(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】パウチ容器の把持装置
(51)【国際特許分類】
B65B 5/08 20060101AFI20240131BHJP
【FI】
B65B5/08
(21)【出願番号】P 2021508954
(86)(22)【出願日】2020-03-09
(86)【国際出願番号】 JP2020009919
(87)【国際公開番号】W WO2020195734
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2023-02-08
(31)【優先権主張番号】P 2019060016
(32)【優先日】2019-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000238005
【氏名又は名称】株式会社フジシールインターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀川 嗣人
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-232106(JP,A)
【文献】特開平02-024083(JP,A)
【文献】特開2005-047580(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パウチ容器の把持装置であって、
前記パウチ容器は、容器本体の上端部にスパウトが密封して差し込まれ、
前記容器本体は、少なくとも一対のシートを上端部で貼り合わせて構成され、
前記容器本体の上端部の幅方向の両端部をそれぞれ把持する把持具と、前記把持具を開くまたは閉じる動作ならびに前記把持具の移動を制御する制御装置とを備える、パウチ容器の把持装置。
【請求項2】
前記把持具は、一対の把持部を備え、
前記一対の把持部のそれぞれには、係合部および該係合部と係合可能な被係合部が形成され、
前記係合部および前記被係合部は、幅方向に沿って形成される、請求項1記載のパウチ容器の把持装置。
【請求項3】
前記制御装置は、第1開き角まで前記把持具を開くことによって前記パウチ容器を前記把持具から解放し、前記把持具を移動させ、前記第1開き角よりも大きい第2開き角まで前記把持具を開く、請求項1または2に記載のパウチ容器の把持装置。
【請求項4】
パウチ容器の把持装置であって、
パウチ容器を把持するための第1把持部と、該第1把持部に対して第一方向に所定距離を離れて配設される第2把持部と、
前記第1把持部及び第2把持部の動作を制御する制御装置と、
奥行方向の両側及び鉛直方向の下側が開口された筐体部と、
前記筐体部の下側に配設された第1アーム部および第2アーム部と
前記筐体部の上側に配設され、上下方向に移動可能なカム部とを備え、
前記第1把持部及び第2把持部は、係合部をそれぞれ備える第1部材と、該係合部と係合可能な被係合部をそれぞれ備える第2部材を備え、
前記制御装置は、
前記第1把持部と前記第2把持部の動作をそれぞれ制御して、前記係合部と前記被係合部が係合する係合状態から、前記係合状態を解除する解除状態に移行させ、
前記第1把持部は、前記第1アーム部の下端に設けられ、前記第2把持部は前記第2アーム部の下端に設けられ、
前記カム部には、前記上下方向の下方かつ前記奥行方向の一方を向く第1摺動面と、該上下方向の下方かつ該奥行方向の他方を向く第2摺動面が形成され、
前記第1アーム部には、前記第1摺動面と当接し、前記カム部の前記上下方向の移動に応じて前記上下方向かつ前記奥行方向の他方に向かってスライド可能な第1スライド部および、前記筐体部に対し回動可能に支持され、該第1スライド部がスライドすることによって前記第1把持部が該奥行方向に移動するモーメントを与える第1支点が設けられ、
前記第2アーム部には、前記第2摺動面と当接し、前記上下方向かつ前記奥行方向の一方に向かってスライド可能な第2スライド部および、前記筐体部に対し回動可能に支持され、該第2スライド部がスライドすることによって前記第2把持部が該奥行方向に移動するモーメントを与える第2支点が設けられ、
