(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】ウエハ載置台
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20240131BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20240131BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
H01L21/31 C
H01L21/302 101G
H01L21/68 R
(21)【出願番号】P 2021132887
(22)【出願日】2021-08-17
【審査請求日】2023-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹林 央史
(72)【発明者】
【氏名】久野 達也
(72)【発明者】
【氏名】井上 靖也
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-261541(JP,A)
【文献】特開2020-145238(JP,A)
【文献】特開2017-178663(JP,A)
【文献】特開2015-035447(JP,A)
【文献】特開2011-192661(JP,A)
【文献】国際公開第2020/054682(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
H01L 21/3065
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハ載置面を有し、静電電極とヒータ電極とを内蔵するセラミック基材と、
前記セラミック基材のうち前記ウエハ載置面とは反対側の面に金属接合層を介して接合され、第1冷媒の供給及び供給停止を切り替え可能な第1冷媒流路を有する第1冷却基材と、
前記第1冷却基材のうち前記金属接合層とは反対側の面に、伝熱ガスを供給可能なスペース層を介して取り付けられ、第2冷媒の供給及び供給停止を切り替え可能な第2冷媒流路を有する第2冷却基材と、
を備えたウエハ載置台。
【請求項2】
前記第1及び第2冷却基材の少なくとも一方は、プラズマ発生用電極を兼ねる、
請求項1に記載のウエハ載置台。
【請求項3】
前記セラミック基材と前記第1冷却基材との熱膨張係数差は1×10
-6/K以下である、
請求項1又は2に記載のウエハ載置台。
【請求項4】
前記スペース層の厚さは、0.05mm以上2mm以下である、
請求項1~3のいずれか1項に記載のウエハ載置台。
【請求項5】
前記スペース層は、前記第1冷却基材と前記第2冷却基材との間に配置されたシールリングによって区画されている、
請求項1~4のいずれか1項に記載のウエハ載置台。
【請求項6】
前記シールリングは、金属リング及び樹脂リングを併用したものである、
請求項5に記載のウエハ載置台。
【請求項7】
前記スペース層には、前記スペース層の厚みを規制するスペーサが設けられている、
請求項5又は6に記載のウエハ載置台。
【請求項8】
前記第1冷媒流路は、前記第2冷媒流路に比べて、断面積が小さく流路長が長い、
請求項1~7のいずれか1項に記載のウエハ載置台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハ載置台に関する。
【背景技術】
【0002】
ウエハにプラズマを利用してCVDやエッチングなどを行うためにウエハ載置台が用いられる。例えば、特許文献1に開示されたウエハ載置台は、冷媒用の流路が形成された金属製の冷却台と、冷却台の下面に接続された高周波伝送用の給電体と、冷却台の上面に設けられた導電性の基台と、基台の上に金属接合された静電チャックとを備えている。静電チャックは、吸着用電極及びヒータを内蔵している。冷却台と基台とは、Oリングを介して金属製の締付部材により挟持されている。締付部材は、冷却台と基台との導通を確保している。冷却台と基台とOリングとによって形成される空間には、伝熱ガスが供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、こうしたウエハ載置台は、ウエハを高温で処理するのには適するものの、その後にウエハから効率よく抜熱するのには適さないという問題があった。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、ウエハを高温で処理することとウエハから効率よく抜熱することとを両立させることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のウエハ載置台は、
ウエハ載置面を有し、静電電極とヒータ電極とを内蔵するセラミック基材と、
前記セラミック基材のうち前記ウエハ載置面とは反対側の面に金属接合層を介して接合され、第1冷媒の供給及び供給停止を切り替え可能な第1冷媒流路を有し、金属を含有する第1冷却基材と、
前記第1冷却基材のうち前記金属接合層とは反対側の面に、伝熱ガスを供給可能なスペース層を介して取り付けられ、第2冷媒の供給及び供給停止を切り替え可能な第2冷媒流路を有し、金属を含有する第2冷却基材と、
