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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】水中油型乳化化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/891 20060101AFI20240131BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20240131BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20240131BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20240131BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20240131BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
A61K8/891
A61K8/06
A61K8/81
A61K8/86
A61K8/92
A61Q19/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021512000
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(86)【国際出願番号】 JP2020014021
(87)【国際公開番号】W WO2020203775
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-01-27
(31)【優先権主張番号】P 2019067675
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100149294
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 直人
(72)【発明者】
【氏名】那須 有美
(72)【発明者】
【氏名】宇山 允人
(72)【発明者】
【氏名】松田 由梨
【審査官】山田 陸翠
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-066068(JP,A)
【文献】特許第6408184(JP,B1)
【文献】特開2000-239120(JP,A)
【文献】特開2017-081868(JP,A)
【文献】特開2013-121947(JP,A)
【文献】特開2016-138099(JP,A)
【文献】特開2018-115211(JP,A)
【文献】特開2016-088868(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)0.1~5質量%のカルボキシ変性シリコーン;
(b)0.1~5質量%の疎水変性ポリエーテルウレタン;及び
(c)0.001~1質量%のカルボキシビニルポリマー
を含有し、
油分の配合量が0.5~10質量%であり、
前記(a)カルボキシ変性シリコーンが、下記式(1):
【化1】
(式中、R ~R の少なくとも1つが-O-Si(R で表される官能基(但し、R は炭素数1~6のアルキル基又はフェニル基である)であり、他のR ~R は同一でも異なっていてもよい置換または非置換の一価炭化水素基であり、Mは水素原子、金属原子又は有機陽イオンであり、AはC 2q で表される直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基であり、qは0~20の整数である)
で表される化合物であり、
前記(b)疎水変性ポリエーテルウレタンが、下記一般式(2):
【化2】
(式中、R 5 、R 6 およびR 8 は、それぞれ独立に炭素数2~4の炭化水素基を示し、R 7 はウレタン結合を有していてもよい炭素数1~10の炭化水素基を示し、R 9 は炭素数8~36の炭化水素基を示し、mは2以上の数であり、hは1以上の数であり、kは1~500の数であり、nは1~200の数である)
で表される化合物であることを特徴とする、水中油型乳化化粧料。
【請求項2】
前記(a)カルボキシ変性シリコーンが、カルボキシデシルトリシロキサンであり、
前記(b)疎水変性ポリエーテルウレタンが、(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマーである、請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
(b)疎水変性ポリエーテルウレタンと(c)カルボキシビニルポリマーとの配合量比率((b)/(c))が9~20の範囲内である、請求項1または2に記載の化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水中油型乳化化粧料に関する。より詳細には、化粧水や乳液といった水分を多く含有する水中油型乳化化粧料であって、カルボキシ変性シリコーン、疎水変性ポリエーテルウレタン及びカルボキシビニルポリマーを配合することにより、肌なじみや使用感等を改善し、なおかつ肌にハリ感を付与することのできる水中油型乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧水や乳液は、一般に、洗浄した後の皮膚に適用される化粧料であり、清浄効果と同時に、皮膚のモイスチャーバランスを保つ整肌効果並びに肌の保湿及び柔軟化効果を有するスキンケア化粧料である。このようなスキンケア化粧料においては、油性成分量に対する水性成分量の比率を大きくすることが一般的であり、肌に対するのびの良さ、なじみやすさ、油っぽくないさっぱりした使用感を持つ化粧料とすることが求められる。