前記第1把持部と前記第2把持部が前記奥行方向に移動されることにより、前記係合状態から前記解除状態に、または該解除状態から前記係合状態に移行させることを特徴とするパウチ容器の把持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パウチ容器の把持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パウチ容器は、スパウトが差し込まれる容器として流通している。また、パウチ容器を生産し、出荷する工場等では、パウチ容器を移送する際にパウチ容器を把持する把持装置が設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、スパウトが差し込まれたパウチ容器を移送する際に、パウチ容器のスパウトを把持する把持装置が開示されている。特許文献1の把持装置において、スパウトの把持位置がずれた場合に、スパウトを把持することができず、パウチ容器を移送できない恐れがある。
【0005】
本発明の目的は、把持装置がより適切にパウチ容器を把持することができる把持装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、パウチ容器の把持装置であって、パウチ容器は、容器本体の上端部にスパウトが密封して差し込まれ、容器本体は、少なくとも一対のシートを上端部で貼り合わせて構成され、容器本体の上端部の幅方向の両端部をそれぞれ把持する把持具と、把持具を開くまたは閉じる動作ならびに前記把持具の移動を制御する制御装置と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るパウチ容器の把持装置において、制御装置は、第1開き角まで把持具を開くことによってパウチ容器を把持具から解放し、把持具を移動させ、第1開き角よりも大きい第2開き角まで把持具を開いてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るパウチ容器の把持装置によれば、把持具がより適切にパウチ容器を把持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係るパウチ容器の一実施形態を示した斜視図である。
【
図2】本発明に係る把持装置の一実施形態である動作を示す模式図である。
【
図3】本発明に係る把持装置の一実施形態を示す側面図である。
【
図4】本発明に係る把持装置の一実施形態を示す平面図である。
【
図5】本発明に係る把持装置の一実施形態を示すブロック線図である。
【
図6】本発明に係る把持具の一実施形態を示す正面図である。
【
図7】本発明に係る把持具の一実施形態を示す側面図である。
【
図8】本発明に係る把持具の一実施形態である動作を示す側面図である。
【
図9】本発明に係る把持具の一実施形態である動作を示す他の側面図である。
【
図10】本発明に係る把持具の一実施形態である動作を示すさらに他の側面図である。
【
図11】本発明に係る把持装置の一実施形態における動作の一部を示すフローチャートである。
【
図12】本発明に係る把持装置の一実施形態におけるパウチ容器の収納状態を示す平面図である。
【
図13】本発明に係る把持装置の一実施形態である動作を示す他の模式図である。
【
図14】本発明に係る他のパウチ容器の一実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る実施の形態が、添付図面が参照されることにより、詳細に説明される。この実施の形態の説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、当業者が本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等にあわせて適宜変更され得る。また、実施の形態の説明において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分が適宜に組み合わされることにより、本発明の目的が達成されることは当初から想定される。
【0011】
図1を用いて、パウチ容器Pの構成について説明する。
【0012】
本発明に係る実施の形態では、パウチ容器Pにおいて、一対のシート3,3を貼り合わせる方向を奥行き方向とする。水平面において、奥行き方向と直行する方向を幅方向とする。奥行き方向および幅方向に垂直な方向を鉛直方向(上下方向)とする。
【0013】
パウチ容器Pは、底ガセット4を有し、容器本体2と、スパウト5と、を備える。パウチ容器Pでは、容器本体2の上端部2Uの略中央部にスパウト5が密封して差し込まれる。容器本体2は、一対のシート3,3と、底ガセット4と、が貼り合わされて構成される。一対のシート3,3は、柔軟なフィルム材で形成される。容器本体2の上端部2Uは、例えばヒートシールによって形成される。後述する把持具20は、容器本体2の上端部2Uの幅方向に位置する両端部2UE,2UEを把持する。
【0014】
