(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】建築板
(51)【国際特許分類】
E04F 13/08 20060101AFI20240131BHJP
【FI】
E04F13/08 E
E04F13/08 Y
(21)【出願番号】P 2020064132
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2022-12-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000110860
【氏名又は名称】ニチハ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小栗 和則
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-172011(JP,A)
【文献】特開2001-003486(JP,A)
【文献】特開平08-270170(JP,A)
【文献】特開2004-019214(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0236175(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/16
E04F 13/18
B32B 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延びる一対の第1縁端部と、
前記第1方向と交差する第2方向に延びる一対の第2縁端部と、
前記一対の第1縁端部と前記一対の第2縁端部とによって外郭形状が規定された意匠面と、を備える建築板であって、
前記意匠面は、
前記一対の第1縁端部間を前記第2方向に横断して、前記意匠面を前記第1方向に並ぶ複数の第1区画に分ける、少なくとも一本の第1目地溝と、
前記第1区画を前記第1方向に横断して、前記第1区画を前記第2方向に並ぶ複数の第2区画に分ける、前記第1区画ごとに少なくとも一本の第2目地溝と、
前記第2区画を前記第2方向に横断する、前記第2区画ごとに少なくとも一本の第3目地溝と、
前記第2区画を前記第1方向に横断する、前記第2区画ごとに少なくとも一本の第4目地溝とを有し、且つ、
前記第2区画ごとに、前記第3および第4目地溝によって外郭形状の少なくとも一部が規定された複数の意匠凸部を有し、
隣り合う二つの第1区画における一方の第1区画の第2目地溝と他方の第1区画の第2目地溝とは、前記第2方向において位置ずれしてい
て、
前記第1縁端部沿いに位置する第2区画内の意匠凸部のうち、前記第2方向の長さが最も小さい意匠凸部は、前記第1縁端部沿いに位置しない、建築板。
【請求項2】
第1方向に延びる一対の第1縁端部と、
前記第1方向と交差する第2方向に延びる一対の第2縁端部と、
前記一対の第1縁端部と前記一対の第2縁端部とによって外郭形状が規定された意匠面と、を備える建築板であって、
前記意匠面は、
前記一対の第1縁端部間を前記第2方向に横断して、前記意匠面を前記第1方向に並ぶ複数の第1区画に分ける、少なくとも一本の第1目地溝と、
前記第1区画を前記第1方向に横断して、前記第1区画を前記第2方向に並ぶ複数の第2区画に分ける、前記第1区画ごとに少なくとも一本の第2目地溝と、
前記第2区画を前記第2方向に横断する、前記第2区画ごとに少なくとも一本の第3目地溝と、
前記第2区画を前記第1方向に横断する、前記第2区画ごとに少なくとも一本の第4目地溝とを有し、且つ、
前記第2区画ごとに、前記第3および第4目地溝によって外郭形状の少なくとも一部が規定された複数の意匠凸部を有し、
隣り合う二つの第1区画における一方の第1区画の第2目地溝と他方の第1区画の第2目地溝とは、前記第2方向において位置ずれしていて、
前記第2縁端部沿いに位置する第2区画内の意匠凸部のうち、前記第1方向の長さが最も小さい意匠凸部は、前記第2縁端部沿いに位置しない、建築板。
【請求項3】
前記第2縁端部沿いに位置する第2区画内の意匠凸部のうち、前記第1方向の長さが最も小さい意匠凸部は、前記第2縁端部沿いに位置しない、請求項1に記載の建築板。
【請求項4】
前記第1方向に隣り合う二つの第2区画における一方の第2区画の第4目地溝と他方の第2区画の第4目地溝とは、前記第2方向において位置ずれしている、請求項1から3のいずれか一つに記載の建築板。
【請求項5】
前記一対の第2縁端部の一方に至る第2目地溝と他方に至る第2目地溝とは、前記第2方向において位置ずれしている、請求項1から4のいずれか一つに記載の建築板。
【請求項6】
前記一対の第2縁端部の一方に至る第4目地溝と他方に至る第4目地溝とは、前記第2方向において位置ずれしている、請求項1から5のいずれか一つに記載の建築板。
【請求項7】
前記第2方向に隣り合う二つの第2区画における一方の第2区画の第3目地溝と他方の第2区画の第3目地溝とは、前記第1方向において位置ずれしている、請求項1から6のいずれか一つに記載の建築板。
