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特許7429230新規なアバメクチン可溶性濃縮組成物(SL)
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  • 特許-新規なアバメクチン可溶性濃縮組成物(SL) 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】新規なアバメクチン可溶性濃縮組成物(SL)
(51)【国際特許分類】
   A01N 43/90 20060101AFI20240131BHJP
   A01P 7/02 20060101ALI20240131BHJP
   A01P 7/04 20060101ALI20240131BHJP
   A01N 25/02 20060101ALI20240131BHJP
   A01M 1/20 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
A01N43/90 101
A01P7/02
A01P7/04
A01N25/02
A01M1/20 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021521818
(86)(22)【出願日】2019-10-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 EP2019078749
(87)【国際公開番号】W WO2020083925
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-10-19
(31)【優先権主張番号】18202400.0
(32)【優先日】2018-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519295993
【氏名又は名称】シンジェンタ パーティシペーションズ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】ムニエ セリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェーラーエッグス スーザン
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー ヒルデガルト
(72)【発明者】
【氏名】ガロ ケールスティン
(72)【発明者】
【氏名】ヤンカー マリオン
【審査官】安藤 倫世
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-527403(JP,A)
【文献】特表2009-515912(JP,A)
【文献】特表2012-507545(JP,A)
【文献】特開2014-043431(JP,A)
【文献】国際公開第2013/054194(WO,A1)
【文献】特表2016-510018(JP,A)
【文献】特開2015-028028(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101606517(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105145553(CN,A)
【文献】Surface Properties of Mixed Adsorbed Surfactants Film of Tween 20 and Tween 80 on Liquid - Air Interfacial,International Journal of Science and Research,2017年,6(7),936-939,DOI: 10.21275/ART20175021
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可溶性濃縮組成物であって、
(i)アバメクチン;
(ii)モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン;
(iii)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン
を含み、
ここで、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンとモノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンの重量比は、1:2.5~15:1であかつ、脱イオン水中の前記組成物の1%溶液のpHが、3~4.5の範囲である、可溶性濃縮組成物。
【請求項2】
(i)アバメクチン;
(ii)250~750グラム/前記組成物のリットルの、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン;
(iii)50~550グラム/前記組成物のリットルの、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン
を含む、請求項1に記載の可溶性濃縮組成物。
【請求項3】
(i)アバメクチン;
(ii)250~750グラム/前記組成物のリットルの、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン;
