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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】ホステムサビルの調製方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20240131BHJP
   C07D 307/52 20060101ALI20240131BHJP
   C07D 491/048 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
C07D471/04 104Z
C07D307/52
C07D491/048
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021541041
(86)(22)【出願日】2020-01-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-09
(86)【国際出願番号】 IB2020050312
(87)【国際公開番号】W WO2020148679
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2023-01-13
(31)【優先権主張番号】62/793,462
(32)【優先日】2019-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516302052
【氏名又は名称】ヴィーブ ヘルスケア ユーケー(ナンバー4)リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハーサニル,アンタル
(72)【発明者】
【氏名】サール,アンドリュー デイヴィッド
【審査官】阿久津 江梨子
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-508071(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105669686(CN,A)
【文献】国際公開第2008/120761(WO,A1)
【文献】特表2005-501019(JP,A)
【文献】国際公開第98/02433(WO,A1)
【文献】Journal of Medicinal Chemistry,2018年,Vol. 61, No. 1,p. 62-80
【文献】Organic Process Research & Development,2017年,Vol. 21, No. 8,p. 1131-1136
【文献】Journal of the Chemical Society, Perkin Transactions 1,1986年,No. 8,p. 877-883
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 471/04
C07D 307/52
C07D 491/048
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式IV
【化1】
(式中、P1はH又は適切な保護基である。)
の化合物を調製する方法であって、
式I
【化2】
(式中、P2は、H又は適切な保護基であり、R1は、H又はC1-6アルキルである。)
の化合物を調製することを含む方法。
【請求項2】
式Iの化合物を式II
【化3】
(式中、各P2は、独立してH又は適切な保護基である。)
の化合物に変換することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式IIの化合物を式III
【化4】
(式中、各P1及びP2は、独立してH又は適切な保護基である。)
の化合物に変換することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
R1がH又はC1-3アルキルである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
R1がH又はエチルである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
各P1が、独立してH又はスルホニル基である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
各P1が、独立してH又はメシレート基、ベシレート基、若しくはトシレート基である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
各P2が、独立してH又はアルキルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、1~3個のハロゲンで任意選択により置換されたアセチル、スルホニル、アルキル、又はベンジル基である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
各P2が、独立してH又は-C(O)-O-C1-4アルキル、-C(O)-C1-4アルキル、-C(O)-C1-4ハロアルキル、メシレート、ベシレート、トシレート、C1-6アルキル、又は-C1-6アルキル-アリールである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
式IVの化合物をテムサビル、ホステムサビル、又はその薬学的に許容される塩に変換することをさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホステムサビル(Fostemsavir)を調製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
HIV感染症は依然として大きな医療問題である。HIV感染症を治療する可能性のある化合物の1つのクラスは、HIV付着阻害剤である。これらは、HIV表面糖タンパク質gp120に結合し、表面タンパク質gp120と宿主細胞受容体CD4の間の相互作用を妨害する化合物である。したがって、HIVがヒトCD4 T細胞に付着するのを防ぎ、HIVライフサイクルの最初の段階でHIV複製をブロックする。
【0003】
HIV感染症の治療薬として有望であることが示されているHIV付着阻害剤化合物の1つは、ホステムサビルである。ホステムサビルは、例えば、US7,745,625に記載されている。ホステムサビルを調製する方法は、例えば、US7,745,625、並びにWO2012/106189、WO2013/119625、及びWO2016/100633に記載されている。
【0004】
