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特許7429132作業車両の駐車ブレーキペダルロック構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】作業車両の駐車ブレーキペダルロック構造
(51)【国際特許分類】
   B60T 7/06 20060101AFI20240131BHJP
   B60T 7/04 20060101ALI20240131BHJP
   G05G 1/30 20080401ALI20240131BHJP
   G05G 1/01 20080401ALI20240131BHJP
   G05G 5/06 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
B60T7/06 C
B60T7/04 C
G05G1/30 A
G05G1/01 F
G05G5/06 E
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020035887
(22)【出願日】2020-03-03
(65)【公開番号】P2021138216
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱マヒンドラ農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山下 裕司
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-023366(JP,A)
【文献】特開2013-001353(JP,A)
【文献】特開平06-255403(JP,A)
【文献】特開2004-236617(JP,A)
【文献】実開昭55-171662(JP,U)
【文献】実開昭55-102662(JP,U)
【文献】実開平02-065662(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 1/00-7/10
G05G 1/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
足の踏込みによって走行部(2a)のブレーキ機構を駐車ブレーキリンク機構(13a)を介して制動操作する駐車ブレーキペダル(11)を有し、その遊端側にペダル部(11b)を備えたペダルアーム(11a)の基部を、走行機体(2)に設置される運転部(3)のフロア(3a)の左右一側に設けられる側部運転パネルフレーム(20)の下部側前後フレームに対し、フロア面より高い位置に貫通状態で軸支すると共に、該駐車ブレーキペダル(11)の制動姿勢をペダルアーム(11a)と係脱自在に係合してロック保持するロック機構を設ける作業車両における駐車ブレーキペダルロック構造において、前記ペダルアーム(11a)に係合部材としてのピン(11c)を設け、前記ロック機構、駐車ブレーキペダル(11)のペダル部(11b)の下方側で左右方向に軸支されるロックペダル軸(35)と、該ロックペダル軸(35)にロックアーム(12b)の基部が取付けられて遊端側に踏込み部(12a)を有するロックペダル(12)と、前記ロックアーム(12b)の上辺部に設けられて前記ピン(11c)に係脱自在に係合するフック部を有する凹溝形状の係合部(12c)と、前記ロックアーム(12b)を上方回動方向に付勢するスプリング(37)とを備え、前記駐車ブレーキペダル(11)を踏込み制動操作すると、ペダルアーム(11a)に設けたピン(11c)が前記ロックペダル(12)のロックアーム(12b)の上面を押接し、ロックアーム(12b)をスプリング(37)の付勢力に抗して下方回動させ、次いで前記駐車ブレーキペダル(11)の踏込み制動操作を解除すると、スプリング(37)の付勢力によってロックアーム(12b)が上方回動し、係合部(12c)のフック部がピン(11c)に係合して駐車ブレーキペダル(11)が制動姿勢に保持されるように構成すると共に、駐車ブレーキペダル(11)が制動姿勢において、このロックペダル(12)の踏込み部(12a)をペダル部(11b)の後方において、駐車ブレーキペダル(11)とロックペダル(12)とを同時に踏込み操作を行うことができる踏み操作間隔(H)を有するように配置したことを特徴とする作業車両における駐車ブレーキペダルロック構造。
【請求項2】
前記ロックペダル(12)の踏込み部(12a)を平面視において、制動姿勢にある駐車ブレーキペダル(11)のペダル部(11b)の後部後方幅内に一部ラップさせて配置する請求項1記載の作業車両における駐車ブレーキペダルロック構造。
【請求項3】
前記駐車ブレーキペダル(11)のペダル軸(25)を、フロア(3a)の左右一側に設けられる側部運転パネルフレーム(20)の下部側前後フレームに対し、フロア面より高い位置に貫通状態で軸支すると共に、フロア(3a)の上側に突出する軸端部に駐車ブレーキペダル(11)を設け、且つ機体内方側に突出する軸端部に駐車ブレーキリンク機構(13a)をユニット状に設ける請求項1又は2記載の作業車両における駐車ブレーキペダルロック構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバイン等作業車両の駐車ブレーキペダルロック構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、足の踏込みによって走行部の制動操作を行う駐車ブレーキペダルを、その遊端側にペダル部を有するペダルアームの基部を運転部フロアにペダル軸を介して軸支すると共に、この駐車ブレーキペダルの制動姿勢をペダルアームと係脱自在に係合してロック保持をするロック機構等からなる駐車ブレーキペダルロック構造を備えるコンバイン(作業車両)が既に公知である。(例えば、特許文献1参照)
