(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】巻締角検査装置
(51)【国際特許分類】
G01B 11/26 20060101AFI20240131BHJP
【FI】
G01B11/26 H
(21)【出願番号】P 2020086653
(22)【出願日】2020-05-18
【審査請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】391051485
【氏名又は名称】高嶋技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼畑 忠
(72)【発明者】
【氏名】清水 真也
(72)【発明者】
【氏名】藤谷 尚史
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-509469(JP,A)
【文献】特開2001-133414(JP,A)
【文献】特開2003-237890(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1物体に第2物体が螺合する検査対象物について、前記第1物体に設けられた第1物体マーク及び前記第2物体に設けられた第2物体マークに基づいて前記第1物体に対する前記第2物体の巻締角を検査する巻締角検査装置であって、
前記第1物体マーク及び前記第2物体マークに対向する位置に配置され、前記第1物体マークを含む第1物体画像及び前記第2物体マークを含む第2物体画像を直接撮像する複数のカメラと、
前記第1物体画像と前記第2物体画像とに基づいて前記巻締角θを算出すると共に該巻締角θを評価する評価手段と、
該評価手段の評価結果を出力する出力手段とを備え
、
前記評価手段は、前記第1物体画像から第1物体マーク候補を複数抽出すると、当該第1物体マーク候補の大きさに基づいて前記第1物体マークを特定することを特徴とする巻締角検査装置。
【請求項2】
前記第1物体が容器本体であり、前記第1物体マークが前記容器本体の口部に設けられている場合、
前記カメラは、前記口部に対向する位置に設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の巻締角検査装置。
【請求項3】
前記カメラは、前記口部の周りに所定の角度割りで分割された複数位置に各々設けられることを特徴とする請求項2に記載の巻締角検査装置。
【請求項4】
前記第2物体が蓋であり、前記第2物体マークが前記蓋の天面に設けられている場合、 前記カメラは、前記蓋の天面に対向する位置に設けられることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の巻締角検査装置。
【請求項5】
前記カメラは、前記第1物体マークを含む第1物体と前記第2物体マークを含む第2物体とが同時に映り込んだ共用画像として撮像することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の巻締角検査装置。
【請求項6】
前記評価手段は、
前記第1物体画像に基づいて前記第1物体の基準位置に対する前記第1物体マークの相対位置θ1を検出し、
前記第2物体画像に基づいて前記第1物体の基準位置に対する前記第2物体マークの相対位置θ2を検出し、
前記相対位置θ1と前記相対位置θ2との位置関係に基づいて前記巻締角θを算出する ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の巻締角検査装置。
【請求項7】
前記検査対象物は、ボトル本体の口部にキャップが螺合するペットボトルであることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の巻締角検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻締角検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、ボトル・キャップ組立体におけるキャップ巻締状態の検査方法が開示されている。この検査方法は、ボトル・キャップ組立体の垂直中心軸の上方に光学系レンズとカメラとを配置し、ボトル確認マーク及びキャップ確認マークに光が直接照射されず、キャップのスカート部のキャップ確認マークが形成されていない部分に直接光が照射されるような条件下で照明を行いながら、光学系レンズを介してボトル確認マークとキャップ確認マークとを1台のカメラで同時に撮像し、当該カメラの画像からキャップの巻締状態の良否を判定するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記背景技術では、特殊な形状の光学系レンズ(非球面レンズ)を用いることにより、キャップの上方つまりボトル確認マーク及びキャップ確認マークに正対しない位置に設けられた1台のカメラでボトル確認マーク及びキャップ確認マークを同時に撮像する。すなわち、上記背景技術では、光学系レンズ(非球面レンズ)等の外部光学系に起因する画像歪みが比較的大きいので、ボトル確認マークとキャップ確認マークとの位置関係を正確に検出することが困難である。したがって、上記背景技術は、キャップ巻締状態について十分な検査精度を実現することが困難である。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、カメラ以外の外部光学系を用いない巻締角検査装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では、巻締角検査装置に係る第1の解決手段として、第1物体に第2物体が螺合する検査対象物について、前記第1物体に設けられた第1物体マーク及び前記第2物体に設けられた第2物体マークに基づいて前記第1物体に対する前記第2物体の巻締角を検査する巻締角検査装置であって、前記第1物体マーク及び前記第2物体マークに対向する位置に配置され、前記第1物体マークを含む第1物体画像及び前記第2物体マークを含む第2物体画像を直接撮像する複数のカメラと、前記第1物体画像と前記第2物体画像とに基づいて前記巻締角θを算出すると共に該巻締角θを評価する評価手段と、該評価手段の評価結果を出力する出力手段とを備える、という手段を採用する。
