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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G11C 16/26 20060101AFI20240131BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240131BHJP
   H01L 29/788 20060101ALI20240131BHJP
   H01L 29/792 20060101ALI20240131BHJP
   G11C 16/04 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
G11C16/26 130
H01L29/78 371
G11C16/04 130
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019204402
(22)【出願日】2019-11-12
(65)【公開番号】P2021077433
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 潤一
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-211744(JP,A)
【文献】特表2016-511907(JP,A)
【文献】国際公開第2004/023385(WO,A1)
【文献】特開2014-029745(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 16/26
G11C 16/04
H04L 29/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上にメモリセルと、前記メモリセルの外側に配置され、前記メモリセルと電気的に接続されたスイッチ回路と、が形成された半導体チップを有し、
前記メモリセルは、第1トランジスタを含む複数のトランジスタを備え、
前記スイッチ回路は、前記第1トランジスタと電気的に接続された第2トランジスタを備え、
前記第2トランジスタは、前記半導体基板上に第1ゲート絶縁膜を介して形成された第1ワードゲートと、前記半導体基板上に前記第1ゲート絶縁膜よりも膜厚が厚い第2ゲート絶縁膜を介して形成された第1カップリングゲートを備え、
前記第2トランジスタの前記第1ワードゲートには、前記スイッチ回路に電流を流すときに、前記スイッチ回路の外部から前記第1ワードゲートの下の前記半導体基板を導電状態にする第1電圧が供給され、
前記第2トランジスタの前記第1カップリングゲートには、前記スイッチ回路に電流を流すときに、前記スイッチ回路の外部から前記第1カップリングゲートの下の前記半導体基板を導電状態にする第2電圧が供給され、前記第2電圧は前記第1電圧よりも高い電圧値である、半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1トランジスタは、前記半導体基板上に第3ゲート絶縁膜を介して形成された第2ワードゲートと、前記半導体基板上に前記第3ゲート絶縁膜よりも膜厚が厚い第4ゲート絶縁膜を介して形成された第2カップリングゲートを備え、
前記第1トランジスタの第1ソース電極は、前記第2トランジスタの第2ソース電極と電気的に接続され、
前記第1トランジスタの前記第2ワードゲートには、前記メモリセルに電流を流すときに、前記メモリセルの外部から前記第2ワードゲートの下の前記半導体基板を導電状態にする第3電圧が供給され、
前記第1トランジスタの前記第2カップリングゲートには、前記メモリセルに電流を流すときに、前記メモリセルの外部から前記第2カップリングゲートの下の前記半導体基板を導電状態にする第4電圧が供給され、前記第4電圧は前記第3電圧よりも高い電圧値であり、
前記第2電圧は前記第4電圧よりも電圧値が低い、半導体装置。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1トランジスタは、前記半導体基板上に第3ゲート絶縁膜を介して形成された第2ワードゲートと、前記半導体基板上に前記第3ゲート絶縁膜よりも膜厚が厚い第4ゲート絶縁膜を介して形成された第2カップリングゲートを備え、
前記第1トランジスタの第1ソース電極は、前記第2トランジスタの第2ソース電極と電気的に接続され、
前記第1トランジスタの前記第2ワードゲートには、前記メモリセルに電流を流すときに、前記メモリセルの外部から前記第2ワードゲートの下の前記半導体基板を導電状態にする第3電圧が供給され、
前記第1トランジスタの前記第2カップリングゲートには、前記メモリセルに電流を流すときに、前記メモリセルの外部から前記第2カップリングゲートの下の前記半導体基板を導電状態にする第4電圧が供給され、前記第4電圧は前記第3電圧よりも高い電圧値であり、
前記第2電圧は前記第4電圧と電圧値が同じである、半導体装置。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体装置において、
前記第2カップリングゲートは、前記第2ワードゲートに前記第3電圧の供給を停止した後も、前記第4電圧が供給され、
前記第1カップリングゲートは、前記第2ワードゲートに前記第3電圧の供給を停止した後も、前記第2電圧が供給される、半導体装置。
【請求項5】
半導体基板上にメモリセルと、前記メモリセルの外側に配置され、前記メモリセルと電気的に接続されたスイッチ回路と、が形成された半導体チップを有し、
前記メモリセルは、第1トランジスタを含む複数のトランジスタを備え、
前記スイッチ回路は、前記第1トランジスタと電気的に接続された第2トランジスタを備え、
前記第1トランジスタは、前記半導体基板上に第1ゲート絶縁膜を介して形成された第1ワードゲートと、前記半導体基板上に前記第1ゲート絶縁膜よりも膜厚が厚い第2ゲート絶縁膜を介して形成された第1カップリングゲートを備え、
前記第2トランジスタは、前記半導体基板上に第3ゲート絶縁膜を介して形成された第2ワードゲートと、前記半導体基板上に前記第3ゲート絶縁膜よりも膜厚が厚い第4ゲート絶縁膜を介して形成された第2カップリングゲートを備え、
前記第1トランジスタの第1ソース電極は、前記第2トランジスタの第2ソース電極と電気的に接続され、
前記半導体チップには、
前記第1ワードゲートに第1電圧を供給する第1ドライバ回路と、
前記第2ワードゲートに第2電圧を供給する第2ドライバ回路と、
前記第1カップリングゲートに前記第1電圧よりも電圧値が高い第3電圧を供給する第3ドライバ回路と、
前記第2カップリングゲートに前記第2電圧よりも電圧値が高い第4電圧を供給する第4ドライバ回路がさらに形成されている、半導体装置。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体装置において、
前記第2ドライバ回路は、前記第1ドライバ回路が前記第1ワードゲートに前記第1電圧を供給する前に、前記第2ワードゲートに前記第2電圧を供給し、
さらに前記第2ドライバ回路は、前記第1ドライバ回路が前記第1ワードゲートに前記第1電圧の供給を停止した後、前記第2ワードゲートに前記第2電圧の供給を停止する、
半導体装置。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体装置において、
前記第3ドライバ回路と前記第4ドライバ回路は共通のカップリングゲートドライバ回路で構成され、
当該カップリングゲートドライバ回路から電圧値が同じ前記第3電圧及び前記第4電圧をそれぞれ前記第1カップリングゲート及び前記第2カップリングゲートに供給する、半導体装置。
【請求項8】
請求項6に記載の半導体装置において、
前記第4ドライバ回路は前記第3電圧よりも低い電圧値の前記第4電圧を前記第2カップリングゲートに供給する、半導体装置。
【請求項9】
半導体装置の制御方法であって、
前記半導体装置は、
