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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】受信装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 67/00 20220101AFI20240131BHJP
   H04N 21/436 20110101ALI20240131BHJP
【FI】
H04L67/00
H04N21/436
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021007979
(22)【出願日】2021-01-21
(65)【公開番号】P2022112237
(43)【公開日】2022-08-02
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000214984
【氏名又は名称】TVS REGZA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井澤 秀人
【審査官】木村 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-150570(JP,A)
【文献】特開2007-150712(JP,A)
【文献】特開2006-115235(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 67/00
H04N 21/436
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通するネットワークに属する他の受信装置と通信可能な受信装置であって、
自装置が前記他の受信装置に情報を配信する親装置であるか、自装置が前記他の受信装置から情報の配信を受ける子装置であるかを決定し決定結果を記録する管理部と、
自装置から発信される第1の情報を生成する情報生成部と、
前記決定の結果自装置が前記親装置である場合に、前記第1の情報および前記子装置たる前記他の受信装置が生成した第2の情報の少なくとも一方を含む第3の情報を生成し、前記子装置たる前記他の受信装置に対して前記第3の情報を送信する下流通信部と、
前記決定の結果自装置が前記子装置である場合に、前記第1の情報を前記親装置たる前記他の受信装置に対して送信し、前記親装置たる前記他の受信装置が生成した第4の情報の配信を受ける上流通信部と、
前記第4の情報を再生する再生部と
前記ネットワークに対してブロードキャスト信号を送信するネットワーク通信部と、を備え、
前記管理部は、前記ブロードキャスト信号に対する応答が一定時間なされなかった場合に自装置が前記親装置であると決定すること
を特徴とする受信装置。
【請求項2】
前記下流通信部が配信する前記第3の情報は、その配信先たる前記他の受信装置から送信された前記第2の情報を含まないことを特徴とする請求項1記載の受信装置。
【請求項3】
前記上流通信部が配信を受ける前記第4の情報は、前記他の受信装置に対して送信した前記第1の情報を含まないことを特徴とする請求項1または2記載の受信装置。
【請求項4】
前記管理部は、自装置が前記親装置であると決定した後、前記ブロードキャスト信号に対して前記他の受信装置から子装置としての応答がなされた場合、該応答をなした前記他の受信装置を子装置として記録すること
を特徴とする請求項1記載の受信装置。
【請求項5】
前記管理部は、自装置が前記親装置であると決定した後、前記ブロードキャスト信号に対して前記他の受信装置から該他の受信装置が親装置であるとの種別情報を含む応答信号が返信された場合、前記応答信号の内容に基づいて自装置が親装置であるか子装置であるかを決定すること
を特徴とする請求項1記載の受信装置。
【請求項6】
前記第1ないし第4の情報は、音声情報であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の受信装置。
【請求項7】
前記第1ないし第4の情報は、自装置または前記他の受信装置の動作状況であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の受信装置。
【請求項8】
前記第4の情報の配信に応じて表示信号を生成する表示信号生成部と、
前記表示信号をユーザに提供する表示部と
