(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】スロットマシン
(51)【国際特許分類】
A63F 5/04 20060101AFI20240131BHJP
【FI】
A63F5/04 620
A63F5/04 651
(21)【出願番号】P 2022139953
(22)【出願日】2022-09-02
【審査請求日】2022-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000169477
【氏名又は名称】株式会社コナミアミューズメント
(72)【発明者】
【氏名】杉野 豪
(72)【発明者】
【氏名】石渡 健大
【審査官】高木 亨
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-265689(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入賞によりボーナスゲームが作動するボーナス役に当選するボーナス当選結果を含む複数種類の抽選結果から、1の抽選結果を導出する内部抽選処理を実行する内部抽選手段と、
前記内部抽選処理の結果が特定結果となった指示対象ゲームにおいて、最大の利益が得られる遊技方法を遊技者に指示する指示手段と、
前記指示手段の作動が不可能な非有利区間と、前記指示手段の作動が可能な有利区間の相互移行を制御する区間制御手段と、
前記ボーナスゲーム中に払い出されたメダル枚数が所定の終了枚数を超えたゲームにて、前記ボーナスゲームを終了させるボーナスゲーム終了手段と、
前記ボーナスゲーム中の内部抽選結果に基づき、前記指示手段の作動に係る指示抽選処理を実行する指示機能関連抽選手段と、を備えたスロットマシンにおいて、
前記ボーナスゲームの前記内部抽選処理の結果に前記特定結果を含み、
前記指示機能関連抽選手段は、前記ボーナスゲーム中に、
前記指示手段を作動させた指示作動ゲームにお
ける、指示した遊技方法に従って遊技を行った場合に払い出されるメダル枚数
と、前記指示作動ゲーム以外のゲーム
における、実際に払い出したメダル枚数
とを累積した累積値が、前記終了枚数を超えているか否かを判断し、否定判断したゲームでは前記指示抽選処理を実行するが、肯定判断したゲームでは前記指示抽選処理を実行しない、ことを特徴とするスロットマシン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、メダルをベットした状態でスタートレバーを操作することで当選役を決定する内部抽選を行うとともに複数のリールの回転を開始させ、ストップボタンを操作することで複数のリールを停止させて、内部抽選で当選した役が入賞した場合に、入賞した役に対する配当としてメダルが払い出されるスロットマシンが知られている。
【0003】
従来、ストップボタンの操作順が予め定めた正解操作順と合致した場合は、合致しなかった場合に比べて多くのメダルが払い出される、所謂押し順小役を搭載し、押し順小役当選時に、ストップボタンが操作される前に、前記正解操作順を報知する、指示機能を備えたスロットマシンが知られている。指示機能が作動する区間をアシストタイム(Assist Time)と呼ぶため、指示機能を備えたスロットマシンはAT機と呼ばれる。
【0004】
従来のAT機は、ボーナスゲームを出玉獲得期間として用いずに基本的に常時ボーナス内部中に滞在するタイプと、ボーナスゲームを出玉獲得期間として用いるタイプの2タイプに大別される。後者のタイプのAT機として、ART(Assist Replay Timeの略)機や、A(このAはボーナスを示す)+AT機が知られている。ART機は、リプレイ高確率のRT(Replay Timeの略、以下、リプレイ高確率のRTを高確RTという)中に指示機能を作動させるもので、ボーナス終了後を高確RTへの移行契機とするものが多い。A+AT機は、ART機とは異なり、高確RTを用いないものである。
ART機や、A+AT機では、ボーナスゲーム中を、相対的にAT移行期待度の高いチャンスゾーン(以下、CZという)や、AT期間の長期継続に係る権利の上乗せ期待度が高い上乗せ特化ゾーン等、遊技者にとって、指示機能に係る抽選仕様が相対的に有利な区間として用いるのが一般的である。また、上述した押し順小役が、ボーナスゲーム中にも頻繁に当選するように構成し、ARTまたはAT中のボーナスゲームでは指示機能を作動させ、これ以外の通常区間では指示機能を作動させないことで、ARTまたはAT中のボーナスと、通常区間のボーナスとで、獲得できるメダル枚数に差異を設けたものも知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ボーナスゲームは、ボーナスゲーム中のメダル払出枚数が予め定めた終了枚数を超えた場合に終了する。上述の如く、ボーナスゲーム中に押し順小役が頻繁に当選するように構成した場合、押し順小役当選ゲームでのストップボタンの操作順が正解操作順と合致したか否かでメダル払出枚数が異なるため、正解操作順と合致した回数が少ない場合は、多い場合に比べて、前記終了枚数を超えるまで多くのゲーム数を要する。即ち、押し順小役当選ゲームでのストップボタンの操作順が正解操作順と合致した回数が少ない場合は、多い場合に比べて、ボーナスゲーム中のゲーム数が多くなる。従って、指示機能が作動した押し順小役当選ゲームで、指示通りの順番でストップボタンを操作した場合と、指示された順番とは異なる順番でストップボタンを操作した場合とで、ボーナスゲーム中のゲーム数に差異が生じることになる。
【0007】
上述の如く、ボーナスゲーム中を、遊技者にとって、指示機能に係る抽選仕様が相対的に有利な区間として用いた場合、抽選機会の増加を目論んでボーナスゲーム中のゲーム数の増加を図るべく、押し順小役当選ゲームにて、指示された順番とは異なる順番でストップボタンを操作する、設計上想定外の遊技方法が採られる虞がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、ボーナスゲーム中に押し順小役に当選し指示機能が作動したゲームで、指示に従った遊技者と、従わなかった遊技者とで、指示機能に係る抽選処理に関して有利不利が生じることのない、スロットマシンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、本発明について説明する。なお、発明の理解を容易にするため、添付図面の参照符号等を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が表示の形態に限定されるものではない。
本発明のスロットマシン(1)は、
入賞によりボーナスゲームが作動するボーナス役(BB1、BB2役)に当選するボーナス当選結果を含む複数種類の抽選結果から、1の抽選結果を導出する内部抽選処理を実行する内部抽選手段と、
前記内部抽選処理の結果が特定結果(押し順ベル1~6に当選)となった指示対象ゲームにおいて、最大の利益が得られる遊技方法を遊技者に指示する指示手段と、
前記指示手段の作動が不可能な非有利区間と、前記指示手段の作動が可能な有利区間の相互移行を制御する区間制御手段と、
前記ボーナスゲーム中に払い出されたメダル枚数が所定の終了枚数を超えたゲームにて、前記ボーナスゲームを終了させるボーナスゲーム終了手段と、
前記ボーナスゲーム中の内部抽選結果に基づき、前記指示手段の作動に係る第1抽選処理(特化上乗せ処理)を実行する指示機能関連抽選手段と、を備え、
前記ボーナスゲームの前記内部抽選処理の結果に前記特定結果(押し順ベル1~6に当選)を含み、
前記指示機能関連抽選手段は、前記ボーナスゲーム中に、
前記指示手段を作動させた指示作動ゲームにおいては、指示した遊技方法に従って遊技を行った場合に払い出されるメダル枚数、前記指示作動ゲーム以外のゲームでは、実際に払い出したメダル枚数を累積した累積値が、前記終了枚数を超えているか否かを判断し、否定判断したゲームでは前記指示抽選処理(特化上乗せ処理)を実行するが、肯定判断したゲームでは前記指示抽選処理(特化上乗せ処理)を実行しない、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ボーナスゲーム中に押し順小役に当選し指示機能が作動したゲームで、指示に従った遊技者と、従わなかった遊技者とで、指示機能に係る抽選処理に関して有利不利が生じることのない、スロットマシンを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係るスロットマシン1の斜視図である。
【
図2】スロットマシン1の兼用表示器の拡大図である。
【
図3】スロットマシン1の電気的構成を示すブロック図である。
【
図4】左リール、中リール、および右リールの図柄の配列を示す図である。
【
図5】図柄停止位置および入賞ラインについて説明するための図である。
【
図6】スロットマシン1の主制御装置により実行される遊技処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】スロットマシン1の内部抽選処理において、抽選対象とする、種別、及び入賞時の図柄組合せ等を示す表である。
【
