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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】溶接ロボットシステム
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/12 20060101AFI20240131BHJP
【FI】
B23K9/12 331K
B23K9/12 331S
B23K9/12 331T
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020052441
(22)【出願日】2020-03-24
(65)【公開番号】P2021151656
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(72)【発明者】
【氏名】西田 省吾
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-167950(JP,A)
【文献】特開2018-058117(JP,A)
【文献】特開2015-174092(JP,A)
【文献】特開昭62-033068(JP,A)
【文献】特開2010-023093(JP,A)
【文献】特開2007-160350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/00、9/06 - 9/133、
10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接トーチと、
前記溶接トーチを移動させるマニピュレータと、
前記溶接トーチに溶接用の電力を供給する溶接電源装置と、
前記溶接電源装置に溶接条件を設定するリモコンと、
前記マニピュレータおよび前記溶接電源装置を制御する制御部と、前記マニピュレータの動作情報を記憶する制御装置記憶部と、を有する制御装置と、
を備え、
前記溶接電源装置は、
前記制御装置から溶接開始指令を受信した場合に、前記リモコンによって設定されている溶接条件に応じて電力を出力する電源部と、
前記制御装置から溶接終了指令を受信したときに、前記リモコンによって設定されている溶接条件と当該溶接条件に対応する溶接条件番号とを記憶する溶接電源記憶部と、
前記溶接電源記憶部に記憶された前記溶接条件番号を前記制御装置に送信する通信部と、
を備え、
前記制御装置記憶部は、前記溶接電源装置の前記通信部から受信した前記溶接条件番号を前記動作情報に関連付けて記憶する、
溶接ロボットシステム。
【請求項2】
前記リモコンは、条件記憶ボタンを備え、
前記溶接電源装置は、前記条件記憶ボタンが押下されたときに、前記リモコンによって設定されている溶接条件を前記溶接電源記憶部に記憶し、当該溶接条件に対応する溶接条件番号を前記通信部に送信させる、
請求項1に記載の溶接ロボットシステム。
【請求項3】
前記制御装置は、作業者の操作に応じて、前記溶接電源装置から入力された複数の溶接条件番号から1個の溶接条件番号を選択する溶接条件選択部をさらに備え、
前記制御装置記憶部は、前記溶接条件選択部によって選択された溶接条件番号を、前記動作情報に関連付けて記憶する、
請求項2に記載の溶接ロボットシステム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記溶接電源装置に、前記溶接開始指令を送信する際に、前記動作情報に関連付けられた溶接条件番号も送信し、
前記溶接電源装置は、前記制御装置から前記溶接条件番号を受信した場合は、前記リモコンによって設定されている溶接条件ではなく、当該溶接条件番号に対応する、前記溶接電源記憶部に記憶された溶接条件に応じて、前記電源部に電力を出力させる、
請求項1ないし3のいずれかに記載の溶接ロボットシステム。
【請求項5】
前記溶接電源装置は、前記リモコンからの入力に応じて、前記溶接電源記憶部に記憶された溶接条件を変更する溶接条件変更部をさらに備える、
請求項4に記載の溶接ロボットシステム。
【請求項6】
前記溶接電源装置は、
固定モードと微調整モードとを切り替える切替部をさらに備え、
前記切替部が前記微調整モードに切り替えられている場合には、前記溶接条件変更部による変更を許可し、
前記切替部が前記固定モードに切り替えられている場合には、前記溶接条件変更部による変更を禁止する、 請求項5に記載の溶接ロボットシステム。
【請求項7】
前記リモコンは、回動可能に支持された操作つまみを備え、
前記溶接電源装置は、前記操作つまみが一方向に回動された場合に、前記溶接電源記憶部に記憶された溶接条件を増加させ、前記操作つまみが他方向に回動された場合に、前記溶接電源記憶部に記憶された溶接条件を減少させる、
請求項5または6に記載の溶接ロボットシステム。
【請求項8】
前記溶接条件は、溶接電流の電流値および溶接電圧の電圧値を含んでいる、
請求項1ないし7のいずれかに記載の溶接ロボットシステム。
【請求項9】
前記溶接条件は、前記マニピュレータによる前記溶接トーチの移動速度である溶接速度を含んでいる、
請求項1ないし8のいずれかに記載の溶接ロボットシステム。
【請求項10】
前記制御装置は、前記マニピュレータにウィービング溶接を実行させ、
前記溶接条件は、ウィービング周波数および/またはウィービング幅を含んでいる、
請求項1ないし8のいずれかに記載の溶接ロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接ロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マニピュレータによって溶接トーチを移動させつつ、溶接電源装置から電力を供給して、溶接トーチとワーク(被溶接物)との間にアークを発生させて、アーク溶接を行う溶接ロボットシステムが知られている。例えば、特許文献1には、溶接ロボットシステムが開示されている。溶接ロボットシステムにおいては溶接作業の前に、作業者が、マニピュレータに取り付けられた溶接トーチを移動させ、ティーチングペンダントを操作することで、溶接開始位置および溶接終了位置などを教示する。また、作業者は、溶接電圧などの溶接条件を、ティーチングペンダントで手入力することで教示する。溶接ロボットシステムは、教示された情報に基づいて溶接作業を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-82640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、溶接工不足を背景に、溶接現場に協働ロボットとして溶接ロボットシステムを採用する動きが広がっている。この場合、熟練工が、溶接ロボットシステムに溶接のための各種教示を行う。熟練工は、溶接トーチを自ら移動させて溶接を行いながら、リモコンの操作つまみで適切な溶接条件を設定することには慣れているが、ティーチングペンダントを操作して溶接条件を設定することには不慣れである。溶接ロボットシステムにおいて適切な溶接条件を設定するためには、設定された溶接条件で溶接作業を行わせ、その溶接状態を観察して、溶接条件を修正する作業を繰り返す必要がある。溶接条件の修正のたびに、ティーチングペンダントの操作が必要になるので、ティーチングペンダントの操作に不慣れな熟練工は、溶接条件の設定に多くの時間を費やしていた。
