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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】ベアリングプレート固定具
(51)【国際特許分類】
   E21D 20/00 20060101AFI20240131BHJP
【FI】
E21D20/00 A
E21D20/00 F
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020207467
(22)【出願日】2020-12-15
(65)【公開番号】P2022094527
(43)【公開日】2022-06-27
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】三河内 永康
(72)【発明者】
【氏名】末松 幸人
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭64-001900(JP,A)
【文献】特開2014-159728(JP,A)
【文献】特開2009-293196(JP,A)
【文献】特開平11-315700(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 20/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルの地山内面に吹付けられたコンクリートの表面の複数箇所に孔を削孔し、各孔に定着材を注入した後、各孔にロックボルトを挿入し、ベアリングプレートの取り付け孔に、前記コンクリートの表面から突出する前記ロックボルトの端部を挿通し、このベアリングプレートを前記コンクリートの表面に当て付けた状態で固定するベアリングプレート固定具であって、
前記ベアリングプレート固定具は弾性材料で構成され、前記ロックボルトが挿通されるロックボルト挿通孔が貫通形成され、
前記ベアリングプレート固定具は、前記ロックボルト挿通孔の軸心方向に沿った長さを有し、
前記ベアリングプレート固定具の外周部に、前記ベアリングプレート固定具の長さ方向の一端の外径が前記取り付け孔の内径よりも小さく、前記長さ方向の他端に至るにつれ前記外径が次第に大きくなり前記取り付け孔の内径よりも大きな外径となるテーパ面を有するテーパ部が設けられ、
前記テーパ部に、前記テーパ部の縮径を可能とする縮径変形許容部が設けられ、
前記ロックボルト挿通孔の内周面に、前記テーパ部の縮径時に異形鉄筋の節部が入り込む凹部が前記ロックボルト挿通孔の軸心方向に間隔をおいて複数設けられている、
ことを特徴とするベアリングプレート固定具。
【請求項2】
前記縮径変形許容部は、前記テーパ部の長さ方向の一端から前記長さ方向の他端寄りの箇所にわたって設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載のベアリングプレート固定具。
【請求項3】
前記縮径変形許容部は、最も外径が大きい前記テーパ部の一端から最も外径が小さい前記テーパ部の他端寄りの箇所にわたって設けられている、
ことを特徴とする請求項2記載のベアリングプレート固定具。
【請求項4】
前記縮径変形許容部は、前記ロックボルト挿通孔の周囲を構成する前記ベアリングプレート固定具の外周部の一部を前記ロックボルト挿通孔の径方向に貫通するスリットで形成されている、
ことを特徴とする請求項1~3の何れか1項記載のベアリングプレート固定具。
【請求項5】
前記縮径変形許容部は、前記ベアリングプレート固定具の外周部の周方向に間隔をおいて複数設けられている、
ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項記載のベアリングプレート固定具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトンネル工事の支保工などに用いられて好適なベアリングプレート固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、NATM工法で掘削される山岳トンネルでは、図5(A)に示すように、地山が掘削されることで形成された地山内面50にコンクリートC1が吹き付けられる。
