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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】炭酸ランタンを含有する医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 33/244 20190101AFI20240131BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240131BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240131BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20240131BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240131BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20240131BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
A61K33/244
A61K47/12
A61K47/02
A61K47/32
A61K47/26
A61K9/20
A61P7/00
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022117815
(22)【出願日】2022-07-25
(62)【分割の表示】P 2018062647の分割
【原出願日】2018-03-28
(65)【公開番号】P2022136160
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2022-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】516078434
【氏名又は名称】コーアイセイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】神戸 英芳
(72)【発明者】
【氏名】青柳 文之
【審査官】田澤 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-119655(JP,A)
【文献】特許第6093829(JP,B1)
【文献】特開2013-67611(JP,A)
【文献】特開2010-143836(JP,A)
【文献】国際公開第2017/170763(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/084493(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/080357(WO,A1)
【文献】特開2016-185997(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
47/00-47/69
9/00-9/72
A61P 1/00-43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とし、
70~99質量%の炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩、
0.1~1.5質量%のステアリン酸マグネシウム、
0.2~4質量%のタルク、
0.05~2質量%の軽質無水ケイ酸、
0.5~3質量%のクロスポビドン、
マンニトール、及び
スクラロース
を含有する、錠剤。
【請求項2】
口腔内速崩壊錠である、請求項1記載の錠剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物に関し、特に、炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有する口腔内速崩壊錠に関する。
【背景技術】
【0002】
炭酸ランタンは、高リン血症治療剤として用いられている。経口投与された炭酸ランタンは、腸管内において、食事によって摂取されたリン酸と強固に結合して極めて難溶性のリン酸ランタンを形成し、これが乖離することなく糞便中へ排泄されるために腸管からのリン吸収が抑制されて、血清リン濃度を低下させる。
【0003】
高リン血症は、透析中の又は保存期の慢性腎臓病(CKD)の多くの患者で、腎臓からのリン排泄が低下し、血中のリン濃度が高くなることで生じる疾患であり、高リン血症状態が持続すると臓器や関節周囲に石灰沈着を生じやすくなる。特に、血管壁での石灰沈着は動脈硬化の原因となり、これにより心筋梗塞や狭心症を発症するリスクが高まることが指摘されている。したがって、CKD患者では、血清リン濃度を適切な範囲にコントロールすることが重要とされている。
【0004】
従来から使用されている高リン血症治療剤としては、バイエル薬品株式会社のホスレノールチュアブル錠250mg、同500mgと、ホスレノール顆粒分包250mg、同500mgがある。更に、2017年には、「水なしで服用できる、唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与」可能な製剤であるホスレノールOD錠250mg、同500mgが同社より上市されている。
