(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】自動RTGシステム、制御装置、及びコンテナ搬送経路設定方法
(51)【国際特許分類】
B66C 13/48 20060101AFI20240131BHJP
B66C 19/00 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
B66C13/48 A
B66C19/00 B
(21)【出願番号】P 2020072709
(22)【出願日】2020-04-15
【審査請求日】2023-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】503002732
【氏名又は名称】住友重機械搬送システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【氏名又は名称】柳 康樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 伸郎
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-144836(JP,A)
【文献】特表2002-527317(JP,A)
【文献】特開2003-146579(JP,A)
【文献】特開昭62-157188(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0308852(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0076130(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/00 - 15/06
B66C 19/00 - 19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナヤードに並ぶ複数のコンテナ群におけるコンテナの搬送を行うRTGクレーンと、
前記RTGクレーンを制御する制御装置と、を有し、
前記制御装置は、
荷役対象である荷役対象コンテナ群の輪郭を示す第1対象ベイプロファイル情報、及び前記荷役対象コンテナ群に隣接する隣接コンテナ群の輪郭を示す第1隣接ベイプロファイル情報を用いて前記コンテナの搬送経路を設定する経路設定部を備え
、
前記経路設定部は、
第1対象ベイプロファイル情報と前記第1隣接ベイプロファイル情報とを重ね合わせた重ね合わせプロファイル情報を作成し、前記コンテナが前記重ね合わせプロファイル情報よりも所定距離高い位置を移動するように定めた最適経路を前記コンテナの搬送経路として設定する、
自動RTGシステム。
【請求項2】
前記経路設定部は、前記第1対象ベイプロファイル情報、及び前記荷役対象コンテナ群の両側のそれぞれに位置する一対の前記第1隣接ベイプロファイル情報を用いて前記コンテナの搬送経路を設定する、
請求項
1に記載の自動RTGシステム。
【請求項3】
前記RTGクレーンは、前記荷役対象コンテナ群の輪郭、及び前記隣接コンテナ群の輪郭を計測するプロファイル検出器を備え、
前記制御装置は、前記プロファイル検出器の計測結果に基づいて前記第1対象ベイプロファイル情報、及び前記第1隣接ベイプロファイル情報を作成するプロファイル検出部をさらに備える、
請求項1
または請求項2に記載の自動RTGシステム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記プロファイル検出部により作成された前記第1対象ベイプロファイル情報、及び前記第1隣接ベイプロファイル情報を記憶するプロファイル記憶部をさらに備える、
請求項
3に記載の自動RTGシステム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記プロファイル記憶部に記憶されてい
る対象ベイプロファイル情報、及
び隣接ベイプロファイル情報のそれぞれと、前記プロファイル検出器とは異なる手段で取得された前記荷役対象コンテナ群の輪郭を示す第2対象ベイプロファイル情報、及び前記隣接コンテナ群の輪郭を示す第2隣接ベイプロファイル情報のそれぞれと、を照合するプロファイル照合部を備える、
請求項
4に記載の自動RTGシステム。
【請求項6】
前記経路設定部は、
前記第1対象ベイプロファイル情報と前記第2対象ベイプロファイル情報とが一致しない場合、及び/又は、
前記第1隣接ベイプロファイル情報と前記第2隣接ベイプロファイル情報とが一致しない場合、
前記コンテナが所定の最大高さを移動するように定められた安全経路を前記コンテナの搬送経路として設定する、
請求項
5に記載の自動RTGシステム。
【請求項7】
前記第1対象ベイプロファイル情報と前記第2対象ベイプロファイル情報とが一致し、かつ前記第1隣接ベイプロファイル情報と前記第2隣接ベイプロファイル情報とが一致する場合、最適経路を前記コンテナの搬送経路として設定する、
請求項
5または請求項6に記載の自動RTGシステム。
【請求項8】
前記制御装置は、前記RTGクレーンに設けられる、
請求項1から
7のいずれか一項に記載の自動RTGシステム。
【請求項9】
コンテナヤードに並ぶ複数のコンテナ群におけるコンテナの搬送を行うRTGクレーンを制御する制御装置であって、
荷役対象である荷役対象コンテナ群の輪郭を示す第1対象ベイプロファイル情報、及び前記荷役対象コンテナ群に隣接する隣接コンテナ群の輪郭を示す第1隣接ベイプロファイル情報を用いて前記コンテナの搬送経路を設定する経路設定部を備え
、
前記経路設定部は、
