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特許7429109プレス工具ネットワークおよび加工物のプレス方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】プレス工具ネットワークおよび加工物のプレス方法
(51)【国際特許分類】
   B25B 25/00 20060101AFI20240131BHJP
   H01R 43/042 20060101ALI20240131BHJP
   B21F 15/00 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
B25B25/00 Z
H01R43/042
B21F15/00 A
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019203526
(22)【出願日】2019-11-08
(65)【公開番号】P2020082344
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-05-26
(31)【優先権主張番号】18207344.5
(32)【優先日】2018-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】523076368
【氏名又は名称】ウェザーク・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】トマス グロックセイセン
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-529247(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0127429(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0016222(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0233043(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 25/00
H01R 43/042
B21F 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交換可能なダイ(3,4)を収容するためのダイ収容部(10,11)を有する加工物をプレスするためのプレス工具(2)を有するプレス工具ネットワーク(39)であって、前記プレス工具(2)は、外部エネルギーにより操作されるか又は手動で操作され、定置のプレス機として又は手持ち式プレス工具として構成され、前記ダイ(3,4)の識別子(18,19)を検出するように構成された検出装置(21)を有する、プレス工具ネットワークにおいて、
前記プレス工具(2)の外部に形成され、配置された電子制御ユニット(31)を備えており、前記電子制御ユニット(31)は、前記プレス工具(2)の前記検出装置(21)と通信し、前記プレス工具(2)の外部に配置された前記電子制御ユニット(31)は、外部のデータメモリ(37)と通信し、
a)電子制御ユニット(22;31)は制御論理回路を有し、前記制御論理回路は、前記検出装置(21)により検出された前記ダイ(3,4)の識別子(18,19)に基づき、および/または、前記検出された識別子に固有の、データメモリ(33;37)からのデータ(48)に基づき、ユーザに情報を表示する出力装置(23;32)の出力を制御し、前記出力は、前記プレス工具(2)に装着されたダイ(3,4)によりプレスすることのできる加工物のタイプに関する情報を含み、および/または、
b)加工物特定装置(34)が設けられており、前記加工物特定装置を介して、前記プレス工具(2)によりプレスすべき加工物の加工物仕様を検出または入力することができ、電子制御ユニット(22;31)は制御論理回路を有し、前記制御論理回路は、
ba)前記検出装置(21)により検出されたダイ(3,4)の識別子(18,19)に基づき、かつ、
bb)前記加工物仕様に基づき、
前記ダイ(3,4)が、前記加工物仕様を備える加工物のプレスに適するものであるか否かを分析し、前記分析の結果に依存して、記録への登録および/またはユーザのための出力を形成する、ことを特徴とするプレス工具ネットワーク。
【請求項2】
前記プレス工具(2)は、ハンドレバー(8,9)により手動で操作されるプレスペンチ(5)である、ことを特徴とする請求項1に記載のプレス工具ネットワーク(39)。
【請求項3】
前記検出装置(21)および/または電子制御ユニット(22)は、前記プレスペンチ(5)の挟み込みヘッド(15)の領域に配置されている、ことを特徴とする請求項2に記載のプレス工具ネットワーク(39)。
【請求項4】
前記検出装置(21)は、前記ダイ収容部(10,11)の領域に、または、前記ダイ収容部に隣接して配置されている、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のプレス工具ネットワーク(39)。
【請求項5】
a)前記検出装置(21)は、光学的符号の形態の識別子(18,19)のための読み取り装置を有し、および/または、
b)前記検出装置(21)は、機械的接触輪郭の形態の識別子(18,19)のための機械的走査装置を有し、および/または、
c)前記検出装置(21)は、前記ダイ(3,4)のRFIDユニット(27,28)から送信され、前記識別子(18,19)を形成する、または含む信号のための受信ユニットを有し、および/または、
d)前記検出装置(21)は、前記識別子(18,19)を形成する、または含む光線信号または光信号のための受信器を有し、および/または、
e)前記識別子(18,19)の伝送は、誘導性結合を介し、前記ダイ(3,4)と前記検出装置(21)との間で行われる、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のプレス工具ネットワーク(39)。
【請求項6】
前記ダイ(3,4)の検出された前記識別子(18,19)は、
a)前記ダイ(3,4)のタイプの識別子であり、および/または、
b)前記ダイ(3,4)の一義的な専用識別子であり、および/または、
c)前記ダイ(3,4)の認証である、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のプレス工具ネットワーク(39)。
【請求項7】
a)識別子(18,19)を有する交換可能な少なくとも1つのダイ(3,4)を備え、
b)前記プレス工具(2)の前記検出装置(21)は、前記ダイ(3,4)の識別子(18,19)を検出するように構成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載のプレス工具ネットワーク(39)。
【請求項8】
交換可能な前記ダイ(3,4)は、切欠部(55;56)または内部空間内に、前記識別子(18,19)および/または位置信号のための送信ユニット(53,54)を有する、ことを特徴とする請求項7に記載のプレス工具ネットワーク(39)。
【請求項9】
電子制御ユニット(22,31)は制御論理回路を有し、前記制御論理回路は、前記検出装置(21)により検出されたダイ(3,4)の識別子(18,19)に基づき、および/または、データメモリ(33;37)からのデータに基づき、出力装置(23;32)の出力および/または、データメモリ(33;37)への登録を制御し、前記出力または前記登録は、前記ダイ(3,4)が前記プレス工具(2)に装着するために認証されていないという情報を含む、ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のプレス工具ネットワーク(39)。
【請求項10】
a)電子制御ユニット(22;31)は制御論理回路を有し、前記制御論理回路は、データメモリ(33;37)から、前記検出された識別子(18,19)に固有の目標プレス力推移(49)および/または目標プレス状態推移(50)についての特徴的データ(48)をロードし、
