(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】新規化合物及びその応用、並びにこの化合物を使用する有機エレクトロルミネッセンスデバイス
(51)【国際特許分類】
C07F 5/02 20060101AFI20240131BHJP
C07F 19/00 20060101ALI20240131BHJP
C07F 7/10 20060101ALI20240131BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20240131BHJP
【FI】
C07F5/02 A CSP
C07F19/00
C07F7/10 S
H05B33/14 B
(21)【出願番号】P 2021578163
(86)(22)【出願日】2020-07-02
(86)【国際出願番号】 CN2020099815
(87)【国際公開番号】W WO2021008374
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2021-12-28
(31)【優先権主張番号】201910649982.X
(32)【優先日】2019-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201911200466.5
(32)【優先日】2019-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513322718
【氏名又は名称】清華大学
【氏名又は名称原語表記】TSINGHUA UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】1 Qinghuayuan, Haidian District, Beijing 100084, China
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】段 錬
(72)【発明者】
【氏名】張 躍威
(72)【発明者】
【氏名】張 東東
【審査官】谷尾 忍
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109411634(CN,A)
【文献】再公表特許第2017/188111(JP,A1)
【文献】国際公開第2018/203666(WO,A1)
【文献】カナダ国特許出願公開第03017010(CA,A1)
【文献】特開2020-120096(JP,A)
【文献】国際公開第2019/198698(WO,A1)
【文献】MATSUI,K. et al.,One-Shot Multiple Borylation toward BN-Doped Nanographenes,Journal of the American Chemical Society,2018年,Vol.140, No.4,p.1195-1198
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 5/02
C07F 19/00
C07F 7/10
H10K 50/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式2-1、2-2または2-3:
【化2】
(式2-1、2-2または2-3において、
R
1~R
20、R
22
及びR
23
はそれぞれ独立して、水素、重水素、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲンまたは置換若しくは無置換のC1~C30の鎖状アルキル基、C3~C30のシクロアルキル基、C1~C10のアルコキシ基、C1~C10のチオアルコキシ基、C6~C30のアリールアミノ基、C3~C30ヘテロアリールアミノ基、C6-C60のアリール基、C6-C60のアリールオキシ基、またはC5-C60のヘテロアリール基のいずれかであり、かつR
1~R
20、R
22
及びR
23
のうち同じベンゼン環に連結されている隣接する2つの基は互いに結合して隣接するベンゼン環とともにC5~C30のアリール基環またはC5~C30のヘテロアリール基環を形成してもよく、かつ形成された環の少なくとも1つの水素はC6~C30のアリールアミノ基、C3~C30ヘテロアリールアミノ基
、C6~C60の縮合環アリール基、C6~C60のアリールオキシ基
、C5~C60の縮合環ヘテロアリール基、ハロゲン、C1~C30の鎖状アルキル基、C3~C30のシクロアルキル基、C1~C10のアルコキシ基、C1~C10のチオアルコキシ基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基またはアミノ基のいずれかで置換されてもよく、
R
21は、水素、重水素、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲンまたは置換若しくは無置換のC1~C30の鎖状アルキル基、C3~C30のシクロアルキル基、C1~C10のアルコキシ基、C1~C10のチオアルコキシ基、C6~C30のアリールアミノ基、C3~C30ヘテロアリールアミノ基、C6-C60の縮合環アリール基、C6-C60のアリールオキシ基、またはC5-C60の縮合環ヘテロアリール基のいずれかであり、
前記基が置換基を有する場合、前記置換基はそれぞれ独立して、重水素、ハロゲン、シアノ基、C1~C30の鎖状アルキル基、C3~C30のシクロアルキル基、C1~C10のアルコキシ基、C6~C30アリールアミノ基、C3~C30ヘテロアリールアミノ基、C6-C30のアリール基またはC3-C30のヘテロアリール基のいずれかであり、
上記「ヘテロアリール」に含まれるヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子のいずれかである)
で示される
ことを特徴とする有機化合物。
【請求項2】
式2-1、2-2及び2-3において、
前記R
1~R
21はそれぞれ独立して、水素、重水素、または置換若しくは無置換の、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、2-メチルブチル基、n-ペンチル基、sec-ペンチル基、シクロペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、ネオヘキシル基、n-ヘプチル基、シクロヘプチル基、n-オクチル基、シクロオクチル基、2-エチルヘキシル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、ベンゾアントラニル基、フェナントリル基、ベンゾフェナントリル基、ピレニル基、クリセニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、テトラセン基、ペンタセン基、ベンゾピレニル基、ビフェニル基、アゾフェニル基、テルフェニル基、トリポリフェニル基、p-クオターフェニル、フルオレニル基、スピロビフルオレニル基、ジヒドロフェナントリル基、ジヒドロピレニル基、テトラヒドロピレニル基、シスまたはトランスインデノフルオレニル基、トリポリインデニル基、イソトリポリインデニル基、スピロトリポリインデニル基、スピロイソトリポリインデニル基、フラニル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ジベンゾフラニル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、イソベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、ピロリル基、イソインドリル基、カルバゾリル基、インデノカルバゾリル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、アクリジニル基、フェナントリジニル基、ベンゾ-5,6-キノリル基、ベンゾ-6,7-キノリル基、ベンゾ-7,8-キノリル基、ピラゾリル基、インダゾリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ナフトイミダゾリル基、フェナントロイミダゾリル基、ピリドイミダゾリル基、ピラジノイミダゾリル基、キノキサリノイミダゾリル基、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ナフトオキサゾリル基、アントラオキサゾリル基、フェナントロオキサゾリル基、1,2-チアゾリル基、1,3-チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ピリダジニル基、ベンゾピリダジニル基、ピリミジニル基、ベンゾピリミジニル基、キノキサリニル基、1,5-ジアザアントラニル基、2,7-ジアザピレニル基、2,3-ジアザピレニル基、1,6-ジアザピレニル基、1,8-ジアザピレニル基、4,5-ジアザピレニル基、4,5,9,10-テトラアザペリレニル基、ピラジニル基、フェナジニル基、フェノチアジニル基、ナフチリジニル基、アザカルバゾリル基、ベンゾカルボリニル基、フェナントロリニル基、1,2,3-トリアゾリル基、1,2,4-トリアゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、1,2,3-オキサジアゾリル基、1,2,4-オキサジアゾリル基、1,2,5-オキサジアゾリル基、1,2,3-チアジアゾリル基、1,2,4-チアジアゾリル基、1,2,5-チアジアゾリル基、1,3,4-チアジアゾリル基、1,3,5-トリアジニル基、1,2,4-トリアジニル基、1,2,3-トリアジニル基、テトラゾリル基、1,2,4,5-テトラジニル基、1,2,3,4-テトラジニル基、1,2,3,5-テトラジニル基、プリニル基、プテリジニル基、インドリジニル基、ベンゾチアジアゾリル基、9,9-ジメチルアクリジニル基、ハロゲン化フェニル基、シアノフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、トリアリールアミノ基、アダマン
チル基、フルオロフェニル基、メチルフェニル基、トリメチルフェニル基、シアノフェニル基、テトラヒドロピロリル基、ピペリジニル基またはメトキシ基のいずれかであり、前記基が置換基を有する場合、前記置換基はそれぞれ独立して、重水素、ハロゲン、シアノ基、C1~C30の鎖状アルキル基、C3~C30のシクロアルキル基、C1~C10のアルコキシ基、C6~C30アリールアミノ基、C3~C30ヘテロアリールアミノ基、C6-C30のアリール基またはC3-C30のヘテロアリール基のいずれかである
請求項1に記載の有機化合物。
【請求項3】
式2-1において、
前記R
2、R
5、R
8、R
11、R
14、R
17はそれぞれ独立して、水素、フッ素、シアノ基、または置換若しくは無置換の、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、2-メチルブチル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基、t-ブチルフェニル基、メチルフェニル基、フェニル基、トリアリールアミノ基、カルバゾリル基、ピリジル基、フラニル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ジベンゾフラニル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、イソベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、アダマン
チル基、テトラヒドロピロリル基、ピペリジニル基、メトキシ基、9,9-ジメチルアクリジニル基、フェノチアジニル基、フェノキサジニル基、イミダゾリル基またはカルバゾフラニル基のいずれかであり、
式2-2において、
前記R
2、R