(iii)50~550グラム/前記組成物のリットルの、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン;
(iv)150~250グラム/リットルの脂肪アルコールアルコキシレート
を含む、請求項1又は2に記載の可溶性濃縮組成物。
【請求項4】
(i)アバメクチン;
(ii)250~350グラム/前記組成物のリットルの、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン;
(iii)450~550グラム/前記組成物のリットルの、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン;
(iv)150~250グラム/リットルの脂肪アルコールアルコキシレート
を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の可溶性濃縮組成物。
【請求項5】
(i)10~50グラム/前記組成物のリットルの、アバメクチン;
(ii)250~350グラム/前記組成物のリットルの、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン;
(iii)450~550グラム/前記組成物のリットルの、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン;
(iv)150~250グラム/リットルの脂肪アルコールアルコキシレート;及び
(v)pH調整剤
を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の可溶性濃縮組成物。
【請求項6】
pH調整剤が、アニオン性リン酸エステルである、請求項に記載の可溶性濃縮組成物。
【請求項7】
前記脂肪アルコールアルコキシレートが、エトキシ化されているか、又はプロポキシル化されているか、又はこれらの両方である、請求項3~5のいずれか一項に記載の可溶性濃縮組成物。
【請求項8】
-溶液を最大45℃の温度に加熱することによって、アバメクチンを、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン及び脂肪アルコールアルコキシレートの前記溶液に溶解するステップを含む、請求項3~5及び7のいずれか一項に記載の可溶性濃縮組成物を調製する方法。
【請求項9】
-前記溶液を周囲温度に再び冷却し、次いで、リン酸エステルを加えるさらなるステップを含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1~のいずれか一項に記載の組成物を植物に施用することを含む、前記植物において昆虫のダメージを低減又は防止する方法。
【請求項11】
前記植物が、トマト、コショウ、ジャガイモ、バナナ、ナス、マンゴー、タマネギ、スイカ、リンゴ、セイヨウナシ、柑橘類果実、コーヒー、マクワウリ、ワタ、ダイズ、キュウリ、仁果類、石果、イチゴ、ウリ科植物、メロン、パンプキン、カボチャ、キャベツ、トウガラシ、オクラ、パパイヤ及びチャから選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記植物が、ウリ科植物、コショウ、トマト、タマネギ、メロン、パンプキン、スイカ、柑橘類果実、キュウリ、ナス、マクワウリ、セイヨウナシ、仁果類、カボチャ、イチゴ、キャベツ及びトウガラシから選択される、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なアバメクチン可溶性濃縮組成物(SL)に関する。このような配合組成物は、観賞植物を含めた商品作物に対して有害である有害生物を防除するために農業に使用される。
【背景技術】
【0002】
殺虫剤は、害虫によってもたらされるダメージから葉、果物又は花を保護するために、作物の葉に施用される。施用は通常、作物に、水であることが多いが、また有機液体、例えば、ディーゼルでもよい担体液中の殺虫剤を噴霧することによって行われる。担体液は蒸発し、殺虫剤、及び配合物からの他の非揮発性構成要素からなる残留噴霧を植物の葉上に残す。
【0003】
殺虫剤分子が葉の外部クチクラ及び害虫を通してより自由に拡散することができるように、殺虫剤が残留噴霧中に溶解した形態又はアモルファス形態で存在し、結晶として存在しないとき、殺虫剤の有効性は改善されることが確立されている。殺虫剤が葉の内側で生息している昆虫、例えば、葉の内側で生息している幼生に対して活性であることが必要とされるとき、又は殺虫剤が、例えば、ハダニによる寄生の間に葉の下側上で有効であるべきであるとき、葉中への殺虫剤のより速い浸透は有利である。昆虫組織への殺虫剤のより速い浸透はまた、より低い全体的な殺虫剤濃度を伴って有害生物のより良好な防除をもたらして有利であり、すなわち、有効成分の量を低減させることができる。
【0004】
アバメクチンは、いくつかの有害生物、例えば、他の昆虫の中でもアザミウマ、ダニ及び潜葉性昆虫種に対して固有の活性を有する。アバメクチンは層的移動を示すが、アバメクチンのほんの小さな割合のみが葉に進入することが公知である。葉に進入しないアバメクチンは、短期間の後に光分解する。このように、より多くの有効成分が葉に進入することを可能とするアバメクチンの新規な配合物を設計することが求められている。
【0005】