【0005】
本発明は上記した事情のもとで考え出されたものであって、ティーチングペンダントの操作に不慣れな熟練工が容易に溶接条件を設定できる溶接ロボットシステムを提供することをその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0007】
本発明の第1の側面によって提供される溶接ロボットシステムは、溶接トーチと、前記溶接トーチを移動させるマニピュレータと、前記溶接トーチに溶接用の電力を供給する溶接電源装置と、前記溶接電源装置に溶接条件を設定するリモコンと、前記マニピュレータおよび前記溶接電源装置を制御する制御部と、前記マニピュレータの動作情報を記憶する制御装置記憶部とを有する制御装置とを備え、前記溶接電源装置は、前記制御装置から溶接開始指令を受信した場合に、前記リモコンによって設定されている溶接条件に応じて電力を出力する電源部と、前記制御装置から溶接終了指令を受信したときに、前記リモコンによって設定されている溶接条件を記憶する溶接電源記憶部と、前記溶接電源記憶部に記憶された溶接条件に対応する溶接条件番号を前記制御装置に送信する通信部とを備え、前記制御装置記憶部は、前記溶接電源装置から受信した溶接条件番号を前記動作情報に関連付けて記憶する。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記リモコンは、条件記憶ボタンを備え、前記溶接電源装置は、前記条件記憶ボタンが押下されたときに、前記リモコンによって設定されている溶接条件を前記溶接電源記憶部に記憶し、当該溶接条件に対応する溶接条件番号を前記通信部に送信させる。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記制御装置は、作業者の操作に応じて、前記溶接電源装置から入力された複数の溶接条件番号から1個の溶接条件番号を選択する溶接条件選択部をさらに備え、前記制御装置記憶部は、前記溶接条件選択部によって選択された溶接条件番号を、前記動作情報に関連付けて記憶する。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記制御装置は、前記溶接電源装置に、前記溶接開始指令を送信する際に、前記動作情報に関連付けられた溶接条件番号も送信し、前記溶接電源装置は、前記制御装置から前記溶接条件番号を受信した場合は、前記リモコンによって設定されている溶接条件ではなく、当該溶接条件番号に対応する、前記溶接電源記憶部に記憶された溶接条件に応じて、前記電源部に電力を出力させる。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記溶接電源装置は、前記リモコンからの入力に応じて、前記溶接電源記憶部に記憶された溶接条件を変更する溶接条件変更部をさらに備える。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記溶接電源装置は、固定モードと微調整モードとを切り替える切替部をさらに備え、前記切替部が前記微調整モードに切り替えられている場合には、前記溶接条件変更部による変更を許可し、前記切替部が前記固定モードに切り替えられている場合には、前記溶接条件変更部による変更を禁止する。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記リモコンは、回動可能に支持された操作つまみを備え、前記溶接電源装置は、前記操作つまみが一方向に回動された場合に、前記溶接電源記憶部に記憶された溶接条件を増加させ、前記操作つまみが他方向に回動された場合に、前記溶接電源記憶部に記憶された溶接条件を減少させる。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記溶接条件は、溶接電流の電流値および溶接電圧の電圧値を含んでいる。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記溶接条件は、前記マニピュレータによる前記溶接トーチの移動速度である溶接速度を含んでいる。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記制御装置は、前記マニピュレータにウィービング溶接を実行させ、前記溶接条件は、ウィービング周波数および/またはウィービング幅を含んでいる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、溶接電源装置は、制御装置から溶接開始指令を入力された場合に、リモコンによって設定されている溶接条件に応じて電力を出力し、溶接終了指令を入力されたときに、リモコンによって設定されている溶接条件を記憶して当該溶接条件に対応する溶接条件番号を制御装置に出力する。制御装置は、当該溶接条件番号を動作情報に関連付けて記憶する。したがって、作業者は、溶接作業中にリモコンを操作することで溶接条件を変更できる。そして、適切な溶接条件になったところでリモコンの操作が終了されると、溶接作業終了時に当該適切な溶接条件が記憶され、これに対応付けられた溶接条件番号が、動作情報に自動的に関連付けられて記憶される。したがって、作業者は、ティーチングペンダントの操作を行うことなく、リモコンの操作だけで、適切な溶接条件を容易に自動的に設定できる。また、溶接作業中にリモコンの操作で適切な溶接条件に調整できるので、ティーチングペンダントによる溶接条件の修正と修正後の溶接条件での溶接作業とを繰り返す必要がない。したがって、適切な溶接条件の設定に費やす時間を短縮できる。
【0018】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態に係る溶接ロボットシステムの全体構成を示す構成図である。
図2】第1実施形態に係るリモコンの一例を示す平面図である。
図3】動作情報テーブルの一例を示す図である。
図4】溶接条件テーブルの一例を示す図である。
図5】第1実施形態に係る制御装置制御処理を説明するためのフローチャートの一例である。
図6】第1実施形態に係る溶接電源制御処理を説明するためのフローチャートの一例である。
図7】第2実施形態に係る制御装置制御処理を説明するためのフローチャートの一例である。
図8】第2実施形態に係る溶接電源制御処理を説明するためのフローチャートの一例である。
図9】第3実施形態に係る溶接電源制御処理を説明するためのフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
【0021】
〔第1実施形態〕
図1図2は、第1実施形態に係る溶接ロボットシステムA1を説明するための図である。図1は、溶接ロボットシステムA1の全体構成を示す構成図である。図2は、第1実施形態に係るリモコンの一例を示す平面図である。
【0022】
図1に示すように、溶接ロボットシステムA1は、制御装置1、溶接電源装置2、マニピュレータ3、ティーチングペンダント4、リモコン5、および溶接トーチ6を備えている。溶接ロボットシステムA1は、マニピュレータ3によって溶接トーチ6を移動させつつ、溶接電源装置2から電力を供給して溶接トーチ6とワークとの間にアークを発生させて、アーク溶接を行う。
【0023】