を備えたことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、録画機能や録音機能を有する受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
放送波を受信して番組を再生するテレビジョン受信装置(受信装置)が広く普及しており、家庭において家族個々人が自己の受信装置を所有していることも多い。一方、家電機器のネットワーク化が進み、ネットワーク接続可能な受信装置も普及してきている。ネットワーク接続された受信装置は、受信した放送波の番組再生に加えて、ネットワークを介してサーバから配信される番組を再生することができる。
【0003】
このようにネットワーク接続された受信装置は、番組を配信するサーバなどと通信することが多い。しかし、サーバを置かず受信装置を家庭内LANなどに接続した場合、受信装置間の通信を行うことが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-319380
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、従来の受信装置は、ネットワーク接続した場合に受信装置間の通信が難しいという問題がある。以下に説明する実施形態は係る課題を解決するためになされたもので、サーバなどを置かずにネットワーク接続された受信装置間の通信を実現する受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の受信装置は、共通するネットワークに属する他の受信装置と通信可能な受信装置である。実施形態の受信装置は、自装置が他の受信装置に情報を配信する親装置であるか、自装置が他の受信装置から情報の配信を受ける子装置であるかを決定し決定結果を記録する管理部と、自装置から発信される第1の情報を生成する情報生成部と、決定の結果自装置が親装置である場合に、第1の情報および子装置たる他の受信装置が生成した第2の情報の少なくとも一方を含む第3の情報を生成し、子装置たる他の受信装置に対して第3の情報を送信する下流通信部と、決定の結果自装置が子装置である場合に、第1の情報を親装置たる他の受信装置に対して送信し、親装置たる他の受信装置が生成した第4の情報の配信を受ける上流通信部と、第4の情報を再生する再生部とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る受信装置の構成を示すブロック図である。
図2】実施形態に係る受信装置の制御部の構成を示すブロック図である。
図3】実施形態に係る受信装置の親装置決定手順を示すフローチャートである。
図4】実施形態に係る受信装置の親装置変更手順を示すフローチャートである。
図5】実施形態に係る受信装置の子装置管理手順を示すフローチャートである。
図6】実施形態に係る受信装置の配信動作を示すフローチャートである。
図7】実施形態に係る受信装置における信号処理の様子を示す図である。
図8】実施形態に係る受信装置の再生動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施形態の受信装置は、例えばネットワーク接続が可能なテレビ受信機などである。このようなテレビ受信機が家庭内の各部屋に配置されネットワーク接続されると、番組配信などが可能になる。一方で、従来テレビ受信機は個々に独立して機能する装置であるから、ネットワークを介してテレビ受信機間において通信することはあまり行われていない。
【0009】
しかし、家庭内の各部屋に配置されるテレビ受信機は、各部屋間における情報共通インフラとしても機能し得るものである。例えば、テレビ受信機にマイクを設けて各部屋間のインターホンとして機能させたり、他の部屋のテレビ受信機の動作情報(例えば再生中のチャネル、受信中の配信番組などの情報)を共有させたりすることが可能になる。実施形態の受信装置は、かかる観点からテレビ受信機をはじめとする受信装置の新しい機能を実現するものである。
【0010】
以下、図面を参照して実施の形態を詳細に説明する。図1に示すように、実施形態に係る受信装置1(1a,1b,1c,1d)は、例えば録画機能を有するデジタルテレビジョン受信装置である。この受信装置1は、アンテナANT、チューナ11、逆多重化モジュール12、制御部13、入力インタフェースとしてのキーKBおよびマイクMIC、ネットワークインタフェース(I/F)14、ビデオデコーダ15、オーディオデコーダ16、画像処理モジュール17、音声処理モジュール18、デジタル映像信号を表示可能な表示デバイスD、およびD/A変換機能を有しデジタル音声信号を出力可能なスピーカSPを備えている。