半導体基板上にメモリセルと、前記メモリセルの外側に配置され、前記メモリセルと電気的に接続されたスイッチ回路と、が形成された半導体チップを有し、
前記メモリセルは、第1トランジスタを含む複数のトランジスタを備え、
前記スイッチ回路は、前記第1トランジスタと電気的に接続された第2トランジスタを備え、
前記第1トランジスタは、前記半導体基板上に第1ゲート絶縁膜を介して形成された第1ワードゲートと、前記半導体基板上に前記第1ゲート絶縁膜よりも膜厚が厚い第2ゲート絶縁膜を介して形成された第1カップリングゲートを備え、
前記第2トランジスタは、前記半導体基板上に第3ゲート絶縁膜を介して形成された第2ワードゲートと、前記半導体基板上に前記第3ゲート絶縁膜よりも膜厚が厚い第4ゲート絶縁膜を介して形成された第2カップリングゲートを備え、
前記第1トランジスタの第1ソース電極は、前記第2トランジスタの第2ソース電極と電気的に接続され、
前記メモリセルがデータ読み出し状態に切り替わったときに、前記第2ワードゲートに当該第2ワードゲートの下の前記半導体基板を導電状態にする第1電圧を加える工程と、
前記第2ワードゲートに前記第1電圧を加えた後に、前記第1ワードゲートに当該第1ワードゲートの下の前記半導体基板を導電状態にする第2電圧を加える工程と、
前記第1ワードゲートに前記第2電圧を加えた後に、前記1ワードゲートに当該第1ワードゲートの下の前記半導体基板を非導電状態にする第3電圧を加える工程と、
前記第1ワードゲートに前記第3電圧を加えた後でかつ、前記メモリセルがデータ読み出し状態を終了するときに、前記第2ワードゲートに当該2ワードゲートの下の前記半導体基板を非導電状態にする第4電圧を加える工程とを有する、半導体装置の制御方法。
【請求項10】
請求項9に記載の半導体装置の制御方法であって、
前記メモリセルがデータ読み出し状態に切り替わったときであって、前記第1ワードゲートに前記第2電圧を加える前に、前記第2カップリングゲートに当該第2カップリングゲートの下の前記半導体基板を導電状態にする第5電圧を加える工程と、
前記メモリセルがデータ読み出し状態に切り替わったときであって、前記第1ワードゲートに前記第2電圧を加える前に、前記第1カップリングゲートに当該第1カップリングゲートの下の前記半導体基板を導電状態にする第6電圧を加える工程と、
前記第1ワードゲートに前記第3電圧を加えた後に、前記第2カップリングゲートに当該第2カップリングゲートの下の前記半導体基板を非導電状態にする第7電圧を加える工程と、
前記第1ワードゲートに前記第3電圧を加えた後に、前記第1カップリングゲートに当該第1カップリングゲートの下の前記半導体基板を非導電状態にする第8電圧を加える工程とを有する、半導体装置の制御方法。
【請求項11】
請求項10に記載の半導体装置の制御方法であって、
前記第2カップリングゲートに前記第5電圧を加える工程は、前記第1カップリングゲートに前記第6電圧を加える工程と同時であって、前記第6電圧と同じ電圧値の前記第5電圧を前記第2カップリングゲートに加え、
前記第2カップリングゲートに前記第7電圧を加える工程は、前記第1カップリングゲートに前記第8電圧を加える工程と同時であって、前記第8電圧と同じ電圧値の前記第7電圧を前記第2カップリングゲートに加える、半導体装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置および半導体装置の制御方法に関し、例えばフラッシュメモリーデバイス等の不揮発性メモリ装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、複数のメモリセルのソースを共通接続する為の共通ソース線、を有するメモリ装置が示される。図12は特許文献1に開示されたメモリ装置の回路図である。
【0003】
特許文献1に示すメモリ装置155は、複数のメモリセル150と、センスアンプ151と、共通ソース線152と、ソース線153と、ソースドライバ回路154とを有する。データを読み出す時に、メモリ装置155は、複数のメモリセル150の中の一つのメモリセル150と、センスアンプ151と、共通ソース線152と、ソース線153と、ソースドライバ回路154と、グランド電極GNDとにより、電流経路156を形成する。そして電流経路156に流れる電流は、選択されたメモリセル15の抵抗値により電流量が変化するので、電流量をセンスアンプ151で増幅し検出することで選択されたメモリセル15のデータを読み出す。
【0004】
ソースドライバ回路154はスイッチ157を有し、スイッチ157によりソース線153とグランド電極GNDを電気的に接続し、メモリセル150に流れる電流をグランド電極GNDに流している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-29745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、フラッシュメモリーデバイス等の、不揮発性メモリ装置のメモリセルには高い電圧が加えられる。特許文献1に示すメモリ装置155は、ソースドライバ回路154内のスイッチ157がメモリセル15に電気的に接続されるので、スイッチ157に高耐圧のトランジスタが使用される。
【0007】
近年は、半導体装置の微細化が進むにつれ、論理回路に用いられるトランジスタの電源電圧が低下している。その為、制御回路で使われる通常トランジスタの出力電圧(例えば1.5Vの電圧)では、高耐圧のトランジスタのゲートにゲート駆動電圧を印加しても高耐圧のトランジスタのソース、ドレイン間に十分な電流を流すことができない問題があった。
【0008】
従って、ゲート電圧を高く設定できない状態でトランジスタに十分な電流を流す為には、ゲート幅を大きくする必要があり、高耐圧のトランジスタの占有面積が大きくなる課題があった。
【0009】
また高耐圧のトランジスタの占有面積が大きくなると、ソースドライバ回路154の占有面積も大きくなり、不揮発性メモリ装置のチップサイズを縮小出来ない課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施の形態による半導体装置は、半導体基板上にメモリセルと、前記メモリセルの外側に配置され、前記メモリセルと電気的に接続されたスイッチ回路と、が形成された半導体チップを有し、
前記メモリセルは、第1トランジスタを含む複数のトランジスタを備え、
前記スイッチ回路は、前記第1トランジスタと電気的に接続された第2トランジスタを備え、
前記第2トランジスタは、前記半導体基板上に第1ゲート絶縁膜を介して形成された第1ワードゲートと、前記半導体基板上に前記第1ゲート絶縁膜よりも膜厚が厚い第2ゲート絶縁膜を介して形成された第1カップリングゲートを備え、
前記第2トランジスタの前記第1ワードゲートには、前記スイッチ回路に電流を流すときに、前記スイッチ回路の外部から前記第1ワードゲートの下の前記半導体基板を導電状態にする第2電圧が供給され、
前記第2トランジスタの前記第1カップリングゲートには、前記スイッチ回路に電流を流すときに、前記スイッチ回路の外部から前記第1カップリングゲートの下の前記半導体基板を導電状態にする第2電圧が供給され、前記第2電圧は前記第1電圧よりも高い電圧値である、半導体装置。
【発明の効果】
【0011】
一実施の形態によれば、不揮発性メモリ装置を有する半導体装置のチップ面積を縮小することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施の形態1によるメモリ装置を含む半導体装置の構成を示す回路図である。
図2図2は、比較例の半導体装置の回路図である。
図3図3は、比較例の高耐圧のトランジスタを示す平面図である。
図4図4は、比較例の高耐圧のトランジスタを示す断面図であり、図3のOからPの断面図である。
図5図5は、本発明の実施の形態1による半導体装置の第1スイッチ及びメモリセルのデバイス構造の断面図であり、図9のQからRの断面図である。
図6図6は、実施の形態1の構成に至る前の段階の半導体装置の回路図の第1の例である。
