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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】過渡事象の影響を受けないレベルシフタ
(51)【国際特許分類】
   H03K 19/0175 20060101AFI20240131BHJP
【FI】
H03K19/0175 210
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2020536566
(86)(22)【出願日】2018-12-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-03-25
(86)【国際出願番号】 US2018065231
(87)【国際公開番号】W WO2019133257
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-12-10
(31)【優先権主張番号】15/857,214
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【弁護士】
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】リダ ショウスキー アサッド
(72)【発明者】
【氏名】アンジェロ ウィリアム ペレイラ
【審査官】竹内 亨
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-174627(JP,A)
【文献】特表2017-532910(JP,A)
【文献】特開2002-298582(JP,A)
【文献】特開2005-323195(JP,A)
【文献】特開2000-332586(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 19/00-19/096
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
第1の正側供給電圧に結合され、第1のインバータ供給電圧を出力するように構成される第1のダイオードと、
前記第1の正側供給電圧に結合され、第2のインバータ供給電圧を出力するように構成される第2のダイオードと、
互いにバックツーバック結合される第1のインバータと第2のインバータとを含むラッチであって、第1のセット信号と第1のリセット信号とに応答して第1のラッチ状態に対応する第1の電圧と第2のラッチ状態に対応する第2の電圧とを出力するように結合され、前記第1のインバータが前記第1のインバータ供給電圧と第1の負側供給電圧とに結合され、前記第2のインバータが前記第2のインバータ供給電圧と前記第1の負側供給電圧とに結合される、前記ラッチと、
前記第1のインバータ供給電圧と前記第2のインバータ供給電圧と第2の負側供給電圧とに結合され、第2のセット信号と第2のリセット信号とイネーブル信号とを受信するように結合される隔離回路であって、前記第2のセット信号と前記第2のリセット信号とに応答して前記第1のセット信号と前記第1のリセット信号とを出力するように構成されるドレイン拡張された金属酸化物半導体(DEMOS)トラジスタのペアを含む、前記隔離回路と、
を含む、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記第2のセット信号と前記第2のリセット信号とが、前記DEMOSトラジスタのペアのそれぞれ1つのゲート端子に結合される、装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、
前記隔離回路が、前記第2の負側供給電圧と前記DEMOSトラジスタのペアのソース端子との間に結合されるソース及びドレイン端子と、前記イネーブル信号に結合されるゲート端子とを有するMOSトラジスタを更に含む、装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置であって、
前記第2のセット信号と前記第2のリセット信号と前記イネーブル信号とが第2の正側供給電圧と前記第2の負側供給電圧とに基づいており、
前記第1の正側供給電圧が、前記第2の正側供給電圧より少なくとも20ボルト大きい、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置であって、
前記第1の正側供給電圧が、前記第1の負側供給電圧より少なくとも5ボルト大きい、装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置であって、
前記第2の負側供給電圧が、前記第1の負側供給電圧から独立しており、前記第1の負側供給電圧に対して浮遊している、装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置であって、
前記第2のセット信号と前記第2のリセット信号と前記イネーブル信号とが第2の正側供給電圧と前記第2の負側供給電圧とに基づいており、
前記第2の正側供給電圧が、前記第2の負側供給電圧より少なくとも5ボルト大きい、装置。
【請求項8】
請求項6に記載の装置であって、
前記第2のセット信号と前記第2のリセット信号と前記イネーブル信号とが第2の正側供給電圧と前記第2の負側供給電圧とに基づいており、
前記第2の正側供給電圧が、前記第2の負側供給電圧より少なくとも3ボルト大きい、装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置であって、
前記第1のインバータ供給電圧と前記第2のインバータ供給電圧とが別個の電圧である、装置。
【請求項10】
請求項9に記載の装置であって、
電圧コアであって、前記ラッチと、ダイオード接続されるトランジスタである前記第1のダイオードと、ダイオード接続されるトランジスタである前記第2のダイオードとを含む、前記電圧コアを更に含む、装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置であって、
前記電圧コアが、前記第1のセット信号と前記第1のリセット信号との少なくとも一方における遷移に応答して、前記第1のインバータ供給電圧を前記第2のインバータ供給電圧と異なるものにさせるように結合される、装置。
【請求項12】
請求項11に記載の装置であって、
前記電圧コアが、前記第1のセット信号と前記第1のリセット信号との一方における遷移に応答して、前記第1及び第2のインバータ供給電圧の一方を前記第1及び第2のダイオード接続されるトラジスタの一方のゲート-ソース電圧降下分だけ前記第1の正供給電圧より低くさせるように結合される、装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置であって、
前記第1のダイオード接続されるトラジスタが、互いに結合されるゲート端子及びドレイン端子と、前記第1の正側供給電圧に結合されるソース端子とを有する第1のPMOSトランジスタであり、
前記第1のPMOSトラジスタが、前記第2のリセット信号を受信するように結合される前記隔離回路における第1のDEMOSトラジスタからの前記第1のリセット信号に結合され、
前記第2のダイオード接続されるトラジスタが、互いに結合されるドレイン端子及びゲート端子と、前記第1の正側供給電圧に結合されるソース端子とを有する第2のPMOSトラジスタであり、
前記第2のPMOSトラジスタが、前記第2のセット信号を受信するように結合される前記隔離回路における第2のDEMOSトラジスタからの前記第1のセット信号に結合される、装置。
【請求項14】
請求項1に記載の装置であって、
スタートアップ回路であって、
前記第1のインバータの入力に結合される第1の出力と、
前記第2のインバータの入力に結合される第2の出力と、
前記第1の正側供給電圧のパワーアップの間に前記第1の負側供給電圧から前記第1の正側供給電圧を充電するためにコンデンサとして結合されるトランジスタと、
を含む、前記スタートアップ回路、
を更に含む、装置。
【請求項15】
請求項14に記載の装置であって、
前記スタートアップ回路が、前記第1の正側供給電圧のパワーアップの間に前記第1の出力と前記第2の出力との一方に低電圧を出力するように結合され、前記第1の出力と前記第2の出力とが、前記コンデンサが充電するまで前記ラッチを予め決定された論理状態にさせるために前記ラッチに結合される、装置。
【請求項16】
請求項15に記載の装置であって、
前記ラッチと前記スタートアップ回路とが、DEMOSトラジスタを含まない、装置。
【請求項17】
集積回路であって、
第1の正側供給電圧に結合され、第1のインバータ供給電圧を出力するように構成される第1のダイオードと、
前記第1の正側供給電圧に結合され、第2のインバータ供給電圧を出力するように構成される第2のダイオードと、
互いにバックツーバック結合される第1のインバータと第2のインバータとを含み、第1のセット信号と第1のリセット信号とに応答して第1のラッチ状態に対応する第1の電圧と第2のラッチ状態に対応する第2の電圧とを出力するように結合されるラッチであって、前記第1のインバータが前記第1のインバータ供給電圧と第1の負側供給電圧とに結合され、前記第2のインバータが前記第2のインバータ供給電圧と前記第1の負側供給電圧とに結合される、前記ラッチと、
前記第1のインバータ供給電圧と前記第2のインバータ供給電圧と第2の負側供給電圧とに結合され、第2のセット信号と第2のリセット信号とイネーブルパルス信号とを受信するように結合される隔離回路であって、
前記第1のセット信号と前記第1のリセット信号とを出力するように結合されるドレイン拡張されたMOS(DEMOS)トラジスタのペアと、
前記第2の負側供給電圧と前記イネーブルパルス信号とに結合されるイネーブルトランジスタと、
を含む、前記隔離回路と、
を含み、
前記第1の側供給電圧が前記第2の側供給電圧に対して浮遊している、集積回路。
【請求項18】
請求項17に記載の集積回路であって、