を備えたものである。
【0007】
このウエハ載置台によれば、ウエハを高温で処理することとウエハから効率よく抜熱することとを両立させることができる。例えば、ウエハの高温化が要求されるプロセスでは、第1冷却基材の第1冷媒流路には第1冷媒を流通させず、第2冷却基材の第2冷媒流路に第2冷媒を流通させてもよい。こうすることにより、ヒータ電極に通電して加熱されたウエハの熱は、セラミック基材に近い第1冷却基材によってはそれほど奪われず、セラミック基材から遠い第2冷却基材によって奪われる。そのため、ウエハを高温に維持しながら処理することができる。また、例えば、ウエハの高抜熱化が要求されるプロセスでは、第1冷却基材の第1冷媒流路に第1冷媒を流通させてもよい。こうすることにより、ヒータ電極に通電して加熱されたウエハの熱は、セラミック基材に近い第1冷却基材によって奪われるため、ウエハの抜熱を効率よく行うことができる。なお、スペース層には、第1冷却基材と第2冷却基材との熱伝導を良好にしたい場合に伝熱ガスが供給される。
【0008】
本発明のウエハ載置台において、前記スペース層は、真空状態と伝熱ガス充填状態とで切替可能であってもよい。スペース層を真空状態にすれば、第1冷却基材と第2冷却基材とを断熱することができ、スペース層に伝熱ガスを充填すれば、第1冷却基材と第2冷却基材との熱伝導を良好にすることができる。
【0009】
本発明のウエハ載置台において、前記第1冷媒の温度は、前記第2冷媒の温度よりも低くしてもよい。例えば、ウエハの高抜熱化が要求されるプロセスでは、第1冷却基材によって熱をより奪いやすくなるため、ウエハの抜熱をより効率よく行うことができる。
【0010】
本発明のウエハ載置台において、前記第1冷媒流路は、第1冷媒の循環及び循環停止を切替可能であってもよく、前記第2冷媒流路は、第2冷媒の循環及び循環停止を切替可能であってもよい。例えば、ウエハの高抜熱化が要求されるプロセスでは、第1冷媒流路に第1冷媒を循環させてもよく、ウエハを高温で処理するプロセスでは、第1冷媒流路の第1冷媒の循環を停止して第2冷媒流路の第2冷媒を循環させてもよい。
【0011】
本発明のウエハ載置台において、前記第1及び第2冷却基材の少なくとも一方は、プラズマ発生用電極を兼ねるようにしてもよい。こうすれば、セラミック基材にプラズマ発生電極を埋設する場合に比べて構造を簡素化することができる。
【0012】
本発明のウエハ載置台において、前記セラミック基材と前記第1冷却基材との熱膨張係数差は1×10-6/K以下としてもよい。こうすれば、ウエハ載置台を高温と低温とで繰り返し使用したとしても、セラミック基材と第1冷却基材との接合に支障が生じるのを抑制することができる。例えば、セラミック基材がアルミナ製の場合には、第1冷却基材はSiSiCTi製かAlSiC製が好ましい。
【0013】
本発明のウエハ載置台において、前記スペース層の厚さは0.05mm以上2mm以下であることが好ましい。スペース層の厚さが下限値以上であれば、面内のスペース層厚みばらつきを制御でき、熱抵抗ばらつきの影響低減を図れる点で好ましく、スペース層の厚さが上限値以下であれば、熱抵抗が大きくない点で温度制御の応答性の観点で好ましい。
【0014】
本発明のウエハ載置台において、前記スペース層は、前記第1冷却基材と前記第2冷却基材との間に配置されたシールリングによって区画されていてもよい。この場合、シールリングは、金属リングであってもよいし、樹脂リングであってもよいし、金属リング及び樹脂リングを併用したものであってもよい。金属リング及び樹脂リングを併用した場合、樹脂リングの変形量を金属リングで規制することができる。シールリングは、第1冷却基材及び第2冷却基材のうち直径の小さい方の外縁に沿って設けられていてもよい。また、スペース層には、スペース層の厚みを規制するスペーサが設けられていてもよい。こうすれば、スペース層の全体の厚みを維持しやすくなる。
【0015】
本発明のウエハ載置台において、前記第1冷媒流路は、前記第2冷媒流路に比べて、断面積が小さく流路長が長くなるようにしてもよい。こうすれば、第1冷媒流路による熱引きが良好になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図5】ウエハWを高温で処理するときのウエハ載置台10の説明図。
【
図6】ウエハWから高効率で抜熱するときのウエハ載置台10の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の好適な実施形態を、図面を参照しながら以下に説明する。
図1はウエハ載置台10の縦断面図(ウエハ載置台10の中心軸を含む面で切断したときの断面図)、
図2はウエハ載置台10の平面図である。以下の説明において、上下、左右、前後などを用いて説明することがあるが、上下、左右、前後は、相対的な位置関係に過ぎない。また、本明細書において数値範囲を示す「~」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味として使用される。
【0018】