マニピュレータ3は、いわゆる多関節ロボットであり、溶接作業のために溶接トーチ6を自動的に移動させるものである。マニピュレータ3は、フロア等にベース部材が固定され、ベース部材に複数のアームが、順に軸を介して連結されている。最先端のアームには溶接トーチ6が取り付けられている。マニピュレータ3は、ベース部材および各アームに設けられた各サーボモータが、制御装置1からの駆動信号に応じてそれぞれ回転駆動することで、溶接トーチ6を移動させる。溶接トーチ6の先端からは、図示しないワイヤ送給装置によって送り出された溶接ワイヤの先端が消耗電極として突出する。
【0024】
制御装置1は、マニピュレータ3を制御するものである。制御装置1は、あらかじめ教示されて記憶した位置情報に基づいて、マニピュレータ3に駆動信号を出力し、マニピュレータ3の各サーボモータを回転駆動させることで、溶接トーチ6を移動させる。また、制御装置1は、設定に応じて、溶接トーチ6を溶接進行方向に対して直交する方向に揺動させるウィービング動作を行わせることができる。また、制御装置1は、溶接電源装置2も制御する。
【0025】
制御装置1は、図1に示すように、制御部11、記憶部12、および通信部13を備えている。
【0026】
記憶部12は、マニピュレータ3の動作を制御するための制御ソフトウェアや、教示された位置情報などの動作情報を記憶する。
【0027】
図3は、記憶部12が記憶する動作情報テーブルの一例を示す図である。動作情報テーブルには、動作番号に関連付けられて、位置情報が記憶されている。また、本実施形態では、動作番号に関連付けられて、溶接条件番号も記憶されている。例えば、図3の場合、動作番号「動作1」に関連付けられた位置情報として、溶接開始位置S1および溶接終了位置E1が記憶され、溶接条件番号としてJOB1が記憶されている。動作情報は、作業者によってあらかじめ教示されて記憶されている。動作情報のうち位置情報は、作業者が、マニピュレータ3に取り付けられた溶接トーチ6を移動させて、ティーチングペンダント4を操作することで記憶される。溶接条件番号は、溶接電源装置2に記憶された溶接条件を指定するための番号であり、溶接電源装置2から入力され、自動的に動作番号に関連付けられて記憶される。溶接条件は、作業者によって設定されて、溶接電源装置2に記憶されている。溶接条件の設定および溶接条件番号の自動記憶の詳細については、後述する。
【0028】
通信部13は、溶接電源装置2との間で通信を行うものである。通信部13は、制御部11から入力される信号を変調して、通信信号として溶接電源装置2に送信する。また、通信部13は、溶接電源装置2から受信した通信信号を復調して、制御部11に出力する。なお、通信方法は、限定されず、有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。
【0029】
制御部11は、制御装置1の制御を行うものであり、例えばマイクロコンピュータなどによって実現されている。制御部11は、記憶部12に記憶されている動作情報に基づいて、マニピュレータ3を制御する。例えば、制御部11は、動作番号に対応する位置情報を動作情報テーブルから読み出して、溶接開始位置および溶接終了位置と、溶接開始からの経過時間とから、溶接トーチ6の配置位置を算出する。そして、溶接トーチ6を当該配置位置に配置させるように、マニピュレータ3の各サーボモータを制御する。また、制御部11は、記憶部12に記憶されている動作情報に基づいて、溶接電源装置2を制御する。例えば、制御部11は、動作番号に対応する溶接条件番号を動作情報テーブルから読み出して、通信部13を介して溶接電源装置2に送信する。溶接電源装置2は、受信した溶接条件番号に対応する溶接条件で溶接電力を出力する。
【0030】
ティーチングペンダント4は、制御装置1に接続されており、制御装置1を操作するためのものである。ティーチングペンダント4は、マニピュレータ3の動作を教示するために用いられる。なお、本実施形態では、溶接条件の教示にティーチングペンダント4を用いないが、ティーチングペンダント4を用いて溶接条件を教示してもよい。ティーチングペンダント4は、表示部41および操作部42を備えている。表示部41は、各種表示を行うものであり、例えば液晶表示装置であるディスプレイを備えている。表示部41には、例えば、各種モードを選択するためのメニュー画面が表示される。操作部42は、作業者によって操作されるものであり、例えばキーボードを備えている。操作部42は、メニュー画面に表示された各種モードを選択したり、溶接作業を開始させたり、数値を入力するために用いられる。メニュー画面で選択されるモードとしては、マニピュレータ3の動作を教示するための「教示モード」、溶接条件を調整するための「調整モード」、実際にワークの溶接を行うための「溶接モード」などがある。
【0031】
次に、図5を参照して、制御部11が行う制御装置制御処理について説明する。図5は、制御装置制御処理を説明するためのフローチャートの一例である。図5に示す制御装置制御処理は、制御装置1が起動したときに開始される。
【0032】
まず、ティーチングペンダント4の表示部41にメニュー画面が表示されて、モードの選択待ちになる(S1)。作業者が操作部42の操作によりモードを選択して設定した場合(S1:YES)、設定されたモードが調整モードであるか否かが判別される(S2)。設定されたモードが調整モードである場合(S2:YES)、ステップS3~S12に示す調整モード処理が行われる。一方、設定されたモードが調整モードでない場合(S2:NO)、実際には溶接モードであるか否かが判別されるが、図5に示すフローチャートではその他のモード(例えば、教示モードなど)の説明を省略し、溶接モードであるとして、ステップS13~S22に示す溶接モード処理が行われることとして説明する。
【0033】
調整モード処理では、ティーチングペンダント4の表示部41に動作選択画面が表示されて、動作番号の選択待ちになる(S3)。作業者が操作部42の操作により動作番号を選択して設定した場合(S3:YES)、設定された動作番号に対応する位置情報が、動作情報テーブルから読み出される(S4)。次に、溶接開始が指示されたか否かが判別される(S5)。作業者が操作部42を操作することで、溶接開始を指示した場合(S5:YES)、溶接開始指令が溶接電源装置2に送信される(S6)。溶接開始指令を受信した溶接電源装置2は、溶接電力の供給を開始する。
【0034】
次に、動作情報テーブルから読み出された位置情報と、溶接開始からの経過時間などから、溶接トーチ6の配置位置が演算される(S7)。次に、演算結果に基づいて溶接トーチ6が移動される(S8)。具体的には、制御部11は、演算結果に応じた位置に溶接トーチ6が配置されるように、マニピュレータ3の各サーボモータを制御する。次に、溶接作業が終了したか否か、すなわち、溶接トーチ6が溶接終了位置に達したか否かが判別される(S9)。溶接作業がまだ終了していない場合(S9:NO)、ステップS7に戻って、ステップS7~S9が繰り返される。溶接作業が終了した場合(S9:YES)、溶接終了指令が溶接電源装置2に送信される(S10)。溶接終了指令を受信した溶接電源装置2は、溶接電力の供給を終了する。ステップS7~S9が繰り返されて、溶接トーチ6が溶接開始位置から溶接終了位置まで移動し、その間、溶接電源装置2から溶接トーチ6に溶接電力が供給されることで、溶接開始位置から溶接終了位置までの溶接が行われる。この間、溶接電源装置2は、作業者のリモコン5の調整により溶接条件を変更しながら溶接電力を供給する。
