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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】インクジェットプリンタシステム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20240131BHJP
   G06F 21/60 20130101ALI20240131BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
G06F3/12 329
G06F3/12 303
G06F3/12 330
G06F3/12 336
G06F3/12 389
G06F21/60 320
B41J29/00 E
B41J29/00 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020120284
(22)【出願日】2020-07-14
(65)【公開番号】P2022017633
(43)【公開日】2022-01-26
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】陳 恵琳
(72)【発明者】
【氏名】高橋 貴弘
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-216834(JP,A)
【文献】特開2014-096751(JP,A)
【文献】特開2011-101338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09- 3/12
G06F 21/60
B41J 29/00- 29/70
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットプリンタとサーバの間に持ち運びできる記憶手段を備えた可搬型の中継器を介在させると共に、前記インクジェットプリンタと前記中継器の間を近距離無線によって通信して前記インクジェットプリンタから前記中継器、或いは前記中継器から前記インクジェットプリンタに印字関連データを送信し、また、前記中継器と前記サーバの間を通信ネットワークによって通信して前記サーバから前記中継器、或いは前記中継器から前記サーバに前記印字関連データを送信すると共に、
前記インクジェットプリンタから前記近距離無線によって前記中継器に送られる前記印字関連データは、前記中継器に設けられた前記記憶手段に記憶され、前記記憶手段に記憶された前記印字関連データは、前記中継器から前記通信ネットワークによって前記サーバに送られ、
前記サーバから前記通信ネットワークによって前記中継器に送られる前記印字関連データは、前記中継器に設けられた前記記憶手段に記憶され、前記記憶手段に記憶された前記印字関連データは、前記中継器から前記近距離無線によって前記インクジェットプリンタに送られる
ことを特徴とするインクジェットプリンタシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のインクジェットプリンタシステムであって、
前記インクジェットプリンタから前記中継器を介して前記サーバに送られる前記印字関連データ、及び前記サーバから前記中継器を介して前記インクジェットプリンタに送られる送られる前記印字関連データの夫々は、暗号キーによって暗号化されており、
前記サーバ、及び前記インクジェットプリンタには、暗号化されて送られてきた前記印字関連データを復号化する複号キーが備えられている
ことを特徴とするインクジェットプリンタシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のインクジェットプリンタシステムであって、
前記中継器には、暗号化された前記印字関連データを復号化する前記複号キーは備えられていない
ことを特徴とするインクジェットプリンタシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のインクジェットプリンタシステムであって、
前記中継器は、少なくとも近距離無線通信手段と、ネットワーク通信手段と、前記印字関連データを一時的に記憶する一時記憶手段とを備えている
ことを特徴とするインクジェットプリンタシステム。
【請求項5】
インクジェットプリンタとサーバの間に持ち運びできる記憶手段を備えた可搬型の中継器を介在させると共に、前記インクジェットプリンタと前記中継器の間を近距離無線によって通信して前記インクジェットプリンタから前記中継器、或いは前記中継器から前記インクジェットプリンタに印字関連データを送信し、また、前記中継器と前記サーバの間を通信ネットワークによって通信して前記サーバから前記中継器、或いは前記中継器から前記サーバに前記印字関連データを送信すると共に、
前記サーバは、前記通信ネットワークを介して外部のアクセス端末装置と通信が可能であり、前記アクセス端末装置は、前記サーバの前記印字関連データを閲覧できる権限が与えれている
ことを特徴とするインクジェットプリンタシステム。
【請求項6】
請求項5に記載のインクジェットプリンタシステムであって、
前記アクセス端末装置から前記通信ネットワークによって前記インクジェットプリンタの更新制御ソフトウェアが前記サーバに送られ、
前記サーバから前記通信ネットワークによって前記中継器に送られた前記更新制御ソフトウェアは、前記中継器に設けられた記憶手段に記憶され、前記記憶手段に記憶された前記更新制御ソフトウェアは、前記中継器から前記近距離無線によって前記インクジェットプリンタに送られる