アバメクチンは、162~169℃の融点及び1.2百万分率の水溶解度を有する結晶性固体である(“The Pesticide Manual”, 15th Ed., British Crop Protection Council, 2009)。難水溶性殺有害生物剤、例えば、アバメクチンは配合され、その中でそれらが溶解している噴霧液を与え得る。1つのオプションは、乳化性濃縮物を作製することであり、ここで、殺虫剤は、界面活性剤と一緒に適切な有機溶媒に溶解している。有効成分を溶解するのに大量の有機溶媒、典型的には、乳化性濃縮配合物(EC)中に30~90重量%を使用しなければならないことは通常の乳化性濃縮物の不都合である(Knowles, Chemistry and Technology of Agrochemical Formulations, Kluwer Academic Publishers, 1998)。大量の有機溶媒は、匂い、増加するヒトの皮膚及び目への刺激作用又は毒性の可能性、環境への配慮並びに費用によって、作物保護製品において望ましくないことがあり得る。
【0006】
マイクロエマルジョンは、難水溶性殺有害生物剤のための別の公知のタイプの農芸化学配合物であり、ここで、有効成分は溶解しているが、乳化性濃縮物と対照的に、いくらかの有機溶媒が水及び界面活性剤で置き換えられている。マイクロエマルジョンは典型的には、20~30重量%の有機溶媒を含有し(Narayanan&Chaudry, Pesticide Formulations and Application Systems Vol.12, ASTM, 1993)、そのため、マイクロエマルジョンはまだ有機溶媒に依存している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
有機溶媒を非含有であり、溶液中でのアバメクチンの長期の安定性を示し、配合物の不具合、例えば、貯蔵の間のフレーク形成又は有効成分の分解を示さず、且つ葉中へのアバメクチンの改善された取込みをもたらす、アバメクチン可溶性濃縮配合物を提供することが依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による配合物は、市販のECアバメクチン配合物及びさらなるアジュバントの添加を伴わないものと比較して、葉中へのアバメクチンの改善された取込みを実現する。これは、圃場における同じ保護を達成するのに必要とされるアバメクチンの量におけるかなりの低減、すなわちいわゆる、割合の低減によって観察することができる。同時に、本発明の配合物は、高い貯蔵温度においてでさえ長期間に亘り安定であり、アバメクチンの分解を殆ど示さない。全てのこれらの技術的効果は、下記の実施形態による可溶性濃縮(SL)配合物によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、試料を54℃にて4週間貯蔵した後で残存するアバメクチンの量を示す。
図2図2は、試料を54℃にて4週間貯蔵した後に残存するアバメクチンの量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1の態様において、実施形態1として、本発明は、
(i)アバメクチン;
(ii)モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン;
(iii)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン
を含む、可溶性濃縮組成物を提供し、
ここで、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンとモノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンの重量比は、1:2.5~15:1、好ましくは、1:1.75~5:1である。
【0011】
実施形態2として、本発明は、
(i)アバメクチン;
(ii)250~750グラム/組成物のリットルの、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン;
(iii)50~550グラム/組成物のリットルの、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン
を含む、実施形態1による可溶性濃縮組成物を提供する。
【0012】
実施形態3として、本発明は、
(i)アバメクチン;
(ii)250~750グラム/組成物のリットルの、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン;
(iii)50~550グラム/組成物のリットルの、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン;
(iv)150~250グラム/リットルの脂肪アルコールアルコキシレート
を含む、実施形態1又は2による可溶性濃縮組成物を提供する。
【0013】
実施形態4として、
(i)アバメクチン;
(ii)250~350グラム/組成物のリットルの、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン;
(iii)450~550グラム/組成物のリットルの、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン;
(iv)150~250グラム/リットルの脂肪アルコールアルコキシレート
を含む、実施形態1~3のいずれか1つによる可溶性濃縮組成物を提供する。
【0014】
モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(市販のブランド名は、Montanox20(登録商標)、Polysorbate20(登録商標)、PEG(20)モノラウリン酸ソルビタン(登録商標)、Alkest TW20(登録商標)及びTween20(登録商標)を含む)は、ラウリン酸の添加の前にソルビタンのエトキシ化によって形成されるポリソルベートタイプの非イオン性界面活性剤である。モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(市販のブランド名は、Montanox80(登録商標)、Alkest TW80(登録商標)、Tween80(登録商標)及びPolysorbate80(登録商標)を含む)は、オレイン酸の添加の前にソルビタンのエトキシ化によって形成されるポリソルベートタイプの非イオン性界面活性剤である。
【0015】
実施形態5として、脱イオン水中の可溶性濃縮組成物の1%溶液のpHが、3~4.5の範囲、好ましくは、3.5~4.5の範囲である、請求項1~4のいずれか1つによる可溶性濃縮組成物。
【0016】
実施形態6として、
(i)10~50グラム/組成物のリットルの、アバメクチン;
(ii)250~350グラム/組成物のリットルの、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン;
(iii)450~550グラム/組成物のリットルの、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン;
(iv)150~250グラム/リットルの脂肪アルコールアルコキシレート;及び
(v)pH調整剤
を含む、実施形態1~5のいずれか1つによる可溶性濃縮組成物を提供する。
【0017】
用語「pH調整剤」は、本明細書において使用する場合、pHを調整することができる任意の薬剤を含む。
【0018】
実施形態7として、実施形態1~6のいずれか1つによる可溶性濃縮組成物を提供し、ここで、pH調整剤は、アニオン性リン酸エステルである。
【0019】
実施形態7.1として、実施形態7による可溶性濃縮組成物を提供し、ここで、緩衝液は、アニオン性ポリオキシエチレントリデシルリン酸エステルである。
【0020】
実施形態7.2として、実施形態7及び7.1による可溶性濃縮組成物を提供し、ここで、アニオン性リン酸エステルの量は、5~25グラム/リットルの範囲である。
【0021】
実施形態8として、実施形態1~7のいずれか1つによる可溶性濃縮組成物を提供し、ここで、脂肪アルコールアルコキシレートは、エトキシ化されているか、又はプロポキシル化されているか、又はこれらの両方である。
【0022】
第2の態様において、実施形態9として、溶液を最大45℃の温度に加熱することによって、アバメクチンをモノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン及び脂肪アルコールアルコキシレートの溶液に溶解するステップを含む、実施形態1~8のいずれか1つによる可溶性濃縮組成物の調製のための方法を提供する。
【0023】
実施形態10として、溶液を周囲温度に再び冷却し、次いで、リン酸エステルを加えるさらなるステップを含む、実施形態9による方法を提供する。
【0024】
第3の態様において、実施形態1~8のいずれか1つによる組成物を植物に施用することを含む、植物における昆虫のダメージを低減又は防止する方法を提供する。特に、植物は、トマト、コショウ、ジャガイモ、バナナ、ナス、マンゴー、タマネギ、スイカ、リンゴ、セイヨウナシ、柑橘類果実、コーヒー、マクワウリ、ワタ、ダイズ、キュウリ、仁果類、石果、イチゴ、ウリ科植物、メロン、パンプキン(pumpkin)、カボチャ(squash)、キャベツ、トウガラシ、オクラ、パパイヤ及びチャから選択される。
【0025】
より特定すると、植物は、ウリ科植物、コショウ、トマト、タマネギ、メロン、パンプキン、スイカ、柑橘類果実、キュウリ、ナス、マクワウリ、セイヨウナシ、仁果類、カボチャ、イチゴ、キャベツ及びトウガラシから選択される。
【0026】
用語「本発明の組成物」、「この発明の組成物」又は「発明性のある組成物」は、本明細書において使用する場合、実施形態1~8のいずれか1つによる組成物を意味する。
【0027】
本発明の可溶性濃縮組成物の下記の利点が、驚いたことに見出されてきた。
(a)長期貯蔵の安定性、すなわち、たとえ長期間に亘っても組成物における物理的変化、例えば、濁り、沈殿又はフレーク形成が起こらないこと;
(b)水に希釈したとき、濃縮物の完全な溶解;
(c)有効成分であるアバメクチンの優れた物理的安定性;
(d)標準的なアバメクチン組成物と比較した改善された生物活性。
【0028】
本発明による可溶性濃縮組成物の改善された生物活性は、実験セクションにおいて提示する生物学的データにおいて示す。特に、アバメクチンが本発明による可溶性濃縮組成物の水性希釈物を使用することによって植物に施用されるとき、同じ量のアバメクチンが標準的な市販のエマルジョン濃縮物の水性希釈物を使用することによって植物に施用されるとき、処理は2倍まで有効である。現在の標準的な市販のアバメクチン濃縮物と比較して、同じ殺虫性効果を達成するために、非常により少ない量の本発明によるアバメクチン濃縮物が実際には必要とされることをこれは意味する。これは、アバメクチンの多くの利点、例えば、環境により優しい施用を伴い、すなわち、より少ないアバメクチンが圃場上へと散布され、アバメクチンは高度に有毒であり、したがってよく注意して取り扱う必要があるためこれは重要である。
