(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】プラグ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/52 20060101AFI20240131BHJP
H01R 13/713 20060101ALI20240131BHJP
H01R 31/02 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
H01R13/52 302E
H01R13/713
H01R31/02 D
(21)【出願番号】P 2020195653
(22)【出願日】2020-11-26
(62)【分割の表示】P 2019217867の分割
【原出願日】2016-04-25
【審査請求日】2020-11-26
【審判番号】
【審判請求日】2022-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000109598
【氏名又は名称】テンパール工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古用 智弘
(72)【発明者】
【氏名】馬場 隆
(72)【発明者】
【氏名】長友 律子
【合議体】
【審判長】小川 恭司
【審判官】久島 弘太郎
【審判官】中屋 裕一郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-38495(JP,U)
【文献】実開昭56-155482(JP,U)
【文献】特開2015-15138(JP,A)
【文献】特開2000-67680(JP,A)
【文献】特開2004-327169(JP,A)
【文献】特開平7-21874(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/40-13/533
H01R 13/56-13/72
H01R 27/00-31/08
H01H 83/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンセントに差し込まれる電極プラグを備えたプラグであって、
複数のボタン設置用孔が所定面に形成され、前記電極プラグが突設された筐体と、
前記所定面から外方に露出するように前記複数のボタン設置用孔に設置された複数のボタンと、
前記複数のボタンが前記複数のボタン設置用孔に設置された前記筐体における前記所定面の外方から、前記複数のボタンの配置位置を含む前記所定面の少なくとも一部を覆うキャップと
を備え、
前記キャップにおける前記筐体との対向面には、該対向面から前記筐体側に突出したキャップ側突出部が設けられ、
前記筐体の前記所定面には、前記キャップ側突出部が差し込まれる筐体側突出用孔が設けられ、
前記キャップによって覆われた前記筐体の前記所定面に前記キャップの外方から貼り付けられた銘板を更に備え、
前記筐体の前記所定面には、前記銘板の外郭形状と概ね同一形状の銘板用溝が形成され、
前記銘板は、前記銘板用溝に嵌め込まれる平板であり、
前記筐体側突出用孔は、前記銘板用溝内に形成される、
ことを特徴とするプラグ。
【請求項2】
請求項1において、
前記キャップには、前記複数のボタンのそれぞれが何であるかの表示がされている
ことを特徴とするプラグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンセントに差し込まれる電極プラグを備えたプラグに関する。
【背景技術】
【0002】
工事現場や建物内では、様々な電気機器が負荷機器として利用されている。負荷機器では、何らかの理由により漏電が発生することがあるため、例えば特許文献1に開示されるような漏電検知遮断装置及び特許文献2に開示されるような栓刃付漏電遮断器が利用されることがある。特許文献1の漏電検知遮断装置は、コンセントと負荷機器とを電気的に繋ぎ、当該負荷機器において漏電が発生した場合にはこれを瞬時に検知して負荷機器への通電を遮断する。特許文献2の栓刃付漏電遮断器も、特許文献1と同様のものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-19313号公報
【文献】実開昭63-079043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の漏電検知遮断装置には、漏電検知遮断装置が正常に動作するかを確認するためのテストボタンが設けられている。テストボタンが押下されると、漏電検知遮断装置は、負荷機器への通電を遮断する。上記特許文献2の栓刃付漏電遮断器においても、カバー上面中央部にテストボタンが設けられている。
