(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】物品検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/27 20060101AFI20240131BHJP
【FI】
G01N21/27 B
G01N21/27 Z
(21)【出願番号】P 2021081717
(22)【出願日】2021-05-13
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新井 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】谷口 英治
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴志
【審査官】伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-214135(JP,A)
【文献】特開2004-184172(JP,A)
【文献】特開2005-064586(JP,A)
【文献】特開2006-208209(JP,A)
【文献】特開2007-232743(JP,A)
【文献】特開2008-296175(JP,A)
【文献】特開2011-191129(JP,A)
【文献】特開2013-096855(JP,A)
【文献】特開2019-082477(JP,A)
【文献】特開2019-128250(JP,A)
【文献】特開2020-030058(JP,A)
【文献】特開2020-085467(JP,A)
【文献】特開平06-043011(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-G01N 21/958
B07C 1/00ーB07C 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査用の物品(W)を物品検査位置(P5)に搬送する搬送部(12)と、
前記物品検査位置に搬送された前記物品に光を照射する光源(31)と、前記物品を透過または反射した光を検出する分光器(32)とを有し、前記分光器が検出した光の分光特性に基づいて前記物品の品質を検査する物品検査部(3)と、
前記物品の搬送方向の前記物品検査位置の上流で、前記物品の位置を検知する物品位置検知部(4)と、を備え、
前記物品検査部は、前記物品位置検知部において前記物品が所定の検知位置に至ったことを検知してから所定の測定タイミングで前記物品の測定を行なう物品検査装置(1)であって、
前記物品検査部は、前記測定タイミングを所定の範囲でずらして前記物品の測定を行ない、前記測定タイミングとその測定値との関係から
、測定値が極値となっている前記測定タイミングを測定に適した前記測定タイミングとする物品検査装置。
【請求項2】
前記物品検査部は、前記測定タイミングとその測定値から回帰分析によって前記測定タイミングとその測定値との関係を算出する請求項1に記載の物品検査装置。
【請求項3】
前記物品検査部は、前記物品の搬送速度と、前記検知位置と前記物品の測定を行なう測定位置との距離と、前記物品の測定時間と、から基本となる前記測定タイミングを算出し、基本となる前記測定タイミングから所定の範囲で前記測定タイミングをずらして前記物品の測定を行ない、前記測定タイミングとその測定値との関係から測定に適した前記測定タイミングを算出する請求項1
または請求項
2に記載の物品検査装置。
【請求項4】
前記物品検査部は、測定に適した前記測定タイミングの算出を複数回行ない、その結果から測定に適した前記測定タイミングを求める請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載の物品検査装置。
【請求項5】
前記物品検査部は、算出した測定に適した前記測定タイミングにより前記物品の測定を行ない、測定結果から測定に適した前記測定タイミングであるかを判定する請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載の物品検査装置。
【請求項6】
前記物品位置検知部は、前記検知位置での前記物品の有無を検出して前記物品が前記検知位置に至ったことを検知する請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の物品検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、搬送される測定台上に載置された錠剤に対して、所定の波長範囲の測定光を出射し、測定光の照射によって錠剤からの反射光を分光して受光して錠剤の異常を判定する錠剤検査装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、搬送される測定対象物の測定を行なう場合、測定再現性の高い測定結果を得るには、測定対象物が最適の位置に来たタイミングで測定を行なうことが重要となる。