第1対象ベイプロファイル情報と前記第1隣接ベイプロファイル情報とを重ね合わせた重ね合わせプロファイル情報を作成し、前記コンテナが前記重ね合わせプロファイル情報よりも所定距離高い位置を移動するように定めた最適経路を前記コンテナの搬送経路として設定する、
RTGクレーンの制御装置。
【請求項10】
コンテナヤードに並ぶ複数のコンテナ群におけるRTGクレーンのコンテナの搬送経路を設定するコンテナ搬送経路設定方法であって、
荷役対象の荷役対象コンテナ群の輪郭を示す第1対象ベイプロファイル情報、及び前記荷役対象コンテナ群に隣接する隣接コンテナ群の輪郭を示す第1隣接ベイプロファイル情報を用いて前記コンテナの搬送経路を設定する工程を備え
、
前記コンテナの搬送経路を設定する工程では、
第1対象ベイプロファイル情報と前記第1隣接ベイプロファイル情報とを重ね合わせた重ね合わせプロファイル情報を作成し、前記コンテナが前記重ね合わせプロファイル情報よりも所定距離高い位置を移動するように定めた最適経路を前記コンテナの搬送経路として設定する、
コンテナ搬送経路設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動RTGシステム、制御装置、及びコンテナ搬送経路設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コンテナヤードにおけるコンテナの搬送作業の一部を自動化することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動運転においては、搬送するコンテナが荷役対象のコンテナ以外のものに干渉することを確実に回避することが求められる。
【0005】
本開示は、コンテナの搬送の安全性を高めることができる自動RTGシステム、制御装置、及びコンテナ搬送経路設定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る自動RTGシステムは、コンテナヤードに並ぶ複数のコンテナ群におけるコンテナの搬送を行うRTGクレーンと、RTGクレーンを制御する制御装置と、を有し、制御装置は、荷役対象である荷役対象コンテナ群の輪郭を示す第1対象ベイプロファイル情報、及び荷役対象コンテナ群に隣接する隣接コンテナ群の輪郭を示す第1隣接ベイプロファイル情報を用いてコンテナの搬送経路を設定する経路設定部を備える。
【0007】
経路設定部は、第1対象ベイプロファイル情報と第1隣接ベイプロファイル情報とを重ね合わせた重ね合わせプロファイルを作成し、コンテナが重ね合わせプロファイルよりも所定距離高い位置を移動するように定めた最適経路をコンテナの搬送経路として設定してもよい。
【0008】
経路設定部は、第1対象ベイプロファイル情報、及び荷役対象コンテナ群の両側のそれぞれに位置する一対の第1隣接ベイプロファイル情報を用いてコンテナの搬送経路を設定してもよい。
【0009】
RTGクレーンは、荷役対象コンテナ群の輪郭、及び隣接コンテナ群の輪郭を計測するプロファイル検出器を備え、制御装置は、プロファイル検出器の計測結果に基づいて第1対象ベイプロファイル情報、及び第1隣接ベイプロファイル情報を作成するプロファイル検出部をさらに備えてもよい。
【0010】
制御装置は、プロファイル検出部により作成された第1対象ベイプロファイル情報、及び第1隣接ベイプロファイル情報を記憶するプロファイル記憶部をさらに備えてもよい。
【0011】
制御装置は、プロファイル記憶部に記憶されている対象ベイプロファイル情報、及び隣接ベイプロファイル情報のそれぞれと、プロファイル検出器とは異なる手段で取得された荷役対象コンテナ群の輪郭を示す第2対象ベイプロファイル情報、及び隣接コンテナ群の輪郭を示す第2隣接ベイプロファイル情報のそれぞれと、を照合するプロファイル照合部を備えてもよい。
【0012】
経路設定部は、第1対象ベイプロファイル情報と第2対象ベイプロファイル情報とが一致しない場合、及び/又は、第1隣接ベイプロファイル情報と第2隣接ベイプロファイル情報とが一致しない場合、コンテナが所定の最大高さを移動するように定められた安全経路をコンテナの搬送経路として設定してもよい。
【0013】
第1対象ベイプロファイル情報と第2対象ベイプロファイル情報とが一致し、かつ第1隣接ベイプロファイル情報と第2隣接ベイプロファイル情報とが一致する場合、最適経路をコンテナの搬送経路として設定してもよい。
【0014】
制御装置は、RTGクレーンに設けられてもよい。
【0015】
本開示の一側面に係るRTGクレーンの制御装置は、コンテナヤードに並ぶ複数のコンテナ群におけるコンテナの搬送を行うRTGクレーンを制御する制御装置であって、荷役対象である荷役対象コンテナ群の輪郭を示す第1対象ベイプロファイル情報、及び荷役対象コンテナ群に隣接する隣接コンテナ群の輪郭を示す第1隣接ベイプロファイル情報を用いてコンテナの搬送経路を設定する経路設定部を備える。
【0016】
本開示の一側面に係るコンテナ搬送経路設定方法は、コンテナヤードに並ぶ複数のコンテナ群におけるRTGクレーンのコンテナの搬送経路を設定するコンテナ搬送経路設定方法であって、荷役対象の荷役対象コンテナ群の輪郭を示す第1対象ベイプロファイル情報、及び荷役対象コンテナ群に隣接する隣接コンテナ群の輪郭を示す第1隣接ベイプロファイル情報を用いてコンテナの搬送経路を設定する工程を備える。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、コンテナの搬送の安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態に係る自動RTGシステム及びコンテナ搬送経路設定方法が適用される例示的なコンテナターミナルを示す平面図である。