図8】スロットマシン1のRT状態の遷移図である。
【
図9】スロットマシン1の抽選区分毎の抽選値を、RT状態毎に例示した表である。
【
図10】スロットマシン1の非有利区間中の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図11】スロットマシン1の有利区間移行抽選の内容を示す表である。
【
図12】スロットマシン1の有利区間開始処理の流れを示すフローチャートである。
【
図13】スロットマシン1の複数種類の有利区間状態の内容を示す表である。
【
図14】スロットマシン1の非有利区間及び有利区間、並びに有利区間中の複数種類の有利区間状態の遷移図である。
【
図15】スロットマシン1のバトルボーナス中処理の流れを示す図である。
【
図16】スロットマシン1のバトル区間処理の流れを示すフローチャートである。
【
図17】スロットマシン1のポイント初期値抽選処理の内容を示す表である。
【
図18】スロットマシン1の加算ポイント抽選処理の内容を示す表である。
【
図19】スロットマシン1のストック獲得特化区間処理の流れを示すフローチャートである。
【
図20】スロットマシン1の特化上乗せ処理及び通常上乗せ処理の内容を示す表である。
【
図21】スロットマシン1の通常AT状態中処理の流れを示すフローチャートである。
【
図22】スロットマシン1の上位AT状態中処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ、以下に詳細に説明する。
【0013】
<1.遊技機の外観構成>
図1は、本発明の実施形態に係るスロットマシン1の斜視図である。
スロットマシン1は、前面が開放された箱型の本体2と、本体2の前面を開閉可能に設けられた前扉3とを備えている。
本体2内には、上下方向の中央部より少し上方の位置に、左リールR1、中リールR2、および右リールR3が左右に並べて配置されている。左リールR1、中リールR2、および右リールR3はそれぞれ、ドラム状のリール枠の周面にリール帯を巻着した構成を有しており、リール枠の中心で左右方向に延びる軸を中心に回転可能に設けられている。各リール帯には、20個の図柄が周方向に並べて配列されている。
【0014】
前扉3には、表示部5、操作部6および演出表示部7が設けられている。
表示部5は、左リールR1、中リールR2、および右リールR3と対向する位置に設けられている。表示部5の中央部には、左リールR1、中リールR2、および右リールR3の周面の一部を視認可能にするためのリール窓8が設けられている。左リールR1、中リールR2、および右リールR3の回転中は、リール窓8内に、左リールR1、中リールR2、および右リールR3の図柄が次々に現れる(図柄の変動表示)。左リールR1、中リールR2、および右リールR3が停止すると、リール窓8内に、左リールR1、中リールR2、および右リールR3のそれぞれ3個の図柄、合計9個の図柄が表示される(図柄の停止表示)。
【0015】
リール窓8の下方には、兼用表示器23aおよび払出枚数表示器23bが左右に並べて配置されている。兼用表示器23aおよび払出枚数表示器23bは、たとえば、2桁の数字を表示可能な7セグメント表示器からなる。
【0016】
図2は、スロットマシン1の兼用表示器23aの拡大図である。
兼用表示器23aは、ドット付きの2桁の7セグメント表示器で構成しており、兼用表示器23aの2桁の7セグメント部分は、クレジット数表示器CRと指示モニタNMとで兼用している。
【0017】
指示モニタNMは、後述する主制御装置100aから演出サブ制御装置100bに対し、左ストップボタン15L、中ストップボタン15C及び右ストップボタン15Rの操作順(以下、停止操作順という)を指示するコマンドを送信する際に当該コマンドの種別に応じた識別情報を表示する。
【0018】
図1に戻り、操作部6は、表示部5の下側に配置されている。操作部6には、メダル投入口10、MAXベットボタン11、1枚ベットボタン12、2枚ベットボタン13、スタートレバー14、左ストップボタン15L、中ストップボタン15C、右ストップボタン15Rおよび精算ボタン16が設けられている。
【0019】
メダル投入口10からメダルが投入されると、ベット数が最大の3枚未満である場合は、その投入されたメダルがベットされる。ベット数が3枚の状態で、メダル投入口10からメダルが投入された場合、その投入されたメダルは、50枚を上限として、スロットマシン1にクレジットされる。現在のクレジット数は、クレジット数表示器CRに表示される。
【0020】
MAXベットボタン11は、クレジットからのメダルの引き落としによりベット数を最大の3枚とすべく操作するボタンである。
【0021】
1枚ベットボタン12は、クレジットから1枚のメダルを引き落として、ベット数に1を加算すべく操作するボタンである。
【0022】
また、2枚ベットボタン13は、クレジットから2枚のメダルを引き落として、ベット数に2を加算すべく操作するボタンである。
【0023】
1ゲームの実行に必要なメダル枚数を「規定数」という。規定数分のメダルがベットされた後、スタートレバー14が操作されると、1回のゲームが開始され、左リールR1、中リールR2、および右リールR3が回転し始める。左ストップボタン15L、中ストップボタン15C、および右ストップボタン15Rは、それぞれ左リールR1、中リールR2、および右リールR3に対応して設けられている。左リールR1、中リールR2、および右リールR3が回転し始めた後、左ストップボタン15L、中ストップボタン15C、および右ストップボタン15Rが押操作されると、それぞれ左リールR1、中リールR2、および右リールR3の回転が停止する。
【0024】
なお、以下、左ストップボタン15L→中ストップボタン15C→右ストップボタン15Rの順で各ストップボタンを操作することを「左→中→右」という。
左ストップボタン15L→右ストップボタン15R→中ストップボタン15Cの順で各ストップボタンを操作することを「左→右→中」という。
中ストップボタン15C→右ストップボタン15R→左ストップボタン15Lの順で各ストップボタンを操作することを「中→右→左」という。
中ストップボタン15C→左ストップボタン15L→右ストップボタン15Rの順で各ストップボタンを操作することを「中→左→右」という。
右ストップボタン15R→左ストップボタン15L→中ストップボタン15Cの順で各ストップボタンを操作することを「右→左→中」という。
右ストップボタン15R→中ストップボタン15C→左ストップボタン15Lの順で各ストップボタンを操作することを「右→中→左」という。
【0025】
すべてのリールR1、R2、R3が停止した時点で、リール窓8内の有効化されている入賞ライン上に所定の図柄の組合せが並ぶと、その図柄の組合せに対応づけられた役に入賞となる。役によっては、配当として、メダルが払い出される。この入賞に対して払い出されるメダルの枚数は、払出枚数表示器23bに表示される。また、入賞に対して払い出されるメダルは、スロットマシン1に50枚を上限としてクレジットされ、50枚を超える分については、前扉3の最下部に設けられたメダル排出口40からメダルトレイ41に排出される。以上で、1ゲームが終了である。
【0026】
精算ボタン16が押操作されると、スロットマシン1にクレジットされているメダルがメダル排出口40からメダルトレイ41に排出される。
【0027】
演出表示部7は、表示部5の上側に配置されている。演出表示部7には、ゲームの進行に合わせた演出画像などを表示するための液晶表示器30が設けられている。また、演出表示部7には、液晶表示器30の左側および右側に、ゲーム中の雰囲気を盛り上げるための効果音などを出力する一対のスピーカ31、31が配置されている。
【0028】
また、前扉3には、操作部6とメダルトレイ41との間に、スロットマシン1の機種名などを表示する表示パネル42が装着されている。
【0029】
<3.遊技機の電気的構成>
<3-1.遊技機の電気的構成(主制御装置)>
図3は、スロットマシン1の電気的構成を示すブロック図である。
【0030】
スロットマシン1は、遊技制御を実行する主制御装置100aと、ゲーム演出のための制御を行う演出サブ制御装置100bと、光と音による電飾のための制御を行う電飾制御基板100cとを備えている。
【0031】
主制御装置100aには、CPU101、ROM102、RAM103、入出力ポート104、乱数生成回路105および信号送出回路106が備えられている。
【0032】
CPU101は、ROM102、RAM103、入出力ポート104、乱数生成回路105および信号送出回路106と電気的に接続されている。
【0033】
ROM102には、CPU101によって実行される各種のプログラムが格納されている。また、ROM102には、抽選テーブル107および停止制御テーブル108が格納されている。
【0034】
RAM103は、CPU101によるプログラムの実行時に、ワークエリアとして使用される。
【0035】