スパウト5は、略円筒状に形成される。スパウト5の上端には、キャップ6が取り付けられる。キャップ6は、スパウト5の上端の開口を密封するように取り付けられる。本実施形態のキャップ6の直径は、例えば、スパウト5の直径の2倍以上の大きさである。
【0015】
図2を用いて、パウチ容器Pの箱詰め動作について説明する。
【0016】
まず、図示していないが、パウチ容器Pは、食料等の内容物が充填されてスパウト5がキャップ6で封止される。次に、パウチ容器Pは、パウチ供給装置160において、集積装置120へ向けて順次に移送される。次に、パウチ容器Pは、集積装置120において、パウチ供給装置160から受け渡されたパウチ取出し位置αにて、直線状に整列した状態に集積される。
【0017】
集積されたパウチ容器Pは、パウチ移送装置140において、パウチ取出し位置αから移送される。本実施の形態では、6個ずつのパウチ容器グループGがパウチ移送装置140によって整列状態を保ったまま移送される。
【0018】
集積されたパウチ容器Pは、パウチ移送装置140の把持ユニット145(
図3参照)によって、パウチ取出し位置αから掴み上げられる。次に、パウチ容器グループGは、パウチ移送装置140において、箱搬送装置110によって搬送される箱Cに向けて移送される。パウチ容器グループGは、パウチ移送装置140によって移送される間に、各パウチ容器Pが互いに接近する方向に幅寄せされる。
【0019】
幅寄せされたパウチ容器グループGは、パウチ移送装置140において、箱Cにそれぞれ収納される。そして、パウチ容器グループGの各パウチ容器Pは、箱C内において、把持が解放される。パウチ容器Pが収納された箱Cは、上側のフラップ(図示なし)が閉じられて、出荷可能な状態とされる。
【0020】
図3及び
図4を用いて、箱詰め装置100の構成について説明する。
【0021】
箱詰め装置100は、箱搬送装置110と、集積装置120と、パウチ移送装置140と、を備える。
【0022】
箱搬送装置110は、パウチ容器Pを収納する箱Cを連続的に搬送する。箱搬送装置110は、例えばU字形状の搬送経路で箱Cを連続的または間欠的に搬送するように構成される。箱搬送装置110は、例えば爪付きチェーンコンベヤで構成されるが、これに限定されない。箱搬送装置110は、U字形状の搬送経路を構成する場合には、2つの直線搬送部分110A,110Bを備える。
【0023】
集積装置120は、箱搬送装置110の直線搬送部分110Aに沿って設置される。集積装置120は、パウチ取出し位置αにおいて複数のパウチ容器Pを整列状態に集積する機能を有する。集積装置120は、2つのスプロケットに掛け渡された無端状のチェーンを備える。チェーンには、多数の仕切部材125が等間隔で取り付けられる。
【0024】
パウチ移送装置140は、集積装置120の上方に設けられる。パウチ移送装置140は、例えば、天井に設置される。パウチ移送装置140は、集積装置120によってパウチ取出し位置αで集積させたパウチ容器Pを整列状態のまま移送し、箱搬送装置110によって搬送される箱Cに収納する。パウチ移送装置140は、例えば多軸ロボットによって構成されるが、これに限定されない。
【0025】
パウチ移送装置140は、少なくともアームと把持ユニット145を備え、把持ユニット145はアームの下端に配設される。把持ユニット145は、集積装置120において整列状態に集積されたパウチ容器Pを把持する。把持ユニット145は、例えば6つの把持具20を備える。これにより、1台のパウチ移送装置140の把持具20によって、6個のパウチ容器Pを把持して移送することができる。
【0026】
図5を用いて、パウチ容器Pの把持装置10の構成について説明する。
【0027】
把持装置10は、上述した箱詰め装置100のパウチ移送装置140を構成する装置である。把持装置10は、把持具20と、制御装置50と、を備える。把持具20の詳細は、後述する。
【0028】
制御装置50は、把持具20と電気的に接続される。制御装置50は、把持具20を制御することによって、把持具20を開くまたは閉じる動作を制御する機能を有する。制御装置50は、把持具20が少なくともパウチ取出し位置αおよび箱Cへの移動を制御する機能を有する。制御装置50は、例えばCPU,ROM,RAM等からなるマイクロコンピュータによって構成されている。
【0029】
制御装置50は、箱詰め装置100の箱搬送装置110および集積装置120の各機器、ならびにパウチ供給装置160の各機器とも電気的に接続される。制御装置50は、箱詰め装置100の箱搬送装置110および集積装置120の各機器、ならびにパウチ供給装置160の各機器の動作を制御する機能を有する。