図7図7は、実施の形態1の構成に至る前の段階の半導体装置の回路図の第2の例である。
図8図8は、本発明の実施の形態1のメモリセルの各ゲート電極及び第1スイッチの各ゲート電極に加える電圧のタイミングチャートである。
図9図9は、本発明の実施の形態1による第1スイッチ及びメモリセルの構造を示す平面図である。
図10図10は、本発明の実施の形態2によるメモリ装置を含む半導体装置の構成を示す回路図である。
図11図11は、本発明の実施の形態2による第1スイッチ及びメモリセルの構造を示す平面図である。
図12図12は、背景技術の一例を示すメモリ装置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の構成には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0014】
(実施の形態1)
<実施の形態1に係る半導体装置の回路構成>
図1は本発明の実施の形態1によるメモリ装置を含む半導体装置1の構成例を示す回路図である。図1に示す本実施の形態1の説明では、Xで示した方向を横方向(左右方向又は行方向とも呼ぶ)、Yで示した方向を縦方向(上下方向又は列方向とも呼ぶ)として説明する。半導体装置1のその他の回路図及び平面図の説明でも同様とする。
【0015】
実施の形態1の半導体装置1は半導体基板2を有する。半導体基板2はメモリセルアレイ3と、コラム制御回路4と、ロウ制御回路5と、ソースドライバ回路7と、ソースドライバ制御回路8とを含む。
【0016】
メモリセルアレイ3は複数のメモリセル11、111と、複数のビット線9、91と、複数のソース線10と、複数のワード線12と、複数のカップリングゲート線13と、複数の消去ゲート線14とを含む。説明の都合上図1では他の行のソース線10、ワード線12、カップリングゲート線13及び複数の消去ゲート線14の記載を省略している。メモリセル11はX方向に複数設けられている。メモリセル11はまたY方向にも複数設けられている。説明の都合上図1では他の行のメモリセル11の記載を省略している。従って複数のメモリセル11は、メモリセルアレイ3内に、X方向及びY方向にマトリックス状に配列される。一つのメモリセル11は半導体基板2に形成された第1トランジスタ15を含む。第1トランジスタ15は第1MOSトランジスタ16aと第2MOSトランジスタ17aで構成される。第1MOSトランジスタ16aのビット電極27aは複数のビット線の内の一つのビット線9に電気的に接続される。第2MOSトランジスタ17aのソース電極18aは複数のソース線の内の一つのソース線10に電気的に接続される。第1MOSトランジスタ16aのビット電極27aと異なる側の電極は、第2MOSトランジスタ17aのソース電極18aと異なる側の電極と、繋がっている。従って第1MOSトランジスタ16aと第2MOSトランジスタ17aは電気的に接続される。
【0017】
メモリセル11の第1MOSトランジスタ16aはワードゲート19aを備える。メモリセル11のワードゲート19aは複数のワード線の内の一つのワード線12に電気的に接続される。メモリセル11の第2MOSトランジスタ17aはカップリングゲート20aを備える。メモリセル11のカップリングゲート20aは複数のカップリングゲート線の内の一つのカップリングゲート線13に電気的に接続される。第1MOSトランジスタ16aはワードゲート19aに閾値電圧以上の電圧(例えば、グランド電極GNDの電位を基準にして1.0V以上の電圧。以下特に記載がない場合はグランド電極電位を基準に電位を説明する)を加えると、ワードゲート19aの下の半導体基板2が導電状態になり、ビット電極27aとその反対側の電極間に電流が流れる為のチャネルが形成される。第2MOSトランジスタ17aはカップリングゲート20aに閾値電圧以上の電圧(例えば、1.5V以上の電圧)を加えると、カップリングゲート20aの下の半導体基板が導電状態になり、ソース電極18aとその反対側の電極間に電流が流れる為のチャネルが形成される。従って、メモリセル11はワードゲート19a及びカップリングゲート20aに閾値電圧以上の電圧を加えることによりビット電極27aとソース電極18aの間に電流21を流すことができる。実施の形態1では、後で説明する通り、メモリセル11の第2MOSトランジスタ17aのゲート絶縁膜の厚さが第1MOSトランジスタ16aのゲート絶縁膜よりも厚い。従ってメモリセル11に電流を流すときは、第2MOSトランジスタ17aに流す電流を増やすためにカップリングゲート20aに加える電圧をワードゲート19aに加える電圧よりも高くする。第2MOSトランジスタ17aはさらにカップリングゲート20aと半導体基板との間にフローティングゲート(図示せず)を備える。実施の形態1ではメモリセル11の第2MOSトランジスタ17aに流れる電流はフローティングゲートに蓄えられた電荷により値が変わる。従って、ビット電極27aとソース電極18a間に流れる電流21をセンス回路6で測定することによりメモリセル11に書き込まれたデータを読むことができる。
【0018】
メモリセルアレイ3の外側、例えば左側の辺、にはロウ制御回路5が設けられている。ロウ制御回路5はメモリセルアレイ3に隣接して設けることが出来、メモリセルアレイ3の右側の辺にあっても良い。ロウ制御回路5は複数の種類のドライバ回路を含む。実施の形態1では、ロウ制御回路5は複数の第2ワードゲートドライバD2と、複数のカップリングゲートドライバD3を含む(便宜上図1では他の行の第2ワードゲートドライバD2及びカップリングゲートドライバD3の記載を省略している)。複数のワード線12は対応する第2ワードゲートドライバD2に電気的に接続される。従ってメモリセル11のワードゲート19aは対応する第2ワードゲートドライバD2から電圧が供給される。複数のカップリングゲート線13は対応するカップリングゲートドライバD3に電気的に接続される。従ってメモリセル11のカップリングゲート20aは対応するカップリングゲートドライバD3から電圧が供給される。
【0019】
メモリセルアレイ3にはセンス回路6及びコラム制御回路4が電気的に接続されている。センス回路6及びコラム制御回路4はメモリセルアレイ3に隣接して設けられる。コラム制御回路4は複数の種類のドライバ回路を含む。実施の形態1では、コラム制御回路4は複数の電流供給回路C1、C2を含む。複数のビット線9、91は対応する電流供給回路C1、C2にそれぞれ電気的に接続される。従ってメモリセル11のビット電極27aは対応する電流供給回路C1、C2の一つから電流21が供給される。
【0020】
メモリセルアレイ3には複数のソースドライバ回路7が電気的に接続される。ソースドライバ回路7はメモリセルアレイ3の外側に隣接して設けることができる。複数のソース線10は対応するソースドライバ回路7に電気的に接続される。一つのソースドライバ回路7は少なくとも一つの第1スイッチ22と第2スイッチ23と、レベルシフト回路24と、第1電圧端子25と、グランド電極GNDとを含む。第2スイッチ23は第1電圧端子25とソースドライバ回路7に対応するソース線10の間に電気的に接続される。従って第2スイッチ23は、そのゲート電極に加える電圧により、第1電圧端子25とソース線10を電気的に接続したり、電気的に切断したりできる。第1電圧端子25は高い電圧(例えば4.5Vの電圧)が加えられるので、第2スイッチ23のゲート電極にはレベルシフト回路24が電気的に接続される。従って、レベルシフト回路24を介して第2スイッチ23のゲート電極に制御電圧を加えることで、第1電圧端子25に加えられた電圧を、第2スイッチ23に電気的に接続されるソース線10に加えることができる。
【0021】