入出力ポート104には、兼用表示器23a、払出枚数表示器23b、左リールR1、中リールR2、および右リールR3をそれぞれ回転させるためのステッピングモータ51L,51C,51Rと、メダル投入口10から投入されるメダルの排出先を本体2内のメダル貯留部(図示せず)とメダルトレイ41とに切り替えるためのメダルブロックソレノイド52と、メダル貯留部からメダル排出口40を通してメダルトレイ41にメダルを排出するメダル払出駆動モータ53とが制御対象として接続されている。
【0036】
ステッピングモータ51L,51C,51R、メダルブロックソレノイド52およびメダル払出駆動モータ53は、本体2(
図1参照)内に設けられている。
【0037】
また、入出力ポート104には、MAXベットボタン11、1枚ベットボタン12、2枚ベットボタン13、スタートレバー14、左ストップボタン15L、中ストップボタン15C、右ストップボタン15R、精算ボタン16、リール位置検出センサ54L,54C,54R、メダル投入センサ55、およびメダル払出センサ56が接続されている。
【0038】
MAXベットボタン11、1枚ベットボタン12、2枚ベットボタン13、スタートレバー14、左ストップボタン15L、中ストップボタン15C、右ストップボタン15R、および精算ボタン16が押操作されると、それらに内蔵されたスイッチ(図示せず)から操作信号が出力され、その操作信号が入出力ポート104を介してCPU101に入力される。
【0039】
左リールR1、中リールR2、および右リールR3が1回転する度に、それぞれリール位置検出センサ54L,54C,54Rから検出信号が出力され、その検出信号が入出力ポート104を介してCPU101に入力される。
【0040】
スタートレバー14が操作されると、CPU101は、ステッピングモータ51L,51C,51Rに駆動パルス信号を出力し、左リールR1、中リールR2、および右リールR3の回転を開始させる。CPU101は、ステッピングモータ51L,51C,51Rのステップ数およびリール位置検出センサ54L,54C,54Rの検出信号に基づいて、左リールR1、中リールR2、および右リールR3の回転位置を常に把握している。
【0041】
左ストップボタン15L、中ストップボタン15C、および右ストップボタン15Rが押操作されると、CPU101は、停止制御テーブル108を参照し、左リールR1、中リールR2、および右リールR3の回転位置に基づいて、ステッピングモータ51L,51C,51Rへの駆動パルス信号の出力を停止し、左リールR1、中リールR2、および右リールR3の停止を制御する(リール停止制御)。
【0042】
リール停止制御では、左ストップボタン15L、中ストップボタン15C、および右ストップボタン15Rが押操作されてから、それぞれ左リールR1、中リールR2、および右リールR3を所定の最大引込コマ数(たとえば、4コマ)以下の範囲で、その回転を停止させる。
【0043】
メダル投入口10からメダルが投入される度に、メダル投入センサ55から検出信号が出力され、その検出信号が入出力ポート104を介してCPU101に入力される。
【0044】
メダル払出駆動モータ53によってメダルがメダルトレイ41に1枚排出される度に、メダル払出センサ56から検出信号が出力され、その検出信号が入出力ポート104を介してCPU101に入力される。
【0045】
クレジット数は、RAM103に記憶されている。CPU101は、クレジット数表示器CRを制御し、RAM103に記憶されているクレジット数をクレジット数表示器CRに表示させる。CPU101は、メダルブロックソレノイド52を制御して、クレジット数が50に達するまでは、メダル投入口10から投入されるメダルの排出先をメダル貯留部にし、クレジット数が50に達すると、その排出先をメダルトレイ41にする。また、クレジット数が50に達した後、配当(メダルの払出)がある役に入賞した場合、CPU101は、メダル払出駆動モータ53を制御して、メダルをメダルトレイ41に排出させる。
【0046】
乱数生成回路105は、発振器(図示せず)からのクロックパルスの出力に応答してカウントアップするインクリメントカウンタを含む構成であり、16ビットの乱数を発生させる。生成される乱数の範囲は0~65535となる。
【0047】
スタートレバー14が操作されると、CPU101は、乱数生成回路105から乱数を取得し、複数の役が抽選対象に含まれる内部抽選を実行する。内部抽選では、ROM102の抽選テーブル107から1つの抽選テーブルが読み出して、該抽選テーブルと乱数生成回路105から取得した16ビットの乱数とに基づいて、内部抽選の当選役またはハズレが決定される。
【0048】
内部抽選によりいずれかの役に当選していなければ、リール停止制御により、リール窓8内に停止表示される9個の図柄(左リールR1、中リールR2、および右リールR3のそれぞれ3個の図柄)が入賞態様をなすことはなく、役が入賞することはない。小役が入賞すると、CPU101は、払出枚数表示器23bを制御して、その配当として払い出されるメダルの枚数を払出枚数表示器23bに表示させる。
【0049】
また、CPU101は、信号送出回路106を介して、演出サブ制御装置100bおよび電飾制御基板100cに制御に必要な信号をコマンドとして送出する。
【0050】
なお、スロットマシン1では、1~6までの6段階の設定値から1の設定値を選択することで、スロットマシン1の払出率の高低を設定することが出来るようになっている。なお、設定値が大きいほど、払出率が高くなる。
図示は省略するが、入出力ポート104には、本体2内に設けられ、設定値の選択(変更)時に操作する設定変更スイッチ及び設定変更ボタンが接続されている。設定変更スイッチは、設定キーを差し込んで時計回りに回転させることでオンとなるキースイッチ、設定変更ボタンはプッシュボタンにより構成している。
【0051】
設定値の選択(変更)時には、まず、前扉3を開放した状態で、設定変更スイッチに設定キーを差し込んで時計回りに回転させ、スロットマシン1の動作モードを設定変更モードに変更する。設定変更モードへ移行すると、兼用表示器23aに、現在の設定値が表示される。また、設定変更モードにて、設定変更ボタンを1回押すごとに、兼用表示器23aに表示されている設定値が1~5の場合には1インクリメントされるとともに、6の場合には1に戻るようになっている。このように、兼用表示器23aに表示される設定値を確認しつつ、設定変更ボタンを操作することで、所望の設定値の選択が可能となっている。所望の設定値が兼用表示器23aに表示された状態で、スタートレバー14を操作することで、設定値の選択(変更)が完了する。そして、設定変更スイッチに差し込んだ設定キーを反時計回りに回転させて、動作モードを通常(遊技)モードに復帰させ、設定変更スイッチから、設定キーを抜き取ることで設定選択(変更)作業が完了する。
【0052】
<3-2.遊技機の電気的構成(演出サブ制御装置等)>
演出サブ制御装置100bには、CPU200、ROM201、RAM202、信号入力回路203、駆動回路204および乱数生成回路205が備えられている。
【0053】
CPU200は、ROM201、RAM202、信号入力回路203、駆動回路204および乱数生成回路205と電気的に接続されている。
【0054】
ROM201には、CPU200によって実行される各種のプログラムが格納されている。
【0055】
RAM202は、CPU200によるプログラムの実行時に、ワークエリアとして使用される。
【0056】
信号入力回路203には、主制御装置100aの信号送出回路106からの信号が入力される。
【0057】
乱数生成回路205は、発振器(図示せず)からのクロックパルスの出力に応答してカウントアップするインクリメントカウンタを含む構成であり、16ビットの乱数を発生させる。生成される乱数の範囲は0~65535となる。
【0058】
CPU200は、ROM201に格納されているプログラムを実行し、信号入力回路203から入力される信号と、乱数生成回路205から取得した乱数とに基づき、演出抽選を行い、抽選の結果に基づき、駆動回路204を介して、液晶表示器30の表示を制御する。
【0059】
電飾制御基板100cは、主制御装置100aから送信されるコマンドに基づいて、左ストップボタン15L、中ストップボタン15C、右ストップボタン15Rなどに内蔵されたLED32の点灯を制御する。また、スピーカ31からの効果音の出力を制御する。
【0060】
<4.リール配列・停止位置の説明>
図4は、左リールR1、中リールR2、および右リールR3の図柄の配列を示す図である。
【0061】
左リールR1、中リールR2、および右リールR3のリール帯にはそれぞれ、20個(20コマ)の図柄が配列され、各リールR1~R3の20個の図柄には、それぞれ「1」~「20」の図柄番号が対応づけられている。
【0062】
左リールR1のリール帯には、「リプレイ」、「ボム」、「ブランク」、「スイカ」、「ベルB」、「リプレイ」、「バー」、「チェリー」、「スイカ」、「ベルB」、「リプレイ」、「黒7」、「ブランク」、「ブランク」、「ベルA」、「リプレイ」、「ブランク」、「白7」、「ブランク」、および「ベルA」の図柄がこの順に配列されており、これらの図柄に、それぞれ図柄番号「1」~「20」が対応づけられている。
【0063】