【0035】
次に、溶接電源装置2からの溶接条件番号が受信されるのを待つ(S11)。溶接条件番号が受信された場合(S11:YES)、当該溶接条件番号が、ステップS3で設定された動作番号に関連付けられて動作情報テーブルに記憶され(S12)、ステップS1に戻る。
【0036】
一方、溶接モード処理(ステップS13~S22)では、ティーチングペンダント4の表示部41に動作選択画面が表示されて、動作番号の選択待ちになる(S13)。作業者が操作部42の操作により動作番号を選択して設定した場合(S13:YES)、設定された動作番号に対応する位置情報が、動作情報テーブルから読み出される(S14)。また、設定された動作番号に対応する溶接条件番号が、動作情報テーブルから読み出される(S15)。次に、溶接開始が指示されたか否かが判別され(S16)、溶接開始が指示された場合(S16:YES)、溶接開始指令が溶接電源装置2に送信される(S17)。また、併せて、読み出された溶接条件番号も、溶接電源装置2に送信される(S18)。溶接開始指令および溶接条件番号を受信した溶接電源装置2は、溶接条件番号に対応する溶接条件で溶接電力の供給を開始する。
【0037】
次に、動作情報テーブルから読み出された位置情報と、溶接開始からの経過時間などから、溶接トーチ6の配置位置が演算され(S19)、演算結果に基づいて溶接トーチ6が移動される(S20)。次に、溶接作業が終了したか否かが判別される(S21)。溶接作業がまだ終了していない場合(S21:NO)、ステップS19に戻って、ステップS19~S21が繰り返される。溶接作業が終了した場合(S21:YES)、溶接終了指令が溶接電源装置2に送信され(S22)、ステップS1に戻る。溶接終了指令を受信した溶接電源装置2は、溶接電力の供給を終了する。ステップS19~S21が繰り返されて、溶接トーチ6が溶接開始位置から溶接終了位置まで移動し、その間、溶接電源装置2から溶接トーチ6に所定の溶接条件で溶接電力が供給されることで、溶接開始位置から溶接終了位置までの溶接が行われる。
【0038】
なお、図5のフローチャートに示す処理は一例であって、制御部11が行う制御装置制御処理は上述したものに限定されない。例えば、ステップS22の後、ステップS1に戻るのではなく、ステップS16に戻って、ステップS16~S22を繰り返して、選択された動作番号の溶接作業を繰り返してもよい。また、所定の待機時間後、ステップS17に戻って、ステップS17~S22を繰り返して、選択された動作番号の溶接作業を自動的に所定回数だけ繰り返してもよい。
【0039】
溶接電源装置2は、パワーケーブルを介して、溶接トーチ6に溶接用の電力を供給するものである。溶接電源装置2は、図1に示すように、制御部21、記憶部22、通信部23、表示部24、操作部25、および電源部26を備えている。
【0040】
記憶部22は、溶接条件などを記憶する。
【0041】
図4は、記憶部22が記憶する溶接条件テーブルの一例を示す図である。溶接条件テーブルには、溶接条件番号に関連付けられて、溶接条件が記憶されている。本実施形態では、溶接条件として、溶接電流の電流値、溶接電圧の電圧値、および、溶接速度が記憶されている。溶接速度は、マニピュレータ3による溶接トーチ6の移動速度である。例えば、図4の場合、溶接条件番号「JOB1」に関連付けられた溶接条件として、溶接電流の電流値I1が記憶され、溶接電圧の電圧値V1が記憶され、溶接速度v1が記憶されている。なお、溶接条件は、その他の情報を含んでいてもよい。その他の情報としては、例えば、アーク特性、パルス波形(パルスピーク電流、パルスピーク時間、ベース電流)、EN比率、パルス周波数、AC周波数、クリーニング幅などがある。また、制御装置1がマニピュレータ3にウィービング溶接を実行させる場合は、溶接条件に、ウィービング周波数および/またはウィービング幅が含まれていてもよい。溶接条件は、作業者によってあらかじめ設定されて記憶されている。本実施形態では、作業者は、リモコン5を操作することで、溶接条件を設定する。溶接条件の設定方法の詳細については、後述する。
【0042】
通信部23は、制御装置1の通信部13との間で通信を行うものである。通信部23は、制御部21から入力される信号を変調して、通信信号として制御装置1に送信する。また、通信部23は、制御装置1から受信した通信信号を復調して、制御部21に出力する。
【0043】
表示部24は、各種表示を行うものであり、例えば液晶表示装置であるディスプレイ(図示なし)を備えている。表示部24は、制御部21によって制御され、各種情報の表示を行う。表示部24には、例えば、各種モードを選択するためのメニュー画面が表示される。
【0044】
操作部25は、作業者によって操作されるものであり、例えば操作ボタンを備えている。操作部25は、例えば、メニュー画面に表示された各種モードを選択するために用いられる。
【0045】
電源部26は、商用電源から入力される三相交流電力をアーク溶接に適した電力に変換して出力する。電源部26は、パワーケーブルを介して、溶接トーチ6に溶接用の電力を供給する。電源部26は、制御装置1から受信した指令に応じて電力の出力を開始、終了する。また、電源部26は、制御部21から入力される溶接条件に応じた電力を出力する。
【0046】
制御部21は、例えばマイクロコンピュータなどによって実現されており、溶接電源装置2を制御する。制御部21は、設定された溶接条件に応じて電力を出力するように、電源部26を制御する。また、制御部21は、通信部23を介して制御装置1から受信した情報、リモコン5から入力される操作信号、および、操作部25から入力される操作信号に基づいて、各種制御を行う。制御部21は、制御装置1から溶接開始指令を受信した場合、電源部26に電力の出力を開始させる。このとき、制御装置1から溶接条件番号も受信した場合(溶接モード)は、当該溶接条件番号に対応する溶接条件を記憶部22から読み出して設定する。一方、制御装置1から溶接条件番号を受信しない場合(調整モード)は、リモコン5から入力される操作信号に基づいて、溶接条件を設定する。また、制御部21は、制御装置1から溶接終了指令を受信した場合、電源部26に電力の出力を終了させ、設定されている溶接条件を記憶部22に記憶する。
【0047】
リモコン5は、溶接電源装置2に接続されており、溶接電源装置2を操作するものである。リモコン5は、調整モード時に、溶接電源装置2に溶接条件を設定する。
【0048】
図2に示すように、リモコン5は、操作つまみ52,53,54およびインチングボタン51を備えている。なお、リモコン5は、その他の操作手段も備えているが、説明を省略する。
【0049】