b)前記プレス工具(2)は、プレス過程でダイ収容部(10,11)に配置されたダイ(3,4)により加工物がプレスされるプレス行程の実行中に、実際プレス力信号(25)および/または実際プレス状態信号(26)を検出するための少なくとも1つのセンサ(17)またはスイッチを有し、
c)電子制御ユニット(22.31)は制御論理回路を有し、前記制御論理回路によって、
ca)目標プレス力推移(49)および/または目標プレス状態推移(50)の特徴的データ、かつ、
cc)実際プレス力信号(25)および/または実際プレス状態信号(26)の特徴的データを考慮してプレス過程の評価が行われる、ことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のプレス工具ネットワーク(39)。
【請求項11】
a)ダイ(3,4)をプレス工具(2)に装着し、
b)前記プレス工具(2)の検出装置(21)を介して、前記ダイ(3,4)の識別子(18,19)を検出し、
c)データメモリ(33;37)から、検出された前記識別子(18,19)に固有の情報であって、前記プレス工具(2)に装着された前記ダイ(3,4)によりプレスすることのできる加工物の少なくとも1つのタイプに関する情報を含むデータ(48)をロードし、
d)出力装置(23;32)を介して、前記ダイ(3,4)によりプレスすることのできる加工物の少なくとも1つのタイプに関する情報を出力する、ことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のプレス工具ネットワーク(39)により加工物をプレス
する方法。
【請求項12】
a)ダイ(3,4)をプレス工具(2)に装着し、
b)前記プレス工具(2)の検出装置(21)を介して、前記ダイ(3,4)の識別子(18,19)を検出し、
c)検出された前記識別子(18,19)に固有の目標プレス力推移(49)および/または目標プレス状態推移(50に関する特徴的データを、データメモリ(33;37)からロードし、
d)センサ(17)が、プレス過程で前記ダイ(3,4)により加工物がプレスされるプレス行程の実行中に、実際プレス力信号(25)および/または実際プレス状態信号(26)を検出し、
e)プレス過程の評価を、
ea)目標プレス力推移(49)および/または目標プレス状態推移(50)のデータ(48)を考慮して、かつ、
eb)実際プレス力信号(25)および/または実際プレス状態信号(26)を考慮して、
行う、ことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のプレス工具ネットワーク(39)により加工物をプレスする方法。
【請求項13】
a)加工物特定装置(34)を介して、プレス工具(2)によりプレスすべき加工物の加工物仕様を入力または検出し、
b)前記検出装置(21)により検出されたダイ(3,4)の前記識別子(18,19)に基づいて、かつ前記加工物仕様に基づいて、前記ダイ(3,4)が、前記加工物仕様を備える加工物をプレスするのに適するものであるか否かを分析し、
c)前記分析の結果に依存して、登録および/または出力を行う、ことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のプレス工具ネットワーク(39)により加工物をプレスする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部エネルギー、とりわけ空気圧的、液圧的または電気的に操作されるプレス工具とすることのできるプレス工具を備えるプレス工具ネットワークに関する。このプレス工具は、ユーザの手により保持および案内することができ、または定置のプレス機として構成することができる。好ましくはプレス工具は、手持ち式プレス工具であり、ユーザにより手持ち式プレス工具のハンドレバーに力をもたらすことによって手動で操作される。
【背景技術】
【0002】
プレス工具の構成に関しては、以下の変形例がある。
【0003】
a)プレス工具は、特に持続的な機械的接続および電気的接触接続を形成する圧着ペンチまたは圧着機であって良い。このことは好ましくは、任意の構造形式のケーブルまたは電気導体を備えるコネクタを圧着することにより行われる。使用されるダイのプロフィールに応じて、種々の圧着過程を圧着ペンチまたは圧着機により実行することができる。例えばこれは閉鎖された圧着でも良く、この閉鎖された圧着では導体がコネクタの閉鎖された圧着ゾーンに、または閉鎖されたスリーブに導入され、圧着ゾーンまたはスリーブの可塑変形によって圧着される。しかし、開放した圧着を形成することも可能であり、この開放した圧着ではコネクタが開放した圧着ゾーンを有し、この圧着ゾーンに導体を上方から装填することができる。本発明を限定しない単なるいくつかの例を挙げると、本発明により使用される圧着ペンチまたは圧着機により、以下のような加工品、例えば
-DIN4623によるケーブルシュー、
-DIN46329によるアルミニウム接続器、
-DIN48201によるアルミニウム圧縮ケーブルシュー
-DIN46234による圧潰ケーブルシュー、
-DIN46230によるピンケーブルシュー、または
-WEZAG有限会社工具ファブリックの製品カタログ“専門用途のための工具”、刊行番号10/11に記載されたような接続器、コネクタまたはケーブルシューを圧着することができる。形成された圧着は、例えば閉鎖された圧着に対しては、六角またはヘキサゴンクリンプ、四角クリンプ、B字型クリンプ、台形クリンプ、修正された台形クリンプ、楕円クリンプ、針クリンプまたは2針クリンプとすることができる。開放した圧着は、例えばV字型クリンプまたはB型クリンプとして、ロールクリンプまたはダブルロールクリンプとして構成することができる。
【0004】
ケーブルまたは導体とコネクタとの間に電気接続を形成することに加えて、いわゆる絶縁クリンプにより機械的接続も形成することができる。ここでは、閉鎖された絶縁クリンプまたは開放した絶縁クリンプ(とりわけV字型クリンプまたはB字型クリンプ、O字型クリンプまたはOV字型クリンプ)を使用することができる。
・圧着ペンチまたは圧着機の構成、
・圧着ペンチまたは圧着機の可能な使用領域、および/または
・圧着ペンチまたは圧着機により作製することのできる圧着接続の種々の可能なタイプ、についてのさらなる情報に関しては、著作、WEZAG有限会社工具ファブリックの“Crimptechnik,HerstellungprozesssichererVerbindungenvonelektrischenLeiternundSteckern(圧着技術、電気導体およびコネクタのプロセス信頼接続の形成)”、DieBibliothekderTechnik342,出版社ModerneIndustrie、ISBN978-3-68236-027-7を参照されたい。種々異なる構造形式の圧着ペンチは、例えば独国特許発明第3708727号明細書、独国特許発明第19753436号明細書、独国特許発明第19802297号明細書、独国特許発明第19807737号明細書、欧州特許出願公開第2305428号明細書から公知である。
【0005】
b)プレス工具が、流体技術において機械的な流体密の接続を作製するのに用いられ、例えばパイプを互いに接続または流体密の接続区間と接続するためのパイププレスペンチであることも可能である。ここではパイププレスペンチによって、接続すべきパイプまたは機械的接続および流体密の密閉を保証するいわゆるフィッティングの可塑変形が行われる。パイププレスペンチの例示的実施形態が、独国特許出願公開第19709639号明細書、独国特許発明第19834859号明細書、独国特許発明第19924086号明細書、独国特許発明第19924087号明細書、独国特許発明第19963097号明細書、独国特許発明第10346241号明細書、欧州特許出願公開第2995424号明細書、から得ることができる。
【0006】