【0007】
本発明では、巻締角検査装置に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記第1物体が容器本体であり、前記第1物体マークが前記容器本体の口部に設けられている場合、前記カメラは、前記口部に対向する位置に設けられる、という手段を採用する。
【0008】
本発明では、巻締角検査装置に係る第3の解決手段として、上記第2の解決手段において、前記カメラは、前記口部の周りに所定の角度割りで分割された複数位置に各々設けられる、という手段を採用する。
【0009】
本発明では、巻締角検査装置に係る第4の解決手段として、上記第1~第3のいずれかの解決手段において、前記第2物体が蓋であり、前記第2物体マークが前記蓋の天面に設けられている場合、前記カメラは、前記蓋の天面に対向する位置に設けられる、という手段を採用する。
【0010】
本発明では、巻締角検査装置に係る第5の解決手段として、上記第1~第4のいずれかの解決手段において、前記カメラは、前記第1物体マークを含む第1物体と前記第2物体マークを含む第2物体とが同時に映り込んだ共用画像として撮像する、という手段を採用する。
【0011】
本発明では、巻締角検査装置に係る第6の解決手段として、上記第1~第5のいずれかの解決手段において、前記評価手段は、前記第1物体画像に基づいて前記第1物体の基準位置に対する前記第1物体マークの相対位置θ1を検出し、前記第2物体画像に基づいて前記第1物体の基準位置に対する前記第2物体マークの相対位置θ2を検出し、前記相対位置θ1と前記相対位置θ2との位置関係に基づいて前記巻締角θを算出する、という手段を採用する。
【0012】
本発明では、巻締角検査装置に係る第7の解決手段として、上記第1~第6のいずれかの解決手段において、前記検査対象物は、ボトル本体の口部にキャップが螺合するペットボトルである、という手段を採用する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、カメラ以外の外部光学系を用いない巻締角検査装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態におけるペットボトルBの構成を示す模式図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る巻締角検査装置Aの全体構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る巻締角検査装置Aにおける口部用カメラ1A~1D及びキャップ用カメラ2の配置を示す模式図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る巻締角検査装置Aの動作を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の第1実施形態における角度偏差θ
1及び角度偏差θ
2の検出処理を示す模式図である。
【
図6】本発明の第2実施形態におけるペットボトルB1の構成を示す模式図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る巻締角検査装置A1の全体構成を示すブロック図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る巻締角検査装置A1における共用カメラ5A~5Dの配置を示す模式図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係る巻締角検査装置A1の動作を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の第2実施形態における角度偏差θ1及び角度偏差θ2の検出処理を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
〔第1実施形態〕
最初に、
図1~
図5を参照して本発明の第1実施形態について説明する。この第1実施形態に係る巻締角検査装置Aは、
図1に示すペットボトルBを検査対象物とする検査装置である。
【0016】
ペットボトルBは、
図1に示すように、ボトル本体X(容器本体)にキャップY(蓋)が装着された略円筒状の物品(商品)である。このペットボトルBには、所定の内容物(液体)が収容されており、キャップYの装着によって内部空間が密封されている。このようなペットボトルBは、図示するように直立姿勢つまり中心軸線が鉛直方向となる姿勢で、所定の検査位置まで搬送されてくる。なお、上記ボトル本体Xは、本発明の第1物体に相当し、キャップYは本発明の第2物体に相当する。
【0017】