【0030】
図6および
図7を用いて、把持具20の構成について説明する。
【0031】
以下では、
図6および
図7に示す幅方向、奥行き方向および鉛直方向に従って、把持具20の構成について説明する。把持具20の幅方向は、把持具20がパウチ容器Pを把持するときのパウチ容器Pの幅方向と同一とする。把持具20を構成する一対のアーム23,23が開閉する方向を、奥行き方向とする。幅方向および奥行き方向に対して垂直な方向を、鉛直方向(上下方向)とする。
【0032】
把持具20は、上述したように、箱詰め装置100のパウチ移送装置140に設けられる。把持具20は、支点開閉型の把持具である。把持具20は、パウチ容器Pの容器本体2の上端部2Uの幅方向の両端部2UE,2UEを把持する。
【0033】
パウチ容器Pの容器本体2の上端部2Uの幅方向に位置する両端部2UE,2UEは、キャップ6の幅方向の両端位置から外側に向かって容器本体2の両端位置までの範囲とする。また、パウチ容器Pの容器本体2の上端部2Uは、鉛直方向において、上端から下側に向かってヒートシールによって形成される部分までの範囲とする。
【0034】
把持具20は、奥行き方向から見て略門型形状に構成される。把持具20は、本体21と、シリンダ22と、一対のアーム23,23と、カム24と、一対の把持部30,30と、を備える。
【0035】
本体21は、奥行き方向の両側および鉛直方向の下側が開口された筐体として構成される。本体21の下側には、一対のアーム23,23が収納される。本体21の上側には、シリンダ22が設けられる。シリンダ22は、2段階にストローク可能である。シリンダ22は、カム24を鉛直方向に移動させる。
【0036】
カム24は、一対の摺動面24A,24Aを有する。カム24では、一方の摺動面24Aが鉛直方向の下方かつ奥行き方向の一方を向き、他方の摺動面24Aが鉛直方向の下方かつ奥行き方向の他方を向くように形成される。
【0037】
アーム23は、奥行き方向から見て略門型形状に形成される。一対のアーム23,23は、奥行き方向において隣接して構成される。アーム23の上端部には、ピン部23Pと、回転部23Bと、が設けられる。回転部23Bは、ピン部23Pを軸としたときの軸受けとしての機能を有する。回転部23Bの側周面は、摺動面24Aと当接する。
【0038】
アーム23は、本体21に対し、支点Fによって回動可能に支持される。また、支点Fは、例えば回転バネ等によって、一対のアーム23,23のそれぞれの下端部が開くように、アーム23に付勢モーメントを与える。言い換えれば、支点Fは、一対のアーム23,23のそれぞれのピン部23Pが互いに奥行き方向に近接するように、アーム23に付勢モーメントを与える。支点Fは、アーム23の側面視において上下方向の略中央に設けられる。アーム23の下端部には、把持部30が設けられる。
【0039】
把持部30は、アーム23の下端部に設けられる。把持部30は、例えば弾性部材等で形成される。本実施形態の把持部30は、例えばゴム製等とするものの、これに限定されない。一方の把持部30には、非係合部としての凹部30Aが形成される。他方の把持部30には、係合部としての凸部30Bが形成される。
【0040】
凹部30Aは、幅方向に沿って形成される。また、凸部30Bは、幅方向に沿って形成される。本実施の形態の非係合部を凹部30Aとし、係合部を凸部30Bとするものの、これに限定されない。例えば、係合部を互いに係合するV字形状としてもよい。または、係合部を互いに係合するU字形状としてもよい。
【0041】
図8(A)、(B)および(C)を用いて、把持装置10の動作について説明する。
図8は、把持装置10の作用を示す模式図である。
図8では、カム24の形状を分かり易くするため、本体21を省略して示す。
【0042】
把持具20は、
図8(A)に示す「閉」状態、
図8(B)に示す「第1開き角」状態、
図8(C)に示す「第2開き角」状態に変更される。制御装置50は、把持具20の「閉」状態、「第1開き角」状態、「第2開き角」状態への変更を制御する機能を有する。具体的には、シリンダ22を駆動してカム24を鉛直方向に移動させることによって、摺動面24Aに当接する回転部23Bが回転すると共にピン部23Pを奥行き方向にスライドさせる。言い換えると回転部23B及びピン部23Pで構成されるスライド部がスライドされることによって把持具20の「閉」状態、「第1開き角」状態、「第2開き角」状態への変更を制御する。
【0043】