【0005】
この測定タイミングは、測定対象物の搬送速度、測定対象物の有無を検出する検出位置と測定位置の距離、測定にかかる時間から概算値を算出することができるが、測定対象物の形状や、測定対象物の有無を検出する検出器の遅延時間などの影響によって最適値とは一致しない場合が多い。
【0006】
そこで、本発明は、搬送される測定対象物の測定において、測定結果の測定再現性を高めることができる物品検査装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の物品検査装置は、検査用の物品を物品検査位置に搬送する搬送部と、前記物品検査位置に搬送された前記物品に光を照射する光源と、前記物品を透過または反射した光を検出する分光器とを有し、前記分光器が検出した光の分光特性に基づいて前記物品の品質を検査する物品検査部と、前記物品の搬送方向の前記物品検査位置の上流で、前記物品の位置を検知する物品位置検知部と、を備え、前記物品検査部は、前記物品位置検知部において前記物品が所定の検知位置に至ったことを検知してから所定の測定タイミングで前記物品の測定を行なう物品検査装置であって、前記物品検査部は、前記測定タイミングを所定の範囲でずらして前記物品の測定を行ない、前記測定タイミングとその測定値との関係から、測定値が極値となっている前記測定タイミングを測定に適した前記測定タイミングとするものである。
【0008】
この構成により、測定タイミングを所定の範囲でずらして物品の測定が行なわれ、測定タイミングとその測定値との関係から、測定値が極値となっている測定タイミングを測定に適した測定タイミングとされる。このため、測定値が極値となっている測定タイミングが測定に適した測定タイミングとなり、搬送される測定対象物の測定において、測定結果の測定再現性を高めることができる。
【0009】
また、本発明の物品検査装置において、前記物品検査部は、前記測定タイミングとその測定値から回帰分析によって前記測定タイミングとその測定値との関係を算出するものである。
【0010】
この構成により、測定タイミングとその測定値から回帰分析によって測定タイミングとその測定値との関係が算出される。このため、測定タイミングとその測定値との関係を容易に算出することができ、検査の効率を向上させることができる。
【0015】
また、本発明の物品検査装置において、前記物品検査部は、前記物品の搬送速度と、前記検知位置と前記物品の測定を行なう測定位置との距離と、前記物品の測定時間と、から基本となる前記測定タイミングを算出し、基本となる前記測定タイミングから所定の範囲で前記測定タイミングをずらして前記物品の測定を行ない、前記測定タイミングとその測定値との関係から測定に適した前記測定タイミングを算出するものである。
【0016】
この構成により、物品の搬送速度と、検知位置と物品の測定を行なう測定位置との距離と、物品の測定時間と、から基本となる測定タイミングが算出され、基本となる測定タイミングから所定の範囲で測定タイミングをずらして物品の測定が行なわれ、測定タイミングとその測定値との関係から測定に適した測定タイミングが算出される。このため、容易に測定に適した測定タイミングを求めることができ、測定に適した測定タイミングを求める時間を短縮することができる。
【0017】
また、本発明の物品検査装置において、前記物品検査部は、測定に適した前記測定タイミングの算出を複数回行ない、その結果から測定に適した前記測定タイミングを求めるものである。
【0018】
この構成により、測定に適した測定タイミングの算出が複数回行なわれ、その結果から測定に適した測定タイミングが求められる。このため、測定に適した測定タイミングの精度を向上させることができ、測定結果の測定再現性を高めることができる。
【0019】
また、本発明の物品検査装置において、前記物品検査部は、算出した測定に適した前記測定タイミングにより前記物品の測定を行ない、測定結果から測定に適した前記測定タイミングであるかを判定するものである。
【0020】
この構成により、算出した測定に適した測定タイミングにより物品の測定が行なわれ、測定結果から測定に適した測定タイミングであるかが判定される。このため、測定に適した測定タイミングの精度を向上させることができ、測定結果の測定再現性を高めることができる。
