(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】硝子体切除器具のためのソレノイドバルブ制御最適化の方法
(51)【国際特許分類】
A61F 9/007 20060101AFI20240131BHJP
F16K 31/06 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
A61F9/007 130A
A61F9/007 130F
F16K31/06 320A
(21)【出願番号】P 2021530048
(86)(22)【出願日】2019-11-15
(86)【国際出願番号】 IB2019059844
(87)【国際公開番号】W WO2020121086
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-11-07
(32)【優先日】2018-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】チエンション チョウ
(72)【発明者】
【氏名】ダリュシュ アガヒ
【審査官】細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-500689(JP,A)
【文献】特開2011-179647(JP,A)
【文献】特開2002-181220(JP,A)
【文献】特表2017-534399(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/007
F16K 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硝子体切除プローブのためのソレノイドバルブ制御最適化のためのシステムであって、
前記システムは、
プローブカッターを往復移動させるための空気圧駆動式ダイヤフラムのそれぞれの側に第1のチャンバ及び第2のチャンバを有する硝子体切除プローブと、
加圧ガス源と、
前記加圧ガス源に結合されるバルブであって、電流が供給されると、前記硝子体切除プローブの前記第1のチャンバ及び前記第2のチャンバに加圧ガスをそれぞれ供給し且つそれらから排気する第1の出口ライン及び第2の出口ラインを介して
前記加圧ガスを選択的に供給し且つ排気するようソレノイドプランジャを動作させるソレノイドを有するバルブと、
前記ソレノイドに
前記電流を駆動するよう電圧を供給するための前記バルブの前記ソレノイドに結合される電源と、
前記ソレノイドに結合され、前記ソレノイド内の
前記電流を監視し且つ電流信号を送信するよう構成される電流センサと、
前記電源及び前記電流センサと結合されるシステムコントローラであって、プロセッサと、前記プロセッサによって実行される場合に、前記システムコントローラに、
前記電流信号を前記電流センサから受信させ、
前記ソレノイド内のプランジャ動作が、前記ソレノイド内の前記電流を所定の程度変化させる逆起電力(逆EMF)を生成する場合を特定させ、
前記逆EMFを検出した後、前記電源をパルス幅変調(PWM)動作モードにして、前記ソレノイドプランジャの継続動作をさせ、及び/又は、前記ソレノイドへの電力が所定のタイミングで遮断されるまで前記ソレノイドプランジャの終了位置を保持させる命令を含む非一時的コンピュータ読取可能媒体とを含
み、
前記ソレノイド内のプランジャ動作が前記逆EMFを生成する場合を特定するように構成された前記システムコントローラは、
所定のサンプリングレートで前記ソレノイド内の前記電流を監視するために前記電流信号を使用し、
サンプリングレートにおける一連のサンプルのそれぞれにおいて前記電流がより高いことを観測し、
サンプリング帯域における後続の一連の後続サンプルが連続的に低くなり、結果として所定の閾値よりも大きな全電流降下を生じることを観測し、
別の一連の後続サンプルが、前記電流が谷から回復した後の前記電流の回復を示して連続的に高くなることを観測し、
前記谷を観測することによって前記逆EMFを生成する前記ソレノイドプランジャの動作を特定する、ように構成されている、システムコントローラと、を備える、
システム。
【請求項2】
前記所定
の閾値の全電流降下が10ミリアンペアである、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記PWMモードは、固定デューティサイクル及び固定周波数を有する固定PWMを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記PWMモードは、可変デューティサイクル及び可変周波数を有する可変PWMを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記バルブ、前記電源、前記電流センサ、及び前記システムコントローラは、眼科外科用コンソール内に一体化される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
硝子体切除プローブのためのソレノイドバルブ制御最適化のためのシステムであって、
前記システムは、
プローブカッターを往復移動させるための空気圧駆動式ダイヤフラムのそれぞれの側に第1のチャンバ及び第2のチャンバを有する硝子体切除プローブと、
加圧ガス源と、
前記加圧ガス源に結合されるバルブであって、電流が供給されると、
前記硝子体切除プローブの前記第1のチャンバ及び前記第2のチャンバに加圧ガスをそれぞれ供給し且つ
それらから排気する第1の出口ライン及び第2の出口ラインを介して
前記加圧ガスを選択的に供給し且つ排気するようソレノイドプランジャを動作させるソレノイドを有するバルブと、
前記ソレノイドに
前記電流を駆動するよう電圧を供給するための前記バルブの前記ソレノイドに結合される電源と、
前記ソレノイドに結合され、前記ソレノイド内の電流を監視し且つ電流信号を送信するよう構成される電流センサと、
前記電源及び前記電流センサと結合されるシステムコントローラであって、プロセッサと、前記プロセッサによって実行される場合に、前記システムコントローラに、
前記電流信号を前記電流センサから受信させ、
前記ソレノイド内のプランジャ動作が、前記ソレノイド内の前記電流を所定の程度変化させる逆起電力(逆EMF)を生成する場合を特定させ、
前記逆EMFを検出した後、前記電源をパルス幅変調(PWM)動作モードにして、前記ソレノイドプランジャの継続動作をさせ、及び/又は、前記ソレノイドへの電力が所定のタイミングで遮断されるまで前記ソレノイドプランジャの終了位置を保持させる命令を含む非一時的コンピュータ読取可能媒体とを含
み、
前記ソレノイド内のプランジャ動作が前記逆EMFを生成する場合を特定するように構成された前記システムコントローラは、
所定のサンプリングレートで前記ソレノイド内の前記電流を監視するために前記電流信号を使用し、
サンプリングレートにおける一連のサンプルのそれぞれにおいて前記電流がより高いことを観測し、
サンプリング帯域における後続の一連の後続サンプルが連続的に低くなり、結果として、前記電流における谷を示す所定の閾値よりも大きな全電流降下を生じることを観測し、
前記谷を観測することによって前記逆EMFを生成する前記ソレノイドプランジャの動作を特定する、ように構成されている、システムコントローラと、を備える、