ことを特徴とするインクジェットプリンタシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のインクジェットプリンタシステムであって、
前記インクジェットプリンタ、前記中継器、及び前記サーバは、製品を生産する生産企業に属し、
前記アクセス端末装置は、前記インクジェットプリンタを前記生産企業に納入する納入企業に属している
ことを特徴とするインクジェットプリンタシステム。
【請求項8】
請求項6に記載のインクジェットプリンタシステムであって、
前記サーバから前記中継器を介して前記インクジェットプリンタに送られる前記更新制御ソフトウェアは、暗号キーによって暗号化されており、
前記インクジェットプリンタには、暗号化されて送られてきた前記更新制御ソフトウェアを復号化する複号キーが備えられていると共に、
前記インクジェットプリンタは、前記複号キーによる前記更新制御ソフトウェアの復号化が所定回数に亘って失敗した場合は、前記更新制御ソフトウェアを廃棄する
ことを特徴とするインクジェットプリンタシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェットプリンタシステムに関し、特に複数のインクジェットプリンタとサーバとを通信ネットワークで接続したインクジェットプリンタシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
生産工場等で使用されている一般的な連続噴射式荷電制御型のインクジェットプリンタは、本体にインクを貯留するインク容器を設けており、そのインク容器のインクをインク供給ポンプによって印字ヘッドへ供給している。印字ヘッドに供給されたインクは、インクノズルから連続的に噴出され、インク液滴化される。
【0003】
インク液滴のうち、印字に使用するインク液滴には、帯電・偏向処理を行い所望の印字対象物の印字位置へ飛翔させ、印字に使用しないインク液滴には、帯電・偏向処理を行わず、ガターで捕集してインク回収ポンプによりインク容器へ戻す構成とされている。
【0004】
そして、食品を収納した包装容器、飲料を充填したペットボトル等の製品を製造する規模の大きい生産工場の製造ラインにおいては、複数台のインクジェットプリンタが設置され、製品の表面に賞味期限、製造工場、製造番号等を印字している。
【0005】
ところで、このようなインクジェットプリンタにおいては、賞味期限、製造工場、製造番号等の印字仕様を変更することが必要であり、このため、複数のインクジェットプリンタとサーバとを通信ネットワークで接続し、サーバからの指示によって複数のインクジェットプリンタの印字仕様を変更することが有効である。
【0006】
サーバと複数のインクジェットプリンタを接続したシステムとして、例えば、特開2020-26057号公報(特許文献1)に記載されているシステムが知られている。この特許文献1においては、複数のインクジェットプリンタの夫々を通信ネットワークに直接接続し、通信ネットワークを介してサーバと接続される構成とされている。したがって、例えば、印字仕様を変更する場合は、サーバから夫々のインクジェットプリンタに印字データを送信することで、容易に複数のインクジェットプリンタの印字仕様を変更することができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2020-26057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、既設の製造ラインにネットワーク環境を整備するには、通信設備や設置工数といった設置費用が必要となり、新たな通信環境を構築することは容易ではなく、簡単なインクジェットプリンタシステムの構築が要請されている。また、インクジェットプリンタの制御ソフトウェアのバージョンアップや消耗品の補充等といったメンテナンスについても、素早く簡単に行えることが要請されている。
【0009】
本発明の目的は、特に既設の製造ラインにさほど費用をかけずにネットワーク環境を構築し、使い勝手の良い新たなインクジェットプリンタシステムを提供することにある。尚、以下で説明する印字関連データとは、印字に使用する「文字データ」、「文字サイズ」、「印字速度」、インクジェットプリンタの稼働データ、制御ソフトウェア等の印字に関連するデータを意味している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の特徴は、インクジェットプリンタとサーバの間に持ち運びできる記憶手段を備えた可搬型の中継器を介在させると共に、インジェットプリンタと中継器の間を近距離無線によって通信してインジェットプリンタから中継器、或いは中継器からインクジェットプリンタに印字関連データを送信し、また、中継器とサーバの間を通信ネットワークによって通信してサーバから中継器、或いは中継器からサーバに印字関連データを送信するインクジェットプリンタシステムにある。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、既設の製造ラインにさほど費用をかけずにネットワーク環境を構築し、使い勝手の良い新たなインクジェットプリンタシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態になるインクジェットプリンタシステムの構成図である。
図2】インクジェットプリンタから中継器へ印字関連データを送信する時の制御フローを示すフローチャートである。
図3】インクジェットプリンタで中継器を選択する操作画面を示す説明図である。
図4】インクジェットプリンタから中継器に送る印字関連データの送信内容を選択する操作画面を示す説明図である。