前記DEMOSトラジスタのペアがN型DEMOSトラジスタである、集積回路。
【請求項19】
請求項17に記載の集積回路であって、
前記イネーブルトランジスタが、前記第2の負側供給電圧と前記DEMOSトラジスタのペアのソース端子との間に結合されるソース端子及びドレイン端子と、前記イネーブルパルス信号に結合されるゲート端子とを有するN型MOSトラジスタである、集積回路。
【請求項20】
請求項19に記載の集積回路であって、
前記隔離回路が前記DEMOSトラジスタのペアを含む一方で、前記ラッチがDEMOSトラジスタを含まない、集積回路。
【請求項21】
請求項17に記載の集積回路であって、
前記第1のインバータ供給電圧が前記第2のインバータ供給電圧と別個である、集積回路。
【請求項22】
請求項21に記載の集積回路であって、
前記第1のダイオードがダイオード接続されるトラジスタであり、前記第2のダイオードがダイオード接続されるトラジスタである、集積回路。
【請求項23】
請求項17に記載の集積回路であって、
前記第2のセット信号と前記第2のリセット信号と前記イネーブルパルス信号とが第2の正側供給電圧と前記第2の負側供給電圧とに基づいており、
前記第1の正側供給電圧が、前記第2の正側供給電圧より少なくとも20ボルト大きい電圧を有する、集積回路。
【請求項24】
装置であって、
第1の正側供給電圧に結合され、第1のインバータ供給電圧を出力するように構成される第1のダイオードと、
前記第1の正側供給電圧に結合され、第2のインバータ供給電圧を出力するように構成される第2のダイオードと、
互いにバックツーバック結合される第1のインバータと第2のインバータとを含み、第1のセット信号と第1のリセット信号とに応答して第1のラッチ状態に対応する第1の電圧と第2のラッチ状態に対応する第2の電圧とを出力するように結合されるラッチであって、前記第1のインバータが前記第1のインバータ供給電圧と第1の負側供給電圧とに結合され、前記第2のインバータが前記第1のインバータ供給電圧と異なる前記第2のインバータ供給電圧と前記第1の負側供給電圧とに結合される、前記ラッチと、
前記第1のインバータ供給電圧と前記第2のインバータ供給電圧と第2の負側供給電圧とに結合され、第2のセット信号と第2のリセット信号とイネーブル信号とを受信するように結合される隔離回路であって、前記第2のセット信号と前記第2のリセット信号とに応答して前記第1のセット信号と前記第1のリセット信号とを出力するように構成される、前記隔離回路と、
を含み、
前記第1の側供給電圧が前記第2の側供給電圧に対して浮遊している、装置。
【請求項25】
請求項24に記載の装置であって、
電圧コアであって、前記ラッチと、ダイオード接続されるトラジスタである前記第1のダイオードと、ダイオード接続されるトラジスタである前記第2のダイオードとを含む、前記電圧コアを更に含む、装置。
【請求項26】
請求項25に記載の装置であって、
前記電圧コアが、前記第1のセット信号と前記第1のリセット信号との少なくとも1つにおける遷移に応答して、前記第1のインバータ供給電圧を前記第2のインバータ供給電圧と異なるものにさせるように結合される、装置。
【請求項27】
請求項26に記載の装置であって、
前記電圧コアが、前記第1のセット信号と前記第1のリセット信号との一方の遷移に応答して、前記第1及び第2のインバータ供給電圧の一方を前記第1及び第2のダイオード接続されるトラジスタの一方のゲート-ソース電圧降下分だけ前記第1の正供給電圧より低い電圧にさせるように結合される、装置。
【請求項28】
請求項26に記載の装置であって、
前記第1のダイオード接続されるトラジスタが、互いに結合されるゲート端子及びドレイン端子と、前記第1の正供給電圧に結合されるソース端子とを有する第1のPMOSトランジスタであり、
前記第1のPMOSトラジスタが、前記第2のリセット信号を受信するように結合される前記隔離回路における第1のDEMOSトラジスタからの前記第1のリセット信号に結合され、
前記第2のダイオード接続されるトラジスタが、互いに結合されるドレイン端子及びゲート端子と、前記第1の正側供給電圧に結合されるソース端子とを有する第2のPMOSトラジスタであり、
前記第2のPMOSトラジスタが、前記第2のセット信号を受信するように結合される前記隔離回路における第2のDEMOSトラジスタからの前記第1のセット信号に結合される、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、一般に、独立した電圧ドメイン間で信号をシフトさせるためのレベルシフタ回路要素に関する。
【背景技術】
【0002】
レベルトランスレータと呼ばれることもあるレベルシフタは、(例えば、論理システム及び/又は電力システムにおいて)一層低い電圧の回路要素と一層高い電圧の回路要素との間を、一層高い電圧の回路要素と一層低い電圧の回路要素との間で信号を安全に変換することなどによってインターフェースする。例えば、レベルシフタは、(一層高い電圧の回路要素からの)一層高い電圧から一層低い電圧の回路要素を隔離及び保護し得、そうしないと、一層高い電圧は一層低い電圧の回路要素を損傷させるおそれがある。
【0003】
レベルシフタの例示の応用例には、オートモーティブシステムが含まれる。或るオートモーティブシステムにおいて、バッテリー電圧はDC電圧であり、DC電圧は、オルタネータ又はジェネレータ動作、周囲又はエンジン温度、及び負荷に応じて、3ボルトもの低さから40ボルトもの高さまで変化し得、一方で、公称バッテリー電圧は約12ボルトである。オートモーティブシステムは、パワー電界効果トランジスタ(「パワーFET」)を含むが、これらのパワーFETは、生じ得るバッテリー電圧の全域に定格されない。その代わりに、これらのパワーFETは、ゲート-ソース電圧(Vgs)に対して3.3ボルト~5ボルトの例示の安全な電圧範囲を有し得、低オン抵抗及び低静電容量を有し得る。これらのパワーFETを恒久的に損傷させることを避けるため、オートモーティブシステムは、ゲート電圧が安全な電圧範囲内にあることを保証しなければならない。
【0004】
レベルシフタのための付加的な応用例が、入力端子上に10MHzもの高さの動作周波数を必要とし得るスイッチング電力コンバータを含む。或るDC-DCコンバータ応用例において、レベルシフタ速度は(少なくとも部分的に)、スイッチングコンバータが用い得る最小のデューティサイクルを制限し、それゆえ、実現され得る電圧変換のレベルを限定する。例えば、いくつかのコンバータにおいて、レベルシフタは、必要とされる動作周波数を実現するために、5ナノ秒未満など、急速な立ち上がり及び立ち下がり時間(Tr、Tf)を有さなければならない。
【0005】
レベルシフタには、ドレイン拡張された金属酸化物半導体(DEMOS)トラジスタを含むものがある。或るDEMOSトラジスタは、そのゲート下の電界を低減させる、拡張され軽くドープされたドレイン領域を有する。この低減された電界は、(他のMOSトラジスタと比較して)ドレイン‐ソース(VDS)降伏電圧を増加させ、そのため、異なる電圧動作レベルを有する二つの電力ドメイン間をインターフェースするためにDEMOSトラジスタが有用である。というのも、DEMOSトラジスタは、異なるレベルの電圧を結合するために適しているからである。他のMOSトラジスタタイプと比較して、DEMOSトラジスタは、より大きな寄生静電容量を有し、より大きなシリコン領域を占める。また、DEMOSトラジスタデバイスを備えるレベルシフタが、非対称信号変換、高電力使用、及び低帯域幅を示し得る。
【発明の概要】
【0006】
説明される例において、或る装置が、第1の正の供給電圧及び第1の負の供給電圧に結合される少なくとも一つのラッチを含む。ラッチは、互いにバックツーバック結合される第1のインバータ及び第2のインバータを有し、ラッチは、第1のセット信号及び第1のリセット信号に応答して、第1のラッチ状態に対応する第1の電圧及び第2のラッチ状態に対応する第2の電圧を出力するように結合される。隔離回路が、第2の正の供給電圧及び第2の負の供給電圧に結合され、第2のセット信号、第2のリセット信号、及びイネーブル信号を受信するように結合され、第2の正の供給電圧は、第1の正の供給電圧に対して浮遊している。隔離回路は、第2のセット信号及び第2のリセット信号に応答して第1のセット信号及び第1のリセット信号を出力するように結合され、隔離回路は、二ペアより少ないドレイン拡張された金属酸化物半導体(DEMOS)トラジスタを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】レベルシフタのブロック図である。
【0008】
図2】従来技術のレベルシフタアーキテクチャの概略図である。
【0009】
図3】別の従来技術のレベルシフタアーキテクチャの概略図である。
【0010】
図4】ゼロ静止電力を有する例示のレベルシフタのブロック図である。
【0011】
図5】レベルシフタのための例示の高電圧コア及び隔離回路のブロック図である。
【0012】
図6】レベルシフタのための例示のスタートアップセクションの概略図である。
【0013】
図7】レベルシフタのための例示のパルス生成器セクションの概略図である。
【0014】
図8】レベルシフタの別の例示の高電圧コア及び隔離回路の概略図である。
【0015】
図9】ゼロ静止電力を有するレベルシフタの例示の動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面において、特に指示のない限り、対応する数字及び記号は、概して、対応する部分を指す。図面は必ずしも一定の縮尺で描かれていない。用語「結合される」は、介在要素を備えて成される接続を含み得、「結合される」任意の要素間に付加的な要素及び種々の接続が存在し得る。
【0017】