ウエハ載置台10は、ウエハWにプラズマを利用してCVDやエッチングなどを行うために用いられるものであり、半導体プロセス用のチャンバ80の内部に設けられた設置板81に固定されている。ウエハ載置台10は、セラミック基材20と、第1冷却基材30と、金属接合層40と、スペース層42と、第2冷却基材50と、クランプ部材70とを備えている。
【0019】
セラミック基材20は、円形のウエハ載置面22aを有する中央部22の外周に、環状のフォーカスリング載置面24aを有する外周部24を備えている。以下、フォーカスリングは「FR」と略すことがある。ウエハ載置面22aには、ウエハWが載置され、FR載置面24aには、フォーカスリング78が載置される。セラミック基材20は、アルミナ、窒化アルミニウムなどに代表されるセラミック材料で形成されている。FR載置面24aは、ウエハ載置面22aに対して一段低くなっている。
【0020】
セラミック基材20の中央部22は、ウエハ載置面22aに近い側から順に、ウエハ吸着用電極25とヒータ電極26とを内蔵している。これらの電極25,26は、例えばW、Mo、WC、MoCなどを含有する材料によって形成されている。ウエハ吸着用電極25は、円板状又はメッシュ状の単極型の静電電極である。セラミック基材20のうちウエハ吸着用電極25よりも上側の層は誘電体層として機能する。ウエハ吸着用電極25には、図示しないウエハ吸着用直流電源が給電端子62及び給電棒63を介して接続されている。給電端子62の上面は、ウエハ吸着用電極25の下面に接合され、給電端子62の下面は、バネ63aで上向きに付勢された給電棒63の上面と接触している。給電端子62及び給電棒63は、ヒータ電極26、第1冷却基材30、金属接合層40、第2冷却基材50及び設置板81のそれぞれに設けられた上下方向に貫通する穴に、電気的に絶縁された状態で挿入されている。ヒータ電極26は、平面視でウエハ載置面22aの全面に行き渡るように、一端から他端まで一筆書きの要領で配線されている。ヒータ電極26の一端には、図示しないヒータ電源が給電端子64及び給電棒65を介して接続されている。給電端子64の上面は、ヒータ電極26の一端の下面に接合され、給電端子64の下面は、バネ65aで上向きに付勢された給電棒65の上面と接触している。給電端子66及び給電棒67は、第1冷却基材30、金属接合層40、第2冷却基材50及び設置板81のそれぞれに設けられた上下方向に貫通する穴に、電気的に絶縁された状態で挿入されている。ヒータ電極26の他端も、図示しないが、ヒータ電極26の一端と同様にして給電端子及び給電棒を介してヒータ電源に接続されている。セラミック基材20の中央部22は、バックサイドガス(BSガス)をウエハWの裏面に供給するためのBSガス通路23を有する。BSガス通路23は、セラミック基材20の中央部22を上下方向に貫通している。
【0021】
セラミック基材20の外周部24は、FR吸着用電極27を内蔵している。FR吸着用電極27は、例えばW、Mo、WC、MoCなどを含有する材料によって形成されている。FR吸着用電極27は、環状又はメッシュ状の単極型の静電電極である。セラミック基材20のうちFR吸着用電極27よりも上側の層は誘電体層として機能する。FR吸着用電極27には、図示しないFR吸着用直流電源が給電端子66及び給電棒67を介して接続されている。給電端子66の上面は、FR吸着用電極27の下面に接合され、給電端子66の下面は、バネ67aで上向きに付勢された給電棒67の上面と接触している。給電端子66及び給電棒67は、第1冷却基材30、金属接合層40、第2冷却基材50及び設置板81のそれぞれに設けられた上下方向に貫通する穴に、電気的に絶縁された状態で挿入されている。
【0022】
第1冷却基材30は、金属を含有する導電性の円板部材であり、下側に第1フランジ30aを備える。第1冷却基材30は、内部に第1冷媒が循環可能な第1冷媒流路31を備えている。第1冷媒流路31は、平面視でセラミック基材20の全面に行き渡るように、一端から他端まで一筆書きの要領で形成されている。第1冷媒流路31の一端は、第1冷媒供給路32に連通している。第1冷媒流路31の他端は、第1冷媒排出路に連通している。第1冷却基材30は、セラミック基材20のBSガス通路23に連通するBSガス連通路33を有する。BSガス連通路33は、第1冷却基材30を上下方向に貫通している。BSガス連通路33は、第1冷却基材30の上から小径穴、テーパ穴及び大径穴が連なって形成されたものである。小径穴は、BSガス通路23よりも径が大きい。第1冷却基材30は、金属を含有する導電材料で作製されている。導電材料としては、例えば、複合材料や金属などが挙げられる。複合材料としては、金属複合材料(メタル・マトリックス・コンポジット(MMC)ともいう)などが挙げられ、MMCとしては、Si,SiC及びTiを含む材料やSiC多孔質体にAl及び/又はSiを含浸させた材料などが挙げられる。Si,SiC及びTiを含む材料をSiSiCTiといい、SiC多孔質体にAlを含浸させた材料をAlSiCといい、SiC多孔質体にSiを含浸させた材料をSiSiCという。金属としては、Moが挙げられる。
【0023】