図5】中継器からサーバへ印字関連データを送信する時の制御フローを示すフローチャートである。
図6】アクセス端末装置におけるプリンタを管理する表示画面を示す説明図である。
図7】アクセス端末装置におけるインクジェットプリンタのデータ管理を行う表示画面を示す説明図である。
図8】サーバからから中継器へ更新制御ソフトウェアを送信する制御フローを示すフローチャートである。
図9】中継器からインクジェットプリンタが更新制御ソフトウェアを受信する制御作フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。
【0014】
本発明の実施形態を図1に基づき説明する。図1は、本実施形態になるインクジェットプリンタシステムの構成を示しており、インクジェットプリンタシステムは、基本的な構成として、連続噴射式荷電制御型の複数のインクジェットプリンタからなるプリンタグループ1と、記憶装置として機能するクラウドサーバ(以下、単にサーバとして表記する)5と、サーバ5とプリンタグループ1の通信を仲介するための中継器3とで構成されている。
【0015】
そして、プリンタグループ1、中機器3、サーバ5は、印字すべき製品(食品や飲料)を生産している生産企業(PC)に属している。特に、プリンタグループ1、中継器3は生産工場内に配置されており、プリンタグループ1、中継器3は、生産工場の従業員(操作担当者)によって操作される。ここで、中継器3は従業員(操作担当者)によって持ち運べる可搬型の携帯端末(いわゆるタブレット端末)である。また、サーバ5は生産企業(PC)が備えるデータセンタに配置されており、データセンタの従業員(操作担当者)によって操作される。尚、実施形態では、サーバ5はプライベートクラウドであるが、パブリッククラウドであっても良い。
【0016】
この可搬型の携帯端末である中継器3は記憶手段を備えており、プリンタグループ1から送られてきた印字関連データを一時的に記憶し、その後に適宜サーバ5に送信する機能、及びサーバから送られてきた印字関連データを一時的に記憶し、その後に適宜プリンタグループ1に送信する機能を備えている。つまり、中継器3は、後述するように、少なくとも近距離無線通信手段と、ネットワーク通信手段と、印字関連データを一時的に記憶する一時記憶手段とを備えている。
【0017】
プリンタグループ1と中継器3とは、近距離無線ネットワーク2によって通信が行われている。近距離無線通信としては、Bluetooth(登録商標)を使用している。この近距離無線ネットワーク2は、プリンタグループ1のインクジェットプリンタと中継器3との間で双方向のデータ通信が可能である。したがって、プリンタグループ1のインクジェットプリンタから中継器3へデータを伝送し、逆に中継器3からプリンタグループ1のインクジェットプリンタにデータを伝送できる。
【0018】
また、中継器3とサーバ5とは通信ネットワーク4で接続されている。ネットワークとしては、「LAN(Local Area Network)」、「WAN(Wide Area Network)、「インターネット(Internet)」、「携帯電話回線網」、及びこれらの組み合わせたネットワーク等を使用できるが、本実施形態では携帯電話回線とインターネットを使用してサーバ5と接続される構成となっている。この通信ネットワーク4も、中継器3とサーバ5との間で双方向のデータ通信が可能である。したがって、中継器3からサーバ5へ印字関連データを伝送し、逆にサーバ5から中継器3に印字関連データを伝送できる。
【0019】
ここで、通信ネットワーク4には、アクセス端末装置17が接続されている。アクセス端末装置17は、生産企業(PC)にインクジェットプリンタ、或いはインクジェットプリンタシステムを納入している納入企業(MC)に属するものであり、納入後はインクジェットプリンタの制御ソフトウェアの更新や、インクや溶剤等の消耗品の補充といったメンテナンスを行うもので、納入企業(MC)の従業員(操作担当者)によってアクセス端末装置17が操作されている。アクセス端末装置17は、汎用コンピュータ(例えば、パーソナルコンピュータ)を使用することができる。
【0020】
この通信ネットワーク4は、更にサーバ5とアクセス端末装置17との間で双方向のデータ通信が可能である。サーバ5からアクセス端末装置17へ印字関連データを伝送し、逆にアクセス端末装置17からサーバ5に印字関連データを伝送できる。
【0021】
プリンタグループ1は、複数のインクジェットプリンタから構成されており、ここでは2台のインクジェットプリンタ6A、6Bを示している。尚、インクジェットプリンタは、本実施形態では2台を示しているが3台以上でも良いことは言うまでもない。尚、以下では代表してインクジェットプリンタ6Bについて説明する。
【0022】
インクジェットプリンタ6Bは、先に説明したように、印字用のインク容器を内蔵しており、そのインクを印字ヘッドに供給している。印字ヘッドは、供給されたインクを液滴化し、内部の帯電電極、及び偏向電極により帯電・偏向されたインク液滴を、印字対象物(例えば、ペットボトル)に着滴させて印字を行うものである。
【0023】
インクジェットプリンタ6Bは、印字関連データを入力、及び出力する入出力部11と、印字関連データを表示する表示部12と、インクジェットプリンタ6Bの動作を制御する制御部(メモリを含む)13等から構成されている。メモリには種々の印字関連データが記憶される。ここで、制御部13は、インクジェットプリンタ6Bの動作を制御するだけではなく、中継器3に印字関連データを送信する機能、及び中継器3から印字関連データを受信する機能を備えている。
【0024】