【0021】
また、本発明の物品検査装置において、前記物品位置検知部は、前記検知位置での前記物品の有無を検出して前記物品が前記検知位置に至ったことを検知するものである。
【0022】
この構成により、検知位置での物品の有無を検出することで物品が検知位置に至ったことが検知される。このため、搬送される測定対象物が検知位置に至ったことを容易に検知することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、搬送される測定対象物の測定において、測定結果の測定再現性を高めることができる物品検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る物品検査装置の概略平面図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る物品検査装置の供給容器を
図1のII-II方向で切った断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係る物品検査装置の外側搬送装置の溝部および収容部の一部分の拡大図である。
【
図5】
図5は、
図3のV-V方向断面を斜め上方から見た図である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態に係る物品検査装置の物品検査位置に設けられた物品検査部のブロック図である。
【
図7】
図7は、本発明の一実施形態に係る物品検査装置の測定タイミングのずれと、測定値のばらつきと、の関係の例を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の一実施形態に係る物品検査装置の測定値が安定したところで極値になっている例を示す測定タイミングと測定値の関係の図である。
【
図9】
図9は、本発明の一実施形態に係る物品検査装置の測定値が極値となる例を示す測定タイミングと測定値の関係の図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る物品検査装置について詳細に説明する。
【0026】
図1において、本発明の一実施形態に係る物品検査装置1は、検査対象の物品を整列して単品搬送させながら所定の物品検査位置で光を照射し、この光の照射に伴って物品を反射した光の分光特性に基づいて物品の品質を検査する。
【0027】
検査対象である物品は、光の照射領域が検査対象の物品に光を照射する照射口の径に比較的近い小径の物品であり、非包装で単品搬送が可能な外径φ:数mm~数十mmの物品、一口サイズの物品の他、既存の製造設備や検査機能を持たない製造設備で製造された所定形状の物品や成形品、特に搬送過程で形が変化しない物品を含む。
【0028】
該当する物品としては、例えば錠剤、カプセル剤、トローチ剤、ドロップ剤などの製剤、飴、チョコレートなどがある。以下、検査対象の物品として、平面視で円形とされ、その直径に比して高さ(厚さ)の小さい側面視が略円柱状の錠剤Wを例にとって説明する。本実施形態の錠剤Wは、物品を構成する。
【0029】
図1に示すように、物品検査装置1は、錠剤Wを円周状の搬送コースに沿って搬送する物品搬送装置2と、搬送コースの途中の物品検査位置P5で錠剤Wの検査を行なう物品検査部3とを備えている。
【0030】
図2に示すように、供給容器10は、上面が開放され、上面から下方に向かって断面積が漸次小さくなる円形形状に形成されている。供給容器10は、上面の開口部10aに全周にわたって所定幅で設けられた水平な環状のフランジであり、錠剤Wの搬送経路となる外側搬送部12と、一部分に貫通孔13bを有し、外側搬送部12よりも直径が小さい円形の底壁13と、外側搬送部12と底壁13をつなぐ筒状の側壁14とを備えている。
【0031】
本実施形態の内側搬送部11は、外側搬送部12の径方向内方に設けられている。換言すれば、外側搬送部12は、物品搬送装置2の上面視で内側搬送部11の周囲を取り囲むように内側搬送部11の径方向外方に設けられている。
【0032】
供給容器10は、図示しない本体フレームに回転自在に取付けられている。供給容器10の回転軸は、底壁13の中心を通り、底壁13に垂直な線に一致する。供給容器10の底壁13の下面には、底壁13に中心を一致させて環状の内歯ギア10bが固定されている。
【0033】
本体フレームには第1のモータ21が取付けられており、第1のモータ21の駆動軸21aに設けられたピニオン22が内歯ギア10bに噛み合っている。第1のモータ21が駆動されると、供給容器10(外側搬送部12)は、その回転中心軸の周りを回転方向A(