後述される例において、回路が「ゼロ静止電力」を有するものとして説明される。静止電力とは、バイアス電流に起因して用いられる電力や、安定した回路状態を維持するために用いられる電力など、意図的に消費される電力である。静止電力は、回路が状態を変化させていないときに消費される電力である。「ゼロ静止電力」を有する回路とは、回路が安定しており、状態を変化させていないとき、電力を消費しない回路である。それでも、ゼロ静止電力を有する回路が、漏れ電流に起因していくらかのごくわずかな電力消費を有する。漏れ電流は、半導体デバイス物理学に起因した、回路に本質的に流れる電流であり、なくすことができない。本説明のため、回路が状態を変化させていないときに流れる漏れ電流のみを有する回路要素が、ゼロ静止電力を示す。
【0018】
本記載において、例示の低電圧ドメインがデジタル論理を含み、このデジタル論理の互換性のある電圧範囲は、正の供給電圧と負の供給電圧との間、又は、正の供給電圧と基準電圧(例えば、接地)との間で、約5ボルト又はそれ未満である。同様に、本記載において、例示の高電圧ドメインがデジタル論理を含み、このデジタル論理の互換性のある電圧範囲は、正の供給電圧と負の供給電圧との間、又は、正の供給電圧と基準電圧(例えば、接地)との間で、約5~6ボルト又はそれ未満である。しかし、高電圧ドメイン及び低電圧ドメインは、互いから独立しており(例えば、互いに対して浮遊しており)、そのため、(a)高電圧ドメインの正の供給電圧は、低電圧ドメインの正の供給電圧を最大で数百ボルト上回ることがあり、(b)同様に、高電圧ドメインの基準電圧は、低電圧ドメインの基準電圧を最大で数百ボルト上回ることがある。
【0019】
図1は、或るレベルシフタのブロック図である。レベルシフタ100が、4つの電力供給ライン、即ち、第1の正の供給電圧VDDH107、第1の負の供給電圧VSSH105、第2の正の供給電圧VDDL103、及び第2の負の供給電圧VSSL101を有する。レベルシフタ100は、3つのセクション、即ち、低電圧セクション(LVS)120、隔離セクション(ISO)130、及び高電圧セクション(HVS)140を有する。低電圧セクション120は入力信号SIG_IN125を受信する。高電圧セクションHVS140は出力信号SIG_OUT145を有する。その他のレベルシフタにおいて、入力は高電圧ドメイン信号であり得、出力は低電圧ドメイン信号であり得、その場合、レベルシフタは、高電圧ドメインから低電圧ドメインに信号をシフトさせ得る。本願における例示の配置が、両方の状況において有用である。二つの信号121、123が、低電圧セクションLVS120を隔離セクションISO130に結合する。信号131、133が、ISO130をHVS140に結合する。
【0020】
動作において、LVS120が、入力SIG_IN125上で低電圧ドメイン入力信号を受信する。これに応じて、LVS120は、相補信号121、123をISO130に出力する。ISO130は、相補信号131、133をHVS140に出力する。ISO130ブロック内で、要素が、LVS120からの低電圧ドメイン信号を保護し、これを、高電圧ドメインセクションHVS140における一層高い電圧に変換する。理想的には、レベルシフトは、他の回路に対して透過的である。しかし、実際のレベルシフタ回路において、低電圧システムと高電圧システムとの間で信号をインターフェースするために用いられるISO130内の種々の回路要素は、何らかのアーチファクトを有する。
【0021】
一例において、ドレイン拡張された金属酸化物半導体(DEMOS)トラジスタが、高電圧ドメインから低電圧回路要素を隔離するために用いられる。DEMOSトラジスタが、(他の金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)と比較したとき)ドレインからソースへの高い降伏電圧を有する。LVS120とHVS140との間で信号を結合するために、ISO130ブロックにおいてDEMOSトラジスタが用いられる。DEMOSトラジスタは、LVS120における低電圧回路要素に対して高電圧保護を提供する。しかし、DEMOSトラジスタは、(標準的なMOSFETトラジスタと比較したとき)大きな寄生静電容量を有する物理的に大きなトラジスタである。寄生静電容量が大きいと、低電力において低帯域幅でスイッチング速度が遅くなり、或いは代替として、一層高い帯域幅信号のために電力使用が比較的高くなる。代替の例において、横方向拡散金属酸化物半導体(LDMOS)トラジスタが、HVSにおける高電圧から、LVSにおける低電圧回路要素を遮蔽するために有用である。
【0022】
また、LVS120とHVS140との間で電圧を変換するために、ISO130ブロック内でレジスタ(図1には図示せず)が用いられ得る。レジスタを用いるレベルシフト回路において、レジスタは特定の応用例のために選択される。一層低い抵抗が選択されるとき、レジスタのサイズは一層小さく、回路は一層高い帯域幅を有する。しかし、低抵抗は、高電力消費及び一層高い静止電流の要因となり得るので、設計トレードオフが在る。バッテリー駆動の応用例にとって、高電力及び/又は一層高い静止電流は、それに応じてバッテリー寿命が短くなるので、望ましくない。また、レベルシフタにおけるレジスタの使用は、ゼロ静止電力システムの可能性を妨げる。というのも、電力供給と接地との間に抵抗経路が在り、静止電流がそこを流れており、(安定した動作条件においてさえ)回路が静止電力を消費するからである。
【0023】
図2は、従来技術のレベルシフタ200の回路図であり、レベルシフタ200は、3つのセクション、すなわち、LVS220(低電圧セクション)、ISO230(隔離セクション)、及びHVS240(高電圧セクション)を有する。図2において、明確にするため、図1において用いられたものと類似の要素に対して、類似の参照標示が用いられる。LVS220が入力SIG_IN225上で信号を受信し、LVS220からの出力ラインSIG_OUT245がHVS240に結合する。LVS220からの二つのノード221、223がISO230に結合し、ISO230からの二つのラインがHVS240に結合する。レベルシフタ200が、低電圧ドメイン及び高電圧ドメインを結合する。高電圧ドメインは、第1の正の供給電圧VDDH207及び第1の負の電力供給電圧VSSHを含む。低電圧ドメインは、第2の正の供給電圧VDDL203及び第2の負の供給電圧VSSL201を含む。この例では、第1の正の供給電圧VDDHは、高電圧ドメイン供給であり、低電圧ドメイン供給である第2の正の供給電圧VDDLより大きい。二つの正の供給電圧は独立しており、互いに対して浮遊している。同様に、高電圧ドメインの一部である第1の負の供給電圧VSSH、及び、低電圧ドメインの一部である第2の負の供給電圧VSSLは独立しており、互いに対して浮遊している。
【0024】
LVS220が、二つのN型MOS(NMOS)トラジスタM1、M2と、インバータI1とを含む。ISO230が、二つのP型MOS(PMOS)トラジスタM3及びM4と、二つのNMOSトラジスタM7及びM8とを含む。ISO230内の4つのトラジスタM3、M4、M7、及びM8は、DEMOSトラジスタである。HVS240が、二つのPMOSトラジスタM5、M6と、インバータI2とを含む。トラジスタM5及びM6は、ラッチを形成するために交差結合されたゲート端子及びドレイン端子を有する。インバータI2のための入力はノード241に結合し、インバータI2の出力は出力ラインSIG_OUT245に結合する。
【0025】
動作において、LVS220が、入力ラインSIG_IN225上で正の入力を受信する。SIG_IN225は、トラジスタM1のゲート端子に及びインバータI1の入力に結合する。インバータI1の出力はM2のゲートに結合する。正の入力信号に応答して、トラジスタM1が導通し、そのため、トラジスタM1の動作によって、ノード221、231及び241が、第2の負の供給電圧又は接地VSSL201に結合する。トラジスタM1がオンになり導通した後、トラジスタM7及びM3が導通し、ノード241を「論理低」電圧にプルダウンする。ノード241が低になった後、インバータI2が信号を反転させ、入力パルスと同じ極性に一致する高信号を出力ラインSIG_OUT245上で生成する。インバータI2は、第1の正の供給電圧VDDH207及び第1の負の供給電圧VSSH205を含む高電圧ドメインからの電圧によって供給され、そのため、インバータI2からの出力信号は、高電圧ドメイン内の電圧である。また、ノード241における低がトラジスタM6をオンにし、その後、これが、ノード243において高電圧を提供し、トラジスタM5(PMOSトラジスタである)をオフにする。交差結合されたトラジスタM5、M6は、ラッチとして作用し、ノード243、241における電圧を強化及び安定化させる。
【0026】
入力SIG_INにおける低になる信号の場合、レベルシフタ200は、上述したものと同様の方式で動作する。この場合、トラジスタM1は導通していないが、インバータI1がトラジスタM2のゲートに高電圧を配し、その後トラジスタM2はオンになり導通する。トラジスタM2が、ノード223、233、及び243を、低電圧ドメインの第2の負の供給電圧VSSL201に結合する。M5がPMOSデバイスなので、トラジスタM5のゲートにおける低電圧がM5をオンにする。トラジスタM5が、高電圧ドメインの第1の正の供給電圧VDDH207をノード241に結合し、ノード241は、インバータI2への入力である。その後、インバータI2は、出力ラインSIG_OUT245上で低信号を出力し、そのため、出力は再び、ラインSIG_INにおいて入力パルスを追跡する。高電圧ドメイン電圧VDDH207及びVSSH205は、インバータI2に電力供給する。それゆえ、出力ラインSIG_OUT245上の出力電圧は、第1の正の供給電圧VDDH及び第1の負の供給電圧VSSHを有する範囲まで及び、それゆえ、電圧レベルは、SIG_INにおける低電圧ドメイン入力信号から、SIG_OUTにおける高電圧ドメイン出力信号までシフトされる。
【0027】
