(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】真空ポンプ及び/又は除害システムの制御装置に関連する方法
(51)【国際特許分類】
H04L 67/00 20220101AFI20240131BHJP
【FI】
H04L67/00
(21)【出願番号】P 2021530116
(86)(22)【出願日】2019-11-12
(86)【国際出願番号】 GB2019053203
(87)【国際公開番号】W WO2020109752
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-09-14
(32)【優先日】2018-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】507261364
【氏名又は名称】エドワーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】クルンドウェル ピーター レジナルド
(72)【発明者】
【氏名】モラン リチャード ジョン
(72)【発明者】
【氏名】スタマーズ ピーター ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】バーロウ スティーヴン グラハム
(72)【発明者】
【氏名】ハスレット ブレント
【審査官】木村 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-341024(JP,A)
【文献】特開平05-334228(JP,A)
【文献】特開2003-322389(JP,A)
【文献】特表2011-510600(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0245352(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0271924(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0006196(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 67/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュール式真空ポンプ及び/又は除害システムの制御装置に対して識別子を割り当てる方法であって、
前記モジュール式真空ポンプ及び/又は除害システムの第1の制御装置によって、第1の識別子が前記モジュール式真空ポンプ及び/又は除害システムの第2の制御装置に割り当てられることを決定するステップであって、前記第2の制御装置は、前記モジュール式真空ポンプ及び/又は除害システムのモジュールに位置する、ステップと、
前記第1の制御装置によって、前記第1の識別子を示す第1の信号を前記第2の制御装置に送るステップと、
前記モジュールに結合したユーザー入力デバイスによってユーザー入力を受け取るステップと、
前記第2の制御装置によって、前記ユーザー入力に応答して、前記第1の識別子をその識別子として採用するステップと、を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1の識別子が前記第2の制御装置に割り当てられるという前記決定に応答して、ユーザーインタフェースによって、前記第2の制御装置に前記第1の識別子が割り当てられるという指示を表示するステップをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の制御装置によって前記第1の制御装置に対して、前記第2の制御装置がその識別子として前記第1の識別子を採用したという確認応答を送るステップをさらに含む、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の制御装置によって、接続を介して前記第2の制御装置に接続された第3の制御装置が存在することを決定するステップと、
前記第1の制御装置によって、第2の識別子を示す第2の信号を前記第2の制御装置及び前記第3の制御装置に送るステップであって、前記第2の信号が、前記第2の制御装置と前記第3の制御装置との間の前記接続も示す、ステップと、
前記第2の制御装置によって、前記第2の制御装置と前記第3の制御装置との間の前記接続を介して、信号を前記第3の制御装置に送るステップと、
前記接続によって送信された前記信号に応答して、前記第3の制御装置によって、前記第2の識別子をその識別子として採用するステップと、をさらに含む、
請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第3の制御装置によって前記第1の制御装置に対して、前記第3の制御装置がその識別子として前記第2の識別子を採用したという確認応答を送るステップをさらに含む、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第3の制御装置が、その識別子として前記第2の識別子を採用したという確認応答に応答して、前記第1の制御装置によって、