ボトル本体Xは、合成樹脂の一種であるPET(ポリエチレンテレフタラート)から形成された略円筒状の容器(樹脂容器)であり、上部にボトル口部x1が設けられている。このボトル口部x1は、ボトル本体Xと同心状の略円筒状に形成された開口部であり、周面(口部周面x2)には螺旋突起(図示略)が形成されている。また、この口部周面x2において、上記螺旋突起の下部(ネックリング部)には口部マークx3が形成されている。この口部マークx3は、例えば特定形状の窪みである。なお、この口部マークx3は、本発明の第1物体マークに相当するものである。
【0018】
キャップYは、ボトル口部x1を塞ぐ蓋であり、上記ボトル口部x1に螺合する略円筒状の樹脂成型品である。このキャップYの周面(キャップ周面y1)の内側には、上記螺旋突起と螺合する螺旋突起(図示略)が形成されている。また、キャップ周面y1の上端は閉塞しており、キャップYの中心軸線に直交する状態で天面(キャップ天面y2)が設けられている。すなわち、このキャップ天面y2は、キャップYの中心軸線に直交する円形の平面であり、所定の一箇所にキャップマークy3が形成されている。
【0019】
このキャップマークy3は、例えば上述した口部マークx3とは異なる特定形状の窪みである。このようなキャップYは、下端部を口部x1に接触させた状態で中心軸線周りに所定方向に回転させることにより自身の螺旋突起がボトル口部x1の螺旋突起に螺合し、以ってボトル本体Xに装着される。なお、上記キャップマークy3は、本発明の第2物体マークに相当するものである。
【0020】
第1実施形態に係る巻締角検査装置Aは、このように口部マークx3とキャップマークy3とが略90°異なる向き(姿勢)で設けられているペットボトルBについて、ボトル本体X(容器)に螺合するキャップY(蓋)の巻締角θを検査する検査装置である。この巻締角検査装置Aは、
図2に示すように、4台の口部用カメラ1A~1D、1台のキャップ用カメラ2、演算装置3及び表示装置4を備えている。
【0021】
4台の口部用カメラ1A~1Dは、
図3に示すように、ボトル本体Xのボトル口部x1に対向して設けられたカメラであり、口部マークx3を含むボトル口部x1の画像(静止画)を口部画像として撮像する。これら4台の口部用カメラ1A~1Dは、ボトルの口部画像を示す画像信号(口部画像信号)を演算装置3に出力する。なお、この口部画像は、本発明の第1物体画像に相当するものである。
【0022】
さらに説明すると、これら4台の口部用カメラ1A~1Dは、
図3(a)に示すように、ボトル口部x1の中心P周りに所定の角度割りつまり90°の角度割りで分割された複数位置(4箇所)に各々設けられている。すなわち、4台の口部用カメラ1A~1Dのうち、第1の口部用カメラ1Aは、ボトル口部x1の周り(360°の範囲)において、基準位置つまり角度として0°の位置(基準角)に設けられている。
【0023】
また、第2の口部用カメラ1Bは、ボトル口部x1の中心P周りにおいて基準角から左方向に+90°の位置に設けられている。また、第3の口部用カメラ1Cは、ボトル口部x1の中心P周りにおいて基準角から左方向に+180°の位置に設けられている。さらに、第4の口部用カメラ1Dは、ボトル口部x1の中心P周りにおいて基準角から左方向に+270°(つまり基準角から-90°)の位置に設けられている。
【0024】
これら4台の口部用カメラ1A~1Dは、ボトル口部x1の中心P周りにおいて、各々に自らの位置を基準に+45°~-45°の範囲(合計90°の範囲)を若干超える領域を撮像範囲としている。すなわち、第1の口部用カメラ1Aは、ボトル口部x1の中心P周り(360°の範囲)において、-45°~+45°の第1範囲R1を若干超える領域を撮像範囲としている。このような第1の口部用カメラ1Aは、ボトル口部x1の中心P周りに-45°~+45°の第1範囲R1が中心に映り込んだ第1の口部画像を撮像し、当該第1の口部画像を示す第1の口部画像信号を演算装置3に出力する。
【0025】
第2の口部用カメラ1Bは、ボトル口部x1の中心P周りにおいて、+45°~+135°の第2範囲R2を若干超える領域を撮像範囲としている。このような第2の口部用カメラ1Bは、ボトル口部x1の中心P周りに+45°~+135°の第2範囲R2が中心に映り込んだ第2の口部画像を撮像し、当該第2の口部画像を示す第2の口部画像信号を演算装置3に出力する。
【0026】
第3の口部用カメラ1Cは、ボトル口部x1の中心P周りにおいて、+135°~+225°の第3範囲R3を若干超える領域を撮像範囲としている。このような第3の口部用カメラ1Cは、ボトル口部x1の中心P周りに+135°~+225°の第3範囲R3が中心に映り込んだ第3の口部画像を撮像し、当該第3の口部画像を示す第3の口部画像信号を演算装置3に出力する。
【0027】
さらに、第4の口部用カメラ1Dは、ボトル口部x1の中心P周りにおいて、+225°~+315°(-45°)の第4範囲R4を若干超える領域を撮像範囲としている。このような第4の口部用カメラ1Dは、ボトル口部x1の中心P周りに+225°~+315°(-45°)の第4範囲R4が中心に映り込んだ第4の口部画像を撮像し、当該第4の口部画像を示す第4の口部画像信号を演算装置3に出力する。
【0028】
1台のキャップ用カメラ2は、
図3に示すように、キャップYのキャップ天面y2に対向して設けられたカメラであり、キャップマークy3を含むキャップYの画像(静止画)をキャップ画像として撮像する。このキャップ用カメラ2は、上記キャップ画像を示す画像信号(キャップ画像信号)を演算装置3に出力する。なお、上記キャップ画像は、本発明の第2物体画像に相当するものである。
【0029】
さらに説明すると、このキャップ用カメラ2は、円形なキャップ天面y2の中心つまりボトル本体X及びキャップYの中心軸線の直上に位置している。このようなキャップ用カメラ2は、キャップ天面y2が中心に映り込んだキャップ画像を撮像し、当該キャップ画像を示すキャップ画像信号を演算装置3に出力する。
