浴装置に
おいて、
前記シャワー浴槽の前記下方空間部に、前記搬送車の前記台車部を挿入案内及び位置決めをするガイド部を設け、
前記ガイド部は、前記搬送車の第一ガイドローラを所定の位置に誘導するため、左右の端部において、左右端部間の距離が前方側から後方側に行くに従って長くなる傾斜部を有するとともに、前側の端部において、左右両端から中央に近づくにつれて後方に傾斜する傾斜部を有し、前記ガイド部を組み替えることなく、前記シャワー浴槽の前方及び両側方の三方から前記搬送車を挿入可能とした、
ことを特徴とする入浴装置。
【請求項2】
前記ガイド部は、前記搬送車の
前記第一ガイドローラと当接し、前記シャワー浴槽に対して前記搬送車を所定の位置に挿入案内するガイドレールを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の入浴装置。
【請求項3】
前記ガイド部は、前記搬送車の第二ガイドローラと当接し、前記シャワー浴槽に対して前記搬送車の左右の振れを抑制し、位置決めをするガイドブロックを有する、
ことを特徴とする請求項2に記載の入浴装置。
【請求項4】
前記ガイドレールが前記ガイドブロックを兼ねる、
ことを特徴とする請求項3に記載の入浴装置。
【請求項5】
前記ガイドレールには、前記第一ガイドローラが嵌まる凹み部が形成されている、
ことを特徴とする請求項2ないし
4のいずれかに記載の入浴装置。
【請求項6】
前記第一ガイドローラが前記ガイドレールの前記凹み部に嵌まり、かつ、前記第二ガイドローラが前記ガイドブロックに当接することで、前記シャワー浴槽と前記搬送車とが接続状態となる、
ことを特徴とする請求項3ないし
4のいずれかを引用する請求項
5に記載の入浴装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被介助者をシャワー浴槽に入浴させるための入浴装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているように、前面と左右両側面を切欠いた断面コ型の開口部を形成した本体は、開口部内にシャワーストレッチャーを三方向から搬入可能とし、更に浴槽部下部の空間内にシャワーストレッチャーの基台部を挿入案内する脚部材と、基台部の先端部を位置決め案内するガイド部材を備え、シャワーストレッチャーが本体に対して縦方向又は横方向からアプローチできるよう脚部材及びガイド部材を縦用又は横用に交換するように構成したシャワー入浴装置が知られている。このシャワー入浴装置では、本体に三方からシャワーストレッチャーを挿入可能ではあるが、アプローチする方向に対して挿入案内する脚部材と位置決め案内するガイド部材とを交換する必要があった。
【0003】
また、特許文献2では、前面と左右両側面を切欠いた断面コ型の開口部を形成した本体は、開口部内にシャワーストレッチャーを三方向から搬入可能であると記載されている。しかし、シャワーストレッチャーを本体へ挿入案内する脚部材を交換せずに、本体に対して選択的に縦方向又は横方向から挿入できる具体的な構造や手法は記載されていない。つまり、実使用上、特許文献1と同様に、シャワーストレッチャーが本体に対して縦方向又は横方向からアプローチできるよう脚部材及びガイド部材を縦用又は横用に交換する必要があった。
【0004】
すなわち、特許文献1,2に記載されたシャワー入浴装置では、本体を設置する時やシャワーストレッチャーの本体への挿入方向を変更する時には、挿入方向に対して脚部材やガイド部材の交換が必要となり、作業者にとっては非常に手間であった。また、脚部材やガイド部材の交換後の実使用上では、挿入方向が一方向に限られるので、使用者にとっては利便性に欠けるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開平7-42637号公報
【文献】実開平7-42639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、ストレッチャーを本体へ挿入案内する脚部材や位置決め案内するガイド部材を交換することなく、本体に対して三方向からストレッチャーが挿入可能である入浴装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために以下の手段を提供する。
【0008】