5、R
8、R
19はそれぞれ独立して、水素、フッ素、シアノ基、または置換若しくは無置換の、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、2-メチルブチル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基、t-ブチルフェニル基、メチルフェニル基、フェニル基、トリアリールアミノ基、カルバゾリル基、ピリジル基、フラニル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ジベンゾフラニル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、イソベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、アダマン
チル基、テトラヒドロピロリル基、ピペリジニル基、メトキシ基、9,9-ジメチルアクリジニル基、フェノチアジニル基、フェノキサジニル基、イミダゾリル基またはカルバゾフラニル基のいずれかであり、
前記R
21は、水素、フッ素、シアノ基、または置換若しくは無置換の、ピリジル基、フェニル基、フルオロフェニル基、メチルフェニル基、トリメチルフェニル基、シアノフェニル基、トリフルオロメチル基、トリアリールアミノ基、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、2-メチルブチル基、シクロヘキシル基、アダマン
チル基、テトラヒドロピロリル基、ピペリジニル基、メトキシ基、9,9-ジメチルアクリジニル基、フェノチアジニル基、フェノキサジニル基、イミダゾリル基、カルバゾフラニル基、トリアリールアミノ基、カルバゾリル基、トリフルオロメチル基、ピリジル基またはフラニル基のいずれかであり、
式2-3において、
前記R
2、R
5、R
8、R
11、R
16、R
19はそれぞれ独立して、水素、フッ素、シアノ基、または置換若しくは無置換の、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、2-メチルブチル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基、t-ブチルフェニル基、メチルフェニル基、フェニル基、トリアリールアミノ基、カルバゾリル基、ピリジル基、フラニル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ジベンゾフラニル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、イソベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、アダマン
チル基、テトラヒドロピロリル基、ピペリジニル基、メトキシ基、9,9-ジメチルアクリジニル基、フェノチアジニル基、フェノキサジニル基、イミダゾリル基またはカルバゾフラニル基のいずれかであり、
前記R
21は、水素、フッ素、シアノ基、または置換若しくは無置換の、ピリジル基、フェニル基、フルオロフェニル基、メチルフェニル基、トリメチルフェニル基、シアノフェニル基、トリフルオロメチル基、トリアリールアミノ基、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、2-メチルブチル基、シクロヘキシル基、アダマン
チル基、テトラヒドロピロリル基、ピペリジニル基、メトキシ基、9,9-ジメチルアクリジニル基、フェノチアジニル基、フェノキサジニル基、イミダゾリル基、カルバゾフラニル基、トリアリールアミノ基、カルバゾリル基、トリフルオロメチル基、ピリジル基またはフラニル基のいずれかであり、
前記基が置換基を有する場合、前記置換基はそれぞれ独立して、重水素、ハロゲン、シアノ基、C1~C30の鎖状アルキル基、C3~C30のシクロアルキル基、C1~C10のアルコキシ基、C6~C30アリールアミノ基、C3~C30ヘテロアリールアミノ基、C6-C30のアリール基またはC3-C30のヘテロアリール基のいずれかである
請求項1に記載の有機化合物。
【請求項4】
下記の化合物:
【化3】
から
成る群から選択される1つである
請求項1に記載の有機化合物。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の一般式化合物の、
有機エレクトロルミネッセンスデバイスにおける発光層材料または蛍光増感材料としての使用。
【請求項6】
第一電極と、第二電極と、前記第一電極と第二電極の間に挿入される一層または多層の有機層とを含む有機エレクトロルミネッセンスデバイスにおいて、
前記有機層は少なくとも一種の請求項1ないし4のいずれかに記載の化合物を含む
ことを特徴する有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規化合物に関し、このような化合物の応用、並びにこのような化合物を使用する有機発光デバイスにも関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンスデバイス(OLED:Organic Light Emission Diodes)は、サンドイッチのような構造を有するデバイスであり、正負電極膜層及び電極膜層の間に挟まれた有機機能材料層を含む。OLEDデバイスは輝度が高く、応答が速く、視野が広く、プロセスが簡単であり、フレキシブル等の利点を有するため、新しい表示技術分野及び新しい照明技術分野で注目されている。現在、この技術は新しい照明器具、スマートフォン、及びタブレット等の製品の表示パネルに広く応用されており、さらにテレビなどの大型表示製品の応用分野に展開し、発展が速く、技術的要求が高い新しい表示技術である。
【0003】
OLEDが照明と表示の2つの分野での発展とともに、そのコア材料に対する研究もより注目されるようになり、効率が良く、寿命が長いOLEDデバイスは一般的にデバイスの構造及び様々な有機材料の最適化組み合わせの結果である。駆動電圧がより低く、発光効率がより高く、デバイスの使用寿命がより長いOLED発光デバイスを製造し、OLEDデバイスの性能の向上を実現するために、OLEDデバイス構造及び製造プロセスを革新する必要があるだけではなく、OLEDデバイスにおける光電機能材料を研究し革新する必要もあり、それにより性能のより高い機能材料を製造する。これに基づいて、OLED材料業界では、デバイスの低起動電圧、高発光効率、及びより優れた使用寿命を実現するために、新しい有機エレクトロルミネッセンス材料の開発に取り組んできた。
【0004】
OLED材料の選択において、一重項発光の蛍光材料は寿命が良く、価格が低いが、効率が低い。三重項発光の燐光材料は効率が高いが、高価であり、かつ青色光材料の寿命問題が解決されていない。日本九州大学のAdachiは、新しい有機発光材料、すなわち熱活性化遅延蛍光(TADF)材料を提案した。このような材料の一重項-三重項エネルギーギャップ(ΔEST)は非常に小さく(<0.3 eV)、三重項励起子は逆項間交差(RISC)によって一重項励起子になって発光できるため、デバイスの内部量子効率は100%に達することができる。
【0005】
従来技術では、「多共振誘起熱活性化遅延蛍光(MR-TADF)」という策略で新しい構造の化合物を設計したが、特許文献1-2:中国特許出願107851724、108431984などでは、単一のホウ素原子と窒素原子で複数の芳香族環を連結して形成された多環芳香族化合物を設計し、つまり特殊なホウ素(B)原子、窒素(N)原子を含む剛性分子系(以下の式(A)、ただし、Y1はBであり、X1及びX2はそれぞれ独立してN-Rである)を構築し、このような熱活性化遅延蛍光分子は高い放射遷移速度及び高い色純度を両立できるが、その大きなHOMO-LUMOオーバーラップにより、材料の一重項、三重項エネルギーの差(ΔEst)が大きく、深刻なデバイス効率ロールオフが発生する。また、材料の半値幅は実用化需要までさらに改善する余地がある。
【0006】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】中国特許出願107851724
【文献】中国特許出願108431984
【発明の開示】
【0008】
上記の技術問題を解決するために、本発明は有機エレクトロルミネッセンス分野に応用できる新規熱活性化遅延蛍光材料を提供する。 本発明のこのような有機化合物は、下記の一般式(1-1)、(1-2)または(1-3)で示されるものである。
【0009】
【0010】
式(1-1)、(1-2)または(1-3)において、
Y1、Y2及びY3はそれぞれ独立してBから選択され、
X1、X2及びX3はそれぞれ独立してNから選択され、
m、n及びpはそれぞれ独立して0または1から選択され、
【0011】
X4、X5及びX6はそれぞれ独立しては単結合またはCRから選択され、Rは置換若しくは無置換の、C1-C30の鎖状アルキル基、C3-C30のシクロアルキル基、C1-C30のハロアルキル基、C1-C30のアルコキシ基、C2-C30のアルケニル基、C3-C30のアルキニル基、C6-C60の単環アリール基、C6-C60の縮合環アリール基、C6-C60のアリールオキシ基、C5-C60の単環ヘテロアリール基またはC5-C60の縮合環ヘテロアリール基のうちの一種から選択され、
【0012】
R1~R20はそれぞれ独立して水素、重水素、または置換若しくは無置換の、ハロゲン、C1~C30の鎖状アルキル基、C3~C30のシクロアルキル基、C1~C10のアルコキシ基、C1~C10のチオアルコキシ基、カルボニル基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ケイ素基、C6~C30のアリールアミノ基、C3~C30ヘテロアリールアミノ基、C6-C60の単環アリール基、C6-C60の縮合環アリール基、C6-C60のアリールオキシ基、C5-C60の単環ヘテロアリール基またはC5-C60の縮合環ヘテロアリール基のうちの一種から選択され、かつR1~R20のうち隣接する2つの基は互いに結合して隣接するベンゼン環とともにC5~C30の5員または6員のアリール環、C5~C30の5員または6員のヘテロアリール環のうちの一種を形成し、且つ形成される環における少なくとも1つの水素はC6~C30のアリールアミノ基、C3~C30ヘテロアリールアミノ基、C6~C60の単環アリール基、C6~C60の縮合環アリール基、C6~C60のアリールオキシ基、C5~C60の単環ヘテロアリール基、C5~C60の縮合環ヘテロアリール基、ハロゲン、C1~C30の鎖状アルキル基、C3~C30のシクロアルキル基、C1~C10のアルコキシ基、C1~C10のチオアルコキシ基、カルボニル基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基のいずれか一種で置換されてもよく、
【0013】
R21は水素、重水素、または置換若しくは無置換の、ハロゲン、C1~C30の鎖状アルキル基、C3~C30のシクロアルキル基、C1~C10のアルコキシ基、C1~C10のチオアルコキシ基、カルボニル基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C6~C30のアリールアミノ基、C3~C30ヘテロアリールアミノ基、C6-C60の単環アリール基、C6-C60の縮合環アリール基、C6-C60のアリールオキシ基、C5-C60の単環ヘテロアリール基またはC5-C60の縮合環ヘテロアリール基のうちの一種から選択され、
【0014】
前記基が置換基を有する場合、前記置換基はそれぞれ独立して重水素、ハロゲン、シアノ基、C1~C30の鎖状アルキル基、C3~C30のシクロアルキル基、C1~C10のアルコキシ基、C6~C30アリールアミノ基、C3~C30ヘテロアリールアミノ基、C6-C30のアリール基、C3-C30のヘテロアリール基のうちの一種から選択される。