操作つまみ52,53,54は、リモコン5の筐体に回動可能に支持されており、溶接条件を調整するための操作部材である。リモコン5は、操作つまみ52,53,54の回動位置に応じた操作信号をそれぞれ制御部21に出力する。制御部21は、リモコン5から入力される操作信号に応じて、溶接条件を設定する。操作つまみ52は、溶接電流を調整するためのものである。溶接電流の電流値は、本実施形態では、操作つまみ52の周囲の目盛りのうち内側の目盛りに応じて、20~500Aの範囲で調整される。操作つまみ53は、溶接電圧を調整するためのものである。溶接電圧の電圧値は、本実施形態では、操作つまみ53の周囲の目盛りのうち内側の目盛りに応じて、12~50Vの範囲で調整される。操作つまみ54は、溶接速度を調整するためのものである。溶接速度は、本実施形態では、操作つまみ54の周囲の目盛りのうち内側の目盛りに応じて、0~300cm/mの範囲で調整される。
【0050】
インチングボタン51は、インチング操作の開始/停止操作を受け付けるための操作手段である。インチング操作は、溶接の準備として、溶接ワイヤの先端が溶接トーチ6の先端から所定の長さだけ突出するように、溶接ワイヤを送給するための操作である。インチングボタン51がオン操作(押下)されると、溶接電源装置2は、溶接ワイヤの送給を開始する。また、インチングボタン51のオン操作が解除されると、溶接電源装置2は、溶接ワイヤの送給を停止する。これにより、インチングボタン51を押下している間だけ溶接ワイヤが送給される。
【0051】
次に、図6を参照して、制御部21が行う溶接電源制御処理について説明する。図6は、溶接電源制御処理を説明するためのフローチャートの一例である。図6に示す溶接電源制御処理は、溶接電源装置2が起動したときに開始される。
【0052】
まず、制御装置1からの溶接開始指令が受信されたか否かが判別される(S31)。溶接開始指令が受信されていない場合(S31:NO)、ステップS31に戻って、ステップS31の判別が繰り返される。すなわち、溶接開始指令が受信されるまで待機する。溶接開始指令が受信された場合(S31:YES)、溶接条件番号が受信されたか否かが判別される(S32)。溶接条件番号が受信されなかった場合(S32:NO)、調整モードであると判断されて、ステップS33~S39に示す調整モード処理が行われる。一方、溶接条件番号が受信された場合(S32:YES)、溶接モードであると判断されて、ステップS40~S44に示す溶接モード処理が行われる。
【0053】
調整モード処理では、リモコン5から溶接条件が取得される(S33)。具体的には、制御部21は、リモコン5から入力される操作信号に基づいて、溶接条件を設定する。次に、溶接条件の1つである溶接速度が、制御装置1に送信される(S34)。制御装置1は、受信した溶接速度を、溶接トーチ6の配置位置の演算(図5のステップS7)に用いる。なお、溶接速度は、変化した場合のみ送信されてもよい。次に、設定された溶接条件に応じた溶接電力が、電源部26から出力される(S35)。具体的には、制御部21は、設定された溶接条件に応じて電力を出力するように、電源部26を制御する。次に、制御装置1からの溶接終了指令が受信されたか否かが判別される(S36)。溶接終了指令が受信されていない場合(S36:NO)、ステップS33に戻って、ステップS33~S36が繰り返される。溶接終了指令が受信された場合(S36:YES)、電源部26からの溶接電力の出力が停止される(S37)。ステップS33~S36が繰り返されている間、溶接電源装置2から溶接トーチ6に、設定された溶接条件に応じた溶接電力が供給される。また、その都度、ステップS33で、リモコン5から溶接条件が取得されるので、作業者によるリモコン5の操作つまみ52,53,54の操作に応じて、設定される溶接条件が変更される。
【0054】
次に、設定された溶接条件が記憶部22の溶接条件テーブルに記憶される(S38)。このとき、制御部21は、設定された溶接条件を、まだ溶接条件が関連付けられていない溶接条件番号に関連付けて記憶する。例えば、JOB1およびJOB2にすでに溶接条件が関連付けられていた場合、制御部21は、設定された溶接条件をJOB3に関連付けて記憶する。次に、設定された溶接条件が関連付けられた溶接条件番号が、制御装置1に送信されて(S39)、ステップS31に戻る。制御装置1は、受信した溶接条件番号を動作番号に関連付けて動作情報テーブルに記憶する。
【0055】
一方、溶接モード処理(ステップS40~S44)では、受信された溶接条件番号に関連付けられた溶接条件が、溶接条件テーブルから読み出されて設定される(S40)。次に、溶接条件の1つである溶接速度が、制御装置1に送信される(S41)。制御装置1は、受信した溶接速度を、溶接トーチ6の配置位置の演算(図5のステップS19)に用いる。次に、設定された溶接条件に応じた溶接電力が、電源部26から出力される(S42)。次に、制御装置1からの溶接終了指令が受信されたか否かが判別される(S43)。溶接終了指令が受信されていない場合(S43:NO)、ステップS42に戻って、ステップS42~S43が繰り返される。溶接終了指令が受信された場合(S43:YES)、電源部26からの溶接電力の出力が停止され(S44)、ステップS31に戻る。ステップS42~S43が繰り返されている間、溶接電源装置2から溶接トーチ6に溶接電力が供給される。なお、溶接モード処理では、受信された溶接条件番号に関連付けられた溶接条件が設定されるので、リモコン5が操作された場合でも、溶接条件は変更されない。
【0056】
なお、図6のフローチャートに示す処理は一例であって、制御部21が行う溶接電源制御処理は上述したものに限定されない。
【0057】
次に、溶接ロボットシステムA1の操作方法について説明する。
【0058】
作業者は、まず、位置情報を教示する。作業者は、ティーチングペンダント4の表示部41に表示されたメニュー画面で、「教示モード」を選択し、動作番号を選択する。そして、作業者は、マニピュレータ3に取り付けられた溶接トーチ6を移動させ、ティーチングペンダント4を操作することで、溶接開始位置および溶接終了位置などの位置情報を教示する。教示された位置情報は、選択された動作番号に関連付けられて、動作情報テーブルに記憶される。
【0059】
次に、作業者は、溶接条件を教示する。作業者は、ティーチングペンダント4の表示部41に表示されたメニュー画面で、「調整モード」を選択し、動作番号を選択する。これにより、選択された動作番号に対応する位置情報が、動作情報テーブルから読み出される。そして、作業者は、ティーチングペンダント4から、溶接開始を指示する。これにより、制御装置1から溶接電源装置2に溶接開始指令が送信される。調整モードの場合、溶接電源装置2は、溶接条件番号を受信しないので、調整モードであると判断できる。
【0060】
制御装置1は、動作情報テーブルから読み出した位置情報に基づいて溶接トーチ6を移動させる。溶接電源装置2は、リモコン5から溶接条件を取得して、取得した溶接条件に応じた溶接電力を出力する。また、溶接電源装置2は、取得した溶接速度を制御装置1に送信する。制御装置1は、受信した溶接速度に応じて、溶接トーチ6を移動させる。この調整モードでの溶接作業(図5のステップS7~S9、および、図6のステップS33~S36参照)の間、作業者は、リモコン5の操作つまみ52~54を操作することで、溶接条件(溶接電流、溶接電圧、および溶接速度)を調整する。リモコン5の操作が即座に反映されて溶接が行われるので、作業者は、溶接状態を確認しながら、リモコン5を操作することで、適切な溶接条件を設定できる。
【0061】