ホステムサビルは、テムサビル(Temsavir)のプロドラッグである。テムサビルは、例えばUS7,354,924に記載されている。テムサビルを調製する方法は、例えば、US7,354,924やWO2007/002308に記載されている。
【0005】
テムサビルとホステムサビルの調製の中間体は、下記の化合物:
【化1】
(式中、Pは、メシレート、トシレート、又はベシレート等の適切な保護基である。)
である。
【発明の概要】
【0006】
簡単に言うと、一つの態様において、本発明は、式IV
【化2】
(式中、P1は、H又は適切な保護基である。)
の化合物を調製する方法であって、
式I
【化3】
(式中、P2は、H又は適切な保護基であり、R1は、H又はC1-6アルキルである。)
の化合物を調製することを含む方法を開示する。
【0007】
式IVの化合物は、既知の方法、例えば「背景技術」の項で参照した方法を用いて、テムサビル、ホステムサビル、及びそれらの様々な塩に変換することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
好ましくは、本発明の方法は、式Iの化合物を式II
【化4】
(式中、各P2は、独立してH又は適切な保護基である。)
の化合物に変換することをさらに含む。
好ましくは、本発明の方法は、式IIの化合物を式III
【化5】
(式中、各P1及びP2は、独立してH又は適切な保護基である。)
の化合物に変換することをさらに含む。
【0009】
保護基は当技術分野ではよく知られており、当業者である化学者であれば適切な保護基を選ぶことができるだろう。
【0010】
好ましくは、P1は、H又はスルホニル基である。より好ましくは、P1は、H又はメシレート基、ベシレート基、若しくはトシレート基である。
【0011】
好ましくは、P2は、H又はアルキルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、1~3個のハロゲンで任意選択により置換されたアセチル、スルホニル、アルキル、C1-6アルキル、若しくはベンジル基である。より好ましくは、P2は、H又は-C(O)-O-C1-4アルキル、-C(O)-C1-4アルキル、-C(O)-C1-4ハロアルキル、メシレート、ベシレート、トシレート、C1-6アルキル、若しくは-C1-6アルキル-アリールである。
【0012】

本発明の方法の一実施形態は、以下の反応スキームによって要約することができる。
【化6】
【0013】
本発明の方法は、以下の実施例によってさらに説明される。 実施例1、2、3は、以下の3つのスキームにまとめられている。
【0014】
例1
【化7】
【0015】
例2
【化8】
【0016】
例3
【化9】
【0017】
本発明の方法の一実施形態の一般的な概要として、式1の化合物は、フルフリルアミン及び保護されたクロロアセテート(例えば、クロロ酢酸エチル)を適切な塩基の存在下で反応させ、続いて適切な試薬(例えば、クロロギ酸エチル)を用いて適切な塩基(例えばトリエチルアミン)の存在下で保護することにより調製される。式Iの化合物は、適切な塩基(例えば、水酸化カリウム)の存在下で加水分解し、続いて、適切な触媒(例えば、塩化アルミニウム)を用いて環化できる酸塩化物を生成させることにより式IIの化合物に変換することができる。式IIの化合物は、二級アミン試薬(例えばピロリジン)の存在下で、アンモニア又はアンモニア等価物と反応させた後、適切な塩基(例えばトリエチルアミン)の存在下で、適切な試薬(例えば塩化ベンゼンスルホニル又は4-メチルベンゼンスルホニルクロリド)で保護することにより、式IIIの化合物に変換することができる。式IIIの化合物は、対応するメチルエノールエーテルに変換し、適切な試薬(例えば、クメンヒドロペルオキシド又はtert-ブチルヒドロペルオキシド)で酸化することにより、式IVの化合物に変換することができる。
【実施例
【0018】
実施例1
ステップ1:エチル2-((フラン-2-イルメチル)アミノ)アセテート(3)の調製
フルフリルアミン(1)(5.50 mL、51.5 mmol)とトリエチルアミン(7.90 mL、56.5 mmol、1.1 eqv)をトルエン(27.5 mL、5 vols)に溶解した。クロロ酢酸エチル(2)(6.05mL、56.5mmol、1.1eqv)を加え、混合物を115℃で3時間加熱した。その後、反応物を20℃に冷却し、水(33mL、6vols)を加え、混合物を酢酸エチル(3×27.5mL、3x5vols)で抽出した。有機層を水(2x 27.5 mL、2x 5 vols)及び(27.5 mL、5 vols)の飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、溶媒を真空で蒸発させて、エチル 2-((フラン-2-イルメチル)アミノ)アセテート(3)を黄色の液体として得た(7.15 g, 42.8 mmol, 収率75.8%)。1H NMR (600 MHz, DMSO-d6, 300K): δ 7.55 (1H, dd, J = 1.8 Hz, 0.9 Hz), 6.34 (1H, dd, J = 3.1 Hz, 1.8 Hz), 6.22 (1H, dd, J = 3.1 Hz, 0.9 Hz), 4.08 (2H, q, J = 7.2 Hz), 3.70, (2H, s), 3.29 (2H, s), 1.19 (3H, t, J = 7.2 Hz). 13C{1H} NMR (151 MHz, DMSO-d6, 300K): δ 172.4, 154.2, 142.4, 110.7, 107.4, 60.4, 49.7, 45.1, 14.6. HRMS (ESI) m/z [M+H}+: C9H14NO3についての分子イオン計算値:184.0968、実測値:184.0974、誤差3.4ppm。(3)は、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル上の順相、塩化メチレン中のメタノールの0~20%勾配)によってさらに精製することができる。
【0019】