中リールR2のリール帯には、「リプレイ」、「スイカ」、「バー」、「ベルB」、「ブランク」、「リプレイ」、「スイカ」、「ボム」、「ベルB」、「ブランク」、「リプレイ」、「スイカ」、「黒7」、「ベルA」、「チェリー」、「リプレイ」、「チェリー」、「白7」、「ベルA」、および「チェリー」の図柄がこの順に配列されており、これらの図柄に、それぞれ図柄番号「1」~「20」が対応づけられている。
【0064】
右リールR3のリール帯には、「スイカ」、「ベルA」、「黒7」、「チェリー」、「リプレイ」、「スイカ」、「ベルB」、「バー」、「ボム」、「リプレイ」、「スイカ」、「ベルB」、「ブランク」、「チェリー」、「リプレイ」、「スイカ」、「ベルA」、「白7」、「チェリー」、および「リプレイ」の図柄がこの順に配列されており、これらの図柄に、それぞれ図柄番号「1」~「20」が対応づけられている。
【0065】
図5は、図柄停止位置および入賞ラインNLについて説明するための図である。
【0066】
左リールR1が停止すると、リール窓8内で上下に並ぶ図柄停止位置PL1,PL2,PL3にそれぞれ1個の図柄が停止する。
中リールR2が停止すると、リール窓8内で上下に並ぶ図柄停止位置PC1,PC2,PC3にそれぞれ1個の図柄が停止する。
右リールR3が停止すると、リール窓8内で上下に並ぶ図柄停止位置PR1,PR2,PR3にそれぞれ1個の図柄が停止する。
【0067】
以下、リール窓8内の上段に横一列に整列する3つの図柄停止位置PL1,PC1,PR1を結ぶラインを上段ラインL2、中段に横一列に整列する3つの図柄停止位置PL2,PC2,PR2を結ぶラインを中段ラインL1、下段に横一列に整列する3つの図柄停止位置PL3,PC3,PR3を結ぶラインを下段ラインL3、右下がりの斜めライン上に整列する3つの図柄停止位置PL1,PC2,PR3を結ぶラインを右下がりラインL4、右上がりの斜めライン上に整列する3つの図柄停止位置PL3,PC2,PR1を結ぶラインを右上がりラインL5という。
スロットマシン1は、中段ラインL1を入賞ラインNLとするいわゆる1ライン機である。
【0068】
<5.1ゲームの説明>
図6は、スロットマシン1の主制御装置100aにより実行されるゲーム処理の流れを示すフローチャートである。
【0069】
<5-1.処理の流れ>
<5-1-1.メダル受付処理>
【0070】
スロットマシン1は、メダル投入口10へメダルが投入されると、投入されたメダルを受け付けてスロットマシン1の内部に取り込むか、投入されたメダルを受け付けずにメダルトレイ41に返却する(S100)。
【0071】
具体的には、3枚のメダルがゲームにベットされている状態かつクレジット数が50未満の場合にメダル投入口10へメダルが投入されると、CPU101は、投入されたメダルをスロットマシン1の内部に取り込むとともに、投入されたメダルの枚数だけクレジット数を加算する。また、3枚のメダルがゲームにベットされている状態かつクレジット数が50の場合にメダル投入口10へメダルが投入されると、CPU101は、メダルブロックソレノイド52を駆動して、投入されたメダルをメダルトレイ41に返却する。
【0072】
<5-1-2.ベット処理>
スロットマシン1は、メダル投入口10へのメダルの投入、MAXベットボタン11の操作、または再遊技役の入賞に応じて、ベット数を設定する(S101)。
【0073】
具体的には、ベット数が3未満の場合にメダル投入口10にメダルが投入されると、CPU101は、投入されたメダルの枚数だけベット数を加算する。また、ベット数が規定数未満の場合にMAXベットボタン11が操作されると、CPU101は、ベット数が規定数になるようにクレジット数を減算してベット数を加算する。また、CPU101は、再遊技役が入賞した場合には、そのゲームでベットされていたベット数を、クレジット数の減算なしに再びベットする自動ベット処理を実行する。
【0074】
<5-1-3.レバー受付処理>
スロットマシン1は、3枚のメダルがベットされている状態でスタートレバー14の操作を受け付けた場合にゲームを開始させる(S102)。具体的には、ベット数が規定数に設定された状態でスタートレバー14が操作されると、CPU101は、後述する内部抽選処理以降のゲーム処理を実行する。一方で、ベット数が規定数に満たない状態でスタートレバー14が操作された場合には、CPU101は、内部抽選処理以降のゲーム処理を実行しない。
【0075】
<5-1-4.内部抽選処理>
スロットマシン1は、ゲームの開始にともない、乱数生成回路105から乱数値を取得し、該乱数値に基づき、ゲームの結果を導出するための情報を抽選により決定する内部抽選処理を実行する(S103)。内部抽選処理の詳細については後述する。
【0076】
<5-1-5.リール回転処理>
スロットマシン1は、内部抽選処理の実行後に、各リールR1~R3上に配置された図柄を変動表示させるために左リールR1、中リールR2、および右リールR3のそれぞれを回転させる(S104)。具体的には、CPU101は、内部抽選処理の実行後にステッピングモータ51L,51C,51Rのそれぞれに対して継続的にパルスを供給することで、左リールR1、中リールR2、および右リールR3のそれぞれを回転させる。なお、前のゲームでの左リールR1、中リールR2、および右リールR3の回転の開始から4.1秒間が経過するまでは、次のゲームでの左リールR1、中リールR2、および右リールR3の回転が開始されない。これにより、1ゲームにかかる時間が4.1秒間以上に保たれる。
【0077】
<5-1-6.リール停止処理>
スロットマシン1は、左リールR1、中リールR2、および右リールR3の回転中にストップボタン15L,15C,15Rが操作されると左リールR1、中リールR2、および右リールR3の回転動作を停止させる(S105)。左リールR1、中リールR2、および右リールR3の回転中に左ストップボタン15L、中ストップボタン15C、または右ストップボタン15Rが操作されると、CPU101は、操作されたストップボタンに対応するリール(左ストップボタン15Lに対応する左リールR1、中ストップボタン15Cに対応する中リールR2、および右ストップボタン15Rに対応する右リールR3)が固定されたステッピングモータ(左リールR1に対応するステッピングモータ51L,中リールR2に対応するステッピングモータ51C,右リールR3に対応するステッピングモータ51R)に所定のパルスを供給することで、対応するリールR1~R3の回転動作を停止させる。
【0078】
<5-1-7.図柄判定処理>
スロットマシン1は、左リールR1、中リールR2、および右リールR3の全てが停止した後に、入賞ラインNL上に停止表示された図柄組合せを判定する(S106)。左リールR1、中リールR2、および右リールR3の全てが停止した後に、CPU101は、入賞ラインNL上に停止表示された図柄組合せが、予め定められた所定の図柄組合せであるか否かを判定する。例えば、入賞ラインNL上に停止表示された図柄組合せが、役に対応する図柄組合せであるか否かを判定する。
【0079】
<5-1-8.メダル払出処理>
スロットマシン1は、入賞ラインNL上に小役に対応する図柄組合せが停止表示されたと判定した場合には、メダルの払出処理を実行する(S107)。
【0080】
<5-1-9.状態移行処理>
スロットマシン1は、図柄判定処理の結果、遊技状態を移行させるべき状態移行条件が成立したと判定した場合には、遊技状態を移行させる。スロットマシン1の遊技状態については後述する。
【0081】
<5-2.各処理の詳細説明>
以降、上述の各処理の詳細について説明する。
【0082】
<5-2-1.内部抽選処理の詳細>
スロットマシン1における内部抽選処理の詳細について説明する。内部抽選処理は、予め定められた複数の役(条件装置ともいう)から、入賞を許容する役を抽選により決定するための処理である。
【0083】
スロットマシン1において、内部抽選の対象である役には、ボーナス役、リプレイ(再遊技)役、及び小役を含む。
ボーナス役は、当選したゲームで入賞を取り零したとしても、次ゲーム以降、入賞するまで当選状態が持ち越されるとともに、入賞した場合には、次ゲームからボーナスゲームが開始される役である。
これに対し、リプレイ役及び小役は、当選したゲームで入賞を取り零したとしても、当選状態が持ち越されることはない役である。リプレイ役は、入賞に応じて、ベット不要で次ゲームの実行が可能となる役、小役は、入賞に応じてメダルが払い出される役である。
【0084】
なお、スロットマシン1には、内部抽選処理の仕様、即ち抽選テーブル107が異なる複数種類のRT状態を搭載しているが、リプレイが高確率で成立するRT状態を搭載していない。スロットマシン1は、ボーナスとATとで出玉を稼ぐ、所謂A+AT機である。複数種類のRT状態については後述する。
【0085】
スロットマシン1の内部抽選処理では、
図7に示すように、BB1、BB2、RB1、RB2、SB、RP、RP1~RP6、確定RP、押し順ベル1~6、共通ベル、1枚ベル、弱スイカ、強スイカ、弱チェリー、強チェリー、1枚役A及び1枚役Bの計27種類の役(条件装置)を抽選対象として設定している。
【0086】
BB1及びBB2は、遊技機関連規則上の第1種特別役物に係る役物連続作動装置、通称ではビッグボーナス役である。