【
図2】搬送台車の走行方向に沿って並ぶ荷役対象コンテナ群及び隣接コンテナ群の例を示す斜視図である。
【
図3】例示的なRTGクレーンを示す斜視図である。
【
図4】
図3のスタックプロファイルセンサ及びコンテナ群を模式的に示す側面図である。
【
図5】実施形態に係る自動RTGシステムの構成を模式的に示すシステム構成図である。
【
図6】(a)は、搬送台車からコンテナ蔵置側にコンテナを搬送する搬送経路を模式的に示す側面図である。(b)は、コンテナ蔵置側から搬送台車にコンテナを搬送する搬送経路を模式的に示す側面図である。
【
図7】実施形態に係る自動RTGシステムのプロファイル照合部による照合、及び経路設定部による経路設定を説明する図である。
【
図8】実施形態に係るコンテナ搬送経路設定方法の各工程の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、図面を参照しながら本発明を実施する形態について説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、説明の容易のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0020】
図1は、本発明が適用される例示的なコンテナターミナル1を示す平面図である。
図1に示されるように、コンテナターミナル1には、コンテナCが配置されるコンテナヤード2と、接岸したコンテナ船に対してコンテナCの移載を行う複数のガントリクレーン3と、コンテナヤード2に配置されてコンテナCの荷役を行う複数のRTGクレーン10と、複数のRTGクレーン10の遠隔操作が可能な遠隔操作室5とが設けられる。
【0021】
図2は、コンテナヤード2のコンテナC及び例示的な搬送台車20を示す斜視図である。搬送台車20は、例えばトラック、貨車、トレーラ又はAGV(Automated Guide Vehicle:自動搬送台車)等である。
図1及び
図2に示されるように、コンテナヤード2には、複数のコンテナが蔵置される蔵置エリアと、搬送台車20の走行路(トラックレーン)が敷設されている。RTGクレーン10は、所定の位置に停止した搬送台車20からコンテナCを取得してコンテナCをコンテナヤード2の所定の番地に載置する。また、RTGクレーン10は、コンテナヤード2に配置されているコンテナCを取得してコンテナCを搬送台車20に移載し、搬送台車20はコンテナCを搬出する。
【0022】
一例として、コンテナCは、ISO規格のコンテナである。コンテナCは、長尺の直方体状を呈し、例えば、コンテナCの長手方向の長さは20フィート以上且つ40フィート以下である。コンテナCの高さは、例えば、8.5フィート以上且つ9.5フィート以下である。コンテナCは、コンテナヤード2に一段又は複数段積み上げられる。コンテナCが配置されている段数は、ティアとよばれることがある。
【0023】
コンテナヤード2は、コンテナCが配置される複数のレーンLを備え、複数のRTGクレーン10が配置される。RTGクレーン10は、例えば、レーンLごとにRTGクレーン10が配置されている。レーンLに配置されるRTGクレーン10の台数は、1台であってもよいし、複数台であってもよい。複数のRTGクレーン10は、後述する自動RTGシステム100によって統括管理される。
【0024】
コンテナCは、コンテナヤード2に一段又は複数段積み上げられて複数のロウRを形成している。ロウRの数は、一例として、6である。各ロウRは、当該ロウRを構成するコンテナC(すなわち、当該ロウRに載置されるコンテナC)の長手方向が他のロウRを構成するコンテナCの長手方向に対して平行となるように、整列されている。
【0025】
コンテナヤード2に整列配置されたコンテナCの長手方向をX方向、コンテナCの短手方向をY方向、コンテナCの高さ方向をZ方向、とすると、コンテナヤード2はXY平面上に延在しており、コンテナCは、例えば、当該XY平面上のいずれかの位置においてZ方向に積み上げられる。X方向はレーンLにおけるRTGクレーン10の走行方向に一致する。Y方向は、レーンLにおけるRTGクレーン10の横行方向に一致する。
【0026】
コンテナCは、Y方向に沿って並ぶと共にZ方向に沿って積み上げられる複数のコンテナ群であるベイBを構成する。コンテナヤード2には、X方向に沿って並ぶ複数のベイBが設けられる。ベイBは、例えば、コンテナCの荷役対象とされる荷役対象ベイである荷役対象コンテナ群B1、及び荷役対象コンテナ群B1のX方向の両側のそれぞれに位置する隣接コンテナ群B2を含んでいる。
【0027】
コンテナヤード2においては、コンテナCを積み付ける位置が三次元空間に仮想的に設定されており、このコンテナCの仮想的な積み付け位置は番地(X,Y,Z)として定義される。すなわち、コンテナヤード2は、コンテナCを載置可能な領域として予め定められた複数の番地(X,Y,Z)を有する。番地(X,Y,Z)のうち、「X」はベイ番号、「Y」はロウ番号、「Z」はティア番号を示している。
【0028】
図3は、コンテナヤード2に配置された例示的なRTGクレーン10を示す斜視図である。
図3に示されるように、RTGクレーン10は、コンテナCを荷役するコンテナ取り扱いクレーンであって、タイヤ式ガントリークレーン(RTG;Rubber Tired Gantry Crane)である。RTGクレーン10は、例えば、コンテナターミナル1においてコンテナヤード2に配置されたコンテナCの荷役を自動で行う。
【0029】
