(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】実装基板の製造方法および実装基板
(51)【国際特許分類】
H01L 33/48 20100101AFI20240131BHJP
H01L 33/62 20100101ALI20240131BHJP
【FI】
H01L33/48
H01L33/62
(21)【出願番号】P 2018168574
(22)【出願日】2018-09-10
【審査請求日】2021-04-21
【審判番号】
【審判請求日】2022-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000219314
【氏名又は名称】東レエンジニアリング株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山本 清人
(72)【発明者】
【氏名】新井 義之
(72)【発明者】
【氏名】水谷 義人
【合議体】
【審判長】波多江 進
【審判官】吉野 三寛
【審判官】安藤 達哉
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-512347(JP,A)
【文献】特開2017-135301(JP,A)
【文献】特表2016-503958(JP,A)
【文献】特表2018-508971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDチップを被転写基板に転写し実装する実装基板の製造方法において、前記被転写基板上の前記LEDチップの少なくとも一部が転写される領域である被転写領域が前記被転写領域の周囲の領域よりも窪んだ形状となるようにガイド層を前記被転写領域の周囲の領域に形成するガイド層形成工程と、
前記被転写領域において前記LEDチップと前記被転写基板とを連結する連結剤を挿入する連結剤挿入工程と、
前記LEDチップを前記被転写領域に転写する転写工程と
、
を有し、
前記LEDチップはバンプ部を有し、前記バンプ部が前記被転写基板に転写される領域が前記被転写領域であり、
所定方向における前記被転写領域の寸法は、当該所定方向における前記バンプ部の断面寸法に前記LEDチップの許容位置ずれ精度を加えた寸法であることを特徴とする、実装基板の製造方法。
【請求項2】
前記被転写領域には配線部が設けられており、前記ガイド層の厚み寸法は、前記バンプ部の高さ方向の寸法と硬化後の前記連結
剤の厚み寸法と前記配線部の厚み寸法の和よりも小さいことを特徴とする、請求項1に記載の実装基板の製造方法。
【請求項3】
前記ガイド層形成工程は、前記連結剤に対して撥液性を有する材料を用いて前記ガイド層を形成することを特徴とする、請求項1または2に記載の実装基板の製造方法。
【請求項4】
前記ガイド層形成工程は、
前記被転写基板上に前記ガイド層を形成する材料を塗布するガイド層材料塗布工程と、
前記被転写領域上の前記ガイド層を形成する材料を除去するガイド層材料除去工程と、
を含む、請求項1から3のいずれかに記載の実装基板の製造方法。
【請求項5】
前記連結剤挿入工程は、前記被転写領域に連結する部分に前記連結剤をあらかじめ付着させた前記LEDチップを転写することにより、前記転写工程と同時に行われることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の実装基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDチップを高精度に転写し実装する実装基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
LEDチップは、コスト低減のために小型化し、小型化したLEDチップを高速・高精度に実装するための取組みが行われている。特に、ディスプレイに用いられるLEDはマイクロLEDと呼ばれる50μm×50μm以下のLEDチップを数μmの精度で高速に実装することが求められている。
【0003】
特許文献1には、ウェハに格子状に形成されたLEDチップに帯状のレーザ光を照射して1ラインまたは複数ラインごとに一括して転写基板に転写したのち、転写基板に転写された後の複数のLEDチップに帯状のレーザ光を照射して1ラインまたは複数ラインごとに次の転写基板に一括して転写する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような方法でLEDチップを各転写基板に転写するとき、転写される側の転写基板、すなわち被転写基板には、たとえば