更に制御部13は、中継器3に印字関連データを送信する際に、印字関連データを暗号化する暗号化機能と、中継器3から印字関連データを受信する際に、暗号化された印字関連データを複合化する復号化機能とを備えている。
【0025】
サーバ5は、インクジェットプリンタ6Bの印字関連データ、例えば「文字データ」、「文字サイズ」、「印字速度」、「稼働データ」、バージョンアップされる制御ソフトウェア等の印字に関連するデータを記憶し保有するデータベースを有する記憶部7を備えている。この記憶部7の印字関連データは更新可能であり、例えば、中継器33から送られてくる印字関連データに更新されたり、後述のアクセス端末装置17から送られてくる印字関連データに更新される。
【0026】
また、サーバ5は、演算処理機能を実行する制御部8と、制御部8の演算処理を実行するための制御プログラムが記憶されたメモリ9と、中継器3から送信されてくる印字関連データをサーバ5の内部に入力したり、中継器3に出力したりする入出力部10を有している。
【0027】
更に制御部8は、中継器3に印字関連データを送信する際に、印字関連データを暗号化する暗号化機能と、中継器3から印字関連データを受信する際に、暗号化された印字関連データを複合化する復号化機能とを備えている。ここで、インクジェットプリンタ6Bの暗号化機能、復号化機能と、サーバ5の暗号化機能、復号化機能は、それぞれ対応しており、インクジェットプリンタ6Bからの暗号キーによる暗号文は、サーバ5の復号キーによって復号され、同様にサーバ5からの暗号キーによる暗号文は、インクジェットプリンタ6Bの復号キーによって復号される。
【0028】
更に、入出力部10を介してサーバ5は、アクセス端末装置17からの検索条件を入力して、記憶部7に記憶されているインクジェットプリンタの印字関連データの中から、要求された検索条件に対応する印字関連データをアクセス端末装置17に出力することもできる。
【0029】
アクセス端末装置17は、操作担当者がインクジェットプリンタシステムを動作させるためのマンマシンコミュニケーション機能、インクジェットプリンタの制御ソフトウェアをバージョンアップするための印字関連データ(更新制御ソフトウェア)を取り込み、サーバ5に伝送する機能、サーバ5から送信された印字関連データを受け取って閲覧する機能等を有している。アクセス端末装置17は、汎用コンピュータ(例えば、パーソナルコンピュータ)を使用することができる。
【0030】
中継器3は、プリンタグループ1のインクジェットプリンタ6B、及びサーバ5の間で印字関連データを交換する中継設備である。中継器3は、無線機能を備えた入出力部14と、入力された印字関連データを記憶する制御部16と、印字関連データを表示したり、操作担当者のためのマンマシンコミュニケーション機能としての表示部15とを有している。ここで、中継器3は操作担当者によって持ち運べる携帯端末(いわゆるタブレット端末)である。本実施形態ではタブレット端末として、米国アップル社が販売している「iPAD」(登録商標)を使用している。
【0031】
中継器3は、インクジェットプリンタ6Bから近距離無線ネットワーク2を介して、インクジェットプリンタ6Bから近距離無線通信で入力された印字関連データを取り込み、自身の制御部16のメモリに記憶する。このメモリは、読み取り/書き換え可能なメモリであり、RAMやフラッシュROMを使用できる。
【0032】
この時、インクジェットプリンタ6Bから入力された印字関連データは暗号化されているが、中継器3においては暗号化された状態で記憶されている。記憶された印字関連データは、その時点で通信ネットワーク4を介してサーバ5に送られるか、操作担当者の操作動作によって必要に応じた時刻で、通信ネットワーク4を介してサーバ5に伝送される。
【0033】
また、中継器3はサーバ5から通信ネットワーク4を介して、サーバ5から入力された印字関連データを取り込み、自身の制御部16のメモリに記憶する。このメモリは、先に説明したように読み取り/書き換え可能なメモリである。
【0034】
サーバ5から通信ネットワーク4を介して入力された印字関連データは、先の説明と同様に暗号化されているが、中継器3においては暗号化された状態で記憶されている。記憶された印字関連データは、その時点で近距離無線ネットワーク2を介してインクジェットプリンタ6Bに送られるか、操作担当者の操作動作によって必要に応じた時刻で、近距離無線ネットワーク2を介してインクジェットプリンタ6Bに送られる。
【0035】
このように、インクジェットプリンタ6Bの制御部13は、インクジェットプリンタ6Bが使用している印字関連データを、中継器3に送信する時に固有の暗号鍵(暗号キー)を用いて暗号化し、暗号文として中継器3へ送信する。中継器3では、この暗号文を復号しないで、そのまま暗号文で記憶する。
【0036】
そして中継器3は、通信ネットワーク4を介してサーバ5と接続して通信を行い、記憶されている暗号化されたインクジェットプリンタ6Bの印字関連データをサーバ5に送信する。サーバ5は、インクジェットプリンタ6Bと共通の暗号鍵(復号キー)を用いて、受信した暗号化された印字関連データを復号することができる。尚、暗号キー、復号キーは種々のものを使用できる。
【0037】
本実施形態で特徴的な構成は、記憶手段を備えた中継器3を使用して、サーバ5とインクジェットプリンタ6Bとを双方向で、しかも無線通信で印字関連データを伝送する構成としたことである。この点で、一般のアクセスポイントで使用されている「ルータ」とは異なった構成とされている。
【0038】
つまり、アクセスポイントは、「ルータ」を建屋等の固定された位置に配置して印字関連データをリアルタイムで伝送するのに対し、本実施形態の中継器3は、持ち運び可能な中継器3の記憶手段によって印字関連データを一時的に記憶させ、通信が可能な位置で、しかも都合の良い時刻で印字関連データを伝送する点で異なっている。