【0005】
このようなテストボタンは、筐体に形成された孔(窓部)を介して、筐体の内部から外方に露出するように設けられていることが一般的である。しかし、孔を形成する縁部分とテストボタンの表面との隙間を介して塵埃が筐体内に侵入し、その塵埃がプリント基板に実装された制御回路を短絡させるおそれがある。
【0006】
これに対し、フレキシブルな樹脂等で形成されたキャップによって、テストボタンを筐体の外方から覆うことが考えられる。しかし、キャップが筐体に確実に固定されていないと、キャップを介してテストボタンが押下された際にキャップが筐体から外れ、筐体内に塵埃が侵入するおそれが生じてしまう。
【0007】
上記の点に鑑み、本発明は、キャップが筐体に確実に固定されたプラグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係るプラグは、コンセントに差し込まれる電極プラグを備えたプラグであって、複数のボタン設置用孔が所定面に形成され、前記電極プラグが突設された筐体と、前記所定面から外方に露出するように前記複数のボタン設置用孔に設置された複数のボタンと、前記複数のボタンが前記複数のボタン設置用孔に設置された前記筐体における前記所定面の外方から、前記複数のボタンの配置位置を含む前記所定面の少なくとも一部を覆うキャップと、を備える。そして、前記キャップにおける前記筐体との対向面には、該対向面から前記筐体側に突出したキャップ側突出部が設けられ、前記筐体の前記所定面には、前記キャップ側突出部が差し込まれる筐体側突出用孔が設けられている。さらに、前記キャップによって覆われた前記筐体の前記所定面に貼り付けられた銘板を更に備え、前記筐体の前記所定面には、前記銘板の外郭形状と概ね同一形状の銘板用溝が形成され、前記銘板は、前記銘板用溝に嵌め込まれる平板である。
【0009】
このプラグでは、キャップに設けられたキャップ側突出部が筐体における筐体側突出用孔に差し込まれる。これにより、キャップは、ボタン及びボタンが設置された筐体の所定面の少なくとも一部を覆った状態で、筐体における所定面のうち決められた位置に確実に固定される。
【0010】
また、一般的に、キャップがゴム等の比較的フレキシブルな樹脂で形成されていると、キャップを介してボタンを押した際に、キャップの端面が押下方向とは逆の方向に反り返るおそれがある。しかし、ここでは、キャップは、上述のように筐体に確実に固定されているため、キャップが仮に上記のような素材で形成されていたとしても、ボタンを押した際のキャップ端面の反り返りは生じにくくなる。
【0011】
従って、キャップを介してボタンが押下された際にキャップが筐体から外れる可能性は低くなり、筐体内に塵埃が侵入するおそれは抑制される。
【0012】
また、前記筐体の前記所定面には、該所定面から前記キャップ側に突出する筐体側突出部が設けられ、前記キャップには、前記筐体側突出部が差し込まれるキャップ側突出用孔が設けられていてもよい。
【0013】
ここでは、キャップに設けられたキャップ側突出部及び筐体に設けられた筐体側突出用孔とは別途、筐体に設けられた筐体側突出部がキャップに設けられたキャップ側突出用孔に差し込まれる。これにより、キャップは、ボタン等を覆った状態にて、より確実に筐体の所定面に固定される。
【0014】
また、前記キャップは、前記ボタンを覆うボタン覆い部を有し、前記キャップ側突出部及び前記キャップ側突出用孔は、前記ボタン覆い部の周りに位置していてもよい。
【0015】
これにより、キャップは、ボタンを確実に覆った状態にて、より強固に筐体の所定面に固定される。
【0016】
また、前記キャップ側突出部には、該キャップ側突出部が前記筐体側突出用孔に差し込まれた際、前記キャップ側突出部が前記筐体側突出用孔から離れることを規制する規制部が形成されていてもよい。
【0017】
これにより、所定面に取り付けられたキャップを介してボタンが押下されても、キャップ側突出部が筐体側突出用孔に差し込まれた状態は維持され続ける。
【0018】
また、前記キャップによって覆われた前記筐体の前記所定面に配置された銘板、が更に備えられていてもよい。
【0019】