システム。
【請求項7】
前記所定
の閾値の全電流降下が10ミリアンペアである、
請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記PWMモードは、固定デューティサイクル及び固定周波数を有する固定PWMを備える、
請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記PWMモードは、可変デューティサイクル及び可変周波数を有する可変PWMを備える、
請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
硝子体切除プローブを操作するためのソレノイドバルブの制御を最適化する方法であって、
前記方法は、
バルブを、加圧ガス源と、前記バルブ内のソレノイドに電流を駆動するよう電圧を供給するための電源と、プローブカッターを往復移動させるための空気圧駆動式ダイヤフラムのそれぞれの側に第1のチャンバ及び第2のチャンバを有する硝子体切除プローブとに結合することと、
前記電源によって、
前記電圧を供給して、前記硝子体切除プローブの前記第1のチャンバ及び前記第2のチャンバに加圧ガスをそれぞれ供給し且つそれらから排気する第1の出口ライン及び第2の出口ラインを介して
前記加圧ガスを選択的に供給し且つ排気するようソレノイドプランジャを駆動する
前記電流を前記ソレノイドに供給することと、
前記ソレノイドに結合される電流センサにより、前記ソレノイド内の前記電流を監視することと、
前記電流センサによってシステムコントローラに電流信号を送信することと、
前記システムコントローラによって、前記電流信号を前記電流センサから受信することと、
前記システムコントローラによって、前記ソレノイド内のプランジャ動作が、前記ソレノイド内の前記電流を所定の程度変化させる逆起電力(逆EMF)を生成する場合を特定することと、
前記システムコントローラによって、前記逆EMFを検出した後、前記電源をパルス幅変調(PWM)動作モードにして、前記ソレノイドプランジャの継続動作をさせ、及び/又は、前記ソレノイドへの電力が所定のタイミングで遮断されるまで前記ソレノイドプランジャの終了位置を保持させることと、を含
み、
前記ソレノイド内のプランジャ動作が前記逆EMFを生成する場合を特定することは、
所定のサンプリングレートで前記ソレノイド内の前記電流を監視するために前記電流信号を使用することと、
サンプリングレートにおける一連のサンプルのそれぞれにおいて前記電流がより高いことを観測することと、
サンプリング帯域における後続の一連の後続サンプルが連続的に低くなり、結果として所定の閾値よりも大きな全電流降下を生じることを観測することと、
別の一連の後続サンプルが、前記電流が谷から回復した後の前記電流の回復を示して連続的に高くなることを観測することと、
前記谷を観測することによって前記逆EMFを生成する前記ソレノイドプランジャの動作を特定することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、硝子体切除プローブを駆動するためのバルブに電流を供給するための電圧信号におけるパルス幅変調(PWM)の適用を最適化することに関する。
【背景技術】
【0002】
硝子体網膜処置は、視力を回復し、維持し、向上させるために行われる様々な外科手術を含んでいてもよい。硝子体網膜処置は、眼の後部の多くの重篤な状態を治療することに適切であってもよい。硝子体網膜処置は、加齢性黄斑変性症(AMD)、糖尿病性網膜症及び糖尿病性硝子体出血、黄斑円孔、網膜剥離、網膜上膜、CMV網膜炎、並びに他の多くの眼疾患等の症状を治療する可能性がある。
【0003】
硝子体は、眼の中心部を満たす、通常は透明なゲル状の物質である。眼の容積の約2/3を占めていてもよく、出生前に形成され、形作られる。眼の後部に悪影響を及ぼすある特定の問題では、硝子体切除又は硝子体の外科的切除が必要となる可能性がある。硝子体の除去には、小さなギロチンのような働きをする硝子体切除装置、又は切断デバイスを必要とすることができ、振動する微小なカッターにより、硝子体ゲルを制御された方法で除去する。高速な切断速度でカッターを操作することは、硝子体液の除去中に網膜上の有意な牽引を防ぐ可能性がある。また、カッターは、カッターに動力を供給するよう圧縮空気又はガスを調整及び供給してもよい空気圧モジュールによって駆動され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本技術の開示する実施形態は、カッターを駆動するために用いられる硝子体切除プローブにおいて、チャンバへ加圧ガスを供給し、そこから排出することを選択的に行うために用いられるバルブに電流を供給するための電圧信号におけるパルス幅変調(PWM)の適用を最適化することに関する。
【0005】
本技術の幾つかの実施形態は、プローブカッターを往復移動させるための空気圧駆動式ダイヤフラムのそれぞれの側に第1のチャンバ及び第2のチャンバを有する硝子体切除プローブを含む、硝子体切除プローブのためのソレノイドバルブ制御最適化のためのシステムに関与する。システムはまた、加圧ガス源に結合されるバルブも含む。バルブは、電流が供給されると、硝子体切除プローブの第1のチャンバ及び第2のチャンバに加圧ガスをそれぞれ供給し且つそれらから排気する第1の出口ライン及び第2の出口ラインを介して加圧ガスを選択的に供給し且つ排気するよう、バルブのソレノイドプランジャを動作させるソレノイドを含むことができる。
【0006】
システムはまた、ソレノイドに電流を駆動するよう電圧を供給するための電源と、ソレノイドに結合され、ソレノイド内の電流を監視し且つ電流信号を送信するよう構成される電流センサとを含むことができる。システムコントローラは、電源及び電流センサと通信可能に結合することができ、システムコントローラは、電流センサから電流信号を受信し、ソレノイドプランジャの動作が、ソレノイド内の電流を所定の程度変化させる逆起電力(逆EMF)をいつ生成する場合を特定することができる。ソレノイドプランジャが動作していること又は動作を完了していることを示す逆EMFを検出した後、システムコントローラは、電力消費を低減したパルス幅変調(PWM)動作モードに入り、ソレノイドへの電力が所定のタイミングで遮断されるまでソレノイドプランジャの動作を維持するか、又はその終了位置を保持することができる。
【0007】
場合によっては、システムコントローラは、サンプリングレートにおける一連のサンプルのそれぞれにおいて電流がより高いことを観測し、サンプリング帯域における後続の一連の後続サンプルが連続的に低くなり、結果として所定の閾値よりも大きな全電流降下を生じることを観測し、別の一連の後続サンプルが連続的に高くなり、電流が谷から回復した後の電流の回復を示すことを観測し、谷を観測することによって逆EMFを生成するソレノイドプランジャの動作を特定する。
【0008】
場合によっては、コントローラは、サンプリングレートにおける一連のサンプルのそれぞれにおいて電流がより高いことを観測し、サンプリング帯域における後続の一連の後続サンプルが連続的により低くなり、結果として、ピークを示す所定の閾値よりも大きな全電流降下が生じることを観測し、ピークを観測することによって逆EMFを生成するソレノイドプランジャの動作を特定する。