RTGクレーン10は、例えば、一対の脚部11と、一対の脚部11の上端同士を繋ぐクレーンガーダ12と、クレーンガーダ12上を横行可能なトロリー13と、コンテナCを荷役するスプレッダ14と、車輪を有する走行装置15とを備える。一対の脚部11及びクレーンガーダ12は、門形を呈する。RTGクレーン10は、例えば、門形を呈する一対の脚部11及びクレーンガーダ12の組を2つ備え、2つの当該組がX方向に沿って並ぶように配置される。
【0030】
トロリー13は、例えば、横行モータの駆動によってY方向に沿って横行する。本実施形態において、Y方向はトロリー13の横行方向に一致する。一例として、トロリー13は、ドラム駆動モータにより正逆回転するドラムを含む巻駆動部16を有し、ワイヤを含む吊部材18を介してスプレッダ14を吊り下げている。トロリー13からは、X方向に並ぶ2箇所の位置から吊部材18が延びており、スプレッダ14はX方向に並ぶ2箇所の位置において吊部材18に吊られている。
【0031】
スプレッダ14は、コンテナCを吊り下げる吊具である。スプレッダ14は、例えば、X方向に延びる矩形状を呈する。スプレッダ14は、コンテナCを上方から係止可能であり、コンテナCを係止して吊り上げることによってコンテナCの荷役を行う。例えば、スプレッダ14の動作は、前述した横行モータ及びドラム駆動モータの駆動によって制御され、当該横行モータ及びドラム駆動モータの駆動は本実施形態に係る自動RTGシステム100によって制御される。
【0032】
図3及び
図4に示されるように、RTGクレーン10は、更に、ベイに載置されたコンテナ群Bの輪郭を検出するプロファイル検出器19を備える。プロファイル検出器19は、例えば、クレーンガーダ12に配置される。プロファイル検出器19は、例えば、Y方向に走査可能なレーザー距離計である。プロファイル検出器19は、例えば、RTGクレーン10のX方向への走行時に、各ロウの最上段に載置されたコンテナCの上面までの距離を計測し、計測結果をプロファイル検出部111に送信する。プロファイル検出部111は、プロファイル検出器19から受信する計測結果に基づいてコンテナCのプロファイル情報を作成する。
【0033】
本開示において、「プロファイル情報」とは、載置されている複数のコンテナの上方に露出する面(側方に露出する面を含んでいてもよい)の情報を示しており、載置されるコンテナの上面の情報を含んでいる。プロファイル検出器19は、RTGクレーン10のX方向への走行に伴ってコンテナCの上方に露出する面(例えば、コンテナCの上面、及び側方に露出する面を含む)をスキャニングし、各ロウのコンテナCの上方に露出する面までの距離を計測する。プロファイル検出部111は、各コンテナCの上方に露出する面までの距離に基づいて、各ロウに積み上げられているコンテナの段数を判断し、前述したベイBごとのプロファイル情報を検出する。これを計測プロファイル情報とよぶことがある。このように、プロファイル検出部111がコンテナCのプロファイル情報を作成することによって、コンテナヤード2のレーンLにおけるコンテナCの蔵置情報が得られる。
【0034】
一例として、RTGクレーン10は、クレーンガーダ12に沿って並ぶ3個のプロファイル検出器19を備え、各プロファイル検出器19が2つのロウRのプロファイル情報を検出する。しかしながら、プロファイル検出器19の数及び配置態様は、上記の例に限られず、適宜変更可能である。
【0035】
図5は、本実施形態に係る自動RTGシステム100の構成及び機能を示すブロック図である。
図6(a)及び
図6(b)のそれぞれは、コンテナCの搬送経路の設定について説明する図である。本実施形態では、前述したコンテナのプロファイル情報を用いてコンテナの搬送経路H1,H2が設定される。
【0036】
RTGクレーン10は、前述したプロファイル検出部111を含む制御装置110を備える。制御装置110は、例えば、プロセッサ、メモリ、ストレージ及び通信インタフェースを備え、コンピュータ(機上自動制御PCとも称される)として構成されていてもよい。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)等の演算器である。メモリは、ROM(ReadOnly Memory)又はRAM(Random Access Memory)等の記憶部である。ストレージは、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶部(記憶媒体)である。通信インタフェースは、データ通信を実現する通信機器である。プロセッサは、メモリ、ストレージ及び通信インタフェースを制御し、後述する制御装置110としての機能を実現する。制御装置110では、例えば、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムをCPUで実行することにより各種機能を実現する。制御装置110を構成するコンピュータの数は、単数であってもよいし、複数であってもよい。
【0037】
自動RTGシステム100は、例えば、前述した遠隔操作室5に設けられる複数の操作卓6と、複数のRTGクレーン10の自動運転を管理する管理コンピュータ7とを備える。管理コンピュータ7は、RGC(RTG群管理コンピュータ)とも称される。管理コンピュータ7は、例えば、前述した制御装置110と同様のコンピュータとしての要素を備える。すなわち、管理コンピュータ7は、例えば、上記同様のプロセッサ、メモリ、ストレージ及び通信インタフェースを備える。
【0038】
管理コンピュータ7が複数のRTGクレーン10を管理することによって、複数のRTGクレーン10の自動荷役が実現される。なお、