エチル 2-((フラン-2-イルメチル)アミノ)アセテート(3)(5.00 g、27.3 mmol)とトリエチルアミン(4.55 mL、32.8 mmol、1.2 eqv)を塩化メチレン(5 mL、1 vol.)に溶解した。クロロギ酸エチル(2.24 mL、32.8 mmol、1.2 eqv)を0℃で滴下して加え(反応温度NGT 25℃)、混合物を20℃で3時間撹拌した。水(25 mL、5 vols)を加え、混合物を塩化メチレン(2x 25 mL、2x 5 vols)で抽出した。有機層を水(2x 25 mL、2x 5 vols.)及び飽和食塩水(1x 25 mL、5 vols.)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させた後、ろ過し、溶媒を真空で蒸発させて、エチル 2-((エトキシカルボニル)(フラン-2-イルメチル)アミノ)アセテート(4)を暗褐色の油として得た(6.41 g、25.14 mmol、収率92.1% )。 1H NMR (600 MHz, DMSO-d6, 300K)。[注:この温度では、ほぼ等しい比率の2つのロータマー(A+B)が見える。これは、3級アミドの回転が制限されているためである: δ 7.60-7.58 (A+B, 1H, m), 6.40-6.38, (A+B, 1H, m), 6.36 (A, 1H, d, J = 3.2 Hz), 6.33 (B, 1H, d, J = 3.2 Hz), 4.46 (A+B, 2H, s), 4.09 (B, 2H, q, J = 7.0 Hz)), 4.08, (A+B, 2H, q, J = 7.7 Hz), 4.04, (A, 2H, q, J = 7.0 Hz) 3.94, (A+B, 2H, s), 1.20 (B, 3H, t, J = 7.0 Hz), 1.17 (A+B, 3H, t, J = 7.1 Hz), 1.13 (B, 3H, t, J = 7.0Hz). 13C{1H} NMR (151 MHz, DMSO-d6, 300K): δ 169.7 (A), 169.6 (B), 159.9 (B), 155.8 (A), 151.1 (B), 151.0 (A), 143.3 (A), 143.2 (B), 110.9 (B), 110.8 (A), 109.1 (A), 108.8 (B), 61.8 (B), 61.6 (A), 61.03 (A), 60.98 (B), 48.5 (B), 48.2 (A), 44.3 (A), 44.2 (B), 14.90 (B), 14.85 (A), 14.5 (A+B). HRMS (ESI) m/z [M+H}+: C12H18NO5についての分子イオン計算値: 256.1179, 実測値 256.1184, 誤差 1.9 ppm。(4)は、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル上の順相、ヘキサン中の酢酸エチルの0~60%勾配)によってさらに精製することができる。
【0020】
ステップ3:2-((エトキシカルボニル)(フラン-2-イルメチル)アミノ)酢酸(5)の調製
エチル 2-((エトキシカルボニル)(フラン-2-イルメチル)アミノ)アセテート(4)(5.00 g、19.6 mmol)をメタノール(25ml、5 vols.)に溶解し、水酸化カリウム(1.65 g、29.4 mmol、1.5 eqv)を加え、混合物を65℃で3時間加熱した。溶媒を真空で蒸発させ、残留物を塩化メチレン(50mL、10vols)に溶解した。得られた溶液を撹拌しながら1Nの塩酸水溶液でゆっくりと中和し、pH3に調整した。有機層を分離し、水(2x 25 mL, 2x 5 vols.)及び(1x 25 mL, 5 vols.)の飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、溶媒を真空で蒸発させて、2-((エトキシカルボニル)(フラン-2-イルメチル)アミノ)酢酸(5)を暗褐色の油として得た(4.23 g、18.6 mmol、収率95.1%)。1H NMR (600 MHz, DMSO-d6, 300K)。[注:この温度では、ほぼ等しい比率の2つのロータマー(A+B)が見える。これは、3級アミドの回転が制限されているためである: δ 7.60-7.58 (A+B, 1H, m), 6.40-6.38, (A+B, 1H, m), 6.36 (A, 1H, d, J = 3.0 Hz), 6.34 (B, 1H, d, J = 3.0 Hz), 4.44 (A+B, 2H, s), 4.08 (B, 2H, q, J = 7.0 Hz), 4.03, (A, 2H, q, J = 7.0 Hz) 3.83 (B, 2H, s), 3.82 (A, 2H, s), 1.20 (B, 3H, t, J = 7.0 Hz), 1.14 (A, 3H, t, J = 7.0Hz). 13C{1H} NMR (151 MHz, DMSO-d6, 300K): δ 171.1 (A), 171.0 (B), 156.0 (A), 155.9 (B), 151.2 (B), 151.1 (A), 143.3 (A), 143.2 (B), 110.91 (B), 110.88 (A), 109.1 (A), 108.8 (B), 61.7 (B), 61.6 (A), 61.03 (A), 48.3 (B), 47.9 (A), 44.2 (A), 44.1 (B), 14.94 (B), 14.91 (A). HRMS (ESI) m/z [M+Na}+: C10H13NNaO5についての分子イオン計算値: 250.0686、実測値 250.0681、誤差 1.9 ppm。(5)は、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル上の順相、塩化メチレン中のメタノールの0~20%勾配)によってさらに精製することができる。
【0021】
ステップ4:エチル 4-オキソ-4,5-ジヒドロフロ[2,3-c]ピリジン-6(7H)-カルボキシラート(6)の調製
2-((エトキシカルボニル)(フラン-2-イルメチル)アミノ)酢酸(5)(4.00 g、7.6 mmol)を塩化メチレン(60 mL、15 vols)に溶解し、塩化チオニル(1.92 mL、26.4 mmol、1.5 eqv)とジメチルホルムアミド(0.014 mL、0.18 mmol、0.01 eqv)を加え、混合物を50℃で3時間加熱した。反応物を冷却し、塩化メチレン(120 mL、30 vols)で希釈し、塩化アルミニウム(4.69 g、35.2 mmol、2 eqv)を加えた。混合物を20℃で1時間撹拌した。反応混合物を氷水(120 mL、30 vols)上に注ぎ、有機層を分離し、水(2x 40 mL、2x 10 vols)及び飽和食塩水(1x 40 mL、10 vols)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、溶媒を真空で蒸発させた。残留物を酢酸エチル(40 mL、10 vols)に溶解し、5%アンモニア水(1x 20 mL、5 vols)、次いで水(3x 20 mL、2x 5 vols)で洗浄し、溶媒を真空で蒸発させた。