【0009】
場合によっては、システムコントローラは、電流降下が10ミリアンペアの所定の電流降下に達する場合に、ピーク及び/又は谷を特定する。システムコントローラはまた、固定デューティサイクル及び固定周波数を有する一定のPWM、並びに可変デューティサイクル及び可変周波数を有する可変PWMを含む種々のPWMモードを適用することができる。場合によっては、バルブ、電源、電流センサ、及びシステムコントローラは、眼科外科用コンソール内に一体化される。
【0010】
本技術の幾つかの実施形態は、硝子体切除プローブを操作するためのソレノイドバルブの制御を最適化する方法に関する。硝子体切除プローブを操作するためのソレノイドバルブの制御を最適化する方法は、バルブを、加圧ガス源と、バルブ内のソレノイド内の電流を駆動するよう電圧を供給するための電源と、プローブカッターを往復移動させるための空気圧駆動式ダイヤフラムのそれぞれの側に第1のチャンバ及び第2のチャンバを有する硝子体切除プローブとに結合することを含むことができる。方法はまた、電源によって、電圧を供給して、硝子体切除プローブの第1のチャンバ及び第2のチャンバに加圧ガスをそれぞれ供給し且つそれらから排気する第1の出口ライン及び第2の出口ラインを介して加圧ガスを選択的に供給し且つ排気するようバルブのソレノイドプランジャを駆動する電流をソレノイドに供給することも含むことができる。
【0011】
次に、方法は、ソレノイドに結合される電流センサにより、ソレノイド内の電流を監視することと、電流センサによってシステムコントローラに電流信号を送信することと、システムコントローラによって、電流信号を電流センサから受信することとを含むことができる。電流信号を受信した後、方法は、システムコントローラによって、ソレノイド内のプランジャ動作が、ソレノイド内の電流を所定の程度変化させる逆起電力(逆EMF)を生成する場合を特定することと、システムコントローラによって電源を、電力消費を低減したパルス幅変調(PWM)動作モードにして、ソレノイドプランジャの継続動作をさせ、及び/又は、ソレノイドへの電力が所定のタイミングで遮断されるまでソレノイドプランジャの終了位置を保持させることとを含むことができる。
【0012】
場合によっては、ソレノイド内のプランジャ動作が逆EMFを生成する場合を特定することは、システムコントローラが、サンプリングレートにおける一連のサンプルのそれぞれにおいて電流がより高いことを観測することと、サンプリング帯域における後続の一連の後続サンプルが連続的に低くなり、結果として所定の閾値よりも大きな全電流降下を生じることを観測することと、別の一連の後続サンプルが、電流が谷から回復した後の電流の回復を示して連続的に高くなることを観測することと、谷を観測することによって逆EMFを生成するソレノイドプランジャの動作を特定することと含む。
【0013】
場合によっては、ソレノイド内のプランジャ動作が逆EMFを生成する場合を特定することは、システムコントローラが、サンプリングレートにおける一連のサンプルのそれぞれにおいて電流がより高いことを観測することと、サンプリング帯域における後続の一連の後続サンプルが連続的に低くなり、結果として所定の閾値よりも大きな全電流降下を生じることを観測することと、ピークを観測することによって逆EMFを生成するソレノイドプランジャの動作を特定することとを含む。
【0014】
場合によっては、システムコントローラは、電流降下が10ミリアンペアの所定の電流降下に達する場合に、ピーク及び/又は谷を特定する。システムコントローラはまた、固定デューティサイクル及び固定周波数を有する一定のPWM、並びに可変デューティサイクル及び可変周波数を有する可変PWMを含む種々のPWMモードを適用することができる。場合によっては、バルブ、電源、電流センサ、及びシステムコントローラは、眼科外科用コンソール内に一体化される。
【0015】
場合によっては、方法はまた、電流信号のピーク及び谷に関連するタイミングを記述するタイミングデータを収集することと、バルブ故障の定量化されたインスタンスのコレクションを収集することと、教師あり学習を用いて、機械学習アルゴリズムを訓練して、将来のバルブ動作のリアルタイムタイミングデータに基づいて将来のバルブ故障を予測するための予測モデルを作成することと、後続の硝子体切除処置の前に将来のバルブ故障を予測するために故障予測モデルを用いることとを含むことができる。
【0016】
場合によっては、方法はまた、電流信号のピーク及び谷に関連するタイミングを記述するタイミングデータを収集することと、タイミングデータに基づいて、所望の圧力出力が硝子体切除プローブを作動させるために到達され得るように、バルブデューティサイクルを調節してバルブの開閉タイミングの変動を補償することとを含むことができる。
【0017】
場合によっては、方法はまた、電流信号のピーク及び谷に関連するタイミングを記述するタイミングデータを収集することと、タイミング変動補償の定量化されたインスタンスのコレクションを収集することと、教師あり学習を用いて、機械学習アルゴリズムを訓練して、将来のバルブ動作のリアルタイムタイミングデータに基づいてバルブの開閉タイミングの変動を補償するための調節モデルを作成することとを含むことができる。
【0018】
本技術、本技術の特徴、及び本技術の利点をより詳細に理解するために、添付の図面と併せて、以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、空気圧駆動式眼科用手術機のための外科用コンソールの実施形態を示す。
【
図2A】
図2Aは、空気圧駆動式硝子体切除機のための空気圧システムの略図を示す。
【
図2B】
図2Bは、空気圧駆動式硝子体切除機のための空気圧システムの略図を示す。
【
図4A】
図4Aは、パルス幅変調を用いずにソレノイド硝子体切除駆動バルブの電圧及び電流の経時的な先行技術のプロット例を示す。
【
図4B】
図4Bは、パルス幅変調を用いる同じソレノイドバルブの電圧及び電流の経時的な先行技術のプロット例を示す。
【
図5】
図5は、硝子体切除プローブの空気チャンバを駆動するための空気圧バルブに印加される電圧に対するパルス幅変調の適用を最適化するためのシステムを示す。
【
図6A】
図6Aは、ソレノイド式硝子体切除駆動バルブの経時的な電圧及び電流並びに固定パルス幅変調を用いる最適化方法の一実施例を示す。
【
図6B】
図6Bは、ソレノイド式硝子体切除駆動バルブの経時的な電圧及び電流並びに変数パルス幅変調を用いる最適化方法の一実施例を示す。
【
図7】
図7は、硝子体切除プローブの空気チャンバを駆動するための空気圧バルブに印加される電圧に対するパルス幅変調の適用を最適化する方法を示す。
【
図8A】
図8Aは、ソレノイド式硝子体切除駆動バルブの経時的な電圧及び電流並びに固定パルス幅変調を用いる最適化方法の一実施例を示す。
【
図8B】
図8Bは、ソレノイド式硝子体切除駆動バルブの経時的な電圧及び電流並びに変数パルス幅変調を用いる最適化方法の一実施例を示す。
【
図9】