これにより、キャップがボタン覆い部を有する際、ボタン覆い部の周りが銘板によって筐体に固定されるから、キャップはより強固に筐体の所定面に固定される。このように、キャップの外方に銘板が配置されていても、上述のようにキャップボタン端面の反り返りが抑制されることと相まって、ボタンキャップ端面の捲れにより銘板がキャップから外れることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、キャップは、筐体における所定面のうち決められた位置に確実に固定される。従って、キャップを介しボタンが押下された際にキャップが筐体から外れる可能性は低くなり、筐体内に塵埃が侵入するおそれが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】プラグの正面付近の構成部品の分解図である。
【
図3】ボタンキャップを裏面側から見た場合の図である。
【
図4】ボタンキャップが取り付けられた筐体の、
図2のX方向に沿った断面であって、且つ、
図3の一点鎖線IVの部分のみを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態は、本質的に例示にすぎず、本発明、その適用範囲あるいはその用途を制限することを意図するものではない。
【0023】
≪実施形態≫
(プラグの概要)
本実施形態に係るプラグ10は、工事現場や建物に設置されたコンセントと負荷機器とを電気的に繋ぎ、当該負荷機器において漏電が発生した場合にはこれを瞬時に検知して商用電力の負荷機器への供給を遮断する漏電検知遮断器である。特に、プラグ10は、上記コンセントが、アースピン差込穴がある3極コンセントである場合及びアースピン差込穴のない2極コンセントである場合の両方において、アダプタなしで使用できるプラグとなっている。
【0024】
なお、以下では、プラグ10がコンセントに差し込まれた状態において、手前側を向くプラグ10の面を「正面」、コンセントと対向する面を「背面」と呼称する。プラグ10がコンセントに差し込まれた状態を基準に、「上」、「下」、「左」の各方向を定義する。
【0025】
図1に示すように、プラグ10における筐体20の正面21には、上から下に向かって順に、電源表示部21a及び極数表示部21b、商用電力の負荷機器への供給をオンさせるためのONボタン21c、プラグ10が正常動作するか(即ち、漏電発生の際に負荷機器への商用電力の供給が遮断されるか)を確かめるためのテストボタン21d、が設けられている。
図1では、電源表示部21aが極数表示部21bよりも左側面28側に位置している場合を例示している。
【0026】
更に、筐体20の正面21の下部及び底面23には、上記負荷機器との接続口となる3極コンセント部31,33が1つずつ設けられている。筐体20の背面24には、上記コンセントに差し込まれるための差し込みプラグ25が設けられている。つまり、プラグ10は、筐体20の正面21を手前側として差し込みプラグ25が上記コンセントに差し込まれ、且つ3極コンセント部31,33に負荷機器のプラグが差し込まれることで、上記コンセントと上記負荷機器とを電気的に繋ぐ。
【0027】
プラグ10の背面24における差し込みプラグ25の下方且つ左側面28寄りの位置には、プラグ10のアース端子の機能を有する圧着端子26が設けられている。筐体20の左側面28のうち上面22寄りには、差し込みプラグ25の極数切換のための解除ボタン28aが設けられている。
【0028】
このようなプラグ10では、ONボタン21cを押下して差し込みプラグ25が上記コンセントに差し込まれた際、電源表示部21aが点灯する。すなわち、電源表示部21aは、通電状態を表示するためのものであって、プラグ10を介してコンセントと負荷機器等との間における通電が可能な状態となると、電源表示部21aは点灯する。これにより、プラグ10を使用するユーザは、商用電力が正常に導通されていることを把握することができる。上記コンセントと上記負荷機器とが電気的に接続された状態にて、負荷機器側にて過電流または漏電が生じた場合、商用電力の負荷機器への供給はプラグ10内にて遮断され、ONボタン21cが押下状態から正面側に突出遷移し、電源表示部21aは消灯する。これにより、ユーザは、過電流または漏電が生じたことを把握することができる。
【0029】
また、テストボタン21dが押下されると、筐体20内部では擬似的に地絡状態が作り出され、3極コンセント部31,33への電力の供給が経たれる。この場合にも、電源表示部21aは消灯する。これにより、ユーザは、プラグ10が正常に動作していること(テストが正常に行われたこと)を把握することができる。
【0030】
