(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】自動車ドア用シール材
(51)【国際特許分類】
B60J 10/21 20160101AFI20240131BHJP
B60J 10/27 20160101ALI20240131BHJP
B60J 10/86 20160101ALI20240131BHJP
【FI】
B60J10/21
B60J10/27
B60J10/86
(21)【出願番号】P 2020076554
(22)【出願日】2020-04-23
【審査請求日】2023-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000196107
【氏名又は名称】西川ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西川 真治
(72)【発明者】
【氏名】前崎 諭
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-280410(JP,A)
【文献】特開昭61-163017(JP,A)
【文献】特開2017-170970(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102017105785(DE,A1)
【文献】特開2017-030430(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0028829(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 10/21
B60J 10/27
B60J 10/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用ドアのウインドフレームが有するフレーム上辺部及び該フレーム上辺部の長手方向の端部から下方へ延びるフレーム縦辺部に亘って取り付けられる自動車ドア用シール材において、
前記自動車ドア用シール材は、前記フレーム上辺部に沿って車両前後方向に延びるルーフ側部分と、前記フレーム縦辺部に沿って上下方向に延びるピラー側部分とを備え、
前記ルーフ側部分は、前記フレーム上辺部に取り付けられるルーフ側基部と、該ルーフ側基部に一体成形され、前記自動車用ドアの閉時に車体のルーフから下方に押圧されて変形した状態で該ルーフに弾接するルーフ側シール壁とを有し、
前記ピラー側部分は、前記フレーム縦辺部に取り付けられるピラー側基部と、該ピラー側基部に一体成形され、前記自動車用ドアの閉時に車体のピラーから車室外側へ押圧されて変形した状態で該ピラーに弾接するピラー側シール壁とを有し、
前記ルーフ側シール壁の外面には、前記自動車用ドアの閉時に前記ルーフに弾接するルーフ側シールリップが前記ルーフ側シール壁の外方へ突出しかつ車両前後方向に連続して前記ピラー側シール壁の上端の外面に達するまで延びるように形成され、
前記ピラー側シール壁の外面には、前記自動車用ドアの閉時に前記ピラーに弾接するピラー側シールリップが前記ピラー側シール壁の外方へ突出しかつ上下方向に連続して前記ルーフ側シール壁の外面に達するまで延びるように形成され、
前記ピラー側シールリップは、前記ルーフ側シールリップよりも車室内側に配置され、
前記ルーフ側シールリップのピラー側は、その端部へ近づくほど車室内側に位置するように湾曲し、
前記ルーフ側シールリップのピラー側と、前記ピラー側シールリップのルーフ側とは、車室内外方向から見たときに互いに重複する範囲に設けられるとともに、前記自動車用ドアの開時に互いに接しないように車室内外方向に間隔をあけて配置され、前記自動車用ドアの閉時に前記ルーフ側シールリップのピラー側は、前記ピラー側シールリップのルーフ側に接することを特徴とする自動車ドア用シール材。
【請求項2】
請求項
1に記載の自動車ドア用シール材において、
前記自動車用ドアの閉時に、前記ルーフ側シールリップのピラー側の端部が前記ピラー側シールリップの車室外面に接することを特徴とする自動車ドア用シール材。
【請求項3】
請求項1
または2に記載の自動車ドア用シール材において、
前記ルーフ側シールリップのピラー側は、その端部へ近づくほど前記ルーフ側シール壁からの突出量が小さくなっていることを特徴とする自動車ドア用シール材。
【請求項4】
請求項1から
3のいずれか1つに記載の自動車ドア用シール材において、
前記ルーフ側シールリップは、前記ルーフ側シール壁から上方へ突出するとともに、上端へ近づくほど車室外側に位置するように傾斜していることを特徴とする自動車ドア用シール材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車の側部に取り付けられるドアと車体との間をシールする自動車ドア用シール材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車の側部に取り付けられるドアには、当該ドアと車体パネルとの間をシールするための自動車ドア用シール材が設けられている(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献1のシール材は、ドアの周縁部に設けられており、該ドアの周縁部に沿って上下方向に延びるピラー側部分と、ウインドフレームの上辺部に沿って車両前後方向に延びるルーフ側部分とを有している。ピラー側部分は、ドアに取り付けられるピラー側基部と、ピラー側基部に一体成形されたピラー側シール壁とで構成され、また、ルーフ側部分も同様に、ドアに取り付けられるルーフ側基部と、ルーフ側基部に一体成形されたルーフ側シール壁とで構成されている。