【0003】
特許文献1には、微細エマルション型化粧料の製造方法が開示されている。当該製造方法は、特定のカルボキシ変性シリコーンからなる酸部(アニオン性界面活性剤)、高級アルコール、非イオン性界面活性剤、油相、有機アミン及び/またはアルカリ金属、水相の一部、及び二価グリコールを混合してマイクロエマルションを調製し、次いで、水相の残部を添加して希釈することを含む。この方法を用いることにより、高圧乳化機による高シェア力をかけなくても、150nm以下の平均乳化粒子径を有する微細エマルションが得られる。この微細エマルションの内相(油相)は、シリコーン油あるいは炭化水素油を主成分とする油分を含むαゲルを形成している。その結果、当該微細エマルションを肌に適用すると、べたつかずさっぱりした感触を与える。しかしながら、この微細エマルション型化粧料では肌にハリ感を付与することはできなかった。
【0004】
特許文献2には、高温での粘度安定性が改善された弾力ジェル組成物が開示されている。この弾力ジェル状組成物は、平均粒子径が150nm以下の微細な油滴(αゲル)を含む水中油型乳化組成物に、疎水変性ポリエーテルウレタンを配合することにより得られる。この弾力ジェル組成物は、増粘作用を有する疎水変性ポリエーテルウレタンを含有しているため、肌にハリ感を与えることができ、なおかつ疎水変性ポリエーテルウレタン含有組成物に特有の使用感(ぷるぷるした弾力のある独特の触感)を維持している。
【0005】
しかしながら、特許文献1の微細エマルションに疎水変性ポリエーテルウレタンを添加すると、高温での乳化安定性が低下するという問題が生じた。さらに、特許文献2の組成物が持つ独特の触感は、疎水変性ポリエーテルウレタンに基づくものであり、カルボキシビニルポリマー等の他の増粘剤を更に添加すると、前記の独特の触感が失われることが記載されている(特許文献2;比較例9及び10)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第6110450号公報
【文献】特許第6113695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、水分が多くて油分が少ない水中油型乳化化粧料、特に化粧水や乳液等のスキンケア化粧料であって、肌に最適な使用感を持ち、経時安定性に優れ、なおかつ肌にハリ感を与えることのできる水中油型乳化化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者らは鋭意研究の結果、カルボキシ変性シリコーンを含むαゲル構造を有する油相が分散した水中油型乳化化粧料に、疎水変性ポリエーテルウレタンのみならずカルボキシビニルポリマーを配合することによって、疎水変性ポリエーテルウレタンに独特の触感を維持しながら、経時安定性に優れ、肌に最適な使用感があり、なおかつ、肌にハリ感を付与できる化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、
(a)カルボキシ変性シリコーン;
(b)疎水変性ポリエーテルウレタン;及び
(c)カルボキシビニルポリマー、を含む水中油型乳化化粧料を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の水中油型乳化化粧料は、カルボキシ変性シリコーンを用いた乳化系であるため、べたつかずサラサラした使用感を与える。また、疎水変性ポリエーテルウレタンに由来する独特のぷるぷるした触感を持ちながら、経時安定性に優れ、肌にハリ感を与えることができる。即ち、化粧水や乳液といったスキンケア化粧料とするのに特に適している。
【0011】
なお、本発明の水中油型乳化化粧料においては、特許文献2では疎水変性ポリエーテルウレタンに由来する独特の触感を阻害するとされているカルボキシビニルポリマーを敢えて配合することによって、疎水変性ポリエーテルウレタンに基づく独特の使用性が維持される。それに加えて、乳化安定性にも優れ、肌にハリ感を付与することができる。即ち、本発明の化粧料は、水分が多く油分が少ないスキンケア化粧料として、肌に最適な使用感を持つということができる。さらに、本発明の化粧料は、流動性を持つ低粘度に調整することが可能であり、ディスペンサーから吐出しやすく、なめらかな使用性を持つ化粧料となる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る水中油型乳化化粧料(単に「化粧料」とも称する)は、(a)カルボキシ変性シリコーン、(b)疎水変性ポリエーテルウレタン、及び(c)カルボキシビニルポリマーを必須成分として含有している。以下に詳述する。
【0013】
(a)カルボキシ変性シリコーン
本発明に用いられるカルボキシ変性シリコーン(成分a)は、少なくとも1つのカルボキシアルキル基(炭素数が2~22のアルキル基)で変性されたシリコーンである。当該カルボキシ変性シリコーンの1分子中に含まれるケイ素原子の平均合計数は2~20の範囲にあることが好ましく、3~18の範囲がより好ましく、3~7の範囲であることが特に好ましい。
【0014】
本発明における(a)カルボキシ変性シリコーンとしては、下記一般式(1):
【化1】
で表される化合物が好ましい。