残留物を固化して、エチル 4-オキソ-4,5-ジヒドロフロ[2,3-c]ピリジン-6(7H)-カルボキシラート(6)を黄/橙色の固体として得た(2.14 g、10.2 mmol、収率58.0%)。1H NMR (600 MHz, DMSO-d6, 300K)。[注:この温度では、ほぼ等しい比率の2つのロータマー(A+B)が見える。これは、3級アミドの回転が制限されているためである: δ 7.86 (A+B, 1H, d, J = 2.0 Hz), 6.80 (A+B, 1H, d, J = 2.0 Hz), 4.81 (A+B, 2H, br s), 4.17 (A+B, 2H, br s), 4.11 (A+B, 2H, q, J = 7.1 Hz), 1.21 (A+B, 3H, t, J = 7.1 Hz). 13C{1H} NMR (151 MHz, DMSO-d6, 300K): δ 188.3 (A+B), 163.7 (A), 163.4 (B), 154.6 (A+B), 144.9 (A+B), 119.1 (A+B), 105.9 (A+B), 61.8 (A+B), 51.7 (A), 51.5 (B), 41.3 (A+B), 14.4 (A+B). HRMS (ESI) m/z [M+H}+: C10H12NO4についての分子イオン計算値: 210.0761、実測値 210.0767、誤差 3.0 ppm。
【0022】
ステップ5:エチル 4-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-6(7H)-カルボキシラート(7)の調製
エチル 4-オキソ-4,5-ジヒドロフロ[2,3-c]ピリジン-6(7H)-カルボキシラート(6)(2.00 g、9.55 mmol)をエタノール(10 mL、5 vols)に溶解し、圧力容器に移した。25% アンモニア水(10 mL、5 vols.)を加え、容器を密閉し、100℃に加熱し(反応温度95℃)、8時間撹拌した。エタノールを真空で除去し、残留物に塩化メチレン(10mL、5vols.)を加えた。黒い沈殿物をろ取し、ろ液を真空で蒸発させ、エチル 4-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-6(7H)-カルボキシラート(7)を暗褐色の油として得た(1.77 g、8.50 mmol、89.0%収率)。 1H NMR (600 MHz, DMSO-d6, 300K)。[注:この温度では、ほぼ等しい比率の2つのロータマー(A+B)が見える。これは、3級アミドの回転が制限されているためである: δ 11.58 (A, 1H, s), 11.53 (B, 1H, s), 6.87-6.88 (A+B, 1H, m), 6.36 (A+B, 1H, dd, J = 2.2 Hz, 2.8 Hz), 4.70 (A+B, 2H, br s), 4.09 (A+B, 2H, q, J = 7.1 Hz), 4.06 (A+B, 2H, br s), 1.20 (A+B, 3H, t, J = 7.1 Hz). 13C{1H} NMR (151 MHz, DMSO-d6, 300K): δ 188.0 (A), 187.8 (B), 155.2 (A), 155.1 (B), 140.9 (A), 140.5 (B), 120.8 (A+B), 118.2 (A), 118.0 (B), 104.9 (A+B), 61.9 (A+B), 52.2 (A), 52.0 (B), 41.1 (A), 41.0 (B), 14.9 (A+B). HRMS (ESI) m/z [M+H}+: C10H13N2O3についての分子イオン計算値: 209.0921、実測値 209.0929、誤差 3.9 ppm。(7)は、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル上の順相、ヘキサン中の酢酸エチルの12~100%勾配)によってさらに精製してもよい。
【0023】
ステップ6:エチル 4-オキソ-1-(フェニルスルホニル)-4,5-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-6(7H)-カルボキシラート(8)の調製
塩化メチレン(5mL、10vols.)中の(エチル 4-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-6(7H)-カルボキシラート)(7)(0.50g、2.4mmol)の溶液に、20℃でトリエチルアミン(0.97mL、7.2mmol、3 eqv.)を滴下して加えた。得られた懸濁液に、塩化ベンゼンスルホニル(0.306 mL、2.4 mmol、1 eqv)と4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(0.029 g、0.24 mmol、0.1 eqv)を加えた。反応混合物を、塩化ベンゼンスルホニルが消費されるまで攪拌した。混合物を水(10 mL、20 vols.)に注ぎ、塩化メチレン(2x 5 mL、各10 vols.)で抽出した。合わせた有機層を無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、真空で蒸発させた。この粗生成物をシリカゲルを用いたフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中の酢酸エチルの12-100%勾配)で精製すると、エチル 4-オキソ-1-(フェニルスルホニル-4,5-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-6(7H)-カルボキシラート(8)が黄色の半固体として得られた(0.56g、1.61mmol、収率67.0%)。1H NMR (600 MHz, DMSO-d6, 300K)。[注:この温度では、ほぼ等しい比率の2つのロータマー(A+B)が見える。これは、3級アミドの回転が制限されているためである: δ 8.08 (A+B, 2H, d, J = 8.0 Hz), 7.86 (A+B, 1H, t, J = 8.0 Hz), 7.74 (A+B, 2H, t, J = 8.0 Hz), 7.58 (A+B, 1H, d, J = 3.2 Hz), 6.66 (A+B, 1H, d, J = 3.2 Hz), 4.99 (A+B, 2H, s), 4.16 (A+B, 2H, br s), 4.06 (A+B, 2H br q, J = 7.0 Hz), 1.17 (A+B, 3H, br t, J = 7.0 Hz). 13C{1H} NMR (151 MHz, DMSO-d6, 300K): δ 189.1 (A), 188.7 (B), 155.2 (A), 155.0 (B), 141.3 (A), 140.9 (B), 137.3 (A+B), 136.2 (A+B), 130.9 (A+B), 127.6 (A+B), 123.8 (A+B), 122.9 (A), 122.7 (B), 109.0 (A+B), 62.3 (A+B), 52.0 (A+B), 41.7 (A), 41.3 (B), 14.9 (A+B). HRMS (ESI) m/z [M+H}+: C16H17N2O5Sについての分子イオン計算値: 349.0853、実測値 349.0857、誤差 1.1 ppm。