本発明の入浴装置は、複数の噴射ノズル、上方空間部、及び前記上方空間部の下側に位置する下方空間部を有し、前記上方空間部及び前記下方空間部は前方及び両側方が開放されたシャワー浴槽と、複数の車輪が設けられた台車部、及び被介助者を乗せる乗部を有する搬送車と、を備え、前記搬送車の前記乗部が、前記シャワー浴槽の前記上方空間部に挿入されるとともに、前記搬送車の前記台車部が、前記シャワー浴槽の前記下方空間部に挿入される入浴装置において、前記シャワー浴槽の前記下方空間部に、前記搬送車の前記台車部を挿入案内及び位置決めをするガイド部を設け、前記ガイド部は、前記搬送車の第一ガイドローラを所定の位置に誘導するため、左右の端部において、左右端部間の距離が前方側から後方側に行くに従って長くなる傾斜部を有するとともに、前側の端部において、左右両端から中央に近づくにつれて後方に傾斜する傾斜部を有し、前記ガイド部を組み替えることなく、前記シャワー浴槽の前方及び両側方の三方から前記搬送車を挿入可能とした、ことを特徴とする。
【0009】
これによれば、ガイド部が左右の端部及び前側の端部において有する傾斜部によってシャワー浴槽の前方及び両側方の三方から搬送車を挿入することが可能となり、搬送車の挿入方向が一方向に限られないので利便性が向上するとともに、シャワー浴槽への挿入方向に対してガイド部の組み替えは不要となるため、シャワー浴槽を設置する時の作業性が向上する。
【0010】
本発明の入浴装置において、好ましい実施態様では、前記ガイド部は、前記搬送車の第一ガイドローラと当接し、前記シャワー浴槽に対して前記搬送車を所定の位置に挿入案内するガイドレールを有する。これによれば、搬送車の第一ガイドローラがガイドレールに当接することで、搬送車をいずれの挿入方向から挿入した場合でも、搬送車を所定の接続位置に案内することができる。
【0011】
本発明の入浴装置において、好ましい実施態様では、前記ガイド部は、前記搬送車の第二ガイドローラと当接し、前記シャワー浴槽に対して前記搬送車の左右の振れを抑制し、位置決めをするガイドブロックを有する。これによれば、搬送車の第二ガイドローラがガイドブロックに当接することで、搬送車をシャワー浴槽に接続する際、シャワー浴槽に対して搬送車の左右の振れを抑制して位置決めをすることができる。
【0012】
本発明の入浴装置において、好ましい実施態様では、前記ガイドレールが前記ガイドブロックを兼ねる。これによれば、ガイドブロックが不要となり、コストを削減することができる。
【0014】
本発明の入浴装置において、好ましい実施態様では、前記ガイドレールには、前記第一ガイドローラが嵌まる凹み部が形成されている。これによれば、ガイドレールの凹み部に搬送車の第一ガイドローラが嵌まることで、搬送車の操作者に接続位置を明確に示すことができる。
【0015】
本発明の入浴装置において、好ましい実施態様では、前記第一ガイドローラが前記ガイドレールの前記凹み部に嵌まり、かつ、前記第二ガイドローラが前記ガイドブロックに当接することで、前記シャワー浴槽と前記搬送車とが接続状態となる。これによれば、シャワー浴槽に対して搬送車の左右の振れを抑制して位置決めすることができ、入浴可能な状態となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、シャワー浴槽の前方及び両側方の三方から搬送車を挿入することが可能となり、搬送車の挿入方向が一方向に限られないので利便性が向上するとともに、シャワー浴槽への挿入方向に対してガイド部の組み替えは不要となるため、シャワー浴槽を設置する時の作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態1に係る搬送車の斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態1に係るシャワー浴槽の斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態1に係る搬送車とシャワー浴槽が接続した状態を示す側面図である。
【
図4】本発明の実施形態1に係る搬送車とシャワー浴槽の接続部分近傍を示す底面図である。
【
図6A】シャワー浴槽に対し側方から搬送車を挿入する場合の操作の説明図である。
【
図6B】シャワー浴槽に対し側方から搬送車を挿入する場合の操作の説明図である。
【
図6C】シャワー浴槽に対し側方から搬送車を挿入する場合の操作の説明図である。
【
図6D】搬送車をシャワー浴槽に挿入して接続した状態を示す図である。
【
図7】シャワー浴槽に対し前方から搬送車を挿入する場合の操作の説明図である。
【
図8】本発明の実施形態2に係る搬送車とシャワー浴槽の接続部分近傍を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施形態1)