【0005】
【表1】
【0006】
表1からも分かるように、チュアブル錠に対して口腔内速崩壊錠(OD錠)では、炭酸ランタン水和物の1錠中の含有率が46%から79%となっており、錠剤が小型化されている。更に、口腔内速崩壊錠は、口腔内の少量の唾液でも瞬時に崩壊することから、服用が容易であり、普通の錠剤では嚥下困難な高齢者や小児に適した製剤である。特に、CKD患者では、水の服用をできるだけ少なくする必要があるため口腔内速崩壊錠は特に最適な剤形である。
【0007】
炭酸ランタン含有製剤の1回服用量は、ランタンとして250~500mg(炭酸ランタン8水和物換算で542~1084mg、炭酸ランタン4水和物換算で477~954mg)と非常に高く、服用感に優れた口腔内速崩壊錠とするためには、例えば、特許文献1では、炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩の製剤中の含有率を高くする必要があるとしている。また、炭酸ランタンを含有する高品質な口腔内速崩壊錠とするためには、速やかな崩壊性と高い硬度の両立も求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2017-66119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者は、速やかな崩壊性と高い硬度を有する服用感に優れた、炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物の開発を目標とした。すなわち、本発明の目的は、速やかな崩壊性と高い硬度を有する服用感に優れた、炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物、特に、口腔内速崩壊錠の製造方法を確立することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、意外にも、医薬組成物中に崩壊剤を少量配合することにより、速やかな崩壊性と高い硬度を有する服用感に優れた、炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物を製造することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
よって、本発明は、要旨、以下のものを提供する。
〔1〕 唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする、炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩と0.2~4質量%の崩壊剤とを含有する医薬組成物。
〔2〕 崩壊剤が、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群より選択される少なくとも1種を含む、〔1〕に記載の医薬組成物。
〔3〕 崩壊剤が、クロスポビドンを含む、〔1〕又は〔2〕に記載の医薬組成物。
〔4〕 炭酸ランタンが、一般式
La(CO・xHO (式中、xは、3~9である)
で表される、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の医薬組成物。
〔5〕 xが、8~9である、〔4〕に記載の医薬組成物。
〔6〕 炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を91~99質量%含む、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の医薬組成物。
〔7〕 錠剤である、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の医薬組成物。
〔8〕 ステアリン酸マグネシウムの含有率が1.5質量%以下である、〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の医薬組成物。
〔9〕 タルクの含有率が5質量%以下である、〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の医薬組成物。
〔10〕 軽質無水ケイ酸の含有率が3質量%以下である、〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の医薬組成物。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、崩壊剤の含有率が0.2~4質量%であっても、速やかな崩壊性と高い硬度を有する服用感に優れた、炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物が得られる。