「閉」状態とは、一対のアーム23,23がそれぞれ支点Fを中心に回動し、一対の把持部30,30が閉じ合わされる状態である。このとき、一方の把持部30の凹部30Aと他方の把持部30の凸部30Bとは互いに係合する。このように、「閉」状態とは、凹部30Aと凸部30Bが係合されている係合状態である。
【0044】
把持具20が「閉」状態では、把持具20がパウチ容器Pを把持する。このとき、把持具20は、一方の把持部30の凹部30Aと他方の把持部30の凸部30Bとは互いに係合しつつ、パウチ容器Pの容器本体2の上端部2Uの幅方向の両端部2UE,2UEを把持する。
【0045】
把持具20が「閉」状態から「第1開き角」状態に移行するときは、カム24が鉛直方向の上方に移動し、それぞれの摺動面24Aが同じく鉛直方向の上方に移動し、支点Fの付勢モーメントによって、それぞれの摺動面24Aに当接する回転部23Bが回転すると共にピン部23Pが互いに近接する向きに移動する。
【0046】
図9は、
図8(B)の把持具20の支点Fを中心に拡大した図である。
図9に示すように「第1開き角」状態とは、一対のアーム23,23がそれぞれ支点Fを中心に回動し、一対の把持部30,30が小さく開かれる状態である。具体的には、「第1開き角」状態とは、
図12に示すように、箱C内または箱Cの上空において、把持具20がパウチ容器Pを開放するときに、把持ユニット145を構成する隣接した把持具20同士のそれぞれのアーム23が互いに干渉しない(接触しない)開き角度である状態のことをいう。一対のアーム23,23がそれぞれ隣接し、支点Fが上下方向の略中央に設けられており、一方の把持部30が他方の把持部30に対向する面と、他方の把持部30が一方の把持部30と対向する面が交わって作る角度M、つまり第1開き角度は例えば略5°程度である。
【0047】
把持具20が「閉」状態の際にパウチ容器Pの一対のシート3,3が貼り合わされる上端部2Uを把持しているため、把持具20が「第1開き角」状態では、一方の把持部30と他方の把持部30との隙間は小さいものの、パウチ容器Pがスムーズに解放される。
【0048】
把持具20が「第1開き角」状態から「第2開き角」状態に移行するときは、カム24が鉛直方向のさらに上方に移動し、それぞれの摺動面24Aが同じく鉛直方向の上方に移動し、支点Fの付勢モーメントによって、それぞれの摺動面24Aに当接する回転部23Bが回転すると共にピン部23Pが互いに近接する向きに移動する。
【0049】
「第2開き角」状態とは、「第1開き角」状態よりも把持具20が開かれた状態である。「第2開き角」状態とは、一対のアーム23,23がそれぞれ支点Fを中心に回動し、一対の把持部30,30が大きく開かれる状態である。
図10は、
図8(C)の把持具20の支点Fを中心に拡大した図である。一方の把持部30が他方の把持部30に対向する面と、他方の把持部30が一方の把持部30と対向する面が交わって作る角度N、つまり第2開き角度は、例えば略20°程度である。
このように、「第1開き角」状態および「第2開き角」状態は、凹部30Aと凸部30Bの係合状態が解除された解除状態であって、特に「第1開き角」状態を第1解除状態とし、「第2開き角」状態を第2解除状態とする。
【0050】
把持具20を「第2開き角」状態にさせることによって、把持具20がパウチ容器を把持するために待機できる。「第2開き角」状態においては、一方の把持部30と他方の把持部30との隙間は大きいため、パウチ容器Pを確実に把持することができる。
ここで
図11に示すフローチャートを参照して、制御装置50における箱詰め装置100及びパウチ供給装置160の各部の箱詰め動作の制御の一部について説明する。
制御装置50は、パウチ容器の箱詰め動作が実行されると、ステップS1において、把持ユニット145を待機位置等で待機させる。待機位置は例えば、把持具20が箱Cからパウチ取り出し位置αに移動する間の所定位置である。
次にステップS3において、把持具20を第2開き角状態にさせる。そして、ステップS5において、把持ユニット145をパウチ取り出し位置αへ移動させる。次に、ステップS7において、把持具20を閉状態にして、パウチ容器を把持し、ステップS9へ進む。ステップS9では、パウチ移送装置140を制御して、パウチ容器を整列状態に保ったまま幅寄せするとともに箱Cへ移動させる。ステップS11では、把持具20を第1開き角状態にし、パウチ容器を箱Cに収納する。そして、ステップS13では、パウチ容器の箱詰め動作が終了となったか否かを判別し、NOと判別するとステップS1へ戻り、YES判別すると箱詰め動作を終了する。なお、箱詰め動作の終了とは、図示しない操作手段により停止操作がなされた場合や、所定数のパウチ容器の箱詰めが完了した場合とする。