第1スイッチ22は半導体基板2に形成された第2トランジスタ26を含む。第2トランジスタ26は、メモリセルの第1トランジスタ15と同じ構成を有し、第1MOSトランジスタ16bと第2MOSトランジスタ17bを含む。第1MOSトランジスタ16bのビット電極27bはグランド電極GNDに電気的に接続される。第2MOSトランジスタ17bのソース電極18bは複数のソース線の内の一つのソース線10に電気的に接続される。第1MOSトランジスタ16bのビット電極27aと異なる側の電極は、第2MOSトランジスタ17bのソース電極18bと異なる側の電極と電気的に接続される。従って、第1スイッチ22の第1MOSトランジスタ16bのワードゲート19bに第1MOSトランジスタ16bの閾電圧(例えば1.0Vの電圧)以上の電圧を加えることによりワードゲート19bの下の半導体基板が導電状態になり、第1スイッチ22の第2MOSトランジスタ17bのカップリングゲート20bに第2MOSトランジスタ17bの閾電圧(1.5Vの電圧)以上の電圧を加えることによりカップリングゲート20bの下の半導体基板が導電状態になり、第1スイッチ22のソース電極18bとビット電極27b間に電流が流れる為のチャネルが形成される。第1スイッチ22にチャネルが形成されることにより、第1スイッチ22に対応するソース線10からグランド端子GNDに電流21が流れる。
【0022】
実施の形態1では、第1スイッチ22のカップリングゲート20bは、第1スイッチ22に対応するメモリセル11のカップリングゲート20aと、カップリングゲート線13を介して、電気的に接続される。従ってメモリセル11に電流を流す為に、メモリセル11のカップリングゲート20aに第2MOSトランジスタ17aの閾電圧以上の電圧を加えるときは、第1スイッチ22のカップリングゲート20bも第2MOSトランジスタ17bの閾電圧以上の電圧が加わる。従ってメモリセル11のデータを読み出す時は、第1スイッチ22のワードゲート19bに第1MOSトランジスタ16aの閾値電圧以上の電圧を加えることで、第1スイッチ22が導通状態になり、メモリセル11に流れる電流21がソース線10を介してグランド電極GNDに流れる。また第1スイッチ22のワードゲート19bに第1MOSトランジスタ16bの閾値電圧より低い電圧を加えることでワードゲート19bの下の半導体基板が非導電状態になり、第1スイッチ22が非導通状態になるので、ソース線10を介して流れるメモリセル11の電流21を遮断することができる。なお、以上の第1スイッチ22に関する説明は、その動作の説明に対する便宜上、メモリセル11が消去状態(フローティングゲートに電荷を注入していない状態)を基に説明している。
【0023】
半導体装置1はソースドライバ回路7に制御電圧を供給するソースドライバ制御回路8を含む。ソースドライバ制御回路8は第1スイッチ22のワードゲート19bに制御電圧を供給する第1ワードゲートドライバD1と第2スイッチ23に、レベルシフト回路24を介して、制御信号を供給する第2スイッチドライバDHを備える。従って第1スイッチ22のワードゲート19bは第1ワードゲートドライバD1の出力端子に電気的に接続され、第1スイッチ22は第1ワードゲートドライバD1により導通状態または非導通状態に制御される。第2スイッチ23のゲートに電気的に接続されたレベルシフト回路24の入力端子も第2スイッチドライバDHの出力端子に電気的に接続されるので、第2スイッチ23も第2スイッチドライバDHにより導通状態または非導通状態に制御される。
【0024】
実施の形態1では、第1スイッチ22はメモリセル11と同じ構成をとる。メモリセル11は絶縁耐圧が高くサイズが小さいので、第1スイッチ22の占有面積を縮小できる。従って実施の形態1では、半導体装置1の第1スイッチ22の占有面積を小さくできるので、第1スイッチ22を有するソースドライバ回路7の占有面積も縮小できる。よって実施の形態1では、半導体装置1のソースドライバ回路7を小さくできるので、半導体装置1を小型化できる。
【0025】
<比較例の半導体装置>
次に第1スイッチに高耐圧MOSトランジスタを用いた場合の比較例の半導体装置を説明する。図2は比較例の半導体装置1の回路図である。比較例では第1スイッチ221に高耐圧MOSトランジスタ30を用いる。比較例の半導体装置1は高耐圧MOSトランジスタ30のゲート電極31が第1スイッチのワードゲートドライバD1bに電気的に接続されている。従ってワードゲートドライバD1bからゲート電極31に高耐圧MOSトランジスタ30の閾値電圧よりも高い電圧を供給することで、ゲート電極31の下の半導体基板が導電状態になる。よって、高耐圧MOSトランジスタ30のソース電極32及びドレイン電極33が導通しソース線10とグランド電極GNDが電気的に接続される。またワードゲートドライバD1bからゲート電極31に高耐圧MOSトランジスタ30の閾値電圧よりも低い電圧を供給することで、ゲート電極31の下の半導体基板が非導電状態になる。従って、高耐圧MOSトランジスタ30のソース電極32及びドレイン電極33の間が非導通となるので、ソース線10とグランド電極GNDの間が絶縁される。図2の比較例の回路図に関するその他の説明は、先に説明した、図1の実施の形態1の説明と同じなので省略する。
【0026】
図3は比較例の高耐圧MOSトランジスタ30の平面を示す図である。図4は比較例の高耐圧MOSトランジスタ30の断面を示す図である。図4図3のO-P断面を示す。高耐圧MOSトランジスタ30は半導体基板2と、半導体基板2の第一主面35上に形成された高耐圧ゲート絶縁膜36と、高耐圧ゲート絶縁膜36上に形成されたゲート電極31を有する。半導体基板2は第1導電型の(例えばp型)の半導体材料(例えばシリコン)からなる。ゲート電極31は導電体であれば良く、例えばポリシリコンで形成される。高耐圧ゲート絶縁膜36は膜厚の厚い絶縁体であれば良く、例えば酸化シリコンで形成される。半導体基板2のゲート電極31の一方の端部に近接した領域にはソース電極32が設けられている。半導体基板2のゲート電極31の他方の端部に近接した領域にはドレイン電極33が設けられている。ソース電極32及びドレイン電極33は半導体基板の第1主面35に不純物をドープした第2導電型(例えばn型)の拡散層で構成される。ソース電極32の領域内にはソース電極32と同じ第2導電型の不純物拡散層で形成される第2ソース電極40が設けられる。またドレイン電極33の領域内にはドレイン電極33と同じ第2導電型の不純物拡散層で形成される第2ドレイン電極41が設けられる。
【0027】
高耐圧MOSトランジスタ30は、ソース電極32とドレイン電極33の間の絶縁耐圧を高くするために、ソース電極32とドレイン電極33間のゲート電極31の長さ(ゲート長)Lを十分長く取る必要がある。従って高耐圧MOSトランジスタ30は、図3に示すように、ゲート長方向の長さSXが大きくなる。また高耐圧MOSトランジスタ30は、ゲート電極31と半導体基板34間の絶縁耐圧を高くするために、ゲート絶縁膜36の厚さ42を十分厚くする必要がある。従って、高耐圧MOSトランジスタ30は、ゲート絶縁膜が薄く高耐圧ではないトランジスタに比べて、ソース電極32からドレイン電極33に流れる電流93の量を多くすることが出来ない。一般に、高耐圧MOSトランジスタ30では、第1ソース拡散層32から第1ドレイン拡散層33に流れる電流量を多くするために、ゲート電極31の幅Wを大きくする必要がある。従って、高耐圧MOSトランジスタ30は、ゲート電極31の幅方向の長さSYが長くなる。
【0028】
従って、高耐圧MOSトランジスタ30をソースドライバ回路7に使用する比較例の半導体装置1では、ソースドライバ回路7のゲート電極の幅及び長さが多くなり、半導体基板2の占有面積を縮小出来ず、半導体装置1を小型化することが出来ない問題がある。
【0029】
<第1スイッチを改善した半導体装置の考察>