【0029】
さらなる態様において、本発明は、実施形態1~8のいずれか1つによる組成物を適切な液体担体、特に、水性液体担体、例えば、水又は液体肥料で希釈することと、次いで、希釈した組成物を植物繁殖材料、植物又はその生息地に施用することとを含む、有害生物を防除する方法を提供する。他の特定の実施形態では、希釈した組成物は、畝間施用又はTバンドタイプの施用によって施用される。保持タンクが希釈した生成物のために必要とされないように、本発明の組成物はまた散布施用設備中の連続流装置において水と合わせ得る。
【0030】
他の有効成分、例えば、除草剤、植物成長調節剤、殺藻剤、殺真菌剤、殺菌剤、殺ウイルス剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺軟体動物剤は、本発明の可溶性濃縮組成物中に存在してもよいか、又はそこから調製した希釈した散布組成物へとタンクミックスパートナーとして加え得る。
【0031】
さらに、本発明の可溶性濃縮組成物は、他の添加物をさらに含み得る。このような添加物は、毒性緩和剤、増粘剤、流動増進剤、湿潤剤、消泡剤、殺生物剤、緩衝液、キレート剤、潤滑剤、充填剤、ドリフト制御剤、沈着増進剤、蒸発遅延剤、霜保護剤、昆虫誘引臭気剤、UV保護剤、芳香剤などを含む。これらの添加物は、当業者には公知である。
【0032】
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕可溶性濃縮組成物であって、
(i)アバメクチン;
(ii)モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン;
(iii)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン
を含み、
ここで、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンとモノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンの重量比は、1:2.5~15:1である、可溶性濃縮組成物。
〔2〕
(i)アバメクチン;
(ii)250~750グラム/前記組成物のリットルの、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン;
(iii)50~550グラム/前記組成物のリットルの、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン
を含む、前記〔1〕に記載の可溶性濃縮組成物。
〔3〕
(i)アバメクチン;
(ii)250~750グラム/前記組成物のリットルの、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン;
(iii)50~550グラム/前記組成物のリットルの、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン;
(iv)150~250グラム/リットルの脂肪アルコールアルコキシレート
を含む、前記〔1〕又は〔2〕に記載の可溶性濃縮組成物。
〔4〕
(i)アバメクチン;
(ii)250~350グラム/前記組成物のリットルの、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン;
(iii)450~550グラム/前記組成物のリットルの、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン;
(iv)150~250グラム/リットルの脂肪アルコールアルコキシレート
を含む、前記〔1〕~〔3〕のいずれか一項に記載の可溶性濃縮組成物。
〔5〕脱イオン水中の前記組成物の1%溶液のpHが、3~4.5の範囲である、前記〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載の可溶性濃縮組成物。
〔6〕
(i)10~50グラム/前記組成物のリットルの、アバメクチン;
(ii)250~350グラム/前記組成物のリットルの、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン;
(iii)450~550グラム/前記組成物のリットルの、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン;
(iv)150~250グラム/リットルの脂肪アルコールアルコキシレート;及び
(v)pH調整剤
を含む、前記〔1〕~〔5〕のいずれか一項に記載の可溶性濃縮組成物。
〔7〕緩衝剤が、アニオン性リン酸エステルである、前記〔1〕~〔6〕のいずれか一項に記載の可溶性濃縮組成物。
〔8〕前記脂肪アルコールアルコキシレートが、エトキシ化されているか、又はプロポキシル化されているか、又はこれらの両方である、前記〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載の可溶性濃縮組成物。
〔9〕-溶液を最大45℃の温度に加熱することによって、アバメクチンを、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン及び脂肪アルコールアルコキシレートの前記溶液に溶解するステップを含む、前記〔1〕~〔8〕のいずれか一項に記載の可溶性濃縮組成物を調製する方法。