過電流または漏電が生じた後、及びテストボタン21dによるプラグ10の動作確認が終了した後は、ONボタン21cが再度押下されることにより、プラグ10は再び漏電検知遮断器として使用することが可能となる。
【0031】
また、プラグ10を上記コンセントに差し込む際、コンセントが2極用であればプラグ10の差し込みプラグ25を2極とし、コンセントが3極用であれば差し込みプラグ25を3極とする必要がある。解除ボタン28aは、コンセントが3極用であるにも関わらず差し込まれる差し込みプラグ25が2極の状態であることを防止するためのものであって、極数表示部21bは、差し込みプラグ25の極数の状態を表すものである。
【0032】
具体的に、差し込みプラグ25は、2本の電極プラグ25aと1本のアースプラグ25bとで構成されている。解除ボタン28aの押下の有無にかかわらず、2本の電極プラグ25aは、常に背面24から突設されている。アースプラグ25bは、解除ボタン28aが押下されていない状態では、筐体20内でロックされた状態であり、2本の電極プラグ25aと概ね平行に背面24から突設されている。解除ボタン28aが押下されると、アースプラグ25bのロックは解除され、アースプラグ25bは筐体20内に収納可能な状態となる。
【0033】
それ故、解除ボタン28aが押下されていない状態では、差し込みプラグ25は、3極の状態を維持する。この状態のプラグ10は、3極コンセントに差し込むことができる。
【0034】
一方、2極コンセントにプラグ10を差し込む際、ユーザは、解除ボタン28aを押し続けながらプラグ10を2極コンセントに差し込む。この際、ロック解除されたアースプラグ25bの先端がやがて2極コンセントの表面に当接した状態となる。なおもプラグ10が2極コンセントに差し込まれていくことで、アースプラグ25bには、2極コンセントへの差し込み方向とは逆の方向に力がかかり、アースプラグ25bは筐体20内に収納される。この際、極数表示部21bには、差し込みプラグ25が2極の状態である旨を示す色が表示される。
【0035】
2極コンセントに差し込まれているプラグ10が該コンセントから引き抜かれると、アースプラグ25bは自動的に筐体20の背面24から突出し、差し込みプラグ25は
図1の状態(3極の状態)に戻る。この際、極数表示部21bには、差し込みプラグ25が3極の状態である旨を示す色が表示される。
【0036】
(筐体の正面付近の構成について)
以下、プラグ10の正面付近の構成について、
図2~
図4を用いて説明する。
【0037】
図2に示すように、プラグ10は、上述した筐体20、ONボタン21c及びテストボタン21d(ボタンに相当)に加え、ボタンキャップ76(キャップに相当)及び銘板79を備える。ONボタン21c、テストボタン21d、ボタンキャップ76及び銘板79は、いずれも筐体20の正面21付近に配設されている。
【0038】
-筐体-
筐体20は、
図1の上下(
図2のX方向)に細長い中空の形状を有する。なお、図示していないが、筐体20は、Z方向の中央部分でZ方向に2つの部材に分離可能となっている。分離された2つの部材は、ネジ止めされることにより、
図2に示す形状となる。
【0039】
筐体20の内部には、漏電を検知して負荷機器への通電を遮断するための回路が実装されたプリント基板、アースプラグ25bを筐体20の外方に露出させたり筐体20内に収納したりする機構等が収納されている。
【0040】
このような筐体20の正面21には、
図2に示すように、銘板79の外郭形状と概ね同一形状の銘板用溝70と、ボタンキャップ76の外郭形状と概ね同一形状のキャップ用溝71とが形成されている。銘板用溝70は、正面21の大きさと概ね同一であって、銘板79が嵌め込まれるように、正面21全体が、正面21の縁部から銘板79の厚み程度Z方向に深くなっている。キャップ用溝71は、銘板用溝70内に形成されており(即ち、銘板用溝70の面積よりも小さい)、該溝70よりも更にZ方向に深く形成されている。これらの溝70,71は、銘板79及びボタンキャップ76それぞれの配置位置を決定する、いわゆる位置決めの役割を担っていると言える。
【0041】
銘板用溝70内であって且つキャップ用溝71付近には、上述した各表示部21a,21bに対応する貫通孔70a,70bが形成されている。貫通孔70a,70bに対応する筐体20内部には、各表示部21a,21bを構成するLED等が配置されている。
【0042】