【0003】
特許文献1では、ドアを閉じたときに起こるシール材の変形がピラー側部分とルーフ側部分とで異なっている。すなわち、特許文献1の
図1や
図5に記載されているように、リヤドアの前側(ヒンジ側)の上端コーナーにおいて、シール材のピラー側部分は、ドアを閉じると車体のピラーによって車両前後方向に押圧されるので、ピラー側シール壁が前後方向に撓むように変形する一方、ルーフ側部分は、ドアを閉じると車体のルーフによって車室内外方向に押圧されるので、ルーフ側シール壁が車室内外方向に潰れるように変形する。
【0004】
特許文献2では、ピラー側部分とルーフ側部分のそれぞれにシールリップが設けられている。ピラー側部分のシールリップは、ドアが閉じられたときに車体のピラーに弾接することでシール性を得る部分であり、また、ルーフ側部分のシールリップは、ドアが閉じられたときに車体のルーフに弾接することでシール性を得る部分である。また、特許文献2では、ピラー側部分のシールリップとルーフ側部分のシールリップとが互いに車室内外方向に離れて配置されているので、これらシールリップの間に水路が形成されることになり、この水路を遮断する水路遮断壁がピラー側部分のシールリップからルーフ側部分のシールリップまで形成されている。
【0005】
また、特許文献3では、
図8に示すように、ルーフ部において車体開口縁部と中空シール部との当接部に侵入した水がドア開時にそのまま下方に垂れ落ちる、いわゆる雨垂れの問題が生じてしまうという現象が記載されている。ルーフ部からコーナ部を経由してクォーターピラー部の区間において、同一の押出口金により、徐々に突出形状を変化させることで、雨垂れを防止しつつ、製造コストの低減と見栄え向上の両立も図った構成が特許文献3には記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2005-280410号公報
【文献】特開平9-240278号公報
【文献】特開平10-076847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、フロントドアの後側(ロック側)の上端コーナー部においても、特許文献1のシール材のように、ドアを閉じたときに起こるシール材の変形する方向がピラー側部分とルーフ側部分とで異なるような、同様な現象は起こり得る。このコーナー部では、ピラー側部分とルーフ側部分は、いずれも、シール壁が車室内外方向に撓み変形するような自動車車体・ドア構造を採用する場合が多いが、ピラー側部分のシール壁は車室内外方向に撓み変形する一方、ルーフ側部分のシール壁は車両上下方向に撓み変形するような自動車車体・ドア構造を採用する場合もある。そのような場合においては、特許文献1のシール材のように、ピラー側シール壁及びルーフ側シール壁をそれぞれ車体に弾接させることによってシール性を得ることが考えられるが、例えば高圧水による洗車時のように外部から高い水圧が作用した場合を想定すると、水圧によっては水がピラー側から駆け上がるように流れて車室内側へ浸入し、シール性を満足できなくなるおそれがある。
【0008】
特許文献2のシール材のように、ピラー側部分及びルーフ側部分のそれぞれにシールリップを設け、これらシールリップをそれぞれ車体に弾接させることでシール性をより一層高めることが考えられる。
【0009】
ところが、上述したように、シール材のピラー側部分とルーフ側部分とではドアを閉じたときに起こる変形が異なっているので、ピラー側部分のシールリップと、ルーフ側部分のシールリップとは連続させることができず、車室内外方向に離して配置する必要がある。
【0010】
こうするとピラー側部分のシールリップとルーフ側部分のシールリップとの間に水路ができるので、特許文献2ではピラー側部分のシールリップとルーフ側部分のシールリップとを接続する、水路遮断壁を形成している。
【0011】
しかしながら、特許文献2に示すような水路遮断壁は車室内側に配置されたルーフ側部分のシールリップと車室外側に配置されたピラー側部分のシールリップとの両方に接続一体化されているものであることから、ドア閉時にルーフ側部分のシールリップがドアから受けた押圧力が水路遮断壁を介してピラー側部分のシールリップに直接伝わることになり、ピラー側部分のシールリップの上端部が車室外側に押出されたり、あるいは逆に車室内側に引っ張り込まれたりする等の異常撓みを起こし、結果として車体外面との間の一部に隙ができ、外観見栄えの悪化やシール性の悪化を招く場合がある。
【0012】
また、特許文献3のシール材のように、雨垂れ現象発生の防止をする為に、突起を可変押出成形により、突出長を変化させるという構造を適用しようとした場合、特許文献3のように、コーナー部が緩やかで、しかも、中空シール部の撓み変形する方向の変化も小さい場合ではそのような構造とする事で、特に問題にはならない。