すなわち本発明は、炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩に少量の崩壊剤を配合して、必要に応じて、滑沢剤、流動化剤、甘味料等を配合して直接打錠法により又は乾式造粒後に打錠することにより、炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を含有する口腔内速崩壊錠を製造することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施態様では、唾液又は少量の水により、口腔内で崩壊させて経口投与することを特徴とする、炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩と0.2~4質量%の崩壊剤とを含有する医薬組成物を提供する。
【0014】
本発明で使用する崩壊剤としては、医薬品に通常使用されるものであって、本発明の目的を達成することができるものであれば特段制限なく使用することができる。崩壊剤の医薬組成物中の含有率は、好ましくは約0.2~約4質量%であり、より好ましくは約0.3~約3.5質量%であり、更に好ましくは約0.5~約3質量%である。0.2質量%未満では、所望の崩壊性が得られない場合がある。
【0015】
本発明の好ましい実施態様では、崩壊剤は、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群より選択される少なくとも1種を含み、好ましくは、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、及びクロスポビドンからなる群より選択される少なくとも1種を含む。
【0016】
本発明の更に好ましい実施態様では、崩壊剤は、服用感の良いクロスポビドンを含む。
【0017】
本明細書中で使用される用語「炭酸ランタン」は、技術的に明らかに不適切な場合を除き、炭酸ランタン水和物も含むものとする。
【0018】
本発明で使用する炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩は、本発明の目的を達成できる限り特段限定されるものではない。
【0019】
本発明の好ましい実施態様では、炭酸ランタンは、一般式
La(CO・xHO (式中、xは、3~9である)
で表され、好ましくは、xは、8~9である。
【0020】
炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩の医薬組成物中の含有率は、本発明の目的を達成できる限り特段限定されるものではない。
【0021】
本発明の好ましい実施態様では、炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩の医薬組成物中の含有率は、約40~約99質量%であり、好ましくは約70~約99質量%であり、より好ましくは約91~約99質量%である。
【0022】
炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩の粒子径については、本発明の医薬組成物を製造できる限り特段限定されるものではない。炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩の粒子径は、測定法により変化しうるものであり、また、通常は、粒子径分布として測定されるから、平均粒子径として表されることが多い。したがって、本明細書中で平均粒子径の具体的な数値を例示している場合には、その数値は、特段別途の記載がない限り、例えば、日機装株式会社のマイクロトラックMT330II等のレーザー回析・散乱式粒度分布装置により測定される平均粒子径を意味するものとする。
【0023】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の医薬組成物は、錠剤である。
【0024】
本発明の更に好ましい実施態様では、本発明の医薬組成物は、錠剤としての十分な硬度を有しつつも、口中で容易に噛み砕くことが可能であることから、チュアブル錠である。本発明の医薬組成物は、口中で溶けやすいため、チュアブル錠であっても、噛み砕いた後に速やかに口中で溶解することができる。
本発明の更に好ましい実施態様では、本発明の医薬組成物は、錠剤として十分な硬度を有しつつも、口中で溶けやすいため、口腔内速崩壊錠である。口腔内速崩壊錠とは、口中に含んだ時に速やかに崩壊する錠剤である。
崩壊時間は、口腔内速崩壊錠として医薬品として認可されるような崩壊時間を満たせばよく、本発明の目的を達成することができる限り特段限定されないが、口中に含んだ後、一般的には約60秒以内であり、好ましくは約45秒以内であり、より好ましくは約30秒以内である。チュアブル錠とした場合にも、口中に入れ噛み砕いた後に、上記崩壊時間内に崩壊することが好ましい。
上記口腔内崩壊時間は、市販の口腔内崩壊試験器による測定等の周知の測定方法を使用することができる。具体的には、本明細書中に記載した口腔内崩壊時間は、日局一般試験法の崩壊試験法(試験液:水)により測定している。
【0025】
本発明の医薬組成物が錠剤である場合、錠剤が有すべき直径は、本発明の目的を達成することができる限り特段限定されるものではないが、錠剤として十分な硬度を有しつつ、口中で溶けやすく、また、口中で容易に噛み砕くことが可能であるという本発明の目的を達成するのに好ましい錠剤の直径であり、好ましくは約8~約15mmであり、より好ましくは約9~約14mmであり、更に好ましくは約10~約13mmである。