上記一般式(1)において、R~Rは、少なくとも1つが-O-Si(Rで表される官能基(Rは、炭素数1~6のアルキル基又はフェニル基のいずれかである)である。なお、R~Rの全てが前記官能基(-O-Si(R)に該当する基であってよい。あるいは、R~Rの1つ又は2つが前記官能基(-O-Si(R)に該当する基であり、その他のR~Rは、同一でも異なっていてもよく、置換又は非置換の一価炭化水素基とすることができる。
【0015】
-O-Si(Rで表される官能基におけるRが、炭素数1~6のアルキル基である場合、当該アルキル基としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、ペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、ヘキシル等の直鎖状、分岐鎖状あるいは環状のアルキル基が挙げられる。即ち、-O-Si(Rで表される官能基の具体例としては、-O-Si(CH、-O-Si(CH(C)、-O-Si(CH(C)、-O-Si(CH(C)、-O-Si(CH(C11)、-O-Si(CH(C13)、-O-Si(CH(C)等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの中で、当該官能基としては、トリアルキルシロキシ基が好ましく、トリメチルシロキシ基が最も好ましい。
【0016】
また、上記一般式(1)において、前記官能基(-O-Si(R)である基以外のR~R(「その他のR~R」)は、同一又は異なっていてもよい、置換又は非置換の一価炭化水素基である。ここで、非置換の一価炭化水素基としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、ペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、ヘキシル等の直鎖状、分岐鎖状あるいは環状のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基:アラルキル基が例示される。置換された一価炭化水素基としては、3,3,3-トリフルオロプロピル基、3,3,4,4,4-ペンタフルオロブチル基等のパーフルオロアルキル基;3-アミノプロピル基、3-(アミノエチル)アミノプロピル基等のアミノアルキル基;アセチルアミノアルキル基等のアミドアルキル基が例示される。また、前記の一価炭化水素基の一部が、水酸基、アルコキシ基、ポリエーテル基又はパーフルオロポリエーテル基で更に置換されていてもよく、該アルコキシ基として、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が例示される。
【0017】
「その他のR~R」は、炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であることが好ましく、中でも、メチル基又はエチル基が特に好ましい。
即ち、一般式(1)中、R~Rにおいて、全部または2つが前記-O-Si(Rで表される官能基であることが好ましく、その他のR~Rがメチル基又はエチル基であることが好ましい。
【0018】
また、Mは水素原子、金属原子又は有機陽イオンである。金属原子としては、1価のアルカリ金属、2価のアルカリ土類金属、その他の金属原子が挙げられる。1価のアルカリ金属としては、Li,Na,Kが、2価のアルカリ土類金属としては、Mg,Ca,Baが、その他としては、Mn,Fe,Co,Al,Ni,Cu,V,Mo,Nb,Zn,Ti等が挙げられる。また、有機陽イオンとしては、例えば、アンモニウムイオン、モノエタノールアンモニウムイオン、トリエタノールアンモニウムイオン、アルギニン中和イオン、アミノメチルプロパノール(AMP)中和イオン等が挙げられる。Mは、特に水素原子または1価のアルカリ金属であることが好ましく、また、これらの混合物であってもよい。
【0019】
Aは、C2qで表される直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基であり、qは0~20の整数である。本発明においては、qが2~15であることが好ましく、6~12であることが更に好ましい。一方、qの値が20を超えると使用感触に劣る場合がある。
なお、q=0の場合、一般式(1)で表されるカルボキシ変性シリコーンは、下記一般式(1’):
【化2】
で表される化合物に該当する。これは、カルボキシル基がエチレン基を介してケイ素原子と結合している化合物である。
【0020】
本発明では、上記一般式(1)で表されるカルボキシ変性シリコーンとして、R及びRが-O-Si(Rで表される官能基(Rは、炭素数1~6のアルキル基である)であり、Rが炭素数1~6の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、qの値が6~12であるカルボキシ変性シリコーンが、特に好適に用いられる。
特に好ましい例として、「カルボキシデシルトリシロキサン」(INCI名)、即ち、「3-(10-カルボキシデシル)-1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン」が挙げられ、当該化合物は、「OP-1800MF Carboxy Fluid」(東レ・ダウコーニング社製)という製品名で市販されている。
【0021】