金属接合層40は、セラミック基材20の下面と第1冷却基材30の上面とを接合する。金属接合層40は、例えば、はんだや金属ロウ材で形成された層であってもよい。金属接合層は、例えばTCB(Thermal compression bonding)により形成される。TCBとは、接合対象の2つの部材の間に金属接合材を挟み込み、金属接合材の固相線温度以下の温度に加熱した状態で2つの部材を加圧接合する公知の方法をいう。
【0024】
スペース層42は、第1冷却基材30と第2冷却基材50との間に設けられている。スペース層42は、第1冷却基材30の下面と第2冷却基材50の上面と大径シールリング43とによって形成されている。スペース層42の厚さは、0.05mm以上2mm以下であることが好ましい。大径シールリング43は、スペース層42を区画するものであり、外径が第1冷却基材30の下面の直径よりもやや小さいリングである。大径シールリング43は、金属リングであってもよいし、樹脂リング(絶縁リング)であってもよいし、金属リング及び樹脂リングを併用したものであってもよい。金属リング及び樹脂リングを併用した場合、樹脂リングの変形量を金属リングで規制することができる。スペース層42には、スペース層42の厚みを規制するスペーサが設けられていてもよい。スペーサは金属製でもよいし樹脂製でもよい。
【0025】
第2冷却基材50は、スペース層42を介して第1冷却基材30に取り付けられている。第2冷却基材50は、金属を含有する導電性の円板部材であり、下側に第2フランジ50aを備える。第2冷却基材50は、内部に第2冷媒が循環可能な第2冷媒流路51を備えている。第2冷媒流路51は、平面視でセラミック基材20の全面に行き渡るように、一端から他端まで一筆書きの要領で形成されている。第2冷媒流路51の一端は、第2冷媒供給路52に連通している。第2冷媒流路51の他端は、第2冷媒排出路に連通している。第2冷却基材50は、第1冷却基材30のBSガス連通路33に連通するBSガス連通路53を有する。BSガス連通路53は、第2冷却基材50を上下方向に貫通する円筒状の穴である。BSガス連通路33とBSガス連通路53とは、第1冷却基材30と第2冷却基材50との間に配置された小径シールリング44によって気密に連結されている。そのため、BSガス連通路33及びBSガス連通路53は、スペース層42とは連通していない。なお、小径シールリング44は、本実施形態では
図1に示すように二重に設けたが、一重であってもよい。
【0026】
第2冷却基材50は、スペース層42に連通する伝熱ガス給排路54を有する。伝熱ガス給排路54は、第2冷却基材50を上下方向に貫通する円筒状の穴である。伝熱ガス給排路54は、スペース層42に伝熱ガス(例えばヘリウムガス)を充填したりスペース層を真空状態にするのに用いられる。第2冷却基材50は、第1冷却基材30の第1冷媒供給路32に連通する第1冷媒連通路55を有する。第1冷媒連通路55は、第2冷却基材50を上下方向に貫通する円筒状の穴である。第1冷媒供給路32と第1冷媒連通路55とは、第1冷却基材30と第2冷却基材50との間に配置された小径の第1冷媒用シールリング45によって液密に連結されている。そのため、第1冷媒供給路32及び第1冷媒連通路55は、スペース層42と連通していない。第2冷却基材50は、プラズマを発生させるための高周波電源87に接続されており、高周波電極として用いられる。第2冷却基材50は、金属を含有する導電材料で作製されている。導電材料としては、例えば、複合材料や金属などが挙げられるが、AlやTiなどが好ましい。
【0027】
クランプ部材70は、断面が略Z字状の環状で金属製の部材であり、内周段差面70aと外周段差面70bとを有する。第1冷却基材30と第2冷却基材50とは、クランプ部材70によって一体化されている。すなわち、第1冷却基材30と第2冷却基材50との間に各種のシールリング43~49が配置され、クランプ部材70の内周段差面70aが第1冷却基材30の第1フランジ30aの上に配置され、クランプ部材70の下面が第2冷却基材50の第2フランジ50aの上に配置されている。そして、第2フランジ50aの下面からボルト72が差し込まれてクランプ部材70の下面に設けられたネジ穴に螺合されている。ボルト72は、第2フランジ50aの円周方向に沿って等間隔に設けられた複数箇所(例えば8箇所とか12箇所)に取り付けられる。シールリング46には給電棒63が挿入され、シールリング47には給電棒65が挿入され、シールリング48には給電棒67が挿入されている。各シールリング46~48の内側空間は、スペース層42と連通していない。シールリング44~48は、金属リングであってもよいし、樹脂リングであってもよいし、金属リングと樹脂リングとを併用したものであってもよい。また、シールリング44~48は、スペース層42の厚みを規制するスペーサの役割を果たすようにしてもよい。第1冷却基材30と第2冷却基材50とは、導電性のクランプ部材70によって一体化されているため、第1冷却基材30と第2冷却基材50とは同電位になる。第2冷却基材50は高周波電極として機能するため、第1冷却基材30も高周波電極として機能する。
【0028】