上記駐車ブレーキペダルロック構造は、駐車ブレーキペダルを踏み込み操作した状態において、ロック操作アーム(ロック機構)を手動操作によってロック状態(ロック保持姿勢)に移行するか、又は駐車ブレーキペダルの踏み込み操作時に自動的にロック保持できるロック機構にすることにより、駐車ブレーキペダルの踏み込み状態をロック保持すると共に、ロック保持状態を解除するときは、手によって前記ロック操作アームを前方に向けて回動操作し、ロックプレートの係合凹部とペダルアームに突設されるロックピンとの係合を外すことにより、駐車ブレーキペダルを復帰バネの付勢力により制動解除位置(非操作位置)に復帰させて制動解除を行うように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-62973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に示される駐車ブレーキペダルロック構造は、駐車ブレーキペダルの制動姿勢をロック保持するときは、駐車ブレーキペダルの踏み込み操作時に自動的にロック保持するようにロック機構を構成できる一方で、ロック保持状態を解除するときには、オペレータは左足で駐車ブレーキペダルを踏込みながら前かがみ姿勢になり、手によってロック操作アームを握り前方に回動操作をしてロック解除をしなければならない等操作上の煩雑さがあること、またロック操作アームは、駐車ブレーキペダルの前方で離れた位置に配設されるのでロック機構の構造が大きくなり複雑化する等の欠点もある。
つまり、オペレータがロック保持を解除する際には、先ず、駐車ブレーキペダルに足を載せた状態でロック操作アームによって駐車ブレーキペダルとの係合を解除する2段階的な操作(2段操作)を要すること、及びこの2段操作には熟練を要するため、2段操作のタイミングが看過されてロック操作アームの係合解除操作が先行された場合には、その途端に駐車ブレーキペダルが復帰バネの付勢力によって急速に制動解除位置に戻って足との接当を生じ易い等の問題がある。
また走行機体の運転部フロアに対し前部運転パネル部又は側部運転パネル部が立設される運転部において、運転座席に着座するオペレータが楽な姿勢で操作をすることが求められるコンバイン等においては、上記ロック操作アーム等のロック機構を駐車ブレーキペダルから前方並びに左右方向に離間して配設する駐車ブレーキペダルロック構造では、ロック操作アーム等が上記パネル部の前側壁や左側壁との接触を回避する上でフロアを大きくしなければならず機体の小型化ができ難くなると共に、この回避には煩雑でコスト高になる等の構造上の問題がある。
さらに、この駐車ブレーキペダル機構による駐車ブレーキペダルのペダル軸は、フロアの一側で低い位置に設けられる下部側前後方向の側部フレームに対し軸装されるので、該ペダル軸に設けられる駐車ブレーキリンク機構や駐車ブレーキペダルの組付け、並びに点検や修理等のメンテナンス作業をフロアの下方側から行わねばならず、作業が行い難いこと、及び走行時に走行部等から飛散される塵埃や泥土により駐車ブレーキリンク機構等が汚れ易い等の課題もある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため本発明は、第1に、足の踏込みによって走行部2aのブレーキ機構を駐車ブレーキリンク機構13aを介して制動操作する駐車ブレーキペダル11を有し、その遊端側にペダル部11bを備えたペダルアーム11aの基部を、走行機体2に設置される運転部3のフロア3aの左右一側に設けられる側部運転パネルフレーム20の下部側前後フレームに対し、フロア面より高い位置に貫通状態で軸支すると共に、該駐車ブレーキペダル11の制動姿勢をペダルアーム11aと係脱自在に係合してロック保持するロック機構を設ける作業車両における駐車ブレーキペダルロック構造において、前記ペダルアーム11aに係合部材としてのピン11cを設け、前記ロック機構、駐車ブレーキペダル11のペダル部11bの下方側で左右方向に軸支されるロックペダル軸35と、該ロックペダル軸35にロックアーム12bの基部が取付けられて遊端側に踏込み部12aを有するロックペダル12と、前記ロックアーム12bの上辺部に設けられて前記ピン11cに係脱自在に係合するフック部を有する凹溝形状の係合部12cと、前記ロックアーム12bを上方回動方向に付勢するスプリング37とを備え、前記駐車ブレーキペダル11を踏込み制動操作すると、ペダルアーム11aに設けたピン11cが前記ロックペダル12のロックアーム12bの上面を押接し、ロックアーム12bをスプリング37の付勢力に抗して下方回動させ、次いで前記駐車ブレーキペダル11の踏込み制動操作を解除すると、スプリング37の付勢力によってロックアーム12bが上方回動し、係合部12cのフック部がピン11cに係合して駐車ブレーキペダル11が制動姿勢に保持されるように構成すると共に、駐車ブレーキペダル11が制動姿勢において、このロックペダル12の踏込み部12aをペダル部11bの後方において、駐車ブレーキペダル11とロックペダル12とを同時に踏込み操作を行うことができる踏み操作間隔Hを有するように配置したことを特徴としている。