ノード231及び233における電圧は、第2の負の供給電圧VSSL201辺りから、第1の正の供給電圧VDDH207辺りの範囲まで及び、同時に、これらのノードは、二つのDEMOSトラジスタペア、M3、M7と、M4、M8とからの高寄生静電容量に結合される。DEMOSトラジスタは物理的に大きく、結果として、大きな寄生静電容量を有する。寄生静電容量が大きいと、これらのトラジスタのための遷移時間が比較的遅くなり、動的電力消費が一層高くなる。というのも、回路が状態を変化させるとき、寄生コンデンサが充電及び放電されるからである。図2におけるレベルシフタ200の別のアーチファクトは、トラジスタM1、M2を介する放電時間は、通常、トラジスタM5、M6を介する充電時間よりはるかに速いので、ノード231及び233の充電及び放電時間が異なることである。NMOSトラジスタM1、M2を介する放電は、PMOSトラジスタM5、M6のための放電より速い。従って、レベルシフタ200は非対称の動作特性を有し、これは望ましくない。
【0028】
図3は、別の従来技術のレベルシフタ300の回路図であり、レベルシフタ300は、3つのセクションを、すなわち、LVS320(低電圧セクション)、ISO330(隔離セクション)、及びHVS340(高電圧セクション)を有する。図3において、明確にするため、図2と類似の要素に対して、類似の参照標示が用いられる。LVS320が、入力ラインSIG_IN325上で入力を受信し、出力信号SIG_OUT345がHVS340に結合する。LVS320は、二つのノード331、333においてISO330に結合し、ISO330は、二つのノード341、343を用いてHVS340に結合する。レベルシフタ300は、低電圧ドメインと高電圧ドメインを結合する。高電圧ドメインは、第1の正の供給電圧VDDH307及び第1の負の供給電圧VSSH305を含む。低電圧ドメインは、第2の正の供給電圧VDDL303及び第2の負の供給電圧VSSL301を含む。例示の低電圧ドメインが、0~5又は6ボルトの論理互換性のある電圧範囲を有する。高電圧ドメインは、第1の正の供給電圧VDDHと第1の負の供給電圧VSSHとの間に類似の範囲を有し得る。これら二つのドメインは、独立しており、互いに対して浮遊しており、低電圧ドメインの第2の負の供給電圧VSSLと高電圧ドメインの第1の負の供給電圧VSSHとの間の差は、(例えば、システムの特有の仕様に従って)0から20ボルト、40ボルト、それどころか100ボルト或いはそれ以上のまでわたり得る。高電圧ドメインの第1の正の供給電圧VDDHから低電圧ドメインの第2の正の供給電圧VSSHの間のデルタは、ゼロから多くても100ボルトまでの任意の値であり得る。LVS320は、二つのNMOSトラジスタM7、M8と、インバータI1とを含む。ISO330は、二つのPMOSトラジスタM3、M4を含む。この例では、トラジスタM3、M4、M7、及びM8は全て、DEMOSトラジスタである。HVS340は、二つのPMOSトラジスタM5、M6と、二つのNMOSトラジスタM9、M10と、インバータI2とを含む。トラジスタM5及びM6は、交差結合されたゲート及びドレイン端子を有する。ノード341がインバータI2に結合し、インバータI2の出力はラインSIG_OUT345に結合する。トラジスタM9及びM10は、互いに結合されるゲート及びソースを備えるクランピングダイオードとして作用する。トラジスタM9が、M3のソース及びゲート間にダイオード結合され、トラジスタM10が、トラジスタM4のソース及びゲート間にダイオード結合される。
【0029】
図3におけるレベルシフタ300は、図2のレベルシフタ200の動作と類似の方式で動作し、そのため、本願では、レベルシフタ300の回路動作を更に説明しない。レベルシフタ300は、いくつかの違いはあるが、レベルシフタ200と類似の構造を有する。レベルシフタ300において、DEMOSトラジスタM3及びM4のソースが、高電圧ドメインの負の供給電圧VSSHからダイオード電圧降下以上に移動することが、図3におけるダイオード結合されるトラジスタM9及びM10によって防止される。このクランピングアクションは、(トラジスタM3及びM4のための最大ゲート-ソース電圧VGSを制御することによって)ノード341上の電圧振幅を低減し、トラジスタ内のゲート酸化物を過度の電界から保護する。図2のレベルシフタ200と比較した別の違いにおいて、図3のレベルシフタでは、LVS320は、プルダウントラジスタのためのDEMOSトラジスタM7、M8を直接に用いる。図3のレベルシフタ配置において、図2のLVS220において用いられるプルダウントラジスタをなくすことで、シリコン空間が節減され、スイッチング時間が低減される。しかし、図3におけるノード331及び333は、やはり、M3、M7、及びM4、M8を含む二つのDEMOSトラジスタペアからの大きな寄生静電容量を充電及び放電する必要がある。
【0030】
レベルシフタのための例示の配置が、DEMOSトラジスタの数を、二ペアより少ないDEMOSトラジスタまで低減させると、一層高速な動作となり、一方で、低電圧回路要素に高電圧保護を依然として提供する。また、例示の配置は、DEMOSトラジスタの残りのペアへの低インピーダンス経路を特徴とし、そのため、DEMOSトラジスタにおける寄生静電容量は急速に充電及び放電され得る。いくつかの例において、或る回路及び方法は、レベルシフタがイナクティブであり、状態を変化させていないとき、静止電力をゼロまで低減する。
【0031】
図4は、ゼロ静止電力を有する例示の高速の対称レベルシフタのブロック図である。例えば、入力における変化がない状態の間消費される電力は、ピコアンペアからナノアンペアの範囲を有する。この配置において、入力遷移間で電流経路が閉じられ、そのため、後に更に説明するように、静止状態の回路に電流が流れない。一例において、高電圧ドメインの第1の正の供給電圧が、20ボルト以上、低電圧ドメインの第2の正の供給電圧を上回る。図4における例によって、信号が、低電圧ドメインにおける入力から高電圧ドメインにおける出力にトランスレートされる。
【0032】
レベルシフタ400が4つのブロックを有する。4つのブロックとは、スタートアップ410、PGS(パルス生成器セクション)420、ISO(隔離)430、及びHVC(高電圧コア)440である。
【0033】
レベルシフタ400は、第1の正の供給電圧及び第1の負の供給電圧を有する高電圧ドメインを、第2の正の供給電圧及び第2の負の供給電圧を有する低電圧ドメインに結合する。低電圧ドメインは、第2の負の供給電圧又は接地電位VSSL401及び第2の正の供給電圧VDDL403を含む。これらの電圧は、パルス生成セクションPGS420及び隔離セクションISO430に結合する。高電圧ドメインは、スタートアップ410及びHVC440に結合される、第1の負の供給電圧VSSH405及び第1の正の供給電圧VDDH407を含む。入力SIG_IN425は低電圧ドメイン信号であり、一方、出力SIG_OUT445は高電圧ドメイン信号である。一例において、低電圧ドメインの第2の正の供給電圧VDDL403は、第2の負の供給電圧VSSL401を上回る「論理高」電圧であり得、そのため、VDDLは、VSSLを5~6ボルト上回り得る。或る代替の配置において、論理高は、例えば3.3ボルトであり得、そのため、第2の正の供給電圧VDDL403は、第2の負の供給電圧VSSLより3.3ボルト又は約3ボルト大きいものであり得る。また、高電圧ドメインの第1の正の供給電圧VDDHは、例えば、高電圧ドメインの第1の負の供給電圧VSSHを上回る「論理1」電圧であり得る。電圧ドメインにおける負電位と正電位との間で、3.3Vなどの、他の電圧範囲(又は12Vなどの、更に一層高い範囲)が用いられてもよい。上述したように、これら二つの電圧ドメインは、互いから独立しており、互いに対して浮遊している。一例において、高電圧ドメインの第1の正の供給電圧VDDHは、低電圧ドメインの第2の正の供給電圧VDDLを、20ボルトなど、数ボルト上回り得る。代替の例において、二つのドメインが独立し、互いに対して浮遊しているので、差は数百ボルトもの大きさとなり得る。更なる代替の配置において、入力信号SIG_INは高電圧ドメイン信号であり得、一方、出力信号SIG_OUTは低電圧ドメイン信号である。
【0034】
図4において、スタートアップブロック410は、出力ライン411を介してHVC440に結合する。PGSブロック420は、入力ラインSIG_IN425を有し、ラインIN_R、IN_S、及びENによってISO430に結合する。ISO430は、ISO430からのラインRST_及びラインSET_によってHVC440に結合する。HVC440は、出力ラインSIG_OUT445を有する。第1のリセット信号RST_及び第1のセット信号SET_は、HVC440に入力され、それぞれ、第2のセット信号IN_S及び第2のリセット信号IN_Rに応答して遷移する。第2のセット信号IN_S及び第2のリセット信号IN_Rは、PGSブロック420からISOブロック430に入力される。
【0035】
動作において、スタートアップ410は、パワーアップ動作の間、高電圧ドメインの第1の正の供給電圧VDDHが所定のレベルに達するまで、出力信号SIG_OUT445のレベルが制御されることを保証する。スタートアップ410は、論理レベルに対応する既知のレベルにおいて動作を開始する。スタートアップが完了した後、入力において相補信号が受信されるまで、初期状態は維持される。一例において、SIG_OUT445が、高電圧ドメインのため「論理低」電圧で(すなわち、第1の負の供給電圧VSSHの電圧で又はその辺りで)開始する。別の例において、SIG_OUTが、「論理高」電圧に(すなわち、第1の正の供給電圧VDDHに又はその辺りに)保たれ得る。スタートアップ410は、パワーアップ時間の間、HVC440及びISO430における回路要素を安定に保つ。電力が安定し、所定のレベルになった後、スタートアップブロック410は、ディセーブルされ、もはやアクティブでない。
【0036】