【0013】
ところが、上述したように、シール材のピラー側部分とルーフ側部分とではドアを閉じたときに起こる変形が異なっているので、ピラー側部分のシールリップと、ルーフ側部分のシールリップとは連続させることができず、車室内外方向に離して配置する必要がある。
【0014】
そうするとピラー側部分のシールリップとルーフ側部分のシールリップとの間に隙間ができるので、コーナー部において、車体開口縁部と中空シール部との当接部(いわゆる三角スキ部分)に水が侵入し、雨垂れ現象発生の防止をすることができない。
【0015】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、外観見栄えを悪化させることなく、シール性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために第1の発明は、自動車用ドアのウインドフレームが有するフレーム上辺部及び該フレーム上辺部の長手方向の端部から下方へ延びるフレーム縦辺部に亘って取り付けられる自動車ドア用シール材において、前記自動車ドア用シール材は、前記フレーム上辺部に沿って車両前後方向に延びるルーフ側部分と、前記フレーム縦辺部に沿って上下方向に延びるピラー側部分とを備え、前記ルーフ側部分は、前記フレーム上辺部に取り付けられるルーフ側基部と、該ルーフ側基部に一体成形され、前記自動車用ドアの閉時に車体のルーフから下方に押圧されて変形した状態で該ルーフに弾接するルーフ側シール壁とを有し、前記ピラー側部分は、前記フレーム縦辺部に取り付けられるピラー側基部と、該ピラー側基部に一体成形され、前記自動車用ドアの閉時に車体のピラーから車室外側へ押圧されて変形した状態で該ピラーに弾接するピラー側シール壁とを有し、前記ルーフ側シール壁の外面には、前記自動車用ドアの閉時に前記ルーフに弾接するルーフ側シールリップが前記ルーフ側シール壁の外方へ突出しかつ車両前後方向に連続して前記ピラー側シール壁の上端の外面に達するまで延びるように形成され、前記ピラー側シール壁の外面には、前記自動車用ドアの閉時に前記ピラーに弾接するピラー側シールリップが前記ピラー側シール壁の外方へ突出しかつ上下方向に連続して前記ルーフ側シール壁の外面に達するまで延びるように形成され、前記ルーフ側シールリップのピラー側と、前記ピラー側シールリップのルーフ側とは、車室内外方向から見たときに互いに重複する範囲に設けられるとともに、前記自動車用ドアの開時に互いに接しないように車室内外方向に間隔をあけて配置され、前記自動車用ドアの閉時に前記ルーフ側シールリップのピラー側は、前記ピラー側シールリップのルーフ側に接することを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、自動車用ドアを閉じると、ルーフ側シール壁及びルーフ側シールリップがルーフに弾接し、ピラー側シール壁及びピラー側シールリップがピラーに弾接する。ルーフ側シール壁はルーフから下方へ押圧されて変形する一方、ピラー側シール壁はピラーから車室外側へ押圧されて変形するので、ルーフ側シール壁とピラー側シール壁とは変形が異なっている。このとき、ルーフ側シール壁に設けられているルーフ側シールリップと、ピラー側シール壁に設けられているピラー側シールリップとは、自動車用ドアの開時に互いに接しないように車室内外方向に間隔をあけて配置されているので、ルーフ側シール壁とピラー側シール壁との異なる変形に対応するように、ルーフ側シールリップ及びピラー側シールリップを変形ないし変位させることが可能になり、シール性が向上する。
【0018】
また、ルーフ側シールリップのピラー側と、前記ピラー側シールリップのルーフ側とは自動車用ドアの開時に互いに接しないように車室内外方向に間隔をあけて配置されているので、自動車用ドアの閉時に両者が接したとしても、押出したり、引っ張り込んだりすることはない。これにより、ルーフ側シールリップと車体外面との間の隙ができにくくなり、外観見栄えが良好になる。
【0019】
更に、自動車用ドアの閉時にルーフ側シールリップのピラー側はピラー側シールリップのルーフ側に接するようにしているので、ルーフ側シールリップのピラー側とピラー側シールリップのルーフ側との間からの水浸入が抑制される。
【0020】
また、前記ピラー側シールリップは、前記ルーフ側シールリップよりも車室内側に配置され、前記ルーフ側シールリップのピラー側は、その端部へ近づくほど車室内側に位置するように湾曲していることを特徴とする。
【0021】
すなわち、外部から高水圧が作用した際に、水がピラー側シールリップに沿って駆け上がるように流れることがある。この場合、ルーフ側シールリップのピラー側がその端部へ近づくほど車室内側に位置するように湾曲していて、自動車用ドアの閉時にピラー側シールリップに接するので、ピラー側シールリップに沿って駆け上がってきた水が車室内側へ浸入するのを抑制できる。
【0022】
また、ルーフからピラーにかけて、自動車の車体に対するシール壁の弾接部に、いわゆる三角スキが発生しても、その三角スキの車外側部分にシールリップを連続して当てる事ができるため、三角スキ部分に水が浸入して溜まるようなことがなく、結果として、雨垂れ現象が発生する事を防止できる。