図1(A)に示すようにLEDチップと被転写基板とを連結する連結剤の層が設けられている。
図1(A)は被転写基板100の断面図を示す。被転写基板100の基板101の上面(Z軸方向上側の面)には配線部102が設けられている。配線部102は図示しない電源や制御装置からの電気信号等を伝える働きをする。配線部102を含む基板101の上面に導電性物質を含む連結剤で構成された連結層103が設けられている。この連結剤は、たとえば積水化学工業株式会社のはんだ粒子入り異方導電性ペーストのように、加熱により連結剤中の導電性物質が金属間、すなわち、LEDチップ105のバンプ部106と配線部102との間で凝集し硬化する性質を有している。
【0006】
LEDチップ105の被転写基板100への被転写基板100への転写は、
図1(B)に示すように、レーザーリフトオフ法によりLEDチップ105を転写基板104から切り離し被転写基板100の連結層103上に落下させることによって行われる。LEDチップ105が連結層103上に到着したのち、LEDチップ105が載った被転写基板100を図示しない加熱機構により加熱処理することによって、LEDチップ105と被転写基板100とを連結層103の連結剤に含まれる導電性物質を挟んで連結させる。このようにしてLEDチップ105を被転写基板100に実装させる。
【0007】
ここで、被転写基板100が加熱処理されるときに加熱により連結層103を構成する連結剤の流動性が上がり、LEDチップ105と接している連結層103の結合剤に液流れが生じる。この連結剤の液流れにより、たとえば
図1(C)に示すように、加熱処理後に被転写基板100上のLEDチップ105の位置がずれてしまう可能性があった。ここで、
図1(C)において正しい位置に転写されたLEDチップ105の状態をLEDチップ105aに示す。また、転写後の連結剤の流動によりLEDチップ105が横流れした位置に転写された状態を105bに示し、転写後の連結剤の流動により回転した位置に転写された状態をLEDチップ105cに示し、転写後の連結剤の流動により傾いた位置に転写された状態をLEDチップ105dに示す。
【0008】
本発明は、上記課題を鑑み、転写後の被転写基板上での連結剤の流動に伴うLEDチップの位置ずれを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明の実装基板の製造方法は、LEDチップを被転写基板に転写し実装する実装基板の製造方法において、前記被転写基板上の前記LEDチップの少なくとも一部が転写される領域である被転写領域が前記被転写領域の周囲の領域よりも窪んだ形状となるようにガイド層を前記被転写領域の周囲の領域に形成するガイド層形成工程と、前記被転写領域において前記LEDチップと前記被転写基板とを連結する連結剤を挿入する連結剤挿入工程と、前記LEDチップを前記被転写領域に転写する転写工程と、を有し、前記LEDチップはバンプ部を有し、前記バンプ部が前記被転写基板に転写される領域が前記被転写領域であり、所定方向における前記被転写領域の寸法は、当該所定方向における前記バンプ部の断面寸法に前記LEDチップの許容位置ずれ精度を加えた寸法であることを特徴とする。
【0010】
こうすることにより、転写後の連結剤の液流れに伴いLEDチップの位置がずれようとしてもガイド層と被転写領域とで形成される窪みの壁面がガイドとなり、LEDチップの位置を規制できる。また、ガイド層の窪みの中で連結剤の流動が制限されるので、ガイド層を設けない場合に比べて転写時の連結剤の液流れを抑制でき転写時のLEDチップの位置ずれを低減できる。
【0013】
また、前記ガイド層形成工程は、前記連結剤に対して撥液性を有する材料を用いて前記ガイド層を形成してもよい。
【0014】
連結剤に対して撥液性を有する材料を用いてガイド層を形成することにより印刷法等を用いて連結剤を必要な箇所に一括で充填できる。
【0015】
また、前記ガイド層形成工程は、前記被転写基板上に前記ガイド層を形成する材料を塗布するガイド層材料塗布工程と、前記被転写領域上の前記ガイド層を形成する材料を除去するガイド層材料除去工程と、を含んでもよい。
【0016】
こうすることで、ガイド層を形成する材料を被転写基板の被転写面にべた塗りしてから被転写領域上のガイド層をフォトリソ法やレーザアブレーション法等を用いて容易にガイド層を形成できる。