【0039】
例えば、生産工場においては、インクジェットプリンタが配置された生産ラインの現場では、安全性、環境問題、設置費用等の理由でインターネット等の通信ネットワークが構築されない状況が存在する。また、生産ラインは複数台のインクジェットプリンタが設置されるので、いわゆる「ルータ」を使用して全てのインクジェットプリンタを管理する通信ネットワークを構築することは、その作業量が膨大となる。
【0040】
このため、生産ラインの通信ネットワーク環境の構築を簡略化すること、及び使い勝手を向上することを目的として、持ち運びできる可搬型の中継器3を使用してサーバ5とインクジェットプリンタ6Bとを双方向で無線通信によって印字関連データを伝送するようにしている。
【0041】
つまり、インターネット通信のような通信ネットワーク環境の下で、操作担当者は中継器(例えば、iPAD:登録商標)3を使用して、サーバ6から通信ネットワーク4を介して印字関連データをダウンロードして、中継器3のメモリに一時的に保存する。これに続いて、操作担当者は印字関連データがメモリに保存された中継器3を携帯して生産ラインに出向き、近距離無線通信(Bluetooth:登録商標)を利用して中継器3から印字関連データをインクジェットプリンタ6Bへ送信するようにしている。このように、中継器3は操作担当者によって簡単的に移動できるので、生産ラインの通信ネットワーク環境の構築を簡略化することができ、更には使い勝手を向上することができる。
【0042】
次に図2図4を用いて、インクジェットプリンタ6Bから中継器3へ印字関連データを送信する制御フローを説明する。この場合は、操作担当者は中継器3を携帯して、近距離無線通信が可能な距離まで近づいて通信環境を確立する。例えば、Bluetooth(登録商標)の場合は、約10mの範囲内に近づけば通信環境が確立する。尚、図3はインクジェットプリンタ6Bで中継器3を選択する操作画面の一例を示し、図4はインクジェットプリンタから中継器に送る印字関連データの送信内容を選択する操作画面の一例を示している。
【0043】
≪ステップS10≫
ステップS10においては、インクジェットプリンタ6Bと接続される中継器3を選択する制御を実行する。生産ラインにおける操作担当者は、インクジェットプリンタ6Bの表示部12に表示された、図3に示したような近距離無線通信によって接続できる設備一覧画面を見ながら、中継器3を選択する。図3では第2中継器が選択されている。インクジェットプリンタ6Bの制御部13は、入出力部11を介してこの選択された中継器3に対して、操作担当者から接続申請があったことを送信する。選択された中継器3に対して接続申請を送信するとステップS11に移行する。
【0044】
≪ステップS11≫
ステップS11においては、中継器3からの応答を確認している。中継器(第2中継器)3は、インクジェットプリンタ6Bからの接続申請に対して待機しており、接続申請があったと判断すると、インクジェットプリンタ6Bの入出力部11に対して応答信号を送る。応答がない場合は、再びステップS11で応答確認を継続する。中継器3から印字関連データの受信の準備ができたことの応答を受信すると、ステップS12に移行する。
【0045】
≪ステップS12≫
ステップS12において、インクジェットプリンタ6Bの制御部13は、中継器3に送信する印字関連データを選択する。操作担当者は、インクジェットプリンタ6Bの表示部12に表示された、図4に示したような印字関連データを見ながら中継器3に送る印字関連データを選択する。
【0046】
図4では印字データと稼働情報にチェックマークが与えられ、これに基づいて印字データと稼働情報が選択される。印字データは先に述べたような「文字データ」、「文字サイズ」、「印字速度」等であり、稼働情報は運転時刻、インク残量、周囲温度等である。尚、これら以外の印字関連データを含めることも当然可能である。
【0047】
そして、インクジェットプリンタ6Bの制御部13は、選択された印字関連データを特定し、これらの印字関連データをメモリから読み出して、所定の記憶領域に一時的に記憶する。印字関連データの選択が完了するとステップS13に移行する。
【0048】
≪ステップS13≫
ステップS13においては、制御部13は選択された印字関連データを記憶領域から読み出して暗号化処理を実行する。暗号化処理は、送信される印字関連データを予め定義された暗号キーを使用して暗号文に変更するものである。ここで暗号化される印字関連データは、予め限定された開示範囲内の文字列/数字列データである。開示範囲を超える印字関連データは、選択されず暗号化されることもない。印字関連データが暗号化されるとステップS14に移行する。
【0049】
≪ステップS14≫
ステップS14においては、制御部13は、入出力部11から近距離無線通信によって暗号化された印字関連データを、中継器3へ送信する。中継器3では送られてきた暗号化された印字関連データは、制御部16のメモリの所定の記憶領域に暗号文のまま記憶される。
【0050】
本実施形態では、暗号キー、復号キーはインクジェットプリンタ6Bとサーバ5のみに保存されており、中継器3には保存されていないので、中継器3から暗号キー、復号キーが流出する可能性を低くすることができる。このため、インクジェットプリンタ6Bから送信された印字関連データを一時的に中継器3に保存しても、暗号キーが保存されていないので、印字関連データの読み込み処理ができないものとなる。
【0051】