図1参照)に向けて回転する。本実施形態においては、物品搬送装置2の平面視で供給容器10の回転方向Aは、反時計回転方向である。
【0034】
図1、
図2に示すように、内側搬送部11は、供給容器10の内部において傾斜して配置されている。内側搬送部11の直径は、供給容器10の底壁13の直径よりも大きいので、内側搬送部11を供給容器10内に傾斜して収容できる。すなわち、供給容器10は、上面が開放され、上面から底壁13に向かって断面積が小さくなる円形形状に形成されているので、内側搬送部11を供給容器10に傾斜して収容できる。
【0035】
図2に示すように、内側搬送部11の傾斜方向の上端部11bは、供給容器10の側壁14の上縁に対峙しており、内側搬送部11の周方向について上端部11bとは180°反対側に位置する傾斜方向の下端部11cは、供給容器10の側壁14の下縁に対峙している。
【0036】
すなわち、内側搬送部11の傾斜方向の下端部11cは、供給容器10の側壁14の下縁に対峙している部分が最も低く、内側搬送部11の傾斜方向の上端部11bは、供給容器10の側壁14の上縁に対峙している部分が最も高い。内側搬送部11の下面の中央には駆動軸11a(
図2参照)が内側搬送部11に対して垂直に固定されており、駆動軸11aは、傾斜した状態で供給容器10の底壁13の貫通孔13bを挿通して第2のモータ23(
図2参照)に連結されている。
【0037】
第2のモータ23は、供給容器10を支持する本体フレームに取付けられており、第2のモータ23が駆動されると、供給容器10の内部において内側搬送部11は、駆動軸11aの周りを回転方向B(
図1参照)に回転する。内側搬送部11の回転方向Bと外側搬送部12の回転方向Aは同一方向である。
【0038】
図1に示すように、物品搬送装置2は、物品供給部24を備えており、物品供給部24は、物品搬送装置2の上方に設置されている。物品供給部24は、例えば、既存の製造設備や検査機能を持たない製造設備で製造された成形品の錠剤Wが投入されると、投入された錠剤Wを蓄積するとともに、蓄積された錠剤Wを排出口24aから物品投入位置P1に排出し、物品投入位置P1で内側搬送部11に供給する。
【0039】
物品供給部24は、投入された錠剤Wを内側搬送部11に搬送するもので、例えば、直進フィーダやコンベアなどから構成されている。
【0040】
物品供給部24は、内側搬送部11と外側搬送部12が錠剤Wを搬送する能力に合わせて錠剤Wを供給する機能を有している。換言すれば、物品供給部24は、物品搬送装置2が錠剤Wを搬送する能力(例えば単位時間当たりの錠剤Wの搬送数など)に合わせて内側搬送部11に対する錠剤Wの供給量が設定される。
【0041】
物品搬送装置2において、物品供給部24から内側搬送部11に錠剤Wを投入しつつ、第1のモータ21と第2のモータ23を同方向に同速度または速度を違えて駆動し、内側搬送部11と供給容器10を、同速度で回転方向Aと回転方向Bにそれぞれ回転させると、物品供給部24の最も低い部分(傾斜方向の下端部11c側)に落下した錠剤Wは、内側搬送部11の回転に伴い、内側搬送部11の最も高い部分(傾斜方向の上端部11b側)まで移動し、外側搬送部12に載る。
【0042】
図1、
図3に示すように、外側搬送部12には溝部12Aと収容溝12Bが設けられている。
図4、
図5に示すように、溝部12Aは、外側搬送部12の上面12aから下方に窪んでおり、外側搬送部12の径方向に延在している。本実施形態の収容溝12Bは、収容部を構成する。
【0043】
溝部12Aは、外側搬送部12の周方向に等間隔に複数並んで設けられており、外側搬送部12の周方向にこれら複数の溝部12Aが外側搬送部12の上面12aを挟んで隣接している。
【0044】
図3に示すように、溝部12Aは、外側搬送部12の径方向の内端部12nから外端部12mに向かうに従って周方向の幅が漸次狭くなるように形成されている。溝部12Aの内端部12nの周方向の幅は、錠剤Wを周方向に2つに並べたときの幅、すなわち、錠剤Wの直径の2倍の幅よりも小さく(あるいは2つの錠剤Wを周方向に縦向きと横向きにして並べたときの幅よりも小さく)形成されており、錠剤Wが同時に2つ侵入し難い形状に形成されている。
【0045】
内側搬送部11の回転によって外側搬送部12に乗り上げた錠剤Wは、溝部12Aの径方向の内端部12nから溝部12Aに入り込み、外側搬送部12の回転による遠心力と、後述する物品案内部27によって、溝部12Aから収容溝12Bに案内されて収容溝12Bに収容される。
【0046】
図3、