そこで本特許出願の発明者は、第1スイッチ22を、高い絶縁耐圧を有しながら、かつ従来例の高耐圧MOSトランジスタ30よりも小型化することを考えた。その結果発明者は、半導体装置1の第1スイッチ22を、メモリセル11を構成する第1トランジスタ15と同じ構造を持つ第2トランジスタ26で構成する発想を思いついた。図5は、図1の半導体装置1におけるメモリセル11及び第1スイッチ22のデバイス構造を示す断面図である。半導体基板34は第1導電型の(例えばp型)の半導体材料(例えばシリコン)からなる。実施の形態1のメモリセル11及び第1スイッチ22は、第1MOSトランジスタ16(符号16は符号16aと16bを含む。その他の符号も以下の図5に関する説明では、サフィックスを除いた上位概念の符号を使用する)と第2MOSトランジスタ17(17は17aと17bを含む)で構成される第1トランジスタ15及び第2トランジスタ26を有する。第1MOSトランジスタ16は半導体基板34と、ワードゲート19(19は19aと19bを含む)と、第1ゲート絶縁膜43及びビット電極27(27は27aと27bを含む)とで構成される。第2MOSトランジスタ17は半導体基板34と、フローティングゲート44と、第2ゲート絶縁膜45と、カップリングゲート20(20は20aと20bを含む)及びソース電極18(18は18aと18bを含む)とを有する。第1MOSトランジスタ16のビット電極27と異なる側の辺は、第2MOSトランジスタ17のソース電極18と異なる側の辺と近接して設けられている。第1MOSトランジスタ16のビット電極27と異なる側の辺と第2MOSトランジスタ17のソース電極18と異なる側の辺の半導体基板は、例えばビット電極27やソース電極18のような、高濃度の不純物拡散層は形成されていない。しかし、第1MOSトランジスタ16のワードゲート19及び第2MOSトランジスタ17のカップリングゲート20のそれぞれに閾値電圧以上の電圧を加えると、ワードゲート19とカップリングゲート20が近接しているため、ワードゲート19の下の半導体基板34に形成される電導領域とカップリングゲート20の半導体基板34に形成される電導領域が繋がる。従って、ソース電極18とビット電極27の間に電流を流すことができる。従ってメモリセル11及び第1スイッチ22の第1トランジスタ15は、図1に示すように、第1MOSトランジスタ16a(16b)と第2MOSトランジスタ17a(17b)が電気的に接続された回路と等価な回路構成を有する。カップリングゲート20は層間絶縁膜37によりフローティングゲート44から絶縁される。実施形態1のメモリセル11はフローティングゲートに蓄えられた電荷の量が所定の量を超えたか否かにより1ビットのデータを記憶する。第2MOSトランジスタ17に流れる電流はフローティングゲートに蓄えられた電荷により値が変わる。従って実施形態1では、ビット電極27とソース電極18間に流れる電流21をセンス回路6で測定することによりメモリセル11に書き込まれたデータを読むことができる。第2MOSトランジスタ17のソース電極18上には層間絶縁膜46を介して消去ゲート47が形成される。実施の形態1では、消去ゲート47は、フローティングゲート44及びカップリングゲート20と絶縁されて形成される。そして消去ゲート47は、フローティングゲート44に近接して形成されるので、消去ゲート47に高い電圧を加えることにより、フローティングゲート44に蓄積された電荷を消去ゲート47を介して外部の回路に移動させることができる。従って、消去ゲート47に電圧を加えることによりメモリセル11に記憶されたデータを消去することができる。
【0030】
ワードゲート19、カップリングゲート20、フローティングゲート44及び消去ゲート47は導電体であれば良く、例えばポリシリコンから形成される。第1ゲート絶縁膜43、第2ゲート絶縁膜45及び層間絶縁膜46は絶縁体であれば良く、例えば酸化シリコンから形成される。半導体基板34のワードゲート19の一方の端部に近接した領域にはビット電極27が設けられている。半導体基板34のカップリングゲート20の一方の端部に近接した領域にはソース電極18が設けられている。ソース電極18及びビット電極27は半導体基板34の第1主面35に不純物をドープした第2導電型(例えばn型)の拡散層で形成される。
【0031】
メモリセル11及び第1スイッチ22はソース電極18とビット電極27の間に加えた電圧が、第1MOSトランジスタ16と第2MOSトランジスタ17に分散して加えられる構成をしている。従ってメモリセル11及び第1スイッチ22はソース電極18とビット電極27の間の絶縁耐圧が高い。メモリセル11及び第1スイッチ22はまた、第2MOSトランジスタ17の第2ゲート絶縁膜45の厚さが第1MOSトランジスタ16の第1ゲート絶縁膜43より厚いのでカップリングゲート20とソース電極18の間の絶縁耐圧が高い。従って、図2に示す比較例の高耐圧MOSトランジスタ30からなる第1スイッチ221を、図5に示すデバイス構造の第1スイッチ22に置き換えても、第1スイッチ22の絶縁耐圧は低下しない。
【0032】
また図5に示す第1MOSトランジスタ16は第1ゲート絶縁膜43が薄いので、より多くの電流を流すことができる。従って第1MOSトランジスタ16のワードゲート19の幅を、高耐圧MOSトランジスタ30よりも、小さくすることができる。またメモリセル11及び第1スイッチ22は、ソース電極18とビット電極27の間に加える電圧は第1MOSトランジスタ16と第2MOSトランジスタ17で分散される。従って第1MOSトランジスタ16と第2MOSトランジスタ17の絶縁耐圧を下げることができる。従ってワードゲート19及びカップリングゲート20の長さを高耐圧MOSトランジスタ30ゲートの長さよりも短くすることができる。従って図5に示すメモリセル11及び第1スイッチ22は、比較例の高耐圧MOSトランジスタ30よりも占有面積が大幅に小さくなる。
【0033】
<第1スイッチをメモリセルと同じ構成にした場合の課題>
しかしメモリセル11は、比較例の高耐圧MOSトランジスタ30と異なり、ワードゲート19bと、カップリングゲート20の2つのゲート電極を有する。従って図6に示す半導体装置1の回路のように、単純に第1スイッチ22をメモリセル11と同じ構成にすることを考えた場合、第1スイッチ22のワードゲート19bと、カップリングゲート20に加える電圧を検討する必要がある。第1スイッチ22のワードゲート19bとカップリングゲート20に加える電圧によって第1スイッチ22が正しく機能しない問題があるからである。また第1スイッチ22のワードゲート19bとカップリングゲート20に加える電圧によって第1スイッチ22に定格を超えた電圧が加わり、第1スイッチ22が絶縁破壊を起こしたり、劣化したりする問題もある。
【0034】
例えば、図2に示す半導体装置1の高耐圧MOSトランジスタ30を、単純に、メモリセル11の第1トランジスタ15に置き換え場合を考えると、図7に示す半導体装置1となる。図2に示す比較例はワードゲートドライバD1bが1つなので、図7に示す半導体装置1はワードゲート19bとカップリングゲート20に同じワードゲートドライバD1からゲート電極制御電圧50を加える構成になる。仮に、第1スイッチ22のゲート電極制御電圧50にメモリセルのカップリングゲート20を駆動する電圧を与えると、第1スイッチ22のワードゲート19bも同じ電圧が加わる。ワードゲート19bの下の第1ゲート絶縁膜43は、カップリングゲート20の下の第2ゲート絶縁膜45よりも膜厚が薄く形成されているので、ワードゲート19bに第1ゲート絶縁膜43の定格以上の電圧が加わる。従って図7に示す半導体装置1は、第1ゲート絶縁膜43が絶縁破壊を起こすか又は第1ゲート絶縁膜43の劣化が早くなり信頼性が低下する問題が起こりうる。
【0035】
また第1スイッチ22のゲート電極制御電圧50を第1ゲート絶縁膜43を保護するために低い電圧に抑えると、第1スイッチ22のカップリングゲート20bも同じ電圧が加わる。カップリングゲート20の下の第2ゲート絶縁膜45の厚さは第1ゲート絶縁膜43よりも厚いので、カップリングゲート20の下の半導体基板34に十分な導電領域が形成できない問題がある。従って図7に示す半導体装置1は、第1スイッチ22に流れる電流量が低下する問題も起こりうる。
【0036】