前記第2の識別子
とは異なるさらなる識別子を示す、
さらなる信号を前記第2の制御装置及び
前記第3の制御装置とは異なる、前記モジュール式真空ポンプ及び/又は除外システムの前記モジュールに位置するさらなる制御装置に送るステップであって、前記さらなる信号が、前記第2の制御装置と前記さらな
る制御装置との間の接続を示す、ステップと、
前記第2の制御装置によって、前記第2の制御装置と前記さらな
る制御装置との間の接続を介して、さらなる信号を前記さらな
る制御装置に送るステップと、
前記第2の制御装置と前記さらな
る制御装置との間の接続を介して送られた前記さらなる信号に応答して、前記さらな
る制御装置によって、前記
さらなる識別子をその識別子として採用するステップと、をさらに含む、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記さらな
る制御装置によって前記第1の制御装置に対して、前記さらなる制御装置が前記さらなる識別子をその識別子として採用したというさらなる確認応答を送るステップをさらに含む、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の信号の伝達に応答してタイマーを起動するステップをさらに含み、ユーザー入力が前記タイマーの起動から所定の時間内に前記ユーザー入力デバイスで受け取られた場合に、前記第2の制御装置のみが前記第1の識別子をその識別子として採用する、
請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記ユーザー入力デバイスはボタンであり、前記ユーザー入力は、前記ボタンを押すことから成る、
請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記ユーザー入力デバイスは、発光デバイスを備える、
請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の制御装置は、前記モジュール式真空ポンプ及び/又は除害システムの全て又はその一部の動作を制御するように構成される、
請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記第2及び第3の制御装置は、前記モジュール式真空ポンプ及び/又は除害システムのモジュールのうちの1つのみの動作を制御するように構成されたモジュール制御システムの一部である、
請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1及び第2の制御装置は、通信ネットワークを介して相互に接続される、
請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
モジュール式真空ポンプ及び/又は除害システムの制御装置に対して識別子を割り当てるためのシステムであって、
第1の制御装置と、
前記モジュール式真空ポンプ及び/又は除害システムのモジュールに配置された第2の制御装置と、
前記モジュールに結合されたユーザー入力デバイスと、を備え、
前記システムは、請求項1に記載の方法を実行するように構成される、システム。
【請求項15】
請求項14に記載のシステムで構成されるモジュール式真空ポンプ及び/又は除害システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空ポンプ及び/又は除害システムの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
真空ポンプ及び/又は除害システムは、半導体製造などの様々な技術分野で用いられている。一般に、このシステムでは、真空ポンプ装置は、特定の場所からガスを(例えば、工業プロセスからガスを)排出するために使用され、除害装置は、生成された望ましくない物質(例えば、排気ガス)を除害する(例えば、破棄又は廃棄する)ために使用される。
【0003】
関連するプロセスに応じて、真空ポンピング及び除害に関する様々な基準があるはずである。例えば、一般に、様々なプロセスガス、様々なガス圧、様々なガス流を含む様々なプロセスに関して様々な真空ポンプ装置及び様々な除害装置を使用することが望ましい。また、一般に、様々な望ましくない物質を廃棄又は廃棄するために様々な除害装置を使用することが好ましい。
【0004】
一般に、真空ポンプ及び/又は除害システムは、使用されることなる特定のプロセスに応じて特注で設計される。しかしながら、このような特注システムの設計、製造、及び設置に費やされる時間は、一般に、様々なプロセスが様々な真空ポンプ及び除害システムの解決手法を必要とするので長期にわたる。
【0005】