第2に、前記ロックペダル12の踏込み部12aを平面視において、制動姿勢にある駐車ブレーキペダル11のペダル部11bの後部後方幅内に一部ラップさせて配置することを特徴としている。
第3に、前記駐車ブレーキペダル11のペダル軸25を、フロア3aの左右一側に設けられる側部運転パネルフレーム20の下部側前後フレームに対し、フロア面より高い位置に貫通状態で軸支すると共に、フロア3aの上側に突出する軸端部に駐車ブレーキペダル
11を設け、且つ機体内方側に突出する軸端部に駐車ブレーキリンク機構13aをユニット状に設けることを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に係る発明によれば、足の踏込みによって走行部のブレーキ機構を駐車ブレーキリンク機構を介して制動操作する駐車ブレーキペダルを有し、その遊端側にペダル部を備えたペダルアームの基部を、走行機体に設置される運転部のフロアの左右一側に設けられる側部運転パネルフレームの下部側前後フレームに対し、フロア面より高い位置に貫通状態で軸支すると共に、該駐車ブレーキペダルの制動姿勢をペダルアームと係脱自在に係合してロック保持するロック機構を設ける作業車両における駐車ブレーキペダルロック構造において、前記ペダルアームに係合部材としてのピンを設け、前記ロック機構、駐車ブレーキペダルのペダル部の下方側で左右方向に軸支されるロックペダル軸と、該ロックペダル軸にロックアームの基部が取付けられて遊端側に踏込み部を有するロックペダルと、前記ロックアームの上辺部に設けられて前記ピンに係脱自在に係合するフック部を有する凹溝形状の係合部と、前記ロックアームを上方回動方向に付勢するスプリングとを備え、前記駐車ブレーキペダルを踏込み制動操作すると、ペダルアームに設けたピンが前記ロックペダルのロックアームの上面を押接し、ロックアームをスプリングの付勢力に抗して下方回動させ、次いで前記駐車ブレーキペダルの踏込み制動操作を解除すると、スプリングの付勢力によってロックアームが上方回動し、係合部のフック部がピンに係合して駐車ブレーキペダルが制動姿勢に保持されるように構成すると共に、駐車ブレーキペダルが制動姿勢において、このロックペダルの踏込み部をペダル部の後方において、駐車ブレーキペダルとロックペダルとを同時に踏込み操作を行うことができる踏み操作間隔を有するように配置したことにより、オペレータが靴の平底部をペダル部に載せて駐車ブレーキペダルを踏込み制動姿勢にしたのち足を離すだけの簡単な操作によって、駐車ブレーキペダルをロックペダルによって制動姿勢にロック保持することができ、且つロック保持解除操作は制動姿勢のペダル部に対し、平底部を載せる動作と同時的に土踏まず部又は踵部を降ろす動作によって、駐車ブレーキペダルのロック解除を確実に行うことができ、また復帰回動付勢される駐車ブレーキペダルに追随して足を上げて離す一連の動作によって非制動姿勢に簡単且つ速やかに行うことができるので、前記従来方式のものに比し、ロック機構としてのロックペダルと駐車ブレーキペダルとを2段的に操作をすることなく、この際にロックペダル等ロック機構の目視確認を省力できるため、ブレーキ姿勢解除操作をワンタッチ状の自然な動作によって能率よく行うことができる。
またロックペダルの踏込み部は、ペダル部の後方に踏み操作間隔を有して設けるため、駐車ブレーキペダル機構を簡潔安価で且つコンパクトな構成にすることができる等の特徴がある。
請求項2に係る発明によれば、前記ロックペダルの踏込み部を平面視において、制動姿勢にある駐車ブレーキペダルのペダル部の後部後方幅内に一部ラップさせて配置することにより、
オペレータが駐車ブレーキペダルのみを踏込んで制動姿勢にする際に、その後方に部分的にラップしている踏込み部が駐車ブレーキペダルの上下回動を妨げることなく、またペダル部に載せた踵部側がロックペダルの踏込み部と接触させることのない踏込み操作を行い易くすると共に、駐車ブレーキペダルの設置構造をコンパクトに纏めることができる。
また制動姿勢にある駐車ブレーキペダルを戻し操作する際に、オペレータはペダル部に靴の平底部を載せた状態で、該平底部を支点に後方の踵部を踏込み部側に向けて姿勢変更した状態でのロックペダルの解除方向の踏込み操作を容易にすることができる。
請求項3に係る発明によれば、前記駐車ブレーキペダルのペダル軸を、フロアの左右一側に設けられる側部運転パネルフレームの下部側前後フレームに対し、フロア面より高い位置に貫通状態で軸支すると共に、フロアの上側に突出する軸端部に駐車ブレーキペダルを設け、且つ機体内方側に突出する軸端部に駐車ブレーキリンク機構をユニット状に設けることにより、
前記ペダル軸は、予め駐車ブレーキリンク機構をユニット状に設けた状態で、側部運転パネルフレームの下部側前後フレームによってフロア面よりも高い位置に機体内方側から速やかに挿入して安定よく軸支することができると共に、作業者はフロア面よりも高い位置に突出する軸端部に対し、駐車ブレーキペダルをフロア側から容易に取付けることができるので、ペダル軸及び駐車ブレーキペダル等の取付け作業並びにメンテナンス作業を能率よく行うことができる。またペダル軸をフロア面よりも高い位置に設けるため、駐車ブレーキリンク機構等の塵埃や泥土による汚れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】コンバインの全体構造を示す右側面図である。