BB1の入賞図柄組み合わせは、中段ラインL1に白7図柄揃いに設定しており、BB1の入賞図柄組み合わせが成立すると、次ゲームからBB1ビッグボーナスゲームが開始される。BB1ビッグボーナスゲームは、223枚を超えるメダル払出により終了する。
BB2の入賞図柄組み合わせは、中段ラインL1に黒7図柄揃い、またはボム図柄揃いに設定しており、BB2の入賞図柄組み合わせが入賞すると、次ゲームからBB2ビッグボーナスゲームが開始される。BB2ビッグボーナスゲームは、215枚を超えるメダル払出により終了する。
【0087】
RB1及びRB2は、遊技機関連規則上の第1種特別役物、通称ではレギュラーボーナス役である。RB1は、BB1ビッグボーナス中に作動する第1種特別役物、RB2は、BB2ビッグボーナス中に作動する第1種特別役物である。
RB1の入賞図柄組み合わせは、中段ラインL1に左から順に、ボム・白7・ブランク図柄が並ぶ組み合わせに設定しており、RB1の入賞図柄組み合わせが成立すると、次ゲームからRB1レギュラーボーナスゲームが開始される。
RB2の入賞図柄組み合わせは、中段ラインL1に左から順に、黒7・黒7・ブランク図柄が並ぶ組み合わせに設定しており、RB2の入賞図柄組み合わせが成立すると、次ゲームからRB2レギュラーボーナスゲームが開始される。
RB1レギュラーボーナスゲーム及びRB2レギュラーボーナスゲームともに、8回の入賞及び12ゲームの何れか早い方で終了する。
【0088】
SBは、遊技機関連規則上の普通役物、通称ではシングルボーナス役である。
SBの入賞図柄組み合わせは、中段ラインL1に左から順に、黒7・白7・ブランク図柄が並ぶ組み合わせに設定しており、SBの入賞図柄組み合わせが成立すると、次の1ゲーム、SBゲームが実行される。
【0089】
RP、RP1~6及び確定RPは、リプレイ役である。
RPに当選したゲームでは、左ストップボタン15L、中ストップボタン15C、および右ストップボタン15Rの操作タイミング及び操作順にかかわらず、中段ラインL1にリプレイ図柄が揃う。
確定RPに当選したゲームでは、L1~L5の何れかのライン上に、スイカ図柄が2つ並ぶものの、もう1つのスイカ図柄が当該ラインから外れたリール窓8内に停止する、所謂スイカテンパイはずれの特徴的な出目が表示される。
【0090】
RP1~6は、停止操作順によって停止図柄組合せが異なる、所謂押し順リプレイである。具体的には、内部抽選の結果、押し順RP1~6のうちの何れかに当選したゲームにおいて、正解操作順にてストップボタン15L,15C,15Rを操作した場合には、その操作タイミングにかかわらず、中段ラインL1上に左から順に、リプレイ・リプレイ・ベルAまたはベルB図柄が並ぶ、チャンスリプレイが入賞する。一方、同ゲームにおいて、前記正解操作順以外の操作順にて、ストップボタン15L,15C,15Rを操作した場合には、その操作タイミングにかかわらず、L1~L5の何れかのライン上にリプレイ図柄が揃う通常リプレイが入賞する。
RP1~6の正解操作順は順に、「左→中→右」、「左→右→中」、「中→右→左」、「中→左→右」、「右→左→中」、「右→中→左」に設定している。
【0091】
押し順ベル1~6、共通ベル、1枚ベル、弱スイカ、強スイカ、弱チェリー、強チェリー、1枚役A及び1枚役Bは、小役である。
【0092】
押し順ベル1~6は、停止操作順によって配当の異なる小役が入賞する、所謂押し順小役である。具体的には、内部抽選の結果、押し順ベル1~6のうちの何れかに当選したゲームにおいて、正解操作順にてストップボタン15L,15C,15Rを操作した場合には、その操作タイミングにかかわらず、配当が9枚の小役が入賞する。一方、同ゲームにおいて、前記正解操作順以外の操作順にて、ストップボタン15L,15C,15Rを操作した場合には、その操作タイミングによって、配当が1枚の小役が入賞するか、入賞を取り零す。押し順ベル1~6の正解操作順は順に、「左→中→右」、「左→右→中」、「中→右→左」、「中→左→右」、「右→左→中」、「右→中→左」に設定している。
【0093】
共通ベルに当選したゲームでは、左ストップボタン15L、中ストップボタン15C、および右ストップボタン15Rの操作タイミング及び操作順にかかわらず、配当が9枚の小役が入賞し、この際は、ラインL1~L5の何れかに、ベルAまたはベルB図柄が揃う。
【0094】
1枚ベルに当選したゲームでは、押し順ベル1~6及び共通ベルを構成する配当が1枚及び9枚の全ての小役が重複当選し、左ストップボタン15L、中ストップボタン15C、および右ストップボタン15Rの操作タイミング及び操作順にかかわらず、配当が1枚の小役が入賞する。
【0095】
弱スイカに当選したゲームでは、左ストップボタン15L、中ストップボタン15C、および右ストップボタン15Rの操作タイミング及び操作順によって、右上がりラインL5にスイカ図柄が揃い、3枚の配当が得られるか、取り零す。
強スイカに当選したゲームでは、左ストップボタン15L、中ストップボタン15C、および右ストップボタン15Rの操作タイミング及び操作順によって、下段ラインL3にスイカ図柄が揃い、3枚の配当が得られるか、取り零す。
弱チェリーに当選したゲームでは、左ストップボタン15L、中ストップボタン15C、および右ストップボタン15Rの操作タイミング及び操作順によって、
図4のPL1、PC1、PR3にそれぞれチェリー図柄が停止し、2枚の配当が得られるか、取り零す。
強チェリーに当選したゲームでは、左ストップボタン15L、中ストップボタン15C、および右ストップボタン15Rの操作タイミング及び操作順によって、中段ラインL1及び右下がりラインL4の何れかにチェリー図柄が揃い、10枚の配当が得られるか、取り零す。
【0096】
1枚役Aに当選したゲームでは、左ストップボタン15L、中ストップボタン15C、および右ストップボタン15Rの操作タイミング及び操作順にかかわらず、配当が1枚の小役が入賞する。
1枚役Bに当選したゲームでは、左ストップボタン15L、中ストップボタン15C、および右ストップボタン15Rの操作タイミング及び操作順によって、配当が1枚の小役が入賞するか、取り零す。
【0097】
図8は、スロットマシン1における、RT状態の遷移図である。
図8において左側の破線の四角形で囲まれた2つのRT状態、即ち、通常中RT0及びSB中RT1はともに、ビッグボーナス役BB1、BB2に未当選のRT状態である。ビッグボーナス役BB1、BB2に未当選のRT状態を、以下、ボーナス非内部状態ともいう。SB中RT1は上述したSBゲーム中のRT状態で、SBゲーム終了後は通常中RT0へ戻る。
【0098】
ボーナス非内部中状態の内部抽選の結果、ビッグボーナス役BB1及びBB2の何れかに当選すると、BB1/BB2内部中RT2へ移行する。BB1/BB2内部中RT2を以下、ボーナス内部中ともいう。
【0099】
BB1/BB2内部中RT2にて、BB1役が入賞すると、BB1ビッグボーナスゲームが開始され、BB1一般中RT3へ移行する。BB1一般中RT3にてRB1役に当選すると、RB1内部中RT5へ移行し、RB1役の入賞により作動するRB1レギュラーボーナスゲーム中はRB1/RB2RT7へ移行し、RB1レギュラーボーナスゲーム終了後は、BB1一般中RT3へ戻る。
同様に、BB1/BB2内部中RT2にて、BB2役が入賞すると、BB2ビッグボーナスゲームが開始され、BB2一般中RT4へ移行する。BB2一般中RT4にてRB2役に当選すると、RB2内部中RT6へ移行し、RB2役の入賞により作動するRB2レギュラーボーナスゲーム中はRB1/RB2RT7へ移行し、RB2レギュラーボーナスゲーム終了後は、BB2一般中RT4へ戻る。
【0100】
説明した通り、
図8において右側の破線の四角形で囲まれた5つのRT状態は、BB1ビッグボーナスゲーム中及びBB2ビッグボーナスゲーム中のRT状態であり、以下、BB1ビッグボーナスゲーム中及びBB2ビッグボーナスゲーム中をボーナス作動中ともいう。BB1ビッグボーナスゲーム及びBB2ビッグボーナスゲームの終了後は、通常中RT0へ戻る。
【0101】
図9に、上述した7つのRT状態毎に、内部抽選処理にて用いる抽選テーブル107の内容を示す。
図9は、設定値1の各抽選区分の抽選値をRT状態毎に示している。内部抽選処理での乱数値の範囲は0~65535のため、各抽選区分の当選確率は、抽選値/65536により算出できる。
図9の詳細説明は省略するが、遊技性に関連する特徴的な点は、ボーナスゲーム作動中のRT状態の抽選値設定にある。具体的には、第1に、ボーナスゲーム作動中のRT状態である、RT3、RT4、RT5及びRT6において、押し順ベル1~6の抽選を行っている点、第2に、レギュラーボーナスゲーム中であるRT7、及びSBゲーム中であるRT1は、所謂減るボーナス(通称アクセルボーナス)の構成、換言すると、ボーナスゲーム中はRB1/RB2役の入賞、を回避してRT7へ移行させないようにした方がよい構成を採用している点、第3に、RT7以外のボーナスゲーム作動中のRT状態である、RT3、RT4、RT5及びRT6でも、ボーナスゲーム作動中以外のRT状態RT0、RT1、RT3と、小役の当選確率はほぼ同等に設定している点である。以上より、ボーナスゲーム作動中か否かにかかわらず、指示機能が作動しない限り、メダルが増えない構成を採用していることがわかる。