【0023】
第2の発明は、前記自動車用ドアの閉時に、前記ルーフ側シールリップのピラー側の端部が前記ピラー側シールリップの車室外面に接することを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、自動車用ドアの閉時に、ルーフ側シールリップのピラー側の端部がピラー側シールリップの車室外面に突き当たるように接するので、ルーフ側シールリップとピラー側シールリップとの間のシール性がより一層高まる。
【0025】
第3の発明は、前記ルーフ側シールリップのピラー側は、その端部へ近づくほど前記ルーフ側シール壁からの突出量が小さくなっていることを特徴とする。
【0026】
この構成によれば、自動車用ドアの閉時に、ルーフ側シールリップのピラー側の端部が突っ張らないように、ピラー側シールリップの車室外面に接触させることができるので、ルーフ側シールリップとピラー側シールリップとの間のシール性がより一層高まる。
【0027】
第4の発明は、前記ルーフ側シールリップは、前記ルーフ側シール壁から上方へ突出するとともに、上端へ近づくほど車室外側に位置するように傾斜していることを特徴とする。
【0028】
この構成によれば、自動車用ドアの閉時にルーフがルーフ側シールリップに対して車室内側から接した際、ルーフ側シールリップが確実に倒れるように変形してルーフに弾接する。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、ルーフ側シールリップのピラー側と、ピラー側シールリップのルーフ側とがドアの開時に互いに接しないように車室内外方向に間隔をあけて配置されており、ルーフ側シールリップのピラー側は、その端部へ近づくほどピラー側シールリップのルーフ側に接近するように形成され、ドアの閉時にピラー側シールリップのルーフ側に接するので、外観見栄えを悪化させることなく、シール性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の実施形態に係る自動車ドア用シール材を備えた自動車の左側面図である。
【
図2】左側のフロントドア用シール材を車室外側から見た側面図である。
【
図3】左側のフロントドア用シール材の後側上部を車室内側から見た図である。
【
図4A】
図3のIV-IV線断面図に相当する断面図であり、フロントドアへの取付状態を示す。
【
図5A】
図3のV-V線断面図に相当する断面図であり、フロントドアへの取付状態を示す。
【
図6A】
図3のVI-VI線断面図に相当する断面図であり、フロントドアへの取付状態を示す。
【
図7A】
図3のVII-VII線断面図に相当する断面図であり、フロントドアへの取付状態を示す。
【
図8A】
図3のVIII-VIII線断面図に相当する断面図であり、フロントドアへの取付状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0032】
図1は、本発明の実施形態に係る自動車ドア用シール材を備えた自動車100の左側面図である。自動車100の左右両側には、それぞれフロントドア110と、リヤドア210とが開閉可能に取り付けられている。フロントドア110は、ドア本体部111と、フロントドアガラス112と、フロントドアガラス112を保持するサッシュとして機能するウインドフレーム113とを有している。フロントドア110のドア本体部111は、車体のフロントピラー(図示せず)に対して上下方向に延びる回動軸周りに回動可能に構成されたヒンジ(図示せず)を介して取り付けられている。また、リヤドア210もフロントドア110と同様に、ドア本体部211と、リヤドアガラス212と、リヤドアガラス212を保持するサッシュとして機能するウインドフレーム213とを有しており、ドア本体部211がセンターピラー(図示せず)に対して上下方向に延びる回動軸周りに回動可能に構成されたヒンジ(図示せず)を介して取り付けられている。
【0033】
尚、この実施形態の説明では、車両前側を単に前といい、車両後側を単に後というものとする。また、車幅方向の外側を車室外側といい、車幅方向の内側を車室内側というものとする。
【0034】
フロントドア110のウインドフレーム113は、ドア本体部111の上側の前端部から上方かつ後側へ向けて延びるフレーム前側縦辺部113aと、フレーム前側縦辺部113aの上端部から後側へ延びるフレーム上辺部113bと、フレーム上辺部113bの後端部(長手方向の端部)からドア本体部111の上側の後端部まで下方へ延びるフレーム後側縦辺部113cとを有している。
【0035】
リヤドア210のウインドフレーム213は、ドア本体部211の上側の前端部から上方へ向けて延びるフレーム前側縦辺部213aと、フレーム前側縦辺部213aの上端部から後側へ延びるフレーム上辺部213bと、フレーム上辺部213bの後端部(長手方向の端部)からドア本体部211の上側の後端部まで下方へ延びるフレーム後側縦辺部213cとを有している。このリヤドア210にもフロントドア110と同様にシール材(図示せず)が取り付けられている。
【0036】
(フロントドア用シール材の全体構成)