図2】コンバインの運転部の構造を示す右後方斜視図である。
図3】コンバインの運転部の要部構造を示す右前方斜視図である。
図4】運転部の左側に立設される側部運転パネルフレームに設置される、駐車ブレーキペダル機構及び主変速レバー等の配置構造を示す左側面図である。
図5】運転部に設置される駐車ブレーキペダルとロックペダルのロック保持状態の要部構造を示す左側面図である。
図6】運転部の側部運転パネルフレームの補強部材と、駐車ブレーキペダルとロックペダルの配置構造を示す平面図である。
図7図7のペダル軸の支持構造を示す後方視断面図である。
図8】駐車ブレーキペダルを非制動姿勢から制動姿勢に移行したロック保持状態と、該ロック保持を解除する態様を示す駐車ブレーキペダル機構の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。先ず、図1に示すように、作業車両の1例として示すコンバイン1は、左右一対のクローラ式の走行部2aを備える走行機体2に、右側前部からキャビン3kによって覆われる運転部3と、エンジン部Eとグレンタンク4を配設し、左側前部に刈取部と扱深搬送体等からなる前処理部5を昇降自在に支持し、その後方に脱穀部5aを配設しており、圃場の植立穀稈を刈取り脱穀をして収穫することができる。
このコンバイン1の運転部3は、平面視方形状の平板面で形成されるフロア3aの前側に横長な前部運転パネル部3bを立設し、該フロア3aの後側にオペレータが着座する運転座席3cを配置し、両者の左側に側部運転パネル部3dを前後方向に立設している。
【0009】
そして、前部運転パネル部3bには、コラムパネル部にマルチステアリングレバー6を前後及び左右揺動操作自在に設けており、このマルチステアリングレバー6の前後揺動操作により前処理部5の昇降作動し、且つ左右揺動操作により走行操舵をする。
また側部運転パネル部3dには、前後方向の天板パネル面に変速操作具としての主変速レバー7と、その左側に操作間隔を有して副変速レバー8を並列状に配設し、該副変速レバー8の後方に脱穀部5a等作業部用の作業部操作レバー等を配設し、各レバーは前後方向の長孔状として形成される各レバー溝に沿って切換操作を行う構成になっている。
【0010】
一方、前部運転パネル部3bの前部左側コーナー部でフロア3aから立設されるコーナー前壁10aとコーナー側壁10bとに近接した位置には、制動操作具としての駐車ブレーキペダル11をそのペダル部11bを可及的に近接させて配置し、該ペダル部11bの左側にロック機構としてのロックペダル12を配置した駐車ブレーキペダル機構13を構成している。
また駐車ブレーキペダル11に隣接する補助フロア14は、フロア3aの前部中央位置に設置している。
これによるコンバイン1は、オペレータが各種操作レバーを操作しながら運転すると、圃場に植立する作物を前処理部5の刈取部で刈取り、刈取った穀稈を株元挾持搬送体と穂先係止搬送体等からなる扱深搬送体を介して脱穀部5aのフィードチェンに継送搬送し、脱穀部5aによって脱穀選別された穀粒をグレンタンク4に供給貯留して一連の収穫作業を行なうと共に、駐車時には駐車ブレーキペダル機構13の操作によって機体を制動し駐車停止を確実に行うことができる。
【0011】
次に、図2,図~7を参照し本発明に係る運転部3の側部運転パネル部3dの設置構造、及び主変速レバー7と駐車ブレーキペダル機構13、並びにその関連構造の概要について説明する。先ず、フロア3aは図2図4図7に示すように、走行機体(機体フレーム)2の右側前部に所定高さの箱状枠体として構成されるフロア台15の上部に、フロア板16を着脱可能に敷設する台横フレーム17を、ボルト19によって前後左右の取付け間隔を有して締結固定するようにしており、その機体内方(左側)に張出したフレーム延長端部に、側部フレームとしての側部運転パネルフレーム20を一体的に立設して側部運転パネル部3dを構成するようにしている。
【0012】
そして、実施形態の側部運転パネルフレーム20は図4に示すように、前後方向のフレーム間隔を有して立設される縦枠フレーム20a,20aを、上下段に配置される前後方向の上前後フレーム20bと下前後フレーム20cとによって連結することにより側面視方形状の枠体として構成される。そして、この側部運転パネルフレーム20は、下前後フレーム20c側を台横フレーム17の左側に立設した状態で固定すると共に、前後の縦枠フレーム20a, 20aの長さ中途から機体内方(左方向)に向けて突設したレバー支持枠20dの突出端部側を、ステー20eによって下前後フレーム20cと連結補強をした剛体枠構造にしている。(図7
またフロア3aの左側に立設される側部運転パネルフレーム20は、フロア3a側の全側面をフレームカバー21によって着脱可能に覆うと共に、該フレームカバー21はカバー装着状態において、フロア側から両手を自由に差し入れ可能な方形状の開口21aを、メンテナンス作業用の窓孔として形成し、且つ開口21aを開閉自在にする閉鎖する開口カバー21bを備えている。