また、筐体20の正面21におけるキャップ用溝71内には、ONボタン21cが嵌め込まれるONボタン設置用孔72、及び、テストボタン21dが嵌め込まれるテストボタン設置用孔73が形成されている(いずれの孔72,73もボタン設置用孔に相当)。各ボタン設置用孔72,73の開口面積は、嵌め込み対象となるボタン21c,21dの大きさよりも若干大きい。各ボタン設置用孔72,73は、各ボタン21c,21dの配置位置を決定する、いわゆる位置決めの役割を担っていると言える。
【0043】
更に、筐体20の正面21におけるキャップ用溝71内には、複数の筐体側突出用孔74a~74c及び複数の筐体側突出部75a,75bが形成されている。
【0044】
筐体側突出用孔74a~74cは、キャップ用溝71の縁部近傍において、互いに離れて位置している。具体的に、
図2では、2つの筐体側突出用孔74a,74cは、Y方向において、ONボタン設置用孔72を挟んで互いに対称となる位置に形成され、1つの筐体側突出用孔74bは、キャップ用溝71内かつ当該溝71の近傍のうち、テストボタン設置用孔73よりも3極コンセント部31側となる位置に形成されている。
【0045】
2つの筐体側突出部75a,75bは、X方向において、ONボタン設置用孔72を挟むようにして位置している。
図2においてX方向に着目すると、正面21側から底面23側にかけて、筐体側突出部75a、ONボタン設置用孔72、筐体側突出部75b、テストボタン設置用孔73、筐体側突出用孔74bが、この順でキャップ用溝71内に位置している。
【0046】
そして、各筐体側突出部75a,75bは、筐体20の正面21からZ方向に沿ってボタンキャップ76側に突出しており、その突出方向先端部は、概ね平らとなっている。各筐体側突出部75a,75bの突出方向先端部の面積は、各筐体側突出用孔74a~74cの開口面積よりも大きい。
【0047】
-各種ボタン-
ONボタン21c及びテストボタン21dは、樹脂等によって形成されている。
【0048】
ONボタン21cは、一部分が正面21から外方に露出し、残りの部分はONボタン設置用孔72内に嵌め込まれて収まるようにして、ONボタン設置用孔72に設置される。
【0049】
テストボタン21dは、一部分が正面21から外方に露出し、残りの部分はテストボタン設置用孔73内に嵌め込まれて収まるようにして、テストボタン設置用孔73に設置される。
【0050】
-ボタンキャップ-
ボタンキャップ76は、例えばゴム等の、絶縁性を有しフレキシブルな素材によって形成されている。ボタンキャップ76は、ONボタン21cがONボタン設置用孔72に設置され且つテストボタン21dがテストボタン設置用孔73に設置された筐体20における正面21の外方から、キャップ用溝71に嵌め込まれる。これにより、ONボタン21c及びテストボタン21dとその付近とは、1つのボタンキャップ76によって一体的に覆われる。即ち、ボタンキャップ76は、各ボタン21c,21dの配置位置を含む正面21の少なくともに一部を覆う。
【0051】
具体的に、ボタンキャップ76は、
図2及び
図3に示すように、ONボタン覆い部77c及びテストボタン覆い部77dを有する(いずれもボタン覆い部に相当)。ONボタン覆い部77cは、ONボタン21cの配置位置に対応して設けられており、ONボタン21cの露出部分の形状に対応して外方、即ちボタンキャップ76の表面77側に膨出している。テストボタン覆い部77dは、テストボタン21dの配置位置に対応して設けられており、テストボタン21dの露出部分の形状に対応して外方、即ちボタンキャップ76の表面77側に膨出している。
【0052】
なお、ボタンキャップ76の表面77の平坦な部分を基準とすると、ONボタン覆い部77cの外方への膨出量は、筐体20に配置されたONボタン21cの正面21からの突出量よりも大きい。テストボタン覆い部77dの外方への膨出量も、筐体20に配置されたテストボタン21dの正面21からの突出量よりも大きい。
【0053】
図3に示すように、ボタンキャップ76の裏面78(筐体20との対向面に相当)には、キャップ側突出部78a~78cが設けられている。キャップ側突出部78a~78cは、筐体20の筐体側突出用孔74a~74cの各位置に対応しており、裏面78から筐体20側に突出している。キャップ側突出部78a~78cそれぞれの突出方向先端部分は、丸みを帯びた形状となっている。キャップ側突出部78a~78cは、突出方向に垂直な面での断面積が、対応する筐体側突出用孔74a~74cの開口面積よりも若干大きい部分を有する。
【0054】
これにより、ボタンキャップ76が筐体20のキャップ用溝71に取り付けられる際、