【0024】
ステップ7:4-メトキシ-1-(フェニルスルホニル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン(9)の調製
エチル 4-オキソ-1-(フェニルスルホニル)-4,5-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-6(7H)-カルボキシラート(8)(0.50 g、1.44 mmol)を反応容器に投入し、N2を用いて容器を不活性にした。メタノール(6 mL、12 vols.)、メタンスルホン酸(0.109 mL、2.16 mmol、1.5 eqv,)、オルトギ酸トリメチル(0.788 mL、7.2 mmol、5 eqv)を加え、反応混合物を30~35℃に加熱し、2時間熟成させた。80%のクメンヒドロペルオキシド(CHP)(0.064 mL、0.345 mmol、0.25 eqv)を加え、反応混合物を30~35℃で2~3時間熟成させた。別の80% CHP (0.067 mL、0.36 mmol、0.25 eqv)を加え、反応混合物を30~35℃で2~3時間熟成させた。80% CHP (0.067 mL、0.36 mmol、0.25 eqv)をさらに加え、反応を1時間熟成させた。反応が完了するまで必要に応じてこれを繰り返した。混合物を20℃まで冷却した。トリエチルアミン(0.506mL、3.6mmol、2.5 eqv)を内部温度が30℃以下になるような速度で加え、pHが8~9の範囲であることを確認した。1 wt% チオ硫酸ナトリウム水溶液(2 mL、4 vols.)を添加し、バッチを1時間熟成させた。1 wt% チオ硫酸ナトリウム水溶液(8 mL、16 vols)を30分かけて添加した。このバッチを1時間熟成させ、pHが8以上であることを確認した。 反応混合物に塩化メチレン(15mL、30vols)を加え、層を分離した。水層を塩化メチレン(2x 5 mL、2x 10 vols)で洗浄し、合わせた有機層を1M水酸化ナトリウム(2x 5 mL、2x 10 vols)及び水(1x 5 mL、10 vols)で洗浄した。合わせた有機層を無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、真空で蒸発させて褐色の油を得、これをカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の酢酸エチルの12~100%勾配)で精製して、4-メトキシ-1-(フェニルスルホニル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン(9)を黄色の固体として得た(0.345g、1.20mmol、収率83.0%)。1H NMR (600 MHz, DMSO-d6, 300K): δ 8.89 (1H, s), 8.12 (1H, s), 8.06-8.09 (2H, m), 7.97 (1H, d, J = 3.7 Hz), 7.73 (1H, tt, J = 7.5 Hz, 1.1 Hz), 7.64-7.61 (2H, m), 6.90 (1H, d, J = 3.7 Hz), 3.96 (3H, s). 13C{1H} NMR (151 MHz, DMSO-d6, 300K): δ 149.2, 137.2, 135.6, 132.4, 130.5, 129.5, 128.8, 127.4, 126.3, 125.6. 105.9, 56.7. HRMS (ESI) m/z [M+H}+: C14H13N2O3Sについての分子イオン計算値: 289.0641、実測値 289.0644、誤差 1.0 ppm。
【0025】
実施例2
ステップ1~7は実施例1と同じである。
【0026】
ステップ8:エチル 4-オキソ-1-トシル-4,5-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-6(7H)-カルボキシラート(10)の調製
(エチル 4-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-6(7H)-カルボキシラート)(7)(0.50 g、2.4 mmol)の塩化メチレン(5 mL、10 vols.)中の溶液に、トリエチルアミン(0.97 mL、7.2 mmol、3 eqv)を室温で滴下して加えた。得られた懸濁液に、塩化p-トルエンスルホニル(0.46g、2.4mmol、1 eqv)と4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(0.029g、0.24mmol、0.1 eqv)を加えた。反応混合物を塩化p-トルエンスルホニルが消費されるまで撹拌した。この混合物を水(10mL、20vols.)に注ぎ、塩化メチレン(2x 5mL、2x 10vols.)で抽出した。合わせた有機層を無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、真空で蒸発させた。この粗生成物をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(シクロヘキサン中の10%酢酸エチル)で精製すると、エチル 4-オキソ-1-トシル-4,5-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-6(7H)-カルボキシラート(10)が淡いピンク色の固体として得られた(0.58g、2.0mmol、収率83.0%)。1H NMR (600 MHz, DMSO-d6, 300K)。[注:この温度では、ほぼ等しい比率の2つのロータマー(A+B)が見える。これは、3級アミドの回転が制限されているためである: δ 7.96 (A+B, 2H, d, J = 8.3 Hz), 7.55-7.53 (A+B, 3H, m), 6.64 (A+B, 1H, d, J = 3.5 Hz), 4.98 (A+B, 2H, s), 4.13 (A+B, 2H, br s), 4.07 (A+B, 2H br q, J = 7.0 Hz), 2.42 (3H, s), 1.17 (A+B, 3H, br t, J = 7.0 Hz). 13C{1H} NMR (151 MHz, DMSO-d6, 300K): δ 189.1 (A), 188.6 (B), 155.2 (A), 155.0 (B), 147.3 (A+B), 141.1 (A), 140.7 (B), 134.3 (A+B), 131.1 (A+B), 127.7 (A+B), 123.9 (A+B), 122.8 (A), 122.6 (B), 108.8 (A+B), 62.3 (A+B), 51.9 (A+B), 41.6 (A), 41.4 (B), 21.6 (A+B), 14.8 (A+B). HRMS (ESI) m/z [M+H}+: C17H19N2O5Sについての分子イオン計算値: 363.1009、実測値 363.1017、誤差 2.2 ppm。