図2は、左側のフロントドア用シール材1を車室外側から見た図である。左側のフロントドア用シール材1は、左側のフロントドア110の外形状に対応するように環状に形成されており、フレーム上辺部113bに沿って前後方向に延びる上辺押出部1Aと、フレーム後側縦辺部113cに沿って上下方向に延びるとともにドア本体部111の下端部近傍まで延びる後側縦辺押出部1Cと、ドア本体部111の下端部に沿って前後方向に延びる下辺押出部1Dと、ドア本体部111の前端部に沿って上下方向に延びる前側縦辺押出部1Eとを有している。これら上辺押出部1A、後側縦辺押出部1C、下辺押出部1D及び前側縦辺押出部1Eは、弾性を有する材料を口金(図示せず)から押し出して成形する押出成形法によって成形された押出部であり、各々、長手方向両端部に亘って同一断面形状を有している。
【0037】
さらに、左側のフロントドア用シール材1は、上辺押出部1Aの前端部と前側縦辺押出部1Eの上端部との間に設けられた前側型部1Fと、上辺押出部1Aの後端部と後側縦辺押出部1Cの上端部との間に設けられた後側型部1Hとを有している。
【0038】
フロントドア用シール材1の長手方向に離れた複数箇所がウインドフレーム113やドア本体部111に取り付けられている。フロントドア用シール材1の取付手段は、例えばクリップや両面テープ等を挙げることができるが、これらに限られるものではなく、各種取付手段を用いることができる。本例では、後側型部1Hが、フレーム上辺部113b及びフレーム縦辺部113cに亘って取り付けられ、また、上辺押出部1Aがフレーム上辺部113bに取り付けられている。また、後側縦辺押出部1Cがフレーム後側縦辺部113cに取り付けられ、下辺押出部1Dがドア本体部111の下端部に取り付けられている。
【0039】
前側縦辺押出部1Eと前側型部1Fとの境界線を符号L1で示し、上辺押出部1Aと前側型部1Fとの境界線を符号L2で示す。後側縦辺押出部1Cと後側型部1Hとの境界線を符号L3で示す。上辺押出部1Aと後側型部1Hとの境界線を符号L4で示す。
【0040】
前側型部1F及び後側型部1Hは、開閉動作可能な金型(図示せず)で成形された部分であり、従って型部である。前側型部1Fは、上辺押出部1Aの前端部と前側縦辺押出部1Eの上端部とを金型で保持した状態で、当該金型のキャビティに弾性材料を射出することで、上辺押出部1Aの前端部及び前側縦辺押出部1Eの上端部と一体成形されている。後側型部1Hは、上辺押出部1Aの後端部と後側縦辺押出部1Cの上端部とを金型で保持した状態で、当該金型のキャビティに弾性材料を射出することで、上辺押出部1A及び後側縦辺押出部1Cと一体成形されている。
【0041】
また、フロントドア用シール材1の適用可能な材料としては、ゴム様弾性体であれば、特に限定されないが、ゴムの場合はEPDMスポンジゴムが、熱可塑性樹脂の場合は発泡TPOまたは軟質TPOが好ましい。
【0042】
(左側のフロントドア用シール材1の詳細構成)
以下、本発明を左側のフロントドア用シール材1の後側型部1Hに適用した場合について説明するが、本発明は、この部位への適用に限定されるものではなく、例えば、リヤドア用シール材(図示せず)の前側上部等にも適用することができる。
【0043】
(後側縦辺押出部1Cの構成)
はじめに、
図2、
図3、
図4A及び
図4Bに基づいて後側縦辺押出部1Cの構造について説明する。
図4A及び
図4Bは、
図3のIV-IV線に相当する断面図であり、フロントドア110に取り付けられた状態を示している。
図2に示すように、後側縦辺押出部1Cは、上下方向に直線状に延びており、
図3に示すように後側縦辺押出部1Cの上端部が後側型部1Hの下端部に接続されている。
【0044】
図4Aに示すように、後側縦辺押出部1Cは、縦辺基部10と、縦辺シール壁11とを備えている。縦辺基部10は、フレーム後側縦辺部113cに沿って延びており、該フレーム後側縦辺部113cに固定されている。フレーム後側縦辺部113cの車室外側には後側へ延出する延出板部113dが設けられている。延出板部113dの車室外側にはガーニッシュ113eが取り付けられている。
【0045】
縦辺シール壁11は、縦辺基部10から後方かつ車室内側へ向かって膨出した部分である。
図4Aでは、フロントドア110を開いた状態を示しており、縦辺シール壁11は車体に弾接していない。縦辺基部10の内部は中空状に形成されており空洞部10aを有している。また縦辺シール壁11によって構成される空洞部と、縦辺基部10の空洞部10aは、縦辺基部10の後側部分に設けられている区画壁10bによって仕切られている。
【0046】
図4Bに示すように、フロントドア110が閉じると、縦辺シール壁11が車体のセンターピラーPに弾接する。センターピラーPは、車室内外方向に延びる前板P1と、前板P1の車室外側の端部から後側へ延びる外側板P2とを有している。外側板P2の前側部分には車室内側へ窪む段P3が形成されている。フロントドア110の閉時に、外側板P2の段P3よりも前側部分に対して後側縦辺押出部1Cの縦辺シール壁11が車室内側から弾接する。これにより、縦辺シール壁11が車室外側へ押圧されて変形し、縦辺シール壁11の膨出方向先端側が車室外側へ移動するように変形してセンターピラーPに弾接する。