【0015】
さらに好ましくは、式(1-1)、(1-2)または(1-3)において、m、n及びpのうちの少なくとも1つは0であり、またはm、n及びpのうちの少なくとも1つは1であり、またはmは0、n及びpはいずれも1であり、またはmは1、n及びpはいずれも0である。
【0016】
さらに好ましくは、本発明の一般式化合物は下記の式(2-1)~(2-3)で示されるものである。
【0017】
【0018】
式(2-1)、(2-2)または(2-3)において、R1~R21はそれぞれ独立して請求項1と同じ限定範囲を有する。
【0019】
よりさらに好ましくは、上記の各一般式において、
前記R1~R21はそれぞれ独立して水素、重水素、または置換若しくは無置換の、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、2-メチルブチル基、n-ペンチル基、sec-ペンチル基、シクロペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、ネオヘキシル基、n-ヘプチル基、シクロヘプチル基、n-オクチル基、シクロオクチル基、2-エチルヘキシル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、ベンゾアントラニル基、フェナントリル基、ベンゾフェナントリル基、ピレニル基、クリセニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、テトラセン基、ペンタセン基、ベンゾピレニル基、ビフェニル基、アゾフェニル基、テルフェニル基、トリポリフェニル基、p-クオターフェニル、フルオレニル基、スピロビフルオレニル基、ジヒドロフェナントリル基、ジヒドロピレニル基、テトラヒドロピレニル基、シスまたはトランスインデノフルオレニル基、トリポリインデニル基、イソトリポリインデニル基、スピロトリポリインデニル基、スピロイソトリポリインデニル基、フラニル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ジベンゾフラニル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、イソベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、ピロリル基、イソインドリル基、カルバゾリル基、インデノカルバゾリル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、アクリジニル基、フェナントリジニル基、ベンゾ-5,6-キノリル基、ベンゾ-6,7-キノリル基、ベンゾ-7,8-キノリル基、ピラゾリル基、インダゾリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ナフトイミダゾリル基、フェナントロイミダゾリル基、ピリドイミダゾリル基、ピラジノイミダゾリル基、キノキサリノイミダゾリル基、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ナフトオキサゾリル基、アントラオキサゾリル基、フェナントロオキサゾリル基、1,2-チアゾリル基、1,3-チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ピリダジニル基、ベンゾピリダジニル基、ピリミジニル基、ベンゾピリミジニル基、キノキサリニル基、1,5-ジアザアントラニル基、2,7-ジアザピレニル基、2,3-ジアザピレニル基、1,6-ジアザピレニル基、1,8-ジアザピレニル基、4,5-ジアザピレニル基、4,5,9,10-テトラアザペリレニル基、ピラジニル基、フェナジニル基、フェノチアジニル基、ナフチリジニル基、アザカルバゾリル基、ベンゾカルボリニル基、フェナントロリニル基、1,2,3-トリアゾリル基、1,2,4-トリアゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、1,2,3-オキサジアゾリル基、1,2,4-オキサジアゾリル基、1,2,5-オキサジアゾリル基、1,2,3-チアジアゾリル基、1,2,4-チアジアゾリル基、1,2,5-チアジアゾリル基、1,3,4-チアジアゾリル基、1,3,5-トリアジニル基、1,2,4-トリアジニル基、1,2,3-トリアジニル基、テトラゾリル基、1,2,4,5-テトラジニル基、1,2,3,4-テトラジニル基、1,2,3,5-テトラジニル基、プリニル基、プテリジニル基、インドリジニル基、ベンゾチアジアゾリル基、9,9-ジメチルアクリジニル基、(ポリ)ハロゲン化ベンゼン、(ポリ)シアノベンゼン、(ポリ)トリフルオロメチルベンゼン、トリアリールアミノ基、アダマンタン、フルオロフェニル基、メチルフェニル基、トリメチルフェニル基、シアノフェニル基、テトラヒドロピロール、ピペリジン、メトキシ基、ケイ素基のうちの一種から選択され、または前記の二種の置換基の組み合わせから選択される。
【0020】
かつ、R1~R20のうちの隣接する2つの基は互いに結合して隣接するベンゼン環とともにC5~C30の5員または6員のアリール基環、C5~C30の5員または6員のヘテロアリール基環のうちの一種を形成してもよく、且つ形成された環における少なくとも1つの水素はC6~C30のアリールアミノ基、C3~C30ヘテロアリールアミノ基、C6~C60の単環アリール基、C6~C60の縮合環アリール基、C6~C60のアリールオキシ基、C5~C60の単環ヘテロアリール基、C5~C60の縮合環ヘテロアリール基、ハロゲン、C1~C30の鎖状アルキル基、C3~C30のシクロアルキル基、C1~C10のアルコキシ基、C1~C10のチオアルコキシ基、カルボニル基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基のいずれか一種で置換されてもよい。
【0021】
前記基が置換基を有する場合、前記置換基はそれぞれ独立して重水素、ハロゲン、シアノ基、C1~C30の鎖状アルキル基、C3~C30のシクロアルキル基、C1~C10のアルコキシ基、C6~C30アリールアミノ基、C3~C30ヘテロアリールアミノ基、C6-C30のアリール基、C3-C30のヘテロアリール基のうちの一種から選択される。
【0022】
更さらに好ましくは、式(2-1)において、前記R2、R5、R8、R11、R14、R17はそれぞれ独立して、水素原子、または置換若しくは無置換の、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、2-メチルブチル基、シクロヘキシル基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、t-ブチルベンゼン、メチルフェニル基、フェニル基、トリアリールアミノ基、カルバゾリル基、ピリジル基、フラニル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ジベンゾフラニル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、イソベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、アダマンタン、テトラヒドロピロール、ピペリジン、ケイ素基、メトキシ基、9,9-ジメチルアクリジニル基、イミダゾール、カルバゾフラニル基から選択される。
【0023】
更さらに好ましくは、式(2-2)において、前記R2、R5、R8、R19はそれぞれ独立して、水素原子、または置換若しくは無置換の、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、2-メチルブチル基、シクロヘキシル基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、t-ブチルベンゼン、メチルフェニル基、フェニル基、トリアリールアミノ基、カルバゾリル基、ピリジル基、フラニル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ジベンゾフラニル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、イソベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、アダマンタン、テトラヒドロピロール、ピペリジン、ケイ素基、メトキシ基、9,9-ジメチルアクリジニル基、イミダゾリル基、カルバゾフランから選択される。前記R21は、水素、フッ素、シアノ基、または置換若しくは無置換の、ピリジル基、フェニル基、フルオロフェニル基、メチルフェニル基、トリメチルフェニル基、シアノフェニル基、トリフルオロメチル基、トリアリールアミノ基、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、2-メチルブチル基、シクロヘキシル基、水素原子、アダマンタン、テトラヒドロピロール、ピペリジン、ケイ素基、メトキシ基、9,9-ジメチルアクリジニル基、フェノチアジニル基、フェノキサジニル基、イミダゾリル基、カルバゾフラン、トリアリールアミノ基、カルバゾリル基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ピリジル基、フラニル基から選択される。
【0024】
更さらに好ましくは、式(2-3)において、前記R2、R5、R8、R11、R16、R19はそれぞれ独立して、水素原子、または置換若しくは無置換の、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、2-メチルブチル基、シクロヘキシル基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、t-ブチルベンゼン、メチルフェニル基、フェニル基、トリアリールアミノ基、カルバゾリル基、ピリジル基、フラニル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ジベンゾフラニル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、イソベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、アダマンタン、テトラヒドロピロール、ピペリジン、ケイ素基、メトキシ基、9,9-ジメチルアクリジニル基、イミダゾリル基、カルバゾフランから選択される。前記R21は、水素、フッ素、シアノ基、または置換若しくは無置換の、ピリジル基、フェニル基、フルオロフェニル基、メチルフェニル基、トリメチルフェニル基、シアノフェニル基、トリフルオロメチル基、トリアリールアミノ基、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、2-メチルブチル基、シクロヘキシル基、水素原子、アダマンタン、テトラヒドロピロール、ピペリジン、ケイ素基、メトキシ基、9,9-ジメチルアクリジニル基、イミダゾリル基、カルバゾフラン、トリアリールアミノ基、カルバゾリル基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ピリジル基、フラニル基から選択される。
【0025】
明細書において、Ca~Cbという表現方法は、この基が有する炭素原子数がa~bであることを表し、特に説明しない限り、一般的にこの炭素原子数は置換基の炭素原子数を含まない。
【0026】