【0030】
ここで、上述した第1~第4の口部用カメラ1A~1D及びキャップ用カメラ2は、何れも可視光を撮像波長範囲とするカメラである。すなわち、第1~第4の口部用カメラ1A~1D及びキャップ用カメラ2は、第1~第4の口部画像及びキャップ画像を可視画像として撮像する撮像装置である。
【0031】
このような第1~第4の口部用カメラ1A~1D及びキャップ用カメラ2のうち、第1~第4の口部用カメラ1A~1Dは、口部マークx3(第1物体マーク)に対向する位置に配置され、外部光学系を介することなく、口部マークx3を含む口部画像(第1物体画像)を直接撮像するカメラである。また、キャップ用カメラ2は、外部光学系を介することなく、キャップマークy3(第2物体マーク)を含むキャップ画像(第2物体画像)を直接撮像するカメラである。
【0032】
演算装置3は、第1~第4の口部用カメラ1A~1D及びキャップ用カメラ2を制御すると共に、第1~第4の口部用カメラ1A~1Dから各々入力される第1~第4の口部画像信号、キャップ用カメラ2から入力されるキャップ画像信号及び上位制御装置から入力される外部信号に基づいてボトル本体X(容器)に対するキャップY(蓋)の巻締角θを算出する評価手段である。
【0033】
この演算装置3は、一種のコンピュータであり、所定の検査プログラム等を記憶する記憶部、第1~第4の口部用カメラ1A~1D及びキャップ用カメラ2から画像信号を受け入れると共に表示装置4に検査結果を出力する入出力部及び検査プログラム等を実行する演算部等を備えている。
【0034】
詳細については後述するが、この演算装置3は、外部の搬送装置によって検査位置に順次搬送されてくる複数のペットボトルBについてキャップ画像信号及び第1~第4の口部画像信号をそれぞれ取得し、これらキャップ画像信号及び第1~第4の口部画像信号に上記検査プログラムに従った情報処理を施すことによって巻締角θを順次算出する。
【0035】
また、この演算装置3は、上記巻締角θを所定の評価基準と順次比較することによって巻締角θを順次評価する。また、この演算装置3は、上記評価結果つまり各ペットボトルBの検査結果を検査信号として表示装置4に順次出力する。
【0036】
表示装置4は、演算装置3から順次入力される検査信号に基づいて検査結果を画像表示する装置である。この表示装置4は、演算装置3から時系列的に順次入力される複数のペットボトルBの検査結果を時系列順つまり検査順に表示する。なお、このような表示装置4は、本発明の出力手段に相当する。
【0037】
次に、第1実施形態に係る巻締角検査装置Aの動作について、
図4に示すフローチャートに従って詳しく説明する。
【0038】
この巻締角検査装置Aにおいて、ペットボトルBが検査位置に搬送されてくると、外部の上位制御装置から演算装置3に到着信号(外部信号)が入力される。演算装置3は、この到着信号を受け付けると、第1~第4の口部用カメラ1A~1D及びキャップ用カメラ2に撮像を指示する。この結果、第1~第4の口部用カメラ1A~1Dは第1~第4の口部画像を撮像し、またキャップ用カメラ2はキャップ画像を撮像する(ステップS1)。
【0039】
そして、演算装置3は、上記第1~第4の口部画像を第1~第4の口部画像信号として取得し、またキャップ画像をキャップ画像信号として取得する。そして、演算装置3は、第1~第4の口部画像について、平面座標系への展開処理と相互の結合処理とを施すことにより、
図5(a)に示すような1枚の結合画像Gkを生成する(ステップS2)。
【0040】
ここで、ボトル口部x1は所定の半径を有する円筒形状なので、第1~第4の口部画像上における位置と実空間の口部周面x2上における位置とがずれる。このずれ量は、ボトル口部x1の形状(大きさや曲率)に依存するものである。したがって、口部周面x2上における口部マークx3の位置を正確に評価するためには、ボトル口部x1の形状に起因する口部マークx3の位置ずれを補正する必要がある。
【0041】
上記展開処理は、このような位置ずれを補正するために、所定の曲率で湾曲するボトル口部x1(口部周面x2)の画像(曲座標系の画像)を平面座標系の画像に座標変換することにより、第1~第4の展開口部画像を生成する画像処理である。上記結合処理は、このような第1~第4の展開口部画像をボトル口部x1の中心P周りの角度順に連結することにより1枚の結合画像Gkを生成する画像処理である。
【0042】
演算装置3は、上記結合処理が完了すると、特徴抽出処理を行う(ステップS3)。この特徴抽出処理は、結合画像Gkから口部マークx3に似た形状の画像部位(口部特徴部位)を抽出する処理である。このような特徴抽出処理によって、結合画像Gkにおける口部特徴部位が口部マーク候補として抽出される。
【0043】
このような口部マーク候補は1あるいは複数抽出されるが、演算装置3は、複数の口部マーク候補に対して排他処理を施すことにより、口部マーク候補を1つに絞り込む(ステップS4)。この排他処理は、例えば口部マーク候補の大きさを条件としたものであり、口部マークx3の大きさに対して極端に大きな口部マーク候補は除外される。
【0044】
そして、演算装置3は、排他処理によって1つに絞り込まれた口部マーク候補について、口部マークx3として特定して良いか否かの判断処理を行う(ステップS5)。この判断処理では、口部マーク候補の形状及び大きさが再度評価され、口部マーク候補が真に口部マークx3であるか否かが判定される。そして、演算装置3は、ステップS5の判断が「Yes」の場合、口部マーク候補を口部マークx3として特定する。