プレス工具により、加工物の圧縮が行われる。この加工物は、構成群とすることができる。圧着ペンチまたは圧着機としてのプレス工具の構成に関して、加工物は、コネクタおよび電気導体により、場合により付加的なパッキンにより形成された構成ユニットとすることができる。これに対して、パイププレス工具としてのプレス工具の構成においては、加工物は、フィッティングと、場合によりその中に配置された少なくとも1つのパイプまたは接続要素と、いくつかのパッキンとすることができる。
【0007】
刊行物、国際公開第2016/005838号は、モータと2つのクランプジョーを備えるプレス工具を開示し、これら2つのクランプジョーは、モータによって互いに押圧される。プレス工具における制御および/または調整システムは、クランプジョーが閉鎖位置にいつ達したかを監視し、達した場合にはモータを自動的に遮断する。挟み込みジョーが閉鎖位置に達したか否かは、種々のやり方で確定することができる。開示された方法の1つは、どのタイプのクランプジョーがプレス工具に装着されたかの確定を含む。クランプジョーのタイプに関しては、クランプジョーにある基準点が、クランプジョーの開放位置と閉鎖位置との間でどの経路を進んだかが既知である。基準点が実際に進んだ経路が測定され、予め既知の経路と比較される。その結果、クランプジョーの各タイプに関して、基準点が進んだ経路に基づき、クランプジョーが閉鎖されていることを確定することができる。クランプジョーのタイプの確定は、機械的な形状識別、光学的または色的識別、磁気的または電気的識別、並びにRFIDタグの信号の識別に基づくことができる。同様のやり方で、どのような種類の加工物が圧着ペンチに装填されているかを確定することもできる。さらにクランプジョーのタイプに関しては、測定された圧力差またはモータの電力消費の測定された差に基づいても、クランプジョーが閉鎖されていることを識別することができる。制御および/または調整回路と接続された表示器には、どの動作モードが選択されているか、またはどの程度のプレス力に最大で達したか、そしてプレス過程の結果を表示することができる。
【0008】
刊行物、米国特許公開公報第2013/0233043号明細書は、自動的に、または手で操作される圧着ペンチを開示する。この圧着ペンチでは、いくつのクランプサイクルを圧着ペンチがすでに実行したか、および実行されたクランプサイクルの数の結果として、保守がすでに必要か否かが監視される。クランプサイクルが実行されたことは、センサを介して検出される。このセンサは、圧着ペンチの2つのハンドレバーがいつ互いに接近するかを記録する。圧着ペンチは、カウンタとして構成されたマイクロコントローラを有する。マイクロコントローラのメモリは、外部機器により無線データ伝送を介して読み出すことができる。外部機器によりマイクロコントローラをリセットし、または再プログラミングすることができる。マイクロコントローラは、外部機器に圧着ペンチの識別符号を通知することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】独国特許発明第3708727号明細書
【文献】独国特許発明第19753436号明細書
【文献】独国特許発明第19802297号明細書
【文献】独国特許発明第19807737号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2305428号明細書
【文献】独国特許出願公開第19709639号明細書
【文献】独国特許発明第19834859号明細書
【文献】独国特許発明第19924086号明細書
【文献】独国特許発明第19924087号明細書
【文献】独国特許発明第19963097号明細書
【文献】独国特許発明第10346241号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2995424号明細書
【文献】国際公開第2016/005838号
【文献】米国特許公開公報第2013/0233043号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の基礎とする課題は、プレス工具ネットワーク、および、加工物をプレスする方法に関して、
・プロセスの簡素化、
・プロセス信頼性および/または
・プロセスの記録化
改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の課題は、独立請求項の特徴により本発明にしたがって解決される。さらなる好ましい本発明の構成は、従属請求項に記載されている。
【0012】
本発明の基礎となる課題を解決するために、本発明で使用され、加工物をプレスするように定められたプレス工具は、(少なくとも)1つのダイ収容部を有し、このダイ収容部には交換可能なダイを収容することができる。ダイは、ダイ収容部とねじ留めまたはクリップ留めすることができる。独国特許発明第19802287号明細書によるダイとダイ収容部との接続も参照のこと。
【0013】
プレス工具がパイププレスペンチまたは圧着ペンチの場合、ダイ収容部は挟み込みジョーによって構成することができる。これに対して、プレス工具が、外部エネルギーにより操作される機械の場合、ダイ収容部はスタンプまたは鉄床によって構成することができる。
【0014】
本発明によれば、プレス工具は、(好ましくは電子的)検出装置を有する。検出装置は、ダイの識別子を検出するように構成されている。
【0015】
従来技術によれば、プレス工具のダイ収容部にダイを供給する間、ユーザによって、または自動的供給装置によって、それぞれの加工物に対して正しいダイが、加工物のプレスのためにプレス工具のダイ収容部内に配置されていることに注意を払わなければならない。例えばプレス工具のプレス力を、加工物のプレスの際に例えば記録し、評価するためには、正しいダイがダイ収容部に配置されていることを確信できなければならない。
【0016】
これに対して、本発明で使用されるプレス工具は、ダイ収容部内に配置されているダイに関する識別子の形で情報を検出することができる。これによりプレスの確実性が高まる。なぜなら、正しいダイ、すなわち正しいタイプのダイが、または信頼できるタイプのダイ群からのタイプのダイが、ダイ収容部内に配置されているか否かを識別することができるからである。識別子に基づいて識別されたダイは、プロセス記録部において記録することもできる。検出されたダイの識別子に基づいて、加工物のプレスの際にプレス制御を行うことができる。および/または、このダイに対して専用の評価パラメータ、例えば目標プレス力推移を使用することができる。
【0017】
プレス工具(またはプレス工具およびダイにより形成されたプレス工具セット)は、プレス工具ネットワークで作動される。ここでプレス工具ネットワークは、プレス工具の外部(場合により離間して)に形成されるとともに配置された電子制御ユニットを有し、この電子制御ユニットは、例えばPC、タブレット、ラップトップまたはスマートフォンとすることができる。この電子制御ユニットは、プレス工具の検出装置と通信する。そのために、プレス工具にある検出装置の構成部分とすることのできる電子制御ユニット、または検出装置と通信する電子制御ユニットも使用することができる。ここで通信は無線で、とりわけBluetoothまたはWLANを介して行うことができ、またはケーブル接続することができる。この目的のためにプレス工具は、無線送受信装置を有することができ、または適切なケーブル接続のための端子、とりわけUSB端子を有することができる。ここで通信は、プレス工具から電子制御ユニットに単方向に、または逆方向に行うことができる。好ましくは通信は、双方向に行われる。通信は、以下に詳細に説明するように、例えばプレス工具に使用されるダイを記録するために、検出されたダイにより加工することのできる加工物に関する情報を提供するために、圧着過程を評価するための特性データを提供するために使用することができるが、これは非制限的ないくつかの例として挙げるだけである。
【0018】