明細書において、置換若しくは無置換のC6~C60アリール基はC6~C30アリール基であることが好ましく、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、ナフチル基、アントラニル基、フェナントリル基、インデニル基、フルオレニル基及びその誘導体、フルオランテニル基、トリフェニレン基、ピレニル基、ペリレニル基、クリセニル基、及びテトラセン基からなる群より選ばれる基であることがより好ましい。具体的に、ビフェニル基は、2-ビフェニル基、3-ビフェニル基及び4-ビフェニル基から選択され、テルフェニル基は、p-テルフェニル-4-イル、p-テルフェニル-3-イル、p-テルフェニル-2-イル、m-テルフェニル-4-イル、m-テルフェニル-3-イル、及びm-テルフェニル-2-イルを含み、前記ナフチル基は1-ナフチル基、及び2-ナフチル基を含み、アントラニル基は1-アントラニル基、2-アントラニル基、及び9-アントラニル基から選択され、前記フルオレニル基は1-フルオレニル基、2-フルオレニル基、3-フルオレニル基、4-フルオレニル基、及び9-フルオレニル基から選択され、前記フルオレニル基誘導体は9,9’-ジメチルフルオレン、9,9’-スピロ二フルオレン、及びベンゾフルオレンから選択され、前記ピレニル基は1-ピレニル基、2-ピレニル基、及び4-ピレニル基から選択され、テトラセン基は1-テトラセン基、2-テトラセン基、及び9-テトラセン基から選択される。
【0027】
本発明におけるヘテロ原子は、一般的にN、O、S、P、Si及びSeから選択される原子または原子団であり、N、O、Sから選択されることが好ましい。
【0028】
明細書において、置換若しくは無置換のC5~C60ヘテロアリール基として、C5~C30ヘテロアリール基であることが好ましく、窒素含有ヘテロアリール基、酸素含有ヘテロアリール基、硫黄含有ヘテロアリール基等であることがより好ましく、具体的な例として、フラニル基、チエニル基、ピロリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、イソベンゾフラニル基、インドリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルバゾリル基及びその誘導体が挙げられ、その中で、前記カルバゾリル基誘導体は、9-フェニルカルバゾール、9-ナフチルカルバゾールベンゾカルバゾール、ジベンゾカルバゾール、またはインドロカルバゾールであることが好ましい。
【0029】
明細書において、前記C1~C30鎖状アルキル基は、C1~C10の鎖状アルキル基であることが好ましく、C1~C6の鎖状アルキル基であることがより好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t-ブチル基等が挙げられる。
【0030】
明細書において、C3~C30シクロアルキル基は、単環アルキル基及び多環アルキル基を含み、C3-C10のシクロアルキル基であることが好ましい。
【0031】
さらに、本発明の一般式(1)で示される化合物は下記の具体的な構造化合物P-1~P-405であることが好ましく、これらの化合物は代表的なものである。
【0032】
【0033】
本発明は、上記の一般式(1-1)、式(1-2)、式(1-3)、式(2-1)、式(2-2)、及び式(2-3)のいずれかで示される化合物の応用も保護し、前記応用は有機エレクトロルミネッセンスデバイスに発光層材料として、好ましくは発光染料及び/または増感剤としての応用である。
【0034】
本発明は、基板と、第一電極と、第二電極と、前記第電極と第二電極の間に挿入される一層または多層の有機層とを含む有機エレクトロルミネッセンスデバイスをさらに提供する。ただし、前記有機層は上記の一般式(1-1)、式(1-2)、式(1-3)、式(2-1)、式(2-2)、及び式(2-3)のいずれかの化合物を含む。
【0035】
具体的に、本発明の一実施形態は、基板、及び前記基板に順に形成された陽極層、複数の発光機能層、陰極層を含む有機エレクトロルミネッセンスデバイスを提供する。前記発光機能層は正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層を含み、前記正孔注入層は前記陽極層に形成され、前記正孔輸送層は前記正孔注入層に形成され、前記陰極層は前記電子輸送層に形成され、前記正孔輸送層と前記電子輸送層の間は発光層である。ただし、前記発光層は上記の式(1-1)、式(1-2)、式(1-3)、式(2-1)、式(2-2)、及び式(2-3)のいずれかの本発明の一般式化合物を含む。
【0036】
本発明の化合物で調製されたOLEDデバイスは、低い起動電圧、高い発光効率、高い色純度、及びより優れた使用寿命を有する。
【0037】
本発明の化合物は、デバイスが適当な駆動電圧及び効率を有することを保証する前提で、比較的長い使用寿命を有し、有機エレクトロルミネッセンスデバイスにおける発光材料として適用できるだけではなく、光学センサー、太陽電池、照明器具、有機薄膜トランジスタ、有機電界効果トランジスタ、有機薄膜太陽電池、情報タグ等の技術分野にも応用できる。
【0038】
前記本発明の化合物が有機エレクトロルミネッセンスデバイスに用いられる場合に性能に優れる具体的な理由は明らかではないが、以下の原因であると推測される。
【0039】
従来技術の化合物に比べて、本発明のこのような新規化合物構造設計において、中心ベンゼン環の1、3及び5位にそれおれより剛性のカルバゾール及びその誘導体等のドナーを導入することが好ましく、BN共振骨格全体をより剛性にするだけでなく(その振動緩和をさらに低減し、スペクトルを狭小化させることに有利である)、好ましいカルバゾールユニットも前線軌道分布に関与でき、HOMOとLUMO軌道のオーバーラップを増大させる(さらにその放射遷移振動子強度、即ち発光効率を向上させる)。同時に1、3、5位の窒素原子のオルト位及びパラ位はいずれも電子吸引性のホウ素原子に対応し、このような特殊な構造により、N原子とB原子の電子供給、吸引能力がいずれも異なる程度で減少するため、スペクトルもブルーシフトする。
【0040】
さらに、このような特殊なマルチドナー-マルチアクセプターの構造は、一重項S1と三重項T1の間により多くの中間三重項を導入することにも有利であり、さらに一重項と三重項の逆項間交差速度を促進し、遅延成分の占める割合を増大して遅延蛍光寿命を減少させ、最終的にエレクトロルミネッセンスデバイスの効率ロールオフを減少させ、安定性を向上させる。さらに、一定の立体障害を有するR21基を導入することがより好ましく、Ph-B-Ph基を5員環、6員環等にすれば分子の剛性構造がより安定になり、上記の優れた特性を保持するとともに、材料の半値幅をさらに減少させる。
【0041】
本発明の化合物は、有機エレクトロルミネッセンスデバイスにおける発光層材料としても、有機エレクトロルミネッセンスデバイスにおける蛍光増感剤としても用いられる。
また、本発明の化合物の製造プロセスは簡単で実行しやすく、原料が入手しやすく、量産拡大に適している。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】
図1は、本発明で調製された有機エレクトロルミネッセンスデバイスの構造概略図であり、図中、1は基板であり、2は陽極であり、3は正孔輸送層であり、4は有機発光層であり、5は電子輸送層であり、6は陰極である。
【
図2】
図2は、本発明の実施例で調製されたデバイスD1と比較実施例で調製されたデバイスDD1のエレクトロルミネッセンススペクトルの比較図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施例で調製されたデバイスD1と比較実施例で調製されたデバイスDD1のエレクトロルミネッセンススペクトルの比較図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施例で調製されたデバイスD1と比較実施例で調製されたデバイスDD1のエレクトロルミネッセンス寿命の比較図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施例で調製されたデバイスであるTTA型デバイスT1のエレクトロルミネッセンススペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、いくつかの合成実施例を例として、本発明の上記の新規化合物の具体的な調製方法を詳しく説明するが、本発明の調製方法はこれらの合成実施例に限定されるものではない。
【0044】
本発明で用いられる様々な化学薬品、例えば石油エーテル、t-ブチルベンゼン、酢酸エチル、硫酸ナトリウム、トルエン、ジクロロメタン、炭酸カリウム、三臭化ホウ素、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、反応中間体等の基礎化学工業原料はいずれも上海泰坦科技株式会社及び西隴化工株式会社から購入される。下記の化合物を確定するために用いられる質量分析計はZAB-HS 型質量分析計で測定(イギリス Micromass 社製造)される。
【0045】
以下、本発明の化合物の合成方法を簡単に説明する。まず、n-ブチルリチウムまたはt-ブチルリチウムなどで、X1、X2とX3の間の水素、Cl原子をオルト位金属化する。そして、三臭化ホウ素または三塩化リン等を添加し、リチウム-ホウ素またはリチウム-リンの金属交換を行った後、N,N-ジイソプロピルエチルアミン等のブレンステッドベース(Bronsted base)を添加することにより、タンデムボラフリーデルクラフツ反応(Tandem Bora-Friedel-Crafts Reaction)を行い、目的物を得ることができる。
【0046】
【0047】
より具体的に、以下では本発明の代表的な具体的な化合物の合成方法を示す。
〔合成実施例〕
合成実施例1:
化合物P-1の合成
【0048】
【0049】
窒素雰囲気で、t-ブチルリチウムのペンタン溶液(18.96mL、1.60M、30.34mmol)を0℃のBr化前駆体(13.83g、13.79mmol)のt-ブチルベンゼン(150mL)溶液に徐々に加え、そして順に80℃で、100℃で、120℃まで昇温してそれぞれ1時間反応させた。反応終了後に-30℃まで降温し、三臭化ホウ素(7.6g、30.34mmol)を徐々に加え、室温で0.5時間攪拌し続けた。室温でN,N-ジイソプロピルエチルアミン(5.35g、41.37mmol)を加え、145℃で5時間反応し続けた後に終了させた。溶媒を真空回転乾燥させ、シリカゲルカラム(展開剤:酢酸エチル:石油エーテル=50:1)により、目的の化合物P-1(1.00g、8%収率、HPLC分析純度99.56%)が得られ、緑色固体である。MALDI-TOF-MS結果:分子イオンピーク: 925.92 元素分析結果:理論値:C:85.62%; H:7.61%; B:2.30%; N:4.47%;実験値:C:85.72%; H:7.66%; B:2.83%; N:3.79%。
合成実施例2:
化合物P-308の合成
【0050】
【0051】
本例ではP-1-1を等物質量のP-308-1に置き換えたこと以外、本実施例は合成実施例1とほぼ同じである。目的の化合物P-308(1.00g、8%収率、HPLC分析純度99.56%)は、黄色固体である。MALDI-TOF-MS結果:分子イオンピーク: 926.45 元素分析結果:理論値:C:85.62%; H:7.51%; B:2.33%; N:4.545%;実験値:C:85.72%; H:7.66%; B:2.83%; N:3.79% 。
合成実施例3:
化合物P-300の合成
【0052】
【0053】
本例ではP-1-1を等物質量のP-300-1に置き換えたこと以外、本実施例は合成実施例1と基本的に同じである。目的の化合物P-300(0.81g、10%収率、HPLC分析純度99.66%)は、黄色固体である。MALDI-TOF-MS結果:分子イオンピーク: 589.76 元素分析結果:理論値:C:85.61%; H:3.59%; B:3.67%; N:7.13%;実験値:C:85.12%; H:4.01 B:3.58; N:7.29%。