こうしたウエハ載置台10は、チャンバ80の内部に設けられた設置板81に取付部材74を用いて取り付けられる。設置板81は、第1冷媒導入路82,第2冷媒導入路83,BSガス導入路84及び伝熱ガス入出路85を備えている。第1冷媒導入路82は、第1冷媒連通路55に対向する位置に設置板81を上下方向に貫通するように設けられ、第2冷却基材50と設置板81との間のシールリング92によって第1冷媒連通路55と液密に連通されている。第2冷媒導入路83は、第2冷媒供給路52に対向する位置に設置板81を上下方向に貫通するように設けられ、第2冷却基材50と設置板81との間のシールリング93によって第2冷媒供給路52と液密に連通されている。BSガス導入路84は、BSガス連通路53に対向する位置に設置板81を上下方向に貫通するように設けられ、第2冷却基材50と設置板81との間のシールリング94によってBSガス連通路53と気密に連通されている。伝熱ガス入出路85は、伝熱ガス給排路54に対向する位置に設置板81を上下方向に貫通するように設けられ、第2冷却基材50と設置板81との間のシールリング95によって伝熱ガス給排路54と気密に連通されている。設置板81は、給電棒63,65,67をそれぞれ挿通する貫通穴や第1冷却基材30の温度を測定する温度センサ86を備えている。温度センサ86の先端(測温部)は、第1冷却基材30と第2冷却基材50とシールリング49とによって囲まれた測温空間に露出している。この測温空間は、スペース層42と連通していない空間であり、実質的に第1冷却基材30の温度と同じ温度になる。第2冷却基材50と設置板81との間には、大径シールリング43と略同じ大きさのシールリング91が第2冷却基材50の外周縁に沿って配置されている。
【0029】
第1冷媒導入路82には、第1冷媒循環器36が取り付けられている。第1冷媒循環器36は、温度調節機能を有する循環ポンプであり、所望の温度に調節された第1冷媒を第1冷媒導入路82へ導入し、第1冷媒流路31の第1冷媒排出路から排出された第1冷媒を所望の温度に調節したあと再び第1冷媒導入路82へ導入する。第2冷媒導入路83には、第2冷媒循環器56が取り付けられている。第2冷媒循環器56は、温度調節機能を有する循環ポンプであり、所望の温度に調節された第2冷媒を第2冷媒導入路83へ導入し、第2冷媒流路51の第2冷媒排出路から排出された第2冷媒を所望の温度に調節したあと再び第2冷媒導入路83へ導入する。BSガス導入路84には、BSガス供給源96が取り付けられている。BSガス供給源96は、BSガス導入路84、BSガス連通路53、BSガス連通路33及びBSガス通路23を介してウエハWの裏面に伝熱ガスを供給する。伝熱ガス入出路85には、伝熱ガス供給源98と真空ポンプ99とが切替弁97を介して接続されている。伝熱ガス供給源98は、伝熱ガス入出路85を介してスペース層42に伝熱ガスを供給する。真空ポンプ99は、伝熱ガス入出路85を介してスペース層42の内部を真空(減圧)にする。
【0030】
取付部材74は、断面が略逆L字状の環状部材であり、内周段差面74aを有する。ウエハ載置台10と設置板81とは、取付部材74によって一体化されている。ウエハ載置台10のクランプ部材70の外周段差面70bに、取付部材74の内周段差面74aを載置した状態で、取付部材74の上面からボルト76が差し込まれて設置板81の上面に設けられたネジ穴に螺合されている。ボルト76は、取付部材74の円周方向に沿って等間隔に設けられた複数箇所(例えば8箇所とか12箇所)に取り付けられる。取付部材74やボルト76は、絶縁材料で作製されていてもよいし、導電材料(金属など)で作製されていてもよい。
【0031】
次に、ウエハ載置台10の製造例を
図3及び
図4を用いて説明する。
図3及び
図4はウエハ載置台10の製造工程図である。まず、モールドキャスト法によって円盤状の第1~第3セラミック成形体111~113を作製し、第2及び第3セラミック成形体112,113の上面にそれぞれ電極ペーストを印刷して電極パターン114,115を形成する(
図3A参照)。モールドキャスト法とは、セラミック原料粉末とモールド化剤とを含むセラミックスラリーを成形型内に注入し、その成形型内でモールド化剤を化学反応させてセラミックスラリーをモールド化させることにより成形体を得る周知の方法をいう。モールド化剤としては、例えば、イソシアネート及びポリオールを含み、ウレタン反応によりモールド化するものとしてもよい。電極ペーストは、例えばW、Mo、WC、MoCなどの導電材にセラミック粉末を添加したスラリーである。第2セラミック成形体112の上面に印刷された電極パターン114はウエハ吸着用電極25と同形状であり、第3セラミック成形体113の上面に印刷された電極パターン115はヒータ電極26及びFR吸着用電極27を合わせた形状である。
【0032】
続いて、第1セラミック成形体111と、上面に電極パターン114が印刷された第2セラミック成形体112と、上面に電極パターン115が印刷された第3セラミック成形体113とを積層し、得られた積層体をホットプレス焼成することにより、セラミック焼結体120を得る(
図3B参照)。これにより、電極パターン114はウエハ吸着用電極25になり、電極パターン115はヒータ電極26及びFR吸着用電極27になる。
【0033】