【請求項8】
前記一対の第1縁端部の一方に至る第3目地溝と他方に至る第3目地溝とは、前記第1方向において位置ずれしている、請求項1から7のいずれか一つに記載の建築板。
【請求項9】
前記第1目地溝および前記第2目地溝は、前記第3目地溝および前記第4目地溝よりも深い、請求項1から8のいずれか一つに記載の建築板。
【請求項10】
前記意匠面は、少なくとも一つの第2区画において、前記第3目地溝として、浅目地溝と、これより深い深目地溝とを有する、請求項1から9のいずれか一つに記載の建築板。
【請求項11】
前記意匠面は、少なくとも一つの第2区画において、前記第4目地溝として、浅目地溝と、これより深い深目地溝とを有する、請求項1から10のいずれか一つに記載の建築板。
【請求項12】
前記浅目地溝は、前記深目地溝よりも大きな溝幅を有する、請求項10または11に記載の建築板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の外装仕上げや内装仕上げに用いることのできる建築用の板材すなわち建築板に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の例えば外壁部や内壁部を構成するための建築用板材(壁パネル)として、窯業系サイディングボードや金属系サイディングボードなど、所定の意匠面を有する建築板が用いられることがある。建築板を用いての壁部の施工にあたっては、複数枚の建築板が上下方向や左右方向に継ぎ合わされる。そのような建築板の意匠面には、レンガ調模様の意匠面や、タイル調模様の意匠面、石積み調模様の意匠面などがある。このような建築板に関する技術については、例えば下記の特許文献1,2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-107470号公報
【文献】特開2015-140607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような建築板には、複数枚が継ぎ合わされた施工状態において継合せ箇所のズレが目立たないことが、求められる。
【0005】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであり、その目的は、複数枚が継ぎ合わされた施工状態において継合せ箇所のズレが目立つことを抑制するのに適した建築板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明により提供される建築板は、第1方向に延びる一対の第1縁端部と、第1方向と交差する第2方向に延びる一対の第2縁端部と、一対の第1縁端部と一対の第2縁端部とによって外郭形状が規定された意匠面とを備える。第1方向と第2方向とは、好ましくは直交する。
【0007】
意匠面は、少なくとも一本の第1目地溝を有する。当該少なくとも一本の第1目地溝は、第1方向に延びる一対の第1縁端部間を第2方向に横断して、意匠面を第1方向に並ぶ複数の第1区画に分ける。意匠面は、第1区画ごとに少なくとも一本の第2目地溝を有する。当該少なくとも一本の第2目地溝は、第1区画を第1方向に横断して、第1区画を第2方向に並ぶ複数の第2区画に分ける。意匠面は、第2区画ごとに、第2区画を第2方向に横断する少なくとも一本の第3目地溝と、第2区画を第1方向に横断する少なくとも一本の第4目地溝と、当該第3および第4目地溝によって外郭形状の少なくとも一部が規定された複数の意匠凸部とを有する。意匠面において、隣り合う二つの第1区画における一方の第1区画の第2目地溝と他方の第1区画の第2目地溝とは、第2方向において位置ずれしている。
【0008】
このような構成の本建築板では、第1目地溝、第2目地溝、第3目地溝、第4目地溝、および意匠凸部により、立体的なチェック柄模様が表現されうる。
【0009】
本建築板を用いての壁部の施工にあたっては、複数枚の本建築板が上下方向(縦方向)や左右方向(横方向)に継ぎ合わされる。具体的には、二枚の本建築板は、それらの第1縁端部を介して例えば上下方向に継ぎ合わされる。その継合せ箇所(第1継合せ箇所)には、第1方向に延びる通し目地として目地溝が形成されうる。また、二枚の本建築板は、それらの第2縁端部を介して例えば左右方向に継ぎ合わされる。その継合せ箇所(第2継合せ箇所)には、第2方向に延びる通し目地として目地溝が形成されうる。
【0010】
上記のように、本建築板の意匠面は、第1目地溝と、第2目地溝と、第3目地溝と、第4目地溝とを有し(これら目地溝は、意匠面に形成された擬似的な目地溝である)、第1目地溝は、一対の第1縁端部間を第2方向に横断する。このような第1目地溝は、本建築板の二枚がそれらの第2縁端部を介して継ぎ合わされた場合にその継合せ箇所(第2継合せ箇所)に形成されうる目地溝(第1目地溝と同様に第2方向に延びる)と、見た目が似ている。
【0011】