【0017】
また、前記連結剤挿入工程は、前記被転写領域に連結する部分に前記連結剤をあらかじめ付着させた前記LEDチップを転写することにより、前記転写工程と同時に行われてもよい。
【0018】
予めLEDチップのバンプ先端に連結剤を付着させておくことで、連結剤の量を必要最小限にできる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の実装基板の製造方法または被転写基板を用いることにより、転写後の連結剤の流動に伴うLEDチップの位置ずれを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】LEDチップ転写後の連結剤の流動に伴う位置ずれを示す図である。
【
図2】実施例1の実装基板の製造方法のフローを示す図である。
【
図3】実施例1の実装基板の製造方法を説明する図である。
【
図4】実施例1の実装基板の製造方法を説明する図である。
【
図5】実施例2の実装基板の製造方法を説明する図である。
【
図6】実施例3の実装基板の製造方法のフローを示す図である。
【
図7】実施例3の実装基板の製造方法を説明する図である。
【
図8】実施例3の実装基板の製造方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実装基板の製造方法と被転写基板の実施例について図を用いて説明する。
【実施例1】
【0026】
本発明の実施例1の実装基板の製造方法について
図2、
図3、
図4を用いて説明する。
図2は実施例1の実装基板の製造方法のフローであり、
図3および
図4は実施例1の実装基板の製造方法を説明する図である。実施例1の実装基板の製造方法
図2に示すように、ガイド層形成工程(S11)、連結剤挿入工程(S12)、転写工程(S13)、熱処理工程(S14)の順序での実装基板を製造する方法である。また、本発明の実施例1の実装基板の製造方法に用いられるLEDは、たとえばマイクロLEDと呼ばれる50μm×50μm以下のLEDチップである。
【0027】
ガイド層形成工程(S11)は、
図3(A)、(B)、(C)に示すように配線部12が設けられた基板11上にガイド層15を設けた被転写基板10を構成する工程である。ここで
図3(A)は配線部12が設けられた基板11の断面図を示す。基板11において上面(Z軸方向上側の面)に配線部12が設けられている。配線部12はY軸方向に長い複数の配線で構成されており、LEDチップ5が被転写基板10上に実装される位置でのバンプ部6の配列に合わせたピッチでX軸方向に並べられており、配線部12に連結したLEDチップ5に図示しない電源や制御装置からの電気信号等を伝える働きをする。
【0028】
本実施例では、ガイド層形成工程(S11)は、配線部12が設けられた基板11の上面にガイド層を形成するガイド層材料17を塗布するガイド層材料塗布工程(S11a)とLEDチップ5の少なくとも一部であるバンプ部6が転写される被転写基板10上の領域である被転写領域16にあるガイド層材料17を除去するガイド層材料除去工程(S11b)とを有する。
【0029】
最初にガイド層材料塗布工程(S11a)では、配線部12を含む基板11の上面にガイド層形成材料17を、たとえばダイコーティング法等を用いて
図3(B)に示すような基板11の上面を平坦な面で覆う形状になるようにべた塗りする。本実施例ではガイド層形成材料17は非導電性と後述する連結剤3に対する撥液性との両方の性質を併せ持つ材料、たとえばAGC株式会社のサイトップのような材料を用いている。
【0030】
続いてガイド層材料除去工程(S11b)では、ガイド層材料塗布工程(S11a)で基板11の上面に塗布されたガイド層形成材料17のうち、LEDチップ5の少なくとも一部であるバンプ部6が転写される被転写基板10上の領域である被転写領域16上に塗布されたガイド層形成材料17を、たとえば
図3(C)に示すようにレーザーアブレーション法等を用いて除去しガイド層15を形成する。
【0031】
ここで被転写領域16の大きさは、LEDチップ5の実装位置での許容位置ずれ精度を考慮した寸法であり、バンプ部6の水平方向(X軸方向およびY軸方向)の断面寸法よりLEDチップ5の実装位置での許容位置ずれ精度分だけ大きい。また、ガイド層15の高さ方向(Z軸方向)の厚み寸法はバンプ部6の高さ方向(Z軸方向)寸法と後述する熱処理工程(S14)でバンプ部6と被転写領域16との間で硬化する連結剤3の厚みと配線部12の厚みとの和より小さい。また、被転写領域16の大きさに対して配線部12のY軸方向の幅は大きくても小さくてもよい。