【0047】
(上辺押出部1Aの構成)
次に、
図2、
図3、
図5A及び
図5Bに基づいて上辺押出部1Aの構造について説明する。
図5A及び
図5Bは、
図3のV-V線に相当する断面図であり、フロントドア110に取り付けられた状態を示している。
図2に示すように、上辺押出部1Aは、前後方向に延びるとともに、フレーム上辺部113bの形状に沿って前側へ近づくほど下に位置するように全体として緩やかに湾曲しており、
図3に示すように上辺押出部1Aの後端部が後側型部1Hの前端部に接続されている。
【0048】
図5Aに示すように、上辺押出部1Aは、上辺基部20と、上辺シール壁21とを備えている。上辺基部20は、フレーム上辺部113bに沿って前後方向に延びており、該フレーム上辺部113bに固定されている。フレーム上辺部113bの車室外側には上側へ突出して前後方向に延びる突板部113fが設けられている。突板部113fの車室外側にはモール113gが取り付けられている。
【0049】
上辺基部20の内部は中空状に形成されており、空洞部20aを有している。上辺基部20の上面には、上方へ突出して前後方向に延びる外側シールリップ22が設けられている。
【0050】
上辺シール壁21は、上辺基部20の車室内側に一体成形されており、車室内側へ向かって膨出した部分である。
図5Aでは、フロントドア110を開いた状態を示しており、上辺シール壁21は車体に対して弾接していない。また、上辺シール壁21によって構成される空洞部と、上辺基部20の空洞部20aは、上辺基部20の車室内側部分に設けられた区画壁20bによって仕切られている。
【0051】
また、上辺シール壁21の上面の車室外側寄りの部位には、上方へ突出して前後方向に延びる内側シールリップ23が設けられている。内側シールリップ23は、外側シールリップ22から車室内側に離れて配置されており、上端に近づくほど車室外側に位置するように傾斜している。また、内側シールリップ23の厚みは、外側シールリップ22の厚みよりも薄く設定されている。さらに、内側シールリップ23の上下方向の寸法は、外側シールリップ22の上下方向の寸法よりも短く設定されている。
【0052】
図5Bに示すように、フロントドア110を閉じると、上辺シール壁21が車体のルーフRに弾接する。ルーフRは、車室内外方向に延びる内側板R1と、内側板R1の車室内側の端部から下側へ延びる内板R2とを有している。内側板R1の車室外側部分には段R3が形成されている。また更に、段R3の端部から車室外側へ延びる外側板R4および外側板R4の端部から上方へ延びる外板R5とを有している。
【0053】
フロントドア110の閉時に、フレーム上辺部113bのシール材1取付面に対して
内側板R1と外側板R4は略平行の位置関係になるように構成されている。フロントドア110の閉時に、上辺押出部1Aの上辺シール壁21は内側板R1の車室外側部分に対して下方から弾接する。これにより、上辺シール壁21が下方へ押圧されて外側板R1と
フレーム上辺部113bとの間で潰れるように変形し、外側板R1とフレーム上辺部113bとに弾接する。
【0054】
さらに、フロントドア110の閉時に、外側シールリップ22及び内側シールリップ23が外側板R4の車室内側部分と車室外側部分に対して、それぞれ斜め下方から弾接する。これにより、外側シールリップ22及び内側シールリップ23が下方へ押圧されて
撓み変形し、外側板R4に弾接する。これにより多重のシール構造が得られる。
【0055】
(後側型部1Hの構成)
図3に示すように、後側型部1Hは、ウインドフレーム113のフレーム上辺部113bとフレーム後側縦辺部113cとが接続される接続部分に対応するように形成されている。具体的には、後側型部1Hは、フレーム上辺部113bに沿って前後方向に延びるルーフ側部分30と、フレーム縦辺部113cに沿って上下方向に延びるピラー側部分40とを備えている。この実施形態では、ルーフ側部分30の長さがピラー側部分40の長さよりも短くなっているが、これに限らず、ルーフ側部分30の長さがピラー側部分40の長さよりも長くなっていてもよいし、ルーフ側部分30の長さとピラー側部分40の長さとが同じであってもよい。
【0056】
後側型部1Hは、ウインドフレーム113に固定される固定板50も備えている。固定板50は、ルーフ側部分30とピラー側部分40の境界部及びその近傍から後側へ延出している。固定板50の上下方向中間部には、当該固定板50をウインドフレーム113に固定するためのクリップ等(図示せず)が挿通する挿通孔50aが形成されている。
図6A及び
図6Bに示すように、固定板50の内部には硬質樹脂材等で構成されたインサート51が埋め込まれており、これにより、固定板50の剛性が高められている。インサート51の代わりに図示しないアウトサートが設けられていてもよい。
【0057】
ピラー側部分40は、フレーム縦辺部113cに取り付けられるピラー側基部41と、該ピラー側基部41に一体成形され、フロントドア110の閉時にピラーPから車室外側へ押圧されて変形した状態で該ピラーPに弾接するピラー側シール壁42とを有している。ピラー側基部41は、フレーム縦辺部113cに沿って延びるとともに、上下方向に延びる切れ込み部41aを有している。切れ込み部41aは、ピラー側シール壁42を成形する際に使用された中芯(図示せず)を抜くためのものである。ピラー側基部41の下端部は、後側縦辺押出部1Cの縦辺基部10(