プレス工具の外部に配置された電子制御ユニットは外部のデータメモリと通信し、この通信は公衆ネットワークを介して行うことができる。しかしこれは更に適切な暗号化により行うことができる。例えば外部のデータメモリは、クラウドメモリとして構成することができる。ここでは、プレス工具の様々なユーザが1つの共通のデータメモリ(とりわけクラウドメモリ)にアクセスすることが可能であり、この場合、データメモリは、中心人物、中心企業、例えばプレス工具の製造業者により提供される。
【0019】
以下、電子制御ユニットについて述べる場合、この電子制御ユニットは、プレス工具の構成部分とすることができ、この場合、とりわけ検出装置と共同動作し、または検出装置を形成することができる。しかしこの電子制御ユニットがプレス工具の外部に形成されるとともに配置された電子制御ユニットであり、場合により外部のデータメモリまたはクラウドメモリと通信することも可能である。
【0020】
本発明によれば、制御ユニットは制御論理回路を有することができる。制御ユニットの制御論理回路によって、データメモリから、ダイの検出された識別子に固有のデータをロードすることができる。このデータは、目標プレス力推移および/または目標プレス状態推移に対して特徴的である。例えば特徴的データは、時間にわたる目標プレス力推移、目標プレス状態推移にわたる目標プレス力推移、または目標プレス力推移あるいは目標プレス状態推移の最大値、最小値、勾配等とすることができる。したがってデータメモリまたはクラウドに、種々のプレス工具、加工物および/またはダイにより形成される種々の目標プレス力推移および/または目標プレス状態推移に対する特徴的データを記憶することができる。ダイ(および場合によりプレス工具および/またはプレスすべき加工物)の検出された識別子に基づいて、次にデータメモリから、検出された識別子に固有の特徴的データをロードすることができる。この場合、プレス工具は、少なくとも1つのセンサまたはスイッチを有する。センサまたはスイッチにより、実際プレス力信号または実際プレス状態信号を、プレス工程の実行中に検出することができる。このプレス工程にわたってプレス過程で、ダイ収容部に配置されたダイにより加工物がプレスされる。そして制御ユニットは制御論理回路を有し、この制御論理回路によってプレス過程の評価が行われる。この評価は、特徴的データを考慮して、一方では目標プレス力推移および/または目標プレス状態推移に関して、他方では実際プレス力信号および/または実際プレス状態信号に関して行われる。単に説明的な例を挙げると、評価は、センシングされた実際プレス力信号の最大値が、目標プレス力推移の最大値を中心にする所定の公差範囲内にあるか否かを検査することにより行うことができる。評価の結果に応じて、出力装置への出力を行うことができ、対応の記録を行うことができ、プレス過程を中断し、またはさらなるプレス過程のためにプレス工具を取り外す等することができる。
【0021】
本発明によれば、加工物特定装置を設けることができる。加工物特定装置によって、プレス工具によりプレスすべき加工物の加工物仕様を入力または検出することができる。例えば、外部の電子制御ユニット、特にラップトップ、PCまたはスマートフォンにおいてキーボードまたは操作フィールドにより、加工物またはコネクタに固有の加工物番号(出願人のパンフレット「プロ使用のための工具」リリースノート2011年10月によるコネクタの25291などのコンタクト番号、並びに場合によってはコネクタによりプレスすべきケーブルの番号を参照)を入力または選択することができる。しかし例えば、加工物をスマートフォン、タブレットまたはラップトップのカメラあるいは外部のカメラによって検出し、画像識別によって加工物を識別し、これに基づいて加工物仕様の割り当てを行うこともできる。加工物特定装置がバーコードスキャナを有し、このバーコードスキャナが加工物を特定するバーコードを検出することも可能である。この構成のために、電子制御ユニットは制御論理回路を有し、この制御論理回路は、一方では検出装置により検出されたダイの識別子に基づき、他方では加工物仕様に基づき、その加工物仕様を備える加工物をプレスするのにそのダイが適しているか否かを分析する。この分析のために、電子制御ユニットは、ダイと加工物との許容される組み合わせが適切な形態で呼び出し可能に記憶されている外部のデータメモリまたはクラウドメモリにアクセスすることができる。分析の結果に依存して、記録への登録が行われ、および/またはユーザのための出力が行われる。
【0022】
プレス工具が、ハンドレバーを介して手動で操作されるプレスペンチである場合、検出装置は基本的にプレスペンチの任意の箇所に配置することができる。本発明の特別の提案に関して、検出装置および/または電子制御ユニットは、プレスペンチの挟み込みヘッドの領域に配置されている。この種の挟み込みヘッドは、挟み込みジョーとハンドレバーとの間に配置することができ、堅固なケーシングを有する。ここでは、検出装置を挟み込みヘッドの“テックパック”に組み込むことも可能であり、または機械的な挟み込み部材により構成された別個の電子構成ユニットに組み込むことも可能である。これらは、官庁書類番号EP18173803.0の未公開の欧州特許出願に記載されている。この欧州特許出願は、
・さらなる機能のための電子構成ユニットの使用、
・電子構成ユニットの構造的、電気的および/または電子的な構成、
・電子構成ユニットと機械的挟み込み部材との接続、
に関して、本欧州特許出願の対象とする。
【0023】
本発明のさらなる実施形態は、検出装置がダイ収容部の領域に、またはそれに隣接して配置されていることを提案する。プレス工具がプレスペンチとして構成されている場合、検出装置は、挟み込みヘッドの領域、またはそれどころか挟み込みジョーの領域に配置することができる。単にさらなる例を挙げると、ダイ収容部からの検出装置の間隔は、10cm未満、5cm未満、4cm未満、3cm未満、2cm未満、またはそれどころか1.5cm未満である。ここで検出装置は、ダイ収容部自体の領域にまで伸長することができる。
【0024】
ダイと検出装置との間で伝送される識別子および伝送機器の種類に関しては、多種多様の可能性があり、それらのうち以下単なる例としていくつかの可能性を挙げる。
・プレス工具は、プレス工具セットにおいて、識別子を含む光学的コーディングを有するダイと共に使用することができる。この種の光学的コーディングに対する一可能性として、バーコードまたは数列またはQRコードを挙げることができる。この場合、プレス工具の検出装置は読み取り装置を有し、この読み取り装置を介して光学的コーディングを検出することができる。この読み取り装置は、例えば光学的コーディングのためのカメラまたはスキャナのにすることができる。
・プレス工具セットで、識別子を提供する機械的輪郭を有するダイを使用することも可能である。この場合、検出装置は、機械的輪郭のための機械的走査装置を有する。単に非制限的な例を挙げると、機械的走査装置は、操作ピンまたは走査ローラを有することができ、これらは機械的輪郭に沿って移動される。この場合、操作ピンの移動をセンシングした信号は識別子を含む。操作ピンの列またはフィールドを機械的輪郭に対して押圧し、これにより操作ピンが機械的輪郭に対応して異なって偏向され、操作ピンのこの偏向に基づいて、輪郭により符号化された識別子を検出することも可能である。
・さらにダイが、識別子を提供するRFIDユニットを有することも可能である。RFIDユニットは、識別子を含む、とりわけ高周波信号を送信する。RFIDユニットが受動的ユニットとして構成されている場合、このRFIDユニットは、適切な電力供給なしで構成することができ、したがって同様にプレス工具の構成部分とすることのできる励起ユニットによる外部励振の結果として、それ自体公知のように電力が供給され、それにより識別子を有する信号を送信することができる。検出装置は受信装置を有し、この受信装置によって、RFIDから送信された信号を受信することができる。
【0025】