図4に示すように、収容溝12Bは、溝部12Aに対して外側搬送部12の径方向外方に位置している。収容溝12Bは、平面視で錠剤Wよりも少しだけ大きい円形に形成されており、溝部12Aの底面12bよりも下方に窪んでいる、または、溝部12Aと同一高さとしてもよい。
【0047】
具体的には、収容溝12Bは、溝部12Aの底面12bよりも下方に位置する環状の載置面12dを有する底壁12Cを備えている。底壁12Cには載置面12dの内方に位置し、円形の開口部12cが形成されている。すなわち、載置面12dは、円形の開口部12cを取り囲むように開口部12cの径方向外方に設けられており、環状の載置面12dには開口部12cを上方から閉止するように錠剤Wが載置される。
【0048】
収容溝12Bは、底壁12Cから上方に延在し、錠剤Wの外周側面Waを取り囲む周壁12Dを備えており、収容溝12Bには錠剤Wが嵌まった状態で収容される。
【0049】
具体的には、溝部12Aの底面12bと収容溝12Bの載置面12dの段差と、溝部12Aの上面12aと収容溝12Bの載置面12dの段差とによって収容溝12Bの周壁12Dが形成されている。
【0050】
開口部12cは、外側搬送部12の平面視において錠剤Wの外径よりも小径に形成されているので、収容溝12Bに錠剤Wが収容された状態では開口部12cが上方から目視不能となり、錠剤Wが開口部12cから落下することを防止できる。
【0051】
外側搬送部12の回転中心軸から全ての収容溝12Bの中心部までの距離は、同一の距離となっており、錠剤Wが収容溝12Bに収容された状態において、錠剤Wは、外側搬送部12の回転方向に一列に整列される。すなわち、収容溝12Bの中心部(開口部12cの中心部)を回転方向に結んだ線は円となる。これにより、外側搬送部12が回転すると、収容溝12Bに収容された錠剤Wは、外側搬送部12の回転方向に一列に整列される。
【0052】
また、錠剤Wが収容溝12Bに収容された状態においては錠剤Wの外周側面Waと周壁12Dの隙間が極小となる。これにより、錠剤Wと周壁12Dの隙間から光が漏出することや、錠剤Wと周壁12Dの隙間に光が入り込むことを防止できる。
【0053】
なお、錠剤Wの外周側面Waと周壁12Dの隙間と、錠剤Wの外周側面Waと底壁12Cの隙間とは、周壁12Dによって錠剤Wの外周側面Waから光が漏れることや外周側面Waから光が入り込むことを防止でき、錠剤Wが収容溝12Bに確実に収容される隙間に設定されていることを条件とする。
【0054】
図4に示すように、収容溝12Bに錠剤Wが収容された状態において、錠剤Wの高さ方向の寸法a、すなわち、収容溝12Bの載置面12dから錠剤Wの上面までの寸法aは、収容溝12Bの載置面12dから溝部12Aの上面12aの高さ方向の寸法bよりも大きい。
【0055】
これにより、収容溝12Bに錠剤Wが収容された状態において、錠剤Wの上面は、溝部12Aの上面12aよりも上方に突出している。
【0056】
なお、収容溝12Bに錠剤Wが収容された状態において、錠剤Wの高さ方向の寸法aを収容溝12Bの載置面12dから溝部12Aの上面12aまでの高さ方向の寸法bよりも小さくしてもよい。この場合、収容溝12Bに錠剤Wが収容された状態において、錠剤Wの上面は、溝部12Aの上面12aよりも下方に位置する。
【0057】
図1に示すように、物品搬送装置2には、物品規制部25が設けられている。物品規制部25は、錠剤Wが溝部12Aに1つだけ供給されるように錠剤Wの供給数を規制し、錠剤Wを外側搬送部12の回転方向に1例に整列させる。
【0058】
物品規制部25は、外側搬送部12の回転方向に一定の長さで湾曲して延在し、かつ、上下方向に延在するガイド板から構成されており、供給容器10を支持する本体フレームに固定されている。
【0059】
物品規制部25は、物品投入位置P1に対して外側搬送部12の回転方向の下流側の規制位置P2に設けられている。換言すれば、物品投入位置P1は、物品搬送装置2の平面視で物品規制部25に対して上流側に設置されている。ここで、外側搬送部12の回転方向と錠剤Wの搬送方向は、同一方向である。
【0060】
内側搬送部11から溝部12Aの径方向の内端部12nを通して溝部12Aに1つの錠剤Wが供給されると、物品規制部25には錠剤Wの径方向の外端部が接触する。すなわち、物品規制部25と溝部12Aの内端部12nにおける外側搬送部12の径方向の寸法は、錠剤Wが溝部12Aから内側搬送部11に落ちないように、錠剤Wの直径と同じ寸法、錠剤Wの直径よりも少し大きい寸法、または錠剤Wの直径よりも少し小さい寸法に設定されている。これにより、物品規制部25によって溝部12Aに錠剤Wが1つだけ供給されるように錠剤Wの供給数が規制される。
【0061】