【0032】
このようにして、被転写基板10上の被転写領域16が、被転写領域16の周囲の領域よりも窪んだ形状となるようなガイド層15を被転写領域16の周囲の領域に形成する。ここで本実施例の被転写領域16の大きさは、チップ5の実装位置での許容位置ズレ精度を考慮したバンプ部6の水平方向の断面寸法であるので、一つのバンプ部6がガイド層15と被転写領域16で囲まれた一つの窪みに収める形態となる。
【0033】
続いて 連結剤挿入工程(S12)で、被転写領域16にLEDチップ5と被転写基板10とを結合する導電性物質を含む連結剤3を挿入する。ここで連結剤3は、たとえば積水化学工業社のはんだ粒子入り異方導電性ペーストや金属ペースト等である。本実施例ではガイド層15は連結剤3に対する撥液性を有する材料で構成されているので、たとえば
図3(D)で示すようにスキージ19を用いて容易に多くの被転写領域16に一度で挿入することができる。連結剤3に対する撥液性を有する材料で構成されていないガイド層15の場合は、たとえばディスペンサのようなもので連結剤3を被転写領域16に挿入すればよい。このようにして、
図4(A)に示すような被転写基板10を製造する。ここで被転写基板10において、連結剤3が挿入された部分を連結部13という。
【0034】
続いて転写工程(S13)で、
図4(B)に示すようにレーザーリフトオフ法により転写基板4に一方の面を保持されたLEDチップ5を転写基板4から切り離し、
図4(C)に示すように被転写基板10の被転写領域16上、すなわち連結部13上にLEDチップ5を落下させ転写させる。
【0035】
続いて熱処理工程(S14)で、
図4(D)に示すようにLEDチップ5が載った被転写基板10を図示しない加熱機構により加熱し連結部13の連結剤3を硬化させ、連結剤3中の導電性物質を介してバンプ部6と配線部12とを連結させる。
【0036】
ここで被転写基板上では、一つのLEDチップ5に設けられた複数のバンプ部6がガイド層5と被転写領域16とで囲まれた複数の窪みに嵌っている。被転写基板10の加熱に伴い、連結部13内では連結剤3が加熱されることにより一時的に連結剤3の流動性が上がり連結剤3の液流れが生じる。また、連結剤3の流動性が常温において高い場合でも同様に連結部13内ではバンプ部6との接触により連結剤3の液流れが生じる可能性がある。連結剤3の液流れによりLEDチップ5の位置がずれようとしてもガイド層15と被転写領域16とで形成される窪みの壁面がガイドとなり、LEDチップ5の位置が規制される。突出したバンプ部6がガイド層5と被転写領域16とで囲まれた複数の窪みに嵌ることにより、転写後のLEDチップ5の位置ずれが生じにくくなる。
【0037】
また、ガイド層15と被転写領域16とで形成される窪みの中で連結剤3の流動が制限されるので、ガイド層15を設けない場合に比べて加熱による連結部13内の連結剤3の液流れを抑制でき、LEDチップ5の転写後の連結剤3の流動に伴うLEDチップ5の位置ずれを低減できる。
【0038】
また、ガイド層15を設けない被転写基板では、連結剤3に含まれる導電性物質が加熱によりバンプ部6と配線部12との間で凝集する過程で凝集の仕方によっては、隣の配線部12とバンプ部6が短絡するように凝集してしまう可能性もあるが、本実施例のようなガイド層15を設けることにより連結剤3に含まれる導電性物質の凝集の仕方に起因する短絡を防ぐことができる。
【実施例2】
【0039】
本発明の実施例2の実装基板の製造方法について
図5にて説明する。実施例2は、連結剤挿入工程(S12)において、実施例1の被転写領域16上ではなく、LEDチップ5のバンプ部6に直接連結剤3をあらかじめ付着させてからLEDチップ5の被転写領域26への転写と同時にバンプ部6にあらかじめ付着させた連結剤3を被転写領域26に挿入しLEDチップ5の転写と同時に被転写領域16上に挿入することが実施例1と異なる。
【0040】
図5(A)は、転写基板4に一方の面を保持されたLEDチップ5を被転写基板20上の被転写領域26に転写するために被転写基板20と対向する位置にセットした状態を示す。ここで被転写基板20は、配線部22が設けられた基板21の上面に実施例1で説明したガイド層形成工程(S11)によりガイド層25が設けられている。