これにより作業者は開口カバー21bを開けた状態において、フロア側から開口21a内に両手を差し入れた状態で側部フレームの機体内方のメンテナンス作業を能率よく容易に行うことができる。
【0013】
以上のように構成され、フロア台15に載置されボルト19を介して着脱自在に立設構成される側部運転パネルフレーム20は、主変速レバー7の基部側に設置されるレバーユニット機構22と、前記駐車ブレーキペダル機構13とを、予め上下段に振り分けた所定の関連配置位置に対し、精度及び取付け強度を確保しながら能率よく組付けることを容易にしている。
従って、両者をアッシー状に部品組みすることができる側部運転パネルフレーム20は、フロア台15の上部に乗せた状態で、台横フレーム17をボルト19によって締結するだけの簡単な作業によって、フロア3aの右方における側部運転パネル部3dの構成及び組立作業を能率よく行える等の特徴がある。
【0014】
つまり、予め部品組みされているレバーユニット機構22は、そのユニット取付部を前記レバー支持枠20dの中央部に取付けた状態で、連結部を介して主変速レバー7を前後方向に揺動回動させるレバー回動軸22aを、前記レバー支持枠20dの中央位置に安定的に取付けることができる。
一方、駐車ブレーキペダル機構13は、駐車ブレーキペダル11を下前後フレーム20cの上方で前後の縦枠フレーム20aを連結する前後フレームとしての補強部材23に対し、そのペダル軸(駐車ブレーキ回動軸)25をレバーユニット機構22の略直下位置で左右方向に貫通させて固定される軸支筒29に対し回動自在に挿入するようにしている。
【0015】
即ち、実施形態の駐車ブレーキペダル機構13は、後述する軸支構造によって上記補強部材23の付設及び軸支筒29を介し側部運転パネルフレーム20側の枠体剛性を高めると共に、前後の縦枠フレーム20aの中途部を補強部材23によってフロア面(床面)よりも高い位置で連結することにより、ペダル軸25を前記フロア板16のフロア面よりも高い位置に安定よく支持させるように構成され、また操作性及び駐車ブレーキペダル11等の組付け性並びにメンテナンス作業性を高めるようにしている。
そして、上記構成される側部運転パネルフレーム20は、内部のメンテナンス作業を必要とする際に開口カバー21bを開けると、補強部材23の上方で大きく開放される開口21aに対し、フロア側に居ながら両手を差し入れることができるようにしている。これにより内方に設置されるレバーユニット機構22及び後述する駐車ブレーキリンク機構13aやスイッチ32等の近隣配置部品の点検及び修理や清掃等のメンテナンス作業を、容易且つ能率よく行うことができる等の利点を創出することができる。
【0016】
尚、レバーユニット機構22は、在来のものと同様な構成と操作により、主変速レバー7を側部運転パネルフレーム20の天板パネルに前後向きのクランク形状孔として形成されるガイド溝に挿入し組付けた状態で、中立操作経路からレバー回動軸22aを支点に前進操作経路内を前方に向け操作移動させると、トラニオンアームに連結される変速リンク22bを介し伝動ケース26に備えられるHSTを作動し、前進速度を順次高速に変速し溝前端で最高速度にすることができる。
また中立操作経路から後進操作経路内を後方に向け操作移動させると、上記と同様に変速リンク22bを介しHSTを作動し、後進速度を順次高速に変速し溝後端で最高速度にすることができる。
【0017】
さらに、レバーユニット機構22は、主変速レバー7が前進変速域あるいは後進変速域にある状態において、駐車ブレーキペダル11が踏み込み操作された場合に、この操作に連係して主変速レバー7を中立位置方向に揺動させ中立位置に復帰させる前後で対をなす戻しリンク22cを備え、該戻しリンク22cの長孔に対し、後述する駐車ブレーキペダル11のブレーキプレート31に突設される戻しピン(図示せず)を挿入して連結する中立復帰機構を構成している。これによる中立復帰機構は図4図7に示すように、駐車ブレーキペダル11が踏み込み操作され、後述する駐車ブレーキリンク機構13aとしてのブレーキプレート31とブレーキリンク31a等を介し、伝動ケース26に設置されるブレーキ機構が制動状態に達する直前に、主変速レバー7を中立位置にタイミングよく復帰させるように連係動作させることができる。
【0018】
尚、駐車ブレーキペダル機構13は、駐車ブレーキペダル11が図8の実線で示す駐車ブレーキ状態から、2点鎖線で示す非駐車ブレーキ状態に付勢復帰させるバネ部材等からなる復帰手段(図示せず)を備えており、この回動復帰手段は側部運転パネルフレーム20と駐車ブレーキペダル11間に介装されるスプリング、又は入力伝動ケース17a側に構成されるブレーキ機構のブレーキ解除方向付勢をするスプリング等によって行うことができる。
また実施形態の駐車ブレーキペダル11は、そのペダル部11bを前部運転パネル部3bの前部左側コーナー部で、フロア3aから立設されるコーナー前壁10aとコーナー側壁10bとに可及的に近接させて配置している。
【0019】
次に、図3図8を参照し駐車ブレーキペダル機構13と軸支持構造について説明する。
先ず、駐車ブレーキペダル11は、前記ペダル軸25の外方側軸端に基部(後部)を挿入し固定されるペダルアーム11aと、該ペダルアーム11aの前端(遊端部)に一体的に設けられて縦長フラット状の踏圧面を有して形成されるペダル部11bと、ペダルアーム11aの中途部でペダル部11bに近接した位置に横向きに突設され、ロックペダル12に設けられる係合部12に係脱自在に係合させる係合部材としてのピン11c等からなる。