また、溝部12Aに1つだけ供給された錠剤Wは、物品規制部25によって外側搬送部12の径方向外方に移動することが規制され、外側搬送部12の回転方向に一列に整列した状態で物品検査位置P5に向かって搬送される。本実施形態の外側搬送部12は、搬送部を構成する。
【0062】
物品搬送装置2には物品調整部26が設けられている。物品調整部26は、物品規制部25に対して外側搬送部12の回転方向の下流側の物品調整位置P3に設けられており、溝部12Aに正規の姿勢で位置していない錠剤Wを溝部12Aで正規の姿勢に戻すとともに、溝部12Aからはみ出している錠剤Wを溝部12Aから除去する。ここで、錠剤Wの正規の姿勢とは、例えば、溝部12Aから収容溝12Bに円滑に移動して収容溝12Bに横向きで収容可能な姿勢である。
【0063】
物品調整部26は、ブラシやエアー、排除板などから構成されており、溝部12Aに供給された錠剤Wが外側搬送部12の上面12aに乗り上げた場合に、錠剤Wを溝部12Aにおいて正常な姿勢となるように調整し、または溝部12Aから排除する。
【0064】
また、1つの錠剤Wが姿勢不良(縦向き)になったときに、当該錠剤Wを溝部12Aから排除する。溝部12Aから排除された錠剤Wは内側搬送部11に戻される。
【0065】
具体的には、物品調整部26は、溝部12Aで正常な姿勢となる錠剤Wの上面よりも上方に錠剤Wが位置している場合には、錠剤Wの上面よりも上方にエアー供給することや、排除板を作用させることにより、姿勢不良となる錠剤Wを調整(姿勢矯正または排除)する。
【0066】
物品搬送装置2には物品案内部27が設けられている。物品案内部27は、物品調整部26に対して外側搬送部12の回転方向の下流側の物品案内位置P4に設けられており、溝部12Aに供給された錠剤Wを溝部12Aに沿って収容溝12Bに案内する。物品案内部27は、外側搬送部12の回転方向に一定の長さで湾曲して延在し、かつ、上下方向に延在するガイド板から構成されており、供給容器10を支持する本体フレームに固定されている。
【0067】
物品案内部27は、外側搬送部12の回転方向において溝部12Aの内端部12nから外端部12mに向かうように一定の長さで延在し、かつ上下方向に延在するガイド板から構成されている。物品案内部27は、上流端部27aが外側搬送部12の径方向で溝部12Aの内端部12nよりも内側搬送部11側に位置しており、下流端部27bが外側搬送部12の径方向で収容溝12Bよりも溝部12Aの内端部12n側に位置し、かつ、溝部12Aの外端部12m付近に位置している。
【0068】
物品案内部27は、規制位置P2において収容溝12Bの内端部12n側で外側搬送部12の回転方向に一列に整列された錠剤Wを、外側搬送部12の回転に伴って溝部12Aに沿って収容溝12B側に移動させ、収容溝12Bに収容する。
【0069】
収容溝12Bに収容された錠剤Wは、外側搬送部12の回転によって物品検査部3に搬送される。
図1に示すように、物品検査部3は、外側搬送部12の回転方向で物品案内位置P4よりも下流側の物品検査位置P5に設けられている。
【0070】
物品搬送装置2には物品阻止部28が設けられている。物品阻止部28は、物品案内部27の外側搬送部12の回転方向の途中から外側搬送部12の回転方向で物品検査位置P5よりも下流側まで設けられている。
【0071】
物品阻止部28は、外側搬送部12の回転方向に湾曲して一定の長さで延在し、かつ、上下方向に延在するガイド板から構成されており、供給容器10を支持する本体フレームに固定されている。
【0072】
物品阻止部28は、物品案内部27によって収容溝12Bに収容された錠剤Wが外側搬送部12の回転による遠心力によって収容溝12Bから径方向外方に移動することを阻止する。
【0073】
図6に示すように、物品検査部3は、光源31と、分光器32と、を含んで構成される。
【0074】
光源31は、検査対象の錠剤Wに広帯域の光を照射するため、例えばハロゲンランプから構成されている。
【0075】
分光器32は、錠剤Wに反射した光を、光の波長による回折角度の差を利用したグレーティングにより分光する。
【0076】
物品検査部3は、分光器32で得られた分光特性の信号を処理し、信号を処理した結果から錠剤Wの品質の良否判定を行なう。
【0077】
物品検査位置P5の前(錠剤Wの搬送方向の上流)の所定の検知位置には物品位置検知部としての物品有無検知部4が配置されている。物品有無検知部4は、検知位置において、収容溝12Bに錠剤Wが有るか否かを検知する。物品位置検知部としては錠剤Wが検知位置に至ったことを検知できればよく、錠剤Wが固定されている位置や、錠剤Wから一定の距離にある目印を検知するようにしてもよい。例えば、収容溝12Bから所定の距離の外側搬送部12に設けられた凹凸を検知するようにしてもよい。