本発明の化粧料におけるカルボキシ変性シリコーンの配合量は、化粧料の全量に対して0.1質量%以上、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上である。配合量の上限は、化粧料の全量に対して5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下である。即ち、配合量範囲は、例えば、0.1~5質量%、0.3~3質量%、0.5~1質量%等に設定することができるが、これらの範囲に限定されない。但し、カルボキシ変性シリコーンの配合量が0.1質量%未満である場合、あるいは5質量%を超える場合は、使用感が低下する傾向がある。
【0022】
(b)疎水変性ポリエーテルウレタン
本発明の化粧料に配合される疎水変性ポリエーテルウレタン(成分b)としては、下記式(2):
【化3】
で表されるものが好ましく用いられる。
【0023】
上記式(2)において、R5、R6およびR8は、それぞれ独立に炭素数2~4の炭化水素基を示す。好ましくは炭素数2~4のアルキル基又はアルキレン基である。
7はウレタン結合を有していてもよい炭素数1~10の炭化水素基を示す。
9は炭素数8~36、好ましくは12~24の炭化水素基を示す。
mは2以上の数であり、好ましくは2である。hは1以上の数であり、好ましくは1である。kは1~500の数であり、好ましくは100~300の数である。nは1~200の数であり、好ましくは10~100の数である。
【0024】
上記式(2)で表される疎水変性ポリエーテルウレタンは、例えば、R5-[(O-R6)k-OH](ここで、R5、R6、k、mは上記で定義したとおり)で表される1種または2種以上のポリエーテルポリオールと、R7-(NCO)h+1(ここで、R7、hは上記で定義したとおり)で表される1種または2種以上のポリイソシアネートと、HO-(R8-O)-R9(ここで、R8、R9、nは上記で定義したとおり)で表される1種または2種以上のポリエーテルモノアルコールとを反応させることにより得ることができる。
【0025】
この製造方法では、式(2)中のR5~R9は、原料となるR5-[(O-R6)k-OH]、R7-(NCO)h+1、HO-(R8-O)-R9により決定される。上記3者の仕込み比は、特に限定されるものでないが、ポリエーテルポリオールおよびポリエーテルモノアルコール由来の水酸基と、ポリイソシアネート由来のイソシアネート基の比が、NCO/OH=0.8:1~1.4:1であるのが好ましい。
【0026】
上記式R5-[(O-R6)k-OH]で表されるポリエーテルポリオール化合物は、m価のポリオールにエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、エピクロルヒドリン等のアルキレンオキシド、スチレンオキシド等を付加重合することによりできる。
【0027】
ここでポリオールとしては、2~8価のものが好ましく、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の2価アルコール;グリセリン、トリオキシイソブタン、1,2,3-ブタントリオール、1,2,3-ペンタトリオール、2-メチル-1,2,3-プロパントリオール、2-メチル-2,3,4-ブタントリオール、2-エチル-1,2,3-ブタントリオール、2,3,4-ペンタントリオール、2,3,4-ヘキサントリオール、4-プロピル-3,4,5-ヘプタントリオール、2,4-ジメチル-2,3,4-ペンタントリオール、ペンタメチルグリセリン、ペンタグリセリン、1,2,4-ブタントリオール、1,2,4-ペンタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の3価アルコール;ペンタエリスリトール、1,2,3,4-ペンタンテトロール、2,3,4,5-ヘキサンテトロール、1,2,4,5-ペンタンテトロール、1,3,4,5-ヘキサンテトロール等の4価のアルコール;アドニット、アラビット、キシリット等の5価アルコール;ジペンタエリスリトール、ソルビット、マンニット、イジット等の6価アルコール;ショ糖等の8価アルコール等が挙げられる。
【0028】
また、付加させるアルキレンオキシド、スチレンオキシド等により、R6が決定されるが、特に入手が容易であり、優れた効果を発揮させるためには、炭素数2~4のアルキレンオキシドあるいはスチレンオキシドが好ましい。 付加させるアルキレンオキシド、スチレンオキシド等は単独重合、2種類以上のランダム重合あるいはブロック重合であってよい。付加の方法は通常の方法であってよい。重合度kは1~500である。R6に占めるエチレン基の割合は、好ましくは全R6の50~100質量%である。R5-[(O-R6)k-OH]の分子量は500~100,000のものが好ましく、1,000~50,000のものが特に好ましい。
【0029】
上記式R7-(NCO)h+1で表されるポリイソシアネートは、分子中に2個以上のイソシアネート基を有するものであれば特に限定されない。例えば、脂肪族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、フェニルメタンのジイソシアネート、トリイソシアネート、及びテトライソシアネート等が挙げられる。
【0030】
脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、メチレンジイソシアネート、ジメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジプロピルエーテルジイソシアネート、2,2-ジメチルペンタンジイソシアネート、3-メトキシヘキサンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルペンタンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、3-ブトキシヘキサンジイソシアネート、1,4-ブチレングリコールジプロピルエーテルジイソシアネート、チオジヘキシルジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、パラキシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0031】
芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、メタフェニレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ジメチルベンゼンジイソシアネート、エチルベンゼンジイソシアネート、イソプロピルベンゼンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,4-ナフタレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、2,6-ナフタレンジイソシアネート、2,7-ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0032】
脂環族ジイソシアネートとしては、例えば、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
【0033】
ビフェニルジイソシアネートとしては、例えば、ビフェニルジイソシアネート、3,3’-ジメチルビフェニルジイソシアネート、3,3’-ジメトキシビフェニルジイソシアネート等が挙げられる。
【0034】
フェニルメタンのジイソシアネートとしては、例えば、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、2,2’-ジメチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ジフェニルジメチルメタン-4,4’-ジイソシアネート、2,5,2’,5’-テトラメチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、シクロヘキシルビス(4-イソシオントフェニル)メタン、3,3’-ジメトキシジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジメトキシジフェニルメタン-3,3’-ジイソシアネート、4,4’-ジエトキシジフェニルメタン-3,3’-ジイソシアネート、2,2’-ジメチル-5,5’-ジメトキシジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、3,3’-ジクロロジフェニルジメチルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ベンゾフェノン-3,3’-ジイソシアネート等が挙げられる。
【0035】
フェニルメタンのトリイソシアネートとしては、例えば、1-メチルベンゼン-2,4,6-トリイソシアネート、1,3,5-トリメチルベンゼン-2,4,6-トリイソシアネート、1,3,7-ナフタレントリイソシアネート、ビフェニル-2,4,4’-トリイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4,4’-トリイソシアネート、3-メチルジフェニルメタン-4,6,4’-トリイソシアネート、トリフェニルメタン-4,4’,4’’-トリイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、1,8-ジイソシアネート-4-イソシアネートメチルオクタン、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート等が挙げられる。
【0036】
また、これらのポリイソシアネート化合物のダイマー、トリマー(イソシアヌレート結合)で用いられてもよく、また、アミンと反応させてビウレットとして用いてもよい。
【0037】
さらに、これらのポリイソシアネート化合物と、ポリオールを反応させたウレタン結合を有するポリイソシアネートも用いることができる。ポリオールとしては、2~8価のものが好ましく、前述のポリオールが好ましい。なお、R7-(NCO)h+1として3価以上のポリイソシアネートを用いる場合は、このウレタン結合を有するポリイソシアネートが好ましい。
【0038】
上記式HO-(R8-O)-R9で表されるポリエーテルモノアルコールは1価アルコールのポリエーテルであれば特に限定されない。このような化合物は、1価アルコールにエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、エピクロルヒドリン等のアルキレンオキシド、スチレンオキシド等を付加重合することにより得ることができる。
【0039】
本明細書でいう「1価アルコール」は、下記式(3)、(4)、又は(5)で表される。
【化4】
【化5】
【化6】
【0040】
即ち、R9は、上記式(3)~(5)の1価アルコールから水酸基を除いた基である。上記式(3)~(5)においてR10、R11、R12、R14およびR15は炭化水素基、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキルアリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等である。
【0041】
アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ターシャリブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ターシャリペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2-エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、イソトリデシル、ミリスチル、パルミチル、ステアリル、イソステアリル、イコシル、ドコシル、テトラコシル、トリアコンチル、2-オクチルドデシル、2-ドデシルヘキサデシル、2-テトラデシルオクタデシル、モノメチル分岐-イソステアリル基等が挙げられる。
【0042】
アルケニル基としては、例えば、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、ペンテニル、イソペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、テトラデセニル、オレイル基等が挙げられる。
【0043】
アルキルアリール基としては、フェニル、トルイル、キシリル、クメニル、メシチル、ベンジル、フェネチル、スチリル、シンナミル、ベンズヒドリル、トリチル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ブチルフェニル、ペンチルフェニル、ヘキシルフェニル、ヘプチルフェニル、オクチルフェニル、ノニルフェニル、α-ナフチル、β-ナフチル基等が挙げられる。
【0044】
シクロアルキル基、シクロアルケニル基としては、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、メチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、メチルシクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、メチルシクロペンテニル、メチルシクロヘキセニル、メチルシクロヘプテニル基等が挙げられる。
【0045】
上記式(4)において、R13は炭化水素基であり、例えば、アルキレン基、アルケニレン基、アルキルアリーレン基、シクロアルキレン基、シクロアルケニレン基等である。
【0046】
また、R9は、炭化水素基であり、そのうちアルキル基であることが好ましく、さらにその合計の炭素数が8~36が好ましく、12~24が特に好ましい。
【0047】
また、付加させるアルキレンオキシド、スチレンオキシド等は、単独重合、2種以上のランダム重合あるいはブロック重合であってよい。付加の方法は通常の方法であってよい。重合度nは0~1000であり、好ましくは1~200、さらに好ましくは10~200が良い。また、R8に占めるエチレン基の割合が、好ましくは全R8の50~100重量%、さらに好ましくは、65~100重量%である。
【0048】
上記式(2)で表されるコポリマー(疎水変性ポリエーテルウレタン)は、一般的なポリエーテルとイソシアネートとの反応と同様にして、例えば、80~90℃で1~3時間加熱し、反応せしめて製造することができる。
【0049】
また、R5-[(O-R6)k-OH]で表されるポリエーテルポリオール(A)と、R7-(NCO)h+1で表されるポリイソシアネート(B)と、HO-(R8-O)-R9で表されるポリエーテルモノアルコール(C)とを反応させる場合には、式(2)の構造のコポリマー以外のものも副生することがある。例えば、ジイソシアネートを用いた場合、主生成物としては式(2)で表されるC-B-A-B-C型のコポリマーが生成するが、その他、C-B-C型、C-B-(A-B)-A-B-C型等のコポリマーが副生することがある。この場合、特に式(2)型のコポリマーを分離することなく、式(2)型のコポリマーを含む混合物の状態で本発明に使用することができる。
【0050】
特に好ましい例として、「(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー(INCI名:PEG-240/HDI COPOLYMER BISDECYLTETRADECETH-20 ETHER)」である疎水変性ポリエーテルウレタンが挙げられる。当該コポリマーは、商品名「アデカノールGT-700」として株式会社ADEKAから市販されている。
【0051】
本発明の組成物における(b)疎水変性ポリエーテルウレタンの配合量は、化粧料の全量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上である。配合量の上限は、化粧料の全量に対して5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下である。即ち、配合量範囲は、例えば、0.1~5質量%、0.2~3質量%、0.3~2質量%等に設定できるが、これらに限定されない。(b)疎水変性ポリエーテルウレタンの配合量が0.1質量%未満であるとハリ感を与える効果が十分に発揮されず、基剤安定性も損なわれる傾向がある。また、配合量が5質量%を超えるとべたつきを生じる場合がある。
【0052】
(c)カルボキシビニルポリマー
本発明におけるカルボキシビニルポリマー(c成分)は、ポリアクリル酸を主鎖としカルボキシ基を有する水溶性ポリマーである。本発明で用いられるカルボキシビニルポリマーは、化粧品成分表示名称で「カルボマー」と称するもの、あるいは、医薬部外品の添加物名称で「カルボキシビニルポリマー」と称されるものであればよい。
【0053】