【0045】
続いて、演算装置3は、
図5(b)に示す円形なキャップ画像Gcについてキャップマークy3の検索範囲を設定する(ステップS6)。すなわち、キャップ天面y2におけるキャップマークy3の半径方向における位置は、キャップYの仕様によって範囲が予めわかっている。したがって、演算装置3は、キャップ天面y2の半径方向において、キャップマークy3の存在し得る範囲を検索範囲に設定する。
【0046】
そして、演算装置3は、このような検索範囲内において、キャップマークy3と似た形状かつ大きさの画像部位(キャップ特徴部位)を抽出する。そして、演算装置3は、このキャップ特徴部位をキャップマークy3として特定して良いか否かの判断処理を行う(ステップS7)。
【0047】
このステップS7において、演算装置3は、キャップ特徴部位の形状及び大きさを評価することによりキャップマークy3を検出する。そして、演算装置3は、ステップS7の判断が「Yes」の場合、キャップ特徴部位をキャップマークy3として特定する。すなわち、上述したステップS2~S7を経ることにより、結合画像Gkにおける口部マークx3及びキャップ画像Gcにおけるキャップマークy3が特定される。
【0048】
演算装置3は、このようにして口部マークx3及びキャップマークy3を特定すると、巻締角θの計算処理を行う(ステップS8)。この計算処理において、演算装置3は、
図5(a)に示すように、結合画像Gkにおける基準角(0°)に対する口部マークx3の角度偏差θ
1を第1の相対位置として計算する。
【0049】
また、演算装置3は、
図5(b)に示すように、上記基準角と一致すると共にキャップY(キャップ天面y2)の中心Pを通る基準線とキャップマークy3及び上記中心Pを通る検出線の角度偏差θ
2を第2の相対位置として計算する。そして、演算装置3は、角度偏差θ
1と角度偏差θ
2との差分(θ
1-θ
2)を巻締角θとして計算する。すなわち、演算装置3は、第1の相対位置と第2の相対位置との位置関係に基づいて巻締角θを算出する。
【0050】
そして、演算装置3は、この巻締角θが所定のしきい値θrefの範囲内か否かを判断する(ステップS9)。このステップS9の判断が「Yes」の場合、演算装置3は、巻締角θのペットボトルBを合格と判定する(ステップS10)。また、このステップS9の判断が「No」の場合、演算装置3は、巻締角θのペットボトルBを不合格と判定する(ステップS11)。なお、上述したステップS5、S7の判断が「No」の場合も、巻締角θのペットボトルBは不合格と判定される(ステップS11)。
【0051】
このように、本実施形態に係る巻締角検査装置Aは、口部マークx3を撮像する4台の口部用カメラ1A~1Dとキャップマークy3を撮像するキャップ用カメラ2とを備えている。すなわち、この巻締角検査装置Aは、向き(姿勢)が略90°異なる口部マークx3とキャップマークy3とに対して、撮影方向が90°異なる向きに設定された4台の口部用カメラ1A~1Dとキャップ用カメラ2とを備える。
【0052】
このような巻締角検査装置Aによれば、4台の口部用カメラ1A~1Dとキャップ用カメラ2とを用いてペットボトルBの巻締角θを検査するので、従来のような特殊な光学系レンズ(外部光学系)を用いる必要がない。したがって、第1実施形態によれば、カメラ以外の外部光学系を用いない巻締角検査装置Aを提供することが可能である。
【0053】
〔第2実施形態〕
続いて、
図6~
図10を参照して本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態に係る巻締角検査装置A1は、
図6に示すペットボトルB1を検査対象物とする検査装置である。なお、これら
図6~
図10では、第1実施形態の
図1~
図5と同一の構成要素には同一符号を付している。
【0054】
このペットボトルB1は、第1実施形態のペットボトルBにおいてキャップYをキャップY1と入れ替えたものである。すなわち、このペットボトルB1は、キャップY1の構造だけが第1実施形態のペットボトルBとは異なっており、第1実施形態のボトル本体XとキャップY1とから構成されている。
【0055】
また、上記キャップY1は、第1実施形態のキャップマークy3に代えてキャップマークy4を備えるものであり、これ以外は第1実施形態のキャップYと同一である。第1実施形態のキャップマークy3はキャップ天面y2に設けられているが、第2実施形態のキャップマークy4は、キャップ天面y2ではなく、
図6(b)に示すようにキャップ周面y1に設けられている。
【0056】
このようなキャップマークy4は、本発明の第2物体マークに相当する。このようなキャップY1を備えるペットボトルB1は、第1実施形態のペットボトルBと同様に直立姿勢で搬送される。また、このようなペットボトルB1において、ボトル本体Xは本発明の第1物体に相当し、キャップY1は本発明の第2物体に相当する。
【0057】
すなわち、第1実施形態のペットボトルB(検査対象物)は、キャップマークy3が口部マークx3に対して略90°異なる向き(姿勢)で設けられているが、第2実施形態のペットボトルB1(検査対象物)は、口部マークx3とキャップマークy4とが略同一向き、つまり直立姿勢のペットボトルB1の側方から視認可能な状態に設けられている。
【0058】
第2実施形態に係る巻締角検査装置A1は、このようなペットボトルB1について、ボトル本体Xに螺合するキャップY1の巻締角θを検査する。この巻締角検査装置A1は、
図7に示すように、4台の共用カメラ5A~5D、演算装置3A及び表示装置4を備えている。
【0059】
4台の共用カメラ5A~5Dは、