【0078】
図1に示すように、物品検査位置P5よりも外側搬送部12の回転方向の下流側にはNG品回収部35、全品回収部36およびOK品回収部37が外側搬送部12の回転方向に所定の間隔をおいて設けられている。
【0079】
物品搬送装置2は、物品検査部3が錠剤Wを不良品(NG品)と判定すると、当該不良品と判定された錠剤Wが物品検査部3に対して外側搬送部12の回転方向の下流側のNG品選別位置P6まで搬送されてきたときに、例えば、外側搬送部12の径方向の内側から錠剤Wにエアーを吹き付けて収容溝12BからNG品回収部35に排出する。なお、NG品選別位置P6で外側搬送部12の径方向外方から錠剤Wを吸引して収容溝12BからNG品回収部35に排出してもよい。
【0080】
一方、物品検査部3が錠剤Wを正常品(OK品)と判定すると、当該正常品と判定された錠剤WがNG品選別位置P6からOK品選別位置P7まで搬送されてきたときに、例えば、外側搬送部12の径方向の内側から錠剤Wにエアーを吹き付けて収容溝12BからOK品回収部37に排出する。なお、OK品選別位置P7で外側搬送部12の径方向外方から錠剤Wを吸引して収容溝12BからOK品回収部37に排出してもよい。
【0081】
全品回収部36は、外側搬送部12の回転方向でNG品選別位置P6とOK品選別位置P7の間の全排出位置P8に設けられている。
【0082】
全品回収部36は、物品検査装置1の運転開始時や、非常停止後の復帰動作後や、NG排出を失敗した錠剤Wなど、正常な検査ができなかった、または、排出を失敗した錠剤Wなどを回収するものであり、例えば、外側搬送部12の径方向の内側から錠剤Wにエアーを吹き付けて収容溝12Bから全品回収部36に排出する。
【0083】
なお、全排出位置P8で外側搬送部12の径方向外方から錠剤Wを吸引して収容溝12Bから全品回収部36に排出してもよい。
【0084】
また、外側搬送部12の回転方向でNG品回収部35の下流側の確認位置P9に確認センサ38を設け、確認センサ38によってNG品選別位置P6で不良品が排出されたか否かを確認してもよい。このようにすれば、不良品の選別の信頼性を向上できる。
【0085】
本実施形態において、物品検査部3で測定再現性の高い測定結果を得るには、測定対象物である錠剤Wが最適の位置に来たタイミングで測定することが重要となる。
【0086】
図7に示すように、測定タイミングのずれが大きくなると、測定値のばらつきが大きくなり、測定再現性が低くなる。
【0087】
本実施形態では、物品検査部3において、測定タイミングの調整を行なえるようになっている。
【0088】
具体的には、物品検査装置1は、ユーザの操作により測定タイミングの調整モードが選択されると、物品検査部3の測定タイミングの調整を行なう。
【0089】
物品検査部3は、例えば、物品有無検知部4において錠剤Wが検知位置に至ったことが検知されてから測定を開始するまでの時間としての測定タイミングをずらしながら、錠剤Wの所定の範囲での所定間隔で錠剤Wからの反射光のスペクトルを測定し、任意の波長(複数の波長でもよい)の測定タイミングとスペクトラム強度との測定値から、回帰分析などの処理によって測定タイミングとスペクトラム強度の関係を算出する。
【0090】
物品検査部3は、算出した測定タイミングとスペクトラム強度の関係から、測定値が安定する測定タイミングや、測定値が極値(ピーク)となる測定タイミングを測定に適した測定タイミングとする。
【0091】
図8に示すような測定タイミングとスペクトラム強度の関係の場合、測定値が安定し、少しピークとなっている点を測定に適した測定タイミングとして測定タイミングの基準点となるゼロ点とする。
【0092】
図9に示すような測定タイミングとスペクトラム強度の関係の場合、測定値が極大値となっている点を測定に適した測定タイミングとして測定タイミングの基準点となるゼロ点とする。
【0093】
所定の範囲としては、
図6に示すように、錠剤Wの搬送方向の端部が測定位置に来てから他方の端部が測定位置を通過するまでの錠剤Wの全領域としてもよいし、錠剤Wの搬送方向の中間点が測定開始位置に来てから測定終了位置を通過するまでの間などでもよい。
【0094】
物品検査部3は、予め設定された錠剤Wの搬送速度、錠剤Wの検知位置と測定位置の距離、測定時間から、例えば、物品有無検知部4において錠剤Wが検出されてから測定を開始するまでの時間を基本の測定タイミングとして算出し、算出した基本の測定タイミングから測定タイミングをずらしながら所定の範囲での所定間隔で錠剤Wからの反射光のスペクトルを測定するようにしてもよい。