【0102】
<6.ゲームの詳細説明>
次に、スロットマシン1でのゲームの詳細について説明する。
【0103】
<6-1.指示機能、及び非有利区間と有利区間について>
スロットマシン1は、押し順ベル1~6の何れかに当選したゲームで、正解操作順を指示する指示機能を搭載している。指示機能が作動すると、押し順ベル1~6の何れかに当選したゲームで、主制御装置100aから演出サブ制御装置100bに対して、正解操作順を指示するコマンドが送信されるとともに、指示モニタNMに正解操作順に対応する識別情報が表示される。演出サブ制御装置100bは、主制御装置100aからの指示コマンドに従って、液晶表示器30への表示や、スピーカ31、31からの音声出力により、前記正解操作順を遊技者に報知する。以降、主制御装置100aが指示モニタNMに識別情報の表示を行って、演出サブ制御装置100bに対し指示コマンドを送信したことを、指示機能の作動という。
当該指示機能に係る遊技区間は、指示機能が作動不可能な非有利区間と、指示機能が作動可能な有利区間とに大別される。
非有利区間中においては、内部抽選処理の結果に応じて有利区間移行抽選を実行し、該有利区間移行抽選に当選すると有利区間に移行する。
【0104】
<6-2.リミッタ機能について>
スロットマシン1は、有利区間に係るリミッタ機能を搭載している。具体的にリミッタ機能は、有利区間中の実行ゲーム数が4000ゲームに至った場合、または有利区間中の差枚数(有利区間中に獲得したメダル枚数と投入したメダル枚数との差分)が2400枚を超えた場合に、強制的に有利区間を終了して非有利区間に転落させるものである。このため、有利区間中には毎ゲーム、実行ゲーム数及び差枚数をカウントする処理を実行するとともに、両カウント値が4000ゲーム/2400枚に至ったか否かを判断する処理を行っている。具体的に、差枚数をカウントする処理では、有利区間中の毎ゲーム、現時の差枚数カウンタに、当該ゲームでの払出枚数を加算する(再遊技が入賞した場合は払出枚数としてゲーム実行のために投入されたメダル枚数(投入枚数)を加算する)とともに、当該ゲームでの投入枚数を減算する。
なお、以降、有利区間中の処理についてフローチャートを用いて説明するが、各フローチャートでは、実行ゲーム数及び差枚数をカウントする処理や、両カウント値が4000ゲーム/2400枚に至ったか否かを判断する処理、即ちリミッタ作動判断処理については、基本的に記載を省略する。
【0105】
<6-3.非有利区間>
先ず、スロットマシン1の非有利区間中の処理の流れについて、
図10を参照して説明する。
【0106】
非有利区間中には、先ず、ステップS1001にて内部抽選処理を実行し、次のステップS1002にて、有利区間移行抽選処理を実行する。次のステップS1003では、有利区間移行抽選処理にて当選したか否かを判断し、ノーと判断した場合にはステップS1001へ戻る一方、イエスと判断した場合には、次のステップS1004にて有利区間開始処理を実行してリターンする。
【0107】
図11に有利区間移行抽選処理の内容を示す。スロットマシン1では、ボーナス内部中のRT状態RT2、ボーナス作動後最初に移行するRT状態RT3及びRT4、及びレギュラーボーナスゲーム中のRT7では、有利区間移行抽選処理を行っていない。
一方、ボーナス非内部中のRT状態であるRT0及びRT1と、RB1内部中RT5及びRB2内部中RT6では、内部抽選処理にて当選した抽選区分に基づき、当選か否かを決定しており、
図11中の〇は当選、×はハズレを示している。
図9及び
図11を参照すればわかるように、RT0、RT1、RT5及びRT6の何れかに滞在していれば、非有利区間から有利区間への移行は容易に行われることがわかる。
【0108】
<6-4.有利区間>
次に、スロットマシン1の有利区間中の処理の流れについて説明する。先ず、有利区間開始処理について説明する。
【0109】
<6-4-1.有利区間開始処理>
図12は、スロットマシン1の有利区間開始処理の流れを示すフローチャートである。
有利区間開始処理は、有利区間移行抽選に当選したゲームで実行され、有利区間開始処理では先ず、ステップS1201にて、各種カウンタ初期化処理を行う。具体的には、上述した実行ゲーム数及び差枚数等のカウンタの初期化処理を行う。
次のステップS1202では、有利区間中の指示機能に関する遊技制御に係る状態(以下、有利区間状態という)を表す状態フラグにゼロをセットする。
次のステップS1203では、ボーナス作動中か否かを判断し、イエスと判断した場合には、ステップS1204にて状態フラグに1をセットして、ステップS1205へ移行する一方、ノーと判断した場合には、ステップS1204をスキップしてステップS1205へ移行する。ステップS1205では、有利区間中処理を実行して、リターンする。
【0110】
<6-4-2.有利区間状態>
次に、上述の有利区間状態について、
図13及び
図14を参照して説明する。
スロットマシン1には、通常状態と、バトルボーナス状態と、通常AT状態と、上位AT状態の4種類の有利区間状態を搭載している。
通常状態は、指示機能を作動させない状態で、通常状態を示す状態フラグは、ゼロに設定している。有利区間開始処理のステップS1202にて、状態フラグにゼロがセットしていることからわかるように、有利区間開始時の有利区間状態はデフォルトで通常状態としている。
一方で、利区間開始処理のステップS1203~S1204にて、非有利区間から有利区間へ移行したゲームでボーナス作動中であった場合に限り、状態フラグに1をセットしている。
図13に示す通り、状態フラグ=1に対応するのが、バトルボーナス状態である。バトルボーナス状態は、通常状態に比べて、後述する通常AT状態への移行期待度が高く、具体的に、バトルボーナス状態中の通常AT状態への移行期待度は、約80%に設定している。
【0111】
通常AT状態は、内部抽選の結果、押し順ベル1~6の何れかに当選したゲームで、ボーナス作動中以外では約66%の確率、ボーナス作動中には100%の確率で指示機能を作動させることで、ボーナス作動中以外の純増を約0.7枚/ゲーム、ボーナス中の純増約2.5枚/ゲームに設定した状態で、通常AT状態を示す状態フラグは、2に設定している。通常AT状態は1セット100ゲームで、100ゲーム消化により終了する。
上位AT状態は、ボーナス作動中以外での内部抽選の結果、押し順ベル1~6の何れかに当選したゲームで、100%の確率で指示機能を作動させることで、ボーナス作動中以外の純増を約2.5枚/ゲームにした状態で、上位AT状態を示す状態フラグは、3に設定している。また、通常AT状態とは終了条件が異なり、上位AT状態は、ボーナス作動により終了としている。
【0112】
図14に、非有利区間及び有利区間、並びに有利区間中の4種類の有利区間状態の遷移図を示す。
非有利区間中に、有利区間移行抽選に当選すると有利区間へ移行し、ボーナス非作動中の場合は通常状態、ボーナス作動中の場合はバトルボーナス状態とされる。通常状態及びバトルボーナス状態中に、通常AT状態の実行権であるATストックを獲得すると、通常AT状態へ移行する。通常AT状態にて移行条件を充足すると上位AT状態へ移行する。そして有利区間の終了後は、非有利区間へ移行する。
以下、4種類の各有利区間状態中の遊技制御について、詳細に説明する。
【0113】
<6-4-3.バトルボーナス中処理>
先ず、バトルボーナス中処理について説明する。
図15は、スロットマシン1のバトルボーナスの流れを示す図である。
バトルボーナスは、序盤20ゲームのバトル区間と、バトル区間のバトルにて勝利した場合に移行する中盤の準備区間と、準備区間終了後に移行するストック獲得特化区間とで構成している。
バトル区間は、20ゲーム間に亘ってポイントを蓄積する区間で、該バトル区間のバトルに勝利すると準備区間へ移行する。準備区間は、作動中のボーナスゲーム終了までのメダル獲得残枚数が63枚以下となるまで継続し、63枚以下となってからボーナスゲーム終了まではストック獲得特化区間へ移行する。
一方、バトル区間のバトルにて敗北した場合には、ボーナスゲーム終了まで通常ボーナス処理を実行する。通常ボーナス処理については後述する。
そして、ボーナスゲーム終了時に、ATストックを保有しているか否かを判断し、保有している場合はATストックを1つ消費して通常AT状態へ移行する一方、未保有の場合は通常状態へ移行する。
【0114】
<6-4-3-1.バトル区間処理>
図16は、スロットマシン1のバトル区間処理の流れを示すフローチャートである。
バトル区間処理では、先ずステップS1601にてポイント初期値抽選処理を実行して、ポイント初期値を決定し、次のステップS1602にてバトル区間G数にゼロ、ポイント数に、ステップS1601のポイント初期値抽選処理にて決定したポイント初期値をセットする。
図17にポイント初期値抽選処理の内容を示す。ポイント初期値は、33.6%の振分確率でゼロ、66.4%の振分確率で100に決定している。
次のステップS1603では、内部抽選処理を実行し、次のステップS1604にて、加算ポイント抽選処理を実行する。