【0041】
ここで、LEDチップ5のバンプ部6には、連結剤挿入工程(S12)により連結剤3があらかじめ付着されている。ここでのバンプ部6への連結剤3の付着方法は問われない。たとえばディップ法のような方法を用いて塗布されてもよいし、他の方法でもよい。
【0042】
続いて、転写工程(S13)でレーザーリフトオフ法によりLEDチップ5を転写基板4から切り離し被転写領域26上に落下させ転写させる。
図5(B)は、転写基板4からレーザーリフトオフ法によりLEDチップ5が切り離され落下している状態を示す。また、
図5(C)は、LEDチップ5が被転写領域26上に落下し転写した状態を示す。
【0043】
続いて、熱処理工程(S14)で図示しない加熱機構により被転写基板20を加熱する。ここでLEDチップ5のバンプ部6に塗布された連結剤3の流動に伴いLEDチップ5の位置がずれようとしてもガイド層25と被転写領域26とで形成される窪みの壁面がガイドとなり、LEDチップ5の位置が規制される。
【0044】
こうすることでLEDチップ5の転写後の被転写基板20上での連結剤3の流動に伴うLEDチップ5の位置ずれを低減することができる。
【0045】
また、連結剤挿入工程(S12)が、前記被転写領域26に連結する部分に連結剤3をあらかじめ付着させたLEDチップ5を転写することにより、転写工程(S13)と同時に行われることで、連結剤3の量を必要最小限にできる。
【0046】
ここで、連結剤3の量を必要最小限にすることで被転写基板20とLEDチップ5との密着性低下の懸念が考えられたとしても、
図5(D)に示すように熱処理工程(S14)でプレス機構29を用いて加圧しながら図示しない加熱機構により熱処理することでバンプ部6と配線部12との間にしっかりと連結剤3を行き渡らせることができ、被転写基板20とLEDチップ5との間で連結剤3を介した密着性を上げることができる。
【実施例3】
【0047】
本発明の実施例3の実装基板の製造方法について
図6、
図7、
図8にて説明する。実施例3の実装基板の製造方法は、
図6のフローに示すように実施例1の熱処理工程(S14)の後に検査工程(S15)とガイド層除去工程(S16)と予備連結剤挿入工程(S17)と予備LEDチップ転写工程(S18)と予備LED熱処理工程(S19)とを更に有していることが実施例1と異なる。
図7(A)は実施例1と同じ方法で製造された実装基板である被転写基板30の平面図で
図7(B)は
図7(A)のa矢視図を、
図7(C)は
図7(A)のb矢視図を示す。
【0048】
実施例3の実装基板の製造方法では、ガイド層形成工程(S11)、連結剤挿入工程(S12)、転写工程(S13)、熱処理工程(S14)は同じ工程である。
【0049】
検査工程(S15)で、
図7(A)に示すような実施例1と同じ方法で製造された実装基板である被転写基板30を、たとえば点灯検査等により検査し、被転写基板30に転写されたLEDチップ5について良・不良を個別に判別する。
【0050】
本実施例に用いられる被転写基板30は、
図7(A)に示すように検査工程(S15)で不良と判断されたLEDチップ8の近傍に新たに予備LEDチップ9用の被転写領域である予備被転写領域39を設けるスペースを有している。ここで予備被転写領域39を設けるスペースは、
図7(A)に示すように転写されたそれぞれのLEDチップ5の近傍のLEDチップ5が転写されていない場所で、
図7(B)、(C)に示すように対象のLEDチップ5が連結している配線部32が設けられている場所にあらかじめ予定されている。
【0051】
続いてガイド層除去工程(S16)で、予備被転写領域39上のガイド層35を、
図8(B)に示すようにたとえばレーザーアブレーション法等を用いて除去し、新たに予備被転写領域39を設ける。
【0052】
続いて予備連結剤挿入工程(S17)で、
図8(C)で示すようにガイド層除去工程(S16)でガイド層35を除去した予備被転写領域39とガイド層35に囲まれた窪みに連結剤3を、たとえばディスペンサー38を用いて挿入し連結部33を形成する。
【0053】
続いて予備LED転写工程(S18)で、
図8(D)に示すように予備連結剤挿入工程(S17)で連結剤3を挿入された予備被転写領域39上に予備LEDチップ9をレーザーリフト法により転写する。
【0054】