続いて、得られたセラミック焼結体120の両面に研削加工又はブラスト加工等を施すことにより形状や厚みを調整すると共に、上下方向の穴(給電端子62,64,66を挿入するための穴やBSガス通路23など)を形成する(
図3C参照)。
【0034】
続いて、セラミック焼結体120のウエハ吸着用電極25に通じる穴に給電端子62を挿入してウエハ吸着用電極25に接合し、ヒータ電極26に通じる穴に給電端子64を挿入してヒータ電極26に接合し、FR吸着用電極27に通じる穴に給電端子66を挿入してFR吸着用電極27に接合する(
図3D)。その後、第1冷却基材30を用意し、セラミック焼結体120と第1冷却基材30とを金属接合層40によって接合して接合体122を得る(
図3E)。第1冷却基材30には、予めセラミック焼結体120の給電端子62,64,66のそれぞれと対向する位置に上下方向に貫通する穴を設けておき、接合する際、給電端子62,64,66を各穴(内壁に絶縁膜が形成済み)に挿入する。また、接合する際に、第1冷却基材30のBSガス連通路33をセラミック基材20のBSガス通路23と一致させる。セラミック焼結体120がアルミナで形成されている場合、第1冷却基材30はSiSiCTiで形成されていることが好ましい。40~570℃の線熱膨張係数は、アルミナが7.7×10
-6/Kであり、SiSiCTiが7.8×10
-6/Kである。
【0035】
SiSiCTiプレートは、例えば、平均粒径が10μm以上25μm以下の炭化珪素原料粒子を39~51質量%含有すると共に、Ti及びSiが含まれるように選択された1種以上の原料を含有し、炭化珪素を除く原料に由来するSi及びTiについてSi/(Si+Ti)の質量比が0.26~0.54である粉体混合物を作製する。原料としては、例えば炭化珪素と金属Siと金属Tiとを用いることができる。その場合、炭化珪素を39~51質量%、金属Siを16~24質量%、金属Tiを26~43質量%となるように混合するのが好ましい。次に、得られた粉体混合物を一軸加圧成形により円盤状の成形体を作製し、その成形体を不活性雰囲気下でホットプレスにより1370~1460℃で焼結させることにより、SiSiCTiプレートを得る。
【0036】
セラミック焼結体120と第1冷却基材30との接合は、金属接合材を用いて行う。例えば、アルミナ製のセラミック焼結体120とSiSiCTi製の第1冷却基材30との間に金属接合材を挟んでTCB接合を行う。具体的には、金属接合材の固相線温度以下(例えば、固相線温度から20℃引いた温度以上固相線温度以下)の温度でセラミック焼結体120と第1冷却基材30との積層体を加圧してTCB接合し、その後室温に戻す。これにより、金属接合材は金属接合層40になる。このときの金属接合材としては、Al-Mg系接合材やAl-Si-Mg系接合材を使用することができる。例えば、Al-Si-Mg系接合材(88.5重量%のAl、10重量%のSi、1.5重量%のMgを含有し、固相線温度が約560℃)を用いてTCB接合する場合、真空雰囲気下、540~560℃に加熱した状態でセラミック焼結体120を0.5~2.0kg/mm2 の圧力で数時間かけて加圧する。金属接合材は、厚みが100μm前後のものを用いるのが好ましい。
【0037】
続いて、接合体122のセラミック焼結体120の外周を切削して段差を形成することにより、中央部22と外周部24とを備えたセラミック基材20とし、接合体124を得る(
図3F)。続いて、第2冷却基材50を用意し、その第2冷却基材50の上面に各シールリング43~49を仮止めし、下面に各シールリング91~95を仮止めし、その第2冷却基材50と接合体124の第1冷却基材30とをクランプ部材70を用いてボルト72で締結する(
図4A)。これにより、ウエハ載置台10を得る。なお、シールリング43~49,91~95は、例えばフッ素樹脂製やシリコーン樹脂製のOリングとしてもよい。続いて、 第1冷媒導入路82、第2冷媒導入路83、BSガス導入路84及び伝熱ガス入出路85を備えると共に温度センサ86と給電棒63,65,67とを組み付けた設置板81を用意する。そして、ウエハ載置台10を設置板81に載せて取付部材74を用いてボルト76で締結する(
図4B参照)。このようにして、ウエハ載置台10を設置板81に固定する。
【0038】
なお、金属接合層40、第1冷却基材30及びクランプ部材70のうち外部に露出している面については、絶縁膜で被覆することが好ましい。絶縁膜は、例えばセラミック粉末を用いて溶射することにより形成することができる。また、BSガス通路23に繋がる経路(金属接合層40の貫通穴、BSガス連通路33,53及びBSガス導入路84など)を形成する面も、絶縁膜で被覆するのが好ましい。
【0039】
次に、ウエハ載置台10の使用例について
図1を用いて説明する。チャンバ80の設置板81には、上述したようにウエハ載置台10が設置されている。チャンバ80の天井面には、プロセスガスを多数のガス噴射孔からチャンバ80の内部へ放出するシャワーヘッド80aが配置されている。
【0040】