図5では、遠隔操作室5に通信可能なRTGクレーン10として1つのRTGクレーン10を図示しているが、実際には、複数のRTGクレーン10が遠隔操作室5と通信可能とされている。遠隔操作室5と複数のRTGクレーン10との間の通信は、例えば、無線通信によって実現される。
【0039】
通常、RTGクレーン10はコンテナCの自動荷役を行うが、例えば、RTGクレーン10が操作卓6に割り当てられることがある。このように、操作卓6にRTGクレーン10が割り当てられたときに、当該操作卓6から当該RTGクレーン10の操作を手動で行うことが可能となる。RTGクレーン10の操作を手動で行う場合として、例えば、安全性の観点から、搬送台車20にコンテナCを移載するタイミングが挙げられる。このように、操作卓6にRTGクレーン10が割り当てられたときには、操作者が当該操作卓6から割り当てられたRTGクレーン10を操作可能となる。
【0040】
コンテナターミナル1のすべての荷役作業は、TOS(Terminal Operation System;ターミナルオペレーションシステム)8により管理される。TOS8は、管理コンピュータ7と通信可能とされている。例えば、管理コンピュータ7とTOS8とは、有線回線によって互いに通信可能とされていてもよい。しかしながら、管理コンピュータ7とTOS8の間の通信回線は、無線回線であってもよく、適宜変更可能である。TOS8は、管理コンピュータ7を介してRTGクレーン10と通信可能であるが、TOS8とRTGクレーン10とが無線通信可能とされてもよい。TOS8は、コンテナターミナル1における複数台のRTGクレーン10によるコンテナCの荷役作業を統括的に管理する。TOS8は、管理コンピュータ7または制御装置110に、コンテナCの荷役の作業指示を出力する。TOS8は、遠隔操作室5に設けられてもよいし、遠隔操作室5以外の場所に設けられてもよい。このように、TOS8の場所は適宜変更可能である。TOS8は、管理コンピュータ7に送信した荷役作業要求と、管理コンピュータ7から受信した荷役作業完了報告をもとに、コンテナのプロファイル情報を作成する。このプロファイル情報をTOSプロファイル情報(第2プロファイル情報)とよぶことがある。TOS8は、荷役作業要求の発信時と荷役作業完了報告の受信時にTOSプロファイル情報を更新することで、常に最新の蔵置情報を保有している。
【0041】
管理コンピュータ7は、TOS8から受信する荷役作業要求に基づいて、各RTGクレーン10の制御装置110に自動運転開始の指示を送信する。また、管理コンピュータ7は、自動運転中の制御装置110から操作要求を受信すると、操作卓6にRTGクレーン10を割り当てる。操作者は、管理コンピュータ7により割り当てられた操作卓6からRTGクレーン10を遠隔操作する。オペレータによる遠隔操作が完了すると、管理コンピュータ7は、RTGクレーン10の制御装置110に自動運転の再開を指示する。RTGクレーン10が要求を受けた荷役作業を完了すると、管理コンピュータ7は、TOS8に荷役作業完了を報告する。
【0042】
制御装置110は、機能的構成要素として、前述したプロファイル検出部111と、計測プロファイル記憶部112と、TOSプロファイル取得部113と、プロファイル照合部114とを備える。TOSプロファイル取得部113は、例えば、管理コンピュータ7を介してTOS8から受信したTOSプロファイル情報を取得する。前述したように、プロファイル検出部111は、プロファイル検出器19の検出結果から、計測プロファイル情報を作成する。プロファイル照合部114は、計測プロファイル情報と、TOSプロファイル情報とを照合し、それらが一致するか否かを判定する。
【0043】
例えば、制御装置110は、機能的構成要素として、RTGクレーン10のスプレッダ14によるコンテナCの移送経路を設定する経路設定部115と、経路設定部115により設定された経路設定に従いスプレッダ14の移動を制御する移動制御部116と、を備える。前述した荷役対象コンテナ群B1のコンテナCを搬送するときに、経路設定部115は、コンテナCのプロファイル情報を用いて搬送経路を設定する。
図6(a)に示すH1は、搬送台車20に搭載されたコンテナCを蔵置エリアに移載する際の搬送経路を示している。
図6(b)に示すH2は、蔵置エリアのコンテナCを搬送台車20に移載する際の搬送経路を示している。移動制御部116は、経路設定部115により設定された経路をコンテナCが移動するように、横行モータとドラム駆動モータを制御する。
【0044】
図6(a)に示されるように、経路設定部115は、搬送台車20から離れる方向に向かってコンテナCを搬送する場合には、荷役対象コンテナ群B1のコンテナCの蔵置状況に応じて搬送経路H1を設定する。
図6(a)は、搬送台車20上のコンテナCを蔵置エリアに搬送する例である。荷役対象コンテナ群B1における複数のロウRのそれぞれに蔵置されたコンテナCの高さのうち最も高い高さから所定距離高い位置を移送する搬送経路H1(以下では、最適経路と称することもある)を経路設定部115が設定する。
【0045】
例えば
図2に示されるように、隣接コンテナ群B2に蔵置されているコンテナCにおいてX方向へのずれEが生じていた場合、経路H4で荷役対象コンテナ群B1の計測プロファイル情報のみに基づいてコンテナCを搬送すると隣接コンテナ群B2のずれEの部分にコンテナCが干渉し、搬送台車20の上にコンテナCが落下する可能性が生じる。そこで、