図18に加算ポイント抽選処理の内容を示す。加算ポイント抽選処理では、内部抽選結果に応じて加算ポイント数を抽選している。具体的に加算ポイントは、内部抽選の結果、RP1~RP6の何れかに当選したゲームでは、16/256の振分確率で100ポイント。弱スイカ、強スイカ、弱チェリー及び共通ベルの何れかに当選したゲームでは、128/256の振分確率で50ポイント、128/256の振分確率で100ポイント、強チェリーに当選したゲームでは100ポイント、これ以外の場合はゼロポイントとしている。
【0115】
図16に戻り、次のステップS1605では、ポイント数に、ステップS1604の加算ポイント抽選処理にて決定した加算ポイント数を加算するとともに、バトル区間G数を1インクリメントする。次のステップS1606では、バトル区間G数が20か否かを判断し、イエスと判断した場合にはステップS1607へ移行する一方、ノーと判断した場合にはステップS1603に戻り、バトル区間を継続する。
【0116】
ステップS1607では、ポイント数が100以上か否かを判断し、イエスの場合はバトル勝利、ノーの場合はバトル敗北となる。
図15で説明した通り、バトル勝利の場合は、準備区間へ移行する。準備区間は、作動中のボーナスゲーム終了までのメダル獲得残枚数が63枚以下となるまで継続し、63枚以下となるとストック獲得特化区間へ移行する。一方、バトル敗北の場合は、通常状態へ移行する。なお、バトル勝利後の準備区間中及びストック獲得特化区間は、通常AT状態中のボーナスゲームと同様に、押し順ベル1~6に当選したゲームで100%指示機能を作動させることとしている。また、準備区間中の指示機能に係る抽選処理については、次のストック獲得特化区間中の処理にて説明するので、説明は省略する。
【0117】
<6-4-3-2.ストック獲得特化区間中処理>
図19は、スロットマシン1のストック獲得特化区間中の処理の流れを示すフローチャートである。
ストック獲得特化区間中処理では、先ずステップS1901にて、Aに作動中のボーナスゲーム終了までのメダル獲得残枚数、特化区間中フラグに1をそれぞれセットする。上述の通り、準備区間からストック獲得特化区間への移行条件が、作動中のボーナスゲーム終了までのメダル獲得残枚数が63枚以下となったことであるので、ここではAに、63を超えない60前後の値がセットされる。
次のステップS1902では、内部抽選処理を実行し、次のステップS1903にて、内部抽選処理の結果、押し順ベル1~6の何れかに当選したか否かを判断する。ステップS1903にてイエスと判断した場合には、ステップS1904にて指示機能を作動させることにより正解操作順を指示してステップS1905へ移行する一方、ノーと判断した場合には、ステップS1904をスキップしてステップS1905へ移行する。
次のステップ1905では、特化区間中フラグが1か否かを判断し、イエスと判断した場合にはステップS1906にて特化上乗せ処理を実行する一方、ノーと判断した場合にはステップS1907にて通常上乗せ処理を実行してステップS1908へ移行する。
【0118】
図20に、ATストックの上乗せに係る抽選処理である、特化上乗せ処理及び通常上乗せ処理の内容を示す。有利区間中は、内部抽選結果に応じて、ストック獲得特化区間では特化上乗せ処理、それ以外の有利区間中は、通常上乗せ処理を実行する。
内部抽選の結果、RP1~R6の何れかに当選したゲーム、即ち押し順リプレイに当選したゲームでは、特化上乗せ処理では、押し順当てゲームを実行し、3つのストップボタン15L、15C、15Rの操作順が正解操作順と合致し、チャンスリプレイが入賞した場合は、ATストックを1つ付与することとしているが、通常上乗せ処理ではなにもしない。
内部抽選の結果、弱スイカまたは強スイカに当選したゲームでは、特化上乗せ処理では85/256の確率、通常上乗せ処理では1/256の確率で、ATストックを1つ付与することとしている。
内部抽選の結果、弱チェリーに当選したゲームでは、特化上乗せ処理では36/256の確率、通常上乗せ処理では1/256の確率で、ATストックを1つ付与することとしている。
内部抽選の結果、強チェリーに当選したゲームでは、特化上乗せ処理では100%、通常上乗せ処理では42/256の確率で、ATストックを1つ付与することとしている。
以上、説明した通り、特化上乗せ処理では、通常上乗せ処理に比べて、ATストック獲得期待度が高いことがわかる。
【0119】
図19に戻り、次のステップS1908では、正解操作順を指示したか否かを判断し、イエスと判断した場合には、ステップS1909にて、3つのストップボタン15L、15C、15Rを正解操作順にて操作した場合に獲得できるメダル枚数、具体的には9枚をAから減算する一方、ノーと判断した場合には、ステップS1910にて、実際に払い出したメダル枚数をAから減算して、ステップS1911に移行する。ステップS1911では、Aがゼロより小さいか否かを判断し、イエスと判断した場合にはステップS1912にて特化区間中フラグにゼロをセットする一方、ノーと判断した場合にはステップS1912をスキップして、ステップS1913へ移行する。
【0120】
ステップS1913では、ボーナス終了条件を充足したか否かを判断し、ノーと判断した場合には、ステップS1902に戻りストック獲得特化区間中処理を継続する一方、イエスと判断した場合にはストック獲得特化区間中処理は終了となりリターンする。
【0121】
以上の説明した通り、ストック獲得特化区間では、内部抽選処理の結果、押し順ベル1~6の何れかに当選したゲームで、100%指示機能を作動させることとしている。また、Aは、指示機能を作動させたゲームで、指示通りの順番でリール停止操作が行われたと仮定した場合のボーナスゲーム終了までのメダル獲得残枚数を示していることがわかる。そして、ステップS1911では、Aに基づき、ボーナスの終了条件を満たすか否かを判断しており、イエスと判断した場合、以降のボーナスゲーム中の期間のゲームでは、特化上乗せ処理を行わずに、通常上乗せ処理を行うこととしている。
【0122】
上述の通り、ボーナスゲームは、ボーナスゲーム中のメダル払出枚数が終了枚数を超えたゲームで終了するため、ボーナスゲーム中のメダル払い出しを抑制することができれば、メダル獲得枚数は少なくなるものの、ボーナスゲーム期間を長期化することは可能である。ストック獲得特化区間では、内部抽選処理の結果、押し順ベル1~6の何れかに当選したに当選したゲームで100%指示機能を作動させているため(以下、指示機能を作動させたゲームを指示機能作動ゲームという)、指示機能作動ゲームで故意に指示に反した順番でリール停止操作を行うことで、容易にストック獲得特化区間を長期化することが可能である。この結果、指示機能作動ゲームで指示に従った遊技者と、従わなかった遊技者とで、ストック獲得特化区間のゲーム数に差異が生じることになる。特化上乗せ処理により遊技者が得られる恩恵は、通常上乗せ処理に比べて著しく大きいため、仮に、ストック獲得特化区間中の全ゲームで特化上乗せ処理を行った場合、指示機能作動ゲームで指示に従わなかった遊技者が著しく有利になってしまう問題がある。
【0123】
そこで、本発明のスロットマシン1では、指示機能を作動させたゲームにて指示通りの順番でリール停止操作が行われたと仮定した場合のボーナスゲーム中のメダル払出枚数に基づき、ボーナスゲームの終了条件を満たすか否かを判断し、肯定判断したゲームでは特化上乗せ処理を実行する一方、否定判断したゲームでは、通常上乗せ処理を実行することで、指示機能作動ゲームで指示に従った遊技者と、従わなかった遊技者とで有利不利が生じることはないように構成している。
【0124】
<6-4-4.通常AT状態中処理>
次に、通常AT状態中処理について説明する。
図21は、スロットマシン1の通常AT状態中の処理の流れを示すフローチャートである。
通常AT状態中処理では、先ずステップS2101にて残りG数に100をセットし、次のステップS2102では内部抽選処理を実行する。次のステップS2103では、内部抽選処理の結果、押し順ベル1~6の何れかに当選したか否かを判断し、イエスと判断した場合にはステップS2104にて指示機能作動抽選処理を実行する。指示機能作動抽選処理の当選確率は上述の通り66%に設定している。
次のステップS2105では、ステップS2104の指示機能作動抽選処理にて当選したか否かを判断し、イエスと判断した場合にはステップS2106にて正解操作順を指示してステップS2107に移行する。ステップS2103にてノーと判断した場合、及びステップS2105にてノーと判断した場合にもステップS2107へ移行する。
【0125】
ステップS2107では通常上乗せ処理を実行する。通常上乗せ処理については説明済のため、説明は省略する。次のステップS2108では、指示機能作動ゲームで、実際に遊技者によって行われたリール停止操作順が、指示した正解操作順と一致したか否かを判断し、ノーと判断した場合はステップS2109にて不一致処理を実行してステップS2110へ移行する一方、イエスと判断した場合はステップS2109をスキップしてステップS2110へ移行する。具体的に不一致処理では、スピーカ31、31から警告音を発しているが、これに限らず、指示した正解操作順通りの順番でリール停止を操作が行われなかった旨について遊技者に気付きを促すことができれば、任意の処理でよい。