識別子のこの種類および/またはダイとプレス工具との間での識別子の伝送の種類に対する特別な形態として、近距離無線通信(または“Near Field Communication”、略して“NFC”)と称される技術を使用することができる。これは、数cmの短い区間を介して緩く結合されたコイルによる電磁誘導を介して、データを無接触で交換するための、RFID技術に基づく国際伝送規格であり、データ伝送速度は最大424kBit/sとすることができる。ここで無線伝送は、ISO/IEC14443またはISO/IEC1563による受動型HF-RFISタグによって行うことができ、または同等の活性の送信器間で有線伝送を行うこともできる。
【0026】
本発明の枠内で使用可能なRFIDおよびNFCについてのさらなる情報に関しては、Wikipediaの下での“NFC”並びに“RFID”の項目(閲覧日2018年10月11日)およびここに記載した刊行物、並びにRFIDおよびNFCに該当する標準作業、および特に
Klaus Finkenzeller著“RFIDハンドブック:トランスポンダ、無接触チップカードおよびNFCの基礎と実際の適用”、Carl Hanser出版GmbH+Co.KG、第7版、ISBN9783446439436を参照されたい。
・プレス工具セットにおいてダイが光線または光送信器を有し、この送信器が識別子を光線または光信号に符号化して送信することも可能である。この場合、検出装置は、光線または光信号に対する受信器を有することができる。光線または光の種類に関しては、ダイに使用される送信器および/またはプレス工具の検出装置に使用される受信器に多種多様の可能性がある。例えば送信器は、赤外線センサ、フォトセルまたはダイオードとすることができる。識別子の符号化は、送信される光線または光信号の周波数および/または振幅の形で行うことができ、それとは別の、伝送または通信技術から公知の伝送および符号化フォーマットを利用することもできる。
さらに、識別子を、ダイと検出装置との間で誘導結合を介して伝送することが可能である。ここでは、識別子の伝送は電磁誘導を介して行われ、そのために例えば問い合わせユニットと所属のトランスポンダとの間の信号伝送は、高周波磁界のスイッチオンおよびオフにより行うことができる。このことは、振幅変調に対応することができる。トランスポンダ内では、これにより電圧がコイルに誘導され、この電圧はダイオードを介して整流することができる。しかし他の構成形態もまったく可能である。
【0027】
検出装置により検出されるダイの識別子の構成に関しては、本発明の枠内で多種多様の可能性が存在し、それらのうちのいくつかを以下、例として挙げる。
・識別子は、ダイのタイプの識別子とすることができる。したがって構造的に同じ複数のダイ、または関連する特徴または使用目的を有する、異なる構造形式のダイも同じ識別子を有することができる。
しかし(択一的にまたは累積的に)識別子は、それぞれのダイに対して一義的で固有なものにすることもでき、したがって識別子は一義的であり、例えば特定のダイに割り当てられた較正データ、目標プレス力推移を使用することができ、プロセス記録部において、どのダイが加工物のプレスのために使用されたかを正確に記録することができる。
・最後に、識別子はダイの認証とすることもでき、この認証に基づいて例えば、オリジナルのダイが使用されており、認証されていない剽窃物が使用されていないか否かを検査することができる。
【0028】
好ましくはプレス工具セットでは、少なくとも1つの交換可能なダイが切欠部または内部空間を有する。切欠部または内部空間には送信ユニット、とりわけRFIDユニットを配置することができ、これは識別子を送信する。択一的にまたは累積的に、切欠部または内部空間には位置信号、とりわけGPS信号のための送信ユニットを配置することができる。このGPS信号は、例えば同様に内部空間、切欠部またはダイの他の切欠部に組み込むことのできるGPSユニットにより形成される。内部空間または切欠部は、外に向かって開放することができ、またはカバーあるいは塗料層、ないし同様の覆いを介して閉鎖することができ、これにより湿気または汚物の送信ユニットへの侵入も回避することができ、および/または送信ユニットの機械的損傷も回避することができる。ここで覆い、カバーまたは塗料層は、好ましくは、送信ユニットから送信される信号に対して良好な光線透過性を有する材料から作製される。好ましくは、覆い、カバーまたは塗料層の光線透過率は、ダイの基本材料の少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも100%、または少なくとも200%大きい。これはとりわけ、
・1.5GHzから3GHzの周波数範囲、好ましくは2.0から2.8Ghzまたは2.2から2.6GHzの周波数範囲、または
・500MHz±5%、±10%または±20%、1800MHz±5%、±10%または±20%、または1900MHz±5%、±10%または±20%の周波数範囲
に当てはまる。ここで光線透過率は、とりわけ規格ASTM D4935-10、IEEE規格299-2006、IEEE規格1128-1998およびASTM A698/A698M-07の1つにしたがって規定することができる。
【0029】
好ましくは、フライス加工部または孔部とすることのできる切欠部は、挟み込みジョーにより覆われた、ダイのフランジ領域に配置されている。ここでは、切欠部または孔部の長手伸長部は、送信ユニットを受け入れるために、好ましくは挟み込みヘッド面またはダイの旋回面に対して横方向に配向されているか、またはこの面内に配置されている。後者の場合、長手軸も、ダイに作用するプレス力に対して平行に配向することができる。
【0030】
本発明の提案に関して、電子制御ユニットは、出力装置を制御する制御論理回路を有する。ここで出力装置の制御は、検出装置により検出されたダイの識別子に基づいて行われる。択一的にまたは累積的に、出力装置の制御は、検出された識別子に固有の、データメモリからのデータに基づいて行われる。ここで出力装置の制御は制御ユニットによって、プレス工具に装着されたダイによりプレスすることのできる加工物のタイプに関する情報を含む出力が形成されるように行われる。例えばこの出力は、プレス工具を圧着工具として構成するために、どのタイプまたはコネクタのどのタイプ、どのケーブルまたはケーブルのどのタイプ、および/または場合により、どの補充シールを、識別子の検出されたダイによりプレスすることができるか、に関する情報を含むことができる。この出力を介してユーザに提供された情報に基づいて、ユーザはプラグまたはケーブル並びに場合によりシールを選択することができ、または存在する加工物に対してそのダイが適するのか否かを検査することができる。しかし、この出力に基づいてユーザは、既存のダイがプレスすべき加工物に対して適するものではないことを認識することも可能であり、それによりユーザは、他のダイをプレス工具に装着することができる。
【0031】
択一的にまたは累積的に、電子制御ユニットの制御ユニットが、検出装置により検出されたダイの識別子に基づいて、および/またはデータメモリからのデータに基づいて、出力装置の出力またはデータメモリへの登録を制御することが可能である。この場合、この出力または登録は、ダイがプレス工具での使用に対して認証されていないという情報を含む。このようにしてユーザに、例えばダイの剽窃物がプレス工具に装着されること、または装着されたプレス工具のタイプに適しないダイがダイ収容部に装着されたことを通知することができ、またはそれを記録することができる。出力または登録を行う他に、例えば警報信号または警告音の形成のような他の措置を取ることもできる。極端な場合、それどころかプレス工具を自動的に無効にすることができ、これにより認証されていないダイによるプレス工具の運転を阻止する。
【0032】
本発明の基礎となる課題のさらなる解決策は、請求項11から13に特定されたような、加工物のプレス方法である。
【0033】