図9は、硝子体切除プローブの空気チャンバを駆動するための空気圧バルブに印加される電圧に対するパルス幅変調の適用を最適化する方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に説明する技術は、カッターを駆動するために用いられる硝子体切除プローブにおいて、チャンバへ加圧ガスを供給し、そこから排出することを選択的に行うために用いられるバルブに電流を供給するための電圧信号におけるパルス幅変調(PWM)の適用を最適化することに関する。
【0021】
図1は、空気圧駆動式眼科用手術機のための外科用コンソール101の実施形態を示している。外科用コンソール101は、1つ以上の空気圧ツール103を駆動するよう構成されてもよい。ツール103は、例えば、剪刀、硝子体切除装置、鉗子、及び、注入又は抽出モジュールを含んでいてもよい。他のツール103が用いられてもよい。操作において、
図1の空気圧駆動式眼科用手術機は、外科医が硝子体切除術等の様々な眼科外科手術を行うことを支援するよう動作してもよい。窒素等の圧縮ガスは、外科用コンソール101を介してツール103に動力供給するよう動力を提供してもよい。外科用コンソール101は、ユーザに情報を表示するためのディスプレイ109を含んでいてもよい(ディスプレイはまた、ユーザ入力を受信するためのタッチスクリーンを組み込んでいてもよい)。外科用コンソール101はまた、フルイディクスモジュール105(例えば、洗浄/吸引機能を支援する)及びツール103に結合(例えば、ツール103に取り付けられる空気圧ラインを介する結合)するための1つ以上のポートコネクタ107を含んでいてもよい。
【0022】
図2A及び2Bは、空気圧駆動式硝子体切除機のための空気圧システムの略図を示している。
図2A及び
図2Bにおいて見て取れるように、空気圧システムは、圧力源209(例えば、エアシリンダ又は壁部出口空気供給源等の調節される圧力源)を出力ポートA213及び出力ポートB215に結合する1つ以上の空気圧バルブ217を含んでいてもよい(出力ポートA213及び出力ポートB215は、1つ以上のポートコネクタ107を介してツール103に結合されてもよい)。幾つかの実施形態において、空気圧バルブ217はコントローラ205によって制御されてもよい。幾つかの実施形態において、圧力源209の圧力はまた、コントローラ205又は別個のコントローラ(例えば、外科用コンソール101の内部)によって調節されてもよい。コントローラ205は、圧力を調節してもよい(例えば、空気消費量を低減するための低圧と、より速い切断速度のための高圧との間のバランスを取るよう、及び/又は、利用可能な切断速度のダイナミックレンジを増加させるよう)。幾つかの実施形態において、空気圧システムのコンポーネントは、マニホルド内に組み込まれてもよい(例えば、アルミニウム等の金属から機械加工される)。マニホルドは、気密であり、種々の取付具及び継手を含み、比較的高いガス圧に耐えることができてもよい。マニホルドは、個々の部品として製造されてもよいか、又は、単一の部品として製造されてもよい。様々な実施形態において、空気圧システムのコンポーネント(例えば、マニホルド内)は、外科用コンソール101の内部に組み込まれてもよい。
【0023】
幾つかの実施態様において、空気圧バルブ217は、四方弁であってもよい。他のバルブ構成も考えられる。バルブ217は、コントローラ205からの制御信号によって指示されるように、バルブ217内のソレノイドプランジャを2つの位置(例えば、
図2a~bを参照)のうちの1つに移動させるよう動作するソレノイドを含んでいてもよい。第1の位置において、空気圧バルブ217は、加圧ガスが空気圧バルブ217を通って出力ポートB215に通過して、空気圧動力をプローブカッター225に提供する一方で、マフラー227を通って出力ポートA213から加圧ガスを排出することを可能にしてもよい。第2の位置において、バルブ217は、加圧ガスを出力ポートA213に供給し、加圧ガスを出力ポートB215から排出してもよい。この位置において、加圧ガスは、出力ポートA213を通過して、空気圧動力をツール103(例えば、プローブカッター225)に提供してもよい。従って、空気圧バルブ217が第1の位置にある場合、デュアルチャンバ223の第1のチャンバ229は充填されてもよい一方で、第2のチャンバ231は排出されてもよい。空気圧バルブ217が第2の位置にある場合、第2のチャンバ231は充填されてもよい一方で、第1のチャンバ229は排出されてもよい。
【0024】
図3において見て取れるように、プローブカッター225は切断デバイスとして作用してもよい。プローブカッター225は、カッターポート301と共に外側チューブ303内部で往復運動してもよい(例えば、プローブカッター225は、ダイヤフラム221によって移動されてもよく、それは順に、加圧ガスが出力ポートA及びBに(並びにデュアルチャンバ223のそれぞれのチャンバに)交互に向けられるにつれて振動する)。幾つかの実施形態において、プローブカッター225は、チューブ219を介して出力ポートA及びBに取り付けられてもよい(各ポートについて別々のチューブも用いられてもよい)。プローブカッター225が前後に移動するにつれて、プローブカッター225は、プローブカッター225の尖った先端によりカッターポート301を交互に開閉してもよい。外側チューブ303を通るプローブカッター225の各サイクルは、プローブカッター225が閉じる際に、カッターポート301内の硝子体等の材料を切断してもよい。ポートデューティサイクル(PDC)は、カッターポート301が開閉する時間を示してもよい。例えば、49%のPDCは、カッターポート301がサイクル時間の49%開いていること(及び、サイクル時間の51%閉じていること-サイクル時間は、例えば、カッターポート301のそれぞれの連続して開く間の時間である)を示してもよい。
【0025】
幾つかの実施形態において、バルブデューティサイクル(VDC)は、空気圧バルブ217が第1及び第2の位置にある時間を含んでいてもよい。幾つかの実施形態において、プローブカッター225の切断速度は、バルブ217を介してコントローラ205によって制御されてもよい。例えば、毎分2500カットのプローブ速度を提供するために、コントローラ205は、サイクル当たり約24ミリ秒(ms)の速度で、ポートA(第2のチャネル)及びポートB(第1のチャネル)に交互に加圧空気を提供するよう空気圧バルブ217に指示してもよい。1分間に2500カットの切断速度を得るために、2つの空気圧チャネルは24ms毎に開閉を繰り返してもよく(2500カット/分又は1分/2500カット×60秒/1分=0.024秒/カット=24ms/カット)、これは各チャネルに対して12ms間開いてもよい。
【0026】
硝子体処置中の牽引(網膜剥離の原因となる可能性がある)を低減するために、硝子体切除プローブは高速で操作することが望まれる。一般的な理解は、速い程、良好である。従って、駆動バルブは多くの場合、その最大速度(CPM単位での)で動作する。超高速において、各バルブサイクル時間は極めて短く、電磁バルブを開閉において極めて高速に動かす必要がある。例えば、15000cpm、50%VDCでの各バルブサイクルにおいて、バルブ開閉時間は僅か2msである。従って、ソレノイドバルブは、2ms未満で開閉するように極めて高速に作動しなければならない。
【0027】