図8に示すように、ボトル本体Xのボトル口部x1及びキャップY1のキャップ周面y1に対向して設けられたカメラである。これら共用カメラ5A~5Dは、口部マークx3を含むボトル口部x1とキャップマークy4を含むキャップ周面y1とが同時に写り込んだ静止画像を共用画像として撮像する。すなわち、共用画像は、ボトル口部x1の画像部位(口部画像)とキャップ周面y1の画像部位(キャップ画像)とを含む静止画像である。
【0060】
ここで、このような共用画像において、ボトル口部x1の画像部位は、第2実施形態における口部画像であり、本発明の第1物体画像に相当する。また、キャップ周面y1の画像部位は、第2実施形態におけるキャップ画像であり、本発明の第2物体画像に相当する。
【0061】
上述した4台の共用カメラ5A~5Dは、
図8(a)に示すように、ボトル口部x1つまりキャップ周面y1の中心P周りに所定の角度割りつまり90°の角度割りで分割された複数位置(4箇所)に各々設けられている。すなわち、4台の共用カメラ5A~5Dは、ボトル口部x1及びキャップ周面y1の中心P周りにおける位置が第1実施形態の口部用カメラ1A~1Dと同一である。
【0062】
第1の共用カメラ5Aは、ボトル口部x1及びキャップ周面y1の周り(360°の範囲)において、基準位置つまり角度として0°の位置(基準角)に設けられている。第2の共用カメラ5Bは、ボトル口部x1及びキャップ周面y1の中心P周りにおいて基準角から左方向に+90°の位置に設けられている。
【0063】
第3の共用カメラ5Cは、ボトル口部x1及びキャップ周面y1の中心P周りにおいて基準角から左方向に+180°の位置に設けられている。さらに、第4の共用カメラ5Dは、ボトル口部x1及びキャップ周面y1の中心P周りにおいて基準角から左方向に+270°(つまり基準角から-90°)の位置に設けられている。
【0064】
これら4台の共用カメラ5A~5Dは、第1実施形態の口部用カメラ1A~1Dと同様に、自らの位置を基準に+45°~-45°の範囲(合計90°の範囲)を若干超える領域を各々の撮像範囲としている。
【0065】
すなわち、第1の共用カメラ5Aは、ボトル口部x1及びキャップ周面y1の中心P周り(360°の範囲)において、-45°~+45°の第1範囲R1を若干超える領域を撮像範囲としている。このような第1の共用カメラ5Aは、ボトル口部x1及びキャップ周面y1の中心P周りに-45°~+45°の第1範囲R1が中心に映り込んだ第1の共用画像を撮像し、当該第1の共用画像を示す第1の共用画像信号を演算装置3Aに出力する。
【0066】
第2の共用カメラ5Bは、ボトル口部x1及びキャップ周面y1の中心P周りにおいて、+45°~+135°の第2範囲R2を若干超える領域を撮像範囲としている。このような第2の共用カメラ5Bは、ボトル口部x1及びキャップ周面y1の中心P周りに+45°~+135°の第2範囲R2が中心に映り込んだ第2の共用画像を撮像し、当該第2の共用画像を示す第2の共用画像信号を演算装置3Aに出力する。
【0067】
第3の共用カメラ5Cは、ボトル口部x1及びキャップ周面y1の中心P周りにおいて、+135°~+225°の第3範囲R3を若干超える領域を撮像範囲としている。このような第3の共用カメラ5Cは、ボトル口部x1及びキャップ周面y1の中心P周りに+135°~+225°の第3範囲R3が中心に映り込んだ第3の共用画像を撮像し、当該第3の共用画像を示す第3の共用画像信号を演算装置3Aに出力する。
【0068】
さらに、第4の共用カメラ5Dは、ボトル口部x1及びキャップ周面y1の中心P周りにおいて、+225°~+315°(-45°)の第4範囲R4を若干超える領域を撮像範囲としている。このような第4の共用カメラ5Dは、ボトル口部x1及びキャップ周面y1の中心P周りに+225°~+315°(-45°)の第4範囲R4が中心に映り込んだ第4の共用画像を撮像し、当該第4の共用画像を示す第4の共用画像信号を演算装置3Aに出力する。
【0069】
ここで、上述した第1~第4の共用カメラ5A~5Dは、第1実施形態の第1~第4の口部用カメラ1A~1D及びキャップ用カメラ2と同様に、何れも可視光を撮像波長範囲とするカメラである。すなわち、第1~第4の共用カメラ5A~5Dは、第1~第4の共用画像を可視画像として撮像する撮像装置である。
【0070】
また、このような第1~第4の共用カメラ5A~5Dは、口部マークx3(第1物体マーク)及びキャップマークy3(第2物体マーク)に対向する位置に配置され、外部光学系を介することなく、口部マークx3を含む口部画像(第1物体画像)及びキャップマークy3を含むキャップ画像(第2物体画像)を直接撮像するカメラである。
【0071】
演算装置3Aは、第1~第4の共用カメラ5A~5Dを制御すると共に、第1~第4の共用カメラ5A~5Dから各々入力される第1~第4の共用画像信号及び上位制御装置から入力される外部信号に基づいてボトル本体X(容器)に対するキャップY(蓋)の巻締角θを算出する評価手段である。
【0072】
この演算装置3Aは、第1実施形態の演算装置3と同様に一種のコンピュータであり、所定の検査プログラム等を記憶する記憶部、第1~第4の共用カメラ5A~5Dから第1~第4の共用画像信号を受け入れると共に表示装置4に検査結果を出力する入出力部及び検査プログラム等を実行する演算部等を備えている。
【0073】
この演算装置3Aは、外部の搬送装置によって所定の検査位置に順次搬送されてくる複数のペットボトルB1について第1~第4の共用画像信号をそれぞれ取得し、これら第1~第4の共用画像信号に上記検査プログラムに従った情報処理を施すことによって巻締角θを順次算出する。