実施形態1の入浴装置は搬送車とシャワー浴槽とを備えており、
図1は実施形態1による搬送車1を示す斜視図である。
図1に示すように、空間における方向として、搬送車1の長手方向を前後とし、搬送車1の短手方向を左右とし、鉛直方向を上下とする。搬送車1は、台車部2と、乗部3と、フレーム部4とを備える。乗部3の左右方向の両側には起立・倒伏可能なサイドフェンス5が設けられており、乗部3の前後方向の前側端部近傍に枕6が設けられている。フレーム部4は、台車部2と乗部3との間に設けられたリンク機構であり、第1リンク片4aと、第2リンク片4bと、乗部3を保持する保持フレーム4cとから構成されている。乗部3はフレーム部4によって昇降可能となっているが、昇降しないように構成されていてもよい。台車部2には、複数の車輪7、アジャスタ8、操作ペダル9が設けられており、操作ペダル9を操作することでアジャスタ8が上下方向に移動する。アジャスタ8が下方向に移動すると、台車部2を移動できないように床面に固定することができ、アジャスタ8が上方向に移動すると、搬送車1が移動可能になる。保持フレーム4cには搬送用取っ手10が設けられている。台車部2の後方側の端部であって左右方向の中央部には、上下方向の回転軸を有する第一ガイドローラ11が設けられ、その上方には仮ロック金具12が設けられている。台車部2の後方側に配置された2個の車輪7それぞれの上方に、上下方向の回転軸を有する第二ガイドローラ13が設けられている。
【0019】
図2は実施形態1によるシャワー浴槽14を示す斜視図である。
図2に示すように、空間における方向として、シャワー浴槽14の長手方向を前後とし、シャワー浴槽14の短手方向を左右とし、鉛直方向を上下とする。これらの方向は、シャワー浴槽14に搬送車1が接続された場合に、その搬送車1における方向(
図1参照)と同じである。シャワー浴槽14は、前後方向に延在する固定台部15と、固定台部15の後方側で略鉛直に立設された側部16と、側部16の上端部から前方へ固定台部15と略平行に延びて固定台部15と上下方向で対向する天井部17とを有して、側面視片仮名の「コ」の字形状となっている。固定台部15は、その上面15aが後方へ若干傾斜しているとともに、その周縁が適宜高さの壁15bで囲まれて上方からの湯水が側方へ漏れないようになっており、上面15aの後方部位に排水口15cが設けられている。天井部17は、その下面に複数の噴射ノズル(不図示)が設けられ、固定台部15の上面15aに湯水を噴射することが可能である。シャワー浴槽14は、複数の設置脚18により床面に設置される。ここで、固定台部15と天井部17との間の空間を上方空間部19とし、上方空間部19の下側に設けられる空間であって、固定台部15の前側部分の下側に形成される空間を下方空間部20とする。上方空間部19及び下方空間部20は、前方及び左右の両側方が開放された空間である。搬送車1をシャワー浴槽14に挿入する場合、上方空間部19には搬送車1の乗部3が挿入され、下方空間部20には搬送車1の台車部2が挿入される。
【0020】
下方空間部20に面する固定台部15には、左右方向に延在するガイドレール21及びガイドブロック22が設けられており、ガイドブロック22はガイドレール21の上方に配置されている。搬送車1がシャワー浴槽14に接続されるとき、ガイドレール21、ガイドブロック22はそれぞれ、搬送車1に設けられた第一ガイドローラ11、第二ガイドローラ13と当接する部材である。ガイドレール21及びガイドブロック22の左右の端部は、前方側から後方側に行くに従って左右の端部間の距離が長くなるように傾斜した形状を有している。ガイドブロック22の前側の端部は直線形状を有している。ガイドレール21の前側の端部は、左右両端から中央に近づくにつれて後方に傾斜する傾斜部21aを有しており、中央には後方に向けて凹んだ凹み部21bを有している。この凹み部21bは、搬送車1がシャワー浴槽14に接続されるときに第一ガイドローラ11が嵌まる部分であり、搬送車1の操作者に接続位置を明確に示すことができる。凹み部21bにおける後方の位置に、凹み部21bの表面から突出した検知ピン23が設けられており、第一ガイドローラ11によって検知ピン23が押されることで、第一ガイドローラ11が凹み部21bに嵌まったことが検知される。また、搬送車1がシャワー浴槽14に接続されるとき、搬送車1に設けられた仮ロック金具12に嵌合する仮ロック軸24が固定台部15に設けられており、仮ロック軸24はばね部材(不図示)によって下方に付勢され、上下動可能なように構成されている。
【0021】