また図6に示す半導体装置1においては、メモリセル11にデータを書き込むときは、ソースドライバ制御回路8よりレベルシフト回路24を介して第2スイッチ23のゲート電極に制御電圧を加え第2スイッチ23のソース電極とドレイン電極を導通状態にする。これにより、第2スイッチ23を通して第1電圧端子25に加えられた電圧がメモリセル11の第2MOSトランジスタ17aのソース電極18aに加えられる。メモリセル11にデータを書き込むときは書き込み対象のメモリセルにデータ書き込むための電流を流す必要がある。メモリセルに電流を流すためには、メモリセル11のワードゲート19a及びカップリングゲート20にメモリセルを導通状態にするための制御電圧を加える必要がある。しかし、このときに第1スイッチ22のワードゲート19b及びカップリングゲートに第1スイッチ22を導通状態にする制御電圧を加えると、第1スイッチ22及び第2スイッチ23を介して第1電圧端子25からグランド電極GND間に貫通電流が流れる。従って、貫通電流により第1スイッチ22及び第2スイッチ23が破壊される問題がある。従って第1スイッチ22のワードゲート19b又はカップリングゲート20の少なくとも1つはメモリセル11のワードゲート19a又はカップリングゲート20aと異なる制御電圧を加えることができるようにする必要がある。
【0037】
<実施の形態1の半導体装置の回路構成>
そこで本特許出願の発明者は、図1に示す実施の形態1において、第1スイッチ22のワードゲート19bにカップリングゲート20bよりも低い電圧を加えることにより、ワードゲート19bの下の第1ゲート絶縁膜43の絶縁破壊を防止することを考えた。また発明者は、第1スイッチ22のカップリングゲート20bにワードゲート19bよりも高い電圧を加えることによりカップリングゲート20bの下の半導体基板2に十分な導電領域を形成し、第1スイッチ22に流す電流量を増やすことを考えた。
【0038】
また発明者は、第1スイッチ22のワードゲート19bとメモリセル11のワードゲート19bに異なる制御電圧を加えるために、第1スイッチ22のワードゲート19bとメモリセル11のワードゲート19bとは電気的に分離する構成を得た。従って新たな構成では、メモリセル11にデータを書き込むときに、ソースドライバ制御回路8から第1スイッチ22のワードゲート19bに、第1スイッチ22を非導通にする電圧を加えることができる。よって新たな構成ではメモリセル11書き込み時に、第1スイッチ22及び第2スイッチ23を介して第1電圧端子25からグランド電極GND間に貫通電流が流れ第1スイッチ22及び第2スイッチ23が破壊される問題がない。実施の形態1では、メモリセル11のワードゲート19aは、ワード線12を介して、ロウ制御回路5内に設けられた第2ワードゲートドライバD2より制御電圧が加えられる。また第1スイッチのワードゲート19bは、ソースドライバ制御回路8内に設けられた第1ワードゲートドライバD1より制御電圧が加えられる。実施の形態1では、第1スイッチのワードゲート19bとメモリセル11のワードゲート19aは異なる第1ワードゲートドライバD1及び第2ワードゲートドライバD2により制御電圧が加えられる。従って、メモリセル11を書き込み状態にするために第2スイッチ23が導通状態になっても、第1スイッチ22を非導通の状態に制御でき、第1スイッチ22に貫通電流が流れるのを防止できる。また第1ワードゲートドライバD1はカップリングゲート20bよりも低い電圧をワードゲート19bに加えるので、耐圧の低い小型の回路を用いることができる。従って第1ワードゲートドライバD1の占有面積を縮小することができる。
【0039】
また、図6に示す第1スイッチ22を単純にメモリセル11と同じ構成にした例では、第1スイッチ22を正しく動作させるために、カップリングゲート20bに電圧を加える方法も考慮する必要がある。そこで本特許出願の発明者は、図1に示すように、第1スイッチ22のカップリングゲート20bとメモリセル11のカップリングゲート20aを電気的に接続する発想を思いついた。第1スイッチ22は、メモリセル11に流れる電流21をグランド電極GNDに流すときに、導通状態となる。従って第1スイッチ22が導通状態の時は、メモリセル11のカップリングゲート20aに第2MOSトランジスタ17aを導通状態にする制御電圧がカップリングゲートドライバD3により加えられる。従って、第1スイッチ22のカップリングゲート20bとメモリセル11のカップリングゲート20aを電気的に接続することにより、第1スイッチ22のカップリングゲート20bもカップリングゲートドライバD3により制御電圧が加えられる。従ってメモリセル11に電流が流れるときに、第1スイッチ22のカップリングゲート20bはカップリングゲートドライバD3により導通状態に制御される。従って第1ワードゲートドライバD1により第1MOSトランジスタ16bが導通状態に制御されることで第1スイッチ22に電流を流すことが可能になる。また、第1スイッチ22のカップリングゲート20bに、第2MOSトランジスタ17bを導通状態にする電圧を加えても、ワードゲート19bに第1MOSトランジスタ16bを非導通にする電圧を加えることで、第1スイッチ22を非導通状態に制御できる。従って、第1スイッチ22のカップリングゲート20bとメモリセル11のカップリングゲート20aを電気的に接続しても第1スイッチ22は正常な動作が可能であることを、本特許出願の発明者は発見した。
【0040】
また、実施の形態1ではロウ制御回路5内のカップリングゲートドライバD3によりメモリセル11のカップリングゲート20aと第1スイッチのカップリングゲート20bの双方に制御電圧を加える。従って、第1スイッチ22のカップリングゲート20bに電圧を供給するドライバを設ける必要がなく、ドライバ回路の数が減り、半導体装置1をさらに小型化できる。特に第2MOSトランジスタ17aの第2ゲート絶縁膜45は第1ゲート絶縁膜43より厚いので、第1スイッチ22のカップリングゲート20bにワードゲート19bよりも高い制御電圧を加える必要がある。従ってソースドライバ回路7の、カップリングゲートドライバの占有面積はワードゲートドライバよりも多い。第1スイッチ22のカップリングゲート20bに電圧を供給するドライバを省略できる効果は、ソースドライバ回路7の小型化に大きく貢献する。
【0041】
<実施の形態1に係る半導体装置の各ゲートに加える電圧のタイミングチャート>
次に実施の形態1の、メモリセル11の各ゲート電極及び第1スイッチ22の各ゲート電極に加える電圧の時間的関係を説明する。図8は半導体装置1の、メモリセル11及び第1スイッチ22の各ゲート電極に加える電圧のタイミングチャートである。なお、図8はメモリセル11のデータ読み出しモードの期間の、タイミングチャートを示す。図8の横軸は時間の経過を示す。図8の縦軸は電圧のレベルを示す。図8では、VWG1はメモリセル11のワードゲート19aの電圧、VWG2は第1スイッチ22のワードゲート19bの電圧、VCG1はメモリセル11のカップリングゲート20aの電圧、VCG2は第1スイッチ22のカップリングゲート20bの電圧を示す。
【0042】
実施の形態1では、半導体装置1がメモリセル11のデータを読み出すモードに入ると(図8のT1)、第1スイッチ22のワードゲート19bの電圧VWG2がワードゲート19bの閾値電圧より低い電圧0Vから閾値電圧より高い電圧V2に変化する。また同じT1の時点で、メモリセル11のカップリングゲート20aの電圧VCG1がカップリングゲート20aの閾値電圧より低い電圧0Vから閾値電圧より高い電圧V3に変化する。同様にT1の時点で、第1スイッチ22のカップリングゲート20bの電圧VCG2がカップリングゲート20bの閾値電圧より低い電圧0Vから閾値電圧より高い電圧V4に変化する。従ってメモリセル11のデータを読み出すモードに入るT1の時点から第1スイッチ22は非導通状態から導通状態に変化し、ソース線10とグランド電極GNDは電気的に接続される。また、メモリセル11のカップリングゲート20aの下の半導体基板にも電導領域が形成される。しかしT1の時点ではメモリセル11のワードゲート19aにはワードゲート19aの閾値電圧より低い電圧0Vが加えられているのでメモリセル11は導通状態にならず、メモリセル11に電流は流れない。