真空ポンプ及び/又は除害装置に加えて、真空ポンプ及び/又は除害システムは、一般に、システム運用を制御するための電子制御装置も含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、モジュール式真空ポンプ及び/又は除害システムの制御装置に対して識別子を割り当てる方法が提供され、本方法は、モジュール式真空ポンプ及び/又は除害システムの第1の制御装置によって、第1の識別子がモジュール式真空ポンプ及び/又は除害システムの第2の制御装置に割り当てられることを決定するステップであって、第2の制御装置は、モジュール式真空ポンプ及び/又は除害システムのモジュールに位置する、ステップと;第1の制御装置によって、第1の識別子を示す第1の信号を第2の制御装置に送るステップと;モジュールに結合したユーザー入力デバイスによってユーザー入力を受け取るステップと;第2の制御装置によって、ユーザー入力に応答して、第1の識別子をその識別子として採用するステップと、を含む。
【0007】
本方法は、第1の識別子が第2の制御装置に割り当てられるという決定に応答して、ユーザーインタフェースによって、第2の制御装置に第1の識別子が割り当てられるという指示を表示するステップをさらに含むことができる。
【0008】
本方法は、第2の制御装置によって第1の制御装置に対して、第2の制御装置がその識別子として第1の識別子を採用したという確認応答を送るステップをさらに含むことができる。
【0009】
本方法は、第1の制御装置によって、接続を介して第2の制御装置に接続された第3の制御装置が存在することを決定するステップと;第1の制御装置によって、第2の識別子を示す第2の信号を第2の制御装置及び第3の制御装置に送るステップであって、第2の信号が、第2の制御装置と第3の制御装置との間の接続も示す、ステップと;第2の制御装置によって、第2の制御装置と第3の制御装置との間の接続を介して、信号を第3の制御装置に送るステップと;接続によって送信された信号に応答して、第3の制御装置によって、第2の識別子をその識別子として採用するステップと、をさらに含むことができる。
【0010】
本方法は、第3の制御装置によって第1の制御装置に対して、第3の制御装置がその識別子として第2の識別子を採用したという確認応答を送るステップをさらに含むことができる。
【0011】
本方法は、第3の制御装置が、その識別子として第2の識別子を採用したという確認応答に応答して、第1の制御装置によって、さらなる第2の識別子を示すさらなる第2の信号を第2の制御装置及びさらなる第3の制御装置に送るステップであって、さらなる第2の信号が、第2の制御装置とさらなる第3の制御装置との間の接続を示す、ステップと;第2の制御装置によって、第2の制御装置とさらなる第3の制御装置との間の接続を介して、さらなる信号をさらなる第3の制御装置に送るステップと;第2の制御装置とさらなる第3の制御装置との間の接続を介して送られたさらなる信号に応答して、さらなる第3の制御装置によって、さらなる第2の識別子をその識別子として採用するステップと、をさらに含むことができる。
【0012】
本方法は、さらなる第3の制御装置によって第1の制御装置に対して、さらなる第3の制御装置がさらなる第2の識別子をその識別子として採用したというさらなる確認応答を送るステップをさらに含むことができる。
【0013】
本方法は、第1の信号の伝達に応答してタイマーを起動するステップをさらに含むことができる。ユーザー入力がタイマーの起動から所定の時間内にユーザー入力デバイスで受け取られた場合に、第2の制御装置のみが第1の識別子をその識別子として採用することができる。
【0014】
ユーザー入力デバイスはボタンとすることができる。ユーザー入力は、ボタンを押すことから成ることができる。
ユーザー入力デバイスは、発光デバイスを備えることができる。
【0015】
第1の制御装置は、モジュール式真空ポンプ及び/又は除害システムの全て又はその一部の動作を制御するように構成することができる。
【0016】
第2及び第3の制御装置は、モジュール式真空ポンプ及び/又は除害システムのモジュールのうちの1つのみの動作を制御するように構成されたモジュール制御システムの一部とすることができる。
【0017】
第1及び第2の制御装置は、通信ネットワークを介して相互に接続することができる。
【0018】
第1の信号は、同報通信信号とすることができる。
第2の信号は、同報通信信号とすることができる。
【0019】
本発明の第2の態様によれば、モジュール式真空ポンプ及び/又は除害システムの制御装置に対して識別子を割り当てるためのシステムが提供され、本システムは、第1の制御装置と;モジュール式真空ポンプ及び/又は除害システムのモジュールに配置された第2の制御装置と;モジュールに結合されたユーザー入力デバイスと、を備え、本システムは、第1の態様による方法を実行するように構成される。
【0020】
本発明の第2の態様によれば、第2の態様によるシステムを備えるモジュール式真空ポンプ及び/又は除害システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】真空ポンプ及び/又は除害システムを示す概略図(正確な縮尺ではない)である。