【0026】
本発明の医薬組成物が錠剤である場合、錠剤硬度は、口中で溶けやすく、また、口中で容易に噛み砕くことが可能でありつつ、輸送や保存時に十分な硬さを有していれば特段限定されるものではないが、約40N以上であることが好ましく、約50N以上であることがより好ましく、約60N以上であることが更に好ましく、上限としては、約200N以下であることが好ましく、約150N以下であることがより好ましい。
【0027】
本発明の医薬組成物には、本発明の目的を達成できる限り、必要に応じて、糖アルコールを配合することができる。糖アルコールを配合することにより、苛酷試験等の試験条件下でも性状変化が抑制された、安定な医薬組成物を得ることができる。
糖アルコールとしては、これらに限定されるものではないが、例えば、マンニトール、エリスリトール、キシリトール等が挙げられる。特に、成形性が良く、崩壊性の良い医薬組成物が得られることから、マンニトールが最も好ましい。
【0028】
本発明の医薬組成物には、本発明の目的を達成できる限り、必要に応じて、医薬品添加物として配合可能な添加物を更に配合することが可能である。そのような添加物としては、例えば、滑沢剤、流動化剤、結合剤、甘味剤、着色剤等が挙げられる。
【0029】
滑沢剤としては、これらに限定されるものではないが、例えば、ステアリン酸塩(ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等)、マクロゴール、グリセリン脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、これらいずれかの任意の組み合わせ等が挙げられるが、好ましくはステアリン酸塩又はタルクであり、より好ましくはステアリン酸マグネシウム又はタルクである。
【0030】
ステアリン酸塩は、滑沢効果が強いため、少量の添加で効果が得られ、崩壊時間が速く、高い硬度の口腔内速崩壊錠が得られる。しかしながら、ステアリン酸塩の配合量が多いと、口腔内崩壊時間の延長や保存安定性試験において崩壊延長が生じる場合がある。そのため、ステアリン酸塩の医薬組成物中の含有率は、好ましくは約1.5質量%以下であり、下限としては、好ましくは約0.1質量%以上である。ステアリン酸塩の医薬組成物中の含有率を約1.5質量%以下に抑える方法としては、(1)圧縮成型時に外部滑沢装置を使用すること、(2)タルク等の崩壊時間の延長のない滑沢剤を配合すること、及び/又は(3)軽質無水ケイ酸等の流動化剤を配合すること等が有効である場合がある。
【0031】
タルクは、他の滑沢剤を配合して苛酷試験を実施すると崩壊時間の延長が認められるのに対して、唯一、そのような崩壊時間の延長が認められなかった滑沢剤である。一般に、タルクの配合により、崩壊時間は短縮される傾向があるが、錠剤の硬度は低下する傾向にある。タルクの医薬組成物中の含有率としては、好ましくは約5質量%以下であり、より好ましくは約4質量%以下であり、更に好ましくは約3質量%以下であり、下限としては、好ましくは約0.2質量%以上である。5質量%超では、圧縮成型時にキャッピング等の打錠障害が認められる場合がある。
【0032】
流動化剤としては、例えば、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、タルク、これらいずれかの任意の組み合わせ等が挙げられるが、好ましくは軽質無水ケイ酸である。流動化剤の配合により、錠剤の硬度は高くなり、崩壊時間も短くすることができる。
流動化剤の医薬組成物中の含有率としては、通常、好ましくは約3質量%以下であり、より好ましくは約2.5質量%以下であり、更に好ましくは約2質量%以下であり、下限としては、好ましくは約0.05質量%以上である。3質量%超では、圧縮成型時にキャッピング等の打錠障害が認められる場合がある。
【0033】
結合剤としては、例えば、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ゼラチン、デキストリン、ペクチン、ポリアクリル酸ナトリウム、プルラン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、これらいずれかの任意の組み合わせ等が挙げられる。
【0034】
甘味剤としては、例えば、サッカリンナトリウム、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ステビア、ソーマチン、スクラロース、これらいずれかの任意の組み合わせ等が挙げられる。
【0035】
着色剤としては、例えば、食用黄色5号、食用赤色2号、食用青色2号等の食用色素が挙げられる。
【0036】
本発明の医薬組成物が錠剤である場合、錠剤の製造方法は、例えば、平均粒子径が30~50μm程度の炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩を使用する場合には、崩壊剤、糖アルコール、滑沢剤、流動化剤及び甘味剤等を混合機で混合し、圧縮成型して口腔内速崩壊錠を製造することができる。炭酸ランタン又はその薬学的に許容される塩の粒子径が10μm程度の場合には、例えば、乾式造粒や湿式造粒して打錠末を製造した後、圧縮成型することができる。また、粒子径が10μm程度以下の場合であっても、ジェットマイザー等の衝撃タイプの粉砕物については、V型混合機等で混合することで流動性の良い凝集造粒物が得られるため、崩壊剤、糖アルコール、滑沢剤及び甘味剤等を混合し、圧縮成型することが可能である。