その後、トンネルの周方向および長手方向に間隔をおいた複数箇所において、硬化状態のコンクリートC1の上から地山内面50に孔52が削孔され、各孔52にモルタルなどの定着材が注入される。
そして、各孔52にロックボルト54が挿入され、コンクリートC1の表面から突出するロックボルト54の端部が、角型プレートや丸型プレートなどからなる鋼板製のベアリングプレート56の取り付け孔5602に挿通され、このベアリングプレート56をコンクリートC1の表面に当て付け、ロックボルト54の端部の雄ねじにナット58を螺合し、ナット58を締結してベアリングプレート56をコンクリートC1の表面に押し付けることで各ロックボルト54の設置作業が終了し、岩盤の固定作業がなされている。
その後、図5(B)に示すように、必要に応じて地山の水がトンネル内に侵入しないようにコンクリートC1の表面に防水シートが敷設され、この防水シートに対向させてコンクリート打設型枠が配置され、防水シートとコンクリート打設型枠の型枠面との間にコンクリートC2が打設されて覆工コンクリートが行なわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-167774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って従来では、ナット58によりベアリングプレート56をコンクリートC1の表面に押し付けるため、ロックボルト54の端部にナット58を螺合させるための雄ねじを形成しなければならず、トンネル断面が大きく、トンネルの長さが大きくなると、ロックボルト54の本数は数千、数万本の単位となるため、ロックボルト54の端部に雄ねじを形成する作業も大変な作業となり、コストダウンを図る観点から何らかの改善が望まれていた。
また、トンネル工事の支保工のうちロックボルト工では、ロックボルト54の端部の雄ねじにナット58を螺合し、ナット58を回転させてベアリングプレート56をコンクリートC1の表面に押し付ける作業は、作業員が足場に乗って行なうことから無理な姿勢となる場合が多く、手間取る作業となっている。
さらに、ナット58を回転させる作業であるため時間が掛り、コンクリートC1が吹き付けられた岩盤付近に長時間いなければならないため、危険性を伴う作業となっている。
特に、トンネル断面が大きく、トンネルの長さが大きくなると、ロックボルト54の本数は数千、数万本の単位となり、ナット58の締結作業に多くの時間を要し、危険性も増大し、トンネル工事の施工期間を短縮化し、コストダウンを図る観点から何らかの改善が望まれていた。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、ロックボルトの端部に雄ねじに形成する作業とナットの締結作業を省略し、簡単に確実にベアリングプレートをコンクリートの表面に押し付けることができ、危険性を減少する上で有利となり、トンネル工事の施工期間を短縮し、コストダウンを図る上で有利で、トンネル工事の支保工などに用いられて好適なベアリングプレート固定具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、本発明は、トンネルの地山内面に吹付けられたコンクリートの表面の複数箇所に孔を削孔し、各孔に定着材を注入した後、各孔にロックボルトを挿入し、ベアリングプレートの取り付け孔に、前記コンクリートの表面から突出する前記ロックボルトの端部を挿通し、このベアリングプレートを前記コンクリートの表面に当て付けた状態で固定するベアリングプレート固定具であって、前記ベアリングプレート固定具は弾性材料で構成され、前記ロックボルトが挿通されるロックボルト挿通孔が貫通形成され、前記ベアリングプレート固定具は、前記ロックボルト挿通孔の軸心方向に沿った長さを有し、前記ベアリングプレート固定具の外周部に、前記ベアリングプレート固定具の長さ方向の一端の外径が前記取り付け孔の内径よりも小さく、前記長さ方向の他端に至るにつれ前記外径が次第に大きくなり前記取り付け孔の内径よりも大きな外径となるテーパ面を有するテーパ部が設けられ、前記テーパ部に、前記テーパ部の縮径を可能とする縮径変形許容部が設けられていることを特徴とする。
また、本発明は、前記縮径変形許容部は、前記テーパ部の長さ方向の一端から前記長さ方向の他端寄りの箇所にわたって設けられていることを特徴とする。