〔10〕-前記溶液を周囲温度に再び冷却し、次いで、リン酸エステルを加えるさらなるステップを含む、前記〔9〕に記載の方法。
〔11〕前記〔1〕~〔8〕のいずれか一項に記載の組成物を植物に施用することを含む、前記植物において昆虫のダメージを低減又は防止する方法。
〔12〕前記植物が、トマト、コショウ、ジャガイモ、バナナ、ナス、マンゴー、タマネギ、スイカ、リンゴ、セイヨウナシ、柑橘類果実、コーヒー、マクワウリ、ワタ、ダイズ、キュウリ、仁果類、石果、イチゴ、ウリ科植物、メロン、パンプキン、カボチャ、キャベツ、トウガラシ、オクラ、パパイヤ及びチャから選択される、前記〔11〕に記載の方法。
〔13〕前記植物が、ウリ科植物、コショウ、トマト、タマネギ、メロン、パンプキン、スイカ、柑橘類果実、キュウリ、ナス、マクワウリ、セイヨウナシ、仁果類、カボチャ、イチゴ、キャベツ及びトウガラシから選択される、前記〔11〕に記載の方法。
下記の実施例はさらなる本発明を例示するが、その範囲を限定することを意図しない。
【0033】
実験
(A)アバメクチン配合物の保存安定性:
【0034】
【表1】
【0035】
表1は、アバメクチン配合物A~Dが、貯蔵条件下で安定でないことを示す。配合物は、不具合、例えば、濁り及び沈殿物を示し、これは市販の配合物について許容されない。
【0036】
【表2】
【0037】
(B)配合物の溶解:
配合物E~Jを、シリンダーにおいて水で希釈した。シリンダーを30回反転させた、希釈物を底部の残存物についてチェックした。
【0038】
【表3】
【0039】
表2は、水中の配合物の溶解が、界面活性剤の量及びタイプに対して高度に感受性であることを示す。
【0040】
(C)アバメクチンの安定性:
図1
図1は、試料を54℃にて4週間貯蔵した後で残存するアバメクチンの量を示す。表2における配合物Gと同様の組成を有する配合物を使用した。配合物中に残存するアバメクチンの量は、下記のように計算した:
100%(参照値)は、開始値と、1つのバッチについての各時点における分析用参照として高温貯蔵した試料と並んで実行される全ての低温貯蔵した参照試料との平均を表す。残存するアバメクチンの量を、下記のように試験の終わりに計算した:
アバメクチン含量の測定値/平均参照値*100%。
【0041】
図1は、アバメクチンが配合物中の貯蔵条件下で分解することを明らかに示す。
【0042】
【表4-1】
【表4-2】
【0043】
表3は、pHが3~4.5の範囲でない限り、アバメクチンが貯蔵条件下で分解することを示す。
【0044】
図2
図2は、試料を54℃にて4週間貯蔵した後に残存するアバメクチンの量を示す。表3における配合物Kと同様の組成を有する配合物を使用した。脱イオン水での1%希釈物における配合物のpHは、様々な量のポリオキシエチレントリデシルリン酸エステルを使用して、3未満~6.5で変化した。配合物中に残存するアバメクチンの量は、下記のように計算した:
100%(参照値)は、開始値と、1つのバッチについての各時点における分析用参照として高温貯蔵した試料と並んで実行される全ての低温貯蔵した参照試料との平均を表す。残存するアバメクチンの量を、下記のように試験の終わりに計算した:
アバメクチン含量の測定値/平均参照値*100%。
【0045】
図2は、配合物の1%希釈物のpHが3~4.5、好ましくは、3.5~4.5の範囲に保持されない限り、アバメクチンが貯蔵条件下で分解することを明らかに示す。
【0046】
(D)本発明によるアバメクチン可溶性濃縮配合物の調製:
1.モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンを容器に投入する。
2.モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンを容器に投入する。
3.脂肪アルコールアルコキシレートを容器に投入する。
4.アバメクチンを投入する。
5.アバメクチンが完全に溶解するまで、最大45℃まで撹拌しながら加熱する。
6.温度を室温にゆっくりと冷却する。
7.ポリオキシエチレントリデシルリン酸エステルを投入する。
8.消泡剤を投入する。
9.必要に応じて、濾過する。
【0047】
生物学的データ:
市販の標準的なアバメクチンエマルジョン濃縮物(ABA EC)に対して本発明のアバメクチン可溶性濃縮物(ABA SL)を比較する、重要な標的昆虫に対するいくつかの作物における圃場有効性試験。ABA SL及びABA ECの両方は、18グラム/リットルの濃度を有した。
【0048】
下記の実施例は、新規な配合されたABAM SLが、ABA ECより25~50%少ない有効成分を使用して、標的有害生物に対する同様のレベルの防除を実現することができることを示す。これは、下記の作物:他の果樹の中でも仁果類、石果、マンゴーの木及び柑橘類の木、圃場及び温室野菜、ワタ及びチャに当てはまる。供与量率低減が観察された害虫:ダニ(例えば、ナミハダニ属の種(Tetranychus spp.)、パノニクス属の種(Panonychus spp.)、チャノホコリダニ、サビダニ)、双翅類潜葉性昆虫(例えば、マメハモグリバエ(Liriomyza trifolii)及び他のリリオミザ属の種(Liriomyza spp.))、アザミウマ(例えば、ミカンキイロアザミウマ(Frankliniella occidentalis)、ミナミキイロアザミウマ(Thrips palmi)、ネギアザミウマ(Thrips tabaci)、シルトスリップス属の種(Scirtothrips spp.))並びにキジラミ。