そして、駐車ブレーキペダル11は、踏み込み操作時にフロア3a側との直接的な接当を規制するアームストッパ11dを、ペダルアーム11aの前部側に高さ調節可能に配設している。
【0020】
上記ペダル軸25の軸支持態様は、後述する関連部品を予め組付けた状態の外方側(右側)軸部を、前記補強部材23の中途部に左右方向の軸支持長さを有して貫通固定される前記軸支筒29に対し、内方側から挿入した軸支位置でフロア3aの上方に延長突出する軸端に、駐車ブレーキペダル11のボス部を外方から挿入したのち、抜け止め固定をして取付ける。
次いで、ペダル軸25の機体内方側軸端に予め挿入している軸支アーム30のアーム基部を、前記補強部材23側から延長されているブラケット24の取付け部に対しボルト30aによって組付ける。これによりペダル軸25の機体内方側軸端は、ブラケット24に対し簡単且つ安定よく取付支持することができる。
【0021】
即ち、ペダル軸25は、前後の縦枠フレーム20aの中途部をフロア面よりも高い位置で連結する下部側前後フレームとしての補強部材23に、十分な軸支長を有して貫通固定される軸支筒29に対し安定よく挿入軸支され、且つ内方側に延長されて突出する軸端部を、上記補強部材23から機体内方側へ延長されるブラケット24を介し回動自在に軸支される。
従って、オペレータが駐車ブレーキペダル11を強い力で踏み込んだ場合でも、ペダル軸25に掛かる曲げ力や制動抵抗等による回動モーメントを、側部運転パネルフレーム20の補強部材を兼ねた補強部材23に設けられる軸支筒29と、平面視でL字状をなすブラケット24の軸支アーム30とが長い軸支間隔を有して軸支するので、ペダル軸25に齧り回動や軸撓み等を生じることなく駐車ブレーキペダル11の踏込み操作をスムーズにすることができる。
【0022】
さらに、軸支アーム30と補強部材23との間でペダル軸25に軸固定されるブレーキプレート31は、その側方に十分なスペースを有して配設することができるので、前記戻しリンク22cやブレーキリンク31a等を作動させる駐車ブレーキリンク機構13aを纏まりよく取付支持することができる。これによる軸支アーム30は、予め複数のスイッチ32等を取付けた状態で、ユニット構造としてペダル軸25の機体内方側軸端に部品組みをし、ブラケット24にボルト締結するだけで、簡単且つコンパクトに纏めて組み付けることができる等の利点を創出する。
【0023】
一方、このように取付支持される軸支アーム30は、アーム中途から内方向きに突設した取付片30bの上下部に、制動操作状態を検知する上側のスイッチ32と下側のスイッチ32とを、各スイッチ接点が同じ前方を向くように前後方向の位置決め調節可能及び着脱自在に取付けるようにしている。
そして、前記ブレーキプレート31には、その内方面の上下軸対称位置に上下のスイッチ接当片31bを、上記複数のスイッチ32の各スイッチ接点に対向させて内方向きに突設している。
【0024】
これによる駐車ブレーキペダル機構13は、図8に示す駐車ブレーキペダル11が2点鎖線で示す上方位置の非制動姿勢(ブレーキ待機姿勢)にあるときは、上側のスイッチ接当片31bが上側のスイッチ32の接点を押動しスイッチONにするため、運転部3側に設置される図示しない表示機器を非駐車ブレーキ状態にして報知する。また駐車ブレーキペダル11が、非制動姿勢から図8に実線で示す制動姿勢に操作されると、下側のスイッチ接当片31bが下側のスイッチ32の接点を押動しスイッチONにするため、表示機器を駐車ブレーキ状態にして報知する。従って、オペレータは、ロックペダル12が後述する態様によってロック保持されるとき、駐車ブレーキペダル11及びロックペダル12の操作を、表示機器による報知を介して誤りなく把握し運転をすることができる。
【0025】
また上記構成により取付片30bに取付けられる複数のスイッチ32は、そのスイッチ接点の他端側に接続させるスイッチコネクタ接続部をブラケット24の背後側に向けた一方向位置に設けることにより、広い空間部として形成される機体内方側空間部内でハーネスの取り回しを容易にすると共に、開口カバー21bを開けた開口21aからもメンテナンス作業を容易に行うことができるようにしている。
これによる駐車ブレーキペダル機構13は、工場側で行われる機体組立時はもとより、フロア3a側から開口カバー21bを外して行うスイッチ32等の修理や交換等のメンテナンス作業を行うとき、開口21aに差し込んだ手によるハーネス取り回し作業を行い易くするので、ハーネス類の巻き込みトラブルも回避しながらスイッチ交換作業等も能率よく行なえる。また機体内方側空間部内でペダル軸25を安定よく軸支補強するブラケット24は、軸支アーム30等をスイッチ支持部材に兼用することができ、且つユニット化構造をコンパクトに纏めた簡潔で安価な構造にすることができる等の利点を創出する。
【0026】
次に、図5図8を参照しロックペダル12とペダルロック機構について説明する。先ず、ロックペダル12は、上端部にパイプ状の踏込み部12aを横向きに設けるロックアーム12bの基部に内方向きに突設するロックペダル軸35を、前記側部運転パネルフレーム20の前部側に設けられる軸支筒36に回動自在に軸支し、この軸支部に設けられるスプリング37によってロックアーム12bを上回動方向に付勢し、且つロックペダル12の回動上限位置を規制するストッパ部38をロックアーム12bとフロア3aとの間に設けている。