図3は搬送車1がシャワー浴槽14に接続した状態を示す側面図であり、
図4は
図3において搬送車1とシャワー浴槽14の接続部分近傍を示す底面図であり、
図5は
図3のA-A線で切断した断面図である。搬送車1とシャワー浴槽14が接続した状態では、
図4に示すように第一ガイドローラ11がガイドレール21の凹み部21bに嵌まって互いに接触しており、
図5に示すように、左右に設けられた2個の第二ガイドローラ13がガイドブロック22に接触している。さらに、仮ロック軸24が仮ロック金具12に嵌合している。ここで、ガイドレール21及びガイドブロック22は、シャワー浴槽14の下方空間部20に設けられ、搬送車1の台車部2を挿入案内及び位置決めをするガイド部を構成する。すなわち、ガイドレール21は、搬送車1の第一ガイドローラ11が当接し、シャワー浴槽14に対して搬送車1を所定の位置に挿入案内するものである。ガイドブロック22は、搬送車1の第二ガイドローラ13が当接し、シャワー浴槽14に対して搬送車1の左右の振れを抑制し、位置決めをするものである。
【0022】
次に、搬送車1をシャワー浴槽14に接続するときの操作について説明する。前述のようにシャワー浴槽14は前方及び左右の両側方の三方が開放されており、シャワー浴槽14に対して三方から搬送車1を挿入して接続することができる。まず、シャワー浴槽14の左側から搬送車1をシャワー浴槽14に挿入するときの操作について、
図6A~6Dを用いて説明する。
図6A~6Dでは搬送車1を台車部2、第一ガイドローラ11及び第二ガイドローラ13で模式的に示し、シャワー浴槽14を固定台部15、ガイドレール21及びガイドブロック22で模式的に示している。
【0023】
図6Aに示すように、台車部2を矢印41で示す方向に移動させると、実線51のように第一ガイドローラ11がガイドレール21に当接し、右側の第二ガイドローラ13がガイドブロック22に当接する。さらに台車部2を矢印41の方向へ移動させると、右側の第二ガイドローラ13がガイドブロック22に当接した状態を保ち、且つ第一ガイドローラ11がガイドレール21に当接した状態を保ちながら台車部2が移動することで、仮想線52で示す状態を経由して仮想線53で示すように、台車部2はその長手方向が固定台部15の前後方向に対して傾いた状態(傾斜状態)になる。このとき、第一ガイドローラ11はガイドレール21の傾斜部21aの左端部に位置している。
【0024】
図6Aの仮想線53で示す状態から、さらに矢印41で示す方向に台車部2を移動させると、台車部2は傾斜状態を維持したまま第二ガイドローラ13がガイドブロック22に当接した状態を保ちながら移動し、
図6Bの実線54で示すように、第一ガイドローラ11がガイドレール21の傾斜部21aから離間し、傾斜部21aにおける中間点近傍に位置した状態になる。この状態から、第一ガイドローラ11がガイドレール21に当接するように台車部2を移動させると、仮想線55の状態になる。続いて、第二ガイドローラ13がガイドブロック22に当接した状態を保ちながら、第一ガイドローラ11がガイドレール21の傾斜部21aに沿って凹み部21bに近づくように台車部2を移動させると、仮想線56で示すように第一ガイドローラ11が凹み部21bの手前(凹み部21bの左前方)に位置する状態になる。ここで、ガイドレール21の傾斜部21aは左右両端から中央に近づくにつれて後方に傾斜しているため、第一ガイドローラ11を凹み部21bに誘導しやすくなっている。
【0025】
図6Bに仮想線56で示す状態から、さらに台車部2を移動させて、第一ガイドローラ11がガイドレール21の凹み部21bの前方に位置したときに台車部2を停止させると、
図6Cに実線57で示す状態になる。その後、台車部2の長手方向が固定台部15の前後方向に近づくように台車部2を移動させると、仮想線58で示す状態となる。さらに台車部2の長手方向が固定台部15の前後方向とほぼ一致するように台車部2を移動させると、
図6Dに実線59で示すように、第一ガイドローラ11がガイドレール21の凹み部21bに嵌まり、左右の第二ガイドローラ13がガイドブロック22に当接した状態になり、台車部2が固定台部15に対して位置決めされる。このように、シャワー浴槽14の左側から搬送車1をシャワー浴槽14に挿入して接続することができる。なお、シャワー浴槽14の右側から搬送車1をシャワー浴槽14に挿入するときの操作は、
図6A~6Cで説明した操作において搬送車1の挿入方向を反対向きにすればよい。
【0026】
次に、シャワー浴槽14の前方から搬送車1をシャワー浴槽14に挿入するときの操作について、