溶接トーチ6が溶接終了位置に達し、制御装置1が溶接電源装置2に溶接終了指令を送信すると、溶接電源装置2が溶接電力の出力を停止して、調整モードでの溶接作業が終了する。溶接電源装置2は、溶接作業終了時に設定されている溶接条件を、溶接条件番号に関連付けて記憶部22の溶接条件テーブルに記憶し、当該溶接条件番号を制御装置1に送信する。制御装置1は、受信した溶接条件番号を動作番号に関連付けて、動作情報テーブルに記憶する。これにより、動作番号と溶接条件とが、自動的に関連付けられる。
【0062】
教示された動作情報に基づいて実際にワークの溶接を行う場合、作業者は、ティーチングペンダント4の表示部41に表示されたメニュー画面で、「溶接モード」を選択し、動作番号を選択する。これにより、選択された動作番号に対応する位置情報および溶接条件番号が、動作情報テーブルから読み出される。そして、作業者は、ティーチングペンダント4から、溶接開始を指示する。これにより、制御装置1から溶接電源装置2に溶接開始指令および溶接条件番号が送信される。溶接モードの場合、溶接電源装置2は、溶接条件番号も受信するので、溶接モードであると判断できる。
【0063】
制御装置1は、動作情報テーブルから読み出した位置情報に基づいて溶接トーチ6を移動させる。溶接電源装置2は、受信した溶接条件番号に関連付けられた溶接条件を、溶接条件テーブルから読み出して、当該溶接条件に応じた溶接電力を出力する。また、溶接電源装置2は、読み出した溶接速度を制御装置1に送信する。制御装置1は、受信した溶接速度に応じて、溶接トーチ6を移動させる。この溶接モードでの溶接作業(図5のステップS19~S21、および、図6のステップS42~S43参照)では、受信された溶接条件番号に関連付けられた溶接条件が設定されるので、リモコン5が操作された場合でも、溶接条件は変更されない。溶接トーチ6が溶接終了位置に達して、制御装置1が溶接電源装置2に溶接終了指令を送信するまで、溶接電源装置2は溶接電力を溶接トーチ6に供給する。これにより、溶接開始位置から溶接終了位置までの溶接が行われる。
【0064】
次に、本実施形態に係る溶接ロボットシステムA1の作用効果について説明する。
【0065】
本実施形態によると、溶接ロボットシステムA1において、調整モードで溶接条件を教示する場合、作業者は、溶接状態を確認しながら、リモコン5を操作することで、適切な溶接条件を設定できる。したがって、作業者は、ティーチングペンダント4の操作に不慣れであっても、リモコン5の操作によって、容易に溶接条件を設定できる。また、溶接作業終了時に設定されている溶接条件が溶接条件番号に関連付けられて溶接条件テーブルに記憶され、当該溶接条件番号が動作番号に関連付けられて、動作情報テーブルに記憶される。つまり、動作番号と溶接条件とが、自動的に関連付けられる。したがって、作業者は、動作番号と溶接条件とを関連付けるために、ティーチングペンダント4を操作する必要がない。また、本実施形態によると、調整モードでの1度の溶接作業で適切な溶接条件が設定されるので、適切な溶接条件を設定するために溶接作業と溶接条件の修正とを繰り返す必要がない。これにより、適切な溶接条件の設定に費やす時間を短縮できる。
【0066】
また、本実施形態によると、溶接モードでは、制御装置1は、選択された動作番号に対応する溶接条件番号を動作情報テーブルから読み出し、溶接電源装置2に送信する。溶接電源装置2は、受信した溶接条件番号に関連付けられた溶接条件を溶接条件テーブルから読み出して、当該溶接条件に応じた溶接電力を出力する。したがって、溶接電源装置2は、動作番号に対応する溶接条件で溶接電力を出力することができる。
【0067】
また、本実施形態によると、溶接条件には、溶接電流の電流値、溶接電圧の電圧値、および溶接速度が含まれており、これらはリモコン5の操作で調整される。したがって、調整モードにおいて、溶接電流の電流値、溶接電圧の電圧値、および溶接速度を、それぞれ調整することができる。また、リモコン5は、3個の操作つまみ52~54を備えており、溶接電流は操作つまみ52によって調整され、溶接電圧は操作つまみ53によって調整され、溶接速度は操作つまみ54によって調整される。したがって、溶接電流の電流値、溶接電圧の電圧値、および溶接速度を、それぞれ異なる操作つまみで個別に調整できる。なお、調整される溶接条件の要素の数が、リモコン5に配置されている操作つまみの数より多い場合は、例えば切替ボタンを設けて、各操作つまみで調整する要素を切り替えればよい。この場合、リモコン5に配置される操作つまみの数を削減できるが、調整したい要素に切り替える必要がある。したがって、調整される溶接条件の要素の数と操作つまみの数が一致する方が、操作が容易である。
【0068】
なお、本実施形態においては、リモコン5で調整される溶接条件が、溶接電流、溶接電圧、および溶接速度である場合について説明したが、これに限られない。その他の溶接条件も、リモコン5で調整されてもよい。この場合、溶接条件の調整される要素ごとに、リモコン5に操作つまみを設けてもよいし、操作つまみ52~54を、複数の要素で切り替えて兼用してもよい。また、リモコン5で調整される溶接条件に、溶接電流、溶接電圧、および溶接速度のすべてが含まれていなくてもよい。例えば、溶接電流だけがリモコン5で調整されてもよい。
【0069】
また、本実施形態においては、溶接条件が調整モードでのリモコン5の操作により設定されるが、制御装置1でのモードの切り替えにより、ティーチングペンダント4から設定してもよい。この場合、ティーチングペンダント4で設定された溶接条件が、制御装置1から溶接電源装置2に送信されて、記憶部22の溶接条件テーブルに記憶される。そして、記憶された溶接条件に関連付けられた溶接条件番号が、溶接電源装置2から制御装置1に送信され、当該溶接条件番号が動作番号に関連付けられて、記憶部12の動作番号テーブルに記憶される。
【0070】
また、本実施形態においては、動作情報の位置情報として、溶接開始位置と溶接終了位置とが教示されている場合について説明したが、これに限られない。例えば、複数の区間を連続で溶接する場合がある。この場合は、溶接開始位置と溶接終了位置との間で、区間の区切りの位置が中間位置として教示される。各区間で溶接の方向や溶接トーチ6の傾きなどが異なるので、適切な溶接条件も異なってくる。この場合、調整モード時において、図5のフローチャートにおけるステップS7~S12 の処理、および、図6のフローチャートにおけるステップS33~S39 の処理を、区間ごとに繰り返して、区間の溶接終了時の溶接条件を区間ごとに記憶すればよい。なお、この場合は、最後の区間以外は、ステップS37の電力停止を行う必要はない。また、溶接モード時には、図5のフローチャートにおけるステップS18~S21 の処理、および、図6のフローチャートにおけるステップS40~S43 の処理を、区間ごとに繰り返して、区間ごとに溶接条件番号に対応する溶接条件を読み出せばよい。
【0071】
図7図9は、本発明の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0072】
〔第2実施形態〕