レベルシフタ400の低電圧ドメイン部におけるPGSブロック420が、ラインSIG_IN425上で入力信号を受信する。この入力信号から、PGS420は、第2の相補セット信号IN_S及び第2の相補リセット信号IN_Rをつくる。入力SIG_IN上の信号の各遷移において、PGS420は、10ナノ秒など、短持続時間EN(イネーブル)パルスを出力する。図4に示すように、信号IN_R、IN_S、及びENは、ISO430に結合する。ISO430は、DEMOSトラジスタの単一ペア(図4では見えないが、更に後述される)を用いて、PGS420における低電圧ドメイン信号に、通信及び高電圧隔離保護を提供する。PGS420からのENパルスは、ISO430が電力を受けとる時間の長さを決定する。ISO430が給電されない期間において、ISO430における回路に電流は流れない。
【0037】
図4において、HVCブロック440は、ラインSIG_OUT445上で高電圧ドメイン論理出力を提供する。HVC440は、少なくとも一つのセット‐リセット(SR)ラッチ(図4に図示しないが、後述される)を含む。ラッチは、レベルシフタ400が給電され、入力遷移に応答していない時間の間、SIG_OUT445上の高電圧ドメイン論理レベルが安定レベルに維持されることを保証する。HVC440は、上述したように、ENパルスがアクティブである時間の間、セット信号及びリセット信号を処理する。ENパルスがアクティブであるとき、HVC440内のラッチは、ラインSIG_IN上の信号に応じて状態を変化させ得、ラッチ状態は、出力SIG_OUT445上の電圧を決定する。いくつかの配置において、更に後述するように、ラッチは、バックツーバックインバータのペアを用いて実装され、インバータの各々は、独立した正の供給電圧を有する。インバータへの正の供給電圧は、入力における変化に応答して非対称に低減される。一つのインバータに、低減された正の供給電圧が供給されている一方で、もう一つのインバータに充分な正の供給電圧VDDHを供給することによって、第1の論理状態から第2の論理状態へのラッチ遷移が一層迅速に成され、回路性能が向上する。
【0038】
図5は、ゼロ静止電力を有する高速の対称レベルシフタのための、高電圧コア540及び隔離回路530のための例500のブロック図である。例えば、図5のブロック図は、図4のブロック、ISO430及びHVC440を実装するために適している。例500は、(a)M1 547、M2 558、M3 568、Mr550、及びMs560である5つのMOSFETと、(b)SS1 552、SS2 564、SR1 562、及びSR2 554である4つのスイッチと、(c)U1 566、U2 556、及びU3 541である3つのインバータと、(d)第1の正の供給電圧VDDH507、第1の負の供給電圧VSSH505、及び第2の負の供給電圧VSSL501のための3つの電力供給入力と、(e)第2のセット信号IN_S521、第2のリセット信号IN_R522、及びイネーブル信号EN524である3つの信号入力と、(f)SIG_OUT545である一つの出力とを有する。インバータU1 566及びU2 556は、正であり、別個の第1及び第2のインバータ供給電圧を、それぞれ、ノード583及び581から受信し、これらの供給電圧は、更に後述するように、独立して生じる。
【0039】
入力EN524上のアクティブパルス信号が、M1 547のゲート端子に結合し、第2のセット信号である入力IN_S521がM3 568ゲート端子に結合し、第2のリセット信号である入力IN_RがM2 558のゲート端子に結合する。出力SIG_OUT545が、インバータU3 541の出力端子に結合する。第2の負の供給電圧信号VSSL501は、M1 547のソース端子に結合する。第1の負の供給電圧VSSH505は、3つのインバータU1 566、U2 556、及びU3 541のための負の電力供給端子に結合される。第1の正の供給電圧VDDH507は、U3 541の正の電力供給と、Ms560のソース端子と、Mr550のソース端子と、4つのスイッチSS1 552、SR2 554、SS2 564、及びSR1 562の第1の端子とに結合する。SS1 552の第2の端子は、Mr550のドレイン及びゲート端子と、M2 558のドレイン端子と、U2 556の正の供給581とに結合する。SR1 562の第2の端子は、MS560のドレイン及びゲート端子と、U1 566の正の電力供給583と、M3 568のドレイン端子とに結合する。SR2 554の第2の端子は、U2 556の入力と、U3 541の入力と、U1 566の出力とに結合する。SS2 564の第2の端子は、U1 566の入力と、U2 556の出力とに結合する。M1 547のドレイン端子は、M2 558及びM3 568のソース端子に結合する。
【0040】
高電圧ドメインの第1の正の供給電圧VDDH507及び第1の負の供給電圧VSSH505は、それぞれ、第1の電力供給(PS1)の正及び負の接続である。第2の正の供給電圧VDDL(図示せず)及び第2の負の供給電圧VSSL501は、それぞれ、第2の電力供給(PS2)の正及び負の接続である。電力供給PS1及びPS2は別個の電圧ドメインからのものであり、ここで、PS1ドメインは一層高い電圧ドメインである。一例において、PS1ドメインの高電圧の第1の正の供給電圧VDDHは、PS2ドメインの低電圧の第2の正の供給電圧VDDLより20ボルト以上大きくし得る。更なる例において、二つのドメインが独立し、互いに対して浮遊しているので、高電圧ドメインPS1における正の電圧は、低電圧ドメインPS2における正の電圧より数百ボルト大きくし得る。
【0041】
トラジスタM2 558及びM3 568はDEMOSデバイスであり、これらのトラジスタは、低電圧ドメイン構成要素(図5に図示せず)に対して、高電圧ドメイン電圧からの保護を提供する。インバータU1 566及びU2 556が、図5におけるノード583、581に形成される、独立した正のインバータ供給を有し、これらのバックツーバックインバータは共にラッチL1 514を形成する。ノード583、581における独立したインバータ供給は、第1の正の供給電圧VDDHから導出される。
【0042】
入力信号IN_S521及びIN_R522は、低電圧ドメインからの相補セット信号及び相補リセット信号である。M1 547は、イネーブル信号EN524が高であるとき、高電圧コア540を通過する全ての電流がM1 547を通過するという点で、イネーブルトランジスタであるMOSFETスイッチである。ゼロ静止電力を実現するため、入力に遷移が存在しないとき、EN524信号は低であり(図4参照、SIG_INが入力である)、低電圧ドメインにおける入力信号において状態変化が生じる予め決定された持続時間期間を除いて、電流はHVC540を介して流れ得ない。一例において、低電圧ドメインにおいて状態変化が生じるとき、イネーブル信号EN524は、出力SIG_OUT545が状態を変化させるために、及び、ラッチL1 514が安定化し出力状態を保持するために、5ナノ秒間など、充分に長く高のみにされる。
【0043】
トラジスタMs560及びMr550はダイオードとして構成され、これらは、ゲート-ソース電圧VGSが、ダイオード構成されたトラジスタの閾値電圧(V)より大きいとき、導通する。
【0044】
SS1 552及びSS2 564のスイッチングは、Ms560のゲート-ソース電圧(VGS)に結合される(図示せず)。Ms560のゲート-ソース電圧が閾値電圧より小さいとき、スイッチSS1 552及びSS2 564が開く。SR1 562及びSR2 554のスイッチングは、Mr550のVGSに結合される(図示せず)。Mr550のVGSが閾値電圧より小さいとき、スイッチSR1 562及びSR2 554が開く。
【0045】
ブロック図500に示した4つのスイッチSS1 552、SS2 564、SR2 554、SR1 562の状態は、第2のセット信号である入力IN_S521に印加される論理高(HI)信号、及び、第2のリセット信号であるIN_R522に印加される論理低(LO)信号の結果である。状態が変化すると(後述するPGSブロックにおいて検出される)、イネーブル信号EN524上で論理HIとなり、これがトラジスタM1 547をオンにし、電流が流れ得る。論理HIがIN_S521に印加されると、M3 568がMs560を介して電流を導通する。M3の出力は第1のセット信号である。Ms560を介して流れる電流は、ゲート-ソース電圧VGSを充分に上昇させて、スイッチSS1 552及びSS2 564を閉じる。SS1 552を閉じることが、Mr550のVGSをほぼゼロにし、その結果、ブロック図500に示すように、SR1 562及びSR2 554が開く。SS2 564が、U1 566への入力を論理HIに駆動し、その結果、インバータ出力におけるノード570は低になる。ノード570がLO状態にあると、U3 541はSIG_OUT545を論理HIに変化させ、U2 556は状態を変化させ、ラッチL1 514をロックする。HVC540がイネーブルされる期間の間、(ノード581における)U2 556のインバータの正の供給は、SS1 552を介して第1の正の供給電圧VDDH507に直接結合される。ノード583における電圧が、VDDH507からMs560のゲート-ソース電圧を低減したものであるので、インバータU1 566が、(ノード583において)低減された正のインバータ供給を有する。インバータU1及びU2間の正の電力供給の不平衡は、ラッチL1 514の論理状態遷移及びラッチングを促進する。HVC540を含む例500における回路要素が(入力ENにイネーブル信号がないことに起因して)ディセーブルされるとき、電流はM1 547を介して流れず、U1 566及びU2 556のためのインバータ電力供給が等しくなり、ラッチ状態を維持する。HVC540は対称に構成され、第2のリセット信号IN_R522がHIであり及び第2のセット信号IN_S521がLOである論理状態の変化の結果、上述したものと同様の動作となり、ラッチL1 514及びSIG_OUT545は反対の論理状態に変化する。この場合、遷移の間、(第1の正の供給電圧VDDHにおける、ノード583における)U1 566のためのインバータの正の電力供給と比較したとき、(ノード581における)U2 556のための正のインバータ供給は低減され、これが、新たな状態へのラッチL1 514の遷移を速める。