カルボキシビニルポリマー(カルボマー)は、水性増粘剤として化粧料等に汎用されており、市販品を好適に用いることができる。例えば、シンタレンL、シンタレンF(富士フイルム和光純薬工業社製)、カルボポール981(Lubrizol Advanced Materials社製)ハイビスワコー(富士フイルム和光純薬工業社製)、アクペック(AQUPEC)(住友精化株式会社製)、NTC-CARBOMER(Guangzhou Tinci silicone technology社製)等を挙げることができる。
【0054】
本発明に用いられるカルボキシビニルポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、0.5質量%水溶液の粘度(常温)が1,000~80,000mPa・sの範囲、より好ましくは3,000 ~50,000mPa・sの範囲にあるものを選択するのが好ましい。
【0055】
(c)カルボキシビニルポリマーの配合量は、化粧料の全量に対して、0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上である。配合量の上限は、化粧料の全量に対して1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下である。即ち、配合量範囲は、化粧料全量に対して0.001~1質量%、又は0.01~0.5質量%等に設定できるが、これらの範囲に限定されない。但し、(c)カルボキシビニルポリマーの配合量が0.001質量%未満であると安定化効果が得られない場合があり、1質量%を超えて配合すると化粧料の粘度が高くなり、ディスペンサーから吐出して使用するのが困難になる場合がある。
【0056】
本発明の化粧料においては、(b)疎水変性ポリエーテルウレタンと(c)カルボキシビニルポリマーとの配合量比率((b)/(c):質量比)を、9~20の範囲内にするのが好ましく、より好ましくは10~15である。前記の配合量比率((b)/(c))が9未満であると化粧料の粘度が高くなり、ディスペンサーから吐出して使用するのが困難になる場合がある。一方、配合量比率が20を超えると高温の乳化安定性が低下する傾向がある。
【0057】
本発明の化粧料は水中油型乳化物であり、内相に油分を含んでいる。油分は、化粧料に通常配合され得る油性成分であれば特に限定されるものでなく、例えば、シリコーン油、炭化水素油等が挙げられる。
【0058】
シリコーン油としては、例えばジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の鎖状シリコーン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状シリコーンなどが例示される。市販品としては シリコーンKF-96A-6T(信越化学工業株式会社製)等が好適に用いられる。
炭化水素油としては、流動パラフィン、スクワラン、スクワレン、パラフィン、イソパラフィン、セレシン、オレフィンオリゴマー、水添ポリブテンなどが例示される。
【0059】
本発明の化粧料における油分の配合量は、特に限定されないが、通常は0.05~30質量%、好ましくは0.1~20質量%、より好ましくは0.5~10質量%である。
【0060】
本発明の水中油型乳化化粧料においては、特許文献1及び2と同様に、内相(油相)がαゲルを形成するように調製することが好ましい。即ち、本発明の化粧料は、αゲルの形成に必要とされる両親媒性物質及び界面活性剤を含むことが好ましい。
【0061】
両親媒性物質としては、炭素数が16以上の高級アルコール及び/又は高級脂肪酸が好ましい。具体例として、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸(ベヘニル酸)、オレイン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、トール酸、ラノリン脂肪酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸等の高級脂肪酸、ラウリンアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール、モノステアリルグリセレンエーテル(バチルアルコール)、2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の直鎖状又は分岐鎖状の高級アルコール等が挙げられる。中でも、炭素数が16~30の高級アルコールが好適に用いられる。
【0062】
前記の(a)カルボキシ変性シリコーンは、αゲル形成に寄与する界面活性剤に含まれる、本発明の油相(αゲル)は、界面活性剤として(a)カルボキシ変性シリコーンを含む点で、特許文献2に記載されたαゲルとは相違する。その結果、(b)疎水変性ポリエーテルウレタン以外の増粘剤(即ち(c)カルボキシビニルポリマー)を添加しても(b)疎水変性ポリエーテルウレタンに基づく触感が損なわれず、むしろ塗り広げやすく、なめらかな使用性となる。
【0063】
なお、本発明の化粧料には、(a)カルボキシ変性シリコーン以外の界面活性剤を配合してもよい。カルボキシ変性シリコーン以外の「他の界面活性剤」としては、アニオン性、カチオン性又は両性のイオン性界面活性剤、あるいはノニオン性界面活性剤が使用でき、特に限定されるものではない。
【0064】