図7を用いて説明する。
図7においても、
図6A~6Dと同様に搬送車1を台車部2、第一ガイドローラ11及び第二ガイドローラ13で模式的に示し、シャワー浴槽14を固定台部15、ガイドレール21及びガイドブロック22で模式的に示している。
【0027】
図7に実線61で示すように固定台部15の前方に台車部2を配置し、その台車部2を矢印42の方向へ移動させると、仮想線62で示すように、第一ガイドローラ11がガイドレール21の凹み部21bの一部分に当接した状態になる。その状態からさらに台車部2を矢印42の方向へ移動させると、
図6Dに示すように第一ガイドローラ11がガイドレール21の凹み部21bに嵌まり、左右の第二ガイドローラ13がガイドブロック22に当接した状態になり、台車部2が固定台部15に対して位置決めされる。このように、シャワー浴槽14の前方から搬送車1をシャワー浴槽14に挿入して接続することができる。
【0028】
上記のように、シャワー浴槽14に対して前方又は側方から搬送車1を挿入すると、第一ガイドローラ11がガイドレール21の凹み部21bに嵌まることで、搬送車1をシャワー浴槽14の所定の接続位置に案内することができる。また、2個の第二ガイドローラ13はガイドブロック22に当接するので、搬送車1とシャワー浴槽14とは3か所で当接することになり、シャワー浴槽14に対する搬送車1の位置が決まる。このとき、シャワー浴槽14に設けられた仮ロック軸24は搬送車1の台車部2に設けられた仮ロック金具12に嵌合するとともに、第一ガイドローラ11がガイドレール21の凹み部21bに設けられた検知ピン23を押すことにより、搬送車1がシャワー浴槽14に対して所定の位置(搬送車1がシャワー浴槽14に接続される位置)に配置されたことが検知される。こうして搬送車1とシャワー浴槽14とは接続された状態になり、操作ペダル9を操作して搬送車1を床面に固定した後、シャワー浴槽14の噴射ノズルから湯水を噴射することで、乗部3上の被介助者がシャワー入浴を行うことができる。
【0029】
このように、実施形態1の入浴装置では、シャワー浴槽14の前方及び両側方の三方から搬送車1を挿入することができるとともに、搬送車1の挿入方向に対してガイド部の組み替えが不要である。したがって、シャワー浴槽14に対する搬送車1の挿入方向が一方向に限られないので利便性が向上するとともに、ガイド部の組み替えが不要であることによりシャワー浴槽14を設置するときの作業性が向上する。
【0030】
(実施形態2)
図8は、実施形態2の入浴装置であって、シャワー浴槽14と搬送車1との接続部分近傍の底面図である。
図8に示すガイドレール25は、実施形態1で説明したガイドレール21とガイドブロック22とを兼ねた構成である。実施形態2の入浴装置においても、シャワー浴槽14の前方及び両側方の三方から搬送車1を挿入することができるとともに、搬送車1の挿入方向に対してガイド部の組み替えが不要である。
図8のように、ガイドレール21と同様に、ガイドレール25の前側の端部は、左右両端から中央に近づくにつれて後方に傾斜する傾斜部25aを有しており、中央には後方に向けて凹んだ凹み部25bを有している。ガイドレール25は、その傾斜部25aに第二ガイドローラ13が当接可能な高さ位置に設けられている。第一ガイドローラ26はガイドレール25と同じ高さ位置に設けられ、搬送車1がシャワー浴槽14に接続するとき、第一ガイドローラ26はガイドレール25の凹み部25bに嵌まるとともに、第二ガイドローラ13がガイドレール25の傾斜部25aに当接する。このように、ガイドレール25は、第一ガイドローラ26が当接することにより、シャワー浴槽14に対して搬送車1を所定位置に挿入案内することができ、第二ガイドローラ13が当接することにより、シャワー浴槽14に対して搬送車1の左右の振れを抑制することができる。したがって、ガイドレール25は実施形態1におけるガイドブロック22の役割を兼ねているため、ガイドブロック22が不要となり、コストを削減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、三方が開放された空間部を有する浴槽を備え、その空間部に搬送車を挿入して入浴を行う入浴装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 搬送車
2 台車部
3 乗部
11、26 第一ガイドローラ
13 第二ガイドローラ
14 シャワー浴槽
19 上方空間部
20 下方空間部
21、25 ガイドレール
21a、25a 傾斜部
21b、25b 凹み部
22 ガイドブロック