【0011】
チューナ11は、アンテナANTから取り込まれる、例えばデジタル放送波から所望の放送波(放送局)を選局する回路ブロックである。放送波は、アンテナから取り込まれるものに限らず、ケーブルテレビ局などからケーブルを介して取り込まれるものであってもよい。逆多重化モジュール12は、放送波に多重化されていた映像信号、音声信号をそれぞれ分離して、ビデオデコーダ15およびオーディオデコーダ16へそれぞれ出力する回路ブロックである。
【0012】
ビデオデコーダ15は、逆多重化モジュール12で分離された映像信号を復号し、復号したデジタル映像信号を画像処理モジュール17へ出力する回路ブロックである。一方、オーディオデコーダ16は、逆多重化モジュール12で分離された音声信号を復号し、復号したデジタル音声信号を音声処理モジュール18へ出力する回路ブロックである。画像処理モジュール17および音声処理モジュール18は、復号されたデジタル映像信号およびデジタル音声信号に対して所定の画像処理や音声処理を行い、当該処理後の映像信号および音声信号を表示デバイスDおよびスピーカSPそれぞれに出力して再生する回路ブロックである。
【0013】
制御部13は、ネットワークインタフェース14を介してネットワークLANに接続されている。制御部13は、ネットワークLANに接続された他の受信装置と通信し、番組配信を受け、当該他の機器の動作情報を画像処理モジュール17や音声処理モジュール18に送る機能を有する。ネットワークインタフェース14は、例えばイーサネットなどの規格に基づいたインタフェースであり、受信装置1とネットワークLANとを接続する機能を有する。
【0014】
受信装置1は、ネットワークLANを介して他の受信装置1やルータRTなどと接続される。ルータRTは、例えばインターネットとネットワークLANとをつなぐ機器であり、インターネットを介して受信した配信番組を受信装置1に配信する機能を有してもよい。
【0015】
制御部13には、ハードウェア要素としてキーKB、マイクMICおよびインジケータLが接続されている。キーKBは、例えばスイッチ、タッチパネル、キーボードなどの入力インタフェースであり、ユーザの指示を受け付けて制御部13に渡す機能を有する。マイクMICは、ユーザなどの音声を取り込んで制御部13に渡す機能を有する。インジケータLは、受信装置1の動作状態などをユーザに提示する出力インタフェースであり、例えばランプ、液晶装置などにより実現できる。インジケータLは、音響信号をユーザに伝えるブザーなどの素子であってもよい。
【0016】
このように、実施形態の受信装置1は、ネットワークインタフェース14により他の受信装置と接続可能に構成されている。
【0017】
続いて、図2を参照して、実施形態の受信装置1における制御部13の構成を詳細に説明する。図2に示すように、実施形態の制御部13は、指示信号生成部131,音声信号生成部132,表示信号生成部133,相手先管理部134,音声処理部135,合成処理部136,ネットワーク通信部137,上流通信部138および下流通信部139を有している。
【0018】
この実施形態の受信装置1は、ネットワークLANを介して接続された他の受信装置に対して情報を送り、また当該他の受信装置から情報を受けることができる。以下に説明する例では、ネットワークLANを介して受信装置間で音声情報を送受信するものとして説明する。
【0019】
指示信号生成部131は、キーKBから受けたユーザの指示に基づいて指示信号を生成する機能要素である。指示信号生成部131は、例えば受信装置1から他の受信装置へ音声信号を送る際に送信指示信号を生成する。
【0020】
音声信号生成部132は、マイクMICが受けた音響信号に基づいて、ネットワーク上に送信できる形態の音声信号を生成する機能要素である。生成する音声信号は、デジタルでもアナログでもよい。
【0021】
表示信号生成部133は、受信装置1の動作に応じた表示信号を生成してインジケータLを駆動する機能要素である。表示信号生成部133は、インジケータLの種類に応じた態様でユーザに対する通知内容を示す表示信号を生成する。例えば、受信装置1の送信中、受信中などの動作状態を示す場合、表示信号133は、インジケータLがLED素子であれば、点灯状態や点滅の頻度、色などを変化させた表示信号を生成する。