【0027】
ステップ9:4-メトキシ-1-(4-メチルフェニルスルホニル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン(11)の調製
(エチル 4-オキソ-1-トシル-4,5-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-6(7H)-カルボキシラート)(10)(0.50g、1.38mmol)を反応容器に投入し、N2を用いて容器を不活性にした。メタノール(6 mL、12 vols.)、メタンスルホン酸(0.104 mL、1.60 mmol、1.15 eqv)及びオルトギ酸トリメチル(0.755 mL、6.9 mmol、5 eqv)を加え、反応混合物を30~35℃に加熱し、2時間熟成させた。80%クメンヒドロペルオキシド(CHP)(0.064 mL、0.345 mmol、0.25 eqv)を加え、反応混合物を30~35℃で2~3時間熟成させた。別の80%CHP(0.064 mL、0.345 mmol、0.25 eqv)を加え、反応混合物を30~35℃で2~3時間熟成させた。 さらに80% CHP(0.064 mL、0.345 mmol、0.25 eqv)を加え、反応を1時間熟成させた。これを必要に応じて、反応が完了するまで繰り返した。この混合物を20℃まで冷却した。トリエチルアミン(0.485 mL、3.45 mmol、2.5 eqv)を内部温度が30℃以下に維持されるような速度で加え、pHが8~9の範囲であることを確認した。1 wt% チオ硫酸ナトリウム水溶液(2 mL、4 vols.)を添加し、バッチを1時間熟成させた。 1 wt% チオ硫酸ナトリウム水溶液(8 mL、16 vols)を30分かけて添加した。このバッチを1時間熟成させ、pHが8以上であることを確認した。反応混合物に塩化メチレン(15 mL、30 vols)を加え、層を分離した。水層を塩化メチレン(2x 5 mL、2x 10 vols)で洗浄し、合わせた有機層を水(2x 5 mL、2x 5 vols)及び飽和食塩水(2x 25 mL、2x 5 vols)で洗浄した。合わせた有機層を無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、真空で蒸発させて褐色の油を得、これをカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の酢酸エチルの12~100%勾配)で精製して、4-メトキシ-1-(4-メチルフェニルスルホニル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン(11)を黄色の固体として得た(0.367g,、1.21mmol、収率88.0%)。 1H NMR (600 MHz, DMSO-d6, 300K): δ 8.88 (1H, br s), 8.12 (1H, br s), 8.06-8.09 (2H, m), 7.96-7.93 (3H, m), 7.41 (2H, d, J = 8.3 Hz), 6.89 (1H, d, J = 3.6 Hz), 3.96 (3H, s), 2.33 (3H, s). 13C{1H} NMR (151 MHz, DMSO-d6, 300K): δ 149.2, 146.5, 134.2, 132.5, 130.9, 129.5, 128.8, 127.4, 126.2, 125.5, 105.8, 56.6, 21.5. HRMS (ESI) m/z [M+H}+: C15H15N2O3Sについての分子イオン計算値: 303.0798、実測値 303.0808、誤差 3.2 ppm。
【0028】
実施例3
ステップ1及び2の中間体の単離を回避したステップ1~3の代替調製法を以下に示す。
【0029】
ステップ1~3:2-((エトキシカルボニル)(フラン-2-イルメチル)アミノ)酢酸(5)の調製
フルフリルアミン(1)(100g、1.03mol)とトリエチルアミン(430mL、3.09mol、3.0eqvv)をトルエン(670mL、6.7vols.)に溶解した。クロロ酢酸エチル(2)(126mL、1.18mol、1.15eqv)を加え、混合物を65℃に26時間加熱した。反応混合物を20℃まで冷却し、ろ過した後、析出した固体をトルエン(200ml、2vol)で洗浄した。
【0030】
合わせた濾液にトリエチルアミン(100mL、0.72mol、0.70 eqvv)を加え、混合物を5℃に冷却した。クロロギ酸エチル(111.7g、1.03mol、1.0 eqvv)を滴下して加え(反応温度は15℃以下に維持)、混合物を25℃で8時間撹拌した。混合物をろ過し、析出した固体をトルエン(300ml、3vol)で洗浄した。
【0031】
合わせた濾液を10℃まで冷却し、2M水酸化カリウム水溶液(566ml、5.66vol)をゆっくりと加えた。この二相性溶液を25℃で48時間撹拌した。相を分離し、有機層を水(200ml、2vol)で洗浄した。その後、合わせた水相を5℃まで冷却した。37%塩酸(101g)を最終的なpHが2~3の範囲になるまでゆっくりと加えた。 混合物をtert-ブチルメチルエーテルで抽出した(3×600ml、3×6vol)。合わせた有機層をMgSO4上で乾燥させ、ろ過し、蒸発させて、2-((エトキシカルボニル)(フラン-2-イルメチル)アミノ)酢酸(5)(153g)を褐色の油として得た。1H NMR (600 MHz, DMSO-d6, 300K)。[注:この温度では、ほぼ等しい比率の2つのロータマー(A+B)が見える。