図7および図8は、第2実施形態に係る溶接ロボットシステムA2を説明するための図である。図7は、第2実施形態に係る制御装置制御処理を説明するためのフローチャートの一例である。図8は、第2実施形態に係る溶接電源制御処理を説明するためのフローチャートの一例である。溶接ロボットシステムA2のハード構成は、溶接ロボットシステムA1(図1参照)と共通する。本実施形態に係る溶接ロボットシステムA2は、調整モードにおいて、溶接作業終了時以外でも、溶接条件を記憶できる点で、溶接ロボットシステムA1と異なる。
【0073】
第1実施形態に係る溶接ロボットシステムA1は、調整モードにおいて、溶接作業終了時に設定されている溶接条件を動作番号に関連付けた。一方、本実施形態に係る溶接ロボットシステムA2は、調整モードの溶接作業時に、溶接条件を複数回、仮記憶できるようにした。そして、仮記憶された溶接条件の中から、作業者が所望の溶接条件を選択できるようにした。
【0074】
図8は、第2実施形態に係る制御部21が行う溶接電源制御処理を説明するためのフローチャートの一例である。図8に示すフローチャートは、図6に示すフローチャートにおいて、ステップS35とステップS36との間に、ステップS61~S63が追加されたものである。
【0075】
調整モード処理において、リモコン5から取得された溶接条件に応じて溶接電力が出力された後(S35)、溶接条件の記憶を指示するための条件記憶ボタンが押下されたか否かが判別される(S61)。本実施形態では、リモコン5に配置され、通常は溶接作業中には使用されないインチングボタン51が、条件記憶ボタンとして機能する。つまり、制御部21は、リモコン5からインチングボタン51の操作信号が入力されたか否かを判別する。記憶ボタンが押下された場合(S61:YES)、リモコン5によって設定されている溶接条件が、記憶部22の溶接条件テーブルに記憶される(S62)。このとき、制御部21は、設定されている溶接条件を、まだ溶接条件が関連付けられていない溶接条件番号に関連付けて記憶する。次に、溶接条件が関連付けられた溶接条件番号が、制御装置1に送信されて(S63)、ステップS36に進む。一方、ステップS61において、記憶ボタンが押下されていない場合(S61:NO)、そのままステップS36に進む。これにより、調整モード処理での溶接作業中に、インチングボタン51が押下される度に、そのときリモコン5によって設定されている溶接条件が記憶され、対応する溶接条件番号が制御装置1に送信される。なお、第1実施形態と同様に、溶接作業終了時に設定されている溶接条件も記憶されて、対応する溶接条件番号が制御装置1に送信される。
【0076】
図7は、第2実施形態に係る制御部11が行う制御装置制御処理を説明するためのフローチャートの一例である。図7に示すフローチャートは、図5に示すフローチャートにおいて、ステップS8とステップS9との間に、ステップS51~S52が追加され、ステップS11とステップS12との間に、ステップS53~S54が追加されたものである。
【0077】
調整モード処理において、溶接トーチ6が移動された後(S8)、溶接電源装置2からの溶接条件番号が受信されたか否かが判別される(S51)。溶接条件番号が受信された場合(S51:YES)、当該溶接条件番号が記憶部12に仮記憶されて(S52)、ステップS9に進む。一方、ステップS51において、溶接条件番号が受信されていない場合(S51:NO)、そのままステップS9に進む。これにより、調整モード処理での溶接作業中に、溶接電源装置2から受信した溶接条件番号がすべて仮記憶される。
【0078】
溶接作業が終了した後(S9:YES)、ステップS11で受信された溶接条件番号も仮記憶される(S53)。次に、ティーチングペンダント4の表示部41に、仮記憶された複数の溶接条件番号と、各溶接条件番号に対応する溶接条件とが、一覧として表示されて、作業者による選択を待つ(S54)。各溶接条件番号に対応する溶接条件は、溶接電源装置2の記憶部22の溶接条件テーブルから読み出されてもよいし、溶接電源装置2が溶接条件番号を送信するときに、併せて送信してもよい。作業者が操作部42の操作により1個の溶接条件番号を選択した場合(S54:YES)、当該溶接条件番号が、ステップS3で設定された動作番号に関連付けられて動作情報テーブルに記憶され(S12)、ステップS1に戻る。
【0079】
なお、図7および図8のフローチャートに示す処理は一例であって、制御部11が行う制御装置制御処理、および、制御部21が行う溶接電源制御処理は上述したものに限定されない。
【0080】
本実施形態においても、調整モードで溶接条件を教示する場合、作業者は、溶接状態を確認しながら、リモコン5を操作することで、適切な溶接条件を設定できる。したがって、作業者は、ティーチングペンダント4の操作に不慣れであっても、リモコン5の操作によって、容易に溶接条件を設定できる。また、本実施形態によると、溶接作業終了時だけでなく、調整モードの溶接作業時に、条件記憶ボタン(インチングボタン51)を押下することで、そのときの溶接条件も仮記憶できる。そして、作業者は、仮記憶された溶接条件から、動作番号に関連付ける溶接条件を選択できる。したがって、作業者は、溶接作業時に適切だと判断したときに溶接条件を仮記憶して、その後も、さらに適切な溶接条件を求めて変更することができる。また、本実施形態においても、調整モードでの1度の溶接作業で適切な溶接条件が設定されるので、適切な溶接条件を設定するために溶接作業と溶接条件の修正とを繰り返す必要がない。これにより、適切な溶接条件の設定に費やす時間を短縮できる。
【0081】
なお、本実施形態においては、インチングボタン51が条件記憶ボタンとして機能する場合について説明したが、これに限られない。リモコン5に設けられたその他のボタンを、条件記憶ボタンとして機能させてもよい。また、リモコン5に、専用の(他の機能を兼用しない)条件記憶ボタンを設けてもよい。
【0082】
また、本実施形態においては、溶接作業終了時に設定されている溶接条件も記憶されて、対応する溶接条件番号が仮記憶される場合について説明したが、溶接作業終了時に設定されている溶接条件は記憶されなくてもよい。つまり、図8に示すフローチャートにおいて、ステップS38およびステップS39が省略され、図7に示すフローチャートにおいて、ステップS11およびステップS53が省略されてもよい。なお、仮記憶された溶接条件から動作番号に関連付ける溶接条件を作業者が選択するのではなく、最後に仮記憶された溶接条件が、自動的に選択されるようにしてもよい。一般的に、先に仮記憶した溶接条件よりさらに適切な溶接条件にならない限り、作業者は溶接条件を仮記憶しないので、最後に仮記憶した溶接条件が最も適切な溶接条件であると考えることができる。この場合、作業者は、選択のための操作をする必要がない。また、複数の区間を連続で溶接する場合、各区間での溶接作業時において最後に仮記憶された溶接条件が、当該区間での溶接条件として自動的に選択されてもよい。
【0083】
また、本実施形態においては、条件記憶ボタン(インチングボタン51)の押下の度に、溶接電源装置2が溶接条件を記憶して溶接条件番号を送信する場合について説明したが、これに限られない。例えば、溶接電源装置2は、条件記憶ボタンの押下の度に溶接条件を記憶しておき、溶接作業終了後に、作業者に溶接条件を選択させた後で、選択された溶接条件の溶接条件番号だけを制御装置1に送信してもよい。この場合、溶接条件の選択は、溶接電源装置2の操作部25の操作で行ってもよいし、ティーチングペンダント4の操作部42の操作で行ってもよい。