【0022】
相手先管理部134は、ネットワークLANに接続され受信装置1と通信可能な他の受信装置を管理する機能要素である。具体的には、相手先管理部134は、受信装置1が通信可能な他の受信装置のID、ネットワークアドレス、親装置か子装置かを示す種別などの情報を対応付けて保持する。ここで親装置とは、子装置が発信した音声情報と自装置の音声信号生成部132が生成した音声情報を合成して子装置たる他の受信装置に配信する機能をもつ受信装置である。子装置とは、自装置が発信する音声情報を親装置に送信し、親装置が合成した音声情報の配信を受け取る機能をもつ受信装置である。実施形態の受信装置は、自らが親装置として機能することも子装置として機能することも可能である。受信装置1自らが親装置であるか子装置であるかによって、相手先管理部134が管理する他の受信装置の種別が異なることになる。
【0023】
音声処理部135は、音声信号生成部132が生成した音声信号や、子装置との通信を担う下流通信部139から受け取った音声信号を処理する機能要素である。また、合成処理部136は、音声処理部135が処理した音声信号を合成して配信用音声信号を生成する機能要素である。ここで、配信用音声信号とは、子装置たる他の受信装置から受け取った音声信号を親装置たる自装置が発する音声信号とともに合成し、再度子装置たる他の受信装置へ配信するための音声信号である。
【0024】
ネットワーク通信部137は、ネットワークLANに接続された他の受信装置との接続や親装置決定プロセスなどを実行する機能要素である。上流通信部138は、受信装置1が子装置である場合に親装置たる他の受信装置と通信する機能要素である。下流通信部139は、受信装置1が親装置である場合に子装置たる他の受信装置と通信する機能要素である。
【0025】
実施形態の受信装置は、親装置と通信する上流通信部と、子装置と通信する下流通信部を有し、親装置としても子装置としても機能する。また、実施形態の受信装置は、音声処理部に加えて合成処理部を有し、子装置の送信信号を合成して配信用音声信号を生成する。すなわち、親装置による配信用音声信号を介して、子装置間の通信を実現している。
【0026】
実施形態の受信装置は、例えば家庭におけるテレビのように、複数の受信装置が共通するネットワークに属することができる。その際、サーバ等により各受信装置を管理することは煩雑である。また、家庭におけるテレビを例にとると、各受信装置の稼働状態(電源のオンオフ状態)をあらかじめ特定することはむつかしい。そこで、実施形態の受信装置は、他の受信装置と特定の通信手順を用いて通信することにより親装置を決定している。
【0027】
また、受信装置が家庭におけるテレビのような場合、ネットワーク接続を担う制御部の能力が一定しない。そこで、実施形態の受信装置では、子装置たる受信装置が発信する音声信号はすべて親装置に送信され、親装置から各子装置宛音声信号を配信用音声信号として各子装置に配信する形をとっている。これにより、ネットワーク性能や音声処理能力が高くない受信装置でも子装置間の通信を実現することが可能になる。
【0028】
以下、図2および図3を参照して、実施形態の受信装置の親装置決定プロセスを説明する。まず、受信装置1aの電源がオンとされると、相手先管理部134は、自装置たる受信装置1aを子装置として記録する(S200)。子装置としての設定は、ネットワークLANに接続されたときでもよいし、他の受信装置との通信を開始したときでもよい。
【0029】
次に、ネットワーク通信部137は、受信装置1aのIDを付したブロードキャスト信号をネットワークLANに向けて送信する(S205)。ネットワーク通信部137が送信するブロードキャスト信号は、ネットワークLANに属する他の受信装置に一律に伝送することができるものであれば、ネットワークLANの形式に応じた他の態様の送信信号(パケット信号など)であってもよい。ブロードキャスト信号は、受信装置1aのIDに加えて、自装置のアドレス情報、自装置が親装置か子装置かを示す種別情報、自装置がネットワークLANに接続してからの通算時間を示す稼働時間情報などを含んでいる。
【0030】
ネットワーク通信部137は、ブロードキャスト信号を送信した後、他の受信装置からの応答受信を待機する(S210)。他の受信装置(例えば受信装置1b)から、ブロードキャスト信号に対する受領信号(ACK信号)の返信があった場合(S210のYes)、相手先管理部134は、既にネットワークLAN上に親装置が存在するものと判定し、ACK信号に含まれるIDやアドレス情報を親装置の情報として記録する(S220)。