図6(b)に示されるように、経路設定部115は、搬送台車20から、蔵置エリアにコンテナCを移載する場合には最適経路を設定し、蔵置エリアから搬送台車20にコンテナCを移載する場合には、実際の荷役対象コンテナ群B1の蔵置状況にかかわらず、荷役対象コンテナ群B1のコンテナCの最大高さMを超えるように搬送経路H2を設定してもよい。すなわち、搬送台車20側へコンテナCを搬送するときに、経路設定部115は、実際の荷役対象コンテナ群B1のコンテナCよりも高い搬送経路H2を設定する。このような経路にすることで、上述の搬送台車20の上にコンテナCが落下する可能性を回避することができる。荷役対象コンテナ群B1のコンテナCの最大高さMを超えるような搬送経路H2を安全経路とよぶことがある。
【0046】
しかしながら、搬送台車20側へコンテナCを搬送するときに常に最大高さMを超えるように経路設定部115が経路設定をすると、コンテナCの搬送にかかる時間は、最短経路を通る場合と比べて長い。
【0047】
そこで、本実施形態に係る経路設定部115は、
図7に示されるように、荷役対象コンテナ群B1のプロファイル情報P1だけでなく、隣接コンテナ群B2のプロファイル情報P2を考慮して搬送台車20側へのコンテナCの搬送経路H3を設定する。荷役対象コンテナ群B1のプロファイル情報P1を対象ベイプロファイル情報と呼ぶことがある。対象ベイプロファイル情報のうち、上述のプロファイル検出器19の計測に基づいて作成されたものを、第1対象ベイプロファイル情報とよび、プロファイル検出器19とは別の手段で作成された対象ベイプロファイル情報を第2対象ベイプロファイル情報とよぶことがある。第2対象ベイプロファイル情報は、例えば対象ベイのTOSプロファイル情報であるが、プロファイル検出器19とは別の検出器による計測に基づいて作成されたプロファイル情報であってもよい。また、隣接コンテナ群B2のプロファイル情報P2を隣接ベイプロファイル情報と呼ぶことがある。隣接ベイプロファイル情報のうち、上述のプロファイル検出器19の計測に基づいて作成されたものを、第2隣接ベイプロファイル情報とよび、プロファイル検出器19とは別の手段で作成された対象ベイプロファイル情報を第2隣接ベイプロファイル情報とよぶことがある。第2隣接ベイプロファイル情報は、例えば隣接ベイのTOSプロファイル情報であるが、プロファイル検出器19とは別の検出器による計測に基づいて作成されたプロファイル情報であってもよい。例えば、経路設定部115は、対象プロファイル情報P1と、隣接ベイプロファイル情報P2とを重ね合わせて、重ね合わせプロファイル情報P3を作成し、重ね合わせプロファイル情報P3の上方を通る搬送経路H3を設定する。搬送経路H3は、対象ベイプロファイル情報と隣接ベイプロファイル情報に基づき設定される最適経路である。
【0048】
前述したように、経路設定部115は、荷役対象コンテナ群B1のコンテナC、及び隣接コンテナ群B2のコンテナCに干渉しない最適経路として搬送経路H3を設定する。なお、
図7では、荷役対象コンテナ群B1のプロファイル情報P1と、X方向の両隣の隣接コンテナ群B2(
図2参照)のプロファイル情報P2とを重ね合わせる例を示している。しかしながら、荷役対象コンテナ群B1のプロファイル情報P1と、X方向の片側の隣接コンテナ群B2のプロファイル情報P2とを重ね合わせて経路設定部115が搬送経路H3を設定してもよい。
【0049】
実施の形態では、経路設定部115は、Y方向(横行方向)及びZ方向(鉛直方向)の2方向からなる搬送経路を設定する。この場合、移動制御部116は、横行モータと昇降モータが順番に動作するように制御するため、コンテナCが移動する際、振れにより周囲の別のコンテナ等に接触する可能性が小さい。しかしながら、経路設定部115は、重ね合わせプロファイル情報P3の上方を斜めにコンテナCが移動する搬送経路H3を設定してもよい。この場合、移動制御部116は、横行モータと昇降モータが同時に動作するように制御するため、コンテナCの搬送の生産性を更に向上させることができる。
【0050】
移動制御部116は、経路設定部115によって設定された搬送経路H3に沿ってスプレッダ14を移動させるように横行モータとドラム駆動モータを制御する。具体例として、移動制御部116は、スプレッダ14が保持するコンテナCを搬送台車20に載置するために搬送経路H3に沿ってスプレッダ14を搬送台車20に移動させる。また、移動制御部116は、例えば、搬送台車20に載置されたコンテナCを取りにスプレッダ14を搬送経路H3に沿って移動させる。
【0051】
次に、本実施形態に係るコンテナ搬送経路設定方法の例について説明する。
図8は、本実施形態に係るコンテナ搬送経路設定方法の例示的な各工程を示すフローチャートである。一例として、本実施形態に係るコンテナ搬送経路設定方法は、自動RTGシステム100を用いて行われる。
【0052】
まず、RTGクレーン10が最新の荷役対象コンテナ群B1のコンテナCの蔵置情報、及び隣接コンテナ群B2のコンテナCの蔵置情報をTOS8から受信する(ステップS1)。このとき、例えばTOS8から、荷役対象コンテナ群B1のコンテナCの蔵置情報、及び隣接コンテナ群B2のコンテナCの蔵置情報が管理コンピュータ7を介して制御装置110に送信され、プロファイル取得部71がこれらのコンテナCの蔵置情報を第2対象ベイプロファイル情報P1,第2隣接ベイプロファイル情報P2として取得する。
【0053】
また、プロファイル照合部114は、計測プロファイル記憶部112から最新の計測プロファイルを読み出す(ステップS2)。具体的には、計測プロファイルは、プロファイル検出器19によって得られた検出結果に基づく、荷役対象コンテナ群B1の第1計測プロファイル情報P1、及び第1隣接ベイプロファイル情報P2である。例えば、ステップS2は、ステップS1と共に実行されてもよく、ステップS1より先に実行されてもよい。ステップS2の実行タイミングは適宜変更可能である。