【
図2】真空ポンプ及び/又は除害システムの制御装置の概略図(正確な縮尺ではない)である。
【
図3】真空ポンプ及び/又は除害システムのモジュール制御システムの制御装置に識別子を割り当てる方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、モジュール式真空ポンプ及び/又は除害システム2を示す概略図(正確な縮尺ではない)である。システム2は、システム2とエンティティ4との間の1又は2以上の流体入力ライン6(一般に「フォアライン」と呼ばれる)によってエンティティ4に流体的に接続される。例えば、エンティティ4は、半導体製造などの工業プロセスで使用されるチャンバ又は空間とすることができる。また、システム2は、排気ライン8に流体的に接続される。
【0023】
作動時、システム2は、流体入力ライン6によってエンティティ4のガスを排出する、及び/又は排出されるガス内に存在する可能性があるエンティティ4によって生じる望ましくない物質を除害する(例えば、破棄又は廃棄する)。また、システム2は、システム2の排気ガス(すでに除害プロセスを受けているガスとすることができる)を排気ライン8に排出し、結果的に排気ガスをシステム2から除去する。
【0024】
システム2は、複数のモジュール10を備え、これらは、「ユニット」又は「スライス」とも呼ぶことができる。各モジュール10は、1又は2以上の装置12を備える。各装置12は、システム2の中でそれぞれの機能を果たすように構成される。例えば、装置12は、エンティティ4からガスを排出する真空ポンプ、エンティティ4で生じた望ましくない物質を除害するための除害装置、又は特定の周波数のAC電力を他の周波数のAC電力に変換するためのインバーターとすることができる。しかしながら、1又は2以上の装置12はこれらに限定されない。一般に、装置12の各々は、真空ポンプ及び/又は除害システムで使用される何らかの装置とすることができる。一部の実施形態において、2又は3以上の装置12は、実質的に同じである、及び/又は互いに実質的に同じ機能を果たす。
【0025】
上述のように、システム2は、システム2の動作を制御するための複数の電子制御装置を含む。これらの制御装置は、
図2を参照して詳細に説明する。
図2は、真空ポンプ及び/又は除害システム2の複数の制御装置を示す概略図(正確な縮尺ではない)である。
【0026】
この実施形態において、システム2は、中央制御装置22、ユーザーインタフェース23、及び複数のモジュール制御システム24を備える。理解を容易にして明瞭化のために、
図2には1つのモジュール制御システム24だけが詳細に示されている。
【0027】
中央制御装置22は、真空ポンプ及び/又は除害システム2の全て又は一部の動作を制御するように構成される。例えば、中央制御装置22は、真空ポンプ及び/又は除害システム2の複数の異なるモジュール10の装置12を制御するように構成することができる。この実施形態において、中央制御装置22は、システム2のモジュール10のうちの1つに(例えば、その中に又は上に)位置する。ユーザーインタフェース23は、ユーザーインタフェースリンク25によって中央制御装置22に接続する。ユーザーインタフェースリンク25は、有線又は無線リンクとすることができる。ユーザーインタフェース23は、ユーザーから1又は2以上のユーザー入力を受け取り、受け取った1又は2以上のユーザー入力に基づいて、ユーザーインタフェースリンク25を介して、1又は2以上の信号を中央制御装置22に送ることができる。中央制御装置22は、ユーザーインタフェース23から受け取った1又は2以上の信号に応答しかつそれに依存して1又は2以上のアクションを行うように構成される。このように、ユーザーは、ユーザーインタフェース23を用いて中央制御装置22に対して1又は2以上のアクションを行うように命令することができる。ユーザーインタフェース23は、何らかの適切なユーザーインタフェース(例えば、タッチスクリーン又はキーボード及びモニター)とすることができる。
【0028】
この実施形態において、各モジュール制御システム24は、真空ポンプ及び/又は除害システム2のモジュール10のうちの1つだけの動作を制御するように構成される。作動時、各モジュール制御システム24は、真空ポンプ及び/又は除害システム2の異なるそれぞれのモジュール10を制御するように構成される。より詳細には、各モジュール制御システム24は、モジュール制御システム24が制御するように構成されるモジュール10の1又は2以上の装置12の各々を制御するように構成される。各モジュール制御システム24は、これが制御するように構成されるモジュール10に(その中に又は上に)位置する。この実施形態において、各モジュール制御システム24は、中央制御装置22から遠く離れて位置する(すなわち、中央制御装置22が位置するモジュール10に対して異なるモジュール10に)。