場合によっては、コイル設計によってソレノイド電力を増加させること及び/又はより強いリターンスプリングと共により高い電圧を印加することにより、バルブ作動を加速することができる。しかし、高電力又は高電圧は電磁バルブを加熱し、損傷又は故障の原因となる可能性がある。従って、場合によっては、一旦バルブが作動されると、制御電子機器及びソフトウェアにより省電力モードに入る。場合によっては、駆動電圧パルス幅変調が省電力モードとして用いられ得る。
【0028】
図4Aは、PWMを用いずに15000cpmで動作するソレノイド硝子体切除駆動バルブの電圧及び電流の経時的な先行技術のプロット例を示している。
図4Bは、PWMを用いる同じソレノイドバルブの電圧及び電流の経時的な先行技術のプロット例を示している。
図4Bに示すPWM動作において、平均電流及び全体の消費電力は低減されている。この場合、PWM電圧信号のデューティサイクル及び周波数は固定される。
【0029】
先行技術において、PWMを動作させるタイミングを固定して、経時的に変化し得るバルブにおいて広範囲の変動を占めることができる。バルブ間変動及びバルブ動作の変化は温度及びプランジャ動作のタイミング変動に関係している。これらの変動に対応する先行技術の試みは、
図4Bに示すように、PWMを動作させる固定時間遅延に関係していた。この遅延は、プランジャの動作完了時間よりも大幅に長くなるよう設定されている。
【0030】
本技術は、バルブソレノイドプランジャがいつ動作を開始するか、動作を開始した後、電流のPWMを開始して機械的衝撃を低減し、熱を低減し、ノイズを低減し、電力消費を低減し、信頼性及び寿命を向上させることを検出することに関係している。
【0031】
バルブ内のソレノイドプランジャの動作を開始するために、電流は、慣性を克服するよう最初は高い値に設定されるが、一旦ソレノイドプランジャが動作を開始すると、ソレノイドプランジャの動作を維持するために必要な電流は少なくなる。また、ソレノイドバルブが動作すると、ソレノイドプランジャの動作はソレノイドコイル内に逆起電力(即ち逆EMF)を誘導し、それによりソレノイド電流の瞬間的な減少を引き起こす。この電流変化特性は、ソレノイドバルブ動作の信頼性のある指標である。本技術によれば、ソレノイドプランジャが移動した後に逆EMFが検出された後、PWM省電力モードを開始することができる。
【0032】
図5は、硝子体切除プローブの空気チャンバを駆動するための空気圧バルブに印加される電圧に対するパルス幅変調の適用を最適化するためのシステム500を示している。システム500は、圧力源510(例えば、エアシリンダ又は壁部出口空気供給源等の調節される圧力源)を硝子体切除プローブ525のチャンバ515、520に結合する空気圧バルブ505(例えば、四方弁)を含んでいる。バルブ505は、ダイヤフラム530を駆動し、プローブカッター535を往復運動させるチャンバ515、520を選択的に加圧及び通気する。
【0033】
空気圧バルブ505は、システムコントローラ540、例えば外科用コンソール内に一体化されるコントローラによって制御されてもよい。システムコントローラ540は、電源を含むことができるか、又は電源に結合することができる。システムコントローラ540は、電源に電圧をバルブ505に供給させて、バルブ505内のソレノイドにおいて電流を駆動することができる。電流は、バルブを前後に移動させて、硝子体切除プローブ525のチャンバ515、520を選択的に加圧及び通気することができる。より詳細には、空気圧バルブ505が第1の位置にある場合、第1のチャンバ515は充填される一方で、第2のチャンバ520は排出される。空気圧バルブ505が第2の位置にある場合、第2のチャンバ520は充填される一方で、第1のチャンバ515は排出されてもよい。
【0034】
システム500はまた、バルブ505内の電流を監視し、システムコントローラに電流データを提供することができる電流センサ550も含んでいる。上で説明したように、ソレノイドプランジャがバルブ505内を移動すると、プランジャはソレノイドコイル内に逆起電力(即ち、逆EMF)を誘導し、それにより電流の瞬間的な減少を引き起こす。システムコントローラ540は、電流センサ550からの電流データを分析することができ、ソレノイドプランジャの動作を示す逆EMFによって生じる電流の変化を検出することができる。システムコントローラ540はまた、逆EMFを検出した後、システムコントローラ540に、バルブ505内のソレノイドに印加される電圧に関するパルス幅変調(PWM)を開始させる命令を実行することもできる。言い換えれば、システムコントローラ540は、時間ベースのPWMモードの代わりに、逆EMFの検出に応じて動作のPWMモードに能動的に入ることができ、これにより結果として、機械的衝撃を低減し、熱を低減し、ノイズを低減し、電力消費を低減し、バルブ505の信頼性及び寿命を向上させるソレノイドプランジャの動作に一貫してより時間的に近いPWMモード適用を生じる。
【0035】
上述したように、バルブ内のソレノイドプランジャの動作の検出は、電流信号を検査し、逆EMFによって生じる電流の変化を検出することを含み得る。本技術は、ソレノイドに印加される電圧に関するPWMの適用を最適化するよう、バルブ内のソレノイドプランジャの動作を検出する種々の方法に関する。
【0036】
場合によっては、システム制御電子機器及びソフトウェアは、電流を検査し、電流信号が逆EMFによって最初に降下し、その後回復した後に観測される谷に基づいてソレノイドプランジャが移動したことを特定することができる。
図6Aは、ソレノイド式硝子体切除駆動バルブの経時的な電圧及び電流並びに固定パルス幅変調を用いる最適化方法の一実施例を示している。システム制御電子機器及びソフトウェアは、リアルタイムでバルブ電流を監視し、ソレノイドプランジャが動作を完了した後の瞬間的な電流の谷を検出することができる。谷の検出に基づいて、システムコントローラは、固定デューティサイクル及び固定周波数でPWMを開始することができる。所定のバルブサイクルにおいて特定の条件で動作する個々のバルブの瞬間的な電流の谷によってトリガされるPWMの開始は、バルブ及びその動作条件の変動に適応するための遅延の排除を含む多数の利点を提供する。このようにして、ソレノイド式硝子体切除駆動バルブにおいて少ない熱を生成し、それによりバルブの信頼性を高め、故障を防止する。
【0037】
場合によっては、システム制御電子機器及びソフトウェアは、検出された谷を報告する前に、一定期間にわたって電流の閾値降下及び回復を必要とすることによって、電流信号におけるノイズを考慮する。例えば、システム制御電子機器及びソフトウェアは、電流をサンプリングし、電流があるサンプリングレート(例えば、10マイクロ秒毎)で各連続サンプルにおいてより高いことを観測することができる。次に、システム制御電子機器及びソフトウェアは、サンプリング帯域内の一連の後続サンプル(例えば、次の100マイクロ秒にわたる次の10個のサンプル)が連続的に低くなり、その結果、所定の閾値(例えば、10ミリアンペア)を超える総電流降下が生じることを観測することができる。次に、システム制御電子機器及びソフトウェアは、別のサンプリング帯域内の一連の後続サンプル(例えば、次の100マイクロ秒にわたる次の10個サンプル)が連続的に高くなり、回復を示すことを観測することができる。次に、システム制御電子機器及びソフトウェアは、電流の変化が所定の閾値(例えば、10ミリアンペア)より大きく降下し、その後回復する場合に、谷を報告することができる。