ウエハ載置台10のFR載置面24aには、フォーカスリング78が載置され、ウエハ載置面22aには、円盤状のウエハWが載置される。フォーカスリング78は、ウエハWと干渉しないように上端部の内周に沿って段差を備えている。この状態で、ウエハ吸着用電極25に直流電圧を印加してウエハWをウエハ載置面22aに吸着させると共に、FR吸着用電極27に直流電圧を印加してフォーカスリング78をFR載置面24aに吸着させる。また、BSガス通路23からウエハWの裏面にBSガス(例えばヘリウムガス)を供給し、ヒータ電極26に通電してウエハWを高温(例えば400℃)になるように制御する。そして、チャンバ80の内部を所定の真空雰囲気(又は減圧雰囲気)になるように設定し、シャワーヘッド80aからプロセスガスを供給しながら、第2冷却基材50に高周波電源87からの高周波電圧を印加する。すると、第1冷却基材30(第2冷却基材50と同電位)とシャワーヘッド80aとの間でプラズマが発生する。そして、そのプラズマを利用して高温のウエハWに処理を施す。
【0041】
このようにウエハWの高温化が要求されるプロセスでは、
図5に示すように、第1冷却基材30の第1冷媒流路31に第1冷媒を流通させず、第2冷却基材50の第2冷媒流路51に第2冷媒を流通させる。つまり、第1冷媒循環器36の作動を止めて第1冷媒を第1冷媒流路31に循環させるのを停止し、第2冷媒循環器56を作動させて第2冷媒を第2冷媒流路51に循環させる。また、スペース層42に伝熱ガスを供給して、スペース層42の熱伝導性を高める。こうすることにより、ヒータ電極26に通電して加熱されたウエハWの熱は、セラミック基材20に近い第1冷却基材30によってはそれほど奪われず、セラミック基材20から遠い第2冷却基材50によって奪われる。そのため、ウエハWを高温に維持しながら処理することができる。
【0042】
一方、ウエハWの高抜熱化が要求されるプロセスでは、
図6に示すように、ヒータ電極26への通電を停止し、ウエハ吸着用電極25に直流電圧を印加してウエハWをウエハ載置面22aに吸着させると共に、FR吸着用電極27に直流電圧を印加してフォーカスリング78をFR載置面24aに吸着させる。また、BSガス通路23からウエハWの裏面にBSガスを供給する。そして、第1冷却基材30の第1冷媒流路31に第1冷媒を流通させ、第2冷却基材50の第2冷媒流路51に第2冷媒を流通させない。つまり、第1冷媒循環器36を作動させて第1冷媒を第1冷媒流路31に循環させ、第2冷媒循環器56の作動を止めて第2冷媒を第2冷媒流路51に循環させるのを停止する。また、スペース層42を真空にして第2冷却基材50から第1冷却基材30への熱移動を抑制する。こうすることにより、高温になったウエハWの熱は、セラミック基材20に近い第1冷却基材30によって奪われるため、ウエハWの抜熱を効率よく行うことができる。なお、第1冷媒の温度は第2冷媒の温度よりも低いことが好ましい。例えば、第1冷媒の温度を-30℃、第2冷媒の温度を5℃としてもよい。
【0043】
なお、ウエハWがプラズマ処理されるのに伴ってフォーカスリング78も消耗するが、フォーカスリング78はウエハWに比べて厚いため、フォーカスリング78の交換は複数枚のウエハWを処理したあとに行われる。
【0044】
以上説明した本実施形態のウエハ載置台10によれば、ウエハWを高温で処理することとウエハWから効率よく抜熱することとを両立させることができる。
【0045】
また、スペース層42は、真空状態と伝熱ガス充填状態とで切替可能である。そのため、スペース層42を真空状態にすれば、第1冷却基材30と第2冷却基材50とを断熱することができ、スペース層42に伝熱ガスを充填すれば、第1冷却基材30と第2冷却基材50との熱伝導を良好にすることができる。
【0046】
更に、第1冷媒の温度は第2冷媒の温度よりも低い。こうすることにより、ウエハWの高抜熱化が要求されるプロセスでは、第1冷却基材30によって熱をより奪いやすくなるため、ウエハWの抜熱をより効率よく行うことができる。
【0047】
更にまた、第1冷媒流路31は、第1冷媒の循環及び循環停止を切替可能であり、第2冷媒流路51は、第2冷媒の循環及び循環停止を切替可能である。これにより、ウエハWの高抜熱化が要求されるプロセスでは、第1冷媒流路31に第1冷媒を循環させ、ウエハWを高温で処理するプロセスでは、第1冷媒流路31の第1冷媒の循環を停止して第2冷媒流路51の第2冷媒を循環させることができる。
【0048】
そしてまた、第1及び第2冷却基材30,50は、プラズマ発生用電極を兼ねるようにしたため、セラミック基材20にプラズマ発生電極を埋設する場合に比べて構造を簡素化することができる。
【0049】
そして更に、40~570℃でのセラミック基材20と第1冷却基材30との熱膨張係数差は1×10-6/K以下としたため、ウエハ載置台10を高温と低温とで繰り返し使用したとしても、セラミック基材20と第1冷却基材30との接合に支障が生じるのを抑制することができる。例えば、セラミック基材20がアルミナ製の場合、第1冷却基材30はSiSiCTi製かAlSiC製が好ましい。
【0050】