【0029】
各モジュール制御システム24は、モジュールマスター制御装置28、複数のモジュールスレーブ制御装置30、及びユーザー入力デバイス32を備える。
モジュールマスター制御装置28は、モジュール制御システム24が制御するように構成されるモジュール10の1又は2以上の装置12を制御するように構成される。各モジュールスレーブ制御装置30は、モジュール制御システム24が制御するように構成されるモジュール10の異なるさまざまな装置12を制御するように構成される。モジュールスレーブ制御装置30によって制御される装置12は、モジュールマスター制御装置28によって制御されず、逆も同様である。
【0030】
中央制御装置22及び複数のモジュール制御システム24は、通信ネットワーク26を介して互いに接続される。より詳細には、中央制御装置22、モジュール制御システム24のモジュールマスター制御装置28、及びモジュール制御システム24のモジュールスレーブ制御装置30は、通信ネットワーク26を介して相互接続される。中央制御装置22、モジュール制御システム24のモジュールマスター制御装置28、及びモジュール制御システム24のモジュールスレーブ制御装置30は、通信ネットワーク26を介して、1又は2以上の信号を互いに送るように構成される。また、中央制御装置22、モジュール制御システム24のモジュールマスター制御装置28、及びモジュール制御システム24のモジュールスレーブ制御装置30は、通信ネットワーク26を介して互いから1又は2以上の信号を受け取るように構成される。換言すると、中央制御装置22、モジュール制御システム24のモジュールマスター制御装置28、及びモジュール制御システム24のモジュールスレーブ制御装置30は、通信ネットワーク26を介して、双方向通信の状態にある。この実施形態において、通信ネットワーク26は、有線通信ネットワーク(例えば、イーサネットワーク(登録商標))である。
【0031】
各モジュール制御システム24のモジュールマスター制御装置28及びモジュールスレーブ制御装置30は、複数の第1の接続34を介して相互に接続される。例えば、第1の接続34の各々は、個別のデジタル接続とすることができる。より詳細には、各モジュールスレーブ制御装置30は、それぞれの第1の接続34を介してモジュールマスター制御装置28に接続される。モジュールマスター制御装置28は、それぞれの第1の接続34を介して、1又は2以上の信号を各モジュールスレーブ制御装置30の送るように構成される。この実施形態において、第1の接続34は、有線接続(例えば、電気ケーブル)である。各第1の接続34は、モジュールマスター制御装置28のそれぞれの出力(例えば、デジタル出力)をモジュールスレーブ制御装置30のうちの1つのそれぞれの入力(例えば、デジタル入力)に接続する。第1の接続34の使用方法は、
図3を参照して以下に詳細に説明する。
【0032】
ユーザー入力デバイス32は、第2の接続35を介してモジュールマスター制御装置28に接続される。例えば、第2の接続35は、個別のデジタル接続とすることができる。ユーザー入力デバイス32は、ユーザーからのユーザー入力を受け取るように構成される。また、ユーザー入力デバイス32は、受け取ったユーザー入力に応答して、第2の接続35を介して信号をモジュールマスター制御装置28に送るように構成される。また、ユーザー入力デバイス32は、モジュール制御システム24が制御するように構成されるモジュール10に結合する(例えば、機械的に結合する)。また、ユーザー入力デバイス32は、モジュール制御システム24が制御するように構成されるモジュール10に(例えば、その中に又は上に)位置する。ユーザー入力デバイス32及び第2の接続35の使用方法は、
図3を参照して以下に詳細に説明する。
【0033】
この実施形態において、ユーザー入力デバイス32は、ユーザー入力デバイス32から光を発して、ユーザーがユーザー入力デバイス32をはっきり見ることができるように構成される発光デバイス(図示せず)を備える。この実施形態において、ユーザー入力デバイス32は、ユーザーがユーザー入力を提供するために操作可能なボタンを備える(すなわち、ボタンを押すことで)。
【0034】
上述の制御装置の各々は、コンピューターメモリ、コンピューターディスク、ROM、PROMなど、又はこれらの組み合わせ又は他の記憶媒体である機械可読記憶媒体の中に又はその上に記憶された、コンピュータープログラム又は複数のコンピュータープログラムの形態の命令及び/又はデータを含む、命令を実行してデータを使用するための1又は2以上のプロセッサを備える。また、各制御装置は、命令及び/又はデータを記憶するためのコンピューター可読記憶媒体を備える。真空ポンプ及び/又は除害システム2の設置時、識別子(例えば、ユニークネーム又はアドレス)は、各モジュール制御システム24のモジュールマスター制御装置28に割り当てられるので、モジュールマスター制御装置28は、通信時にシステム2の他の制御装置によって識別され得る。また、それぞれの識別子は、各モジュール制御システム24のモジュールスレーブ制御装置30の各々に割り当てられるので、モジュールスレーブ制御装置30は、通信時にシステム2の他の制御装置によって識別され得る。各識別子は、真空ポンプ及び/又は除害システム2内の特定の物理的な位置(例えば、特定のモジュール)に関連付けることができるので、識別子が割り当てられると、各制御装置は、同様に特定の物理的な位置に関連付けされる。この識別子を制御装置に割り当てるプロセスは、制御装置の「コミッショニング」呼ぶこともできる。