【0031】
所定の時間内に他の受信装置からブロードキャスト信号に対するACK信号の返信がなかった場合(S210のNo)、相手先管理部134は、自装置たる受信装置1aが親装置であると判定し、その旨を記録する(S215)。すなわち、この実施形態の受信装置では、ネットワークLANに受信装置が接続された順序で親装置として設定されるので、ネットワークLANにサーバ等の管理装置を設けることなく受信装置の主従関係をシンプルな手順で規定することができる。
【0032】
自己のブロードキャスト信号に応答がなく自装置が親装置として設定(S215)されたということは、ネットワークLAN上に他の受信装置が存在しないということである。ネットワーク通信部137は、他の受信装置(1b,1c,1d)からの信号受信を待機する(S225)。一定期間信号を受信しない場合(S225のNo)、ネットワーク通信部137は待機モードとなる。
【0033】
自装置が親装置となった後、他の受信装置(例えば受信装置1b)からのブロードキャスト信号を受信した場合(S225のYes)、ネットワーク通信部137は、ブロードキャスト信号に含まれる種別情報が親装置であるか子装置であるかを判定する(S230)。ブロードキャスト信号に含まれる種別情報が子装置である場合(S230のYes)、相手先管理部134は、当該ブロードキャスト信号に含まれる受信装置1bのIDとアドレス情報を子装置のIDおよびアドレス情報として記録する(S235)。その後、ネットワーク通信部137は、受信装置1bに対して親装置としてのACK信号を送信する。これにより、受信装置1bは、親装置たる受信装置1aの存在を知ることができる。
【0034】
ブロードキャスト信号に含まれる種別情報が親装置である場合(S230のNo)、自装置たる受信装置1aも親装置であるから親装置が複数存在することになる。そこで、ネットワーク通信部137は、受信したブロードキャスト信号から受信装置1bの稼働時間情報を読み出すとともに、自装置たる受信装置1aの稼働時間情報をネットワークインタフェース14から取得する(S240)。相手先管理部134は、受信した受信装置1bの稼働時間情報と自装置たる受信装置1aの稼働時間情報とを比較する(S245)。
【0035】
比較の結果、受信装置1bの稼働時間よりも受信装置1aの稼働時間の方が長い場合(S245のNo)、相手先管理部134は、自装置の方が親装置として適している(=稼働時間が長い)と判定し、自装置が親装置であるとの設定を維持する(S260)。この場合、親装置として適していない受信装置1bは、受信装置1aから発信されるブロードキャスト信号に基づいて親装置としての適否判定を行い、親装置から子装置へと設定を変更する。その後、受信装置1aのネットワーク通信部137が、子装置となった受信装置1bからのブロードキャスト信号を受信すると、受信装置1aの相手先管理部134は、受信装置1bのIDとアドレス情報を子装置として記録する。
【0036】
比較の結果、受信装置1bの稼働時間の方が受信装置1aの稼働時間よりも長い場合(S245のYes)、相手先管理部134は、相手装置の方が親装置として適していると判定し、自装置を子装置に設定する(S250)。そして、ブロードキャスト信号に含まれる受信装置1bのIDとアドレス情報を親装置のIDおよびアドレス情報として記録する(S255)。その後、ネットワーク通信部137は、受信装置1bに対して、受信装置1aのID、アドレス情報および種別情報として子装置である旨を含むACK信号を送信する。これにより、受信装置1bは、自装置が親装置として適切であることを知ることができる。
【0037】
このように、実施形態の受信装置では、ネットワークLAN上に複数の親装置が存在した場合でも、ブロードキャスト信号に含まれる情報に基づいて、適切な受信装置を親装置として維持することができる。なお、上記説明した例では、受信装置(あるいはネットワークインタフェース)の稼働時間に基づいて親装置の適否を判定したが、これには限定されない。例えば、自己の性能を示す指標をブロードキャスト信号に含めて当該指標を基準に判定してもよいし、アドレス情報の番号の小さい方を優先して親装置に設定してもよい。これらの判定基準を組み合わせても構わない。また、演算性能が高くない受信装置の場合、上記「自装置を親装置に設定」するステップ(S215)を省略し、常に子装置としてふるまうように構成してもよい。