【0095】
このようにすることで、錠剤Wの全領域で測定を行なうより測定タイミングの調整にかかる時間を短縮することができる。
【0096】
また、測定タイミングの調整を複数回行なって測定タイミングの精度を向上させたり、求めた測定タイミングで仮測定を行ない、狙い通りの結果となるか確認したりするようにしてもよい。
【0097】
また、求めた測定に適した測定タイミングを、例えば、錠剤Wの種別などの測定対象物の種別ごとに記憶しておき、次に同じ測定対象物を測定するときに使用できるようにしてもよい。
【0098】
このように、上述の実施形態では、物品検査部3は、物品有無検知部4において錠剤Wが検知されてから測定を開始するまでの時間としての測定タイミングをずらしながら、錠剤Wの所定の範囲での所定間隔で錠剤Wからの反射光のスペクトルを測定し、測定タイミングとスペクトラム強度の測定値から、測定タイミングとスペクトラム強度との関係を算出し、算出した測定タイミングとスペクトラム強度との関係から、測定に適した測定タイミングを算出する。
【0099】
これにより、測定に適した測定タイミングで測定することが可能となり、搬送される測定対象物の測定において、測定結果の測定再現性を高めることができる。
【0100】
また、測定対象物が変わった場合でも、測定に適した測定タイミングを容易に求めることができるため、検査の効率を向上させることができる。
【0101】
また、物品検査部3は、測定タイミングとスペクトラム強度の測定値から回帰分析によって前記測定タイミングと測定値との関係を算出する。
【0102】
これにより、測定タイミングと測定値との関係を容易に算出することができ、測定に適した測定タイミングを容易に求めることができるため、検査の効率を向上させることができる。
【0103】
また、物品検査部3は、測定タイミングと測定値との関係から、測定値が安定している測定タイミングを測定に適した測定タイミングとする。
【0104】
これにより、測定値が安定している測定タイミングが、測定に適した測定タイミングとなり、測定タイミングがずれても安定して測定結果の測定再現性を高めることができる。
【0105】
また、物品検査部3は、測定タイミングと測定値との関係から、測定値が極値となっている測定タイミングを測定に適した測定タイミングとする。
【0106】
これにより、測定値が極値となっている測定タイミングが、測定に適した測定タイミングとなり、測定結果の測定再現性をより高めることができる。
【0107】
また、物品検査部3は、錠剤Wの搬送速度と、物品有無検知部4が錠剤Wを検知する検知位置と錠剤Wの測定を行なう測定位置との距離と、錠剤Wの測定時間と、から基本の測定タイミングを算出し、基本の測定タイミングから所定の範囲で測定タイミングをずらして錠剤Wの測定を行ない、測定タイミングと測定値との関係から測定に適した測定タイミングを算出する。
【0108】
これにより、容易に測定に適した測定タイミングを求めることができ、測定に適した測定タイミングを求める時間を短縮することができる。
【0109】
また、物品検査部3は、測定に適した測定タイミングの算出を複数回行ない、その結果から測定に適した測定タイミングを求める。
【0110】
これにより、測定に適した測定タイミングの精度を向上させることができ、測定結果の測定再現性を高めることができる。
【0111】
また、物品検査部3は、算出した測定に適した測定タイミングにより錠剤Wの測定を行ない、測定結果から測定に適した測定タイミングであるかを判定する。
【0112】
これにより、測定に適した測定タイミングの精度を向上させることができ、測定結果の測定再現性を高めることができる。
【0113】
また、物品有無検知部4は、検知位置において、収容溝12Bに錠剤Wが有るか否かを検知する。
【0114】
これにより、検知位置での錠剤Wの有無を検出することで錠剤Wが検知位置に至ったことが検知される。このため、搬送される錠剤Wが検知位置に至ったことを容易に検知することができる。
【0115】
なお、本実施形態においては、光源31の光を錠剤Wに反射させ、反射した光の分光特性に基づいて錠剤Wの品質を検査する場合について示したが、光源31の光を錠剤Wに透過させ、透過した光の分光特性に基づいて錠剤Wの品質を検査する場合でも同様に適用することができる。
【0116】
本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0117】
1 物品検査装置
2 物品搬送装置
3 物品検査部
4 物品有無検知部(物品位置検知部)
12 外側搬送部(搬送部)
12B 収容溝
31 光源
32 分光器
P5 物品検査位置