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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】梅酒又は梅酒含有飲料
(51)【国際特許分類】
   C12G 3/06 20060101AFI20240131BHJP
【FI】
C12G3/06
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021051686
(22)【出願日】2021-03-25
(65)【公開番号】P2022149491
(43)【公開日】2022-10-07
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100129458
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 剛
(72)【発明者】
【氏名】米澤 知絵
【審査官】川崎 良平
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-225359(JP,A)
【文献】特開2015-188432(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00- 2/84
C12G 1/00- 3/08
C12H 6/00- 6/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ラウリン酸エチルと、(b)リンゴ酸ジエチル及び/又は(c)クエン酸トリエチルとを含有し、(a)ラウリン酸エチルの含有量が10~50mg/Lであり、かつ、(a)ラウリン酸エチルの含有量に対する(b)リンゴ酸ジエチルと(c)クエン酸トリエチルの合計含有量の重量比((b+c)/a)が2.7以下である、梅酒又は梅酒含有飲料。
【請求項2】
リンゴ酸ジエチルとクエン酸トリエチルの合計含有量が80mg/L以下ある、請求項1に記載の梅酒又は梅酒含有飲料。
【請求項3】
下記の条件1~2:
1.酢酸フェネチルの含有量が11~27mg/L、及び
2.乳酸エチルの含有量が2~10mg/L
の内の少なくとも一つを満たす、請求項1または2に記載の梅酒又は梅酒含有飲料。
【請求項4】
梅酒又は梅酒含有飲料の梅らしいフルーティーさと華やかな香りを向上させるための方法であって、
梅酒又は梅酒含有飲料における(a)ラウリン酸エチルの含有量を10~50mg/Lに調整する工程、及び
(a)ラウリン酸エチルの含有量に対する(b)リンゴ酸ジエチルと(c)クエン酸トリエチルの合計含有量の重量比((b+c)/a)を2.7以下に調整する工程
を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の組成を有する梅酒又は梅酒含有飲料、及び関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
梅酒は、梅果実及び糖類を焼酎等のアルコール類に添加して製造される飲料である。梅酒は、従来から家庭でも作られており、また近年では、醸造メーカーから手軽に飲める梅酒や、特定の風味を付与した新しい梅酒などが製造販売されている。
【0003】
梅酒の一般的な製造方法は、梅果実、糖類及びアルコール類を一定の割合で用いて梅果実をアルコール類に浸漬し、その後、梅果実を取除き、熟成させる方法である。熟成期間中にエステル類等の芳香性をもつ深みとコクのある香味が梅酒に付与され、梅本来の香味とは異なる独特の熟成香を有するようになる。
【0004】
特許文献1には、酢酸ヘキシルを含有し、フレッシュかつフルーティーな香味が増強された梅酒が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-77号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
様々なタイプの梅酒がこれまでに製造されているが、時代の変化にともない、さらに異なる味を有する梅酒に対する必要性が生じている。
そこで、本発明者は、梅酒において梅らしいフルーティーさ及び/又は華やかな香りを向上させることを試みたところ、これまでにない優れた香味を有する梅酒又は梅酒含有飲料を得ることができた。
【0007】
本発明の課題は、梅酒又は梅酒含有飲料において、梅らしいフルーティーさ及び/又は華やかな香りを向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、梅酒におけるラウリン酸エチル含有量、及びラウリン酸エチルとリンゴ酸ジエチル及びクエン酸トリエチルの合計含有量との重量比を特定範囲にすると、梅らしいフルーティーさ及び/又は華やかな香りが高まることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
即ち、本発明は、以下のものに関するが、これらに限定されない。