尚、インクジェットプリンタ6Bにおいて、暗号キーは一定時間間隔で更新を行うことができる。また、操作担当者はインクジェットプリンタ6Bの表示部12のマンマシンコミュニケーション画面で新しい暗号キーを手動で入力することもできる。
【0052】
暗号化された印字関連データを中継器3に送信するとステップS15に移行する。
【0053】
≪ステップS15≫
ステップS15においては、インクジェットプリンタ6Bの表示部12の表示画面に送信結果を表示する。例えば、「印字関連データの送信が完了しました。」といったメッセージを表示することで、操作担当者に印字関連データの送信が終了したことを知らせることができる。この後、インクジェットプリンタ6Bは図2に示す制御フローを終了することになる。
【0054】
次に図5図7を用いて、中継器3からサーバ5へ印字関連データを送信する制御フローを説明する。この場合は、操作担当者は中継器3を携帯してインターネット環境の下でサーバ5と接続できる通信環境を確立する。例えば、携帯電話回線や無線LANを利用して通信環境を確立できる。尚、図6はアクセス端末装置におけるインクジェットプリンタを管理する表示画面の一例を示し、図7はアクセス端末装置における個々のインクジェットプリンタのデータ管理を行う表示画面の一例を示している。
【0055】
≪ステップS20≫
ステップS20においては、サーバ5の制御部8は中継器3からの接続申請に対して待機状態となっている。今、操作担当者によって中継器3から印字関連データの送信操作が行われると、サーバ5ではこの送信を受信して印字関連データが中継器3から送られてくることを確認する。この確認が完了するとステップS21に移行する。
【0056】
≪ステップS21≫
ステップS21においては、中継器3から送られてくる暗号化された印字関連データを受信し、受信された印字関連データはサーバ5のメモリ9の所定記憶領域に記憶される。印字関連データの受信が終了するとステップS22に移行する。
【0057】
≪ステップS22≫
ステップS22においては、受信されたデータが暗号化された印字関連データが復号されたか、或いはそうでないのかを判断する。このステップS24における複号化は、メモリに記憶された暗号化された印字関連データを読み出し、サーバ5の制御部8が保有している複号キーを使用して複号化処理を実行する。尚、この判断は受信された印字関連データから判断することができる。
そして、この制御ステップで印字関連データが復号されていないと判断されるとステップS23に移行し、暗号化された印字関連データが復号されたと判断されるとステップS24に移行する。
【0058】
≪ステップS23≫
ステップS22で印字関連データが復号されていないと判断されているので、ステップS23においては、中継器3にデータを複号できないという結果を送信する。この結果を受けた中継器3は、中継器3の制御部16のメモリからサーバ5に送信したデータを削除する。この後、サーバ5は図5に示す制御フローを終了する。
【0059】
≪ステップS24≫
ステップS22で印字関連データが復号されていると判断されているので、ステップS24において、制御部8は複号化された印字関連データを解析する。解析はインクジェットプリンタの識別ID、稼働状態、データタイプ、解析日時(保存日時)等である。尚、これらの解析データは図6図7に示している通りである。解析が完了するとステップS25に移行する。
【0060】
≪ステップS25≫
ステップS25においては、解析された印字関連データをサーバ5の記憶部7にデータベースとして記憶、保存する。保存されるデータは、ステップS24で解析された解析データである。解析データの保存が完了するとステップS26に移行する。
【0061】
≪ステップS26≫
ステップS26においては、保存された解析データから、異常状態やメンテナンス情報があるかどうかを判断する。例えば、インク残量や溶媒残量のチェックや制御ソフトウェアの更新状況等の確認を行うことができる。もちろん、これ以外にもインクジェットプリンタ6Bの異常や故障も確認できることは言うまでもない。
【0062】
このステップS26で異常が無い、或いはメンテナンスが要求されていない状態といった判断がなされると、この後にサーバ5は、図5に示す制御フローを終了する。一方、異常がある、メンテナンスが要求されている状態といった判断がなされると、ステップS27に移行する。
【0063】
≪ステップS27≫
ステップS27においては、記憶部7のデータベースから、インクジェットプリンタ6Bの異常状態やメンテナンス要求に対応する担当者と連絡先メールアドレスを検索する処理を実行する。例えば、インクや溶媒の不足といったメンテナンス要求であれば、中継器3を携帯している操作担当者が検索され、制御ソフトウェアのバージョンアップであればアクセス端末装置17の操作担当者が検索される。操作担当者、及びメールアドレスの検索が完了するとステップS28に移行する。
【0064】
≪ステップS28≫
ステップS28においては、ステップS27で検索された操作担当者のメールアドレスに対して、異常状態やメンテナンス情報を送信して、異常状態やメンテナンス情報の対応を促すこととなる。この後にサーバ5は、図5に示す制御フローを終了する。
【0065】
ここで図1に示すように、アクセス端末装装置17からサーバ5に対してアクセスすることで記憶部7に記憶されている印字関連データを確認することができる。また、操作担当者の操作によってアクセス端末装装置17は、選択された特定の印字関連データを通信ネットワーク4を介して、中継器3に送ることができるように構成されている。
【0066】
そして、中継器3に送られて記憶された特定の印字関連データは、中継器3の操作担当者がインクジェットプリンタ6Bに近づいて、近距離無線通信で選択された特定の印字関連データを、インクジェットプリンタ6Bに送ることができる。