【0027】
そして、ロックペダル12はロック保持姿勢において、ロックアーム12bを後退傾斜させてペダルアーム11aのピン11c部分と側面視で交差させると共に、踏込み部12aを駐車ブレーキペダル11の後方上方位置に、片足で駐車ブレーキペダル11とロックペダル12とを同時に踏込み操作をすることができる踏み操作間隔Hを有して設けるようにしている。
このロックペダル12は、帯状板からなるロックアーム12bの縦向き方形状断面をなす上辺部に、前記ピン11cを係脱自在に係合するフック部を有する凹溝形状の係合部12cを設け、これにより駐車ブレーキペダル11が後述するように踏み込まれる動作に伴い、係合部12cがピン11cを凹溝内に入れると共に、フック部がピン11cの上方への抜けを規制するように係合し、駐車ブレーキペダル11をブレーキ位置にロック保持をする構成にしている。
【0028】
上記ロックペダル12の軸支構造は図6に示すように、側部運転パネルフレーム20の前側縦枠フレーム20aの下部側で横向きに固設されてフロア3aより高い位置になるように設けられる軸支筒36にロックロックペダル軸35を挿入することにより、側部運転パネルフレーム20のフレームカバー21と駐車ブレーキペダル11のロックアーム12bとの間において、ロックペダル12の踏込み部12aをペダル部11bの後方に前記踏み操作間隔Hを設けて配置するようにしている。
【0029】
そして、踏込み部12aは平面視において、コーナー前壁10aとコーナー側壁10bとに近接した位置に配置される、駐車ブレーキペダル11の縦長短冊形状となすペダル部11bの左後部に、踏み操作間隔Hを有して一部ラップするように偏位させた位置に臨ませる短いパイプ長さにしている。つまり、前記ロックペダル12の踏込み部12aは、制動姿勢にある駐車ブレーキペダル11のペダル部11bの後部後方幅内に、平面視において一部ラップさせて配置することにより、踏込み部12aをペダルアーム11aに近接させたペダルロック機構として駐車ブレーキペダルの設置構造をコンパクトに纏めると共に、踏込み操作性を後述するように高めている。
また上記ペダルロック機構は図8に示すように、駐車ブレーキペダル11が2点鎖線の非駐車ブレーキ状態の走行時姿勢にあるとき、ロックペダル12をスプリング37によって上向き付勢した状態で回動付勢ストッパ部38によってロック待機姿勢に保持される。
【0030】
これによりオペレータが運転座席3cに着座したまま、片足(図示例では左足)を伸ばし靴41によって走行時姿勢の駐車ブレーキペダル11を矢印方向に踏込み、実線で示す制動姿勢に至らせるとき、靴41は実線で示すような踏込み姿になり、踵部41aを上げた状態で爪先側の広い平坦な靴底をなす平底部41bをペダル部11bの全面に接当させて、駐車ブレーキペダル11を制動姿勢に踏込むことになる。
【0031】
この際にペダル軸25を支点に円弧軌跡を描くピン11cは、ロックアーム12bの上面を押接摺動し、ロックペダル軸35を支点にロックペダル12をスプリング37の付勢力に抗し下方回動させながら、その回動規制位置で係合部12cの上方に臨むため、この位置でロックアーム12bがスプリング37の復帰力によって復帰回動する動作に基づき係合部12cのフック部に係合係止されるため、駐車ブレーキペダル11の復帰回動を規制した制動姿勢に保持することができる。
次いで、オペレータは駐車ブレーキペダル11が上記制動姿勢にロック保持されたことを確認し、ペダル部11bの踏込みを止めて足戻しをしながらフロア3a又は補助フロア14に置く。
【0032】
このとき、足戻し操作され押圧が解除されたロックペダル12は、スプリング37の付勢力によって直ちに上方回動し、係合部12cのフック部がピン11cに速やかに係合するので、駐車ブレーキペダル11は上方回動が規制されて自動的な動作態様によって制動姿勢に移行しロック保持される。そして、駐車ブレーキペダル11の踏み込み時に、ペダル部11bの後方で踏み操作間隔Hを有して配置される踏込み部12aは、靴底の土踏まず部41cに臨んだ位置になり、該土踏まず部41cに接当する場合には共に下向き回動を行うことができる。
尚、図示例の踏込み部12aは、パイプ材にしているがこれに限ることなく、棒状又は板状部材によってペダルアーム11aと一体的に構成することができる。
【0033】
次に、図8を参照し制動姿勢解除操作の態様について説明する。この場合にオペレータは運転座席3cに着座した姿勢から、左足を伸ばし駐車ブレーキペダル11のペダル部11bに、実線で示すように靴41の平底部41bを載せた状態で踵部41a側を下げ動作をする。
この下げ動作により土踏まず部41c側に臨んでいる踏込み部12aは、該土踏まず部41cの凹入状靴底面によって2点鎖線で示すように、ロックペダル軸35を支点に下方に向けワンタッチ状に押動でき、ロックアーム12bが後方回動することにより係合部12cがピン11cから外れることになる。次いで、オペレータは足を前後動させることなくペダル部11bに載せたままで、ロックペダル12の復帰回動を体感しながら緩やかな足上げ動作を自ずと追随して楽に行うことができる。
【0034】