また、本発明は、前記縮径変形許容部は、最も外径が大きい前記テーパ部の一端から最も外径が小さい前記テーパ部の他端寄りの箇所にわたって設けられていることを特徴とする。
また、本発明は、前記縮径変形許容部は、前記ロックボルト挿通孔の周囲を構成する前記ベアリングプレート固定具の外周部の一部を前記ロックボルト挿通孔の径方向に貫通するスリットで形成されていることを特徴とする。
また、本発明は、前記縮径変形許容部は、前記ベアリングプレート固定具の外周部の周方向に間隔をおいて複数設けられていることを特徴とする。
また、本発明は、前記ロックボルト挿通孔の内周面に、前記テーパ部の縮径時に異形鉄筋の節部が入り込む凹部が前記ロックボルト挿通孔の軸心方向に間隔をおいて複数設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ロックボルトの設置作業時、ベアリングプレート固定具のテーパ部の最も外径が小さい先部をベアリングプレートの取り付け孔に挿入し、ベアリングプレート固定具の端部をハンマーで叩くという簡単で短時間で済む作業で済むため、従来のロックボルトの端部の雄ねじに螺合し、ナットを回転していく手間取る作業に比べて短時間でベアリングプレートをコンクリートの表面に押し付ける作業を行なえ、ロックボルトの設置作業の効率化を図る上で有利となる。
また、ベアリングプレート固定具を用いることにより、ロックボルトの端部に雄ねじを形成する作業を省略できる。
また、ロックボルトの設置作業を短時間で行なうことができることから、コンクリートが吹き付けられた岩盤付近に短時間いれば足り、危険性を減少する上で有利となる。
また、短時間で地山を支保できるため、地山を早期に安定させる上で有利となる。
特に、本発明のベアリングプレート固定具を用いれば、トンネル断面が大きく、トンネルの長さが大きくなり、ロックボルトの本数が数千、数万本の単位となった場合、ロックボルトの設置作業に要する時間を大幅に短縮でき、トンネル工事の施工期間を短縮化し、コストダウンを図る上で有利となる。
また、縮径変形許容部をテーパ部の長さ方向の一端から長さ方向の他端寄りの箇所にわたって設けると、テーパ部の縮径を円滑に確実に行なわせる上で有利となり、ロックボルトの設置作業の効率化を図る上で有利となる。
また、縮径変形許容部を、最も外径が大きい前記テーパ部の端部から最も外径が小さいテーパ部の端部寄りの箇所にわたって設けると、大きなストロークでテーパ部を縮径でき、テーパ部の縮径を円滑に確実に行なわせる上で有利となり、ロックボルトの設置作業の効率化を図る上で有利となる。
また、縮径変形許容部をスリットで構成すると、縮径変形許容部を簡単に確実に形成する上で有利となる。
また、縮径変形許容部を複数設けると、テーパ部の縮径を円滑に確実に行なわせる上で有利となり、ロックボルトの設置作業の効率化を図る上で有利となる。
また、本発明によれば、テーパ部の縮径時、ロックボルトを構成する異形鉄筋の節部が凹部に入り込み、異形鉄筋が抜けようとしても節部が凹部を構成する側壁に当たってロックボルトの抜ける方向への移動が阻止され、ベアリングプレートがコンクリートの表面に押し付けられた状態を確実に保持する上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】(A)はベアリングプレート固定具の正面図、(B)は(A)のB矢視図、(C)は(A)のC―C断面図である。
図2】はベアリング固定具の使用時の説明図で、(A)はベアリング固定具のテーパ部の先部をベアリングプレートの取り付け孔に挿入し、ベアリングプレート固定具を取り付け孔に仮固定した状態の断面図、(B)はハンマーを用いてベアリングプレート固定具の筒部の端部を叩き、ベアリングプレート固定具を取り付け孔に固定した状態の断面図である。
図3】ベアリングプレート固定具を用いた支保工の説明図である。
図4】第2の実施の形態のベアリングプレート固定具の断面図である。
図5】従来工法の説明図で(A)は支保工の説明図、(B)は覆工コンクリートの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
従来の箇所、部材に同一の符号を付して説明すると、図3に示すように、ベアリングプレート固定具10は、トンネルの地山内面50に吹付けられたコンクリートC1の表面の複数箇所に孔52を削孔し、各孔52に定着材を注入した後、各孔52にロックボルト54を挿入し、ベアリングプレート56の取り付け孔5602に、コンクリートC1の表面から突出するロックボルト54の端部を挿通し、このベアリングプレート56をコンクリートC1の表面に当て付けた状態で固定するものである。