【0038】
サンプリングレート、サンプリング帯域、及び電流の閾値降下の特定の実施例が一例として挙げられているが、本開示の利益を有する当業者は、多種多様なサンプリングレート、サンプリング帯域、並びに電流の閾値降下及び回復が現在開示されている技術の利益を達成するために利用することができることを容易に理解するであろう。
【0039】
図6Aに示す最適化の例は、固定デューティサイクル及び固定周波数を有するPWMモードを含んでいる。場合によっては、システム制御電子機器及びソフトウェアは、可変PWMデューティサイクル及び周波数を利用する。可変PWMにより、PWMは、低デューティサイクル及び低周波数で開始して、電流を保持電流レベルまで極めて迅速に低下させ、次いで、デューティサイクル及び周波数を異なる値(標準デューティサイクル及び標準周波数)に変更して、電流を保持電流レベルに維持する。固定デューティサイクル及び固定周波数PWMと比較して、可変PWMを用いる最適化法は、結果として、ソレノイド式硝子体切除駆動バルブが少ない熱を生成し、それによりバルブの信頼性を高め、故障を防止する。
図6Bは、ソレノイド式硝子体切除駆動バルブの経時的な電圧及び電流並びに変数パルス幅変調を用いる最適化方法の一実施例を示している。
【0040】
図7は、硝子体切除プローブの空気チャンバを駆動するための空気圧バルブに印加される電圧に対するパルス幅変調の適用を最適化する方法700を示している。方法700は、プローブカッターを駆動するためのダイヤフラムによって分離される硝子体切除プローブの2つのチャンバに選択的に供給され、そこから排出される空気圧を制御するソレノイド制御バルブを含む硝子体切除処置を開始すること705を含む。方法700は、硝子体切除駆動バルブを作動させること710と、硝子体切除駆動バルブの電流を監視すること715、例えば、電流センサを用いてサンプルレートで電流を監視し、システムコントローラに電流サンプル読取値を報告することとを含む。
【0041】
次に、方法700は、例えば、報告された電流サンプル読取値を処理するシステムコントローラによって、瞬間的な電流の谷が検出されたかどうかを特定し720、サンプリングレートにおける一連のサンプルのそれぞれにおいて電流がより高いことを観測し、サンプリング帯域における後続の一連の後続サンプルが連続的により低くなり、結果として所定の閾値よりも大きな全電流降下を生じることを観測し、別の一連の後続サンプルが連続的により高くなり、電流の回復を示すことを観測することを含み、瞬間的な電流の谷は、電流が逆EMFを生成するソレノイドプランジャの動作を示す谷から回復した後に決定される。
【0042】
谷が検出されない場合、方法700は、硝子体切除駆動バルブの電流を監視し続けること715を含む。代替として、谷が電流に検出されると、方法700は、固定又は可変デューティサイクル及び周波数でパルス幅変調(PWM)を作動させること725を含む。バルブに供給される電圧へのPWMの適用は、バルブサイクルの終了まで継続することができ、方法700は、次に、所定の毎分切断(CPM)パラメータ及びバルブデューティサイクル(VDC)のタイミングに従って硝子体切除駆動バルブを停止すること730を含むことができる。次に、方法700は、所定のCPM及びVDCの期間、硝子体切除駆動バルブを停止状態に維持して735、例えば、第1のチャンバが排出され、第2のチャンバが圧力により駆動されることを可能にすることを含む。
【0043】
次に、方法700は、システムコントローラがいつ硝子体切除術を終了するかを特定すること740を含む。硝子体切除が終了しない場合、方法700は、硝子体切除駆動バルブを動作させること710によって繰り返すことを含む。硝子体切除が終了すると、方法700は、硝子体切除処置を終了すること745を含む。
【0044】
場合によっては、システム制御電子機器及びソフトウェアは、電流を検査し、逆EMFによる電流降下前に観測されるピークに基づいて、ソレノイドプランジャが移動したことを特定することができる。
図8Aは、ソレノイド式硝子体切除駆動バルブの経時的な電圧及び電流並びに固定パルス幅変調を用いる最適化方法の一実施例を示している。システム制御電子機器及びソフトウェアは、リアルタイムでバルブ電流を監視し、電流ピークを検出することができる。ピークの検出に基づいて、システムコントローラは、固定デューティサイクル及び固定周波数でPWMを開始することができる。所定のバルブサイクルにおいて特定の条件で動作する個々のバルブの瞬間的な電流ピークによってトリガされるPWMの開始は、バルブ及びその動作条件の変動に適応するための遅延の排除を含む多数の利点を提供する。この最適化は、ソレノイドプランジャが動き始めた後にソレノイド電流が略瞬時に低下するため、ソレノイドバルブの機械的衝撃及びノイズを低減する。言い換えると、ピーク検出時のPWMの開始は、ソレノイドプランジャがハードストップにぶつかる前に駆動力を低減する。この最適化技術は、PWMがより早期に開始されるので、谷検出に基づく最適化技術よりも多くの熱を低減することができ、それによりバルブの信頼性を高め、故障を防止する。
【0045】
場合によっては、システム制御電子機器及びソフトウェアは、検出されたピークとして、降下前の電流の高い点を報告する前に、一定期間にわたって電流の閾値降下を必要とすることによって、電流信号におけるノイズを考慮する。例えば、システム制御電子機器及びソフトウェアは、電流をサンプリングし、電流があるサンプリングレート(例えば、10マイクロ秒毎)で各連続サンプルにおいてより高いことを観測することができる。次に、システム制御電子機器及びソフトウェアは、サンプリング帯域内の一連の後続サンプル(例えば、次の100マイクロ秒にわたる次の10個のサンプル)が連続的に低くなり、その結果、所定の閾値(例えば、10ミリアンペア)を超える総電流降下が生じることを観測することができ、降下前の電流の高い点をピークとして報告することができる。
【0046】
サンプリングレート、サンプリング帯域、及び電流の閾値降下の特定の実施例が一例として挙げられているが、本開示の利益を有する当業者は、多種多様なサンプリングレート、サンプリング帯域、及び電流の閾値降下が現在開示されている技術の利益を達成するために利用することができることを容易に理解するであろう。
【0047】
図8Aに示す最適化の例は、固定デューティサイクル及び固定周波数を有するPWMモードを含んでいる。場合によっては、システム制御電子機器及びソフトウェアは、可変PWMデューティサイクル及び周波数を利用する。可変PWM、固定時間遅延に基づくPWM、若しくは瞬時電流谷の検出、又は瞬時電流ピークの検出により、PWMは、低デューティサイクル及び低周波数で開始して、電流を保持電流レベルまで極めて迅速に低下させ、次いで、デューティサイクル及び周波数を異なる値(標準デューティサイクル及び標準周波数)に変更して、電流を保持電流レベルに維持する。固定デューティサイクル及び固定周波数PWMと比較して、可変PWMを用いる最適化法は、結果として、ソレノイド式硝子体切除駆動バルブが少ない熱を生成し、それによりバルブの信頼性を高め、故障を防止する。