【0038】
次に、図2および図4を参照して、受信装置1aが子装置である場合に親装置の電源がオフとなる等によりネットワークLANから切断された場合について説明する。
【0039】
実施形態の受信装置は、例えば家庭におけるテレビのように複数の受信装置が共通のネットワークLANに属する他の受信装置と通信することができる。このとき、親装置たる受信装置がネットワークLANから切断されると、親装置から配信される配信用音声信号が途切れてしまう。そのため、受信装置間の通信を維持するためには、親装置の再設定プロセスが必要となる。
【0040】
図3および図4に示すように、相手先管理部134が既にネットワークLAN上に親装置が存在するものと判定すると、親装置たる受信装置1bのIDやアドレス情報等を親装置の情報として記録する(S220)。
【0041】
受信装置1a…1dは、ネットワークLANに属し通信可能状態である間、一定時間間隔でブロードキャスト信号を送信している(S330)。ブロードキャスト信号の送信の結果、一定期間内に親装置からの信号が受信できない場合(S335のNo)、相手先管理部134は、ネットワークLANには親装置が存在しないと判定し、自装置を親装置として記録する(S340)。
【0042】
ブロードキャスト信号の送信の結果、一定期間内に信号が受信できた場合(S335のYes)、相手先管理部134は、その信号が親装置たる受信装置1bからのACK信号であれば、(S345のNo)、親装置の変更がないと判定し、処理を終了する。
【0043】
ブロードキャスト信号の送信の結果、一定期間内に信号が受信できた場合(S335のYes)、相手先管理部134は、その信号が示すIDが、相手先管理部134が記録する親装置たる受信装置1bとは異なるIDの親装置たる受信装置1cである場合(S345のYes)、親装置が変更されたものと判定し、新しいIDの受信装置1cのID、アドレス情報を親装置のものとして記録する(S350)。
【0044】
このように、実施形態の受信装置は、親装置に変動があった場合でもブロードキャスト信号の送受信により自律的に親装置を決定することができる。
【0045】
続いて、図3および図5を参照して、受信装置1aが親装置である場合に子装置の電源がオフとなる等によりネットワークLANから切断された場合について説明する。実施形態の受信装置は、例えば家庭におけるテレビのように複数の受信装置が共通のネットワークLANに属する他の受信装置と通信することができる。このとき、子装置たる受信装置がネットワークLANから切断されると、親装置から配信される配信用音声信号の送信先に変更が必要となる。
【0046】
図3および図5に示すように、相手先管理部134が自装置たる受信装置1aが親装置であると判定すると、その旨を記録する(S215)。
【0047】
このとき、受信装置1aは、ネットワークLANに属する間、一定間隔でブロードキャスト信号を送信している(S420)。ネットワーク通信部137は、子装置たる他の受信装置1b…1dからのACK信号を受信すると(S425のYes)、相手先管理部134は、自己の配下にある子装置の記録を更新する(S430)。
【0048】
ネットワーク通信部137は、例えばブロードキャスト信号を受信する度に相手装置毎のタイマーを起動して受信信号の有無を監視している(S435のNo)。もし子装置たる受信装置1cから応答なく所定の時間が経過すると(S435のYes)、相手先管理部134は、応答がなくなった受信装置1cの記録を削除する(S440)。
【0049】
このように、実施形態の受信装置は、自装置が親装置である場合、常に配下の子装置の動向を監視することができる。
【0050】
続いて、図2および図6を参照して、実施形態の受信装置1aが親装置である場合の音声信号の配信動作について説明する。以下、受信装置1b,1c,1dが子装置としてネットワークLANに接続されている例を説明する。
【0051】
ユーザが受信装置1bのキーKBを操作して送信状態に切り替えて音声を発すると、受信装置1bのマイクMICおよび音声信号生成部132は、当該音声の音声信号を生成する(S400)。
【0052】
受信装置1bの音声処理部135は、生成された音声信号に自装置たる受信装置1bのIDと親装置たる受信装置1aのIDを付与して送信用音声信号を生成する。受信装置1bの上流通信部138は、生成した送信用音声信号を親装置たる受信装置1aに対して送信する(S405)。