[1](a)ラウリン酸エチルと、(b)リンゴ酸ジエチル及び/又は(c)クエン酸トリエチルとを含有し、(a)ラウリン酸エチルの含有量が10~50mg/Lであり、かつ、(a)ラウリン酸エチルの含有量に対する(b)リンゴ酸ジエチルと(c)クエン酸トリエチルの合計含有量の重量比((b+c)/a)が2.7以下である、梅酒又は梅酒含有飲料。
[2]リンゴ酸ジエチルとクエン酸トリエチルの合計含有量が80mg/L以下ある、[1]に記載の梅酒又は梅酒含有飲料。
[3]下記の条件1~2:
1.酢酸フェネチルの含有量が11~27mg/L、及び
2.乳酸エチルの含有量が2~10mg/L
の内の少なくとも一つを満たす、[1]または[2]に記載の梅酒又は梅酒含有飲料。
[4]梅酒又は梅酒含有飲料の梅らしいフルーティーさと華やかな香りを向上させるための方法であって、
梅酒又は梅酒含有飲料における(a)ラウリン酸エチルの含有量を10~50mg/Lに調整する工程、及び
(a)ラウリン酸エチルの含有量に対する(b)リンゴ酸ジエチルと(c)クエン酸トリエチルの合計含有量の重量比((b+c)/a)を2.7以下に調整する工程
を含む、前記方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、梅酒又は梅酒含有飲料において、梅らしいフルーティーさ及び/又は華やかな香りを向上させることができる。
本明細書における「梅らしいフルーティーさ」とは、梅の果実感が強く一体感がある香味を意味する。また、「華やかな香り」とは、花のようにやわらかく上品な香りを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の梅酒及び梅酒含有飲料、及び関連する方法について、以下に説明する。
(梅酒及び梅酒含有飲料)
本明細書において用いられる「梅酒」との用語は、原料である青梅や熟成梅等の梅果実を、焼酎などのアルコールを含む溶液に浸漬し、成分を抽出して得られる飲料をいう。
【0012】
梅果実を供給する梅の品種は、一般に梅酒の製造に用いられるものであれば特に限定されないが、代表的な品種としては、南高、白加賀、鶯宿等を使用することができる。そして、梅果実をそのままアルコールを含む溶液に浸漬させてもよいし、梅果実を粉砕してから、若しくは乾燥した形態で浸漬工程に用いても良い。
【0013】
本明細書において用いられる「梅酒含有飲料」との用語は、梅酒を含有する飲料を意味する。梅酒含有飲料の典型的な例として、梅酒を水又は炭酸水で希釈して得られた飲料が挙げられる。
【0014】
梅酒含有飲料中の梅酒の含有量は、好ましくは1~99v/v%、より好ましくは5~99v/v%、より好ましくは10~99v/v%、より好ましくは20~99v/v%である。
【0015】
(ラウリン酸エチル、リンゴ酸ジエチル、クエン酸トリエチル)
本発明の梅酒又は梅酒含有飲料は、ラウリン酸エチルと、リンゴ酸ジエチル及び/又はクエン酸トリエチルとを含有する。
【0016】
本発明の梅酒又は梅酒含有飲料におけるラウリン酸エチルの含有量は、10~50mg/L、好ましくは10~47mg/L、より好ましくは10.3~46.1mg/L、より好ましくは20~40mg/L、より好ましくは28.2~37.1mg/Lである。また、本発明の梅酒又は梅酒含有飲料において、ラウリン酸エチルの含有量に対するリンゴ酸ジエチルとクエン酸トリエチルの合計含有量の重量比((b+c)/a)は、2.7以下、好ましくは2.5以下、より好ましくは2.2以下、より好ましくは1.6以下、より好ましくは1.2以下である。当該重量比の下限値は特に限定されないが、例えば、0.1、0.2、0.3,0.4、0.5、0.6、0.7、又は0.8である。
【0017】
本発明の梅酒又は梅酒含有飲料におけるリンゴ酸ジエチルとクエン酸トリエチルの合計含有量は、好ましくは80mg/L以下であり、好ましくは76mg/L以下であり、好ましくは71mg/L以下であり、好ましくは62.3mg/L以下であり、好ましくは45mg/L以下であり、好ましくは34.9mg/L以下である。当該含有量の下限値は特に限定されないが、例えば、2.6mg/L、5.3mg/L、7.9mg/L、10.5mg/L、13.1mg/L、15.8mg/L、18.4mg/L、又は21.2mg/Lである。
【0018】
ラウリン酸エチル、リンゴ酸ジエチル、クエン酸トリエチルの含有量及び重量比を調整するためには、例えば、それらの成分の内の一部又は全部を外部から加えることもできるし、それらの成分の含有量が異なる複数の梅酒又は梅酒含有飲料を混合することもできる。所望の成分を外部から加えるためには、それを直接添加してもよいし、それらの成分の内の一部又は全部を含有する梅果汁、梅エキス、原酒等の材料を梅酒に添加してもよい。そのような原酒の例は、ウイスキー、ブランデー(たとえばコニャック)である。そのような酒類を原料として添加することもできるし、そのような酒類に梅果実を浸漬させてもよい。また、必要に応じて、熟成時間を調整してもよい。
【0019】