【実施例
【0037】
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例で示した態様に限定されるべきものではない。
【0038】
共通事項
炭酸ランタン8水和物及び炭酸ランタン4水和物の平均粒子径は、レーザー回析・散乱式粒度分布装置により測定した。
錠剤の直径(錠径)は、ノギスにより測定した。
錠剤の硬度は、錠剤硬度計(ロードセル式錠剤硬度計PC-30、岡田精工株式会社製)により測定した。
口腔内崩壊時間は、日局一般試験法の崩壊試験法(試験液:水)により測定した。
【0039】
[比較例1~4、実施例1]
表2に記載する配合量の、炭酸ランタン8水和物(平均粒子径:50μm)、マンニトール(パーテック(登録商標)M200、メルク株式会社製)、クロスポビドン(アイエスピー・ジャパン株式会社製)、軽質無水ケイ酸(アエロジル200、日本アエロジル株式会社製)、タルク(松村産業株式会社製)及びステアリン酸マグネシウム(太平化学産業株式会社製)を、混合機(S-3型、筒井理化学機器株式会社)で10分混合後、打錠機(VELA5、株式会社菊水製作所)で錠径10mmの錠剤を得た。
【0040】
【表2】
【0041】
<試験例1>
比較例1~4、実施例1で製造した錠剤の錠剤特性を評価した。その結果を表3に示した。
【0042】
【表3】
【0043】
<結果>
表3から、比較例1にタルクや軽質無水ケイ酸を配合した場合に崩壊時間が速くなる傾向を示し(比較例2、3)、クロスポビドンを0.94質量%配合した場合に崩壊時間が1分以内になった(実施例1)。一方、硬度は、軽質無水ケイ酸やステアリン酸マグネシウムの配合量を減量した場合に上昇する傾向が認められた。
【0044】
[実施例2~8]
表4に記載する配合量の、炭酸ランタン8水和物(平均粒子径:50μm)、マンニトール(パーテック(登録商標)M200、メルク株式会社製)、クロスポビドン(アイエスピー・ジャパン株式会社製)、スクラロース(三栄原エフ・エフ・アイ株式会社製)、軽質無水ケイ酸(アエロジル200、日本アエロジル株式会社製)、タルク(松村産業株式会社製)及びステアリン酸マグネシウム(太平化学産業株式会社製)を、混合機(S-3型、筒井理化学機器株式会社)で10分混合後、乾式造粒機(TF-Labo、フロイント産業株式会社)で造粒した。整粒機(TC-Labo、深江パウテック株式会社)で整粒後、打錠機(VELA5、株式会社菊水製作所)で錠径10mmの錠剤を得た。
【0045】
【表4】
【0046】
<試験例2>
実施例2~8で製造した錠剤の錠剤特性を評価した。その結果を表5に示した。
【0047】
【表5】
【0048】
<結果>
表5から、0.5~3質量%のクロスポビドンを含有する場合、硬度が高く、崩壊時間が1分以内の口腔内速崩壊錠が得られた(実施例2~8)。
また、実施例2~4から、クロスポビドンの含有率が増加するほど崩壊時間が短くなった。
【0049】
[実施例9~15]
炭酸ランタン8水和物を炭酸ランタン4水和物(平均粒子径:10μm)に置き換え、表6に記載の配合量で、実施例2~8と同様にして錠径10mmの錠剤を得た。
【0050】
【表6】
【0051】
<試験例3>
実施例9~15で製造した錠剤の錠剤特性を評価した。その結果を表7に示した。
【0052】
【表7】
【0053】
<結果>
表7から、炭酸ランタン8水和物と同様に、炭酸ランタン4水和物を用いた場合でも、硬度が高く、崩壊時間が1分以内の口腔内速崩壊錠が得られた(実施例9~15)。
また、実施例9~11から、クロスポビドンの含有率が増加するほど崩壊時間が短くなった。
【0054】
[実施例16~19]
表8に記載する配合量の、炭酸ランタン8水和物(平均粒子径:50μm)、マンニトール(パーテック(登録商標)M200、メルク株式会社製)、崩壊剤、スクラロース(三栄原エフ・エフ・アイ株式会社製)、軽質無水ケイ酸(アエロジル200、日本アエロジル株式会社製)、タルク(松村産業株式会社製)及びステアリン酸マグネシウム(太平化学産業株式会社製)を、混合機(S-3型、筒井理化学機器株式会社)で10分混合後、打錠機(VELA5、株式会社菊水製作所)で錠径12mmの錠剤を得た。
尚、崩壊剤としては、以下を使用した。
・クロスポビドン(アイエスピー・ジャパン株式会社製)
・カルボキシメチルスターチナトリウム(GLYCOLYS、ロケットジャパン株式
会社製)
・クロスカルメロースナトリウム(キツコレート ND-2HS、旭化成株式会社製 )
・低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC NBD-022、信越化学 株式会社製)
【0055】
【表8】
【0056】
<試験例4>
実施例16~19で製造した錠剤の錠剤特性を評価した。その結果を表9に示した。
【0057】
【表9】
【0058】
<結果>
表9から、いずれの崩壊剤を使用した場合でも、硬度が高く、崩壊時間が1分以内の口腔内速崩壊錠が得られた。