図4に示すように、ボタンキャップ76におけるキャップ側突出部78a~78cそれぞれが、対応する筐体側突出用孔74a~74cに差し込まれる。この際、上述のように、キャップ側突出部78a~78cは、筐体側突出用孔74a~74cよりも若干大きいため、差し込まれた後のキャップ側突出部78a~78cは筐体側突出用孔74a~74cから離れにくくなる。つまり、キャップ側突出部78a~78cのうち、断面積が筐体側突出用孔74a~74cの開口面積よりも大きい部分は、差し込まれた後のキャップ側突出部78a~78cが筐体側突出用孔74a~74cから離れることを規制する規制部、としての役割を担っている。
【0055】
更に、
図2及び
図3に示すように、ボタンキャップ76には、表面77から裏面78に貫通するようにして、複数のキャップ側突出用孔76a,76bが形成されている。キャップ側突出用孔76a,76bは、筐体20の筐体側突出部75a,75bの各位置に対応しており、対応する筐体側突出部75a,75bが差し込まれる。キャップ側突出用孔76a,76bの開口面積は、筐体側突出部75a,75bにおける突出方向に垂直な面での断面積と概ね同一となっている。筐体側突出部75a,75bの突出高さ(
図2のZ方向の高さ)は、ボタンキャップ76の厚み(即ち裏面78から表面77までの厚み)と概ね同一である。従って、
図4に示すように、ボタンキャップ76が筐体20の正面21に取り付けられた際、筐体側突出部75a,75bの突出方向先端部分とボタンキャップ76の表面77とは、概ね面一となる。
【0056】
本実施形態では、キャップ側突出部78a~78cそれぞれが筐体側突出用孔74a~74cに差し込まれるのみならず、キャップ側突出用孔76a,76bに筐体側突出部75a,75bが差し込まれる。これにより、ボタンキャップ76は、キャップ側突出部78a~78cが筐体側突出用孔74a~74cに差し込まれるのみの場合よりも、より確実に筐体20の正面21に取り付けられる。
【0057】
そして、上述したキャップ側突出部78a~78c及びキャップ側突出用孔76a,76bそれぞれの位置関係をまとめると、ONボタン覆い部77cの周りに、ONボタン覆い部77cを囲うようにして、キャップ側突出部78a,78c及びキャップ側突出用孔76a,76bが交互に位置している。また、テストボタン覆い部77dの周りに、テストボタン覆い部77dを挟むようにして、キャップ側突出部78bとキャップ側突出用孔76bとが位置している。これによっても、ボタンキャップ76は、各ボタン21c,21d付近を覆った状態にて、より確実に筐体20に固定されると言える。
【0058】
-銘板-
銘板79は、筐体20の正面21における各表示部21a,21b、各ボタン21c,21d及び3極コンセント部31それぞれが何であるのかを記した平板であって、これらの表記がされた面を表面とする。銘板79には、
図2に示すように、各表示部21a,21b、各ボタン21c,21d及び3極コンセント部31それぞれに対応する位置に、各部21a~21d,31が露出できる大きさの穴79a~79eが空いている。
【0059】
このような銘板79は、その裏面が、ボタンキャップ76によって覆われた筐体20の正面21に対向するようにして、筐体20の銘板用溝70の位置にあわせて貼り付けられる。
【0060】
特に、上述したように、筐体側突出部75a,75bの突出方向先端部分とボタンキャップ76の表面77とが概ね面一であるため(
図4参照)、銘板79は、各ボタン覆い部77c,77dを除いたボタンキャップ76の表面77に当接し貼り付けられる。
【0061】
本実施形態では、ボタンキャップ76のキャップ側突出部78a~78cが筐体20の筐体側突出用孔74a~74cそれぞれに差し込まれることで、ボタンキャップ76は強固に筐体20の正面21に取り付けられる。それ故、各ボタン21c,21dが押されたとしても、ボタンキャップ76の端面が捲れて銘板79が剥がれるようなことがない。
【0062】
(効果)
本実施形態では、ボタンキャップ76に設けられたキャップ側突出部78a~78cが筐体20における筐体側突出用孔74a~74cに差し込まれる。これにより、ボタンキャップ76は、各ボタン21c,21dの配置位置を含む正面21の一部を覆った状態で、筐体20の正面21のうち決められた位置に確実に固定される。
【0063】