続いて予備LED熱処理工程(S19)で被転写基板20を図示しない加熱機構により加熱し、予備LEDチップ9が載った被転写基板10を図示しない加熱機構により加熱し連結剤3を硬化し、連結剤3中の導電性物質を介して予備LEDチップ9のバンプ部6と配線部32とを連結する。
【0055】
ここで、被転写基板10の加熱に伴い、連結部33内では連結剤3が加熱されることにより一時的に連結剤3の流動性が上がり連結剤3の液流れが生じる。連結剤3の液流れにより予備LEDチップ9の位置がずれようとしてもガイド層35と被転写領域36とで形成される窪みの壁面がガイドとなり、予備LEDチップ9の位置が規制される。また、ガイド層35と被転写領域36とで形成される窪みの中で連結剤3の流動が制限されるので、ガイド層除去工程(S16a)で被転写領域36よりも大きくガイド層35を除去する場合に比べて加熱による連結部33内の連結剤3の液流れを抑制でき、予備LEDチップ9の転写後の連結剤3の流動に伴う予備LEDチップ9の位置ずれを低減できる。
【0056】
また、検査工程(S15)で不良と判断されたLEDチップ8を除去して同じ場所に予備LEDチップを実装するリペア方法では、検査工程(S15)で不良と判断されたLEDチップ8を完全に除去しきれない場合、同じ箇所に新たに予備LEDチップを実装しても不良となる可能性がある。上述のように実施例3の実装基板の製造方法では、検査工程(S15)で不良と判断されたLEDチップ8を除去せずに新たに予備LEDチップ9を実装するため、同じ箇所に新たな予備LEDチップ9を実装するよりもリペアした箇所が再び不良となる可能性が低減され確実なリペアができる。
【0057】
また、ガイド層35が連結剤3を撥液する材料で形成されている場合は、撥液の効果で連結剤3がガイド層35と予備被転写領域39とで囲まれたくぼみに収まりやすいため、インクジェット法やディスペンサ等でスポットで確実に連結剤3を挿入できるので、連結剤3の材料利用率がよくなる。
【0058】
また、特にサイズの小さいLEDチップ、たとえばマイクロLEDチップ等の実装基板では、LEDチップのサイズが小さく、またLEDチップ間に新たなLEDチップを実装するスペースがある場合が多く、検査で不良と判断されたLEDチップを除去しないでリペアする本発明の実施例3のような実装基板の製造方法を用いることに適している。
【0059】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。たとえば、本発明の実装基板の製造方法のガイド層形成にレーザーアブレーション法ではなく、フォトリソ法を用いて形成してもよいし、他の方法でもよい。
【0060】
また、ガイド層は連結剤に対する撥液性を有していなくてもよい。その場合、連結剤挿入工程ではインクジェット法等によりピンポイントでガイド層と被転写領域で囲まれたくぼみに連結剤を塗布すればよい。
【0061】
また、ガイド層は被転写領域の周囲の領域に形成されていればよく、被転写領域以外の基板上全てに形成されていなくてもよい。たとえば、被転写基板上でストライプ形状に形成されたガイド層であってもよい。
【0062】
また、ガイド層材料は非導電性を有していなくてもよい。その場合、たとえば、おなじLEDチップが連結する配線部が含まれる被転写領域の周囲に設けられるガイド層と、その配線部に連結しないLEDチップが連結する別の配線部が含まれる別の被転写領域の周囲に設けられるが別のガイド層とは、接触していなければよい。
【0063】
また、実施例3の予備連結剤挿入工程は、あらかじめ予備LEDチップのバンプ部に連結剤を付着させておいてもよい。
【0064】
また、連結剤3は常温で流動性を有していてもよい。その場合、加熱しなくても常温で硬化するものであってもよい。
【0065】
また、ガイド層と被転写領域に囲まれた一つの窪みに、一つのLEDチップに設けられた全てのバンプ部を収める実装基板であってもよい。
【符号の説明】
【0066】
3 連結剤
4 転写基板
5 LEDチップ
6 バンプ部
8 不良と判断されたLEDチップ
9 予備LEDチップ
10,20,30 被転写基板
11,21,31 基板
12,22,32 配線部
13,23,33 連結部
15,25,35 ガイド層
16,26,36 被転写領域
17 ガイド層形成材料
19 スキージ
20 被転写基板
29 プレス機構
30 被転写基板
38 ディスペンサ
39 予備被転写領域
100 被転写基板
101 基板
102 配線部
103 連結層
104 転写基板
105 LEDチップ
106 バンプ部