従って、オペレータはロック姿勢を解除する際に、駐車ブレーキペダル11の急激な復帰回動を抑制できて伝動急接続を防止し、且つ2点鎖線で示す制動解除姿勢になることの目視確認をあえて要することもなく、体感確認によってフロア3a上に足戻しをして速やかな走行作業に移行することができる。
このとき、ペダル部11bの後方で前記踏み操作間隔Hを有して配設される踏込み部12aは、ロックペダル12の踏込み部12aを見ないでも、単に駐車ブレーキペダル11のペダル部11bに平底部41bをのせた状態で、踵部41aを下げるだけの簡単な動作によって、踏込み部12aを下降回動できてロックペダル12の解除操作を能率よく的確に行うことができる。
【0035】
また踏込み部12aは、平底部41bと踵部41aとの間に形成される凹入部内に位置させるので、踏み操作間隔H内に踵部41aを落下させる等の空振りを防止し、平底部41bをペダル部11bに安定的に載せ支持しながら、踵部41aを降ろすだけの簡単な一段的な操作によって、大きな力を要することなく駐車ブレーキペダル11のロック解除を確実に行うことができる。
尚、短い靴41により操作される場合には、ペダル部11bに土踏まず部41cを置いた状態で踵部41aを踏込み部12aに安定的に載せることができるので、上記した動作を同様に行うことができる。
【0036】
このようにペダル部11bを平底部41bで踏みながら、土踏まず部41c又は踵部41aによって踏込み部12aを同時的に回動操作してロック解除をすることができるロックペダル12は、ロックペダル12をペダル部11bの後方に大きく離間させた位置に配設することが試みられる在来の足操作方式のものと比較し、足を前後方向に大きく移動させながら両者を2段踏み的な足踏み操作を無くすと共に、この際にロックペダル12の目視確認が必要になる等の煩雑なロック解除動作を不要にすることができるので、制動姿勢解除操作をワンタッチ状の自然な一連動作によって速やかに行うことができる。
【0037】
さらに、平底部41bと踵部41aとの間に形成される凹入部内に臨ませ前後移動をさせないで、その場踏み操作ができるロックペダル12は、例えば小径パイプ部材等を利用した横向きの短い丸棒状体によって、滑り難くて踏み易く且つ簡潔で安価な構成にすることができると共に、側部運転パネルフレーム20と駐車ブレーキペダル11との間で接当干渉を防止しながら、コンパクトに纏めた安価型構造にすることができる等の特徴もある。
【0038】
以上のように構成される駐車ブレーキペダルロック構造によれば、前記ロック機構を、駐車ブレーキペダル11のペダル部11bの下方側に軸支されるロックペダル軸35と、該ロックペダル軸35に基部が取付けられて後端に踏込み部12aを有するロックペダルにすると共に、このロックペダル12の踏込み部12aは、ペダル部11bの後方において、駐車ブレーキペダル11とロックペダル12とを同時に踏込み操作を行うことができる踏み操作間隔Hを有して設けているため、特に、制動姿勢にある駐車ブレーキペダル11のロック保持解除を、従来方式のものと比較し、ロック機構としてのロックペダル12と駐車ブレーキペダル11とを2段的に操作をすることなく、ロックペダル12を片足でワンタッチ状の1段的な踏込み操作をするだけで、駐車ブレーキペダル11を能率よく制動姿勢に戻すことができる。
【0039】
さらに、上記ロック保持解除は、制動姿勢のペダル部11bに対し、靴41の平底部41bを載せる動作と同時的に土踏まず部41c又は踵部41aを降ろす動作によって、駐車ブレーキペダル11のロック解除を確実に行うことができ、また復帰回動付勢される駐車ブレーキペダル11に追随して足を上げて離す一連の動作によって非制動姿勢に簡単且つ速やかに復帰させることができる。従って、この際にロックペダル12等ロック機構の目視確認を省力できると共に、足を大きく前後移動させることなくロックペダル12と駐車ブレーキペダル11の同時的踏込みがでるため、ブレーキ姿勢解除操作を自然なワンタッチ状動作によって、踏込み時の踵外れ等の誤動作を伴うことなく簡単に行うことができる。
【0040】
尚、図示例のロックペダル軸35は、側部運転パネルフレーム20の前部に軸支することにより、ロックアーム12bを後退傾斜させた状態で踏込み部12aを駐車ブレーキペダル11の後方上方に踏み操作間隔Hを有して臨ませているが、これに限ることなくロックペダル軸35を前記ペダル軸25の前方で補強部材23に共に軸支するようにしてもよい。
この場合には、補強部材23の前後部を側部運転パネルフレーム20に対し着脱自在な組付け構造にすると、予め補強部材23に対し駐車ブレーキペダル11とロックペダル12とを組付けたユニット構造にした状態で、この補強部材23を側部運転パネルフレーム20へ取付けるだけで、組付け精度を有しながら能率よく行うことができる。
【符号の説明】
【0041】
1 コンバイン
2 走行機体
2a 走行部
3 運転部
3a フロア
11 駐車ブレーキペダル
11a ペダルアーム
11b ペダル部
12ロックペダル
12a 踏込み部
13 駐車ブレーキペダル機構
13a 駐車ブレーキリンク機構
20 側部フレーム(側部運転パネルフレーム)
23 補強部材(前後フレーム)
35 ロックペダル軸
H 踏み操作間隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8