図4Aに示す)の上端部と接続されている。
【0058】
ピラー側シール壁42は、ピラー側基部41から車室内側へ向けて膨出している。ピラー側シール壁42の下端部は、後側縦辺押出部1Cの縦辺シール壁11(
図4Aに示す)の上端部と接続されている。ピラー側シール壁42の外面には、フロントドア110の閉時にピラーPに弾接するピラー側シールリップ43が形成されている。ピラー側シールリップ43は、ピラー側シール壁42の車室内側に配置されている。
【0059】
ピラー側シールリップ43は、ピラー側シール壁42の外方へ突出しかつ上下方向に連続して延びている。ピラー側シールリップ43の突出方向は、後方向または車室内側とすることができる。
図3に示すように、ピラー側シールリップ43の下側は、後側縦辺押出部1Cの近傍に達するまで延びている。ピラー側シールリップ43の下側の突出高さは、下端に近づくほど低くなるように設定されている。
【0060】
また、ピラー側シールリップ43の上部であるルーフ側は、後述するルーフ側シール壁32の外面、即ち後側型部1Hの上面に達するまで延びている。ピラー側シールリップ43のルーフ側の突出高さは、その端部に近づくほど低くなるように設定されている。
【0061】
図6Bに示すように、フロントドア110を閉じると、ピラー側シール壁42がセンターピラーPの段P3に対して車室外側から弾接する。これにより、ピラー側シール壁42が車室外側へ押圧されて変形し、ピラー側シール壁42の膨出方向先端側が車室外側へ移動するように変形してセンターピラーPに弾接する。これに加えて、ピラー側シールリップ43も段P3に弾接して車室外側に倒れるように変形する。
【0062】
図7Aに示すように、ルーフ側部分30は、フレーム上辺部113bに取り付けられるルーフ側基部31と、該ルーフ側基部31に一体成形され、フロントドア110の閉時にルーフRから下方に押圧されて変形した状態で該ルーフRに弾接するルーフ側シール壁32とを有している。ルーフ側基部31は、フレーム上辺部113bに沿って前後方向に延びている。ルーフ側基部31は、前後方向に延びる切れ込み部31aを有している。切れ込み部31aは、ピラー側部分40の切れ込み部41aと連続しており、ルーフ側シール壁32を成形する際に使用された中芯(図示せず)を抜くためのものである。ルーフ側基部31の前端部は、上辺押出部1Aの上辺基部20(
図5Aに示す)の後端部と接続されている。
【0063】
ルーフ側シール壁32は、ルーフ側基部31から車室内側へ向けて膨出している。ルーフ側シール壁32の前端部は、上辺押出部1Aの上辺シール壁21(
図5Aに示す)の後端部と接続されている。ルーフ側シール壁32の外面には、フロントドア110の閉時にルーフRに弾接する外側シールリップ33が形成されている。外側シールリップ33は、上方へ突出して前後方向に延びている。外側シールリップ33の前端部は、上辺押出部1Aの外側シールリップ22(
図5Aに示す)の後端部と接続されている。
図3に示すように、外側シールリップ33の後端部は、固定板50の上部まで連続して延びている。
【0064】
図7Aに示すように、ルーフ側シール壁32の外面には、フロントドア110の閉時にルーフRに弾接するルーフ側シールリップ34が形成されている。ルーフ側シールリップ34は、ルーフ側シール壁32の車室外側に配置されている。
【0065】
ルーフ側シールリップ34は、ルーフ側シール壁32の外方へ突出しかつ前後方向に連続して延びている。ルーフ側シールリップ34の突出方向は上方とされており、上端へ近づくほど車室外側に位置するように傾斜している。ルーフ側シールリップ34の前端部は、上辺押出部1Aの内側シールリップ23(
図5Aに示す)の後端部と接続されている。
【0066】
また、
図3に示すように、ルーフ側シールリップ34の後部であるピラー側は、ピラー側シール壁42の外面に達するまで延びている。ルーフ側シールリップ34のピラー側の突出高さは、その端部に近づくほど低くなるように設定されている。
【0067】
ルーフ側シールリップ34のピラー側と、ピラー側シールリップ43のルーフ側とは、車室内外方向から見たときに互いに重複する範囲に設けられる。さらに、
図8Aに示すように、フロントドア110の開時に、ルーフ側シールリップ34の(後端部位である)ピラー側と、ピラー側シールリップ43のルーフ側とが、自動車用ドアの開時に互いに接しないように車室内外方向に間隔をあけて配置されている。このとき、ピラー側シールリップ43は、ルーフ側シールリップ34よりも車室内側に配置されている。
【0068】
図3に示すように、ルーフ側シールリップ34のピラー側は、その端部へ近づくほどピラー側シールリップ43のルーフ側に接近するように形成されている。具体的には、ルーフ側シールリップ34のピラー側は、後端部へ近づくほど車室内側に位置するように湾曲している。そして、ルーフ側シールリップ34のピラー側は、その後端部へ近づくほどルーフ側シール壁32からの突出量が小さくなっている。