【0009】
ベアリングプレート固定具10は、弾性材料で構成され、このような弾性材料として金属材料や合成樹脂材料など、従来公知の様々な材料が採用可能である。
図1に示すように、ベアリングプレート固定具10は、ロックボルト挿通孔12と、テーパ部14と、縮径変形許容部18とを備えている。
ロックボルト挿通孔12は、ベアリングプレート固定具10の中心部に貫通形成され、ロックボルト54が挿通可能な内径で形成されている。
ベアリングプレート固定具10は、ロックボルト挿通孔12の軸心方向に沿った長さを有している。
なお、ロックボルト54には異形鉄筋(ねじ節鉄筋を含む)や丸棒鉄筋など従来公知の様々な棒材が使用可能である。
【0010】
テーパ部14は、ベアリングプレート固定具10の外周部の全域に設けられている。
テーパ部14は、ベアリングプレート固定具10の長さ方向の一端に位置する外周部の箇所の外径が、取り付け孔5602の内径よりも小さく、ベアリングプレート固定具10の長手方向の他端に至るにつれ外径が次第に大きくなり取り付け孔5602の内径よりも大きな外径となるテーパ面1402で構成されている。
【0011】
したがって、ベアリングプレート固定具10の長さ方向の一端は、すなわちテーパ部14の長さ方向の一端は、外径が最も小さい先部1002となり、ベアリングプレート固定具10の長さ方向の他端は、すなわちテーパ部14の長さ方向の他端は、外径が最も大きい基部1004となる。
【0012】
縮径変形許容部18は、ロックボルト挿通孔12の径方向におけるテーパ部14の縮径を可能とするものである。
本実施の形態では、縮径変形許容部18は、ロックボルト挿通孔12の周囲を構成するベアリングプレート固定具10の外周部の一部をロックボルト挿通孔12の径方向に貫通するスリット1802で形成されている。
また、本実施の形態では、スリット1802は、テーパ部14の基部1004からテーパ部14の先部1002寄りの箇所にわたって設けられ、ベアリングプレート固定具10の外周部の周方向に間隔をおいて複数設けられている。
【0013】
次に、本実施の形態のベアリングプレート固定具10を用いたトンネル工事について説明する。
図3に示すように、従来と同様に、トンネルの地山内面に吹付けられたコンクリートC1の表面の複数の孔52に定着材を注入した後、各孔52にロックボルト54を挿入し、ベアリングプレート56の取り付け孔5602に、コンクリートC1の表面から突出するロックボルト54の端部を挿通し、ベアリングプレート56をコンクリートC1の表面に位置させる。
次に、図2(A)に示すように、先部1002をベアリングプレート56に向けた姿勢でベアリングプレート固定具10をベアリングプレート56に近づけ、取り付け孔5602から突出するロックボルト54の端部をベアリングプレート固定具10のロックボルト挿通孔12に挿入する。
そして、ベアリングプレート固定具10をベアリングプレート56に近づけていくことにより取り付け孔5602にテーパ部14の先部1002が挿入されたならば、ベアリングプレート固定具10を取り付け孔5602に押し付け、ベアリングプレート固定具10を取り付け孔5602に仮固定する。
【0014】
次に、ハンマーを用いてベアリングプレート固定具10の基部1004を叩き、図2(B)に示すように、ベアリングプレート固定具10を取り付け孔5602に固定する。
すなわち、ハンマーを用いてベアリングプレート固定具10の基部1004を叩くことで、テーパ部14は取り付け孔5602の内周面により縮径されつつ取り付け孔5602の奥部に侵入し、テーパ部14が縮径されることで、テーパ部14の内周面によりロックボルト54の端部が挟持され、ベアリングプレート固定具10はロックボルト54の長手方向に移動不能に固定される。
これによりベアリングプレート56はベアリングプレート固定具10とコンクリートC1の表面とで挟持され、同時に、ベアリングプレート56はコンクリートC1の表面に押し付けられた状態で固定されることになる。