【0051】
把持装置10の効果について説明する。把持装置10によれば、把持部30がキャップ6に接触しないようにパウチ容器Pを把持することができる。すなわち、把持具20がパウチ容器Pの容器本体2の上端部2Uを把持することによって、把持部30がキャップ6に接触しないようにパウチ容器Pを把持することができる。
【0052】
把持装置10によれば、把持具20が一対のシート3,3が張り合わされる容器本体2の上端部2Uの幅方向の両端部2UE,2UEを把持することによって、容器本体2の内容物をシート3の上から把持することなくパウチ容器Pを把持することができる。
【0053】
把持装置10によれば、一対の把持部30,30に互いに係合し幅方向に沿って凹部30Aと凸部30Bとが形成されることによって、把持具20が確実にパウチ容器Pを把持することができる。
【0054】
図12および
図13を用いて、把持装置10の効果についてさらに説明する。
【0055】
把持装置10によれば、把持具20が容器本体2の上端部2Uの幅方向の両端部2UE、2UEを把持し、小さな第1開き角だけ把持具20を開くことによってパウチ容器Pを把持具20から解放することができる。
【0056】
ここで、
図12に示すように、パウチ移送装置140では、例えば6個のパウチ容器Pが箱Cに整列して収納される。そこで、
図13に示すように、パウチ容器Pが箱Cの上空または箱C内において整列した状態で解放される必要がある。このとき、把持具20は、奥行き方向に大きく開くことができない。
【0057】
しかしながら、把持装置10によれば、例えば、箱C内において小さな開き角度の第1開き角によってパウチ容器Pを把持具20から解放し箱C内にパウチ容器Pを整列して収納することができる。ここで第1開き角とは、パウチ容器が収納される箱内または箱の上空において、把持具がパウチ容器を解放するときに、隣接した把持具同士のアームが互いに干渉しない(接触しない)開き角度である。
そして、その後に把持具20を待機位置等に移動させて第1開き角よりも大きい第2開き角まで把持具20を開くことによって、次にパウチ容器Pを把持するときには確実にパウチ容器Pを把持することができる。
近年、キャップを開ける時に力をかけ易いように、パウチ容器のキャップが大径化される傾向がある。そのため、パウチ容器のスパウトを把持する把持装置では、把持位置が上方にずれた場合には、把持部がキャップを把持する、または把持部がキャップに接触する恐れがある。
把持部がキャップを把持する、または把持部がキャップに接触する場合には、キャップが開いてしまうおそれがある。本実施の形態によれば、把持部がキャップに接触しないようにパウチ容器を把持することができる。また、パウチ容器の内容物をシートの上から把持することなくパウチ容器を把持することができる。
箱内において小さな開き角度の第1開き角によってパウチ容器を把持具から解放し箱内にパウチ容器を整列して収納することができる。そしてその後に把持具を待機位置等に移動させて第1開き角よりも大きい第2開き角まで把持具20を開くことによって、次にパウチ容器を把持するときにはパウチ容器を確実に把持することができる。
このように、本実施形態のパウチ容器の把持装置によれば、把持部がキャップに接触しないようにパウチ容器を把持することができる。
【0058】
図14を用いて、別のパウチ容器Qの構成について説明する。
【0059】
パウチ容器Qは、サイドガセットのものであって、容器本体12と、スパウト15と、を備える。パウチ容器Qでは、容器本体12の上端部12Uの略中央部にスパウト15が密封して差し込まれる。容器本体12は、一対のシート13,13と、一対のサイドガセット14,14と、が貼り合わされて構成される。一対のシート13,13は、柔軟なフィルム材で形成される。容器本体12の上端部12Uは、例えばヒートシールによって形成される。上述した把持具20は、上端部12Uの幅方向の両端部12UE,12UEを把持する。
【0060】
スパウト15は、略円筒状に形成される。スパウト15の上端には、キャップ16が取り付けられる。キャップ16は、スパウト15の上端の開口を密封するように取り付けられる。本実施形態のキャップ16の直径は、例えば、スパウト15の直径の2倍以上の大きさである。
【符号の説明】
【0061】
2 容器本体、2U 上端部、2UE 両端部、3 シート、5 スパウト、6 キャップ、10 把持装置、20 把持具、22 シリンダ、30 把持部、30A 凹部(被係合部)、30B 凸部(係合部)、50 制御装置、P パウチ容器