(梅酒又は梅酒含有飲料に関連する他の成分)
一態様において、本発明の梅酒又は梅酒含有飲料は、下記の条件1~2:
1.酢酸フェネチルの含有量が11~27mg/L、より好ましくは11.2~26.2mg/L、より好ましくは12~26.2mg/L、より好ましくは13.7~26.2mg/L、より好ましくは15~26.2mg/L、より好ましくは16.2~26.2mg/L、及び
2.乳酸エチルの含有量が2~10mg/L、より好ましくは3~10mg/L、より好ましくは3.4~10mg/L、より好ましくは4~10mg/L、より好ましくは4.7~10mg/L、
の内の少なくとも一つを満たす。
【0020】
これらの成分の含有量を調整する方法は、ラウリン酸エチル、リンゴ酸ジエチル、クエン酸トリエチルの含有量及び重量比に関して上記した方法と同様でよい。
(分析方法)
アルコール飲料の成分の分析は、限定されないが、公知のいずれかの手法を用いて行うことができる。
【0021】
例えば、ラウリン酸エチル、酢酸フェネチル、及び乳酸エチルの含有量は、ガスクロマトグラフィー(GC)で、例えば以下の条件で測定することが出来る。
具体的には、内部標準(Methyl caprate)100μlとサンプル1000μlとを混合した液を用いて、内部標準分析法により定量値を算出する。GC測定条件は以下のとおりである。
【0022】
ガスクロマトグラフ:GC 6890N(Agilent Technologies)
カラム:HP-ULTRA2(Agilent J&W)内径0.32mm、長さ50m、膜厚0.52μm
移動相:ヘリウム(2.5mL/min)
注入方法:Split
スプリット比: 15:1
注入口温度:250℃
オーブン温度:40℃(5min)→10℃/min→230℃(10min)
検出器:FID
検出器温度:260℃
サンプル注入量:2.0μl
また、リンゴ酸ジエチルとクエン酸トリエチルの含有量は、例えばLCMSで、例えば以下の条件で測定することができる。
【0023】
具体的には、試料溶液をエタノールで適当な倍率に希釈する。得られた希釈液を、その後に0.2μMのメンブレンフィルターで濾過し、2mLバイアルに採取し、これを測定サンプルとする。測定サンプルをLC/MS測定に供し、絶対検量線法により定量値を算出する。LC/MS測定条件は以下のとおりである。
【0024】
LC条件
高速液体クロマトグラフ:1260 Infinity II LCシステム(Agilent Technologies)
カラム:COSMOCORE 2.6Cholester(ナカライテスク株式会社、内径3.0mm、長さ100mm)
カラム温度:40℃
溶離液A:酢酸アンモニウム10mMを含有する水-アセトニトリル(950:50)溶液
溶離液B:酢酸アンモニウム10mMを含有する水-アセトニトリル(50:950)溶液
グラジエント条件:溶離液B0%から40%までの9分間の直線グラジエント
流速:0.5mL/min
注入量:2μL
MS条件
質量分析器:G6135B(Agilent Technologies)
イオン化法:エレクトロスプレーイオン化(ESI)法
キャピラリ電圧:3000V
乾燥ガス:350℃、11L/min
ネブライザー:50psi
測定モード:SIM
極性:ポジティブ
定量に用いるイオン:m/z 191(リンゴ酸ジエチル)、m/z 277(クエン酸トリエチル)
(アルコール)
本発明の梅酒又は梅酒含有飲料は、アルコールを含有する。本明細書に記載の「アルコール」との用語は、特に断らない限りエタノールを意味する。
【0025】
本発明の梅酒又は梅酒含有飲料のアルコール含有量は、好ましくは1.0~30v/v%であり、より好ましくは5.0~25.0v/v%である。
本明細書においては、アルコール含有量は、公知のいずれの方法によっても測定することができるが、例えば、振動式密度計によって測定することができる。具体的には、飲料から濾過又は超音波によって炭酸ガスを抜いた試料を調製し、そして、その試料を直火蒸留し、得られた留液の15℃における密度を測定し、国税庁所定分析法(平19国税庁訓令第6号、平成19年6月22日改訂)の付表である「第2表 アルコール分と密度(15℃)及び比重(15/15℃)換算表」を用いて換算して求めることができる。
【0026】
(他の成分)
本発明における梅酒又は梅酒含有飲料には、他にも、梅酒が本来有する独特の味を損なわない限り、そして本発明の効果を損なわない限り、飲料に通常配合する添加剤、例えば、糖類、香料、ビタミン、色素類、酸化防止剤、保存料、調味料、酸味料、エキス類、pH調整剤、品質安定剤等を配合することができる。
【0027】
(容器詰め飲料)
本発明の梅酒又は梅酒含有飲料は、容器詰めの形態で提供してもよい。容器の形態には、缶等の金属容器、ペットボトル、紙パック、ガラス瓶、パウチなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0028】
(方法)