【0043】
次に図8のT2に示す特定のメモリセル11を選択する期間に入ると、メモリセル11のワードゲート19aの電圧VWG1が電圧0Vからメモリセル11のワードゲート19bの閾値電圧より高い電圧V1に変化する。従ってメモリセル11を選択する期間に入るT2の時点からメモリセル11のワードゲート19aの下の半導体基板に導電領域が形成されるので、第1トランジスタ15が導通状態になり、メモリセル11が導通状態になる。従って図1に示すように、コラム制御回路4内の電流供給回路C1で生成した電流21は、センス回路6、ビット線9、選択されたメモリセル11、ソース線10及び第1スイッチ22を通って、グランド電極GNDに流れる。従って実施の形態1では、図8に示すT2以後のメモリセル11を選択する期間に入ると、メモリセル11に流れる電流21の値をセンス回路6により計測することにより、選択したメモリセル11に書き込まれたデータを読むことができる。
【0044】
次に図8のT3に示す特定のメモリセル11を選択する期間が終了すると、メモリセル11のワードゲート19aの電圧VWG1が電圧V1から電圧0Vに変化する。従ってメモリセル11を選択する期間が終了したT3以降では、メモリセル11のワードゲート19aには電圧0Vが加えられているのでメモリセル11は非導通状態になる。メモリセル11に電流が流れないので、メモリセル11のデータ読み出しも行われない。
【0045】
次に図8のT4に示すメモリセル11を選択する期間が終了した後所定の期間が経過した時点で、メモリセル11のデータを読み出すモードが終了する。図8のT4に示す時点で、第1スイッチ22のワードゲート19bの電圧VWG2が電圧V2から電圧0Vに変化する。また、第1スイッチ22のカップリングゲート20bの電圧VCG2が電圧V4から電圧0Vに変化する。従って、図8のT4に示す時点以後の、メモリセル11のデータを読み出すモードが終了した後は、第1スイッチ22は非導通状態になりソース線10とグランド電極GNDは電気的に絶縁される。また図8のT4に示す時点で、メモリセル11のカップリングゲート20aの電圧VCG1が電圧V3から電圧0Vに変化し、第2MOSトランジスタ17aは非導通状態になる。
【0046】
実施の形態1では、選択されたメモリセル11のデータは高速で読む必要があるため、メモリセル11のワードゲート19aの電圧VWG1は高速で電圧値を変化させる必要がある。またメモリセル11のワードゲート19aの電圧VWG1は閾値電圧より低い電圧0Vから高い電圧V1に遷移する期間も出来る限り短くする必要がある。従ってメモリセル11のワードゲート19aを駆動するワードゲートドライバ回路は高速で動作することが要求される。実施の形態1では、メモリセル11のワードゲート19aに電圧V1を加える時点T2より前に、メモリセル11のカップリングゲート20aに電圧V3を加えることができる。また時点T2より前に、第1スイッチ22のワードゲート19bに電圧V2、カップリングゲート20bに電圧V4を加えることができる。従って、メモリセル11のカップリングゲート20a、第1スイッチ22のワードゲート19b及びカップリングゲート20b電圧値を上昇させる時間に余裕があり各ゲートの電圧制御が容易になる。また実施の形態では、メモリセル11のワードゲート19aの電圧VWG1が電圧0Vに低下した時点T3から期間が経過した後の時点T4に、メモリセル11のカップリングゲート20aの電圧VCG1は電圧0Vに低下する。同様にT4の時点で、第1スイッチ22のワードゲート19bの電圧VWG2及びカップリングゲート20bの電圧VCG2はそれぞれ電圧0Vに低下する。従って、各ゲートの電圧値を下げる時間にも余裕があり各ゲートの電圧制御がさらに簡単になる。従って、実施の形態1ではメモリセル11のカップリングゲート20a及び第1スイッチ22のカップリングゲート20bを駆動するカップリングゲートドライバD3の駆動能力を下げることができる。従って、カップリングゲートドライバD3に小型の回路を用いることができる。また実施の形態1では、第1スイッチ22のワードゲート19bを駆動する第1ワードゲートドライバD1も駆動能力を下げることができる。従って、第1ワードゲートドライバD1も小型の回路を用いることができる。従って、実施の形態1では、図8に示すタイミングチャートで、メモリセル11及び第1スイッチ22の各ゲート電極に制御電圧を加えることで、さらに半導体装置1を小型化することができる。
【0047】
<実施の形態1に係る半導体装置の平面構造>
図9は本発明の実施の形態1による第1スイッチ22及びメモリセル11の構造を示す平面図である。図5図9に示す第1スイッチ22及びメモリセル11のQからR間の断面図である。図9に示す本実施の形態の説明では、紙面上から見た面を、半導体基板34の第1主面35として描いている。以下で説明する平面図も同様とする。実施の形態1では、半導体基板34の第1主面に半導体装置1が形成される。図9は半導体装置のメモリセル領域72とソースドライバ領域71が隣接する部分を拡大した平面図である。実施の形態1では、ワードゲート19a、カップリングゲート20a、ソース電極18a及び消去ゲート47とが、それぞれX方向に延びている。また実施の形態1では、ワードゲート19b、カップリングゲート20a、ソース電極18a及び消去ゲート47とが、Y方向に並んで配置されている。ワードゲート19aの一方の長辺に隣接して、複数のビット電極27aがワードゲート19bの伸びる方向(X方向)に配置されている。隣り合う2つのビット電極27aの間には素子分離領域77aが設けられる。実施の形態1では、ビット電極27a、ワードゲート19a、カップリングゲート20a及びソース電極18aにより一つのメモリセル11を構成している。また実施の形態1では、ビット電極27b、ワードゲート19b、カップリングゲート20b及びソース電極18bにより一つの第1スイッチ22を構成している。隣り合う2つのビット電極27bの間にも素子分離領域77bが設けられる。実施の形態1ではワードゲート19b、19a、カップリングゲート20a、20b及び消去ゲート47は導電物質であれば良く、例えばポリシリコン等で形成できる。消去ゲート47は消去ゲートドライバ回路DEに電気的に接続され、電圧が与えられる。ソース電極18a、18b及び複数のビット電極27aは導電体であれば良く、例えば半導体基板34に不純物をドープした拡散層で形成される。また、素子分離領域77a、77bは隣り合う2つのビット電極27a、27bを絶縁できる材料であればよい。例えば素子分離領域77a、77bは、ビット電極27a、27bに対し反対の導電型の拡散層で形成される。実施の形態1では、複数のメモリセル11がX方向及びY方向にマトリックス状に並べられてメモリセルアレイ領域72を形成している。また、メモリセル11とグランド電極GNDの間に複数の第1スイッチ22が電気的に接続されている。従って実施の形態1では、メモリセル11とグランド電極GNDの間に多くの電流を流すことができる。複数の第1スイッチ22は、メモリセルアレイ領域72の外側にあるソースドライバ領域71に、設けられる。
【0048】
実施の形態1では、第1スイッチ22はメモリセル11と平面的に同じ構成をしているので、第1スイッチ22の平面的大きさをメモリセル11と同じ大きさに縮小することができる。従って実施の形態1では、ソースドライバ領域71を高耐圧MOSトランジスタ30を使用した比較例よりも大幅に縮小することができる。従って実施の形態1は、半導体装置1の大きさを大幅に小さくすることができる。
【0049】
実施の形態1では、メモリセル11のワードゲート19aと第1スイッチ22のワードゲート19bは分離して形成される。第1スイッチ22のワードゲート19bは、共通ワードゲート配線80を介して、ソースドライバ制御回路8内に設けた第1ワードゲートドライバD1に電気的に接続される。それに対しメモリセル11のワードゲート19aはロウ制御回路5内に設けた第2ワードゲートドライバD2に電気的に接続される。
【0050】