これは、3級アミドの回転が制限されているためである: δ 7.60-7.58 (A+B, 1H, m), 6.40-6.38, (A+B, 1H, m), 6.36 (A, 1H, d, J = 3.0 Hz), 6.34 (B, 1H, d, J = 3.0 Hz), 4.44 (A+B, 2H, s), 4.08 (B, 2H, q, J = 7.0 Hz), 4.03, (A, 2H, q, J = 7.0 Hz) 3.83 (B, 2H, s), 3.82 (A, 2H, s), 1.20 (B, 3H, t, J = 7.0 Hz), 1.14 (A, 3H, t, J = 7.0Hz). 13C{1H} NMR (151 MHz, DMSO-d6, 300K): δ 171.1 (A), 171.0 (B), 156.0 (A), 155.9 (B), 151.2 (B), 151.1 (A), 143.3 (A), 143.2 (B), 110.91 (B), 110.88 (A), 109.1 (A), 108.8 (B), 61.7 (B), 61.6 (A), 61.03 (A), 48.3 (B), 47.9 (A), 44.2 (A), 44.1 (B), 14.94 (B), 14.91 (A). HRMS (ESI) m/z [M+Na}+: C10H13NNaO5についての分子イオン計算値: 250.0686、実測値 250.0681、誤差 1.9 ppm。
【0032】
水酸化カリウム水溶液を後処理に使用し、結晶化によって材料を単離したステップ4の代替調製法を以下に示す。
【0033】
ステップ4:エチル 4-オキソ-4,5-ジヒドロフロ[2,3-c]ピリジン-6(7H)-カルボキシラート(6)の調製
2-((エトキシカルボニル)(フラン-2-イルメチル)アミノ)酢酸(5)(20.0 g、88 mmol)を塩化メチレン(200 mL、10 vols.)に溶解した。塩化チオニル(7.66 mL、105 mmol、1.19 eqvv)及びジメチルホルムアミド(0.1 mL、1.28 mmol、0.015 eqvv)を加え、混合物を40℃で1時間加熱した後、反応混合物を0℃まで冷却した。別途、塩化メチレン(400mL、20vols)と塩化アルミニウム(25.23g、189mmol、2.15eqvv)を混合し、1時間加熱還流させた後、0℃に冷却した。上記で調製した酸塩化物溶液を、塩化アルミニウム混合物に1時間かけてゆっくりと加えた。0℃で2時間撹拌した後、塩化アルミニウム(1.17g、8.8mmol、0.1 eqvv)を加え、さらに30分間0℃で撹拌を続けた。 50%水酸化カリウム水溶液(89g)をゆっくりと加え、反応物を38℃に温めて15時間撹拌した。その後、反応混合物を濾過して固体を除去し、次いで濾液をMgSO4上で乾燥させた後、溶媒を真空で蒸発させて、粗製のエチル 4-オキソ-4,5-ジヒドロフロ[2,3-c]ピリジン-6(7H)-カルボキシラート(6)(14g)を得た。粗材料の一部(6.5g)を80℃でイソプロパノール(6.5ml, 1vol)に溶解し、続いて水(30ml、4.62vol)を加えた後、混合物を0℃まで冷却した。1時間撹拌した後、沈殿物をろ過し、水(30ml、4.62vol)で洗浄し、次いで真空で乾燥させると、エチル 4-オキソ-4,5-ジヒドロフロ[2,3-c]ピリジン-6(7H)-カルボキシラート(6)(6g)が橙色の固体として得られた。1H NMR (600 MHz, DMSO-d6, 300K)。[注:この温度では、ほぼ等しい比率の2つのロータマー(A+B)が見える。これは、3級アミドの回転が制限されているためである: δ 7.86 (A+B, 1H, d, J = 2.0 Hz), 6.80 (A+B, 1H, d, J = 2.0 Hz), 4.81 (A+B, 2H, br s), 4.17 (A+B, 2H, br s), 4.11 (A+B, 2H, q, J = 7.1 Hz), 1.21 (A+B, 3H, t, J = 7.1 Hz). 13C{1H} NMR (151 MHz, DMSO-d6, 300K): δ 188.3 (A+B), 163.7 (A), 163.4 (B), 154.6 (A+B), 144.9 (A+B), 119.1 (A+B), 105.9 (A+B), 61.8 (A+B), 51.7 (A), 51.5 (B), 41.3 (A+B), 14.4 (A+B). HRMS (ESI) m/z [M+H}+: C10H12NO4についての分子イオン計算値: 210.0761、実測値 210.0767、誤差 3.0 ppm。
【0034】
ピロリジンを溶媒として使用し、結果的に周囲温度で反応を実行するステップ5の代替調製法を以下に示す。
【0035】
ステップ5:エチル 4-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-6(7H)-カルボキシラート(7)の調製
エチル 4-オキソ-4,5-ジヒドロフロ[2,3-c]ピリジン-6(7H)-カルボキシラート(6)(1.90g、9.07mmol)をピロリジン(3mL、5vols)に溶解し、20℃で1時間撹拌した。35%アンモニア水(7mL)を加え、20℃で4時間攪拌を続けた。混合物を真空で濃縮した後、残留物を酢酸エチル(20ml、10.5vol)と水(20ml、10.5vol)で分配した。水層を分離し、酢酸エチル(3 x20ml、3 x10.5vol)で抽出した後、合わせた抽出液を0.1M塩酸(25ml、13.2vol)、水(25ml、13.2vol)で洗浄し、乾燥後、真空で濃縮して、エチル 4-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-6(7H)-カルボキシラート(7)を褐色の油として得た。1H NMR (600 MHz, DMSO-d6, 300K)。[注:この温度では、ほぼ等しい比率の2つのロータマー(A+B)が見える。これは、3級アミドの回転が制限されているためである: δ 11.58 (A, 1H, s), 11.53 (B, 1H, s), 6.87-6.88 (A+B, 1H, m), 6.36 (A+B, 1H, dd, J = 2.2 Hz, 2.8 Hz), 4.70 (A+B, 2H, br s), 4.09 (A+B, 2H, q, J = 7.1 Hz), 4.06 (A+B, 2H, br s), 1.20 (A+B, 3H, t, J = 7.1 Hz). 13C{1H} NMR (151 MHz, DMSO-d6, 300K): δ 188.0 (A), 187.8 (B), 155.2 (A), 155.1 (B), 140.9 (A), 140.5 (B), 120.8 (A+B), 118.2 (A), 118.0 (B), 104.9 (A+B), 61.9 (A+B), 52.2 (A), 52.0 (B), 41.1 (A), 41.0 (B), 14.9 (A+B). HRMS (ESI) m/z [M+H}+: C10H13N2O3についての分子イオン計算値: 209.0921、実測値 209.0929、誤差 3.9 ppm。