【0074】
また、この演算装置3Aは、上記巻締角θを所定の評価基準と順次比較することによって巻締角θを順次評価する。さらに、演算装置3Aは、上記評価結果つまり各ペットボトルB1の検査結果を検査信号として表示装置4に順次出力する。表示装置4は、演算装置3Aから順次入力される検査信号に基づいて検査結果を画像表示する装置である。この表示装置4は、第1実施形態と同様な装置であり、本発明の出力手段に相当する。
【0075】
次に、第2実施形態に係る巻締角検査装置A1の動作について、
図9に示すフローチャートに沿って詳しく説明する。
【0076】
この巻締角検査装置A1では、ペットボトルBが検査位置に搬送されてくると、外部の上位制御装置から演算装置3Aに到着信号(外部信号)が入力される。演算装置3Aは、この到着信号を受け付けると、第1~第4の共用カメラ5A~5Dに撮像を指示する。この結果、第1~第4の共用カメラ5A~5Dは第1~第4の共用画像を撮像(ステップS1a)。
【0077】
そして、演算装置3Aは、上記第1~第4の共用画像を第1~第4の共用画像信号として取得する。そして、演算装置3Aは、第1~第4の共用画像について、平面座標系への展開処理と相互の結合処理とを施すことにより、
図10に示すような1枚の合成画像Gsを生成する(ステップS2a)。
【0078】
ここで、ボトル口部x1及びキャップ周面y1は、中心Pから所定の半径を有する円筒形状なので、第1~第4の共用画像上における位置と実空間の口部周面x2及びキャップ周面y1上における位置とがずれる。このずれ量は、ボトル口部x1及びキャップ周面y1の形状(大きさや曲率)に依存するものである。
【0079】
したがって、口部周面x2上における口部マークx3及びキャップ周面y1上におけるキャップマークy4の基準角(0°)に対する相対位置を正確に評価するためには、ボトル口部x1の形状に起因する口部マークx3及びキャップ周面y1の形状に起因するキャップマークy4の位置ずれを補正する必要がある。
【0080】
上記展開処理は、このような位置ずれを補正するために、所定の曲率で湾曲するボトル口部x1(口部周面x2)の画像(曲座標系の画像)及びキャップ周面y1の画像(曲座標系の画像)を平面座標系の画像に座標変換することにより、第1~第4の展開共用画像を生成する画像処理である。上記結合処理は、このような第1~第4の展開共用画像をボトル口部x1及びキャップ周面y1の中心P周りの角度順に連結することにより1枚の合成画像Gsを生成する画像処理である。
【0081】
演算装置3Aは、上記結合処理が完了すると、口部画像に関する特徴抽出処理を行う(ステップS3a)。この特徴抽出処理は、上記合成画像Gsから口部マークx3に似た形状の画像部位(口部特徴部位)を抽出する処理である。演算装置3Aは、このような特徴抽出処理に基づいて合成画像Gsにおける口部特徴部位を口部マーク候補として抽出する。
【0082】
このような口部マーク候補は1あるいは複数抽出されるが、演算装置3Aは、複数の口部マーク候補に対して排他処理を施すことにより、口部マーク候補を1つに絞り込む(ステップS4a)。この排他処理は、例えば口部マーク候補の大きさを条件としたものであり、口部マークx3の大きさに対して極端に大きな口部マーク候補は除外される。
【0083】
そして、演算装置3Aは、排他処理によって1つに絞り込まれた口部マーク候補について、口部マークx3として特定して良いか否かの判断処理を行う(ステップS5a)。この判断処理では、口部マーク候補の形状及び大きさが再度評価され、口部マーク候補が真に口部マークx3であるか否かが判定される。そして、演算装置3Aは、ステップS5aの判断が「Yes」の場合、口部マーク候補を口部マークx3として特定する。
【0084】
続いて、演算装置3Aは、ステップS5aの判断処理の結果が「Yes」となると、キャップ画像に関する特徴抽出処理を行う(ステップS6a)。この特徴抽出処理は、上記合成画像Gsからキャップマークy4に似た形状の画像部位(キャップ特徴部位)を抽出する処理である。演算装置3Aは、このような特徴抽出処理に基づいて合成画像Gsにおけるキャップ特徴部位をキャップマーク候補として抽出する。
【0085】
このようなキャップマーク候補は1あるいは複数抽出されるが、演算装置3Aは、複数のキャップマーク候補に対して排他処理を施すことにより、キャップマーク候補を1つに絞り込む(ステップS7a)。この排他処理は、例えばキャップマーク候補の大きさを条件としたものであり、キャップマークy4の大きさに対して極端に大きなキャップマーク候補は除外される。
【0086】
そして、演算装置3Aは、排他処理によって1つに絞り込まれたキャップマーク候補について、キャップマークy4として特定して良いか否かの判断処理を行う(ステップS8a)。この判断処理では、キャップマーク候補の形状及び大きさが再度評価され、キャップマーク候補が真にキャップマークy4であるか否かが判定される。そして、演算装置3Aは、ステップS8aの判断が「Yes」の場合、キャップマーク候補をキャップマークy4として特定する。
【0087】
演算装置3Aは、このようにして口部マークx3及びキャップマークy4を特定すると、巻締角θの計算処理を行う(ステップS9a)。この計算処理において、演算装置3は、
図10に示すように、合成画像Gsにおける基準角(0°)に対する口部マークx3の角度偏差θ
1を第1の相対位置として計算する。
【0088】
また、演算装置3Aは、同じく
図10に示すように、合成画像Gsにおける基準角(0°)に対するキャップマークy4の角度偏差θ