【0035】
コミッショニングの目的で、中央制御システム22は、中央制御システム22が真空ポンプ及び/又は除害システム2内の制御装置の全てが配列される方法を決定するのを可能にする事前に記憶された情報を備える。より詳細には、事前に記憶された情報は、真空ポンプ及び/又は除害システム2内のモジュール10のリスト、真空ポンプ及び/又は除害システム内のマスター制御装置28及びこれに関連するモジュール10のリスト、真空ポンプ及び/又は除害システム2内のスレーブ制御装置30及びこれに関連するマスター制御装置28のリスト、及びマスター制御装置28の各々の出力のリストを備える。また、事前に記憶された情報は、真空ポンプ及び/又は除害システム2内の制御装置に割り当てられることになる複数の識別子を備える。モジュール制御システム24のうちの1つの制御装置に対して識別子を割り当てる方法は、
図3を参照して以下に説明する。この方法は、真空ポンプ及び/又は除害システム2の他のモジュール制御システム24の各々でも実行することができるが(例えば、連続して繰り返して)、理解を容易にして明瞭化するために、
図3を参照して唯一のモジュール制御システム24のコミッショニングを説明することを理解されたい。
【0036】
図3は、モジュール制御システム24のうちの1つ(これは、以下、「現在の」モジュール制御システム24と呼ぶ)の制御装置28、30に識別子を割り当てる方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【0037】
ステップs2において、中央制御装置22は、現在のモジュール制御システム24の制御装置28、30の各々がそれぞれの識別子に割り当てられていることを決定する。より詳細には、中央制御装置22は、上述の事前に記憶された情報内のリストからモジュール10のうちの1つを選択して、選択されたモジュール10のモジュール制御システム24が、コミッショニングが実行されることになる現在のモジュール制御システム24であると決定する。
【0038】
ステップs4において、ステップs2の決定に応答して、ユーザーインタフェース23は、現在のモジュール制御システム24の制御装置28、30に識別子が割り当てられることになる指示を表示する。例えば、ユーザーインタフェース23は、真空ポンプ及び/又は除害システム2のモジュール10のリストを表示して、現在のモジュール制御システム24が制御するように構成されたモジュール10を強調する。
【0039】
ステップs6において、中央制御装置22は、通信ネットワーク26を介して、真空ポンプ及び/又は除害システム2内の制御装置の全てに第1の同報通信信号を送る。従って、モジュールマスター制御装置28は、通信ネットワーク26を介して第1の同報通信信号を受け取る。第1の同報通信信号は、第1の識別子を示す。加えて、第1の同報通信信号は、識別子が割り当てられていないモジュール制御システム24の全てのユーザー入力デバイス32の発光デバイスがOFF状態からON状態に切り替えられて発光するようにする(現在のモジュール制御システム24のユーザー入力デバイス32の発光デバイスを含む)。
【0040】
ステップs8において、ユーザーは、ユーザーインタフェース23上に表示された指示を観察して、現在のモジュール制御システム24のユーザー入力デバイス32の位置を見つける。ステップs6でオンに切り替わったユーザー入力デバイス32の発光デバイスから放出された光は、ユーザーが現在のモジュール制御システム24のユーザー入力デバイス32を見つけるのを助ける。次に、ユーザーは、現在のモジュール制御システム24のユーザー入力デバイス32でユーザー入力を提供する。ユーザー入力デバイス32は、ユーザー入力を受け取り、第2の接続35を介して、ユーザー入力を示す信号をモジュールマスター制御装置28に送る。この実施形態において、ユーザー入力デバイス32はボタンを備え、ユーザーは、このボタンを押すことでユーザー入力を提供する。
【0041】