【0036】
ステップ8は、実施例2と同じである。
【0037】
ステップ8:エチル 4-オキソ-1-トシル-4,5-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-6(7H)-カルボキシラート(10)の調製
(エチル 4-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-6(7H)-カルボキシラート)(7)(0.50 g、2.4 mmol)の塩化メチレン(5 mL、10 vols.)中の溶液に、トリエチルアミン(0.97 mL、7.2 mmol、3 eqv)を室温で滴下して加えた。得られた懸濁液に、塩化p-トルエンスルホニル(0.46 g、2.4 mmol、1 eqv)及び4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(0.029 g、0.24 mmol、0.1 eqv)を加えた。反応混合物を塩化p-トルエンスルホニルが消費されるまで撹拌した。混合物を水(10 mL、20 vols.)に注ぎ、塩化メチレン(2x 5 mL、2x 10 vols.)で抽出した。合わせた有機層を無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、真空で蒸発させた。この粗生成物をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(シクロヘキサン中の10%酢酸エチル)で精製すると、エチル 4-オキソ-1-トシル-4,5-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-6(7H)-カルボキシラート(10)が淡いピンク色の固体として得られた(0.58g、2.0mmol、収率83.0%)。1H NMR (600 MHz, DMSO-d6, 300K)。[注:この温度では、ほぼ等しい比率の2つのロータマー(A+B)が見える。これは、3級アミドの回転が制限されているためである: δ 7.96 (A+B, 2H, d, J = 8.3 Hz), 7.55-7.53 (A+B, 3H, m), 6.64 (A+B, 1H, d, J = 3.5 Hz), 4.98 (A+B, 2H, s), 4.13 (A+B, 2H, br s), 4.07 (A+B, 2H br q, J = 7.0 Hz), 2.42 (3H, s), 1.17 (A+B, 3H, br t, J = 7.0 Hz). 13C{1H} NMR (151 MHz, DMSO-d6, 300K): δ 189.1 (A), 188.6 (B), 155.2 (A), 155.0 (B), 147.3 (A+B), 141.1 (A), 140.7 (B), 134.3 (A+B), 131.1 (A+B), 127.7 (A+B), 123.9 (A+B), 122.8 (A), 122.6 (B), 108.8 (A+B), 62.3 (A+B), 51.9 (A+B), 41.6 (A), 41.4 (B), 21.6 (A+B), 14.8 (A+B). HRMS (ESI) m/z [M+H}+: C17H19N2O5Sについての分子イオン計算値: 363.1009, 実測値 363.1017、誤差 2.2 ppm。
【0038】
デカン中のtert-ブチルヒドロペルオキシドを酸化剤として使用するステップ9の代替調製法を以下に示す。
【0039】
ステップ9:4-メトキシ-1-(4-メチルフェニルスルホニル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン(11)の調製
(エチル 4-オキソ-1-トシル-4,5-ジヒドロ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-6(7H)-カルボキシラート(10)(2.00g、5.52mmol)とトルエン(24ml、12vol)を反応容器に入れ、N2を用いて容器を不活性にした。 メタンスルホン酸(0.53 mL、8.16 mmol、1.48 eqv)とオルトギ酸トリメチル(1.83 mL、16.7 mmol、3.02 eqv)を加え、3分間不活性(inertion)を継続させた。 メタノール(1.1ml、27.1mmol、4.9eqvv)とデカン中の5.5M tert-ブチルヒドロペルオキシド(1.3mL、7.15mmol、1.3eqv)を加え、反応混合物を35℃で18時間熟成させた。2M水酸化ナトリウム(10ml、5vol)と0.1Mチオ硫酸ナトリウム(5ml、2.5vol)を加え、反応混合物を20℃で2時間撹拌した。相を分離し、水層を酢酸エチル(2×25ml、2×12.5vol)で抽出した。 合わせた有機溶液をMgSO4上で乾燥させ、真空で濃縮した。残留物を2M塩酸(10ml、5vol)とtert-ブチルメチルエーテル(10ml、5vol)で分配した。 水層を分離し、水酸化ナトリウムを加えて中和した後、tert-ブチルメチルエーテル(3×10ml、3×5vol)で抽出した。合わせた有機抽出液をMgSO4上で乾燥させ、真空で濃縮して、4-メトキシ-1-(4-メチルフェニルスルホニル)-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン(11)(0.91g, 54% th)を得た。1H NMR (600 MHz, DMSO-d6, 300K): δ 8.88 (1H, br s), 8.12 (1H, br s), 8.06-8.09 (2H, m), 7.96-7.93 (3H, m), 7.41 (2H, d, J = 8.3 Hz), 6.89 (1H, d, J = 3.6 Hz), 3.96 (3H, s), 2.33 (3H, s). 13C{1H} NMR (151 MHz, DMSO-d6, 300K): δ 149.2, 146.5, 134.2, 132.5, 130.9, 129.5, 128.8, 127.4, 126.2, 125.5, 105.8, 56.6, 21.5. HRMS (ESI) m/z [M+H}+: C15H15N2O3Sについての分子イオン計算値: 303.0798、実測値 303.0808、誤差 3.2 ppm。
【0040】
示されている式IVの5員環には窒素原子が含まれているが、酸素を含む5員環から始めた方が原価が安くなることがわかった。