図8Bは、ソレノイド式硝子体切除駆動バルブの経時的な電圧及び電流並びに可変パルス幅変調を用いる最適化方法の一実施例を示している。
【0048】
図9は、硝子体切除プローブの空気チャンバを駆動するための空気圧バルブに印加される電圧に対するパルス幅変調の適用を最適化する方法900を示している。方法900は、プローブカッターを駆動するためのダイヤフラムによって分離される硝子体切除プローブの2つのチャンバに選択的に供給され、そこから排出される空気圧を制御するソレノイド制御バルブを含む硝子体切除処置を開始すること905を含む。方法900は、硝子体切除駆動バルブを作動させること910と、硝子体切除駆動バルブの電流を監視すること915、例えば、電流センサを用いてサンプルレートで電流を監視し、システムコントローラに電流サンプル読取値を報告することとを含む。
【0049】
次に、方法900は、例えば、報告された電流サンプル読取値を処理するシステムコントローラによって、瞬間的な電流ピークが検出されたかどうかを特定し920、サンプリングレートにおける一連のサンプルのそれぞれにおいて電流がより高いことを観測し、サンプリング帯域における後続の一連の後続サンプルが連続的により低くなり、結果として、ピーク及び逆EMFを生成するソレノイドプランジャの動作を示す所定の閾値よりも大きな全電流降下を生じることを観測することを含む。
【0050】
ピークが検出されない場合、方法900は、硝子体切除駆動バルブの電流を監視し続けること915を含む。代替として、ピークが電流に検出されると、方法900は、固定又は可変デューティサイクル及び周波数でパルス幅変調(PWM)を作動させること925を含む。バルブに供給される電圧へのPWMの適用は、バルブサイクルの終了まで継続することができ、方法900は、次に、所定の毎分切断(CPM)パラメータ及びバルブデューティサイクル(VDC)のタイミングに従って硝子体切除駆動バルブを停止すること930を含むことができる。次に、方法900は、所定のCPM及びVDCの期間、硝子体切除駆動バルブを停止状態に維持して935、例えば、第1のチャンバが排出され、第2のチャンバが圧力により駆動されることを可能にすることを含む。
【0051】
次に、方法900は、システムコントローラがいつ硝子体切除術を終了するかを特定すること940を含む。硝子体切除が終了しない場合、方法900は、硝子体切除駆動バルブを動作させること910によって繰り返すことを含む。硝子体切除が終了すると、方法900は、硝子体切除処置を終了すること945を含む。
【0052】
場合によっては、システムコントローラ、外科用コンソール、又は他のコンピューティングデバイスは、瞬間的な電流ピーク及び谷のタイミングデータを収集し、処理することができる。タイミングデータに基づいて、システムコントローラは、所望の圧力出力が硝子体切除プローブを作動させるために到達され得るように、バルブデューティサイクルを調節してバルブの開閉タイミングの変動を補償することができる。また、特定の範囲内又は範囲外にあるタイミングデータに基づいて、システムコントローラは、バルブの故障を検出し、バルブの性能又は劣化を追跡し、バルブのサービスに対するアドバイスを行うことができる。
【0053】
また、システムコントローラ、外科用コンソール、又は他のコンピューティングデバイスは、収集タイミングデータ及びバルブ故障の定量化されたインスタンスにアクセスし、教師あり学習を用いて、機械学習アルゴリズムを訓練して、将来のバルブ動作のリアルタイムタイミングデータに基づいて将来のバルブ故障を予測するための予測モデルを作成することができる。故障予測は、後続の硝子体切除処置の前に故障を予測し、オペレータが故障しそうなバルブを交換することを可能にするために用いることができる。
【0054】
同様に、システムコントローラ、外科用コンソール、又は他のコンピューティングデバイスは、収集タイミングデータ及びバルブ調節の定量化されたインスタンス並びに結果にアクセスすることができ、教師あり学習を用いて、機械学習アルゴリズムを訓練して、将来のバルブ動作のリアルタイムタイミングデータに基づいてバルブの開閉タイミングの変動を補償するよう調節モデルを作成することができる。
【0055】
図10A及び
図10Bは、可能性のあるシステムの実施形態を示している。より適切な実施形態は、本技術を実施する際に当業者に明らかとなるであろう。当業者はまた、他のシステムの実施形態も可能であることを容易に理解するであろう。
【0056】
図10Aは、従来のシステムバスコンピューティングシステムアーキテクチャ1000を示しており、システムのコンポーネントがバス1005を用いて互いに電気的に通信している。例示的なシステム1000は、処理ユニット(CPU又はプロセッサ)1010と、読み取り専用メモリ(ROM)1020及びランダムアクセスメモリ(RAM)1025等のシステムメモリ1015を含む様々なシステムコンポーネントをプロセッサ1010に結合するシステムバス1005とを備える。システム1000は、プロセッサ1010に直接接続されているか、近接しているか、又はその一部として統合されている高速メモリのキャッシュを備え得る。システム1000は、プロセッサ1010が迅速にアクセスするために、メモリ1015及び/又はストレージデバイス1030からのデータをキャッシュ1012にコピーし得る。このようにして、キャッシュは、データを待機している間のプロセッサ1010の遅延を回避する性能の向上を提供し得る。これらのモジュール及び他のモジュールは、様々なアクションを実行するためにプロセッサ1010を制御し得る、又は制御するように構成され得る。他のシステムメモリ1015も同様に使用可能であり得る。メモリ1015は、異なる性能特性を有する複数の異なるタイプのメモリを含み得る。プロセッサ1010は、任意の汎用プロセッサと、プロセッサ1010を制御するように構成された、ストレージデバイス1030に格納されたモジュール1 1032、モジュール2 1034、及びモジュール3 1036等のハードウェアモジュール又はソフトウェアモジュールと、ソフトウェア命令が実際のプロセッサ設計に組み込まれる専用プロセッサとを含み得る。プロセッサ1010は、複数のコア又はプロセッサ、バス、メモリコントローラ、キャッシュなどを備える、本質的に完全に自己完結型のコンピューティングシステムであってもよい。マルチコアプロセッサは対称あっても又は非対称であってもよい。
【0057】
コンピューティングデバイス1000とのユーザ対話を可能にするために、入力デバイス1045は、音声用のマイクロフォン、ジェスチャ又はグラフィック入力用のタッチ感知式画面、キーボード、マウス、モーション入力、音声等の任意の数の入力機構を表し得る。出力ディスプレイ1035はまた、当業者に既知である幾つかの出力機構のうちの1つ以上であり得る。場合によっては、マルチモーダルシステムによって、ユーザがコンピューティングデバイス1000と通信するために複数のタイプの入力を提供することが可能になり得る。通信インターフェース1040は、一般に、ユーザ入力及びシステム出力を律したり管理したりし得る。特定のハードウェア構成での動作に制限はないため、ここでの基本機能は、開発時に改善されたハードウェア又はファームウェア構成に容易に置き換えられ得る。