【実施例
【0049】
実施例1
オクラの露地圃場におけるマメハモグリバエ(Liriomyza trifolii)潜葉性昆虫に対する有効性圃場試験。
オクラ植物品種MH179を、Coimbatore、Indiaの圃場に植え、マメハモグリバエ(Liriomyza trifolii)を自然に寄生させた。処理毎に3回の反復を伴って、圃場を20m2の試験区に分割した(45cmの条間隔及び30cmの作条内)。試験設計を完全に無作為化した。2回の葉への施用を行ったが、1回目はオクラがBBCH14~15の栄養成長期であるとき、第2の施用はBBCH15~16において7日後に行った。噴霧水容量は、350L/haであった。全部で10の処理を行った:1)水散布チェック、2)0.27gのai/hlでのABA EC、3)0.54gのai/hlでのABA EC、4)1.08gのai/hlでのABA EC、5)1.8gのai/hlでのABA EC、6)0.135gのai/hlでのABA SL、7)0.27gのai/hlでのABA SL、8)0.54gのai/hlでのABA SL、9)1.08gのai/hlでのABA SL、及び10)1.8gのai/hlでのABA SL。それぞれの処理の有効性のレベルを、植物上のダメージを計数してアセスメントした(マメハモグリバエ(Liriomyza trifolii)が作った潜孔の数をアセスメントする)。アボット式を使用して、潜孔を有する植物の数を潜孔のCtrl%へと変換した(Ctrl=防除)。アセスメントは、施用後の異なる日(DAA)において行った:3DAA1(施用後3日)、7DAA1(施用後7日)、3DAA2、7DAA2、10DAA2(施用後10日)、15DAA2(施用後15日)及び20DAA2(施用後20日)。ANOVA及びフィッシャーの最小有意差(LSD)検定を使用して統計解析を行った。
g=グラム
ai=有効成分
hl=ヘクトリットル=100リットル
L=リットル
ha=ヘクタール
アボット式:防除の補正済み%=((1-(処理された試験区における昆虫集団/未処理の試験区における昆虫集団))*100。
【0050】
BBCHスケールは、植物の生物季節学的発育段階を同定するのに使用されるスケールである。BBCHは、公式に「Biologische Bundesanstalt、Bundessortenamt und CHemische Industrie」を意味する。
【0051】
結果
ABA SL配合物は、同じ供与量率でのABA EC配合物と比較したとき、改善された有効性(潜孔のCtrl%)を有した。結果は、0.54gのai/hlでのABA SLが、植物へのダメージに対して1.08gのai/hlでのABA ECと同じレベルの防除を達成したことを示す。これは、ABA SLが、市販の標準的なABA ECと比較して50%の供与量率低減を実現したことを意味する。結果を表4において示す。
【0052】
【表5】
【0053】
実施例2
トウガラシの露地圃場におけるチャノキイロアザミウマ(Scirtothrips dorsalis)に対する有効性圃場試験。
トウガラシ品種Namdhari1701を、Gujarat、Indiaの圃場に植え、チャノキイロアザミウマ(Scirtothrips dorsalis)を自然に寄生させた。処理毎に3回の反復を伴って、圃場を20m2の試験区に分割した(90cmの条間隔及び80cmの作条内)。試験設計を完全に無作為化した。2回の葉への施用を行ったが、第1はトウガラシがBBCH24~24の栄養成長期であるとき、第2の施用はBBCH27~27において15日後に行った。
【0054】
噴霧水容量は、第1の施用について250L/ha及び第2の施用について335L/haであった。全部で10の処理を行った:1)水散布チェック、2)0.675gのai/hlでのABA EC、3)1.35gのai/hlでのABA EC、4)2.1gのai/hlでのABA EC、5)2.7gのai/hlでのABA EC、6)0.3375gのai/hlでのABA SL、7)0.675gのai/hlでのABA SL、8)1.35gのai/hlでのABA SL、9)2.1gのai/hlでのABA SL、及び10)2.7gのai/hlでのABA SL。それぞれの処理の有効性のレベルを、葉上のシルトスリップスの可動期の数を計数してアセスメントした(試料サイズ:試験区毎に25の葉)。アボット式を使用して、植物毎の可動期の数を植物毎の可動期のCtrl%へと変換した。アセスメントは、施用後の異なる日(DAA)において行った:3DAA1、7DAA1、10DAA1、15DAA1、5DAA2、10DAA2、15DAA2及び20DAA2。ANOVA及びフィッシャーの最小有意差(LSD)検定を使用して統計解析を行った。
アボット式:防除の補正済み%=((1-(処理された試験区における昆虫集団/未処理の試験区における昆虫集団))*100。
【0055】
BBCHスケールは、植物の生物季節学的発育段階を同定するのに使用されるスケールである。BBCHは、公式に「Biologische Bundesanstalt、Bundessortenamt und CHemische Industrie」を意味する。
【0056】
結果