【0053】
親装置たる受信装置1aの下流通信部139は、子装置たる受信装置1bからの送信用音声信号を受信する(S410)。
【0054】
親装置たる受信装置1aの音声処理部135は、下流通信部139が受信した送信用音声信号を発信元の子装置ごとに図示しないバッファに記憶する(S415)。
【0055】
図7は親装置による音声信号の処理の様子を示している。図7に示すように、子装置たる受信装置1b(図7において「子1b装置」と示す。以下同様。)が送信した信号は、「子1b音声信号」としてバッファに記憶される。子装置たる受信装置1c,1d(同じく「子1c装置」「子1d装置」)が送信した信号は、「子1c音声信号」「子1d音声信号」としてバッファに記憶される。なお、親装置たる受信装置1a(図7において「親1a装置」と示す。)のユーザがキーKBを操作し、マイクMICおよび音声信号生成部132が音声信号を生成した場合、受信装置1aはネットワークLANに対して送信用音声信号を送信せず、親装置たる受信装置1aの音声処理部135が直接「親1a音声信号」としてバッファに記憶する。
【0056】
親装置たる受信装置1aの音声処理部135は、受信した送信用音声信号や自装置の送信信号をバッファに記憶しつつ、所定の配信タイミングに達したか否かタイマーを起動させて監視している(S420)。配信タイミングに達しない場合(S420のNo)、親装置たる受信装置1aの下流通信部139は子装置たる受信装置からの送信用音声信号を受信し、親装置たる受信装置1aの音声処理部135は、発信元の子装置ごとにバッファへの記憶を継続する(S410、S415)。
【0057】
所定の配信タイミングに達した場合(S420のYes)、親装置たる受信装置1aの合成処理部136は、音声処理部135がバッファへ記憶した受信装置毎の音声信号を合成して配信用音声信号を生成する(S425)。配信用音声信号は、配信先が送信した音声信号を除くすべての音声信号が合成されたものである。図7に示すように、「親1a音声信号」「子1b音声信号」「子1c音声信号」「子1d音声信号」がバッファに記憶されている場合、合成処理部136は、「子1b音声信号」「子1c音声信号」「子1d音声信号」を合成して「親1a装置」宛の配信用音声信号を生成する。同様に、合成処理部136は、「親1a音声信号」「子1c音声信号」「子1d音声信号」を合成して、子装置「子1b装置」宛の配信用音声信号を生成する。配信用音声信号に宛先装置の音声信号を含めないのは、配信を受けた受信装置においてマイクMICが受けた音声が再び出力されることによるハウリングやユーザが感じる不快感を抑えるためである。
【0058】
所定の配信先について対応する配信用音声信号が生成されると、親装置たる受信装置1aの下流通信部139は、当該配信先に対して対応する配信用音声信号を送信する(S430)。すなわち図7に示す例では、合成処理部136が「親1a音声信号」「子1c音声信号」「子1d音声信号」からなる配信用音声信号を生成すると、下流通信部139は、当該配信用音声信号を子装置「子1b装置」宛に送信する。
【0059】
子装置たる受信装置1bの上流通信部138は、「親1a音声信号」「子1c音声信号」「子1d音声信号」からなる配信用音声信号を受信する(S435)。受信した配信用音声信号は、子装置たる受信装置1bの音声処理モジュール18に送られ、スピーカSPを通じてユーザに提供される。
【0060】
親装置たる受信装置1aは、配信用音声信号の合成処理と送信処理を、バッファした宛先の数だけ繰り返す(S440のNo)。なお、「子1b音声信号」「子1c音声信号」「子1d音声信号」からなる親装置たる受信装置1a宛の配信用音声信号は自装置宛であるから、合成処理部136が「子1音声信号」「子2音声信号」「子3音声信号」からなる配信用音声信号を生成すると、ネットワークLANに向けて送信せず、直接音声処理モジュール18に渡すことができる。
【0061】
子装置たる受信装置1bの上流通信部138は、親装置たる受信装置1aから送られる受信装置1b宛の配信用音声信号を受信する。子装置たる受信装置1bの音声処理部135は、上流通信部138が受信した受信装置1b宛の配信用音声信号を音声処理モジュール18に渡す。音声処理モジュール18は、スピーカSPを駆動し、受信した音声信号を音響として出力する。表示信号生成部133は、配信用音声信号の受信処理に合わせて表示信号を生成してインジケータLを駆動する。