【0046】
図6は、ゼロ静止電力を有する高速の対称レベルシフタのための例示のスタートアップセクション600の概略図である。例えば、図6における回路は、図4のスタートアップ410を実装し得る。スタートアップ600は、4つのPMOSトラジスタ610、612、614、616と、3つのNMOSトラジスタ620、622、624とを有し、スタートアップ600は高電圧ドメインの一部である。VDDH607が高電圧ドメインの第1の正の供給電圧であり、VSSH605が高電圧ドメインの第1の負の供給電圧である。スタートアップ600は、3つの出力、ST-A630、ST-B632及びST-C634を有する。
【0047】
第1の正の供給電圧VDDH607は、PMOSトラジスタ610、612、614のソース端子に、並びに、PMOSトラジスタ616のソース及びゲート端子に結合する。VSSH605が、NMOSトラジスタ622、624のソース端子、並びに、NMOSトラジスタ620のソース及びドレイン端子に結合する。トラジスタ620は、ゲート酸化物がコンデンサ誘電体として作用することにより、コンデンサとして結合される。PMOSトラジスタ610のドレイン端子は、NMOSトラジスタ620、622のゲート端子及びPMOS612、614のゲート端子に結合する。PMOS612のドレイン端子は、NMOS622のドレイン端子に、並びに、NMOS624のドレイン及びゲート端子と、出力634とに結合する。PMOS614のドレイン端子は出力632に結合し、PMOS616のドレイン端子は出力630に結合する。
【0048】
動作において、スタートアップ600は、第1の正の供給電圧及び第1の負の供給電圧(VDDH及びVSSH)がまずパワーアップし始めるとき、レベルシフタ(図4におけるHVC440など)の出力信号が、(例えば、システムの特定の仕様に応じて)高或いは低の、予め決定された論理状態にあることを保証する。図6を参照すると、スタートアップ600は、出力ST-A630、ST-B632、及びST-C634を有し、これらの出力は、前述の予め決定された状態においてHVC回路を初期化する。正の供給電圧VDDHが安定電力レベルに達する前、スタートアップ600の内部ノードが、第1の負の供給電圧VSSH605に保たれる(この時点で、VDDHはVSSHにほぼ等しい)。スタートアップの間、高電圧ドメインの第1の正の供給VDDHが増加するとき、VDDH607が、第1の負の供給電圧VSSH605に対してランプアップし、PMOSトラジスタ610、612、及び614はオンになる。次いで、PMOSトラジスタ610、612、及び614が、それぞれ、ノード640並びに出力ST-C634及びST-B632を充電し始める。コンデンサとして作用するNMOS620が、NMOS624よりかなり大きく、それゆえ、ノード634がノード640より速く充電されることを保証する。しかし、NMOS624は、ダイオードとして構成され、ノード634を、第1の負の供給電圧VSSHを上回る、1つ分のゲート-ソース電圧以下にクランプし、一方、NMOS620のコンデンサ構成により、ノード640は、VDDHに向かって充電し続け得る。ノード634がノード640より電位が高くなる時間間隔において、HVC回路に対し、それぞれ、出力ST-C634及びST-B632において、NMOS624がバイアス電圧を提供し、PMOS614がバイアス電流を提供する。
【0049】
NMOS622に結合されるコンデンサが充電した後、適時に、ノード640が、ノード634より高い電位まで充電し、NMOS622は、導通して、ノード634を第1の負の供給電圧VSSHまでプルダウンし始める。次いで、PMOS610が、一層強く駆動され、ノード640を第1の正の供給電圧VDDHまでプルアップする。最終的な状態において、NMOS620が第1の正の供給電圧VDDHまで充電され、ゲート、ドレイン及びソースが第1の負の供給電圧VSSHに結合されるとNMOS624が遮断モードになり、PMOSトラジスタ612及び614が、それらのゲートがVDDHに結合されると遮断状態になり、出力ST-C634がVSSHに保たれ、出力ST-B632が高インピーダンスノードである。最終的に、その最終状態においてPMOS614に類似して構成されるPMOS616が、出力ST-A630に同じ寄生値を提供し、出力ST-B632のと平衡を維持し、後述するようなレベルシフタ過渡応答の対称性を維持する。
【0050】
図7は、ゼロ静止電力を有する高速の対称レベルシフタのための例示のパルス生成器セクションの回路図である。PGS(パルス生成器セクション)700が、図4のPGSブロック420を実装するために用いられ得る。図7において、PGS700は、4つのインバータ710、712、714、718と、排他的OR(XOR)ゲート716と、二つのコンデンサ731、732とを有する。PGS700は低電圧ドメインの一部である。低電圧ドメインは、上述したような第2の正の供給電圧VDDL703と、第2の負の供給電圧又は接地電位VSSL701とを含む。低電圧ドメインは、電圧VDDL及びVSSL間に0~7ボルトの例示の電圧範囲を有し得る。PGS700は、入力ラインSIG_IN725と、二つの出力ラインIN_R720(リセット入力を示す)、IN_S722(セット入力を示す)と、イネーブル出力EN724とを有する。
【0051】
VSSL701は、インバータ710、712、714、718と、XORゲート716と、コンデンサ731の第1の端子とに結合する。VDDL703は、インバータ710、712、714、718と、XORゲート716と、コンデンサ732の第1の端子とに結合される。
【0052】
入力SIG_IN725が、インバータ710、インバータ712、及びインバータ714を含む遅延ラインに結合し、インバータ714は、XORゲートの第1の端子と、コンデンサ731及び732の第2の端子とに結合する。XORゲート716の第2の入力端子はSIG_IN725に結合する。XORゲート716の出力はインバータ718に結合する。
【0053】
入力ラインSIG_IN725が論理低にある定常状態動作において、XORゲート716は、SIG_IN725からの論理低の入力、及びインバータ714からの論理高の入力を有し、その結果、インバータ718の入力に対し論理高の出力となる。インバータ718が論理高を反転させ、ラインEN724上で論理低信号を出力する。
【0054】
動作において、正の遷移がSIG_IN725に適用されるとき、正のエッジがXORゲート716に直接適用され、その結果、XORゲート716への両方の入力が論理高になる。これら二つの論理高入力の結果、XORゲート716の出力は高状態から論理低に切り替わる。XOR716の出力はインバータ718に結合する。インバータ718は、出力ラインEN724上で論理高を出力する。反転されたSIG_IN725の遅延信号をXORゲートが受信するまで、EN724は論理高であり続ける。インバータ710、712、及び714を介する時間遅延は、ラインEN724上のパルスの持続時間を決定する。この例に関して、ラインEN724上のパルス持続時間は5ナノ秒~10ナノ秒である。コンデンサ731及び732が、XOR716の第1の端子に付加的な遅延を付加し、その結果、ラインEN724上のパルスの伸長となる。代替の配置において、EN724上のパルス持続時間を調節するために、付加的な静電容量又はインバータペア712及び714が付加され得る。反転された信号SIG_IN725がXORゲート716の入力に達した後、XORゲート716の入力は、反対の論理レベルになり、XORゲート716の出力は論理高を出力する。論理高信号は、論理高信号を論理低に反転させるインバータ718に結合され、インバータ718は、ラインEN724上で低を出力する。
【0055】
入力SIG_INが高レベルから低レベルに遷移するとき、出力IN_R、IN_Sは、SIG_IN725端子における電圧の反転を備える入力IN_R720、及び、SIG_IN725端子における電圧と同じ極性である出力IN_S722を追跡する。XORゲート716は、SIG_IN端子に直接結合される入力において論理低を有し得、論理低が、一時的に第2の入力にあり、そのため、XORゲート716の出力がゼロになり得、インバータ718は論理高を出力し得る。遅延ライン710、712、714が、入力における変化をXORゲート716に結合した後、入力はもはや等しいものではなくなり、XORゲート716は論理高を出力し、インバータ718は論理低に遷移する。上述したように、ENライン上のパルスの持続時間は、インバータ710、712、714及びコンデンサ732、731の遅延によって決定される。従って、パルス生成器セクション700は、入力SIG_IN725における電圧が変化するたびに、出力EN上でイネーブルパルスを生成する。
【0056】
図8は、ゼロ静止電力を有する高速の対称レベルシフタの高電圧コアHVC840及び隔離回路830のための例800の回路図である。例えば、HVC840は、図5のHVC540を実装し得る。HVC840は、3つの電力供給端子を有する。3つの電力供給端子とは、図5のVSSL501に類似する、低電圧ドメインの第2の負の供給電圧又は接地電位VSSL801と、図5のVSSH505に類似する、高電圧ドメインの第1の負の供給電圧又は接地基準電位VSSH805と、図5のVDDH507に類似する、高電圧ドメインの第1の正の供給電圧VDDH807である。例800は、幾つかのブロック、ISO830(隔離)及びHVC840に分割される。HVC840は、クランプ812、ラッチ814、SR816(セット及びリセット)、SUP818A(供給A)、SUP818B(供給B)、及びインバータ841を含む。
【0057】