本発明は、別の側面では梅酒又は梅酒含有飲料の梅らしいフルーティーさと華やかな香りを向上させるための方法である。当該方法は、以下の工程を含む。
梅酒又は梅酒含有飲料における(a)ラウリン酸エチルの含有量を10~50mg/Lに調整する工程、及び
(a)ラウリン酸エチルの含有量に対する(b)リンゴ酸ジエチルと(c)クエン酸トリエチルの合計含有量の重量比((b+c)/a)を2.7以下に調整する工程。
【0029】
当該含有量と重量比を調整する方法は、梅酒又は梅酒含有飲料に関して上記した通りであるか、それらから自明である。そのタイミングも限定されない。例えば、上記工程を同時に行ってもよいし、別々に行ってもよいし、工程の順番を入れ替えてもよい。最終的に得られた飲料が、上記の条件を満たせばよい。また、ラウリン酸エチル、リンゴ酸ジエル、クエン酸トリエチルの含有量、及び重量比、並びに追加される他の成分の具体例や量も、梅酒又は梅酒含有飲料に関して上記したとおりである。
【0030】
(数値範囲)
明確化のために記載すると、本明細書において下限値と上限値によって表されている数値範囲、即ち「下限値~上限値」は、それら下限値及び上限値を含む。例えば、「1~2」により表される範囲は、1及び2を含む。
【実施例
【0031】
以下に実施例に基づいて本発明の説明をするが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
なお、以下の実施例において、「ppm」は「mg/L」と同義である。
【0032】
(試験例1)
自社所有の梅酒の原酒を水で希釈して、pH2.8の梅酒含有飲料A(比較例1-1)を調製した。得られた梅酒含有飲料Aにおける各成分の量を以下の表に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
次いで、比較例1-1となる当該飲料にラウリン酸エチルを添加して、いくつかの飲料を調製した。得られた飲料中のラウリン酸エチルの含有量は、以下の表に示したとおりである。
【0035】
【表2】
【0036】
上記の飲料を官能評価に付した。具体的には、訓練された専門パネラーが、フルーティー感と華やかな香りについて評価を行った。以下に示す基準に従って7段階で評価した。3点以上が合格である。この評価方法は、特に断りがない限り、他の試験例でも用いた。<評価基準>
1:フルーティー感がない。
2:フルーティー感があまりない。
3:フルーティー感がややある。
4:フルーティー感がある。
5:フルーティー感があり、華やかな香りを感じられる。
6:フルーティー感が強く、華やかな香りを感じられる。
7:フルーティー感が強く、華やか香りが感じられ、余韻がある。
結果を表2に示す。ラウリン酸エチルの含有量が一定範囲にあると、フルーティー感と華やかな香りが優れていた。
【0037】
(試験例2)
さらにフルーティー感及び/又は華やかな香りを高める方法を検討した。
具体的には、試験例1における実施例1-4に、さらにリンゴ酸ジエチルとクエン酸トリエチルを添加して官能評価を実施した。各飲料中の成分量と官能評価結果を以下の表に示す。
【0038】
ラウリン酸エチルに対する、リンゴ酸ジエチル及びクエン酸トリエチルの合計含有量の比率が特定範囲にあると、優れた効果が得られた。
【0039】
【表3】
【0040】
(試験例3)
さらにフルーティー感及び/又は華やかな香りを高める方法を検討した。
具体的には、試験例1における実施例1-4と試験例2における実施例2-3に、さらに乳酸エチルと酢酸フェネチルを添加して官能評価を実施した。各飲料中の成分量と官能評価結果を以下の表に示す。
【0041】
これらの成分の含有量が特定範囲にあると、非常に優れた効果が得られた。
【0042】
【表4】
【0043】
(試験例4)
試験例1で用いたものとは異なる梅酒の原酒を用いて、試験例1と類似の試験を実施した。
【0044】
当該原酒を水で希釈して、pH2.8の梅酒含有飲料B(比較例4-1)を調製した。得られた梅酒含有飲料Bにおける各成分の量を以下の表に示す。
【0045】
【表5】
【0046】
次いで、比較例4-1である当該飲料にラウリン酸エチルを添加して、いくつかの飲料を調製した。得られた飲料中のラウリン酸エチル等の成分の含有量は、以下の表に示したとおりである。なお、これらの飲料における、ラウリン酸エチルの含有量に対する、リンゴ酸ジエチルとクエン酸トリエチルの合計含有量の重量比は、2.54以下であった。
【0047】
得られた飲料に対して官能評価を実施した。その結果も以下の表に示す。
【0048】
【表6】
【0049】
梅酒の原酒の種類を変更しても、試験例1と同様の傾向がみられた。
次いで、試験例3と類似の試験を実施した。具体的には、実施例4-3の梅酒含有飲料に、さらに、乳酸エチルと酢酸フェネチルを加えて二つの飲料を調製した。
【0050】
それらの飲料における成分量と官能評価の結果を以下に示す。
【0051】
【表7】
【0052】
乳酸エチルと酢酸フェネチルを添加すると、非常に優れた効果が得られた。