ABA SL配合物は、同じ供与量率でのEC配合物と比較したとき、改善された有効性(昆虫の可動期のCtrl%)を有する。結果は、2.1gのai/hlでのABA SLが、植物へのダメージに対して1.35gのai/hlでのABA ECと同じレベルの防除を達成したことを示す。ABA SLは、ABA ECの35%の供与量率低減を実現した。結果を表5において示す。
【0057】
【表6】
【0058】
実施例3
パパイヤの露地圃場におけるナミハダニ(Tetranychus urticae)に対する有効性圃場試験。
パパイヤ植物を、Taiwanの圃場に植え、ナミハダニ(Tetranychus urticae)を自然に寄生させた。処理毎に3回の反復を伴って、パパイヤ植物を作条に分配した(40cmの条間隔及び120cmの作条内)。試験設計を完全に無作為化した。パパイヤ植物がBBCH24~24の栄養成長期であるとき、1回の葉への施用を行った。
【0059】
噴霧水容量は、333L/haであった。全部で9の処理を行った:1)水散布チェック、2)0.54gのai/hlでのABA EC、3)1.08gのai/hlでのABA EC、4)1.8gのai/hlでのABA EC、5)0.27gのai/hlでのABA SL、6)0.54gのai/hlでのABA SL、7)0.81gのai/hlでのABA SL、8)1.08gのai/hlでのABA SL、及び9)1.8gのai/hlでのABA SL。それぞれの処理の有効性のレベルを、葉上のナミハダニ(Tetranychus urticae)の可動期の数を計数してアセスメントした(試料サイズ:試験区毎に5の葉)。アボット式を使用して、昆虫の可動期の数を昆虫の可動期のCtrl%へと変換した。アセスメントは、施用後の異なる日(DAA)において行った:5DAA1、10DAA1、14DAA1及び21DAA2。ANOVA及びフィッシャーの最小有意差(LSD)検定を使用して統計解析を行った。LSD検定では、共通の文字を伴わない処理は、5%確率水準で有意差がある。
アボット式:防除の補正済み%=((1-(処理された試験区における昆虫集団/未処理の試験区における昆虫集団))*100。
【0060】
BBCHスケールは、植物の生物季節学的発育段階を同定するのに使用されるスケールである。BBCHは、公式に「Biologische Bundesanstalt、Bundessortenamt und CHemische Industrie」を意味する。
【0061】
結果
ABAM SL配合物は、同じ供与量率でのEC配合物と比較したとき、改善された有効性(昆虫の可動期のCtrl%)を有する。結果は、0.54gのai/hlでのABA SLが、植物へのダメージに対して1.08gのai/hlでのABA ECと同じレベルの防除を達成したことを示す。ABA SLは、ABA ECの50%の供与量率低減を実現した。結果を表6において示す。
【0062】
【表7】
【0063】
実施例4
ワタの露地圃場におけるミナミキイロアザミウマ(Thrips palmi)に対する有効性圃場試験。
ワタ植物を、Coimbatore、Indiaの圃場に植え、ミナミキイロアザミウマ(Thrips palmi)を自然に寄生させた。処理毎に3回の反復を伴って、ワタ植物を20m2の試験区に分配した(90cmの条間隔及び75cmの作条内)。試験設計を完全に無作為化した。ワタ植物がBBCH19~22の栄養成長期であるとき、7日の間隔以内に2回の葉への施用を行った。
【0064】
噴霧水容量は、それぞれ、第1及び第2の葉面散布について、350及び400L/haであった。全部で10の処理を行った:1)水散布チェック、2)0.54gのai/hlでのABA EC、3)1.08gのai/hlでのABA EC、4)2.16gのai/hlでのABA EC、5)2.7gのai/hlでのABA EC、6)0.54gのai/hlでのABA SL、7)0.81gのai/hlでのABA SL、8)1.08gのai/hlでのABA SL、及び9)1.8gのai/hlでのABA SL。それぞれの処理の有効性のレベルを、葉上のミナミキイロアザミウマ(Thrips palmi)の若虫及び成虫段階の数を計数してアセスメントした(試料サイズ:試験区毎に20の葉)。アボット式を使用して、若虫及び成虫のn°を若虫及び成虫のCtrl%へと変換した。アセスメントは、施用後の異なる日(DAA)において行った:3DAA1、7DAA1、3DAA2、7DAA2、10DAA2、15DAA2及び20DAA2。ANOVA及びフィッシャーの最小有意差(LSD)検定を使用して統計解析を行った。
アボット式:防除の補正済み%=((1-(処理された試験区における昆虫集団/未処理の試験区における昆虫集団))*100。
【0065】
BBCHスケールは、植物の生物季節学的発育段階を同定するのに使用されるスケールである。BBCHは、公式に「Biologische Bundesanstalt、Bundessortenamt und CHemische Industrie」を意味する。
【0066】
結果
ABA SL配合物は、同じ供与量率でのEC配合物と比較したとき、改善された有効性(昆虫の可動期のCtrl%)を有する。結果は、1.08gのai/hlでのABA SLが、植物へのダメージに対して2.16gのai/hlでのABA ECと同じレベルの防除を達成したことを示す。ABA SLは、ABA ECの50%の供与量率低減を実現した。結果を表7において示す。
【0067】
【表8】
図1
図2