【0054】
次に、プロファイル情報P1,P2の照合が行われる(ステップS3)。このとき、プロファイル検出部111から取得した第1プロファイル情報P1,P2と、TOS8から取得した第2プロファイル情報P1,P2との照合がプロファイル照合部114によって行われる。例えば、第1プロファイル情報P1,P2と第2プロファイル情報P1,P2とが一致する場合(ステップS3でYES)、経路設定部115によって最適経路が設定される(ステップS4)。一方、第2プロファイル情報P1,P2と計測プロファイル記憶部112に記憶されている第1プロファイル情報P1,P2とが一致しない場合(プロファイル情報P1及びプロファイル情報P2の少なくともいずれかが一致しない場合(ステップS3でNO)、経路設定部115によって安全経路が設定される(ステップS5)。
【0055】
図7に示されるように、ステップS4では、例えば、経路設定部115によって重ね合わせプロファイル情報P3が作成される。重ね合わせプロファイル情報P3のうち最も高い高さから所定距離高い位置であって且つ搬送台車20への最短となる搬送経路H3が設定される。例えば、ステップS5では、
図6(b)に示されるように、経路設定部115によって荷役対象コンテナ群B1のコンテナCの最大高さMを超える搬送経路H2が安全経路として設定される。この場合、TOS8が保有していた第2プロファイル情報P1,P2と、プロファイル検出器19によって検出された第1プロファイル情報P1,P2とが一致しないという異常が発生したときに、最大高さMを超える搬送経路H2が設定されることにより、異常時におけるコンテナCの安全な搬送が実現される。以上のように、経路設定部115によって搬送経路H2,H3が設定された後には、搬送経路H2,H3に沿って移動制御部116がスプレッダ14を移動制御することによりコンテナCが搬送されて一連の工程を完了する。
【0056】
次に、本実施形態に係る自動RTGシステム100及びコンテナ搬送経路設定方法の作用効果について詳細に説明する。
図7に示されるように、本実施形態に係る自動RTGシステム100及びコンテナ搬送経路設定方法では、経路設定部115は、荷役対象コンテナ群B1のプロファイル情報P1(第1対象ベイプロファイル情報)、及び隣接コンテナ群B2のプロファイル情報P2(第1隣接ベイプロファイル情報)を用いて搬送経路H3を決定する。よって、経路設定部115は、荷役対象コンテナ群B1のプロファイル情報P1だけでなく隣接コンテナ群B2のプロファイル情報P2を加味して搬送経路H3を設定する。従って、荷役対象コンテナ群B1だけでなく隣接コンテナ群B2のプロファイル情報P2を加味して経路設定を行うことにより、荷役対象コンテナ群B1及び隣接コンテナ群B2へのコンテナCの干渉を回避することができる。その結果、荷役効率とコンテナCの搬送の安全性を両立することができる。
【0057】
経路設定部115は、プロファイル情報P1とプロファイル情報P2とを重ね合わせた重ね合わせプロファイル情報P3を作成し、コンテナCが重ね合わせプロファイル情報P3よりも所定距離高い位置を移動するように定めた最適経路をコンテナCの搬送経路として設定してもよい。
【0058】
経路設定部115は、計測プロファイル記憶部112に保存された荷役対象コンテナ群B1の計測プロファイル情報P1、及び一対の隣接コンテナ群B2の計測プロファイル情報P2を用いてコンテナCの搬送経路H3を設定してもよい。この場合、経路設定部115は荷役対象コンテナ群B1のプロファイル情報P1、及び荷役対象コンテナ群B1の両側のそれぞれに位置する一対の隣接コンテナ群B2のプロファイル情報P2を用いて搬送経路H3を設定する。従って、荷役対象コンテナ群B1と一対の隣接コンテナ群B2のプロファイル情報P1,P2を用いて搬送経路H3が設定されるので、コンテナCの搬送の安全性をより高めることができる。
【0059】
RTGクレーン10は、荷役対象コンテナ群B1の輪郭、及び隣接コンテナ群B2の輪郭を計測するプロファイル検出器19を備え、制御装置110は、プロファイル検出器19の計測結果に基づいてプロファイル情報P1、及びプロファイル情報P2を作成するプロファイル検出部111をさらに備えてもよい。
【0060】
制御装置110は、プロファイル検出部111により作成されたプロファイル情報P1及びプロファイル情報P2を記憶する計測プロファイル記憶部112を備えてもよい。この場合、荷役対象コンテナ群B1のプロファイル情報P1、及び隣接コンテナ群B2のプロファイル情報P2が予め記憶されるので、コンテナCの搬送経路H3の設定を効率よく行うことができる。
【0061】
制御装置110は、計測プロファイル記憶部112に記憶されているプロファイル情報P1及びプロファイル情報P2のそれぞれと、プロファイル検出器19とは異なる手段で取得された荷役対象コンテナ群B1の輪郭を示すプロファイル情報P1(第2対象ベイプロファイル情報)、及び隣接コンテナ群B2の輪郭を示すプロファイル情報P2(第2隣接ベイプロファイル情報)のそれぞれと、を照合するプロファイル照合部114を備えてもよい。この場合、予め記憶されている荷役対象コンテナ群B1及び隣接コンテナ群B2のプロファイル情報P1,P2と、検出された荷役対象コンテナ群B1及び隣接コンテナ群B2のプロファイル情報P1,P2とが照合されるので、プロファイル情報P1,P2の精度をより高めることができる。
【0062】