「他の界面活性剤」の具体例としては、限定されないが、ベヘン酸と水酸化カリウムから形成される脂肪酸石鹸、ステアリン酸と水酸化カリウムから形成される脂肪酸石鹸、セチル硫酸ナトリウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、POEソルビタンモノステアレート及びPOEソルビタンモノオレエート等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類、POEグリセリンモノイソステアレート、ステアリン酸PEG-5グリセリル等のPOEグリセリン脂肪酸エステル類、POEステアリルエーテル及びPOEコレスタノールエーテル等のPOEアルキルエーテル、POEノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル、プルロニック(登録商標)等のポロキサマー、POE・POPセチルエーテル等のPOE・POPアルキルエーテル、テトロニック(登録商標)等のポロキサミン(テトラPOE・テトラPOPエチレンジアミン縮合体)、POEヒマシ油及びPOE硬化ヒマシ油等のPOEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体、POEミツロウ・ラノリン誘導体、アルカノールアミド、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、POEアルキルアミン、POE脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル、POEノニルフェニルホルムアルデヒド縮合物、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド、トリオレイルリン酸等が挙げられる。これらの中でも、POEグリセリン脂肪酸エステル等のノニオン性界面活性剤が好ましい。「他の界面活性剤」の配合量は、通常は化粧料全量に対して0.1~5質量%、好ましくは0.5~3質量%である。
【0065】
本発明の化粧料には、上記成分に加えて、化粧料や医薬部外品等に通常用いられる他の任意成分を、本発明の効果を阻害しない範囲で配合することができる。他の任意成分としては、限定されないが、例えば、保湿剤、防腐剤、各種薬剤、緩衝剤、香料等が挙げられる。
【0066】
本発明の化粧料は、水を多く配合し油分の少ない形態、例えば、化粧水、乳液、美容液等の形態で提供するのに特に適している。例えば、本発明の化粧料は、化粧料全量に対して50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上の水を含有することが好ましい。
【実施例
【0067】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれ等の記載により何ら限定されるものではない。なお、配合量は特記しない限り質量%を意味する。
【0068】
下記の表1に示す処方の化粧料(実施例及び比較例)について、「ハリ感」、「べたつきのなさ」、「経時安定性」、「粘度」、及び「ディスペンサーからの吐出性」の評価を行った。
各評価項目の評価方法及び評価基準は以下の通りである。
【0069】
<ハリ感及びべたつき感>
専門パネル(女性10名)に各例の組成物を使用してもらい、ハリ感、べたつき感について、下記の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
A+:9名以上が「ハリ感がある」又は「べたつきがない」と回答した。
A:7~8名が「ハリ感がある」又は「べたつきがない」と回答した。
B:4~6名が「ハリ感がある」又は「べたつきがない」と回答した。
C:3名以下が「ハリ感がある」又は「べたつきがない」と回答した。
【0070】
<経時安定性>
各例の組成物を0℃と50℃で1か月間保存し、0℃を基準として50℃における組成物の状態を目視観察した結果を、以下の基準に従って評価した。
(評価基準)
A+:時間経過後も初期状態と同等であった。
A:時間経過後に、初期状態から粘度が若干低下した。
B:時間経過に伴い粘度が低下し、分離する傾向が見られた。
C:製造不可(初期状態で乳液状に白濁、分離した)。
【0071】
<粘度>
コーンプレート型粘弾性測定機MCR302(Anton Paar Germ any GmbH社製)を用い、測定治具としてCP25-2を用い、25℃で粘度測定した。
(評価基準1)
せん断速度0.001γ/sをかけたときの粘度(Pa・s)
A:500Pa・s以上
B:100Pa・s以上500Pa・s未満
C:100Pa・s未満
(評価基準2)
せん断速度10γ/sをかけたときの粘度(Pa・s)
A:5Pa・s以上
B:1Pa・s以上5Pa・s未満
C:1Pa・s未満
【0072】
<ディスペンサーからの吐出>
低温(-5℃)条件下で、ディスペンサーからの組成物の吐出性を確認した。
(評価基準)
A:ディスペンサーを指で軽く押すことで吐出できる。
B:ディスペンサーを指で強く押すことで吐出できる。
C:デイスペンサーを指で押し下げることができず吐出できない。
【0073】
【表1】
【0074】
表1に示す通り、(a)カルボキシ変性シリコーン、(b)疎水変性ポリエーテルウレタン及び(c)カルボキシビニルポリマーを全てを含有する化粧料は、使用性(ハリ感及びべたつき感)、経時安定性の点で良好な結果が得られた(実施例1~3)。一方、(a)カルボキシ変性シリコーンを配合しない比較例1は、HLBの活性剤バランスが崩れて乳化不良を起こし、製造直後に分離した。(b)疎水変性ポリエーテルウレタンを配合しない比較例2は、肌にハリ感を付与することができず、経時安定性及びせん断速度10γ/sでの粘度が悪化した。また、(c)カルボキシビニルポリマーを配合しない比較例3は、経時安定性及びせん断速度0.001γ/sでの粘度が悪化した。