そして更にまた、スペース層42の厚さは、0.05mm以上2mm以下であることが好ましい。スペース層42の厚さが下限値以上であれば、面内のスペース層厚みばらつきを制御でき、熱抵抗ばらつきの影響低減を図れる点で好ましく、スペース層42の厚さが上限値以下であれば、熱抵抗が大きくない点で温度制御の応答性の観点で好ましい。スペース層42には、スペース層42の厚みを規制するスペーサが設けられていることが好ましい。こうすれば、スペース層42の全体の厚みを維持しやすくなる。
【0051】
加えて、大径シールリング43は、金属リング及び樹脂リングを併用したもの(例えば外周側が金属リングで内周側が樹脂リングのものや、外周側が樹脂リングで内周側が金属リングのもの)が好ましい。こうすれば、樹脂リングの変形量を金属リングで規制することができる。また、第1冷媒流路31は、第2冷媒流路51に比べて、断面積が小さく流路長が長いことが好ましい。こうすれば、第1冷媒流路31による熱引きが良好になる。
【0052】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0053】
例えば、上述した実施形態では、第1及び第2冷媒流路31,51の状態やスペース層42の状態を、ウエハWを高温で処理する場合には
図5に示すように設定し、ウエハWから効率よく抜熱する場合には
図6に示すように設定したが、特にこれに限定されない。例えば、第1冷媒を第1冷媒流路31に循環させるか否かや第2冷媒を第2冷媒流路32に循環させるか否かは、状況に応じて、適宜設定してもよい。第1冷媒の温度や第2冷媒の温度も、状況に応じて、適宜設定してもよい。スペース層42を真空にするか伝熱ガスで充填するかも、状況に応じて、適宜設定してもよい。
【0054】
上述した実施形態では、ヒータ電極26は、セラミック基材20の中央部22を平面視したときに中央部22の全体にわたって配線したが、中央部22を複数の領域に分割して各領域にヒータ電極を配線してもよい。また、ウエハ吸着用電極25やFR吸着用電極27は、単極型を採用したが、双極型を採用してもよい。
【0055】
上述した実施形態では、第1冷却基材30のうち給電端子62,64,66を挿通する貫通穴は、内壁に絶縁膜を備えていたり、給電端子を挿通する絶縁管を備えていたりしてもよいが、こうした絶縁膜や絶縁管を備えておらず、給電端子62,64,66と貫通穴の内壁との距離だけで絶縁を確保してもよい。
【0056】
上述した実施形態では、クランプ部材70や取付部材74を環状部材としたが、環状部材を複数の円弧に分割した円弧部材であってもよい。
【0057】
上述した実施形態では、第2冷却基材50に高周波電源を接続したが、第1冷却基材30に高周波電源を接続してもよい。また、高周波電源として、ウエハWにイオンを引き込むためのバイアス用電源とプラズマを発生させるためのソース用電源の2つを接続してもよい。
【0058】
上述した実施形態では、セラミック成形体をモールドキャスト法によって作製したが、特にこれに限定されない。例えば、テープ成形体を複数枚積層してセラミック成形体を作製してもよい。あるいは、
図3Aの第1及び第3セラミック成形体111,113の代わりに第1及び第3セラミック焼結体を使用し、第1及び第3セラミック焼結体の間にセラミック粉末層を形成し、その状態でホットプレス焼成することにより、ウエハ吸着用電極25とヒータ電極26とFR吸着用電極27とを内蔵したセラミック焼結体120を作製してもよい。
【0059】
上述した実施形態では、第2冷却基材50を高周波電源83に接続したが、その代わりに、第1冷却基材30を高周波電源83に接続してもよい。
【0060】
上述した実施形態において、セラミック基材20の外周部24はヒータ電極を内蔵してもよい。
【符号の説明】
【0061】
10 ウエハ載置台、20 セラミック基材、22 中央部、22a ウエハ載置面、23 BSガス通路、24 外周部、24a FR載置面、25 ウエハ吸着用電極、26 ヒータ電極、27 FR吸着用電極、30 冷却基材、30a フランジ、31 第1冷媒流路、32 第1冷媒供給路、32 第1冷媒流路、33 BSガス連通路、36 第1冷媒循環器、40 金属接合層、42 スペース層、43 大径シールリング、44 小径シールリング、45 冷媒用シールリング、46~49 シールリング、50 第2冷却基材、50a 第2フランジ、51 第2冷媒流路、52 第2冷媒供給路、53 BSガス連通路、54 伝熱ガス給排路、55 第1冷媒連通路、56 第2冷媒循環器、62 給電端子、63 給電棒、63a バネ、64 給電端子、65 給電棒、65a バネ、66 給電端子、67 給電棒、67a バネ、70 クランプ部材、70a 内周段差面、70b 外周段差面、72 ボルト、74 取付部材、74a 内周段差面、76 ボルト、78 フォーカスリング、80 チャンバ、80a シャワーヘッド、81 設置板、82 第1冷媒導入路、83 第2冷媒導入路、84 BSガス導入路、85 伝熱ガス入出路、86 温度センサ、87 高周波電源、91~95 シールリング、96 BSガス供給源、97 切替弁、98 伝熱ガス供給源、99 真空ポンプ、111 第1セラミック成形体、112 第2セラミック成形体、113 第3セラミック成形体、114,115 電極パターン、115 電極パターン、120 セラミック焼結体、122 接合体、124 接合体、W ウエハ。