そして、本建築板の意匠面では、第1目地溝を介して隣り合う二つの第1区画における一方の第1区画の第2目地溝と他方の第1区画の第2目地溝とは、上記のように、共に第1方向に延びつつ、互いに第2方向において位置ずれしている。第2継合せ箇所に形成されうる目地溝に似ている第1目地溝を介して反対側に位置する第2目地溝が第2方向に位置ずれしているという当該構成は、上述の第2継合せ箇所において隣接建築板間に第2方向のズレが生じて隣接建築板の意匠面間に第2方向のズレが生じた場合に、そのズレが目立つことを抑制するのに適する。好ましくは、第1縁端部沿いに位置する第2区画内の意匠凸部のうち、第2方向の長さが最も小さい意匠凸部は、第1縁端部沿いに位置しない。このような構成は、上述の第1継合せ箇所において隣接建築板間に第1方向のズレが生じて隣接建築板の意匠面間に第1方向のズレが生じた場合に、そのズレが目立つことを抑制するのに適する。第1方向に延びる第1縁端部沿いに位置する意匠凸部が第2方向に長いほど、第1縁端部において当該意匠凸部が沿う箇所にて、位置ずれが目立ちにくくなる傾向にある。好ましくは、第2縁端部沿いに位置する第2区画内の意匠凸部のうち、第1方向の長さが最も小さい意匠凸部は、第2縁端部沿いに位置しない。このような構成は、上述の第2継合せ箇所において隣接建築板間に第2方向のズレが生じて隣接建築板の意匠面間に第2方向のズレが生じた場合に、そのズレが目立つことを抑制するのに適する。第2方向に延びる第2縁端部沿いに位置する意匠凸部が第1方向に長いほど、第2縁端部において当該意匠凸部が沿う箇所にて、位置ずれが目立ちにくくなる傾向にある。
【0012】
以上のように、本発明の建築板は、複数枚が継ぎ合わされた施工状態において継合せ箇所のズレが目立つことを抑制するのに適する。
【0013】
好ましくは、第1方向に隣り合う二つの第2区画における一方の第2区画の第4目地溝と他方の第2区画の第4目地溝とは、第2方向において位置ずれしている。好ましくは、一対の第2縁端部の一方に至る第2目地溝と他方に至る第2目地溝とは、第2方向において位置ずれしている。好ましくは、一対の第2縁端部の一方に至る第4目地溝と他方に至る第4目地溝とは、第2方向において位置ずれしている。目地溝のこれら位置ずれ構成は、上述の第2継合せ箇所において隣接建築板間に第2方向のズレが生じて隣接建築板の意匠面間に第2方向のズレが生じた場合に、そのズレが目立つことを抑制するのに適する。
【0014】
好ましくは、第2目地溝を介して第2方向に隣り合う二つの第2区画における一方の第
2区画の第3目地溝と他方の第2区画の第3目地溝とは、第1方向において位置ずれして
いる。
【0015】
好ましくは、一対の第1縁端部の一方に至る第3目地溝と他方に至る第3目地溝とは、第1方向において位置ずれしている。目地溝のこれら位置ずれ構成は、上述の第1継合せ箇所において隣接建築板間に第1方向のズレが生じて隣接建築板の意匠面間に第1方向のズレが生じた場合に、そのズレが目立つことを抑制するのに適する。
【0016】
好ましくは、第1目地溝および第2目地溝は、第3目地溝および第4目地溝よりも深い。このような構成は、意匠面において第1目地溝および第2目地溝によって外郭形状が規定される第1区画および第2区画を視覚的に認識しやすくするのに適する。
【0017】
好ましくは、意匠面は、少なくとも一つの第2区画において、第3目地溝として、浅目地溝と、これより深い深目地溝とを有する。
【0018】
好ましくは、意匠面は、少なくとも一つの第2区画において、第4目地溝として、浅目地溝と、これより深い深目地溝とを有する。これら構成は、意匠面におけるデザイン性を高めるのに役立ち、例えば、意匠面において表現される上記立体的チェック柄模様の凹凸の程度にバラつきを付与するのに適する。また、本建築板の意匠面におけるそのような凹凸バラつきは、上述の第1および第2継合せ箇所において隣接建築板間に厚さ方向のズレが生じた場合に形成される段差に似ているので、継合せ箇所にて隣接建築板間の厚さ方向のズレが目立つことを抑制するのに役立つ。
【0019】
好ましくは、浅目地溝は、深目地溝よりも大きな溝幅を有する。このような構成は、意匠面におけるデザイン性を高めるのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一の実施形態に係る建築板の平面図である。
【
図3】
図1に示す建築板における第2方向に延びる第2縁端部の側面図(一部省略側面図)である。
【
図4】
図1に示す建築板における第1方向に延びる第1縁端部の側面図(一部省略側面図)である。
【
図5】(a)は第1目地溝の断面図である。(b)は第2目地溝の断面図である。(c)は、第3目地溝としての浅目地溝の断面図である。(d)は、第3目地溝としての深目地溝の断面図である。(e)は、第4目地溝としての浅目地溝の断面図である。(f)は、第4目地溝としての深目地溝の断面図である。
【
図6】二枚の建築板がそれらの第1縁端部を介して継ぎ合わされた状態における当該第1縁端部およびその近傍の断面図である。
【