【0067】
図6は、プリンタグループ1を構成するインクジェットプリンタの一覧であり、アクセス端末装置17によって、サーバ5にアクセスして夫々のインクジェットプリンタの稼働状態を閲覧することができる。例えばプリンタIDが「001」~「003」までのインクジェットプリンタは正常に稼働しており、「004」のインクジェットプリンタは制御ソフトウェアのバージョンが古く、「005」のインクジェットプリンタはインク残量が少ないことを表示している。
【0068】
そして、アクセス端末装置17の操作担当者は、特定のプリンタIDを選択し、選択されたインクジェットプリンタの詳細な管理データを閲覧することができる。例えば、図6のプリンタIDが「002」のインクジェットプリンタを選択すると、図7に示すような管理データが表示される構成とされている。図7では「データID」と、この「データID」の「タイプ」、「状態」、「日時」、データIDの「展開と削除の選択」といった項目が表示される。尚、「データID」は時系列に表示されており、最新の「データID」を先頭にして順番に表示されている。
【0069】
また、アクセス端末装置17は、管理データを管理する権限を有しており、管理データを展開する、或いは管理データを削除することができる。
【0070】
次に、制御ソフトウェアを更新する場合の実施形態を説明する。例えばインクジェットプリンタシステム、或いはインクジェットプリンタを納入している企業においては、制御ソフトウェアを更新することは往々にして発生する。このため、図1に示すように、操作担当者の操作によってアクセス端末装置17は、更新された制御ソフトウェア(以下、更新制御ソフトウェアと表記する)を、通信ネットワーク4を介してサーバ5に送信する。
【0071】
サーバ5では、受信した更新制御ソフトウェアを記憶部7の所定の記憶領域に記憶させる。また、サーバ5では、制御ソフトウェアが更新されたことを、通信ネットワーク4を介して中継器3にメールで通知する。通知を受けた中継器3の操作担当者は、中継器3を携帯してインクジェットプリンタに近づき、中継器3に記憶された更新制御ソフトウェアをインクジェットプリンタの制御部13のメモリに保存して、制御ソフトウェアを更新することができる。
【0072】
次に具体的な制御フローを図8図9に基づき説明する。図8はサーバ5から中継器3へ更新制御ソフトウェアを送信する場合を示し、図9は中継器3からインクジェットプリンタ6Bへ更新制御ソフトウェアを送信する場合を示している。
【0073】
≪ステップS30≫
ステップS30においては、サーバ5と接続される中継器3を選択する制御を実行する。図8では、図2に示すように第2中継器が選択されているものとする。サーバ5の制御部8は、選択された中継器(第2中継器)3に対して接続申請を送信するとステップS31に移行する。
【0074】
≪ステップS31≫
ステップS31においては、中継器3からの応答を確認している。中継器3は、サーバ5からの接続申請に対して待機しており、接続申請があったと判断すると、サーバ5の入出力部10に対して応答信号を送る。応答がない場合は、再びステップS31で応答確認を継続する。中継器3から更新制御ソフトウェアの受信の準備ができたことの応答を受信すると、ステップS32に移行する。
【0075】
≪ステップS32≫
ステップS32においては、サーバ5の制御部10は、中継器3に送信する更新制御ソフトウェアを選択する。例えば、サーバ5で自動的に選択することができるし、またアクセス端末装置17から更新制御ソフトウェアを選択することもできる。
【0076】
そして、サーバ5の制御部8は、選択された更新制御ソフトウェアを特定し、これらの更新制御ソフトウェアをメモリから読み出して、所定の記憶領域に一時的に記憶する。更新制御ソフトウェアの選択が完了するとステップS33に移行する。
【0077】
≪ステップS33≫
ステップS33においては、制御部8は更新制御ソフトウェアを記憶領域から読み出して暗号化処理を実行する。暗号化処理は、送信される更新制御ソフトウェアを予め定義された暗号キーを使用して暗号文に変更するものである。更新制御ソフトウェアが暗号化されるとステップS34に移行する。
【0078】
≪ステップS34≫
ステップS34においては、制御部8は入出力部10から通信ネットワーク4によって暗号化された更新制御ソフトウェアを中継器3へ送信する。中継器3では、送られてきた暗号化された更新制御ソフトウェアは、制御部16のメモリの所定の記憶領域に暗号文のまま記憶される。
【0079】
本実施形態でも、暗号キー、復号キーはインクジェットプリンタ6Bとサーバ5のみに保存されており、中継器3には保存されていないので、中継器3から暗号キー、復号キーが流出する可能性を低くすることができる。暗号化された更新制御ソフトウェアを中継器3に送信するとステップS35に移行する。
【0080】
≪ステップS35≫
ステップS35においては、サーバ5はアクセス端末装置17に対して送信結果を送信する。例えば、「更新制御ソフトウェアの送信が完了しました。」といったメッセージをアクセス端末装置17に送信し、アクセス端末装置17においては、自身の表示部に、「更新制御ソフトウェアの送信が完了しました。」といったメッセージの表示を行うことができる。この後、サーバ5は図8に示す制御フローを終了することになる。
【0081】
次に、中継器3からインクジェットプリンタ6Bへ更新制御ソフトウェアを送信する制御フローを図9に基づいて説明する。この場合は、操作担当者は中継器3を携帯してインクジェットプリンタ6Bに近づき、インクジェットプリンタ6Bと近距離通信できる通信環境を確立する。