ISOブロック830が含むDEMOSトラジスタは二ペアより少ない。つまり、図5のトラジスタM2 558及びM3 568に類似するN型DEMOSトラジスタ858及び868の単一ペアのみである。また、ISOブロック830は、図5のトラジスタM1 547に相当するトラジスタNMOS847を含む。クランプ812は、二つのNMOSトラジスタ857、867を有する。ラッチ814は、トラジスタ865及び866のペアを含み、トラジスタ865及び866は共に、図5のU1 566に相当するインバータを形成する。また、ラッチ814は、トラジスタ855及び856の別のペアを含み、トラジスタ855及び856は共に、図5のU2 556に相当するインバータを形成する。トラジスタ855及び865はPMOSトラジスタであり、トラジスタ856及び866はNMOSトラジスタである。SRブロック816は、それぞれ、図5のスイッチ554及び564に相当する二つのPMOSトラジスタ854、864を有する。供給818Aは、二つのPMOSトラジスタ850、852を有する。供給818Bは、二つのPMOSトラジスタ860、862を有する。トラジスタ850が図5のトラジスタMr550に相当し、トラジスタ852が図5のスイッチSS1 552に相当する。トラジスタ860が図5のトラジスタMs560に相当し、トラジスタ862が図5のスイッチSR1 562に相当する。例800は、(a)IN_S821、IN_R822、EN(イネーブル)824、ST-A(スタートアップA)831、ST-B(スタートアップB)832、及びST-C(スタートアップC)834である6つの入力と、(b)SIG_OUT845である1つの出力ラインとを有する。
【0058】
低電圧ドメインの第2の負の供給電圧又は接地基準電位VSSL801は、NMOSトラジスタ847のソース端子に結合する。高電圧ドメインの第1の負の供給電圧又は接地基準電位VSSH805は、トラジスタNMOS856、NMOS857、NMOS866、NMOS867のソース端子と、NMOS867のゲート端子と、インバータ841の第1の電力端子とに結合される。高電圧ドメインの第1の正の供給電圧VDDH807は、トラジスタPMOS850、PMOS852、PMOS854、PMOS860、PMOS862、PMOS864のソース端子と、インバータ841の第2の電力端子とに結合される。イネーブル信号を受信するための入力ラインEN824が、NMOS847のゲート端子に結合する。第2のセット信号である入力ラインIN_S821が、DEMOS868のゲート端子に結合する。第2のリセット信号である入力ラインIN_R822が、DEMOS858のゲート端子に結合する。ノード842及び843が、これらの入力をアクティブ低信号として受信する。ノード842及び843は、図4のISOブロック430の第1のリセット信号RST_及び第1のセット信SET_に対応する。入力ラインST-C834は、NMOS857のゲート端子に結合される。入力ラインST-B832は、NMOS856のゲート端子、PMOS855のゲート端子、PMOS854のドレイン端子、NMOS866のドレイン端子、PMOS865のドレイン端子、及びインバータ841の入力に結合される。入力ラインST-A831は、PMOS855のドレイン端子、NMOS856のドレイン端子、PMOS864のドレイン端子、PMOS865のゲート端子、及びNMOS866のゲート端子に結合される。出力ラインSIG_OUT845は、インバータ841の出力端子に結合される。更なる例において、第2のインバータ(図示せず)が、SIG_OUTを反転させることによって反対の極性出力信号を提供し得る。更に別の代替例において、第2のインバータが、ノード872、Q’に及び反対の極性出力端子に結合することによって反対の極性出力信号を提供し得る。
【0059】
ノード842(第1のリセット信号)は、N型DEMOS858のドレイン端子、NMOS857のドレイン端子、PMOS850のドレイン端子、PMOS850のゲート端子、PMOS852のゲート端子、PMOS854のゲート端子、PMOS862のドレイン端子、及びPMOS855のソース端子を結合する。ノード843(第1のセット信号)は、N型DEMOS868のドレイン端子、PMOS860のゲート及びドレイン端子、NMOS867のドレイン端子、PMOS852のドレイン端子、PMOS865のソース端子、PMOS864のゲート端子、並びに、PMOS862のゲート端子を結合する。NMOS847のドレイン端子は、DEMOS858のソース端子及びDEMOS868のソース端子に結合する。
【0060】
動作において、隔離回路ISO830は、(図7に図示したようなパルス生成器から)相補入力IN_S821及びIN_R822上で低電圧ドメイン入力信号を受信し、これらの入力信号は、それぞれ、DEMOSトラジスタ868及び858の単一ペアのゲート端子を駆動する。DEMOSトラジスタは、回路800の低電圧ドメイン部から高電圧ドメイン部に、高電圧隔離及び通信を提供する。入力ラインEN824は、図7のPGS700などのパルス生成器から正のパルスを受信する。イナクティブ期間の間、ラインEN824は論理低であり、これによりNMOS847がオフにされ、その結果、イナクティブ期間の間、電流が流れないので、ゼロ静止電流となる。5~10ナノ秒などの所定の期間であるアクティブ期間の間、EN824上のイネーブルパルスが論理高であり、その結果、NMOS847が充分に導通する。その後、HVC840におけるラッチ814の状態を変化させるために必要とされる回路要素を介して、電流が流れ得る。
【0061】
過渡事象の間、入力IN_S821及びIN_R822における変化、又は、高電圧ドメイン基準電位VSSH805における高速な変化に起因して、ノード842又はノード843が、高電圧ドメイン基準VSSH805を下回ってプルされ得る。デバイスの信頼性を保障するために、クランプ812のNMOSトラジスタ857及び867は、定常状態においてP-N接合として動作し、及び、高電圧ドメイン基準VSSH805を下回るダイオード降下電圧である電圧にノード842及び843をクランプする。
【0062】
ラッチ814ブロックは、SR816ブロックと共にS-Rラッチであり、このS-Rラッチは、入力、すなわち、第2のセット信号IN_S821に応答する、ノード843における第1のセット信号と、第2のリセット信号IN_R822に応答する、ノード842における第1のリセット信号とを有する。ラッチ814は二つのインバータを有し、一つはトラジスタ855、856から形成され、もう一つはトラジスタ865、866から形成され、これらは図5のインバータU1及びU2に対応し、これらのインバータは、ラッチ814を形成するためにバックツーバック結合する。ノード870(Q)及びノード872(Q’)は、Qノード870に結合されるインバータ841の入力を備えるS-Rラッチを完成する。出力SIG_OUT845はノードQの反転されたバージョンである。
【0063】
図8における供給ブロック供給818A及び供給818Bは、マッチング供給ブロックである。ブロック供給818Aを参照すると、PMOS850は、共に接続されるゲート及びドレインを備えてダイオード結合される。ダイオード構成は、ノード842において低インピーダンスをつくり、そのため、DEMOS858及びNMOS847がオンになるとき、DEMOS858にみられる大きな寄生静電容量を充電するために高電流が流れる。PMOS852は、ラッチ814のQ側のPMOS865及びNMOS866を含むインバータのための供給構成スイッチである。HVC840は対称に構成され、供給818Bは、ラッチのQ’側において供給818Aと同じように働く。PMOS860は、接続されるゲート及びドレインを備えてダイオード接続され、PMOS860は、DEMOS868に結合されるノード843をフィードする。PMOS862は、ラッチ814のQ’側のPMOS855及びNMOS856を含むインバータのための供給構成スイッチである。高電圧ドメインの電力供給VDDH及び高電圧基準電位VSSH並びに低電圧ドメインの基準電位VSSLの各々がそれぞれの入力に印加されることによって、HVC840が給電されると、SIG_OUT845の状態が論理高状態であるとき、Qノード870が論理低であり、Q’ノード872が論理高であり、IN_S821が論理高であり、IN_R822が論理低である。
【0064】
入力IN_R822上で正の電圧が受信されると、第2のセット信号IN_S821上で対応する低電圧が受信され、EN824上で短持続時間パルスが受信される。EN824上のパルスは、イネーブルパルスの持続時間の間、NMOS847をオンにする。第2のリセット信号IN_R822上の正の電圧は、DEMOS858をオンにする。電流がDEMOS858及びNMOS847を介して流れるので、ノード842が、第1の負の供給電圧VSSHに向かって低にプルされ、ダイオード構成されたPMOS850がオンになり、これにより、高レベルの電流がDEMOS858における寄生静電容量を充電し得、ラッチ814のQ’側のPMOS855及びNMOS856インバータの正のインバータ供給電圧を、VDDHからPMOS850のゲート-ソース電圧(VGS)を引いた供給電圧まで低減する。ノード842がVDDHをかなり下回ると、PMOS852がオンになり、ノード843をVDDHに向かってプルし、それにより、ラッチ814のQ側のPMOS865及びNMOS866インバータのインバータ正の供給を、第1の正の供給電圧VDDHまで拡張する。PMOS852と同様に、PMOS854がオンになり、Qノード870を、第1の正の供給電圧VDDH又は論理高に向かって高にプルする。Qノード870が論理高であると、PMOS855がオフになり、NMOS856がオンになり、Q’ノード872を第1の負の供給電圧VSSH又は論理低にプルする。これに応じて、PMOS865がオンになり、NMOS866がオフになり、これにより、ノードQ870がPMOS865及びPMOS852を介してVDDHに結合し得、インバータ841が、SIG_OUT845上で低電圧を出力する。
【0065】
EN824信号が論理低に戻ると、NMOS847がオフになり、電流経路を閉じ、そのため、イナクティブ期間の間、静止電力はゼロである。ラッチ814及びSR816内の論理は、最後の出力電圧を、この例では低電圧を保つ。