【0062】
この実施形態の受信装置によれば、子装置たる受信装置は、親装置たる受信装置から配信される配信用音声信号をそのまま再生すればよいので、子装置たる受信装置の負担を軽くすることができる。なお、図7に示すように、実施形態の受信装置では、親装置宛の配信用音声信号を生成しているが、これには限定されない。親装置たる受信装置1aの合成処理部136は、「子1b音声信号」「子1c音声信号」「子1d音声信号」からなるバッファされた信号をそのまま受信装置1aの音声処理モジュール18に渡してもよい。この場合、親装置たる受信装置1aの負荷を抑えることができる。
【0063】
ここで図2および図8を参照して、実施形態の受信装置におけるインジケータLの駆動動作について説明する。以下は、子装置たる受信装置1bが配信用音声信号を受信した場合の例である。
【0064】
子装置たる受信装置1bの上流通信部138は、「親1a音声信号」「子1c音声信号」「子1d音声信号」からなる配信用音声信号を受信する(S500)。
【0065】
配信用音声信号を受信すると、受信装置1bの表示信号生成部133は、インジケータLに対して再生表示信号を送り、インジケータLは音声信号の再生を示す表示を点灯する(S505)。
【0066】
受信した配信用音声信号は、受信装置1bの音声処理モジュール18に送られ、スピーカSPを通じてユーザに提供される(S510)。
【0067】
受信装置1bの表示信号生成部133は、配信用音声信号の受信からタイマーを起動し、配信用音声信号の再生からの経過時間をカウントしている(S515)。タイマー起動後所定の時間が経過すると(S515のYes)、表示信号生成部133は、再生表示信号の送出を停止する(S520)。これにより、インジケータLの表示が消灯する。
【0068】
このように、実施形態の受信装置では、子装置たる受信装置はユーザの音声信号を上流に位置する親装置たる受信装置に送信する。親装置たる受信装置は、下流に位置する子装置たる受信装置から送られる音声信号を発信元ごとにバッファに記憶する。このとき、親装置たる受信装置が直接マイクMICにより受けたユーザの音声信号は、直接バッファに記憶される。親装置たる受信装置は、一定間隔でバッファに記憶された発信元ごとの音声信号を合成し、子装置たる受信装置に配信する。このとき、ある子装置に送信される配信用音声信号には、当該子装置が発した音声信号が合成されていない。親装置から配信された配信用音声信号を受信すると、子装置たる受信装置は、受信した配信用音声信号を音響出力する。
【0069】
すなわち、ユーザは自己の受信装置と親装置たる受信装置とを通じて共通するネットワークに属する他の受信装置に音声信号を送ることができる。同様に、ユーザは共通するネットワークに属する他の受信装置が発した音声信号について、親装置たる他の受信装置を介して受信することができる。
【0070】
こうした音声信号は、親装置たる受信装置が配信するため、子装置たる受信装置は他の受信装置すべてのアドレス等を把握する必要がない。また、子装置たる受信装置がもっぱら受信する場合は、装置の負荷を軽くすることができる。
【0071】
以上説明した実施形態では、受信装置間で通信する情報を音声情報であるとして説明したが、これには限定されない。受信装置間で通信する情報として、例えば受信装置個々の動作状態を交換することもできる。受信装置の動作状態としては、例えば当該受信装置が受信中のチャネル、再生中の配信情報、受信装置自体の稼働の有無などが例示される。
【0072】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
1(1a,1b,1c,1d)…受信装置、11…チューナ、12…逆多重化モジュール、13…制御部、14…ネットワークインタフェース、15…ビデオデコーダ、16…オーディオデコーダ、17…画像処理モジュール、18…音声処理モジュール、D…表示デバイス、SP…スピーカ、KB…キー、MIC…マイク、L…インジケータ、LANネットワーク、
131…指示信号生成部、132…音声信号生成部、133…表示信号生成部、134…相手先管理部、135…音声処理部、136…合成処理部、137…ネットワーク通信部、138…上流通信部、139…下流通信部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8