ステップs10において、モジュールマスター制御装置28(第1の同報通信信号を受け取っている)は、ユーザー入力を示す信号を受け取ることに応答して、第1の識別子をその識別子として採用する。例えば、モジュールマスター制御装置28は、第1の識別子をそのメモリに記憶し、第1の識別子にアドレス指定された命令又は要求に応答して自身を構成することができる。また、モジュールマスター制御装置28は、自身のステータスを、「任命されていない(un-commissioned)」から「任命された(commissioned)」に変更し(すなわち、そのメモリに識別子が割り当てられたことを示す情報を記憶することで)、そのユーザー入力デバイス32の発光デバイスをオフに切り替える。加えて、現在のモジュール制御システムのユーザー入力デバイス32は、その発光デバイスが他のモジュール10の制御装置の後続のコミッショニングの間に再度オンに切り替わらないように、マスター制御装置28によって無効にされる。換言すると、発光デバイスは他のモジュール10の制御装置の後続のコミッショニングの間にOFF状態のままであり、これにより、ユーザーに対して現在のモジュール制御システム24がすでに任命されていることを示すようになっている。
【0042】
ステップs12において、モジュールマスター制御装置28は、通信ネットワーク26を介して、中央制御装置22に対してモジュールマスター制御装置28がその識別子として第1の識別子を採用したという確認応答を送る。確認応答は、中央制御装置22のアドレスを用いて中央制御装置22に送られ、これは第1の同報通信信号の中に示される。このように、中央制御装置22は、モジュールマスター制御装置28からモジュールマスター制御装置28に対する第1の識別子の割り当てが成功裏に完了したことが知らされる。
【0043】
ステップs14において、中央制御装置22は、現在のモジュール制御システム24が何らかのモジュールスレーブ制御装置30を備えるか否かを決定する。換言すると、中央制御装置22は、1又は2以上の第1の接続34を介してモジュールマスター制御装置28に接続された何らかのモジュールスレーブ制御装置30が存在するか否かを決定する。この実施形態において、この決定は、現在のモジュール制御システム24が何らかのモジュールスレーブ制御装置30を備えるか否かを示す中央制御装置22に事前に記憶された情報に基づいて行われる。
【0044】
中央制御装置22が、モジュールスレーブ制御装置30が存在しないと決定すると、中央制御装置22は、現在のモジュール制御システム24に対する識別子の割り当てが完了したと決定し、本方法は終了する。他方で、中央制御装置22が、1又は2以上のモジュールスレーブ制御装置30が存在すると決定すると、本方法はステップs16に進む。
【0045】
ステップs16において、中央制御装置22は、通信ネットワーク26を介して、真空ポンプ及び/又は除害システム2内の制御装置の全てに第2の同報通信信号を送る。従って、モジュールマスター制御装置28及びモジュールスレーブ制御装置30は、通信ネットワーク26を介して、第2の同報通信信号を受け取る。第2の同報通信信号は、第2の識別子を示す。また、第2の同報通信信号は、上述の事前に記憶された情報内のマスター制御装置28の出力のリストから、マスター制御装置28の出力のうちの1つを示す。示された出力は第1の接続34のうちの1つに対応するので、同様に、第2の同報通信信号は、モジュールマスター制御装置28とモジュールスレーブ制御装置30との間の第1の接続34を示す。
【0046】
ステップs18において、第2の同報通信信号に応答して、モジュールマスター制御装置28は、示された第1の接続34を介して、モジュールマスター制御装置28に示された第1の接続34を介して接続されたモジュールスレーブ制御装置30に信号を送る。より詳細には、第2の同報通信信号に応答して、モジュールマスター制御装置28は、示された第1の接続34に対応する示された出力を有効にし、それによって信号を示された第1の接続34を介して、モジュールマスター制御装置28に示された第1の接続34を介して接続されたモジュールスレーブ制御装置30の入力に送る。
【0047】
ステップs20において、示された第1の接続34を介して送られた信号に応答して、示された第1の接続34を介してモジュールマスター制御装置28に接続されたモジュールスレーブ制御装置30は、第2の識別子をその識別子として採用する。例えば、モジュールスレーブ制御装置30は、第2の識別子をメモリに記憶し、第2の識別子にアドレス指定された命令又は要求に応答して自身を構成することができる。また、モジュールスレーブ制御装置30は、自身のステータスを、「任命されていない」から「任命された」に変更する。
【0048】
ステップs22は、モジュールスレーブ制御装置30は、通信ネットワーク26を介して、中央制御装置22に対して第2の識別子をその識別子として採用したという確認応答を送る。確認応答は、中央制御装置22のアドレスを用いて中央制御装置22に送られ、これは第2の同報通信信号の中に示される。このように、中央制御装置22は、モジュールスレーブ制御装置30からモジュールスレーブ制御装置30に対する第2の識別子の割り当てが成功裏に完了したことが知らされる。
【0049】