2を第2の相対位置として計算する。そして、演算装置3Aは、角度偏差θ
1と角度偏差θ
2との差分(θ
1-θ
2)を巻締角θとして計算する。すなわち、演算装置3Aは、第1の相対位置と第2の相対位置との位置関係に基づいて巻締角θを算出する。
【0089】
そして、演算装置3Aは、この巻締角θが所定のしきい値θrefの範囲内か否かを判断する(ステップS10a)。このステップS10aの判断が「Yes」の場合、演算装置3Aは、巻締角θのペットボトルB1を合格と判定する(ステップS11a)。また、このステップS10aの判断が「No」の場合、演算装置3Aは、巻締角θのペットボトルB1を不合格と判定する(ステップS12a)。なお、上述したステップS5a、S8aの判断が「No」の場合も、巻締角θのペットボトルB1は不合格と判定される(ステップS12a)。
【0090】
このように、第2実施形態に係る巻締角検査装置A1は、ペットボトルB1の側方に所定間隔で配置された4台の共用カメラ5A~5Dを用いて口部画像(第1の物体画像)及びキャップ画像(第2の物体画像)を撮像する。すなわち、この巻締角検査装置A1は、ペットボトルB1の側方から視認可能な口部マークx3及びキャップマークy4に対して、同じく側方に所定の間隔で設けられた4台の共用カメラ5A~5Dを備える。
【0091】
このような巻締角検査装置A1によれば、4台の共用カメラ5A~5Dを用いてペットボトルB1の巻締角θを検査するので、従来のような特殊な光学系レンズ(外部光学系)を用いる必要がない。したがって、第2実施形態によれば、カメラ以外の外部光学系を用いない巻締角検査装置A1を提供することが可能である。
【0092】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)上記第1、第2実施形態では、ペットボトルB、B1を検査対象物としたが、本発明はこれに限定されない。本発明は、第1マークが設けられた第1物体に第2マークが設けられた第2物体が螺合する様々な検査対象物に適用することができる。
【0093】
(2)上記第1実施形態では、4台の口部用カメラ1A~1Dを設けることによって第1~第4の口部画像(第1物体画像)を取得したが、本発明はこれに限定されない。口部用カメラの個数つまり第1物体画像の枚数は、4以外でも良い。
【0094】
例えば、ボトル口部x1の周りにおける角度割りを、120°に設定することにより3台の口部用カメラで第1物体を撮像してもよい。また、巻締角θの取りうる値が比較的狭い角度範囲に限定される場合には、1台の口部用カメラで第1物体を撮像してもよい。
【0095】
また、このことは第2実施形態についても同様である。すなわち、4台の共用カメラ5A~5Dに代えて、4台以外の台数の共用カメラを用いて共用画像(第1、第2物体画像)を取得してもよい。
【0096】
(3)上記第1、第2実施形態では、口部画像、キャップ画像及び共用画像を可視画像として撮像する第1~第4の口部用カメラ1A~1D、キャップ用カメラ2及び共用カメラ5A~5Dを採用したが、本発明はこれに限定されない。
【0097】
すなわち、検査対象物によっては口部マークx3(第1物体マーク)及び/またはキャップマークy3、y4(第2物体マーク)を不可視マークとして設けられることが考えられる。この不可視マークとしては、不可視な波長帯、例えば紫外線の波長帯に感応する紫外線カメラによって撮像可能なものが考えられる。このような不可視マークについては、例えば紫外線カメラのように不可視マークを撮像可能なカメラを採用すればよい。
【0098】
(4)上記第1、第2実施形態では、出力手段として表示装置4を採用したが、本発明はこれに限定されない。例えば記憶装置や通信装置あるいは警報装置を出力手段として採用してもよい。
【0099】
(5)上記第1、第2実施形態では、巻締角θがしきい値θrefの範囲内にある場合にペットボトルB、B1を合格判定したが、本発明はこれに限定されない。本実施形態における合格/不合格の判定手法では、巻締角θが360°以上多いあるいは少ない場合つまりキャップYの巻締回転数が1回転以上多いあるいは少ない場合に合格判定することになる。
【0100】
このような問題に対して、
図3(b)に示す寸法Lxy(上下方向におけるボトル本体XとキャップYとの位置関係を示す距離)を測定し、この寸法Lxyが所定の評価値の範囲内にある場合に合格判定することが考えられる。巻締角θが360°以上多いあるいは少ない場合、寸法Lxyは、本来の値に対して大幅にずれた値となる。なお、寸法Lxyは、例えばキャップ天面y2から口部マークx3が設けられたネックリング部の下端までの距離、あるいはキャップYの底面部から上記ネックリング部の下端までの距離である。
【0101】
(6)上記第1、第2実施形態では、円筒状のペットボトルB、B1を検査対象物をしたが、本発明はこれに限定されない。本発明は、円筒状以外の形状の検査対象物、例えば多角形の検査対象物にも適用可能である。
【符号の説明】
【0102】
A、A1 巻締角検査装置
B、B1 ペットボトル(検査対象物)
Gc キャップ画像
Gk 結合画像
Gs 合成画像
R1 第1範囲
R2 第2範囲
R3 第3範囲
R4 第4範囲
X ボトル本体(第1物体、容器本体)
x1 ボトル口部
x2 口部周面
x3 口部マーク(第1物体マーク)
Y、Y1 キャップ(第2物体、蓋)
y1 キャップ周面
y2 キャップ天面
y3、y4 キャップマーク(第2物体マーク)
1A~1D 口部用カメラ(カメラ)
2 キャップ用カメラ(カメラ)
3、3A 演算装置(評価手段)
4 表示装置(出力手段)
5A~5D 共用カメラ(カメラ)