【0084】
〔第3実施形態〕
図9は、第3実施形態に係る溶接ロボットシステムA3を説明するための図であり、第3実施形態に係る溶接電源制御処理を説明するためのフローチャートの一例である。溶接ロボットシステムA3のハード構成は、溶接ロボットシステムA1(図1参照)と共通する。本実施形態に係る溶接ロボットシステムA3は、溶接モードにおいて、溶接条件を微調整できる点で、溶接ロボットシステムA1と異なる。
【0085】
第1実施形態に係る溶接ロボットシステムA1では、溶接モードにおいては、溶接条件を修正することができない。しかし、溶接モードで、実際にワークの溶接を行っているうちに、溶接条件を微調整したくなる場合がある。本実施形態に係る溶接ロボットシステムA3は、溶接モードにおいても、溶接条件の微調整ができるようにした。
【0086】
本実施形態では、溶接電源装置2において、あらかじめ、固定モードか微調整モードかが設定されている。固定モードは、溶接モード処理時の溶接条件の変更を認めないモードである。微調整モードは、溶接モード処理時の溶接条件の微調整を受け付けるモードである。モードの設定は、表示部24に表示されたメニュー画面において、作業者による操作部25の操作に基づいて行われる。制御部21は、操作部25からの操作入力に基づいて、モードを切り替えて設定する。
【0087】
微調整モードにおいて、溶接条件の微調整は、記憶部22の溶接条件テーブルに記憶された溶接条件を、リモコン5の操作で書き替えることで行われる。調整モードにおいては、溶接条件が、図2に示すリモコン5の各操作つまみ52,53,54が指す内側の目盛りに応じた値に調整されたが、微調整モードにおいては、溶接条件が、各操作つまみ52,53,54が指す外側の目盛りに応じて、微調整される。図2に示すように、各操作つまみ52,53,54が、外側の目盛りの「0」を指している場合(基準位置)、溶接条件テーブルから読み出された溶接条件が、そのまま(増減が0%)設定される。また、各操作つまみ52,53,54が、基準位置より時計回りに回動された場合、溶接条件テーブルから読み出された溶接条件を基準にして、外側の目盛りに示す割合で増加させた溶接条件が設定される。また、各操作つまみ52,53,54が、基準位置より反時計回りに回動された場合、溶接条件テーブルから読み出された溶接条件を基準にして、外側の目盛りに示す割合で減少させた溶接条件が設定される。本実施形態では、±30%の範囲で増減可能である。制御部21は、リモコン5から入力される操作信号に基づいて、各操作つまみ52,53,54の基準位置からの変位量を検出し、これに応じて、溶接条件テーブルから読み出した溶接条件を増減させて設定する。
【0088】
図9は、第3実施形態に係る制御部21が行う溶接電源制御処理を説明するためのフローチャートの一例である。図9に示すフローチャートは、図6に示すフローチャートにおいて、ステップS40とステップS41との間に、ステップS71~S78が追加されたものである。
【0089】
溶接モード処理において、溶接条件が溶接条件テーブルから読み出された後(S40)、微調整モードが設定されているか否かが判別される(S71)。微調整モードではなく、固定モードが設定されている場合(S71:NO)、第1実施形態と同様、ステップS41~S44の処理が行われる。この場合、溶接条件の変更は禁止される。一方、微調整モードが設定されている場合(S71:YES)、各操作つまみ52,53,54の基準位置からの各変位量が検出される(S72)。次に、ステップS40で読み出された溶接条件を基準にして、各変位量に応じた溶接条件を算出して設定する(S73)。次に、溶接条件の1つである溶接速度が、制御装置1に送信される(S74)。次に、設定された溶接条件に応じた溶接電力が、電源部26から出力される(S75)。次に、制御装置1からの溶接終了指令が受信されたか否かが判別される(S76)。溶接終了指令が受信されていない場合(S76:NO)、ステップS72に戻って、ステップS72~S76が繰り返される。ステップS72~S76が繰り返されている間、溶接電源装置2から溶接トーチ6に、設定された溶接条件に応じた溶接電力が供給される。また、その都度、ステップS72およびS73で、作業者によるリモコン5の操作に応じて溶接条件が微調整される。
【0090】
溶接終了指令が受信された場合(S76:YES)、設定されている溶接条件が記憶部22の溶接条件テーブルに上書きされる(S77)。これにより、微調整後の溶接条件が記憶される。次に、電源部26からの溶接電力の出力が停止され(S78)、ステップS31に戻る。
【0091】
なお、図9のフローチャートに示す処理は一例であって、制御部21が行う溶接電源制御処理は上述したものに限定されない。
【0092】
本実施形態においても、調整モードで溶接条件を教示する場合、作業者は、溶接状態を確認しながら、リモコン5を操作することで、適切な溶接条件を設定できる。したがって、作業者は、ティーチングペンダント4の操作に不慣れであっても、リモコン5の操作によって、容易に溶接条件を設定できる。また、動作番号と溶接条件とが、自動的に関連付けられるので、作業者は、動作番号と溶接条件とを関連付けるために、ティーチングペンダント4を操作する必要がない。また、本実施形態によると、調整モードでの1度の溶接作業で適切な溶接条件が設定されるので、適切な溶接条件を設定するために溶接作業と溶接条件の修正とを繰り返す必要がない。これにより、適切な溶接条件の設定に費やす時間を短縮できる。
【0093】
さらに、本実施形態によると、溶接電源装置2で微調整モードが選択されている場合、溶接モードでも、溶接条件の微調整ができる。したがって、調整モードで改めて溶接条件を設定する必要がない。また、このとき、作業者は、溶接状態を確認しながら、リモコン5を操作することで、溶接条件の微調整が可能である。したがって、作業者は、容易に溶接条件を微調整できる。また、溶接作業終了時に設定されている溶接条件が自動的に溶接条件テーブルに上書きされるので、作業者は、微調整後の溶接条件を記憶させる操作が不要である。
【0094】
また、本実施形態によると、微調整モードにおいては、溶接条件が、各操作つまみ52,53,54の基準位置からの変位量に応じて増減される。このような調整方法は、溶接条件テーブルから読み出された溶接条件を基準にして微調整する場合に適している。なお、当該調整方法は、調整モードでの溶接条件の設定にも適用してもよい。例えば、溶接条件の基準値をあらかじめ設定しておき、基準値からの増減で溶接条件を調整してもよい。
【0095】
本発明に係る溶接ロボットシステムは、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る溶接ロボットシステムの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0096】
1:制御装置、11:制御部、12:記憶部、2:溶接電源装置、21:制御部、22:記憶部、23:通信部、26:電源部、3:マニピュレータ、5:リモコン、51:インチングボタン、52~53:操作つまみ52、6:溶接トーチ
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