本発明の有利な改善携帯は、特許請求の範囲、明細書および図面から得られる。明細書に述べた特徴および複数の特徴の組み合わせの利点は単なる例であり、択一的にまたは累積的に作用することができ、これらの利点は本発明の実施形態により必然的に達成する必要はない。これにより添付の特許請求の範囲の対象を変更することなく、元の出願書類および特許の開示内容に関しては、以下のことが当てはまる。さらなる特徴は、図面、とりわけ図示の幾何形状および複数の構成部材の互いの相対的寸法並びにそれらの相対的配置と作用接続から理解される。本発明の種々の実施形態の特徴の組み合わせ、または種々の請求項の特徴の組み合わせは、請求項の選択された引用関係から異なっても同様に可能であり、ここにおいて提案される。このことは、別個の図面に示される特徴、または図面の説明において述べられる特徴にも該当する。これらの特徴は、異なる請求項の特徴と組み合わせることもできる。同様に特許請求の範囲に挙げられた特徴は、本発明のさらなる実施形態に対しても当てはまる。
【0034】
特許請求の範囲および明細書に挙げた特徴は、それらの数に関して、副詞「少なくとも」を明示的に使用する必要なく、ちょうどその数であり、または前記数よりも大きい数が存在していると理解すべきである。したがって例えば要素について述べる場合、これはちょうど1つの要素、2つの要素またはそれ以上の要素が存在することであると理解すべきである。これらの特徴は、別の特徴により補完することができ、またはそれぞれの製品を構成するただ1つの特徴であってもよい。
【0035】
特許請求の範囲に含まれる参照符号は、特許請求の範囲により保護される対象の範囲を制限するものではない。参照符号は、特許請求の範囲を容易に理解する目的のためにだけ用いられる。
【0036】
以下、本発明を、図面に示された好ましい実施例に基づき、さらに説明し記述する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】プレス工具および交換可能なダイを有するプレス工具セット、外部の電子制御ユニット、および外部のデータメモリを備えるプレス工具ネットワークの概略図である。
図2】プレス工具による加工物のプレス方法を概略的に示す図である。
図3】識別子のための送信ユニットがそれぞれ中に配置された2つのダイの斜視図である。
図4】識別子のための送信ユニットがそれぞれ中に配置された2つのダイの択一的実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、プレス工具セット1を示す。プレス工具セット1は、プレス工具2および交換可能な一対のダイ3,4を有する。図示の実施例に関して、プレス工具2は、ここでは圧着ペンチ6として構成されたプレスペンチ5である。ここでプレスペンチ5の操作は、ユーザによりハンドレバー7,8の手動の操作を介して行われる。ハンドレバー7,8は、ここに図示しない駆動接続部を介してダイ収容部10,11と、ハンドレバー7,8の互いの相対的旋回がダイ収容部10,11の開放および閉鎖運動を引き起こすように接続されている。プレス工具2のプレスペンチ5としての構成に関して、ダイ収容部10,1は挟み込みジョー12,13として構成されている。ここで駆動接続部9は、機械的挟み込みヘッド15のケーシングの内部に伸長している。
【0039】
プレス工具2は、ダイ収容部10,11に隣接して配置された電子構成群または電子構成ユニット16を有する。図示の実施例に関して、電子構成ユニット16は、機械的挟み込みヘッド15のケーシング14に保持され、好ましくは電子構成ユニット16は、機械的挟み込みヘッド15の両側に配置されており、電子構成群は、部分的にまたは完全に機械的挟み込みヘッド15の周囲に伸長することができる。電子構成ユニット16の構造的構成、電子構成ユニット16の電気的または電子的構成、および/または電子構成ユニット16と機械的挟み込みヘッド15との接続に関しては、未公開の欧州特許願、官庁書類番号EP18173803.0を参照されたい。この刊行物は、本特許願の対象とする。
【0040】
ダイ3に作用するプレス力の力の流れは、少なくとも部分的に、ダイ3に作用するプレス力を検出するセンサ17を介して推移する。ここではセンサ17を印加する一方の部分プレス力と、センサ17にある機械的並列回路を通過する他方の部分プレス力とにプレス力を分割することによる、センサ17の構成およびプレス工具へのその組み込みに関して、未公開の欧州特許願EP17168040.8-1809を参照されたい。この刊行物は、本特許願の対象とする。
【0041】
ダイ3,4は、それぞれ、所属のダイ3,4に対して、またはダイ3,4のタイプ固有の識別子18,19を有する。
【0042】
電子構成ユニット16は識別子処理ユニット20を有し、この識別子処理ユニットは、検出装置21、電子制御ユニット22、出力装置23、およびインタフェース24を有する。
【0043】
識別子処理ユニット20は、一方ではセンサ17と、センサ17によりプレス行程中に測定された実際プレス力信号25を伝送するために通信する。センサ17または別のセンサが、プレス行程中に実際プレス状態信号26を求めることも可能である。識別子処理ユニット20、ここでは検出装置21は、ダイ3,4の識別子18,19を検出する。冒頭に述べたように、これは、光学的符号の形態の識別子をカメラまたはスキャナにより、あるいは検出装置21の読み取り装置により検出することによって、機械的輪郭の形態の識別子を、機械的走査装置により検出し、ダイ3,4のRFIDユニット27,28がこの識別子18,19を送信し、そしてこの識別子を検出装置21により検出することによって、ダイの送信された光または送信された光線が識別子18,19を符号化して含んでおり、検出装置21により検出される場合、ダイ3,4の光線送信器または光送信器あるいは近距離通信によって、または、ダイ3,4と検出装置21との間の誘導性結合によって行うことができる。これらは、本発明を制限しない単なるいくつかの例である。
【0044】
識別子処理ユニット20(または電子構成ユニット16)は、インタフェース24を介して外部の電子構成ユニット31と通信する。この外部の電子構成ユニットは、PC、タブレット、ラップトップ、またはスマートフォンとして構成することができる。電子制御ユニット31は、出力装置32、データメモリ33、並びに加工物特定装置34を有する。好ましくはインタフェース24と電子制御ユニット31との間の通信は、双方向に行われる。電子制御ユニット31は、さらに適切なインタフェースを介して(制御ユニット31およびプレス工具セット1の外部に配置された)データメモリ37と通信36する。このデータメモリは、好ましくはクラウドメモリ38である。
【0045】
プレス工具セット1は、通信35によって制御ユニット31と通信し、この制御ユニットはさらに通信36によってデータメモリ37と通信し、このようにしてプレス工具ネットワーク39が形成されている。
【0046】
図2は、加工物をプレスする方法を示す。
【0047】
方法ステップ40で、ユーザは複数のダイ対からダイ3,4を選択し、これらのダイをプレス工具2のダイ収容部10,11に装着する。
【0048】
方法ステップ41で、ダイ3,4の識別子18,19の検出が検出装置21によって行われる。前に説明したように、このことは、バーコードまたはQRコードのような光学的識別子を読み取り装置により検出することによって、ダイ3,4の走査輪郭を機械的に走査することによって、それぞれダイ3,4に配属されたRFIDユニット27,28の信号を検出装置21により受信することによって、誘導性結合等によって行うことができる。
【0049】
方法ステップ42で、検出された識別子18,19の処理が制御ユニット22によって行われる。この処理に基づき、出力装置23で出力を行うことが可能である。したがって例えば出力装置23において、どの特定のダイ3,4であるか(例えば目下のダイ番号により)、またはどのタイプのダイあるかを表示することができる。同様に出力装置23において、ダイ3,4がすでに実行した作業行程の数を表示することができ、作業行程の数に対する閾値を上回ることにより、出力装置23においてダイ3,4の交換のための要請を表示することができる。ここではこの評価のために必要な情報、例えばプレス工具2の適切な計数装置により計数される、ダイ3,4が実行した作業工程の数、ダイの種々の対の種々の識別子18,19と加工物のタイプとの割り当て等を識別子処理ユニット20または電子構成ユニット16のメモリユニットに記憶しておくことが可能である。しかしこれは、ここに記載する実施例の場合ではない。