【0066】
再び図8を参照すると、SIG_OUT845における電圧が論理低状態にあるとき、Qノード870が論理高状態にあり、Q’ノード872が論理低であり、第2のセット信号IN_Sが論理低状態にあり、第2のリセット信号IN_Rが論理高状態にある。第2のセット信号入力IN_S821上で正の電圧が受信されると、第2のセット信号IN_R822上で対応する低電圧が受信され、EN824上で短持続時間パルスが受信される。短持続時間パルス期間の間、EN824上のパルスはNMOS847をオンにする。第2のセット信号IN_S821上の正の電圧がDEMOS868をオンにする。電流がDEMOS868及びNMOS847を介して流れるので、ノード843(第1のセット信号)は、第1の負の供給電圧VSSHに向かって低にプルされ、ダイオード構成のされたPMOS860がオンになり、これにより、高レベルの電流が、DEMOS868における寄生静電容量を充電し得、ラッチ814のQ側のPMOS865及びNMOS866のインバータの正のインバータ供給電圧を、VDDHからPMOS860のゲート-ソース電圧VGSを引いた、(ノード883における)供給電圧まで低減する。ノード843がVDDHを大幅に下回ると、PMOS862がオンになり、ノード842をVDDHに向かってプルし、PMOS855及びNMOS856のため供給を、第1の正の供給電圧VDDHに向かってプルする。PMOS864がオンになり、Q’ノード827を論理高に又はVDDHに向かってプルする。Q’ノード872が論理高にあると、PMOS865がオフになり、NMOS866がオンになる。NMOS866がQノード870を論理低にプルし、出力SIG_OUT845は、インバータ841の動作に起因して、論理高電圧にある。EN824上の短持続時間パルスが終了すると、NMOS847がオフになり、電流経路が閉じ、そのため、静止期間の間、ゼロ電力が消費される。上述したように、ラッチ814における論理は、SIG_OUT845において最後の出力電圧、この例では高電圧を保つ。
【0067】
上述したHVC840の動作の一態様が、供給818A及び供給818Bのアクションによって、ラッチ814のQ側及びQ’側の供給に課される不均衡である。この配置において、一方のインバータに正の供給レベルVDDHを供給し、他方のインバータが、VDDHからゲート-ソース電圧降下を引いた低減された電圧によって供給されることによって、ラッチ814のための遷移時間は低減される。これにより、ラッチの論理状態遷移は、(これらの特徴を備えずに形成される類似のラッチと比較したとき)一層迅速に、非常にわずかな電力で生じ得る。
【0068】
配置800内で対称的で迅速な遷移を可能にするため、DEMOSトラジスタへの低インピーダンス経路が、DEMOSトラジスタ内の大きな寄生コンデンサを急速に充電することを可能にする。同時に、DEMOSトラジスタがアクティブであるとき、アクティブ低インピーダンス経路は、一時的に、アクティブDEMOSトラジスタを有するインバータの半分まで電力がなくなる。一つのインバータに対する電力供給をなくすことによって、相補インバータが、非常にわずかな電力を用いて状態を変化させ得る。ENパルスがアクティブ低になるとき、動作は終了する。
【0069】
図4図7の例示の配置は、隔離ブロックにおいて二つ以下のDEMOSトラジスタを含む、ゼロ静止電流を有するレベルシフタを提供する。こうした配置は、レベルシフタのために必要とされるシリコン領域を低減し、対称回路動作を提供する。高電圧ドメインにおける正の電圧VDDHは広範囲にわたって変化し得、一方で、正確な回路動作が継続する。図8における低インピーダンスノード842、843は、スイッチング応用例において高周波数動作を可能にする急速な立ち上がり時間Tr及び立ち下がり時間Tfを、レベルシフト回路に提供する。一例において、図8における配置を用いたレベルシフタが10MHzで動作した。一例において、図4のブロック、並びに、図6図7、及び図8の例示の実装は、単一のモノシリック集積回路を形成する。更なる例において、図4のブロックは、複数の集積回路上に実装され得る。
【0070】
上述の配置において、隔離回路要素は、DEMOSトラジスタの単一ペアを含み、高電圧コアは、一つのラッチ状態から別のラッチ状態への遷移の間、非対称である独立した正の供給電圧を有するインバータのペアを特徴とする。しかし、代替の配置において、これらの特徴は、別個に有用である。従って、レベルシフタが、二ペアより少ない(例えば、一つのペアの)DEMOSトラジスタを用いて、この配置の隔離回路要素を組み込み得る。別の配置のレベルシフタが、ラッチを形成するインバータを備える電圧コアを組み込み得、こうしたインバータは、一つのラッチ状態から別のラッチ状態への遷移を速めるために、遷移の間非対称である独立した正の供給電圧を有する。さらに、本願で図示及び説明されるように、レベルシフタ配置が、独立した正の供給電圧を有するインバータを備える高電圧コアと、図8に図示したようなDEMOSトラジスタの単一ペアのみを用いた隔離回路との両方を含み得る。これらの配置の全てが、種々の応用例において有用である。
【0071】
図9は、ゼロ静止電力を有する高速の対称レベルシフタの例示の動作のフローチャートである。図9において、ブロック901で、45ボルトなどの高電圧ドメイン供給電圧によって給電されるラッチが、ゼロ又はゼロ付近の静止電力消費及び安定した出力電圧を有する初期状態にある。
【0072】
ブロック903で、決定が成される。入力信号において電圧遷移が検出されると、この方法は、ブロック905に遷移する。遷移が検出されない場合、この方法はブロック901に戻り、ゼロ静止電力でのラッチの電流状態で動作を継続する。低電圧ドメイン入力信号において遷移が生じると、入力信号は、例えば低から高など、一つの論理レベルから第2の異なる論理レベルに変化する。
【0073】
ブロック905で、パルスが生成される。パルスは、低電圧ドメインによって給電されるパルス生成器回路を用いて生成される。例えば、図7におけるパルス生成器回路が用いられ得る。パルスは、5ナノ秒~10ナノ秒など、特定の及び限定された持続時間を有する。パルス持続時間は、遅延ライン、コンデンサ、及びこれらの組み合わせを用いて決定され得る。この方法はブロック907へ続く。
【0074】
ブロック907で、905において生成されたイネーブルパルスが、隔離回路によって受信される。これに応じて、隔離回路はアクティブになる。例えば、イネーブルパルスは、低電圧ドメインの負又は接地電位供給に結合されるトラジスタのゲートに結合し得る。図8に示した830などの隔離回路要素が用いられ得る。隔離回路要素は、例えば、図4及び図8における、低電圧ドメインの負の供給電圧又は接地電位と、高電圧ドメインとの間に置かれるDEMOSトラジスタの単一ペアを含み得る。
【0075】
ブロック907で、イネーブルパルスが隔離回路をイネーブルする。イネーブルパルスによって、第2のセット信号及び第2のリセット信号が、隔離回路を介して高電圧ドメインラッチに結合され得る。隔離回路は、図8におけるISOブロックに示したようなDEMOSトラジスタのペアを含み得る。イネーブルパルスによって、電流は、第2のセット信号及び第2のリセット信号が遷移検出回路要素によって提供された後、隔離回路要素を流れ得る。隔離回路は、アクティブイネーブルパルスの間、アクティブのみであり、これにより、消費される電力が制限される。イネーブルパルスが終了した後、隔離回路要素はイナクティブになり、もはや電力を消費しない。
【0076】
図9のブロック913で、高電圧ドメインにおけるラッチが更新する。低電圧ドメインにおける入力信号が一つの論理電圧から別のものに遷移する場合、この遷移は、出力信号が変化すべきであること、及び、高電圧ドメインにおけるラッチが状態を変化させるべきであることを示す。パルス生成器回路からの第2のセット信号及び第2のリセット信号は、高電圧コアにおけるドライバトラジスタによって、及び、隔離回路におけるDEMOSトラジスタの動作によって、高電圧ドメインにシフトされる第1のセット信号及び第1リセット信号を形成するように隔離回路に結合される。例えば、図8のラッチにおけるノードQ及びQ’は、低電圧ドメインのセット信号及びリセット信号に応答して状態を変化させ得る。
【0077】
その後、この方法はブロック915に続く。イネーブルパルスが終了すると、ラッチ状態は安定する。図8に示したようなSIG_OUTなど、ラッチ値が出力ライン上で出力される。
【0078】
例示の方法において、レベルシフト回路要素は、高電圧ドメインにおいて出力の変化を生じさせる入力信号を低電圧ドメインにおいて受信し、それゆえ、レベルシフタは、低電圧ドメイン入力信号を高電圧ドメイン出力ラインに結合する。低電圧ドメイン回路要素は、DEMOSトラジスタによって高電圧ドメインにおける高電圧から隔離されている。しかし、例示の配置では、DEMOSトラジスタの数は二つのDEMOSトラジスタに限定され、それにより、レベルシフタを含む集積回路において用いられるシリコン領域が低減される。(a)状態を変化させるとき、回路のみが動的電力を消費し、(b)入力信号の変化がない場合、回路に電流が流れないので回路要素がゼロ静止電力を有する。それゆえ、消費される電力が制限される。独立した正の電圧供給(遷移の後に非対称である)を備えるインバータのペアを有するラッチを用いることによって、ラッチ及びレベルシフタの一層迅速な動作が実現され、それにより、遷移時間が低減される。
【0079】
一例において、或るレベルシフタが、二ペアより少ないDEMOSデバイスを用いてシリコンに実装された。例示の配置を有さずに形成されるレベルシフタのアプローチのための、13500平方ミクロンのダイサイズと比較して、必要とされるダイサイズは9300平方ミクロンであった。
【0080】
特許請求の範囲内で、説明される配置における改変が可能であり、他の配置が可能である。
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図9