合成実施例4:
化合物P-334の合成
【0054】
【0055】
本例ではP-1-1を等物質量のP-334-1に置き換えたこと以外、本実施例は合成実施例1と基本的に同じである。目的の化合物P-334(1.27g、10%収率、HPLC分析純度99.36%)は、黄色固体である。MALDI-TOF-MS結果:分子イオンピーク: 919.31 元素分析結果:理論値:C:86.20%; H:3.84%; B:2.35%; N:7.62%;実験値:C:85.92%; H:4.16%; B:2.53%; N:7.39%。
合成実施例5:
化合物P-301の合成
【0056】
【0057】
本例ではP-1-1を等物質量のP-301-1に置き換えたこと以外、本実施例は合成実施例1と基本的に同じである。目的の化合物P-301(1.02g、11%収率、HPLC分析純度99.55%)は、黄色固体である。MALDI-TOF-MS結果:分子イオンピーク: 673.89 元素分析結果:理論値:C:85.61%; H:4.94%; B:3.21%; N:6.24%;実験値:C:85.12%; H:4.46%; B:3.68%; N:6.74%。
合成実施例6:
化合物P-303の合成
【0058】
【0059】
本例ではP-1-1を等物質量のP-303-1に置き換えたこと以外、本実施例は合成実施例1と基本的に同じである。目的の化合物P-303(1.42g、10%収率、HPLC分析純度99.35%)は、黄色固体である。MALDI-TOF-MS結果:分子イオンピーク: 757.89 元素分析結果:理論値:C,85.61%; H,5.99%; B,2.85%; N,5.55%;実験値:C,85.41%; H,5.89%; B,2.95%; N,5.75%。
合成実施例7:
化合物P-317の合成
【0060】
【0061】
本例ではP-1-1を等物質量のP-317-1に置き換えたこと以外、本実施例は合成実施例1と基本的に同じである。目的の化合物P-317(1.44g、10%収率、HPLC分析純度99.26%)は、黄色固体である。MALDI-TOF-MS結果:分子イオンピーク: 1045.29 元素分析結果:理論値:C:89.58%; H:4.34%; B:2.07%; N:4.02%;実験値:C:89.88%; H:4.16%; B:2.18%; N:3.78%。
合成実施例8:
化合物P-330の合成
【0062】
【0063】
本例ではP-1-1を等物質量のP-330-1に置き換えたこと以外、本実施例は合成実施例1と基本的に同じである。目的の化合物P-330(1.29g、10%収率、HPLC分析純度99.36%)は、黄色固体である。MALDI-TOF-MS結果:分子イオンピーク: 923.31 元素分析結果:理論値:C,85.82%; H,4.26%; B,2.34%; N,7.58%;実験値:C,85.83%; H,4.25%; B,2.24%; N,7.68%。
合成実施例9:
化合物P-334の合成
【0064】
【0065】
本例ではP-1-1を等物質量のP-334-1に置き換えたこと以外、本実施例は合成実施例1と基本的に同じである。目的の化合物P-334(1.27g、10%収率、HPLC分析純度99.36%)は、黄色固体である。MALDI-TOF-MS結果:分子イオンピーク: 919.31 元素分析結果:理論値:C:86.20%; H:3.84%; B:2.35%; N:7.62%;実験値:C:85.92%; H:4.16%; B:2.53%; N:7.39%。
合成実施例10:
化合物P-400の合成
【0066】
【0067】
本例ではP-1-1を等物質量のP-400-1に置き換えたこと以外、本実施例は合成実施例1と基本的に同じである。目的の化合物P-400(0.83g、10%収率、HPLC分析純度99.55%)は、黄色固体である。MALDI-TOF-MS結果:分子イオンピーク: 603.62 元素分析結果:理論値:C:85.61%; H:3.84%; B:3.58%; N:6.97%;実験値:C:85.34%; H:3.57% B:3.78%; N:7.31%。
合成実施例11:
化合物P-497の合成
【0068】
【0069】
本例ではP-1-1を等物質量のP-497-1に置き換えたこと以外、本実施例は合成実施例1と基本的に同じである。目的の化合物P-497(0.92g、10%収率、HPLC分析純度99.55%)は、黄色固体である。MALDI-TOF-MS結果:分子イオンピーク: 665.62 元素分析結果:理論値:C,86.65%; H,3.79%; B,3.25%; N,6.32%;実験値:C,86.85%; H,3.59%; B,3.05%; N,6.52%。
合成実施例12:
化合物P-498の合成
【0070】
【0071】
本例ではP-1-1を等物質量のP-498-1に置き換えたこと以外、本実施例は合成実施例1と基本的に同じである。目的の化合物P-498(0.62g、6%収率、HPLC分析純度99.75%)は、黄色固体である。MALDI-TOF-MS結果:分子イオンピーク: 748.11元素分析結果:理論値:C,86.63%; H,4.44%; B,1.44%; N,7.48%;実験値:C:86.54%; H:4.57 B:1.78; N:7.11%。
合成実施例13:
化合物P-499の合成
【0072】
【0073】
本例ではP-1-1を等物質量のP-499-1に置き換えたこと以外、本実施例は合成実施例1と基本的に同じである。目的の化合物P-499(0.62g、6%収率、HPLC分析純度99.75%)は、黄色固体である。MALDI-TOF-MS結果:分子イオンピーク: 746.58 元素分析結果:理論値:C:86.86%; H:4.18%; B:1.45%; N:7.50%;実験値:C:86.34%; H:4.57 B:1.78; N:7.31%。
合成実施例14:
化合物P-4の合成
【0074】
【0075】
本例ではP-1-1を等物質量のP-4-1に置き換えたこと以外、本実施例は合成実施例1と基本的に同じである。目的の化合物P-4(0.62g、4.5%収率、HPLC分析純度99.75%)は、緑色固体である。MALDI-TOF-MS結果:分子イオンピーク:1002.02 元素分析結果:理論値:C:86.31%; H:7.34%; B:2.16%; N:4.19%;実験値:C:86.34%; H:7.27 B:2.28; N:4.11%。
合成実施例15:
化合物P-7の合成
【0076】
【0077】
本例ではP-1-1を等物質量のP-7-1に置き換えたこと以外、本実施例は合成実施例1と基本的に同じである。目的の化合物P-7(0.60g、4.4%収率、HPLC分析純度99.55%)は、緑色固体である。MALDI-TOF-MS結果:分子イオンピーク:1003.01元素分析結果:理論値:C,85.02%; H,7.24%; B,2.16%; N,5.59%;実験値:C:86.31%; H:7.34%; B:2.16%; N:4.19%.
合成実施例16:
化合物P-39の合成
【0078】
【0079】
本例ではP-1-1を等物質量のP-39-1に置き換えたこと以外、本実施例は合成実施例1と基本的に同じである。目的の化合物P-39(0.60g、4.4%収率、HPLC分析純度99.55%)は、緑色固体である。MALDI-TOF-MS結果:分子イオンピーク:1003.01元素分析結果:理論値:C,85.02%; H,7.24%; B,2.16%; N,5.59%;実験値:C:86.31%; H:7.34%; B:2.16%; N:4.19%.
合成実施例17:
化合物P-46の合成
【0080】
【0081】
本例ではP-1-1を等物質量のP-46-1に置き換えたこと以外、本実施例は合成実施例1と基本的に同じである。目的の化合物P-46(1.78g、12%収率、HPLC分析純度99.55%)は、緑色固体である。MALDI-TOF-MS結果:分子イオンピーク:1082.85 元素分析結果:理論値:C,86.57%; H,7.55%; B,2.00%; N,3.88%;実験値:C,86.36%; H,7.42%; B,2.29%; N,6.69%; O,3.93%。
合成実施例18:
化合物P-64の合成
【0082】
【0083】
本例ではP-1-1を等物質量のP-64-1に置き換えたこと以外、本実施例は合成実施例1と基本的に同じである。目的の化合物P-64(1.65g、12%収率、HPLC分析純度99.35%)は、緑色固体である。MALDI-TOF-MS結果:分子イオンピーク:721.48 元素分析結果:理論値:C,86.57%; H,4.61%; B,3.00%; N,5.82%;実験値:C,86.64%; H,4.51%; B,3.09%; N,5.76%;
合成実施例19:
化合物P-88の合成
【0084】
【0085】
本例ではP-1-1を等物質量のP-88-1に置き換えたこと以外、本実施例は合成実施例1と基本的に同じである。目的の化合物P-88(0.78g、8%収率、HPLC分析純度99.55%)は、緑色固体が得られた。MALDI-TOF-MS結果:分子イオンピーク:711.24 元素分析結果:理論値:C,72.62%; H,2.41%; B,3.04%; F,16.03%; N,5.91%;実験値:C,72.61%; H,2.43%; B,3.02%; F,16.05%; N,5.91%;
合成実施例20:
化合物P-92の合成
【0086】
【0087】
本例ではP-1-1を等物質量のP-92-1に置き換えたこと以外、本実施例は合成実施例1と基本的に同じである。目的の化合物P-92(0.90g、8%収率、HPLC分析純度99.75%)は、緑色固体である。MALDI-TOF-MS結果:分子イオンピーク: 699.28 元素分析結果:理論値:C,86.25%; H,5.87%; B,2.68%; N,5.20%;実験値:C,86.15%; H,5.87%; B,2.68%; N,5.30%。
合成実施例21:
化合物P-206の合成
【0088】
【0089】
本例ではP-1-1を等物質量のP-206-1に置き換えたこと以外、本実施例は合成実施例1と基本的に同じである。目的の化合物P-206(0.86g、6%収率、HPLC分析純度99.55%)は、緑色固体である。MALDI-TOF-MS結果:分子イオンピーク: 699.28 元素分析結果:理論値:C,70.69%; H,6.91%; B,2.09%; N,4.05%; Si,16.26%;実験値:70.59%; H,6.81%; B,2.19%; N,4.15%; Si,16.26%。
合成実施例22:
化合物P-95の合成
【0090】
【0091】
窒素雰囲気で、P-95-1(10.65g、 10mmol)のo-ジクロロベンゼン溶液(100mL)にBBr3(5.66mL、60mmol)を加え、245℃で24時間反応した後に終了させた。溶媒を真空回転乾燥させ、シリカゲルカラム(展開剤:酢酸エチル:石油エーテル=50:1)により、目的の化合物P-95(0.22g、2%収率、HPLC分析純度99.56%)が得られ、緑色固体である。MALDI-TOF-MS結果:分子イオンピーク:1089.65; 元素分析結果:理論値:C,85.95%; H,7.21%; B,2.98%; N,3.86%;実験値:C,85.91%; H,7.25%; B,2.94; N,3.90。
合成実施例23:
化合物P-114の合成
【0092】
【0093】