図7】二枚の建築板がそれらの第1縁端部を介して継ぎ合わされた状態における当該第1縁端部およびその近傍の平面図である。
【
図8】二枚の建築板がそれらの第2縁端部を介して継ぎ合わされた状態における当該第2縁端部およびその近傍の断面図である。
【
図9】二枚の建築板がそれらの第2縁端部を介して継ぎ合わされた状態における当該第2縁端部およびその近傍の平面図である。
【
図10】本発明の複数の建築板による壁部施工構造を表す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1から
図4は、本発明の一の実施形態に係る建築板Xを表す。
図1は、建築板Xの平面図である。
図2は、建築板Xの部分拡大平面図である。
図3は、建築板Xの一の側面図(一部省略側面図)である。
図4は、建築板Xの他の側面図(一部省略側面図)である。
【0022】
建築板Xは、建築物の例えば外壁部や内壁部を構成するための建築用板材であり、
図1に示すように、第1方向D1に延びる一対の第1縁端部E1,E2と、第1方向と交差する第2方向D2に延びる一対の第2縁端部E3,E4と、意匠面Sとを備える。第1方向D1および第2方向D2は、本実施形態では直交する。意匠面Sは、第1縁端部E1,E2および第2縁端部E3,E4によって規定される外郭形状を有する。このような建築板Xを用いての壁部の施工にあたっては、複数枚の建築板Xが上下方向(縦方向)や左右方向(横方向)に継ぎ合わされる。
【0023】
建築板Xの第1方向D1の寸法は、例えば910~3030mmである。建築板Xの第2方向D2の寸法は、例えば160~910mmである。建築板Xの厚さは、例えば14~26mmである。また、建築板Xは、セメント板、コンクリート板、または木質板である。
【0024】
建築板Xの意匠面Sは、少なくとも一本の第1目地溝10と、複数の第2目地溝20と、複数の第3目地溝30と、複数の第4目地溝40と、これら目地溝によって外郭形状が規定された複数の意匠凸部50とを有する(意匠面Sが複数の第1目地溝10を有する場合を例示的に図示する)。第1および第3目地溝30は、第2方向D2に延びる。第2および第4目地溝40は、第1方向D1に延びる。第1~第4目地溝10,20,30,40は、建築板Xの意匠面Sにおいて擬似的な目地溝をなすように形成された溝である。意匠面Sにおいては、第1~第4目地溝10,20,30,40および意匠凸部50により、立体的なチェック柄模様が表現されている。具体的には、以下のとおりである。
【0025】
意匠面Sにおいて、少なくとも一本の第1目地溝10は、第1方向D1に延びる一対の第1縁端部E1,E2間を第2方向D2に横断して、意匠面Sを、第1方向D1に並ぶ複数の第1区画R1に分ける。意匠面Sは、第1縁端部E1,E2間において、少なくとも、一方の第2縁端部E3と第1目地溝10との間の第1区画R1、および、第1目地溝10と他方の第2縁端部E4との間の第1区画R1を有する。意匠面Sが複数の第1目地溝10を有する場合、意匠面Sは、隣り合う第1目地溝10間の第1区画R1を少なくとも一つ更に有する。
【0026】
第1目地溝10は、一方の第1縁端部E1から他方の第1縁端部E2に至るまで延びる通し目地である。第1目地溝10は、例えば二枚の建築板Xが一方の建築板Xの第1縁端部E1と他方の建築板Xの第1縁端部E2とを介して一続きに継ぎ合わされた状態で、当該二枚の建築板Xにわたって延びる一本の通し目地の一部をなすように配されている。
【0027】
第1目地溝10は、
図5(a)に示すように、その溝底Gbから開口端Gtにかけて次第に広がる断面形状を有する。第1目地溝10の溝底Gbの幅w1(第1方向D1の長さ)は、例えば2~8mmであり、好ましくは3~5mmである。第1目地溝10の深さd1は、例えば2~8mmであり、好ましくは3~5mmである。好ましくは、第1目地溝10は、第3目地溝30および第4目地溝40よりも深い。
【0028】
また、第1目地溝10において、その側壁Gsが溝底Gbとなす傾斜角度θは、例えば45~75度であり、好ましくは55~65度である(第2~第4目地溝20,30,40においても同様である)。デザイン性の観点からは、溝底Gbに対する側壁Gsの傾斜角度θは、第1~第4目地溝10,20,30,40において同一であるのが好ましい。
【0029】
意匠面Sは、第1区画R1ごとに少なくとも一本の第2目地溝20を有する(意匠面Sが第1区画R1ごとに複数の第2目地溝20を有する場合を例示的に図示する)。各第1区画R1において、少なくとも一本の第2目地溝20が第1区画R1を第1方向D1に横断して、当該第1区画R1を、第2方向D2に並ぶ複数の第2区画R2に分ける。各第1区画R1は、少なくとも、一方の第1縁端部E1と第2目地溝20との間の第2区画R2、および、第2目地溝20と他方の第1縁端部E2との間の第2区画R2を含む。意匠面Sが単一第1区画R1内に複数の第2目地溝20を有する場合、当該第1区画R1は、隣り合う第2目地溝20間の第2区画R2を少なくとも一つ更に有する。
【0030】