【0058】
ストレージデバイス1030は、不揮発性メモリであり、ハードディスク、又は磁気カセット、フラッシュメモリカード、ソリッドステートメモリデバイス、デジタル多用途ディスク、カートリッジ、ランダムアクセスメモリ(RAM)1025、読み取り専用メモリ(ROM)1000、及びそれらのハイブリッドなど、コンピュータがアクセスできるデータを格納し得る他のタイプのコンピュータ読取可能媒体であり得る。
【0059】
ストレージデバイス1030は、プロセッサ1010を制御するためのソフトウェアモジュール1032、1034、1036を含み得る。他のハードウェア又はソフトウェアモジュールも企図されている。ストレージデバイス1030はシステムバス1005に接続され得る。一態様において、特定の機能を実行するハードウェアモジュールは、その機能を実行するために、プロセッサ1010、バス1005、ディスプレイ1035等の必要なハードウェアコンポーネントと併せて、コンピュータ読取可能媒体に格納されたソフトウェアコンポーネントを含み得る。
【0060】
図10Bは、説明された方法を実行し、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を生成及び表示する際に使用され得るチップセットアーキテクチャを有するコンピュータシステム1050を示している。コンピュータシステム1050は、開示された技術を実施するために使用され得るコンピュータハードウェア、ソフトウェア、及びファームウェアの一例である。システム1050は、特定された計算を実行するように構成されたソフトウェア、ファームウェア、及びハードウェアを実行できる任意の数の物理的及び/又は論理的に異なるリソースを表すプロセッサ1055を備え得る。プロセッサ1055は、プロセッサ1055への入力及びプロセッサ1055からの出力を制御し得るチップセット1060と通信し得る。この例において、チップセット1060は、ディスプレイ等の出力1065に情報を出力し、例えば磁気媒体及びソリッドステート媒体を含み得るストレージデバイス1070に対して情報を読み書きし得る。チップセット1060はまた、RAM1075に対してデータを読み書きし得る。チップセット1060とインターフェースするために、様々なユーザインターフェースコンポーネント1085とインターフェースするためのブリッジ1080が設けられ得る。そのようなユーザインターフェースコンポーネント1085としては、キーボード、マイクロフォン、タッチ検出及び処理回路、マウス等のポインティングデバイスなどが挙げられる。一般に、システム1050への入力は、機械生成及び/又は人間生成の様々なソースのいずれかからもたらされ得る。
【0061】
チップセット1060はまた、異なる物理的インターフェースを有し得る1つ以上の通信インターフェース1090とインターフェースし得る。そのような通信インターフェースとしては、有線及び無線ローカルエリアネットワーク、ブロードバンドワイヤレスネットワーク、及びパーソナルエリアネットワークのためのインターフェースが挙げられる。本明細書に開示されるGUIを生成、表示、及び使用するための方法の一部の用途は、物理的インターフェースを介して順序付けられたデータセットを受信すること、又はプロセッサ1055がストレージ1070若しくは1075に格納されたデータを分析することによって機械自体によって生成されることを含み得る。更に、本機械は、ユーザインターフェースコンポーネント1085を介してユーザからの入力を受け取り、プロセッサ1055を用いてこれらの入力を解釈することにより、閲覧機能等の適切な機能を実行し得る。
【0062】
例示的なシステム1000及び1050は、2つ以上のプロセッサ1010、又は1055を有し得る、又はより大きな処理能力を提供するために一緒にネットワーク化されたコンピューティングデバイスのグループ又はクラスターの一部であり得ることが理解されよう。
【0063】
説明を明確にするために、場合によっては、本技術は、デバイス、デバイスコンポーネント、ソフトウェアで具現化された方法におけるステップ又はルーチン、又はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを含む機能ブロックを含む個々の機能ブロックを含むものとして提示され得る。
【0064】
一部の実施形態において、コンピュータ可読ストレージデバイス、媒体、及びメモリは、ケーブル又はビットストリームなどを含む無線信号を含み得る。しかしながら、言及される場合、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、エネルギー、搬送波信号、電磁波、及び信号自体等の媒体を明示的に除外する。
【0065】
上記の例による方法は、コンピュータ読取可能媒体に格納されるか又はコンピュータ読取可能媒体から何らかの仕方で利用可能であるコンピュータ実行可能命令を用いて実施され得る。このような命令は、例えば、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は専用処理デバイスに特定の機能又は機能群を実施又は構成させる命令及びデータを含み得る。用いられるコンピュータリソースの一部は、ネットワークを介してアクセスできる。コンピュータ実行可能命令は、例えば、バイナリ、アセンブリ言語、ファームウェア、又はソースコード等の中間フォーマット命令であり得る。説明された例による方法中に、命令、用いられる情報、及び/又は作成された情報を格納するために使用され得るコンピュータ読取可能媒体の例としては、磁気又は光ディスク、フラッシュメモリ、不揮発性メモリを備えたユニバーサルシリアルバス(USB)デバイス、ネットワーク化されたストレージデバイス等が挙げられる。
【0066】
これらの開示による方法を実装するデバイスは、ハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを含むことができ、様々なフォームファクタのいずれかを取ることができる。このようなフォームファクタの典型的な例としては、ラップトップ、スマートフォン、スモールフォームファクタのパーソナルコンピュータ、携帯情報端末などが挙げられる。本明細書で説明される機能はまた、周辺機器又はアドインカードで具現化され得る。このような機能はまた、更なる例として、単一のデバイスで実行される異なるチップ又は異なるプロセスの中で回路基板上に実装され得る。
【0067】
命令、そのような命令を伝達するための媒体、それらを実行するためのコンピューティングリソース、及びそのようなコンピューティングリソースをサポートするための他の構造は、これらの開示で説明された機能を提供するための手段である。
【0068】
上記の開示された発明の主題は、例示的と見なされるべきであり、限定的と見なされるべきではなく、添付の特許請求の範囲は、本開示の真の趣旨及び範囲内にあるそのような全ての修正、強化、及び他の実施形態を包含することが意図されている。従って、法律で認められる最大限の範囲で、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物の最も広い許容可能な解釈によって決定され、上述の詳細な説明によって制限又は限定されないものとする。