窒素雰囲気で、t-ブチルリチウムのペンタン溶液(18.96mL、1.60M、30.34mmol)を0℃のBr化前駆体(8.84g、13.79mmol)のt-ブチルベンゼン(150mL)溶液に徐々に加え、そして順に80℃、100℃、120℃まで昇温してそれぞれ1時間反応させた。反応終了後に-30℃まで降温して、三臭化ホウ素(7.6g、30.34mmol)を徐々に加え、室温で0.5時間攪拌し続けた。室温でN,N-ジイソプロピルエチルアミン(5.35g、41.37mmol)を加え、145℃で5時間反応し続けた後に室温に下げた。室温でフェニル塩化マグネシウムのテトラヒドロフラン溶液(30mL、1.0 M、30mmol)を加え、12h反応し続けた後に終了させた。溶媒を真空回転乾燥させ、シリカゲルカラム(展開剤:酢酸エチル:石油エーテル=50:1)により、目的の化合物P-1(0.49g、6%収率、HPLC分析純度99.56%)が得られ、緑色固体である。MALDI-TOF-MS結果:分子イオンピーク:588.09 元素分析結果:理論値:C,85.78%; H,3.94%; B,5.51%; N,4.76%;実験値:C,85.68%; H,3.94%; B,5.61%; N,4.76%。
合成実施例24:
化合物P-110の合成
【0094】
【0095】
本例ではP-114-1、フェニル塩化マグネシウムをそれぞれ等物質量のP-110-1、t-ブチル塩化マグネシウムに置き換えたこと以外、本実施例は合成実施例23と基本的に同じである。目的の化合物P-110(0.75g、6%収率、HPLC分析純度99.45%)は、緑色固体である。MALDI-TOF-MS結果:分子イオンピーク:909.70 元素分析結果:理論値:C,85.82%; H,7.53%; B,3.56%; N,3.08%;実験値:C,85.84%; H,7.51%; B,3.46%; N,3.18%。
【0096】
以下、本発明の化合物を具体的に有機エレクトロルミネッセンスデバイスに応用することで、実際の使用性能を測定して、本発明の技術効果及びメリットを示して検証する。
【0097】
有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、第一電極と、第二電極と、2つの電極の間にある有機材料層とを含む。この有機材料は複数の領域に分割でき、例えば、この有機材料層は正孔輸送領域、発光層、電子輸送領域を含んでもよい。
【0098】
陽極の材料は、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、二酸化錫(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)等の酸化物透明導電材料及びそれらの任意の組み合わせを使用できる。陰極の材料は、マグネシウム(Mg)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、アルミニウム-リチウム(Al-Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム-インジウム(Mg-In)、マグネシウム-銀(Mg-Ag)等の金属または合金及びそれらの任意の組み合わせを使用できる。
【0099】
正孔輸送領域は陽極と発光層の間に位置する。正孔輸送領域は単層構造の正孔輸送層(HTL)であってもよく、一種の化合物のみを含む単層正孔輸送層及び多種の化合物を含有する単層正孔輸送層を含む。正孔輸送領域は、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、電子遮断層(EBL)の少なくとも一層を含む多層構造であってもよい。
【0100】
正孔輸送領域の材料は、CuPcのようなフタロシアニン誘導体、導電ポリマー、または導電ドーパントを含む重合体、例えば、ポリフェニレンビニレン、ポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸(Pani/DBSA)、ポリ(3 ,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホン酸塩)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/カンファースルホン酸(Pani/CSA)、ポリアニリン/ポリ(4-スチレンスルホン酸塩)(Pani/PSS)、芳香族アミン誘導体等から選択されてもよいが、これらに限定されない。
【0101】
発光層は、異なる波長のスペクトルを発色する発光染料(即ちドーパント、dopant)を含み、主体材料(Host)も同時に含む。発光層は、赤、緑、青などの単一色を発色する単色発光層であってもよい。様々な色の単色発光層は画素パターンに応じて平面配列してもよく、重なってカラーの発光層を形成してもよい。様々な色の発光層が重なっている場合、それらは互いに離れてもよく、つながってもよい。発光層は赤、緑、青などの異なる色を同時に発色する単一のカラー発光層であってもよい。
【0102】
電子輸送領域は単層構造の電子輸送層(ETL)であってもよく、一種の化合物のみを含む単層電子輸送層及び様々な化合物を含有する単層電子輸送層を含む。電子輸送領域は、電子注入層(EIL)、電子輸送層(ETL)、正孔遮断層(HBL)の少なくとも一層を含む多層構造であってもよい。
【0103】
図1を参照して、有機エレクトロルミネッセンスデバイスの製造プロセスを以下に説明する。基板1の上に、陽極2、正孔輸送層3、有機発光層4、電子輸送層5、陰極6を順に沈積し、そして密封する。ただし、有機発光層4を製造するとき、ワイドバンドギャップ材料源、電子供与体型材料源、電子受容体型材料源、及び共振型TADF材料源を共同蒸着する方法により有機発光層4形成する。
【0104】
具体的に、本発明の有機エレクトロルミネッセンスデバイスの製造方法は以下のステップを含む。
1.陽極材料が塗布されたガラス板を商用洗浄剤の中で超音波処理し、脱イオン水で洗い流し、アセトン:エタノール混合溶媒中で超音波で油を除去し、清潔な環境で水分が完全に除去されるまでベーキングし、紫外光とオゾンで洗浄し、低エネルギーの陽イオンビームで表面を衝撃する。
【0105】
2.前記陽極付きのガラス板を真空チャンバ内に置き、1×10-5~9×10-3Paまで真空にし、前記陽極層膜の上に正孔注入材料を真空蒸着して正孔注入層を形成し、蒸着速度が0.1~0.5nm/sである。
3.正孔注入層の上に正孔輸送材料を真空蒸着して正孔輸送層を形成し、蒸着速度が0.1~0.5nm/sである。
4.正孔輸送層の上に電子遮断層を真空蒸着し、蒸着速度が0.1~0.5nm/sである。
【0106】
5.電子遮断層の上にデバイスの有機発光層を真空蒸着し、有機発光層材料には主体材料とTADF染料が含まれ、マルチソース共蒸着の方法により、染料が予め設定されたドーピング比率に達するように、主体材料の蒸着速度、増感剤材料の蒸着速度及び染料の蒸着速度を調節する。
【0107】
6.有機発光層の上に正孔遮断層を真空蒸着し、その蒸着速度は0.1~0.5nm/sである。
【0108】
7.正孔遮断層の上にデバイスの電子輸送材料を真空蒸着して電子輸送層を形成し、その蒸着速度は0.1~0.5nm/sである。
【0109】
8.電子輸送層の上に0.1~0.5nm/sでLiFを電子注入層として真空蒸着し、0.5~1nm/sでAl層をデバイスの陰極として真空蒸着する。
【0110】
本発明の実施例は、上記の有機エレクトロルミネッセンスデバイスを含む表示装置をさらに提供する。この表示装置は具体的にOLEDディスプレイなどの表示デバイス、及びこの表示デバイスを含むテレビ、デジタルカメラ、携帯電話、タブレット等の任意の表示機能を有する製品または部品であってもよい。この表示装置と前記有機エレクトロルミネッセンスデバイスは従来技術に対して有するメリットは同じであり、ここでは説明を省略する。
【0111】
以下、具体的な実施例により、本発明の有機エレクトロルミネッセンスデバイスをさらに説明する。
デバイス実施例1
本実施例で調製された有機エレクトロルミネッセンスデバイスの構造は以下に示される通りである。
【0112】
ITO/HI(10nm)/HT(30nm)/EBL(10nm)/Host:3wt%P-1(30nm)/HBL(10nm)ET(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(150nm)
【0113】
ただし、陽極材料はITOである。正孔注入層材料はHI、一般的に全厚さは5-30nm、本実施例は10nmである。正孔輸送層の材料はHT、全厚さは一般的に5-500nm、本実施例は40nmである。Hostは有機発光層のワイドギャップの主体材料であり、本発明化合物P-1は染料である且つドーピング濃度は3wt%、有機発光層の厚さは一般的に1-200nm、本実施例は30nmである。電子輸送層の材料はET、厚さは一般的に5-300nm、本実施例は30nmである。電子注入層及び陰極材料はLiF(0.5nm)と金属アルミニウム(150nm)を選択する。
【0114】
本実施例で調製された有機エレクトロルミネッセンスデバイスD1に対して直流電圧をかけ、10cd/m2発光するときの特性を測定し、波長467nm、半値幅21nm、CIE色座標(x,y)=(0.12,0.12)、外部量子効率EQEが28.8%である青色発光(駆動電圧は3.0Vである)が得られた。
【0115】
デバイス実施例2
発光層で使用されるワイドエネルギーギャップ型主体材料HostをTADF型主体TDに置き換えたこと以外、デバイス実施例1の調製方法と同じであり、具体的なデバイス構造は以下の通りである。
【0116】
ITO/HI(10nm)/HT(30nm)/EBL(10nm)/ TD:3wt%P-1(30nm)/HBL(10nm)ET(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(150nm)
【0117】
本実施例で調製された有機エレクトロルミネッセンスデバイスD2に対してデバイス性能を測定した結果は、直流電圧をかけ、10cd/m2発光するときの特性を測定し、波長469nm、半値幅20nm、CIE色座標(x,y)=(0.13,0.12)、外部量子効率EQEが32.4%である青色発光(駆動電圧は2.6Vである)が得られた。
【0118】
デバイス実施例3
発光層で使用される染料をP-1からP-4に置き換えたこと以外、デバイス実施例1の調製方法と同じである。デバイス構造は以下の通りである。
【0119】
ITO/HI(10nm)/HT(30nm)/EBL(10nm)/Host:3wt%P-4(30nm)/HBL(10nm)ET(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(150nm)
【0120】
本実施例で調製された有機エレクトロルミネッセンスデバイスD3に対してデバイス性能を測定した結果は、直流電圧をかけ、10cd/m2発光するときの特性を測定し、波長461nm、半値幅21nm、CIE色座標(x,y)=(0.13,0.11)、外部量子効率EQEが28.3%である青色発光(駆動電圧は3.0Vである)が得られた。
【0121】
デバイス実施例4
発光層における染料P-1をP-4に置き換えたこと以外、デバイス実施例2の調製方法と同じである。デバイス構造は以下の通りである。
【0122】
ITO/HI(10nm)/HT(30nm)/EBL(10nm)/ TD:3wt%P-4(30nm)/HBL(10nm)ET(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(150nm)
【0123】
本実施例で調製された有機エレクトロルミネッセンスデバイスD4に対してデバイス性能を測定した結果は、直流電圧をかけ、10cd/m2発光するときの特性を測定し、波長462nm、半値幅20nm、CIE色座標(x,y)=(0.13,0.11)、外部量子効率EQEが31.4%である青色発光(駆動電圧は2.6Vである)が得られた。
【0124】
デバイス実施例5
発光層における染料P-1をP-7に置き換えたこと以外、デバイス実施例1の調製方法と同じである。デバイス構造は以下の通りである。
【0125】