第1方向D1の一端が第2縁端部E3によって規定される第1区画R1では、第2目地溝20は、第2縁端部E3に最も近い第1目地溝10から第2縁端部E3に至るまで延びる。第1方向D1の一端が第2縁端部E4によって規定される第1区画R1では、第2目地溝20は、第2縁端部E4に最も近い第1目地溝10から第2縁端部E4に至るまで延びる。隣り合う第1目地溝10によって規定される第1区画R1では、第2目地溝20は、当該隣り合う第1目地溝10における一方の第1目地溝10から他方の第1目地溝10に至るまで延びる(即ち、第1目地溝10間を横断する)。
【0031】
第2目地溝20は、
図5(b)に示すように、その溝底Gbから開口端Gtにかけて次第に広がる断面形状を有する。第2目地溝20の溝底Gbの幅w2(第2方向D2の長さ)は、例えば2~10mmであり、好ましくは3~7mmである。第2目地溝20の深さd2は、例えば2~10mmであり、好ましくは3~7mmである。好ましくは、第2目地溝20は、第3目地溝30および第4目地溝40よりも深い。
【0032】
意匠面Sにおいて、隣り合う二つの第1区画R1における一方の第1区画R1の第2目地溝20と他方の第1区画R1の第2目地溝20とは、第2方向D2において位置ずれしている。すなわち、第2目地溝20は、意匠面Sにおいて、第2縁端部E3,E4間を横断する通し目地をなすものではない。
【0033】
本実施形態では、一対の第2縁端部E3,E4の一方に至る第2目地溝20と他方に至る第2目地溝20とは、第2方向D2において位置ずれしている。すなわち、第1方向D1の一端が第2縁端部E3によって規定される第2区画R2内の第2目地溝20と、第1方向D1の一端が第2縁端部E4によって規定される第2区画R2内の第2目地溝20とは、第2方向D2において位置ずれしている。
【0034】
意匠面Sは、第2区画R2ごとに少なくとも一本の第3目地溝30を有する(意匠面Sが第2区画R2ごとに複数の第3目地溝30を有する場合を例示的に図示する)。各第2区画R2において、少なくとも一本の第3目地溝30が、第2区画R2を第2方向D2に横断する。意匠面Sが単一第2区画R2内に複数の第3目地溝30を有する場合、当該複数の第3目地溝30は、好ましくは、浅目地溝31と、これより深い深目地溝32とを含む。浅目地溝31は、第3目地溝30のうち最も溝深さが小さい目地溝をいうものとする。意匠面Sは、少なくとも一つの第2区画R2において、このような浅目地溝31と深目地溝32とを有するのが好ましい。
【0035】
第2方向D2の一端が第1縁端部E1によって規定される第2区画R2では、第3目地溝30は、第1縁端部E1に最も近い第2目地溝20から第1縁端部E1に至るまで延びる。第2方向D2の一端が第1縁端部E2によって規定される第2区画R2では、第3目地溝30は、第1縁端部E2に最も近い第2目地溝20から第1縁端部E2に至るまで延びる。隣り合う第2目地溝20によって第2方向D2の両端が規定される第2区画R2では、第3目地溝30は、当該隣り合う第2目地溝20における一方の第2目地溝20から他方の第2目地溝20に至るまで延びる。
【0036】
第3目地溝30としての浅目地溝31は、
図5(c)に示すように、その溝底Gbから開口端Gtにかけて次第に広がる断面形状を有する。浅目地溝31の溝底Gbの幅w3(第1方向D1の長さ)は、例えば3~12mmであり、好ましくは4~9mmである。好ましくは、浅目地溝31は、深目地溝32よりも大きな溝幅を有する(溝幅とは、目地溝の溝底Gbの幅をいうものとする)。浅目地溝31の深さd3は、例えば0.8~5mmであり、好ましくは1~4mmである。
【0037】
第3目地溝30としての深目地溝32は、
図5(d)に示すように、その溝底Gbから開口端Gtにかけて次第に広がる断面形状を有する。深目地溝32の溝底Gbの幅w3’(第1方向D1の長さ)は、例えば3~12mmであり、好ましくは4~9mmである。深目地溝32の深さd3’は、浅目地溝31の深さd3より大きい限りにおいて、例えば0.8~5mmであり、好ましくは1~4mmである。
【0038】
本実施形態では、第2目地溝20を介して第2方向D2に隣り合う二つの第2区画R2における一方の第2区画R2の第3目地溝30と他方の第2区画R2の第3目地溝30とは、好ましくは、第1方向D1において位置ずれしている。
【0039】
本実施形態では、一対の第1縁端部E1,E2の一方に至る第3目地溝30と他方に至る第3目地溝30とは、第1方向D1において位置ずれしている。すなわち、第2方向D2の一端が第1縁端部E1によって規定される第2区画R2内の第3目地溝30と、第2方向D2の一端が第1縁端部E2によって規定される第2区画R2内の第3目地溝30とは、第1方向D1において位置ずれしている。
【0040】