【0069】
図8Bに示すように、フロントドア110を閉じると、ルーフ側シール壁32がルーフRの内側板R1に対して下方から弾接する。これにより、ルーフ側シール壁32が下方へ押圧されて変形してルーフRの内側板R1に弾接する。これに加えて、ピラー側シールリップ43は内側板R1及び傾斜板R3に弾接して車室外側に向けて倒れるように変形する。
【0070】
一方、ルーフ側シールリップ34のピラー側はフロントドア110を閉じると、車室外側に向けて倒れるように変形するものの、その変形量は、ピラー側シールリップ43のルーフ側の変形量より小さくなっている。
【0071】
その理由としては、
(1)ルーフ側シールリップ34のピラー側は、後端部へ近づくほどルーフ側シール壁32からの突出量が小さくなるように設定している
(2)ルーフ側シールリップ34のピラー側は、後端部へ近づくほどリップ形状(先端及び付根の両方)は車室内側に向けて湾曲するように設定している
(すなわち、ルーフ側シール壁32が車室内外方向に撓み変形させられる方向に対して
平行でなく、鋭角的な角度を持っている)ためである。
【0072】
上記2点から、ルーフ側シールリップ34のピラー側の方がピラー側シールリップ43のルーフ側の方よりもリップの剛性が高くなっている事があげられる。そうしたことから、ルーフ側シール壁32は、フロントドア110の閉時に、ルーフ側シールリップ34の付根T1から、ルーフ側基部への付根T2までの部分32aが、上側に湾曲変形し、ピラー側シールリップ43のルーフ側の付根T3と、ルーフ側シールリップ34のピラー側の付根T1との間の部分32bが下側に湾曲変形し、結果として(フロントドア110の閉時に、)ルーフ側シールリップ34のピラー側がピラー側シールリップ43のルーフ側に接触する。このことは、ルーフ側シールリップ34のルーフ側シール壁32からの突出量の設定や、ルーフ側シールリップ34とピラー側シールリップ43との車室内外方向の間隔の設定等によって可能になる。
【0073】
本実施形態では、ルーフ側シールリップ34のピラー側がピラー側シールリップ43に接近するように湾曲しているので、フロントドア110の開時にルーフ側シールリップ34のピラー側の端部は、ピラー側シールリップ34の車室外面に対向するように配置されることになる。この状態からフロントドア110を閉じると、ルーフ側シールリップ34のピラー側の端部がピラー側シールリップ43の車室外面に接する。これにより、ルーフ側シールリップ34のピラー側の端部とピラー側シールリップ43との隙が殆どなくなり、水の浸入が抑制される。
【0074】
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、フロントドア110を閉じると、
図7Bに示すようにルーフ側シール壁32及びルーフ側シールリップ34がルーフRに弾接し、また、
図6Bに示すようにピラー側シール壁42及びピラー側シールリップ43がピラーPに弾接する。ルーフ側シール壁32はルーフRから下方へ押圧されて変形する一方、ピラー側シール壁42はピラーPから車室外側へ押圧されて変形するので、ルーフ側シール壁32とピラー側シール壁42とは変形が異なっている。
【0075】
このとき、ルーフ側シール壁32に設けられているルーフ側シールリップ34と、ピラー側シール壁42に設けられているピラー側シールリップ43とは、フロントドア110の閉時に互いに接しないように車室内外方向に間隔をあけて配置されているので、ルーフ側シール壁32とピラー側シール壁42との異なる変形に対応するように、ルーフ側シールリップ34とピラー側シールリップ43とを変形ないし変位させることが可能になり、シール性が向上する。
【0076】
また、ルーフ側シールリップ34のピラー側と、ピラー側シールリップ43のルーフ側とはフロントドア110の閉時に互いに接しないように車室内外方向に間隔をあけて配置されているので、フロントドア110の閉時に両者が接触したとしても、押出したり、引っ張り込んだりすることはない。これにより、ルーフ側シールリップ34と車体外面との間の隙ができにくくなり、外観見栄えが良好になる。
【0077】
更に、フロントドア110の閉時にルーフ側シールリップ34のピラー側がピラー側シールリップ43のルーフ側に接するようにしているため、ルーフ側シールリップ34のピラー側とピラー側シールリップ43のルーフ側との間からの水浸入が抑制される。
【0078】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0079】
以上説明したように、本発明に係る自動車ドア用シール材は、例えば、自動車の側部に取り付けられるドアと車体との間をシールする場合に使用することができる。
【符号の説明】
【0080】
1 フロントドア用シール材(自動車ドア用シール材)
1H 後側型部
30 ルーフ側部分
31 ルーフ側基部
32 ルーフ側シール壁
34 ルーフ側シールリップ
40 ピラー側部分
41 ピラー側基部
42 ピラー側シール壁
43 ピラー側シールリップ
110 フロントドア
113 ウインドフレーム
113a フレーム前側縦辺部
113b フレーム上辺部
113c フレーム後側縦辺部