ITO/HI(10nm)/HT(30nm)/EBL(10nm)/Host:3wt%P-7(30nm)/HBL(10nm)ET(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(150nm)
【0126】
本実施例で調製された有機エレクトロルミネッセンスデバイスD5に対してデバイス性能を測定した結果は、直流電圧をかけ、10cd/m2発光するときの特性を測定し、波長465nm、半値幅22nm、CIE色座標(x,y)=(0.14,0.12)、外部量子効率EQEが29.3%である青色発光(駆動電圧は3.0Vである)が得られた。
【0127】
デバイス実施例6
発光層における染料P-1をP-7に置き換えたこと以外、デバイス実施例2の調製方法と同じである。デバイス構造は以下の通りである。
【0128】
ITO/HI(10nm)/HT(30nm)/EBL(10nm)/ TD:3wt%P-7(30nm)/HBL(10nm)ET(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(150nm)
【0129】
本実施例で調製された有機エレクトロルミネッセンスデバイスD6に対してデバイス性能を測定した結果は、直流電圧をかけ、10cd/m2発光するときの特性を測定し、波長464nm、半値幅22nm、CIE色座標(x,y)=(0.12,0.12)、外部量子効率EQEが33.6%である青色発光(駆動電圧は2.6Vである)が得られた。
【0130】
デバイス実施例7
発光層における染料P-1をP-39に置き換えたこと以外、デバイス実施例1の調製方法と同じである。デバイス構造は以下の通りである。
【0131】
ITO/HI(10nm)/HT(30nm)/EBL(10nm)/Host:3wt%P-39(30nm)/HBL(10nm)ET(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(150nm)
【0132】
本実施例で調製された有機エレクトロルミネッセンスデバイスD7に対してデバイス性能を測定した結果は、直流電圧をかけ、10cd/m2発光するときの特性を測定し、波長469nm、半値幅21nm、CIE色座標(x,y)=(0.12,0.13)、外部量子効率EQEが29.3%である青色発光(駆動電圧は2.8Vである)が得られた。
【0133】
デバイス実施例8
発光層における染料P-1をP-39に置き換えたこと以外、デバイス実施例2の調製方法と同じである。デバイス構造は以下の通りである。
【0134】
ITO/HI(10nm)/HT(30nm)/EBL(10nm)/ TD:3wt%P-39(30nm)/HBL(10nm)ET(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(150nm)
【0135】
本実施例で調製された有機エレクトロルミネッセンスデバイスD8に対してデバイス性能を測定した結果は、直流電圧をかけ、10cd/m2発光するときの特性を測定し、波長462nm、半値幅18nm、CIE色座標(x,y)=(0.12,0.10)、外部量子効率EQEが32.4%である青色発光(駆動電圧は2.4Vである)が得られた。
【0136】
デバイス実施例9
発光層における染料P-1をP-95に置き換えたこと以外、デバイス実施例1の調製方法と同じである。デバイス構造は以下の通りである。
【0137】
ITO/HI(10nm)/HT(30nm)/EBL(10nm)/Host:3wt%P-95(30nm)/HBL(10nm)ET(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(150nm)
【0138】
本実施例で調製された有機エレクトロルミネッセンスデバイスD9に対してデバイス性能を測定した結果は、直流電圧をかけ、10cd/m2発光するときの特性を測定し、波長461nm、半値幅17nm、CIE色座標(x,y)=(0.11,0.09)、外部量子効率EQEが30.3%である青色発光(駆動電圧は2.8Vである)が得られた。
【0139】
デバイス実施例10
発光層における染料P-1をP-95に置き換えたこと以外、デバイス実施例2の調製方法と同じである。デバイス構造は以下の通りである。
【0140】
ITO/HI(10nm)/HT(30nm)/EBL(10nm)/TD:3wt%P-95(30nm)/HBL(10nm)ET(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(150nm)
【0141】
本実施例で調製された有機エレクトロルミネッセンスデバイスD10に対してデバイス性能を測定した結果は、直流電圧をかけ、10cd/m2発光するときの特性を測定し、波長462nm、半値幅18nm、CIE色座標(x,y)=(0.11,0.10)、外部量子効率EQEが32.4%である青色発光(駆動電圧は2.4Vである)が得られた。
【0142】
デバイス実施例11
発光層における染料P-1をP-110に置き換えたこと以外、デバイス実施例1の調製方法と同じである。デバイス構造は以下の通りである。
【0143】
ITO/HI(10nm)/HT(30nm)/EBL(10nm)/Host:3wt%P-110(30nm)/HBL(10nm)ET(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(150nm)
【0144】
本実施例で調製された有機エレクトロルミネッセンスデバイスD11に対してデバイス性能を測定した結果は、直流電圧をかけ、10cd/m2発光するときの特性を測定し、波長470nm、半値幅22nm、CIE色座標(x,y)=(0.12,0.13)、外部量子効率EQEが28.3%である青色発光(駆動電圧は2.8Vである)が得られた。
【0145】
デバイス実施例12
発光層における染料P-1をP-110に置き換えたこと以外、デバイス実施例2の調製方法と同じである。デバイス構造は以下の通りである。
【0146】
ITO/HI(10nm)/HT(30nm)/EBL(10nm)/TD:3wt%P-110(30nm)/HBL(10nm)ET(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(150nm)
【0147】
本実施例で調製された有機エレクトロルミネッセンスデバイスD12に対してデバイス性能を測定した結果は、直流電圧をかけ、10cd/m2発光するときの特性を測定し、波長471nm、半値幅22nm、CIE色座標(x,y)=(0.12,0.14)、外部量子効率EQEが30.4%である青色発光(駆動電圧は2.4Vである)が得られた。
【0148】
デバイス実施例13
発光層における染料P-1をP-114に置き換えたこと以外、デバイス実施例1の調製方法と同じである。デバイス構造は以下の通りである。
【0149】
ITO/HI(10nm)/HT(30nm)/EBL(10nm)/Host:3wt%P-95(30nm)/HBL(10nm)ET(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(150nm)
【0150】
本実施例で調製された有機エレクトロルミネッセンスデバイスD13に対してデバイス性能を測定した結果は、直流電圧をかけ、10cd/m2発光するときの特性を測定し、波長465nm、半値幅19nm、CIE色座標(x,y)=(0.12,0.11)、外部量子効率EQEが29.6%である青色発光(駆動電圧は2.8Vである)が得られた。
【0151】
デバイス実施例14
発光層における染料P-1をP-114に置き換えたこと以外、デバイス実施例2の調製方法と同じである。デバイス構造は以下の通りである。
【0152】
ITO/HI(10nm)/HT(30nm)/EBL(10nm)/TD:3wt%P-11(30nm)/HBL(10nm)ET(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(150nm)
【0153】
本実施例で調製された有機エレクトロルミネッセンスデバイスD14に対してデバイス性能を測定した結果は、直流電圧をかけ、10cd/m2発光するときの特性を測定し、波長466nm、半値幅21nm、CIE色座標(x,y)=(0.12,0.12)、外部量子効率EQEが31.4%である青色発光(駆動電圧は2.4Vである)が得られた。
【0154】
デバイス実施例15
発光層における染料P-1をP-206に置き換えたこと以外、デバイス実施例1の調製方法と同じである。デバイス構造は以下の通りである。
【0155】
ITO/HI(10nm)/HT(30nm)/EBL(10nm)/Host:3wt%P-206(30nm)/HBL(10nm)ET(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(150nm)
【0156】
本実施例で調製された有機エレクトロルミネッセンスデバイスD15に対してデバイス性能を測定した結果は、直流電圧をかけ、10cd/m2発光するときの特性を測定し、波長462nm、半値幅20nm、CIE色座標(x,y)=(0.12,0.10)、外部量子効率EQEが31.6%である青色発光(駆動電圧は2.8Vである)が得られた。
【0157】
デバイス実施例16
発光層における染料P-1をP-206に置き換えたこと以外、デバイス実施例2の調製方法と同じである。デバイス構造は以下の通りである。
【0158】
ITO/HI(10nm)/HT(30nm)/EBL(10nm)/TD:3wt%P-206(30nm)/HBL(10nm)ET(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(150nm)
【0159】
本実施例で調製された有機エレクトロルミネッセンスデバイスD16に対してデバイス性能を測定した結果は、直流電圧をかけ、10cd/m2発光するときの特性を測定し、波長463nm、半値幅22nm、CIE色座標(x,y)=(0.12,0.11)、外部量子効率EQEが34.4%である青色発光(駆動電圧は2.6Vである)が得られた。
【0160】
デバイス実施例17
発光層における染料をP-1からP-308に置き換えたこと以外、デバイス実施例1の調製方法と同じである。デバイス構造は以下の通りである。
【0161】
ITO/HI(10nm)/HT(30nm)/EBL(10nm)/Host:3wt%P-308(30nm)/HBL(10nm)ET(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(150nm)
【0162】
本実施例で調製された有機エレクトロルミネッセンスデバイスD17に対してデバイス性能を測定した結果は、波長459nm、半値幅34nm、CIE色座標(x,y)=(0.14,0.18)、外部量子効率EQEが28.8%である青色発光(駆動電圧は3.0Vである)が得られた。
【0163】
デバイス実施例18
発光層における染料をP-1からP-308に置き換えたこと以外、デバイス実施例2の調製方法と同じである。デバイス構造は以下の通りである。
【0164】
ITO/HI(10nm)/HT(30nm)/EBL(10nm)/TD:3wt%P-308(30nm)/HBL(10nm)ET(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(150nm)
【0165】
本実施例で調製された有機エレクトロルミネッセンスデバイスD17に対してデバイス性能を測定した結果は、直流電圧をかけ、10cd/m2発光するときの特性を測定し、波長460nm、半値幅30nm、CIE色座標(x,y)=(0.13,0.18)、外部量子効率EQEが32.4%である青色発光(駆動電圧は2.6Vである)が得られた。
【0166】
デバイス実施例19