意匠面Sは、第2区画R2ごとに少なくとも一本の第4目地溝40を有する(意匠面Sが第2区画R2ごとに複数の第4目地溝40を有する場合を例示的に図示する)。各第2区画R2において、少なくとも一本の第4目地溝40が、第2区画R2を第2方向D2に横断する。意匠面Sが単一第2区画R2内に複数の第4目地溝40を有する場合、当該複数の第4目地溝40は、好ましくは、浅目地溝41と、これより深い深目地溝42とを含む。浅目地溝41は、第4目地溝40のうち最も溝深さが小さい目地溝をいうものとする。意匠面Sは、少なくとも一つの第2区画R2において、このような浅目地溝41と深目地溝42とを有するのが好ましい。
【0041】
第1方向D1の一端が第2縁端部E3によって規定される第2区画R2では、第4目地溝40は、第2縁端部E3に最も近い第1目地溝10から第2縁端部E3に至るまで延びる。第1方向D1の一端が第2縁端部E4によって規定される第2区画R2では、第4目地溝40は、第2縁端部E4に最も近い第1目地溝10から第2縁端部E4に至るまで延びる。隣り合う第1目地溝10によって第1方向D1の両端が規定される第2区画R2では、第4目地溝40は、当該隣り合う第1目地溝10における一方の第1目地溝10から他方の第1目地溝10に至るまで延びる。
【0042】
第4目地溝40としての浅目地溝41は、
図5(e)に示すように、その溝底Gbから開口端Gtにかけて次第に広がる断面形状を有する。浅目地溝41の溝底Gbの幅w4(第2方向D2の長さ)は、例えば3~12mmであり、好ましくは4~9mmである。好ましくは、浅目地溝41は、深目地溝42よりも大きな溝幅を有する。浅目地溝41の深さd4は、例えば0.8~5mmであり、好ましくは1~4mmである。
【0043】
第4目地溝40としての深目地溝42は、
図5(f)に示すように、その溝底Gbから開口端Gtにかけて次第に広がる断面形状を有する。深目地溝42の溝底Gbの幅w4’(第2方向D2の長さ)は、例えば3~12mmであり、好ましくは4~9mmである。好ましくは、深目地溝42は、深目地溝42よりも大きな溝幅を有する。深目地溝の深さd4’は、浅目地溝41の深さd4より大きい限りにおいて、例えば0.8~5mmであり、好ましくは1~4mmである。
【0044】
本実施形態では、第1方向D1に隣り合う二つの第2区画R2における一方の第2区画R2の第4目地溝40と他方の第2区画R2の第4目地溝40とは、第2方向D2において位置ずれしている。
【0045】
本実施形態では、一対の第2縁端部E3,E4の一方に至る第4目地溝40と他方に至る第4目地溝40とは、第2方向D2において位置ずれしている。すなわち、第1方向D1の一端が第2縁端部E3によって規定される第2区画R2内の第4目地溝40と、第1方向D1の一端が第2縁端部E4によって規定される第2区画R2内の第4目地溝40とは、第2方向D2において位置ずれしている。
【0046】
意匠面Sは、第2区画R2ごとに、第3目地溝30および第4目地溝40によって外郭形状の少なくとも一部が規定された複数の意匠凸部50を有する。各第2区画R2には、第1方向D1における一端が第1目地溝10によって規定された意匠凸部50が含まれ、第2方向D2における一端が第2目地溝20によって規定された意匠凸部50が含まれる。
【0047】
第1縁端部E1沿いに位置する第2区画R2には、第2方向D2における一端が第1縁端部E1によって規定された意匠凸部50が含まれる。第1縁端部E2沿いに位置する第2区画R2には、第2方向D2における一端が第1縁端部E2によって規定された意匠凸部50が含まれる。第2縁端部E3沿いに位置する第2区画R2には、第1方向D1における一端が第2縁端部E3によって規定された意匠凸部50が含まれる。また、第2縁端部E4沿いに位置する第2区画R2には、第1方向D1における一端が第2縁端部E4によって規定された意匠凸部50が含まれる。
【0048】
意匠面Sが単一第2区画R2内に複数の第3目地溝30(第1方向D1に延びる)を有する場合、そのような第2区画R2には、第1方向D1における両端が第3目地溝30によって規定された意匠凸部50が含まれる。また、意匠面Sが単一第2区画R2内に複数の第4目地溝40(第2方向D2に延びる)を有する場合、そのような第2区画R2には、第2方向D2における両端が第4目地溝40によって規定された意匠凸部50が含まれる。
【0049】
本実施形態では、第1縁端部E1沿いに位置する第2区画R2内の意匠凸部50のうち、第2方向D2の長さが最も小さい意匠凸部50は、好ましくは、第1縁端部E1沿いに位置しない。また、本実施形態では、第1縁端部E2沿いに位置する第2区画R2内の意匠凸部50のうち、第2方向D2の長さが最も小さい意匠凸部50は、好ましくは、第1縁端部E2沿いに位置しない。
【0050】
本実施形態では、第2縁端部E3沿いに位置する第2区画R2内の意匠凸部50のうち、第1方向D1の長さが最も小さい意匠凸部50は、好ましくは、第2縁端部E3沿いに位置しない。また、本実施形態では、第2縁端部E4沿いに位置する第2区画R2内の意匠凸部50のうち、第1方向D1の長さが最も小さい意匠凸部50は、好ましくは、第2縁端部E4沿いに位置しない。
【0051】