【0082】
≪ステップS40≫
ステップS40においては、インクジェットプリンタ6Bの制御部13は、中継器3からの接続申請に対して待機状態となっている。今、操作担当者によって中継器3から更新制御ソフトウェアの送信操作が行われると、インクジェットプリンタ6Bでは、この送信を受信して更新制御ソフトウェアが中継器3から送られてくることを確認する。この確認が完了するとステップS41に移行する。
【0083】
≪ステップS41≫
ステップS41においては、中継器3から送られてくる暗号化された更新制御ソフトウェアを受信し、受信された更新制御ソフトウェアはインクジェットプリンタ6Bの制御装置13のメモリの所定記憶領域に記憶される。更新制御ソフトウェアの受信が終了するとステップS42に移行する。
【0084】
≪ステップS42≫
ステップS42においては、受信された暗号化された更新制御ソフトウェアを復号したか、或いはそうでないのかを判断する。このステップS42においては、ステップS41でメモリに記憶された暗号化された更新制御ソフトウェアを読み出し、制御部13が保有している複号キーを使用して複号化処理を実行する。
【0085】
そして、このステップS42で、暗号化された更新制御ソフトウェアが復号化されたと判断されると、ステップS43に移行する。一方、更新制御ソフトウェアが復号化されていないと判断されると、ステップS44に移行する。
【0086】
≪ステップS43≫
ステップS42で暗号化された更新制御ソフトウェアが複号化されたものと判断されているので、ステップS43においては、復号化された更新制御ソフトウェアを制御部13のメモリに記憶する。尚、ステップS41で受信された暗号化された更新制御ソフトウェアは、記憶しておく必要がないので削除される。その後、更新制御ソフトウェアの実行によって、インクジェットプリンタ6Bは印字動作を行うことになる。
【0087】
≪ステップS44≫
ステップS42で暗号化された更新制御ソフトウェアが複号化されていないと判断されているので、ステップS44においては、復号化が拒否された回数が所定回数(ここでは5回)に達したかどうかを判断している。復号化を拒否された回数が、5回を超えないとステップS45に移行し、5回を超えるとステップS46に移行する。
【0088】
≪ステップS45≫
ステップS45においては、複号キーの更新を行い、再びステップS42の処理を繰り返すことになる。インクジェットプリンタの制御部13には複号キー更新機能が備えられている。したがって、ステップS42で複号化が失敗すれば、現在の複号キーが更新された、或いは使用期間を経過したとして保護された可能性がある。
【0089】
このため、ステップS45では、操作担当者の権限によって暗号を解除する新たな複号キーを入力する。新たな複号キーに更新されると、ステップS42に移行して同様の動作を最大で5回実行する。
【0090】
≪ステップS46≫
ステップS44において、復号化を拒否された回数が所定回数、ここでは5回に達したと判断されているので、ステップS46では復号化されていない更新制御ソフトウェアを削除し、ステップS45で計数した拒否回数を「0」にリセットする。その後、インクジェットプリンタ6Bは図9に示す制御フローを終了することになる。
【0091】
ここで、インクジェットプリンタ6Bは中継器3に対して、制御ソフトウェアの更新が失敗したことを送信し、これを受けた操作担当者は通信ネットワークを介してサーバ5に通知し、再度の更新制御ソフトウェアの送信を求めることができる。
【0092】
以上説明したように、サーバ5と中継器3との間の通信(通信ネットワーク回線)4、及び中継器3とインクジェットプリンタ6Bとの間の通信(近距離無線通信)2は、夫々独立した通信形態である。しかも、これらの通信形態を仲介する中継器3は印字関連データを記憶する記憶手段を備えている。
【0093】
このため、サーバ5とインクジェットプリンタ6Bとは、必ずしも時間的に同時に接続する必要がなく、中継器3を介して任意の場所、任意の時刻で、どちらかの通信を使用して印字関連データを送ることができるので、既設の製造ラインにさほど費用をかけずにネットワーク環境を構築することができる。また、中継器3を用いて印字関連データを送信できるので、使い勝手が良いものとなる。
【0094】
本発明によれば、インクジェットプリンタとサーバの間に持ち運びできる記憶機能を備えた可搬型の中継器を介在させると共に、インジェットプリンタと中継器の間を近距離無線によって通信してインジェットプリンタから中継器、或いは中継器からインクジェットプリンタに印字関連データを送信し、また、中継器とサーバの間を通信ネットワークによって通信してサーバから中継器、或いは中継器からサーバに印字関連データを送信する構成とした。
【0095】
これによれば、既設の製造ラインにさほど費用をかけずにネットワーク環境を構築し、更に使い勝手が良いインクジェットプリンタシステムとすることができる。
【0096】
尚、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0097】
1…プリンタグループ、2…近距離通信ネットワーク、3…中継器(タブレット端末)、4…通信ネットワーク、5…クラウドサーバ、6A、6B…インクジェットプリンタ、7…記憶部、8…制御部、9…メモリ、10…入出力部、11…入出力部、12…表示部、13…制御部、14…入出力部、15…表示部、16…制御部、17…アクセス端末装置、PC…生産企業、MC…納入企業。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9