【0050】
むしろ方法ステップ43で、識別子18,19(またはそこから制御ユニット22の処理の結果として求められた情報)が、インタフェース24を介し通信35によって制御ユニット31に伝送される。この制御ユニットは、例えばスマートフォンまたはタブレットである。ここで伝送は、好ましくはWLANまたはBluetoothによる無線で、またはケーブル接続で行われる。
【0051】
制御ユニット31は、方法ステップ44でさらに、識別子18,19(またはそこから、場合により制御ユニット31によるさらなる処理の下で、求められた情報)を通信36によって、とりわけクラウドメモリ38として構成されたデータメモリ37に通知する。データメモリ37には、識別子18,19またはそこから求められた情報と、識別子18,19に割り当てられたダイ3,4により加工することのできる加工物のタイプまたは構成部材との対応関係が格納されている。
【0052】
この対応関係および制御ユニット31並びに/または制御ユニット22への通信を考慮して、方法ステップ45では制御ユニット31および/または22において、ダイ収容部10,11に配置されたダイ3,4が、どの加工物に対して、加工物のどのタイプ(複数または単数)に対して、またはそれらの組成物に対して決定されているかという情報を提供することができる。
【0053】
この情報は、方法ステップ46でユーザに、出力装置23および/または32を介して通知することができる。したがって例えば方法ステップ46でユーザに、スマートフォンの表示器を介して、どのコネクタを、どのケーブルおよび/またはどのパッキンに、プレス工具2に装着されたダイ3,4によって圧着することができるかを表示することができる。
【0054】
例えば、ユーザが制御ユニット31の加工物特定装置34を介して加工物または構成部材の製造番号または類型番号を入力し、制御ユニット31がユーザに、この加工物またはその構成部材をダイ3,4により圧着することが許容されているか否かを表示することも可能である。
【0055】
任意選択で、および選択的にまたは累積的に、方法ステップ47で制御ユニット31に、データメモリ37から検出された識別子18,19に固有のデータ48を提供することも可能であり、このデータは、目標プレス力推移49および/または目標プレス状態推移50、その勾配、最大値、最小値等とすることができる。そしてプレス工具により加工物のプレスが行われると、センサ17により検出された実際プレス力信号25および/または実際プレス状態信号26が、制御ユニット22から通信35によって制御ユニット31に伝送される。次に制御ユニット31によって、方法ステップ51でプレス過程の評価が、一方では目標プレス力推移49および/または目標プレス状態推移50と、実際プレス力信号25および/または実際プレス状態信号26とを考慮して、または比較して行われる。この種の評価は、一方では装着されたダイ3,4が、その中でプレスされる加工物に対して使用することが本当に許容されているのか否かの検査に使用することができる。なぜなら、適切でない(とりわけ適切でない直径、適切でない剛性および/または適切でない幾何形状の)加工物のプレスにより、目標プレス力推移49からの実際プレス力信号25の偏差が、公差範囲(同様にデータメモリ37から通信36を介して制御ユニット31に提供することができる)の外になるからである。しかし許容される加工物がダイ3,4によりプレスできる場合であっても、比較によって加工物が正しくダイ3,4に装填されているか、およびプレス行程が正常に実行されたかについてプレス監視を行うことができる。そうでない場合には、同様に実際プレス力信号25が目標プレス力推移49の公差範囲外となる。そして出力装置32を介して相応の出力を形成することができる。したがって例えば出力は、加工物がダイ3,4によるプレスに対して許容されたものであるか否かについて、プレス行程が正常に実行されたか否かについて、またはそれどころか、時間あるいは実際プレス状態信号にわたる実際プレス力信号、および/または時間あるいは目標プレス状態推移にわたる目標プレス力推移(場合により公差範囲の表示と共に)について表示を行うことができる。これによりユーザには、実際プレス力信号25が公差範囲内のどこに存在していたか、および場合により公差範囲を逸脱したか否かについて通知される。
【0056】
次に方法ステップ52で、プレス工具2、すなわち電子構成ユニット16または識別子処理ユニット20のデータメモリ、データメモリ33および/またはデータメモリ37に登録することにより記録を行うことができる。
【0057】
本発明を制限しない単なる一例を挙げると、登録は、プレス工程が実行された日付、検出された識別子18,19、加工物特定装置34を介して検出または入力された、装着された加工物についてのデータ、プレス過程の評価結果、例えば実際プレス力信号25および/または実際プレス状態信号26を含むことができる。
【0058】
任意選択で、加工物特定装置34によって、プレス工具2によりプレスすべき加工物を特定することができる。この加工物特定装置は、加工物またはその要素を識別するために画像識別を行うことでプレスすべき加工物を画像検出することができ、または手動での数字入力に基づくことができる。この場合、同様に方法ステップ52で登録により記録することができる。そして制御ユニット31において、特定の加工物とダイ3,4とが許容された組み合わせであるか否かを検査することができ、結果を出力装置34を介して表示することができる。択一的にまたは累積的に、特定の加工物に対してデータメモリ37から、この特定の加工物に固有の特徴的データを制御ユニット31に、例えばダイ3,4/特定の加工物の組み合わせに関する特定の目標プレス力推移49および目標プレス状態推移50を提供することが可能であり、これらは、前に記載した評価の基礎とすることができる。 加工物特定装置34により検出された、またはこれに入力された、プレスすべき加工物の仕様に基づいて、ユーザに表示装置において、どの適切なダイをダイ収容部に装着しなければならないかを表示することも可能である。識別子処理ユニット20または電子構成ユニット16はGPSユニットを有することができ、このGPSユニットにより自動的にプレス工具2の位置を識別することができる。このように識別された位置は、次に通信35を介して外部の電子制御ユニット31に伝送することができる。そして外部の電子制御ユニット31においてユーザにプレス工具2の位置を、場合によりプレス工具2への状態についての示唆と共に表示することができる。このようにしてユーザは、プレス工具をどこかにしまい込んだ場合、このプレス工具2を簡単に見つけ出すことができる。しかしダイ3,4がGPSユニットを有することも可能であり、GPSユニットの信号は(電子構成ユニット16を介して、またはこれに依存しないで)外部の電子制御ユニット31に伝送することができ、これにより外部の電子制御ユニット31においてダイの位置が既知となり、表示することができる。
【0059】
さらなるオプションとして、プレス工具2は、プレス工具2のための、および好ましくは複数のさらなる工具のための保管装置と通信することもできる。例えば保管装置は、工具箱、工具トレイまたは工具引き渡し箇所である。通信によって保管装置には、プレス工具2が保管装置内に存在することについて情報通知される。このことは、例えば自動的に、保管装置にプレス工具2が配置されている場合、このプレス工具2から発信され、このプレス工具2を特定する信号を、保管装置に配置された受信器の受信領域内で受信することにより行われる。そして保管装置は、保管装置内に配置された工具の概観をユーザに与え、その際に特に、プレス工具2が保管装置内に存在するか否かの情報を与えることができる。対応することがダイ3,4に対しても当てはまる。
【0060】