図3に示すように、建築板Xは、第1縁端部E1とその近傍において、相決り継ぎ合わせのための下実構造部61を有し、且つ、第1縁端部E2とその近傍において、相決り継ぎ合わせのための上実構造部62を有する。これら下実構造部61および上実構造部62には、相決り継ぎ合わせにおける部材間の隙間を埋めるためのシーリング部が設けられてもよい。そのようなシーリング部は、例えば、下実構造部61上に線状に設けられる。シーリング部は、例えば変性シリコーンよりなる。
【0052】
二枚の建築板Xはそれらの第1縁端部E1,E2を介して継ぎ合わせることができる。具体的には、一方の建築板Xの第1縁端部E1と他方の建築板Xの第2縁端部E2とを、
図6に示すように相決りによって継ぎ合わせることができる。建築板Xの二枚がそれらの第1縁端部E1,E2を介して継ぎ合わされた状態においては、
図7に示すように、その継合せ箇所C1に、第1方向D1に延びる通し目地として目地溝M1が形成される。このような目地溝M1が形成される寸法および形状で、上述の下実構造部61および上実構造部62は設計されている。
【0053】
本実施形態では、建築板Xは、その第2縁端部E3,E4において、
図4に示すように平坦な側面を有する。このような構成の代わりに、建築板X1は、第2縁端部E3とその近傍において、相決り継ぎ合わせのための上実構造部を有し、且つ、第2縁端部E4とその近傍において、相決り継ぎ合わせのための下実構造部を有してもよい。
【0054】
二枚の建築板Xはそれらの第2縁端部E3,E4を介して継ぎ合わせることができる。具体的には、一方の建築板Xの第2縁端部E3と他方の建築板Xの第2縁端部E4とを、
図8に示すように継ぎ合わせることができる。一方の建築板Xの第2縁端部E3と他方の建築板Xの第2縁端部E4とは、例えばシーリング材(図示略)を介して、継ぎ合わせられる。建築板Xの二枚がそれらの第2縁端部E3,E4を介して継ぎ合わされた状態においては、
図9に示すように、その継合せ箇所C2に、第2方向D2に延びる目地溝M2が形成される。本実施形態では、このような目地溝M2が形成される寸法および形状で、第2縁端部E3,E4は設計されている。また、一方の建築板Xの第2縁端部E3と他方の建築板Xの第2縁端部E4とがシーリング材(図示略)を介して継ぎ合わせられる場合、当該二枚の建築板Xの継合せ箇所C2には、いわゆるシーリング目地が形成される。
【0055】
以上のような構成を備える建築板Xを用いての壁部の施工にあたっては、複数枚の建築板Xが上下方向(縦方向)や左右方向(横方向)に継ぎ合わされる。具体的には、複数の建築板Xをそれらの第1縁端部E1,E2どうしを例えば上下方向に継ぎ合わせて連ね、且つ、複数の建築板Xをそれらの第2縁端部E3,E4どうしを例えば左右方向に継ぎ合わせて連ねる。
【0056】
図10は、複数の建築板Xによる壁部施工構造の一例を表す。
図10に示す壁部施工構造は、四枚の建築板Xを含む。具体的には、当該壁部施工構造では、各列二枚の建築板Xがそれらの第1縁端部E1,E2を介して上下方向(第2方向D2)に継ぎ合わされて連ねられ、且つ、各行二枚の建築板Xがそれらの第2縁端部E3,E4を介して左右方向(第1方向D1)に継ぎ合わされて連ねられている。
【0057】
上述の構成を備える建築板Xは、複数枚が継ぎ合わされたこのような施工状態において(即ち、建築板Xによる壁部施工構造において)、継合せ箇所のズレが目立つことを抑制するのに適する。具体的には、次のとおりである。
【0058】
建築板Xの意匠面Sは、上述のように、第1目地溝10と、第2目地溝20と、第3目地溝30と、第4目地溝40とを有し、第1目地溝10は、一対の第1縁端部E1,E2間を第2方向D2に横断する。このような第1目地溝10は、建築板Xの二枚がそれらの第2縁端部E3,E4を介して継ぎ合わされた場合にその継合せ箇所(第2継合せ箇所C2)に形成されうる目地溝M2(第1目地溝10と同様に第2方向D2に延びる)と、見た目が似ている。
【0059】
そして、建築板Xの意匠面Sでは、第1目地溝10を介して隣り合う二つの第1区画R1における一方の第1区画R1の第2目地溝20と他方の第1区画R1の第2目地溝20とは、上述のように、共に第1方向D1に延びつつ、互いに第2方向D2において位置ずれしている。第2継合せ箇所C2に形成される目地溝M2に似ている第1目地溝10を介して反対側に位置する第2目地溝20が第2方向D2に位置ずれしているという当該構成は、第2継合せ箇所C2において隣接建築板Xの意匠面S間に第2方向D2のズレが生じた場合に、そのズレが目立つことを抑制するのに適する。
【0060】
以上のように、建築板Xは、複数枚が継ぎ合わされた施工状態において継合せ箇所のズレが目立つことを抑制するのに適するのである。
【0061】