以後、ベアリングプレート56がコンクリートC1の表面から離れようとしても、テーパ部14を介してテーパ部14を縮径しロックボルト54の端部が挟持することになるため、ベアリングプレート56のコンクリートC1の表面に押し付けられた状態は保持される。
【0015】
したがって、本実施の形態のベアリングプレート固定具10を用いれば、ロックボルト54の設置作業時、ベアリングプレート固定具10のテーパ部14の先部1002をベアリングプレート56の取り付け孔5602に挿入し、ベアリングプレート固定具10の基部1004をハンマーで叩くという簡単で短時間で済む作業で済むため、従来のロックボルト54の端部1402の雄ねじにナット58を螺合し、ナット58を回転していく手間取る作業に比べて短時間でベアリングプレート56をコンクリートC1の表面に押し付ける作業を行なえ、ロックボルト54の設置作業の効率化を図る上で有利となる。
また、ロックボルト54の設置作業を短時間で行なうことができることから、コンクリートC1が吹き付けられた岩盤付近に短時間いれば足り、危険性を減少する上で有利となる。
また、短時間で地山を支保できるため、地山を早期に安定させる上で有利となる。
特に、本実施の形態のベアリングプレート固定具10を用いれば、トンネル断面が大きく、トンネルの長さが大きくなり、ロックボルト54の本数が数千、数万本の単位となった場合でも、ロックボルト54の設置作業に要する時間を大幅に短縮でき、トンネル工事の施工期間を短縮化し、コストダウンを図る上で有利となる。
【0016】
また、縮径変形許容部18がテーパ部14の長さ方向の一端から長さ方向の他端よりの箇所にわたって設けられているので、テーパ部14の縮径を円滑に確実に行なわせる上で有利となり、ロックボルト54の設置作業の効率化を図る上で有利となる。
また、縮径変形許容部18が、外径が最も大きいテーパ部18の基部1004から外径が最も小さいテーパ部18の先部1002寄りの箇所にわたって設けられているので、大きなストロークでテーパ部18を縮径でき、テーパ部14の縮径を円滑に確実に行なわせる上で有利となり、ロックボルト54の設置作業の効率化を図る上で有利となる。
【0017】
次に、図4を参照して第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態では、ロックボルト54として異形鉄筋(ねじ節鉄筋を含む)を用いることを想定しており、第2の実施の形態のベアリング固定具10は、第1の実施の形態のロックボルト挿通孔12の内周面に、ベアリング固定具10(テーパ部14)の縮径時に異形鉄筋の節部が入り込む凹部1202を、ロックボルト挿通孔12の軸心方向に間隔をおいて複数設けたものである。
凹部1202は、内周面の同一円周上において、内周面の周方向に所定長さ延在させ、内周面の周方向に間隔をおいて複数設けてもよく、あるいは、内周面の全周にわたって延在させるなど任意である。
このような凹部1202を設けると、テーパ部14の縮径時、ロックボルト54を構成する異形鉄筋の節部が凹部1202に入り込み、異形鉄筋が抜けようとしても節部が凹部1202を構成する側壁に当たってロックボルト54の抜ける方向への移動が阻止されるため、ベアリングプレート56がコンクリートC1の表面に押し付けられた状態を確実に保持する上で有利となる。
【0018】
なお、縮径変形許容部18は、テーパ部14の肉厚を薄くするなど従来公知の様々な構造を採用してもよいが、縮径変形許容部18を本実施の形態のようにスリット1802で構成すると、縮径変形許容部18を簡単に確実に形成する上で有利となる。
また、本実施の形態のように、縮径変形許容部18を、テーパ部14の外周部の周方向に間隔をおいて複数設けると、テーパ部14の縮径を円滑に確実に行なわせる上で有利となり、ロックボルト54の設置作業の効率化を図る上で有利となる。
また、本実施の形態では、ベアリングプレート固定具10がトンネル工事に用いられる場合について説明したが、ベアリングプレート固定具10の用途はトンネル工事に限定されず、従来公知の様々な用途に適用される。
【符号の説明】
【0019】
10 ベアリングプレート固定具
1002 先部
1004 基部
12 ロックボルト挿通孔
1202 凹部
14 テーパ部
1402 テーパ面
18 縮径変形許容部
1802 スリット
50 地山内面
52 孔
54 ロックボルト
56 ベアリングプレート
5602 取り付け孔
図1
図2
図3
図4
図5