ステップs24において、中央制御装置22は、現在のモジュール制御システム24が何らかの他のモジュールスレーブ制御装置30を備えるか否かを決定する。中央制御装置22が、現在のモジュール制御システム24内に1又は2以上の他のモジュールスレーブ制御装置30が存在すると決定すると、本方法は他のモジュールスレーブ制御装置30のためにステップs16に戻る。中央制御装置22が現在のモジュール制御システム24内にそれ以上のモジュールスレーブ制御装置30がないと決定すると、中央制御装置22は、現在のモジュール制御システム24に対する識別子の割り当てが成功裏に完了したと決定し、本方法は終了する。
【0050】
このように、ステップs16からs22は、現在のモジュール制御システム24のジュールスレーブ制御装置30の全てに異なるさまざまな第2の識別子が割り当てられるまで、現在のモジュール制御システム24のモジュールスレーブ制御装置30の各々に関して連続的に繰り返される。
【0051】
図3のフローチャートに示されて上記に説明される処理ステップの一部は、省略すること又は上記の
図3に示されたものとは異なる順番で実行することができることを理解されたい。さらに、便宜上理解を容易にするために、処理ステップは、個別の時間的に連続するステップとして示されているが、一部の処理ステップは、実際には、同時に又は少なくとも時間的にある程度重複して実行することができる。
【0052】
上述のように、上記の方法の完了後、同じ方法が次のモジュール制御システムのために繰り返され、その後、真空ポンプ及び/又は除害システム2のモジュール制御システムの全ての制御装置に識別子が割り当てられるまで、次のモジュール制御システムが続く。
従って、真空ポンプ及び/又は除害システム2の制御装置に対して識別子を割り当てる方法が提供される。
【0053】
好都合には、上述の方法は、各モジュールの制御装置が各モジュールにおいて単一のユーザー入力を用いて識別子を割り当てることができるので、真空ポンプ及び/又は除害システムの制御装置のコミッショニングを有効な方法で実行するのを可能にするのに役立つ。
【0054】
好都合には、上述の方法は、各モジュールの制御装置が他のモジュールの制御装置とは別に識別子を割り当てることができるので、真空ポンプ及び/又は除害システムのモジュール性を助長するのに役立つ。
【0055】
好都合には、上述の方法は、モジュールマスター制御装置及びモジュールスレーブ制御装置がそれらの位置及び/又は識別情報に関する何らかの最初から組み込まれた情報をもたないことを可能にするのに役立つので、これらの制御装置に汎用の制御装置を用いることができる。
【0056】
上記の実施形態において、通信ネットワークは有線式通信ネットワークである。しかしながら、他の実施形態において、通信ネットワークは、その代わりに無線式通信ネットワークである。
【0057】
上記の実施形態において、ユーザー入力デバイスはボタンである。しかしながら、他の実施形態において、ユーザー入力デバイスは、その代わりに他の種類のユーザー入力デバイスである(例えば、音声制御式ユーザー入力デバイス)。
【0058】
上記の実施形態において、モジュールスレーブ制御装置は、第1の接続を介してモジュールマスター制御装置から受け取った信号に応答して、第2の識別子を採用する。しかしながら、他の実施形態において、第1の接続は省略され、モジュールスレーブ制御装置は、その代わりに、それぞれの追加のユーザー入力デバイスで提供されたユーザー入力に応答して第2の識別子を採用する(モジュールマスター制御装置が第1の識別子を採用する方法と同じやり方で)。これらの実施形態において、モジュールスレーブ制御装置は、モジュールマスター制御装置に関与することなく第2の識別子が割り当てられる。
【0059】
一部の実施形態において、ユーザー入力デバイスでユーザー入力を提供するためのタイムアウト時間が存在する。これらの実施形態において、上述のステップs6に応答して、タイマーが起動する(例えば、中央制御装置22によって)。ユーザーが、タイマー起動から所定の時間内にユーザー入力デバイスでユーザー入力を提供しない場合、本方法は終了する。他方で、ユーザーが、タイマー起動から所定の時間内にユーザー入力デバイスでユーザー入力を提供する場合、本方法は、上述のステップs10から継続する。換言すると、これらの実施形態において、タイマー起動から所定の時間内にユーザー入力デバイスでユーザー入力が受け取られた場合、モジュールマスター制御装置のみが第1の識別子をその識別子として採用する。
一部の実施形態において、モジュールスレーブ制御装置は省略され、モジュールマスター制御装置のみに識別子が割り当てられる。
【符号の説明】
【0060】
2 モジュール式真空ポンプ及び/又は除害システム
4 エンティティ
6 流体入力ライン
8 排気ライン
10 モジュール
12 装置
22 中央制御装置
23 ユーザーインタフェース
24 モジュール制御システム
25 ユーザーインタフェースリンク
26 通信ネットワーク
28 モジュールマスター制御装置
30 モジュールスレーブ制御装置
32 ユーザー入力デバイス
34 第1の接続
35 第2の接続