建築板Xでは、上述のように、第1方向D1に隣り合う二つの第2区画R2における一方の第2区画R2の第4目地溝40と他方の第2区画R2の第4目地溝40とは、第2方向D2において位置ずれしている。上述のように、一対の第2縁端部E3,E4の一方に至る第2目地溝20と他方に至る第2目地溝20とは、第2方向D2において位置ずれしている。上述のように、一対の第2縁端部E3,E4の一方に至る第4目地溝40と他方に至る第4目地溝40とは、第2方向D2において位置ずれしている。これら構成は、第2継合せ箇所C2において隣接建築板Xの意匠面S間に第2方向D2のズレが生じた場合に、そのズレが目立つことを抑制するのに適する。
【0062】
建築板Xでは、上述のように、第2目地溝20を介して第2方向D2に隣り合う二つの第2区画R2における一方の第2区画R2の第3目地溝30と他方の第2区画R2の第3目地溝30とは、好ましくは、第1方向D1において位置ずれしている。上述のように、一対の第1縁端部E1,E2の一方に至る第3目地溝30と他方に至る第3目地溝30とは、第1方向D1において位置ずれしている。これら構成は、第1継合せ箇所C1において隣接建築板Xの意匠面S間に第1方向D1のズレが生じた場合に、そのズレが目立つことを抑制するのに適する。
【0063】
建築板Xでは、上述のように、第1目地溝10および第2目地溝20は、第3目地溝30および第4目地溝40よりも深い。このような構成は、意匠面Sにおいて第1目地溝10および第2目地溝20によって外郭形状が規定される第1区画R1および第2区画R2を視覚的に認識しやすくするのに適する。
【0064】
建築板Xの意匠面Sは、上述のように、好ましくは、少なくとも一つの第2区画R2において、第3目地溝30として、浅目地溝31と、これより深い深目地溝32とを有する。意匠面Sは、上述のように、好ましくは、少なくとも一つの第2区画R2において、第4目地溝40として、浅目地溝41と、これより深い深目地溝42とを有する。
【0065】
これら構成は、意匠面Sにおけるデザイン性を高めるのに役立つ。例えば、意匠面Sにおいて表現される上述の立体的チェック柄模様の凹凸の程度にバラつきを付与するのに適する。また、建築板Xの意匠面Sにおけるそのような凹凸バラつきは、上述の第1継合せ箇所C1および第2継合せ箇所C2において隣接建築板X間に厚さ方向のズレが生じた場合に形成される段差に似ているので、第1継合せ箇所C1および第2継合せ箇所C2にて隣接建築板X間の厚さ方向のズレが目立つことを抑制するのに役立つ。
【0066】
浅目地溝31は、上述のように、好ましくは、深目地溝32よりも大きな溝幅を有する。浅目地溝41は、上述のように、好ましくは、深目地溝42よりも大きな溝幅を有する。これら構成は、意匠面Sにおけるデザイン性を高めるのに役立つ。
【0067】
建築板Xでは、上述のように、第1縁端部E1沿いに位置する第2区画R2内の意匠凸部50のうち、第2方向D2の長さが最も小さい意匠凸部50は、好ましくは、第1縁端部E1沿いに位置しない。また、上述のように、第1縁端部E2沿いに位置する第2区画R2内の意匠凸部50のうち、第2方向D2の長さが最も小さい意匠凸部50は、好ましくは、第1縁端部E2沿いに位置しない。
【0068】
これら構成は、上述の第1継合せ箇所C1において隣接建築板X間に第1方向D1のズレが生じて隣接建築板Xの意匠面S間に第1方向D1のズレが生じた場合に、そのズレが目立つことを抑制するのに適する。第1方向D1に延びる第1縁端部E1沿いに位置する意匠凸部50が第2方向D2に長いほど、第1縁端部E1において当該意匠凸部50が沿う箇所にて、位置ずれが目立ちにくくなる傾向にある。第1方向D1に延びる第1縁端部E2沿いに位置する意匠凸部50が第2方向D2に長いほど、第1縁端部E2において当該意匠凸部50が沿う箇所にて、位置ずれが目立ちにくくなる傾向にある。
【0069】
建築板Xでは、上述のように、第2縁端部E3沿いに位置する第2区画R2内の意匠凸部50のうち、第1方向D1の長さが最も小さい意匠凸部50は、好ましくは、第2縁端部E3沿いに位置しない。また、上述のように、第2縁端部E4沿いに位置する第2区画R2内の意匠凸部50のうち、第1方向D1の長さが最も小さい意匠凸部50は、好ましくは、第2縁端部E4沿いに位置しない。
【0070】
これら構成は、上述の第2継合せ箇所C2において隣接建築板X間に第2方向D2のズレが生じて隣接建築板Xの意匠面S間に第2方向D2のズレが生じた場合に、そのズレが目立つことを抑制するのに適する。第2方向D2に延びる第2縁端部E3沿いに位置する意匠凸部50が第1方向D1に長いほど、第2縁端部E3において当該意匠凸部50が沿う箇所にて、位置ずれが目立ちにくくなる傾向にある。第2方向D2に延びる第2縁端部E4沿いに位置する意匠凸部50が第1方向D1に長いほど、第2縁端部E4において当該意匠凸部50が沿う箇所にて、位置ずれが目立ちにくくなる傾向にある。
【符号の説明】
【0071】
X 建築板
E1,E2 第1縁端部
E3,E4 第2縁端部
S 意匠面
D1 第1方向
D2 第2方向
R1 第1区画
R2 第2区画
10 第1目地溝
20 第2目地溝
30 第3目地溝
31,41 浅目地溝
32,42 深目地溝
40 第4目地溝
50 意匠凸部