実施の形態1では、メモリセル11のカップリングゲート20aと第1スイッチ22のカップリングゲート20bは連続して形成される。メモリセル11及び第1スイッチ22のカップリングゲート20a、20bはロウ制御回路5内に設けたカップリングゲートドライバD3に電気的に接続される。従ってメモリセル11及び第1スイッチ22のカップリングゲート20a、20bはロウ制御回路5から電圧が加えられる。従って、第1スイッチ22のカップリングゲート20bを駆動するための制御回路が不要になりソースドライバ制御回路8の面積が縮小できる。
【0051】
メモリセル11及び第1スイッチ22のソース電極18aは連続して形成される。従ってメモリセル11及び第1スイッチ22のソース電極18aは電気的に接続される。
メモリセル11のビット電極27aはビット線9に接続される。ビット線9はコラム制御回路4に電気的に接続される。第1スイッチ22のビット電極27bはローカルグランド配線81に接続される。ローカルグランド配線81は共通グランド配線82に電気的に接続される。共通グランド配線82はグランド電極に電気的に接続される。従って、ロウ制御回路5及びソースドライバ制御回路8により第1スイッチ22を導通状態に制御することにより、ソース電極18bから、第1スイッチ22、ローカルグランド配線81及び共通グランド配線82を通って、グランド電極GNDにセル電流21を流すことができる。実施の形態1ではソース電極18aを中心にして、一つの行74の複数のメモリセル11とそれに隣り合う行75の複数のメモリセル11が線対称に配置されている。またソース電極18aを中心にして、一つの行74の複数の第1スイッチ22とそれに隣り合う行75の複数の第1スイッチ22が線対称に配置されている。従って一つのソース電極18aを接続する配線を、一つの行74と隣り合う行75の複数のメモリセル11と、複数の第1スイッチ22に共通に接続することができ、ソース電極18aを接続する配線の数を減らしている。さらに、ソース電極18aからグランド電極GNDに流す電流21を一つの行74の複数の第1スイッチ22と、それに隣り合う行75の複数の第1スイッチ22を介して流すので、電流21を流す経路が増える。
【0052】
《実施の形態1の効果》
実施の形態1の主な効果を説明すると以下の通りである。実施の形態1によれば、第1スイッチ22に、メモリセルの第1トランジスタと同じ構成の第2トランジスタを用いる。従って、第1スイッチ22の占有面積を小さくすることができ、半導体装置全体の大きさを縮小することができる。
【0053】
また実施の形態1によれば、高耐圧トランジスタよりも占有面積が小さい第1スイッチ22でも、当該高耐圧トランジスタと同等の絶縁耐圧を有する。従って、信頼性を落とさずにソースドライバ回路7の占有面積を小さくでき、半導体装置を小型化することができる。
【0054】
また第1スイッチ22のカップリングゲート20aとメモリセルのカップリングゲート20bの駆動回路を共通に出来るので、第1スイッチ22のカップリングゲート20b専用の駆動回路を設ける必要が無く半導体装置1を小型化出来る。
【0055】
また、ワードゲート19bの電圧VWG2は、ワードゲート19aの電圧VWG1が閾値電圧より高い電圧V1になる前に、閾値電圧より高い電圧V3になる。さらに、ワードゲート19bの電圧VWG2は、第1ワードゲートの電圧VWG1が閾値電圧より低い電圧0Vになった後に、閾値電圧より低い電圧0Vになる。従ってワードゲート電圧VWG2は、電圧を切り替える時間に余裕があり、ワードゲート19bの電圧の制御が容易になる。従って第1ワードゲートドライバD1に駆動力の低い小型の回路が使用でき、半導体装置1をさらに小型にできる効果がある。
【0056】
(実施の形態2)
<実施の形態2に係る半導体装置の回路構成>
次に実施の形態2に係る半導体装置1の回路構成を図10を用いて説明する。実施の形態2の半導体装置1はメモリセル11のカップリングゲート20aと第1スイッチ22のカップリングゲート20bが電気的に分離されている点で、実施の形態1と大きく異なる。実施の形態2に係る半導体装置1では、メモリセル11のカップリングゲート20aはロウ制御回路5内に設けた第1カップリングゲートドライバD3bに電気的に接続される。それに対し、第1スイッチ22のカップリングゲート20bはソースドライバ制御回路8内に設けた第2カップリングゲートドライバD4に電気的に接続される。従って実施の形態2に係る半導体装置1は実施の形態1に比べて、第2カップリングゲートドライバD4設ける領域が必要となり半導体装置1のチップ面積が大きくなる。
【0057】
しかしメモリセル11のカップリングゲート20aはメモリセル11にデータを書き込むときに十分高いレベルの電圧を加える必要がある。それに対し、第1スイッチのカップリングゲート20bは、データを書き込む必要がなく、メモリセル11のカップリングゲート20aよりも低電圧で駆動することができる。従って実施の形態2に係る半導体装置1では第1スイッチ22のカップリングゲート20bにメモリセル11のカップリングゲート20よりも低い電圧値の制御電圧を加えることができる。従って、第1スイッチのカップリングゲート20bに隣接するワードゲート19bの下の第1ゲート絶縁膜43にかかる電界をさらに低くすることができる。よって、第1ゲート絶縁膜43が絶縁破壊を起こすリスク及び第1ゲート絶縁膜43が劣化するリスクをさらに少なくすることができる。また第2カップリングゲートドライバD4も第1カップリングゲートドライバD3bよりも出力電圧の低い回路を用いることができる。従って、第2カップリングゲートドライバD4を設けたことによるチップ面積の増加も低く抑えることができる。
【0058】
<実施の形態2に係る半導体装置の平面構造>
図11は本発明の実施の形態2による第1スイッチ22及びメモリセル11の構造を示す平面図である。図11に示す実施の形態2では、第1スイッチ22のカップリングゲート20bは共通カップリングゲート配線83に接続部材84を介して電気的に接続される。共通カップリングゲート配線83は導電物質であれば良く、例えば銅やアルミニウム等の金属材料で形成できる。接続部材78は、例えばタングステンや、チタン等の金属材料を用いることが出来る。
【0059】
共通カップリングゲート配線83はソースドライバ制御回路8内の第2カップリングゲートドライバD4に電気的に接続される。従って、図11に示す実施の形態2では、第1スイッチのカップリングゲート20bは、当該第2カップリングゲートドライバD4から制御電圧が加えられる。実施の形態2に関するその他の説明は、先に説明した、実施の形態1の説明と同じなので省略する。
【0060】
《実施の形態2の効果》
実施の形態2の主な効果を説明すると以下の通りである。実施の形態2の半導体装置1によれば、第1スイッチ22のカップリングゲート20bに、メモリセル11と異なる制御電圧を加えることが出来る。従って第1スイッチ22のカップリングゲート20bにメモリセル11のカップリングゲート20aより低い電圧を供給することができる。よって、22カップリングゲート20bに隣接するワードゲート19bの下の第1ゲート絶縁膜43の絶縁破壊が防止できる。
【0061】
また、実施の形態2によれば、第1スイッチ22のカップリングゲート20に必要以上の高い電圧を加える必要がなく、半導体装置1の消費電力を低減することができる。
【符号の説明】
【0062】
1…半導体装置、2…半導体チップ、3…メモリセルアレイ、4…コラム制御回路、5…ロウ制御回路、7…ソースドライバ回路、8…ソースドライバ制御回路、11…メモリセル、16、16a、及び16b…第1MOSトランジスタ、17、17a及び17b…第2MOSトランジスタ、18、18a及び18b…ソース電極、19、19a及び19b…ワードゲート、20、20a、及び20b…カップリングゲート、22…第1スイッチ、23…第2スイッチ、27、27a及び27b…ビット電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12