図3は、それぞれ識別子18,19に対する送信ユニット53,54が組み込まれているダイ3,4を示す。送信ユニット53,54がバッテリーまたは再充電可能な電池を有しており、これにより送信ユニットが識別子18,19を能動的に送信できることも十分に可能である。このことはとりわけ、識別子処理ユニット20の適切な作動信号によってトリガされる。しかし好ましくは送信ユニット53,54はRFIDユニット27,28として構成されている。図3によれば、ダイ3,4は切欠部55,56を有し、これらの切欠部はここでは有底孔部57,58として構成されている。送信ユニット53,54は、切欠部55,56に寸法通りに収容され、そのために送信ユニット53,54は、例えばボタンセル状またはシリンダ形に構成することができる。送信ユニット53,54のケーシングは、この送信ユニット53,54が切欠部55,56に装着可能である接合方向であって、有底孔部57,58の長手軸に対応することのできる接合方向に、またはこれとは反対の方向に、ダイ3,4において自由にアクセスすることが可能である。これにより、送信ユニット53,54から送信される識別子18,19が、ダイ3,4によって妨げられず、または減衰されない。識別子処理ユニット20の検出装置21が、接合方向により規定される軸の領域に配置されており、これにより送信ユニット53,54から送信される識別子18,19が迂回なしで受信できるようにすることも可能である。送信ユニット53,54を、配属された切欠部55,56に装着した後、送信ユニット53を外に向かって、すなわち接合方向とは反対方向に塗料層によって覆うことも可能である。この塗料層は、送信ユニット53,54から送信される、識別子18,19を含む信号を、この信号の過度に大きな減衰または抑制なしで透過させることが望ましい。さらに塗料層は、送信ユニット53,54が収容された切欠部55,56内の内部空間を、外部に向かって密閉することができる。これにより湿気および/または汚れの侵入を回避することができる。最後に、塗料層によって、機械的損傷に対する送信ユニット53,54の保護作用を引き起こすことが可能である。好ましくは、送信ユニット53,54のケーシング、または塗料層または他のカバーは、ダイ3,4の外面60に対して面一に構成されている。
【0061】
図3と4の実施例に関して、ダイ3,4は基本的に、独国特許発明第19802287号明細書に記載されたように構成されている。これは、例えばダイ3に基づいて説明されるが、対応することがダイ4に対しても当てはまる。ダイ3は、フランジ領域61とダイ領域62を有する。フランジ領域61は、プレート状に構成されており、移行フィッティングまたは遊びをもって、所属の挟み込みジョー12の挟み込みジョープレートの間に収容されている。フランジ領域61は貫通孔部63を有し、この貫通孔部は、ダイ3に作用する圧着力に対して横方向に、かつダイ3,4の旋回面に対して、すなわち挟み込みジョー12,13に対して横方向に配向されている。プレス工具5に取り付けられた状態で、貫通孔部63を通って固定ねじまたは固定ピンが伸長する。これら固定ねじまたは固定ピンは、両端部領域において所属の挟み込みジョー12の前記挟み込みジョープレートに保持されている。フランジ領域61とダイ領域62との間の移行領域には、段65を設けることができるが、これは必須ではない。移行領域64においてダイ3の本体は、互いに平行に配向された2つの孔部66,67を有し、これらの孔部は、ダイ3に作用する圧着力に対して垂直に、かつダイ3,4の旋回面に対して垂直に配向されている。孔部66,67内には支承要素68,69が保持されている。好ましくは支承要素68,69は、ピンまたはボルトとして構成されており、これらは孔部66,67内に寸法通りに収容されている。ダイ3が挟み込みジョー12に取り付けられた状態で、フランジ領域61から突き出る支承要素68,69の端部領域、ここではピンまたはボルトの半円筒状の外套面が、挟み込みジョープレートの相応に成形された凹状収容部に当接する。これにより、所属の挟み込みジョー12におけるダイ3の保持および案内が保証される。
【0062】
ダイ領域62は、他方のダイの方向に挟み込みジョープレートから突き出ており、ダイ輪郭70を形成するのに用いられる。ダイ3,4の基本的構成のさらなる詳細に関しては、独国特許発明第19802287号明細書を参照されたい。
【0063】
図3による実施例に関して、送信ユニット53,54はフランジ領域61に配置されており、これにより、ダイ3,4がプレス工具5に取り付けられた状態に関して、送信ユニット53,54は、挟み込みジョープレートによって支持することができる。ここで好ましくは切欠部55,56は、フランジ領域61の、ダイ領域62とは反対の側に存在する。
【0064】
図4は、送信ユニット53,54がダイ3,4に組み込まれた別の例を示す。確かにここでも送信ユニット53,54は、ダイ3,4のフランジ領域61に配置されている。しかし、切欠部55,56、ここでは有底孔部57,58が、挟み込みヘッド平面内に伸長するように配置されており、好ましくは切欠部55,56または有底孔部57,58の伸長方向は、プレス力に対して平行に配向されている。好ましくはプレス工具5は、接合方向59により規定される軸の領域において中空空間を、とりわけ挟み込みジョープレートの間に形成する。この中空空間は、良好な信号伝送を保証する。この中空空間には識別子処理ユニット20または検出装置21が直接隣接することができる。または、中空空間と検出装置21の間に、さらなる構成素子または材料領域を配置することができる。
【0065】
送信ユニット53,54のダイ3,4への組み込みには多種多様のが可能である。非制限的な単なるいくつかの例を挙げれば、送信ユニット53,54が配置された切欠部またはダイ3,4の内部空間は、カバーによって閉鎖することができる。フランジ領域61、またはそれどころかダイ3全体を2つのハーフシェルにより構成することも可能であり、これらのハーフシェルは、送信ユニット53,54を収容するための内部空間を形成する。2つのハーフシェルは、例えば接着または溶接によって互いに内部空間を密閉して接合することができる。
【0066】
所属の検出装置21からの送信ユニット53,54の間隔は、好ましくは3cm未満、2cm未満、1.5cm未満、またはそれどころか1cm未満であり、この間隔は、少なくとも部分的に、前に説明したプレス工具5の中空空間を通って伸長し、これにより良好な信号伝送が保証される。
【0067】
識別子18,19または送信ユニット53,54がRFIDを有する場合、相応のことが、識別子処理ユニット20から送信される、RFIDにエネルギー供給するための励起信号に対して当てはまる。
【符号の説明】
【0068】
1 プレス工具セット
2 プレス工具
3 ダイ
4 ダイ
5 プレスペンチ
6 圧着ペンチ
7 ハンドレバー
8 ハンドレバー
9 駆動接続部
10 ダイ収容部
11 ダイ収容部
12 挟み込みジョー
13 挟み込みジョー
14 ケーシング
15 機械的な挟み込みヘッド
16 電子構成ユニット
17 センサ
18 識別子
19 識別子
20 識別子処理ユニット
21 検出装置
22 電子制御ユニット
23 出力装置
24 インタフェース
25 実際プレス力信号
26 実際プレス状態信号
27 RFIDユニット
28 RFIDユニット
29 光線または光送信器
30 光線または光送信器
31 外部の電子制御ユニット
32 出力装置
33 データメモリ
34 加工物特定装置
35 通信
36 通信
37 データメモリ
38 クラウドメモリ
39 プレス工具ネットワーク
40 方法ステップ
41 方法ステップ
42 方法ステップ
43 方法ステップ
44 方法ステップ
45 方法ステップ
46 方法ステップ
47 方法ステップ
48 データ
49 目標プレス力推移
50 目標プレス状態推移
51 方法ステップ
52 方法ステップ
53 送信ユニット
54 送信ユニット
55 切欠部
56 切欠部
57 有底孔部
58 有底孔部
59 接合方向
60 外面
61 フランジ領域
62 ダイ領域
63 貫通孔部
64 移行領域
65 段
66 孔部
67 孔部
68 支承要素
69 支承要素
70 ダイ輪郭
図1
図2
図3
図4