また、一般的には、ボタンキャップ76がゴム等のフレキシブルな樹脂で形成されていると、ボタンキャップ76を介して各ボタン21c,21dを押した際、ボタンキャップ76の端面が押下方向とは逆の方向に反り返るおそれがある。しかし、本実施形態では、ボタンキャップ76は、上述のように筐体20に確実に固定されており、各ボタン21c,21dを押した際のボタンキャップ76端面の反り返りは生じにくくなる。
【0064】
従って、ボタンキャップ76を介して各ボタン21c,21dが押下された際にボタンキャップ76が筐体20から外れる可能性は低くなり、筐体20内に塵埃が侵入するおそれは抑制される。
【0065】
また、本実施形態では、キャップ側突出部78a~78c及び筐体側突出用孔74a~74cとは別途、筐体20の筐体側突出部75a,75bがボタンキャップ76のキャップ側突出用孔76a,76bに差し込まれる。これにより、ボタンキャップ76は、各ボタン21c,21d等を覆った状態にて、より確実に筐体20の正面21に固定される。
【0066】
また、本実施形態では、キャップ側突出部78a~78c及びキャップ側突出用孔76a,76bは、各ボタン覆い部77c,77dの周りに位置している。これにより、ボタンキャップ76は、各ボタン21c,21dを確実に覆った状態にて、より強固に筐体20の正面21に固定される。
【0067】
また、本実施形態では、キャップ側突出部78a~78cには、該突出部78a~78cが筐体側突出用孔74a~74cに差し込まれた際、キャップ側突出部78a~78cが筐体側突出用孔74a~74cから離れることを規制する規制部が形成されている。これにより、ボタンキャップ76が筐体20の正面21に取り付けられている状態にて、ボタンキャップ76を介して各ボタン21c,21dが何度押下されても、キャップ側突出部78a~78cが筐体側突出用孔74a~74cに差し込まれた状態は維持され続ける。
【0068】
また、本実施形態では、銘板79がボタンキャップ76の外方に配置されている。これにより,ボタン覆い部77c,77dの周りが銘板79によって筐体20に固定されるから、ボタンキャップ76はより強固に筐体20の正面21に固定される。そして、各ボタン21c,21dの押下の際のボタンキャップ76端面の反り返りが抑制されることと相まって、ボタンキャップ76端面の捲れにより銘板79がボタンキャップ76から外れることを抑制することができる。
【0069】
≪その他の実施形態≫
ONボタン設置用孔72、テストボタン設置用孔73、筐体側突出用孔74a~74c、筐体側突出部75a,75b、キャップ側突出用孔76a,76b、キャップ側突出部78a~78cの位置、大きさ、形状、数は、
図2~4に限定されない。
【0070】
キャップ側突出用孔76a,76b及び筐体側突出部75a,75bは、必ずしも設けられずともよい。
【0071】
上記実施形態では、各ボタン覆い部77c,77dの周りに、キャップ側突出部78a~78c及びキャップ側突出用孔76a,76bが配置されていると説明したが、この配置に限定されずとも良い。
【0072】
キャップ側突出部78a~78cが有する規制部の態様は、上記実施形態に限定されない。規制部の態様は、キャップ側突出部78a~78cの突出方向先端部分が突出方向とは異なる方向に折り返されて成る構成や、先端部分のみが筐体側突出用孔74a~74cの開口面積よりも大きい球形状である構成等であってもよい。
【0073】
また、キャップ側突出部78a~78cが筐体側突出用孔74a~74cに差し込まれるのみでボタンキャップ76が筐体20の正面21に十分固定できる場合は、規制部は設けられずとも良い。
【0074】
銘板79は、設けられずとも良い。例えば、銘板79を設けない代わりに、ボタンキャップ76及び筐体20の正面21そのものに、各表示部21a,21b等の表示がなされていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、コンセントに差し込まれる電極プラグを備えたプラグであって、キャップが筐体における所定面のうち決められた位置に確実に固定されるように構成されている。それ故、本発明は、幅広く適用されるプラグとして有用である。
【符号の説明】
【0076】
10 プラグ
20 筐体
21 正面(所定面)
21c ONボタン(ボタン)
21d テストボタン(ボタン)
25a 電極プラグ
72,73 ボタン設置用孔
74a~74c 筐体側突出用孔
76 ボタンキャップ(キャップ)
77c ONボタン覆い部(ボタン覆い部)
77d テストボタン覆い部(ボタン覆い部)
78a~78c キャップ側突出部
79 銘板