経路設定部115は、記憶されている荷役対象コンテナ群B1のプロファイル情報P1と検出された荷役対象コンテナ群B1のプロファイル情報P1とが一致しない場合(第1対象ベイプロファイル情報と第2対象ベイプロファイル情報とが一致しない場合)、及び/又は、記憶されている隣接コンテナ群B2のプロファイル情報P2と検出された隣接コンテナ群B2のプロファイル情報P2とが一致しない場合(第1隣接ベイプロファイル情報と第2隣接ベイプロファイル情報とが一致しない場合)、コンテナCが所定の最大高さを移動するように定められた安全経路(例えば搬送経路H2)をコンテナCの搬送経路として設定してもよい。この場合、検出されたプロファイル情報P1,P2が記憶されているプロファイル情報P1,P2と一致しないときにより高い搬送経路H2が設定されることにより、プロファイル情報P1,P2が一致しない異常発生時により安全な経路設定を行うことができる。
【0063】
経路設定部115は、記憶されている荷役対象コンテナ群B1のプロファイル情報P1と検出された荷役対象コンテナ群B1のプロファイル情報P1とが一致し(第1対象ベイプロファイル情報と第2対象ベイプロファイル情報とが一致し)、かつ、記憶されている隣接コンテナ群B2のプロファイル情報P2と検出された隣接コンテナ群B2のプロファイル情報P2とが一致する場合(第1隣接ベイプロファイル情報と第2隣接ベイプロファイル情報とが一致する場合)、最適経路をコンテナCの搬送経路として設定してもよい。
【0064】
プロファイル取得部71は、複数のRTGクレーン10を管理する管理コンピュータ7に設けられてもよい。この場合、複数のRTGクレーン10を管理する管理コンピュータ7にプロファイル取得部71が設けられるので、プロファイル取得部71によって複数の荷役対象コンテナ群B1及び隣接コンテナ群B2のプロファイル情報P1,P2を一元管理することができる。制御装置110は、RTGクレーン10に設けられてもよい。この場合、RTGクレーン10によってプロファイル情報P1,P2の検出を行うことができる。
【0065】
以上、本開示に係る自動RTGシステム及びRTG経路設定方法の実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、前述した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲において変形してもよい。すなわち、本開示に係る自動RTGシステムの各部の構成及び機能、並びに、RTG経路設定方法の各工程の内容及び順序は、上記の要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。
【0066】
例えば、前述の実施形態では、RTGクレーン10の制御装置110が計測プロファイル記憶部112を備える例について説明した。しかしながら、計測プロファイル記憶部112とプロファイル取得部71の少なくともいずれかを省略してもよい。また、計測プロファイル記憶部112及びプロファイル取得部71に代えて、TOS8がプロファイル記憶部を備えていてもよく、TOS8がプロファイル情報P1,P2を記憶管理するようにしてもよい。
【0067】
前述の実施形態では、プロファイル検出部111がX方向の両側のそれぞれに位置する隣接コンテナ群B2のプロファイル情報P2を検出し、経路設定部115が一対の隣接コンテナ群B2のプロファイル情報P2を加味して搬送経路H3を設定する例について説明した。しかしながら、X方向の両側の隣接コンテナ群B2のプロファイル情報P2を加味しなくてもよい。すなわち、プロファイル検出部111が片側に位置する隣接コンテナ群B2のプロファイル情報P2を検出し、経路設定部115が当該片側に位置する隣接コンテナ群B2のプロファイル情報P2を加味して搬送経路H3を設定してもよい。
【0068】
前述の実施形態では、プロファイル照合部114がプロファイル情報P1,P2を照合し、プロファイル検出部111によって検出されたプロファイル情報P1,P2が計測プロファイル記憶部112に記憶されているプロファイル情報P1,P2に一致する場合に、経路設定部115が搬送経路H3を設定する例について説明した。しかしながら、プロファイル照合部114を省略することも可能である。例えば、プロファイル検出部111が荷役対象コンテナ群B1のプロファイル情報P1、及び隣接コンテナ群B2のプロファイル情報P2を検出し、経路設定部115が検出されたプロファイル情報P1、P2から重ね合わせプロファイル情報P3を求めて搬送経路H3を設定してもよい。この場合も、荷役対象コンテナ群B1及び隣接コンテナ群B2のコンテナCの蔵置情報を加味した最適な搬送経路H3を設定できるので、コンテナCの搬送の安全性を維持しつつ生産性が高い搬送経路H3を設定することが可能となる。
【符号の説明】
【0069】
1…コンテナターミナル、2…コンテナヤード、3…ガントリクレーン、5…遠隔操作室、6…操作卓、7…管理コンピュータ、8…TOS、10…RTGクレーン、11…脚部、12…クレーンガーダ、13…トロリー、14…スプレッダ、15…走行装置、16…巻駆動部、18…吊部材、20…搬送台車、71…プロファイル取得部、100…自動RTGシステム、110…制御装置、111…プロファイル検出部、112…計測プロファイル記憶部(プロファイル記憶部)、113…TOSプロファイル取得部、114…プロファイル照合部、115…経路設定部、116…移動制御部、B…ベイ(コンテナ群)、B1…荷役対象コンテナ群、B2…隣接コンテナ群、C…コンテナ、H1…搬送経路、H2…搬送経路(安全経路)、H3…搬送経路(最適経路)、L…レーン、P1,P2…プロファイル情報、P3…重ね合わせプロファイル情報、R…ロウ。