【0126】
次のステップS2110では、残りG数を1デクリメントする。なお、通常AT状態中にボーナスが作動した場合、ボーナスゲーム中は残りG数の減算を中断し、ボーナスゲーム終了後に残りG数の減算を再開することとしている。
次のステップS2111では、現時の差枚数カウンタの値に基づき、リミッタの作動が近いか否かを判断し、イエスと判断した場合には、上位AT状態へ移行させるべく、ステップS2120にて上位AT状態中処理を呼び出してリターンする。なお、本スロットマシン1では、差枚数カウンタの値が2200以上の場合にリミッタの作動が近いと判断しているが、リミッタの作動が近いと判断する閾値についてはこれに限らず、リミッタが作動することとなる差枚数カウンタの値(実施例では2400枚)と遊技性とを考慮して、適宜設定すればよい。
【0127】
一方、ステップS2111にてノーと判断した場合には、ステップS2112にて残りG数がゼロか否かを判断し、ノーと判断した場合には、通常AT状態を継続すべく、ステップS2102に戻る一方、イエスと判断した場合には、ステップS2113にてATストック数がゼロより大きいか否か、即ちATストックが残っているか否かを判断する。ステップS2113にてイエスと判断した場合には、現時の通常AT状態(ATセット)を終了して次の通常AT状態を開始すべく、ステップS2114にてATストック数を1デクリメントするとともに、ステップS2115にて通常AT状態中処理を呼び出してリターンする。
【0128】
一方、ステップS2113にてノーと判断した場合には、ステップS2116にて上位AT移行抽選処理を実行し、次のステップS2117にて、該上位AT移行抽選処理の結果、当選したか否かを判断する。なお、上位AT移行抽選処理の当選確率は1/256に設定している。ステップS2117にてイエスと判断した場合には、上位AT状態へ移行させるべく、ステップS2120にて上位AT状態中処理を呼び出してリターンする。一方、ステップS2117にてノーと判断した場合には、有利区間を終了させて非有利区間に転落させるべく、ステップS2118にて有利区間終了処理を実行後、ステップS2119にて非有利区間中処理を呼び出してリターンする。具体的に、有利区間終了処理では、主制御装置100aのRAM103に記憶されている、有利区間に関連するデータを全てクリアする。
【0129】
以上説明した通り、通常AT状態から上位AT状態への移行条件は、通常AT状態中にリミッタの作動が近いと判断した場合、若しくはATストックがなくなった際に実行する上位AT移行抽選処理にて当選した場合としている。また、通常AT状態中には、指示機能作動ゲームで、実際に遊技者によって行われたリール停止操作順が、指示した正解操作順と一致しなかった場合には、不一致処理を実行することで、指示した正解操作順通りの順番でリール停止を操作が行われなかった旨について遊技者に気付きを促すことにしている。
【0130】
<6-4-5.上位AT状態中処理>
次に、上位AT状態中処理について説明する。
図22は、スロットマシン1の上位AT状態中の処理の流れを示すフローチャートである。
上位AT状態中処理では、先ずステップS2201にて内部抽選処理を実行し、次のステップS2202にて、内部抽選処理の結果、押し順ベル1~6の何れかに当選したか否かを判断し、イエスと判断した場合にはステップS2203にて正解操作順を指示してステップS2204に移行する。ステップS2202にてノーと判断した場合にはステップS2203をスキップしてステップS2204へ移行する。上述の通り、上位AT状態中は、押し順ベル1~6の何れかに当選したゲームで100%指示機能を作動させることで、通常AT状態に比べて高い純増を実現している。
【0131】
次のステップS2204では、ボーナスが作動したか否かを判断し、イエスと判断した場合には、有利区間を終了させて非有利区間に転落させるべく、ステップS2206にて有利区間終了処理を実行後、ステップS2207にて非有利区間中処理を呼び出してリターンする。一方、ステップS2204にてノーと判断した場合には、ステップS2305にてリミッタ作動条件を充足したか否かを判断し、ノーと判断した場合には、上位AT状態を継続すべくステップS2201へ戻る一方、イエスと判断した場合には、有利区間を終了させて非有利区間に転落させるべく、ステップS2206にて有利区間終了処理を実行後、ステップS2207にて非有利区間中処理を呼び出してリターンする。
【0132】
以上、説明した通り、スロットマシン1の最大の特徴は、第1に、通常AT状態については、通常AT状態1セット終了時にATストックが残っていなかった場合に非有利区間に転落するように設定する一方、通常AT状態中の移行条件充足により移行する上位AT状態については、ボーナス作動時に非有利区間に転落するように構成した点、第2に、非有利区間から有利区間へ移行したときにボーナス非作動中の場合は通常状態、ボーナス作動中の場合はATストック獲得期待度が80%のバトルボーナス状態へ移行させるように構成した点である。
以上2点の特徴的構成の具備により、上位AT状態へ移行させ、該上位AT状態をボーナス作動により終了させた場合には、非有利区間から有利区間への移行がボーナス作動中に行われ、ATストック獲得期待度が80%のバトルボーナス状態へ移行することになるので、この場合には、非有利区間を跨いだATの早期連荘が期待できる。一方で、通常AT状態は、ボーナス作動によっては終了せず、あくまでもATストックを消費し尽くしたことにより終了するので、ボーナス作動中に終了することはなく、その後の非有利区間から有利区間への移行がボーナス作動中に行われることも基本的にない。以上により、非有利区間を跨いだATの早期連荘が期待できる機会は、上位AT状態がボーナス作動時により終了した場合のみに限定できる。通常AT状態から上位AT状態への移行条件を充足することも容易ではないので、この仕様の搭載によって一方的にホールが不利益を被ることもない。
【0133】
また、通常AT状態中にリミッタの作動が近いと判断されて上位AT状態へ移行し、上位AT状態にて指示通りのリール停止操作を行うと、純増約2.5枚/ゲームのメダルが獲得できるため、ボーナス役BB1、BB2に当選する前に、リミッタが作動して非有利区間に転落してしまう場合がある。こうなってしまうと、上位AT状態移行のメリット、即ち、非有利区間を跨いだATの早期連荘が期待できる機会の喪失の結果を招いてしまう。一方、上位AT状態にて指示に反した順番でリール停止操作を行えば、純増はマイナスとなるので、メダルは減少するものの、上位AT状態の長期化、換言すれば延命は可能である。スロットマシン1では、上位AT状態中に、リミット作動までに獲得可能な残りメダル枚数を液晶表示器30に表示しているので、遊技者は、これを確認しつつ、指示機能作動ゲームにて指示に反した順番でリール停止操作を行いつつ、ボーナス役BB1、BB2の当選及び作動を待つことで、上述した機会の喪失を回避することが出来る。
即ち、上位AT状態中には、指示機能作動ゲームにて、遊技者が意図的に、指示に反した順番でリール停止操作を行うことが想定され、この場合に、通常AT状態と同様に不一致処理を行った場合、遊技者にストレスを与える虞がある。これを防止すべく、スロットマシン1では、上位AT状態中には、指示機能作動ゲームにて指示通りの順番でリール停止操作が行われたか否かの判断自体を行わないこととし、上位AT状態では、通常AT状態では実行されていた不一致処理が実行されないように構成している。この結果、非有利区間を跨いだATの早期連荘が期待できる機会の喪失を回避すべく、指示機能作動ゲームにて、遊技者が意図的に指示に反した順番でリール停止操作を行ったとしても、遊技者に気付きを促す何らの処理も行われないので、遊技者は、ストレスなく、ボーナスの作動を待つことが出来る。
【0134】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。例えば、本実施例では、実メダルを用いるスロットマシンを本発明を適用したが、現在検討がなされている、実メダルを用いないスロットマシン、スマートスロット(スマスロともいう)に適用してもよい。
【符号の説明】
【0135】
1 スロットマシン
R1 左リール
R2 中リール
R3 右リール
14 スタートレバー
15L 左ストップボタン
15C 中ストップボタン
15R 右ストップボタン
100a 主制御装置
101 CPU
102 ROM
【要約】
【課題】ボーナスゲーム中に押し順小役に当選し指示機能が作動したゲームで、指示に従った遊技者と、従わなかった遊技者とで、指示機能に係る抽選処理に関して有利不利が生じることのない、スロットマシンの提供。
【解決手段】ボーナス終了まで継続するストック獲得特化区間において、指示機能を作動させたゲームにて指示通りの順番でリール停止操作が行われたと仮定した場合のボーナスゲーム中のメダル払出枚数に基づき、ボーナスゲームの終了条件を満たすか否かを判断し、肯定判断したゲームでは、遊技者にとって有利な特化上乗せ処理を実行する一方、否定判断したゲームでは、通常上乗せ処理を実行する。
【選択図】
図19