発光層における染料をP-1からP-300デバイスに置き換えたこと以外、実施例1の調製方法と同じである。デバイス構造は以下の通りである。
【0167】
ITO/HI(10nm)/HT(30nm)/EBL(10nm)/Host:3wt%P-300(30nm)/HBL(10nm)ET(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(150nm)
【0168】
本実施例で調製された有機エレクトロルミネッセンスデバイスD19に対してデバイス性能を測定した結果は、直流電圧をかけ、10cd/m2発光するときの特性を測定し、波長451nm、半値幅31nm、CIE色座標(x,y)=(0.13,0.16)、外部量子効率EQEが28.3%である青色発光(駆動電圧は3.0Vである)が得られた。
【0169】
デバイス実施例20
発光層における染料をP-1からP-300に置き換えたこと以外、デバイス実施例2の調製方法と同じである。デバイス構造は以下の通りである。
【0170】
ITO/HI(10nm)/HT(30nm)/EBL(10nm)/TD:3wt%P-300(30nm)/HBL(10nm)ET(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(150nm)
【0171】
本実施例で調製された有機エレクトロルミネッセンスデバイスD20に対してデバイス性能を測定した結果は、直流電圧をかけ、10cd/m2発光するときの特性を測定し、波長452nm、半値幅30nm、CIE色座標(x,y)=(0.13,0.15)、外部量子効率EQEが31.4%である青色発光(駆動電圧は2.6V)が得られた。
【0172】
デバイス実施例21
発光層における染料をP-1からP-334に置き換えたこと以外、デバイス実施例1の調製方法と同じである。デバイス構造は以下の通りである。
【0173】
ITO/HI(10nm)/HT(30nm)/EBL(10nm)/Host:3wt%P-334(30nm)/HBL(10nm)ET(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(150nm)
【0174】
本実施例で調製された有機エレクトロルミネッセンスデバイスD21に対してデバイス性能を測定した結果は、直流電圧をかけ、10cd/m2発光するときの特性を測定し、波長465nm、半値幅34nm、CIE色座標(x,y)=(0.14,0.19)、外部量子効率EQEが29.3%である青色発光(駆動電圧は3.0Vである)が得られた。
【0175】
デバイス実施例22
発光層における染料をP-1からP-334に置き換えたこと以外、デバイス実施例2の調製方法と同じである。デバイス構造は以下の通りである。
【0176】
ITO/HI(10nm)/HT(30nm)/EBL(10nm)/TD:3wt%P-334(30nm)/HBL(10nm)ET(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(150nm)
【0177】
本実施例で調製された有機エレクトロルミネッセンスデバイスD21に対してデバイス性能を測定した結果は、直流電圧をかけ、10cd/m2発光するときの特性を測定し、波長464nm、半値幅32nm、CIE色座標(x,y)=(0.12,0.18)、外部量子効率EQEが33.6%である青色発光(駆動電圧は2.6V)が得られた。
【0178】
デバイス実施例23
本実施例ではTTA型主体ANで三重項-三重項消滅アップコンバージョン(TTA)型の有機エレクトロルミネッセンスデバイスであるT1デバイスを製造し、具体的なデバイス構造は以下の通りである。
【0179】
ITO/HI(10nm)/HT(30nm)/EBL(10nm)/AN:3wt%P-1(30nm)/HBL(10nm)ET(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(150nm)
【0180】
ただし、陽極材料はITOである。正孔注入層材料はHI、一般的に全厚さは5-30nm、本実施例は10nmである。正孔輸送層の材料はHT、全厚さは一般的に5-500nm、本実施例は40nmである。HostはTTA型主体材料ANであり、本発明化合物P-1は染料であり且つドーピング濃度は3wt%であり、有機発光層の厚さは一般的に1-200nm、本実施例は30nmである。電子輸送層の材料はET、厚さは一般的に5-300nm、本実施例は30nmである。電子注入層及び陰極材料はLiF(0.5nm)と金属アルミニウム(150nm)を選択する。
【0181】
本実施例で調製された有機エレクトロルミネッセンスデバイスに対して、直流電圧をかけ、10cd/m2発光するときの特性を測定し、より狭化されたエレクトロルミネッセンススペクトル:波長467nm、半値幅18 nm、CIE色座標(x,y)=(0.12,0.10)、外部量子効率EQEが8.8%である青色発光(駆動電圧は2.6Vである)が得られた。
【0182】
比較デバイス実施例1
発光層で使用される本発明の化合物P-1を従来技術における化合物P1に置き換えたこと以外、デバイス実施例1の調製方法と同じであり、具体的なデバイス構造は以下の通りである。
【0183】
ITO/HI(10nm)/HT(30nm)/EBL(10nm)/Host:3wt%P1(30nm)/HBL(10nm)ET(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(150nm)
【0184】
本実施例で調製された有機エレクトロルミネッセンスデバイスDD1に対してデバイス性能を測定した結果は、直流電圧をかけ、10cd/m2発光するときの特性を測定し、波長474nm、半値幅30nm、CIE色座標(x,y)=(0.13,0.20)、外部量子効率EQEが18.9%である青色発光(駆動電圧は3.1Vである)が得られた。
【0185】
比較デバイス実施例2
発光層で使用される本発明の化合物P-1を従来技術における化合物P1に置き換えたこと以外、デバイス実施例2の調製方法と同じであり、具体的なデバイス構造は以下の通りである。
【0186】
ITO/HI(10nm)/HT(30nm)/EBL(10nm)/TD:3wt%P1(30nm)/HBL(10nm)ET(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(150nm)
【0187】
本実施例で調製された有機エレクトロルミネッセンスデバイスDD2に対してデバイス性能を測定した結果は、直流電圧をかけ、10cd/m2発光するときの特性を測定し、波長475nm、半値幅32nm、CIE色座標(x,y)=(0.13,0.22)、外部量子効率EQEが26.9%である青色発光(駆動電圧は2.8Vである)が得られた。
【0188】
比較デバイス実施例3
発光層で使用される本発明の化合物P-1を従来技術における化合物P2に置き換えたこと以外、デバイス実施例1の調製方法と同じであり、具体的なデバイス構造は以下の通りである。
【0189】
ITO/HI(10nm)/HT(30nm)/EBL(10nm)/Host:3wt%P2(30nm)/HBL(10nm)ET(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(150nm)
【0190】
本実施例で調製された有機エレクトロルミネッセンスデバイスDD3に対してデバイス性能を測定した結果は、直流電圧をかけ、10cd/m2発光するときの特性を測定し、波長460nm、半値幅37nm、CIE色座標(x,y)=(0.13,0.11)、外部量子効率EQEが16.7%である青色発光(駆動電圧は3.8Vである)が得られた。
【0191】
比較デバイス実施例4
発光層で使用される本発明の化合物P-1を従来技術における化合物P2に置き換えたこと以外、デバイス実施例2の調製方法と同じであり、具体的なデバイス構造は以下の通りである。
【0192】
ITO/HI(10nm)/HT(30nm)/EBL(10nm)/TD:3wt%P2(30nm)/HBL(10nm)ET(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(150nm)
【0193】
本実施例で調製された有機エレクトロルミネッセンスデバイスDD4に対してデバイス性能を測定した結果は、直流電圧をかけ、10cd/m2発光するときの特性を測定し、波長462nm、半値幅39nm、CIE色座標(x,y)=(0.14,0.13)、外部量子効率EQEが24.9%である青色発光(駆動電圧は3.0Vである)が得られた。
【0194】
比較デバイス実施例5
発光層で使用される本発明の化合物P-1を従来技術における化合物P3に置き換えたこと以外、デバイス実施例1の調製方法と同じであり、具体的なデバイス構造は以下の通りである。
【0195】
ITO/HI(10nm)/HT(30nm)/EBL(10nm)/Host:3wt%P2(30nm)/HBL(10nm)ET(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(150nm)
【0196】
本実施例で調製された有機エレクトロルミネッセンスデバイスDD5に対してデバイス性能を測定した結果は、直流電圧をかけ、10cd/m2発光するときの特性を測定し、波長463nm、半値幅29nm、CIE色座標(x,y)=(0.15,0.10)、外部量子効率EQEが22.6%である青色発光(駆動電圧は3.3Vである)が得られた。
【0197】
比較デバイス実施例6
発光層で使用される本発明の化合物P-1を従来技術における化合物P3に置き換えたこと以外、本願明細書におけるデバイス実施例2の調製方法と同じであり、具体的なデバイス構造は以下の通りである。
【0198】
ITO/HI(10nm)/HT(30nm)/EBL(10nm)/TD:3wt%P3(30nm)/HBL(10nm)ET(30nm)/LiF(0.5nm)/Al(150nm)
【0199】
本実施例で調製された有機エレクトロルミネッセンスデバイスDD6に対してデバイス性能を測定した結果は、直流電圧をかけ、10cd/m2発光するときの特性を測定し、波長463nm、半値幅27nm、CIE色座標(x,y)=(0.15,0.09)、外部量子効率EQEが27.9%の青色発光(駆動電圧は3.1Vである)が得られた。
上記の各実施例で使用される各有機材料の構造式は以下の通りである。
【0200】
【0201】
上記の各デバイス実施例で調製された有機エレクトロルミネッセンスデバイスD1~デバイスD16、デバイスT1、及び比較実施例で調製されたデバイスDD1~デバイスDD4の具体的な性能データは詳しく下表1に示される。特に発光スペクトルの半値幅において、実施例は有効な効果を有することが確認され、さらにデバイスの色純度はより優れている。さらにデバイスの外部量子効率も顕著に向上し、効率ロールオフも顕著に改善された。
【0202】
【0203】
以上の実験データによると、本発明が提供するこのような新規化合物の製造を有機エレクトロルミネッセンスデバイスに応用すると、デバイスが低効率のロールオフ及び高発光効率の良好な性能を実現すると同時に、さらにエレクトロルミネッセンススペクトルのさらなる狭化を実現するため、本発明のこのような新規化合物は性能が良好な有機発光機能材料であり、商業化応用に有望である。
【0204】
実施例を参照して本発明を説明したが、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、本発明の主旨の元で、当業者は様々な修正及び改進を行うことができ、請求の範囲は本発明の範囲を要約したものであることを理解すべきである。明らかに、上記の実施例は単にはっきり説明するために挙げた例であり、実施形態に対する限定ではない。当業者にとって、上記の説明に基づいて他の異なる形の変化や変動を行うことができる。